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虫を調べる ホソガガンボ属

先日来、胸背に黒くて太い3本線の入った黄色のガガンボをよく見ます。よく見ると、小盾板の後ろにある中央背板に黒い線の入っている個体と入っていない個体がいます。先日、線の入っている個体について検索をしてみて、エゾホソガガンボ Nephrotoma cornicinaらしいことが分かりました。今日は残りの黒い線の入っていない個体についての検索結果です。



調べたのはこの個体です。検索には以前と同じ、次の論文の中にある検索表を用いました。

P. Oosterbroek, "The Nephrotoma spieces of Japan (Diptera, Tipulidae)", Tijdschr. Entomol. 127, 235 (1985). (ここからダウンロードできます)

この論文は日本産のNephrotoma属35種を扱っています。「日本昆虫目録第8巻」でのNephroma属は36種なので、ほぼ網羅しているとみてよさそうです。ただし、未記載種はまだまだありそうですが・・・。これを使って、上の個体(♀)を検索してみたところ、Nephrotoma subpallidaという和名のない種に落ち着きました。



Nephrotoma属の種への検索表のうち、subpallida♀に至る部分だけを抜き出して書き出しました。これを例によって写真で確かめていくのですが、このうち①と⑤は特定の種を区別するためにいろいろな性質が羅列してあり、それを否定する項目です。読むと、内容的には明らかなので今回は省略しています。



まずは、全体像です。翅長は11.6mmでした。⑦は胸部側面と基節が黄色いことで、見るとすぐに分かります。



次は胸部背面です。④は盾板に黒い模様があるかないか、ある場合は、両横の縦筋が直線的か、前方が外側に湾曲するかなので、書いてある通りです。⑨は中央の縦筋の後方部分に光沢があり、後域にまで伸びていないことで、これも見るとすぐに分かります。



ここからが難しくなるのですが、⑧も⑩もともに無光沢領域があるかどうかについてです。まず⑧は3本の縦筋のうち、両横の縦筋の先端が外側に湾曲し、そこが無光沢になっているかどうかです。これを写真で表現するのにかなり苦労しました。上の写真では照明が映り込んでいますが、実は、ここはリング照明を用いています。したがって、光沢があれば円形に照明の像が写るはずなのですが、その一部しか写っていません。これは点線で囲んだ部分が無光沢だからなのです。したがって、⑧はその通りということになります。次の⑩の前盾板が次の難問でした。これは論文の図と「原色昆虫大図鑑III」のガガンボの図を参照して、中胸盾板の前と横を縁取る部分ではないかと思いました。この一部が無光沢領域に入っています。それが⑩の意味のことではと思いました。よく分かりませんが・・・。



この写真は中央背板についてですが、③も⑥もともにOKであることはすぐに分かります。「原色昆虫大図鑑III」によると、中央背板は後胸背板の一部です。後胸背板の側板と背側部分との間に溝線ができて、背側部分だけが区画されたものとして解釈されているようです。



次は腹部末端にある♀の尾角についてです。横から見ると先端が丸くなっていることが分かります。先日調べた、エゾホソガガンボではここが尖っていました。⑦のhypovalvaは尾角の下にある部分なのですが、この写真では隠れているみたいです。また、腹部末端は黒くありません。ということで、すべての項目が満足されたので、Nephrotoma subpallidaでよいのでは思っています。ポイントになるところは、尾角の先端がとがっていないこと、中央領域が黄色いこと、それに、無光沢領域があるところです。最後の無光沢領域が一番怪しい感じですね。ただ、尾角の形も論文の図と似ているので、たぶん、大丈夫ではないかと思っていますけど・・・。

ついでに撮った写真です。



翅脈はこの間のエゾホソガガンボとほとんど一緒ですね。



無光沢領域を示すために撮った写真です。この正体は何なのでしょうね。
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