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廊下のむし探検 蛾ほか

廊下のむし探検 第1035弾

またしても近畿地方に大型台風が近づいています。ベランダの植木鉢や物干しざおなどはみな家の中に取り込み、停電のときの用心に飲料水の準備や風呂に水を入れ、これから窓からの浸水に備えてバケツや雑巾の準備をします。これで今年は3回目。本当に嫌になってしまいます。マンションの高階なので風は特に強く、台風はまだ離れたところにいるのに昨夜2時頃から強い風が吹き、あまり眠れませんでした。

今日もやることがないので、9月26日にマンションの廊下で見つけた虫の名前調べです。



これはスズキシャチホコでしょうね。





これは以前も見たことがあります。セスジササキリモドキだと思います。調べてみると、8月から10月にかけて数回見ていました。



よく見かける蛾ですが、近似種がいて名前はよく分かりません。とりあえず、ヘリオビヒメハマキ類としておきます。



これはこの間調べたハリブトシリアゲアリの♀有翅アリではないかな。



クロテントビヒメシャクか、ウスクロテンヒメシャクかというところなのです。外横線の外側が暗色は前者、淡色は後者なのですが、この個体はどちらともいえる感じです。とりあえず、何となく淡色の度合いが大きいのでウスクロテンヒメシャクということにします。



これはカバイロトガリメイガ



これも近似種がいてよく分かりません。とりあえず、マツノシラホシゾウムシ類ということにしておきます。



腹部背面に虹色に光る点が並んでいます。ウスグロセニジモンアツバです。以前、名前の由来を調べたことがありました。「背虹紋」だと書いてあるサイトもあったのですが、根拠はよく分かりませんねそう書かれた文献は見つかりませんでした。(追記2018/10/03:書き方が良くなかったので、書き直しました)(追記2018/11/20:10/01に、ささきさんから、「ウスグロセニジモンアツバの名前ですが、Paragona属の蛾は腹部背面に赤や緑に輝く丸い紋が並んでいます。小さいので目立ちませんが、新鮮な個体をよく見るととても美しいです。たぶんこの特徴を「セニジモン」と呼んでいるのだろうと思います。」というコメントをいただきました



これはシロシタヨトウかな。



ヤガ科だとは思うのですが、翅縁に白い斑紋がいくつか見えるので、それを手掛かりに図鑑を何度か見たのですが、よく分かりません。ひょっとすると、ソトシロフヨトウの個体変異かなと思ったりしていますが・・・。(追記2018/11/20:ささきさんから、「正体不明のヤガはソトシロフヨトウとしては翅形が違うようです。大きさがよくわかりませんが、ケンモンヤガの1種だろうと思います。」というコメントをいただきました



これはベニフキノメイガ



マダラガガンボです。これも近縁種がいるということでややこしかったですね。



♂だったので、腹部末端を撮ったのですが、はっきり写りませんでした。
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虫を調べる ムモントックリバチ?(続き)

朝の続きで、22日に中学生が捕まえたムモントックリバチらしい個体の検索です。前回は属の検索を行ってトックリバチ属に達したので、その後の種の検索です。




種の検索も「日本産有剣ハチ類図鑑」の検索表を用いました。とりあえず、ミカドトックリバチとムモントックリバチの二つの可能性を残しておいたのですが、実際の検索は⑧→⑨b→⑩→⑪と進み、ムモントックリバチに達する予定です。この4項目を写真で確かめていきたいと思います。いつものように検索順でなく、部位別に見ていきます。




体長は13.9mmで⑨bで示された値よりやや大きめだったのですが、範囲内には入っていました。また、⑩の後脚脛節は黒でこれは合っています。ということで、⑨bと⑩はOKになりました。



次は頭盾に関する項目です。これについては次の拡大写真を見てください。



このように頭盾が黄色になっているのは♂です。よく見ると、頭盾には白っぽい長めの毛が一面に生えています。これで⑨bをOKとしました。また、黄色の部分は周辺を黒い部分で囲まれています。これで⑩もOKです。



この項目でやや苦労しました。二つ上の写真でも分かりますが、複眼が大きくて前から見るとほとんど複眼だけが見えて、どれが頬だか分からなかったからです。これは頭部を後ろ側、斜め下から撮ったものですが、後頭隆起線が見えました。後頭隆起線は後頭と頭頂・頬を分ける隆起線なので、その上にある部分が頬だと思われます。確かに点刻があります。これで⑪はOKとしました。



小盾板にも腹部第2背板にも黄色い紋や斑はありません。



腹部第1節は細長いことはすぐに分かります。途中で曲がっているので、この写真から正確に長さを測ることはできませんが、長さは幅の2倍以上は十分にあります。



たぶん、項目⑨bはミカドトックリバチとムモントックリバチを分ける重要なポイントになると思われます。実際に、腹部第2節の背板と腹板のなす角を測ってみると108度になりました。ミカドトックリバチの場合は鋭角なので、違いがはっきりと見られます。残りの⑩と⑪はこの写真を見ると分かります。ということで、すべての項目を確かめたので、たぶん、ムモントックリバチ♂というので合っているのではと思っています。

ついでに撮った写真も載せておきます。



まずは前翅の翅脈です。



次は後翅です。翅が基部でねじれているので、一番外側にあるはずのC脈が少し下に来てしまいました。前縁にhamuliと言われる鉤ホックがいくつもあります。これで前翅の後縁部分をひっかけて、前翅と後翅は一緒に羽ばたくことができます。



そのhamuliの部分を拡大してみました。



最後は腹部末端を背側から撮ってみました。この棘みたいなのは何でしょうね。

ということで、ドロバチ亜科の検索をしてみました。触角の末端が実に面白い格好をしていましたね。こんなところは検索をしてみないとなかなか気づきません。やはり面倒でもじっくりと検索をして各部を調べていくことは重要ですね。

虫を調べる ムモントックリバチ?

9月22日に中学生3人と先生を連れて近くの川の土手で昆虫採集をしました。今回はそのときに中学生が捕まえたハチが試料です。中学生が採集したので、生態写真がありませんし、また、どういう状況で捕まえたのかは分かりませんが、とりあえず練習だと思って検索をしてみました。



ハチはこんなハチです。ちょっとミカドトックリバチに似ていますが、小盾板や後胸背板にあるはずの黄色の紋がありません。調べてみると、ムモントックリバチではないかという結論になりました。今回は「日本産有剣ハチ類図鑑」(東海大学出版部、2016)に載っている検索表を使ってみました。



トックリバチが含まれるスズメバチ科ドロバチ亜科であることは確かだと思うので、そこからまず属の検索をしてみました。その結果、上の7項目を調べることによって、最終的には予想通りトックリバチ属になりました。その過程を写真で見ていきたいと思います。いつもの通り、検索順でなく、部位別に見ていこうと思います。



最初は横から見た写真です。体が折れ曲がっているので、4本の折れ線で近似して体長を測ると13.9mmになりました。②は特にいいでしょう。



次は触角です。触角は全部で13節あるのですが、先端がこのようにフック状に折れ曲がっています。



ちょっと拡大してみました。どうしてこんな風になっているのかはよく分かりませんが、とりあえず♂であることは確かそうです。ネットで探していたら、BugGuideというサイトで、交尾のときに♀の触角をこのフックで引っ掛けて固定している写真が出ていました。こんな風に用いられるのかもしれませんね。とにかく、これで、⑦の後半はOKとします。



①も④も中胸盾板にある溝についてでですが、写真を見る限り、溝などは見られません。それで両方ともOKとしました。なお、項目の内容を分かりやすくするために、( )内は対抗する項目の内容を書いておきました。



これは中胸側板を写したものですが、ここにも特に隆起線は見られません。



この写真も先ほどと同じような写真ですが、中胸背板、小盾板、後胸背板に点刻がなされていることを見せるために撮りました。



中胸脛節末端はこの刺が一本だけありました。



この写真が分かりにくいのですが、腹部第1背板には前にある前伸腹節との境に垂直部というのがあるようです。その部分と背面の間に横隆起線があるかというのが②の項目です。矢印の部分だと思うのですが、特にそれらしいものは見つかりません。また、背面に縦溝がないのは次の写真で分かると思います。



これは腹部第1節を写したものですが、③の細長く柄状というのは分かります。⑥の前半の点刻についてはその通りだと思われますが、後半の「肥厚」とは何を指しているのでしょう。後ろが太くなっていることを言っているのでしょうか。でも、③と⑥は共にOKとしました。



これは腹部第2節を写したものですが、⑥の「後縁に明瞭な薄片部」というがどれだかよく分かりませんでした。たぶん、矢印で示した部分かなと思ったのですが、どうだか分かりません。⑥は二つの項目から成り立っていて、薄片部がないを選択すると、もう一つの項目は「腹部第1背板に明瞭な点刻を欠き・・・」とあるので、おそらく大丈夫だと思われます。

いくつか怪しい項目があったのですが、"Hymenoptera of the World: An Identification Guide to Families"(ここからダウンロードできます)でもそうだったのですが、ハチの検索表は一つの項目に対して3-4つくらいの項目が並列して書かれています。それで、一つぐらい分からなくてもたぶん、大丈夫ではないかと思われます。その代り、すべて項目を確かめようと思うと、たくさん写真を撮らないといけないので大変なのですが・・・。ともかく、これで無事にトックリバチ属 Eumenesに達しました。長くなったので、種の検索は次回に回します。

虫を調べる ジムグリ幼蛇?

先日、朝の散歩のときに小さなヘビが道端で死んでいるのを見つけました。



こんなヘビで、全長38.3cm。かなり小さいので、たぶん、幼蛇かなと思って、「日本の両生爬虫類」(平凡社、2002)で調べてみました。この中に、「幼蛇を見きわめよう」というページがあり、6種の幼蛇が載っていました。その中では、シマヘビとジムグリが似ているようです。ここからはどうしようもないですが、折角なので、以前も試みた頭部の鱗板の配列を調べてみることにしました。鱗板の名称は次の本に載っています。

G. A. Boulenger, "Reptilia and Batrachia. The Fauna of British India, including Ceylon and Burma", Taylor and Francis, London  (1890). (ここからダウンロードできます)

その他にも、"Identifying snakes by scalation and other details"や「原色日本両生爬虫類図鑑」(保育社、1963)にも載っているのですが、略称が少しずつ異なっていたので、今回はBoulengerの本に載っている略称を用いることにしました。





斜め上からと真上からの写真です。日本語の名称は「原色日本両生爬虫類図鑑」に載っているものを用いました。



これは口の両側にある上唇板(la)と下唇板(la')を調べたときに用いた写真です。



さらに、これは鼻孔を拡大したものです。



また、これは頭部の腹側からの写真です。

「原色日本両生爬虫類図鑑」にはヘビ一種一種について鱗板の配列図と鱗板の詳しい特徴が載っています。それで、この説明と今回の写真から得られた情報とを比較してみることにしました。図鑑の説明と比較するにはあちこちの長さを測る必要があります。長さはヘビの表皮に沿って測ったものを使わないといけないのですが、写真では上からとか横からとか2次元的な画像しか得られません。それで、次のようにして推測してみました。



例えば、O、A、B、Cの間の正中線に沿った長さを測るときには、表皮に沿った長さはこのままでは測れません。



それぞれの場所を横から見てみるとこんな風になります。この写真からOA、OB、OCを表皮に沿って長さを測り、背側から見た写真で測ったものと比較してみました。



単位はピクセル(pixel)です。A~Cの間はほぼ直線的に関係しているので、背面からの写真で直接測ってもそれほど問題にならないようです。でも、吻端(O)からの長さを測るには、横からの写真を使って変換してやる必要があります。これには、ほぼ直線関係が成り立っている、例えば、B~C間で両方の写真で長さを測り、これから変換係数を求めました。横から見た写真では鱗板の各部分がどこなのかはっきりしないので、まず、上から見た写真で測り、先ほどの係数をかけて横から見た写真の方に変換して長さを求めました。この方法では正中線に垂直な方向の場合はうまくいかないのですが、幸い、直線関係が成り立っている部分での測定がほとんどだったので、その場合は上から見た写真で直接測ることにしました(実は、inの縦横比を測るときだけがうまくいかなかったのですが・・・)。こうして得られた各部の寸法を使って図鑑の説明と比較してみました。



字が小さいので拡大して見てください。この表はジムグリの各鱗板ごとに書かれている説明を表にしたものです。最右欄が今回の個体と比較して合っているかどうかを示したものです。〇は合っていることを示したもので、数字は文章中にある長さの比を実測したものです。赤字は若干違うかなと思ったところですが、それを除けば、ほぼ完全に書かれている内容と合っていることが分かります。



今度はシマヘビについて比較したものです。赤字の場所がやたらたくさんでてきました。書かれている内容と比較して違うと思われる部分には×、基本的には違うが例外的には合っているとしてもよいと思われるものには△をつけました。そうすると、×と△が山盛りあって、先ほどのジムグリと比較するとかなり違うなという印象を受けます。幼蛇なので、厳密には成体とは違うかもしれませんが、こんな頭部の鱗板の比較だけでもある程度、種の特定ができるかもしれないと期待できる結果になりました。

なお、この図鑑には幼蛇についても書かれていて、ジムグリの幼蛇については、「背面が美しい赤褐色で多数の黒斑(または黒い横帯)があり、その周辺が黄色い。また、腹面の両側に黒斑列があり、・・・」と書かれているので、たぶん、今回の幼蛇はジムグリで間違いなのではと思っています。

朝の散歩6

朝の散歩のときに撮った写真や、ちょっと出かけたときに撮った写真が溜まってきたので、まとめて出すことにしました。

まずは9月21日の分です。この日は翌日の中学生の昆虫採集の予定表を持って中学校に行きました。その帰りに撮った写真です。一日中、雨模様だったのですが、ちょっと雨が止んだ隙に出かけました。



アベリアにカラスアゲハとクロアゲハが来ていました。アゲハの仲間はなかなか止まってくれなくて、写真が少ないので、ちょうどいい機会だと思って撮りました。





まずはカラスアゲハです。青色が実に綺麗ですね。この日、雨が止んだのはほんの僅かな時間だったのですが、一時の雨上がりのせいか何だか新鮮に写りました。



それにクロアゲハです。尾が取れてナガサキアゲハみたいになっています。



カラスアゲハはしばらくすると、アベリヤの上の木に止まってじっとしています。クロアゲハはどこかへ行ってしまいました。





昔、バードウォッチングで通った道だったのですが、この間の台風でひどいことになっていました。

次は9月23日でマンションの地下駐車場です。



クスサンがいました。カメラを持っていなかったのでスマホでパチリ。これまでの記録を見ると、9月下旬から10月にかけて見ていましたが、それほど数は見ていません。この蛾を見ると、秋が来たなと感じてしまいます。



次は9月24日の朝の散歩のときです。道端にこんな派手な色のヘビが死んでいました。小さいので幼蛇かもしれません。ひょっとしたらまだ生きているかもと思ってこわごわ望遠で撮りました。





口の周りのアリが来ているので、やはり死んでいるみたいです。

家に戻ってから、「日本の両生爬虫類」(平凡社、2002)を見ると、「幼蛇を見きわめよう」というページがあり、6種の幼蛇が載っていました。その中では、シマヘビとジムグリが似ているようです。ここから先はどう攻めてよいのか分かりません。それで、いつぞや試みた鱗の配列を調べてみようと思い立ちました。論文を見ながら、鱗一枚一枚に名前をつけていきました。その後、昔、古本屋で買った「原色日本両生爬虫類図鑑」(保育社、1963)を見ると、眼の前にある眼前板がシマヘビでは2枚あり、上板は大きくて上端が頭部背面に回り込むが、ジムグリでは眼前板は1枚で小型、上端は頭部背面には回り込まないということです。ヘビの鱗の形は脱皮の時に変化するという論文を以前紹介したので、幼体の場合と成体は違うかもしれませんが、このヘビでは眼前板は1枚で小型なので、ジムグリの可能性があるなと思いました。それで、ネットで画像検索すると似たような色と模様のヘビが出てきました。

ジムグリは腹部に市松模様があるということなので、まだいたら写真を撮っておこうと思って、翌日夕方、もう一度行ってみました。



今回は道端ではなく、下の溝の縁に落ちていました。うまい具合に裏返っていて、市松模様がよく見えます。



ついでに大きさを測っておきました。折れ線近似で測ってみると、全長38.3cmでした。



ひっくり返っているついでに頭部腹面の写真を写しました。





ついでのついでにピンセットで向きを変えて撮りました。ただ、溝の横だったので、こんな撮影をしているときに猛烈な蚊の攻撃に合いました。あちこち刺されて、這う這うの体であえなく退散です。ヘビの鱗の配列は今調べている最中なので、今度まとめて出すことにします。どうまとめるかで悩んでいますが・・・。



帰りにキュウリみたいな花も見に行きました。まだ、実らしいものは見えません。



少し薄暗くなりかかった土手でヒガンバナが豪快に咲いていました。

廊下のむし探検 蛾ほか

廊下のむし探検 第1034弾

9月18日にマンションの廊下で見つけた虫がまだ残っていました。



こちらはシロモンケンモン



また、ヒメシャクですね。でも、これはマエキヒメシャクのような。



これはスジモンキマルハキバガ



それにフタツメオオシロヒメシャク



これはオオトビスジエダシャク



それにコホソスジハマキ



アカスジシロコケガがいました。これについては以前、性標を調べたことがありました。結局、よく分からなかったのですが・・・。いずれにしても♂と♀で翅の形が少し違いました。こんな風に前翅前縁がすらっとしているのは♀の方です。



なぁ~んてことを考えて歩いていたら、ちゃんと♂もいました。翅の前縁あたりがごちゃごちゃした感じです。



これはノシメマダラメイガ。小さな蛾です。



それからいつもいるウスオエダシャク





それからこんな毛虫がいました。何となく蛾ではなく蝶の方かなと思ったのですが、蝶の幼虫図鑑がないので、「日本産幼虫図鑑」をぱらぱら見ていたら、セセリチョウの幼虫に似ています。さらに、顔の模様から、オオチャバネセセリに似ているなと思ったのですが、説明を読むと顔の斑紋はイチモンジセセリに似ると書かれていたので、このどちらかかなと思いました。さらに、その違いは、オオチャバネの方が、「(頭部の斑紋は)淡白褐色斑が多いこと、胴部では前胸背部に横黒斑を欠くことなどで区別できる」とあります。上の写真ではかすかに前胸背部の横黒斑らしき筋が見られるので、ひょっとしたらイチモンジセセリの方かなと思ったのですが、よくは分かりません。



ついでに19日にマンションのエレベータホールにいたシモフリスズメも出しておきます。この場所がよほど気に入ったのか、あちこち動き回りながら3-4日同じ部屋にいました。

雑談)この間、中学生を連れて近くの河原に昆虫採集に行ったあたりからばたばたし始めなかなか落ち着いて虫調べができなくなりました。そのときに採集してきたムモントックリバチらしき個体とマダラバッタらしき個体の同定がまだ残っています。ハチは「日本産有剣ハチ類図鑑」の検索表で何とかなりそうなのですが、バッタの検索表はどうしてこう分かりにくいのでしょう。しかも、中学生が2匹捕まえたのですが、共に♀。なかなかうまくいきません。

そうこうしていたら、朝の散歩で小さなヘビを見つけてしまいました。幼蛇だろうと思うのですが、死んでいたので、各部の写真を撮って、今度は鱗の配置を調べ始めました。昔、買っていた「原色日本両生爬虫類図鑑」を本当に久しぶり出して見てみると、この図鑑なかなかいいですね。鱗の配置が種ごとに絵と説明が載っていました。昔の図鑑は写真はあまりよくないのですが、その分、一つ一つの種の説明が丁寧で役に立ちます。最近の図鑑は写真は綺麗なのですけど・・・。

昨日はミドリイエバエらしいハエの顕微鏡写真の整理をしました。湿気の多いところに保存しているので、体はまだ柔らかいのですが、写真を撮ってるうちに複眼がだんだん乾燥してきて、でも、刺毛が顕微鏡写真でなかなかうまく写りません。だんだん焦ってきて・・・。それでも、何とか検索に必要な個所は撮影できました。そんなこんなでバタバタしていたら、足の指を思い切りぶつけてしまいました。今朝は腫れて内出血しています。骨が折れてないといいけど。

虫を調べる 頭部に7黒斑あるクサカゲロウ

最近、なんだかんだと忙しく、落ち着いて虫を調べる余裕がありません。とりあえず、以前、撮っておいた顕微鏡写真をまとめることにしました。



今回はこんなクサカゲロウで、9月18日にマンションの廊下で見つけ、その翌日採集しました。それほど大きいとは感じなかったのですが、それでも大きめの方です。クサカゲロウは腹部が縮んでしまうので、前翅長で大きさを測るようで、実際に測ってみると15.1mmになりました。普通のヨツボシクサカゲロウかなと思ったのですが、どうも頭部の黒紋の数が多いようなので、調べてみることにしました。というのはヨツボシクサカゲロウの他に近縁種にナナホシクサカゲロウという種もいるからです。



いつものように検索には次の本に載っている検索表を用いました。

塚口茂彦, "Chrysopidae of Japan (Insecta, Neuroptera)" (1995).

なお、ヨツボシクサカゲロウの検索はだいぶ前に試みたことがあるので、そちらも参考にしてください。上に載せた検索では最初の3項目が属の検索、後半の2項目が種の検索です。種の検索では可能性のあるヨツボシクサカゲロウ pallensとナナホシクサカゲロウ septermmaculataの両方を載せておきました。これを写真で確かめていきたいと思います。いつもように検索の順ではなく、部位別に見ていきます。



これは頭部の写真です。酢酸エチルの含まれた除光液が入った毒瓶に入れて置いたらこんな黄色になってしまいました。それで、色についてはあまりあてになりません。とにかく、この写真を見ると、顔の部分には全部で7黒紋があることが分かります。先ほどの本を参考にして、黒紋に名前を付けてみました。上から触角間黒紋、前頭黒紋、頬黒紋、頭盾黒紋とでも訳せばよいかなと思っています。通常、ヨツボシクサカゲロウには頬黒紋がないのですが、これにはあります。まず、②はOKです。③の「触角の基部とつながっている」というのは次の写真を見てください。とりあえず、③はOKです。また、⑤aはヨツボシクサカゲロウの方の項目を書いてのですが、例外的に頬に黒紋のある種もあるようなので、OKとしました。



矢印で示した部分が黒紋と触角基部のあたりですが、なにやら膨れているのが触角基部に相当するのでしょうね。その部分で黒紋がつながっています。



頭頂には特に斑紋はありません。これで④もOKです。



この写真は失敗でした。①はPseudomalladaやBrinckochrysa属を除外する項目で、file-like structureというのは塚口氏の本に絵が出ています。ファイルが並んでいるというイメージなのでしょうか。とにかく、規則的な構造が見られます。ただし、あるのは腹板の方でした。この写真は背板しか見えないので、よく分からないのですが、たぶん、大丈夫だと思います。





ところで、これは腹部末端の側面と腹面からの写真ですが、こんな形状のものは本によると♀みたいです。上の検索表では♂についてはいろいろと記述あるのですが、♀にはないので、結局、⑤の前半、つまり、斑紋の数で2種を分けないといけません。ところで、ヨツボシでも例外的に7点のものもいるようなので、結局、検索表では分けることができません。

そこで、各論に書かれている両者の違いによって見分けることにしました。ナナホシはこの本で新種記載されたのですが、ヨツボシと非常によく似ているようで、♂交尾器を除く外見上の違いについてまとめたのが次の表です。



赤字は両者が違うと思われる部分です。翅を除くと色の濃淡による違いなので、こんな変色した個体では何とも言えません。ただ、口肢の濃淡が若干違うようです。



これは頭部を側面から撮ったものですが、口肢はそれほど濃い色だとは思えません。それに、ナナホシは北海道に分布する種なので、たぶん、ヨツボシクサカゲロウのナナホシ型というので合っているのだろうと思いました。

上の表の説明には翅脈で黒くなる部分について事細かに書かれています。いつもは無視するのですが、今回はちょっと真面目に調べてみました。



非常にややこしいですが、①などの番号は下に示した翅脈が黒くなる部分を指しています。



この表はヨツボシクサカゲロウについて書かれていたものを部位別に分けたものです。比較してみると、ほとんど書かれている通りだったのですが、③と?と書いた部分に若干の違いが見られました。③では6本のR-Rs横脈が黒くなると書かれていたのですが、実際には3本でした。また、?はCuA脈の末端部だと思うのですが、これについての言及はありませんでした。たぶん、⑱に含まれると考えているのでは思いました。ということで、いつものようにはっきりはしないのですが、たぶん、ヨツボシクサカゲロウでよいのではと思っています。

今回は塚口氏の本に載っている図を参考にして、翅脈に名称をつけていったのですが、図には翅脈の名称が一部しか書かれていないため、どうしたらよいのか困ってしまいました。それで、文献を探していたら、次の論文を見つけました。

L. Breitreuz et al., "Wing Tracheation in Chrysopidae and Other Neuropterida (Insecta): A Resolution of the Confusion about Vein Fusion", American Museum Novitates No. 3890, 1 (2017). (ここからダウンロードできます)

この論文は脈翅上目というアミメカゲロウ目、ラクダムシ目、ヘビトンボ目について、翅脈の解釈に混乱が見られるので、蛹の中で翅の中に伸びていく気管を基にしてもう一度整理してみたという内容のレビュー論文です。原理的には翅脈について書かれた次のような初期の仕事と同じ内容です。

Comstock, J.H., "The wings of insects", Ithaca: Comstock Publishing Company (1918). (ここから一部ダウンロードできます)
J. Tillyard, "Studies in Australian Neuroptera. No. 3. The Wing-venation of the Chrysopidae", Proc. Linn. Soc. New South Wales 41, 221 (1916). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

ただ、気管は将来横脈になるところには伸びず、将来縦脈になる部分にだけあること、翅脈が発生途中で融合したり、消滅したりするときには気管の分布と成虫の翅脈とは必ずしも一致しないことがあることから問題になったこともありました。この論文ではそれらを踏まえた上でもう一度考察してみたという内容で、いろいろな科ごとに図を示して解説しているので、かなり役に立つのではと思っています。そこに載っている図を参考にして今回のクサカゲロウの翅脈も解釈してみました。



この図では翅脈を系統別に色分けして示してあります。特に問題になるのは上の図でPsmとPscと書かれた脈です。この脈は実際にはいくつも脈が融合してできていますが、一見、一つの脈のように見えるので、Tillyardが名付けたものです。

実際に翅脈を色分けしていくと、RP、MA,MP,CuA間の境界をどうするかというところで迷ってしまいました。これについても書かれていました。基本的にRPの分岐については翅端側から順番に脈を追いかけて色分けしていきます。このとき、1rp-ma脈と段横脈(上の図でig、ogと書いた一連の脈)については初めから横脈と考えて除外しておきます。次にMAは2本、MPは2本、CuAは4本という数に合わせて脈の割り振りをしていけばよいのです。この時もRPの場合と同様に、1m-cu、2mp-cup、1cua-cup、2cua-cupについては横脈として除外しておきます。基本的にはこのように翅脈を追いかけていけばよいのですが、ただ、この個体の場合、このような方法ではCuAは3本になってしまいます。その場合、MPを1本として、CuPを4本にするか、この図のようにするのか自由度が残ってしまいます。調べてみると、CuAの末端部分の本数はTillyardの気管の図では3本、Comstockでは4本となっているので、このくらいの数の変化はあるのかもしれません。

翅脈に系統だって名称をつける理由は系統発生の研究や近縁関係を調べるときに役立つというほかに、いちいち図を描かなくても名称だけでその部分を示すことができるという便利さからでもあります。後者の意味ではPsmやPscのような総称的な名称を使わずに、この図のように翅脈の場所ごとに次々と名称が変化していく場合には、翅脈の解釈により名称も変わってしまうので、誤解を生みやすく大変に不便です。それで、筆者らもPsmやPscという総称的な名称も残しておくべきだという意見のようです。とりあえず、少しだけでも、クサカゲロウの翅脈の理解を深められたかなと思って喜んでいます。

廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第1033弾

9月18日にマンションの廊下で見た虫の続きで、今回は蛾です。蛾は数が多かったので、2回に分けて書きます。



こちらはコトビモンシャチホコ



翅の前縁が黄色いのでマエキオエダシャク



これはキオビベニヒメシャク



翅の前縁に縞模様があるのでヒメハマキの仲間であることは確かですが、そこからが分かりません。特に翅の中央より下が鱗粉が取れたような感じがしたのですが、よく見ると、そこにも鱗粉があるので、ますます分からなくなりました。



これはよく見るウスオエダシャク



ヒメシャクはよく分かりませんが、これはマエキヒメシャクかな。



これはナカジロナミシャクみたいです。記録を見てみると今から15年ほど前に一度見ただけでした。



これはオオウスベニトガリメイガ。夏によく見ます。



これはシバツトガ



これはたぶん、マガリキドクガ。記録を見ても載っていないので、初めてではないかと思います。

家の近くのむし探検 キュウリ?

家の近くのむし探検 第433弾

ついでに9月18日に昆虫採集の下見に行ったときに見た動植物も載せておきます。





川の土手にこんな花が咲いていました。ウリ科の作物が逃げたものでしょうね。何となくキュウリかなと思ったのですが、もう少ししたら実ができるかしら。



みかん類にカマキリが2匹いました。



向こう側のカマキリの前脚の付け根を見ると薄黄色なので、たぶん、オオカマキリでしょうね。









2日前に見たササゴイがまだいました。この日は堰堤の端に止まっていたので、背景がよくなりました。

中学生と昆虫採集

昨日、中学校のグループ学習の続きで、中学生3人と先生と私の合計5人で近くの河原で昆虫採集をしました。前日までは雨模様だったのですが、この日は午前中から晴れ間も見え、それほど暑くもなく、ちょうどいい日和になりました。私は採集用に捕虫網2本、三角紙、チャック付きポリ袋、毒瓶などを入れた箱、虫かご3つを持って行きました。捕虫網は中学生に貸してあげたので、私は特にすることもなく、虫を探してうろうろしていました。



アオメアブウスバキトンボを捕まえていました。自分より大きな虫も捕まえるのだなと思って感心して見ていたら、



やっぱり逃げられてしまいました。







文化祭に出す展示を「昆虫館」から「いきもの館」に変えたので、植物でもよいかなと思って、先生には花の写真を撮ってもらいました。だいたいは名前が分かったのですが、これだけが分からなかったので、写真を撮っておきました。



家に戻ってから、「野に咲く花」、「日本の野生植物」で調べてみると、蕚の上側の裂片が尖ってないので、ヒメジソではないかと思いました。

この日は午前中に展翅の仕方や標本の作り方の体験をしてもらいました。食事の後、採集に出かけました。この日の成果は次の通りです。

チョウ:アゲハ、モンシロチョウ、モンキチョウ、キタキチョウ、ツマグロヒョウモン、ヒメアカタテハ、ヤマトシジミ、ツバメシジミ、ウラギンシジミ、イチモンジセセリ
トンボ:ウスバキトンボ、オオシオカラトンボ、ミヤマアカネ、オニヤンマ
バッタ:ショウリョウバッタ、マダラバッタ(たぶん)、エンマコオロギ
その他:キイロスズメバチ、ムモントックリバチ(たぶん)、ハンミョウ

採集の後、チョウとハチはすぐさま展翅し、トンボは三角紙に、ハンミョウは冷凍庫に入れて、最終的には標本の形にして展示しようと思っています。バッタは写真を撮ってからリリース。10時から4時までの6時間の活動だったのですが、やはり疲れが残っていて、今日の午前中はぐったりとして寝ていました。

虫を調べる ホソコハナムグリ

9月18日にマンションの廊下でこんな小さなハナムグリを見つけました。





初めはコアオハナムグリかなと思ったのですが、腹部が黒くないので、別種だと分かりました。もともと中学校のグループ学習に使おうと思って採集したのですが、調べてみたら初めての種だったので、今回は私の標本にしました。胸部腹面側方に灰褐色の部分が見られます。初め、汚れかなと思ったのですが、これが一つの特徴でした。

検索には、「日本産コガネムシ上科標準図鑑」に載っている検索表を用いました。検索して見ると、クロハナムグリ属になったのですが、その過程を写真で見ていきたいと思います。



この5項目を調べることでクロハナムグリ属であることが分かります。前半の3つはハナムグリ亜科の族への検索表、後半の2つは属への検索表からの抜粋です。



これは背側から撮ったものです。体長は10.9mm。コアオハナムグリが12.6-15.2mmなので、さらに小さなハナムグリと言えます。Ⓑの後半は前胸背板についてです。書かれている「後角」がどれかはっきりしませんが、Ⓑ→で示したあたりだと思われます。後角の部分は丸いので鈍角とは言えないのですが、まあいいことにしました。前胸背板の後縁は緩やかに中央に向かっています。これでⒷはよいとしました。Ⓒ→で示した部分は明瞭に湾入しています。これでⒸもOKです。次の②は矢印で示した部分を指しますが、わずかに湾入している程度です。それで、②もOKとしました。



Ⓐ、①、②はいずれもこの写真で分かりますが、中胸腹板突起だけはもう少し拡大してみました。



この写真を見ると、中胸腹板突起は横長の楕円形と言えそうです。これですべての項目を調べたので、たぶん、クロハナムグリ属というのは合っていそうです。ところで、この属にはクロハナムグリとホソコハナムグリの2種が記録されているのですが、外観上、クロハナムグリはかなり違っているので、この個体はホソコハナムグリでよさそうです。でも、念のため、「日本産コガネムシ上科標準図鑑」に載っている特徴を確かめてみることにしました。



この③~⑧が図鑑に載っていた特徴です。赤字で書いたところは、たぶん、こう書いた方がよいだろうと思ったところです。これらも写真で確かめていきます。



③と④の小型で艶のない鮮緑色というのはOKでしょう。⑦はすでに確かめました。



腹部腹板の両側というのはこの写真ではよく分かりませんが、後胸腹板の両側にある灰黄色の被覆物というのは矢印で示した部分です。中胸腹板はこの写真ではほとんど見えないので、たぶん、後胸腹板と書き直した方がよさそうです。ともかく、⑤はOKです。



被覆物の部分を拡大してみました。細かい綿毛の中に鱗片状の毛が生えています。汚れではなかったですね。



中胸腹板突起には書かれている通り、毛の生えた横溝がありました。



これは頭盾を写したものです。確かに、横長で前縁中央に湾入があります(矢印)。以上で特徴はすべて確かめました。まさに書かれている通りなので、この個体はホソコハナムグリで間違いなさそうです。



ついでに、「原色日本甲虫図鑑II」の説明はこのようでした。短いですね。



こちらは、「原色昆虫大図鑑II」に載っていた説明です。青字は確かめなかったところ、赤字は本当かなぁと疑問に思ったところや何を意味するのかよく分からなかったところです。でも、まぁ、「日本産コガネムシ上科標準図鑑」に書いてあるのと一致したので大丈夫でしょう。



最後は検索に使わなかった写真で、前胸脛節です。

ホソコハナムグリは普通にいる種のようですが、こうやって記録を残しておくと、また後で役に立つこともあるかなと思って調べてみました。

廊下のむし探検 クサカゲロウ、甲虫ほか

廊下のむし探検 第1032弾

9月18日にマンションの廊下で見つけた虫です。この日は蛾が多かったのですが、それは後にして、そのほかの虫を先に出すことにします。



この日はまずクサカゲロウからです。いつものように顔をアップして撮りました。



ここでちょっと違和感がありました。ヨツボシクサカゲロウにしては点が多すぎるのでは・・・。でも、気にしないで、家に戻りました。翌日、調べてみると、北海道に生息するナナホシクサカゲロウもいるとのことです。それで、採集しなったのは残念だったと思って、一応、昨日いた場所に行ったら、まだ止まっていました。



いつものようにエナメルリムーバ入りの毒瓶に入れておいたら、こんな風に黄色になってしまいました。でも、確かにナナホシです。検索すると、最終的にはヨツボシかナナホシかというところになるのですが、顔の斑紋の数はヨツボシでも稀にgenal marking(頬の斑紋)のあるものがいるとのことで、最終的には♂の第9腹節の長さで判断しなければいけないそうです。ただ、この個体は♀でした。また、各論を見てみると、口肢の色がどうやらナナホシはもっと濃くなるようです。分布も違うので、今のところ、ヨツボシクサカゲロウのナナホシ型だろうと思っています。これについては写真を撮ったので、また、今度出すことにします。



次はこのハエ。これは採集しなかったので、よく分かりません。イエバエかなと思ったのですけど・・・。





これは翅が脱離した♀有翅アリです。後腹柄節が腹部背板に取りついていることと腹柄節が上から見て逆三角形になっているので、この間調べたハリブトシリアゲアリではないかと思っています。



こちらは翅が生えていますが、採集して調べてみると、やはり同じ特徴を持っていました。それで、これもハリブトシリアゲアリではないかと思っています。





一応、顔と背側から見た腹柄節を撮ったので載せておきます。





マツノシラホシゾウムシ類が2匹いました。マツノとニセマツノの区別がつかないので、「類」ということにしておきます。



また、コガネがひっくり返っていました。腹側を写してからもとに戻してやりました。



ハナムグリの仲間ですが、どうもいつものとは違う感じです。それで、結局、採集して帰りました。昨日、「日本産コガネムシ上科標準図鑑」に載っている検索表で調べてみると、ホソコハナムグリ Glycyphana gracilisになりました。日本で一番小さなハナムグリだそうです。顕微鏡写真を何枚か撮ったので、また、今度出します。胸部腹面の両端に灰褐色の汚れみたいなものがあったのは汚れではなかったようです。



その部分を拡大してみると、細かい綿みたいな毛が一面に生えていて、その中に鱗片状の毛が生えていました。



ガガンボは♀なので採集しませんでした。



一応、「日本産水生昆虫」に載っている翅脈の名称をつけてみました。r1という閉じた部屋があるのが気になりました。Tipulaかなと思ったのですが、もしTipulaなら、この本には♂用の亜属の検索表があるので、♂だったら今度捕まえて調べてみたいなと思いました。



やっとオオセンチコガネがいました。実は、中学校のグループ学習用にと思って、これを探していたのです。気にしないときはいつもひっくり返っているくせに、いざ、探すとなるとなかなか見つかりませんね。



最後はフタテンカメムシでした。

家の近くのむし探検 ササゴイ、クサフジなど

家の近くのむし探検 第432弾

近くの中学校の2年生のグループ学習で「昆虫館」というテーマを取り上げたグループがあったので、アドバイザーになってくれと頼まれました。とりあえず、標本を作ろうということになり、今週の土曜日に採集に行くことになったのですが、天気はどうやら雨模様。それで、もしものときにと思って、予め少し採集しておこうと思って16日の午後に近くの川の土手に行ってみました。採集の方はチョウとトンボをそこそこ採集したのですが、そのときに撮った写真も載せておきます。







川にササゴイが来ていました。家族の話だとまだ幼鳥だとか。思ったより、小さな鳥でした。









用水路脇に咲いているクサフジです。こんな花を見ると、いつもクサフジと書いていたのですが、先日、教えていただいたので、「日本の野生植物」に載っている検索表で調べてみました。その結果、オオバクサフジらしいことが分かりました。確かに小葉が大きいので、そうかもしれません。詳細はまた今度載せます。



次はキンエノコロです。





よくよく見ると、こんな風に二つに分かれている穂もありました。







最後はいつものようにキノコです。(追記2018/09/20:山渓の「日本のきのこ」、「よくわかるきのこ大図鑑」を見ると、ベニタケ科のクサハツに似ている感じがしますが、どうだか分かりません)(追記2018/11/20:ささきさんから、「キノコは難しいですね。最初のキノコは残念ながらクサハツではないと思います。ハツタケの仲間は茎がもっと太短い感じになります。茎にツバがあるように見えますがどうですか? 根元にツボがあるかどうかも観察時に気をつけるといいと思います。」というコメントをいただきました。クサハツではなかったですか。やはり採集しないと無理ですね。まぁ。ぼちぼちやっていきます。これからもよろしくお願いいたします





これは別のキノコです。図鑑で絵合わせで探してみても、結局、合っているかどうかよく分からないので、やはりちゃんと調べてみようと思って、「原色日本新菌類図鑑」(I)(II)を今日、注文しました。顕微鏡は少し慣れてきたので、胞子である程度分かるのなら、ちょっと調べられるかなと思っています。

家の近くのむし探検 蛾ほか

家の近くのむし探検 第431弾

9月16日に、11月に行われる文化祭の打ち合わせをしました。場所がいつも観察している道路脇の茂み近くだったので、ついでに少し観察してみました。



まずは行く前にマンションの廊下で見つけた蛾です。これはヘリオビヒメハマキの仲間なのですが、翅の中央に三角紋のある種にはこのほかにもクロサンカクモンヒメハマキ、ハラブトヒメハマキがいて、いずれも本州に産し、写真では区別がつきません。ヘリオビヒメハマキ類としておきます。



これはシロテンキノメイガ



これは以前、フトヒメツノゴミムシダマシだと教えていただいた種と似ています。一応、採集したので、今度調べてみます。と、いつものように書いたのですが、実は、昨夜脱走騒ぎがありました。探していたら、部屋の真ん中でじっとしているところを見つけました。



これからは道路わきの茂みで見つけた虫です。これはツマジロエダシャク



こちらはチャバネヒメクロバエ





葉の上を忙しそうに動き回っていた小バエです。拡大してみると、どこかで見たような気がするのですが、思い出せません。(追記2018/09/20:そらさんから、「忙しそうに歩き回っていたのは「ヒラタアシバエ科」の仲間ですね!思い出せないのが大変そうなので(^^)。」というコメントをいただきました。名前を聞いても思い出せませんでした。実は、知らないのかな(-_-;)。採集しているので、一度、調べてみます。後で調べてみると、科の検索は比較的楽で、さらに、属の検索表と記載・再記載文が「新訂原色昆虫大図鑑III」に載っています。各属せいぜい1-2種なので、たぶん、種まで落とせるのではないかと思います。いいヒント、どうも有難うございました。俄然、やる気が出てきました



いつものクロウリハムシです。



これはハグロハバチに似ている感じがしますが、よくは分かりません。



それからハムシダマシです。



びっくりしたのがこのハエです。てっきりキンバエだと思って採集し、早速、田中氏の「屋内害虫の同定法」で検索してみました。ところが、すぐにつかえてしまいます。おかしいなと思って、中脚副基節を見ると剛毛列がありません。クロバエ科ならあるはずなのに。ついでにCuA+CuP脈が翅端まで達していません。イエバエ科みたいです。そう思って「日本のイエバエ科」の画像を見ると、ミドリイエバエの仲間 Neomyiaはこんな色をしているようです。まだ、検索はしていませんが、どうなるか楽しみです。(追記2018/09/23:大石氏らの「日本産イエバエの同定」と篠永氏の「日本のイエバエ科」に載っている検索表で調べてみました。その結果、イエバエ亜科イエバエ族のミドリイエバエ Neomyia timorensisになりました。まだ、怪しいですが・・・



ワキグロサツマノミダマシです。いつもは葉上にいるのですが、巣を張っていたので撮ったのですが、フラッシュをたくとこんな真夜中のような写真になってしまいました。



これはたぶん、♂有翅アリです。採集しなかったのでよく分かりません。



それにツチイナゴ



この後はマンションに帰ってから撮ったものです。ゴミが突然動き始めたのでびっくりしたら、サビキコリでした。



それにこれはたぶん、イチモジキノコヨトウ。この日の午後、中学のグループ学習のための昆虫採集に出かけたのですが、そのときに撮った写真は次回に出します。

黒川の花と虫

15日に川西市の黒川で自然観察会があったので、当日、直前の下見をしました。この日は朝まで雨模様で、陽がのぼってからもどんよりとした天気だったので、こりゃ駄目かなと思ったのですが、一応、雨は降っていなかったので、とりあえず歩いて、歩くコースを決めることにしました。写真はあまり撮らなかったので、一応、撮ったものだけ載せておきます。



小さな虫を接写で写そうと思っていたら、目の前にこんな大きな毛虫がいたので、思わず画面いっぱいに撮ってしまいました。スズメガの幼虫、最近、よく見ますね。「日本産幼虫図鑑」や「原色日本蛾類幼虫図鑑」で調べてみると、何となくホシホウジャクの幼虫みたいです。



アミメアリ。ちょっとぼけてしまいました。拡大すると網目模様が面白いのですが、観察会では受けないだろうな。



クロウリハムシ。これなんかはいいかも。飛んでいると、黄色が目立つし。なーんてことを考えながら、虫探しをしました。



クズにはクズノチビタマムシがいました。これは目立たないからダメだろうな。一応、タマムシなんだけれど。なんて思っていたら、実に、観察会では小さなお子さんがこれを見つけ、これなあに。子供の目は実に鋭い。



ニホンアマガエル。これは観察会のときにもいました。



コクサグモ





キタテハサトキマダラヒカゲがいました。暗いところだったのですが、フラッシュをたかずにコンデジの望遠端で撮ったので、ISO400、シャッター速度1/40。どうしてもぶれてしまいます。





それで、ISO100、シャッター速度1/640秒で撮ってみました。当然、暗くてほとんど写りません。それで、後から画像の明るさを調整して、こんな感じになりました。目的とするチョウは結構ぶれずにはっきり写っています。周りの暗いところがつぶれるので、ちょっとフラッシュをたいたような感じになりました。でも、まぁ、いいかも。



それからアカタテハ。このほかはマユタテアカネがいたくらいで、虫はこんなものでした。でも、本番では小さなお子さんがいろいろ見つけられ、これなあに、これなあにと小さな虫を見つけては次々に聞いてくるのでので、結構、楽しい観察会になりました。









歩いたついでに見つけた花も撮っておきました。これはたぶん、クルマバナ



ヤブランの花が開いている感じなので、これも撮りました。



こんな感じでした。アザミウマがいますね。捕まえておけばよかった。





道端にオトコエシが咲いていました。花を拡大して撮ったのですが、中心の花は何だか変ですね。2本見えているのは葯がとれた雄蕊なのかな。右の花を撮っておけばよかった。



キノコがいっぱい生えていました。キノコも勉強してみたいなと思うのですが、なかなか手が回りません。それで、とりあえず写真だけ。





これなんか調べればわかるかなぁ。



これは分かりそうにないですね。(追記2018/09/20:ささきさんから、「最初のキノコはドクベニタケに似ているかな。でも色が薄いですね。2番目のキノコはアンズタケのように見えます。3番目はハツタケの仲間かと。これも色が薄いですがクロハツに似てますね。数日前に誤食・死亡例が出たニセクロハツにも似ています。誰かキノコに詳しい人がコメントくれるといいですね。」というコメントをいただきました。確かに、図鑑を見るとみな似ていますね。これからどうやって確かめていけばよいかというところですね。いずれにしても、キノコは一から勉強しないと駄目みたいです。 それにはまず、文献集めということで図鑑を探してみました。絵合わせ用の図鑑は山ほど出ているのですが、ちゃんとした検索表の載っている図鑑がなかなか見つかりません。「原色日本菌類図鑑」と「続・原色日本菌類図鑑」は手元にあるので、持っていなかった「原色日本新菌類図鑑」(1)、(2)の古本を早速注文しました。じっくり調べていきたいと思っています



最後は参加者に見せたマユタテアカネの顔でした。

雑談1)恒例の9月の観察会が終わって、やっと暇ができました。後は11月初めに近くの学校である文化祭だけになりました。この文化祭に、昨年自然展を共同で開いた2人とまた一緒に出すことにしました。一昨日、集まって相談したのですが、一人は近くの川で撮った鳥の写真、もう一人はコゲラの巣の写真、そして、私は何を出せばよいのでしょう。蛾の写真と標本を出そうかと思っていたのですが、鳥と蛾だとギャップがありすぎるかな。

雑談2)この文化祭には、私がアドバイザーをしている中学生のグループも出展します。授業でグループ分けしたので、にわか昆虫ファンがほとんどで、たぶん、標本はほとんど集まらないだろうと思って、もしもの場合に備えて、2,3日前に近くの川の土手にちょっと採集に行ってみました。オオシオカラトンボ、シオカラトンボ、ヤマトシジミ、モンキチョウ、ウラギンシジミ、イチモンジセセリ、それにハンミョウ。ろくなものは採れなかったのですが、ハンミョウは綺麗で見ごたえがあります。それに、上の集まりのときに建物に入ってきたカトリヤンマ。こんなところです。片目の視力がほとんどなくなったせいで、距離感がなくなり、飛んでいる虫がまったく採れません。モンシロチョウ、キチョウ、アゲハ、ウスバキトンボなどがいたのですけど・・・。(追記2018/09/18:今日の午前中にもう一度行って、モンシロチョウ、アカタテハ、ツマグロヒョウモン、ナガサキアゲハ、アゲハ、イシガケチョウ、ハグロトンボ、ミヤマアカネ、ウスバキトンボが採集できました。最後のウスバキトンボは通りがかった知り合いに採ってもらったものです。採れなかったのは、キタテハ、キチョウ、アオスジアゲハ、キアゲハぐらいです

雑談3)この間、衝動的に「日本産クモ類」を注文してしまったのですが、昨日、やってきました。予想に違わぬマニアックな図鑑です。でも、科の検索と、各科に属の検索表が載っているので、俄然ファイトが湧いてきました。まずはよく知っている小さなクモを捕まえて、各部の名称を調べることから始めたいと思います。カニグモか、ハエトリグモあたりかな。標本の作り方も載っていましたが、アルコール漬けにした標本が増えていくのはどうしたらよいのやら。

朝の散歩5

最近、運動不足解消のために朝30-40分ほど早足で歩く散歩をしています(この2,3日ちょっとさぼっていますが・・・)。歩くことが目的なので、写真は極力撮らないようにしているのですが、気の付いた時に撮った写真があったので、それも出しておきます。



最初は9日に撮ったスズメガの幼虫です。こんな風に道を横切りました。ススメガだと一発で名前が分かるだろうと思って撮ったのですが、意外に苦戦です。まず、斜線がはっきりしていません。また、尾角が短い感じです。こんなところから、トビイロスズメやモモスズメの終齢までいっていない幼虫かなと思ったのですが、どうも違うようです。まず、頭部の形です。「原色日本蛾類幼虫図鑑(上)」によると、トビイロは卵円形というのでまず違います。モモは縦長の三角形というので形はいいのですが、頭部側面の黄白条がないので、それも違います。こんなところに着目して探してみると、次は、サザナミ、ウチ、ウンモンが候補に挙がりました。頭部の形はサザナミは明らかな三角形、ウチとウンモンは縦長の三角形で、いずれも頭部側面に黄白条があります。ただ、ウンモンは体の顆粒が大型なのですが、この個体はかなり細かい顆粒です(拡大すると分かります)。それで、サザナミとウチが残りました。共に、このあたりでは観察されているのですが、今のところ、どちらかは判断ができません。何となくウチの方かなとは思っているのですけど・・・。







この間まで花の側面が真っ白なユリが密生していたところに、こんな赤紫色の筋の入ったユリがぽつぽつと咲いています。たぶん、これがタカサゴユリでしょうね。白いユリはタカサゴユリとテッポウユリの交配によりできたシンテッポウユリか、自然に交雑してできた雑種だろうということだったのですが、今では花はすっかり終わり、種ができています。テッポウユリとタカサゴユリは開花時期がかなりずれているので、やはり栽培種のシンテッポウユリをワイルドフラワー工法で高速道路法面になどに植えたのが広がったという説が何となく正しいような気がします。



これはヌルデ





ネズミモチだろうと思って撮ったのですが、図鑑を見ると、トウネズミモチという中国産が各地で栽培されているようです。山渓の「樹に咲く花」によると、トウネズミモチは葉が大きく、先端が細長く尖り、葉の基部近くがもっとも幅が広いとのことです。一方、ネズミモチの葉は中央部がもっとも広いようです。上の方の写真を見ると、葉の先端はやや尖っていて、基部近くがもっとも幅が広いそうなので、これはトウネズミモチの方かなと思いました。

廊下のむし探検 ミツバチ、蛾、クモなど

廊下のむし探検 第1032弾

9月11日にマンションの廊下で見た虫の続きです。



このミツバチ、以前、通りすがりさんに教わったのですが、後翅の矢印で示した脈があればニホンミツバチ、なければセイヨウミツバチでした。従って、これはニホンミツバチみたいです。このことは「日本産ハナバチ図鑑」にも載っていました。



次はナナホシテントウ



これはホソナミアツバ



似た種がいるのですが、たぶん、シロフコヤガ



それにオオゾウムシ



それから、クロシタシャチホコ。ここまでは名前調べも順調です。



このカニグモ。「日本のクモ」を見ると、クマダハナグモに似ています。この図鑑、絵合わせには良いのですが、特徴や区別点がほとんど書かれていないので、同定にはあまり役立ちません。もっともクモの同定は外雌器と触肢によるものなので仕方がないかもしれませんが・・・。記載論文はOno 1985というので、探してみたのですが、これも見つかりません。同じ小野氏の書かれたカニグモ科の検索表は見つかったのですが、用語が分からないのと、外雌器と触肢に関するものばかりなので、ともかく採集しないと駄目です。この辺で、気持ちを入れ替えてクモを調べてみるかな。まずは、小さなクモから。それでも、クモが苦手な私にとってはかなりの決意が必要。勢いで「日本産クモ類」、注文してしまった・・・。



チャノウンモンエダシャク



「日本産カミキリムシ」には絵解き検索表が載っているので、一度、試してみたいと思っているのですが、まだ、やっていません。これは前胸背板中央に(たぶん)窪みがあるので、ムナクボカミキリ属か、オオクロカミキリ属になり、上翅翅端が丸いので、オオクロカミキリ。触角の長さから♂。というようなストーリーは描けるのですが、こんな写真なので、はっきりしたことは言えません。



最初、ナシケンモンかなと思ったのですが、斑紋をよく見ると、マダラウスズミケンモンの方みたいです。



これはいつもいるアオアツバ



これは私は初めてです。ナカグロクチバみたいです。南方系の蛾ですが、最近、あちこちで見つかっているようです。(追記2018/09/20:通りすがりさんから、「ナカグロクチバは2010年に長野県南部で見付けてますが、そちらで初見とは意外でした。この蛾の模様が好きなんですが、その後は一度見付けて逃げられただけ。今年は再会したいなあ。」というコメントをいただきました。初めてのような気がしたのですが、全然、初めてではなかったです。2009/06/29と2012/08/07に撮った写真が残っていました。模様が特徴的なのに、なぜ、そう思ったののかな。最近、標本を作らなくなったので、個々の個体に対する印象が薄くなってしまったのかもしれません



写真が悪いし、特徴はないし・・・。調べる気が起きなかった蛾です。



これはカバイロトガリメイガかな。



これもアオアツバ

雑談1)最近、いろいろな行事が重なって、意外に忙しいです。まずは、中学生のグループ学習のアドバイザーになってほしいと言われて、総合学習の授業に2度参加してきました。いくつかの斑に分かれて、特定のテーマについて議論して、学校の文化祭に発表するそうです。私が参加するグループは将来、この地域に「昆虫館」を作りたいといって集まったグループで、どんなことを考えているか興味があったのですが、昆虫について詳しい生徒はごくごく少数で、ほとんどの生徒は昆虫採集もしたことがないようで前途多難です。とりあえず、来週土曜日に昆虫採集と標本づくりを体験しようということになっています。

昨日は近くで自然観察会があり、その講師として行ってきました。前日まで雨で、当日も雨雲が垂れ込めていたのですが、幸い、雨は降らなかったので無事観察ができました。観察会が始まる1時間前に下見をしたのですが、チョウが数種、トンボが2-3種、後は、クズノチビタマムシやクロウリハムシ、アミメアリなど小さな虫ばかりで、虫は駄目かなと思ったのですが、小さなお子さんが数人来られていて、小さな虫を次々見つけ、これは何、これは何と聞かれるので、意外に楽しい観察会になりました。子供はむしろ小さな虫に興味があるのですね。小さなクズノチビタマムシを見つけたときにはびっくりしました。観察は1時間ほどにして、後は屋内でスライドで説明したのですが、こちらは大人用で、子供たちには退屈だったかもしれません。

廊下のむし探検 蛾ほか

廊下のむし探検 第1032弾

9月11日は午前中に「廊下のむし探検」を行って、その後、家の近くの道路わきの茂みで虫探しをしました。この間、約2時間。その間に約60種ほどの虫を見つけました。外で見つけた虫はすでに書いたので、今回はマンションの廊下で見つけた虫たちです。こちらは蛾が多かったのですが、それでも全部で30種ほどが見つかりました。



これは外横線が点状に途切れ、前縁と後縁が黒い点になっているので、おそらく、オイワケヒメシャクです。



こちらはツヤアオカメムシ。これから秋になってマンションでは数が増えてきます。昨年の10月初めにはこれが大発生して、あちこちでカメムシ注意報が出ました。今年はどうなるでしょう。



また、ひっくり返っています。こんなので大丈夫なのでしょうかね。たぶん、オオセンチコガネだろうと思ったのですが、一応、表向けて写してみました。



もう5年以上前になるのですが、このブログを始めてまもなく、オオセンチコガネとセンチコガネの違いがよく分からないと書いたら、近くにお住いの虫の先生から教えていただいたことがありました。その時の記事を見ると、

「原色日本甲虫図鑑II」の検索表によると、

センチコガネ・・・頭楯は短く半円形、前胸背板中央の縦溝は後半のみ、・・・
オオセンチコガネ・・・頭楯は長めで台形、前胸背板中央の縦溝は長く、中央前方に達する・・・

だそうです。この写真の個体は頭盾が丸いがやや長く伸び、前胸背板中央の縦溝は前方に伸びているので、たぶん、オオセンチコガネだと思います。頭盾がやや丸いのが気になりますが、写真の撮り方かなぁ。



これはマツノシラホシゾウムシか、ニセマツノシラホシゾウムシかというところです。これについても以前、調べたことがありました。この時は、ニセマツノ、マツノ、コマツノの可能性があって、小盾板の隆起条、前胸の形状、および、後腿節の形状で決めるのですが、どうもはっきりしない結論になってしまいました。それ以来、この手のゾウムシを見ると、マツノシラホシゾウムシ類ということにしています。



こちらはスジキリヨトウ



コブガも似たのが多くて困る仲間です。これはヨシノコブガか、シロフチビコブガというところですが、前縁中央の黒紋の一部が点として独立しているので、シロフチビコブガかなと思っています。ただし、「標準図鑑」によると、発生時期が年1化、6~7月というところが気になりますが・・・。



これはシロスジベニマルハキバガ。こういう小さくて綺麗な蛾は好きです。



これはヒメマダラミズメイガ



また、コブガです。これは斑紋がはっきりしていていいですね。シタジロコブガです。



外横線が明瞭なので、ウスキヒメシャクかなと思っています。



矢印の部分に三角形の鱗粉塊があるので、ブドウトリバの仲間です。ただし、イッシキブドウトリバとの区別がつきません。



これもウンモンクチバとニセウンモンクチバという似た種があり、区別がつきません。(追記2018/09/20:ささきさんから、「最後から4番目、破れたMocisはオオウンモンクチバだと思います。」というコメントをいただきました。確かに、外横線の形状を見ると、オオウンモンクチバみたいですね。ご指摘、どうも有難うございました



翅中央の紋がはっきりしないのですが、たぶん、シバツトガ



こちらはツトガだと思います。



最後は難問です。初め、ウスクリイロヒメハマキかなと思ったのですが、はずれ。次に候補に挙がったのはシロテンシロアシヒメハマキ。これも似ているようでちょっと違うような。次の候補に挙がったのはチャモンヒメハマキ。これも少し違うような。結局、よく分かりません。これで半分終わりました。残りは次回に回します。

家の近くのむし探検 アリ、ハエ、クモなど

家の近くのむし探検 第430弾

9月11日に家の近くにある道路脇の茂みで見つけた虫の続きです。今日は何だか分からないのが多かったですね。



最初はアミメアリです。この頃、よく見かけます。



チャバネヒメクロバエです。ずっと見ている感じがしたので、記録を見てみると、5月から10月初めまでずっと見ていました。



これはワキグロサツマノミダマシ



これはたぶん、マエキヒメシャク



こちらはハグロハバチに似ている感じです。



それにキアシナガバチ



ネコハグモが自分より大きなハエを捕まえていました。これはチャバネヒメクロバエかもしれませんね。





アリグモ類は2匹いました。これは両方ともアリグモみたいです。



これは以前、検索をしました。たぶん、トウキョウキンバエ



そして、アオバハゴロモ



これは何でしょうね。ウンカの仲間かなと思って、とりあえず、翅脈に名称をつけてみました。以前、ヒシウンカを調べたことがあったので、その時に倣ってつけてみました。



何となく、ウンカ科かなぁと思ったのですが、確信が持てません。何とか翅脈から科が分からないかなと思って文献を探してみたら、次の論文が見つかりました。

D. Shcherbakov, "Diagnostics of the families of the Auchenorrhyncha (Homoptera) on the basis of the wings. I. For wing", Entomol. Rev. 60, 64 (1982). (ここからダウンロードできます)

この論文は翅脈から科を調べる検索表が載っているのですが、この翅は前縁部と基部がよく見えないので、たぶん、駄目だと思います。一度、科の分かったもので試してみたいと思っています。



ジョロウグモがいたので、写してみました。外雌器は矢印の部分だと思うのですが、以前見たときより、まだ発達していないような気がします。



これはコガタコガネグモかな。





この気持ち悪いクモは何だろう。コガネグモの仲間みたいなのですが、「日本のクモ」で探しても見つかりませんでした。(追記2018/09/20:立西さんから、「ネット上の画像を見ただけなので恐縮ですが,最後の茶色いクモはコゲチャオニグモやヤマシロオニグモのオスのように見えます。」というコメントをいただきました。第4脚の帯模様を見るとコゲチャオニグモの方が似ている気がします。最近、オニグモでよく分からないのはたいていコゲチャオニグモか、その近くの種みたいです。こう図鑑と色が違っていると、どこを見てよいのやらさっぱり分かりません。検索表の載っている論文も見つかったのですが、♂の場合、ほとんどが触肢に関するものばかりです。唯一、属の説明を読んでいて分かったのは胸板に縦溝があるのがヒメオニグモ属、ないのがオニグモ属くらいです。この写真の個体は縦溝があるので、ヒメオニグモ属というのは合っているかもしれません



ちょっと透明がかった小さなカタツムリがいました。まだ、幼体かなと思ったら、5回巻いているのでもう成体のようです。「カタツムリハンドブック」で探してみると、近畿にいる種の中ではオトメマイマイというのが似ています。よく分かりませんが・・・。

家の近くのむし探検 カメムシ、ユスリカほか

の近くのむし探検 第429弾

9月3日に公園に行ったときに見た虫を忘れていました。虫はあまりいなかったのですが、これも記録なので一応出しておきます。





公園でまず見つけたのはこのキマダラカメムシの幼虫でした。これは5齢かな。



次はこのルリチュウレンジでした。



蛾もいました。これはヨスジヒメシャク



こちらはたぶん、ホソオビキマルハキバガ



それにオンブバッタ



時間がかかったのはこのユスリカでした。ツヤユスリカ属 Cricotopusは確かかなと思って、「図説日本のユスリカ」に載っている腹部の斑紋と比べてみました。



腹部の節に分けてみました。境目がよく分からないところは破線にしています。同じような斑紋を持っているユスリカにはフタモンツヤユスリカがいます。本によると、このユスリカは腹部第1と第4節、および、腹部末端が黄白色、第2節も黄白色で1対の黒色の明瞭な斑紋を持つとあります。最初の部分は良いのですが、第2節の黒色の斑紋が見えません。強いて言えば、矢印で示した部分に暗色の部分が見えるのですが、明瞭とは言えません。というので、今のところまだ?マーク付きです。





最後はハエトリグモで、両方ともネコハエトリだと思います。

家の近くのむし探検 カメムシ、甲虫

の近くのむし探検 第428弾

ネタがなくなったので、昨日、マンションの廊下と家の近くの道路脇の茂みの両方に行って虫を探してみました。全部で60種近く。なかなか整理がつかないので、とりあえず、道路脇の茂みで見つけたカメムシと甲虫を出すことにします。道路脇の茂みは半日陰で、歩道に向かって葉が出ているので、その葉の上を探すだけで、結構、虫を見つけることができます。ただ一つ欠点は、車が通るたびに風が起き、それがおさまるまでじっと待っていないといけないことです。虫が動き回り、葉が風で動くので、結局、ピントの合わないものだらけになってしまいましたが・・・。



これは茂みに行く前の歩道で動き回っていました。これは「日本産幼虫図鑑」に載っています。色合いから、オオホシカメムシの幼虫みたいで、翅の原基ができかかっているので、4齢幼虫かなと思います。





これはホソクビアリモドキだと思います。これまで、5-6月と9-10月に何度か見ていました。



これはタケトゲハムシ。これも5月~10月にかけて何度も見ています。



それにクロウリハムシです。これは5月から11月にかけてしょっちゅう見ています。



これはたぶん、マルカメムシ。ひっくり返っていたのですが、腹側を撮ることはあまりないので、撮っておきました。



これも、「日本産幼虫図鑑」に載っていました。マルカメムシの5齢幼虫です。



クサギカメムシの5齢幼虫。幼虫、多いですね。



それに、シロヘリカメムシ





とにかく、動き回るのでうまく撮れませんでした。触角が短いので、ダンダラテントウかなと思ったのですが、どうだか分かりません。



これはドウガネツヤハムシかな。



それから、カシルリオトシブミ。記録を見ると、6-7月が圧倒的に多くて、9月にもちょっとだけ見ていました。





これは両方ともホシハラビロヘリカメムシのようです。残りの虫は次回に回します。

虫を調べる ケブカハリアリ♂

9月3日にマンションの廊下で♂有翅アリを3匹捕まえました。調べてみると、みな同じ種でした。いつものオオアリ属ではないようなので検索をしてみました。



3匹のうち、どれを調べたのか分からなくなったのですが、とにかくこんな感じの♂アリです。♂アリは「日本産アリ類画像データベース」で属までの絵解き検索ができます。それで、早速調べてみました。結果はハリアリ亜科のフトハリアリ属になりました。



検索表の項目を書き出すとこんな感じになります。この10項目を調べればフトハリアリ属であることが確かめられます。それを写真で見ていきます。



体長は3.9mm。意外に小さなアリです。この写真では⑦の有翅であることを見ます。



次は頭部です。大顎は黄色の部分でしょうか。どうもはっきりしません。でも、①と⑤は共にOKだと思われます。口の上にある二つの孔はanterior tentorial pitで、昆虫の骨格に関係する孔だと思います。



これも頭部で少し上から見たところです。額隆起線もどうもはっきりしません。それで、②はOKです。



これは触角挿入部が大顎から離れているところを見せるために横から撮ったものです。



中胸背板には1対の溝がはっきり見えます。



腹柄節と前伸腹節に関する項目を集めたものですが、③、⑤、⑨、⑩はいずれもOKだと思われます。



これは腹部末端を背側から撮ったものです。亜生殖板は第9腹板のことなので、この写真ではよく分かりません。腹が曲がっていてうまく撮れなかったので、今回はパスです。それより、この長い突起が気になりました。



腹部第2節前板というのは矢印で示した部分だと思われます。これが見えているということで⑥はOKです。これで、ほとんどすべての項目を確かめたので、たぶん、フトハリアリ属 Pachycondylaで大丈夫そうです。

この属で近畿産はオオハリアリ、ナカスジハリアリ、ケブカハリアリの3種です。このうち、前2者については次の論文に♂アリの写真が出ていました。

T. Yashiro et al., "On the evolution of the species complex Pachycondyla chinensis (Hymenoptera: Formicidae: Ponerinae), including the origin of its invasive form and description of a new species", Zootaxa 2685, 39 (2010). (ここからダウンロードできます)

この論文はナカスジハリアリの記載論文になっているのですが、♂アリの体色は茶色から淡褐色、肢はアイボリーホワイトとなり、たぶん、これとは違います。また、オオハリアリの♂アリは何度か見たことがありますが、「日本産アリ類図鑑」によると象牙色なのでやはり違います。ということで、たぶん、残りのケブカハリアリかなと思っています。

ところで、「日本産アリ類図鑑」によると、フトハリアリ属は多系統群であったので、19属に区分されたということが書かれていました。これについては、次の文献に各属についてtaxonomic historyが載っているので調べることができます。

B. Bolton, "THE GENERAL CATALOGUE OF THE ANTS OF THE WORLD", ver. 3 MAY 2016.(ここからpdfが直接ダウンロードできます)

これによると、多くの属が20年ほど前にフトハリアリ属 Pachycondylaのjunior synonymとされたのですが、2014年にSchmidt & Shattuckにより、再び、属として独立させられたとのことです。日本産に限ると、オオハリアリ属 Brachyponera、トゲズネハリアリ属 Cryptopone、ツシマハリアリ属 Ectomomyrmex、ホンハリアリ属 Euponeraの4属が独立したことになります。ケブカハリアリはホンハリアリ属に属することになり、学名はEuponera pilosiorになりました。

検索に用いなかった写真があるのでついでに載せておきます。



触角は13節でした。



次は翅脈です。翅脈の名称はいつものように次の論文の名称を参考にしました。

K. S. Perfilieva, "Trends in Evolution of Ant Wing Venation (Hymenoptera, Formicidae)", Zoologicheskii Zhurnal 89, 965 (2010). (ここからダウンロードできます)



これは頭部を斜め前から。



これは前伸腹節と腹柄節。



それから、最後は腹部末端の突起を横から。

黒川の花2

朝の続きで、9月6日に川西市黒川で見つけた花です。



これはキンミズヒキ。ちょっとくたっとしています。






これはヒヨドリバナかな。まだ咲き始めです。



センニンソウはあちこちで咲いていました。





これはキクイモか、イヌキクイモ。



それにヤブラン



これはヌルデ





こちらはボタンヅル



田んぼの縁にはこのオモダカがずらっと並んでいました。



これはネムノキかなぁ。



これはたぶん、オオイヌタデ





家の近くでもそうだったのですが、今頃咲いているユリは横腹が赤紫色のタカサゴユリみたいです。

近々ある自然観察会のために植物のにわか勉強をしているのですが、なかなか覚えられませんね。

黒川の花

昨日の続きで、9月6日に川西市黒川を歩いた時に観察した虫と花で、今回は花です。毎年、この頃、自然観察会が開かれるのでその下見だったのですが、参加者は虫より花に興味を持っている方が多くて、いつも今頃になると植物のにわか勉強をしています。とりあえず、咲いている花の写真を写してきました。



まずはネコハギです。



それからヘクソカズラ



次が問題の植物です。ずうーっと前から何だか分からなくて困っています。





花みたいな部分の拡大で、上が表から、下が裏からです。下の写真の左側が花で、右は果実なのかしら。植物観察会のリーダーにも聞いたのですが、ツツジ科かなぁ、帰化植物かもしれないという答えでした。それで、「樹に咲く花」の合弁花、「日本帰化植物写真図鑑」の第1巻と第2巻をぱらぱら見ていったのですが、結局、見つからず。今日は平凡社の図鑑を最初から見ていこうと思っています。どなたかご存知の方はお教えください。(追記2018/09/12:だいぶ前に作った観察会用の図鑑もどきを見ていたら、同じような写真が載っていました。ヒメハギ科のヒメハギの実みたいです。何年かぶりに名前が分かったみたいです





これはトキリマメではないかと思っています。





どんぐりです。葉の半分くらいまで鋸歯なので、アラカシではないかと思っています。



カバが口を開けたような花はアキノタムラソウ



そしてこちらは蕚筒。



こちらはヤノネボンテンカ。「日本帰化植物写真図鑑第2巻」に載っています。南米原産で、園芸名は「高砂芙蓉」だそうです。



写真を撮ってきたものの何だか分かりませんでした。ただ、葉が重鋸歯なので、保育社の検索入門「樹木」で葉の検索をしてみました。その結果、ヤマブキではないかという結論です。(追記2018/09/20:一秋さんから、「ヤマブキの実 黒い実が4つ付いていますね。これはシロヤマブキの実ですね。山吹色のヤマブキは5数性、5枚の花弁を持ちますがシロヤマブキは4枚なんです。実も4つなんですね。」というコメントをいただきました。黒い実はシロヤマブキですか。確かに4個ですね。ヤマブキは5個。これはいいことを知りました。観察会でも使えそうです。どうも有難うございました



これは昨年名前を覚えましたキヅタです。目立たない花なのですが、昨年は虫がいっぱい集まっていました。花はこれからです。



こちらはゲンノショウコ



それからニラ



キツネノマゴも花を拡大してみました。



アカソが草本で、コアカソが樹木でしたね。これは葉の形からコアカソみたいです。先端と中ほどでは花の形が違います。それで、拡大してみました。





上が先端についている花でこれは雌花。下は雄花かと思ったのですが、実みたいな感じです。これで約半分が終わりました。残りは次回に回します。

黒川の虫

の近くのむし探検 第428弾

例年今頃になると川西市の黒川というところで、自然観察会を開いているのですが、9月6日の午後、その下見にちょっと行ってみました。この間の台風で、公民館の壁が落ち、扉が一つ開かなくなったり、民家の瓦が飛んだりと、あちこち被害が出ていました。自治会長さんの話だと森の中は木が倒れて歩きづらいの気を付けてくださいとのこと。それで、今回は畑の周辺だけを歩くことにしました。自然観察会なので、虫だけでなく植物も調べなければいけません。虫はあらかじめ見ていても、当日、何が出てくるか分からないので、気の付いたものだけ写真に撮って、植物は参加者に尋ねられてもよいように名前の分からない植物の写真をできるだけ撮っておきました(実は、ほとんど分からないのですけど・・・)。とりあえず、虫の写真の整理をしたので、載せておきます。



最初はこのキボシマルウンカです。私も初めテントウムシと間違えたくらいだから、こんなのが出てくると話のネタになっていいいですね。



ハマキガは難しいです。「日本産蛾類標準図鑑IV」で探したのですが、Olethreutes属らしいというところまでで、ぴったりとくる種が見つかりません。そこで、この属名で検索すると、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」の中の未同定Olethreutes属の中に何となく似た種がいました。とりあえず、Olethreutes sp.としておきます。



これも似た種が多いので、いつも迷うのですが、翅縁に向かってV字型の斑紋があるので、たぶん、ヒメツマキリヨトウではないかと思います。





薄暗いところにいたので、何の気なしに撮ったのですが、翅が交差したように面白い止まり方をしたガガンボでした。もう少しちゃんと撮っておけばよかったなと後悔しています。翅脈が見えるので、とりあえず、科の検索をしてみました。

「日本産水生昆虫」に載っている翅脈の名称を参考にして名前を付けてみました。Sc脈がR脈に合流しているみたいなので、たぶん、ガガンボ科は確かです。ここからが進みません。それで、ガガンボで画像検索をしてみたら、ちょっと似たガガンボが「一寸のハエにも五分の大和魂・改」という掲示板に出ていました。この中で、達磨さんがTipula strix Alexander, 1918に似ていると書かれていたので、strixの記載論文を探してみました。

C. P. Alexander, "NEW SPECIES OF TIPULINE CRANE-FLIES FROM EASTERN ASIA. (TIPULIDAE, DIPTERA.)", J. New York Entomol. Soc. 26, 66 (1918). (ここからダウンロードできます)

この論文の中に出ていましたが、絵がなくて、説明も殆ど色に関するものです。昔はこんな感じだったのでしょうね。標本さえ残しておけばよいという・・・。とりあえず、この写真で見える部分との比較をしてみました。ただ、Alexanderが論文を出した時点と翅脈の呼び方が変わっていると思うので、とりあえず、MNDに載っている(これはAlexanderが執筆)名称に変えておきました。


さらに、これとも違うと思われる部分をSc1→Scという具合に書き足しておきました。これを使って上の論文の記述と比較してみます。



まず、翅に関するものです。赤字はたぶん、間違いではないかと思ったところです。青字は先ほど書いた翅脈の名称の違いによるものです。比較するとたいていは合っていました。たぶん、strixに近い種というのは間違いないのではと思いました。ただ、△で書いた部分がr、m、cu室の中間部が淡く曇るとあるのが、この個体ではかなり濃い斑紋があります。



次は頭部と脚の色に関してです。これもだいたい合っていました。?は写真では見えないところです。脛節の色がはっきり見えないので、△にしておきました。斑紋や色はかなり合っていますが、若干、違うところも見られたので、この個体はTipula strixの近縁種ではないかと思いました。この種は亜属も決まっていなくて、はっきりしない種の様です。翅が交差するように止まるとはどこにも書かれていなかったのですが、どうなんでしょうね。



虫がいないので、トノサマガエルも撮っておきました。



池にはこんなウシガエルが。まあ、自然観察会なので、何でもありです。





ついでに拡大しておきました。





日陰に行ったらムラサキシジミがうろうろしていました。



しばらく見ていたら、芽に産卵をしていました。この植物、何だろう。どうも植物が弱いです。



コアカソにフクラスズメの幼虫がいました。



そして、これはチャバネアオカメムシ





キバナコスモスにクロアゲハが来ていました。翅がだいぶ傷んでいます。





ちょっと離れたヤブガラシにももう一匹来ていました。やはり翅が痛んでいますが、これは別個体です。

最後にトンボ池に行ってみました。



こんな羽化したてのイトトンボ類がいたくらいで、特に何もいませんでした。これはホソミイトトンボかな。



それで、ヤドリバエらしきハエをパチリ。

まだ、難解な植物がたくさん残っています。でも、ちょうどよい機会だから、植物の勉強もしてみます。結果は次回に。

虫を調べる ヒメトゲナシケバエ

9月3日にマンションの廊下でトゲナシケバエを見つけました。



対象とするのはこんな虫です。前にも調べたことがありますが、一応、念のために今回も調べてみました。その結果、ヒメトゲナシケバエ Plecia membranifera♂であることが分かりました。記録を調べてみたら、過去に何度も顕微鏡写真を撮っていました()。でも、検索表に従って検索をしたのは2014年8月の一回だけだったので、もう一度、やり直してみることにしました。検索表はいつものHardy and Takahashi (1960)を用いました。

D. E. Hardy and M. Takahashi, "Revision of the Japanese Bibionidae (Diptrera, Nematocera)", Pacific Insects 2, 383 (1960). (ちらからpdfを直接ダウンロードできます。以下、HTと略します)

ここに載っている検索表を用いてヒメトゲナシケバエに達するには次の5項目を調べればよいのです。



ただし、HTではトゲナシケバエ亜科 Pleciinaeだったのですが、現在ではトゲナシケバエ科 Pleciidaeになっているので、そのように変えています。これを写真で確かめていきたいと思います。



まずは全体像です。体長は折れ線近似で測り4.9mmになりました。①は前脚脛節端に刺があるかどうかですが、この写真のように刺はありません。だから、トゲナシケバエです。体長はちょっと範囲からずれていますが、まぁ、いいでしょう。



左右の複眼が中央で接しているのは♂の方です。この写真は②のために撮ったものではなかったのですが、この写真からでも接していることは分かります。



②はヒゲナガケバエを除く項目なので、②はOKです。触角は全部で9節でした。



これは中胸背板を示したものです。黄三角で示したように1対の溝があります。また、くすんだ黒であることも確かです。



次は翅脈です。翅脈の名称は「新訂原色昆虫大図鑑III」のハエ目の解説に載っているものを参考にしてつけてみました。MNDに載っているものとは翅の後半部分が違うのですが、検索はR脈に関するものだけだったので、たぶん、大丈夫でしょう。Rs脈はR2+3とR4+5に分岐しています。さらに、R2+3は斜めに分岐し、ほぼ直線的です。これで、①と③はOKです。



これは腹部末端を背側から写したものです。腹部第9背板はU字型になっています。ただ、膜状というがどれを指しているのかはよく分かりませんでした。とりあえず、これで、すべての項目を調べたので、ヒメトゲナシケバエ Plecia membraniferaであることは確かそうです。



ついでに腹部末端を腹側から撮ったものも載せておきます。ケバエ類は調べれば名前は何とか分かるのですが、ぱっと見ただけではほとんど区別がつきません。生態写真でも分かるようになるとよいのですけど。

廊下のむし探検 ケバエ、ゴミムシダマシほか

廊下のむし探検 第1031弾

9月3日にマンションの廊下で虫探しをした結果の続きです。



今回はこのトゲナシケバエからです。この間から、ちょくちょく見るので、一度、調べておこうと思って採集しました。ちょうど、♂だし・・・。検索にはいつものようにHardy and Takahashi (1960)に載っている検索表を用いました。

D. E. Hardy and M. Takahashi, "Revision of the Japanese Bibionidae (Diptera, Nematocera)", Pacific Insects 2, 383 (1960). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

その結果、Plecia membraniferaになりました。この種は以前にも調べたことがあります。♂の腹部末端の構造が独特なので、これを見るだけで種が分かります。一応、顕微鏡写真は撮ったので、詳細は後程報告するとして、とりあえず、その腹部末端だけを載せておきます。



これは腹側から撮ったものですが、こんな感じです。「日本昆虫目録第8巻」によると、この種の和名はヒメトゲナシケバエ(改称)となっていました。また、Hardy and Takahashi (1960)には5月発生となっていますが、これまでの記録を見ると、この辺りでは5月と8月の2回発生しています。





次はこの間からマンションをうろうろしている甲虫です。先日、立西さんから、フトヒメツノゴミムシダマシだと教えていただきました。その際、むし社の「日本産ゴミムシダマシ大図鑑」を紹介していただきました。高価なのでどうしようかと迷っていたのですが、結局、注文して、先ほど届きました。この個体は採集したので、ちょっと顕微鏡で覗いてみたのですが、フトヒメツノゴミムシダマシ Toxicum morii♀で間違いなさそうです。ただし、図鑑には検索表が載っていないので、ちょっとはっきりしません。さらに、♀の記述が少なくて困ります。それで、記載論文も探してみました。この図鑑には文献リストが載っているのでその点では便利です。

K. Masumoto and K. Akita, "New or little-known Tenebrionid Species (Coleoptera) from Japan (6). Two New Species from Honshu and Ishigaki-jima Island", Entmol. Rev. Japan 63, 35 (2008). (ここからダウンロードできます)

まだ、詳しく読んではいないのですが、この種はヒメツノゴミムシダマシ属の一種Cryphaeus moriiとして記載されていました。どうしてそうしたのか、その辺りにちょっと興味があります。ただし、記載論文にも♀の記述はごく僅かでした。







♂アリも調べてみようと思ってこの3匹を捕まえました。先ほど調べてみたのですが、実に、みな同じ種でした。「日本産アリ類画像データベース」に載っている♂アリの属の検索表ではフトハリアリ属になったのですが、たぶん、ケブカハリアリ Pachycondyula pilosiorではないかと思っています。この種については以前、採集して調べたことがありました。この時は、近畿地方に生息するフトハリアリ属として、オオハリアリ、ナカスジハリアリ、ケブカハリアリの3種が最終的に候補に残ったのですが、ケブカハリアリだというコメントをいただきました。今回もおそらくそれと同じではないかと思います。これについても写真を撮ったので、今度まとめて出すことにします。



これはヤミイロカニグモ



スグリゾウムシ



サビキコリ



この♂アリは採集し忘れたのですが、外見からは以前交尾器の写真を撮った♂アリと同じではないかと思われます。私はこの♂アリをオオアリ属?sp. A ♂と記録しています。



これはヒメホシカメムシ



最後はウスバカゲロウの仲間です。このように翅に模様のないウスバカゲロウにはウスバカゲロウとコウスバカゲロウの2種がいます。この2種の違いについては以前書きました。それによると、これはウスバカゲロウの方みたいです。

廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第1030弾

最近はあまりの天災の多さに、気持ちの上で、おちおち「むし探検」をしている場合ではなくなってきました。今朝も午前2時にスマホから土砂災害警戒情報のけたたましい音が鳴り、つづいて2時40分には再び緊急速報、さらには、朝6時にはそれらが解除されたという緊急速報が鳴りました。前にも書いたのですが、解除のときはけたたましい音は要らないって。すっかり寝不足です。

近頃は天気も悪いし、ネタがなくなったら虫探しに行くことにしています。今日は9月3日にマンションの廊下で見つけた虫についてです。まずは蛾からです。



まずは厄介なヒメシャクです。あまり特徴はないのですが、外横線がやや途切れ途切れなのと、前縁と後縁近くが濃くなっているので、オイワケヒメシャクかなと思っているのですが、自信はありません。



これはキオビベニヒメシャク。いつも思うのですが、どうしてこの蛾は艶があるように写るのでしょう。



これは迷いました。鱗粉が取れていてはっきりしないからです。触角が2本後ろに伸びているので、メイガ。それに翅形が何となくフトメイガ。そう思って見ていると、何となく模様が見えてきます。ナカアオフトメイガ辺りかなと思うのですが、よくは分かりません。



これはキスジツマキリヨトウ



これは外横線の曲がり方からマエキヒメシャクかなと思ったのですが、全体に白いのでやはりギンバネヒメシャクかなと思ったり。たぶん、後者。





ウスイロギンモンシャチホコですね。銀紋をはっきり写そうと思って向きを変えて写したのですが、駄目でした。これについては以前調べたことがあります。三角形の銀紋の真上か真下方向から写すと綺麗に写るのでした。これはちょっと高いところに止まっていたので、こんな感じがやっと。



ヤネホソバの幼虫?



マエシロモンキノカワガ



これはシバツトガ



これはハガタベニコケガ。ここまでが接写で撮ったもの。次からは望遠で撮りました。



これはスジキリヨトウ



それにウスオエダシャク



私の苦手な大型蛾がいました。ヤママユです。ちょっと高いところに止まっていたので、その下をそっと通り抜けました。



そうしたら今度は床にオオミズアオ。これも大きくて苦手です。これも横をさっさっと通り抜け・・・。



そうしたら、今後はアゲハモドキ。このくらいの大きさの蛾なら平気になりました。それにしても、アゲハによく似ています。前翅の開き具合まで。アゲハ類は確かにこんな感じで止まりますね。でも、横向きには止まりませんけど。



最後は天井近くに止まっていたので、こんな角度になりました。たぶん、クビワシャチホコです。他の虫は次回に回します。

家の近くのむし探検 花

の近くのむし探検 第427弾

8月29日に以前小学校の校外学習が行われた山の中腹の畑の周辺に行ってみました。虫はすでに報告したので、残りの花についてです。





これはノアズキです。ぐにゃっと曲がっているのは竜骨弁です。





これはこの辺でよく見かけるアレチヌスビトハギだと思います。





この日はこのハッカの名前を調べることが目的でした。帰化ハッカ類の検索表は長田武正氏の「日本帰化植物圖鑑」に載っています。それを使って調べてみると、ナガバハッカ Mentha longifoliaではないかという結論になりました。違っているかもしれませんが・・・。



検索表ではこの順で調べていきます。まず、①は上の写真でよく分かります。②については、花輪の下の包葉は最下花輪を除いてほとんど分かりません。



これは花輪を下から撮ったものですが、最下花輪の下の包葉でもこんな細長くて小さくなっています。それで、たぶん、②もOKだと思われます。



最後の③の蕚筒はこの写真で分かります。毛が密生しています。また、葉は上の写真で見ると無柄のように見えます。ということでナガバハッカにしたのですが、どうでしょうね。





これはアカメガシワです。アカメガシワは雌雄異株でこれは雄株の方です。



これは池で咲き始めていたヒシの花です。





休耕田で山ほど咲いていたのはアメリカコナギみたいです。







最後は畑で咲いていたトサカゲイトウでした。

家の近くのむし探検 甲虫、蛾など

の近くのむし探検 第426弾

台風上陸で虫の名前調べがすっかり滞ってしまいました。8月29日に以前、小学校の校外学習で行った山の中の畑周辺に行ってみました。実は、ハッカの名前が分からなくて、この日はそれを調べに行ったのですが、肝心のハッカの方はまだ分からないので、その時に見た虫から片付けていきます。







この手のハムシがいると、いつもニレハムシと言っていたのですが、どうも怪しいなという気がしてきました。「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」に載っているPyrrhalta属の検索表によると、ニレハムシに到達するには、

①触角は末端節近くでは長さは幅の約2倍、またはそれよりやや短い、
②上翅は側縁に沿って基部より末端へ細い隆起条を欠く、
③触角第3節は第4節に等しいか、やや短い、
④一般に暗赤褐色;前胸背板に3黒色紋を装う

という4項目をクリアする必要があるのですが、上の写真では末端節が細長そうな個体とそうでない個体、上翅側縁に沿った隆起線は皆ありそう、触角第3節は第4節よりやや長い個体や同じくらいの個体が見られます。一度、ちゃんと調べてみる必要がありそうです。実は、ニレハムシらしき個体については以前も調べたことがあるのですが、いつものもやもやで終わっていました。このほか、Pyrrhalta属については、アカタデハムシサンゴジュハムシについても調べたことがありました。今度、採集してきて調べてみます(どうも調べなけりゃいけないのが多すぎる。言い換えれば、どれも分からない・・・)。



次はアカイラガ



それにイボバッタ



それから、ナミガタチビタマムシ



この日はどんな天気だったのか、忘れてしまったのですが、チョウが日陰でじっとしていました。それで、接写で撮れました。コチャバネセセリ



イチモンジセセリ



それから、蛾のキスジホソマダラ



これはハムシダマシ。触角の末端節がやけに長いですね。





ハラビロヘリカメムシとホシハラビロヘリカメムシという似た種がいます。ハラビロは触角第1節が短く、複眼を含む頭幅より短く、第2,3節は扁平な三角形状。一方、ホシハラビロは触角第1節が頭幅より長く、第2,3節は円筒状です。この個体で触角第1節の長さを測ってみると、頭幅を1として、1.27になりました。さらに、ちょっと角度を変えた撮影でも触角第2,3節の幅は変わりません。ということで、ホシハラビロヘリカメムシだと思われます。ホシハラビロヘリカメムシの"ホシ"は角質部の黒色紋が明瞭なことからついているのですが、ハラビロも弱いながらもあるので、黒色紋だけでははっきりとは分からない場合が多いのではと思います。



これはマドガ。蛾と言えど、昼行性のものは本当に綺麗ですね。



このハエは腹部末端に毛が多いので、ヤドリバエの仲間かな。



最後はこんな毛虫です。「日本産幼虫図鑑」を見ると、モンクロシャチホコかなと思います。食草はバラ科だそうです。この図鑑、買ったときはやや散漫な感じに見えて、無駄なものを買ったかなとちょっと後悔したのですが、意外に役立っています。

雑談1)今日は近くの中学2年生の授業に呼ばれました。グループ学習で、その中の1グループがわが町に昆虫館をと言って活動しているのでアドバイスをくださいとのことです。最近の子供で昆虫に興味を持つ子がいるなんてびっくりしました。取り合えず、学校で開かれる文化祭に展示をするとのことです。果たしてどんなことを考えているのかな。楽しみにしています。私もわが町では「虫のおじさん」としてすっかり定着したようです。

雑談2)手作り図鑑、ちっとも進んでいません。昨日、ともかく蛾1000種に学名を入れました。この間から、こんな細かいことを書いた図鑑を誰が見るのだろうかという、一般の方の興味との乖離に悩んでいます。製本するのなら読み手を考えなければならないので、それなら、人が喜んで見てくれるような簡単な図鑑の方が地域版図鑑としてはよいだろうし・・・。一方、検索方法まで入ったような図鑑だと専門にやっている人しか見ないだろうし、そういう方はこんな素人の書いたものには興味ないだろうし・・・。結局、自分用に作るしかないなと思った途端、モーティベーションが下がってしまいました。悩んだ挙句、最終的には、ネットに上げてこのブログを見てくださる方に利用していただければよいのではと思うようになりました。これで、ちょっとだけモーティベーションが上がりました。今使っているフリーのホームページはファイルサイズ3MBが最大なので、どうやって上げるかというのが問題として残っていますが・・・。
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