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虫を調べる クダアザミウマ

先日、川の土手を歩いていたら、ヒメジョオンにアザミウマがいたので、花ごと取ってきて調べてみました。実は採集してきたことをすっかり忘れてしまっていて、一緒にいたニセケバエはカビだらけだったのですが、アザミウマは幸い生きていました。それで、冷凍庫にちょっとだけ入れて、たぶん、まだ生きているかなと思う状態で顕微鏡写真を撮ってみました。



採集したのはアザミウマというアザミウマ目の虫です。なぜアザミウマというのかということに関しては、Syngentaという農薬の会社のホームページに出ていました。要は、大阪で昔、「馬でよ、牛でよ」と言いながら、アザミの花を振って、落ちてきたアザミウマの数を競う遊びを見た昆虫学者の松村松年氏が名づけたという話です。

アザミウマを調べるのは初めてなので、まず、各部の名称を付けてみようと思いました。梅谷献二ほか、「農作物のアザミウマ 分類から防除まで」、全国農村教育協会 (1988)と「原色昆虫大図鑑III」に載っている絵を参考にしてつけてみたのですが、これがなかなか難しくてはっきりとは分かりません。たぶん、あまりに小さいために写真が不鮮明なせいと、プレパレート標本を作っていないところが問題なのかもしれません。いずれにしても分かった部分だけ名称を付けてみました。



体長は1.4mm。生物顕微鏡の対物レンズ10倍だとちょっとはみ出るので、上半身と下半身は別々に写しました。まぁ、変わった形の虫ですね。それでも、ちゃんと複眼も単眼も持っています。触角は8節。



次は腹側からです。複眼の下の広い部分が頭盾らしいです。その下に口器があるのですが、毛が生えていてよく分かりません。本当はここをもう少し拡大して、幅が2~3μmという小腮針を写してみたかったのですが・・・。又状器というのが表面に出ている構造なのか、内部にある構造なのか分からなかったので、とりあえず?マーク付きで書いてあります。アザミウマは通常、内容物除去と脱色を兼ねてKOHに浸けてから、プレパラートで見るそうです。そうすると内部の構造も非常に綺麗に見えるようです。



20倍の対物レンズで撮ってみたのですが、やはり口のあたりはよく分かりません。複眼の下が頭盾と書かれていたり、後頭盾と書かれていたりしてよく分かりませんでした。



アザミウマの口器は大腮と小腮の先端が針状に尖っています。大腮針は1本、小腮針は1対あります。これでどうやって植物を食べるのかということについては次の論文に載っていました。

八隅慶一郎ほか、「ミナミキイロアザミウマの口器構造および吸汁痕の観察」、日本応用動物昆虫学会誌 38、23 (1994). (ここからダウンロードできます)

これによると、太い大腮針で植物体にまず穴を開け、その穴に2本の小腮針をくっつけるように入れて、その隙間から植物の汁を吸うそうです。小腮針の断面は三日月状になっていて、2本合わさると一本の管になる構造になっているようです。こんなのが見れると嬉しいのですけど・・・。何とかその小腮針が見れないかと思って透過照明で撮ってみたのですが、やはり頭部はまったく光を通さなくて駄目でした。



次は腹部です。腹部背側の端に生えている毛は留翅刺毛と書かれていたので、これで翅を固定しているみたいです。



最後は腹側からの写真です。腹部の節は末端の管状小板を1節と数えると11節あり、第10節が長く伸びていて尾管と呼ばれています。この構造からクダアザミウマの管(くだ)という名前がついているのだと思います。

まだ、こんな怪しい状態なのですが、「農作物のアザミウマ」に載っている検索表を用いると、何とかかんとかクダアザミウマ科のHaplothrips属になりました。その過程をとりあえず書いておきます。



まずは検索表です。①から④までを確かめるとHaplothrips属になります。検索項目は少ないのですが、いつものように検索の順ではなくて部位別に見ていこうと思います。



まずは全体像です。全体の写真がないので、上半身の写真で我慢してください。体長は1.4mmなので、3mm以下という条件は満足しています。色は黒というよりは暗褐色が適当と思われます。



次は腹部腹面の写真ですが、①についてはすでに説明したように第10節が管状になっています。



①の微刺と刺毛、および、周辺毛についてはこの写真ではよく分かりません。翅を開いてから撮るべきでした。④は翅が矢印の部分でわずかにくびれているということを示しています。これが足裏状と呼ぶのかどうかは分かりませんが・・・。検索項目の残りの項目については、口器や産卵管に関するもので今回の写真では分かりませんでした。でも、各項目の一部分は一応満足されているので、たぶん、この検索でよいのではと思いました。

ということで、Haplothrips属にはなったのですが、ここから先はまったく手掛かりがありません。ネットを見ていたら次のような報告を見つけました。

宮崎昌久、工藤巌、「日本産アザミウマ文献・寄生植物目録」、農業環境技術研究所資料第3号 (1988). (ここからダウンロードできます)

この中でHaplothrips属は16種載っているのですが、キク科に寄生するものとしては、イネ、シナ、アカオビハナ、ハナ、ツメクサなどの6種が載っていました。また、ヒメジョオンに寄生するものとしては3種が載っていたのですが、いずれもクダアザミウマ亜科ではありませんでした。今回は残念ながらここまでです。

ネットで検索してみると、アザミウマの細部まで実に綺麗に写されている方がおられます。私ももっと頑張らなければいけませんね。深度合成をしていると、どうも毛が生えているところがぼやけてしまってうまくいきません。何か工夫が必要なのでしょうね。また、論文を見てみると、プレパラートで実によく見えています。これも挑戦しないといけないのですが、KOHというところでちょっとバリアがあります。どうしようかなぁ。
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