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虫を調べる ミギワバエ科

最近は「廊下のむし探検」はちょっとお休みで、4月の写真展に備えての花の写真の整理と、冷凍庫に入れっぱなしになっている虫の同定を行うことにしています。それで、最近はちっちゃなハエばかり調べているのですが、今の時期に調べておかないとこれから虫が多くなってきたら、とてもじゃないけど時間が取れないので、と思って頑張っています。



今日はこのハエです。体長はわずか1.7mm。2月4日に見たのですが、一応、捕まえて冷凍庫に入れていました。通りすがりさんから指摘していただいたのですが、これは以前にも見ていて、その時はミギワバエ科に同定していました。このときはあまりにも小さくて細部まではっきりしなかったのですが、その時から2年。機材は変わっていないのですが、少しは慣れてきたので、もう一度、きちんと調べてみることにしました。今回は属まで行くつもりです。

検索は例によって、「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表でまず行い、その後、「新訂 原色昆虫大図鑑III」に載っている検索表を用いて確かめてみました。その結果、ちょっと怪しげなところもあるのですが、一応、ミギワバエ科になりました。その過程をまた例によって写真で確かめていこうと思います。



この間のショウジョウバエの検索と同様、今回も無弁翅類から出発します。それでも、14項目も調べないといけません。また、例によって部位別に見ていきます。



まずは全体像です。こんなハエです。この写真でついでにいくつか検索項目をクリアしようと思います。まず、⑥の第1跗節が膨れていないので、フンコバエ科を除外します。次の⑫と⑭はともに脛節の亜末端剛毛に関するものですが、調べてみるとなかったので、一応、この写真に載せておきます。この写真ではよく分かりませんが・・・。



次は頭部を横から見た写真です。口吻は太くて短いということと、触角梗節が第3節より短いというのはいつもの通りでOKです。次の⑪の鼻状の突起ですが、白矢印の部分は鼻状にも見えます。これについては以前も迷ったことがありました。そのとき、ケシショウジョウバエ科に関する論文を見つけて、その中の写真から判断しました。

W. N. Mathis and A. Freidberg, African Invertebrates 53, 231 (2012). (ここからpdfがダウンロードできます)

この論文です。写真を見るとケシショウジョウバエ科の場合は本当に鼻みたいな突起があるので、やはりこの個体のは鼻ではないみたいです。次の⑭というがまさにこの個体の形状を表しているのかもしれません。



次は顔の正面からの写真です。こうやって見ると、確かに鼻状の突起はありません。この写真では触角刺毛が背面だけ分枝を出すということを見るのですが、実は、基部の1/3~1/2くらいは腹面にも細かい毛がありました。でも、先端がそうなので、たぶん、いいのでしょう。



次は頭部の背面からです。③に書いてあるように単眼はあります。また、⑨で示すように、額眼縁剛毛は内傾はおろか極めて短い刺毛を除いて長い剛毛はありませんでした。



次は頭部を後方から撮ったものです。単眼のところに1対の長い単眼剛毛が生えています。その後ろに極めて見にくいのですが、白矢印の先に1対の小さな刺毛が垂直に生えています。これがたぶん、偽後単眼剛毛ではないかと思いました。もっとも、離反的というよりは平行的なのですけど・・・。



次は翅脈です。翅脈に関する項目は多いので、二つに分けました。この写真ではSc脈に注目します。これの先端が直角に曲がっていないというのが⑦です。これはミバエ科を除外する項目です。次は、その先端がどうなっているかということですが、ともかく、前縁まで達していないので不完全ということになります。先がR1に合流しているのか途切れているのか、この写真ではちょっと分かりませんが・・・。さらに、⑬はsc切目とh切目の二つを持つということです。R2+3の長さについてはヒメホソバエ科との比較です。ヒメホソバエ科はR2+3が大変短くて翅の半分にも満たないので、それに比べればこの個体の場合は通常の長さということになります。



次は、第2基室+中室とCuA脈、cua室に関してです。まず、第2基室と中室は間違いなく合体しています。⑩はその場合でも翅室の後縁脈、つまり、M3+4脈は微小な湾曲を持たないという内容です。これはキモグリバエ科を除外する項目で、微小な湾曲というのは以前、キモグリバエ科で示したことがありました。少なくともそのような湾曲はないようです。次のCuA脈とcua室については迷いました。というのは⑫→で示すところに小さな翅室と翅脈のようなものが見えるからです。検索項目には長かったので書かなかったのですが、もし、これらが辛うじて認められるときには二つの切目を持たないという付記がついていたので迷ってしまったのです。そこで、この部分を拡大してみました。



これはその写真なのですが、通常のハエだと、M3+4脈は基部に向かうとbmとdmを分ける脈を通ってM1+2と合流します。従って、M3+4脈を基部側に延長した部分はCuA脈の基部と解釈します。CuA脈は翅縁に向かうと途中で後縁側に曲がり、黒矢印のある部分を通ってCuP脈と合流し、そのまま今度は翅縁に向かってCu融合脈(CuA+CuP脈)となります。それと比較すると、CuP脈は確かに存在するのですが、CuAが後縁側に曲がる部分が全く見えません。従って、黒矢印の部分の白い筋はCuA脈と解釈するよりは単なる翅の折り目と解釈した方がよさそうです。そうなると、この部分のCuA脈はなく、したがって、閉じたcua室もないことになります。これが上の項目の内容ではないかと思いました。多分に先入観を持って判断しているので、怪しいのですけど・・・。

いずれにしても、これでミギワバエ科にいたるすべての項目を確認したので、ミギワバエ科という結論になるのですが、若干の怪しいところ(1)偽後単眼剛毛の向き、2)CuAとcuaの解釈)があったので、ひょっとしたら間違っているかもしれません。「新訂 原色昆虫大図鑑III」の検索表は絵解きでなく、文章だけから判断しなければいけないので、慣れないと使いこなすのがなかなか大変です。次は属の検索なのですが、長くなったので次回に回します。
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