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家の近くのむし探検 ハエなど

家の近くのむし探検 第247弾





5月26日、林の入り口にこんな青い眼のハエがいました。ミバエあたりかなと思って、それほど注目せずに写真だけ撮って家に戻ってから大変でした。科もさっぱり分からないので・・・。それで、画像で検索してみると、シギアブ科にされている方がおられます。いずれもその根拠が書かれていないので、何とも言えないのですが・・・。

それでこの写真を使って自分でも調べてみようと思いました。まずは翅脈です。



「原色昆虫大図鑑III」風に名前を付けてみたのですが、合っているのかどうか。後で検索をしてみると、実は触角も重要な要素でした。ところが触角はどれもぼやぼや。はっきりと写っている写真はありません。それでも、果敢に検索をしてみました。「原色昆虫大図鑑III」に載っている検索表で、シギアブ科に行くためには次のような項目を確かめなければなりません。よく分からない部分も加えて抜粋すると次のようになります。



①は爪に関するものなので写真では分からないのですが、それは飛ばして、②から④までは上の写真や翅脈の図で判断できます。⑤で困りました。下小盾板は写っていないからです。それで両方の可能性を考え、⑤aと⑤bとしました。⑤aを進むと、⑥は触角鞭節に関するものになります。



はっきりしないのですが、⑥aにあるような触角角突起ではありません。⑥bは触角刺毛を生じるというので触角はあっているのですが、翅脈でr1室が閉じるというところが違います。結局、⑤aの道は違うようです。それで、⑤bの道を進むことにします。⑦にある頭盾が写真では分かりません。それで、ここも両方進むことにします。⑦aはシギアブ科です。⑦bを進むと⑧aは異なります。結局、クサアブ科のDialysis属に達することができました。クサアブ科は最後の項目を選ぶとDialysis属だということでした。いずれにしても、シギアブ科とクサアブ科の両方ともこの検索表だけでは否定できません。



結局、こんな感じで進んでいったことになります。

ところで、クサアブ科のDialysis属は以前問題になったことがありました。そこを見てみると、およそ外観が違います。それで、たぶん、クサアブ科Dialysis属は否定され、残ったシギアブ科でよいのだろうと思いました。

次は属です。「日本昆虫目録第8巻」(2014)と「新訂 原色昆虫大図鑑III」(2008)を見ると、日本産のこの科には6(7)属があります。括弧で書いてあるのは、大図鑑では新属として記載があるのですが、目録の方には載っていなかった属です。また、大図鑑には、タカネシギアブ Bolbomyia wuorentausiが載っています(種名の学名のつづりが間違っています)が、ネット情報ではこれはBolbomyiidaeに移されているようです。そこで、Bolbomyiaを除いた属の特徴を「大図鑑」の説明と次の論文の検索表を使って調べてみました。

D. Yang, C.-K. Yang, and A. Nagatomi, "The Rhagionidae of China (Diptera)". South Pacific Study 17, 113 (1997). (ここからダウンロードできます)

ただ、この論文は中国産に対するものなので、どこまで使ってよいのかよく分かりません。いずれにしても各属の特徴でこの個体とは違うなと思った部分だけを書くと次のようになります。

Arthroceras(3):触角刺毛がない
Chrysopilus(20)
Ptiolina(5);触角刺毛は非常に短い
Rhagio(20):R2+3は直線的
Symphoromyia(1):太く肥大した触角柄節をもつ
Spania(3):触角鞭節が棒状突起になる
Litoleptis(1):中室がない

( )内は日本産の個体数です。触角や翅脈で少しずつ違うなと思うところがありました。結局、消去法になるのですが、今のところ、Chrysopilus属が有力です。(追記2017/06/03:通りすがりさんから、「Chrysopilusっぽいですねえ。以前、Chrysopilusとおぼしき7ミリほどのシギアブを見付けた時も、Chrysopilusっぽいとしか分からなかったんですよねえ。シギアブ科はそこそこ見るけど、一番見られるRhagioは同定不能だし、属まで分かれば御の字くらいにしか思ってません。」というコメントをいただきました。こんな特徴のあるハエなのですが、ここから先が難しいですね。ハエの論文は交尾器の図ばかりで、外観は図としては載っていないことが多くて・・・。一つずつ潰していくのかなぁ



長くなったので、後は目立った種だけ載せます。こういう角度で写すと、頭の後ろの曲がり毛も前脚腿節の黄色の帯も分かるので、これはマガリケムシヒキの♀ということになると思います。



これはいつも見るヤマギシモリノキモグリバエだと思われる種です。まだ、ちゃんと確かめていないので、一度、調べたいと思うのですが、キモグリバエ科の文献が手に入りません。



これは前縁脈に切目がなくて、後単眼剛毛が交差しているので、たぶん、シマバエ科だと思います。





バッタの幼虫もいろいろといるのですが、名前は分かりません。フキバッタの幼虫でしょうか。



これはマンションの廊下で見たチャタテムシです。翅脈からウスイロチャタテ科であることは分かります。たぶん、クリイロチャタテでしょうか。(追記2017/12/11:縁紋の後縁角が丸まっていて、RsとM脈が途中で融合しているので、マドチャタテ科かもしれません





ハエトリグモは写真を撮ろうとすると、そちらに向かう態勢を取るので、よく下のような写真になってしまいます。「日本のクモ」によると、マミジロハエトリとマミクロハエトリは♀では区別がつかないというのでこれもどちらか分かりません。小さなハチも何枚か写したのですが、どうせ名前は分からないので省略です。
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No title

Chrysopilusっぽいですねえ。
以前、Chrysopilusとおぼしき7ミリほどのシギアブを見付けた時も、Chrysopilusっぽいとしか分からなかったんですよねえ。
シギアブ科はそこそこ見るけど、一番見られるRhagioは同定不能だし、属まで分かれば御の字くらいにしか思ってません。

No title

こんな特徴のあるハエなのですが、ここから先が難しいですね。ハエの論文は交尾器の図ばかりで、外観は図としては載っていないことが多くて・・・。一つずつ潰していくのかなぁ。
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