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虫を調べる ♂有翅アリの交尾器

この間からマンションの廊下に羽アリがいっぱい来ています。何とか名前を調べたいなと思って写真を撮るのですが、そもそも同じ種なのか別の種なのかも判断ができません。採集して検索をしても、♂有翅アリは属まで、♀有翅アリは種まで行けそうですが、非常に怪しげです。

せめて同じ種なのか、違う種なのかだけでも分からないかなぁと思って、♂有翅アリの交尾器を調べてみました。対象としたのは7/9、7/12に採集した各1匹、7/28に採集した2匹の合計4匹です。いずれも、ティッシュペーパにエナメルリムーバーを染み込ませて、六本脚で売っているスミロンチューブに入れて作った毒瓶に入れておきます。こうすると適当な水分量があるので、7/9に採集したアリもそれほど乾燥しないので、肢や翅なども動かすことができます。



最初は7月9日に採集したこの♂有翅アリです。日本産アリ類画像データベース」に載っている♂アリの検索表で調べてみると、オオアリ属になったのですが、顕微鏡写真を撮ったのでもう一度確認してみます。(追記2018/08/03:先ほど、顕微鏡写真を確認したら、後胸側腺の開口部が開いているようないないような、はっきりとはしません。開いているとすればケアリ属、不明瞭だとするとオオアリ属。今のところ、両方を留保しておきます



腹部末端の写真がこれです。これは腹側からの写真です。複雑な構造が見えていますが、それぞれの名前が分からないかなと思って文献を探してみたら、次の論文を見つけました。

B. E. Boudinot, "The male genitalia of ants: musculature, homology, and functional morphology (Hymenoptera, Aculeata, Formicidae)", J. Hymenoptera Res. 30, 29 (2013). (ここからダウンロードできます)

この中に絵が載っていてそれと突き合わせて分かった名称を図に書き入れてみました。それぞれの略称の意味は次表の通りです。



実は論文では背側からの写真で対応がよく分からないものが沢山ありました。他の論文を見ても背側からの絵が載っているので、背側から撮らないと駄目だったみたいです。今度、もう一度撮ってみます。日本産アリ類画像データベース」の「用語の解説」欄には亜生殖板の形も分類に用いられると書かれていました。従って、腹側からも写さないといけないみたいです。とにかく、こんな複雑な構造なので、種によってきっと異なるだろうと思って他の個体も調べてみました。



次は7月12日採集したこの個体です。この個体については以前、各部の顕微鏡写真を出しました。その時はオオアリ属だということになったのですが、腹部末端の写真を撮っていなかったので、今回改めて撮ってみました。



これがその写真です。これは10倍の対物レンズで撮っています。やはり腹側からです。形がだいぶ違います。また、亜生殖板も形が違います。種が何かは分かりませんが、とりあえず同じ種かどうかくらいは見分けられそうです。



これは7月28日に採集した少し大きめの個体です。検索してみると、やはりオオアリ属になりました。



形はだいぶ違います。なかなかいい調子ですね。



最後は小さな♂有翅アリです。7月28日に採集しました。検索してみると、今度はケアリ属になりました。オオアリ属と異なるところは前伸腹節に後胸側腺の開口部がはっきり見られるところです。



これはかなり複雑です。亜生殖板も中央でくぼみがあるようなないような奇妙な形です。

これから♂有翅アリを採集したら、とりあえず腹部末端の写真を撮るようにしようと思います。少なくとも同一種かどうかぐらいは分かるかもしれません。これで少し楽しみが増えました。
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