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虫を調べる コナカゲロウ

この間から、家の近くの公園で小さな白い虫をよく見ます。初め、コナジラミだと思っていたのですが、菅井 桃李さんからコナカゲロウだと教えていただきました。



コナカゲロウというのはこんな虫です。今回はこの虫を調べてみました。



体長は2,9mm。全体が粉のようなもので覆われています。でも、翅脈はよく見えますね。

次の論文は少し古いのですが、日本産のコナカゲロウ科について書かれていました。

S. Kuwayama, "A revisional synopsis of the Neuroptera in Japan", Pacific Insects 4, 325 (1962). (ここからpdfがダウンロードできます)

これによるとコナカゲロウ科は2亜科5属5種が載っていました。さらに、千葉大のサイトには、千葉大学園芸学部構内にて採集できる種として4属4種が載っていました。現在、九大の昆虫学データベースが使えないので、これだけの情報でまとめてみると次のようになります。

Coniopteryginae亜科
  Conwentzia psociformis
 *Conwentzia pineticola アトコバネコナカゲロウ
  Coniopteryx abdominalis キバラコナカゲロウ
  Semidalis albata → Semidalis aleyrodiformis シロコナカゲロウ

Aleuropteryginae亜科
  Spiloconis sexguttata
  Coniocompsa japonica マダラコナカゲロウ

*マークは千葉大のサイトに載っていたものです。他は桑山氏の論文に載っていたものですが、このうち3種は千葉大のサイトでも、同じく3種は「原色昆虫大図鑑III」にも載っていました。今のところはこれらが上の個体の対象になります。5属6種なので、属の検索をするとある程度種までたどり着けることになります。属の検索は次の論文に載っていました。

M. Meinander, "A revision of the family Coniopterygidae (Planipennia)", Acta Zoologica Fennica 136 (1972). (ここからダウンロードできます)

まずは亜科の検索からで、次の項目で行います。



後半部分は分からないことが多いのですが、前半は翅脈に関することなので、ある程度分かります。実際に検索をしてみると、後で説明するようにConiopteryginae亜科になりました。そこで、次は属の検索を行います。後で述べるようにこれは♀だと思うので、♀の検索表を使ってみました。



日本産に関係する部分だけを訳してみました。これらの項目をまた写真で確かめていきたいと思います。






上が前翅、下が後翅です。図に先ほどの検索表の項目を書き入れています。まず、亜科の検索では前翅でr-m横脈が1本だけなこと、後翅でRs脈の分岐が翅の基部近くにはないことでConiopteryginae亜科であることが確かめられます。次に、後翅のM脈が分岐していることでConiopteryxを除外できます。さらに、前後翅のm-cu脈がCu1脈に対して斜めに出ていて、さらに、M脈の基幹部ではなくて分枝のM3+4脈に結合していることからSemidalis属になります。この後者の特徴は見やすいので、野外で写真を撮っても容易に確かめられます。上の種のリストによると自動的にシロコナカゲロウになります。これで検索は終わりました。合っているといいですけど・・・。

ついでに顕微鏡でいろいろと撮ったので、載せておきます。



頭部を上から見たものです。触角と複眼には粉がついていませんね。



これは顔面です。口器や顔面にも粉がついていません。うまく加減してつけているようです。



腹部末端です。特に構造がないので、たぶん、♀ではないかと思います。

最後にこの白い粉は何かと思って調べてみました。その結果、次の論文に載っていることが分かりました。

D. R. Nelson et al., "Characterization of the cuticular surface wax pores and the waxy particles of the dustywing, Semidalis flinti (Neuroptera:  Coniopterygidae)", Comp. Biochem. Physiol. B 136, 343 (2003). (ここからpdfがダウンロードできます)

この論文によると、白い粉の成分は高級アルコールや炭化水素などからなるワックスで、腹部に分布する分泌孔から分泌されるようです。出されるときには2重のリボンのような形で分泌され、それが輪を巻いてドーナツような格好になり粒状で出されるようです。実際、白い粉がこういう輪の形の粒の集まりであることが電顕写真で示されていました。それで、私も光学顕微鏡で撮ってみました。



これは前翅の後縁付近を撮ったつもりなのですが、粒々が見えています。さらに、拡大してみると、



矢印で示したように丸い輪の形の構造がポツポツ見えてきました。これがそうなのではないかと思っています。

ということで、コナカゲロウ科の検索をしてみました。翅脈を見るだけで、シロコナカゲロウらしいことが分かりました。以前の写真を見ても、m-cu横脈はすべてM3+4脈と結合しているので、同じ種のようです。怪しいながらも名前が分かって嬉しいですね。
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No title

シロコナカゲロウは随分と小さいんですね。
Conwentzia(多分)とConiopteryxはもう少し大きかった筈です。

何年もまともに見てないんで、記憶が不鮮明で(笑)

No title

はじめまして
ウツギノヒメハナバチのニュース記事が出ていたので、その虫をググッたら、このブログが出ました。
どの記事も豊富な画像と専門知識で書かれ、こんな素晴らしいブログがあるのかと感動しました。
身近な虫を題材にこれだけ尽きぬ興趣をもたせられるのはまさにネットのあるべき利用方法だと感心させられました。
これを機にこれからも拝見させていただきます。

No title

菅井 桃李さん、こんばんは。
「大図鑑」を見ると、シロコナの開張は5mmなので、体長にするとこんなもんかもしれません。Coniocompsaは開張6-8mmなので、もう少し大きいみたいですが、逆に、Coniopteryxは開張3.5mmなので、もっと小さいみたいです。この仲間、属名が似ていてややこしいですね。

No title

ヒデックスさん、はじめまして。
ブログの訪問者数が急に増えたので、何事が起こったのかとびっくりしていました。見ていただき、恐縮しています。素人がやっているので怪しい内容だらけなのですが、これからもよろしくお願いいたします。

No title

キバラは小さかったですか。
と言うことは、今まで見てきたのはConiocompsaばかりなんだろうなあ。

体長、開長、前翅長…意外と曲者ですよね。

No title

体長は体が曲がって測りにくいことが多いです。開張は展翅しないといけないし・・・。一番ピンとはこないですが、前翅長というのが測る方としてはもっともいいですね。もっとも短翅型だとか、長翅型とかややこしいですけれど。
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