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家の近くのむし探検 シリアゲムシ、フキバッタ、ハバチ

家の近くのむし探検 第135弾

8月23日に家の近くの林の入り口に行った時の続きです。今頃は虫の数は少ないのですが、それでも一匹ずつ調べていくと結構な時間がかかりました。



今日の最初はシリアゲムシからです。以前、ヤマトシリアゲにも近似種がいるという話を聞いたので、これは♂だし、一度、調べてみようと思って写しました。



腹部末端を写してみました。びっくりするような鎌みたいな構造があります。例によって各部に名称を付けてみようと思って、「原色昆虫大図鑑III」に載っている図を参考にしてつけてみました。S9とT9はそれぞれsternum 9 とtergum 9の略で、第9節腹板、第9節背板の略です。このシリアゲムシの場合、第6節から8節までは腹板と背板がくっついて筒状になっているのですが、第9節では分かれて、それぞれが交尾するときに便利なように変形しています。♂と♀の腹部末端がどのように組み合わされるかというのは次の論文に図が載っています。

W. Zong et al., "A typical mating in a scorpionfly without a notal organ", Zoology 84 (4) (2015). (オンラインで読むことができます)

英語でシリアゲムシはscorpionflyというのですね。scorpionはサソリなのでなんとなく分かります。ところで、この腹部末端の形で種が分かるのかなと思ったのですが、これは背側からの写真で、実は腹側からの写真が必要でした。ということは、やはり採集しないと難しいかな。「大図鑑」には、ヤマト、マルバネ、キバネ、ミスジの4種の♂の図が出ていますが、一見するとよく似ていて区別がつきません。たぶん、この種はヤマトシリアゲのベッコウシリアゲ型だとは思うのですが・・・。(追記2016/08/31:菅井 桃李さんから、「シリアゲムシのテロメアは前方から狙えますが、捕獲した方が手っ取り早いでしょうね。」というコメントをいただきました



次はフキバッタです。フキバッタも確か腹部末端の構造が分かると種が分かったのではと思って、捕まえてあちこちから写してみました。実はこれは♀で、♀の腹部末端の図は図鑑には出ていなかったのです。でも、せっかく写したのだからと思って、各部の名称を付けてみました。でも、これが意外に難しかったです。というのは♀の詳しい図がなかなか見つからなかったからです。とりあえず、「原色昆虫大図鑑III」の図を参考につけてみました。



横からです。



斜め上からです。これも写しておかないと、横と上がどのようにつながっているのかよく分からなくなるので・・・。



そして、上からです。SとTは先ほどと同じで、腹板と背板を表します。後は「大図鑑」にならって付けたのですが、実はよく分からないところがあって、別のサイトも参考にしました。Invertebrate Anatomy Onlineというサイトで、アメリカのLander大学の方が作っているのですが、手書きの図が載っていて詳しく書いてあるので、大変参考になりました。そのうち、日本産フキバッタ♀の図を見つけた時に比較してみたいと思います。(追記2016/08/31:菅井 桃李さんから、「フキバッタはオマガリフキバッタでしょうね。そちらで見られるのは、ヤマトとオマガリくらいだと思ってましたが、他にも見られるかな?」というコメントをいただきました



次はハバチです。これがハバチ科であるかどうかは検索をしてみないといけないのですが、「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表では次のような過程をたどります。



この写真でもほとんどは辿ることができるのですが、⑥の距がよく分かりません。ハチのうち、腰が細くないハチを広腰亜目といいますが、検索表を見ると、結構、触角に違いがあるみたいです。そこで、触角で科の分類をしてみました。

触角が複眼下縁より下から出る
  ヤドリキバチ科
触角が複眼下縁より上から出る
 触角の第1鞭節は非常に長い
  10数節 ナギナタハバチ科
  4節 ヨフシハバチ科
  3節 ミフシハバチ科
 触角の第1鞭節は特に長くない
  11~27節 クビナガキバチ科
  14~30節 キバチ科
  15~36節 クキバチ科
  7節 ヒラタハバチ上科
  先端はこん棒状 コンボウハバチ科
  鋸歯状、櫛歯状 マツハバチ科
  7~13節、まれに23節 ハバチ科

節数などは「大図鑑」を参考に書いてみました。このハチについて触角を見てみました。



ご覧のように触角は複眼の横からでています。第1鞭節(第3節)は少し長めですが、特に長いというほどではありません。触角は全部で9節あります。最初の二つの条件の下では、9節はハバチだけなので、この情報だけで必然的にハバチ科にたどり着きます(合っているかどうか分かりませんが・・・)。

次は亜科の検索です。



検索をしてみるとハグロハバチ亜科になるのですが、その過程は上の⑩~⑮になります。⑬を除いてすべて翅脈に関するものなので、このハバチの翅脈を見てみます。



生態写真なので見にくいのですが、一応、必要な翅脈は見えています。⑩については、基脈と肘脈は上部で亜前縁脈と一点で交わっているように見えます。⑪の径横脈はあります。⑫の2つの反上脈は別の肘室につながっています。⑭で基脈はほぼ直線状で反上脈の基部側の第1反上脈とはまあまあ平行です。⑮で完全に閉じた肛室が二つあり、間に臀横脈がありります。ということで、すべてが満足されるので、ハグロハバチ亜科だと分かります。これから先は、後翅や脚の情報が必要で、生態写真では無理みたいです。私の山勘では翅が強く暗色を帯びること、縁紋基部が白色なこと、前脛節前面が白いこと、腹部第1背板に白い点が二つ見えることなどから、ハグロハバチ♀のように思えますが、どうでしょう。





ハチはほかにもいたのですが、こちらはお手上げです。



これは以前、チャバネヒメクロバエというイエバエ科だと思ったハエです。合っているかどうか分かりませんが・・・。



これは検索で分かるのかなぁ。まだ、試していません。(追記2016/08/26:田中氏の「屋内害虫の同定法」の中のクロバエ科の検索表をみると、腹部の黒い帯の様子はトウキョウキンバエに近い感じですが、中胸下側背板の直立刺毛の有無を見ないといけないので、やはり採集しないと無理ですね



これは分かりません。



これはシマバエかな。なんとなく後単眼剛毛が交差しているように見えます。



クチブトゾウムシも苦労する虫です。これは口上板(触角と触角の間に見える黒い部分)が明瞭で、鱗片がなさそうで、また、光沢があります。さらに、口上板の上側が尖って三角形状です。こんな情報から、カシワクチブトゾウムシかなと思いました。もう少し口上板を大きく撮ればよかったのですが、近づいたら下に落ちてしまいました。





クズノチビタマムシはまだ健在でした。





これは腹部の下側が褐色になっているので、ワキグロサツマノミダマシかもしれません。

虫、いろいろいますね。あーぁ、くたびれた。



最後はヤブランのつぼみでした。
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No title

シリアゲムシのテロメアは前方から狙えますが、捕獲した方が手っ取り早いでしょうね。

フキバッタはオマガリフキバッタでしょうね。
そちらで見られるのは、ヤマトとオマガリくらいだと思ってましたが、他にも見られるかな?

No title

そうですね。今度は前から撮ってみます。細かいところまで見ないといけないので、よほど頑張らないといけませんね。まぁ、捕まえた方が早いですけど。

これはオマガリの方ですか。確かにこの間♂がいました。オマガリとヤマトの2種だけだったら何とかなるかもしれませんね。今度からいたら片端から捕まえて写真を撮ってみます。
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