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虫を調べる フンコバエ科Crumomyia属

1月25日に採集したハエの検索をしてみました。



このハエです。このハエには後脚跗節第1節が膨れるという特徴から、フンコバエ科だろうとすぐに分かりました。実は以前にもこの科のハエを調べてみたことがありました。その時からもう2年も経っているので、今回は復習のつもりで調べてみました。また、今回の個体は腿節に黄褐色の帯がないので別種かもしれないという楽しみもあって・・・。

検索にはいつもの通り、「新訂 原色昆虫大図鑑III」(以下、「大図鑑」と書きます)に載っている検索表を用いました。フンコバエ科に至る過程を書いてみると次のようになります。



これは短角亜目から始めていますが、無弁翅類から始めてもよかったかもしれません。これをいつものように写真で確かめていきます。ただ、④から⑦までは特定の科を除外する項目なので、それほど詳しく見なくてもよいかもしれません。まず、短角亜目であることは触角が短くて、その先に触角刺毛が出ていることから上の写真でもすぐに分かります。



これは頭部の写真です。これから②、⑤、⑥、⑦が確かめられます。



これは頭部を上から撮ったものですが、触角第3節が梗節より大きいことが分かります。また、書かなかったのですが、梗節の背側に縦筋が入っていないので、無弁翅類であることも確かめられます。



これは口吻を写したものです。太くて短いというのがよく分かると思います。黄色の部分が妙に生々しいですね。これは唇弁で舐める部分だと思います。



これは後脚を写したものですが、跗節第1節が少し膨れていることが分かります。球形というよりは楕円形ですけど・・・。



最後は翅脈です。Sc脈の先端が写らなかったのですが、途中で不明瞭になります。また、M3+4脈は翅縁に達せず途中で止まっています。この辺は顕著な特徴ですね。なお、翅脈の名称は「大図鑑」の図に従って書きました。これですべての項目を確かめたので、フンコバエ科でよいのではないかと思います。なお、フンコバエ科はハヤトビバエ科とも呼ばれているようで、最初、「絵解きで調べる昆虫」で検索したとき、フンコバエ科がないのでおやっと思ったのですが、よく見るとハヤトビバエ科は載っていました。

次は属への検索です。これにはManual of Nearctic Diptera, vol. 2(ここからpdfをダウンロード可能)というカナダで出されている本を利用しました。これに載っている検索表に日本産の属が網羅されているかなどは確かめていないのですが、とりあえずやってみたら意外に簡単にCrumomyia属になったので、たぶん、大丈夫だろうと勝手に思っています。その過程を示すと次のようになります。



一応、念のため、⑫bにCrumomyia属以外だった場合も載せています。まず、⑨は自明なので、⑩~⑫bを見ていきたいと思います。なお、翅脈の名称を「大図鑑」に合わせるために、項目の中の名称も変えて載せています。さらに、原文は英語で、私の拙い語学力で翻訳しているので、違っているところもあるかと思います。そのつもりで見ていただけると幸いです。



まずは先ほども出た翅脈から。翅室の名称も入れたので、たぶん、見るとすぐに分かると思います。



次は胸部側面の写真ですが、下前側板と上前側板に毛がないことを確かめます。下前側板が矢印の部分でよいのかちょっと迷ったのですが、いずれにしても毛が生えていないので大丈夫だと思います。



後で、必要になったときに中胸盾板の刺毛を調べるために撮った写真です。盾板も小盾板(矢印)にも剛毛が生えています。



先ほども出した写真ですが、触角刺毛に細かい毛が生えていることが分かると思います。



これは鬚刺毛という口の脇に生えている剛毛と觀刺毛という頬に生えている剛毛の長さ比較です。写真でははっきりとは分からないのですが、折れ線近似で毛に沿って長さを測ってみると、觀刺毛/鬚刺毛=~0.51になったので、まぁ、よいのではと思いました。



最後は複眼の後ろと単眼の後ろの毛を示したもので矢印で示すように毛がたくさん生えています。たぶん、これのことだと思います。ということで⑩の貯精嚢と⑫aの中胸脛節の前背剛毛を除いて写真で示すことができました。中胸脛節の前背剛毛は数えると4本あるようですが、脛節に毛がいっぱい生えていて写真に撮るとどうもはっきりしないので省略しました。また、貯精嚢は?です。

ということで、たぶん、Crumomyia属で合っているのではと思っています。「日本昆虫目録第8巻」によると、この属にはannulus(マダラオオ)、nipponica(ヤマトオオ)、peishulensis(クロツヤオオ)という3種が載っています。このうち、本州産は前2種なのですが、「一寸のハエにも五分の大和魂・改」の記事によると、annulusには「腿節2/3のところに黄褐色のリング状の部分」があるとのことで、これにはないので、たぶん、nipponicaの方かなと思っています。ただ、この種の記載、再記載した論文がともに手に入らないので、何とも確かめられません。ここで、ストップです。

一昨年に引き続いて、フンコバエ科の検索をやってみました。以前の記事と読み比べてみると、2年も経っているのに写真も文章もまったく進展がないですね。ちょっとがっかりです。いずれにしても、以前、調べた個体がCrumomyia annulus、今回のはCrumomyia nipponica?ということで2種揃えることができました。
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