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虫を調べる オドリバエ科ホソオドリバエ属

この間から、私のマンションに変わった感じの虫を見かけるようになりました。





こんな虫で、オドリバエの仲間です。♀ばかり見ていたので、何とか♂がいないかなと思って探していたらやっと♂を見つけました。それで、早速、捕まえて検索をしてみることにしました。オドリバエについては、「双翅目(ハエ目)昆虫の検索システムに関する研究」という三枝豊平氏の科研費の報告書(この題目で検索するとpdfがダウンロードできます)を見ると詳しい説明と検索表が載っています。これを使うとホソオドリバエ属 Rhamphomyiaは簡単に到達します。ですが、ここからが問題です。「原色昆虫大図鑑III」には、この属は11の亜属に分けられ、種の検索表まで載っているのですが、肝心の亜属の検索表がありません。その代り、各亜属の特徴が詳しく述べられています。

先日、それぞれの亜属のポイントとなる形質を書いた図を作ってみました。これには新しく定義された亜属も含めた12亜属を入れたのですが、実際に適用しようとすると、特定の亜属の排除はできるものの、亜属の特定には至りませんでした。それで、今回も迷宮入りかなと思ったのですが、一応、交尾器だけは写しておこうと思って顕微鏡で撮ったのが次の写真です。





上が横から、下は後ろから撮ったものです。各部の名称は適当につけているので間違っているかもしれません。で、この写真を「大図鑑」に載っているウルワシオドリバエ亜属 Calorhamphomyiaの交尾器の写真と比べてみると、ヤマトアシボソウルワシオドリバエ R. (C.) nipponensisの交尾器と実によく似ています。残念ながら記載論文が手に入らないので、これだとは断言はできないのですが、とりあえず、これかもしれないと思って、Calorhamphomyia亜属の特徴との比較や種の検索をして確かめてみることにしました。



これは「大図鑑」に載っているCalorhamphomyia亜属の共通特徴です。



そして、これは種の検索表で、ヤマトアシボソあたりを抜き書きしたものです。これらをいつものように調べていくことにしました。



まずは全体像ですが、翅長は7.0mm。これは小型種にあたるようで、㋑はOKです。②の触角は比較の問題なのでよく分かりません。㋐の後腿節の色はほぼ完全に黒なので、これもOKです。



次は中胸背の剛毛に関してですが、ここでちょっと引っかかりました。③の中剛毛ですが、この写真ではほとんど分からないくらいの、ごくごく短い剛毛がまばらに生えています。こんなに小さいと、とても中剛毛は2列だとは言えそうにありません。楽観的に解釈して、「稀に消失」に近いかなと思って進むことにしました。④の背中剛毛はその通りです。



次は翅脈です。上の写真の個体は残念ながら翅の後縁部分が破れていたので、これは同じ日に採集した別の個体のものです。⑤も⑥も書いてある通りです。ただ、ちょっと気になったのは、CuAとCuPの合流部分でした。その部分を拡大してみます。



丸で囲ったあたりです。右上からやってきたCuAは分岐点で大きく曲がります。一方、CuPも右上からやってきて二つは合流しその先は矢印Ⓑに続くはずなのですが、そこで途切れているみたいです。一方、翅縁まで達しているCuA+CuPは矢印Ⓐのところで突然現れているような感じに見えます。よく見ると、右上から来た凹脈から左下へ向かう凸脈に代わっているようにも見えます。ⒶとⒷはつながっていないみたいだし、いったい、どうなっているのかよく分かりませんでした。



次は後腿節に関するものですが、これは脚を腹側から写したものです。⑦には「前腹剛毛列を具え」と書いてあるのですが、見たところ前腹側には末端に近いところに2本か3本くらいしか生えていません。後腹剛毛列は見当たらないのでいいのですけど・・・。



次は後脛節ですが、これは㋒aに書いてある通りです。



最後は交尾器です。これは交尾器を横から見たところですが、ここで分からなかったのは「可動突起」という言葉です。文献を探したのですが、見つからないので、たぶん、これだろうと思って矢印で示してあります。この部分の基部で動きそうな感じがしたからです。各部の名称がこれで合っていると、⑧はOKとなり、⑨と⑩もOKになります。下の方に書いてある㋒aの「翼状突起」は何のことか分かりませんでした。ただ、同じ㋒aの項目にある後脛節についてはOKなので、たぶん、大丈夫かなと思いました。

ということで、かなり怪しいところが多いので、断言はできないのですが、一応、第一候補としてヤマトアシボソウルワシオドリバエが挙げられると思っています。「大図鑑」によると、この種は関西地方に分布するということなので、分布的にはぴったりです。Calorhamphomyia亜属の最大の特徴は可動突起があることなので、上の写真で示した部分が本当に可動かどうかがポイントになります。もう少し、調べてみます。

追記2017/05/13:Rhamphomyia (Calorhamphomyia) nipponensisの記載論文を見つけました。

R. Frey, "Neue pal paläarktische Rhamphomyia-Arten. III", Notulae Entomoloicae 31, 20 (1951). (ここから雑誌がそのままダウンロードできます)

ただ、内容はあっさりしていて、図もなく、しかもドイツ語です。とりあえず、中胸背の中剛毛が短く、1列だということが分かりました

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