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虫を調べる ミギワバエ科?

冬になると虫がいなくなるので、ついつい小さなハエを調べることになってしまいます。昨日は小さな小さなハエを調べてみました。



写真がいまいちはっきりしていないのですが、小さい割に動き回るので、こんな写真になってしまいました。



採集して冷凍庫に入れておいて、取り出したのがこの写真です。体長はわずか1.3mmしかありませんでした。短角亜目無弁類であることは確かなので、「新訂原色昆虫大図鑑III」に載っている検索表でその先を調べてみました。何度も何度もやり直して、やっと到達したのはミギワバエ科でした。まだ、合っているかどうかは完全には分からないのですが、とりあえずその検索過程を載せておきたいと思います。



この13項目を調べていかないといけないので、かなり大変です。このうち、①から⑥までは特定の科ではないことを確かめる項目なので、今回は⑥を除いて省略します。⑥以降の項目について、いつものように部位別に見ていきたいと思います。



最初は頭部の剛毛についてです。写真だとどうしても剛毛がうまく写らないので、プリンターで一度打ち出し、剛毛を鉛筆でトレースした後、スキャナーで読み取ってこの図を作りました。⑧は額眼縁剛毛に関してですが、複眼のすぐ脇にある剛毛を指しています。この剛毛の中で内側を向くものがないというのが⑧です。実は、他の剛毛に比べてこの部分の毛がだいぶ小さいので、果たして剛毛に入れてよいのかはやや疑問です。次の⑬に書いてある後単眼剛毛は単眼の後ろに後ろ向きに生えている剛毛なのですが、この個体にはありません。その代わり、単眼のすぐ後ろに前向きに小さな毛が生えています。これが偽後単眼剛毛だと思います。先端がやや離れているので離反的だということです。(追記2016/12/13:上の図は剛毛を鉛筆でなぞったのですが、予断が入っているといけないので、元の図も載せておきます



生物顕微鏡の10xの対物鏡で撮り、深度合成をしました




顔を斜め下から写したものですが、⑬で書いてあるように顔面が少し膨らんでいます(黄矢印)。また、触角刺毛は片側だけに枝が出ています(黄矢印)。(追記:2016/12/13:⑩について吟味するのを忘れていました。実は、これもだいぶ迷った項目でした。というのは、⑩に対立するケシショウジョウバエ科の項目には、「顔面下部は左右から横圧されるか下縁中央が突出し、鼻状に見え、突出部またはその下に1対の剛毛を生じる。内頭頂剛毛は退行的で収斂する。」と書かれていて、鼻状に突出しているというのはまさにそのように見えます。ただ、突出部かその下にある1対の剛毛というのは見当たりません。また、内頭頂剛毛が退行的というのはやや後ろを向いているという意味だと思うのですが、そのようでもありません。ただ、断言はできないので、MNDの説明を読んでみました。いくつか違いが見られました。まず、翅では、bmとdmは分離しています。また、M3+4の下にある脈(MNDではA1+CuA2)が強く、翅縁近くまで伸びています。一方、C脈はR4+5付近の翅端までしか伸びていません。さらに、Sc脈は不完全ですが、先が鋭く上に曲がり、sc切目がありません。触角刺毛は腹側が背側に比べると毛は少ないのですが、それでも両側に羽毛状です。頭部の剛毛では、やや強い額眼縁剛毛が中間部に垂直に立ち、離反的な後単眼剛毛がある等々。カナダ産と日本産の違いはありますが、今回の個体とはかなり違うようです)(追記:2016/12/13:さらに、気になったので、次の論文もぱらぱら見てみました。

W. N. Mathis and A. Rung, "Redescription of the genus Diopsosoma Malloch (Diptera, Periscelididae)", Revista Brasileira de Entomologia 48, 303 (2004). (ここからpdfをダウンロードできます)

この論文には
ケシショウジョウバエ科の説明も載っていたのですが、額眼縁剛毛は1-2本、後単眼剛毛は離反的か欠如、触角刺毛は櫛歯状、bmとdmは分離、CuA2が強くcup室を作る、C脈はR4+5またはMまで伸びる、Scは未発達で前縁には達せず、R1と融合もしない、前縁脈には切目がなく、h横脈付近で弱まるだけ等々。多少、微妙にはなってきましたが、触角刺毛、bmとdmの分離、sc切目の有無などははっきり違うようです)



次は翅脈です。実はここがうまく写らなくていろいろな方法で何度も写し直しました。ポイントはSc脈についてです。



これは生物顕微鏡の透過照明で撮ったものですが、2枚の翅が重なっていて少し見にくくなっています。前縁脈(C)にはh切目(h-break)とsc切目(sc-break)という切目が入っています。これはもともと飛ぶときに上に羽ばたくときには翅を折って空気抵抗を少なくするための折り目に当たるところです。⑫はその切目が2つあることを示しています。⑪に書いてある「CuA脈とcua室を欠き」というのは、たぶん、通常のハエではCuA脈が途中で下に折れて、さらに基部に戻り小さな室を作るのですが、それがないということだと思います。また、第2基室(bm)と中室(dm)は合体して一つの室になっています。さらに、Sc脈は先端が少し薄くなっていますが、次に拡大した写真を載せます。



これはSc脈辺りを拡大してみました。Sc脈の先端は薄くなっていて直角に曲がっている様子はありません。それで、⑥はOKです。ミバエ科はここが直角に曲がって前縁脈に達します。次の⑨にはだいぶ悩みました。bm+dm室の後縁脈に微弱な湾曲があるかないかですが、見ると一か所途切れている部分があります。これは前縁脈の切目と同様に翅を折り曲げるときの折り目になっているところです。この部分を微弱な湾曲とするとキモグリバエ科になってしまうのですが、以前、キモグリバエ科について調べてみたことがあったので、その時に撮った写真と比べてみました。



キモグリバエ科には折り目とはちょっと異なる膨らみが翅脈にあります。やはり、キモグリバエ科に見られる湾曲とは違うようです。それでこの項目はOKとしました。Sc脈についてはちょっと分かりにくいので、透過照明ではなくて、上からの照明も試してみました。



まあ、これを見るとSc脈は不完全だというのが何となく分かるので、⑦に書かれているのはOKにします。



次は脚の脛節背面の末端近くの剛毛が生えているかどうかですが、この写真で見る限り、前脚にも中脚にもなさそうです。ということで、一応、すべての項目が確かめられたことになるので、ミギワバエ科でよいのではないかと思いました。特に、⑬はミギワバエ科の特徴を書いたものですが、これがどれも該当するのでたぶん大丈夫かなと思っています。この後、属の検索もしたのですが、ちょっと長くなったので、ここで一旦やめておきます。
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