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虫を調べる キオビコハナバチ?

先日捕まえたハチを2、3日前から調べているのですが、なかなか難しくて四苦八苦しています。タイトルにキオビコハナバチと書いたのですが、だいぶ怪しいので、そのつもりで見てください。



調べたのはこんなハチです。



体を曲げてしまっているので、体長がよく分からないのですが、黄色の点線に沿って測ってみると7.7mmになりました。後脚は後で検索にも出てくる刷毛でふさふさしています。



これは背側から撮った写真です。こういうハナバチは最近図鑑ができて詳しく調べられるようになりました。

多田内修、村尾竜起、「日本産ハナバチ図鑑」、文一総合出版 (2014).

この本の中には属、亜属、群までの検索表が載っています。この個体は検索してみるとコハナバチ科コハナバチ(Lasioglossum)属Evylaeus亜属carinate-Evylaeus群になるのですが、それから先の種への検索表は次の論文に載っていました。

R. Murao and O. Tadauchi, "A Revision of the Subgenus Evylaeus of the Genus Lasioglossum in Japan (Hymenoptera, Halictidae) Part I", Esakia 47, 169 (2007). (ここからダウンロードできます)

これを使ってさらに検索を進めると、最終的にはキオビコハナバチにたどり着きました。まだ、だいぶ怪しいのですが、一応、その過程を追いかけていきたいと思います。検索表で必要な部分だけ抜き出すと、次の表のようになります。



検索の項目が全部で15項目もあります。そこで、例によって写真に検索表の項目を書き込んだので、それを見ながら説明していこうと思います。実は、この検索表の最初の①についての写真を撮るのが一番大変でした。下唇鬚は通常はすぐに見えるのですが、この個体ではなかなか見つかりませんでした。その辺りの話から書いていきます。



まずは顔の写真です。頭盾に白いマークがあると♂になるのですが、これはないので♀です。また、♀では触角が短いという特徴もあります。口の下に細い毛のようなものが見えていますが、これは下唇鬚ではなくて小腮鬚の方です。



図鑑の説明を読むと、大顎が閉じていると、口器が隠れてしまうので、ピンセットで大顎を開いて舌を伸ばし、口器を見えやすい状態にしておいた方がよいと書かれています。この個体も大顎が閉じていたので、ピンセット2つを使ってちょっと開いてみました。確かに見えやすくなるのですが、ピンセットを放すとまた閉じてしまい、写真が撮れません。それで、大顎を外すつもりで強く両側に開きました。そうしたらうまい具合に、片方の大顎の先端が折れてしまい、中が見えるようになりました。この写真はその折れた方から写した写真です。図の矢印の方から、生物顕微鏡の対物レンズ10xを用いて撮ってみました。



右側が先端が折れた大顎です。小腮鬚の他に確かに下唇鬚が見えています。今度は斜め下から撮ってみました。



小腮鬚の他に下唇鬚も先端から3節ほど見えています。これでやっと検索表の①を確かめることができました。この写真は実体顕微鏡で撮ったものですが、生物顕微鏡を使ってもう少し拡大してみました。



こんな感じです。

次の②は中舌についてです。



これは口の裏側から撮ったものですが、中舌の先端は尖っています。ということで、①と②は確かめられたと思います。

後は検索表の順に追いかけずに、部位別に見ていきたいと思います。



口器が出たついでに、口の部分を斜め上から撮ってみた写真がこれです。口の中央に突起が出ています。これはdistal processと呼ばれているようです。種によっては先端が太くなったりしてその形が変化するみたいですが、これは細い形をしています。なお、右上にある白いものは取り付いていたダニです。



次は胸背を見たところです。ここではいろいろな項目が関係しています。まず、中胸背板が細かく点刻が入っています。種類によっては点刻は一様に入らず、部分的に入っている種もあるようですが、これはほぼ一様に入っています。後胸背板にはっきりした網目模様がある種もあるのですが、これは毛が生えていてよく分かりません。⑫の前伸腹節背面の長さというのは、多分、背面とその後ろ側にある垂直面を足したものだと思うのですが、特に長くはないので、中胸背板とほぼ同じ程度という方を選択しました。



⑩の前胸側面の隆起線は上の論文に図が出ていて、それと比べると、矢印の部分にはっきりした隆起線のある種があるようです。



これは前伸腹節垂直面についてです。稜が周囲を縁取っていることが分かります。これが⑨の項目です。



次は翅脈です。③の中脈がぐにゃっと曲がっています。これによりコハナバチ科になります。後は第3亜縁室が第1より小さくて、第2より少し大きいとか、第2肘間脈や第2逆走脈が径分脈や第1逆走脈に比べると細いというのも見ると何となく分かります。



次は後脚脛節末端にある距です。2本あります。初め、どちらの距のことを言っているの分からなかったのですが、後側の距には細い歯が3本ほど生えています。



趣味的に拡大したものがこの写真です。この性質はvulsum種群というキオビコハナバチが属する種群の特徴でもあります。



最後は腹部背板の話です。第1背板には細かい点刻があります。この点刻の分布は論文にも図が載っているのですが、中心部分に横長に点刻のある様子がキオビコハナバチのものとよく似ています。背板の前側には白い毛帯があります。(追記2016/03/25:ミスプリです。全部→前部に直しました

ということで、一応はキオビコハナバチの特徴は満足されたみたいなのですが、全体的には難しい検索で、その結果にはあまり自信がありません。図鑑によると、キオビコハナバチは♀の体長7~8mm、北海道から九州まで生息し、♀は3月から10月まで見られるようです。合っているといいのですけど・・・。
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