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コケの検索に挑戦 ヒナノハイゴケ科?

昨年から、家の近くの公園で虫探しをしています。ツツジの葉上や木の幹などをじっと見て、動くものがないか探していきます。先月の25日にも同じようにシラカシの幹を探していると、あちこちでゆらゆらと動くものがありました。



どうやらコケみたいです。コケがかぶっていた帽子を取り、これに糸のようなものがついているので、飛んで行かずに風でゆらゆら動いていたのです。



よく見ると、こんなコケが幹いっぱいについていました。左上にアリが見えますが、このアリが3mm程度なので、大体の大きさが分かるかもしれません。さらによく見ると、帽子をかぶっているのやら、かぶっていなくて中から胞子が出ているものやらいろいろあります。



ちょっとまとめてみるとこんな感じになります。家に置いてあった「原色日本蘚苔類図鑑」を参考にして各部に名称をつけてみました。写真Aのようにコケ本体から飛び出しているのが胞子体で、その先の膨らんでいる部分が、風でゆらゆら動いていたのはがかぶっていた帽、帽が外れるとその下には蓋があり、蓋が外れると歯が見え、その歯が開くと胞子が中から出てくるということになっているみたいです。ちょっと各部を拡大してみました。



これはが帽をかぶっているところ。



外れた帽はこんな感じです。先端に糸みたいなものが見えています。これで本体と結びついているので、風が吹いても吹き飛ばないのです。



採集してきたコケに蓋がついたものがなかったので、その蓋が取れたものを上から写しました。の先端には口環があり、その中に歯があります。数えてみると16個あるみたいです。の周りには雌苞葉がまとわりつくようについています。



これは横から撮ったものです。



最後は歯が開いて中から胞子が出てきたところです。みかけの歯は全部で8個しかないので、歯2個ずつがくっついているみたいです。

これらの写真と手元にあるコケの図鑑の写真とを見比べてみました。

藤井久子、「特徴がよくわかるコケ図鑑」、家の光協会 (2017).
中村俊彦ほか、「校庭のコケ」、全国農村教育協会 (2002).

上の本はこの間本屋で見つけて買ったものです。写真の絵合わせでヒナノハイゴケ科のヒナノハイゴケに似ているなと思いました。ほかに似たのが見つからなかったので、これは一度検索をしてみようと思い立ちました。

検索表は昔々に買った次の本を使ってみました。

関根雄次、「日本産蘚類の検索」、豊饒書館 (1982).

この本、検索表は充実しているのですが、絵が全然ないので、どうやって検索していけばよいのか全く分からなかった本で、本棚で長い間眠っていました。最近、検索にはだいぶ慣れてきたので、一度試してみようと思って本棚から取り出してきました。今回は行先がだいたい分かっているので、何とかなるかなと思って気軽に検索してみました。



この検索表は最初に大まかに11のグループに分け、さらに検索する仕組みになっています。このコケではFというグループになったので、まずはそこまで調べていきます。

①の第1次茎やら第2次茎が何を指すかよく分からないのですが、とにかく、茎が立ってその頂端に生殖器官であるがあるというのは確かなので、とりあえず頂蘚類というのは間違いなさそう。次からは各部の写真を見て確かめていきます。検索表を見ると、とにかく葉に関するものばかりです。



取ってきたコケを水に浸けます。そうすると、葉はさっと開いてくるので、それをピンセットを左右に手にもってはがしていきます。はがした葉をスライドガラス上に載せ、カバーガラスで挟みました。中心に中肋というのがあり、それが葉の先端にまで伸びています。基部のあたりを翼部というみたいですが、具体的にどこをさしているのかよく分かりません。①については葉の縁に葉舷という特殊な細胞が並んでいることがあるのですが、これは見た通り何もありません。③の中肋は明確にあります。葉の先端は尖っていますが、長く伸びて茫状になってはいません。最後の⑥は葉の周囲に歯がないので、全辺(全縁?)ということですべてOKということになります。



これは葉の中央部を拡大したものです。細胞が並んでいることが分かります。これを葉身細胞と呼ぶようです。⑤はこの形を問題にしています。細胞の形は葉の基部では長細くなるのですが、中央部では挿入図のように丸っぽい形をしています。これでFというグループになりました。

実は、最初に見当をつけたヒナノハイゴケは中肋がなく、葉先が茫状に尖っていて、形が明らかに違います。したがって、違うグループになるのですが、とにかく検索を続けます。



Fのグループの検索を続けていくと、どうやら同じヒナノハイゴケ科のサヤゴケ属になってしいまいました。その過程を見ていきます。またしても、葉ばかりを調べます。



葉の全体の形を問題にしています。これは披針形ないし卵状披針形で、先端がやや尖るという感じなので、⑧~⑩まではOKでしょう。⑪はそういわれるとそうかもしれないという感じです。



葉身細胞の形に関するもので、丸みを帯びた四角という感じですが、それを選ぶと⑪になります。最後の厚膜、厚角というのはよく分かりませんが、もう一つの項目である翼細胞が分化していないというのでOKだと思いました。



これはその葉の基部を拡大したものです。翼細胞がどんなものか分からないので、何とも言えませんが、特に変わったものは見られません。



これは先端部分の拡大です。中肋はほとんど先端にまで達しています。これを「頂達」というのでしょうね。若干見ていない項目もあります。例えば、「葉は乾いても縮れない」とか、「葉は乾くと茎に接着する」という部分ですなどがそうですが、最初の写真を見て判断しました。これでサヤゴケ属になりました。

最後は種の検索です。



上の2行は「日本産蘚類の検索」に書いてあった検索です。下の2行は「原色日本蘚苔類図鑑」に書いてあった科から種に至る検索です。いずれも今まで書いてあったことで確かめられます。㋐の雌苞葉については上から7番目の写真で、雌苞葉が茎にまとわりついている感じを表しているのだと思いました。

ということで、初めての検索なので甚だ怪しいのですが、ヒナノハイゴケ科サヤゴケ属のサヤゴケに達しました。まるで見当違いをやっているのではないかと心配なのですけど・・・。

最後に検索に用いなかった写真も載せておきます。



の先端を生物顕微鏡で拡大したものですが、周囲がちょっと汚くなってしまいました。



これは歯が破れかけているところです。これを見ると、2つが対になって破れているのではないようですけど・・・。



これは上に載せたのと同じの写真かな。胞子が出てきたところです。

今回、コケの検索を初めて試してみました。たまたまだったのかもしれませんが、ほとんど葉の性質ばかりを見ていたのには驚きました。野外で撮るときはどうしても胞子体の奇妙な姿に気を取られ、そればかり写してくるのですが、葉が重要だったのですね。これからもときどき検索を試してみようと思います。
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