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虫を調べる ツヤヤドリタマバチ科 その1

正月に小さなハチを見つけました。



こんなハチです。体長を測ってみると約1.4mm。かなり小さいのですが、顕微鏡で観ると、びっくりするような構造を持っていました。それで、いつものように「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表で調べてみました。すると、ツヤヤドリタマバチ科という聞いたことのない科に行き着きました。属についても少し調べたのですが、今回は科の検索について書いてみます。





ツヤヤドリタマバチ科はタマバチ上科に属しているので、まずはタマバチ上科であることを調べてから、科の検索をしてみたいと思います。ツヤヤドリタマバチ科であることを確かめるには上の10項目を調べればよいことになります。これを写真で調べてみたいと思います。



まず、最初の①から③はこの写真でだいたい分かります。①の細腰亜目であること、②翅が発達していること、それに頭頂に単眼以外の特別の構造がないことは分かります。最後の③はこの写真より、後に載せた頭部が写っている写真の方がよく分かるかもしれません。



この写真では④、⑥、⑦を調べます。後翅は挿入図で入れてあります。まず、通常のハチに比べて前翅の翅脈がかなり単純なことが分かります。コバチよりは発達していますが・・・。後翅は細くて翅脈はさらに簡単で、とても閉じた室があるようには思えません。また、肛垂というでっぱりもありません。前翅には縁紋がない代わりに、径室は明瞭です。



胸部と腹部(後体節)を横から写したものです。まず、⑤の後脚転節は1節で成り立っていることが分かります。これで、①から⑦まで確かめたことになるので、タマバチ上科になりました。次は科の検索です。ここに書いた⑧、⑨、⑩は写真ではやや分かりにくいのですが、腹部の節は最初の1節以外はまったく一様で、どこが境目か分かりませんでした。



これは腹部をやや後ろ側から撮ったものですが、途中に境界などはなくて一様なことが分かると思います。このことから、第2節が大きくて、たぶん、第3節と融合しているのではと思いました。



これは後脚跗節の写真ですが、第1節の長さは第2から第5節までの長さの和よりは少し短いことが分かります。



これは最後の写真ですが、胸部を斜め上から撮ったものです。ここで驚くべき構造が見えました。中胸背板の後半は小盾板と呼んでいますが、そこにさじ状の出っ張りと、その両横に突起があります。その下側は網目構造になっています。実は、こんな構造を持つのはツヤヤドリタマバチ科だけなので、この構造を見るだけでツヤヤドリタマバチ科であることが分かります。

これで、一応、上科と科の検索の項目はすべて確かめたことになるので、たぶん、ツヤヤドリタマバチ科でよいのではと思っています。「大図鑑III」によると日本には9属21種を産するということなので、属についても少し調べてみました。実は、属調べはずいぶん苦労したのですが、これについては次回に回します。ツヤヤドリタマバチで検索すると、阿部芳久氏が発表した日本応用動物昆虫学会の予稿集が見つかりました。それによると、沖縄に産するコガタツヤヤドリタマバチはマメハモグリバエを寄主として、その卵から成熟幼虫までのいずれの段階にも寄生するとのことです。(追記2017/03/05:菅井 桃李さんから、「小盾板の面白い構造もさることながら、卵から成熟した幼虫にまで寄生できるとは驚きです。卵に寄生したものと、成熟した幼虫に寄生したものとでは、随分と差が出そうですね。」というコメントをいただきました
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No title

小盾板の面白い構造もさることながら、卵から成熟した幼虫にまで寄生できるとは驚きです。
卵に寄生したものと、成熟した幼虫に寄生したものとでは、随分と差が出そうですね。

No title

さすが目の付け所が違いますね。私は形の面白さばかりに捕らわれていました。このときの論文も見てみたのですが、言葉が分からなくて半分も理解できません。卵寄生でも幼虫寄生でも寄生蜂の発生率は変わらなかったけれど、発育期間には有意な差があった。卵寄生の場合には卵と一齢幼虫の期間が有意に長くなり、何らかの飼い殺し寄生をしているのではないかというような感じでした。
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