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虫を調べる ミギワバエ科 つづき

昨日の続きでミギワバエ科らしきハエの検索です。昨日は「新訂原色昆虫図鑑III」に載っている検索表を使って、科の検索をしてみたのですが、その続きで属の検索もしてみました。肝心のミギワバエ科が違っていると、徒労に終わるのかもしれませんが・・・。でも、何事も経験ですから、どんな風に調べていくのかだけでも分かると勉強になるかなと思ってやってみました。



対象とするハエはこんなハエで、体長はわずか1.3mmしかありません。「絵解きで調べる昆虫」にミギワバエ科の属への検索が絵解きで載っていました。実は随分前にも別の種で試みたことがあったのですが、ほとんど歯が立たずという状態だったのですが、いろいろな虫で検索をしてきたせいか、今回は書いてある内容がわりあいよく分かったので、それだけでも進歩かなと思っています。

ところで、検索結果は今のところまだ極めて怪しい段階です。でも、まとめのつもりで書いてみます。検索をしてみた結果、Nostima属になってしまいました。検索項目としてはそれほど多くはなくて次の6項目です。



これをまた写真で確かめていこうと思います。まず、⑭は上の写真でも分かりますが、前脚は捕獲脚にはなっていません。



次は顔面ですが、顔面はこの写真のように突き出しています。そこに目立つような毛は生えていません。これで⑮はOKだと思いました。



次は中胸背〈盾板)の剛毛です。ここには目立つ剛毛は2対ありました(黄矢印)。これは背中剛毛(dorsocentral seta; dc)と呼ばれる剛毛列です。通常はその内側にもう一対の剛毛列があります。これを中剛毛(acrostichal seta; acr)と呼びますが、この個体には目立った剛毛はありません。2対あるdcの向かって左側に見える剛毛は盾板を前後に分ける横溝のほぼ上に載っています。この個体では横溝がはっきりしないのですが、両側に少し凹みがあるのでその部分を結ぶ線と思えばよいと思います。dcの1対はそのほぼ上に載っています。これが⑯、⑰、⑲の内容です。



これは顔を斜め下から写したものですが、口の穴は通常の大きさで、それほど大きいとは思えません。



次は問題です。まず、⑰ですが、原文では「ocは外側に傾く、・・・」となっていました。ocというのは単眼剛毛のことです。本に載っている図を見ると、単眼剛毛ではなく、上額眼縁剛毛を指しているので、たぶん、or(上額眼縁剛毛)の間違いではないかと思いました。ここをorに直してこの個体の眼縁を改めて見てみると、眼縁の上部には2本の短い毛が生えています。あることはあるのですが、他の剛毛に比べるとかなり小さいものです。いずれにしても眼縁に沿って向いているので、⑰に書いてあるような外傾はしていません。そこで、もう一つの選択肢を選ぶと、「orは前後に傾く;小盾板前のacrを有する」となり、前半はよいのですが、先ほども見たように後半の記述が違います。そこで、眼縁に生えている毛は短いので剛毛とは呼ばないのではと思い、⑰の「orは外側に傾くか、これを欠く:小盾板前のacrを欠く」の「orを欠く」を選ぶと、後半の記述も合って、一応、整合性が取れます。かなり怪しいのですが、そういう風にしてみました。次の⑲はその通りでした。

以上で属の検索が終わりました。怪しさいっぱいの検索でしたが、検索結果はNostima属になってしまいました。正しいかどうかまったく分からないので、少し文献を探してみたら次の報告が見つかりました。

J. F. Edimiston and W. N. Mathis, "A Revision of the New World Species of the Shore-Fly Genus Nostima Coquillett (Diptera: Ephydridae)", Smithsonian Contributions to Zoology No. 623 (2005). (ここからダウンロード可能です)

この報告にNostima属の特徴も載っていました。dcが2本で1本は横溝上、背側剛毛が2本で前側が短く、後ろ側は背側についているなど、ぱっと見たところではよく一致しているような気がしましたが、今度もう少し詳しく調べてみます。その前に、これがミギワバエ科で合っているのかどうか、Nostima属でよいのかどうか、はっきりとわかるとよいのですけどねぇ。

追記2016/12/13:「日本昆虫目録第8巻」によると、日本産Nostima属にはpictaとversifronsの2種が載っていました。これで画像検索すると、私が無視した⑲ビロード状の小盾板の目立つ画像が何枚も出ていました。今回の種はNostima属ではないかもしれませんね。どこで間違ったのか分かりませんが、もう一度検討してみます)(追記2016/12/13:間違っているとすると、⑮かなと思うのですが、「顔面中央から口縁部にかけて毛を装おう」を選ぶと、Synops属になるのですが、日本産Synops属は1種、fluvialisのみ。検索表に書かれている性質が合っているとすれば、いくつかの点で特徴が合いません。ここでいよいよ迷子になってしまいました

追記2018/12/30:フトツリアブさんから、「大阪市立自然史博物館に行った際にミギワバエ科の収蔵標本と比較してみました.やはり写真のミギワバエは,Nostima sp.2 ヒゲブトヒメミギワバエでした。」というコメントをいただきました。すごいですね。こんな写真から名前が分かるとは・・・。Nostima属が当たっていただけでもちょっと感激です。ヒゲブトというのは何となくそんな感じがしますね。もっとも肝心のハエのことはもうすっかり忘れてしまっていました。自然史博物館に標本があるのですね。でも、私が見ても分かるかなぁ

検索に用いなかった写真も載せておきます。







最後は眼頬比を測るために写したのですが、使いませんでした。
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No title

大阪市立自然史博物館に行った際にミギワバエ科の収蔵標本と比較してみました.
やはり写真のミギワバエは,Nostima sp.2 ヒゲブトヒメミギワバエでした.

No title

すごいですね。こんな写真で名前が分かるとは・・・。Nostima属が当たっていただけでもちょっと感激です。ヒゲブトというのは何となくそんな感じがしますね。もっとも肝心のハエのことはもうすっかり忘れてしまっていました。自然史博物館に標本があるのですね。でも、私が見ても分かるかなぁ。
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