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家の近くのむし探検 ナミテントウ

家の近くのむし探検 第250弾

5月29日に家の近くにある林の入り口で見た虫です。写真整理がだいぶ遅れてきたので、少し抜粋して載せることにしました。





今日の最初はこのテントウムシからです。模様が変わっているので、何テントウかなと思って期待しながら図鑑を見たのですが、同じ模様のものはありません。触角が長くて先が細いので、たぶん、ナミテントウの模様変化の一つでしょうね。

なんでこんなに模様が変化するのだろうとちょっと疑問になったので、少し文献を調べてみました。どういう訳か模様変化の研究はやたら多いですね。



要は上のAからDまでの基本パターンがあって、遺伝的に模様が決まるという話です。次の論文をちょっと読んでみました。

新美輝幸ほか、「ナミテントウの遺伝子機能解析システムの現状と将来」、蚕糸・昆虫バイオテック 75, 175 (2006). (ここからダウンロードできます)

AからCまでは基本的な背景色は黒で、そこに赤や黄色の模様がついています。A:二紋型(遺伝子 hC)、B:四紋型(遺伝子 hSp)、C:斑(まだら)型(遺伝子 hA)、それに、Dの背景色が赤のものです。D:紅型(遺伝子 h)。これらの間には、hC > hSp > hA > h という優性、劣性の関係があり、メンデルの法則が成り立つというものです。

例えば、二紋型(hC/hC)と紅型(h/h)が交尾すると、その子はhC/hとなり、hCの方がhより優性なので二紋型になります。この子供どうしが交尾すると、その子はhC/hC : hC/h : h/h = 1 : 2 : 1となるので、二紋型3:紅型1の割合で孫が生じることになります。こんな風にいろいろな斑紋の個体ができることになっています。AからDまでの個体分布は生息環境や気候、気温などにより左右されるので(たぶん、型によりこれらの環境に対する適応性が異なる?)、地域によって割合が変わっていくようです。

さらに、色の原因についての研究もありました。黒色はメラニン色素によるものですが、赤はカロチノイド色素によるもののようです。

G. Britton et al., "Pigmentation of the ladybird beetle Coccinella septempunctata by carotenoids not of plant origin", Nature 266, 49 (1977).

この論文はイギリスでナナホシテントウが大量発生したときに、それから色素を抽出したという話です。その結果、βーカロテンやγーカロテンなどいろいろなカロチノイドが入っていることが分かったのですが、そのうちあるものは植物にはないカロチノイドであることが分かりました。動物はカロチノイドを合成できないので、食事から摂取します。フラミンゴのピンク色は食事の中のカロチノイドがその色の原因とされています。ところで、テントウムシはアブラムシを食べ、そのアブラムシは植物から栄養を摂るので、テントウムシのカロチノイドは植物由来だと考えられていたのですが、それに反する結果だったのです。

そのことから考えられることは、アブラムシ内部にある共生細菌がカロチノイドを合成している、あるいは、テントウムシ内部の共生細菌がカロチノイドを合成しているのどちらかなのですが、アブラムシには微量にしか存在しないカロチノイドがテントウムシ内で大量に見つかったことから、おそらくテントウムシ内部の共生細菌がβーカロチンなどの既存のカロチノイドを原料としてこれらのカロチノイドを作っているのではという結論でした。赤いカロチノイドの量とアルカロイドという毒素の量に相関があるという研究もあり、カロチノイドにより赤くなるのは一種の警戒色だと考えられているようです。

追記2017/06/24:通りすがりさんから、「テントウムシはネタが尽きませんよね。カロチノイドとアルカロイドの相関関係ですか…普通のテントウムシが出す黄色い毒液と、カメノコテントウの出す赤い毒液では、確かにカメノコテントウの出す赤い方が強いと思いますね。大きいだけに、毒液の量も多いし、カロチノイドの量もアルカロイドの量も多そうです。」というコメントをいただきました。テントウムシを研究している人は多いので、調べるといろいろなことが分かって面白いですね。アルカロイドとの相関は少し論文を見たのですが、♂♀で結果が逆だったりしてはっきりしなかったので紹介しませんでした。もう少し調べてみます

そのほかの虫についても書こうと思ったのですが、長くなったので、ここでいったん打ち切ります。
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No title

テントウムシはネタが尽きませんよね。
カロチノイドとアルカロイドの相関関係ですか…普通のテントウムシが出す黄色い毒液と、カメノコテントウの出す赤い毒液では、確かにカメノコテントウの出す赤い方が強いと思いますね。
大きいだけに、毒液の量も多いし、カロチノイドの量もアルカロイドの量も多そうです。

No title

テントウムシを研究している人は多いので、調べるといろいろなことが分かって面白いですね。アルカロイドとの相関は少し論文を見たのですが、♂♀で結果が逆だったりしてはっきりしなかったので紹介しませんでした。もう少し調べてみます。たぶん、何らかの相関があるとは思いますが・・・。
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