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虫を調べる ハヤシケアリ?

この間、家の近くの公園で見つけたアリを調てみました。あまり自信がないので?付きです。



調べたのはこのアリだと思います。というのは、吸虫管で何匹か吸ったあと、途中で逃げられてよく分からなくなってしまったからです。でも、たぶん、このアリだと思います。コデマリの幹に集まったアブラムシにやってきていました。(でも、いずれにしてももう一度調べ直さないといけないですね~)



大きさは3mmくらいかな。体が曲がってよくわかりません。

アリの検索にはいつもの本を用いました。

寺山守、江口克之、久保田敏、「日本産アリ類図鑑」(朝倉書店、2014)

この中の検索表で調べていき、最終的にはヤマアリ亜科ケアリ属ケアリ亜属ハヤシケアリに達しました。その過程を検索表から抜き出すと次のようになります。まず、属への検索項目です。



次に種への検索項目です。



これらを確かめていきたいと思います。本当は検索の順番に見ていけばよいのですが、頭を見たり、腹を見たり、また頭を見たりとややこしくなるので、部位別に見ていくことにします。



最初は全体です。まず、腹柄節は1節です。これでフタフシアリ亜科が除かれます。さらに、この腹柄節が横から見て幅が狭く、突起や刺がないことを見ます。幅が広いとハリアリ亜科などになり、突起などがあるとトゲアリ属になります。さらに、中胸気門が背面近くにあります。これでオオアリ属を除けます。⑨の前胸が短いというのは、長いヒゲナガアメイロアリ属との相対的比較で、この写真の個体は特に長いということはありません。また、前胸、中胸背面にはやや長い毛が生えています。②の腹部第1節と第2節の間のくびれはハリアリ亜科、ノコギリハリアリ亜科、カギバラアリ亜科の特徴で、このアリではスムーズにつながっています。



これは同じ写真なのですが、最後の種の検索で出てくる色に関してです。色は多分に主観的なので、はっきりとは分かりませんが、少なくとも腹部は暗い色になっています。



今度は腹側からの写真です。腹部末端が円錐型になっていて中心に穴が開いています。まるで火山のカルデラみたいな感じですが、これがヤマアリ亜科の特徴です。この周囲には毛が生えているのですが、この写真ではちょっと見えません。



次は頭部です。大きな歯が見えます。これを大腮といいます。この形が三角形をしているので、細長くなっているサムライアリ属を除けます。また、大腮の歯が7つ以上というのですが、一応、数えて白丸をつけてみました。奥の方はよく分からないのですが、全部で7つかそれ以上はありそうです。大腮の上が頭盾になるのですが、その前縁側方は特に変わった様子は見えません。



次は触角です。焦点位置の関係で柄節が写りませんでした。1と書いたところにあります。全部で12節になっていました。アシナガキアリ属などは11節あるいは10節からなるようです。



次が問題の触角柄節の立毛です。これについては以前にも苦労しました。立毛が何を意味しているのかよく分からなかったからです。これについては次の論文に定義が書いてありました。

E. O. Wilson, "A Monographic Revision of the Ant Genus LASIUS", Bull. Mus. Comp. Zool. Harv., 113, 1 (1955). (ここからダウンロードできます)
K. Yamauchi, "Taxonomical and Ecological Studies on teh Ant genus Lasius in Japan (HYMENOPTERA; Formicidae). I. Taxonomy", Sci. Rep. Fac. Educ., Gifu Univ. (Nat. Sci.) 6, 147 (1978). (ここからpdfがダウンロードできます)

2番目の論文は基本的に1番目の論文と同じなので、Wilsonの論文に書かれている定義を用います。この論文には、「立毛とは鞭節を含む面内で見て、柄節の前面にあって、表面から45度以上の角度で生えている毛」という定義になっています(意訳しているので違っているかもしれません)。たぶん、上の写真の白丸を付したものがそれに当たるかなと思うのですが、毛の角度は微妙であまり定量的ではありません。いずれにしても、立毛はあるのですが、それほど多くはないという印象です。



次は頭部の下を写したつもりなのですが、小腮鬚がうまく写りませんでした。顕微鏡で見ると長いことは確かで、頭部と胸部の関節部に達するといえばそのくらい長いかもしれません。また、今度撮り直してみます。



これは頭部正面を写したものです。触角柄節が頭幅よりわずかに短いことは確かめられました。また、頭頂は少し凹んでいます。ウワメアリ属などは頭頂はむしろ膨らむそうです。



横からの写真です。複眼の位置はやや後方です。少し後ろ側から撮ってしまったので、中央付近に見えますが・・・。



最後は、前伸腹節から腹部にかけてです。腹柄節の形が問題になります。まずは横から見ると薄いこと、それに先端が鋭くとがり、前面に角をもっていない点が重要なようです。この写真の個体では前面がやや膨らんでいますが、角は見えないので、これでよいのではないかと思いました。前伸腹節の気門は丸型です。これが縦に長くなるとヤマアリ属になります。また、前伸腹節側縁の中央部にはそれほど長い立毛は見えません。腹部第1節は背板と腹板が分離しています。

ということで、一応、すべての項目はクリアしたので、ハヤシケアリだろうと思うのですが、それほど自信はありません。アリの検索もだいぶやってきたので、少しは慣れてきたのですが、体の色、触角柄節の立毛の数、それに腹部背板の上の立毛の数、軟毛の間隔などを議論されるとどうも自信がなくなります。もう少し修業が必要ですね。
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