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虫を調べる バラルリツツハムシ

4月下旬から5月下旬にかけて、公園に植えてあるツツジの葉上を調べていると瑠璃色の小さな甲虫をときどき見かけます。



この写真は今年の5月17日に撮ったものですが、この写真の個体でいえば、体長は4.4mm。かなり小さい甲虫です。昨年は「原色日本甲虫図鑑IV」で調べ、「これはバラルリツツハムシかなと思うのですが、自信はありません。」とブログに出したら、通りすがりさんから、「バラルリツツハムシには、尾節板の形で区別するルリツツハムシと言うそっくりさんが居ます。バラルリツツハムシの尾節板は台形で、ルリツツハムシの尾節板は丸いと表現されています。」というコメントをいただきました。それから、1年越しになるのですが、先日、やっとその個体を採集することができました。



これは実体顕微鏡で撮影したもので、先ほどと同じ個体なのですが、青から黄緑に綺麗に色づいています。

このバラルリツツハムシとルリツツハムシの違いは、「原色日本甲虫図鑑IV」にも出ていますが、次のルリツツハムシの記載論文により詳しく載っています。

H. Takizawa, "A Review of the approximatus-Group of Cryptocephalus (Coleoptera, Chrysomelidae) in Japan, with Description of a New Species", Kontyu 43, 422 (1975). (ここからダウンロードできます)

この論文ではバラルリツツハムシ、ルリツツハムシのほか、ツヤルリツツハムシとキアシルリツツハムシの4種を扱っていますが、ツヤは北海道にのみ産し、キアシルリは脚が黄色いので除外すると、結局、バラルリとルリの2種の違いが問題になってきます。この論文には検索表も載っているので、その部分を抜き出すと以下のようになります。



挿入器に関する記述を除いています。ポイントは「原色日本甲虫図鑑IV」にも載っている尾節板の形の違いで見分けられそうです。そこで、その部分を見てみました。



これは甲虫を後ろから見たものですが、矢印で示した部分が尾節板です。何となく台形状をしています。雰囲気的にバラルリの方ですね。



これは斜め横から写したものです。尾節板はかなり強く湾曲しています。これもバラルリに書かれている内容と一致しています。この論文には尾節板の絵も描かれているので、その概要を描いてみました。


(H. Takizawa (1975)から改変して転載)

Aがバラルリ♂、Bがルリ♂です。♀も論文に載っていますが、両種とももう少し幅広い形になっています。確かに形がだいぶ違います。バラルリが台形状、ルリが半円という感じも分かります。さらに、検索表には出てこないのですが、Bのルリには縁に沿って深い溝があることになっています。一方、バラルリにはそんな溝はありません。また、横から見た尾節板の形が、バラルリでは先端1/3が湾曲し、ルリではほぼ平坦か弱く湾曲するというところも違います。これらのことを考えると、たぶん、上の写真の個体はバラルリの♂ではないかと推測されます。



試しに先ほどの論文の図でバラルリ♂の方を重ねてみました。かなりよく一致しています。こうやって重ねてみると、中央にある破線の横線と縁に沿って描かれた湾曲した細線は尾節板が湾曲していることを表しているようです。さらに、外縁に沿って書いた灰色の線は周囲が平圧されていることを表していいるのではと思いました。

とりあえず、昨年からの課題が解決されて嬉しく思っています。バラルリツツハムシはよく見かけるのですが、ついつい採集を怠っていました。昨年見つけた時期が4月下旬から5月下旬だったので、今年はもう無理かなと思っていたのですが、一匹採集できてよかったです。ルリツツハムシもいるといいのですけど・・・。

追記2018/01/26:「日本列島の甲虫全種目録 (2017年)」によると、バラルリツツハムシ Cryptocephalus approximatusとキアシルリハムシ Cryptocephalus fortunatusは互いにシノニムで、改めてキアシルリツツハムシ Cryptocephalus (Cryptocephalus) hyacinthinusと呼ばれているようです
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