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虫を調べる タマバエ Neurolyga属?

昨日、雑談として書いたのですが、1月17日に採集したタマバエを調べています。もともと昨年調べたタマバエ科のCampylomyaza属と同じだと思って、この時によく分からなかった翅脈上の感覚性の孔を探そうと思って調べ始めたのですが、ついでに触角の写真を撮ったら、どうもCampylomyaza属とは違うのではないかと思うようになってややこしくなりました。今日はその話です。



調べたのはこんなタマバエです。今回はMND(Manual of Nearctic Diptera Vol. 1)に載っている検索表で調べてみました。現在の分類と亜科レベルで違っているのですが、それについては後で触れます。



検索の結果、Cordylomyia属になったのですが、その前後の属も加えて検索の道筋を書くとこのようになります。検索は①→②→③→④→⑤→⑥a→⑦a→⑧aと進んでいきます。これを写真で見ていきます。



まずは全体像です。体長は2.2mm、前翅長は2.5mmでした。また、腹部末端の構造からこの個体は♀です。ここでは②を見ることになっているのですが、有翅であることは間違いありません。



次は後脚を見たものです。跗節第1節は第2節よりはるかに長いことは分かります。また、脛節先端腹側に棘はなさそうです。



これは頭部を斜め後ろ側から撮ったものですが、単眼は確かにあります。ついでに左右の複眼が後ろでくっついて眼橋になっていることが分かります。



次は顔面を写したものです。顔面に毛が生えていて何だか分かりません。また、前額のあたりが膨らんでいることが分かります。ついでに触角鞭節第1節は円筒形に近いことが分かります。



これはCampylomyzaの♀かどうかを見分ける一番重要なポイントなのですが、どうみても襟状の感覚子は見られません。やはり針状の感覚子というべきかなと思います。



翅脈は見るところが多いのですが、見るべきところに検索の番号を入れておきました。特に問題はないのですが、④の表現がどうも気になります。どう考えてもR5は翅と同じ長さになりえないので、ここでは「R5は翅端近傍まで伸びて翅縁に達する」とでもした方がよいのではと思いました。なお、翅脈の名称は検索の都合上、MNDの方式を採用しています。



これは爪間体を撮ったものです。幅が広いことは確かですが、爪と同じ長さかと言われれば、かなり短いのでいいのかなと思います。ただ、対抗する項目は爪間体は痕跡的なので、まぁ、いいのかなと思っています。

これですべての項目を確認したので、たぶん、Cordylomyia属で間違いないのではと思っています。最近、この属はNeurolyga属のシノニムになっていて、Micromyinae亜科Camplylomyzini族に入っています。従って、ここではNeurolyga属の一種と言った方がよいのではと思っています。

一昨日も出したのですが、ついでに翅脈上に見られる感覚性の孔の写真ももう一度載せておきます。これは次の論文の検索表に載っていたものです。

J. Yukawa, "A Revision of the Japanse Gall Midges : Diptera : Cecidomyiidae",Memoirs of the Faculty of Agriculture, Kagoshima University 8, 1 (1971). (ここからダウンロードできます)



この写真はRs/R5脈とr-m横脈が交わる付近を拡大したものです。R5脈上には黄矢印で示したように小さい孔のようなものが並んでいます。たぶん、これのことかなと思うのですが・・・。赤矢印のところにはもう少し大きな孔が空いています。これもそうなのかどうか分かりません。Yukawaの論文には図も出ているのですが、数がだいぶ少ないのでひょっとしたら違うかもしれません。ただ、この孔は翅の裏側にあるみたいです。表側も何度か見直したのですが、それらしいものが見つかりません。翅脈は翅の表側より裏側の方に出ているので、これでよいのかなとも思うのですが、よくは分かりませんね。

雑談)今日は「成長し続ける図鑑」のコナカゲロウ科をまとめてホームページにアップしました。ここから入って探してみてください。次はヒメカゲロウにするか、それともハエをもう少しまとめるか迷っています。まとめるのもだんだん慣れてきて、少しずつ面白くなってきました。
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散歩と鳥見と(続き)

昨日の続きで、伊丹市にある昆陽池に鳥見がてら散歩に行ったときの記録です。変わった鳥はいなかったのですが、とりあえず記録を残しておきます。昨日は昆陽池を一周したところまでだったので、その後、天王寺川に沿って北上し、黒池、西池に行ってからの話です。水鳥がいろいろといるはずだったのですが、ほとんど何もいません。



仕方なく、水辺に行って近くを泳いでいたカモを写しました。これはハシビロガモ





それから、キンクロハジロ。上は♂、下は♀かな。あまりに何もいないので、今度は西側にある安倉下池(たぶん、あくらしものいけ)に行ってみました。こちらは水があまりなくて、半分ほど干上がっていました。





そこにコガモが何羽か嘴を水に突っ込んで何か食べていました。



池巡りを終わってまた昆陽池に戻ってきました。ふと見ると、さっき、昼寝をしていたヌートリアが泳いでいました。





でも、すぐに泳ぐのを止め、こんな格好でじっとしていました。



近くをカンムリカイツブリが通りました。





ちょっと離れたところにはマガモがいました。この日の散歩はこのくらいで止めました。2時間でちょうど1万歩を歩いたことになります。知人と今度は甲子園浜でも行ってみようかとか話しながら帰ってきました。

雑談1)昨日から調べていたタマバエ。ちょっと予想と違った展開になってきました。



調べていたのは1月17日に採集したこのタマバエです。以前調べたタマバエと外見がよく似ていたので、てっきり同じCampylomyza属だと思って、翅脈の感覚性の孔探しばかりしていました。これは♀なのですが、ついでに触角も写しておこうと思って撮ってみたら、Campylomyza属♀に特有の襟状の感覚子がありません。代わりに針状の感覚子だけが見えます。だとすると、Cordylomyia属?たぶん、同じだと思っていい加減に扱っていたので、いろいろと写真を撮る前に乾燥してしまいました。これから触角だけでももう一度撮り直そうと思っています。

雑談2)今日は手作りの「成長し続ける図鑑」としてミギワバエ科をまとめてみました。ホームページにアップしたので、こちらから入って探してみてください。次は何をまとめようかと考えているのですが、とりあえず、簡単そうなアミメカゲロウ目のコナカゲロウ科をまとめてみようと思っています。これとは別に、家の近くや旅行先などで撮った写真をまとめた「気まぐれ図鑑」の整理も始めました。もうじき、チョウ、トンボ、鳥、単子葉植物、シダあたりが公開できるのではと思っています。でも、まだこれから索引を作ったりと面倒な仕事が残っていますが・・・。

散歩と鳥見と

今日は知人と二人、久しぶりに伊丹市にある昆陽池に行ってきました。鳥見を兼ねての散歩です。





池ではカンムリカイツブリがいました。何だか久しぶりです。



これは近くにいたカイツブリです。



知人が岸に変なものがいるというので探したのですが、何も見つかりません。石かもしれないというのでもう一度カメラで探し回ったらこんなヌートリアが寝ていました。



池にはやたらカワウがいます。昆陽池には真ん中に日本列島を模した島があるのですが、そこに何人もの人が入って何やら作業をしていました。それで、きっと追い出されたカワウが泳いでいたみたいです。



また、カンムリカイツブリがいました。今度は少し近くです。よく見ると、カワウに追われて他のカモはだいぶ遠くで泳いでいます。







どうやら、アオサギも島から追い出されてこんなところに固まっているようです。



池を回っていったら、やっとミコアイサが見られました。でも、遠ーい。昆陽池をぐるっと回って、今度は天王寺川沿いに西池・黒池に向かいました。それは次回に回します。

雑談)この2日間ずっとクサカゲロウ科のまとめをしていました。やっと出来上がったので先ほどアップしました(こちらから探してみてください)。全部で13種。このうち、ちょっと怪しいのが2種というところでした。それでも、こういうまとめをするのは勉強になりますね。これからも少しずつまとめていきたいと思っています。今日はついでにこの間からの課題になっていた、タマバエの翅脈上にある感覚性の孔探しをしました。これかなと思うものはあったのですが、本当にそれかどうかよく分かりません。どこかに図などあるとよいのですけど・・・。



これはできたてのほやほやの写真です。タマバエのCamplylomyza属らしい個体の翅の前縁付近を拡大したものです。検索表にはR5脈には感覚性の孔があり、r-m横脈上にはないという項目があります。黄矢印で示したものは感覚性の孔かもと思っているものです。確かにR5脈上にあります。ただ、これは翅の裏側から写したものです。これでよいのかなぁ。

廊下のむし探検 フユシャク、ハエなど

廊下のむし探検 第1070弾

1月25日にネタ探しにマンションの廊下を歩いてみました。



今日はこれが目玉かな。クロテンフユシャクです。いつも2月初旬から3月中旬に見ているのですが、今年はちょっと早いみたいです。



前縁の黒点が黒色紋の外側についていて、近くに台形の暗色部がなく、さらに、外縁近くの2つの黒点がはっきりしているので、これはヤマノモンキリガかな。



これはいつもいるナミネアブラキモグリバエ





これは前脛節より第1跗節が短いのでエリユスリカ亜科かな。





これはチョウバエの仲間かな。写真で測った前翅長は1.9mmでした。



後ろから撮ったら、翅の周囲にこんな白い毛束が点々と。チョウバエはどうやって調べればよいのかよく分かりません。



これはサシバエ



これは何かな。この日はこんなところでした。

カバエ科の再検討

先日、「手作り図鑑」の一部としてカバエ科をまとめました。



カバエ科というのはこんなハエです。これは2015/03/08にマンションの廊下で撮影したものです。検索はそれよりちょっと前に行ったのですが、詳しくはそのときの記事を見てください。その時は、「一寸のハエにも五分の大和魂・改」のNo. 2977(2007/02/03)のスレッドに載っている検索表を利用して検索してみたら、マダラカバエ Sylvicola japonicusになりました。

でも、そのスレッドをよく読むと、その後、松村氏の論文に書かれている原記載とその後に出された岡田氏の記載は合うのですが、付図として描かれた交尾器が合致しないことが分かり、北大に残っているsyntypeと比較した結果、むしろ、付図に載っている方が合致することが分かりました。ただ、北大に残っている標本は胸背に4本線があり、主に北海道などの北方に分布する種です。結局、これがjaponicusになってしまったのです。これに対して、全国的に普通にいる種は3本線でしたが、突然名前がなくなってしまいました。同時にマダラカバエという和名もSylvicola japonicusにくっついていったので、普通種に和名もなくなってしまいました。この辺りの事情については「大図鑑」のマダラカバエの解説にも書かれています。というわけで、「手作り図鑑」には、今回の種は仮にSylvicola sp. 2 (以前のS. japonicus)だと書きました。フトツリアブさんからSylvicolaの種数に関するコメントをいただいたのですが、私がスレッドの時系列を誤解してしまい、変なお返事を差し上げてしまいました。そこで、もう一度、この辺りのことをまとめ直してみようと思って書きました。

たぶん、時系列的には「手作り図鑑」に載せた通りではないかと思うのですが、折角なので、そのスレッドに出てくる文献の検索表を使って検索をしてみました。

I. Okada, "Ueber die Gattung Phryne Meigen (Phryneidae) (Neue und wenig bekannte Dipteren aus Japan. II)", Insecta Matsumurana 9, 166 (1935). (ここからダウンロードできます)

まずはこの1935年の岡田氏の論文に載っている検索表からです。



これはスレッドに出てくるsuzukii、matsumurai、japonicusに限って検索表の一部を抜き出して翻訳したものです。いつものように〔 〕は私が入れた注釈です。①のMと②のRはそれぞれm1室とr室ではないかと思いました。まずはこれらの項目を写真で確かめてみたいと思います。検索は①→②b→③bと進みます。



これは翅脈ですが、翅脈の名称は特に差し支えないので「大図鑑」の方式を採用しています。検索表に出てくるところは矢印で示してあります。



胸背には3本の縦条があります。



後腿節には暗色環などはないので、以上の検索の結果、この個体はjaponicaになります。しかし、この検索表では特に交尾器の特徴を使っていないので、これは先ほど書いたようにjaponicus→sp.2となります。これに対して付図として載っている交尾器はjaponicusのものだということになります。

次はKrivosheina(1998)の論文の検索表です。

N. P. Krivosheina and F. Menzel, "The Palaearctic species of the genus Sylvicola Harris, 1776 (Diptera, Anisopodidae)", Beitr. Ent. 48, 1 (1998). (ここからダウンロードできます)

同じく、3種に限定した検索表は以下のようになります。



この場合の検索は①→②→③b→④→⑤aと進みます。それを同様に見ていきます。



最初は翅脈です。検索上では特に問題なくすべての項目を確かめられます。



複眼は間違いなく合眼的です。





最後の⑤aの後半は♂交尾器に関するものですが、これが何を意味しているのかよくは分かりません。しかし、この写真の構造は明らかにKrivosheina(1998)に描かれたものともOkada(1935)のものとも異なります。むしろ、先ほどのスレッドに描かれたjaponicus(これは後のsp.2)のものと生殖端節の辺りは似ています。スレッドに書かれている通り、KrivosheinaはOkadaの論文を参考にしたので、同じ交尾器をもつものをjaponicusとしたと考えられます。でも、これは先ほどの話でまさにjaponicusになったということで、検索表は変更なしでそのまま使えることにはなったのですが、日本で普通種のsp. 2については行き先がなくなってしまいました。

最後はスレッドに載せられていた検索表です。



こちらは少し変更があります。まず、⑤aのjaponicusはsp.2になり、④bのsp. 2はjaponicusになります。ついでに新しく見つかったとされるsp. 4も加えておきました。この場合、検索をしていくと、①→②a→③→④a→⑤aとなり、最終的にsp. 2になります。これも一応、写真で見てみます。







今回は交尾器が検索表に含まれていないので、そのまま素直にjaponicus→sp. 2に到達しました。

とにかく、ややこしい話だったので、私も頭がこんがらがってしまいました。普通種に早く名前がつくとよいなと思っています。

雑談)今回はカバエでだいぶオタオタしました。虫一匹でもちゃんと調べようとすると本当に大変ですね。「一寸のハエにも五分の大和魂」という言葉の意味が少し分かってきたような感じです。先ほど、HPの方にカバエ科のpdfを出しました。今度はクサカゲロウ科をまとめようと頑張っています。これもなかなか大変です。

廊下のむし探検 また、雑談

雑談1)最近は虫がいないので、ブログは雑談ばかりになってしまいます。実のところ、暇さえあれば、「手作り図鑑」づくりをしています。昨日はハエ目カバエ科をアップし、今日は先ほどケバエ科の文章を修正しました。一度、アップしたものでも読み直すと気に入らないところや、表記ブレがあるところが目に付いてすぐに直したくなるので、やたら修正が多くなります。ダウンロードされた方、すみません。



カバエ科などはこれまで観察した種がたった1種しかいないので、写真と名前だけの図鑑だとあっという間に通り過ぎてしまうのですが、この科だけでまとめようと思うとそれなりに文献は読まないといけないし、検索も見直したりと、なかなか良い勉強になります。

蛾やカメムシの場合のように外見からある程度種が分かるものなら、写真を出すだけでよいのですが、ハエやコバチ、アミメカゲロウ、チャタテムシ、甲虫等々はよほど注意深く見ないと種までは分かりません。それで、「手作り図鑑」の方もそれなり詳しくして、さらに詳しいところをこのブログの記事かそれらを別冊にまとめたものにリンクすることで便宜を図ろうと思っています。素人の私が書いているので間違っているところも多いと思いますが、詳しく書くことでどこが間違っているのか他の方も分かるようになるので、かえって良いだろうと思っています。

雑談2)これまで趣味的にいろいろな写真を撮り、それらをまとめて図鑑風に仕立てたものを作ってきました。この際だから、これらも公開していこうと思っています。具体的には、鳥(152種)、チョウ(86種)、トンボ(70種)、動物園の鳥(260種くらい)、生き物(昆虫以外の動物)、シダを観る(80種くらい)、双子葉植物合弁花類、双子葉植物離弁花類、単子葉植物などです。これらは網羅的に撮ったものではなくて、家の近くで撮ったり、旅行先で撮ったりしたものをまとめただけなので、「私の気まぐれ図鑑」という名前にしています。植物については最近、観察会に行って種類数が増えているので、まだまとまっていません。もともとここにこんなのがいたという記録を残しておくのが目的だったので、ぼやぼやの写真も入っていますし、ちっとも芸術的でもないので出版するわけにもいかないし、かと言って家に眠らせておくのももったいないので公開するという程度のしろものです。あまりl期待はしないでください。

雑談3)昨日は久しぶりに胃カメラを飲まされました。10数年来出ていなかった消化器系の持病がぶり返したかもと思って医者に行ったら、胃カメラということになりました。私は体の中に何かつっこまれるのが嫌いで、極力、避けていたのですが、この際だからと思って受けてみたら、最近は麻酔をかけるのですね。寝ているうちに終わってしまい、気が付いたらベットの上で寝ていました。楽になりましたね。でも、結局、持病が治っていないということだけが分かったのですが・・・。片目が見えにくくなり、持病がぶり返したりと、体ががたがたになってきています。

雑談4)我が家ではgoogle homeとamazon echo(Alexa)という2台のスマートスピーカーがあって、家族で結構楽しんで使っています。それぞれ得意分野があるので、Alexaはもっぱら家電のコントロール(照明とかTV・オーディオとかエアコンとか扇風機とか)とamazon prime musicからの音楽配信用に使っています。googleの方は検索が得意なので、何か分からないことがあると質問しています。うまく答えてくれることもあれば、とんちんかんな答えもあります。google homeは最近二か国語に対応するので、たまに英語でも質問してみます。発音がいいとちゃんと英語で答えてくれるのですが、たぶん、いまいちだと日本語で答えてくれます。それに一喜一憂するのも楽しいです。google chromecastとリンクすると「〇〇の動画を流して」と言うとTVの電源を勝手につけて流してくれます。カップ麺のタイマーなどはほとんどこの2つのAIに頼んでいます。天気予報を聞いたり、今の温度を知りたい時などにも大いに役立っています。そのうち、「今日見た虫の名前を調べてブログに出しておいて」なんて言ったらやってくれるかも。たぶん、これらはそのうちロボットになって家の中を動き回り、仕事をしてくれるようになるのかもしれませんが、意外に聞き違いや誤解が多いので、こんなのが動き回られるとかえって鬱陶しいかもしれません。

廊下のむし探検 雑談

雑談1)今日は「手作り図鑑」のケバエ科を完成させようと一日頑張っていました。



ケバエというのはこんなハエです。これはメスアカアシボソケバエ Bibio simulansだと思われる種の♀です。2014/04/25に写しました。変わった形の虫で、なおかつ、意外に大きいのでマンションの廊下では目立つ虫の一つです。

ケバエは「廊下のむし探検」を始めた頃に調べた虫としてちょっとした思い入れがあります。ブログを始めたころ、虫の名前を調べるにはとにかく検索が重要だと思って、検索に挑戦するのですが、いつも途中でつかえてしまい挫折していました。そんな中、ケバエは検索の内容が比較的簡単で、また、論文には丁寧な図も描かれているので、私にとっては格好の検索の教科書になっていました。それで、今回も単なる図鑑ではなくて、検索に必要な写真はできるだけ載せておこうと思い立ちました。ついでに発生時期もまとめておこうと思って表にしてみました。でも、こうやってまとめてみると、♂は調べているが、♀は調べていないとか、その逆だとか、いろいろ不備な点が見えてきました。さらに、発生時期もはっきりしていないものがかなりあります。今年やることの目標ができてきました。ケバエ科の「手作り図鑑」はこちらから入って探してみてください。

廊下のむし探検 また、ハエ

廊下のむし探検 第1069弾

ネタ切れで今日は慌てて「廊下のむし探検」に行きました。でも、いませんねぇ。当たり前かぁ。今頃が一番寒いのだから。それでもハエはちょっといました。



最初はこのサシバエです。太くて長い口吻が見えています。恐ろしいですね。サシバエについてはこれまで、「サシバエを調べる」、「サシバエが血を吸う仕組み」、「サシバエの検索」とこのブログで三回登場しました。



次もハエです。これは何でしょうね。よく分かりません。



次はこの甲虫。これは何度か見ていました。ヨツモンキスイですね。





次はこのハエ。見るからにハナレメイエバエ亜科です。写真から属の検索をしてみました。「一寸のハエにも五分の大和魂・改」という掲示板に分かりやすい属の検索表が載っていました。

①3本の下前側板(腹側版)剛毛基部を結ぶ逆三角形(倒三角形)は,ほぼ正三角形か,あるいは高さが底辺(上の2本を結ぶ仮想線)の1/2より長く,且つ下端の刺毛の位置は底辺の中央のレベルか,それより前方に位置する  ハナレメイエバエ族Coenosiini
②頭部の前額眼縁板の上方にある後向きの額眼縁剛毛(reclinate ors)は2対(これらより前方には前向きや内向きのorsがある);後脛節の基部より2/3以内にある前背剛毛は2本(先端近くにはもう1本ある)
③中脛節は中ほどに2本の後背剛毛をもつ;単眼三角板(単眼を含む粉で覆われた光沢のない三角の領域)は小型で,その前端は触角基部より遥か前方で終わり,前額帯の前縁には達しない(多くの種では雄の第5腹節背板の後縁は中央部で強く突出する) シリボソハナレメイエバエ属Pygophora

この3項目を確かめるだけで、シリボソハナレメイエバエ属 Pygophoraになります。いろいろな部位の写真を撮っておいたので、このすべての項目を確かめることができました。シリボソハナレメイエバエ属までは確かそうです。種の検索は「日本のイエバエ科」に載っているのですが、腹部末端の形状や刺毛を調べないといけないのですが、そこまでは分かりませんでした。





最後はクロバネキノコバエ科の♀です。胸背の色が黒いので、この間調べたBradysia属ではないかと思います。

雑談)相変わらず「手作り図鑑」づくりをしています。今日は「蛾III ミクロ蛾」をアップしました(こちらから探してみてください)。途中までコメントを入れていったのですが、写真をぎっしり貼り付けているので、コメントを入れる隙間がありません。写真をずらすと索引のページが変化するし・・・。結局、そのまま出すことにしました。いずれ、ハエ目のように科別の図鑑を作ろうかなと思っています。ハエ目の方は現在はケバエ科について書いています。ケバエ科の図鑑など世の中にないので、できるだけ情報を多く入れようと思っていろいろと書き足しています。

廊下のむし探検 ハエ

廊下のむし探検 第1068弾

1月19日にマンションの廊下で見た虫の続きです。





今日の最初はこのキノコバエです。この間、キノコバエの検索をしたので、翅が写るように撮ったのですが、やはりこんな写真では駄目ですね。



一応、MNDを見ながら翅脈の名称を書いてみました。この翅脈から、MNDの検索表を使うとある程度は検索できるのですが、Sciophilinaeか、Mycetophilinaeか、亜科を決めるところですでに分からなくなりました。この写真から翅膜にミクロトリキアが不規則に並んでいるか、規則的に並んでいるかはとても分からないですよね。



こちらはクロバネキノコバエです。何となくこの間検索して調べた個体と似ている感じです。だとすると、Bradysia属かもしれません。



これは違うのかなぁ。よく分かりません。



これはタマバエです。以前調べたときはLestremiinae亜科だということだったのですが、よく分かりません。





これは脛節に刺がなくて、後脛節に黒い筋が入っているようなので、たぶん、ノミバエ科のMegaselia属ではないかと思います。



最後のこのハエ。頭部にピントが合わなかったので、もう一度撮り直したら、







フラッシュに驚いて毎回こんな腰が抜けたような写真ばかりでした。小さなハエだと何も写っていないことが多いのですが、やや大きいと動きが少し鈍いみたいですね。

廊下のむし探検 甲虫、フユシャク♀ほか

廊下のむし探検 第1067弾

ネタ探しに昨日もマンションの廊下を歩いてみました。最近は「手作り図鑑」づくりで忙しく、あまり調べる時間がないのですが、とりあえず見た虫を紹介します。





最初に見つけたのはこのハネカクシです。2匹いました。ハネカクシは名前が分かりそうにないので、初めからギブアップです。

柴田泰利ほか、「日本産ハネカクシ科総目録(昆虫綱:甲虫目)ー2014年までの追加と訂正―」、九州総合博物館研究報告第13号、33 (2015).

この総目録を見ると、日本産ハネカクシ科は400属2335種41亜種。十分にやる気をなくさせる数字です。





マンションの壁にこんな虫がいました。シャクガ科フユシャク亜科の♀です。体長は5.8mm。いつも見ている「標準図鑑」も中島氏の「冬に出現する尺蛾ー新・フユシャク類の採集」も写真が小さくて種類までは分かりませんでした。



これも小さなクモです。エビグモ類の幼体でしょうね。



次はコバチの仲間です。体長は2.6mm。一応、「絵解きで調べる昆虫」の検索表を見てみると、ヒメコバチか、コガネコバチかというところでした。



最後はシャクガ科の幼虫です。分かりそうにないので、調べていません。ということで、名前が分からないものだらけでしたね。後はハエ目が残りました。次回に回します。

雑談)今日はケバエ類をまとめてみました。意外なことがいろいろありました。



これは2016/11/18に写したものですが、こんな感じのハエをずっとクロヒゲナガケバエだと思っていました。でも、ヒゲナガケバエには翅のRs脈が分岐することがHardy and Takahashi (1960)に載っていました。これは分岐していないので、ヒゲナガケバエ科ではありません。結局、タマバエ科のCatotricha属ではないかと思っています。

次は、トゲナシケバエ科の生活史を調べてみました。実は、生活史はほとんど分かっていないようです。ただ、MCAD(Manual of Central American Diptera (2010))によると、通常、ケバエ科のBibio属などは前脛節末端の刺で穴を掘り、そこに卵を産むようですが、トゲナシケバエ科には刺がないので、地面表面に直接産むと書かれていました。トゲナシケバエ科の中ではPlecia nearcticaの生活史が比較的よく分かっています。というのは、羽化した成虫が5月と9月に高度300mから500mほどの間に風に乗って大量に飛んでいることが観察されたり、また、移動する車の窓ガラスに大量についたり、冷却機に入ったりして人間生活に弊害を及ぼしているからです。詳細は図鑑の方に書いておきますので、そちらを見てください。もう少しで出来上がります。

廊下のむし探検 雑談

雑談1)最近は虫がいないので、ブログを書き続けるのが大変です。一応、今日はマンションの廊下を歩いたのですが、全部で12種ほど。まだ、詳しく調べてないので、次回に出します。冷凍庫に入れておいた虫を調べるのも大変なので、「手作り図鑑」をHPにアップする作業で1日を費やしてしまいました。今日は「蛾II ヤガ上科」、「チョウ目 別冊」、「カメムシ目 別冊」の3つをpdfにしてYahoo box入れました。「ブログ「廊下のむし探検」付録」というホームページから入ると、ダウンロードすることができます。図鑑の方はいい加減に作っているのでそのつもりで見ていただけると幸いです。別冊は虫をいろいろ調べたという内容でブログに出した記事をまとめたものです。pdf版は目次の項目をクリックするとその記事に飛ぶようにしました。Windows/UnixではALT+←で、Macではcommand+←で元の目次に戻ることができるはずです。

雑談2)今日はもう一つタマバエ科の文献調査をしました。



対象としたのはこのタマバエです。MND(Manual of Nearctic Diptera Vol. 1)や次のYukawa(1971)の論文で検索するとCampylomyza属あたりまでは到達します。

J. Yukawa, "A Revision of the Japanse Gall Midges : Diptera : Cecidomyiidae",Memoirs of the Faculty of Agriculture, Kagoshima University 8, 1 (1971). (ここからダウンロードできます)

「日本昆虫目録第8巻」を見ると、この属にはalpinaとmoriの2種が載っています。そのうち、alpinaは北海道と中国、ユーラシアに分布するのですが、本州の記録がないので除外すると、残りはmoriだけになってしまいます。これかなと思ったのですが、「クワの害虫として記載されたが、この属は植食性ではない。寄主植物と属の再検討が必要」という注釈が載っていました。それで、少し文献を調べてみようと思いました。「日本昆虫目録第8巻」には、記載論文として、Sasaki, 1931, "Studies of mulberry bud gal midges": 4 (Urosema)が載っていますが、この論文がまったく見つかりません。いろいろと調べていたら、次の論文を見つけました。

K. Monzen, "Some Japanese Gall midges with the Descriptions of known and new Genera and Species (I) (Diptera, Cecidomyidae)", 岩手大学学芸学部研究年報 8, 36 (1955).(ここからpdfが直接ダウンロードできます)

この中にmoriについて少しだけ触れられていました。どうやら最初、Urosema moriという名前で記載されたようです。その記載論文はこの本でした。

佐々木、「クワシントメタマバイの研究」(単行本)(1931).

これがまた見つかりません。結局、ギブアップになりました。代わりに、Yukawa (1971)にCampylomyza属の特徴が載っていて、また、moriについても少し書かれていました。

まず、属の特徴のうち、交尾器に関するものを除くと以下の通りです。

1)眼橋は側面で分かれる
2)♂触角は2+12節、♀は2+10~2+12節
3)♂触角の鞭節には2~1個の完全な小鈍鋸歯状の長い剛毛の輪生があり、1~2個の不完全なもの、それに1対の板状か刃状の感覚子がある;♀鞭節には感覚性の襟がある
4)前縁脈はR5脈の先端を十分に越える;R1脈は少なくともRs脈の3倍の長さ
5)R5脈上には感覚性の孔があり、r-m横脈上にはない

以前調べたブログを見てみると、1)~4)までは写真で確かめることができます。5)はその当時はっきりとは分からなかったのですが、たぶん、Campylomyza属までは確かでしょう。さらに、日本産Camplylomyzaには3種かそれ以上いて、moriは同定できないと書かれていました。いろいろと調べてきたのですが、ここではmoriとするよりは、Camplylomyza sp.としておいた方がよさそうな気がします。「手作り図鑑」の方もそのように修正しました。

廊下のむし探検 ハエ、蛾など

廊下のむし探検 第1066弾

17日にマンションの廊下で見つけた虫です。この日はあまりに虫がいないので、その後、公園にも行ってみたのですが、公園ではまったく見つかりませんでした。やはり今頃虫探しなんて無理ですね。



まずはマンションの廊下です。最初はこんなハエです。前縁脈のsc切目とh切目の両方があります。それにSc脈は途中で消えています。こんな条件から、ミギワバエ、シロガネコバエ、ホソショウジョウバエ、ショウジョウバエ辺りが考えられます。



触角を見てみると、触角刺毛に長い毛が生えています。たぶん、ショウジョウバエ科ではないかと思いました。一応、MNDで検索を試みたのですが、Chymomyza辺りかなというところでよく分からなくなりました。やはり採集しないと駄目ですね。



これはMCu脈が見当たらなくて、前脛節の方が跗節第1節より長そうなので、エリユスリカ亜科♀かなと思ったのですが、これもよく分かりません。



これはタマバエ科です。先日、これまで撮ってきたタマバエ科の写真整理をしたので、ちょっとは分かるようになりました。この写真でもある程度検索ができるのですが、たぶん、以前調べたことがあるMicromyinae亜科Campylomyzini族のCampylomyza属ではないかと思っています。さらに、もしCampylomyza属の本州産が1種だけなら、Campylomyza moriかもと思っているのですが、よくは分かりません。今日、この辺のことを手作り図鑑にも書き加えました。ここから「手作り図鑑」のハエ目のタマバエ科を探してみてください。(追記2019/01/19:Camplylomyaza moriについて調べまくったのですが、どうもはっきりしません。Yukawa (1971)を読むと、日本産Camplylomyzaには3種かそれ以上いて、moriは同定できないと書かれていました。ここではmoriとするよりは、Camplylomyza sp.としておいた方がよさそうです



これはマエアカスカシノメイガ



このハエはよく分かりません。



この毛虫もよく見ます。ヤネホソバかなと思ったのですが、模様が少し違います。「みんなで作る日本産蛾類図鑑」で探しても見つかりません。それで、"Eilema larva"で画像検索してみると、背の白い模様がEilema depressaという種の幼虫によく似ています。ただし、この種は日本にはいません。Eilemaまでは合っているのでしょうね。



これは胸背の模様からセマダライエバエ♂みたいです。「日本のイエバエ科」にはセマダライエバエ♂のfrons(前額)の幅が頭幅の0.05、ヒメセマダライエバエの場合が0.1となっています。それで、前額の幅をこの写真から測ってみました。この間と同じに複眼の辺縁間の距離を測ると0.10となり、ヒメセマダラになってしまうのですが、胸背の模様が違います。たぶん、額眼縁板の部分を除いて前額帯の部分を測るのかなと思って測ってみると0.07位。fronsというのは前額帯を測るのかもしれません。



これはたぶん、ナミテントウ





公園に行ってみました。およそ生き物の姿は見えません。やっと桜の木の幹を動いているダニを見つけました。でも、これだけ。



帰りに道の脇の壁にウスモンフユシャクが止まっていました。

雑談)今日は「手作り図鑑」にカメムシ目とチョウ目の一部を加えて、「ブログ『廊下のむし探検』付録」というホームページに載せました。こちらから見てください。レンタルサーバーを使っていて、最大3MBしかアップできないので、pdfファイルをYahoo Boxに入れ、そこからダウンロードするようにしました。うまくいくとよいけど。図鑑の方はこのブログを基にしていて、あちこち間違っていると思うので、そのつもりで見ていただけると幸いです。

廊下のむし探検 ハエ、チャタテ

廊下のむし探検 第1065弾

14日にマンションの廊下で見た虫です。さすがに今頃になると虫はほとんど見かけません。そんな中でもいた虫たちです。



何もいないとこのナミネアブラキモグリバエでも撮るしかないですね。このハエは毎年決まって晩秋になると大量にマンションの壁に集まってきます。そして、真冬になるといつの間にかどこかに行ってしまいます。毎年何だろう何だろうと思っていたのですが、資料を送っていただいたので検索ができ、やっと名前が分かりました。検索の詳細はこちらこちらをご覧ください。



縁紋が四角いのでウスイロチャタテ科でしょうね。たぶん、以前、調べたことのあるブリッグスウスイロチャタテではないかと思います。



これはたぶん、モモグロヒラタヌカカだと思います。これも以前捕まえて検索をしたら、属までは達したのですが、そこでストップしていたら、その後種名を教えていただきました。



こちらはシマバエ科のSteganopsis vittipleura。時々見ます。



これはたぶん、イエバエ科だとは思うのですが、さて、何でしょう。



キゴシハナアブです。こんな格好でじっと止まっています。

雑談)今日は一日「手作り図鑑」づくりをしました。タマバエ科です。だいたいできていたので、後はちょっと書き足すだけと思ったので、日本産の属がどの文献の検索表で調べればよいかを書こうと思ったのが、大変な作業の始まりになってしまいました。いつものように、「日本昆虫目録第8巻」に載っている属が次の論文の検索表に載っているかどうかを調べてみました。

J. Yukawa, "A Revision of the Japanese Gall Midges : Diptera : Cecidomyiidae",Memoirs of the Faculty of Agriculture, Kagoshima University 8, 1 (1971). (ここからダウンロードできます)

ところが、Yukawa(1971)に載っていて、「日本昆虫目録第8巻」に載っていない属が結構たくさんあります。それで、たぶん、当時の属が現在の属のシノニムになっているのではと思って調べてみることにしました。文献を探していたら、最近のタマバエ科のカタログが見つかりました。

R. J. Gagne and M. Jaschhof, “A Catalog of Cecidomyiidae (Diptera) of the World”, 4th Ed., “Systematic Entomol.  Lab., Agricultural Research Service, Dep. Agriculture, U.S. National Museum (2017) (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

これにシノニムに関する情報が載っていたので、何とかなりました。ついでにMNDもやってみようと思って、実は、こちらが相当に大変でした。というのは「日本昆虫目録第8巻」に載っていない属が山ほどあったからです。これを一つずつシノニムになっていないかどうかを調べるので、結局、半日かかってしまいました。タマバエ、なかなか大変な連中です。属だけでなく上位分類も結構変化しています。とりあえず、これまで写真を撮ってきたもので名前をちょっと調べた個体だけをまとめてホームページにpdfをアップしました。こちらからご覧ください。

廊下のむし探検 ハエ

廊下のむし探検 第1064弾

1月7日にマンションの廊下を歩いて見つけた虫が残っていました。といっても、ハエばかりですが・・・。



最初はこのヌカカです。これはしょっちゅう見るヌカカで、Forcipomyia属だろうと思っているのですが、まだ検索はしたことはありません。「日本昆虫目録第8巻」によると、Forcipomyia属には13亜属62種が記録されています。先の長い話です。この個体は水でも吸っているのでしょうか。



ユスリカはいっぱいいるのですが、検索が大変なので、つい、採集はしり込みしてしまいます。それにこれは♀だし・・・。MCu横脈が見えているので、たぶん、ヤマユスリカ亜科かな。



これはノミバエです。脛節に刺が見えるので、たぶん、ノミバエ亜科でしょう。



これはMCuがなさそうで、前脛節の方が跗節第1節よりながそうなので、エリユスリカ亜科かなぁ。



これはMCuが見えています。たぶん、ヤマユスリカ亜科の♂ですね。



これは初冬からよく見るナミネアブラキモグリバエ



それにキゴシハナアブ。最近、こうやって止まってじっとしている姿をよく見ます。





これはタマバエ。最近、タマバエ科の写真整理をしているのですが、このように脚の長い種はLestremiinae亜科のLestremiini族だとしていました。本当かどうか分かりませんが・・・。



これはエリユスリカ亜科かなぁ。



最後のハエはよく分かりません。

雑談)最近、暇さえあればハエの「手作り図鑑」を作っています。写真と名前だけを並べた図鑑はすでにできたのですが、ハエやハチは写真だけではどうしようもないと思って、1種ずつ説明を加えて書いています。今日はクロバネキノコバエ科の修正版とヌカカ科、ブユ科をアップしました。後、タマバエ科が大体できて、今はケバエ類に取り掛かっています。こうやって1種ずつじっくり見ていくと、これまでの整理にもなるし、どの種を詳しく見ていないかとか、♂♀のどちらかしか写真がないとか、いろいろ分かっていいですね。それこそいつ完成するか分からないのですが・・・。

虫を調べる ニセケバエ科Apiloscatopse属?(続き)

昨日の続きでニセケバエ科の検索です。昨日は族の検索まで行いScatopsini族だろうというところまで達しました。今日はその続きで属の検索です。



対象としたのは12月21日にマンションの廊下で採集したこのニセケバエです。これは毎年12月中旬から1月中旬にかけて見られる種で、ニセケバエにしてはやや大きめの種です。この個体の体長は2.2mmで、体長は小さいのですが、翅が大きいので結構大きく見えます。

属の検索は以下の本の検索表を用いました。

[1] J.-P. Haenni, "2.12 Family Scatopsidae", in L. Papp and B. Darvas (eds.), "Contributions to a Manual of Palaearctic Diptera (with special reference to fliew of economic importance)", Vol. 2 Nematocera and Lower Brachycera, Science Herald, Budapest pp. 51-69 (1997).(以下、CPMDと略します)

実は、Scatopsini族まで達すると、後の選択肢はそれほど多くはなくなります。従って、検索表も簡単になります。



⑩と⑪の二項目を調べることで属まで到達します。調べた結果、たぶん、Apioscatopse属だろうということになったのですが、それを写真と見比べながら確かめていきたいと思います。



まず、⑩はこの写真でも分かりますが、M1とM2脈はほぼ対称で分岐してから滑らかに湾曲しています。それで、⑩はOKです。次の⑪は翅長の2/3のところに線を描いたのですが、R4+5はその線をはるかに越えて伸びています。これで⑪aもOKです。



これは腹部末端を腹側から写した写真ですが、腹板は光沢を持っています。その腹板にまばらに毛が生えていて、初めこれをミクロトリキアかなと思いました。でも、よく見ると、毛の根元に孔が空いていてソケットがあることが分かります。それで、これはマクロトリキアということになり、光沢があることからもミクロトリキアはないと思われます。次の交尾器前方の節はs7あたりを指すと思うのですが、「いろいろに変形」の意味が分かりませんでした。でも、残り二つの項目がOKなので、⑪aはたぶん大丈夫でしょう。ということで、この個体はApioscatopse属の可能性が高くなりました。ただ、CPMDに載っていない属の可能性もあるので、以下の二つの文献に載っている検索表でも調べてみました。

MND: Manual of Nearctic Diptera Vol. 1 (1981). (ここからダウンロードできます)
MCAD: Manual of Central American Diptera Vol. 1 (2009).(ここで一部読むことができます)

あまりちゃんと見たわけではないのですが、この二つの検索表でもやはりApioscatopse属になりそうです。たぶん、大丈夫かなと思うのですが、この属の情報が少なくて、本当に東アジアに分布するものかどうかさえ、よく分かりません。

検索ついでにこれまで写してきた写真も調べてみました。



まずはこの個体です。これは2月下旬から4月初旬と11月にマンションの廊下で見ています。個体数は比較的に多いのですが、上の個体に比べると小形です。外見的には脚まで黒く、黄矢印で示した部分に白い斑紋があります。



これは連結した個体です。



これは4月初めに見た写真ですが、数匹のニセケバエがクモの糸のようなものの下でうずくまっていました。



このニセケバエの特徴はM1脈で、黄矢印で示したようにこんな角を作っています。



R4+5脈は翅長の2/3よりほんの少し長いだけでした。これらの特徴から先ほどの検索をしてみると、今度はScatopseになりました。「日本昆虫目録第8巻」によると、Scatopse属の日本産で記録されているのはnotata一種です。この種は旧北亜区に広く分布している種で、ネットで探すと上の写真と同じ場所に白い斑紋がありました。たぶん、Scatopse notata(クロツヤニセケバエ)で間違いないのではと思っています。





最後は2年前の9月に河原で見つけたニセケバエです。この時はヒメジョオンの花にアザミウマと一緒にいるところが見られました。1匹だけ捕まえて調べてみました。



このときは写真がうまく撮れなかったのと、採集した個体の翅が破れてしまったのではっきりしたことは分かりませんでした。体は全体的に黒で、脚は暗褐色です。翅脈の写真からRs/R4+5脈が前二者に比べるとかなり短いことが分かります。この時もMNDで検索をしたのですが、今回改めてCMPDで検索してみると、以前と同じ、ニセケバエ亜科(Scatopsinae)で、今回はナガサキニセケバエ族(Swammerdamellini)のQuateiella, Coboldia, Rhexoza3属のどれかであろうという結果になりました。たぶん、この辺りであることは確かそうです。ということで、これまで撮った写真では合計3種のニセケバエが見られていたことになります。ニセケバエも少し分かるようになってきました。

雑談)今回調べたニセケバエ科とこの間調べたクロバネキノコバエ科を「手作り図鑑」風に作ってみました。これまでに作ってきた「手作り図鑑」をどのようにHPにアップしたらよいか迷っていたのですが、科別にすることによりファイルサイズを小さくしてアップすることにしました。試しにハエ目2科をHPに載せてみました。まだ、写真と画像リストのリンクが張っていないなど未完成なのですが、ぼちぼち充実させていこうかなと思っています。

虫を調べる ニセケバエ科Apiloscatopse属?

12月頃からマンションの廊下でよく見かけるニセケバエを調べています。



ニセケバエは体長2-3mmの小さなハエの仲間ですが、時に、家屋のそばや植木鉢で大量発生するので有害昆虫となっているようです。生態はよく分かってないようですが、MNDによると、幼虫は腐敗した植物や動物の排せつ物に発生し、ときに球根や玉ねぎ、果物工場の廃棄物などからも発生するようです。先日、旧北亜区のニセケバエ科の検索表を送っていただいたので、12月21日に採集したこの写真の個体を調べ始めました。とにかく、情報の少ない仲間で、唯一、精力的に研究しているCook氏の論文がMNDの記事を除いては全く手に入らないのも痛手です。従って、送っていただいた次の本に載っている検索表を除いては属の特徴を確かめることができず、?付きになっています。

[1] J.-P. Haenni, "2.12 Family Scatopsidae", in L. Papp and B. Darvas (eds.), "Contributions to a Manual of Palaearctic Diptera (with special reference to fliew of economic importance)", Vol. 2 Nematocera and Lower Brachycera, Science Herald, Budapest pp. 51-69 (1997).

この個体の各部については昨日ブログに出しました。このときも各部の名称がつけられなくて四苦八苦したのですが、検索の方は何とか属まで到達しました。その過程を見ていきたいと思います。



まずは亜科の検索です。赤字は確かめることができなかった項目です。それ以外を写真で確かめていきたいと思います。



まずは全貌です。体長は2.2mmですが、翅が長いので、見た感じは大きく感じます。色は全体に黒ですが、脚は淡褐色になっていて、前腿節の末端や跗節が暗褐色になっています。①はいいでしょう。



これは盾板を横から見たのですが、②もよさそうです。



②の後半については前脛節を調べてみたのですが、特に突起のようなものは見えませんでした。



ニセケバエ科の検索ではとにかく翅脈に関する項目が多いのですが、亜科の検索でも②~④までは翅脈に関する項目です。[・・・]のような括弧を今回初めて導入しました。これは私の注釈です。(・・・)の方は検索表中に載っていたものや英語の訳が適当かどうか分からないとき原文を書いておくときに使うことにしました。まず、②については特に異常は認められないのでOKとしました。③はこの写真では見にくいのですが、MとRs/R4+5脈はほぼ1点で交わります。厳密にはその交点は短い脈になっていてそれがr-m横脈です。これについては後の拡大写真の方がよく分かります。④は"f vn"と書いたものでこれは凹型の折り目にある擬脈です。擬脈かどうかこの写真ではよく分からないのですが、筋がはっきりしているのでたぶん、擬脈でよいのでしょう。それからM脈の分岐は完全でM1とM2という二つの脈に分かれています。これで、すべての項目を確かめました。



次はよく分からなかった項目です。そもそも唇弁が矢印で示した部分かどうか分からず、また、擬気管とはなにかも分かりません。でも、③の項目は多いので、一つぐらい分からなくても大丈夫でしょう。



これもきちんとした写真を撮らなかったのですが、後脛節に特に異常は認められなかったので、③のこの項目もよいことにしました。



③は先ほど説明したr-m横脈についてです。短いですが、あると言えばあります。④はマクロトリキアについてですが、翅を見た感じでは後方のCu脈やA脈、翅膜にはありませんでした。こんな写真しかないのでよく分かりませんが・・・。③と④はこれでOKとなり、ほとんどの項目が確かめられたので、たぶん、Scatopsinae亜科までは確かだと思います。



次は同じ文献に載っている族の検索表です。これも赤字の項目は確かめられなかった部分です。ほぼ順番通りに見ていきます。



⑤は先ほどと同じ項目なのですが、マクロトリキアはありませんでした。ちなみに翅膜に生えているのはミクロトリキアで、マクロトリキアはR脈上に生えている太くて長い刺毛がそれで、基部にソケットと言われる孔があるのでミクロトリキアと見分けられます。



平均棍を拡大してみました。柄の部分に2本の刺毛がありました(黒矢印)。



胸部の形ですが、これも大丈夫でしょう。



また、翅脈です。山のような項目があります。⑦はたぶん、大丈夫だと思います。⑧の過剰横脈についてはこの写真だけではよく分からないのですが、M1とR4+5を結ぶ長い横脈(ちょうど赤線の部分)を持つ属があります。また、その痕跡としてM1脈が途中で角ばっていたり、横脈の基部だけが残っていることがあります。これにはそんなものはまったくありません。それで、⑧はOKです。⑨については前縁脈(C脈)がR1脈で区切られていると考え、その前後を第1区分と第2区分としました。図ではそれぞれ1-Cと2-Cとしてあります。その長さ比べです。2-Cの方が圧倒的に長いので、⑨もOKです。



⑦の第7腹板はs7と書いた部分だと思うのですが、後縁に目立った刺毛がありません。それでこれはOKとしました。



これは胸部側面の前気門のあたりを拡大しました。たぶん、黒破線で表した部分がscleriteだと思うのですが、検索の項目に書いてあることでよいのでしょう。



最後がまた口器の部分でよく分かりません。矢印で示した部分が口肢と唇弁ならば書いてある通りだと思いますが・・・。これで族の検索は終わりです。

ということで、若干、はっきりしなかったところもあるのですが、たぶん、Scatopsini族も大丈夫ではないかと思います。最後は属の検索ですが、長くなったのでこれは次回に回します。

虫を調べる ニセケバエの各部の写真

ニセケバエの検索をしようと思って、顕微鏡で各部の写真を撮りました。



ニセケバエというのはこんなハエです。これは12月21日に写したものですが、この個体を採集して調べてみました。検索についてはまた次回に載せますが、まず、昨日写した顕微鏡写真を使って各部の名称を調べてみようと思いました。ところが、文献がなかなか見つかりません。それで、結局、次の2つの文献を参考にしました。

[1] J.-P. Haenni, "2.12 Family Scatopsidae", in L. Papp and B. Darvas (eds.), "Contributions to a Manual of Palaearctic Diptera (with special reference to fliew of economic importance)", Vol. 2 Nematocera and Lower Brachycera, Science Herald, Budapest pp. 51-69 (1997).
[2] D. de S. Amorim and M. I. P. A. Balbi, "A review of Anapausis Enderlein (Diptera: Scatopsidae) in the Neotropical Region, with four new species and comments on the phylogeny of the genus", Zootaxa 1300, 1 (2006). (ここからダウンロードできます)

でも、まだ十分ではありません。それで、名称のない写真が続いてしまいました。特に交尾器あたりがさっぱり分かりませんでした。



まずは横から撮った写真です。翅が長いですね。体長は2.2mmでした。





頭部は角度を変えて2枚撮ったのですが、口のあたりがどうなっているのかが分かりません。検索には使うのですけど・・・。複眼がこんな色をしているのはたぶん、冷凍庫に入れておいたので、乾燥したからだと思います。



これは頭部を背側から写したものです。左右の複眼が中央でほとんど接しています。その間に単眼が入り込んでいるので、面白い形をしています。胸背にある黄色い帯は後前胸背板だと思うのですが、確認が取れません。



これは触角です。触角は全部で10節でした。





これは盾板を写したものです。刺毛が生えているのですが、どの系列なのかまったく分かりません。



胸部側面は例によって略号で書きました。



略号の意味です。たぶん、合っているのではと思うのですが、これもなかなか確かめられません。



次は翅脈です。翅脈の名称は文献[1]に従っています。f vnは"false vein"の略で擬脈を表しています。検索には翅脈が重要な役割を果たします。



これは翅の基部です。r-m横脈が検索には出てきます。Rs/R4+5脈とM脈はほとんど1点で交わって、X型をしています。



次は腹部の節です。脚が邪魔で途中の節がよく分からなかったので、今日、写真を撮り直しました。



mtは中央背板で中胸の一部です。腹部背板は節がみんな見えたので、たぶん、大丈夫ではないかと思っています。





そして、腹部末端です。こんな複雑な形をしていますが、たぶん、♂だと思います。♂の交尾器の絵はいろいろな論文に出ているのですが、同じような形のものが見つからなくって、それで、名前がついていません。何とか分かりたいのですけど・・・。

というので、各部の名称をつけようと思ったのですが、なかなかうまくは行きませんでした。でも、これらの写真があるのでなんとか検索の方はできました。文献[1]に載っている検索表で調べたのですが、たぶん、最初の予想通り、Scatopsinae亜科Scatopsini族のApiloscatopse属か、あるいは文献[1]には載っていない属かというところになっています。

廊下のむし探検 蛾と甲虫

廊下のむし探検 第1063弾

7日の午後にマンションの廊下を歩いてみました。この日の気温は7度くらい。結構、寒い日でした。



まず最初はチャバネフユエダシャクです。この間も見ました。



次は小さな甲虫です。一応、寸法を測ってみました。体長は2.6mm。写していた時は何だか分からなかったのですが、後から写真を見たら、前胸背板の側縁が変わっていました。見覚えがあったので記録を見てみたら、ヨツモンキスイとしていた個体と似ています。たぶん、それですね。



これはウスモンフユシャクです。



ウスモンフユシャクはもう一匹いました。これは天井に止まっていたものです。



こちらはヨスジノコメキリガで、成虫越冬です。





最後は昨日雑談で出したマグソコガネの仲間です。体長は4.2mm。小さいのですが、一応、この写真を使って検索をしてみると、チャグロマグソコガネあたりになりました。いくつか重要なポイントが写真では写っていないので不安に思っていました。立西さんから、「本州でこの時期に活動しているという点からもチャグロに絞れるかもしれません。」というコメントをいただき、意を強くしているところです。もう少し慎重に検索をしてみたいと思っています。後、ハエが残っているのですが、それは次回に。

雑談)今日はニセケバエの顕微鏡写真を撮りました。これも昨日雑談で出したものです。調べてみると、体長は2,2mm、♂のようです。実体顕微鏡と生物顕微鏡を使って各部の写真を20数枚撮りました。深度合成を使っているので、1枚の写真を作るのに焦点位置を変えながら30枚ほど写真を撮っています。従って、合計600枚ほど撮ったことになります。風を嫌うのでエアコンを切っていてとても寒かった・・・。できた写真を見てみると、腹板に毛があるかどうかという項目でどうも検索表とは違うのではと心配になってきました。昨日はScatopsinae亜科Scatopsini族のApiloscatopse属だと思っていたのですが、ひょっとすると族レベルで違うかもしれません。今は深度合成の計算中なので何とも言えないのですが・・・。

廊下のむし探検 雑談

雑談1)このところやったら寒いので、たぶん、虫はいないだろうなと思って「廊下のむし探検」を休んでいます。その分、文献を調べたり、虫を調べたりとデスクワークに没頭しています。今日は12月21日に採集したニセケバエを調べてみようと思ってその準備をしてみました。



ニセケバエというのはこんなハエの仲間です。体長2-3mmの小さなハエですが、♂♀が連結したままうろうろしているところをよく見かけるので少し気になるハエです。ただ、「日本昆虫目録第8巻双翅目」に載っている種はsppを含めてわずか5属6種。驚くほど記録されている種が少なく、ほとんど日本では手が付けられていないのではと思われるハエの仲間です。



以前にも出したのですが、その後、文献を送っていただいたので、それも含めて文献に載せられている属をまとめてみました。それぞれの文献は以下の通りです。

MND: Manual of Nearctic Diptera Vol. 1 (1981). (ここからダウンロードできます)
MCAD: Manual of Central American Diptera Vol. 1 (2009).(ここで一部読むことができます)
CMPD: J.-P. Haenni, "2.12 Family Scatopsidae", in L. Papp and B. Darvas (eds.), "Contributions to a Manual of Palaearctic Diptera (with special reference to fliew of economic importance)", Vol. 2 Nematocera and Lower Brachycera, Science Herald, Budapest pp. 51-69 (1997).
CIJ: 日本昆虫目録編集委員会、「日本昆虫目録第8巻双翅目」、櫂歌書房 (2014).

MCADが最も新しく多くの属が載っていたので、それを中心に書いて、残りの文献では扱っている属を〇印で書きました。今回は"Palaearctic"、つまり旧北亜区(ユーラシア、北アフリカ、東アジアなど)を扱っているCMPDの検索表を使い、この日に撮った写真を使って検索をしてみました。



こちらは翅脈です。翅脈の名称はCMPDに載っている名称をそのまま用いました。



そして、これはR4+5とMの分岐のあたりの拡大です。これらの写真だけで結構検索ができました。若干不明なところもあるのですが、一応、検索してみると、Scatopsinae亜科Scatopsini族のApiloscatopse属になりそうです。ただ、この属が果たして東アジアで観察されているのかどうか、その辺りはよく分かりません。検索自体は翅脈だけで結構何とかなりそうです。詳細はまた今度出すことにします。

こんなことを雑談に書いたのは実は・・・。試料は冷凍庫に入れています。こんなに小さな虫だと出してしばらくすると乾燥が始まります。そうすると顕微鏡写真を撮っても、しわくちゃになり綺麗に写りません。それで、いつもこのくらいの前準備をしておきます。そうして、短時間のうちに必要な写真を全部撮ってしまいます。結構、忙しいんですよ。

雑談2)ニセケバエ科と同時に7日に撮った甲虫の名前を調べようと思って苦労しています。



まだ、ブログには出してはいないのですが、こんな甲虫です。体長は4.2mm。全体の形からマグソコガネの仲間であることが分かります。マグソコガネについては「日本産コガネムシ上科標準図鑑」に検索表が載っていて、また、「日本産コガネムシ上科図説第1巻食糞群」に詳細な部分写真が載っています。まず、外観から候補を絞ってみました。候補に挙がったのはいずれもマグソコガネ属 Aphodiusに入っていました。Aparammoecius亜属のチャグロマグソコガネ、Agrilinus亜属のヌバタママグソコガネ、Planolinus亜属のマキバマグソコガネの3種です。いずれも亜属が違うので、亜属の検索表で何とかなるかなと思ったのですが、採集をしていなかったのが失敗のもと。今のところ、チャグロが最有力候補になっているのですが、肩歯という上翅の肩部にある小さな歯がどうしても見つかりません。やはり採集をしておくべきでした。



これは翅を横から見たものですが、なかなか面白いですね。数字が振ってあるのは条溝で、第1、2、6、7、8条溝は先端の尖った隆起線状になっています。また、翅端まで達しているのは第1、2条溝ぐらいで、残りはいくつかの条溝が先端で融合しています。黄色の矢印で示したのは間室で、矢印で示した部分は間室も途中で隆起線状になっています。また、赤矢印は肩歯ではないかと思ったのですが、これがよく分かりません。2日後にひょっとしてまだいるかもと思って採集に行ったのですが、やはり見つかりませんでした。(追記2019/01/13:立西さんから、「決定打にはなりませんが,本州でこの時期に活動しているという点からもチャグロに絞れるかもしれません。」というコメントをいただきました。これは心強いコメントです。たどり着く先がよく分からないので検索過程を出すのはやめようかと思っていたのですが、もう少しじっくりと調べてみてみることにします。どうも有難うございました

雑談3)16年間使っていた電子辞書の液晶部分の支えにひびが入り、画面に筋が入り始めてしまいました。どうにも見にくいので、昨日とうとう新しい電子辞書を注文しました。購入したのはやはりカシオのXD-Z9800という英語重視の電子辞書です。以前、使っていたのもカシオ製で論文を読むときにはもっぱらリーダーズ英和辞典を使っていたので、今回もこの辞典だけは入っていることを条件に探しました。今日午前中に届いたのですが、使ってみると、多くの辞典の一括検索ができるので便利ですね。胸部側板の名称である"katepimeron"や"katepisternum"が載っているのには感激しました。これからどんどん論文が読めるようになるかな。ちょっと期待しています。

植物観察会 七草摘み

1月5日に家のすぐそばでいつもの植物観察会が開かれました。この日は七草摘みです。たぶん、何もないだろうなとは思ったのですが、近くなので参加してみました。



集合場所が家から歩いていける距離だったので、川沿いに歩いていたら川の中の石の上にカワセミが止まっていました。もうちょっと大きく撮ろうと思って近づいたらさっさと逃げてしまいました。この日は午前中は曇りだったのですが、観察会が始まるころには晴れ間も見えてきました。集合場所にスズナとスズシロをいっぱい持って来られた方がいました。七草摘みでは摘めないだろうからと初めに1株ずつ配られました。





歩き始めてすぐ道端にこんな植物が生えていました。リーダーによるとフユアオイだそうです。長田氏の「日本帰化植物図鑑」によると、アジア東部原産で江戸時代に食用として移入されたようです。





河原で七草探しをしました。細い水路沿いでセリのたくさん生えているところを見つけた方がおられました。私はセリ摘みはしないで、写真だけ。





河原にはハコベもありましたが、写真は撮りそこないました。この後は休耕田巡りです。休耕田ではこんなアメリカフウロのロゼットがたくさん生えていました。でも、七草は意外にありません。





田んぼの間の道に生えていたビワです。ハナアブや小さなハエがいました。虫好きの私としては少し粘って撮りたかったのですが、時間がなくて残念!



田んぼの畔に生えていました。リーダーによるとチチコグサだそうです。



畔にはヒガンバナがいっぱい生えていました。リーダーによると、昔、山の上にある霊園にいっぱい咲かせようと移植が行われたのですが、全く根付かなかったようです。やはりこんな田んぼの畔がいいのですね。



やっと緑の多い休耕田が見つかりました。これはたぶん、タネツケバナ



これはハハコグサ



これはたぶんナズナ



そして、これはコオニタビラコだそうです。花が咲いていないと見てもなかなか分かりませんね。

虫を調べる ヒメセマダライエバエ?の検索

年が明けてから、ずっとマンションの廊下で見つけたイエバエを調べていましたが、少し終わりが見えてきたので、そろそろまとめて出そうと思います。



対象とするのはこんなハエです。写したときには分からなかったのですが、特徴的な胸背の模様をしているので、家で図鑑を見ると、すぐにイエバエ科のセマダライエバエの仲間であることが分かりました。ただ、似ている種として、セマダライエバエとヒメセマダライエバエの2種がいます。「新訂原色昆虫大図鑑III」の図版では♂の図が出ていて両者は胸背や腹部の模様がはっきりと違うのですが、大石・村山氏の「日本産イエバエの同定」を読むと、「♀は色彩斑紋が♂と大きく異なり、注意が必要」とあり、♀では模様がだいぶ違うようです。この個体も♀なので、やはりちゃんと検索をしてみないといけないなと思ってやってみました。でも、これが深みにはまるもとになってしまいました。

[1] 篠永哲、「日本のイエバエ科」、東海大学出版会 (2003).
[2] 大石久志、村山茂樹、「日本のイエバエの同定」、はなあぶ 37、100 (2014).

イエバエ科までは確かそうなので、その先を上の二つの文献に載っている検索表で試してみました。[1]は日本のイエバエ科の総集編ともいえる立派な成書なのですが、亜科の検索表を使うとどうもうまくいかなくて困っていました。そうしたら、[2]の論文が出ていることを知りました。この論文は[1]で不都合なところを、多くの標本を調べて修正したもので、さらに、解説もついていて大変価値のある論文だと思いました。今回は亜科~属の検索を[2]に載っている検索表を使って試みてみました。



このイエバエはイエバエ科の中でもかなり特異な属に含まれているのか、たった3項目でマルイエバエ亜科のセマダライエバエ属 Graphomyaまで達しました。まずはこれを写真で確かめていきます。



最初は胸部側板に刺毛があるかないかです。各部の名称は先日ブログに出したのですが、下後側板と上後側板は矢印で示した部分です。ちょっと拡大してみます。



この写真を見るとすぐに分かりますが、下後側板には短い刺毛が生え、上後側板には生えていません。これで①と③はOKになりました。



②は翅脈に関してです。M1+2脈というのは写真に示した通りですが、このハエではゆるく曲がっています。イエバエの仲間には曲がる種と曲がらない種があります。これで3項目すべてを調べたので、マルイエバエ亜科のセマダライエバエ属 Graphomyaは確かそうです。

文献[1]にはマルイエバエ亜科の属への検索表が載っているのでそちらも試してみました。



こちらも3項目です。Ⓒはたぶん、赤字のように直さないとうまくいかないだろうと思ったので、直しておきました。これも写真で見ていきます。



正中毛は盾板の中心に生える毛ですが、少し拡大してみました。



acと書いた部分の毛が正中毛です。また、横線も書いた通りです。対抗する項目は横線前側にある正中毛が4列で、内側の列より外側の列の方が長くて強いというものです。この個体では均一なので、ⒶはOKです。



Ⓑは先ほど見たので省略し、Ⓒを見てみます。腹胸側板というのは矢印で示した部分ですが、この上の剛毛の配列は検索表にたびたび登場します。前側と後ろ側にそれぞれ生える剛毛の数を〇+〇という風に書くと、この写真の場合は0+2となります。原文では0+1となっていたのですが、セマダライエバエ属に含まれる2種ではいずれも0+2なので、そう直しておきました。ともかく、これで、ⒸもOKとなり、こちらの検索表でもやはりセマダライエバエ属になりました。

次は種の検索です。実は、ここからが大変でした。文献[1]には種の検索表も載っているのですが、それはこういうものです。



文献[1]では英語版と日本語版の検索表が載っていますが、これは日本語版を書いたものです。要は亜額帯といわれる頭部の部分に1列の短毛列があるか、多数の短毛があるかというだけなので、すぐに調べてみました。



亜額帯というのは図で示した部分です。後でもう少し拡大した写真を出しますが、見るからにたくさんの短毛があり、とても1列とは思えません。それで、直ちにセマダライエバエになりそうなのですが、実は④aで書いた「一列の短毛列」は♂に対してだけ言えるようです。それはこの2種の説明を読むと分かります。



これは[1]に載っている各論のうち、♀について両者の特徴をまとめたものです。赤字が両者で異なると思われる部分です。先ほどの短毛の部分を見ると、両方とも「多くの短毛がある」となっていて違いはありません。むしろ、oriという剛毛列の外側だけにあるか、内側と外側にあるかという違いがあるくらいです。そこで、この赤字の部分を今回の個体と比べてみることにしました。なお、4列目は今回の個体に関する値、最右列はmaculataとrufitibiaのどちらと判定できるかを書いたものです。結論から先に言うとどちらともいえない状態です。



まず、体長から比べると、今回の個体は6.7mm。文献[1]に書かれた範囲には入っていませんが、2者の体長は重なっているので、体長だけからでは判断できません。ただし、「新訂日本昆虫大図鑑III」には括弧書きにしたように体長は違って書かれていました。これによれば、ヒメセマダラの方が合致しています。



次は前額の幅と頭幅との比較です。前額の幅として図のように複眼側縁間の距離を測りました。説明には頭頂と触角基部が載っているのですが、ついでに何か所か測ってみました。角度を変えて写した写真3枚を使って測定し、それをグラフに表したのが次の図です。



こんな風に比は連続的に変化していきます。青矢印で示した部分が文献に載っていた個所ですが、触角基部では44%程度、頭頂を単眼の場所で測れば30%となり、触角基部ではセマダラに近く、頭頂ではヒメセマダラに近いという結果になりました。ただ、測る場所により連続的に変化していく量なので、場所次第で容易に値が変化し、比較するにはあまりよい量とは言えません。少なくとも測定する場所をもっと厳密に決めておく必要があるだろうと思います。例えば、触角基部と前単眼というように。



次は頭部の拡大です。ori は下額眼縁剛毛なのですが、黄色の点で表した部分になります。数えてみると、左右で少し数が異なり、ハエの顔に向かって左側で10本、右側で9本でした。また、orsは上額眼縁剛毛ですが、それぞれ2本と1本になります。この辺の数はヒメセマダラに合っています。ori の周囲には短毛がたくさん生えていますが、よく見るとoriの内側の黒い部分にも生えています。内側にも外側にも生えているので、これはセマダラの記述に合っています。

ということで、先ほどの表の最右列の判定を見てみると、mとrが混在していてどちらともいえない状態になってしまいました。ここで行き詰ったのですが、ほかにも両者の特徴を書いた論文がないか、文献を調べてみました。そして次の論文を見つけました。

[3] J. R. Vockeroth, “A Review of the World Genera of Mydaeinae, with a Revision of the Species of New Guinea and Oceania (Diptera: Muscidae)”, Pacific Insects Monograph 29 (1972). (ここからダウンロードできます)

この中でうまい具合にセマダラとヒメセマダラの両者の特徴が載っていて、さらに検索表までついていました。検索表のうち♀についてのみ書き出すと次のようになります。



文章は長いのですが、要は、1)亜額帯の短毛、2)中胸背板横線後の正中暗色帯の幅についてです。早速、調べてみました。



亜眼帯をori から複眼側縁まで距離の1/2と2/3の領域に分け、1/2よりori側に近い場所にだけ短毛があればヒメセマダラ、2/3を越えて生えていればセマダラとしています。ただし、ヒメセマダラでも2./3を越えるものもあるという注釈付きです。その部分を拡大してみます。



この個体では2/3を越える短毛はないのですが、赤矢印で示したように1/2を越える短毛は少し見られました。でも、2/3を越えていないので、検索表の判定ではヒメセマダラに近いようです。



次は盾板の横線後に見られる正中黒帯についてです。この幅がacで示した剛毛を越えるとセマダラ、越えないとヒメセマダラという見分け方です。残念ながらこの個体はちょうど線上くらいになっています。また、正中黒帯前方での亜正中黒帯との分離もやや不明瞭です。ということで、模様からは判定がつきません。

ということで、結論としては、短毛の生え方からはヒメセマダライエバエの可能性が高いと言えますが、その他の点ではセマダラとヒメセマダラの中間的な特徴を持った個体だろうということになりました。



ついでに論文[3]に載っている♀の特徴をまとめておきました。♂との比較なので、それほど役に立つわけでもなかったのですが・・・。

模様から一発で分かりそうなハエなのですが、細かく調べるとなかなかどうして手強い相手でした。結果ももやもやもやした感じが残りました。でも、お陰で細部までよく分かったので、今度見つけたときには見る目も変わっていることでしょう。もっともそれまで覚えていたらの話ですが・・・。

廊下のむし探検 ハエなど

廊下のむし探検 第1062弾

1月2日にマンションの廊下で見つけた虫の続きです。こんな冬に虫などいないだろうと思われるでしょうが、探してみると意外にいるものです。



と言っても何もいないかもと思ってクモも写しておきました。ネコハグモです。クモは不思議と冬でも見ますね。



ユスリカの仲間はいっぱいいました。これは翅に黒い筋が入っていて、MCu横脈にまで伸びていそうなので、ヤマユスリカ亜科ではないかと思います。



これはMCu横脈はなさそうで、なおかつ前脛節の方が跗節第1節より長そうなので、エリユスリカ亜科ではと思いました。共に♀です。



これは♂なのですが、大変小さなユスリカです。亜科まで分かりませんでした。



これは何かな。♀は確かですが・・・。ユスリカは捕まえないとほとんど分かりません。もっとも捕まえてもなかなか分からないのですが・・・。



これはM1+2脈が深く曲がっています。たぶん、ヤドリバエの仲間かなと思いました。(追記2019/01/13:通りすがりさんから、「ヤドリバエっぽいのはクロバエ科のウヅキイエバエモドキっぽいですね。」というコメントをいただきました。クロバエ科というのは意外でした。コメントどうも有難うございました。ネットで画像検索をしたら、自分のブログが引っかかりました。以前も通りすがりさんに教えていただいていたのですね。すっかり忘れていました





これは今悩んでいるイエバエ科のハエです。ぱっと見ではヒメセマダライエバエの様なのですが、♀だと斑紋での判定は難しいということなので、検索表で調べ始めました。でも、これが悩みの始まりでした。結局、ヒメセマダライエバエの可能性が高いかなと思っています。実は、特徴がセマダライエバエ♀とヒメセマダライエバエ♀の中間的なので悩みました。(追記2019/01/13:検索をしてみたのですが、ヒメセマダライエバエの可能性が高いもののセマダライエバエとの中間的な特徴を持っているという結論になりました。詳細はこちらこちら



これはツマグロキンバエ



これはノミバエ。たぶん、トゲナシノミバエ亜科のMegaselia属ではないかと思いました。



これもノミバエですが、脛節に長い刺が出ています。それで、ノミバエ亜科の方だと思われます。



最後はモリチャバネゴキブリの幼虫かな。

廊下のむし探検 冬尺など

廊下のむし探検 第1061弾

1月2日にマンションの廊下を歩いてみました。何かいるかなと思って歩いたのですが、意外に冬尺がいっぱいいました。



まずはシロオビフユシャク。これまでの記録を見ると、12月下旬から1月下旬にかけて見ていました。



次はチャバネフユエダシャク。こちらは12月中旬から1月初旬にかけてです。







そしてこれらはウスモンフユシャク。この日は3匹いました。ウスモンフユシャクは1月初旬から下旬にかけてです。





これはこの間から見ているホソバハガタヨトウ



最後はこの蛾。廊下でつぶれて死んでいたのですが、翅に模様があるので何とか分かるかなと思って写したのですが、図鑑を何度見ても分かりませんでした。何でしょうね。蛾以外は次回に回します。(追記2019/01/13:ささきさんから、「最後の蛾はエゾギクキンウワバかな。本種の特徴である前翅中央部の単色の帯が消える個体がときどき見られますし、成虫越冬だから季節的にも合いますよ。」というコメントをいただきました。確かにそうですね。銀色の帯が見えなかったので、すっかり騙されてしまいました

雑談)今日はセマダライエバエとヒメセマダライエバエの♀の見分け方を調べました。とにかく、篠原氏の「日本のイエバエ科」に載っている記述だけでは2種の♀は見分けられません。それで文献を探しに探しました。そして、やっと論文を見つけました。その検索表に従えば、たぶん、私が採集した個体はヒメセマダライエバエ♀だと思われます。これでやっとまとめることができます。

ヒメセマダライエバエ?の各部の名称

実は、1月2日に採集したイエバエをブログに出すより先に調べてしまいました。いつものように、検索をする前に各部の名称を調べてみました。



捕まえたのはこんなハエです。胸背の模様が変わっているし、最近、クロバネキノコバエのような小さなハエばかり調べていたので、たまにはこんな大きめのハエもいいかなと思って採集しました。図鑑で調べてみると、こんな模様のハエはセマダライエバエの仲間で、その中でもヒメセマダライエバエに似ている感じです。特徴のあるハエなので、模様からほとんど名前が分かるのですが、いいチャンスだから練習のつもりで検索もやってみようと思ったのが、苦戦の始まりでした。いつものように「日本のイエバエ科」や大石・村山氏の「日本産イエバエの同定」で調べてみると、マルイエバエ亜科のセマダライエバエ属にはすぐに到達するのですが、その後の種の検索で思いのほか苦戦です。大石・村山氏の論文にも「♀は色彩斑紋が♂と大きく異なり、注意が必要」とのことで、模様だけの判定では難しいようです。この検索の話はまた次回に回すことにして、今回は各部の名称を調べてみました。



まずは横から見た写真です。体長は6.7mmです。また、最初の写真でも分かるように複眼の間隔が離れているのでこれは♀です。



次は背側からの写真です。腹部の節については、篠永哲氏の「日本のイエバエ科」を参考にしました。t は背板の意味のtergiteの略です。t1 はt2 と融合しているのか、単に見えにくいのか、ともかく絵には描かれていませんでした。(追記2019/01/06:文献を少し調べてみました。

E. C. M. D'Assis Fonseca, "Diptera Cyclorrhapha Calypterata, section (b) Muscidae", "Handbooks for the Identification of British Insects", Roy. Entomol. Soc. London X, Part 4(b) (1968).(ここからダウンロードできます)

この本の中に、hypopygium(尾節)を除くと腹部は6節で、第1と第2背板は多少なりとも融合し、第6節は第5節の下に殆どまたは完全に隠されていると書かれていました。さらに、融合した第1背板の後縁は溝のような横筋やその直後の刺毛列によって容易にトレースできるとも書かれていました。この個体では少し奥まったところにあるのか写真ではよく分かりませんでした



次は顔です。これは主に「新訂原色昆虫大図鑑III」の絵を参考にしました。どうせ、英語の論文を読まなければならないので、英語名も一緒に書いておきました。今回は額嚢溝、顔隆起線、前額―顴溝辺りがよく分かりました。



斜め前から撮った写真もあったのですが、これだと溝と隆起線がよく分かります。それにしても、実体顕微鏡で見るだけでよいというのは楽ですね。クロバネキノコバエは生物顕微鏡を使わないと細かいところが見えないし、前脚脛節末端については脚の向きや照明方向もいろいろと変えなければいけなかったのでともかく大変でした。



次は胸部側面です。込み入っているので略号で示しました。英語名をそのまま略したので、一般的でない略号になっていると思います。



これが略号の意味です。英語と日本語は共に「新訂原色昆虫大図鑑III」を参考にしました。



これは腹部を腹側から写したものです。これも、「日本のイエバエ科」を参考にしました。s は腹板を意味するsterniteの略です。ここでは腹部第1腹板 s1 が見えていることを知りました。



次は翅脈です。これは「新訂原色昆虫大図鑑III」を参考にしました。



続いて刺毛です。まずは頭部の刺毛です。oriというやや長い内側に傾いた刺毛が並んでいます。orsという後傾の短い刺毛が2本あります。そのほか、oriの付近には短い毛が沢山生えています。この辺りが検索では重要になるのですけど・・・。





胸部の刺毛は二方向から撮りました。刺毛は写真ではうまく写らないlことが多いのでいろいろな方向から撮っておくことが重要です。刺毛の略称は「日本のイエバエ科」を参考にしました。盾板の前半部に筋がありますが、これが横線です。この横線の前方で黄矢印で示した刺毛は「日本のイエバエ科」ではprsとなっていたのですが、大石・村山氏の論文によると、prsはクロバエ科で用いられている名称の様なので、括弧書きにしておきました。これをia の系列に入れてよいものかどうかよく分かりません。横線後にも黄矢印で示した刺毛があるのですが、「日本のイエバエ科」のセマダライエバエとヒメセマダライエバエの各論の説明では、ia 0+1となっていて、つまり、横線前に0本、横線後に1本という意味なので、これを ia の系列に入れてもよいものかどうかよく分かりませんでした。



次は横からです。刺毛の略号が分からなかったものについてはMNDを参考にしました。

こうやって各部の名称を調べていくことは実はかなりいい勉強になっているのではと思うようになりました。普通、図鑑を買っても解説の部分を読まないことが多いのですが、各部の名称を調べていく過程で「新訂原色昆虫大図鑑III」のハエ目の解説を何度読み直したことか。

廊下のむし探検 キジラミ、ハナアブほか

廊下のむし探検 第1060弾

1月1日にマンションの廊下で見つけた虫がまだ少し残っていました。でも、名前調べの難しいものばかり。



最初はこんなキジラミです。これも何度か見ています。たぶん、以前調べたときの種と同じ種ではないかと思っています。



額錐という顔の前面に飛び出している部分の形も似ています。このときはリンゴキジラミ属まで進んだのですが、その先の種の同定で挫折しました。今回もパスです。





今頃になるとハナアブの仲間が壁や床に止まってじっとしている姿をよく見かけます。これはキゴシハナアブです。





そして、このハナアブ。これは以前、迷いに迷って、最終的にコマバムツホシヒラタアブだと教えていただいた種と似ています。



一応、横顔だけは写しておきました。

このときは大石氏の絵解き検索表を使って、ラップホシヒラタアブかもと思ったのですが、ちょっともやもやしていたら、コマバムツホシヒラタアブだと教えていただきました。

大石久志氏、「ルーペで調べる身近な縞模様のハナアブの見分け方(1)~(7)」、昆虫と自然 (1996)~(2000).



そのときにポイントとなったのが、この写真の黄矢印で示したR4+5脈の曲がり方です。そこで、ネットで得られる標本写真と曲がり方の比較をしてみました。その結果、わずかながら、コマバムツホシヒラタアブとラップホシヒラタアブでは曲がり方が違っていて、比較の結果、コマバムツホシヒラタアブだという結論にしました。しかし、その違いはかなり微妙です。しかも、今回は採集をしなかったので、直接比較はできません。それで、少し両者の違いを文献で調べてみました。



まず、大石氏の絵解き検索表で調べた違いです。コマバムツホシヒラタアブはScaeva komabensis、ラップホシヒラタアブはLapposyrphus lapponicusとなっていましたが、現在ではEupeodes (Lapposyrphus) lapponicusとなっているようです。この表は検索表で二つの選択肢のうちどちらを選択したらよいかはっきりしているところは片側だけ、はっきりしていないときは両方を書いています。従って、その結果出てきた属が候補になります。ともかく、ScaevaとLapposyrphusの違いは、①のR4+5の曲がり方になっています。「曲がる」と「真っすぐ」の二つだけからの選択だとはっきりするのですが、①bのように「かすかに曲がる」という項目が入ってくると何とも言えなくなってしまいます。(追記2019/01/5:やけに候補が多いなと思って上の表を見直したら、途中で方針が変化していました。それで訂正しておきました

ついでに次の本に載っている検索表も見てみました。

J. R. Vockeroth, "The flower flies of the subfamily Syrphinae of Canada, Alaska, and Greenland, Diptera: Syrphidae", "Insects and Arachnids of Canada Handbook Series", 18  (1991).(ここからダウンロードできます)



この表ではScaevaとEupeodes (Lapposyrphus)が出てくる近傍の検索表すべて訳しました。こちらでは複眼の毛で分けていることになります。しかし、これも①bのように「ほとんどそれに近い」という項目が入るとよく分からなくなります。



これは今回の生態写真を拡大したものですが、複眼の毛は密というべきか、ややまばらというべきか迷うところですが、有毛であることだけは確かです。



ついでに同じ本に載っているEupeodes、E. (Lapposyrphus)、Scaevaの特徴を頭部と翅に限ってまとめてみました。Scaevaは♂では頭部がかなり特徴的なのですが、これは♀です。従って、なかなか微妙です。最近の分子系統学によればこの二つの属はかなり近縁のようです。それで難しいのかもしれません。以前、調べたときに標本を作っていたので、今度、じっくりと眺めてみたいと思います。



次はキノコバエです。キノコバエも調べられるようになったのですが、これはかなり小さかったのでパスしました。



一応、翅脈だけは撮っておきました。



それからツマグロキンバエです。



このクモは最初オチバカニグモの仲間かなと思ったのですが、キハダカニグモかもしれません。♂だから調べることもできたのですが、まだ、クモに対する抵抗感が抜けません。



最後は小さなクモで、よく分かりません。これで、元旦の虫は終わりです。

廊下のむし探検 元旦の虫(続き)

廊下のむし探検 第1059弾

元旦にマンションの廊下を歩いて見つけた虫の続きです。今ごろはハエの仲間が多いので、名前調べが大変です。





最初はこのユスリカです。結構大きなユスリカで、しかも♂だったので、このくらいなら交尾器を調べるのも楽かもと思って、吸虫管を出してまさに吸おうとしたときに、風が吹き、その風に乗ってどこかに行ってしまいました。仕方なく、この写真から名前調べです。特徴的なのは翅に黒い斑紋があるところ、脚が縞模様になっているところです。これを手掛かりに「図説日本のユスリカ」の図版を見ていったら、似た種が見つかりました。ユスリカ亜科のアキヅキユスリカ Stictochironomus akizukiiです。ただ、似た種にユビグロアシマダラユスリカ sticticusがいるとのことです。そこで、ついでにこの写真で検索をしてみることにしました。



「日本産水生昆虫第二版」と「図説日本のユスリカ」に載っている検索表を使って、アキヅキユスリカとユビグロアシマダラユスリカに至る経路を書いてみるとこのようになります。この中で、赤字は写真では確かめられなかった項目です。たいていは交尾器に関するものです。また、青色はやや怪しいと思われた項目です。これらを写真で見ていくと次のようになります。



項目の番号を書き込んでみました。R2+3脈があり、m-cu横脈がないこと、そのほかr-m横脈が斜めになっていて斑紋があること、翅に大毛がないことなどが見て取れます。



後盾板に中央条線があることは分かりましたが、盾板に中央瘤があるところがよく分かりません。盾板の後方が凹んでいるので、たぶん、横から見ると分かったのではと思うのですが・・・。



跗節第1節の方が脛節よりやや長いことが分かります。



交尾器のあたりがはっきり写っていなかったのですが、第8背板(t8)がほぼ四角形で、把握器と底節の間がくびれているので、ここで折れ曲がるだろうと判断しました。

ということで、途中、抜けている項目は多いのですが、何となくアシマダラユスリカ属らしいことは分かりました。アキヅキユスリカは脚の縞模様がはっきりしていて、ユビグロアシマダラユスリカは脚の淡色のリングが不明瞭ということで、たぶん、この個体はアキヅキユスリカだろうと思っています。ただ、両者の区別は跗節に長い髭毛を持つかどうかで、図も出ていました。



前脚跗節を拡大したのがこの写真ですが、この写真を見ると、結構長い毛が生えています。これでよく分からなくなりました。採集できたらよかったのにねぇ。





ユスリカは何匹かいたのですが、いずれも小さくて・・・。上が♀、下が♂です。





これはブユの仲間♀です。これについては以前も調べたことがありました。そのときはオオイタアシマダラブユとしたのですが、たぶん、同じではないかと思います。



これはキモグリバエです。たぶん、この間調べたナミネアブラキモグリバエと同じだと思います。ほかにもいたのですが、もう少し調べてから出します。

虫を調べる クロバネキノコバエ科Ctenosciara属?

この間からマンションの廊下で見かけるクロバネキノコバエ科を調べています。先日は12月21日に採集した胸背の黒い個体を調べてBradysia属ではないかという結論になりました。今回はそのときに捕まえた胸背が褐色の個体を調べてみました。



この日は2匹採集したので、調べた個体とこの写真の個体が同一かどうかは判断できないのですが、ともかく、こんな感じの個体です。

検索には最近送っていただいた次の文献に載っている検索表を用いました。

F. Menzel and W. Mohrig, "2.6 Family Sciaridae", in L. Papp and B. Darvas (eds.), "Contributions to a Manual of Palaearctic Diptera (with special reference to fliew of economic importance)", Vol. 2 Nematocera and Lower Brachycera, Science Herald, Budapest pp. 51-69 (1997).

この検索表には「日本昆虫目録第8巻」に載っている属のほとんどが載っているので、かなり有効なのですが、4属が載っていないので完ぺきではありません。でも、ともかく、この検索表を用いてみました。その結果、Ctenosciara属になりました。



検索表上ではこの6項目を調べることで、Ctenosciara属であることが確かめられます。合っているかどうかはよく分からないですが、写真で確かめていきたいと思います。



側面からの写真です。体長は2.4mm。この間調べた胸背が黒い個体(体長2.2mm)より若干大きいですが、ほぼ同じ大きさでした。また、腹部末端が尖っているので、先日と同様♀でした。



だいたい検索順に見ていきます。これは翅脈です。翅脈の名称は前回と同様にMenzel(1999)の方式に従いました。①で言っているのは黒矢印で示した分岐がほぼ対称で、M1脈が若干弓形に湾曲している(赤矢印)ことを示しています。



これはついでに翅基部を写したものです。(Cu2)と書いた線を脈として判断するか、それとも擬脈かという問題については以前書いたことがありました。



次は触角の写真です。これがうまく撮影できませんでした。でも、とりあえず毛の長さは節の長さの1/3程度で、首が黒くないことだけは分かります。



照明の方法を変えて、横から直接光を当ててみました。表面が滑らかだということは分かったのですが、何だかよく分かりませんね。



頭部の写真です。口肢に生えている剛毛は次の写真でよく分かります。複眼の一部が銀色なのは、たぶん、冷凍庫に入れていて乾燥したせいかなと思っています。



口肢の拡大です。これはうまく写りました。第1節には確かに2本の剛毛が生えています(黒矢印)。



次は中脚脛節末端の距棘です(黒矢印)。2本あって、ほぼ等長です。



これは大晦日に載せた写真です。距棘の横に透明な剛毛列が見えます。たぶん、このことだろうと思うのですが、あまり自信はありません。



⑤と⑥についてはM1、M2、Cu1a脈上にマクロトリキアが生えていることが明瞭に分かります。



次は跗節爪です。これが毎回うまく写らない・・・。でも、歯がないことは確かみたいです。

ということで、すべての項目を確かめたので、たぶん、Ctenosciara属だろうと思っています。まぁ、怪しいと言えば、前脚脛節末端の剛毛列についてでしょうね。「日本昆虫目録第8巻」では、Ctenosciara属には6種が記録されています。ここから先はたぶん、♂の交尾器を見る必要があるのでしょうね。



ところで、MND(Manual of Nearctic Diptera Vol. 1 (1981). (ここからダウンロードできます))にはCtenosciara属は載っていません。それで、この文献に載っている検索表で検索してみるとどうなるか試してみました。その結果、Ⓐ~Ⓕまではうまく進むのですが、Ⓖになってどちらの選択肢でも合わなくなります。その合わない部分を赤字で示しました。

ついでに今回の写真を使って各部の名称をつけてみました。



頭部です。



眼橋のあたりです。



胸背です。短い刺毛が列状に並んでいますが、端にある刺毛ではどれがどの系列なのかよく分かりません。



胸部側面です。今回は「新訂原色昆虫大図鑑III」に載っているガガンボダマシ科の絵を参考に名前を付けてみました。結構、合っているのではないかと思っています。



最後は腹部末端を側面から見た写真です。第9、10節あたりがどうもよく分かりません。

どういうわけか、この日採集した4匹すべてが♀でした。これについてはMNDに少し書かれていました。クロバネキノコバエ科の性比は種によって大きく変化し、場合によってはy染色体のないものもあるので、♀ばかりということもあるそうです。これまでに撮った写真を見てみても、♂の写真はかなり少なかったです。♀が多いのかなぁ。

廊下のむし探検 元旦の蛾

廊下のむし探検 第1058弾

元旦の虫を調べてみようと思って、マンションの廊下を歩いてみました。今日は気温は低かったのですが、晴れていたので、何となく虫のいそうな予感がしました。予想通り、全部で18種の虫が見つかりました。それで、まず、蛾からです。



まずはマエアカスカシノメイガ





次はクシヒゲシャチホコ。♂の触角は羽毛状で「櫛鬚」の語源になっています。記録を見てみると、これまで12月から1月にかけて5度見ていました。



こんなチョウチョ止まりをする蛾は珍しいですよね。ルリモンクチバです。この6年間で11月に1度だけ見ていました。



これは真後ろから撮ったものです。チョウチョとはちょっと違って、中が見えていますね。



こちらはキマエキリガ。これまで12月から1月初めにかけて何度も見ていました。





すぐ近くに2匹止まっていました。たぶん、ホソバハガタヨトウだと思われます。記録によると11月に1度、1月に2度見ていました。成虫越冬ではないようです。



最後はアカエグリバです。「標準図鑑」によると、年に2~3化、成虫越冬だそうです。記録によると、4月に1度、7から9月に9度、11~1月に3度見ていました。残りの虫は次回に回します。
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