fc2ブログ

廊下のむし探検 最後の投稿

家の近くのむし探検 第459弾

3月28日に家の近くの中学校に行きました。今回はこの地域の写真を入れたカレンダーを作るのだそうです。私は虫ばかり写真を撮っているので、あまりカレンダー向きではないのですが、それでも、カレンダーにはどんなものを撮ればよいのかというような話をしてきました。

中学への行きしな、住宅の壁にこんな蛾が止まっていました。



翅が一様に半透明で中室端の黒条が見えるので、たぶん、ルリイロスカシクロバ。触角が鋸歯状なので♀。ところで、この写真を撮るとき困ったことが起きました。シャッターを押しても写真が撮れないのです。そして、忘れたころにガシャとシャッターが下りるのです。とうとう壊れたかと思って、いろいろ設定を変えたのですが、結果は変わりません。青い顔をしながら、この写真1枚だけを撮って中学校に向かいました。そして、途中で気が付きました。ひょっとしてセルフタイマーになっているのでは。調べてみると、確かにそうなっていました。でも、セルタイマーにするにはロックボタンを押しながらダイヤルを回さなければならないので、どうしてそうなったのだろう。

帰りにマンションの改修工事の時に通った公園にも行ってみました。この日は風が強くて、ちょっと写真には向かないなとは思ったのですが・・・。



葉の上に止まっていたタマバエが風で翅が広がり、こんな姿で必死に葉に捕まっていました。



桜の木にはハエが止まっていたのですが、名前はよく分かりません。

これでYahoo!ブログ「廊下のむし探検」は最後になります。2012年10月12日にブログを始めてから今回でちょうど2200回目となりました。今日まで日数を数えてみると2362日になるので、ほとんど毎日のように出していたことになります。身近にいる虫の名前ぐらいは知りたいなという単純な動機から始まったブログでした。初めは蛾以外はほとんど何も知らなかったのですが、この6年半、皆さんに助けていただき、また、多くの論文を読み、図鑑を買い漁り、少しずつ親しみある虫ができ始めました。まだ、集計が終わっていないのですが、たぶん、2500種くらいの動物の名前が分かったことになりそうです。そして、そのほとんどが昆虫です。

もう少しこのまま続けたかったのですが、今年末のYahoo!ブログのサービス終了に備えて、ここでとりあえずこのブログを終了したいと思います。といっても、今後も虫の名前調べを続けていきたいので、gooブログに新「廊下のむし探検」というブログを開設しました。今までと同じようにできるかどうか分かりませんが、こちらの方もまたよろしくお願いします。なお、植物や鳥などについては別のブログにしようかと思っていたのですが、はてなブログに開設した「里山散策」というブログにあまりに訪れる人がいないのでどうしようかと迷っています。gooブログは今後グループを選択して投稿するのではなく、ハッシュタグを使うようになるというので、ひょっとしたらそのまま新「廊下のむし探検」に載せるようになるかもしれません。


(「いらすとや」さんの可愛いイラストを転載させていただきました)

それでは、皆さん、さようなら。
スポンサーサイト



セキショウの花

3月24日に開かれた観察会で見たセキショウの花の構造がよく分からなかったので、昨日、もう一度撮影に行ってきました。ついでに少し採取してきました。



セキショウというのはこんな風に用水路脇に生えていたサトイモ科の花です。ショウブと同じでショウブ属に属しています。





今頃行くと、こんな風に花穂が見られます。花穂から細かく出ているのが雄蕊です。この辺の構造を調べてみました。



花穂を拡大して見ると、雄蕊が見られます。こういう風に整然と雄蕊が並んでいるように見えるのはまだ若い花穂です。



もう少し成熟してくるとこんな風にごちゃごちゃした感じになります。「牧野新日本植物図鑑」の説明を読むと、「花被6片は短く、外花被3片はほぼ平らな三角形、内花被3片はこれより小さくほぼ方形で共に円頭である。雄蕊は6個で・・・」と書かれています。まず、この辺りから調べてみます。



花穂の先端付近は雄蕊がまだ出ていないので、その辺りを実体顕微鏡で見てみました。花はこの写真のように花被で覆われています。見ると、外側が3枚、内側に3枚あります。たぶん、これが外花被と内花被だろうと思われます。さらに、中央付近に見えるのは雌蕊の柱頭でしょう。確かに外花被片は三角形で円頭というのがよく分かります。内花被が方形というのは分かりませんが・・・。



これはもう少し根元近くを写したものです。雄蕊がにょきにょきと生えてきていますが、黒矢印で示した両側の外花被片の下から出てきた2本が早く成熟しています。下の外花被片の脇からはまだ生えてきたばかりの雄蕊が見られます(赤矢印)。



これはもう少し成熟していると思われる花です。この場合は赤矢印で示した外花被片の下から伸びてきた雄蕊に加えて黄矢印で示したように上の内花被片の下から出てきた雄蕊が見られます。



これはさらに成熟していると思われる花ですが、上の内花被片に加えて、両側の内花被片からも雄蕊が伸びてきて全部で6本になっています。雄蕊の伸びる順番を書いてみると、写真のような順番になります。たぶん、両側の雄蕊はほぼ同時に伸びていると思われるので、共に1とか5とか番号をつけています。ただし、この順番は「日本の野生植物I」に書かれている順番とは異なっていました。この図鑑には、「外輪の1個にはじまり、左右の2個、次に内輪の3個へと、1個ずつ順に現れる」と書かれていたのですが、たぶん、「外輪の左右の2個、下の1個、次に内輪の上の1個、左右の2個と順に現れる」と書いた方がよいかなと思いました。



ところで、採集してきたセキショウの花で雄蕊が6本の花を探してみました。これがなかなか見つからない。やっと見つけたのがこの写真です。採集してきたのがまだ若かったのかもしれません。ともかく、セキショウの花が少しだけ分かってきました。

植物観察会で見た花 続き

3月24日に家の近くで植物観察会が開かれました。昨日、一部を報告したので、今日はその続きです。



最初は民家の間の道を歩いていたのですが、この頃から林の中の道を歩き始めました。最初に見られたのは斑入りのハカタシダです。この辺にはこんな斑入りのものがたくさん生えています。



ハカタシダのソーラスは中間でしたね。





こちらはオオハナワラビです。これもたくさん生えていました。フユノハナワラビとの違いは、1)葉の先端が急に狭くなる、2)鋸歯が鋭く大きいでした。鋸歯は確かに鋭く大きいですね。





林の中を通り抜けて再び民家のある場所にやってきました。ここからは畑の間を縫って林道にまで出ます。民家の近くにこんな花が咲いていました。これはアミガサユリ Fritillaria verticillata var. thunbergiiという中国原産の植物です。Wikipediaによると、鱗茎は貝母(バイモ)と言われ生薬として使われるのですが、貝状の2枚の鱗片が相対しているのでそう呼ばれるようになったそうです。





観察会ではフユヅタと教わったのですが、調べてみると、よく知っているウコギ科のキヅタ Hedera rhombeaのことでした。







ぽつぽつとアマナが咲いていました。可愛いですね。





近くにはキンポウゲ科のヒメウズの花も。これも可愛いですね。



ここから畑の間を通って山を少し上ります。横には細い用水路が走っています。その中にカキドオシの花が咲いていました。



水路脇にはサトイモ科のセキショウも生えていました。





セキショウにはこんな穂状の花が咲いていました。「牧野新日本植物図鑑」によると、雄蕊6本、外花被6片、内花被3片と出ています。それで、少し拡大してみました。



菱形の模様が並んでいて、そこに雄蕊が見えますが、どう見ても3本しか見えません。さらに拡大してみました。



菱形の中央にある6角形のものが雌蕊の柱頭のようです。「日本の野生植物I」によると、雄蕊は「外輪の1個にはじまり、左右の2個、次に内輪の3個へと、1個ずつ順に現われる」とのことです。そうやって見ると、黒矢印の部分にはまだ生えかけの雄蕊が見えています。たぶん、少しずつ生えていくのでしょうね。これはまだ若かったから3本だったということのようです。そう思って、今日は再び撮影に行きました。結果は追記で書く予定ですが、それでは6本になったものも見つかりました。



この辺りには確かヨシノアザミがたくさん生えていたなと思って見渡したら、こんなロゼットがいっぱいありました。



山道に入ってから、シキミ科のシキミ Illicium anisatumを見つけました。観察会の参加者が枝を折っていたので、それを借りて花を写してみました。



後で調べてみると、シキミは全体が有毒だそうです。特に果実は猛毒で、Wikipediaによると、神経毒のアニサチンのほか、シキミン、シキミトキシンなどが含まれているそうで、劇物に指定されているそうです。このことを知っていたら、きっと参加者は折ったりしなかったでしょうね。でも、シキミは仏事にには欠かせない植物です。



こちらはアセビ Pieris japonica japonicaです。この学名を見ると、まるでモンシロチョウみたいですね。これも毒性でしたね。



後は25日に復習に行ったときに写したものです。これはユキヤナギかな。





この花はミモザとよく呼ばれていますが、Wikipediaによると、それは誤用のようです。もともと、ミモザはオジギソウの属名だったのですが、フサアカシアを南仏から英国に輸入したときに葉が似ているので、ミモザと呼ばれたのがその起源だそうです。現在ではフサアカシアやギンヨウアカシアなどのアカシア属の俗称となっているようです。この花は小葉の形からギンヨウアカシア Acacia baileyanaのような感じですが、よく分かりません。

植物観察会で見た花

3月24日に家の近くで植物観察会が開かれました。虫だけでなく植物の名前も知りたくて、最近はできるだけ参加するようにしています。でも、さっぱり覚えられないのですが・・・。





最初は集合場所の神社で見た花です。スイカズラ科のウグイスカグラなのですが、毛が生えていたらヤマウスイスカグラ Lonicera gracilipesだということでした。「樹に咲く花」を見てみると、葉、葉柄、花、花柄に毛が散生するのをヤマウグイスカグラということでした。







一応、そのときに拡大写真を撮っておきました。花には毛は生えていないのですが、葉や花柄には生えているようです。従って、ヤマウグイスカグラということになるのですが、図鑑を読むと、むしろウグイスカグラがヤマウグイスカグラの変種で、中間のものも多いので、分ける必要はないのではと書かれていました。



フキはもうこんなに大きくなっていました。



これはよその家のモクレン Magnolia quinquepetaです。花が紫なので、シ(紫)モクレンとも呼びますが、ハクモクレンはまた別の種です。



遠くから見ると普通の木なのですが、下の方に白い花びらがいっぱい落ちています。







見上げるとこんな白い花が咲いていました。これは同じモクレン科のオガタマノキ Michelia compressaだそうです。実は、最後の写真は翌日に撮ったものです。観察会の当日はじっくり写真を撮る時間がないので、近くの場合は翌日に出直しています。この日は後述するホウライシダとヤマアイの雌花を撮りにもう一度行ってみました。



これはレンギョウです。レンギョウはいつも生垣などで花が咲いているのですが、これは見上げるように高い木でした。





これはサンシュユです。花がごちゃごちゃした感じなので、翌日に行ったときに拡大してみました。





黄色の花弁の他は意外に普通の花でした。



畑地にはツクシがいっぱい生えていました。もうみんな伸びきっています。ここはバス停だとどこが近いのかと参加者は来年採りにくることを考えていたようです。



それにシロバナタンポポ Taraxacum albidumです。「野に咲く花」によると、この花もセイヨウタンポポと同じ単為生殖だそうです。





水路脇の壁にはこんなカタヒバがたくさん生えていました。





同じ水路脇にはホウライシダ Adiantum capillus-venericも生えていました。このシダの写真がみなぶれていたので、翌日また撮りにいったのでした。「日本の野生植物シダ」によると、本州南部、石川、四国、九州、琉球に自生しているが、温室からの逸脱を考えた方がよいとのことです。



それで、トウダイグサ科のヤマアイ Mercurialis leiocarpaです。



花らしいものが咲いていたので、当日、撮影していたのですが、実はこれは雄花だったのです。それで、翌日、雌花を写しに出かけました。



雄花はたくさんあるのですが、意外に雌花が見つかりません。



ひょっとしてこの実のようになっているのが雌花かもと気が付きました。そういえば中間部分に雌蕊らしいものが付いています。「山に咲く花」によると、「雌花では2個の棒状体と1個の雌蕊がある」とのことです。どれが棒状体なのだろうか。



何枚か撮った写真を眺めていたら、雌花らしい花が写っているのがありました。この写真の下の方にある花です。上は子房が大きくなっていたのですね。その横にある長細いのがひょっとしたら棒状体かもしれません。写真だけだとなかなか分かりませんね。今回は「牧野新日本植物図鑑」の手書きの絵を参考にしました。まだ続きがあるのですが、それは次回に回します。

雑談)いよいよ「廊下のむし探検」が終わる日が近づいてきました。6年半続いたブログの最後はどんな風にしたらよいかなぁ。でも、あまり変わった趣向は考えられないので、普通に終わるかなぁ。4月1日からgooブログに「新『廊下のむし探検』」というのを始めるのですが、家族の意見では植物や鳥と虫は分けた方がよいかもということです。というのは虫嫌いの人が多いから、「むし探検」なんて名前がついていたら、植物の人は絶対見ないから。それもそうだなと思って、もう一つブログを立ち上げることにしました。ところが、gooブログはIDを変えないと作れないようです。その場合、いちいちログアウトとログインをしなければならないので、いっそ、先日作った「はてなブログ」を植物やら鳥専用にしたらどうかと考えています。ついでに2つのYahoo!ブログの移行先も「はてなブログ」にしたらよいかも。「はてな」では一つのIDでブログを3つ開設できるのでちょうどよいから。な~んて、いろいろと考えています。

廊下のむし探検 ハエ、キジラミ、ハバチ

廊下のむし探検 第1095弾

3月20日の分がまだ残っていたので、出しておきます。



最初はノミバエです。脛節に刺があるようなないような。無ければ、トゲナシノミバエ亜科になります。



次はユスリカの♀。翅に黒い筋が走っているのでヤマユスリカ亜科かな。



「図説日本のユスリカ」によると、ヤマユスリカ亜科であることを確かめるにはこの4項目を見ればよいことになっています。



こんな生態写真なのではっきりとはしないのですが、あえて見るとMCuがあるような気がします。そして、FCuはそれより基部側です。R2+3脈も辛うじてあるような感じです。ということで、怪しいながらヤマユスリカ亜科かなと思っています。ヤマユスリカについては以前詳しく調べたことがあります。その時はタカタユキユスリカになったのですが、今回は盾板の模様が違うので別種の様です。



真っ白になってよく分かりませんが、たぶん、いつも見ているクロツヤニセケバエ



このユスリカ♂はエリユスリカ亜科ではないかと思います。



これはキジラミの仲間です。キジラミについても以前調べたことがあります。その時はリンゴキジラミ属になって、その先の種の検索で行き詰ってしまいました。今回も一応、採集したのですが、膨大な検索項目があるので気合を相当入れないと駄目ですね。







こちらは翅脈に三分岐(triozine)が見られるので、トガリキジラミの仲間です。そして、たぶん、以前調べたサトオオトガリキジラミだと思います。





最後はハバチの仲間です。この仲間はどれも似ているので、慎重に見ていかないといけません。



「絵解きで調べる昆虫」には分かりやすい検索表が載っているので、それに従って調べていくと、ハバチ科マルハバチ亜科になりました。その手順を書いておくと以上のようになります。赤字は写真からよく分からなかった部分ですが、今見ると①は2枚目の写真で分かりますね。たぶん、ハバチ科は大丈夫だと思いますが、黒字の部分だけ写真で見ていきます。





ポイントになるところには検索の番号を書いておきました。写真を撮るときにはこんなところが分かるように撮らないといけませんね。これで3月20日分は終わりです。

雑談)この「廊下のむし探検」も後4日で終わりになります。投稿するときに、「Yahoo!ブログ サービス終了のお知らせ」と赤字で大きく出るのを見ると、早くやめろやめろと言われているようで、ちょっと寂しくなってしまいます。一応、4月1日からはgooブログの方に出すことにしますが、だいぶ落ち込んでいるのでどれだけ気合を入れて続けられるか不安です。5月になったらこの「廊下のむし探検」と「なにこれ生き物探検」は共に、「はてな」か「ライブドア」に移そうと思っています。前者は主に書庫として使い、後者はそのまま続けていこうと思っていますが、以前の記事へのリンクがみな消えてしまうし・・・。家族はやめる潮時だよというのですが、次にやることがまだ思いつかないので、もう少し続けるしかないかなと思っています。

廊下のむし探検 ハエ、カワゲラなど

廊下のむし探検 第1094弾

3月20日にマンションの廊下で見た虫の続きです。虫が増えてくるのは良いのですが、名前調べがだんだん大変になりますね。





タマバエが2匹いました。最近、手作り図鑑を作る際にタマバエも調べ直しました。両方ともLestremiinae亜科のCamplylomyaza属かなと思うのですが、Neurolyga属も触角にある感覚子の形状が違うだけだったので、よくは分かりません。



これはこの間から見ているヒラタコエグリトビケラだと思います。このトビケラについては以前調べたことがあります。





これは早春によく見かける小形のオドリバエです。今回は採集していたので、今日、調べてみました。結局、以前調べたオドリバエと同じだったようです。その時は翅がくしゃくしゃになって、Rhamphomyia属までしか調べられなかったのですが、今回は冷凍庫に入れておいたので翅は無事でした。代わりに触角がとれてしまったのですけど・・・。



R4+5脈が分岐していないので、Rhamphomyia属は確かそうです。そのほかに、黒矢印で示したようにCuA+CuP脈が翅縁にまで達していないこと、白矢印で示した小翅片裂刻が鈍角か直角、それに♂が合眼的というところから、ヒメオドリバエ亜属 Pararhamphomyiaの可能性があります。ただ、この亜属には34種いるので、種まではまだまだです。後脚第1跗節がずいぶん太い印象です。一応、顕微鏡写真を撮ったので、今度まとめて出す予定です。



これはこの間から調べているアミメカワゲラ科です。今のところ、一応、ヒメカワゲラ属だろうというところまで達しています。



この日はもう一匹カワゲラに出会えました。これはオナシカワゲラの仲間です。一応、採集したので調べてみたら、オナシカワゲラ属 Nemouraまでは達しました。これは♀だったのですが、後は腹部末端構造との比較です。



「原色川虫図鑑成虫編」に載っている図と比較すると、前生殖板と弱く節片化した部分などがケフサオナシカワゲラ Nemoura redimiculum♀とよく似ています。これではないかと思いました。詳細はまた次回にでも載せます。

虫を調べる アミメカワゲラ科(続き)

先日から、毎年、3月中旬から4月初旬にかけて現れるカワゲラを調べています。前回、科の検索をしてアミメカワゲラ科であることが分かりました。たぶん、科は大丈夫だと思うのですが、その後の属の検索でずいぶん苦戦を強いられています。まだ、確定的なところは分からないのですが、とりあえずこれまでに調べたことをまとめてみたいと思います。



まず調べているのはこんなカワゲラです。毎年春に出てくるので気になる存在で、以前にも調べたことがあったのですが、その時は科もはっきりしなくて挫折してしまいました。今回は「原色川虫図鑑成虫編」に載っている絵解き検索表のお陰で、科はアミメカワゲラ科で大丈夫そうですが、その後の属の検索で苦戦しています。体長は後からも出てきますが、16.4mm。このくらいの大きさはたぶん、中型に分類されるのだと思います。



先ほどの図鑑に載っているアミメカワゲラ科の属への検索表のうち、可能性のあるものだけを抜き出したものです。初め、黒字を進み、コウノアミメカワゲラ属 Todamusだろうと思っていたのですが、その後、⑫の項目で引っかかってしまい、現在では赤字の方を進んでヒメカワゲラ属 Stavsolusかなと思っています。この辺を写真で説明していきます。とりあえず、⑨~⑫まで進みます。なお、検索の番号は科の検索表との通し番号になっています。



これは胸部腹面の写真です。科の検索でも出てきたのですが、胸部側面に指状の鰓の痕跡のある種がいて、それではないことを確かめます。特に鰓と思えるものは見当たりません。



次は基腹板に関するものです。たぶん、線で示した部分が基腹板だと思うのですが、前胸の基腹板が隆起するか平らかを見ます。初め横から見て特に隆起がないので、ここは素通りしたのですが、検索表をよく読むと、分かりにくい時には、「基腹板の正中線に沿ってピンセットを動かし、頂部の硬い感触で判断するとよい」と書かれているので、写真の個体はこの部分がやや硬化しているので、ひょっとしてこれを隆起があるとすべきか心配になってきました。もし、ここで隆起のあるという方を選ぶと、その後の検索で、最終的にはアミメカワゲラ族所属不明に到達します。これも一応、留保しておきたいと思います。ここではとりあえず、隆起はないとして次に進みます。



これは前胸背板の縁に沿った溝は四角形というのでよいのだと思います。



これは腹部背面の写真なのですが、突起などはないので、とくによいでしょう。



さて、問題の中胸腹面にあるY線です。ご覧のようにY字型の溝は明瞭に見えます。また、左右の上側には腹板孔と呼ばれる穴が開いています。検索の項目はY線の先端がこの孔の前縁側に達するか、後縁側に達するかということです。初め、この写真からY線は途中で途切れていてどちらにも接しないと考え、⑫aを選びました。そうすると、コウノアミメカワゲラ属に達します。ところで、図鑑にはここにも注釈が書かれています。「Y線の先端がわかりにくいときは、バックを黒にするか、虫体を斜めにするなどの工夫で見やすくなることもある」とのことです。この写真ではどうひいき目に見ても、Y線は前縁に向かっているとすべきかなと思い、たぶん、その先端は前縁に達しているだろうと考え、最終的には⑫bの方を選びました。ということで、二つの可能性があるので、両方とも検索の続きを見ていきます。



まずは黒字側です。先端はやや分岐が激しくなっていますが、網目というわけではないので、⑬はOKとしました。



最後は大きさと色なので特に問題なく、したがって、コウノアミメカワゲラ属になります。



もう一方の赤字側を進むと、まず、Y字型の淡色部はないかという項目になり、特にないので、次に進みます。



次は後翅の縦横比です。後縁がくちゃくちゃになってうまく測れなかったのですが、とりあえず測ってみると2.12倍になり、検索表に載っている範囲(1.8~2.3)には入りました。



最後は腹部末端を背側から写したものです。jここがまた悩んだところです。まず、こんな形状のものは♂です。腹部背板に番号を付けたのですが、「第10背板は正中線上で割れ」というところでまた引っかかってしまいました。この写真では正中線上は凹んでいてよく分かりません。たぶん、中央で割れているのだろうと判断したのですが、次の「丸みを帯びた突起」がどれかはっきりしません。一応、可能性のありそうなところに印をつけたのですが、写真を横からも撮るべきでした。この項目は後翅の縦横比と並列になっているので、たぶん、大丈夫だとは思うのですが、それにしてもよく分かりません。標本は展翅をして乾燥してしまったので、また、次に採集した個体で調べてみたいと思っています。



ついでに腹面からの写真も載せておきます。図鑑にはヒメカワゲラ属の第7と第8腹板に小葉があるという絵が載っているのですが、白っぽく見える部分がそうなのか、よくは分かりません。

ということで、分からないことだらけなのですが、今のところ、Y線が前縁に達していると解釈すると、まず、ヒメカワゲラ属は確かだろうと思っています。ただ、コウノアミメカワゲラ属とアミメカワゲラ族所属不明の可能性も残しておきます。図鑑によると、日本産ヒメカワゲラ属 Stavsolusには4種記録されているのですが、そのうち2種は正体不明だとのことです。また、「日本産水生昆虫第二版」によると、2016年にOhgane and Uchidaの論文が出たのですが、多数のミスがあって修正が必要とのことで、まだ混とんとしているようです。残念ながら、この論文は手に入りませんでした。

廊下のむし探検 甲虫、カメムシ

廊下のむし探検 第1093弾

3月20日にマンションの廊下を歩いていて見つけた虫です。最近は暖かい日と寒い日が繰り返していますが、虫は確実に増えてきています。





最初はこのハムシです。後脚腿節が太いのでノミハムシの仲間であることは確かなのですが、名前はまだよく分かりません。確か、捕まえたと思うので、今度調べてみたいと思います。



ナナホシテントウもいました。







このゾウムシ。3匹もいました。以前、調べてムネスジノミゾウムシだろうということになったのですが、どうだか分かりません。



これはヒゲナガホソクチゾウムシ



これはたくさんいるムラサキナガカメムシ





似た種にセスジヒメナガカメムシがいるのですが、これは両方ともヒメナガカメムシではないかと思います。虫はまだたくさん残っているのですが、まだ調べてないので次回に回します。

雑談1)Yahoo!ブログが終了になるので、新しいブログに移ろうと思っているのですが、まだ、移動先で迷っています。最初にFC2ブログでテスト的に開設したのですが、スマホで見たときに広告がうるさいのと、入力がやや難しかったので、次に、はてなブログにしようと思ってこちらにもテスト的にブログを開設してみました。でも、昆虫関係のブログがまったく見当たらないのと、ブログの検索ができないとか、新着ブログを見ることができないとかで、ブログを投稿してもまったく反応がないのがちょっと寂しくなりました。それで、昨日はライブドアブログにも開設してみたのですが、こちらは投稿はしやすいのですが、検索と新着は同様で反応もはてなとほとんど同じでした。

そこで、Yahoo!で移行ツールは用意してくれないものの、ちょっと馴染みのあったgooブログでもブログを出してみました。このブログはYahoo!ブログとよく似ていて、虫関係のブログもそこそこあるので訪問者もいるし、新着ブログを見ることができ、ブログの検索もできるしと、何となくやっていて安心感があります。それで、新「廊下のむし探検」はgooブログで開こうと思っています。今あるYahoo!ブログははてなか、ライブドアのどちらかに移行して書庫として使っていこうと思っています。紆余曲折しましたが、今のところ、この可能性が高いです。

雑談2)今日は家の近くで植物観察会があったので参加してきました。歩けば30-40分ほどで行ける距離なのですが、それを4時間ほどかかって歩きました。寒くてぶるぶる震えるような天候だったのですが、アマナ、セキショウ、シキミ、ヤマウグイスカグラなどの花が見られ、植栽と植えられているモクレン、レンギョウ、サンシュユ、アセビなどが真っ盛りでした。観察会の様子はまた今度書きます。

家の近くのむし探検 河原で虫探し

家の近くのむし探検 第458弾

18日に家の近くにある河原に行ってみました。もう相当暖かくなったので、そろそろ虫も出ているかなっと思って。調べてみると、「家の近くのむし探検」と題して投稿したのは12月15日が最後でした。外ではほとんど虫を撮っていなかったようです。2月初めにかかった風邪の後遺症で咳がいまだに続いているので、外に出るのを控えていたこともあったのですが・・・。





まず最初にマンションを出てすぐの道端に点々と咲いているスミレに気が付きました。これはノジスミレかな。久しぶりに外で写真を撮るのでちょっとうきうきしました。急いで河原まで歩いていきました。





ぱっと見では虫の姿は見えないのですが、しゃがみ込んでじっくり見ていると、あちこちでもぞもぞ動いているのが見えてきます。これはシラホシコゲチャハエトリの♂。





これは小盾板に一対の白い筋があるので、アムールシロヘリナガカメムシ







こんなテントウがいました。これは「廊下のむし探検」初登場でなかったかな。マクガタテントウです。



コモリグモもかなりいます。このくらいの大きさだとちょっと引きますね。「日本のクモ」を見ると、ウズキコモリグモ辺りのPardosaに似ている感じです。「日本産クモ類」は買ったのですが、ちっとも活用していなかったので、ちょっと見てみました。Pardosaはオオアシコモリグモ属のことです。この属はオオアシコモリグモ亜科に含まれていて、日本産は25種です。外形的な特徴についてもいろいろ書かれてはいるのですが、ぱっと見で分かるのは、明るい正中斑と明るい側斑があって、第4脚の蹠節が膝節と脛節の合長より長いこと、後疣が前疣より短いことなどなどかな。蹠節というのは昆虫でいうと跗節第1節のことのようで、膝節は腿節と脛節の間の短い節を指すようです。このとき撮った写真をいくつか見てみたのですが、どれも第4脚にピントがあっていなくてよく分かりません。何となく、それほど長くもないような・・・。



そのすぐ近くで前に行ったり後ろに跳んだりと奇妙な動きをしている別の個体がいました。



しばらく見ていると前の孔から別の個体が出てきました。出てきたのが♀で、飛び跳ねていたのが♂なのかもしれませんね。





小さな小さなハムシがいたので、捕まえようと思ってチャック付きポリブクロを近づけたら逃げられてしまいました。しばらく見ていると、今度は色の違う個体が現れました。これも逃げられてしまいました。共にノミハムシの仲間なのですが、よくは分かりません。



これはシラホシコゲチャハエトリの♀。





例年この場所で見かけるハネカクシです。脚が黒いのでたぶん、フタホシメダカカネカクシではないかと思っています。



こちらはヒシバッタ。小さいので幼虫でしょうね。





河原に沿って用水路が流れているのですが、それに沿って歩いてみました。ここはいつもツクシが生えるのですが、どうなっているかなっと思って。ちょっと遅かったです。皆、こんな感じで伸びきっていました。探し回ってやっと生えたてのも見つけました。今年は早いのかな。





用水路沿いに建てられた塀にカワゲラの脱皮殻がついていました。



それにオドリバエ。どうも背景の方にピントがあってしまって駄目ですね。



帰りにマンションの廊下の天井に止まっている蛾も撮りました。これはウスベニスジナミシャク



二日前にも見たチャマダラキリガ



それにホソウスバフユシャクです。

虫を調べる アミメカワゲラ科

今頃になるとマンションの廊下にカワゲラが沢山出てきます。これまで、何度か調べようと試みたのですが、なかなかうまくいかなくて、私にとってカワゲラは「虫の空白区」になっていました。今年は何とかそれをクリアしようと思って調べてみました。



調べたのはこのカワゲラで、3月20日にマンションの廊下で見つけた中型のカワゲラです。頭部から前胸背板にかけての正中に黄色の縦帯が入っている、私にとっては馴染みのカワゲラです。毎年、3月中旬から4月初旬にかけて見ています。今年こそ何とか属ぐらいは調べたいなと思っています。

まずは科の検索からです。検索には「原色川虫図鑑成虫編」に載っている絵解き検索表を用いました。検索をしてみると、アミメカワゲラ科 Perlodidaeになったので、その検索過程を写真で見ていきたいと思います。



アミメカワゲラ科であることを確かめるにはこの8項目を確かめればよいのです。ほぼ、検索順に見ていきたいと思います。



まずは単眼の有無です。白矢印で示したように3個の単眼があります。これで①と⑥はOKになります。



次は跗節についてです。写真の通り、第3節が圧倒的に長いので、②も④もOKです。



この写真は腹部末端を後から腹側よりで写したものです。この単純な形から初め♀だと思っていたのですが、実は、これは♂の方みたいです。この写真からは一部だけ見えている尾が多節であることを見ます。



次は翅に関するものです。実は、検索表には後翅について出てくるのですが、ついでだから翅脈に名称をつけてみました。翅脈について書かれた論文がないかと探していたら、次の論文を見つけました。

O. Béthoux, "Wing Venation Pattern of Plecoptera (Insecta: Neoptera)", Illiesia 1, 52 (2005).(ここからダウンロードできます)

比較的に新しい論文で、昔のTillyardやNeedhamの名付け方と若干異なるのですが、まあ妥当な名付け方をしているように思えるので、新しい方を採用して名前を付けてみました。ScPは近縁の目ではScAがあるのですが、これにはないのでScPだけが残っているということみたいです。なぜ、Aではなく、AAなのかは最近の論文の名称に準じてそう名付けているようで理由は分かりません。



後翅は薄くて、殺虫管に入れておいたらくちゃくちゃになってしまいました。懸命に伸ばして途中までスライドガラスで押さえて写真を撮りました。それで、翅の基部がよく見えません。AA1脈より後縁側が臀部になるのですが、少なくともかなり広いことだけは分かります。AA1で折り返して前縁を越えるかどうかはよく分かりません。



これは体長を測るために撮った写真です。こんな風に体が曲がっているので、それに沿って測ってみると16.4mmになりました。検索項目⑦はどうでもよい項目ですね。



これは前胸と中胸を腹面から撮ったものです。側面に糸状鰓の痕跡はなさそうです。下にY字型の模様が見えますが、これが属の検索には出てきて、苦労したところです。



確認のために胸部側面も見てみました。やはり鰓の痕跡はなさそうです。ということで、アミメカワゲラ科までは確かそうです。

実はこの後の属の検索でだいぶ苦労しました。初め、コウノアミメカワゲラ属未記載種という結論に達したのですが、その後、検討した結果、ヒメカワゲラ属(アミメカワゲラモドキ属)ではないかと思っています。この属には正体不明の種も含まれ、検討が必要だとのことで、種までは達していません。属の検索については次回に回します。

雑談)この間からいろいろと失敗ばかりしています。まずは、そらさんに作ってもらった、画像をダウンロードするVBAのプログラムがブログを投稿するときにリサイズしたものをダウンロードするのだと思い込んでいました。それで、元のサイズの画像ファイルをダウンロードするプログラムを苦労しながら作ってみたのですが、実は元のサイズの画像ファイルがダウンロードされていたので、こんなプログラムはまったく必要ありませんでした。でも、練習にはなったかな。

次は、昨日フィギュアスケートを家族と見ていたら、広告にロシア語のものがあるというので、Windowsの言語にロシア語をダウンロードして検索で調べてみたら、風邪薬の名前だと分かりました。夜、パソコンの電源を切って、今朝つけてみてびっくり。あちこちがロシア語になっていて読めません。言語設定のところを開いてもロシア語だらけ。言語からロシア語を削除しても変わりません。これはウィルスかもしれないと思ってひやひやしたのですが、深度合成の計算に使っている古いデスクトップで調べてみると、言語設定の最初においた言語が「Windowsの表示言語」になると書かれていたので、再起動してやって日本語が復活しました。それにしても焦りました。

廊下のむし探検 蛾ほか

廊下のむし探検 第1092弾

3月16日にマンションの廊下で見た虫の続きです。



まずはウスベニスジナミシャク



これはハマキガの仲間だと思うのですが、図鑑を何度見直しても見つかりません。さて、何でしょう。





次はこんな蛾。たぶん、チビミノガの仲間だと思います。縁毛がまばらでなく、分布に近畿地方が含まれ、なおかつ早春に出てくる種としてはハルノチビミノガとハイイロチビミノガがあります。ハイイロは地色が暗灰色、ハルノは暗灰褐色というので、ハルノチビミノガかなぁと思っているのですが、よくは分かりません。



これはホソウスバフユシャク



こんなクモはサラグモの仲間かなぁ。



春キリガですが、こんな色のは見たことがないなと思っていたら、「日本産蛾類標準図鑑」には似たような配色の蛾がチャマダラキリガとして載っていました(2-091-19)。たぶん、それかもしれません。



これはマツヘリカメムシ



最後は早春の使いトビモンオオエダシャクでした。それにしてもグロテスクな。

雑談1)4月から、このブログを閉鎖して、はてなブログで新しくブログを始めようと思っているのですが、分からないことが多くて弱っています。一つはYahoo!ブログでカテゴリーというのがあって、毎回、科学>自然科学>生物学を選んでいたのですが、はてなブログにあるグループというのがそれに当たるのかどうかがはっきりしません。Yahoo!ブログでは、カテゴリーのページを見ると、投稿されたブログが次々見られるのですが、はてなのグループは単なる集まりのようでそんな感じがしません。そもそも、虫を扱ったグループはほとんど見当たりません。それで、たぶん、Twitterみたいに、ハッシュタグで検索するような形式を取っているのかもと思って、ネットを探すと、各ブログで設定する書庫に相当するカテゴリーがタグの役割を果たすと書いてあるサイトがあったのですが、肝心のブログ全体を検索することができません。「はてな検索」というのはあるのですが、ブログはほとんど引っ掛かりません。結局、はてなブログの中ではほかの人がどんなブログを出しているのかはほとんど分からないことになるのかな。とりあえず、これからは隠遁生活を送ることになりそうです。それもいいか。

雑談2)今日はカワゲラの検索をしてみました。



最初に調べたのはこのカワゲラです。この写真は3月16日に写したものですが、18日に廊下を歩いた時にもいたので採集しました。検索結果は予想通りアミメカワゲラ科のコウノアミメカワゲラ属 Tadamusの未記載種♀ではないかということになりました。以前は文章だけの検索表だったので苦労したのですが、「原色川虫図鑑成虫編」には絵解き検索表が載っているので検索が大変楽になりました。もう一匹はオナシカワゲラ科のオナシカワゲラ属 Nemouraの♀で、腹部末端の構造からケフサオナシカワゲラ redimiculumではないかというところまで達しました。また、次回に詳細を載せます。

廊下のむし探検 ハエ目

廊下のむし探検 第1091弾

3月16日にマンションの廊下で見た虫の続きで、今日はハエ目です。



最初はこのハエです。これまでに撮ってきた写真と比べてみると、トゲハネバエ科ではないかと思いました。トゲハネバエ科については以前調べたことがあります。この日は採集しませんでした。



これはタマバエ。先日、「手作り図鑑」の中に書いた亜科の検索表を見ると、Lestremiinae亜科ではないかと思います。亜科の検索には翅脈、跗節、単眼の写真が必要なのですが、前二者については撮影したのですが、最後の単眼は撮り忘れました。





これはこの間から見ているクロツヤニセケバエだろうと思います。



次はキノコバエ。この日はカワゲラの写真を撮ることに夢中で、キノコバエについてはこんな写真しか撮っていませんでした。



とりあえず翅脈を見てみました。翅脈の名称はMNDに従っています。R脈からM脈の基部にかけて暗色の斑紋があります。「新訂原色昆虫大図鑑III」の図版を見ると、こんなところに暗色斑にあるのはMycetophilinae亜科のMycetophila属みたいです。翅脈もMNDの図とよく似ています。たぶん、Mycetophilaかもしれません。ただ、「日本昆虫目録第8巻」によると、日本産のこの属には30種。種まではまだまだです。せめてもう少しはっきりした写真を撮ればよかった・・・。



これは何だか分かりませんでした。それで翅脈を見てみました。



翅の真ん中に中室(dm)があります。「絵解きで調べる昆虫」の絵解き検索表を見ると、中室があり、こんな風にCuA脈が回帰的になっているのはオドリバエ科みたいです。だとすると、捕獲脚はないし、R4+5脈が分岐していないので、Rhamphomyia属かもしれません。口器を見ないと本当かどうかよく分かりませんが・・・。



ガガンボは私にとっては虫の空白区になっています。何とかしないといけないのですが、標本にしようとするとこの長い脚がぼろぼろと取れて、無残になるので、どうも気が進みません。



最後はノミバエです。脛節に刺毛があるので、ノミバエ亜科です。触角の下の部分に何か飛び出していますが、これは口肢です。R4+5脈が分岐しています。体につやがあるので、ひょっとしてツヤノミバエ属 Burmophoraかなと思って文献を探してみました。

T. Goto, "A New Phorid Fly of the Genus Crinophleba from Japan (Diptera, Phoridae)", Kontyu, Tokyo 51, 376 (1983). (ここからダウンロードできます)

これはCrinophleba angustifronsの記載論文ですが、その後、Burmophoraに移されたようです。ぱらぱら見たのですが、よく分かりませんでした。

廊下のむし探検 カワゲラとトビケラ

廊下のむし探検 第1090弾

3月16日にマンションの廊下で見つけた虫たちです。この日はたくさんいたので、まずはカワゲラとトビケラからです。この両者とも私にとっては虫の空白区になっています。というのは、両方とも採集しない限り、科も調べられないからと比較的大きな個体が多いので、採集して標本を作ろうとすると、消毒用アルコールに浸けても、乾燥標本を作ってもかなりかさ張ってしまうからです。でも、今年は空白区をなくすというのが目標で、また、昨年、「原色川虫図鑑成虫編」というすばらしい手掛かりを得ることができたので、ちょっと挑戦してみたいと思っています。と言っても、この日は採集しなかったので、外観だけです。









今まで、尾のないカワゲラはすべてオナシカワゲラとして片付けていたのですが、このように翅に黒い模様のある種がいました。「原色川虫図鑑成虫編」には綺麗な図版が載っているので、絵合わせで見当をつけることができます。もっとも私自身は「絵合わせ」をやや批判してきたのですが、まず最初は絵合わせからですよね。で、絵合わせからは、これはオナシカワゲラ科フサオナシカワゲラ亜科のフサオナシカワゲラ属 Amphinemuraの中のモンオナシカワゲラ種群に含まれるようです。フサオナシの「フサ」は幼虫時代の鰓の痕跡を残しているという意味で、だいぶ前に写真を撮っていました。この種群には日本には4種いますが、本州産はモン、ヤマモン、サトモンの3種です。これらは分布域が重なっているので、調べないと分かりません。図鑑によると、♂では肛上板を側面から見るとかなりの違いがあるので分かりそうですが、♀ではむずかしいとのことです。一度、採集してみようと思います。この日は4匹いました。





次はこんな細長いカワゲラです。これも以前はオナシカワゲラとしていたのですが、先ほどの図鑑で調べてみると、ホソカワゲラ科のようです。ただし、属を調べるには、前胸基腹板と♂腹部第10背板を調べないといけないのでやはり採集必須です。



これは脚の色や前胸背板、頭部の色などで判断すると、オナシカワゲラ科のNemouraとかProtonemoura辺りが似ていますが、写真だけではどうしようもない感じです。



これは毎春、マンションの廊下で見かけるカワゲラです。5年ほど前に採集してアミメカワゲラ科まではたどり着いていたのですが、そこでストップしていました。この時、悩んだのは幼虫時代の鰓の痕跡の有無でした。今回は図鑑があるのでなんとかなるかもしれません。まだ、採集はしていないのですが、絵合わせではコウノアミメカワゲラあたりのTodamusが似ている感じです。



最後のこのカワゲラ、最初、オナシカワゲラ科かと思ったのですが、横っちょに小さく尾が見えています。それで分からなくなりました。ということで、この日はカワゲラは大きく分けて5グループいたことになります。なぜこんなに水生昆虫であるカワゲラがいるかというと、近くに比較的綺麗な川が流れているからだと思います。





次はトビケラです。これも空白区です。トビケラは外観が似ているので、採集しないとどうしようもありません。今回のこの2匹については下顎肢の節数が上は3節、下は5節なので、それぞれ♂と♀になります。この種については以前調べたことがありました(こちらを見てください)。その時はコエグリトビケラ科のヒラタコエグリトビケラになりました。たぶん、それと同じだと思います。とりあえず拡大して見ると、単眼があります。トビケラは単眼の有無で大きく2グループに分かれます。その後、脚の距の数と翅脈で科が分かります。この種については何度かしらべたことがあるので、ここから探してみてください。

残りの虫は次回に回します。

雑談)昨日書いたようにとりあえず4月1日から「はてなブログ」に移り、新しく、新「廊下のむし探検」を始めようと思っています。と言っても、何か新しくできるわけでもないので、今までやってきたことを続けるだけですけど・・・。はてなブログを見てみたのですが、同じようなことをやっているブログはまったく見つかりません。まぁ、一人寂しく続けていくことになりそうです。

廊下のむし探検 雑談(ブログの移行について)

雑談1)ブログの移行に関しては、この間からいろいろと検討してきました。今日、はてなブログに登録してためしに投稿してみました(こちらで見られます)。図のサイズを変えるのがやや面倒なのですが、それ以外は非常に単純で使いやすい感じでした。FC2ブログも先日登録して使ってみたのですが、多くの自由度がある分、意外に複雑でなかなか理解できませんでした。

それで、移行先ははてなブログにしようと思っています(気が変わるかもしれませんが・・・)。はてなブログでは1つのアカウントで3つのブログが開けるので、そのうち1つを使って、「新『廊下のむし探検』」として新しくブログを開設しようと思っています。残りの1つは今の「廊下のむし探検」をそっくり移行してアーカイブとして使い、残り1つは「なにこれ生き物探検」を移行し、これはそのまま使っていこうかなと思っています。ブログを新しく作るのでいつから始めてもよいのですが、一応、きりの良い4月1日から新しいブログに移ろうと予定しています。その時になったら、移転先を書いたブログを出すことにします。今あるブログは移行ツールができる5月9日以降に移行しますが、転送設定をしないと12月15日まではYahoo!ブログにそのまま残るということなので、そのまま開いておくつもりです。しばらくはばたばたするとは思いますが、よろしくお願いします。

雑談2)今、ホームページに置いている画像リストもリンク先がYahoo!になっているので、12月15日以降は使えなくなるのですが、うまくいくとリンク先をEXCEL上で入れ替えるだけでそのまま使えるようになるかもしれません。はてなブログのブログ記事と写真のリンク先は比較的に簡単で次のようになっています。


これは私が先ほど作ったはてなブログの例になるのですが、ブログ記事に関しては投稿の日付(2019/03/19)と何らかの通し番号になっています。また、画像についても同様で、投稿の日付(20190319)と投稿の日付を含んだ通し番号になっています。移行したブログから、もしこれらの情報が取ってこれるなら、今までの情報と突き合わせることで置き換えも可能になるかもしれません。もっともEXCELのVBAを相当勉強しないといけないとは思いますが・・・。(追記2019/03/19:ブログ記事のURLのうち、"entry/"に続く部分は実は自由に変えられるようです。編集→編集オプション→カスタムURL

チビカサハラハムシ?

この間から、カサハラハムシ類の同定で悩んでいます。以前、3つの文献に載っている検索表を使って、チビカサハラハムシか、カサハラハムシのどちらかだろうというところまではたどり着いたのですが、この2つの外部形態的な区別が結局のところ、触角第2節と第3節の長さの比と体長くらいでしかできないことが分かりました(こちらこちらをご覧ください)。つまり、触角第2節の方が第3節より明瞭に長く、体長が2.2mm~3.0mmだとチビカサハラ、第3節の方が明瞭に長くて体長が3.0mm~4.0mmだとカサハラという具合です。ただし、体長は文献によって多少異なり、また、「明瞭に」というのがくせものです。

それで、何匹か採集して、触角の節の長さと体長を測ってみました。



最初は前回調べたこの個体です。





体長は2.5mm、触角第3節は第2節の0.86倍だから、これはまずチビカサハラハムシだとしてよさそうです。



次はこの個体です。





この個体はかなり問題です。体長は確かに小さいのですが、第2節に対する第3節の長さの比は1.1になっています。



次はこの個体です。





これも触角は微妙ですが、体長が小さいのでまずチビカサハラかなぁ。



最後はこの個体です。





この個体の体長はやや大きめ、触角の節は右と左で多少違っていました。片方はチビカサハラ的、もう片方は中間的。だから、やはりチビカサハラかなぁ。

4匹も調べたのですが、どれもチビカサハラとしてよいのか、それとも下から3番目の個体はカサハラとすべきなのか、さっぱり分かりません。何となく、体長だけから見ると、すべてチビカサハラにしてもよさそうな気がするのですが、その場合は触角の長さは第2節の方が明瞭に長いではなく、この程度のばらつきがあると考えなければならないことになります。それとも、測り方に問題があるのかなぁ。とにかくはっきりしなくて弱っています。早く、体長がもう少し大きく、明確にカサハラだと分かる個体を捕まえてみたいです。

雑談1)「Yahoo!ブログ サービス終了」問題になお悩んでいます。今のところ、Yahoo!が示した4つのブログか、Yahoo!からの移行ツールがすでに用意されているFC2ブログのいずれかに移行しようと思っています。ただ、今までのようにブログに全幅の信頼をおいてこれをデータベースの基礎にしようとする気はまったくなくなってしまいました。それで、例えば、顕微鏡写真を使った「虫を調べる」シリーズだけは、ホームページに置いた方が例えブログがなくなっても、リンクだけはそのまま残るのでよいのかなと思ったりしています。もっとも、ホームページ自体もいつなくなるか分かりませんが・・・。電子メディアは便利ですが、所詮こんなに脆いものなのですね。

雑談2)それに関連して、Yahoo!ブログをリネームしてダウンロードするEXCELのVBA(Visual Basic for Application)を用いたプログラムをそらさんに作っていただきました。画像ファイルだけをダウンロードするルーチンではちょっと不具合が出てきたのですが、またしてもそらさんに直していただきました。本当にありがとうございました。自分でも少しはプログラミングを理解したいと思って勉強を始めたのですが、内容を理解するにはまだほど遠い感じです。EXCEL自体はよく使っていたのですが、VBAはまったく知らなかったので、知らないことが多くて、勉強していてなかなか面白いですけど・・・。

廊下のむし探検 甲虫、ハエなど

廊下のむし探検 第1089弾

3月12日にマンションの廊下で見た虫の続きです。3月半ばなので、虫もそろそろ見られるようになりました。



まずはナミテントウ



それにいつものムラサキナガカメムシ



これが最近の悩みの種です。たぶん、チビカサハラハムシだと思っているのですが、カサハラハムシとの違いが触角第2節と第3節の長さの違いです。第2節の方が長ければチビカサハラ、短ければカサハラなのですけど。また、体長が2.2~3.0mmだとチビカサハラ、3.0~4.0mmだとカサハラと書かれている論文もあります(詳細はこちらを見て下さい)。実際に採集して測ってみると・・・。体長は2.9mm、触角については第2節:第3節が1:1.01、1:0.85と左右で異なります。チビカサハラかなと思うのですが、断言ができないところがつらいです。



これはノミバエ科ノミバエ亜科です。



これはたぶん、エリユスリカ亜科。



これはマルトゲムシ科のMicrochaetes属。時々見ます。



それにナナホシテントウ



これはこのマンションではたくさん見ます。ヒゲナガカワトビケラです。



それに何の気なしに撮ってしまったクモ。こんな写真では何だか分かりません。





これは共にクロバネキノコバエ科だと思います。捕まえて属を調べればよいのですが、以前、調べたときのように前脛節末端の櫛状剛毛列を写すのが大変で、つい敬遠してしまいます。



これはタマバエ科です。この間、手作り図鑑に書いた亜科の検索表で調べてみました。たぶん、Lestremiinae亜科までは確かそうです。



最後はシマバエ科のSteganopsis dichroaです。

廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第1088弾

3月12日にマンションの廊下で見つけた虫です。今日はまず蛾だけです。



これは冬尺の仲間で、シロトゲエダシャクです。



これはこの間から見ているウスベニスジナミシャク







問題のカバナミシャクですね。厄介な仲間です。上から、ウスカバナミシャクナカオビカバナミシャクソトカバナミシャクかなと思ったのですが、よくは分かりません。これからもっともっとたくさん出てきます。



これはまた、ウスベニスジナミシャク



最後はシロテンエダシャクでした。今夜はマンションの会議があったので、今慌ててこれだけ調べました。

雑談1)これまで出したブログはすべてダウンロードし終わり、やっと自分用の画像リストは作れるようになったと喜んでいたのですが、ブログを移行しても自分の過去のブログにリンクしたものがみなトップページにリンクされてしまうと知ってちょっとショックを受けています。やはり、ブログなんかに頼ったのが間違いだったなと今更ながら後悔です。もう、過去のブログは捨てて、新しくやり直そうかと思って、FC2ブログに登録してみたのですが、まだ、使い方が分からず、試行錯誤をしています。

雑談2)チビカサハラハムシとカサハラハムシの違いが触角第2節と第3節の長さの関係で決まるということで、この間から4匹ほど採集して調べてみました。第3節が第2節より明瞭に長ければカサハラ、明瞭に短ければチビカサハラ。ところが測定してみると、ちょうど中間あたりになるものがかなりいます。おまけに左右の触角で違っていたり。何が何だか分からなくなりました。

雑談3)ブログのダウンロードが終わったので、ちょっと余裕がでてきました。それで、「手作り図鑑」の作成を再開しました。今回は「気まぐれ写真図鑑」の「シダを観る」と「トンボ」をホームページにアップしました。「気まぐれ写真図鑑」というのは私の住まいである大阪北部で撮った写真を中心にして、あちこちへ行ったときに撮った写真を加えた図鑑もどきのものです。また、タマバエ科に亜科の検索表を加えました。「図鑑」も少しずつ作っていきたいと思います。

廊下のむし探検 ハエ、クモなど

廊下のむし探検 第1087弾

3月11日にマンションの廊下で見つけた虫の続きです。と言っても、残りはハエとクモぐらいですが・・・。



最初はいつも見ているナミネアブラキモグリバエです。まだ、ちょこちょこいます。



これはシロカネグモ類の幼体でしょうね。



床の白い帯の幅が3mmなので、体長は6mmくらいでしょうか。後体節第2背板に白い模様がかすかに見えるので、ひょっとしたらヨツボシオオアリかもしれません。



これはササグモ





これは脛節に刺があるのでノミバエ亜科でしょうね。こんな姿で壁をどんどん登っていきました。



たぶん、ヒラタカゲロウ科の♀でしょうね。♂だと「原色川虫図鑑成虫編」に属の検索表が載っているのですが、♀だとありません。ただし、次の文献を紹介していました。

J. M. Webb and W. P. McCafferty, "Heptageniidae of the World. Part II: Key to the Genera", Can. J. Arthropod Identification No. 7, 1 (2008). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

この論文の中に♀の属への検索表も載っていました。今度、一度、試してみるかな。



最後はコカニグモです。



こうやって接近して撮っていたら、こんな風に威嚇してきたのですが、ハエトリグモと違い、眼が小さいのであまり迫力はないですね。

雑談)今日、やっと自分のブログのダウンロードが終わりました。そらさん、どうも有難うございました。後は自分用の画像リストを作るだけですが、これはブログの移行が済んでからにしようかと思っています。

雑談(追記))「Yahoo!のサービス終了」に関するQ&Aを読むと、ブログの記事内でYahoo!ブログにリンクしていた場合は12月16日以降はすべてがリンク切れになり、すでに移行して転送設定した場合はその時点から移行先のトップページにリンクされることになるようです。つまり、特定の記事にはリンクされないということになります。移行しても、記事内で過去の記事にリンクしていたものに関してはめちゃめちゃになるということですね。だんだんやる気がなくなってきた・・・。

廊下のむし探検 甲虫

廊下のむし探検 第1086弾

3月11日にマンションの廊下で見つけた虫の続きです。この日は甲虫が多かったのですが、甲虫はなかなか難しいですね。





今日の最初はこの間から調べているこのハムシです。大きさからたぶん、チビカサハラハムシだと思うのですが、共に採集したので、今度、触角を見てみます。



これは以前から見ている外来種です。マルトゲムシ科のMicrochaetes属までしか分かっていません。もっともそれも自分で調べたわけではないのですけど・・・。





これもこの間からたびたび見ています。ユアサハナゾウムシです。



これはたぶん、ヒゲナガホソクチゾウムシだと思います。



次はこのハネカクシです。今年は虫の空白区をなくそうと、ハネカクシにもちょっとアタックしてみました。この間、検索表を調べてみたので、今回は採集して検索してみました。予想はハナムグリハネカクシ辺りなのですが・・・。

A. Brunke et al., "Staphylinidae of Eastern Canada and Adjacent United States. Key to Subfamilies; Staphylininae: Tribes and Subtribes, and Species of Staphylinina",  Canad. J. Arthropod Identification No. 12 (2011).(ここからダウンロードできます)

この論文に載っている亜科の検索表を使って検索をしてみたところ、予想通り、ハナムグリハネカクシが含まれるヨツメハネカクシ亜科 Omaliinaeであることが分かりました。この亜科の特徴は単眼を持つことなのですが、実際に写真に撮ってみると次のようになりました。



確かに単眼が2つあります。これで、四つ目になるのですね。ただし、日本列島の昆虫全種目録(2018年)」によると、この亜科には日本だけでも28属185種。まだまだ先は長いですね。

Y. Watanabe, "A taxonomic study on the subfamily Omaliinae from Japan (Coleoptera, Staphylinidae)", Memoirs
of the Tokyo University of Agriculture 31, 55 (1990).

この論文にこの亜科についてまとめた話が書かれていると思われますが、たぶん、博士論文で、ネットでは手に入りません。



ついでにこのハネカクシも採集して亜科を調べてみました。これはヒゲブトハネカクシ亜科 Aleocharinaeだろうということが分かりました。この亜科には106属367種。いったい誰が調べたのでしょうね。いずれにしても、顕微鏡写真を撮ったので、今度、検索過程を出すことにします。



最後はこれ。1mmちょっとくらいしかないような小さな甲虫です。これがよく分かりません。ヒメマキムシ科あたりを探してみたのですが、さて、何でしょう。

雑談1)今日は「気まぐれ写真図鑑」の「シダを観る」の見直しをしました。昨年末に高槻の観察会で教えていただいた種も加え、亜種・変種を入れて全部で90種になりました。もっとも怪しいものばかりですけど・・・。もうじきホームページに載せられると思います。

雑談2)この間から自分のブログのダウンロードをしているのですが、全部で2200件あるうちの90%が終わりました。単純作業で、やっているとすぐに眠くなってしまうので、毎日、少しずつやっています。でも、今週中には終わりそうです。

廊下のむし探検 カメムシ、蛾

廊下のむし探検 第1085弾

3月11日にマンションの廊下で見た虫です。この日は甲虫が沢山いたのですが、まだ整理がつかないので、先にカメムシと蛾を出します。



これはセスジヒメナガカメムシ



最近、いっぱい見るムラサキナガカメムシです。



これはアカモンナミシャク



白点がはっきりしないけど、シロテンエダシャク



これからは苦手なカバナミシャクの季節ですね。これはたぶん、ソトカバナミシャク



最後はウスベニスジナミシャク

雑談)Yahoo!ブログも今年の8月31日で投稿や修正ができなくなり、12月15日にはすべてが消えてしまうということで、どうも投稿に熱が入りません。それなら、早く別のブログに移行した方がよいかもしれませんね。でも、移行先もいつサービス終了になるのか分かりません。ブログも何となく風前の灯のような気がしてきました。ブログがなくなったら、こんな虫の話はいったいどこにどう出したらよいでしょうね。もともとただなんだから、しかたないんじゃないとは家族の言葉ですが・・・。

廊下のむし探検 ハエ目

廊下のむし探検 第1084弾

3月9日にマンションの廊下で見つけた虫の続きで、今日はハエ目です。



まずはユスリカの♀です。写真が鮮明でないのでよく分からないのですが、たぶん、エリユスリカ亜科のヒロバネかニセヒロバネあたりではないかと思います。大きさを測らなかったので、写真だけだと大きさがよく分からないのですが・・・。







次はタマバエです。最初の2枚は同一個体で、3枚目は別個体です。この間、手作り図鑑でタマバエ科をまとめたのですが、こうやって写真を撮ると、いつもタマバエ科としか書けないのが残念なので、今日は亜科の検索をしてみようと思いました。ただ、手作り図鑑にも書いたのですが、最近、亜科の分類体系が変わってしまったので、MNDの検索表そのままではうまくいきません。それで、分類体系を現在用いられているものに直し、さらに、日本産に限るようにした亜科の検索表を作ってみました。



まだうまくいくかどうか十分に調べていないので、「試案」ということにしていますが、とりあえず、これを使って先ほどのタマバエ2種を調べてみました。



検索のポイントとなるのは、1)翅脈、2)跗節、3)単眼です。単眼はどの写真にもはっきり写っていなかったので、それ以外の形質で見ることにしました。最初のタマバエの場合、①b→⑤bと進み、Cecidomyiinae亜科になりました。なお、翅脈の名称はMNDの方式に従いました。



2番目の個体では①a→②b→③b→④bと進み、Lestremiinae亜科になりました。本当かどうか分かりませんが・・・。ともかく、生態写真を撮るときには、1)翅脈、2)跗節、3)単眼。この3点が写るようにする必要があります。





これもタマバエなのですが、翅脈が写っていないので駄目でした。



これはナミネアブラキモグリバエ。3月になってほとんどいなくなりました。





このノミバエ。触角が非常に変わっています。脛節に刺が出ているので、ノミバエ亜科は確かそうですが・・・。どうやって調べて行ったらよいのか分からないので、画像検索をしてみました。どうやらConicera属がこんな触角をしているようです。それで、一度、属の検索をしてみようと思いました。属の検索表はちょっと古いですが、次の論文に出ています。

金子清俊ほか、「日本産ノミバエ科に関する研究 第1報」、衛生動物 12, 238 (1961) (ここからダウンロードできます)



Conicera属であることを確かめるには①~⑥を確かめればよいのですが、ついでに亜属の検索をしたら、Conicera亜属になったので、それも⑦として入れています。このうち、①、④辺りは写真だけではよく分からないのですが、ほかの項目を調べてみました。



ポイントとなるところには検索の番号を入れています。たぶん、⑥の触角に関する記述がかなり重要だと思われ、書かれている通りなので、Conicera属、さらにはConicera亜属であることは確かでないかと思っています。「日本昆虫目録第8巻」によると、この亜属にはトゲヅノノミバエ dauciだけが載っています。これかもしれません。ただし、日本産ノミバエ科の解明度は10%未満なので、何とも言えませんが・・・。なお、翅脈の名称はMNDの方式に従いました。



これもノミバエ亜科で、R2+3脈があるので、別の属になります。ただ、ここからは中胸側板の毛を見たり、後脛節背面の毛列を見たりしないといけないので、ここから先は進めません。何となくDiploneura属かなと思うのですが・・・。



次はこれ。跗節第1節が膨れています。フンコバエです。さらに、脛節が黄色と黒の帯になっています。たぶん、マダラオオフンコバエではないかと思います。



最後は、この間から見ているクロツヤニセケバエではないかと思っている個体です。これで9日に見た虫は終わりました。

雑談)「Yahoo!ブログ サービス終了」に備えて、今まで作ってきたデータベースを生かすために自分のブログのダウンロードをしています。全部で2200件ほどあるのですが、その70%ほどが完了しました。あと少しです。そらさんにEXCELのVBA(Visual Basic for Applications)を使ったマクロを作っていただいたのですが、自分でも少し勉強してみようと思って、ネットに載っている入門講座を読み始めました。なかなか面白いです。まだ、四則演算ができたところですが、基礎的なところだけでも理解してみようと思っています。

廊下のむし探検 ハネカクシ、蛾など

廊下のむし探検 第1083弾

3月9日にマンションの廊下で見つけた虫です。



うーむ、ハネカクシですね。たぶん、ハナムグリハネカクシあたりだと思うのですが、ハネカクシは私にとっては虫の空白区になっています。今年は何とか、少しは手を出したいと思っています。それで、例によって検索表の載っている文献を探してみました。



まずは亜科の検索です。日本産の亜科については「日本列島の昆虫全種目録(2018年)」に載っている亜科を左欄に書きました。ついでに、属の数と種の数をその右の欄に書いています。実に2383種もいるのですね。どうしようもない感じです。右の3つの欄は次の文献に出ていた検索表でこれらの亜科が扱われているかどうかを〇印で示したものです。また、欄外には日本産の亜科にはないものを列挙しました。

[1] A. Brunke et al., "Staphylinidae of Eastern Canada and Adjacent United States. Key to Subfamilies; Staphylininae: Tribes and Subtribes, and Species of Staphylinina",  Canad. J. Arthropod Identification No. 12 (2011).(ここからダウンロードできます)
[2] Mike Hackston, "Family Staphylinidae key to UK subfamilies" (2019).(ここからダウンロードできます)
[3] C. E. Tottenham, "Staphylinidae Section (a) Piestinae to Euaesthetinae", Handbooks for the Identification of British Insects Vol. IV, Part 8(a) (1954).(ここからpdfが直接ダウンロードできます)

だいたいは網羅しているので、とりあえず、亜科までは何とかなりそうです。上の個体がもしハナムグリハネカクシ類 Eusphalerumだとすると、ヨツメハネカクシ亜科Omaliinaeに属するため、単眼のあることだけを確かめると亜科を確かめることができます。ただし、文献[1]によると、Eusphalerum属とPycnoglypta属では単眼が明瞭でない場合もあるそうです。この日は採集しなかったのですが、今日は採集したので、頑張って亜科の検索をしてみたいと思います。

追記2019/03/12:文献[2]は更新されていたので、それに従って表の内容も変えました。文献[2]の著者のMike Hackston氏は甲虫を中心に、ハエ、ハチを始め、あらゆる昆虫の英国版絵解き検索表を発表されている方で植物も調べられておられるようです。たぶん、アマチュアの方だと思います。ResearchGateによると英国のKings Schoolという中高一貫校にお勤めのようです。それにしても精力的にやられているのには感心します。私もこの方を見習いたいと思いますが、とてもとてもそこまで追いつきません





次はこの蛾ですが、調べても名前が分かりません。なんか翅の形が変な感じなのですけど・・・。



これはホソウスバフユシャク





オナシカワゲラの仲間です。カワゲラも実は私にとっては空白区になっています。



これはマンションの外で見つけたテングチョウ



ついでに3月4日に天井に止まっていた蛾を出し忘れたので、出しておきます。たぶん、ウスベニスジナミシャク。残りはハエ目が残っているのですが、これは次回に回します。

虫を調べる チビカサハラハムシ?(続き)

昨日の続きで、チビカサハラハムシらしい個体を検索した結果です。



対象としたのは2月20日にマンションの廊下で見つけたこの甲虫です。昨日は以下の二つの文献に載っている検索表で検索した結果、チビカサハラハムシになったのですが、今日はその続きでさらに別の文献に載っている検索表で調べてみました。

[2] S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. IV", J. Fac. Agri., Kyushu Univ. 13, 235 (1964). (ここからダウンロードできます)

今日、調べたのは次の論文に載っている検索表です。

[3] M. Isono, "A Revision of the Genus Demotina (Coleoptera, Chrysomelidae) from Japan, the Ryukyus, Taiwan and Korea, I", Jpn. J. Ent. 58, 375 (1990). (ここからダウンロードできます)
[4] M. Isono, "A Revision of the Genus Demotina (Coleoptera, Chrysomelidae) from Japan, the Ryukyus, Taiwan and Korea, II", Jpn. J. Ent. 58, 541 (1990). (ここからダウンロードできます)



チビカサハラハムシ decorataとカサハラハムシ modestaに至る経路を書いてみると以上のようになります。この両者を区別するところは④で、結局、触角第2節と第3節の長さの比較で決まります。ただし、文章が間違っていて、短い→長い、長い→短いに直さないといけないのですが・・・。結局、ほかの文献と同じでしたが、一応、この検索表に沿って調べていきます。



まず、オオアラゲ種群を区別するところは今回は前胸腹板の幅と長さの関係でした。この個体で実際に測ってみると、長さ:幅=1:1.05となり、長さと幅はほぼ等しいことが分かりました。



次はマダラアラゲ種群を見分ける項目で、この個体では肢の脛節には何の模様もありません。従って、カサハラ種群であることが分かります。



これはこれまで何度も出している写真ですが、腹部末端の歯車状の構造の有無についてです。今回は一応無しという判断にしています。



で、最後は、結局、触角第2節が第3節より長いので、チビカサハラハムシ decorataであることが分かります。3つの検索表を比べてみたのですが、チビカサハラハムシかどうかは触角の節の長さで測るしかないようです。

ついでに撮った写真を載せておきます。



頭部の拡大です。こんな顔をしていました。



後腿節の腹側にある歯状突起です(黒矢印)。



写真が鮮明でないのですが、脚の爪です。こういう風に2裂している状態を"bifid"というのでしたね。

虫を調べる チビカサハラハムシ?

この間、雑談で書いたカサハラハムシ属の種の検索をしてみました。



対象としたのは2月20日にマンションの廊下で見つけたこの個体です。カサハラハムシについては亜科、属の検索は以前詳しく書いたので、ここでは省略し、残りの種の検索をやってみます。カサハラハムシ類はカサハラハムシ属 Demotinaに属しています。「日本列島の甲虫全種目録 (2018年)」によると、カサハラハムシ属はサルハムシ亜科Bromiini族に入り、日本産は全部で14種。そのうち、本州産は9種分布することになっています。今坂正一氏の「最新ハムシ事情図説6 カサハラハムシ属紹介1」、「最新ハムシ事情図説7 カサハラハムシ属紹介2」によると、これらはオオアラゲ種群、マダラアラゲ種群、カサハラ種群に分けられ、さらに、カサハラ種群はフタモンアラゲ種亜群とカサハラ種亜群に分けられることになっています。甲虫全種目録に載っている本州産9種をそれらの種群に分けると次のようになります。

マダラアラゲ種群 マダラアラゲ、コブアラゲ
フタモンアラゲ種亜群 フタモンアラゲ
カラハラ種亜群 チビカサハラ、ヤクカサハラ、カサハラ、アラゲ、ヒメアラゲ
Hyperaxis属からの移行? クロオビカサハラ

最後のクロオビカサハラは今坂氏のサイトではHyperaxis属になっていたのですが、全種目録ではHyperaxis属は備考欄に書かれ、Demotina属になっていました。クロオビカサハラを含め、いずれも今坂氏のサイトに載っている絵解き検索表で検索することができます。それで、それを試してみました。



検索してみると、チビカサハラか、カサハラかというところに落ち着いたので、その部分だけを抜粋して書いてあります。これを写真で確かめていきたいと思います。



体長は口と腹部末端を直線で測った時は2.5mm、前胸背板と上翅の境で一度折り曲げて測った時が2.8mmでした。若干違っていたので、その両方を示しています。まず、これは♀だと思われるのですが、翅縁に平行な隆起条は見られません。肢にもマダラアラゲ種群に見られるような黒い縞模様はありません。それで、①と②は共にOKとしました。ついでに、クロオビカサハラは前・後腿節が中腿節に比して肥大化し、腿節にある歯状突起(後で写真でお見せします)も巨大化するのですが、そのような兆候は見られません。それで、クロオビカサハラは除きました。



腹面の末端付近を写したものです。これについては雑談にすでに書きましたが、側縁に多少凸凹したところが見られるのですが、たぶん、のこぎり状の構造は「ない」とすべきだというのが今回の解釈です。前回はこれを「あり」としてフタモンアラゲ種亜群に入り、本州に生息しない種にたどり着いてしまいました。



最後は触角です。こうやって測ってみると、どうやら触角第2節の方が第3節より長そうです。触角の節の区切りをどこにするのかいつも迷うのですが、多少変えても結果には変化が出ませんでした。ということで、この個体はチビカサハラハムシ decorataということになります。

触角の節の長さだけで決めるのは何となく不安だったので、仮に④aが違っていて、④bの方が正しいと判断した場合に行き着く先も調べておきました。



これは中跗節と後跗節をほぼ同一倍率で撮影したものです。跗節第1節、第2節が中脚の方が特に大きいといういことはありません。



これは上翅側片の拡大です。鱗毛は1列だけ生えています。



小盾板はほぼ三角形状で、基部が特に広がるという傾向は見られませんでした。また、先端は舌状です。ということで、触角第2節と第3節の長さの測り方が間違っていたとした場合にはカサハラハムシ modestaとなることが分かります。

チビカサハラとカサハラは触角の節の長さ以外には区別がつけられないのだろうかと思って、別の論文をあたってみることにしました。

S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. IV", J. Fac. Agri., Kyushu Univ. 13, 235 (1964). (ここからダウンロードできます)

この論文に載っているDemotina属の種の検索表で必要な部分のみを抜粋したものは次の通りです。



うまい具合に③はこの両者の比較になっていました。しかし、内容を読んでも明確な違いは触角の節の長さと体長ぐらいしかありません。一応、この検索表でも、チビカサハラハムシ decorataへ進む過程を写真で確かめてみました。



これは翅端部の拡大ですが、翅端部は白矢印で示したようにほぼ直角で先端がやや丸くなっています。いずれにしても後方には突出していないようです。ただし、今坂氏によると、この特徴は♂では顕著であるが、♀では不明瞭だとのことでした。



若干写真が斜めになっているのですが、上翅の幅と長さの比を求めてみました。長さ:幅=4.2:3でほぼ記述通りでした。また、白矢印で示したように鱗毛が集まってできた白い斑紋があります。その後に書いてある黒い斑紋がどれのことを指すのかよく分かりません。



②はOK。③の触角の色はどうかなと思ったのですが、体長はいずれにしてもOKです。



最後は結局、触角の節の長さでした。やはりチビカサハラハムシとするのでよさそうな感じです。ついでに、もう一つの論文 Isono(1990)でも検索してみたのですが、その結果は次回に回します。

廊下のむし探検 甲虫、蛾など

廊下のむし探検 第1082弾

昨日の午後にマンションの廊下で見つけた虫たちです。3月も7日になって、少し虫が出てきたようです。



まず最初に見つけたのはこのナナホシテントウです。



続いてこんなクモ。これはサラグモの仲間かなぁ。



そしてこれはムラサキナガカメムシ。結構たくさんいます。





ユスリカもいろいろといるのですが、これはまぁまぁの大きさです。上が♀、下が♂。たぶん、エリユスリカ亜科だと思います。





この蛾は初めて見ました。たぶん、ヨコヒダハマキ Acleris yasudaiだと思われます。「標準図鑑」によると、6~7月と9月に発生し、9月のはそのまま越冬するようです。ということで、これは越冬個体の様です。



やや大きめのノミバエです。脛節に刺があるので、ノミバエ亜科ですね。この間から何度か見ています。



これはコカニグモ



最近調べているカサハラハムシ属 Demotinaの個体です。触角第2節が第3節よりやや短い感じがするので、カサハラハムシかなと思うのですが、よくは分かりません。



これはホソウスバフユシャク。例年3月初めから終わりにかけて発生しています。



頭を隠しているのはスモモキリガです。春キリガが出始めましたね。記録を見てみると、いつも2月終わりにもう出ていました。



トビケラも今年は少し調べてみたいと思っている虫です。今年は何とか虫の空白区をなくしたいなと思っています。

廊下のむし探検 雑談

雑談1)「Yahoo!ブログ サービス終了」によって、これまで出してきた約2万枚の写真にそれぞれの日のブログとその中の写真にリンクするようにしていたデータベースがすべて無駄になってしまうかもと思って非常なショックを受けていました。たとえ、ブログを移行しても、移行先の写真にまたリンクをつけ直すとすれば、いったいいつまでかかるか分かりません。いろいろと考えた挙句、結局、公開するのをやめて、今のYahoo!ブログをすべて自分のパソコンにダウンロードして、ブログを指定する7桁から8桁の番号をファイル名にしてセーブすると、データベースに使っているEXCELの式を少し変形するだけで対応できることが分かりました。ただ、ブログが2200件もあって、それをセーブするときにいちいちファイル名を変更しなければならないのでかなり大変な作業になります。そのようにブログに書いたら、その記事を読まれたそらさんからはEXCELのVBAを使って自動的にリネームしてくれるプログラムを開発してくださるといっていただき、今は快適にセーブできるようになりました。ブログをセーブするとfilesという拡張子のついたフォルダにブログに出した画像もセーブされるのですが、そのファイル名が変わってしまうというトラブルも起きたのですが、別フォルダに画像だけをセーブできるプログラムもつくっていただき、問題は総て解決いたしました。そらさん、本当にありがとうございました。今は、画像はすべてダウンロードしてしまい、ブログの方は約半分の1000件ほどセーブできた状態です。でも、これで、とりあえず一安心です。(追記2019/03/08:テスト的にEXCELの式を修正して、データベースの一部を復元してみました。今のところ、うまくいっています。よかった!

雑談2)「Yahoo!ブログ サービス終了」問題が少し落ち着いてきたので、手作り図鑑の方をまた作り始めたのですが、甲虫はもう少し調べないとどうしようもないことが分かってきました。それで、少しハムシから調べ直すことにしました。今日はこの間採集したカサハラハムシ類について調べてみました。



これは2月20日に見つけた個体です。カサハラハムシ類については以前調べたことがありました(こちらこちら)。この時は亜科と属の検索を行い、無事にカサハラハムシ属 Demotinaにはなったのですが、その後の種群、種の検索で苦労し、結局、本州にはいないクシバアラゲサルハムシ serriventrisになってしまいました。

それで、今日はもう一度この写真の個体を使って調べてみました。以前も書いたのですが、Demotinaの種群の検索は次のような手順で行います。



つまり、例えば、カサハラ種群カサハラ種亜群に至るためには①、②、③の特徴を調べないといけないということになります。文献によって調べる特徴が若干異なるので、それらをまとめてみると次のようになります。



ここで引用した文献は以下の通りです。

[1] S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. IV", J. Fac. Agri., Kyushu Univ. 13, 235 (1964). (ここからダウンロードできます)
[2] M. Isono, "A Revision of the Genus Demotina (Coleoptera, Chrysomelidae) from Japan, the Ryukyus, Taiwan and Korea, I", Jpn. J. Ent. 58, 375 (1990). (ここからダウンロードできます)
[3] M. Isono, "A Revision of the Genus Demotina (Coleoptera, Chrysomelidae) from Japan, the Ryukyus, Taiwan and Korea, II", Jpn. J. Ent. 58, 541 (1990). (ここからダウンロードできます)

①と②は比較的に簡単に調べることができ、この個体はカサハラ種群であることはすぐに分かります。次の③の「歯車状装飾」について前回はこれを「有」としたために、フタモンアラゲ種亜群になり、最終的にシバアラゲサルハムシ serriventrisになってしまいました。それで、この辺りをもう一度調べてみました。



これは鞘翅をちょっと開いて腹部末端を腹側から撮影したものです。周辺部分にはあまり構造が見えないのですが、よく見ると細かい凸凹があります。



これは少し斜めから撮ったものですが、黒矢印で示した部分では縁が少しがたがたしています。ちょうど歯車の歯のようなので、以前は「歯車状装飾」は有りにしたのですが、今坂氏のサイト[4]に載っている写真を見比べてみると、もう少し先のとがった突起が密に出ているような感じがします。たぶん、この程度の凸凹は装飾なしとすべきだったのではと考え、その先の検索をしてみました。その結果、ごくごく当然なカサハラハムシ modestaになりました。たぶん、今回の検索の方が合っているのではと思っています。顕微鏡写真を何枚か撮ったので、詳細はまた今度載せることにします。(追記2019/03/08:体長がえらく小さいので、おやっと思って触角を見ると、触角第2節の方が第3節より長そうなので、どうやらチビカサハラハムシ decorataの方ではないかと思われます

虫を調べる ケシキスイ科Omosita属

3月2日にマンションの廊下を歩いていたらこんな甲虫を見つけました。



「原色日本甲虫図鑑III」を見ると、ケシキスイ科のヘリグロヒラタケシキスイ Omosita discoideaに似ています。鞘翅の模様は若干異なるのですが、たぶん、この近辺は確かだろうと思っていたのですが、ついでだから、一度、ケシキスイ科の属の検索をしてみようと思い立ちました。属の検索表は同じ図鑑に載っています。甲虫の検索は微細な構造を見なくてはいけない上に、どれがその構造なのか書かれた本がなくていつも苦労します。今回も事情はまったく同じで、よく分からない項目がいくつかあるのですが、とりあえず、目的地がだいたい分かっているので、分かった項目だけ確かめてみることにしました。



Omosita属に行くにはこの13項目を調べればよいのです。もし、目的地が違っていたら、どこかで矛盾が出るはずなので、そこでもう一度考えればいいやと思って確かめてみました。案の定、赤字で書いた部分は確かめることができませんでした。これは後で写真を見ながら説明します。これをいつものように写真で確かめていきたいと思います。今回は検索順ではなくて、部位別に見ていきます。



まずは背面から見た写真です。ついでに大きさを測っておきました。体長は2.5mmです。思ったより小さな甲虫です。この写真からは検索表の⑥、⑩、⑪あたりが確かめられます。まずは全体に毛が生えていて、上翅には点刻が見えるのですが、やや不規則に並んでいます。また、背面が大きく隆起しているようには見えません。それで、いずれもOKとしました。



次は頭部です。上唇と頭盾は明瞭に分かれています。どこが頭盾かはatと書いた穴を探すとすぐに分かります。これについては以前、「昆虫の頭の構造」という内容で書いたことがあります。atはanterior tentorial pitの略で、昆虫の頭蓋の後ろと前をつなぐつっかえ棒の前側の取り付け部分になっています。この孔を通って前額と頭盾が分かれ、そこに前額縫合線が通っています。従って、この孔から先端部分が頭盾になります。





ついでに口器の各部の名前を書いてみました。上が前から、下が腹側から撮った写真です。でも、これがかなり難しい。先ほどの図鑑の口絵にも少し載っているのですが、検索項目の①に出てくる小顎の外葉を調べるには十分ではありません。それで文献を調べてみました。

Y.-K. Cao and M. Huang, "A SEM study of the antenna and mouthparts of Omosita colon (Linnaeus) (Coleoptera: Nitidulidae)", Microsc. Res. Tech. 79, 1152 (2016).

こんな論文を見つけました。これはもともと触角と口器にある感覚毛を電顕で調べたという内容なのですが、うまい具合にOmosita属です。それを見ながら名前を付けたのがこの図です。違っているかもしれませんが・・・。で、肝心の小顎の外葉の有無はよく分かりませんでした。たぶん、解剖して小顎の部分だけを取り出す必要があると思われます。



触角は触角溝に収納されているのでこんな感じになっています。触角は基部の節が柄節、その次が梗節、そこから先を鞭節と言いますが、先端の3節(?)が急に太くなっています。この部分を球桿と言います。①と⑫はこの写真で確かめられます。球桿の部分を3節にするのか4節にすべきなのかまだよく分かりません。先ほどの論文では3節になっているのでそうしたのですが、検討が必要です。



次は前胸背板の写真です。その基部に1対の凹陥があるというのが⑬ですが、これがなかなか分かりにくい。たぶん、線で示した部分だと思うのですが、照明を拡散板で拡散させて写すと凹凸がよく分からなくなります。だからと言って、拡散板を取ると凹みは分かるのですが、何となく汚らしく写ってします。それで、辛うじて分かるこの写真で我慢してください。側縁部が基部で内湾するというのもよく分からないのですが、曲率が変化している部分がそうなのかなと思いました。



これは前胸を腹側から撮ったものです。前基節窩というのは前基節をいれる穴です。この下の矢印で示した部分が塞がっているので、穴が閉じています。これが④と⑦です。また、前胸腹板突起も示してありますが、特に分厚いという印象はありません。それで⑪もOKです。



これは前脚を写したものですが、跗節の各節は先端が広がってように見えます。それで、⑧はOKとしました。



これは中脛節の写真ですが、稜線は2本です。



次は⑤です。腹部第1節に基節窩後縁線が見えますが、特に鋭くないので、たぶん、OKなのでしょう。「可視第1節」と書かれているのは、「原色日本甲虫図鑑III」の口絵によると、タマムシについては見かけの第1~5節腹板が形態学的には第3~7節腹板、カミキリムシでは第1~7節が形態学的には第2~8節になると書かれているので、たぶん、これも見かけの第1節という意味だと思われます。



最後が背側から見た腹部末端です。上翅端がこんな風に丸くえぐられているので、尾節板がちょっとだけ見えています。ここに凹陥があるかないか、どこのことを言うのか分からなかったので、赤字にしました。

ということで、若干不明の部分があるのですが、①に関してはもう一方の項目が満足されているのでたぶん、大丈夫だと思われます。また、⑨は8個の小凹陥が一列に並ぶCircopes属とAethina属を除く項目なのですが、共に、外観がだいぶ違うので多分大丈夫でしょう。むしろ外観的にはキノコヒラタケシキスイ Physoronia explanataなんかが似ていますが、触角の球桿がより細いのと、検索表では⑧の前跗節の形状で分けられます。さらに、触角溝が八の字になるということなので、その辺でも異なります。ということで、たぶん、Omosita属でよいのではと思いました。ここから先は種の検索表がないので、何とも言えないのですが、たぶん、ヘリグロヒラタケシキスイでよいのではと思っています。この種については次の論文にも載っているのですが、斑紋はかなり違っていました。かなり変化があると思われます。

S. Lee, A. Kirejtshuk, and S. Lee, "Review of the genus Omosita Erichson (Coleoptera: Nitidulidae: Nitidulinae) in Korean fauna, with key to the Palaearctic species", J. Asia-Pacific Entomology 18, 837 (2015).(以前はresearchgateからダウンロードできたのですが・・・)

廊下のむし探検 甲虫、クモなど

廊下のむし探検 第1081弾

3月2日にマンションの廊下で見た虫の続きです。



まずは甲虫です。これはユアサハナゾウムシ





これはいつもツブノミハムシかもと言っているハムシです。一度、調べてみないといけないですね。



ハネカクシはよく分かりません。





これはケシキスイですね。「原色日本甲虫図鑑IV」を見ると、鞘翅の模様がヘリグロヒラタケシキスイに似ています。ケシキスイ科は"CLAVICONIA"にも標本写真があり、ちょっと模様が違うような気もするのですが、似ていることは事実です。この辺りであることは確かでしょうね。一応、採集したので、今度、調べてみたいと思います。



後はたくさんいるムラサキナガカメムシ



小さなクモなので、エビグモの仲間の幼体だと思います。





以前はクサグモの幼体としたのですが、本当かどうか分かりません。何で調べたらよいのだろう。

廊下のむし探検 ハエ目

廊下のむし探検 第1080弾

昨日の午後、マンションの廊下を歩いてみました。そろそろ虫が出てきたようです。



最初はこのハエ。このハエは以前調べたことがありました(こちらこちら)。そのときは、ミギワバエ科Hyadina属であるところまでは分かり、たぶん、カノコソメワケミギワバエ Hyadina pulchellaだろうというところまで達していました。



次はこれ。この種は以前教えていただき、ヌカカ科のモモグロヒラタヌカカ Atrichopogon femoralisらしいことが分かりました。



これはタマバエ科です。以前、検索をしたときにはLestremiinae亜科だろうとしたのですが、もう一度、調べ直さないと駄目だろうと思います。





これはたぶん、エリユスリカ亜科。外観から以前調べたことのあるニセヒロバネエリユスリカあたりかなと思います。







これはいずれもクロバネキノコバエ科だろうと思います。何となく、どれも♀みたいです。♂だったら、一度、捕まえて調べてみたいなと思っています。



この間か見ているオドリバエ科のRhamphomyiaの♀です。今年はオドリバエをしっかり調べてみたいと思っているので、♂だったら採集するつもりです。後、甲虫、カメムシ、クモがいるのですが、次回に回します。

雑談1)そらさんからいただいたEXCELのマクロで過去のブログをファイル名を変えてダウンロードする作業が快調に進んでいます。たぶん、数日で終わるのではないかと思います。最初の予想だと、この作業だけで1か月はかかると思っていたので、大幅な時間の短縮になりました。そらさん、どうも有難うございました。

雑談2)こんな投稿をしながらも、移行したときに、自分のブログを引用しているところはうまく引用されるのだろうかとか、何となく不安に思いながら投稿しています。早く、平常心に戻って虫調べをしたいなと思っています。

廊下のむし探検 啓蟄近し

廊下のむし探検 第1079弾

だいぶ暖かくなってきたので、昨日、マンションの廊下と近くの公園に行ってみました。ちょこちょこ虫が出てきていました。啓蟄ももうすぐです。





まずいたのはムラサキナガカメムシ。この日は4-5匹いました。冬の間は見つからなかったので、越冬場所からのそのそと出てきたのでしょうね。





R4+5脈が翅の半ばを越え、盾板後縁付近の両側に白い点があるので、たぶん、クロツヤニセケバエ Scatopse notataではないかと思っている種です。



ナミネアブラキモグリバエはこの間一斉にいなくなったと思ったら、この日はぽつぽつとまだいました。でも、歩くとすぐにこんな風にひっくり返ってしまいます。弱っているのかなぁ。



クサギカメムシも出始めました。



そして、ナナホシテントウ。こちらはまだじっとしています。



これはオドリバエ。翅脈からRhamphomyiaではないかと思います。こんな頭の丸い個体はいつも2月終わりごろから3月にかけて見ています。複眼が離れているから♀かな。



これはサラグモ科かな。去年、「日本産クモ類」を買ったので、ちらっと見てみたのですが、科の検索も属の検索も半端なく難しいですね。さらに、これは幼体だと思うので、どうしようもないかもしれません。



これはマツキボシゾウムシ。記録を見てみると、これまで3月初めから4月初めにかけて見ていました。



これはガガンボの仲間だと思うのですが、何という脚をしているのでしょう。驚きです。



そして、後腿節の内側が黒いので、たぶん、ブチヒメヘリカメムシ



これは早春の使い、トビモンオオエダシャク



そして、ナカウスエダシャク。(追記2019/03/04:ささきさんから、「ナカウスエダシャクとあるのはシロテンエダシャクですね。」とご指摘いただきました。確かにそうですね。どうも有難うございました



ここからは公園です。実は、公園中探したのですが、虫はほとんど見つけられませんでした。わずかに、ササグモ



これはシロカネグモ類の幼体かな。







小さな虫が飛び回っていたので止まったところを撮ると必ず、こんなユスリカの♂でした。

雑談)「Yahoo!ブログのサービス終了」で、これまでブログに出してきた約2万枚の虫の写真を登録したデータベースが殆ど無駄になってしまうのではと考えると、そのショックは大きくて、昨日一日、だいぶ落ち込んでいました。でも、何とかこれを活かす方法はないかと今日は試行錯誤をしてみました。結局、画像リストとしてホームページで公開するのを諦めたら、何とか自分用には復活できるのではという結論になりました。

ある日のブログをブラウザーで開いて、これをそのまま保存すると、Firefoxでは付属したフォルダー内に写真にjpgの拡張子がついた状態で、img_*_m.jpgの形で保存されていることが分かりました(Chromeでは拡張子がついていない)。*の部分には写真の順番で0, 1, 2・・・という数字が入ります。それで、その日のブログのアドレスを指定する7桁から8桁の数字をファイル名として保存するようにすれば、EXCELの式をちょっと変えるだけで、そのままその日のブログと写真を直接アクセスできるようになるだろうということが分かりました。これを公開するには膨大な量のファイルをホームページにアップしなければならないので諦めざるをえないのですが、とりあえず、自分用には画像リストが使えるようになるだろうと思うと、ちょっと元気が出てきました。
プロフィール

廊下のむし

Author:廊下のむし

カテゴリ
リンク
最新記事
最新コメント
カウンター
月別アーカイブ