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廊下のむし探検 カメムシ、チャタテ、コバチなど

廊下のむし探検 第1041弾

最近は11月4日に開かれる文化祭に展示しようと思って、「手作り図鑑」を作るのに夢中です。今日は1巻から3巻までを印刷しました。それで、虫の名前調べの方はあまり進んでいません。とりあえず、29日にマンションの廊下で見つけた虫の一部の名前調べが終わりました。



最初はミナミトゲヘリカメムシです。この日この他にもはカメムシがいっぱいいました。





翅にこんな模様のあるチャタテは以前にも見たことがあります。チャタテ科のTrichadenotecnum属です。これについては以前、次の論文に倣って、翅の模様を8つに分けたことがありました

K. Yoshizawa, "Systematic revision of Japanese Trichadenotecnum Enderlein (Psocodea: 'Psocoptera': Psocidae: Ptyctini), with redefinition and subdivision of the genus", Invertebrate Taxonomy 15, 159 (2001). (ここからダウンロードできます)

この論文ではTrichadenotecnum属を5つの種群に分けています。これについても以前書いたことがあります。この論文に載っている翅のパターンと比較してみると、incognitum、mixtum、magnomixtumの3種あたりが候補に挙がりました。incognitumがsexpuntatum種群、後2者がmedium種群に属しています。ただ、分布を見ると、後2者は共に九州産で本州には分布していないことになっています。それに対して、incognitumは本州にも分布しています。以前もこの種にしたのですが、今回もやはりTrichadenotecnum incognitumではないかと思いました。







また、後腿節が褐色のアシブトコバチがいました。同じようなアシブトコバチを26日にも廊下で見つけました。でも、今回は明らかに触角の付け根が複眼下縁より下になっています。ということは、Haltichellinae亜科かもしれません。ということは、「新訂原色昆虫大図鑑III」に載っているAntrocephalus属のアシアカツヤアシブトコバチかもしれません。これも採集したので、今度調べてみます。(追記2018/11/22:種までは分からないのですが、属までの検索ができました。たぶん、Antrocephalus属♀だと思われます。予想通り、アシアカツヤアシブトコバチではないかと





このカマキリは前脚の間が黄色のでオオカマキリかもしれません。まだまだいたのですが、とりあえずここまで。
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家の近くのむし探検 公園の虫

家の近くのむし探検 第445弾

10月26日に家の近くにある公園に行ってみました。この季節になると虫は少ないのですが、それでも探すとちょこちょこいます。



これはマンションの廊下の手すりにいたコバチです。後脚腿節が太いので、たぶん、アシブトコバチ。「新訂原色昆虫大図鑑III」の図説を見ると、腿節が赤いので、アカアシブトコバチか、アシアカツヤアシブトコバチあたりかもしれません。この2種、実は属が異なっています。前者はBrachymeriaで、後者はAntrocephalusです。しかも、前者はBrachymeriinae亜科、後者はHaltichellinae亜科と、亜科レベルで違います。

A. Habu, "A Revision of the Chalcidinae (Hymenoptera) of Japan, with Descriptions of Sixteen New Species", Bull. Natl. Institute Agri. Sci. C 11, 131 (1960).

この論文には亜科の検索表が載っているのですが、触角基部が複眼の下縁より上だとBrachymeriinae、下だとHaltichellinaeみたいです。この写真では基部は見えないのですが、見えないということは複眼下縁より上にあるのかもしれません。ということはbrachymeriinae、だとするとアカアシブトコバチのあたりかもしれません。一応、採集したので、今度調べてみたいと思います。(追記2018/11/22:検索をしてみました。種までは分からないのですが、たぶん、Antrocephalus属でした。触角基部は複眼下縁よりは下にありました。脚の色から、たぶん、アシアカツヤアシブトコバチ♀ A. dividensではないかと思っています





公園に着いて最初に見つけたのはこの小さなハチでした。動き回ってちっともじっとしていません。採集しようと思ったら逃げられてしまいました。



後はこんな小さなユスリカばかり。これは、「日本のユスリカ」に載っている絵と比較して、フタモンツヤユスリカ♂ではないかと思いました。



これはその♀。



こちらは腹部の斑紋が違うので、ナカオビツヤユスリカ♂ではないかと思いました。



このハエは一瞬しか止まってくれなかったので、この写真しかないのですが、よく見ると、翅縁だけが白いです。



これはコモリグモの仲間かな。「日本のクモ」の写真とか、この間購入した「日本産クモ類」の図版を見ると、ハリゲコモリグモとか、ウヅキコモリグモの♀に似ています。いずれにしても、Pardosa属なので、この辺りかもしれません。この写真で検索をしてみようと思ったのですが、後疣、雄触肢、雌外部生殖器が見えないとほとんど使えません。やはり採集しないと駄目なのですね~。ため息。



桜の木の幹を探していたら、カネタタキを見つけました。



それに、イダテンチャタテの幼虫を見つけました。



顔を拡大するとこんな感じ。とにかく変わった虫ですねぇ。





ツツジの葉にはやはりイトカメムシがいました。いつまでいるのだろう。





ネコハエトリがいました。これも変わった顔をしていますね。



これはマンションに戻る途中で見つけたトビケラです。こんな感じのトビケラはホタルトビケラ属で、近畿にはトビイロトビケラ、ヤマガタトビイロトビケラ、ホタルトビケラがいます。以前は区別がよく分からなかったのですが、今回は「原色川虫図鑑成虫編」があります。これに検索表が載っているので、確かめることができます。基本は脚の色で決まりそうです。各脚の腿節が黒だとホタルトビケラ、前・中脛節とすべての脚の跗節が黒だとヤマガタトビイロトビケラ、腿節・脛節は黄褐色で、跗節はそれよりやや濃い程度だとトビイロトビケラです。これはたぶん、トビイロトビケラでしょうね。



これはマンションの廊下の壁にいました。「原色日本甲虫図鑑II」と「里山のゴミムシ」で調べてみたのですが、カワチマルクビゴミムシ Nebria lewisiではないかと思いました。



最後はガガンボです。翅脈からガガンボ科、よく見ると前脛節に距棘があるので、ガガンボ属でないかと思いました。

雑談)バックアップ用に用いていたHDDが壊れ、新たに2TBのポータブルHDDを買って、ノートパソコンのデータのバックアップをしました。結局、3時間ほどかかってしまいました。その途中でもう一度、壊れたと思ったHDDをパソコンにつないだら、しばらくしてから認識されました。ただ、フォルダーを開くたびに、時間がかかり、やはりどこかおかしいみたいです。とにかくパソコンをつけたままで寝て、今朝はバックアップされているデータの転送を行いました。9年分のデータが入っていたのですが、無事に転送が終わり、ほっとしました。

廊下のむし探検 雑談

1)昨日、いつも使っているノートパソコンが不安定になり、突然、画面が消えて動かなくなりました。再起動したら無事に動いたのですが、今のうちにデータのバックアップをしておかなければと思って、いつもの外付けのハードディスクをつないだら、今度はハードディスクが認識されません。USBケーブルのせいかもと思って交換してもダメ。ノートパソコンではなくて、古いデスクトップにつないでもダメ。それで慌てて、2TBのポータブルHDDを購入して、先ほどからバックアップをしています。というわけで、今日は「廊下のむし探検」の方はお休みです。

2)11月4日に開かれる地域の文化祭に、昨年展示をした人たちと一緒に出展する予定ですが、パネルの方は大体準備ができて、後は展示する標本の準備をするだけになりました。文化祭の展示はたったの2時間半で、しかも、合唱などの催しが同時に行われるので、あまり見に来られる人はいないだろうと思って、どうもやる気が出てきません。こんな感じなら来年からは出展をやめようと思っています。この何年か虫を調べていて、次第に深みにはまっていき、私自身は面白くなってきたのですが、逆に、一般の人の興味とはかなり離れてきてしまいました。それで、展示をしても面白味を分かってもらえないだろうなと思って最近は若干悲観的です。

3)でも、せっかくだから、今まで作ってきた「手作り図鑑」を完成させて、文化祭に展示だけはしてみようと思って、この間から頑張っています。昆虫の図鑑はI~VII巻まであり、それとは別に、その他の動物で1巻、鳥が1巻になっています。これまでに昆虫の方はI巻(トビムシ目やトンボ目など)、II巻(アミメカゲロウ目やトビケラ目など)、III巻(カメムシ)、VI巻(ハエ目)、VII巻(チョウ目)がほぼ終わり、残りはIV巻(甲虫目)、V巻(ハチ目)だけになりました。それぞれの巻は写真を載せた冊子と検索や虫について調べた内容を載せた冊子に分かれています。全部できると、2400種を超えるので膨大な量になるのですが、たぶん、あまり興味を持つ人はいないだろうなと思っています。それで、とりあえず自分用に作ろうと思っていますが、何とかホームページにアップする方法を見つけて公開したいなとも思っています。

家の近くのむし探検 バッタ、ハエ、クモなど

家の近くのむし探検 第444弾

10月24日にいつもの散歩コースを歩いて見つけた虫の続きです。



ちょっと痩せた感じなのですが、白い点々がついているのでオンブバッタかなぁ。(追記2018/11/20:通りすがりさんから、「オンブバッタのオスですね。そちらではもしかしたらアカハネオンブバッタも見られるかも。」というコメントをいただきました。そんなオンブバッタもいるのですね



これはヤマギシモリノキモグリバエだろうと思っているハエです。写真を写してから、そういえば、送っていただいた資料でキモグリバエは調べられるんだと思い出し、先ほど写した場所を何度探しても見つかりません。残念!



これはタケトゲハムシ







アリグモが何かを加えています。何でしょうね。



今度はジョロウグモがバッタを捕まえています。よく見ると、小バエが2匹止まっています。

追記2018/11/20:立西さんから、「あるブログを拝見していたところ,クロコバエ科 Milichiidae の中でクモやサシガメの獲物に集まっておこぼれを貰う習性を持つグループがいることを知りました。ジョロウグモに捕まったオンブバッタに集まっている小バエももしかしたらそうかもしれないと思ってコメントしてみました。2017年4月12日の記事の中で少し触れられていますね。」というコメントをいただきました。なるほど、「捕食性昆虫と片利共生関係」ですか。これは面白い情報を有難うございました。ところで、写真をもう一度見直してみると、辛うじて翅脈が見えるのですが、クロコバエ科の特徴である前縁脈のsc切目というのがない感じだし、Sc脈が前縁まで達している感じがします。クロコバエ科ではないかもしれません。写しているときに気が付けば採集していたのですけどねぇ。いずれにしても、「捕食性昆虫と片利共生関係」というのは面白いですね。今度、調べてみます。それから、産卵管の形からツユムシみたいですね。

その後、ちゃんと読んだわけではないのですが、MilichiidaeのWikipediaを見ると、freeloader fliesとかjackal fliesとか呼ばれているようです。freeloaderというのはただで飲食物をたかる者という意味で、jackalはジャッカルですね。要はほかのものの餌から出る体液をちゃっかり舐めるハエで、特にクモの餌にたかることが多いようです。だとすると、やはりこのハエはクロコバエかなぁ。もうちょっとちゃんと読んでみます。どうも有難うございました。 

さらに、その後、Wikipediaやそこで引用されている論文を読んだのですが、クロコバエ科のほか、ノミバエ科、キモグリバエ科、タマバエ科、ヌカカ科などが集まるようです。でも、クロコバエ科が本命のようです。さらに、対象となる捕食者はクモではジョロウグモ科、ササグモ科、カニグモ科があり、その他にも、ムシヒキアブ、サシガメなんかも対象になり、さらにはカマキリの獲物にたかるハエもいたそうです。獲物としてはカメムシやミツバチなどが中心で、主に、匂いを出す獲物に集まるとのことです。何となく、はっきりしない論文が多くて、そのままにしていますが、今度、まとめて報告したいと思います。立西さん、面白い話をどうも有難うございました



それに、ワキグロサツマノミダマシ





これはカラムシだったかなぁ。



最後はキバナコスモスに来ていた蛾です。かすかに見える模様からオオバコヤガかなと思ったのですが、どうでしょう。(追記2018/11/20:ささきさんから、「最後の蛾はお察しの通りオオバコヤガです。気温が下がってくると、昼間に活動するようになるんですね。」というコメントをいただきました。コメント有難うございました。合ってましたか。よかった。確かに普段あまり昼間見る蛾ではないですね

虫を調べる チビヒメヒラタナガカメムシ

この間(10/21)、マンションの廊下で小さなカメムシを見つけました。一見、ヒメナガカメムシを小さくして、薄い色にしたような感じでしたが、とりあえず捕まえておこうと思って採集しました。



こんなカメムシです。「原色日本カメムシ図鑑第3巻」の図版で調べてみると、ヒメヒラタナガカメムシ科のチビヒメヒラタナガカメムシ Cymodema basicornisか、ウスイロヒメヒラタナガカメムシ Cymus elegansのどちらかかなというところです。それで、一度、検索をしてみようと思って、上の図鑑に載っている検索表でまず科の検索をしてみました。



検索表の途中からナガカメムシの仲間に進む経路だけに限ると、ヒメヒラタナガカメムシ科であることを確かめるには上の10項目を調べる必要があります。これを写真で調べていきたいと思います。



最初は背側から見た写真です。翅の色が薄くて、膜状部も革質部も共に透けていて腹部が見えています。この写真では①、⑦、⑨を確かめることができます。①の楔状部は矢印のあたりにある区切りから先の部分で、ハナカメムシ科、カスミカメムシ科などにはあります。この写真のカメムシには区切りはないので、それ以外になります。⑦はオオメナガカメムシ科、⑨はホソメダカナガカメムシ科を除外する項目で共にOKです。



次は腹側からの写真です。この写真で寸法を測ると体長は3.2mmになりました。⑩はその体長と触角の長さとの比較です。⑩では触角の長さが体長の1/2以上だということなのですが、実測では1/2.14=0.47になり、少し小さくなりました。この項目はコバネナガカメムシ科を除外する項目でこの科では1/3以下なので、たぶん、大丈夫でしょう。



次は触角第1節の幅と長さの比です。これも実測すると長さは幅の1.82倍になり、⑧に書かれたこととほぼ一致します。これはマダラナガカメムシ科やヒゲナガカメムシ科を除外する項目です。



②の海綿窩はよく分からないのですが、図鑑の絵を見ると、②↓あたりに存在する構造みたいです。この写真では特に異常が見られないのでたぶん、大丈夫でしょう。④はイトカメムシ科を除外する項目です。イトカメムシ科では④↓あたりに上向きの突起があるのですが、これにはありません。



これが分かりにくい。③は縦走する翅脈の数に関するものですが、なんせ透明なのでうまく写せません。横から光を当てて翅脈が光るようにして撮ったのですが、本数までは分かりませんね。でも、網目状ではなさそうなので、③はOKとしました。この項目はカメムシ科などを除外する項目です。逆にいうと、カメムシ科などでは縦走する翅脈が6本以上で網目状の脈相になっているということです。



これは腹部を写した写真です。結合板が葉状に突出することも側縁が波状になることもないので、⑤は大丈夫だと思うのですが、腹部の節の番号をどうつけるかで迷いました。結局、「日本原色カメムシ図鑑第1巻」に載っている絵を参考にして付けてみました。この番号だと⑥の第4、5節間の縫合線は⑥↓で示したところになり、確かに直線的で側縁に達しています。それで、⑥もOKだと思われます。これですべての項目をチェックしたので、たぶん、ヒメヒラタナガカメムシ科でよいのではと思いました。

ここから先は検索表がありません。ただ、候補がチビヒメヒラタナガカメムシ属とヒメヒラタナガカメムシ属のどちらかだろうということで、属の特徴を調べてみました。チビヒメヒラタナガカメムシ属の説明には両者の比較が載っていました。



㋐と㋑がそうです。もし、チビヒメヒラタナガカメムシ属だとすると、日本産は1属1種なので、それに属するチビヒメヒラタナガカメムシの特徴も調べてみることにしました。それが㋒と㋓です。㋐は比較の問題なので、㋑を調べてみることにしました。



生態写真では分からなかったのですが、頭部の前方を見ると、中葉がずいぶん前に突き出しています。また、その両横にある側葉が少し突き出しています。たぶん、このことが「3本の角」に該当するのではと思いました。



これはもう少し拡大した写真です。「3本の角」と言えなくはないですね。実際には、ヒメヒラタナガカメムシ属を調べて見ないとはっきりしたことは言えませんが、とりあえず、これでチビヒメヒラタナガカメムシ属だろうと思ってその先を調べてみました。



㋒はたぶん、大丈夫だと思うので、その先の㋓を見てみました。前胸背の中央前半の乳白色の隆起線は白矢印で示した通り。前側角は黒矢印で示した部分だと思われます。ただ、前胸背の前半部の両側に点刻のない横長の領域があるのですが、それについては特に何も書かれていませんでした。

ということで、とりあえず、属と種の特徴もあっていそうなので、たぶん、チビヒメヒラタナガカメムシで合っているのではと思っています。

家の近くのむし探検 毛虫

家の近くのむし探検 第443弾

やっと足の指のひびが治ってきて、普通に歩けるようになってきました。それで、いつも朝歩いていた散歩コースをゆっくり歩いてみました。途中でいろいろな虫がいたので、この日は写しながら・・・。特に毛虫が多かったので、まずはそちらの写真を整理しました。



まずはササの間からこんな顔を出している毛虫です。



後ろからも撮ってみました。



これは別のところにいたもの。



頭部の拡大です。「日本産幼虫図鑑」で調べてみると、コチャバネセセリの幼虫みたいです。



これはこの間ナカアオフトメイガに似ていると教えていただいた毛虫です。イタドリの葉に巣を作っていました。「日本産幼虫図鑑」にも、「原色日本蛾類幼虫図鑑」にも出ていなくて、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」のナカアオフトメイガの欄に載っていました。ただ、食草が合いません。「日本産蛾類標準図鑑IV」によると、寄主植物として、ブナ科、バラ科、ニガキ科、トウダイグサ科、ムクロジ科、ミズキ科、カキノキ科、マメ科が載っていました。どうしてかな。





こちらは農道を歩いていた幼虫です。何匹も歩いていました。尺取虫のような歩き方をしていたので、シャクガかなと思ったのですが、普通の尺取虫より胴の曲げ方が小さい気がしました。「日本産幼虫図鑑」も「原色日本蛾類幼虫図鑑」にも載っていなくて、何だか分かりません。(追記2018/11/20:通りすがりさんから、「ナカグロクチバの幼虫載ってませんか?」というコメントをいただきました。見落としたのかなと思って図鑑を見たのですが、やはり載っていませんでしたね。「みんなで作る日本産蛾類図鑑」を見たら載っていました。ここも一応、ざっとは調べてみたのですけど・・・。。それにしてもナカグロクチバとは。農道を何匹も這っていたので、土地の人と、「みな同じ方向だけど、どっち向きに這っているのか分かるのかな。」なんて話をしていました。食草は雑草が多いですね。来年は大量発生するかも





最後はセスジスズメの幼虫です。これも農道を歩いていました。他の虫はまた次に出すことにします。

廊下のむし探検 カメムシが多い

廊下のむし探検 第1040弾

10月21日にマンションの廊下を歩いてみました。虫はそこそこいましたが、もう晩秋という雰囲気です。



最初は廊下の手すりに止まっていたこんなカメムシです。キバラヘリカメムシですね。



たぶん、ギンバネヒメシャクかなと思うのですが、よくは分かりません。





これは小さなカメムシです。一応、採集はしたのですが、「日本原色カメムシ図鑑」で調べてみました。たぶん、ヒメヒラタナガカメムシ科のチビヒメヒラタナガカメムシ Cymodema basicornisではないかと思います。(追記2018/10/26:Cymodemaは頭部中葉および側葉が前方に突き出し、3本の角になるのが特徴のようです。この写真で見る限り、そんな感じには見えません。それで、Cymusの方ではないかと疑い始めました。その中では色の薄いウスイロヒメヒラタナガカメムシ C. elegansが候補です。これと似たカメムシは一昨年の10月にも見ていました。その時はウスイロヒメヒラタナガカメムシにしていました。今回は採集したので、今度確かめてみます)(追記2018/10/26:先ほど、調べてみました。たぶん、最初に思ったチビヒメヒラタナガカメムシで合っているのではという結論です。顕微鏡写真を撮ったので、詳細はまた今度載せます



配管を登っていたのはキマダラカメムシ



これはチャドクガ



これはウスキツバメエダシャクだと思うのですが、下を向いていて顔が見えません。



これはケナガスグリゾウムシ。よく見かけます。



チャドクガがまたいました。



小さなクモです。最初は何だか分からなかったのですが、写真で見るとハエトリグモみたいです。しかも、何となくシラヒゲハエトリに似ているような。ひょっとしたら、それの幼体かもしれません。



これはアオアツバ



また、ウスキツバメエダシャクらしい蛾がいました。今度は上を向いているので、顔が見えます。



顔が橙色なのでやはりウスキツバメエダシャクみたいです。



これはコブヒゲアツバかな。



今度はホソヘリカメムシ



天井近くにカマキリが止まっていました。オオカマキリか、チョウセンカマキリかはよく分かりませんでした。



キマダラカメムシが今度は天井に止まっていました。最近、増えましたね。

家の近くのむし探検 公園の虫

家の近くのむし探検 第442弾

最近は文化祭に向けて手作り図鑑を作っていて、観察がややおろそかになっています。それでも、時々は観察に行くのでそのときに見つけた虫を出しておきます。まずは10月16日に公園で見つけた虫です。この日は翅にある発音器を調べようと思って、マダラバッタの♂と捕まえに行ったときで、写真はあまり撮りませんでした。発音器も調べないといけないのですが、なかなか暇がなくって・・・。





これはマダラバッタです。ほかのバッタは近づくとすぐに逃げてしまうのですが、マダラバッタはなかなか逃げません。それで接近して撮ることができます。この日はマダラバッタ3匹とショウリョウバッタ2♂を捕まえたのですが、マダラバッタは1♂だけで、後は♀でした。



後はマンションの廊下の壁に止まっていたセグロアシナガバチでした。

次は10月19日に公園で見つけた虫です。この日は午後から学校で中学生と一緒に文化祭の準備をする予定で、その前にちょっとだけ公園に行ってみました。







公園のツツジの葉上にこんな気持ちの悪い毛虫がいました。「原色日本蛾類幼虫図鑑」で調べてみると、どうやらキバラケンモンの幼虫のようです。食草がイバラ科、ツバキ科、ツツジ科だったので、一応、公園の植栽のツツジも食草なのかもしれません。



これはホソヒラタアブ



地面でセンチコガネの仲間が飛び出そうとしていました。その瞬間を写そうと思っていたのですが、



諦めて歩き始めました。頭盾の形からオオセンチコガネみたいです。



これはナミスジチビヒメシャクかな。



このハナアブは何とか採集したかったのですが、この日に限って捕虫網を忘れてきていました。それで写真だけなのですが・・・。いつも利用させてもらっている「ハナアブの世界」の写真集で見比べると、脚の脛節基部が白くなっている点やら、後脛節が湾曲している点などから、ハラナガハナアブ族のXylota属の♀みたいです。「日本昆虫目録」によると、この属には13種が記録されていて、本州産は6種だとのことです。ここから先はよく分かりません。(追記2018/11/20:フトツリアブさんから、「この時期出ているXylota属で後脚付節がほぼ黒色なので,X. danieliだと思います.なお,Xylota属の雌での同定は難しいです.他のXylota属はX.boninensisを除き山間部で夏場に見られます.日本昆虫目録のハナアブ科は未記載種をリストアップしなかったので30種程度は増えると思います.Xylota属も4種ほど未記載種がいます.」というコメントをいただきました。Xylota danieliですか。♂が採集できたらよかったのですが、今度公園に行ったときにでも探してみます。日本昆虫目録のハナアブ科で未記載種が30種もいるのですか。ハナアブもなかなか大変な仲間ですね。まあ、ぼちぼちやっていきますので、今後ともよろしくお願いします





これはホシササキリ



これはネコハエトリ



これも網を持っていたら採集していたのですけどねぇ。翅脈からクロバエ科らしいことは分かりますが・・・。(追記2018/11/20:フトツリアブさんから、「クロバエ科はオビキンバエの仲間だと思います.」というコメントをいただきました



最後はウラギンシジミでした。

家の近くのむし探検 ハエ

家の近くのむし探検 第441弾

10月15日に近くの公園で見つけた虫の続きです。先日、大体の虫を紹介したので、残りはハエだけになってしまいました。相変わらず名前は分からないのですが、一応、写真だけでも出しておきます。



最初はこのハエです。横から撮っていたらさっさと逃げられてしまったので、よくは分かりませんが、何となくハナレメイエバエ亜科のようです。



これも前からよく分からないユスリカです。艶があるので、ツヤユスリカ属だろうと思っているのですが、今度、調べてみたいと思います。今回はパスです。



これもツヤユスリカだろうと思います。「日本のユスリカ」に載っている図と比較すると、フタモンツヤユスリカ♂あたりに似ていますが、よくは分かりません。





これは以前、調べたことのあるフチグロユスリカあたりのユスリカだと思います。上は♂、下は♀です。ユスリカの検索はなかなか難しく、相当に気合を入れないとできないので、もう少ししてから調べてみます。



翅脈からイエバエ科だと思われますが、そこから先はよく分かりません。



これはヤドリバエです。雰囲気的には以前見たキアシハリバエに似ています。このハエはルリチュウレンジの幼虫に寄生するのでしたね。



こちらはホソヒラタアブ



これはクロバネキノコバエの仲間。



たぶん、シマバエだと思うのですが、この写真では後単眼剛毛がよく見えないですね。



これもイエバエかなと思うのですが、よく分かりません。ハエはほとんど名前が分からないので、ちょっと欲求不満になりますね。

雑談)再来週の日曜日に開かれる文化祭に出そうと、この間から手作り図鑑をまた作り始めました。もうずいぶん前から作っているのですが、こんな機会でもないとなかなか作業をする気になれないので、ちょうどいいと思って作っています。今回の文化祭には蛾の展示をするつもりなので、それに合わせて蛾の写真と和名・学名を入れた図鑑を作っています。このブログに出してきた写真を基本にしているのですが、それでも蛾だけで1000種を越えるので意外に大変です。このほか、ハエや甲虫なども出そうと思っているのですが、とにかく索引を作るのが一苦労です。せっかく作っても、途中で写真を増やすとまたページ数が変わるので、何とか楽にならないかとEXCELで目次と索引をつくる方法を試行錯誤しています。とりあえず、蛾は2/3が終わりました。蛾だけは何とか間に合いそうです。

虫を調べる ヒラフシアリ(再々)

先日、マンションの廊下で小さな羽アリを見つけました。





上は翅の生えているもの、下は翅が脱落したもので、たぶん、同じ種だろうと思っています。両方とも採集したつもりだったのですが、毒瓶を見てみると上の有翅アリだけが入っていました。一応、検索をしてみようと思ってやってみたのですが、腹部末端が円形でなくて楕円形なのであれっと思いました。たぶん、カタアリ亜科。さらに、検索を進めると、結局、ヒラフシアリになりました。名前は聞いたことがあったので過去の記録を見てみると、実は過去に2度も検索をしてブログに出していました(こちらこちら)。でも、折角、顕微鏡写真を撮ったし、過去2回は翅が脱落した個体だったのですが、今回は有翅アリだったので、確認のためにもう一度出しておくことにしました。



検索にはいつものように、「日本産アリ類図鑑」に載っている検索表を用いました。この図鑑の検索表は基本的に働きアリ用なので、そのままでは♀有翅アリには使えません。というのは、羽アリでは飛翔筋が発達するために中胸が発達し、それにより後胸や前伸腹節の形も変わってしまうからです。この検索表でいえば、赤字で書いた⑤がそれになります。そこで、その部分を除いて検索をしました。一応、今回も写真で簡単に見ていきたいと思います。



体長は3.3mm。かなり小さな羽アリです。①も⑥もOKでしょう。



これは背側から写したものです。



頭部の写真です。①は問題ないでしょう。大顎の歯がずいぶん細かいですね。



②と④はOKでしょう。腹柄節に腹部が覆いかぶさっているというのはこの写真でよく分かりますね。



②、⑤、⑥も大丈夫だと思います。腹部第5節が辛うじて見えています。



腹部を腹側から見た写真です。tは背板、sは腹板を意味します。第1節は背板と腹板に分かれています。



これは腹部末端の写真です。先端に穴が開いていますが、形は楕円形です。ヤマアリ亜科はここが円形になっています。ということで、赤字で表した部分を除けば、ほぼ、書いてある通りだと思われます。従って、ヒラフシアリということになります。



以前検索したときは翅の脱落した個体だったのですが、今回は翅がついていたので、翅脈を見てみることにしました。毒瓶に入れておいたので、翅がクシャクシャになっていたのですが、何とか伸ばして撮りました。翅脈はいつものように次の論文に載っている名称を用いました。

K. S. Perfilieva, "Trends in Evolution of Ant Wing Venation (Hymenoptera, Formicidae)", Zoologicheskii Zhurnal 89, 965 (2010). (ここからダウンロードできます)

いつもの翅脈と比べるとM脈辺りがちょっと変です。この論文では羽アリの翅脈をいろいろと分類しているのですが、それによればこれはIIIb型だと思われます。この型を持つのは、カタアリ亜科とフタフシアリ亜科が多いのですが、それも合っていました。



最後は前伸腹節気門で、これは円形でした。

家の近くのむし探検 公園の虫

家の近くのむし探検 第440弾

10月15日はマンションの廊下と近くの公園の両方で虫探しをしました。マンションの廊下の分はもう出したので、残りの公園の虫です。ハエはいっぱいいたのですが、名前がよく分からないので後回しにします。今回はそのほかの虫です。



公園に着いてパッと見てあまり虫がいません。それで、とにかく見つけた虫はみな写真を撮ろうと思って撮ってみました。これはイトカメムシです。



白っぽいクモがいました。もう少し真上から撮りたかったのですが、この後すぐに葉裏に隠れてしまいました。何となく、エビグモの仲間かなと思ったのですが、よくは分かりません。





歩いていたら地面を何かが動きました。見たら、こんなゴキブリ幼虫が2匹。たぶん、モリチャバネゴキブリでしょうね。





これはたぶん、ネコハエトリ。クモの図鑑を買ったので、いずれ捕まえて調べてみないといけないのですが、クモは苦手なので、まだ、決心がつきません。



葉裏にシロオビノメイガがいました。



帰りに見たら表側に出てきていました。ユスリカを撮るのでクローズアップレンズをつけていたら、こんなに大きくなってしまいました。



こちらはルリチュウレンジの幼虫。ツツジの葉を食べています。



公園の広場は草ぼうぼうです。そんな中を歩くとバッタが次々と飛び上がります。止まったところに行って撮ったのがこの写真です。マダラバッタだろうと思ったので、頭頂脇の窪みを写してみました。



眼の横の四角いのが窪みです。マダラバッタは四角いのが特徴だったので、確かに四角いですね。バッタで一番多かったのがこのマダラバッタでした。このバッタ、意外に近づいても逃げません。





こちらはホシササキリ



これもホシササキリ



これはショウリョウバッタ



そしてこれはオンブバッタ。大きめのバッタはこのくらいでした。





最後は道を歩いていたツマグロヒョウモンの幼虫。探すとまだまだいますね。

廊下のむし探検 甲虫、カメムシなど

廊下のむし探検 第1039弾

10月15日にマンションの廊下で見つけた虫の続きです。



最初はこのハムシです。後腿節が太いのでノミハムシの仲間です。採集して、先ほど調べてみました。たぶん、スジカミナリハムシではないかと思います。これについてはだいぶ前に検索をしたことがありました。この時の顕微鏡写真とほぼ同じだったので、今回は顕微鏡写真を撮りませんでした。実際に検索をしてみると、以前と同じ場所で引っかかってしまいました。でも、たぶん、スジカミナリハムシで大丈夫なのではと思いました。



これはアカシマサシガメ。今頃はカメムシがいっぱいです。





廊下の手すりの端の方に止まっていたので、うまく撮れなかったのですが、触角第1節が短いので、ハラビロヘリカメムシではないかと思いました。





翅脈からはガガンボ科みたいです。そこから先は分かりません。





この毛虫は何でしょう。ヤガ科だろうと思って、「日本産幼虫図鑑」と「原色日本蛾類幼虫図鑑」を探したのですが、見つかりませんでした。(追記2018/11/20:aka**ori_0*23さんから、「毛虫はナカアオフトメイガに似て見えました。」というコメントをいただきました。これはフトメイガですか。確かに似ていますね。びっくりしました。先入観でヤガだろうと思ったのが失敗でした。どうも有難うございました





アリグモがいました。頭胸部側面の白線や胸部の盛り上がりを写すために、最近は横からも撮ることにしています。



いつもいるカメムシも写しておこうと思ってクサギカメムシも撮りました。



ツヤアオカメムシ



マツヘリカメムシ



マルカメムシ。この辺りが常連です。



変わった虫がいました。でも、これは以前も見たことがあります。タイワンメダカカミキリです。これがカミキリだとはとても思えません。



とにかく、眼のあたりが変わっています。



しばらくしたら、もう一匹いました。こちらは触角を開ています。



でも、近づいて撮ろうとしたらまた触角を前に出して、いつもの格好になりました。

雑談)最近は何かと用事があって、毎日のように出かけています。それで図鑑づくりも検索の方もなかなか進みません。今日は近くの中学に行って、中学生と一緒に展翅してあった標本を箱に入れる作業や花の名前調べをしました。標本の方は結局、チョウ目14種、トンボ目8種、甲虫3種、ハチ目2種、バッタ目1種、カメムシ目1種の計29種でした。ドイツ箱は高くて手に入らないので、お菓子の箱にペフ板を張ってチョウの標本を入れ、甲虫とトンボは区切りのある箱の底に脱脂綿を敷き、その上に標本を置くことにしました。上をサランラップで覆えば、まぁ、何となく様になるのではと思っています。

廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第1039弾

10月15日の午後はマンションの廊下と近くの公園の両方で虫探しをしました。そのうち、マンションの廊下で見つけた蛾だけ整理しました。



まずはこの間も見たウスミドリナミシャクです。



これはソトウスグロアツバ



こういう白いツバメエダシャク類の見分け方については以前、標本で調べました。顔面の色で見分けたらよかったですね。



こんな風に顔面が赤いのはウスキツバメエダシャクでした。



ベニスジヒメシャク類も似た種がたくさんいます。筋が拡がっていればベニスジ、フトベニスジは翅頂付近で筋が前縁側に広がるとのこと。いずれもこの個体とは違います。となると、ウスベニスジかコベニスジになるのですが、内横線が出ればウスベニスジ。この個体は内横線はほとんど見えないので、コベニスジヒメシャクかなと思うのですが、よくは分かりません。(追記2018/11/20:ささきさんから、「Timandraは解剖しないとどうしようもありませんね。お手上げです。」というコメントをいただきました。やっぱり解剖しないと駄目ですか。外的な特徴から名前が分からないとがっかりしますね



こちらはナガハマツトガ



それにエゾギクトリバ



それにアオアツバ



これもオオアカマエアツバとニセアカマエアツバという似た種がいます。♂なら、下唇鬚第3節の先端が尖ればオオ、丸ければニセとなるのですが、これは丸そうなので、ニセアカマエアツバの可能性があります。でも、♂か♀かよく分からないので、結局、よく分かりません。

家の近くのむし探検 昆虫採集ついでの撮影

家の近くのむし探検 第439弾

近くの学校の中学生が授業の一環として文化祭に「昆虫館」というテーマで出展するというので、私はアドバイザーとして参加しています。展示する標本の数がかなり少ないので、少しでも標本を増やしてやろうと思って、14日午前に河原に昆虫採集に行きました。その行き帰りに見た虫と花です。



まず、出がけにマンションの廊下で見つけた虫です。折角、「日本産ゴミムシダマシ大図鑑」を買ったので、これで調べてやろうと思って図版を見ていきました。触角がかなり長いし、上翅の点刻列が特徴的だし、頭が下を向いていることなど手掛かりに探してみると、ほぼ一意的にコマルキマワリ Amarygnus (A.) curvusになりました。この図鑑、図版が綺麗で見やすいのですが、検索表が載っていないので、候補が絞られたときに最終的にこれだと決定するときにちょっと困りますね。検索表はどこかにないかなぁ。



河原に着きました。この間採集した種はできるだけ避けて採集してみました。採集したのは、キタテハ、ウラギンシジミ、ウラナミシジミ、チャバネセセリ、それに、アキアカネ。ちょっと少なかったかな。帰りに花をちょっと撮りました。これはヒヨドリバナ



それより今頃、桜が咲いていました。これは珍しいなと思って撮ったのですが、ブログに出すのがちょっと遅れたら、その後、テレビで桜の開花を次々と報道していました。全国的に咲いているようです。先ほどのニュースによると、葉の付け根に9月頃に花芽ができるのですが、通常、葉から発育を抑える物質が出ているのでその年は咲かないのですが、今年は台風で葉が取れてしまったので、咲いているとのことでした。





でも、今頃の桜はちょっと寂しそう。でも、何となくいいですね。





8月に白いユリがいっぱい咲いていた斜面にはこんな種がいっぱいできていました。これはタカサゴユリではなくて、高速道路の法面などに植えられた栽培種シンテッポウユリが逸脱したものではないかと以前書いたのですが、こんなに種がいっぱいできるのなら、来年もたくさん咲くでしょうね。

雑談1)3週間前に家の中で足の指をぶつけたのですが、未だに歩いていると指先が腫れてくるので、今日は整形外科に行ってみました。やはりひびが入っているのは間違いないとのことです。あまり激しい運動はしないでと念を押されました。そろそろジョギングや早歩きの散歩を始めたいなと思っていたのですが、もう少し我慢します。

雑談2)冬になると大量のキモグリバエがマンションの壁いっぱいに付きます。せめて名前だけでも知りたいなと思って、これまで何度か検索を試みたのですが、いずれも挫折していました。今日は思いがけなく貴重な資料をお送りいただいたので、その資料を使って早速検索してみると、ナミネアブラキモグリバエ Thaumatomyia notataという全世界的に分布している種らしいことが分かりました。これまで撮ってきた顕微鏡写真でもある程度検索はできるのですが、一部撮っていない写真があるので、もうすぐなのでやってきたら早速調べてみたいと思います。資料をお送りいただき、どうも有難うございました。

雑談3)中学生の展示とは別に昨年一緒に自然展を開いた3人のグループでも文化祭に出展をすることになりました。私は蛾の標本と説明パネルを出そうと思っているのですが、ついでに手作り図鑑を完成させて展示しようと思って、この間から入力を始めました。まだ、目次や索引ができていないのですが、チョウ目、ハエ目、甲虫目のうちハムシ上科・ゾウムシ上科の写真と和名、学名の入力が終わりました。カメムシ目はすでに終わっているので、あと少しです。だんだん先が見えてきました。

廊下のむし探検 ハエ、カメムシなど

廊下のむし探検 第1038弾

最近は来月初めに開かれる文化祭に出す展示の準備で時間を費やしています。それで、10月11日に写した写真の整理が遅れてしまいました。蛾はすでに出したので、残りの虫です。



ガガンボの仲間です。翅脈を見ると、ガガンボ科は確かそうですが、それから先は分かりません。



この腹部に白い毛の生えたクモの名前が前から分かりません。何でしょう。



これはケブカカスミカメです。



マンションにはズグロオニグモがやたら多いので、これもそれではないかと思います。



これはクロバネキノコバエの仲間です。



確か、左右の複眼がつながって眼橋を作っていたのですね。そう思って、拡大してみました。確かにそうなっています。今年こそは何とか属までたどり着きたいなと思っています。



小さな羽アリがいました。一応、採集しました。





こちらは先ほどの羽アリの翅が脱落したもののようです。こちらも一応、採集しました。でも、なかなか検索する暇がありません。(追記2018/10/19:これまで何度も調べていたカタアリ亜科のヒラフシアリでした。また、顕微鏡で撮影してしまいました





気持ち悪い虫がいました。以前も見たことがあります。コウガイビルという扁形動物ウズムシ綱の虫です。ヒルみたいに血を吸うことはないようですが、体の中ほどに口があって、消化液でカタツムリを溶かしていたというコメントをいただいたことがありました。

雑談)11月4日に学校で開かれる文化祭に出展しようと思って準備をしています。この文化祭にはこの間からアドバイスに行っている中学生の「いきもの館」も出展することになっているのですが、結局、同じ理科室を使って出展することになったようです。我々はいつもの3人のグループで、ほかの2人は鳥の写真を、私は蛾の標本を出そうと思っています。今日はその説明のためのパネルづくりをしました。結局、小さなパネル4枚ほど作ったのですが、この2-3年出展が続いたせいか、どうも熱がいまいち入りません。パネルが少し少ないので、この間、市役所で展示した昆虫の眼についてのパネル3枚もついでに出そうかと思っています。

今年の文化祭の展示時間はわずか2時間半なので、標本はドイツ箱4箱くらいにしようと思っています。大きな蛾(ヤママユガ科、スズメガ科)が2箱、キバガなどの小さな蛾が1箱、それに昼飛ぶ蛾、冬でもいる蛾などを入れた1箱を出そうかなと思っています。この標本で理科室の机一つ。別の机にはこの間から作っていた手作り図鑑を並べて、また、チャック付きパックの小甲虫の標本を入れた小形の標本箱でも置こうかなと思っています。これで、自分の準備はだいたいできあがったので、これから中学生の展示をどうするか考えなければなりません。いろいろと大変ですね。

マダラバッタの発音器

先日、中学生と虫取りをしたときに、中学生が採集したバッタを調べています。マダラバッタらしいことは分かったのですが、きちんと調べようと思って、

日本直翅類学会編、「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」、北海道大学出版会 (2006).

に載っている検索表を使って調べていきました。でも、トノサマバッタ亜科を分ける際、「ヤスリ(状発音)器は前翅にある。摩擦器は後腿節内側の中央の長架。」という項目が分からず、なかなか進みませんでした。その後、前翅にそれらしい構造を見つけたのですが、本当かどうかよく分かりません。それで、もう少し調べてみることにしました。



調べたのはこんなバッタです。発音器・摩擦器のあたりがよく分からなかったのですが、これに対抗する項目はヒナバッタ亜科で、こちらは後腿節にpeg状の突起列を持つというので、それではないだろうと思って検索を進めると、予想通りマダラバッタになりました(検索過程はこちらこちらを見てください)。



その時に見つけた構造というのがこの写真です。これは前翅の中央か、その翅端側全体に見られ、縦脈よりも横脈の方が顕著でした。この構造はSnodgrassがイナゴモドキについて描いた図とよく似ている感じがしました。

R. E. Snodgrass, "Insects, their Ways and Means of Living", Smithonian Scientific Series Vol. 5 (1930). (ここからダウンロードできます)

今回はもう少し詳しく調べてみようと思って、冷凍庫にしまっておいたもう1匹について調べてみました。2匹捕まえた1匹については片側だけの展翅標本を作っているので、後の1匹については翅と後脚をはずして調べてみました。



これは翅の中央部を見たのですが、個体が違っても規則正しい突起列の構造が見られます。やはり横脈の方が顕著です。



翅を中央付近でハサミで切って、その断面を見てみようと思いました。



まずは10倍の対物鏡です。あまりはっきりとは見えません。





それで40倍の対物鏡にしてみました。横脈上に周期的な突起があることは確かです。



翅の中央から翅端側全体にこのような構造があるのですが、突起は丸印で示した辺りで特に顕著でした。もし、この構造が発音器なら、この部分を使っているのかもしれないと考えられます。



次は後腿節内側を見てみました。内側には3本の筋がありますが、検索表に載っている絵ではこの中側にある黒矢印で示した筋が「中央の長架」に相当します。この筋、よく見ると、腿節の付け根側(向かって左側)では高さが低く、先端側では高さが高くなっています。



少し斜め後ろ側から写してみました。矢印で示した筋はだいたい黄破線で示した領域では前後の筋より高くなっています。たぶん、この部分を使って摩擦するのかもしれないなと思いました。





それで、赤四角で囲った部分を拡大してみました。つるつるだったら摩擦器にはならないだろうからと思ったからですが、拡大してみると、やはり細かい皺がいっぱい入っています。



今度は実際のバッタの写真に腿節のでっぱり部分を当てはめてみました。腿節は右下の青丸を支点として回転運動します。腿節の各点の動きを黄色の線で示しました。もし、摩擦器が腿節の基部近くにあれば薄い黄色の線の部分を摩擦することになります。腿節内側の中央の筋が高くなる領域を黄色の太い線で表しました。この2本の曲線の間に挟まれた領域に前翅の発音器があればうまく摩擦できるのではと考えました。腿節を同じ角度だけ回転させると、基部ならわずかな距離しか動きませんが、先端では大きく動くので先端側の方が明らかに効率的です。



上の写真とこの翅の写真をうまく重ねて、腿節の支点の位置を決め、同じような黄色の線を引いてみました。黄色の太い領域が腿節内側の筋が高くなっている部分です。そこに前翅の横脈上の突起が顕著な部分(赤丸)を重ねてみました。見事に合致します。



バッタ全身の写真に当てはめるとこの写真のようになります。赤い丸印で示した部分が発音器のあると思われる部分、黄色の太い線分が摩擦器があるだろうと思った場所です。

実際にバッタが音を出しているところを見たことがないので何とも言えないのですが、代わりに次のような論文を見つけました。

O. von Helversen and N. Elsner, "The Stridulatory Movements of Acridid Grasshoppers Recorded with an Opto-electronic Device", J. Comp. Physiol. 122, 53 (1977). 

これはバッタの腿節に光を反射するようなテープをつけ、これに光を当てて、その反射した光の位置変化から腿節の動きを調べ、同時に発音したかどうかを録音で調べたという論文です。微妙な腿節の動きと発音との関係がよく分かる面白い論文です。この論文ではヒナバッタについて実験を行っているのですが、こんな実験をするとよく分かるかもしれないなと思いました。

追記2018/11/20:meg*neu*a*1さんから、「バッタの発音は、♂だけではないでしょうか?」というコメントをいただきました。実は、私もその辺はよく分からなかったのですが、次のサイトにヒナバッタ亜科では♂がcalling songを発音すると、それに答えて♀はresponse songを発音し、やがて両者はduetをして、互いに近づいていくというような記述があったので♀にもあるのかなと思いました。また、検索表にもトノサマバッタ亜科では♂♀が規定されていなかったので、やはりと思って調べてみたら、それらしいものが見つかったというのが実情です。今年はなぜかマダラバッタが山ほどいるので、今度♂を捕まえてきてその違いを調べてみたいと思います。コメント、どうも有難うございました

廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第1037弾

10月11日にマンションの廊下で見つけた虫です。今頃でも探すと結構いますね。とりあえず、蛾だけ報告します。



これはヨツモンマエジロアオシャク



これはたぶん、マエキヒメシャクでしょう。



小さな蛾で下唇鬚が目立ちます。翅端が三角形みたいに尖っています。縁毛が薄色と暗色が交互になっています。それに翅の紋。そんなところに注目して、図鑑を探したのですが、結局、分かりませんでした。



外横線がはっきりしているのでウスキヒメシャクかなと思っています。



野外で花によく来ている蛾です。シロオビノメイガ



これはウスミドリナミシャク



外横線の外側に2個の小黒点があるので、モミジツマキリエダシャクだと思います。今頃見る蛾はずいぶん小さいですね。



これはエゾギクトリバ



そして、ナガハマツトガ



模様がよく分かりませんが、たぶん、ヒメマダラミズメイガ



最後はソトウスグロアツバでした。他の虫は次回に回します。

虫を調べる マダラバッタ(続き)

ちょっと休憩するつもりだったのですが、覚えているうちに書いた方がよいかなと思って、マダラバッタの続きを書いておきます。前回はバッタ科の途中までだったので、その続きです。検索にはやはり

日本直翅類学会編、「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」、北海道大学出版会 (2006).

に載っている検索表を用いました。



この5項目を調べて、マダラバッタ属であることを確かめたいと思います。



⑥はショウリョウバッタを除外する項目なので、これは大丈夫でしょう。⑦はヒナバッタなどを除外する項目の一部です。



次は問題の発音器です。発音器というとコオロギやスズムシなどを思い浮かべますが、普通のバッタにもあるようです。この項目はトノサマバッタ亜科に行くためにどうしても通らなければいけない項目です。対抗するのはヒナバッタ亜科で、こちらはヤスリ状発音器は後腿節の内側にあります。そもそもヤスリ状発音器とはどんなものか分からないので、少し文献を調べてみました。

R. F. Chapman, "The Insects, Structure and Function", 5th ed., Cambridge (2015).

この本には、ヒナバッタの後腿節内側の筋の上にpeg(釘とか杭とか)と呼ばれる小さな突起が並んでいる絵が載っています。

R. E. Snodgrass, "Insects, their Ways and Means of Living", Smithonian Scientific Series Vol. 5 (1930). (ここからダウンロードできます)

一方、Snodgrassの本にはイナゴモドキの翅にあるヤスリ状の発音器の絵が載っています。縦脈にも横脈にも小さな突起が並んでいます。その場所は上の翅の写真でAと書いた脈を指しています。この脈は基部の方へ向かうと消えてしまうので二次脈で、「新訂原色昆虫大図鑑III」の説明によると、「発音脈」と書かれています。そこで、まず、その脈を調べてみました。



これは上の写真で赤丸で囲んだあたりを生物顕微鏡で拡大したと思ったのですが、脈の対応がつかないので、反対側の翅で撮ったようです。ともかく、白矢印が「発音脈」と呼ばれている脈です。鱗のような細かい凸凹はありますが、Snodgrassの絵にあるような突起列ではありません。これで迷ってしまいました。いろいろと文献を探したのですが、ヒナバッタについて書かれている文献は結構あったのですが、トノサマバッタ亜科はおよそ見つかりません。それで、翅の上を手当たりしだい調べてみました。



これは赤四角で囲った部分の実体顕微鏡写真ですが、よくよく見ると、横脈上に規則正しい突起のようなものがあるようなないような。



それで、バッタごと生物顕微鏡のステージに載せ、周辺から光を当て、そのまま翅の部分を拡大してみました。すると小さな突起が並んでいることが分かります。横脈の上でははっきりしていますが、縦脈の上ははっきりしません。後腿節を振動させたとき、むしろ横脈に沿うような形で動くのでこんな構造があるのかもと思っています。調べてみると、翅の先半分には広くこんな構造が分布していました。たぶん、これがヤスリ状発音器ではないかと思うのですが、実際に振動させているところを見たわけではないので何とも言えません。



一方、摩擦器は後腿節内側にあるはずなのですが、実体顕微鏡で見てみるとこんな感じです。3本ほど筋が見られます。どれも可能性があるのですが、最も後半にある筋が最も高くて、表面がぎざぎざしているような感じです。これかなと思ったのですが、これもよく分かりません。この発音器と摩擦器はもう少し調べる必要があるのですが、とりあえず、発音器は翅にあったということにして、次に進みたいと思います。



次は頭頂と額を分ける境界の有無です。この写真はバッタの頭部先端を撮ったもので、バッタが上を向いているような態勢で撮りました。白矢印で示した部分が境界です。これを境として頭頂と額は鋭角をなしています。これで⑧はOKです。この項目はトノサマバッタ亜科のバッタの中で、イナゴモドキ属、ツマグロバッタ属、マダラバッタ属、ヤマトマダラバッタ属を分ける項目です。



次は頭頂両側の窪みですが、白矢印で示したように明瞭な窪みがあります。これで⑨もOKです。窪みがないのがイナゴモドキ属です。



この写真は白矢印で示した部分にイナゴのような黒条がないことを示しています。黒条のあるのがイナゴモドキ属です。



最後は頭頂両側の窪みが四角いことを示す写真です。ここが三角だとヤマトマダラバッタ属になります。発音器の部分でだいぶ苦労したのですが、以上で検索を終わり、マダラバッタ属になりました。日本産マダラバッタ属はマダラバッタ Aiolopus thalassinus tamulasだけなので、一応、マダラバッタでよさそうだということになりました。でも、発音器のところはもう少しほかのバッタでも調べてみる必要があります。

昨日はとりあえず、採集したマダラバッタのうち1匹を片側だけの展翅標本にしました。展足板の上にバッタをひっくり返して固定し、翅の展翅をしました。その後、固定できる脚と触角はピンで固定しました。バッタの展翅は初めてだったのですが、まぁ、何とかできました。内蔵を取っていないので、真っ黒になるかなとちょっと心配ですが・・・。

虫を調べる マダラバッタ

9月22日に家の近くの河原で中学生3人と先生と一緒に虫取りをしました。そのとき、中学生が採集した虫の中に中型のバッタが2匹いました。雰囲気、マダラバッタかなと思ったのですが、名前をちゃんと調べなけりゃと思ってその2匹をもらって冷凍庫に入れておきました。中学生たちは11月4日に開かれる文化祭に虫の展示をすることになっているので、それに間に合うようにと思って、2,3日前から検索をしてみました。途中、発音器と摩擦器がどれか分からず、それにずいぶん時間を費やしてしまいましたが、これかなと思うものが見つかったので、一応、まとめておくことにしました。このバッタの各部の名称は昨日出しましたので、そちらを参照してください。



昨日は横から撮った写真を出したので、今回は背側から撮った写真です。体長は25.8mm。小形ではありますが、そこそこの大きさを持っているので、実体顕微鏡で撮影するときにかえって苦労が多かったです。例えば、翅全体を写そうとするご画面をはみ出すし・・・。それで、一眼レフの写真を併用したり、顕微鏡で場所をずらしながら撮影して、後で合成したりしました。この写真は一眼レフで撮りました。

検索には、

日本直翅類学会編、「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」、北海道大学出版会 (2006).

に載っている検索表を用いました。この検索表は絵解きなので分かりやすい方なのですが、いまいち絵が小さかったり、矢印がどこを指しているのか分からなかったりと苦労することも多かったです。バッタの検索はヒシバッタやイナゴ以外はあまりやったことがないので、今回は亜目、上科あたりから検索をしてみました。



まずは科への検索からです。検索の結果、バッタ科のうち、アカアシホソバッタ亜科、フキバッタ亜科、イナゴ亜科、セグロイナゴ亜科、ショウリョウバッタ亜科ショウリョウバッタモドキ属以外になったので、一部と書いてあります。これを写真で確かめていきたいと思います。今回はだいたいは検索順に見ていきます。



まず体長は6mm以上なので①はOKです。②の産卵管は矢印で示した部分です。ビロード状の毛にも覆われていないので、②もOKです。このビロード状の毛はケラの仲間を指すようです。④も特に問題ないと思います。これはヒシバッタを除外する項目です。



前肢が変わっていないことを示すために腹側から写しました。この項目は前肢、中肢の脛節が広がっているノミバッタを除外する項目です。



触角は25節ではないかと思うのですが、末端部分がさらに分かれているかもしれないので、その場合は26節になります。でも、とにかく30節よりは短いです。従って、③はOKです。この項目はコオロギを除外する項目です。コオロギって触角が長かったのだっけ。



③の胸部腹板の癒着が何を意味しているのか最初よく分かりませんでした。というのは中胸腹板と後胸腹板は何となく区分されているように見えたからです。でも、よく見ると、中胸小胸板などと後胸基胸板は癒着しているので、たぶん、癒着しているといってよいのだと思います。これはやはりコオロギを除外する項目です。⑤の「のどちんこ」は白矢印あたりにある突起を意味しているのですが、これにはありません。でも、先ほど書いたバッタ科の亜科やオンブバッタ科にはあるようです。一度見てみたいです。



次は耳です。写真のように翅の付け根あたりにあります。これが腹部第1節なのかどうかはよく分からないのですが、これに対抗する項目はコオロギで、耳は前脛節か胸にあるとのことなので、たぶん、大丈夫でしょう。



ちょっと拡大してみました。これは鼓膜なのでしょうね。



爪の間に爪間盤があるというのが④です。確かにあります。この項目はヒシバッタを除外する項目の一つです。ヒシバッタにはないのですね。



産卵器は4片に分かれていて、たぶん、この4片を組み合わせて管状にするのではと思いました。生きているときはこんなに広がっていなかったのですが、冷凍庫に入れておいて出したら、少しずつ広がって、ついにはこんな姿になってしまいました。真ん中にある白いのは何だろう。



最後は跗節の数で全部で3節です。これでバッタ科の検索の途中まで到達しました。この後、ショウリョウバッタ、ヒナバッタなど除外してトノサマバッタ亜科に行き、最後にマダラバッタ属に至ります。でも、長くなったので、ここで一休み。

マダラバッタの各部の名称

先日(9/22)、中学生と河原で虫取りをしたのですが、そのときに捕まえたバッタの名前を調べようとだいぶ前からもがいていました。でも、やっと検索ができ、マダラバッタ♀らしいことが確認されました。検索ついでに、バッタの各部の名称も調べてみたので、載せておきます。



調べたのはこんなバッタです。体長は25mmちょっと。中型のバッタという感じです。中学生が捕まえたので、生態写真はありません。捕まえてからずっと冷凍庫に入れておいたのですが、ときどき取り出してきて調べていました。実際に検索をしてみると、検索表のうち、何か所か分からないところがあって、もんもんとしていたのですが、何とかクリアできて、バッタ科トノサマバッタ亜科マダラバッタになりました。



まずは顔です。大きすぎて実体顕微鏡をはみ出してしまうので、かえって苦労しました。各部の名称は、「新訂原色昆虫大図鑑III」を見て書き入れました。



横からです。



それに口の部分を腹側から写しました。



さらに胸の部分の腹側からの写真です。陥入孔とか、骨縫線とか知らない用語が出てきました。





最後は腹部末端の構造です。これは♀みたいなのですが、「大図鑑」の絵が小さくて細部まではよく分かりません。それで、昔の本なのですが、次の本を参考にしました。

R. E. Snodgrass, "The Abdominal Mechanism of a Grasshopper", Smithsonian Miscellaneous Collections Vol. 94, No. 6 (1935). (ここからダウンロードできます)

私はSnodgrass氏の"Principles of Insect Morphology"(1935)という本をよく参考にさせていただくのですが、実に多くの本を書かれているので感心しました。もともと産卵管はこんなに開いていなかったのですが、冷凍庫から取り出したら、次第に広がってこんな格好になってしまいました。見よう見まねで名前を付けたので、間違っているかもしれません。



次は翅の翅脈です。以前、イボバッタの翅脈を調べたことがあったのですが、バッタの翅脈の名前にはいつも苦労します。「大図鑑」にも少しだけ載っているのですが、知りたい部分が載っていません。イボバッタの時はいくつか最近の論文を見たのですが、どうもしっくりとこないので、結局、自分なりに名前を付けてしまいました。今回もそうしようかと思ったのですが、Snodgrass氏の別の本に載っていたので、そちらを採用させていただくことにしました。

R. E. Snodgrass, "The Thoracic Mechanism of a Grasshopper, and its Antecedents", Smithsonian Miscellaneous Collections Vol. 82, No. 2 (1929). (ここからダウンロードできます)

この方はすごいですね。いろいろな虫について詳しく調べておられて。私など足元にも及びません。



これは前翅の基部です。翅脈に名前を付けるときにはまず基部を見ます。それから、C、Sc、R、Aの各脈の基部を見つけます。MとCu脈はRとA脈で挟まれたmedian plate (mとm') というところに起源にもつので、前側をM脈、後ろ側がCu脈というようにします。私も詳しくないので、はっきりとは書けないのですが、以前、ハエの翅脈で勉強をしたことがあったので、そちらの記事も参照して下さい。ただ、バッタの場合は二次脈が多くて、それでややこしくなっています。とりあえず名前をつけたものが上の写真です。M脈が途中からR脈とほとんど重なるようにして走っています。



これはもう少し広い範囲で見たもの。



さらに翅端側です。MとCuをどのように当てはめるかは議論が多いようで、それで「大図鑑」にはその辺りがぼかして書かれているのだと思います。



次は後翅です。これもSnodgrass氏の本を参考にしました。R+Mと書いた部分はたぶん、二つの脈が合流しているというのではなく、二つの脈が平行に走っているのではと勝手に思っています。



これはもう少し広い範囲で写したものです。i とj と書いた脈は二次脈という解釈の様です。というのはこの写真では i 脈が山になっていなくて、k 脈と共に斜面に存在するからではないかと思いました。A脈は基本的に山になるという原則を考えると妥当なのですが、この辺りの解釈は「大図鑑」とは異なっているようです。

ということで、検索の前に各部の名称をつけてみました。実は、この作業が一番大変です。でも、勉強だと思ってやってみました。

家の近くのむし探検 甲虫、蛾ほか

家の近くのむし探検 第438弾

10月8日にいつもの道路脇の茂みで探した虫の続きです。



まずは道路脇に行く前にマンションの廊下で見つけた虫です。種名までは分からないのですが、マツノシラホシゾウムシの仲間です。



それにウスベニコヤガです。



道路脇に着いて、すぐにがさっと音がして足元の枯葉の中を何かが動きました。すぐに枯葉をのけたらこんなコオロギがいました。オカメコオロギ類の♂です。本州産のオカメコオロギ類にはハラオカメ、タンボオカメ、モリオカメがいて、なかなか見分けが付きません。♂にはいくつか違いが見られるのでちょっと調べてみました。

松浦一郎、「日本産オカメコオロギ属(Loxoblemmus: Orthoptera) 近似種の分類」、New Entomol. 37, 17 (1988).

この論文がハラオカメとモリオカメの記載論文になっています。この論文の中で、オカメコオロギ類は、①♂の前翅末端の網状部、②若齢幼虫の触角の白色部の有無、③鳴き声の特徴で見分けられるとされていて、♀では識別点はないということです。幸い、これは♂なので、この写真から前翅末端の網状部を調べてみることにしました。論文の前翅末端に関する記述ではそれぞれ次のようになっています。

ハラオカメ:前翅末端は丸みを帯びていて、網状脈のところは短い
タンボオカメ:前翅の先端網状部は短く、ハラオカメに比べてやや丸みを帯びている
モリオカメ:前翅の末端網状部はとがっている



この写真を見る限り、前翅末端は尖っていて、網状部は論文の絵のように広くなっています。これからだけで判断すると、これはモリオカメコオロギかなと思いました。よく分かりませんが・・・。



次はクモです。何かを捕まえていますが、後体節腹面の模様からシロカネグモ類の♀のようです。折角、「日本産クモ類」を買ったので、調べてみようと思ってちょっとだけ見てみました。


写真のピントが一部しかあっていなかったので、2枚の写真をくっつけています。各部の名称を書き入れようと思ったのですが、気門を始めとしてよく分からないところが沢山あります。とりあえず、外雌器で区別できるということなので、その部分を拡大してみました。



あ~ぁ、これでは何が何だか分かりません。外雌器の絵は、昔、古本屋で買った「原色日本蜘蛛類大図鑑」(保育社、1968)の方が分かりやすいのですが、それでもこれでは駄目です。何となくチュウガタシロカネグモに似ているような感じですが・・・。クモは前途多難です。



これは、刈田敏、「フライフィッシャーのための水生昆虫小宇宙PartI」の写真と比べてみると、シロタニガワカゲロウ♀とよく似ています。





写真を撮った時は共にギンバネヒメシャクだろうと思ったのですが、後で見てみると、翅の色がやや茶色っぽいし、翅形もちょっと違うような気がしてきました。でも、斑紋を見る限りはギンバネみたいなので、やはりギンバネヒメシャクかなと思っています。



これはツマグロキンバエ



ササキリ♀。



たぶん、ヤドリバエです。実は、この日は先日見たヤドリバエの採集が主目的でした。というのは、フトツリアブさんに、ヤドリバエ科の検索表を教えてもらったからです。この検索表は検索項目が549もあって、挑戦することさえ恐ろしいものだったのですが、その時に候補として教えていただいたThelaira属が実は14項目で到達でき、全部で7項目を調べればよいだけなので、何とかなるかなと思ったからです。でも、この日はこのハエだけで、肝心のハエはいませんでした。



これはハグロハバチだと思われます。ハグロハバチは以前調べたことがあって、その時の写真と見比べながら調べてみたら、たぶん、同じだろうと思いました。



これはワキグロサツマノミダマシ



それにハムシダマシ



道路脇の茂みを離れ、川の土手に行ってみました。アリがせわしなく動き回っているのですが、それに交じってこんなコバチの仲間も動き回っていました。ちっとも止まってくれないのではっきりとは写りませんでしたが・・・。





それにイボバッタ。そういえば、この間、中学生が捕まえたマダラバッタの検索が残っているなぁ。発音器と摩擦器がどれだかよく分からなくて止まっています。

家の近くのむし探検 花と虫

家の近くのむし探検 第436弾

最近はよい天気が続いてますね。でも、連休はどこに行っても混んでいるので、昨日はいつもの道路脇の茂みで虫の撮影をしました。でも、思ったほど虫がいません。それで、花もちょっと。その花の方の写真整理が終わったので、先に出します。



目立たない花ですが、チヂミザサの花が咲いていたのでパチリ。毛のようなものは柱頭です。



黄色いのは花粉を出し終えた葯です。小さな花もちょっと大きく撮ると何となく面白いですね。



これは赤いミズヒキの花。



河原にはアサガオの仲間が咲いていました。いつも、ホシアサガオなのか、マメアサガオなのか迷ってしまいます。「日本の野生植物III」には検索表が、長田武正氏の「日本帰化植物圖鑑」には違いが書かれていました。それらを総合すると、

①マメは果実が扁球形で上部に長い毛が散生するが、ホシはやや縦長の球形で無毛または上半部に短い毛を散生
②マメは花柄にいぼ状突起を密生するが、ホシは一部に散生するのみ
③マメは1花枝に1-3花だが、ホシは3-8花
④マメの花枝はふつう葉よりも短いが、ホシでは長い

という違いがあるようです。長田氏によると、このうち①と②が最も重要で、③と④は参考になるとのことです。まだ果実はできていないので、②の花柄のいぼ状突起を見てみました。



この部分です。ここを拡大してみます。



こんな風にいぼ状突起が密生していました。花の数も1花だし、マメアサガオの可能性が高いですね。



花の最後はマルバルコウです。これもあちこちで咲いていました。

ついでに花に来ていた虫も出しておきます。





シロバナセンダングサの花に来ていたのはヒメハラナガツチバチ







コセンダングサの花にはオオハナアブ。複眼の模様が面白いので何枚も撮りました。



こちらはキゴシハナアブ。この複眼の模様はもっと面白いですね。道路脇の茂みで見つけた虫は次回に回します。

廊下のむし探検 カメムシほか

廊下のむし探検 第1036弾

足の指にひびが入ってから2週間になるのですが、まだ、ちょっと腫れています。それで、あまり虫探しには出かけていません。でも、いよいよネタがなくなったので、6日に1フロアだけ「廊下のむし探検」をしました。虫はほとんどいなかったのですが、カメムシがちょっとだけいました。



今頃になるとカメムシが多くなりますね。これはミナミトゲヘリカメムシ



昨年はこのツヤアオカメムシが大発生したのですが、今年も昨年ほどではないですが、たくさんいます。



横からしか撮れなかったのですが、マツヘリカメムシです。これも最近増えてきましたね。





最後のこのハチ。名前が分からなかったので、「学研生物図鑑昆虫III」で探してみると、ちょっと似たような種が見つかりました。ムネアカツヤコマユバチ Zombrus bicolorです。その名でネット検索をしてみると、何となく似ている感じです。ただ、後体節の色が少し違うので、この近傍のハチかなと思って、いつも利用させていただいている"Information station of Parasitoid wasps"のコマユバチ科オナガコマユバチ亜科のリストを見てみました。Zombrus属には Zombrus bicolor1種だけが記録されています。そこで、少し文献を探してみました。

S. A. Belokobylskij and K. G. Samartsev, "First records of the tribe Holcobraconini and the genus Zombrus Marshall, 1897 (Hymenoptera: Braconidae: Doryctinae) in Europe", Zoosystematica Rossica 20, 310 (2011). (ここからダウンロードできます)

この論文にはヨーロッパ産についてですが、Zombrus属とZombrus bicolorの再記載が載っていました。後体節の色に関しては暗赤褐色から黒色まで変化があるようです。検索表も載っているので、採集していたら調べられたのにとちょっと後悔です。

虫を調べる セグロカブラハバチ

10月2日にいつもの道路脇の茂みで捕まえたハバチがあったのでそれを調べてみました。



こんなハチです。ハバチも久しぶりなので、一度、検索をしてみようと思ったのです。検索には次の本を用いました。

吉田浩史、「大阪府のハバチ・キバチ類」西日本ハチ研究会 (2006).

これはブログを始めるだいぶ前にハチも調べてみようと思って買ったのですが、どうやって使ったらよいのか分からず、そのままになっていました。でも、ブログを始めて検索をやり始めてみると、実に有用な本でした。ともかく、大阪府と限定されているところが特にいいです。まずは科の検索からです。



これはハバチ亜目の科の検索表から必要な部分だけを抜き出したものです。このハチはハバチ科になったのですが、それを確かめるためには上の8項目を見ればよいことになります。これを写真で確かめていきたいと思います。



まずは横からの写真です。背側から見たときはそれほど綺麗だとは思わなかったのですが、横から見ると橙黄色が実に鮮やかです。体長は6.0mmでした。後で触角を拡大した写真はお見せしますが、この写真では触角第3節が特に異常ではない点、それに触角が糸状であることを見ます。



次は頭部の拡大です。頭盾は矢印で示した部分ですが、このすぐ上に触角基部があります。また、頭盾ははっきりした区切りで顔面から区別されています。そのすぐ上にある左右二つの黒い点はたぶん、anterior tentorial pit (at)と呼ばれる、昆虫の頭蓋を支えるつっかえ棒が前面を支える部分になるのではと思います(詳細はこちら)。頭盾と前額はこのatというpit(孔)で区切られるはずなので、まさにその通りになっています。



前胸背板は両脇に見えている橙黄色の部分で、中央部は中胸背板が発達しているので、その分、大きく凹んでいます。中胸背板は前後で分割されていないので⑦はOKです。中胸背板は黒い部分ですが後ろがどこまで伸びているのかというところで少し迷ってしまいました。これについては以前、少し書いたのでそちらをご覧ください。いずれにしても、ここで示した範囲はいい加減です。



最後は腹部末端の構造です。これが♂なのか♀なのかよく分からなかったのですが、次のカナダの本に載っている絵と比較すると、これは♀で、"ovipositor sheath"と書いたところが産卵管鞘だと思われます。

H. Goulet, "The genera and subgenera of the sawflies of Canada and Alaska: Hymenoptera: Symphyta", Insects and Arachnids of Canada Handbook Series Part 20 (1992). (ここからダウンロードできます)

従って、⑧もOKだと思われます。ということで、すべての項目をチェックしたので、ハバチ科は大丈夫でしょう。

次は亜科、属、種の検索です。これらはいずれもすぐに目的地に達することができたので、まとめて調べることにします。



この7項目を調べることで、このハチはセグロカブラハバチだろうということが分かります。これも写真で確かめていきます。



項目の中では翅脈に関するものが多いので、復習のためにまとめておきました。翅脈の名称の付け方は虫の種類によってそれぞれ流儀があるので、それに従うことにします。これは先ほどのカナダの本に載っていたものを参考にしました。ところで、こういう一般的な名称の他にハチ独特の呼び方があり、検索表ではそれを用いているので、それも書いておきます。これについてもだいぶ前に書いたことがあるので、そちらを参照してください。



ついでに調べなければならない項目も書いておきました。全部で5項目あります。⑨の基脈と肘脈が一点で交わるかどうかというのは亜科を調べるときに重要な項目で、生態写真を撮るときもできるだけそれが分かるように翅を撮っています。この2本の脈が離れていればハバチ亜科になるのですが、意外に微妙な場合もあって、以前、悩んだことがありました(こちらをご覧ください)。次の⑩はシダハバチ亜科を除外する項目です。次の⑪はヒゲナガハバチ亜科を除外する項目ですが、ヒゲナガハバチ亜科は⑨で基脈と肘脈が離れるので、いつも悩んでしまう亜科です。⑫はハグロハバチ亜科を除外する項目です。⑬の肛室は面白い翅室で亜科によっては左側の翅室がなくなったりすることもあって非常に変化があります。この個体の場合は左右の翅室が揃っているので完全です。



触角は全部で10節でした。第3節がちょっと長いですが、特に異常に長いということはありません。



中胸背板の色はかなり個体変異があります。これは全体が真っ黒なので、特に問題はないのですが、左右が橙黄色の個体もよく見かけます。これですべての項目をチェックしたので、たぶん、セグロカブラハバチ♀で間違いないのではという結論になりました。



脚の色も特徴の一つとしてよく出てくるので、一応、中脚と後脚を写しておきました。脛節と跗節各節の末端部が暗色になっていました。

虫を調べる ニレハムシ?(続き)

昨日の続きでニレハムシではないかと思われる個体の検索です。昨日は属までの検索だったので、今日は種までの検索を試みます。



対象とするのはこんなハムシで、10月2日に家の近くで捕まえました。体長は6.2mm。小さいなと思ったのですが、これが属するケブカハムシ属 Pyrrhaltaにはもっと小さなハムシも多いので、中間的な大きさみたいです。昨日は次の本に載っている検索表で調べました

木元新作、滝沢春雄、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」、東海大学出版会 (1994)

その結果、ヒゲナガハムシ亜科ケブカハムシ属になりました。今日はその続きで種の検索です。この本には種の検索表も載っているでそれに従って調べていきました。



これは検索表のうち、必要な部分だけを抜き出したものです。番号は昨日の続き番号になっています。実は、⑨で引っ掛かってしまいました。それで、とりあえず、⑧を調べてみます。



⑧は触角末端節近くでの節の長さと幅の比に関するものです。実際に8~10節で測ってみると、この図に示すように2倍よりは少し小さい値に落ち着きました。従って、⑧はOKです。この性質はサンゴジュハムシなどとニレハムシを区別するときに有用な項目で、生態写真でも容易に分かります。以前、サンゴジュハムシで測ったことがあるので、詳しくはそちらを見てください。



⑨は上翅側縁に沿って隆起条があるかどうかです。その部分を拡大してみました。



別の角度からもう一枚。上翅が縁で折れ曲がった部分が上翅側片なので、その境目が側縁になります。私は最初、「細い隆起条」というのは側縁に沿った上翅側にある隆起条だと思っていたので、この写真からそんなものはないなと思って検索を進めていきました。でも、ふと、側縁を見ると細い隆起条があります。ひょっとしてこのことかなと思ってしまいました。でも、側縁だからどのハムシでもあるかもしれないと思って、手元にあるPyrrhalta属の標本を探してみました。標本、あまり作っていなかったですね。ニレハムシらしい4匹とサンゴジュハムシ2匹しかありませんでした。サンゴジュハムシは確かに同じような側縁を持っているのですが、隆起条の有無で分けている種ではありません。

こうやって迷い始めるとすべてが怪しく見えてくるものです。とりあえず、隆起条があるという方に進んでみます。



上翅側片はこの写真のように3/4は越えているので、⑪に進みます。体腹面はこの写真のように黒です。そうなると、オオサクラケブカハムシになってしまいます。



でも、前胸後縁角は黒矢印で示すように強く裁断されていません。それで、文献を探すと、オオサクラケブカハムシの記載論文が見つかりました。

M. Chujo, "Description of a new chrysomelid-beetle from Japan", Kontyu 18, 29 (1950). (ここからダウンロードできます)

この論文の中で、オオサクラケブカハムシはLochmaea (Tricholochmaea) takeiiとして記載されているのですが、現在ではPyrrhalta takeiiとなっています。この論文には絵も載っているのですが、どう見ても前胸背板の形が違います。それで、もう一度、⑨に戻りました。この論文では、上翅側縁に関して、"the latero-marginal areae narrowly rimed, impunctuate, smooth and glabrous"と書かれています。つまり、「(上翅)側縁領域は狭く縁取られ、無点刻で平滑」という意味です。これはまさに上の写真のような縁のことを言っているのかと思って混迷を深くしました。

S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. VI Subfamily Galerucinae I", J. Fac. Agriculture, Kyushu Univ. 13, 287 (1964). (ここからダウンロードできます)

Kimoto氏のこの論文では検索表は英文になっていて、"Lateral margin of elytra with a distinct longitudinal convexity which is extending to apex"となっています。つまり、「上翅側縁には先端まで伸びる明瞭な縦のconvexityがある」という意味です。このconvexityはリーダーズ英和辞典によれば、凸状、凸面(体)という意味です。日本語の検索表にあるような「細い隆起条」というニュアンスとはかなり違っています。

迷いに迷ったのですが、最終的には次のように判断しました。過去に撮った写真を探してみると、隆起条のあるとされているアカタデハムシの写真が見つかりました。



検索はしなかったのですが、外観からアカタデハムシだろうと思っている個体です。この上翅側縁を見てみます。



側縁に沿って黒矢印で示した部分が膨らんでいることが分かります。



一方、今回採集した個体は黒矢印のようにその部分が凹んでいます。たぶん、このことかもしれないと思ったのですが、今度、アカタデハムシを採集したときの宿題として残しておこうかなと思っています。



とりあえず、隆起条のない方を選ぶと、⑫は触角の第3と第4節の長さ比較です。これも実際に測ってみました。わずかに第4節が長いことが分かります。



さらに、色と斑紋に関するもので、これは大丈夫でしょう。ということで、問題の「隆起条」の部分さえクリアできれば無事にニレハムシに進むことができます。アカタデハムシを早く調べてみたい気分ですが、これまで2回ほどしか見つけていないので、いつのことになるやら。



最後は脚の爪の拡大です。爪にはこんな歯がありました。

今年の冬は冷凍庫に入れてある試料を調べていこうと思っているのですが、ハムシはなかなか難しいですね。でも、一歩一歩進んでいきたいなと思っています。

虫を調べる ニレハムシ?

先日、家の中で足の指をぶつけてしまい、どうやらひびが入ったみたいなので、この2週間ほどは大人しくしておこうと思って、あまり外での撮影には行っていません。それで、ネタがなくなってしまいました。仕方ないので、先日捕まえたハムシの検索をしてみることにしました。



これは10月2日にいつもの道路脇の茂みで見つけたハムシです。たぶん、ニレハムシだと思うのですが、ニレハムシは以前にも検索をしてもやもやで終わった経験があるので、今回は再挑戦になります。実は、今度も種の検索ではかなりつまづいてしまいました。その辺りは次回に詳しく書くとして、とりあえず属の検索までをやってみたいと思います。



まずは背側からの写真です。体長を測ってみると、6.2mmありました。



木元新作、滝沢春雄、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」、東海大学出版会 (1994)

に載っているヒゲナガハムシ亜科の属への検索表で、ニレハムシが含まれるケブカハムシ属に行くには上の7項目を確かめればよいのです。これを写真で確かめていこうと思います。いつものように検索順ではなしに部位別です。



まずは頭部です。触角の基部が接近しているというのはヒゲナガハムシ亜科の特徴だったと思うのですが、そうでないのもこの亜科には含まれているのかな。いずれにしても②の前半は大丈夫でしょう。



この写真からは頭部も胸部も点刻で覆われていることが分かります。



体の剛毛を写すために少し斜めから写してみました。全体に剛毛は密生しています。



前胸背板側面が丸く飛び出しているところ(黒矢印)を写したものです。これで⑥はOKでしょう。



前胸背板前縁角にある剛毛を写すために、全体に暗くして撮影しました。片側に1本ずつ生えていることが分かります。



その部分を拡大してみました。確かに1本ですね。



これは腹側から写したものです。前肢基節は矢印で示した部分ですが、その後方には囲いはなくて開いています。これが③の意味です。



次は①です。後胸腹板が中肢基節の間に出ている突起はむしろ下側に伸びているので、中胸腹板を覆うことはありません。



上翅の側縁の下側を上翅側片と言いますが、この個体の場合、黒矢印辺りまで伸びています。これで⑥はOKだと思われます。



最後は腹部第5節末端中央の凹みです。ここが三角形に裁断されていると♂だというのですが、この写真はそれかなと思いました。だとすると、この個体は♂になります。

これで、属への検索はすべて確認したので、ケブカハムシ属というのは間違いないでしょう。種の検索にはだいぶ問題があって、これは次回に回します。

家の近くのむし探検 甲虫、ハエなど

家の近くのむし探検 第435弾

10月2日にいつもの道路脇の茂みへ虫探しにいきました。そのときに見た虫です。



まず、出かける前にマンションの廊下でこんなコガネを見つけました。





検索のときに要るかなと思って、腹部と頭盾も写しておきました。「日本産コガネムシ上科標準図鑑」を見ると、属の検索には上唇や前脛節を見なくてはいけなくて、やはり採集しておく必要があったようです。で、結局、絵合わせでアオドウガネかなと思いました。







ヤドリバエが獲物を探して2-3匹、うろちょろしています。腹部に特徴のあるハエなのですが、ヤドリバエはどうやって調べたらよいやら。(追記2018/11/20:フトツリアブさんから、「ヤドリバエの同定は難しいです.なんとなく,Thelaira nigripesに似ているような気がします.」というコメントをいただくとともに、旧北区のヤドリバエの属の検索表を教えていただきました。しかし、これは猛烈な検索表ですね。全部で549項目もありました。まずはだいたい分かっている種で何回か試してみないと、必ず迷子になってしまうでしょうね。ヤドリバエ、大変ですね



カラムシの葉を食しているのは誰でしょう。「原色日本蛾類幼虫図鑑」をぱらぱら見てみると、ヤガ科のクロキシタアツバあたりが似ている感じです。イラクサ科が食草だし・・・。



こちらはアミダテントウ。時々見ます。



ササキリが成虫になっていました。



頭部をちょっと拡大。



アオバハゴロモもいました。



近くを見ると、結構、たくさんいます。



葉の上をせわしなく動き回るハエ。えいやっと写すのですが、やはりぶれていますね。採集できなかったので、よく分かりません。



これは何の蛹でしょうね。



ヒメシャクはよく分からないのですが、これはマエキヒメシャクかなと思っています。





これはたぶん、ヒメバチの仲間でしょうね。ヒメバチも今のところお手上げです。



これは採集して調べてみました。ハバチ科のセグロカブラハバチでした。まだ、ちゃんと検索をしたことがなかったので、一応、各部の写真を撮りました。今度載せます。



これはテントウムシのような格好ですが、キボシマルウンカ



チャバネヒメクロバエです。これについては以前、調べたことがあります。縄張りを張っているのか、いつもある一定距離をおいて止まっているのですが、



こんなに近くに2匹止まっていることもありました。



この仲間にも似たのが多いので、採集して検索してみました。やはりニレハムシでした。これも写真を撮ったので、今度載せます。



最後はワキグロサツマノミダマシ

雑談)食事をしていると、よく小バエがうろうろしてうるさいことがあります。いつもだったらたたいて潰してしまうのですが、「一寸のハエにも・・・」だからと思って吸虫管で採集しました。



こんなハエでした。体長2.9mm。



そのまま見ると何の変哲もないハエなのですが、頭部を拡大するとこんなM字マークがあります。どこかで見たなというかすかな記憶もあったのですが、とにかく検索をと思って検索してみました。でも、何度やっても変なところにたどり着いてうまくいきません。いい加減、嫌になったときに過去の写真を見てみようと思って以前のブログを見ていたら、同じようなM字マークを持ったハエを調べていました。その時はきちんと科の検索を行い、シロガネコバエ科だとしていました。今回は何が違ったかというと、翅の前縁にあるh切目を見落としていた点でした。その時は属の検索をして、さらには種まで推定していました。たぶん、その時と同じだと思われるので、今回もミナミクロコバエ Desmometopa micropsではないかと思っています。それにしても、以前はちゃんと調べてたなとちょっとびっくり。最近、腕が落ちたのかなぁ。

虫を調べる ミドリイエバエ?(続き)

昨日の続きでミドリイエバエらしいハエの検索をしてみました。昨日は科、亜科、属の検索を行い、イエバエ科イエバエ亜科ミドリイエバエ属になったのですが、今日はその続きで種の検索です。種の検索では刺毛についての項目があるので、思い出すためにもう一度刺毛に名前を付けてみました。










深度合成を使った顕微鏡写真では刺毛がうまく写らないことが多いので、いろいろな方向から撮影して総合的に判断することにしています。略号は次の通りです。



略号は流儀があるのか、人によっても異なるのですが、今回のものは篠永哲氏の「日本のイエバエ科」(東海大学出版会、2003)と大石久志、村山茂樹、「日本産イエバエの同定」、はなあぶ No. 37, 100 (2014)に載っているものを用いました。また、英語名と和名は「新訂原色昆虫大図鑑III」に載っている名称を用いました。写真の中でipaと書いた刺毛を何と呼ぶのかよく分からなかったのですが、MNDを見ると、intrapostalar setaと書かれているので、それを略してipaとしておきました。

気になったのは「A」と書いた刺毛です。これについては大石氏らの論文に書かれているのですが、イエバエ科とクロバエ科では呼び方が異なるとのことでした。イエバエ科ではこの刺毛をia系列の横線前刺毛と考えるのですが、クロバエではsa系列の横線前刺毛と考え、これをprsと書くとのことでした(これについて以前も書きましたのでそちらを参照してください)。今回もその方針に従おうと思ったのですが、実際に横線後のiaと線を結ぶとdcなどとはかなりずれてしまい、相当に斜めになってしまいます。それで本当にそれでよいのかとちょっと不安に思っています。「日本のイエバエ科」に載っている記述との比較は後で行います。

それでは、種の検索を行います。種の検索は「日本のイエバエ科」に載っている検索表を用いました。



この3項目を調べることにより、ミドリイエバエであることが確認できます。それを写真で見ていきます。



正中剛毛はac、背中剛毛はdcのことです。横線前にはacはなく、dcは2対あります。従って、⑬も⑭もOKです。この条件だけで6種記録されているミドリイエバエ属のうち、3種に限定することができます。



頬は白矢印の部分ですが、間違いなく黒です。



さらに、M1+2脈はゆるく前方に湾曲しているようです。相対的な表現なのでこの写真だけでは分かりませんが・・・。ということで、3項目をすべて確認したので、たぶん、ミドリイエバエ Neomyia timorensisだろうということになりました。刺毛配列だけで幾分でも候補を絞ることができるだと知ってちょっと驚きました。

「日本のイエバエ科」には種の説明が載っていて、そこに、胸部の刺毛についても具体的な数字が載っています。ミドリイエバエのデータと今回の個体で調べたものを比較してみました。



ほとんどがよく合っているのですが、赤字で書いたところが違っていました。まずはiaについてです。〇+〇というのは横線前と後の刺毛の数を表しています。本には0+1となっているのですが、先ほどのAの刺毛をia系列に入れると1+1になります。あるいは、本ではこれをprsとして、それを書き落したのかもしれませんが・・・。次のsaが2本か1本かというのは個体差ではないかと思いました。というのは、小さな毛を刺毛として数えるかどうかというのは多分に主観的なところがあるような気がしたからです。ipaと書いた刺毛については本には触れていないようで、これをpabに含ませてよいもののかどうか迷ってしまいました。刺毛もなかなか難しいですね。でも、分類に役立つということであれば、もう少し勉強する必要があるなと思いました。

虫を調べる ミドリイエバエ?

先月16日にいつも行く道路脇の茂みで虫を探していたら、こんなハエを見つけました。



緑色の綺麗なハエです。てっきりキンバエの仲間だと思いました。最近、キンバエは少し調べられるようになったので、早速、採集しました。しばらく毒瓶に入れっぱなしだったのですが、最近、取り出して観察してみました。でも、どうも変です。キンバエはクロバエ科に入っていて、普通、中副基節というところに剛毛列があるのですが、これにはありません。あれっと思って科の検索をしてみると、どうやらイエバエ科みたいです。それで、篠永哲氏の「日本のイエバエ科」(東海大学出版会、2003)の図版を見てみると、緑色でこんな風に光沢のある種がいました。ミドリイエバエの仲間です。それで、一度、ちゃんと調べてみようと思って、科、亜科、属、種の検索をしてみました。その結果、予想通り、ミドリイエバエ Nomyia timorensis に到達しました。間違っているかもしれませんが、一応、記録のために検索の過程を書いておくことにします。





イエバエ科の検索には様々な部位の名称が出てくるので、まず最初にまとめておくことにしました。刺毛も出てくるのですが、それは後でまとめてみることにします。これはハエの胸部側面とその拡大です。略号の意味は次の表のとおりです。



英語と日本語の名称は「新訂原色昆虫大図鑑III」(以後、「大図鑑」と略します)に依っています。「大図鑑」にも書かれていますが、文献によって名称がかなり違っています。それで、今回は「大図鑑」に載っている名称に統一することにしました。略称は基本的に英語名の頭文字を使うことにしました。従って、あまり一般的でない略称が並んでいると思いますので、ご了承下さい。後から出てきますが、ここでちょっと問題になるなと思ったのは、中副基節(mm)と中胸下後側板(mkem)です。上の写真のように両者ははっきりした溝で分かれていません。このことについては、「大図鑑」にも書かれていますが、短角類の一部では両者は融合し副基節側板を構成するとあるので、この場合もそれに該当するのではと思いました。その場合は「大図鑑」にもある通り、中胸下後側板+中副基節と書くべきだと思ったのですが、検索表では別々に出てくるので、とりあえず分けて書いておきました。



まずは科の検索です。これには、「大図鑑」に載っている検索表を用いました。有弁翅類から始めると、上の4項目を確かめることでイエバエ科であることが分かります。これを写真で見ていきたいと思います。



まず、体長は5.9mmでした。測ってみると意外に小さなハエでした。複眼の周辺が白くなっているのは乾燥のためです。虫をノンアセトンタイプのエナメルリムーバーの入った毒瓶に入れておくと、含まれている水分のために長時間乾燥せずに保管することができますが、外に取り出すと次第に乾燥するので、こんな風に白っぽくなってきたのではと思います。あまり乾燥する前に、さっさと写真を撮って、再び、毒瓶の中に保存しておくと、少なくとも1-2か月はそのままの状態で置いておけます。この写真では口器が発達していることを見ます。



次は先ほども出した胸部側面の写真です。中副基節(mm)にクロバエ科やニクバエ科などに見られるような剛毛列はありません。最初、これを見てびっくりしたのです。実は、無毛ではなく、弱い毛が若干生えていますが、これについては後でお見せします。



次は翅脈です。翅の中央部分に縦脈に垂直に筋があるのは翅を固定するためにガラスを置いたためです。翅脈の名称も文献によりまちまちなのですが、ここでは「大図鑑」の方式を採用しました。私は以前、三枝氏の論文を読んで、ハエの翅脈の勉強をしました(ここから4回のシリーズで勉強した内容が書かれています)。これを読んでから、私はすっかり三枝氏の説のファンになりました。でも、文献を見る限り、世界的にはそれほど受け入れられていないような印象です。残念ですが・・・。ここではCu融合脈(CuA+CuP)が翅縁に達していないこと(矢印)とA1の仮想延長線がCu融合脈の仮想延長線と交わらないことを見ます。これで、検索項目はすべて確かめたので、たぶん、イエバエ科は間違いないのではと思います。



次は亜科の検索です。イエバエ科の亜科の検索は以前までは篠永哲氏の「日本のイエバエ科」に載っている検索表を用いていたのですが、どうもうまくいかなくて困っていました。そんな時に次の論文を見つけました。

大石久志、村山茂樹、「日本産イエバエの同定」、はなあぶ No. 37, 100 (2014).

早速、「はなあぶ」を購入しました。この論文は、「日本のイエバエ科」を多くの人に使ってもらえるようにと手引書をつくることに主眼を置いたもので、大変含蓄のある内容です。この中に載っている検索表を用いると、うまく亜科の検索ができるようになりました。このハエも検索を行ってみると、イエバエ亜科になりました。詳しく言うと、イエバエ亜科の中のMuscaの一部、Eudasyphora、Neomyia、Stomoxysの各属になります。次に属の検索をするときは、「日本のイエバエ科」を用いたので、若干の検索項目の重複がありますが、ご了承ください。ともかく、上の2項目を調べることで、イエバエ亜科であることが分かります。これも写真で見ていきます。



これも最初に載せた写真と同じです。下後側板はmkemと書いた部分だと思われますが、中副基節との境界がはっきりしないので、たぶん、ここは下後側板+中副基節と書いておいた方がよいのではと思ったところです。ここには白矢印で示すように少数の弱い刺毛が見られます。これで⑤はOKとしました。⑥の上後側板はmaemと書いた部分です。この部分には黒矢印で示すように明瞭に多数の刺毛が見られます。これで⑥もOKとしました。



次は翅脈でM1+2は前方に曲がっています(黒矢印)。これで、⑤の後半もOKです。ということで、イエバエ亜科まで到達しました。

次は属の検索です。これには「日本のイエバエ科」の検索表を用いました。この本では日本語と英語の検索表が載っていて、結構、両者の内容が違っていることがあるのですが、今回はほぼ同じなので、日本語の検索表の方を用いました。



属の検索ではこの6項目を調べることでミドリイエバエ属であることが確かめられます。これも写真で見ていきます。



これは⑦、⑫の検索を確かめる写真です。写真の上側が胸部、下側が翅になっています。下部鱗弁というのは基覆弁のことで、幅の広い鱗弁が胸部側面に沿ってついていることが分かります。また、その付け根の部分に剛毛の生えた上肋部(黒矢印)があります。これで⑦と⑫はOKにしました。



翅側板は上後側板のことで、これについてはすでに確かめました。



翅脈についてもすでに確認済みです。



これは小盾板を写したものですが、長い刺毛が3対見られます(白矢印)。これで、⑨もOKです。



⑩は色に関するもので、これは大丈夫です。複眼の白い部分がだいぶ広がってきました。早く、撮影を終えないと・・・。



これは翅脈のうち、R1脈を拡大して写したものです。写真で見る限り、背面には剛毛などはありません。ということで、一応、すべての項目を確認したので、ミドリイエバエ属の可能性が高くなりました。次は種の検索ですが、ここでは胸部の刺毛について出てくるので、そのまとめを含めて次回に回します。

家の近くのむし探検 植物、鳥など

家の近くのむし探検 第434弾

ブログに出すネタがなくなったので、昨日、いつもの道路わきの茂みに虫探しに行きました。虫の方はまだ整理がついていないので、その他の写真から先に出しておきます。



最初はこの植物です。ちょっと花を拡大してみます。



こんな感じでした。たしか蕚裂片を見ると名前が分かるのでしたね。



蕚裂片が鈍頭なので、たぶん、ヒメジソでしょうね。





川を見たら白いサギが3羽いました。ちょっと小さい感じだったので写真に撮ったのですが、やはりダイサギでしょうね。





ダイサギのすぐ脇にはカワウがいました。



歩いていたら、すぐ近くにミヤマアカネが止まりました。そういえば、先日の観察会で、兵庫県川西市にはミヤマアカネがほとんどいないと聞いたのですが、この辺では今頃もっとも普通にいるアカトンボです。



これはたぶん、マメアサガオかなと思うですが、実のところホシアサガオとの区別がつきません。「日本の野生植物III」には検索表が載っていました。花序が葉より短く、1-3花。花柄に密にいぼ状突起があるのがマメアサガオだそうです。今度、調べてみよう。



ススキが恰好よいので写してしまいました。





こちらはアメリカアサガオでしょうね。



川の縁にはこんなイネ科の植物が茂っていました。



葉はススキみたいな感じです。図鑑で調べてみると、セイバンモロコシではないかと思いました。



最後は横から撮ったアオスジアゲハでした。
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