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虫を調べる エリユスリカ属?

冬の間に見ることのできた虫がユスリカばっかりだったので、ときどき採集しては冷凍庫にしまっていました。冷凍庫もいっぱいになってきたので、少し整理しようかと思って、先日、一匹だけ取り出して調べ始めたのですが、これが難しい。迷いに迷った挙句、結局、エリユスリカ亜科エリユスリカ属という結論に達しました。間違っている可能性も高いのですが・・・。いつまでも関わっているわけにもいかないので、とりあえず、今まで調べてきたことをまとめておきたいと思います。



生態写真はどれがどれだか分からなくなっているので、この写真で替えることにします。体が曲がっていて体長をどう測っていいのか分からないので、スケールを入れておきました。いずれにしても4mmほどの大きさです。触角がふさふさなので♂です。ダニが2匹もくっついているのがちょっと気になりますね。(追記2017/03/31:通りすがりさんから、「ダニは幼虫時代から寄生しているミズダニでしょう。ユスリカでさえ手に負えないのに、ダニまでは…ですが」というコメントをいただきました。ミズダニで検索すると、今村泰二氏の名前が出てきて、国内外1500種以上の標本がミュージアムパーク茨城県自然博物館に所蔵されているそうです。どこにあるのかなと思ったら、野田、常総、坂東の中間くらいの菅生沼の横みたいです。この間、野田までは行ったのですが・・・。でも、ミズダニに手を出すのはだいぶ先のことになりそう。脚の数が多いし・・・)



まずは亜科の検索で、これは「日本産水生昆虫」に載っている検索表を用いました。その結果、容易にエリユスリカ亜科になりました。まず、これを確かめていきたいと思います。



最初は翅脈です。写真があまりうまく撮れなかったのですが、MCu横脈がないこと、R2+3脈があることは何とか分かります。



この写真では後盾板の中央に縦筋が入っていることを確かめます。



次は前脚脛節と第1跗節の長さ比較です。確かに脛節の方が長そうです。



最後は背側から撮った腹部末端です。把握器が折れ曲がっていることがよく分かります。これでエリユスリカ亜科であることが確かめられました。でも、エリユスリカ亜科の中には70属ほどが含まれています。実はこれからが大変なのです。



次は属の検索です。何度も最初から検索を試みたのですが、なかなか納得ができず、ウロウロしていました。結局、以前にも到達したエリユスリカ属にしたのですが、ちょっと怪しいです。それをこれから調べていきたいと思います。上の各項目がそれなのですが、赤字は写真がうまく撮れなかったので該当する写真がないことを示しています。でも、たぶん大丈夫だと思います。



最初は盾板です。盾板の中央に縦筋があるので、⑦の中央部の溝についてはだいぶ迷ったのですが、かなり浅い筋なので溝とまではいかないだろうと思ってOKにしました。⑧は大丈夫でしょう。⑯の中刺毛は中央の縦筋の両側に生える刺毛なのですが、方向を変えて何度も調べたのですが、どうもありそうにありません。それで、これもOKとしました。



次は胸部の側面です。⑤の複眼の毛は、それ自身を撮った写真がなかったので、この写真に項目を加えておきました。無毛でたぶん大丈夫だと思います。⑧の中胸側板と後胸側板はどれを指すのかよく分からなかたので、MNDで調べてみました。anepisternumとkatepisternumが中胸側板のことで、epimeronが後胸側板かなと思ったのですが、はっきりはしません。いずれにしても刺毛はなさそうです。



さっきと同じ翅脈の写真です。④も⑥もOKだと思いました。



これは翅の基部を写したものです。第1翅基鱗片には何本か刺毛が見えます。



これは後脚脛節末端ですが、端刺と櫛状刺列が見えます。



こちらは中脚脛節末端です。櫛状刺列はないようです。



これは後脚脛節末端の刺を拡大したものです。Aは透過照明を少しと上からの照明で撮ったもの、Bは主に透過照明で撮ったものです。両方ともあまりうまく撮れなかったのですが、この刺の表面にある小さな刺列は開いていないのではと思いました。



次は交尾器を背側から撮ったものです。細長い尾針があります。尾針は途中で小さな段差があるような感じで、また、側面に毛が生えています。



これは腹側からの写真です。⑰の生殖中突起が上底節突起だとすると、この写真のように小さな突起が見えています。実はこれが一番迷いました。小さいので、⑰のもう一方の項目の「ほとんど認められず、あってもごく僅かに膨らむ程度」かもと思ったのです。そうなると、最終的にはニセテンマクエリユスリカ属になるのですが、途中の過程でやや疑問になるところもあって、結局、「上底節突起は明瞭で、よく発達する」というエリユスリカ属の方を選んでしまいました。ちょっと怪しいところです。「日本のユスリカ」に載っているエリユスリカ属の交尾器の図と比較したのですが、似たのがなくて、種の方はちょっと保留です。

ついでに写した写真を載せておきます。



実は、今回は、まず、試料を解凍した直後に空気中で一通り撮影し、その後、消毒用アルコールに入れて写しました。この写真はさっきの交尾器の腹側からの写真と同じですが、空気中で撮った写真です。よりリアルに写っている感じです。



次は触角です。ユスリカではよく触角鞭節は○○分環節という書き方がされるのですが、この数え方がずっと分かりませんでした。でも、「日本のユスリカ」に載っている図を参考にし、さらに、「原色昆虫大図鑑III」に載っていた「触角比:触角鞭節末端環節の長さ/末端環節を除いた残りの鞭節の長さ」という記述から、たぶん、この写真のように分環節に番号につければよいだろうと思いました。また、触角比にはAとBの長さを測ればよいみたいです。合っているかなぁ~。

追記2017/03/31:che*rki**_y_nさんから、「エリユスリカ属で合ってますよ。この種がニセヒロバネエリユスリカ (Orthocladius excsavatus Brundin)ですよ。この種は下底節突起の背面側がかなり細くなってるのでニセヒロバネエリユスリカと判断できます。図説日本のユスリカのP121図63のBと同じになってますよ。」というコメントをいただきました。これは違うのかなと思っていたのですが、意外や意外、ニセヒロバネエリユスリカでしたか。もう少し修行を積まないといけませんね。コメント、どうも有難うございました

ユスリカの検索は難しいのですが、まぁ、少しずつは進展しているかもしれませんね。でも、冷凍庫にはまだまだユスリカの試料が入っています。
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ダニは幼虫時代から寄生しているミズダニでしょう。
ユスリカでさえ手に負えないのに、ダニまでは…ですが(^_^;)

先日見た多数のダニに寄生されたトゲハネバエ(Heleomyza?)は、肉眼では確認できない無数のダニの幼体まで…

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ミズダニで検索すると、今村泰二氏の名前が出てきて、国内外1500種以上の標本がミュージアムパーク茨城県自然博物館に所蔵されているそうです。どこにあるのかなと思ったら、野田、常総、坂東の中間くらいの菅生沼の横みたいです。この間、野田までは行ったのですが・・・。でも、ミズダニに手を出すのはだいぶ先のことになりそう。脚の数が多いし・・・。

ユスリカは少し見方が分かってきて、面白くなってきました。昨日はニセヒロバネエリユスリカらしい個体を見つけて顕微鏡写真を撮っていました。

No title

エリユスリカ属で合ってますよ☆

No title

che*rki**_y_nさん

これは嬉しいコメントでした。だいぶ怪しいかなと思っていたので・・・。種までは分からないでしょうね。

ニセヒロバネエリユスリカらしい個体の顕微鏡写真を撮りました。明日ぐらいにブログに出せると思うので、また、お時間があれば見てください。いつもどうも有難うございました。

No title

この種がニセヒロバネエリユスリカ (Orthocladius excsavatus Brundin)ですよ(笑)

No title

これは意外や意外。そうなのですか。でも、私の悩みをかなり深くしてしまいました。先ほどブログに書いたので、そちらを見ていただけれが嬉しいのですが・・・。小盾板に刺毛列が2列でもヒロバネエリユスリカと見た方がよさそうですか。

No title

この種は下底節突起の背面側がかなり細くなってるのでニセヒロバネエリユスリカと判断できます。
図説日本のユスリカのP121図63のBと同じになってますよ。

No title

なるほど。確かにそのように見ると似ている感じです。

恐れ入りますが、
http://blogs.yahoo.co.jp/fushionotori1/55708390.html
こちらに出した個体はヒロバネエリユスリカと思ったらよいでしょうか。小盾板の刺毛列が2列というところが引っかかるのですが・・・。いろいろ勝手なお願いをして申し訳ありません。

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廊下の虫さんが、ここで挙げている個体と上記のhttp://………の個体で、別の種だろうと考えているポイントを教えて下さったら、僕なりに回答が出来ると思います☆

No title

素人の疑問にいつも丁寧にお答えいただき、大変感謝しています。何分にも私が数をあたっていないことが最大の問題だと思っています。

この個体を最初に見たとき、以前調べたヒロバネとは違うなと思ったのは次の点です。
1)把握器の形状が途中で太くならず、一定の太さで曲がっていて、先端部分が尖っていない(?)こと
2)左右の上底節突起が一見、はっきりしないで、左右が合わさって黒い三角形状の山に見えたこと(ヒロバネは左右の上底節突起が大きく、そんな印象を持ちませんでした)
です。この2点で、たぶん、ヒロバネとは全く違う別種だなと思ってしまいました(だから、ニセヒロバネだとも思いませんでした)。

No title

逆にhttp://………の個体がニセヒロバネかもと思ったのは、

1)把握器の形状が以前調べたヒロバネとよく似ているのですが、下底節突起の背面突起の形状がはじめかなり細長く見えたこと(これは後で背面突起の前側に色がついていて透明部分を見落としていたためだと分かりました。でも、全体的に以前より細いような印象を受けました)
2)小盾板の刺毛列が2列だったこと

です。これらからニセヒロバネで間違いないなと思って(特に2)から)、最後に確認のため、AR(antenna ratioのことでしょうか?)を測ってみたら違っていたので、かなり混乱してしまいました。

でも、たぶん、このような私の第一印象の違いは個体変異の範囲内なのかもしれないなと今では思っています。いろいろとコメントをいただき、その都度、じっくり見直していると、私にとってはたいへん良い勉強になっています。お忙しい中、お答えいただき、たいへん感謝しております。
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