廊下のむし探検 甲虫、羽アリ
廊下のむし探検 第1018弾
7月25日にマンションの廊下で見つけた虫の続きです。
廊下を歩いているとこんな風にひっくり返っている甲虫をよく見かけます。なんで、自分で起き上がれないのだろう。そんな風に思いながら、でも腹部を撮影するチャンスだと思って撮りました。一通り写したので、元に戻してやりました。
表はこんな感じでした。ハナムグリの仲間ですね。シロテンかなと思ったのですが、一応調べてみようかと思って、「日本産コガネムシ上科標準図鑑」に載っている検索表で調べてみました。
検索してみると、♂交尾器に関するところが多くて、そもそも♂なのか♀なのかも分からないので、いろいろな可能性を残すと上のような感じになりました。つまり、Liocola亜属、Calopotosia亜属、Pseudocalopotosia亜属の3亜属が残ってしまうのですが、本州産にだけ限ると、Liocola亜属のシラホシ、ムラサキツヤ、ミヤマオオ、それに、Calopotosia属のシロテンが残ります。一応、分かるところだけ見ると次のようになります。
まず、ひっくり返った写真から、後基節が接していることが分かります。
また、中胸腹板突起がこんな形をしていることも分かります。
また、元に戻した写真から、前胸背板後縁に湾入があること、それに、中・後脛節に矢印で示したような2段刻があることが分かります。
さらに、前脛節は特に異常が見られません。ということで、上の4種に絞られるのですが、実はLiocola亜属の3種については後脛節がいずれも1段刻です。この個体は2段刻なので、やはりシロテンハナムグリだろうということになります。さらに、♂は前脛節の外歯の第3歯が不明瞭で、腹部中央が凹圧されるということなのですが、これはそんなことはないので♀なのかなと思いました。
ついでに頭盾の写真も撮ったので載せておきます。
こんな感じでした。
このクモの巣で巻かれたカメムシはイネカメムシの様です。「廊下のむし探検」初登場なのですが、こんな格好ではねぇ。
羽アリがいました。共に♀有翅アリです。今度こそ調べてみようと思って、採集しました。そして、先ほど検索してみました。まだ、怪しいところが多いのですが、上はイトウオオアリでまず間違いないのではと思いました。下の検索結果はクロヤマアリ隠蔽種群になったのですが、「日本産アリ類図鑑」に載っている検索表ではオオアリ属をヤマアリ属などから分ける項目が中胸気門の位置で行うのですが、有翅アリでは翅があってその部分がよく分かりません。それで、オオアリ属の可能性とヤマアリ属などの可能性の両方を残したまま検索をしていき、片方が完全に否定されるまで調べないといけないので、かなり煩雑になります。もう少し調べてみます。(追記2018/07/30:先日来、羽アリを調べているのですが、上はどうやらオオアリ属のクサオオアリではないかという結論になりました(詳細はこちらとこちら)。下は同じくオオアリ属のウメマツオオアリかもというところまで来ています。黒い羽アリでオオアリ属とヤマアリ属は腹部背板の密な軟毛の有無で見分けられそうです。軟毛があればヤマアリ属、なければオオアリ属という風に)
これはたぶん、ヒレルクチブトゾウムシ。
マメコガネ。
ハナノミの仲間。天井に止まっていたので、ちょっと遠くて詳しくはよく分かりません。
最後も天井に止まっていたのですが、ウスモンツツヒゲナガゾウムシ♀のようです。これで25日分の整理は終わりました。
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