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廊下のむし探検 雑談

紅白歌合戦を見ながら書いています。でも、何となくまとまらないので、雑談にしました。



21日にマンションの廊下でクロバネキノコバエを4匹捕まえました。先日、この写真のような胸背の黒い個体の検索を試み、Bradysia属ではないかという結論になりました(各部の構造検索を見てください)。このときにポイントになるのが、前脛節の前先端にある剛毛列です。でも、どうやっても写真がうまく撮れません。もともと体長が2.2mmほどしかない上に前脚脛節の先端にある構造なので、倍率的に仕方がないかなと思っていたのですが、この時一緒に捕まえた胸背の褐色の個体がどうやら別の属だと分かって、もうちょっと頑張って写してみようと思い立ちました。



これがその写真です。剛毛列というのは前脚脛節末端にある距棘の基部にあるこんな構造です。色が黒だとはっきり写るのですが、透明もしくは薄黄色なので、どうしてもコントラストがつきません。それでも、1列に並んでいることだけは確かです。



透過光で撮ると剛毛列の先端部だけがよく見えます。剛毛列であることもともかく確かなようです。



もう一つの特徴は翅のM1、M2、Cu1a脈上にマクロトリキア(刺毛など)が生えていないことでした(翅全体に生えている細かい毛はミクロトリキア。両者の違いは基部にソケットと言われる穴が開いているかどうかです)。



このときにもう一種捕まえたクロバネキノコバエの仲間です。外観上は胸背が褐色なので、先ほどの個体とは違う感じです。体長は2.4mmなので、先ほどよりやや大きいけれどほぼ同じ大きさです。



こちらは翅のM1、M2、Cu1a脈の上にマクロトリキアが生えています。従って、属レベルで違っています。そこで、先日送っていただいた次の文献に載っている検索表で調べてみました。

F. Menzel and W. Mohrig, "2.6 Family Sciaridae", in L. Papp and B. Darvas (eds.), "Contributions to a Manual of Palaearctic Diptera (with special reference to fliew of economic importance)", Vol. 2 Nematocera and Lower Brachycera, Science Herald, Budapest pp. 51-69 (1997).

ここで、重要になるのがまたしても、前脚脛節の前先端の剛毛列の構造です。剛毛列はそもそも実体顕微鏡でぱっと見ただけではまず分かりません。それで、ピンセットで前脚を外してあーでもないこーでもないとひっくり返しながら生物顕微鏡で剛毛列を探しています。見つけたら、今度はどうやって写真を撮ればよいかです。照明方法や脚の方向、倍率などを何度も変えながら写したのが次の写真です。



左側で下を向いて尖っているのが距棘で、その右側に矢印で示した透明な剛毛列が見えます。



ちょっと角度を変えて写すと、どうやら左右二つに分かれているようです。やっと撮れました。これは40倍の対物鏡で撮影したものです。この構造から、クロバネキノコバエ科のCtenosciara属ではないかと思っています。本当かどうか分かりませんが・・・。

しかし、大晦日にクロバネキノコバエの前脚脛節末端の写真ばかり撮って、いったい何の因果でしょうね。
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廊下のむし探検 チャタテムシ、蛾など

廊下のむし探検 第1057弾

28日にマンションの廊下を歩いてみました。この日の最高気温は4度くらい。たぶん、虫はいないだろうなと思ったのですが、ネタ探し。





この間見つけたチャタテムシがいました。前翅長は4.0mm。この間はチャタテ科のAmphigerontia contaminataではないかと思ったのですが、今回はチャンスだと思って一応採集しました。眼が飛び出ているので♂かもしれません。検索表は♂交尾器についてだけなので、うまくいくかどうかちょっと心配です。



もう一匹チャタテムシがいました。こちらは触角が長いですね。前翅長は6.6mm。少し大きめです。





これはたぶん、クロミャクチャタテですね。



廊下の手すりの溝で小さなハチがじっとしていました。これは昨年調べたコガネコバチに似ています。採集はしなったのですけど・・・。





この蛾は何だろうと思ってだいぶ悩みました。結局、白い紋の形から、いつも見ているヘーネアオハガタヨトウではないかと思っています。



最後はこの間から見ているミドリハガタヨトウです。

雑談1)いつの間にか年末になってしまいました。本当に時間の経つのが速いですね。今日は年賀状を印刷して投函しました。いつもは31日に投函するので、今年は1日早いかな。

雑談2)昨日から胸背が褐色のクロバネキノコバエの属の検索をしています。今回は翅のM1、M2、Cu1aなどに刺毛が生えているので、前回の種とは明らかに違っています。先日は何とか属まで到達したので、今回もと期待したのですが、意外にうまく行きません。行き着く先が日本にはいない属になったり、特徴が違っていたりとして・・・。でも、こういうときはまず顕微鏡で各部の写真を撮り、一つ一つ確かめながら検索していくことが重要だと思って、昨日と今日とで顕微鏡写真を撮りました。何とか分かるとよいのですけど・・・。これは21日に採集したのですが、この日はこのほかハチ2匹、ニセケバエ1匹を採集しているので、早く検索をしてしまわないといけないのですけど、なかなか進みませんね。

廊下のむし探検 チャタテムシ、ハエなど

廊下のむし探検 第1056弾

23日にマンションの廊下を歩いてみました。虫はちょっとだけいたのですが、だいたいは地味な虫ばかりです。





この時期になると、チャタテムシによく出会います。これは縁紋が四角いので、たぶん、クリイロチャタテだと思います。この日は2匹いました。





こんなチャタテムシもいました。前翅長は3.7mm。これはたぶん、初めてでないかと思います。触角が短いですね。以前、出したチャタテムシの科を簡単に類推する方法によれば、これはチャタテ科になります。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991). (こちらからダウンロードできます)

ついでに、この富田氏の検索表により属の検索をしてみました。

①小顎鬚の端節は幅の約2.5倍;触角は比較的短く、せいぜい前翅長の1.5倍
②触角は前翅長より短いか、ほぼ等長
③前翅のCu!a脈の基部の長さは、Cu1a脈の次の区画の長さよりも一般的に短い;雄の腹部末端は強く硬化したクチクラに覆われる
④ 前翅のRs脈と中脈は横脈で結合する;雄の把握板の先端は3葉;前翅長は雄約4.5mm、雌約5.0mm  Amphigerontia jezoensis



これらを写真で見ていきます。まず、黒矢印で示した部分がM脈とCuA1脈が癒着しているので、チャタテ科になります。次に、触角の長さが前翅長程度なので、①と②はOKです。次の③はM+CuA1脈とCuA1脈の長さ比較です。翅がちょっと斜めになっているので分かりにくいのですが、たぶん、CuA1脈の方が長いと思われるので、これもOKとします。最後の④は赤矢印の部分が横脈rs-mでつながっていることを言っています。こんな感じで、Amphigerontia jezonensisにたどり着くのですが、大きさはだいぶ違います。そこで、Amphigerontia属が含まれるAmphigerontiinae亜科について書かれた吉澤氏の論文を見てみました。

K. Yoshizawa, "Systematic Revision of the Japanese Species of the subfamily Amphigerontiinae (Psocodea: 'Psocoptera': Psocidae)", Insecta Matsumurana New Series 66, 11 (2010). (ここからダウンロードできます)

この論文に載っている検索表を用いると次のようになります。

Ⓐa 前翅のRsとM脈はある長さで融合する Glossoblaste, Neopsocopsis, Neoblaste
Ⓐb 前翅のRsとM脈は横脈で結合する 
          Amphigerontia (jezoensis, contaminata), Anomaloblaste (tribulosa)

この二つの選択肢のうち、Ⓐbを選ぶとAmphigerontiaか、Anomaloblasteになるのですが、この二つは交尾器を見ないと区別がつきません。幸い、これらの属に属する3種については翅の写真が載っていました。そこで、翅の暗色部がCuP末端部と縁紋付近という特徴を持っているのを探すと、Amphigerontia contaminataだけなので、これかなと思っています。いずれにしても♂交尾器を比較しないと何とも言えないのですが・・・。



チャタテと共に今頃多いのはハエの仲間です。これはモモグロヒラタヌカカ



これもヌカカの仲間ですが、よく分かりません。




これはユスリカの仲間♀です。白矢印の部分に横脈がなくて、R2+3脈がぼんやりと見え、さらに、前脚第1跗節より脛節の方が長いという条件で、エリユスリカ亜科になります。ここから先は採集しないと分かりません。



ノミバエの仲間はよく見かけるのですが、Megaselia属だろうということ以外にはよく分かりません。



この間調べたクロバネキノコバエがまたいました。これもたぶん♀ですね。なぜか♂がまったく見つかりません。



次はハチです。ちらっと止まってまた飛び去ったのでよく分かりませんが、コバチの仲間でしょうね。



これは何でしょうね。よく分かりません。



廊下の壁の上の水がたまった中で泳いでいました。たぶん、シワバネセスジハネカクシではないかと思います。



これは小さなキクイムシの仲間です。一応、採集したのですが、分かるかなぁ。



模様がちょっと変だったので写したのですが、触角が長いので、普通のナミテントウみたいです。(追記2018/12/29:ナミテントウに似ているダンダラテントウとは、前者の触角が前頭幅の約1.5倍、後者が等長かやや短いことで区別することができます。これに対して、クリサキテントウは「原色日本甲虫図鑑III」によると、幼虫での区別はつくが、成虫での識別は困難とのことです。クリサキテントウは松の樹上に特異的に生息するというので、これからも注意しておく必要があります



クダアザミウマがひっくり返っていたのですが、アザミウマも資料がなくて、なかなか名前調べが進みません。



これはサラグモの仲間の♂かな。



そして、これはネコハグモ。探してみると、今頃でもそこそこ虫はいます。でも、どれも名前調べが難しいものばかりですね。

虫を調べる クロバネキノコバエ科

冬になるとマンションにやってくる小さなハエが気になり出し始めます。今回調べたクロバネキノコバエ科はもうずいぶん前から気になっていたのですが、小さいのと情報が少なかったので、ずっとそのままになっていました。



クロバネキノコバエというのはこんなハエです。大きく写していますが、体長は2mmほどしかありません。



これは21日に採集した個体を冷凍庫に入れておいたのですが、3日前くらいに冷凍庫から出してきて写したものです。測ってみると体長は2.2mmでした。先日、各部の名称を調べたので、今回は検索を試みます。



初めにどの検索表で調べればよいのかを調べてみました。左端の列は「日本昆虫目録第8巻」に載っている属名です。第2から第4列は検索表が載っている文献で、その中でどの属が扱われているかを〇で示しました。また、後半の3列は各属の特徴が載っている文献です。各文献は次の通りです。

MND: Manual of Nearctic Diptera Vol. 1 (1981). (ここからダウンロードできます)
MCAD: Manual of Central American Diptera Vol. 1 (2009).(ここで一部読むことができます)
CMPD: F. Menzel and W. Mohrig, "2.6 Family Sciaridae", in L. Papp and B. Darvas (eds.), "Contributions to a Manual of Palaearctic Diptera (with special reference to fliew of economic importance)", Vol. 2 Nematocera and Lower Brachycera, Science Herald, Budapest pp. 51-69 (1997).
Menzel(1999): F. Menzel, "Revision der paläarktischen Trauermücken (Diptera, Sciaridae) unter besonderer Berücksichtigung der deutschen Fauna", Dissertation, Universität Lüneburg (1999). (ここからダウンロードできます)
Sasakawa(2003): 笹川満廣、「日本産双翅目ノート2」、Jpn. J. Ent. (N. S.) 6, 119 (2003).(ここからダウンロードできます)
Sutou(2004): 須島充昭、「日本産Sciara属群(双翅目、クロバネキノコバエ科)の系統分類学研究」、博士論文、横浜国立大学 (2004).(ここからダウンロードできます)

なお、CMPDは先日ご丁寧にもお送りいただいた文献です。この場を借りて感謝申し上げます。この表を見ると、CMPDが旧北区を扱ったものでもっとも多くの属を調べることができそうです。そこで、今回はこのCMPDと今まで使っていたMNDを使って検索を試みました。ただ、CMPDでもなお4属が載っていません。これについては後で考えることにします。



CMPDに載っている検索表で上記の個体を調べてみると、Bradysia属になりました。そこで、まずはそれを写真で確かめていきたいと思います。なお、①の第2番目の項目については原文の意味がよく分からなかったので、かなり意訳をしました。違っているかもしれません。



まずは①の前半部分です。M脈の分岐は黒矢印で示した部分です。ここで翅脈が分岐しますが、ほぼ対称的に分岐しています。また、M1脈は赤矢印で示すように弱く弓状に湾曲しています。これで、たぶん、①の前半はOK
だと思われます。なお、翅脈の名称は検索表に合わせるため、Menzel(1999)の方式を採用しました。



これは意訳の部分なのですが、触角の各節には写真のように毛がいっぱい生えています。その長さが節の長さの1/3に満たないというものです。正確に測ってはいないのですが、たぶん、合っているのではと思います。



口肢の基部には黒矢印で示すように2本の剛毛が見られます。これで②もOKです。



これは中脚脛節末端の写真ですが、黒矢印で示したように長さのほぼ等しい末端距が2本あります。そういえば、後脚は調べなかったですね。



次は前脚脛節末端の写真です。この写真を撮るのに実は半日もかかってしまいました。櫛状の剛毛列というのは黒矢印で示したあたりにある毛だと思われます。文献には綺麗な図が出ているのですが、何度写してもこんなぼんやりした写真しか撮れません。



光を当てる方向を変えてみました。剛毛列がきらっと光りました。この条件で撮り直せばよかったかもと思うのですが、少々くたびれました。たぶん、櫛状の剛毛列があることだけは間違いなさそうです。



マクロトリキアについては以前、書いたことがありました。もう一度繰り返すと、MNDに載っている説明によれば、

Macrotrichiaあるいはsetae(刺毛)はbristles(剛毛)、hairs、setulae(小剛毛)を含み、神経と結合していて、基部がalveoli(小窩)と呼ばれる膜状の環やソケットで囲まれています。
Microtrichiaはクチクラ表皮の伸長で、翅膜上の微毛やキチン表面を艶消しにするpruinescence(粉ふき)などがその例です。

と、こうなります。つまり、基部がソケットで囲まれている毛がマクロトリキア、表皮の一部が飛び出したのがミクロトリキアというわけです。R5脈の上にはマクロトリキアらしきものが生えていますが、M1、M2、Cu1a脈については生えていません。これで⑤はOKです。なお、膜面一面に生えているのはミクロトリキアだと思われます。



最後は爪なのですが、これも写真がうまく撮れませんでした。でも、歯がないことは確かそうです。これで⑤はOKになり、この検索表の上ではBradysia属になりました。

この結果を再確認するために、今度はMNDに載っている検索表で調べてみました。



こちらの方が項目は多いのですが、青色の項目についてはすでに調べたものです。従って、黒字の項目だけを見ていきます。なお、Ⓐについては自明なので省略します。



ⒸとⒻがこの写真から分かりますが、たぶん、大丈夫でしょう。



Ⓒの後半部分の英語がよく分かりませんでした。たぶん、この訳であっているのではと思うのですが・・・。つまり、頬が前方では複眼の下縁に達し、後方では上縁に達しているということなのですが。


このⒺもたぶん、大丈夫でしょう。



眼橋は綺麗に写りました。ほぼ完全に左右がつながっています。これでMNDの方もすべて調べたことになります。怪しいところと言えば、前脚脛節端の剛毛列でしょうね。とりあえず、これらの検索表を使うと共にBradysia属になったのですが、CMPDの検索表に載っていない4属についても調べてみました。



これはSasakawa(2003)に載っていた各属の特徴です。



最後のPseudolycoriellaに出てくる"x"はこの写真で示した部分の長さです。肘脈柄部と比較すると明らかに長いことが分かります。

Camptochaetaについては口肢第1節の剛毛が1本だけだというので除外できそうです。その他の3属についてはここに書かれた特徴だけだと除外できません。MCADの検索表にはLeptosciarellaとPseudolycoriellaが載っているのですが、これは残念ながら♂用です。でも、交尾器以外ならば使えるかもと思って調べてみると、やはりどうも違うようです。MohrigiaについてもLycoriellaに似ているようなので、これも違うかなという感じです。いずれにしても、はっきりとは分かりません。Menzelの博士論文を読むといいのですが、ドイツ語なので・・・。また、たとえ、Bradysia属だとしても、日本産Bradysia属は7種群+それ以外に分かれ、まだまだこの先は大変そうです。いずれにしても♂の形質を使って調べる必要があるので、是非とも♂を採集してみたいと思っています。

京都府立植物園の花

12月9日に京都府立植物園で植物観察会が開かれました。そのときに見た花はこの間出しました。この観察会には家族と一緒に参加したのですが、観察会のメンバーが温室に入るときに別れて、我々家族は四季彩の丘に寄って、それから北山で食事をすることにしました。その時に四季彩の丘とその途中で見た花です。





最初見たのはノアサガオ Ipomoea indicaです。あまり普通の朝顔と変わりがないのですが、



葉はこんな丸い感じでした。園内に設置されたアーチを這い上がるように植えられていました。「野に咲く花」によると、海岸の草地や崖に生息し、本州では紀伊半島で見られるそうです。



アメリカハリグワ Maclura pomiferaの実が見られるという案内板があったので見に行ってみました。何もない枝に忽然とかなり大きな実ができていました。もっとも、この間の台風で木が倒れたので、起こしてまた植えたそうです。ハリグワの名の通り、枝には刺があります。Wikipediaによると、8cmから15cmくらいの実がなり、傷つけると天然ゴムが出てくるそうです。実からゴムが出るので、人も動物も食べられません。通常、植物の実は動物や鳥が食べて、種を遠くまで運んでもらうという役目があるのですが、アメリカハリグワの実はそんな目的には全く適さないようです。それでは何のために?よく分かりません。こういうのを"Ghost of Evolution"(進化の亡霊)と呼んでいるそうです。例としてはアボガドの種が挙げられていました。



池の傍では桜が咲いていました。冬桜 Cerasus x parviforiaと言って、オオシマザクラとマメザクラの種間雑種のようです。





植物園内はこの間の台風21号の爪痕が色濃く残っていました。



四季彩の丘に着くと飛び切り大きな菊が咲いていました。



ニトベギク Tithonia diversifoliaと言うそうです。植物園の説明では熱帯から亜熱帯で見られ、日本には新渡戸稲造が導入したのでこの名前がついているそうです。コウテイヒマワリとも呼ばれています。



これはその葉です。





その横にはコダチダリアが植えられていましたが、こちらの方がかなり小さく見えました。



手前の方には見慣れない植物がありました。トウゴマというトウダイグサ科の植物です。この実からヒマシ油をとるのだと知ってびっくり。







実だか花だかよく分からないのがついていたので、とりあえずいろいろ撮ってみました。後で、「牧野新日本植物図鑑」を見ると、この丸いとげとげなのがやはり実(さく果)だったのです。さく果は3室で各室に1個ずつ種が入るというので、種は結構大きいのですね。

この種を絞ると油が出てくるのですが、Wikipediaによると、この油がひまし油(Castor oil)で成分的にはリシノール(リシノレイン)酸のグリセリンエステルが90%で主成分になっていました。この油が小腸刺激性で下剤になるとのことです。ただ、トウダイグサ科なので、農研機構のページによると、リシンというたんぱく質合成を阻害するタンパク質やリニシンというアルカロイドが入っていて摂取量が多いと死に至るというのでそのまま油として使うのは危険です。もっとも、あまり食用油として使うことはないでしょうけど。

ところで、もっとびっくりしたのはトウゴマは雌雄同株で枝の先には雌花が咲き、根元には雄花が咲くとのことです。そういえば、実はみな枝先についていました。花が写っていないかなと思って写真をよく見てみたら、それらしいのが写っていました。



まずこの白いのが突き出しているのが雄花。白いのは雄蕊でしょうか。



雌花がないかと探したら、辛うじてそれらしいのが見つかりました。「牧野図鑑」によると花柱は基部から3分し、さらに2分するというので、にょろにょろと出ている部分がどうやら雌花のようです。もう少しちゃんと写しておけばよかったなとちょっと反省。

虫を調べる クロバネキノコバエの各部の名称

冬になるとさすがのマンションもハエぐらいしか見かけなくなるので、毎年、ハエを調べることにしています。今年はまだ挑戦したことのないクロバネキノコバエを調べてみようと、21日に3匹ほど捕まえてきました。



胸背が褐色の個体と黒い個体がいたのですが、そのうち、黒い個体を調べてみました。写真と調べた個体との対応がついていないのですが、こんな感じのハエです。



冷凍庫に入れておいたら、こんな標本みたいな格好になっていました。でも、調べた後は、翅はくしゃくしゃ、脚は取れて、無残な恰好になってしまいました。くしゃくしゃくになる前に測った体長は2.2mm、前翅長は2.2mmでした。脚が長いですね。

検索をする前に、各部の名称を調べるとよいということが分かったので、今回も調べてみました。文献として用いたのは次の2冊です。

[1] Manual of Nearctic Diptera Vol. 2 (1987). (ここからダウンロードできます)
[2] F. Menzel, "Revision der paläarktischen Trauermücken (Diptera, Sciaridae) unter besonderer Berücksichtigung der deutschen Fauna", Dissertation, Universität Lüneburg (1999). (ここからダウンロードできます)

[1]はいつも利用させていただいているハエのバイブルみたいな本です。[2]は博士論文のようですが、クロバネキノコバエについて詳しく書かれているので、今回は主に参考にさせていただきました。ただし、ドイツ語です。



これは前から撮ったものです。頭部をもう少し拡大してみました。



これは頭部の拡大です。頭盾がここでよいのかどうか分かりませんが、たぶん、そうでしょう。眼橋は左右の複眼がつながった部分ですが、これは後でもう少しはっきりした写真があります。



これは背面から撮った写真です。眼橋がよく見えます。胸背の刺毛に名前を付けてみようと思ったのですが、何だかよく分かりません。文献にも載っていないし・・・。



次は触角です。全部で13節かなと思うのですが、最後の13節目が本当に1節なのかどうかよく分かりません。



胸部の側面です。名称は[2]を参考にしたのですが、この文献、実はドイツ語です。何とか類推から、「原色昆虫大図鑑III」の和名に置き換えてみたのですが、合っているかどうか。cx1~3は基節です。



次は翅脈です。翅脈の名称は文献により異なるので、ちょっと困りました。カッコ内に書いたのは文献[2]に載っていたものです。括弧に入っていないのは「原色昆虫大図鑑III」風につけた名称です。



これは翅の基部の拡大です。*は[2]ではCuPとなっているのですが、「原色日本昆虫図鑑III」では、たぶん、擬脈(vena spuria)だという解釈です。この辺の議論については以前詳しく調べたことがあるのでそちらを参照してください()。また、基部の破線の部分はたぶん、翅が折れ曲がるところだと思われます。羽ばたくときに翅を下に振り下ろすときは翅をピンと張るのですが、上に振り上げるときは翅を折り曲げて空気の抵抗を減らすのでその折れ曲げ線だろうと思いました。



最後は腹部です。腹部の各節に番号を振ってみたのですが、これがなかなか難しい。こんな風に尾が尖っているのは♀なのですが、最後のあたりがはっきりしません。





tは背板、sは腹板で、その間の黄色の部分は膜質です。t7とs7以降は[1]の♀の腹部末端の図を参考にして番号を入れてみたのですが、かなり怪しいです。いずれにしても、ここで得られた知識をもとにして今度は検索に挑戦したいと思っています。

廊下のむし探検 ハエ、ハチなど

廊下のむし探検 第1055弾

12月21日にマンションの廊下で見つけた虫の続きで、主にハエとハチの仲間です。



最初はキゴシハナアブです。家のすぐ脇の壁にもう3-4日止まりっぱなしです。



クロバネキノコバエ科にはこんな胸背の褐色の個体がいました。(追記2019/01/13:検索の結果、Ctenosciara属になりました。詳細はこちらを見てください)





それから、こんな風に黒い個体がいました。この日は全部で4匹ほど捕獲しました。昨日、この黒い方の個体を調べてみました。以前、表にまとめたように、クロバネキノコバエ科については日本産の属すべての含まれる検索表がまだ見つかっていません。それで、属の特徴を個別に見ていくか、とりあえず一部の属だけを含んだ検索表で調べてみるかというところなのですが、今回はMNDに載っている検索表で調べてみました。顕微鏡写真がまだ綺麗に撮れていないのですが、今のところ、Bradysia属が有力候補になっています。ただ、もしこれが正しくても、以前載せた笹川氏の論文によると、この属の7種群が日本には分布していて、これから先がまだ大変そうです。しかも、どういう訳か採集したのはすべて♀。種群の検索にも♂交尾器が必要なのですが・・・。(追記2019/01/13:検索の結果、Bradysia属になりました。詳細はこちらこちらを見てください



ユスリカ♂がいました。今年の正月にはだいぶ頑張って調べたのですが、今シーズンはまだこれからです。





これは以前教えていただいたモモグロヒラタヌカカだと思われます。(追記2018/12/25:この種については以前調べたことがありました。こちらを参照してください



ヌカカはもう一種いました。たぶん、Forcipomyia属だろうと思うのですが、まだ、ちゃんと調べたことがありません。(追記2018/12/25:以前、MNDなどの検索表を翻訳するところまではやっていたのですけど・・・





ノミバエにはこんな褐色の個体と



こんな黒い個体がいます。共に、Megaseliaだと思うのですが、ノミバエは情報が少ないのでこれ以上は調べられません。(追記2018/12/25:これと同じか似た種については以前調べたことがありました。また、Megaselia属には1400種ほど記録されているというような話を以前書きました





いつものナミネアブラキモグリバエも一時期より数は圧倒的に減ったのですが、それでも、ちょこちょこいます。(追記2018/12/25:これについては資料をお送りいただいたので、先日検索をしてみました。詳細はこちらこちら



それからニセケバエです。今回は採集したので、今度、調べてみようと思っています。(追記2019/01/13:検索の結果、Scatopsinae亜科Scatopsini族のApiloscatopse属になりました。よくは分かりませんが・・・。詳細はこちらこちらこちら



こちらはガガンボダマシ。これもまだ調べたことのない仲間です。



このハエは何だろう。採集しようとしたら逃げられてしまいました。



この小さなハチはコマユバチかなぁ。一応、採集したので、また、今度調べてみます。(追記2019/02/15:これは今のところ翅脈からコマユバチ科だろうというところまでです



こちらは翅脈からたぶん、ヒメバチ科。

追記2019/02/15:ハチを一匹忘れていました。



体長4.5mm。後日、検索をしてみたところ、ヒメバチ科チビアメバチ亜科♀だろうというところまで達しました。詳細はこちら





そして、これはたぶん、ギングチバチの仲間。これと似たハチを以前調べたことがありました。そのときはヒメコオロギバチになったのですが、これも同じかなぁ。



最後のこのクモ。何となくジョロウグモの♂かなと思ったのですが、よくは分かりません。12月だといっても暖かい日は結構虫がいますね。

京都府立植物園で観察会

12月9日にいつも参加している植物観察会が京都府立植物園で開かれました。今頃の季節、特に見るべきものはないだろうなと思ったのですが、京都へ行ったついでに北山で食事でもしてこようと思って家族と一緒に参加しました。



最初はイチゴノキです。



名前の通りこんな赤い実がなっています。



でも、イチゴの仲間ではないのです。こんな花が咲いていました。これはツツジ科で、学名はArbutus unedo。地中海から西ヨーロッパに分布する樹だそうです。ついでに、Wikipediaを見てみました。日本語版は内容がはっきりしなかったので、英語版を見てみました。この実がなるのに12か月もかかるので、昨年の実と今年の花が一緒に見られるという変わった植物です。unedoという種名の由来についてはいろいろと書いてありました。古代ローマで百科全書を編纂した学者で軍人だったガイウス・プリニウス・セクンドゥスという人がこの実を食べて"unum tantum deo"と言ったそうです。意味は"I eat only one"。つまり、「私は一つだけ食べる」という意味です。それには二通りの解釈があって、「あまりに美味しいので一つだけにしておく」という意味と「あまりにまずいので一つでたくさん」という意味だそうです。観察会では、食べてみると味がなかったという話だったので、後者の方かもしれません。いずれにしても、Wikipediaなので怪しい話ですけど。





ユズリハにこんな実ができていました。



茂みで薄赤く色づいているのはニシキギです。



幹にはこんなひれが出ていました。





ヤツデの花が咲いていました。



花を拡大してみました。雄蕊が伸びて、中央の薄黄色の部分ではいかにも蜜がいっぱいでそうです。もう少し暖かければ虫がいっぱいいるでしょうに、残念。ネットを見ていたら、こういう状態は雄性期だそうです。そのうち、花弁と雄蕊が落ちて、中央の雌蕊だけになり、次に雌蕊が発達するときにまた、蜜が出始めるというような話が載っていました。その時期が雌性期なのですね。そういう写真をとりそこないました。





植物園で唯一、色鮮やかだったモミジです。





クチナシにこんな実がなっていました。



熟すとこんなに赤くなるのですね。この間、テレビのクイズで将棋盤の脚がクチナシの実をかたどった形をしているという話が出てきました。調べてみると、将棋盤のWikipediaに出ていました。クチナシの実は六角形だけど、将棋盤のは縁起を担いで八角形にしてあるそうです。いずれにしても、クチナシ→口無し→口出しを戒める、という意味みたいです。

ついでにクチナシの色素についてもWikipediaレベルで調べてみました。クチナシからは次の色素が抽出されたり、作られたりしているようです。

クロシン:カロテノイドの一種で次に出てくるクロセチンに2分子のゲンチオビオースという糖がついた形をしています。クチナシの黄色素の主成分です。
クロセチン:カロテノイドカルボン酸の一種でクロッカスの花にも含まれるそうです。これも黄色の色素になります。
クチナシ青色素:ゲニポシドというイリドイド配糖体を加水分解し、ゲニピンを作り、これと酵素存在下でタンパク質加水分解中のアミノ基を作用させると、ゲニポシアンニンG1をはじめとした混合物ができ、これが青色を呈するそうです。天然由来の青色色素は少なく、酸やアルカリ、光や熱にも強いため食品色素として重宝されていますが、混合物のため組成がはっきりせず、外国では認可されていないそうです。
クチナシ赤色素(ガーデニアン・レッド):ゲニポシド酸メチルエステルのエステルを加水分解し、β-グルコシダーゼを作用させて作る色素で、光や熱に強く、食品色素として使われています。

あの実からいろいろな色素がつくられるのですね。私はクチナシというとオオスカシバの幼虫を思い出します。



植物園の南にある噴水です。





立派な松ぼっくりと思ったらこれはハリモミの実でした。てっきり、外国産の樹だとばかり思っていたら、日本特産種で、福島から鹿児島までの太平洋岸に分布しているようです。

この後、観察会のメンバーは温室に入っていったのですが、我々はここで別れ、四季彩の丘を見て、食事に行きました。北山の美味しい料理を期待していたのですが、日曜日だったので、どの店もあふれるような人でいっぱい。結局、ファミリーレストランに入って食事をしました。四季彩の丘で見た植物はまた今度載せます。

廊下のむし探検 甲虫、冬尺など

廊下のむし探検 第1054弾

昨日は暖かかったので、マンションの廊下で虫探しをしてみました。本当はクロバネキノコバエとニセケバエの採集が目的だったのですが、それ以外の虫にも意外な収穫がありました。





最初はこの甲虫です。これはアリモドキカッコウムシだろうと思います。体長を測ったみると9.0mm。まぁまぁの大きさの虫です。記録を見てみると、4年前の2014年の4月に一度見たきりでした。



次はナミテントウ。触角がうまく写せました。



次はこの間から何度か見ているアカハバビロオオキノコ



次はこの甲虫です。体長は5.2mm。これについてはだいぶ前にタマキノコムシ科Leiodes sp.だと教えていただいたことがあります。でも、「原色日本甲虫図鑑II」を見ると、タマキノコムシ科はみな丸っこい形をしているので、本当かなとだんだん心配になってきました。それで、少し調べてみました。



まず触角に特徴があります。触角は全部で11節。先端5節は球桿で、第8節がその前後より小さいという特徴を持っています。こういう特徴を持つのはタマキノコムシ科とチビシデムシ科ぐらいみたいです。ただ、図鑑で見ると、チビシデムシ科は頭部の形状がかなり違います。それで、たぶん、タマキノコムシ科で合っているのではと思って、今度は属の検索をしてみました。属の検索表は「原色日本甲虫図鑑II」に載っていました。



詳細はまた今度載せますが、先ほどの触角の特徴と跗節の数が5-5-4であるところから、Leiodes属で間違いないのではと思いました。そこで、今度は文献を探してみました。

H. Hoshina, "Review of the tribes Sogdini and Leiodini from Japan and North Chishima Islands. Part II. Genera Hydnobius and Leiodes (Coleoptera: Leiodidae)", Acta Entomologica Musei Nationalis Pragae 52(Suppl. 1) (2012). (ここからダウンロードできます)

この論文では北千島と日本に分布するLeiodesの31種が扱われていて、種の検索表も載っていました。こんな写真だけで検索したのでかなり怪しいのですが、一応、Leiodes osawai(オオサワオオタマキノコムシ)♀の可能性があるかなと思っています。論文によると、細長い種はこのosawai1種だということでかなり可能性は高いのではと思っています。採集したので、今度詳しく見てみたいと思っています。





次は蛾です。ミドリハガタヨトウは2匹いました。









今日一番の収穫はこの冬尺の雌です。退化した翅がこれほど長い冬尺は初めてです。「日本蛾類標準図鑑」と

中島秀雄、「冬に出現する尺蛾―新・フユシャク類の採集」、やどりが152、2 (1993)

に載っている写真と見比べるとヒメクロオビフユナミシャクの可能性があるかなと思っています。論文によると、東北、関東、中部、九州のブナ帯に生息し平地にはいないとのことです。「標準図鑑」では四国を除く全国的に分布するが、関東では1000-1500mのブナ帯に分布するとのことです。こんな平地に近いところにいるのかなと疑問なのですが、ともかく、見たのは初めてです。





これは大型のチャタテです。寸法を測ってみると、体長は7.2mm、前翅長は7.6mmでした。たぶん、クロミャクチャタテだと思われます。





こちらはウスモンミドリカスミカメ





最後はキジラミです。この写真では写っていないのですが、額錐の写っている写真を見ると、以前調べたリンゴキジラミ属と似ています。この時は挫折して種まではたどり着けませんでした。今回とは翅脈もよく似ています。背面の色はちょっと違いますが・・・。残念ながら採集しなかったので今回はここまでです。残りの虫は次回に回します。

廊下のむし探検 ハエ

廊下のむし探検 第1053弾

12月14日にマンションの廊下で見つけた虫の続きが残っていました。ハエばかりなんですけど・・・。



これはたぶん、以前も見たオオクロバエだと思われます。捕まえればよいのですが、これだけ大きなハエだとどうも苦手で・・・。代わりに以前もしたように胸背の刺毛を調べてみました。



刺毛を調べるときは横線前にある赤矢印で示した刺毛を見るとよいようです。特に、外側にある刺毛がそのすぐ前の刺毛(黒矢印)より外側にあるとニクバエ、内側だとクロバエになります。あまりはっきりとはしないのですが、この写真の個体ではやや内側なので、やはりクロバエでよいのかな。



次はこのハエです。これはヤドリバエかなと思うのですが、これも胸背の刺毛を見てみました。



やはり横線前の赤矢印の刺毛に着目します。外側の刺毛がその少し前の刺毛(黒矢印)より外側に位置しています。内側の矢印の刺毛がないとアシナガヤドリバエになるようです。青矢印の刺毛は少し系列を外れていますが、これを肩後刺毛(ph)に入れるべきか、翅間刺毛(ia)の系列に入れるべきかよく分かりませんでした。いずれにしても、生態写真では刺毛がうまく写らなくて、はっきりとは分かりません。やはり、採集必須ですね。小盾板がちょっと変な感じです。





次はこの小さなハエです。胸背の色が違いますが、共に、クロバネキノコバエではないかと思います。そのうち、属を調べてみたいと思っているので、どの文献で検索すればよいか調べてみました。



CIJは「日本昆虫目録」の英語名の略で、従って、左欄は日本産として知られている属です。MNDとMCAはそれぞれ"Manual of Nearctic Diptera"と"Manual of Central American Diptera"の略です。この二つの本には検索表が載っていますが、〇で記したようにあまり満足できるものではありません。後半の三つの文献では検索表は載っていない代わりに個々の属の特徴が載せられています。特に、Menzel (1999)ではすべての属について載っているので、使えるかもしれません。まず、検索表で見るべきポイントをつかんでおいてから、個々の属を調べていくのがよいのではと思っています。



最後はニセケバエです。ニセケバエについては以前にも検索を試みたことがあったのですが、「日本昆虫目録第8巻」にさえ、たった5属6種。そのうち、2種はspp。ほとんど調べられていないのと同じです。それで、検索に使えそうな文献を探してみました。



CIJ、MCA、MNDは先ほどと同じです。ニセケバエに関してはMCAに世界に分布する属に対する検索表が載っていてかなり使えそうです。それと比較すると日本産リストはやけに貧弱です。(追記2018/12/21:文献をお送りいただいたので、表に追加しておきます。MPDは"Contributions to a Manual of Palaearctic Diptera vol. 2"の略です。どうも有難うございました

廊下のむし探検 雑談

雑談1)この間から、キノコバエ科を調べていて、Rondaniella属らしいことが分かったのですが、種の決定のところで悩んでいます。「日本昆虫目録第8巻」によると、この属の日本産はツマグロヒメキノコバエ dimidiataとオビヒメキノコバエ japonicaの2種です。前者は北海道に分布し、全世界で見られる種で、後者は本州に分布するというのでこれはオビヒメキノコバエの可能性が高いかなと思ったのですが、この種について書かれた文献がほとんど見つかりません。それで、この種の記載論文である松村松年氏の1915年の本を探してみました。そして、見つけました。

松村松年、「昆蟲分類學下巻」、警醒社書店 (1915) p. 55。(ここからダウンロードできます)

この中に、「をびひめきのこばい」として載っていました。その部分を転載します。

をびひめきのこばい Leia japonica Mats.
黄褐、胸背に褐色の三縦條ありて中央にあるもの長し、頭頂、胸側紋及び後胸は暗褐、翅は廣く、透明、翅底に近き前縁の一紋及び外縁に近き一帯は黄褐、腹部は暗褐、基部は黄色、脚は黄色、後腿節の基部は暗褐、體長一分内外、此は京都地方に稀ならず

図もなくて、この文章だけなので、とりあえず、この文章と写真を比べてみることにしました。

㋐黄褐、
㋑胸背に褐色の三縦條ありて中央にあるもの長し、
㋒頭頂、胸側紋及び後胸は暗褐、
㋓翅は廣く、透明、翅底に近き前縁の一紋及び外縁に近き一帯は黄褐、
㋔腹部は暗褐、基部は黄色、
㋕脚は黄色、後腿節の基部は暗褐、
㋖體長一分内外、(一分=約3.0303mm)
㋗此は京都地方に稀ならず

まず、文章を分けて㋐~㋗まで記号をつけました。これと写真と比べてみます。



この写真では、㋐、㋕、㋖、㋗あたりが調べられます。㋐の全体が黄褐色というのはよいでしょう。㋕の脚は黄色というのはよいのですが、後腿節の基部が暗褐色というのはちょっと合いません。この個体では黒矢印で示すように、後腿節の末端部が黒色です。でも、ひょっとしたら書き間違いかもと若干期待を残しておきます。㋖の「体長一分内外」というのは体長3mm内外という意味です。実測は3.9mmなので、まぁ、範囲に入るかな。最後の㋗の京都地方に稀ならず」は、私が採集したのが大阪なのでこれもよいかなと思います。





㋒の暗褐色の部位は頭頂、胸側紋、後胸いずれもOKです。



胸背には中央の淡色の筋を除けば3本の縦条。真ん中が一番長いというのもOKそうです。



㋓の翅の色は〇でしめした部分です。「外縁に近き一帯」は間違いないです。「前縁の一紋」はちょっと微妙です。でも、よく見ると、ちょっとは色がついているようです。



㋔は書いてある通りかなと思いました。ということで、一応、すべてを確かめたのですが、後腿節の色がちょっと気になるところです。やはり絵か写真と比べてみたいですね。でも、とりあえず、オビヒメキノコバエとはかなり近そうだということが分かりました。今回はこんなところかな。

雑談2)この間から「手作り図鑑もどき」をホームページにアップしようとして苦労しています。



出来上がったのはこんな雰囲気の「図鑑もどき」です。

印刷用は一応すべてでき上がっているのですが、pdf版はリンクが張ってあると便利だろうと思って、クサカゲロウ科で試しに、「虫を調べる」へのリンクを入れました。それが、この上の写真のイツホシアカマダラカゲロウの右にある"(1)"です。さらに、載せている写真をこのブログの付録ホームページの画像リストにリンクするとさらに便利だろうと思ってやってみました。

この「図鑑もどき」はPowerPointでつくってあるのですが、ハイパーリンクという機能を使って写真にリンクを張ってみました。一方、ホームページに載せてある画像リストの方はいくつかの種をまとめて一つのhtmlファイルに入れ、ID属性を使ってそれぞれの種の先頭に名前をつけて、そこに飛ぶようにしていました。ところが、PowerPointで作っている間はうまくいったのですが、一旦、それを保存をすると、〇〇〇.html#****の#以下が消えてしまいます(****は飛び先の名前)。pdfとして保存してもやはり消えてしまい、〇〇〇.htmlだけがリンクとして残っています。

そこで、今度はpdfに書き出した後、PDF-XChange Viewerをいうソフトのリンクツールを使ってリンク先に#****を書き加えました。こうすると確かにこのソフトで開く限りはうまくリンクが張られています。ところが、Adobe Acrobat Reader DCで開くとリンク自体をまったく認識しません。

やはりだめかと思ってがっかり。でも、たぶん、#****という部分が終わりにくっついているのがまずいのだろうと思って、一旦、普通のhtmlファイルにリンクしておいて、そこから、〇〇〇.html#****に飛ばしたらよいのではと思いつきました。そこで、リンク先のhtmlファイルに

<meta http-equiv="refresh" content="0;URL=〇〇〇.html#****">

の一行を入れてみました。そうしたら、無事に目的の場所に飛ばすことができました。たぶん、これでうまくできるのではないかと思います。とりあえず、クサカゲロウ科で見本を作ってみたいと思っています。

虫を調べる キノコバエ科Rondaniella属?(続き)

今朝の続きで、キノコバエ科の検索です。

MND: Manual of Nearctic Diptera Vol. 2 (1987). (ここからダウンロードできます)
SVM: G. E. E. Soni, J. R. Vockeroth, and L. Matile, "A. 4. Families of Sciaroidea", in "Contribution to a manual of Plaearctic Diptera with special reference to flies of economic importance, Appendix", Science Herald (2000). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

今朝はSVMに載っている検索表を用いたのですが、今回はMNDに載っている検索表を使ってみます。


検索の結果はキノコバエ科Schiophilinae亜科Rondaniella属になったのですが、同じ検索過程をMNDで追いかけるとこのようになります。SVMの方では全部で9項目だったのですが、MNDは12項目になります。これは亜科に到達するまでが長かったからです。実際、⑤以降はまったく同じ検索過程をたどります。それで、そこまでの①~④までを写真で調べてみることにしました。



まず、横からの写真ですが、翅が十分に長いことを見ます。



次は翅脈です。h横脈は赤矢印で示した横脈ですが、MとCuAの分岐点(黒矢印)はそれに近いレベルにあります。これで②はOKです。また、Rs脈がR脈から分岐する点(黒矢印)はh横脈とはだいぶ離れています。また、M
と書いたM脈の基幹部は明瞭です。これで③と④はOKです。



この写真では口肢は写っているのですが、口器は写っていません。それで、たぶん、口器は頭部より十分に短いだろうと思って③をOKにしました。



最後は頭部の位置ですが、胸部の十分下側についています。それで、③のこの項目もOKでした。これで、①~④まで確かめたので、このキノコバエはSchiophilinae亜科になりました。後の属への検索は今朝の記事を見てください

今回、初めてキノコバエ科の検索をやってみたのですが、なんだかんだと迷いながらやっているうちにだいぶ慣れてきた感じがします。今のところ、何とか属までくらいなら調べられるのではと思っています。まぁ、やってみるものですね。この調子で今度はクロバネキノコバエ科もやってみたいなと思っています。

虫を調べる キノコバエ科Rondaniella属?

昨日の続きで、キノコバエの検索です。キノコバエの検索は初めてなので、初めはよく分からずうろうろしていましたが、何度かやり直してやっと目的地に達することができたような気がしました。



対象とするのは12月12日にマンションの廊下で捕まえたこの個体です。翅に黒い帯があるので、すぐに分かるかなと思ったのですが、「原色昆虫大図鑑III」の図版に載っていなかったので、検索をしてみることにしました。

どの検索表を使うとよいかはすでに以前出したのですが、もう一度出します。



左側の欄に載せたのは「日本昆虫目録第8巻」に載っている日本で記録された属です。これらの属が載っていそうな検索表を探してみました。そうしたら、次の2つの文献が見つかりました。

MND: Manual of Nearctic Diptera Vol. 2 (1987). (ここからダウンロードできます)
SVM: G. E. E. Soni, J. R. Vockeroth, and L. Matile, "A. 4. Families of Sciaroidea", in "Contribution to a manual of Plaearctic Diptera with special reference to flies of economic importance, Appendix", Science Herald (2000). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

表のMNDとSVMの欄はこれらの文献で日本産の属が扱われているかどうかを示したものです。これを見ると、SVMの方がかなり網羅的に載っていることが分かります。こちらを使うとよさそうです。なお、一番右の欄の"J"は手元にある文献に日本産の種の検索表が載っている属を示しています。それで、とりあえずSVMに載っている検索表で調べてみました。



最初に横から撮った写真を載せておきます。体が曲がっているので折れ線で近似して体長を測ってみると、3.9mmになりました。



SVMの検索表で調べた結果、最終的にはRondaniella属になりました。実は、④で一度、道を踏み外し、まったく違う属にたどり着いたのですが、もう一度見直してこちらの道にしました。合っているかどうかは分かりませんが、これらの項目を写真で確かめていきたいと思います。だいたい検索順に見ていきます。



これは翅の翅端付近を拡大したものです。翅全体の翅脈については次の写真を見てください。ミクロトリキアはmicrotrichiaのことですが、「原色昆虫大図鑑III」でもカタカナ書きをしているのでそのようにしておきました。もうひとつのマクロトリキアはmacrotrichiaのことです。翅には刺毛やこれらmacrotrichiaやmicrotrichiaが生えていますが、これらをどのように区別しているのかは書いてありません。microtrichiaは細かい毛、macrotrichiaはやや長い毛、刺毛は翅脈の上に生えているさらに長い毛というような感じかと思います。この写真を見ると、翅脈の上に刺毛は生えていますが、翅膜の上には細かい毛が生えているだけです。従って、microtrichiaが密に分布し、macrotrichiaはないということになります。さらに、microtrichiaの生え方が列状に並んでいないということから、①がOKとなります。

追記2018/12/18:MNDにmacrotrichiaとmicrotrichiaの違いが載っていました。

Macrotrichiaあるいはsetae(刺毛)はbristles(剛毛)、hairs、setulae(小剛毛)を含み、神経と結合していて、基部がalveoli(小窩)と呼ばれる膜状の環やソケットで囲まれています。
Microtrichiaはクチクラ表皮の伸長で、翅膜上の微毛やキチン表面を艶消しにするpruinescence(粉ふき)などがその例です。

だそうです。つまり、基部にソケットと呼ばれる孔が開いているかどうか確かめればわかるようです



①はどちらでもよい項目ですが、R4脈というのはRs脈の翅端側にあるR1とR5を橋渡しする翅脈のことです。これにはありません。実は次の④の平坦というところで最初迷ってしまいました。というのは、対抗する項目が「翅は縦向きに折れ畳まれる」というのだったからです。この写真でも、M脈とCuA1脈の間、CuA2の後ろには折れ目がついているので、縦に畳まれるというのでよいのではと思ったのです。でも、その後がうまく行きませんでした。それで、もう一度戻って、翅は平坦という方を選ぶと、とんとん拍子で検索が進みました。未だに、「折りたたむ」が何を意味しているのかよく分かりません。⑤と⑦は見ると分かります。最後の⑨は矢印で示しましたが、この部分でM1脈は途切れています。これはRondaniella属の特徴だと思われるのですが、体液や神経、気管が通るはずの翅脈がなぜこんな風に途切れるのかよく分かりません。



側背板(ltg)と中央背板(mtg)は後胸背板の一部です。ltgには毛が生えていますが、mtgにはありません。これで①、⑤、⑥はOKです。



これは頭部を後ろ側から写したものですが、単眼は複眼からはだいぶ離れて存在します。特に後傾する剛毛は生えていないようです。



これは後脛節を写したものですが、細かい毛は不規則に並び、列をなしていません。それで②もOKです。



R脈とその支流を見てみると、1列の刺毛が生えていることが分かります。





盾板と腹部背板には刺毛が生えています。腹部背板は各節の後縁近くに長い刺毛が生えているようです。



最後はR1脈とr-m脈の長さ比べです。実際に測ってみると、R1はr-mの3.4倍になりました。一応、⑧と⑨に書かれている範囲内には入っていると思われます。ということで、すべての項目を調べ、特に問題はなかったので、たぶん、Rondaniella属で合っているのではと思っています。

「日本昆虫目録第8巻」によると、この属の日本産はツマグロヒメキノコバエ dimidiataとオビヒメキノコバエ japonicaの2種です。前者は北海道に分布し、全世界で見られる種です。後者は本州に分布するというのでこれはオビヒメキノコバエの方かなと思ったのですが、この種について書かれた文献が見つかりません。わずかに次の文献で少し触れられていました。

末吉 昌宏他、「ヒラタケに寄生する新害虫キノコバエ類 ( 双翅目キノコバエ科)」、森林総合研究所研究報告 12, 171 (2013). (ここからダウンロードできます)

この論文の中で、ヒラタケから羽化したRondaniellaの一種は次の点で、オビヒメキノコバエと区別できると書かれていました。「Ⓐ中胸楯板は全体に黄褐色で、暗色斑を持たない;Ⓑ前翅亜端部に幅広い暗色斑を持ち、翅端は透明に抜ける; Ⓒ後脚腿節先端に暗色斑を持つ。」まず、Ⓐに関しては、中胸盾板に淡褐色斑は持つというので、その他にある暗色斑のことをいっていると思われますが、よくは分かりません。Ⓑはここに書かれている通りのような気がします。Ⓒに関してもそのように思われます。ということで、オビヒメキノコバエなのか、末吉氏の書かれた種なのか、はたまた別の種なのか今のところ分かりません。

ということで種までは行き着かなかったのですが、とりあえず属までは達したので、ちょっと満足です。Rondaniella属らしいことが分かったので、ついでにMNDでも検索をしてみたのですが、それについては次回に回します。

虫を調べる キノコバエの各部の名称

先日、マンションの廊下でキノコバエを見つけました。キノコバエはまだ調べたことがなかったし、翅に模様があったので、ひょっとしたら名前が分かるかもと思って採集しました。



採集したのはこのキノコバエです。キノコバエは名前の通り、幼虫がキノコ内部で暮らすハエの仲間です。

最近は検索する前に各部の名称を調べることにしています。こうすることで各部の特徴を把握することができ、写真も準備できるので検索にも役に立ちます。そこで、今回も各部の名称を調べてみました。

G. E. E. Soni, J. R. Vockeroth, and L. Matile, "A. 4. Families of Sciaroidea", in "Contribution to a manual of Plaearctic Diptera with special reference to flies of economic importance, Appendix", Science Herald (2000). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

参考にしたのはこの文献です。分からない部分も多いので、結構、いい加減に名付けているところもあります。そのつもりで見ていただけると幸いです。



まず全体像です。体長は3.9mmでした。触角が結構太いことと、脚の基節(白い部分)が大きいのが目立ちます。翅は全体にくすんでいて中央より翅端側に黒い横帯があります。また、後腿節の先端と脛節基部が黒いですね。



これは頭部を前から写したものです。ちょっと変わった感じの顔をしています。この広い部分が本当に頭盾なのか悩んでいますが・・・。



これは後ろから撮ったものです。単眼は2個見えています。fr furはfrontal furrowの略ですが、何と訳してよいのか分かりませんでした。全体になんか毛むくじゃらの感じです。



触角は数えてみると16節ありました。



これは中胸背板を撮ったものです。暗褐色の縦帯が目立ちます。一応、中刺毛や背中刺毛列も見られますが、何が何だか分かりません。



これはもう少し拡大したものです。



これは胸部側面の写真です。略称は先ほどの文献に倣いました。



日本語の名称を「原色昆虫大図鑑III」で探して埋めました。tg1の1は第1節、cx1とpreepst2の1と2はそれぞれ前脚、中胸の意味です。



これは少し後ろ側から写したところです。mtgは中央背板、ltgは側背板で、共に後胸背板の一部です。mtgは無毛、ltgには毛が生えていますが、検索では重要な項目になってきます。



これはその部分をさらに拡大したものです。



次は翅脈です。翅脈の名称は先ほどの文献を参考にしました。このキノコバエの翅脈はいろいろと変わっています。M1脈やCuA1脈の基部が途切れたようになっていますね。



これは腹部背面の写真です。



そして、これは側面から撮ったところです。tgは背板、stは腹板を示しています。



最後は腹部末端です。これは背面からの写真です。



そして、これは側面から。たぶん、こんな形状の腹部末端を持っているのは♀かなと思っているのですが・・・。

廊下のむし探検 蛾、毛虫ほか

廊下のむし探検 第1052弾

一昨日、マンションの廊下で見た虫です。もう虫はほとんど姿を消してしまって、マンション中探して歩いても10匹いるかどうかです。



これはフトジマナミシャク





これは何でしょうね。何かの幼虫は確かですが・・・。後ろの毛が変わっていますね。一応、寸法を測ってみると、わずか1.3mmでした。ギブアップかなと思ったのですが、試しに「日本産幼虫図鑑」をぱらぱら見てみると、何となくヒメマルカツオブシムシの幼虫に似ています。それで、ネットで画像検索してみると、似たような写真がいっぱい出てきました。カツオブシムシは害虫なので、よく観察されているようです。この仲間もいろいろといるので、そのものずばりかどうか分かりませんが、ヒメマルカツオブシムシ付近の幼虫であることは確かそうです。



これはこの間も見たマルトゲムシ科のMicrochaetes属の一種です。



そして、これはコカニグモ



最後はチャバネフユエダシャクです。♀の翅が退化した冬尺の一種ですね。記録を見てみると、12月中旬から1月初旬にかけて見ていました。

まだ、ハエが残っているのですが、ハエは難しいので、次回に回します。

家の近くのむし探検 公園の虫

家の近くのむし探検 第457弾

13日に家の近くの公園に行ってみました。たぶん、虫はいないだろうなと思いながら・・・。30分くらい探し回ったのですが、見つかったのは数匹だけ。やはりこんなもんなんでしょうね。



最初に見つかったのはこの小さなユスリカ♂でした。腿節が黒いのが目立ちますが、やはり捕まえないと調べられません。今回はパスしました。ユスリカはもう1匹いたのですが、こんなに少なかったかなぁ。



ツツジの葉の間でルリチュウレンジが横たわっていました。寒くて参っているのかな。





こんなときはイダテンチャタテを探さなきゃと思って探したらやっぱりいました。



こちらは幼虫です。それでも、見つかったのはこの3匹だけでした。





また、小さなハチがいました。この間は採集して検索をしてみたら、コマユバチ科のLytopylus属になったのですが、今度のは脚の色が違うので、たぶん、別種でしょうね。一応、採集はしたのですが・・・。





翅脈が見えたので写してみました。CuA+CuP脈が翅縁にまで届かず、A1の仮想延長線と交わらないので、たぶん、イエバエ科でしょうね。これは採集しませんでした。





これはニレハムシかなぁ。



最後はササグモでした。

雑談1)今日は先日採集したキノコバエの検索をしました。内容のはっきりしない検索項目があって、迷いに迷っているのですが、今のところ、Sciophilinae亜科は確かで、Boletina属かなと思っています。まだはっきりとはしていないので、顕微鏡写真を撮ってもう一度検討してみます。結局、昨日示した検索表を二つとも使っているのですが、初めての科の検索はやはり難しいですね。(追記2018/12/17:各部の名称をつけ、じっくりと検索をやり直してみました。その結果、どうやらSciophilinae亜科のRondaniella属らしいことが分かりました。「日本昆虫目録第8巻」によるとこの属には2種。一方は北海道に分布なので、もう一方のjaponica(オビヒメキノコバエ)というのが候補に挙がっています。未記録種もいるようなのでまだよくは分かりませんが・・・

雑談2)最近、あおり運転が問題になっているので、後ろの窓にもドライブレコーダーを取り付けてみました。3000円ちょっとの安物ですが、一応は写ってますね。こんなのは無駄になるとよいのですが・・・。

廊下のむし探検 蛾、ハエほか

廊下のむし探検 第1051弾

12日にマンションの廊下を歩いてみました。今頃、虫探しをするにはマンションの廊下が一番いいですね。背景が白いのでよく目立つし、何となく暖かいので集まってくるみたいで・・・。



まずは蛾からです。これはマエアカスカシノメイガ。今頃になるとよく見かけます。





小さな蛾なのですが、「標準図鑑」を何度見てもよく分かりませんでした。こういうミクロ蛾はなかなか分かりませんね。



これはミドリハガタヨトウです。これはこれまで12月に何度か見ています。



溝に入っていたので、ちょっと撮りにくかったのですが、フトジマナミシャクです。



こちらはカバエダシャク。これも11月終わりから12月にかけて見ています。



蛾の最後はナカオビアキナミシャクでした。これも11月終わりから12月中旬にかけて見ていました。



蛾以外の虫です。パイプの横にキンバエが止まっていました。翅を撮ろうと廊下から身を乗り出して後ろに回ろうとするとハエも回るので、結局、こんな写真しか撮れませんでした。これでは名前が分かりません。



これはクロスズメバチか、シダクロスズメバチです。顔を見たら分かるので、顔を写してみました。



本当は複眼の内側の模様を見るとよいのですが、触角でよく見えません。次は頭盾の真ん中の黒い帯が前縁まで伸びているどうかです。これは途中までなので、クロスズメバチのようです。ついでにその部分の模様の形からこれは♂のようです。



これはノミバエです。たぶん、Megaseliaだと思うのですが、よく分かりません。



それにナミテントウ



小さなクモだったのですが、ササグモの幼体。



翅の脱落した大きなアリです。艶があるので、ミカドオオアリかもと思ったのですが、よく分かりません。



最後はキノコバエです。翅に帯があるので、名前が分かるかもと思って採集したのですが、「新訂原色昆虫大図鑑III」にはたった2種しか載っていませんでした。という訳で、翅の模様だけでは分かりそうにありません。それで、検索をしてみることにしました。その前に、どの検索表を用いればよいか調べてみました。



左の列に書いてあるのは「日本昆虫目録第8巻」に載っている日本産の亜科と属です。これらの属がどの文献の検索表に載っているかどうかを調べてみました。調べたのは次の二つの文献です。

MND: Manual of Nearctic Diptera Vol. 2 (1987). (ここからダウンロードできます)
SVM: G. E. E. Soni, J. R. Vockeroth, and L. Matile, "A. 4. Families of Sciaroidea", in "Contribution to a manual of Plaearctic Diptera with special reference to flies of economic importance, Appendix", Science Herald (2000). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

これを見ると、SVMの方がかなり網羅的に載っていることが分かります。こちらを使うとよさそうです。一番右の欄の"J"は手元にある文献に日本産の種の検索表が載っている属を示しています。ほとんど揃っていないので、今回はうまくいっても属どまりでしょうね。(追記2018/12/17:各部の名称をつけ、じっくりと検索をやってみました。その結果、どうやらSciophilinae亜科Rondaniella属らしいことが分かりました。「日本昆虫目録第8巻」によるとこの属には2種。一方は北海道に分布するので、もう一方のjaponica(オビヒメキノコバエ)というのが候補に挙がっています。未記録種もいるようなのでまだよくは分かりませんが・・・

家の近くのむし探検 蛾、ハエ、ハチ

家の近くのむし探検 第456弾

シダを探すついでに虫探しもしようと思って、8日の午前中にいつもの道路脇の茂みあたりに出かけたのですが、途中で久しぶりに知人に会い、話し込んでしまいました。それで、結局、写真は虫3種だけでした。



最初はマエアカスカシノメイガです。フラッシュをたいたら、ちょっと銀色に光っている感じです。



それにキゴシハナアブです。こんな季節でも花粉まみれですね。



そして、このハチです。雰囲気、以前調べたことがあるハラアカアブヒメバチに似ています(こちらこちら)。ただ、小盾板の色が違うし、後脚脛節の色も少し違うようです。



近くに止まったので、脚を写してみました。ハラアカアブヒメバチは後脚脛節が黒、白、赤の三色になるのですが、これは黒と白だけです。でも、似ているので、同じDiplazon属かなと思って、以前検索に使った論文をちらっと見てみました。

T. Uchida, "Beitraege zur Kenntnis der Diplazoninen-Fauna Japans und seiner Umgegenden(Hymenoptera, Ichneumonidae)", J. Fac. Agri. Hokkaido 50, 225 (1957). (ここからダウンロードできます)

でも、脚や小盾板の色だけでは分かりそうにありません。やはり採集すればよかったですね。後の祭りですが・・・。

雑談1)最近は虫が少なくなったので、観察に出かけても、なかなかこれはと思った虫にぶつかりません。それで、冬はシダとかコケとか少し植物も調べてみようかと思っています。この間の日曜日はいつもの植物観察会が京都府立植物園で開かれたので、ドライブがてら家族と出かけてきました。家族と行くと、私はいつも生態園で野草を写し、家族は温室に行ってしまうのですが、この日の観察会は植物園の外周を回るコースで普段は見ることのない植物を見ることができました。写真は一応撮ったのですが、どうもぱっとした写真がなくて、出そうかどうしようか迷っています。

雑談2)今日は昼間でも7~8度しかなかったのですが、ちょっと晴れたので、マンションの廊下を歩いてみました。虫はカメムシを除いて10匹くらいかなと思って歩いたら、案の定、10匹ほど虫が見られました。今日の収穫は翅に黒帯のあるキノコバエが見られたことです。キノコバエは以前から調べてみたいなと思っていたのですが、なかなかきっかけがありませんでした。でも、特徴のある種だとその特徴だけで名前が分かるかもしれないので、検索の練習にはうってつけです。それで、早速、採集しました。すぐに冷凍庫に入れたのですが、冷凍庫の中を見ると、シマバエ科、ヒラタアシバエ科、何だか分からないハエなどが吸虫管の瓶に入れたまま眠っていました。早く調べなければ・・・。

雑談3)以前から作っている「手作り図鑑」ですが、もうほとんど出来上がって、後は甲虫の一部を残すだけになりました。でも、いつもそうなのですが、ほぼ出来上がると不満なところが出てきて、また作り直し始めるので、ちっとも完成に近づきません。これまではただ、写真だけを並べて図鑑風にしていました。蛾ではそれでも十分に役に立ちそうですが、ハエやハチでは細部が分からないとこれではほとんど役に立たないのではと思い始めました。これまで写したのは、ハエは名前の分からないのも含めて250種あまり、ハチは150種ほどになります。以前、シダ80種余りを細部の写真も載せて1種につき1~2ページにしてまとめてみたのですが、後から見るとなかなか充実して面白くまとまりました。やはり、ハエやハチも1種1ページくらいにした方がよいかなとまたまた迷っています。

廊下のむし探検 ハエ、甲虫ほか

廊下のむし探検 第1050弾

7日にマンションの廊下で見つけた虫の続きです。この日、蛾は沢山いたのですが、すでに出したのでそのほかの虫たちです。少しはいたのですが、どれも名前の分からないものばかり。ちょっと苦手な虫たちです。



最初はクロバネキノコバエ科のハエです。まだ、属もよく分かりません。この冬こそは属を調べてやろうと思ってはいるのですが・・・。





次はこのガガンボです。翅脈からガガンボ科であることは間違いなさそうですが、それから先がやはり分かりません。これもこれからの課題ですね。



これはこの間名前が分かったハエです。キモグリバエ科のナミネアブラキモグリバエでした。砂糖大根などの害虫として知られるネアブラムシの天敵として役には立っているようです。



これは小さなハネカクシです。ハネカクシも未だにまったく手つかずの状態です。



これはマルトゲムシ科の外来種でMicrochaetes属の一種としか分かっていません。



クモもなかなか捕まえる勇気が出ずにそのままになっています。写真をよく見ると、触肢の先端が太いような気がします。♂成体かもしれません。



次はヒシバッタです。一応、検索をしてみたのですが、途中で引っかかってしまいました。よく見ると、黒矢印で示した部分に切れ込みがありません。たぶん、幼虫なのでしょうね。



検索で引っかかったのは、黒矢印のところにある第1のノッチ(窪み)の他に黄矢印の部分に第2のノッチがあるかどうかです。あるとすればヒシバッタ属、なければコバネヒシバッタ属になります。これにはないので、コバネヒシバッタ属ということになるのですが、コバネヒシバッタ属の項には「幼虫と間違わないように注意!」と書かれていたので、もしかしてと思って見たら、幼虫でした。



これはたぶん、幼体でしょうね。やはり分かりません。



これは何度も見たことがあります。オオキノコムシ科のアカハバビロオオキノコだと思います。

家の近くのむし探検 シダの勉強ほか

家の近くのむし探検 第455弾

この間、シダの観察会に参加したので、この機会にもう一度シダを勉強してみようと思って、5日に家の近くをぶらぶらと歩いてみました。この時に見た虫はすでに出したので、残りのシダです。今回は観察会で見たわけではないので、たぶん、だいぶ怪しいです。いつものように次の4つの図鑑を参考にしました。

[1] 岩槻邦男、「日本の野生植物シダ」、平凡社 (1992).
[2] 野草検索図鑑編集委員会編、「野草検索図鑑シダ」、学習研究社 (1985).
[3] 池畑怜伸、「写真でわかるシダ図鑑」、トンボ出版 (2008).
[4] 光田重幸、「検索入門しだの図鑑」、保育社 (1997).

シダは図鑑によって書かれていることが少しずつ異なるので、文献番号を付すことにしています。



最初はこのシダです。いつも虫探しをしている茂みの下に生えていました。その時は気が付かなかったのですが、後で写真を見ると、軸が赤紫色なのでイヌワラビみたいですね。それで、いくつかの特徴を図鑑と比べてみました。まずは頂羽片に近い形というのはその通りみたいです。



中軸だけでなく、羽軸の基部も赤紫でした。図鑑[3]には小羽軸まで赤紫になると書かれていましたが、これはそれほどではないですね。



小羽片の上側については羽軸に流れるようについていますが(白矢印)、下についている小羽片の基部近くはやや柄状になっています(白矢印)。



次はソーラス(胞子嚢群)です。これは書かれている通りかな。たぶん、イヌワラビでよいようです。



この間、観察会で見たホソバシケシダらしいシダがまたありました。場所は石垣の間です。葉は二形、つまり、栄養葉と胞子葉とは違うということなので、写してみました。これは裏にソーラスがないので、栄養葉かなと思いました。



こちらは裏にソーラスがあるので、胞子葉です。栄養葉とは色が違うのですが、羽片が下側にいくほど大きくなるところが違うのかな。



これも胞子葉だと思った葉です。色は確実に違います。





次は羽片を裏側から見たところです。中軸の鱗片というは分かりませんね。また、ソーラスの包膜も開いてしまって分かりません。一応、?マークを付けたので、今度見たときに注意してみることにします。ソーラスの位置と形はOKでしょう。





これはたぶん、オクマワラビだと思います。



ソーラスは葉全体でまず写さなければ駄目だったみたいです。というのはそれが特徴だから。失敗でした。小羽片の形とソーラスの位置はよさそうですね。もう一度、撮りにいかないといけません。



後は葉っぱです。こういう先の尖った長細い葉はハゼノキみたいです。





今年は紅葉の色がよくなかったですね。紅葉の仕組みについては以前調べたことがありました。色が悪いということは緑色のクロロフィルの分解が進まなかったのか、赤色のアントシアンの合成が進まなかったのか。



最後の葉は何となく撮ってしまって・・・。名前が分かりません。

廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第1049弾

一昨日の7日はまだ比較的暖かかったので、マンションの廊下を歩いてみました。予想通り、虫はそこそこいました。まずは蛾から。



最初は冬尺の仲間のクロスジフユエダシャクです。これまでの記録を見てみると、11月終わりから12月終わりにかけて見ていました。冬尺の仲間は♂だけに翅があって、♀は翅が退化してしまっています。「札幌昆虫記」によると、-20度前後までは凍ることなく冷却に耐えるそうです。



これも秋に見る蛾で、チャエダシャクです。こちらは11月初めから12月初め頃まで見ていました。



これは何だか分かりませんが、過去の写真を見ると、アワヨトウっぽいと教えてもらったことがあります。



これはアカエグリバ



これも冬尺の一種でクロオビフユナミシャクです。



こちらはサツマキノメイガ



これはたぶん、アオバハガタヨトウ。本当は緑色なのですが、緑は微かに見えるだけです。



これはモクメクチバ



最後は鱗粉が取れていてよく分かりませんが、たぶん、オオシマカラスヨトウかな。

家の近くのむし探検 ワタムシなど

家の近くのむし探検 第454弾

先日、シダの観察会に参加したので、少しシダも勉強してみようと思って、5日に家の近くを回ってみました。シダの方はまだ整理がついていないので、その時に見た虫から出すことにします。







この日もワタムシがぽつぽついました。名前が分かるとよいなと思って、実は、今日も探しに行ったのですが、今日は気温が低く、風も強かったので、結局、見つからなかったです。

北海道新聞社が出している「札幌昆虫記」には秋元信一氏の書かれた解説が載っていました。札幌では10月にこの虫が飛び始めると、2週間後には初雪が降るというので雪虫と呼ばれています。この雪虫はトドノネオオアブラムシで、10月に飛んでいる雪虫はみな♀だそうです。雪虫は一次寄生のヤチダモにたどり着くと、樹皮の割れ目などで♂4頭と♀若干を産むそうです。そう、アブラムシは胎生でしたね。幼虫は脱皮を4回繰り返して成熟すると交尾を行い、♀は樹皮の割れ目にたった一個だけ産卵します。この頃のアブラムシは何も食べないのでこれで死に絶えてしまいます。4月になると卵は孵化します。生まれた幼虫は無翅で幹母と呼ばれ、木を登り始め芽のところにたどり着くと、栄養を取って成熟し、次々と幼虫を産み始めます。生まれた幼虫は伸び始めた芽に移り、芽から汁を吸うと葉は変形し始め、鳥の巣のような形になるそうです。6月になると、雪虫とそっくりの有翅虫ができ、今度は二次寄生のトドマツに移動します。飛翔虫がトドマツに着くと、根に移動して、今度はそこで幼虫を産み始めます。根での活動は3-4世代続き、秋になったら、再び、有翅虫を産み出し、それが雪虫になるのです。

たぶん、この辺りで見られるワタムシも似たような生活を送っているものだと思われます。



その他の虫です。これはツマグロオオヨコバイ



これはたぶん、ナシケンモンという蛾の幼虫。



それにこの間も見たタケカレハの繭です。



これはネコハグモ





帰りにこんな寄生を受けた毛虫を見ました。何となく、毛虫はまだ生きているようです。



後で、写真をよく見たら、繭に小さな虫がついていました。これは何だろう。

虫を調べる コマユバチ科(続き)

一昨日、コマユバチ科の科の検索過程を出しましたが、今日はその続きで、亜科と属の検索についてです。属の方はまだ怪しいので、そのつもりで見ていただけると幸いです。



対象とするのは11月27日に採集したこんなハチです。体長3.5mmとかなり小さいので、今までだったら、単にハチで済ましていたのですが、今回は頑張って調べてみました。一昨日は「絵解きで調べる昆虫」で科の検索をしたのですが、今回はその先をやってみます。

亜科の検索には次の論文の絵解き検索表を用いました。

[1] C. van Achterberg, "Illustrated key to the subfamilies of the Braconidae (Hymenoptera: Ichneumonoidea)", Zoologische Verhandelingen 283, 1 (1993).(ここからダウンロードできます)

コマユバチ科は亜科も多く、この論文はやや古いのですが、43亜科を扱っていて絵解きなので試してみました。



検索を始めるとすぐに候補となる亜科 Agathidinaeに到達しました。それで、たぶん、この亜科で大丈夫だろうと思っています。番号は一昨日の科の検索と続き番号になっています。これを一つずつ写真で確かめていこうと思います。



最初の⑨は大顎についてです。もともと小さなハチなのですが、その大顎となると、写真も大変です。



でも、頑張って拡大してみました。この左右の大顎が閉じたときに先が接触するかどうかは分かりませんが、大顎の先端が内側に曲がっているので、たぶん、接触するだろうと勝手に思って⑨の前半部分はOKとしました。後半は大顎の歯の数ですが、たぶん、2個くらいはあるのではと思います。



次は翅脈に関してです。項目は全部で4つあるので、それらを㋐~㋓までに分け、この写真ではそのうち、㋐~㋒を見てみます。まず、㋐は黒三角で示した外縁室が狭いという特徴です。この特徴はAgathidinae亜科ではかなり重要な特徴のようです。次の㋑は赤点線で示したようにm-cu脈と1-M脈の前半の部分を延長すると、後半で発散するという特徴です。これもOKでしょう。次は㋒で、黒矢印で示した部分に分岐するCu1b脈があるかどうかです。この写真ではよく分からないので、少し拡大してみました。



黒矢印で示した部分に3-CU1がCU1aとCU1bに分岐する様子は見られません。それで、これもOKとします。



最後は後翅翅脈についてです。㋓で示す部分にある2-CU脈は明瞭に存在します。それで、これもOKです。これで、すべての項目を調べたので、Agathidinae亜科は確かそうな感じがしました。

次は属の検索です。いつも利用させていただいている"Information station of Parasitoid wasps"にはAgathidinaeの日本産既知種のリストが載っています。たぶん、未記録種も多いと思うのですが、とりあえず、このリストを参考にさせてもらおうと思います。このリストでは12属が載っているのですが、これまでに公表された属の検索表がこれらを網羅しているかどうかをまず調べてみました。



下に示す4論文で扱われている属を調べて、日本産の属(左欄)が載っていたら〇をつけました。

[2] M. J. Sharkey, "The Agathidinae (Hymenoptera: Braconidae) of Japan", Bulletin of the National Institute of Agro-Environmental Sciences 13, 1 (1996).(ここからダウンロードできます)
[3] M. J. Sharkey, "Agathidinae" (in Russian with English translation). In: P. A. Ler, "Key to the insects of Russian Far East", Vol. 4. Neuropteroidea, Mecoptera, Hymenoptera. Pt 3. 708, 520 (1998).(ここからダウンロードできます)
[4] M. J. Sharkey and S. A. Clutts, "A revision of Thai Agathidinae (Hymenoptera: Braconidae), with descriptions of six new species", Journal of Hymenoptera Research 22, 69 (2011).(ここからダウンロードできます)
[5] C. van Achterberg and K. D. Long, "Revision of the Agathidinae (Hymenoptera, Braconidae) of Vietnam, with the description of forty-two new species and three new genera", ZooKeys 54, 1 (2010). (ここからダウンロードできます)

最下欄の小さな字で書いたのは日本産既知種には載っていない属を示しています。これを見ると、右の2つの欄に載っている検索表が日本産を網羅していてよさそうです。この中のSharkey (2011)を検索に用いることにしました。もっとも対象とする国がタイなので、種は違うでしょうけど。



それで、実際に検索をしてみると、Lytopylus属になりました。いくつか不安なところもあるのですが、とりあえず、この6項目を写真で見ていこうと思います。



まずは翅脈です。Sharkeyがどのような翅脈名を用いているのか調べても分からなかったのですが、絵解きなので、とりあえず自分なりの名称をつけてそれで説明することにします。⑪はRs脈が完全かどうかですが、写真で見るように完全です。また、黒三角⑭で示すように三角形の第2亜外縁室は確かに存在します。これで両方ともOKです。



これは翅脈の拡大です。Rs+M脈はこの写真でも分かるように両端があるだけで、中央はなくなっていました。これで⑬はOKです。また、先ほどの第2亜外縁室の一辺であるr-m脈には二次的な脈はありません。これで、⑯もOKになりました。





⑫は前脚と中脚の脚の爪に関してです。このハチの爪は小さくてなかなかうまく撮れません。何度も撮り直してやっとこの2枚の写真が得られました。上が前脚、下が中脚です。共に、爪の基部に突起部があります。この項目はもし論文に写真が載っていなかったら、basal lobeの意味が分からなかっただろうと思います。論文の検索表では、このbasal lobeを持つ爪のほか、爪先が2分するタイプ(cleft)、それに全く突起などのない単純な爪(simple)の3つのタイプに分けられていました。



これはすぐに分かります。notaulus(notauliは複数形)は明瞭にあります。



median tergiteとの訳が中央背板でよいのかどうか分かりませんが、背板には側面があるので、背板の中央部分という意味だと思います。この写真で分かるように縦の筋が第1節から第3節の後縁近くまでずっと入っています。これで⑭と⑮はOKにしました。



最後は後体部窩(MC)と後脚基節窩(CC)に挟まれた部分を腹側から見たものです。こんな部分を見たことがなかったのですが、論文の図を参考にしながら名称をつけてみました。「完全に背面に存在する」は腹面を見ているのに奇妙な表現なのですが、"metasomal cavity situated entirely dorsal to coxal cavities"の略です。たぶん、CCから少し離れて後ろ側にMCがあるという意味だと思います。後半の横隆起線(TC)は矢印の部分の高まりではないかと思ったのですが、よくは分かりません。でも、全体的な形状が論文の写真とよく似ているのでたぶん大丈夫かなと思っています。

ということで、とりあえずすべての項目を調べたので、おそらく、Lytopylus属でよいのではと思っています。さらに、産卵管がないので♂ではないかというのが今回の結論です。(追記2018/12/09:"Information station of Parasitoid wasps"には日本産Lytopylus属としてromaniとrufipesの2種が記録されています。それで、論文を調べたのですが、♂に関する記述がなかったので、今のところ種の方は保留としておきます

シダ観察会(エピローグ)

12月1日に高槻市北部のポンポン山の麓で行われたシダ観察会に参加させていただき、シダの勉強をしてきました。シダについてはすでに3回に分けて報告したので()、その他の植物や行程中に見た風景などを記しておきます。



これは川久保渓谷で見た植物で、マツカゼソウだとのことです。



これはチャルメルソウ。花が咲いていないのが残念です。暗いのでだいぶぶれてしまってこんな写真になってしまいました。



歩いていたら、この間の台風21号の被害でこんな風に倒木が道をふさぎ始めました。



この黄葉している葉はチドリノキだそうです。カエデ属なのですね。









しばらくすると山の斜面の木がほとんどなぎ倒されている場所に着きました。これはひどいです。根こそぎ倒れたのもあれば、途中で折れているのもあります。こんな中でお昼を食べました。





一旦、川久保のバス停に戻り、神峰山寺の方に向かうことにしました。バス停付近に咲いていた花です。何だろうと思ったのですが、普通のハナタデだそうです。すっかりシダの眼になってしまい、普通の花を見てもよく分からなくなりました。



これはノササゲの葉。



コケに詳しい方がいて、いろいろ説明してくださるのですが、どこを見てよいのやらさっぱり分かりません。これはハリガネゴケ?と言われたかな。昔、シダを調べていたころ、ついでにコケもやってみようと思って、いくつか採取してきたことがあります。でも、切片がうまく作れなくて挫折してしまいました。今だったら、顕微鏡にだいぶ慣れてきたので、もう少し分かるようになるかもしれません。今年の冬はシダとコケに挑戦してみるかな(まだ、思案中です)。



これはヤブムラサキと言われたかもしれません。茎が毛深いのでそうかな。







途中、また、ひどい台風被害に出会いました。谷筋なので、風の通り道になったのでしょう。これからどうするのだろう。





やっと神峰山寺が見えてきました。紅葉が綺麗です。人も多くなりました。ここまでの道は乾燥していて、目立ったシダはなくて、ただ、ひたすら歩きました。



そして、神峰山寺前で解散となりました。全部で6.7km、5時間半の行程でした。

虫を調べる コマユバチ科

最近はシダばかり調べていたので、久しぶりの「虫を調べる」です。



今回調べたのはこんな小さなハチです。小さなハチはどうも苦手で、いつもハチとだけ書いていましたが、一度、調べてやろうと思って採集しました。科が分かれば御の字かなと思ったのですが、意外にも、亜科から、属にまで迫ることができました。でも、とりあえず、科の検索です。科の検索にはいつもの「絵解きで調べる昆虫」に載っている松本吏樹郎氏による「ハチ目昆虫の検索と解説」を用いました。



体長はわずか3.5mm。かなり小さなハチです。検索の前にいつものように各部の名称を調べてみました。このハチは検索をしてみると、コマユバチ科になったので、いつも利用させていただいている"Information station of Parasitoid wasps"の中のコマユバチ科とヒメバチ科の形態の図を参考にさせていただきました。



まずは頭部です。大体は分かったのですが、小腮外葉というのがこれでよいのかちょっと不安です。また、顔面に開いている穴については以前、「昆虫の頭の構造」に出てきた孔かなと思って名付けてみました。atは頭蓋の後ろと前をつなぐ梁ATが前部に出た部分でanterior tentorial pitの略です。dtについてはちょっと自信がないのですが、ATと上部をつなぐ梁DTが現れたdorsal tentorial pitかなと思っています。追記2018/12/06:dtは左右2つないとおかしいので、これは違いますね。とりあえず、消しておきます



触角は数えてみると、全部で28節ありました。



これは胸部背面の写真です。notaulusは以前にも調べたことがありますが、その時の知識では「体に沿った間接飛翔筋の縦走筋と背腹筋を分ける甲の境目」だそうです。



これは胸部側面です。



それから斜め後ろから撮ったところです。本当は前伸腹節に見られる隆起線のパターンを撮ろうと思ったのですが、うまく写りませんでした。



それでは科の検索です。だいたい検索順に見ていきたいと思います。



まず、この写真からは細腰亜目であること、翅が発達していることが分かります。



この写真では頭頂に刺がないこと、腹部が前伸腹節の下側から出ていることが見て取れます。これで③と⑦はOKです。



翅脈からはいろいろ情報が読み取れます。翅脈の名称は以前も利用したことがある、American Entomological Instituteのホームページを参考にしました。ただ、これからいくつかの論文の検索表を使うことになるのですが、そのたびに名前の付け方が変わるので、その場合は論文に合わせて名称をつけることにしました。この写真では問題となるポイントに㋐、㋑、㋒、㋓という記号を入れました。まず、㋐では後翅に翅室があります。㋑では大きな縁紋があります。㋒はヒメバチ科ではあるはずの2m-cu脈がこのハチにはありません。また、㋓ではRs+M脈は両端にだけあって、中央にはありません。(追記2018/12/07:翅脈の名称はR→C +Sc+Rでした。後で、図を訂正しておきます



⑧は後翅の脈の交点の位置関係ですが、その部分を拡大しておきました。一部、RsをSc+Rに変えた方がよいかなと思ったのですが、それを除くとこれもOKです。(追記2018/12/07:、American Entomological Instituteのホームページでは一番上の脈がRなのですが、松本氏の検索表ではSc+Rになっていました。どうしようかなぁ



これは後脚転節の部分です。転節は2節に分かれるのですが、腿節に近い方は「原色昆虫大図鑑III」によると、腿節の一部だと解釈されているようです。"Information station of Parasitoid wasps"には第二転節と呼ばれているようなので、それを採用しました。



跗節先端には特に突起は見られません。それで⑥はOKです。



最後は腹部(後体節)です。見かけの腹部第2節と第3節の間は黒三角で示したように融合しています。それで⑧もOKです。

これですべての項目を調べたので、コマユバチ科であることは確かそうです。いつものはここでストップなのですが、今回はその先の亜科と属の検索も試みました。これについては次回に回します。

観察会で見たシダ3

12月1日に高槻の北部にある渓谷沿いでシダの観察会がありました。私は会員ではなかったのですが、誘われて参加してきました。シダはだいぶ前に調べたことがあったのですが、虫の方に興味が移ったので、最近はほとんど見ていませんでした。今回は一から勉強するつもりで参加しました。前回前々回で10種ほどのシダを紹介したので、今回は残りのシダについてです。

[1] 岩槻邦男、「日本の野生植物シダ」、平凡社 (1992).
[2] 野草検索図鑑編集委員会編、「野草検索図鑑シダ」、学習研究社 (1985).
[3] 池畑怜伸、「写真でわかるシダ図鑑」、トンボ出版 (2008).
[4] 光田重幸、「検索入門しだの図鑑」、保育社 (1997).

参考にしたのはこれらの図鑑で、下の記述にはこれらの文献番号を付しておきます。





見たときはヒメカナワラビだと思って撮ったのですが、先ほど調べてみたら、どうやらこれはオオキヨズミシダのようです。両者の違いについては次に書きます。





こちらは観察会で教えていただいたオオキヨズミシダです。調べてみると、オオキヨズミシダはヒメカナワラビの変種だったのですね。それでよく似ていたのでした。両者は小羽片に違いがありました。



ヒメカナワラビでは小羽片がそれぞれ独立したような感じで、短い柄があります。それに対して、オオキヨズミシダの小羽片は葉の外側では互いにくっつき、羽軸に流れるようにくっついている点が違っています。



ソーラスは中間よりやや中肋よりでした。





これは初めてですね。というよりは、あっても気が付かなかったかもしれません。遠くから見ると、ちょっとワラビみたいで、オニヒカゲワラビだそうです。



特徴は裂片の鋸歯が目立ち(白矢印)、小羽軸裏に白い微毛(白矢印)があり、さらに、ソーラスは線形というところみたいです。でも、次回見てもやはり気が付かないかもしれまんせん。



これはヒメワラビです。このシダは近くの山に行ったときなどによく見かけますが、あまり特徴を把握していません。



小羽片に柄がなくて(白矢印)、羽片基部の小羽片が羽軸に対して異なった角度で付く(赤線)というぐらいが特徴みたいです。





苔みたいですが、実はシダの仲間で、ウチワゴケといいます。実は、前から写真を撮りたいと思っていました。ちょっと前に手作り図鑑を作ろうと思って以前撮っていたシダの写真を取り出してみました。でも、ウチワゴケの写真がなかったので、以前見た場所に行って探してみたのですが、見当たりません。残念だなと思っていたところでした。





観察会で教えていただきました。オオヒメワラビモドキだそうです。これもいまいち特徴がないですね。文献[1]に載っている検索表を見ると、軸の鱗片が黒色だとオオヒメワラビモドキ、褐色~淡褐色の毛状鱗片か有節毛だとオオヒメワラビかミドリワラビだそうです。でも、肝心の鱗片が写っていませんね。



ソーラスは小さく、中間というのはあっていそうです。ソーラスの形まではよくわかりません。葉脈が下面で盛り上がるというのはこの写真ではよく分かりません。



上から写した写真では葉脈が凹んでいるように写っていますが、これがそれに該当するのかもしれません。



最後はイヌチャセンシダです。これは初めて見ました。



私の植物のお師匠さんの話によると、イヌチャセンシダはこんな風に垂れ下がるとのことです。



チャセンシダとの違いは、上面にある2枚の翼の他に下面にも1枚の翼がつくことです(チャセンシダは上面の2枚だけです)。これは実体顕微鏡で撮った写真ですが、確かに上に2枚、下に1枚の翼があります。



これは上面から撮ったものですが、羽軸の両側に翼がついているようです。



ソーラスはこんな感じでした。

これで観察会で撮影してきたシダは全部です。本当はほかにもいっぱい出てきたのですが、どうせ撮っても頭に入らないだろうと思って、このくらいにしておきました。

観察会で見たシダ2

12月1日、高槻市北部にあるポンポン山の山麓で開かれた観察会で見たシダの続きです。シダは昔調べたことがあったのですが、だいぶ時間が経ってしまっていたので、ほとんど一から勉強し直しです。観察会で写真を撮ってきて、手元にある次の図鑑で調べ直しています。

[1] 岩槻邦男、「日本の野生植物シダ」、平凡社 (1992).
[2] 野草検索図鑑編集委員会編、「野草検索図鑑シダ」、学習研究社 (1985).
[3] 池畑怜伸、「写真でわかるシダ図鑑」、トンボ出版 (2008).
[4] 光田重幸、「検索入門しだの図鑑」、保育社 (1997).

シダは図鑑によって書かれていることが結構違うので、以下、文献番号を付しておきます。



最初はこのシダです。右下にちょっとした感想を書きましたが、ぱっと見ただけだと何だか分からないのですが、葉に刺の列をあることを見つけると、すぐに思い出すシダです。ホソバイヌワラビです。



この刺、上から写すとよく分からないのですが、



斜め上から撮るとうまく写ります。残念ながら、胞子嚢群(ソーラス)はついていませんでした。





次はヤワラシダです。こんなシダがあることさえ忘れてしまっていました。羽片基部の小羽片がやや大きくなっている点などはハシゴシダに似ています。文献[3]によると、ハシゴシダ、ヤワラシダ、ハリガネワラビはなかなか紛らわしくて、「ヒメシダ科三人娘」と呼んでいるそうです。共に、下部の羽片基部が細くなっています。文献[1]に載っている検索表では、「羽軸の表面にはっきりした溝がなく、葉脈の先端は葉の辺縁に達しない」とヤワラシダで、「羽軸の表面は窪んで溝となる。葉脈の先端は葉縁に達し・・・」だとその他の2種になります。



調べてみると、写真右下のように確かに葉脈は葉縁に達していませんでした。また、ソーラスはハシゴシダでは辺縁よりで、ヤワラシダでは中間生とのことで、その点からもヤワラシダみたいです。



ちょっと高いところに生えていたので、写真がうまく撮れませんでした。でも、サイゴクベニシダです。



最下羽片の下向き第1小羽片の形を見ると先端が丸いので、やはりサイゴクベニシダっぽいですね。



葉軸には鱗片もたくさんついています。



それから、ソーラスは中間生です。ソーラスの位置なんかも図鑑によってちょっと違っていますね。



これはオニカナワラビです。ハカタシダ、オニカナワラビ、オオカナワラビはお互いよく似ているのですが、葉先が頂羽片にならすに次第に細くなっていくのはこのオニカナワラビだけです。



これは最下羽片の下向き第1小羽片を写したものですが、普通はこれが圧倒的に大きくなるはずなのですが・・・。



ソーラスは中間生です。ハカタシダも中間、オオカナワラビは辺縁よりです。



ヤブソテツはややこしいことになっています。





こんなに羽片の幅の狭いのも広いのも共にヤブソテツだそうです。観察会では従来までヤマヤブソテツと呼ばれていたものは今では単なるヤブソテツと呼ばれているということでした。それで、文献を調べてみました。

R. Ootsuki et al., "Genetic Variation in the Apogamous Fern (Dryopteridaceae)", Acta Phytotax. Geobot. 62, 1 (2011). (ここからダウンロードできます)

この論文は、従来までヤブソテツの変種とされていた、ヤブソテツ(狭義)、ヤマヤブソテツ、ミヤコヤブソテツ、イズヤブソテツの4変種を広島、兵庫、静岡、埼玉から採取して、DNAバーコーディングとしてよく知られている rbcL遺伝子と4種のアロザイム(酵素としての働きは変わらないが配列のわずかに異なる酵素)を調べたという内容です。この4変種は外的な特徴として、羽片の数、包膜中心の色、羽片に耳があるなしで見分けられますが、実際に調べてみると、ミヤコヤブソテツを除いて、遺伝子的には他の3変種は区別がつかなったそうです。ということで、ヤマヤブソテツがヤブソテツになったということみたいです。そのほかにも文献[3]にはテリハヤブソテツというのが載っています。観察会ではこれも出てきたのですが、今回は写真を撮りませんでした。観察会で見たシダはもう少しあるのですが、また、次回に回します。

家の近くのむし探検 ワタムシ、ハエほか

家の近くのむし探検 第453弾

シダの整理がまだだいぶ残っているのですが、大変なのでちょっと後回しにして、11月28日に近くの公園に行って見つけた虫を先に出します。



この日もワタムシがあちこち飛んでいたので、また、撮ってみました。今回は後ろ向けでした。





公園にはもうほとんど虫はいません。それで、いる虫は何でも撮ってみようと思って・・・。これはツマグロキンバエかなぁ。



ツツジの葉上にいるのはツツジグンバイかな。記録を見てみると、これまでに6-7月と10月に見ていました。



今頃の楽しみはこのイダテンチャタテを見つけることです。いつもはサクラの木にいるのですが、これは違いますね。何だろう。



帰りに道の脇の壁をするすると登っていく小さな虫を見つけました。写してみると、ヒメナガカメムシ類の5齢幼虫のようです。



それからハエも。これは何だろう。



最後はマンションの廊下で見つけたムラサキナガカメムシ。昔はこのカメムシがずいぶん小さく見えたのですが、今ではかなり大きな方になってしまいました。

観察会で見たシダ

12月1日にシダ観察会が開かれました。私は会員ではなかったのですが、誘われて参加してみることにしました。場所は高槻市のポンポン山の登山道沿いを途中まで行って引き返し、次いで、神峰山寺側に降りるというコースです。下見では40種ほど見つけられたとのことでしたが、私は以前シダの写真をいくつか撮っていたので、今回はできるだけ撮っていない種を中心に撮ろうと思ってついていきました。でも、あまりにたくさん出てきたので、途中で頭がパンクし、後半はほとんど聞き流してしまいました。とりあえず、写真を整理してまとめてみました。



まずはこのシダです。道路脇に生えていて、長さが15cmから20cm位だったので、幼シダだろうと思っていたら、ちゃんと胞子嚢群(ソーラス)がついていたので、私の植物のお師匠さんに聞いてみると、ホソバシケシダだそうです。ついでに観察会のリーダーにも聞いてみたら、イヌシダとのことです。どちらか分からなくなって、家に戻って調べてみたら、両者はソーラスが全く違っていました。



私の見たシダはこんなソーラスでした。一方、イヌシダは辺縁に筒状のソーラスができるので、全く違っていました。ただ、ホソバシケシダのソーラスは細長いのですが、鉤状に曲がったものも見られます。文献を見てみると、稀に鉤状になることがあるというので、やはりよいのかもしれません。なお、シダの説明は文献によってかなり異なるので、次の4つの図鑑を参考にしました。

[1] 岩槻邦男、「日本の野生植物シダ」、平凡社 (1992).
[2] 野草検索図鑑編集委員会編、「野草検索図鑑シダ」、学習研究社 (1985).
[3] 池畑怜伸、「写真でわかるシダ図鑑」、トンボ出版 (2008).
[4] 光田重幸、「検索入門しだの図鑑」、保育社 (1997).

写真の中に書き入れた説明にはその文献番号を載せておきました。上の写真に写っている中軸には鱗片やら毛などは生えていないような気がします。ついでに、ソーラスを顕微鏡で拡大してみました。



この黒矢印のソーラスをさらに拡大してみました。



胞子を覆っているものを包膜というのですが、その辺縁が避けるというのは文献[1]―[3]に書かれていました。黒矢印のあたりのことを言うのかなと思ったのですが、若い葉でないとはっきりしないのかもしれません。



次はイブキシダです。これはすでに写真を撮っていたのですが、羽片の基部に通気孔があるというのを思い出して、撮ってみました。



これは葉の羽片の拡大です。イブキシダは中軸が黄色くて、これが目立つというのが私の印象です。



これはソーラスです。もう包膜が破れて胞子が顔を出していました。辺縁側にあるというのは良いのですが、包膜についてはもう分かりません。



次は問題の通気孔です。羽軸の基部に白矢印で示した突起があるのが通気孔みたいです。これが分かってちょっとした収穫になりました。でも、孔が開いているのだろうか。



次はハカタシダです。ハカタシダはもう何度も撮っていたので、雑に撮っていたらこんな写真しか撮っていませんでした。頂羽片がはっきりしていて、側羽片が4-5対、それに最下羽片の下向第1小羽片がやけに大きいなどで見分けられます。



これはソーラスです。ソーラスの位置はほぼ中間。



次はミゾシダです。歩いていて、これにはまったく気が付きませんでした。それほど目立たないシダです。これまでも何度か撮っていたはずなのですが・・・。



これは最下羽片のあたりの写真です。


羽片の裏を見るとソーラスの痕跡が見えています。裏から葉脈がはっきり分かるとか、羽片の切れ込み方などを見ると、何となくミゾシダかなと思います。



次はキヨスミヒメワラビです。たぶん、前にも見たことがあったのではと思うのですが、ほとんど記憶に残っていませんでした。



これは羽片の拡大です。



このシダの特徴は中軸や葉柄にこんな白い鱗片がついていることです。



これはもっとはっきりしています。ただし、この白い鱗片は時間とともに褐色になっていくようです。



それからソーラスです。ソーラスは明らかに中肋よりです。ただ、文献[1]には「辺縁近く」と書かれていました。文献[2]には「中肋とふちとの中間まで」となっているのでよいのかもしれません。いろいろと見てみないと分かりませんね。まだまだあったのですが、とりあえずここまでにして、残りは次回に回します。

廊下のむし探検 アリ、ハエ、チャタテなど

廊下のむし探検 第1048弾

11月27日にマンションの廊下と道路脇の茂みの両方で虫探しをしました。後者はすでに出したので、残りのマンションの廊下の虫の方を出します。



最初は小さな羽アリです。これは見覚えがあります。たぶん、ヒラフシアリの♀有翅だと思います。



次はハチです。たぶん、採集したと思うのですが、名前は分かりそうにありません。



それから、チャエダシャクの♂です。





小さなユスリカは何匹かいたのですが、この2匹は共に♀。♂がいたら、気合を入れて調べてみようかな。





小さなチャタテも2匹いました。意外にちょこちょこ動くので、うまく写りません。共に、縁紋が四角いので、ウスイロチャタテ科かなと思います。上は以前、ブリッグスウスイロチャタテとしていた個体と似ています。下はクリイロチャタテかな。



これも以前、シワバネセスジハネカクシとしていた個体と似ています。検索をしたことがないので、はっきりとは分かりませんが・・・。



最近名前が分かったキモグリバエで、ナミネアブアラキモグリバエだと思っている種です。1種でも名前で呼べるようになると、ちょっと嬉しいですね。



これはワモンノメイガ



それにツヤアオカメムシ。最近はクサギカメムシとキマダラカメムシ、それにマルカメムシはデフォルトとして、写していません。



これはアオアツバ



ネコハグモがもっと小さなクモを捕まえていました。





ノミバエがいました。Megaselia属だろうなとは思ったのですが、これからはシーズンになるので、復習の意味で検索をしてみました。

田中和夫、「屋内害虫の同定法(3)双翅目の主な屋内害虫」、屋内害虫 24, 67 (2003) (ここからダウンロードできます)

この論文に属の検索表が出ています。

①脛節は基部2/3に独立した長い剛刺毛を欠く(先端には剛刺毛を備えることが多い) 
                     トゲナシアシノミバエ亜科
②後肢脛節背面に微刺毛列を持つ
③♀の顔は突出することなく、頭盾も短く普通である;♂はトロフィタウマ属の特徴(額は光沢があり正中溝を持つ;単眼域は隆起する;前縁脈のR2+3とR4+5の合流点間の距離は比較的長い;胸部はやや光沢がある)をすべて満たすことはない         Megaselia

必要な部分のみ書き出すと、このようになります。つまり、脚の脛節を見ればとりあえず分かりそうです。



脛節基部2/3の独立した刺毛がなく、後脚脛節に微刺毛列があり、頭部が変わった形のトロフィタウマ属ではないだろうと思うので、Megaselia属みたいです。



ついでに翅脈も見ておきました。この属については以前も調べたことがあります。全世界で1400種も記録されている大変な属で、グループ分けもされているのですが、これから先には進めそうにありません。



ついでにダンゴムシも写しておきました。



たしか、ダンゴムシは後ろから撮っておけばよかったですね。たぶん、オカダンゴムシでしょうね。



ハエは捕まえないと分からないのですが、これはちょっとハエっぽいので今回はパス。矢印で示したM1脈が翅縁より中室よりに屈曲しているので、ニクバエ科かなと思っていますが・・・。



これはホソバヤマメイガだと思っている蛾。



それにアカヒメヘリカメムシ。今頃でもいろいろいますね。

雑談)昨日は誘われてシダの観察会に行ってみました。場所は高槻市にあるポンポン山周辺です。台風の被害がひどくて、山の斜面の木がほとんどなぎ倒されていました。観察会は川沿いの道で行われました。下見で見つかった種が40種あまりだったそうです。最初の20種くらいまでは頑張って写真を撮っていったのですが、その辺で頭がパンクして、後は聞き流してしまいました。今、写真の整理をしているのですが、教えられた名前で合っているのかどうか確認ができなくて四苦八苦しています。まとまったら、今度出すことにします。
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