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虫を調べる ショウジョウバエ科

先日、ちょっと暖かかったので、マンションの廊下を歩いてみたら、小さなハエを見つけました。



こんなハエです。フラッシュをたくとその瞬間に移動するので、写真がうまく撮れなかったのですが、体長2.3mmの小さなハエです。吸虫管で捕まえてそのまま冷凍庫に入れておいたのですが、昨日、取り出して、「絵解きで調べる昆虫」と「新訂 原色昆虫大図鑑III」に載っている検索表で調べてみました。その結果、ともにショウジョウバエ科になりました。それでいつものようにその検索過程を顕微鏡写真で確かめていきたいと思います。

まずは簡単な「絵解きで調べる昆虫」の方から。



検索過程を見やすいように図示してみました。たぶん、無弁翅類は間違いないと思ったので、そこから書いています。「絵解きで調べる昆虫」の検索表は文字通り絵がついているので大変やりやすくなっています。その代り、若干、はっきりしないところもあって不安になるので、いつも「新訂 原色昆虫大図鑑III」の検索表で検索をやり直しています。

上の㋐から㋘までの9項目を確かめいきたいと思います。9項目のうち、㋐から㋔までは翅脈に関するもの、㋕から㋘は頭部の剛毛と触角に関するものなので、結果的には2枚の写真だけで確かめることができます。



まずは翅脈から。㋐は見るとすぐに分かります。㋑と㋒は翅の前縁にある翅脈の切れ目に関するものです。このハエはこの写真で示したようにsc切目とh切目という二つの切れ目を持っています。ハエは翅を羽ばたくとき、下向けには翅をピンと伸ばし、翅を上向きには折り曲げて抵抗を減らすのですが、切目はその折り目に相当しています。次は㋓と㋔ですが、Sc脈というのは翅の基部近くにある短い翅脈です。この翅脈はよく見ると、途中で途切れています。それが㋔の意味です。また、途切れているので、最後が直角に曲がることがありません。これが㋓です。



次は頭部を斜めから撮った写真です。㋕と㋖はすぐに分かると思います。次の㋗の下額眼縁剛毛については説明が必要です。複眼と複眼の間を前額といいますが、そのうち複眼の縁に沿ってある固い部分を前額眼縁板と呼び、そこに生える毛を額眼縁剛毛といいます。単眼の載っている三角形の単眼瘤の後側については頭頂剛毛と呼ばれています。それより前方にある剛毛のうち、上にあるものを上額眼縁剛毛、下にあるものを下額眼縁剛毛と呼んでいます。このハエでは下額眼縁剛毛がないので、それが㋗です。さらに、上額眼縁剛毛をよく見ると、後ろ向けに生えた太目の剛毛と細目の剛毛、さらに、前向きに生えた太目の剛毛の計3本が生えています。㋘は前向きの剛毛が後ろ向けの剛毛より前側で、さらに、内側に生えているかどうかということです。確かにそのように生えているので、これでショウジョウバエ科ということになります。

次に「原色昆虫大図鑑III」の検索表で同じことを確かめていきます。



先ほどは9項目だったのですが、こちらは16項目もあります。でも、めげずに調べていきます。今度は見るところが検索項目毎にあちこちに飛ぶので、部位別に見ていきたいと思います。



まずは全体像です。かなり脚が長い種だなという感じです。この写真では⑥の後脚跗節第1節が膨らんでいないことを見ます。これでフンコバエ科を除外します。



これはもうちょっと拡大したものです。口吻は太いということもないのですが、それほど長くないので、②はOKでしょう。これでメバエ科を除外します。



次は顔面を正面から見たものです。先ほどの②の口吻が正面から見えています。さらに、触角第3節が梗節より長いことも分かります。④はシュモクバエ科を除外する項目です。このハエでは複眼に特に異常はありません。次の⑤はヒゲブトコバエ科を除外する項目で、このハエでは触角には刺毛が発達しています。最後の⑪はケシショウジョウバエ科を見ないと何とも言えませんが、特に異常を感じないのでOKとします。



これは先ほども出した写真ですが、③と⑬はすぐに分かり、⑯の前半は先ほど「絵解きで調べる昆虫」で確かめました。⑨は額眼縁剛毛は後ろ向きか前向きで内向きがないことです。⑯の後半は触角に長い分枝が主に背面に出ていることを見ます。



次は翅脈です。たくさんの項目がありますが、⑦と⑧は先ほど説明しました。⑪は第2基室(bm)と中室(dm)に関するものです。かなり注意してみたのですが、この二つの翅室を分ける横脈がよく分かりませんでした。それで、写真ではdm+bmと書いています。いずれにしてもM3+4脈にはキモグリバエ科にあるような異常な湾曲がありません。それで⑩はOKとします。⑪はすぐに分かります。



これは翅の基部の写真です。CuAと書いた脈で半分囲まれるようにcua室があります。この翅室は翅脈に完全には囲まれてはいないので、「部分的に閉ざされる」ということになります。また、先ほどdmとbmの境目ですが、CuA脈を上に伸ばしたところで白い筋が入っているあたりに横脈があればあるはずです。もしあれば、第2基室と中室は分離するということになりますが、あるのかないのかよく分かりません。白い筋は翅の折れ目だと思うのですが・・・。また、⑯の肩切目は写真に示した通りです。



これは中脚の脛節末端を示したものです。真ん中が背面なのですが、末端近くに背側に伸びる短い剛毛があります。これがたぶん、亜末端剛毛だと思われます。



最後は胸部側面の写真です。上前側板は矢印で示したところです。ここはよく後縁に沿って剛毛列が見られるところなのですが、剛毛などは生えていません。

ということで、翅の第2基室と中室についてはちょっと不明確だったのですが、一応、すべての項目を確かめたので、たぶん、ショウジョウバエ科で間違いないと思います。ショウジョウバエ科は触角に長い枝のような分枝が生えていることや、額眼縁剛毛の配置などに特徴があるので、おそらく大丈夫ではないかと思います。

これから先の属の検索もやってみたのですが、長くなったので次回に回します。
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