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ツユクサの仮雄蕊

家族から、ツユクサには仮雄蕊があるんだってという話を聞きました。矢野興一、「観察する目が変わる 植物学入門」、べれ出版 (2012)に載っていたそうです。そんな話は初めて聞いたので、早速、ツユクサの花を写しにいつもの公園まで行ってきました。



ツユクサの花はよく見るのですが、それほど詳しく見たことがありませんでした。でも、よく見ると、雄蕊らしいものがいろいろな形をしています。上の本を参考にして名前をつけるとこの写真のようになります。上の方にあり、黄色の鮮やかなものが仮雄蕊といって、花粉はほとんど持たず、しかもその花粉は本来の能力を失ったものだそうです。本当の雄蕊はO字型と書いた、長く伸びた地味なものです。その中間にあるのがY字型で、ここにも通常の花粉がありますが、色が黄色の部分もあり、仮雄蕊と本物の雄蕊の中間的な性質の雄蕊のようです。平凡社の「日本の野生植物」も、「牧野新日本植物図鑑」でも、完全雄蕊が2個、仮雄蕊が4個と書かれていました。



上にある仮雄蕊の方を拡大してみました。確かにX字型をしています。両脇に橙色の小さな突起があるのですが、ここには粒々がついていて、たぶん、これが本来の能力を失った花粉様の粒子を含む葯なのでしょう。



黄色の部分の中身は何だろうと思って、ピンセットでちぎってみました。中はスポンジのような構造になっていました。



これはO字型の部分です。花を採取してきてそのまま置いていたら、雄蕊の軸がくるくる巻き始めてこんな格好になってしまいました。雄蕊には確かに花粉が見えています。



その部分をさらに拡大してみました。面白い形をした花粉ですね。



次は中間の長さのY字型の雄蕊です。先端にX字型で見たような黄色の袋が付いています。割れたところには少しだけ花粉はついていますが、見たところほとんどありません。大部分食べられてしまったのかもしれません。



そこでまた写真を撮りにいきました。この花は花粉がまだかなりついているみたいです。



拡大してみました。O字型にもY字型にも花粉がついていました。ネットで探してみると、O字型とY字型の葯から採った花粉は雌蕊の上でちゃんと花粉管を伸ばすそうです。それに対して、X字型は雌蕊に付着もしなかったと書かれていました。こんな実験をされる方がおられるのですね。感心しました。



これは以前にも出した写真です。よく見ると、ホソヒメヒラタアブはY字型雄蕊に来ていました。



これはY字型で花粉を食べているところの拡大です。

最近、F. G. バルト、「昆虫と花」、八坂書房 (1997)を読んでいるのですが、この本の中にも仮雄蕊のことが書かれていました。虫が花に来てくれるのは花にとってありがたいが、授粉をするための花粉を食べられてしまったら元も子もない。そこで、「授粉用の葯」と「餌用の葯」を分けて作るという折衷案で切り抜けた植物がいるそうです。ツユクサは「授粉用の葯」のほかに、「餌用の葯」と「広告塔の葯」をともに持った優れものいうことになりますね。
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