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廊下のむし探検 蛾とカメムシ

廊下のむし探検 第901弾

最近は虫が多くなってきて、頑張って名前調べをしているのですが、晴れているとつい虫探しに出てしまうので、ちっとも追いつきません。まだ、連休中の虫の写真整理をしています。これは5月7日分のマンションの廊下での虫探しの結果です。



今日はまずこの虫から。奇妙な恰好なのですが、これでも蛾です。触角が途中まで黒くなっているのはこの部分に鱗粉があるからで、♀の特徴です。口吻を伸ばして盛んに床を探っています。以前、蝶や蛾の口吻でどうやって吸うのかというのを調べたことがありました。口吻はストローみたいなものではなくて、先端がスポンジ状のナノ構造になっていたのでしたね。このナノスポンジに水分が染み込んでいくので、床がちょっと湿っているだけで吸収できるという話でした。写真をよく見ると先端が二つに割れているようにも見えますが・・・。



接近して撮っていたら、いきなり飛び上がって私の手に止まりました。以前の私だったら蛾が怖くて、こんな小さな蛾でも全身の血の気が引いて、思わず叫び声を上げたかもしれませんが、ここ数年の進化でちっとも怖くありませんでした。むしろ可愛い感じさえしました。そういえば、近くで蛾がばたばたしていても最近はちっとも気にならなくなりました。変われば変わるものです。

さて、以前ならこれはたぶん、ケブカヒゲナガの♀でしょうで終わっていたのですが、最近は少しややこしくなっています。というのは、ケブカヒゲナガのほかに、外見上ほとんど差のないアトキケブカヒゲナガ、ムモンケブカヒゲナガが加わったからです。この辺の事情は以前書いたことがあるので、そちらを参照して下さい。

T. Hirowatari, "A taxonomic revision of the genus Adela Latreille (Lepidoptera, Adelidae) from Japan", Trans. lepid. Soc. Japan 48, 271 (1997). (ここからダウンロードできます)

その記載論文がこれです。以前、この論文を見て、♀を外見的に見分ける方法として、前翅長と触角の長さの比などを用いました。今回もそれを使ってみたいと思います。



測るのはこの部分です。つまり、前翅長、触角の黒色鱗粉部、それに触角長です。曲線の部分は折れ線近似を用い、ImageJというフリーソフトを用いて測定しました。触角も蛾本体も少し斜めになっていて、あまり正確ではないのですが、とりあえず、測ってみると次のようになりました。



触角長/前翅長と黒色鱗粉部/触角長はともに論文に載っていた数字を載せました。ただ、生態写真では、触角は立体的に曲がるし、前翅とは同一平面内でないことが多いので、両者を同時撮るのはなかなか難しいです。それで、以前にも使ったのですが、黒色鱗粉部/前翅長という指標を用意しました。これは(触角長/前翅長)×(黒色鱗粉部/触角長)から求めたものです。実際に撮影してみると、黒色鱗粉部と前翅は同一平面になることが多いので、比較的に楽に撮影できます。しかも、この3種で値が少しずつ違っています。とりあえず、上の写真で測った数字を入れてみました。論文に載っている値とは若干ずれていますが、ケブカヒゲナガ praepilosaにほぼ一致しています。この種は私の住む北摂でも採集されているようなので、以前と同様、この種でよいのではないかと思いました。



残りの蛾です。これはヨモギエダシャク



これはオレクギエダシャクか、ニセオレクギエダシャク。



それに、ソトシロオビナミシャク



これは外横線がはっきりしているので、ウスキヒメシャクではないかと思いました。



それにシバツトガ



チャハマキ



ゴマフリドクガ



これはちょっと迷ったのですが、たぶん、シタジロコブガではないかと思います。過去6月と10月に1匹ずつ見ています。蛾はとりあえずこんなものです。少しは出てきたのですが、やはり今年は少ないなという印象です。



これは何の幼虫か分かりませんが、とりあえず記録のために載せておきます。



次はカメムシです。大型のキマダラカメムシがまたやってきました。このマンションでは2014年の9月に初めて見てからはすっかり常連になってきました。



ヨコヅナサシガメもいました。



これはヤニサシガメかなと思ったのですが、一瞬、シマサシガメかも思って図鑑で確かめてみました。触角に白い紋があるのはヤニサシガメの方ですね。



天井にいたこのカメムシ。これもハラビロヘリカメムシとホシハラビロヘリカメムシという似た種がいます。これの見分け方も以前書いたことがあります。「日本原色カメムシ図鑑第3巻」の検索表によると、ハラビロは「触角第1節が短く、複眼を含む頭部の幅より短い」とあります。この写真で実際に測ってみると、触角第1節長さ/頭幅=1.35となりました。体が斜めになっているので正確ではないのですが、やはりホシハラビロヘリカメムシのようです。ハラビロヘリカメムシは触角第2、3節が扁平な三角形状になっているために、写真では太く写ることが多いのですが、これはそうでもないので、たぶん、大丈夫でしょう。





最後はこのアブラムシです。これもカメムシ目なので一緒に載せておきます。色や尾片の形からたぶん、いつも見ているソラマメヒゲナガアブラムシではないかと思いました。植物についているときに比べて腹部がずいぶん小さく見えます。2日ほど前に出先で図書館に入ったら、石川統、「昆虫を操るバクテリア」(平凡社、1994)という本があって、この中にアブラムシのことも書かれていました。なかなか面白い本で、帰ってから注文をしてしまいました。内容は腹の中にいる共生細菌の話ですが、その中にこんなことも書いてありました。うろ覚えで確かでないのですが・・・。有翅型は飛翔筋を発達させるために全エネルギーを費やすので、腹部が小さくなり胸部が大きくなります。目的とするところに着陸すると、もう飛ぶ能力はいらないので、飛翔筋を分解し産卵の準備に使います。さらに、栄養が不足すると、今度は共生細菌を分解して栄養を供給するという話です。つまり、飛翔筋↔産卵器官↔共生細菌の三者の間でエネルギーの融通をしているというのです。面白いなと思いました。また、本が届いたらちゃんと読んでみます。
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