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トビムシの毛

先日からツチトビムシらしい個体を調べているのですが、もうギブアップ寸前です。トビムシは論文も多く、絵解き検索表も揃っていて懇切丁寧に説明されているのですが、どうやら基礎知識のないところに問題がありそうです。例えば、次の論文

長谷川元洋、新島溪子、「日本産ツチトビムシ科(昆虫綱:トビムシ目)の分類 2.ツチトビムシ亜科」、Edaphologia 90, 31 (2012). (ここからダウンロードできます)

にはトビムシの体に生えている毛についての説明があるのですが、そこには「直立毛がよく発達し、感覚毛がある種も多い。また、飾り毛と呼ばれる毛が、腹部第2-4節にのみ現れる属もある。」と書かれています。けれど、これらの毛をどうやって区別すればよいのか、その定義が書かれていないのでわかりません。初めは長い毛が飾り毛で、これがあるのがカザリゲツチトビムシ属だと思っていたのですが、飾り毛がない方を選んでも、その後に「けば立つ毛」があるという項目があったりします。

そこで、この間捕まえたトビムシについて毛を調べてみました。



まずは背側からと側面からの写真です。中胸と後胸は見えているのですが、前胸は隠れています。腹部は6節まで見えます。腹部に生えている毛のうち長いものの根元に黄色の印をつけてみました。何となく系列が見えるので、ハエのときと同じようにそれらを破線で結んでみました。どうやら飾り毛のように2-4節だけに限られるわけではないようです。



長い毛を拡大してみました。先に行くほど細くなっています。よく見ると片側だけがけば立っている感じがします。



別の毛です。これも片側だけがけば立っています。



ついでに短い毛も写してみました。先が裁断状になっていて、ちょっと変わった毛がありました。結局、どれが直立毛なのか、これら長い毛が飾り毛なのか、そうでないのか、まったく分かりませんでした。(追記2016/04/03:Wikipediaによると、飾り毛(trichobothrium)は空気振動や流れを感知する感覚毛の一種のようです。普通の毛は先にいくほど細くなるのですが、飾り毛は先端まで同じ太さになっているみたいです

追記206/04/04:毛について詳しく書いてある文献がありました。

新島溪子、長谷川元洋、「日本産ツチトビムシ科(昆虫綱:トビムシ目)の分類 1.ナガツチトビムシ亜科およびヒメツチトビムシ亜科」、Edaphologia 89, 29 (2011). (ここからダウンロードできます)
一澤圭、「日本産アヤトビムシ科および近縁群(六脚亜門:内顎綱:トビムシ目)の分類―ニシキトビムシ科・オウギトビムシ科・アリノストビムシ科・キヌトビムシ科を含む」、Edaphologia 91, 31 (2012). (ここからダウンロードできます)

上の論文では、毛には通常毛(common setae, normal setae)、直立毛、感覚毛(sensillae, macrosensillae)、微細感覚毛(microsensillae)、飾り毛(trichobothria)があるとのことです。飾り毛は細くて長い毛とのことです。下の論文では、大剛毛(macrochaetae)、長感毛(bothriotricha)、小剛毛(common setae, microchaetae)、うろこ、それに毛穴に似た偽小孔があるとのことです。ここでいう、長感毛が上の飾り毛のようです。この毛は非常に長く、繊細で、ほぼ一様にケバがあり、腹部2節から4節に分布しているようです。これらから、飾り毛はふにゃふにゃした細くて長い毛というイメージです。上で印をつけた毛は大剛毛あるいは直立毛のようです。文献を見ると、細い毛の位置もすべて記録して、種の同定に使っているようです。ハエよりも細かい作業ですね



ついでに脚の爪を背側からも写してみました。主爪の両側に小さな歯が生えています。これが側歯なのかな。

毎日のように見ていると、いろいろと分かってはくるのですが、まだ、検索をしてみるところまでは達しません。もうそろそろ諦めようかと思って、今日は別のトビムシも調べてみたのですが、そちらはアヤトビムシ科になり、検索はもっと複雑そうです。トビムシは難しいですねぇ~。
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