FC2ブログ

ショウジョウバエの額眼縁剛毛

この間からショウジョウバエ科のハエを2種調べて、昨日、もう1種のルリセダカショウジョウバエを調べてみました。その途中で混乱してきたのでちょっとまとめて書いておきます。ショウジョウバエの検索では額眼縁剛毛の強さと配置が重要になります。この剛毛は複眼のすぐ内側の前額眼縁板から生えています。



これは以前お見せしたショウジョウバエの頭部を斜めから見たところです。この上顎眼縁剛毛というのがそれです。3本ある剛毛のうち、後ろの2本は後ろ向けに傾いており、前の1本が前向きに傾いています。このとき、真ん中の剛毛と前の剛毛の位置関係が重要で、前向きの剛毛がやや内側に入っていることを確かめます。さらに、剛毛の強さは圧倒的に前向きの剛毛の方が強いです。こんなことを手がかりに属の検索をしていきます。

昨日、ルリセダカショウジョウバエらしい個体の検索をしていて剛毛の強さについてちょっと自信がなくなってしまいました。ルリセダカショウジョウバエはLiodrosophila属に入っているのですが、Manual of Nearctic Diptera Vol. 2 (1987). (ここからダウンロードできます)にはこの属が含まれていません。それで、次の論文の検索表を用いることにしました。

T. Okada, "Systematic study of Drosophilidae and allied families of Japan", Gihodo, Tokyo (1956). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

途中までを抜粋して訳してみると次のようになります。



最初の1と2はショウジョウバエ科に至る検索なので特に問題はありません。また、4も特に問題にはなりません。問題は9です。この項目では中間の後傾する額眼縁剛毛の強さについて書かれています。つまり、微毛状ならば最終的にLiodrosophila属には至るのですが、そうでないとLiodrosophila属には進まず、Scaptomyza属などになってしまいます。以前出したショウジョウバエも、昨日出したショウジョウバエも共にScaptomyza属かなと思われるので、微毛状でない方になります。それで、その中間の後傾する額眼縁剛毛を比べてみました。



まず、ルリセダカショウジョウバエの方です。額眼縁剛毛には論文に従って後ろから順にorb1、orb2、orb3という名前を付けています。また、検索の項目4に出てくるvtiは内頭頂剛毛のことです。この写真では焦点を合わせる範囲が中途半端だったので途中で像が消えてしまいました。いずれにしても、orb2はかなり短く、また、剛毛の太さも細いので、これを微毛状だというのでしょう。



一方、これはScaptomyza属だと思われるハエです。これもorb2はかなり短いので、長さだけから言えば、上のLiodrosophila属と一見すると区別がつかないくらいなのですが、両者を比較すると太さは明らかに太く、従って、こちらは微毛状ではないのでしょう。確かにこうやって比べてみると両者の違いが何となく分かりますね。いずれにしても、この両者の見極めが上の検索表では重要になります。

細かい内容なのですが、検索するときにうっかり道を間違えるととんでもない方向に進んでしまうのでこんなことが重要になります。それで、蛇足ながらちょっとまとめておきました。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

廊下のむし

Author:廊下のむし

カテゴリ
リンク
最新記事
最新コメント
カウンター
月別アーカイブ