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京都府立植物園で虫探し

5月25日に家族と京都府立植物園に行ってきました。約2年ぶりです。以前はよく行っていたのですが、右目が見えにくくなったり、足を骨折したりして、すっかりご無沙汰になってしまいました。車を駐車場に入れて、まずは腹ごしらえで北山通りにあるパン屋さんで食事をしました。やはり北山通りのお店は美味しいですね。植物園に入ってから、家族と分かれ、私は生態園で虫探しをしました。ここは野草が植えてあるところで虫探しにはもってこいのところです。



まずはヒメカツオブシムシを見つけました。(追記2018/06/02:通りすがりさんから、「メマルカツオブシムシがヒメになってますね。」というコメントをいただきました。ヒメカツオブシムシは全く外見の異なる種です。うっかり間違ってしまいました。ご指摘、どうも有難うございました



それからマミジロハエトリです。このあたりの虫は家の近くでもよく見かけます。

林の中を歩いていると、上からちょっと大きめのクモがぶら下がっていました。風に揺れて、また、糸の周りをぐるぐる回るのであまりうまく撮れなかったのですが、とりあえず撮ってみました。





家に戻ってから、「日本のクモ」で探してみたのですが、なかなか見つかりません。結局、また、ネットに頼ることになりました。たぶん、カニグモ科のワカバグモのようです。調べてみたら、実は、昨年の5月22日にマンションの廊下でも見ていました。色がだいぶ違っていたので気が付きませんでした。



葉っぱの上に小さな黒い点があるなと思って拡大したらこんな虫でした。ミズギワカメムシの仲間です。「日本産水生昆虫」に載っている検索表で検索してみようと思ったのですが、触角も脚も見えないので途中で挫折です。たぶん、死んでいたのかな。





上と下は別の個体ですが、こんなクモがいました。たぶん、幼体だと思います。こんな風に茶色の帯があるクモにはイオウイロハシリグモのスジボケ型、ババハシリグモ、スジボソハシリグモ、スジブトハシリグモ、スジアカハシリグモがいます。前3者の帯は細いので、これは後2者のうちのどちらかだと思われます。この両者は腹部背面に白点列があるかないかで見分けられます。これについては以前にも書きました。この個体は両方とも白点列が見えるので、たぶん、スジブトハシリグモだと思われます。



ちらっと見えたこのカメムシはムラサキシラホシカメムシではないかと思います。



これはミカドトックリバチ



小さなハチですが、科もよく分かりません。何となく、触角が変わった感じですが・・・。



これは家の近くでも見たことがあります。たぶん、カタビロサビウンカの幼虫。



これはエゾホソガガンボ♀。これも最近よく見ます。



腹部がやけに大きいのですが、これもヤミイロカニグモなのかなぁ。



すぐ近くの枝にヤマガラが止まりました。あまりに近すぎてカメラのピントがなかなか合いません。やっと撮ったらこんな姿でした。



それからホシミスジです。この日は特に暑くて、京都の最高気温は31.9度。林の中を歩いていたので、直射日光は当たらなかったのですが、風が吹かないので、むしむしした感じでだんだんバテてきました。



それで、こんな涼しそうな休憩所で一休み。風が吹きぬけて大変さわやかでした。



気を取り直して水を溜めてある池でイトトンボを撮りました。たぶん、クロイトトンボですね。





連結しているカップルもいました。たぶん、産卵しているのでしょうね。



最後はシオカラトンボです。家族はこんな暑さでも元気に歩き回っているのですが、私の方はもっぱら日陰で休憩でした。花も少し撮りました。でも、次回に回します。
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家の近くのむし探検 花、ハチ、クモなど

の近くのむし探検 第390弾

5月24日にいつもの林の入り口の道と道路わきの茂み、それに、川の土手にある作業小屋で虫探しをした結果の続きです。最近は場所を決めて、そこばかりをじっくりと探すことにしています。歩き回るよりはよほどたくさんの虫が見つかります。



また、見た順です。これはハナウドが咲き始めたところを撮ったものです。虫を撮るときと同様に、「影とり」をしてフラッシュをたいて撮ったので、まるで夜の撮影みたいになってしまいましたが、花だけが明るくなってちょっと幻想的な写真になりました。



これはヒメバチだと思うのですが、捕まえないと亜科も分かりません。でも、今は「図鑑もどき」作りで忙しいので、検索はちょっとお休みです。



バッタの幼虫ですが、何だか分かりません。



腹部に光沢があります。「ハエトリグモハンドブック」に載っている検索表に従えば、メス→腹部に光沢がある→胸部は強く盛り上がらないでアリグモ♀の光沢のある個体になりました。



同様にこれは、オス→頭胸部の側面に白線がない→上顎は頭胸部より長いことで、ヤサアリグモ♂になりました。



次はこのハチです。ちょっと変わった翅脈をしているので、それを手掛かりに調べたのですが、結局、ギブアップ。



このハエもよく分かりません。





イボタノキの花が咲いていました。そういえば、一昨年にはイボタガを見たのでしたね。



これもアリグモ♀の光沢のある個体みたい。アリグモが多いですね。



イネ科の花が咲いていたので写しました。ホソムギとネズミムギという似た種があるのですが、芒が長いので、ネズミムギかなと思いました。でも、山渓の「野に咲く花」によると、両者の間には雑種が多く、中間的なものをホソネズミムギまたはネズミホソムギというそうです。これはどうなのでしょう。





このアリグモは検索表では、メス→腹部に光沢がない→頭胸部側面の白線は明瞭→腹部でもっとも広いのは中央付近→腹柄は長いことでヤガタアリグモ♀になりました。この検索表、意外に便利です。



これはヘリグロハナレメイエバエでしょうね。(追記2018/06/03:イエバエ科ハナレメイエバエ亜科のヘリグロヒメハナバエでした



これはユスリカみたいなのですが、何でしょうね。「日本のユスリカ」の図版を見たのですが、分かりませんでした。



これはシラヒゲハエトリ



それにホオズキカメムシ



以前、土手にある小さな穴に出たり入ったりするハチがいて、採集して調べたことがありました(詳細はこちらこちら)。その時は、オクエツヤドリコハナバチかなというところまで達しました。土の中で卵を産むコハナバチ科やヒメハナバチ科の巣に入り込み、卵を産んで蓄えられた餌を横取りしようという盗み寄生をするハチでした。またいないかなと思って探していたらやはりいました。今回は採集しないで観察だけです。たぶん、以前調べたのと同じ種ではないかと思われます。





ところで、見ていたらもっと小さくて細長いハチなのですが、腹部が同じように赤くて、同じように穴に入ったり出たりするハチが見つかりました。壁を素早く動き回るので、網を構えていたのですが、結局、採集できませんでした。これはコハナバチではなくて、ヒメバチとかみたいですが・・・。何か面白そうですね。





最後は畑に隅にあったアメリカオニアザミです。もうすぐ花が咲きそうです。

雑談)この間、小学校で話をするついでにお土産として、この辺で見つけた虫の写真を載せた「図鑑もどき」をもっていきました。その時は蛾がまだできていなかったのですが、その後、ついでだからと思って蛾の「図鑑もどき」も作り始め、シャクガとヤガが終わりました。残るはミクロだけです。先が見えてきたので、折角だから、幼虫も入れようかとか、♂♀に違いのあるのは入れておこうかと、だんだん欲が出てきました。いつもこんな風に途中で変えていくので、いつまでたっても終わらないのですけど・・・。

家の近くのむし探検 蛾と甲虫

家の近くのむし探検 第389弾

5月24日にいつもの林の入り口の道と道路沿いの茂みで虫探しをしました。この日も虫は30種ほどいたのですが、それに植物4種を加えるとかなりの数になりました。



最初がこんな毛虫の写真じゃあと思ったのですが、見た順に載せようかと思って敢えて載せます。



結構、大きかったのですが、この黒い台形模様を見るとすぐに分かります。たぶん、キバラモクメキリガの幼虫でしょうね。地面に這いつくばりながら、下から撮っていたら、通りすがりの方が何かいるのですかと聞かれ、この毛虫ですと言ったので、たぶん、呆れられておられたと思います。何の葉だか調べてくればよかったのですが、忘れてしまっていました。



これはハナウドに来たミダレカクモンハマキではないかと思います。





こんな曲芸に興じているのはジョウカイボン



雰囲気、クシコメツキみたいですが、よく分かりません。



すぐ横にいたキスジホソマダラ。最近、よく見ますね。



これもよく見るハムシです。キベリクビボソハムシ



これはクロコガネの仲間です。これも似た種がいました。クロコガネとマルオクロコガネです。前胸背板後縁の点刻を見れば見分けられるというので、以前、調べたことがあります(クロコガネマルオクロコガネ)。これもその部分を拡大してみました。



はっきりとは分かりませんが、後縁中央で点刻がなさそうな感じです。だとすると、クロコガネかな。



このヒメテントウもよく見ます。コクロヒメテントウかなと思っているのですが、よくは分かりません。「原色日本甲虫図鑑III」にはScymnus (Pullus)の検索表があるのですが、この写真だけから判断すると候補がたくさん出てきます。アラキヒメ、ナガヒメ、コクロヒメ、カワムラヒメ、タカバヤシヒメなどです。コクロヒメテントウの項を見ると、「上翅端の淡色部は明瞭で、その前縁境界は前方に弧状に突出する」とあります。淡色部は会合部が少し凹んで両側が前方に突き出しているような感じですが、これが「弧状」の意味なのかな。よくは分かりません。



これはドウガネツヤハムシ



この蛾にだいぶ時間がかかりました。コブガであることは確かなのですが、「標準図鑑」を見てもすぐには分かりません。結局、ネットで調べて、たぶん、クロスジコブガかなと思っています。



ヒメシャクはよく分かりませんが、これはギンバネヒメシャクかな。



茂みを離れ、用水路脇に建っている作業小屋に行ってみました。その壁にゲンジボタルが止まっていました。そろそろ蛍の季節なのですねぇ。





ついでにいろいろな方向から撮りました。



これはこの間から見ているチビヒゲナガハナノミでしょうか。





これはコクゾウムシです。この間から、「図鑑もどき」を作っているのですが、コクゾウムシはゾウムシ科とばかり思っていたら、オサゾウムシ科だったのですね。ちっとも知りませんでした。(追記2018/06/02:ada*****さんから、「コクゾウムシではなくヒメゾウムシの類いだと思います。ゾウムシも種類が多くて難しいですよね。」というコメントをいただきました。以前、コクゾウムシだと思って撮った写真と比べるとやはりちょっと違うようです。ヒメゾウムシもなかなか厄介みたいですね。図鑑を見ると、Baris属のクワヒメとかエゾヒメあたりが似ている感じですが、採集しなかったのでよく分かりません。今度見つけたら採集して調べてみたいと思います。貴重なコメント、どうも有難うございました



最後はたぶん、ニジュウヤホシテントウです。これで半分ほど整理が終わりました。続きは次回です。

ついでに5月25日、マンションの廊下で写した虫も載せておきます。



ずいぶん派手なシデムシで、ヨツボシヒラタシデムシです。初めて見ました。

家の近くのむし探検 甲虫とハエ

家の近くのむし探検 第388弾

5月20日に公園で見つけた虫の整理が終わっていませんでした。最近は一度観察に行くといつも30-40種の虫を見つけるので、後の写真整理が大変です。おまけに毛虫の毛まで調べたりするもんだから・・・。今回は残っていた甲虫とハエです。





これは公園に行く途中、マンションの廊下で見つけたものです。前胸背板に4つの白紋があるので、たぶん、ムーアシロホシテントウですね。今回は綺麗に撮れて満足です。



公園に行く途中の道沿いのクズにクズノチビタマムシがいました。普通はクズの葉に幾何学的な食べ跡を残すのですが、この写真ではずいぶん派手に食べてしまっています。



これも途中の石垣で見つけたオオクロホソナガクチキです。



公園での虫探しの第1匹目はこのナナホシテントウの幼虫でした。



次はこのハムシです。触角が長いのでヒゲナガウスバハムシだと思っているのですが、たぶん、いつか採集しているので一度調べてみたいと思います。最近は小学校へお土産にと持っていった「図鑑もどき」の続きを作っていて、検索する時間がなかなかありません。「図鑑もどき」は残っていた蛾に取り組んでいるのですが、土曜日にシャクガ科が終わり、昨日はヤガ科に入ったところです。蛾は1000種もいるので、写真を貼り付けるだけでも大変です。でも、図鑑のように並べてみると、怪しいのも多いですね。一度、印刷してじっくり見ないと駄目ですね。



脱線してしまいましたが、次はこのキンバエです。キンバエについてはこれまで何度か検索を試みたことがありました(こちらこちらこちらも)。検索表はあるのですが、R脈の基幹部の毛というのが生態写真ではなかなか写らないのでいつももやもやしています。かといって、こんなに大きいと採集するのはちょっと抵抗があって・・・。元来、虫が怖かった方なので・・・。





この黒いツヤツヤのユスリカは前から気になっています。ツヤユスリカ属ではないかなと思うのですが、今度は小さすぎてなかなか採集して調べる気力が起きません。「図鑑もどき」が終わったら、一度、やってみたいなと思っています。



これはたぶん、クロバネキノコバエの仲間ではないかと思います。花粉がついているので、訪花もするのかな。いつもマンションの廊下で見ているので、野外での活動をまったく知りません。



このガガンボは以前調べたことがあります。その時はエゾホソガガンボ Nephrotoma cornicina cornicinaになりました。その時は♀だったのですが、これも♀のようです。♀は尾角の形も検索表に入っていました。そちらも撮ればよかった・・・。



また、ハエを撮ってしまった・・・。M1脈が前縁側に少しだけ曲がっているので、イエバエ科かヤドリバエ科か。



ヒメクロオトシブミです。面白い形なのでいつも気合を入れて写すのですが、これは複眼がちょっとピンボケ。なかなかその場では分かりません。



アシナガバエの仲間です。昨日、冷凍庫に入れていた吸虫管を整理したら、3匹も入っていました。一度、調べたいなと思うのですが、最近、なかなか時間が取れない。



最後はこの間もいたヒメナガサビカミキリだと思います。

家の近くのむし探検 カメムシ、毛虫ほか

家の近くのむし探検 第387弾

5月20日に家の近くの公園に行ってみました。その時に見つけた虫で、まず、甲虫とハエ以外です。



昨年何度も見たシダカスミカメ亜科のMansoniella shihfanaeです。最初は珍しかったのですが、だんだん常連になってきました。(追記2018/06/02:立西さんから、「このブログでも度々登場している1枚目のカメムシですが、クスベニヒラタカスミカメ Mansoniella cinnamomiという種名で決着しているようです。あちこちで被害木を見かけますね。」というコメントをいただきました。この名で検索すると、「昆虫と自然」2016年の12月号にも載っていたようですね。種名の変わっているところが気になります。今度、図書館でも見てきます。貴重な情報、どうも有難うございました。ついでに過去の記事についても直しておきます



小さなクモを撮ってしまいました。どうせ名前は分からないのですが、何となく雰囲気からネコハグモの幼体みたいな気がします。



これはいつものアリグモです。



小さなカメムシ幼虫がいました。複眼が出ていて、後胸背板がやや広いので、2齢幼虫のような感じですが、種名までは分かりませんでした。



有翅型のアブラムシです。これも分かりません。



ヒメシロモンドクガの幼虫です。「原色日本蛾類幼虫図鑑」に載っている食草には入っていないのですが、ツツジを食べているようです。



同じようにツツジを食べているルリチュウレンジの幼虫です。



これはチャバネアオカメムシです。



これはクワキヨコバイ属の仲間です。



それにケブカキベリナガカスミカメ



それからイトカメムシです。探せばいろいろといるものです。



アブラムシがカメラに取り付けていた「影とり」に止まって逃げません。それで、仕方なく撮りました。何でしょうね。



また、ヒメシロモンドクガの幼虫がいました。こんな角度からしか撮れなかったのですが、ついでに刺毛を調べてみようかなと思い立ちました。毛虫の刺毛については以前も調べたことがありました(こちらこちら)。刺毛の命名法については、「原色日本蛾類幼虫図鑑(上)」の概説に載っています。ただ、ここで紹介されている命名法は六浦晃氏の説によるもので、その詳細は次の論文に載っています。

A. Mutuura, "On the Homology of the Body Areas in the Thorax and Abdomen and New System of the Setae on the Lepidopterou s Larvae", Bull. Univ. Osaka Pref. B6, 93 (1956). (ここからダウンロードできます)

この説が出されたのが1956年なので、この命名法がどの程度普及しているのか文献で探してみました。これについては次の本に書かれていました。

N. P. Kristensen, "Lepidoptera, Moths and Butterflies", Vol. 2: Morphology, Physiology, and Development, Handbuch der Zoologie, Band/Volume IV Arthropoda: Insecta, de Gruyter (2003).

これによると、六浦氏が提案した幼虫の体の領域分けは今では受け入れられていなくて(Mackay(1963)に議論されているようですが、文献が手に入りません)、現在ではHasenfuss(1973)のNeolepidopteraやトビケラ目での感覚子の末端神経支配の分布を考慮にいれた領域分けが使われているようです。また、刺毛については以前に用いられていたHinton(1946)の命名法が現在でも使われているようです。本に載っている図を参考にこのヒメシロモンドクガの幼虫も調べてみることにしました。



まず、頭、胸、腹に分けます。胸は脚の付く場所によって前胸、中胸、後胸に分かれます。腹は9節まで見えますが、この後ろにもう1節あるようです。



先ほど撮った写真を使って幼虫の体の領域分けをしてみました。全体を背面(D)、準背面(SD)、側面(L)、準腹面(SV)、腹面(V)に分けます。この写真ではD、SD、Lの3つの領域が見えています。それぞれの領域に生えている刺毛をこの略号で示します。さらに、刺毛が長い順に1、2、3・・・と番号をつけていくのですが、ほかの節との相同性から必ずしも長さだけではなくて番号がつけられます。「原色日本蛾類幼虫図鑑」のヒメシロモンドクガの項目の説明にはこのHintonの命名法が用いられているので、この分け方と対応させながら読んでいきました。



これは別の日に撮った写真ですが、説明に出てくる刺毛と実際の刺毛とは何となく対応が付きます。まだ詳細までは分かりませんが・・・。こうやって調べていくと、毛虫も少しは分かるようになるかもしれませんね。これからも少し見ていこうかなと思っています。





後は帰りの道で見つけたビロードハマキです。この蛾はこれまで2度ほどしか見ていない、私にとっては珍しい蛾です。





道端で咲いていた花です。ナデシコ科のスイセンノウという花みたいです。「日本帰化植物写真図鑑」には載っていました。ヨーロッパ原産で世界各国で栽培されているようです。



後はマンションの廊下で見つけたフタテンカメムシでした。

虫を調べる マツムラヒラタカゲロウ

5月17日に家の近くでこんな綺麗なカゲロウを見つけました。



最近、「日本産水生昆虫第二版」と「原色川虫図鑑」という二冊の本を手に入れたので、早速、調べてみようと思って採集しました。でも、検索の最初にある翅脈で引っかかりました。カゲロウの翅脈については以前調べたことがあります。この頃は翅脈についてあまり分かっていなかったので、それほど疑問には感じなかったのですが、本に載っている翅脈の名称の付け方に疑問を感じてしまいました。それで、まず、カゲロウの翅脈について調べてみました。



翅脈の命名法の基本として次のComstockの本があります。

J. H. Comstock, "The Wings of Insects", The Comstock Publishing Company (1918).(ここからダウンロードできます)

この本の中にこのカゲロウと同じだと思われるEpeorus属の翅脈の絵が描かれていました。それを真似して書いたものが上の写真の中の記号です。Comstockの方法は発生段階で翅脈に先だって発達する気管を調べて、それから翅脈間の関連性を調べていく方法です。Comstockは翅脈をC、Sc、R、M、Cu、Aの6つの系統に分け、さらに、R脈をR1とRsに分けていきます。この方式は多くの昆虫の翅脈の命名法の原点になっています。それで、翅の基部を見てみます。



上からC、Sc、Rと脈が基部から出ています。次のM1+2とM3+4は同じ脈から分かれているので、同系統の脈と解釈します。それで、共にM脈とします。M脈はdistal median plate(DMP)という骨状の構造の前側で、Cu脈はDMPの後ろ側と結合することになっているので、M脈とほぼ共通の部分の後ろ側から出ている脈をCu脈とします。それから下の方はA脈の系統になります。+と-の記号は翅面から翅脈が上に凸になっているか、凹になっているかを示しています。一般的に凹凸は互い違いに並んでいて、翅を扇子のように畳めるようになっています。

このように名前を付けてみると何の疑問もないのですが、カゲロウの本を見ると、M1+2→RSとなっていたり、Cu→MPとなっていたりと、Comstockの本からは全く意味のなさないような命名法になっています。これについては次の本に詳しく書かれていました。

N. Kluge, "The Phylogenetic System of Ephemeroptera", Springer-Science+Business Media (2004). (ここからダウンロードできます)

結論から言うと、たいていの昆虫は新翅節に入っていますが、トンボ目とカゲロウ目は旧翅節に入っています。後者では翅脈が基本的に凸と凹が完全に交互に並ぶようになっていて、凸脈は2つに分かれても共に凸になります。その間の整合性を保つため、分かれた二つの凸脈の間に凹脈の間脈ができます。凹脈もまったく同じです。それをKlugeの絵を真似して描いてものが次の図です。



錯覚で+と描いた脈が下になって見えることもありますが、太線で書いた凸脈(+)が上にある方が正しいです。つまり、凸脈(+)は分岐しても凸で、その間には凹(-)の間脈ができています。一方、新翅節では凸脈が途中で凹脈に変化したり、凸か凹のはっきりしない脈もあります。それで、Klugeは広く用いられているComstockの翅脈命名法は新翅節に限るべきだと考えています。それでは旧翅節のカゲロウ目ではどうしたらよいかというと、凸凹凸凹・・・の順番にC、Sc、RA、RS、MA、MB、CuA、CuP、AA、APと形式的に名付けていく方法で、Martynov、Tilliardが提案したものです(追記2018/05/26:Klugeの本にはC、Sc、RAは新翅節のC、Sc、R-R1と相同ですが、その他の脈は相同ではないと書かれています。従って、ここで用いられている名称は形式的なものだと考えた方がよいと思われます)。この方式で名前を付けていくと次の写真のようになります。



確かに、その起源とは関係なしに、+とーが順番に並んでいます。これで全体の名称をつけると次のようになります。



RS脈が分岐する時にはRSaとRSbに分かれ、さらに分岐するときにはRSa1とRSa2という具合になります。MA脈についてはMA1とMA2に分岐するとします。分岐した後、その間に伸びる間脈については"i"の文字を先頭につけて、RSa1とRSa2の間脈にはiRSaなどと呼ぶことにします。こうして出来上がった翅脈の名称がこの図です。翅の後縁部分は後翅が重なって写っているので、別の写真でお見せすることにします。

これでやっとカゲロウの検索表が使えるようになりました。このカゲロウは検索の結果、ヒラタカゲロウ科ヒラタカゲロウ属のマツムラヒラタカゲロウになったのですが、その検索の過程を抜き出すと次のようになります。



この13項目を調べることで確かめられます。検索項目のうち、①~⑦は「原色川虫図鑑成虫編」に載っていたもの、残りは「日本産水生昆虫第二版」に載っていたものです。赤字は写真がない項目です。実はあるのですが、乾燥してしまって汚くなっていたので、今回はパスです。これをまた、写真で確かめていきたいと思います。今回は部位別に見ていきます。



まず、尾が2本であることはすぐに分かります。



次は頭部と胸部を背面から写したものです。④は眼がコカゲロウ特有のターバン眼になっていないことを見ます。ターバン眼についてはここで少し書きました。⑥のMNsというのは黄矢印の部分に走る横溝のことのようです。これにはないので、これでOKです。



また、翅脈ですが、①と④は問題なさそうです。



②については、MP2はかなり手前でMP1に合流しています。モンカゲロウなどはMP2がもっと基部まで伸びて大きく湾曲します(こちらで見られます)。後は翅の基部にある黒い模様です。黒い線が直角状に曲がっているのでL字型というのだと思います。これで⑩~⑫はOKです。



前翅後縁近くを見てみます。Cu区というのはCuAとCuPで挟まれた部分で黄色の三角で示すように4本の長い間脈があります。他にももっと短い間脈があるみたいですが、それは無視するようです。



次は後翅です。これがうまく撮影できませんでした。②はOKでしょう。⑦については実際に縦横比を測ってみると2.04倍になりました。検索表では1.5倍程度か2倍以上を選ぶことになるのでなんとも言えないのですが、2倍以上を選ぶとオビカゲロウ属になります。でも、たぶん、大丈夫かなと思って、1.5倍程度を選んで次に進みました。



これは♂なのですが、その腹部末端です。長い突起が把持子で、二つに分かれたガラス状の部分が陰茎です。もう少し拡大してみます。



⑧は陰茎が先端が二つに分かれていることを言っているのだと思います。⑨、⑬あたりは「原色川虫図鑑成虫編」に載っている写真を見ながら、判断していったのですが、たぶん、大丈夫だと思います。ということで、マツムラヒラタカゲロウになったのですが、決め手はこの陰茎の形でした。この部分は少し斜めからも撮っているので、載せておきます。



ガラスのようなプラスティックのような感じに見えますが、何でできているのでしょうね。

今回はカゲロウの検索をやってみました。よく分からなかった翅脈の命名法が少し分かったような気になったところがよかったかな。また、今度トライしてみます

家の近くのむし探検 蛾、カゲロウなど

家の近くのむし探検 第386弾

5月17日は最初マンションの廊下を歩いたのですが、あまり虫がいなかったので、続けて近くの公園も覗いてみました。いないといっても20種程度はいるので、廊下と公園を合わせるとそこそこの数になりました。



最初はこの蛾です。公園まで続く歩道を歩いていたら、横から急に飛び出してきて道に止まりました。「標準図鑑」で調べてみると、ギンヨスジハマキのようです。これまで6月初めに2度ほど見ています。





もう少し歩いていたら、こんなカゲロウがいました。眼が白く、まさに妖精という感じの幻想的な姿です。普段はヒラタカゲロウの仲間かなで済ましてしまうのですが、いろいろと資料が揃ったので、今回は毒瓶で採集してきました。毒瓶の中にはノンアセトンタイプのエナメルリムーバーを入れているのですが、この中には酢酸エチルの他に相当量のアルコール分や水分が含まれていて、中に入れておくと乾燥せずにそのままの状態を保つことができます。それで、先日取り出して顕微鏡であれやこれやと見ているうちに、腹部がぺしゃんこになってきて、複眼がつぶれてきて・・・。意外に乾燥が早くてびっくりです。慌てて顕微鏡写真を撮ったのですが、検索結果を全部示すだけは揃いませんでした。それでも、一応、「日本産水生昆虫第二版」と「原色川虫図鑑成虫編」に載っている科、属、種の検索を行いました。種の検索は基本的に前翅基部の斑紋と♂交尾器で調べることになっています。詳細はまた今度載せますが、とりあえず撮影した写真の一部だけを載せます。





これらから、ヒラタカゲロウ科ヒラタカゲロウ属のマツムラヒラタカゲロウ Epeorus L-nigrumではないかと思っています。たぶん、合っているのではと思っているのですが、どうだか分かりません。検索結果をまとめるにあたって翅脈の名称で困っています。というのは、ヒラタカゲロウ科の翅脈はマダラカゲロウ科などと翅基部の部分からかなり違っていて、慣例的に用いている名称にはかなりの違和感を生じたからです。私はComstockの本にある名称がよいと思うのですが、そうなると、他の科との相同性が分からなくなってしまいます。ともかく、今度まとめてみます。



カゲロウのすぐ脇にいました。キスジホソマダラというマダラガ科の蛾です。



公園に着くと、ツツジの葉上に早速小さなハムシがいました。最近、ハムシの検索ばかりしているせいか、ぱっと見ではよく分からなくなってしまいました。とりあえず、後腿節が太いのでノミハムシの仲間であることだけは確かですが・・・。



次はコブガです。「標準図鑑」を見ると、ヨシノコブガあたりに似ていますが、説明を読むと、シロフチビコブガと外観上区別がつかないというのでそのどちらかかなと思っています。



次はこの公園に山盛りいるイトカメムシです。





ツツジの葉にこんな瘤ができているのに気が付きました。



上から見ると、こんな風に凹んでいます。また、虫こぶかなと思ったのですが、調べてもよく分かりません。菌えいなのかなとも思うのですが・・・。





こちらはターバン眼をしているのでコカゲロウ科の♂です。これも一応、採集したのですが、まだ調べていません。(追記2018/05/25:いろいろな角度から撮った写真を見ていると、前脚腿節が途中から上方に曲がっています。これからウデマガリコカゲロウ Tenuibaetis flexifemoraではないかと思っています





最近ヒゲナガガがいると、触角の長さと前翅長が測れるような角度で写すことにしています。でも、これは顔がけむくらじゃではないので、たぶん、ホソオビヒゲナガ♂でしょうね。



これはたぶん、アカハラクロコメツキ



これはセスジジョウカイあたりの種。ジョウカイボンは種類が多くて、ほとんど図鑑には載っていないので、こう書いておきます。



これはマガリケムシヒキ♀。



そして、これはたぶん、ミダレカクモンハマキ



これはセスジユスリカあたりの♀。これも近似種がいるので、こう書いておきます。



これはたぶん、シマバエ科のHomoneura属。





これはトサカグンバイ。公園も探すといろいろといますね。あともう少しです。



頭に3つの黒点があるのはクワキヨコバイ属の仲間。この属も240種以上がいるというので、種までは到達できません。



公園の最後はヒメシロモンドクガの幼虫になってしまいました。



以前、毛虫の毛の配置の勉強をしたことがあったのですが、様々なものが生えていますね。ちょっと調べる気が失せてしまいました。



後はマンションに戻る途中で見たオオクロホソナガクチキ



それにマンションの廊下の天井に止まっていたシロテンキノメイガと、



ワモンサビカミキリでした。最近は虫が多くて名前調べが大変!!

廊下のむし探検 カワゲラ、カメムシなど

廊下のむし探検 第1007弾

5月17日の午後にマンションの廊下を歩いてみました。でも、あまり虫がいません。それで、その後、引き続いて公園にも行ってみました。まずはマンションの廊下で見た虫から。





こんなカワゲラが何匹かいました。フタツメカワゲラの仲間です。「原色川虫図鑑成虫編」によると、フタツメカワゲラ属は日本から5種記録されているが、多くの未記載種が存在するとのことです。これについては以前にも調べたことがありました(こちらこちら)。本の説明を読むと♂の陰茎(腹部第8~9腹板の裏にある)も見なければいけないのですが、腹部末端を指で押し半分ほど出して観察することになっています。また一つ越えなければならない壁ができてしまいました。



このキイロテントウは脚を曲げているので死んでいるのかもしれません。



これはウスバフタホシコケガ



廊下を歩いていたら、黒い虫が飛んできて廊下の手すりに止まりました。ヤニサシガメです。



これはセボシジョウカイ辺りのジョウカイボン。



そしてこれはホタルカミキリ



そして、ヒラタカメムシです。「原色日本カメムシ図鑑第3巻」を見ると、外見上ではトビイロオオヒラタカメムシとか、アラゲオオヒラタカメムシあたりに似ています。共にオオヒラタカメムシ亜科なのですが、前者はナガヒラタカメムシ属、後者はオオヒラタカメムシ属です。検索表ではこの二つを分けるのに、腹部第3-5節腹板の基部に前節の後縁に平行な隆起線があるかどうかを見なければいけません。あれば前者、なければ後者です。以前にも観察したのですが、はっきりした隆起線ではなくて点が集まったようなものでした。その時は隆起線だと思ったのですが、先日検索したときはこれを隆起線と呼んでよいのかどうか迷いました。今回も採集したので、もう一度チャレンジしてみたいと思います。(追記2018/05/24:先ほど、「原色日本カメムシ図鑑第3巻」に載っている検索表で検索してみました。「腹部第3-5節腹板の基部に前節の後縁に平行な隆起線」というのも確認しました。たぶん、トビイロオオヒラタカメムシで間違いないと思います





これはフタテンカメムシです。



なぜかクサギカメムシも撮ってしまった・・・。



これは綺麗なガガンボです。翅脈を見るとSc脈がR脈に合流しているのでガガンボ科ではありそうです。しかも♂。何とか分かるかなと思って採集したのですが、この間の小学校での話の準備などで毒瓶に入れたままほったらかしになっています。もう固まってしまっているかもしれません。(追記2018/05/24:先ほど、「日本産水生昆虫第二版」に載っている属、亜属の検索表を使ってざっと検索してみました。Tipula (Dendrotipula)になったのですが、まだ、かなり怪しいです





これはたぶん、ヤマトヤブカ♀。カもよく見ると、白い点があったりして、写真の対象としては良いのですけどねぇ。



これはシラホシコゲチャハエトリ♀ではないかと思っています。



この間からずっと見ているラクダムシ。ひょっとしたら同一個体かもしれませんが・・・。



前腿節末端がかすかに淡色なのでマガリケムシヒキかな。



これはホソヘリカメムシ





そしてチャハマキ。背に鱗粉塊による突起のようなものが見られたので、横からも撮ってみました。



たぶん、アオカミキリモドキ。これも似た種があるので、腹部末端を調べなければいけないのですが・・・。以前、♂と♀を調べたことがありました。でも、カンタリジンが怖くてあまり採集する気になれません。



最後はホソオビヒゲナガ♂だと思います。この日もたくさんいたので、二回に分ければよかったのですが、整理を急ぐためにまとめて出してしまいました。

雑談)小学校3年生への話が月曜日に終わり、ちょっとのんびりできるかなと思ったら、今度は2年生の野外活動への打ち合わせがあるそうです。田植え体験か何かをして、その後、山道をちょっと歩いて帰ってくるようです。その間に15分くらい虫の話をして、また、道々で子供たちの質問に答えてほしいというような話でした。田んぼだとすると水生昆虫や水生動物。マンションの廊下ばかり歩いていたので、水生はあまり調べたことがない・・・。予習をしておかないといけないかも。

小学校へのお土産として、この間から写真と名前だけ入れた図鑑もどきを作り始め、チョウ目やクモなどを除いた部分はできたので、先日、お土産としてもっていきました。この際だからと昨日から蛾も作り始めました。やり始めると面白いのでつい夢中になってやっていたら、腰が固まってしまいました。

廊下のむし探検 ハエ、カゲロウ、トビケラなど

廊下のむし探検 第1006弾

5月14日の午後、マンションの廊下を歩いて見つけた虫の続きです。これまで、甲虫と蛾を出したので、残りの虫です。



見た順に出していきます。最初はユスリカでした。ユスリカはたいてい見ただけでは分からないのですが、腹部にこんな帯状の模様のあるのは「日本のユスリカ」に載っている絵を見るとだいたい分かります。これはナカグロツヤユスリカ♂だろうと思います。



これは大型のユスリカです。セスジユスリカ辺りのユスリカだろうと思いますが、ヒシモンユスリカという似た種があり、見ただけでは分かりません。以前、♂を調べたら、ヒシモンユスリカらしいことが分かりました。♂であってもかなり微妙な違いを見ないといけないので、ユスリカはなかなか大変です。



これはアカマダラカゲロウという小さなカゲロウの♂です。今頃は廊下の壁にいっぱい止まっています。



これはエサキモンキツノカメムシ



このカメムシはこの間検索してみました。その結果、ツヤアカヒメヒラタカメムシになったので、たぶん、これもそうでしょう。



羽アリの♂ですが、見てもよく分かりません。以前調べた翅脈からはIIId型にはなるのですけど・・・。



これはキマダラカメムシ



ユスリカ♀ですが、何だか分かりません。



これはマダラヒメグモ♂。



翅脈からはクロバネキノコバエか、タマバエかというところです。前縁脈が翅の全周を回っているような感じなので、ひょっとしたらタマバエかもしれませんが、よく分かりません。





これは両方ともクロオオアリだと思われます。



また、羽アリです。今度の翅脈はIVe型です。翅がこんな色なのでクロヤマアリかなと思ったのですが、クロヤマアリはIIId型です。クロオオアリはIVe型なので、そちらの方かな。よく分かりませんが・・・。





鬚の長い虫です。これについては以前も翅脈を調べたことがありました。その時はヒゲナガトビケラ科のクサツミトビケラ属 Oecetisだというところまで達しました。今回も採集はしなかったので、写真から判断するしかないのですが、「日本水生昆虫第二版」と「原色川虫図鑑成虫編」という文献が手元にあるのでもう少し進めることができるかもしれません。それで、ちょっと翅脈を調べました。トビケラは基本的に♂交尾器を見なければいけないのですが、クサツミトビケラ属 Oecetisは翅の模様からでも少しは分かる数少ない属の一つです。



早速、翅脈に名称をつけてみました。Oecetisは普通のトビケラと翅脈が少し変わっていています。それで、先の二冊の本を見たのですが、一部、名称をつけてある絵はあるのですが、翅脈全体については載っていません。それで、論文を探してみました。

F. B. Quinteiro and A. R. Calor, "A Review of the Genus Oecetis (Trichoptera: Leptoceridae) in the Northeastern Region of Brazil with the Description of 5 New Species", PLOS ONE 10(6): e0127357 (2015). (ここからダウンロードできます)

そうしたらこんな論文を見つけました。ブラジルで最近博士号を撮った方の博士論文の内容を論文にしたものです。この論文はまさにOecetisについて書かれているので、論文の中の翅脈の名称を真似してつけてみました。なお、トビケラではR2+3、R4+5、M1+2、M3+4、Cu1の各翅脈が分岐する場合にI、II、III、IV、Vと名付ける習慣があります。それも真似してつけてあります。この翅脈で変わっている点はM脈が翅縁でM1+2の一本しかないところです。ところが、「日本水生昆虫」の中の検索表を見ると、M3+4という脈も登場します。

Oecetisについては昔から翅脈の名称の付け方にM脈を1本とするやり方と2本にするやり方の二つの流儀があったようです。それについては詳細が上の論文に書かれていました。それぞれの流儀で名称をつけてみると次のようになります。



Aは翅縁でM1+2の一本だけがある場合、BはM1+2とM3+4の二本がある場合です。Bについてはさらに、Cu1のあたりの名称の付け方で括弧内に書いた方式を採用する場合もあるようです。Bの代表は次の論文に載っています。

C. Betten, "The Caddis Flies or Trichoptera of New York State", New York State Museum Bulletin 292, 1 (1934). (ここからダウンロードできます)

要は、AでCu1aとCu1bに分岐している部分を、AのようにCu1の分岐と考えるか、M3+4とCu1aあるいはCu1がm-cu横脈で結ばれていると考えるかという点の違いです。そういえば、ユスリカでも似たようなことがありましたね。Bの場合はm-cu横脈を写真のように短い部分に適用するのですが、Aでは長い領域に適用します。QuinteiroらはAを採用したのですが、その根拠は上の写真の②で示した部分のm-cuの位置とCu1の分岐点の位置関係が種によって大きく変化することに依っています。つまり、Bの方式ではm-cuがほとんどなくなってしまったり、大きくなったりと変化するのが不自然だとしています。また、Bで括弧内の名称を使うとトビケラで一般的に存在するVという分岐がなくなり、そうでないとCu2脈がぜんぜん系統に異なるA脈と融合するという奇妙が現象がおきてしまうのが不自然だとしています。

私自身はQuinteiroらの意見を採用しようかなと思っているのですが、「日本産水生昆虫第二版」では属の検索表はBの方式を採用し、Oecetisの翅脈の説明の図ではAの方式を採用しているみたいです。また、Quinteiroらがfalse vein(擬脈)と書いた部分も他の文献とは異なっているのですが、これは実際に調べてみないと何とも言えないのでここでは省略です。

「原色川虫図鑑成虫編」によると、Oecetisは日本で14種が記録されています。この本にはいくつかの種の翅脈が載っているのですが、①と②で示した部分に違いがあります。この写真の個体のように、r-m横脈と①が離れているタイプとしてはハモチクサツミトビケラ O. hamochiensisとアジアクサツミトビケラO brachyuraの2種が候補に挙がるのですが、後者はr-mとm-cuがほぼ直線状になるのに対し、前者はこの個体のようにじぐざぐになります。従って、今のところ、ハモチクサツミトビケラ O. hamochiensisが近いかなと思っていますが、いずれにしても採集すれば♂交尾器から分かるのではと思っています。

クサツミトビケラが長くなってしまいましたが、次の虫に移ります。



次もトビケラですが、トビケラはたいていこんな感じなので、写真だけではほとんど分かりません。







ラクダムシがまたいました。いろいろな方向から撮っておきました。





このクモは何でしょう。「日本のクモ」を見ていったのですが、結局、分かりませんでした。



最後はたぶん、ヤマトシロアリの有翅型の翅が取れたもの。これで14日の分が終わりです。

廊下のむし探検 甲虫

廊下のむし探検 第1005弾

5月14日にマンションの廊下を歩いて見つけた虫の続きです。今回は甲虫です。



まずはキボシツツハムシ



これはゴマフカミキリ。触角が短いので♀かな。



これはたぶん、ウリハムシ。どうも、甲虫は手すりの縁を歩いていることが多いですね。カメラが近づくとすぐに裏側に逃げてしまいます。(追記2018/06/02:通りすがりさんから、「複眼が大きいので、ウリハムシではないですね。これもキイロナガツツハムシかな?」というコメントをいただきました。確かに複眼大きいですね。過去の写真を見てみると、キイロナガツツハムシの複眼は確かに大きいです。やはりウリハムシではなさそうです。ご指摘、どうも有難うございました



これはゴモクムシの仲間。名前調べはギブアップ。



それにキイロテントウ



これがたぶん初めてだと思います。カオジロヒゲナガゾウムシ。確かに名前の通り、顔が白いです。



それにキイロナガツツハムシ



これは腿節の一部が橙色なので、アオハムシダマシ。これについては以前書いたことがありました。よく見るので途中でどっちがどっちかいつも分からなくなってしまう。



雰囲気はクシコメツキなのですが、爪の櫛歯が写っていないので亜科もよく分かりません。触角の節の長さは「原色日本甲虫図鑑III」のクシコメツキの説明と合っていそうですが・・・。



これは似たような種がいるので、「日本産カミキリムシ」の検索表を見てみました。この本は絵解きになっているので、実に分かりやすいです。ちょっと前に買ったまましまっておいたのですが、もっと使ってみたらよかったですね。絵合わせでヒメナガサビカミキリかなと見当をつけ、検索表の直近のところだけ見てみると、「触角第3節は4節より明らかに長く、下部はほとんど無毛」→「上翅中央後方に白色帯があり、この白色帯は会合線でつながる」となり、無事にヒメナガサビカミキリになりました。



これはケナガスグリゾウムシ





最後はたぶん、リンゴコフキハムシ。これで甲虫は終わりました。残りはカメムシ、ハエ、ハチなど。次回に回します。

雑談)小学校での話も終わってちょっと一息つくことができました。でも、まだまだやることが山のように残っています。とりあえずは写真と名前だけを入れた図鑑のうち、チョウ目と昆虫以外を完成させること。それに、1月で更新が止まっている画像リストのためのデータ入力をすること。顕微鏡写真を撮ったままになっている、チビノミハムシなどいくつかの種をまとめること。それに5月14日、17日、20日に撮った写真の整理をすること。なんでこんなに忙しいのだろう。

廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第1004弾

最近、マンションの廊下をあまり歩かなくなっています。一つにはちょっと飽きてきたのと、歩くと40-50種の虫が一気に見つかるので、後の整理が大変だからです。見つけた虫を全部写すこともないのですが、一応、記録だと思って写しています。もっとも、クサギカメムシ、マルカメムシ、ヒゲナガカワトビケラなどはほとんど常に見るのでパスをしていますが・・・。写してもブログに書く必要もないのですが、データベースがブログの写真を基にしているので、やむを得ず出しています。何度も同じ虫が出てくることになりますが、よろしくお付き合いのほどを。また、間違っているものや怪しいものも多いですので、遠慮なくコメントをいただければと思っています。

今回は5月14日の午後にマンションの廊下を歩いたときに見つけた虫のうち、蛾だけです。外で虫探しをしても、蛾はすぐに葉裏に隠れてしまうので、なかなか撮れません。その点、マンションの廊下では簡単に撮れます。それで、どうしても蛾が多くなります。



今日の最初はこのシャチホコです。たぶん、ルリモンシャチホコだと思います。よく見る蛾だと思っていたのですが、記録を見ると、「廊下のむし探検」では初みたいです。どうしてかなぁ。



これはリンゴツマキリアツバ。これはこの5年半で、5月、7月、8月にそれぞれ一回ずつ見ていました。



触角を前に伸ばしているので、メイガではないなと思って探したのですが、見つかりません。それでメイガを見てみたらすぐに見つかりました。ヒメハナダカノメイガです。記録を見るとこれは5月終わりから10月初めにかけて何度も見ていました。



これはたぶん、シバツトガ。公園で写真を撮って、設定をそのままにして廊下で写真を撮ると、背景が白いので、ついつい露出オーバーになってしまいます。写しているときは気が付かないので今回も失敗でした。



アオシャクも似た種が多いのですが、これはたぶん、ホソバハラアカアオシャクかな。





これは両方ともソトウスグロアツバかな。





これも両方ともヨモギエダシャク



これも露出オーバーで見にくいのですが、おそらくホソスジキヒメシャク



そして、これはスカシコケガ。確か、翅に鱗粉がなくて、毛が生えているのでしたね。





これは初めてです。小学校で話をする前にハマキガを懸命に探したのですが、見つかりませんでした。でも、終わってから探したらすぐに見つかりました。やはり焦って探すと駄目ですね。グミオオウスツマヒメハマキ Hedya auricristanaのようです。「標準図鑑」を見ると、普通にいる蛾みたいです。



最後のこの蛾。これも何度か探したのですが、結局、迷宮入りです。後の虫は次回に回します。

家の近くのむし探検 ハチ、カメムシ、ハエなど

家の近くのむし探検 第385弾

5月14日の午前中に家の近くの林の入り口の道と川の土手で見つけた虫の続きです。





散歩に出かける前にマンションの廊下で羽アリが何かを捕まえていました。羽アリはクロオオアリみたいですが、獲物は何でしょう。(追記2018/05/22:ada*****さんから、「クロオオアリとあるのはクロヤマアリかも知れません。」というコメントをいただきました。大きめだったので、あまり考えずにクロオオアリと書いてしまいました。そういえば、以前、羽アリの翅脈を比較したことがあったなと思い出してその時のブログを見てみました。このときは、クロヤマアリ、クロオオアリ、オオハリアリの3種の翅脈を見ていました。Perfilieva(2010)の分類によれば、クロオオアリはIVe型、クロヤマアリはIIId型になります。上の写真では翅脈が見えていて、mcuという小室があるので、小室のないIV型とは違っていて、調べてみるとやはりIIId型になります。そもそも翅の色がだいぶ違いました。たぶん、クロヤマアリで間違いないでしょう。ご指摘、どうも有難うございました



すぐ横には大きめのユスリカがいました。セスジユスリカ辺りでしょうね。



これからは林の入り口の道にいた虫です。小さなハチですが、何か分かりません。(追記2018/05/22:そらさんから、4枚目のコバチですが、ハエヤドリクロバチ科で合っていると思いますが、その先はお任せします。」というコメントをいただきました。そういえば、以前にも教えていただいたかもしれませんね。ハチは採集しないと分からないと思って、小さなハチは半ば諦めていました。これからはしっかり観察することにします。どうも有難うございました



これも小さなカメムシで、クロハナカメムシです。





全体にピントの合った写真がなかったのでこの2枚で見ることにします。「原色日本カメムシ図鑑」の写真と比べるとヒメグンバイではないかと思います。



アワフキの幼虫ですが、何だか分かりません。



こちらはシロヘリカメムシ。綺麗に撮れました。



これはルリチュウレンジ



ハチですが、何でしょうね。



触角第1節が頭幅よりは長そうなので、ホシハラビロヘリカメムシみたいです。





ケヤキの葉にまた虫こぶが付いていました。今回は1個だけです。これは以前も見たケヤキハフクロフシと同じかな。どうやって見分ければよいのだろう。



これはシベリアカタアリです。



これはネコハグモ



これはたぶん、ホオズキカメムシだと思います。探せば虫はいろいろいますね。今度は川の土手にある作業小屋の方に行ってみました。



また、ホオズキカメムシがいました。



また、羽アリがいました。今回は小型です。(追記2018/05/22:ada*****さんから、「小さなハネアリはおそらくアメイロアリでしょうか。」というコメントをいただきました。アメイロアリというのは初めてです。「日本産アリ類図鑑」を見ると全国的に分布しているようです。検索表と見比べてみると、確かに、複眼が頭部側面中央付近についています。もう少しちゃんと撮れば、大腮の歯も数えられたかも。貴重なヒントをどうも有難うございました。ちなみに翅脈の型はクロオオアリと同じIVe型みたいです。この型はヤマアリ亜科とフタフシアリ亜科に見られますが、それ以上の情報はないので、属の同定にはあまり役にたちません



これはメダカナガカメムシ



これは以前調べたヘリグロヒメハナバエだと思います。



最後がちょっと迷いました。頭部にピントが合わなかったのと、ちょっと斜め上から撮ったので、触角ソケットと複眼下辺との関係がはっきりしません。検索表ではこれでハネナガヒシバッタとニセハネナガヒシバッタを分けるのですが、この写真からはちょっと分かりません。ハネナガは「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」の写真で見る限り、ごつごつした感じです。たぶん、ニセハネナガヒシバッタの方ではないかと思っています。

雑談)今日は午前中に小学校で3年生に昆虫の話をしてきました。初めに昆虫採集の道具を見せ、次に身近な虫の写真を見せて名前当てをしました。この辺までは賑やかだったのですが、その後、昆虫が頭、胸、腹に分かれるところとか、翅のない虫の話などをしたところから少し飽きてきたような雰囲気がありました。後半は変態の話にして、最後に幼虫の親を当てるゲームをしたら、また、少し賑やかになりました。終わってから子供たちが何人か集まってきてくれたので、まぁいいかなと思ったのですが、話がちょっと難しすぎたかもと心配しています。

小学校へのお土産にと思って、このブログに出している写真と名前を載せて図鑑のようにした冊子をもっていきました。昆虫のうち、チョウ目を除く全種です。1冊100ページ前後で、全部で4冊にもなってしまいました。名前は怪しいものだらけなのですが、一応、1100種ほど載っています。この地域の虫がほとんどなので何かの役に立つといいなと思っています。ついでに「変わった形のむしたち」という絵本風の冊子ももっていきました。ツツジコブハムシ、セダカコガシラアブ、ラクダムシなど14種の虫を載せ、説明にはちゃんとフリガナもふりました。気に入ってもらえるとよいのですけど・・・。

小学校からの帰りに道端の塀にアカシジミが止まっていました。



羽化したてなのか近寄っても逃げません。例年、5月末から6月下旬にかけて見ていて、初見日としては2014年の6月24日がもっとも早かったので、今年はその記録を更新しました。

家の近くのむし探検 甲虫、蛾

家の近くのむし探検 第385弾

5月14日のむし探しの結果です。この日は午前中に家の近くを散歩し、午後からはマンションの廊下を歩いたので、大変な数の虫が見つかりました(午前中が約30種、午後が約40種)。まず、家の近くの散歩のときに見つけた虫から整理しています。とりあえず、甲虫と蛾から。



最初はヒメクロオトシブミ





次はドウガネツヤハムシ



次はマイマイガの幼虫。これは常連ですね。



クズの葉にはクズノチビタマムシがいました。



こちらは交尾中です。



ヒメシャクはみな似ているのであまり見たくはなかったのですが、これは模様がはっきりしていたので思わず撮ってしまいました。マエキヒメシャクかな。



これはヒメシロモンドクガの幼虫。



これは何だろうと思って、「原色日本甲虫図鑑IV」を見たのですが、よく分かりません。それで、以前、購入しておいた「日本産カミキリムシ」を見てみました。本当は検索をしてみたかったのですが、採集しなかったので、今日は絵合わせです。シロオビゴマフカミキリ Forlsomesosella (F.) graciliorではないかと思っています。



ジョウカイボンの仲間です。セスジジョウカイあたりだとは思うのですが、ジョウカイボンはよく分かりません。





次はいつものように畑の横に置かれた風よけのネットの上の虫です。ここは本当に虫が多いです。この虫は「原色日本甲虫図鑑II」を見て、Bradycellusだろうと見当をつけて、「里山のゴミムシ」とネットで探してみました。アカクビヒメゴモクムシ B. laeticolorが候補なのですが、どうでしょう。背景が白いとそのハレーションなのか、写真がどうもうまく撮れません。



これはこの間から見ているマルヒラタドロムシ



そして、これはヒメマルカツオブシムシ



そして、ヒメカメノコテントウ



で、問題はこのカツオブシムシです。「原色日本甲虫図鑑III」を見ると、チビマルカツオブシムシあたりのAnthrenusが似ている感じですが、どうも載っている種とは雰囲気が違います。それで、「日本列島の甲虫全種目録 (2018年)」を見てみると、本州産ではAnthrenus (Florilinus) museorumだけが図鑑に載っていなくて、後はすべて載っているとのことでした。それで、このmuseorumをネットで探してみました。これは全世界的に分布していて、博物館に被害を与えているのでこんな学名が与えられているようです。雰囲気はよく似ています。これではないかと疑っています。(追記2018/05/22:通りすがりさんから、「博物館に被害を与えるカツオブシムシだからmuseorumですか。博物館でも骨格標本を作る時はカツオブシムシを使うのに、管理が甘いと脱走して被害が出てしまう困り者でもありますからねえ。」というコメントをいただきました。英語ではmuseum beetleと言われているようです。骨格標本を作るときに使われるのですか。それは知りませんでした。それなら、博物館内に逃げても仕方ないですね。Anthrenus (Florilinus) museorum (Linnaeus, 1761)。命名者がリンネで1761年というから、ずいぶん昔から知られているようですね



最後はオジロアシナガゾウムシでした。残りの虫は次回に回します。

家の近くのむし探検 アリ、ハエ、蛾など

家の近くのむし探検 第384弾

5月12日に公園で見つけた虫の続きです。



マンションの倉庫の壁をアリがたくさん登り降りしていました。2匹ほど捕まえて先ほど調べてみたのですが、以前も調べたことのあるルリアリでした。一応、顕微鏡写真をちょっとだけ撮ったので、今度また載せます。でも、以前の方がうまく撮れています。腕が落ちたのかなぁ。



背景が白くて、全体に白っぽくなってしまったので、明るさの調整をしたら、ちょっと濃すぎたような感じがします。これも倉庫の壁に止まっていました。たぶん、ホソバヤマメイガ



後は公園で見た虫です。これはたぶん、シマバエ科のHomoneura属だろうと思います。



ヒゲナガガの♀ですね。翅長と触角との長さの比を測る必要があったなと思い出し、真横からも撮ってみました。



そして、こんな個所の長さを測ってみました。ケブカヒゲナガには近縁種が2種いるので、♀については以前も書いたのですが、次の論文を参考にして種の比較をしてみました。

T. Hirowatari, "A taxonomic revision of the genus Adela Latreille (Lepidoptera, Adelidae) from Japan", Trans. lepid. Soc. Japan 48, 271 (1997).(ここからダウンロードできます)

結果を以前と同じように表にまとめてみました。



Sampleと書いたところがこの写真で測ったものです。黒色鱗粉部と前翅長の比が少し違いますが、後はケブカヒゲナガがよく合っています。たぶん、ケブカヒゲナガなのでしょう。



葉の上をせわしなく動き回る虫がいたので、写してみました。あまりはっきりとはしないのですが、何となくノミバエの仲間みたいです。



これはヨツボシオオアリかな。



この腹部が白いハナアブは昨年もいました。何なのでしょう。一度、捕まえて調べてみたいなと思いました。(追記2018/05/22:通りすがりさんから、「お腹の白いハナアブはMelanostomatiniで、多分Melanostomaでしょう。」というコメントをいただきました。Melanostomaはツヤヒラタアブですね。以前も見たような気がして、画像リストを見てみたら、その時もMelanostomaかもと書いていました。ただ、まだ採集はしたことがないみたいです。一度、捕まえて調べてみたいと思います。どうも貴重なヒントを有難うございました



これはいつものマガリケムシヒキ♀みたいです。



これは何だろうと思ったのですが、翅脈を調べるとやはりハナアブみたいです。「ハナアブの世界」に載っている写真集を一つずつ見ていくと、何となくクロハナアブ属 Cheilosiaが近いみたいです。(追記2018/05/22:通りすがりさんから、「もう1つはCheilosiaではなくて、Xylotiniで、どちらもメス…って言うか、Xylotiniの方は何か出ちゃってますね。」というコメントをいただきました。どうもハナアブは駄目ですね。ヒラタアブ亜科ではなく、アブ亜科だったのですね。写真集を見てみると、XylotaやChalcosyrphusに似た種があるようです







アシナガバエのやや大きめのハエが出てきたので、何匹か採集しました。この間購入した「日本産水生昆虫第二版」に載っている検索表で属の検索ができるかなと思っていたからです。でも、調べてみると、第一版とまったく同じでした。かなりがっかりしました。この本で扱っている属と「日本昆虫目録第8巻」の属とを比較してみました。



中央が「日本昆虫目録」、右が「日本産水生昆虫」に載っている属です。「日本昆虫目録」の欄の青色で書いた属が「日本産水生昆虫」には載っていないもの、逆に、「日本産水生昆虫」の欄の緑色が「日本昆虫目録」に載っていない属です。たぶん、「日本産水生昆虫」では水生でないものと最近記録された属が扱われていなくて、また、日本では記録されていないが、いそうな属が含まれているようです。一方、「知られざる双翅目のために」というサイトには日本産アシナガバエのチェックリストが載っていました。そこに載せられていた属が左欄に載せてあります。「日本昆虫目録」に加え、赤字で書かれた属が増えていました。たぶん、これが一番新しいリストかなと思ってMNDに載っている属と比較してみました。



右欄がMNDです。この中で赤字で書いた属がチェックリストに載っている属ですが、左欄の青字の属が載っていませんでした。個人的にはSciapodinae亜科が2属も載っていないのが痛手です。とりあえず、先ほどのサイトに載っている亜科の検索だけでもしようかなと思っていたら、Bickel の次の論文(1994)にSciapodinae亜科の属への検索表が載っていました。この中には日本産の5属すべてが含まれているので、十分に利用できそうです。今度、亜科の検索ともしSciapodinae亜科なら属の検索をしてみたいなと思っています。

D. J. Bickel, "The Australian Sciapodinae (Diptera: Dolichopodidae), with a Review of the Oriental and Australasian Faunas, and a World Conspectus of the Subfamily", Records of the Australian Museum (1994) Supplement 21. (ここからダウンロードできます)





これも昨年見ました。セダカバエ科Hybos属のハエですね。後脚が捕獲脚になっています。



この蛾も光が当たっていて白っぽく写ってしまったので、明るさをちょっと変えたら変な色になってしまいました。クロスジアオナミシャクは間違いないと思いますが・・・。



この蛾はあまりに特徴がないのでギブアップ。



これはヒメシロモンドクガの幼虫です。毒々しい感じですが、毒はないと以前教えていただきました。



たぶん、カブラハバチ属だと思うのですが、「大阪府のハバチ・キバチ類」の種への検索表によると、最初の項目が「小盾板が黒色」で、自動的にセグロカブラハバチになってしまいます。背黒ではないのですが、時に両側や前半が橙黄色なることもあるというので、いいのかなぁと思いますが、よくは分かりません。

家の近くのむし探検 甲虫、カゲロウほか

家の近くのむし探検 第383弾

5月12日に家の近くの公園に行きました。最近は運動を兼ねて行っているので、公園にはよく行きます。その時に見た虫たちです。見た順に書きます。



最初はマンションの廊下で見つけたニジゴミムシダマシの仲間です。図鑑を見ると、Tetraphyllus、Ceropria、Euhemiceraあたりが似ています。



ただし、触角がこんな風に第4節から太くなっているのはCeropria属だけみたいです。この属で本州産は4種います。ナガ、ホソナガ、フトナガ、オオナガです。「原色日本甲虫図鑑III」の説明を見ると、触角の逆三角形の内側への片寄りと、前胸背板側縁の丸みが見分けるポイントのようです。この個体は触角の逆三角形の片寄りが大きいことと、前胸背板側縁の基半の変化が緩やかなので、ホソナガニジゴミムシダマシかなと思ったのですが、よくは分かりません。



次は同じ廊下で見たラクダムシです。いつ見ても変わった姿です。記録を見てみると、5月初めから20日過ぎまで何度か見ていました。





これはマンションの渡り廊下にいたカタオカハエトリです。



公園に着いたらニワゼキショウがいっぱい咲いていました。この間、三川合流地点でセッカニワゼキショウなどを見たので、ついでに撮っておきました。



虫がいないかと思ってツツジの葉上を探していたら、ツツジコブハムシがまさに飛び立とうとしているところでした。こんな格好でどうやって飛ぶのかなと思って見ていたら、一瞬のうちに飛んでどこかに行ってしまいました。意外に速い速度で飛びます。



二日前に見たシマサシガメと同じ個体かなと思うのですが、また、ジョウカイボンの仲間を捕まえていました。





こんな写真からある程度は検索できます。「絵解きで調べる昆虫2」のベニボタルの絵解き検索を試してみると、カクムネベニボタル属になりました。合っているかどうかは分かりませんが・・・・。



これはクビボソジョウカイあたりの仲間かな。



これはルリウスバハムシではないかと疑っているハムシです。この日は採集しました。でも、今は時間がなくて調べられません。



ギンメッキゴミグモがいました。ちょっと拡大してみます。



こんな感じになりました。



これはクサギカメムシ



これはたぶん、ヒラタカゲロウ科の亜成虫。



これはニレハムシなのかなぁ。検索してみないとよく分かりません。



最後はまたカゲロウです。マダラカゲロウかなと思ったのですが、尾が2本なのでやはりヒラタカゲロウ科かもしれません。残りは次回に回します。

虫を調べる ハラアカアブヒメバチ(続き)

先日に引き続いてヒメバチの検索をしてみます。



対象とするのはこんな派手なハチで、外観からはヒメバチ科ヒラタアブヒメバチ亜科のハラアカアブヒメバチあたりであろうと思われます。でも、こういう分かった種で検索の練習をしておくことが大事かなと思って頑張ってやってみました。前回は亜科まで検索を進めたので、今回はその先の属と種の検索をしてみます。

属の検索表にはいつもお世話になっている"Information station of Parasitoid wasps"の属の検索表を使わせていただくことにしました。それを使うとDiplazon属になるのですが、検索の過程を示すと以下のようになります。



この3項目を調べることでDiplazon属であることが分かります。これをいつものように写真で確かめていきたいと思います。一部を除いてだいたいは検索順に見ていきます。



まず、最初は⑫の最初の項で、notaulusに関してです。notaulusについては以前、セイボウで調べたことがありました。そのときの知識によると、notaulusは体に沿った間接飛翔筋の縦走筋と背腹筋を分ける甲の境目(分隔甲)を表していて、前胸背板に縦に走る1対の溝として現れます。この個体では溝というほどは明確ではないのですが、縦の凹みが見えるので、たぶん、それがnotaulusだと思われます。明瞭といえば明瞭だと言えます。



次は翅脈で、黒矢印の部分にあるはずの鏡胞という翅室がありません。それで、この項目はOKです。



次は後体節(ハチでは胸部の端にある前伸腹節が腹部の一部となっているので、見かけの腹部をこんな呼び方をします)の気門に関してです。第3背板の端に矢印を示したように気門が見えます。これでこの項目もOKです。



顔面には艶がありません。もっともこの撮影は艶が出ないように撮っているのですけど・・・。また、垂直な窪みもありません。さらに複眼の内縁に白色の斑紋があります。これで、たぶん、⑬はOKで、この個体は♀だと思われます。



次は頭盾の先端を表したものです。矢印で示したように前縁に少し凹みが見られます。もう少し拡大してみます。



これを見ると、頭盾の先端中央は凹んでいて、中央に切れ込みのようなものが見られます。これでこの項目もOKでしょう。



次は前伸腹節の隆起線に関してです。これまでの検索の途中で隆起線があると言ったり、ないと言ったりするので複雑ですが、「明瞭な隆起線を欠く」かと言えば、この写真のように斜め下向きに明瞭な隆起線が見えます。ただし、横向きの隆起線はかすかに見える程度です。この後者の方を指しているのかなと思いました。ちょっと?マークです。



次は後脛節に白色の帯を持つことで、これは明確です。ということで、前伸腹節の隆起線のところは怪しかったのですが、それ以外はたぶん大丈夫で、無事にハラアカアブヒメバチの属するDiplazon属になりました。

"Information station of Parasitoid wasps"と「日本産ヒメバチ目録」には種のリストが載っているのですが、日本産Diplazon属には8種が記録されています。このうち、本州には6種。まだまだ先が長いかなと思っていたら、Diplazon属の種への検索表が見つかりました。

T. Uchida, "Beitraege zur Kenntnis der Diplazoninen-Fauna Japans und seiner Umgegenden(Hymenoptera, Ichneumonidae)", J. Fac. Agri. Hokkaido 50, 225 (1957). (ここからダウンロードできます)

ちょっと古い論文ですが、シノニムリストを調べてみると、この中には以降に記録されたryukyuensisを除いた7種すべてが含まれていました。ただ、ドイツ語です。普通のドイツ語だと辞書で調べれば何とか読めるのですが、専門用語が出てくるとどうしようもありません。諦めるかなと思っていたのですが、そんなときに「内田登一博士の論文で使用されたドイツ語形態用語」というサイトを見つけました。先ほどの"Information station of Parasitoid wasps"のヒメバチ科の中のページです。やはりドイツ語の論文を読むのにだいぶ苦労をされたのだろうなと思ったのですが、有難く使わせていただくことにしました。それで、Diplazon属の種の検索で必要なところだけを抜き出すと次のようになります。


この2項目を調べることで、ハラアカアブヒメバチ D. laetatoriusになります。これも写真で見ていきます。



⑮はまたnotaulusについてです。検索の項目ではnotaulusが"deutlich angedeutet"と書かれています。この"andeuten"は示唆する、暗示するという意味で、英語では"be indicated"となっています。とりあえず、「暗示する」と訳したのですが、ここではnotaulusがあることが暗示するような凹みが見られるというような意味だと思います。いずれにしても明確な溝ということではないということかなと思いました。⑯は胸にも顔面にも白い斑紋があり、OKです。



⑮は後体節(腹部と書いたのですが、後体節の方がよかったですね)第1から第4節には矢印で示すように強い横溝があります。⑯については、第4背板は赤く色づいていないのですが、第1から第4背板前半にかけては強い点刻が見られます。色の範囲については個体差があるのかもしれません。



最後は脚の色に関してで、書かれている通りだと思いました。特に後脛節の白い帯はよく目立ちます。ということで、すべての項目をチェックしたので、たぶん、ハラアカアブヒメバチ♀で合っているのではと思っています。

今回は後体節第1節が平板状の分かりやすいヒメバチだったのですが、今後少しずつ検索の練習をしていき、ヒメバチ科にも慣れていきたいと思っています。

家の近くのむし探検 甲虫、カメムシ

家の近くのむし探検 第382弾

5月10日に公園で見た虫の続きです。



昨日はハエ、ハチなどを出したので、それ以外の虫です。これはナミガタチビタマムシだと思います。



小さいゾウムシですが、翅の模様からユアサハナゾウムシではないかと思います。



シマサシガメの幼虫が何か甲虫を捕まえたようです。



カメラを近づけたら奥に引っ込んでしまいました。お陰で獲物が見えました。ジョウカイボンの仲間ですね。



これはヒメクロオトシブミです。昨年から何度も撮ったのですが、この造形美が何とも素晴らしく、何度も撮ってしまいます。



このハムシで迷っています。以前はヒゲナガウスバハムシだと思っていたのですが、「原色日本甲虫図鑑IV」の説明を読めば読むほど、ルリウスバハムシの方ではないかと思い始めました。決め手は触角の節の長さです。ルリ♂の第3節は第2節の約1.5倍、第4節は第2・3節の合計の約1.5倍と書かれています。一方、ヒゲナガの方は第3節は第4節よりやや短くとなっていて明らかに違います。Kimoto氏の論文では、ルリの♂の第4節は第2・3節の約2倍となっています。一方、ヒゲナガの方は第3節は第2節の3倍と書かれています。この写真を見る限りはルリの♂がよく合っています。この日は採集しようとして、チャック付きのポリ袋に入れた途端にジャンプして逃げ出してしまいました。翌々日に行ったときには採集できたので今度見てみたいと思います。ただ、今は小学校で話す内容の準備でとても調べている時間はないのですが・・・。



これはエサキモンキツノカメムシだと思います。



いつものバラルリツツハムシあたりだと思ったのですが、図鑑の説明を読むと、「頭部は青藍色の前頭・頭頂を除き黄褐色」と書かれています。見る限り、そんな色が見えません。それで、また不安になってきました。今度、もう一度捕まえてこないといけないですね。





これはトゲヒゲトラカミキリ



最後はマンションの廊下にいたキイロナガツツハムシです。

雑談)来週の月曜日に小学校で3年生相手に話をするので、小学3年生が昆虫についてどんなことを習うのかなと思ってネットで調べてみました。基本は昆虫が頭、胸、腹に分かれること、それに、卵、幼虫、蛹、成虫と変態することや幼虫と成虫との関係、虫を飼うにはどうしたらよいかというような話が中心でした。いろいろな学習ドリルも公開されているのですが、かなりいい加減なつくりです。およそ、モンシロチョウやアゲハチョウに見えないのに、名前を答えさせたり、幼虫がいい加減な絵になっていたり。どうせ、小学生には分からないだろうと思って、かなり手を抜いて作ってあるみたいです。

家の近くのむし探検 ハエ、ハチ、蛾幼虫

家の近くのむし探検 第381弾

虫の名前調べが滞っているので、少し慌てて出すことにしました。今日のは5月10日分です。この日は家の近くの公園に行ってみました。今年は虫が多いのかなぁ。それとも、以前は気が付かなったような虫にまで目がいくようになったからかなぁ。とにかく虫が多いです。



まずはマンションの倉庫の壁に止まっていたトゲナシケバエです。前胸背板に深い溝があり、たぶん、触角が9節なのでヒメトゲナシケバエ♂だと思われます。



次は公園です。最近はこんなアシナガバエがたくさんいます。今年は少し調べたいなと思って、適当な検索表を探しているのですが、日本で主に見つかっている属まで含まれている検索表がなかなか見つかりません。もう少し探してみますが・・・。



ルリチュウレンジが何匹か群れだっていました。昨年はこのハチの幼虫とキアシハリバエというヤドリバエ科のハエの間で何度もドラマが繰り広げられました。あれは7月終わりから8月にかけてだったので、もうすぐ、そんな季節になりますね。





この奇妙な恰好のアブがまたいました。セダカコガシラアブの仲間です。昨年は見つからなかったので、2年ぶりです。



こんな風に、いつもツツジの葉の先端に後ろ向けに止まっています。



ハチはよく分かりません。





このガガンボは以前調べたことがありました。その時はエゾホソガガンボ Nephrotoma cornicinaになりました。今回のもおそらくそれでしょう。



このユスリカは何だろう。





相変わらず、アシナガバエはたくさんいます。何匹かは採集したのですが、果たして検索できるかなぁ。



アリが何かを運んでいます。アリも採集しないと見ただけではほとんど分かりません。



そして、ハエ。



マイマイガの幼虫がいました。以前調べたように毛の生え方を見てみるかなと思って少し拡大してみました。



毛が塊のようになって生えています。以前見たヤガ科とはかなり違う感じです。

今回はハエやハチが主だったので、分からないものだらけでしたね。そのうち、分かるようになるかなと思って続けているのですけど・・・。

家の近くのむし探検 カメムシ、甲虫、ハチ

家の近くのむし探検 第381弾

5月9日に家の近くの林の入り口の道と川の土手で見た虫の続きです。





これはこの間公園でも見ました。ムネアカアワフキの♀の方ですね。





アリとハチです。共によく分かりません。アリはオオアリ属かな。ハチは捕まえたら科くらいは分かるかもしれませんが・・・。今回はパスです。というか、調べなければならない虫が冷凍庫に山のようにたまっているので、採集は少しお休みです。



アワフキの幼虫の姿が少しだけ見えたので、写しました。この泡の正体は何なのでしょうね。



これはたぶん、ナミガタチビタマムシだと思います。



小さなハチです。以前、そらさんからハラビロクロバチ科だと教えていただいたものと体型は似ています。これくらいは採集した方がよかったかなぁ。



林の近くはこのくらいで、後は川の土手に建っている作業小屋と小さな畑の横にある風よけネットでの虫探しです。小屋の壁にこんな虫がいました。セボシジョウカイあたりですね。



それにシラフチビマルトゲムシです。小さいのですが、意外に速く壁を登っていきます。





これも以前コメントをいただいたチビヒゲナガハナノミかその辺りの虫です。その時は最初、ハムシ科かなと思ったのですが、その後、ハムシ科ではないかもというコメントをいただき、図鑑で調べてヒラタドロムシ科のチビヒゲナガハナノミにたどり着きました。昨年は6月4日に見ていて、場所は同じ用水路脇の風よけでした。「日本産水生昆虫第二版」によると、ヒラタドロムシ科の成虫は産卵時に一部が水中に潜る以外は水辺の植物上などで見られるとのことでした。幼虫は水生のようです。検索表も載っていたのですが、幼虫用だけでした。「水生昆虫」の本だから仕方ないですね。



これはホソクビアリモドキ



それにツマキアオジョウカイモドキ





最後はコフキゾウムシでした。このコフキゾウムシは「廊下のむし探検」初みたいです。

家の近くのむし探検 センボンヤリほか

家の近くのむし探検 第380弾

ハラアカアブヒメバチの検索の続きも出さなければならないのですが、家の周りを歩いて見つけた虫の名前調べも溜まってきたので、とりあえずそちらの方を先に出すことにしました。この間の植物観察会で見たセンボンヤリが咲いていないか気になって5月9日に見にいきました。



まず、朝、家の窓から見た風景です。シカが何頭かいました。最近はよく見かけます。もう奈良公園に行かなくてもいいくらいです。



センボンヤリは山道沿いにあったので、そこまで歩いていきました。途中でこんなトンボを見つけました。たぶん、オグマサナエですね。



何枚か写真を撮っていたら、首をちょっとかしげました。なかなか可愛いですね。



すぐ近くではシオヤトンボも。これからはトンボのシーズンですね。私は目立たないハエや小甲虫ばかり見つけては写真を撮っていますが・・・。



それから、アシブトハナアブです。センボンヤリは確かこの辺にあったなと思って山道を歩いたのですが、見つかりません。何度かその辺りを歩き回ってやっと見つけました。



こんなに長く伸びているのですが、花はこの間見たときとほとんど変わりません。花は咲かないのだろうか。これで咲いているのだろうか。ちょっとがっかりでした。



それで、いつも見ている林の入り口と国道沿いの茂みで虫探しをしました。いろいろといたので、まずは甲虫、カメムシ、ハチ以外の虫を紹介します。これはネットで探して、ヒメギスの幼虫かもというところです。



昨年の秋に何度も見かけたハエです。2か月ほど前に検索をして、イエバエ科チャバネヒメクロバエになりました。詳細はこちらこちら



トビケラは一応撮るのですが、名前はおろか科もよく分かりません。一度、この辺にいるトビケラをすべて採集して調べてみたい気もするのですが、きっと大変でしょうね。



これはアリグモ





こんな派手な毛虫もいました。「日本産幼虫図鑑」を見ると、何となくマダラガの幼虫みたいです。それで、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」の幼虫画像を調べてみました。たぶん、ルリイロスカシクロバの幼虫ではないかと思います。



カミムラカワゲラらしい個体はまだちょこちょこ見かけます。



最近は半日陰の林の入り口と国道脇の茂みを探した後は川の土手にある道具小屋と畑の風よけを調べることにしています。この道具小屋と風よけは用水路脇に立っています。そこで、また、トビケラを見つけました。何となく、止まり方はニンギョウトビケラっぽいのですが、翅は違っています。そのうち調べてみたいなとは思っているのですが・・・。



ここには小甲虫がいっぱいいるのですが、それは次回に回すことにして、こんなアシナガバエがいました。今年はアシナガバエも調べてみたいと思っているですが、思わぬ壁につき当たって進んでいません。何匹か採集はしたのですが・・・。



このクモは以前にも見たことがあります。その時はヘリジロサラグモ♂としたのですが、合っているかなぁ。





道路脇のこんな隙間にコナスビが咲いていました。汚れてちょっと気の毒です。甲虫、カメムシ、ハチは次回に回します。

雑談)小学校三年生に虫の話をしてほしいと頼まれた日が来週の月曜日に迫ってきました。お土産に虫の手作り図鑑をもっていこうと思って、写真と名前だけを載せた簡単な図鑑を作り始めました。作り始めたら面白くなって、話の準備はまったくせずに図鑑づくりばかりをしていました。もうあと、昆虫ではハエ目の一部とチョウ目を残すだけになりました。ところで、今日は学校の先生と電話で打ち合わせをしました。そうしたら、急に話の準備をしていないことが不安になってきました。いったい何の話をしたらよいのでしょう。

虫を調べる ハラアカアブヒメバチ?

まだブログには出していないのですが、5月19日に家の近くにある川の土手で見つけたハチがいます。



こんな派手なハチです。たぶん、ヒメバチだろうなとは思ったのですが、勉強のために採集しました。このハチは以前にも見ていました。2年前の2016年の5月5日です。その時はネットで「派手なヒメバチ」というようないい加減なキーワードで検索を行い、ハラアカアブヒメバチ Diplazon laetatoriusらしいことが分かりました。ハラアカアブヒメバチはいつもお世話になっている"Information station of Parasitoid wasps"でも、ヒメバチ科ヒラタアブヒメバチ亜科に載っていました。色から見て、たぶん、これで間違いないと思うのですが、一度、検索してみようと思ってこの間から孤軍奮闘をしています。だいたいまとまったので、ここに出そうと思いました。

亜科の検索表は"Information station of Parasitoid wasps"にも載っているのですが、引用しないようにということなので、もとになった"Hymenoptera of the World"(ここからダウンロードできます)に載っている検索表を訳して、調べてみました。

この検索表、かなり大変です。というのは一つの項目に4,5個の細項目があるからです。それで、半分に分けて調べていきたいと思います。



まずは前半の6項目です。これを部位別に調べていきたいと思います。赤字は産卵管に関するもので、ちょっと見た感じでは見つからなかったので、その分の写真はありません。



まずは全体像です。体長は直線距離で測ると5.4mm、後体節第1節で折れ曲がっているとして測ると5.5mm。それほど変わりませんでした。この写真ではとりあえず翅が正常なことを見ます。



次は頭部の拡大です。中央の白い部分が頭盾ですが、先端縁に特に歯は見られません。それで④はOKとしました。上唇がどれだかよく分からないのですが、頭盾の下にあるちょっとした出っ張りの部分だと考えると、特に突出したところも中央の凹みも見られません。それで、⑥もOKとしました。



次は触角です。⑤はOKでしょう。⑥に関しては、触角の節数を数えてみました。鞭節の基部に小さな節があるのですが、これを数に入れるのかどうかで迷いました。入れるとすると、鞭節は17節になり、とにかく⑥はOKです。



次は中胸盾板から後体節第1節までを背側から写したものです。小盾板は矢印で示した部分ですが、先端には特に棘になどありません。



次の前胸背板は中胸盾板の前方に見える幅の狭い部分です。横向きの溝みたいなものが見えますが、突起は特にありません。それで⑤はOKにしました。



次は前伸腹節を写したものです。④の横向きの隆線がはっきりとは分かりません。たぶん、白矢印の部分を指すのかなと思ったのですが、どうだか分かりません。でも、④はOKにしてしまいました。



次は翅脈です。翅脈の名称は"The American Entomological Institute"に載っているものを用いました。②に関しては、2m-cuは存在し、翅脈は完全です。従って、これはOKです。⑤の鏡胞は黒矢印の部分に本来はあるのですが、これにはありません。「開く」という方になるのでしょう。



これは後体節を腹側から写したものです。第2~4節は硬化と書いた部分だけが堅くなっていて、腹板を形成しています。そのほかは膜質になっています。ということで、③はOKだと思われます。



次は後跗節を写したものです。爪が第5節の1/2以下ということですが、全体を測ると0.75にもなってしまいます。先端の爪の部分だけを測れば0.28なので、こちらのことを指しているのでしょう。



最後は腹部末端の写真です。ここがよく分かりませんでした。たぶん、突起が産卵管鞘ではないかと思うのですが、いろいろと論文を見ても確証が得られませんでした。⑤は多くの項目の中の一つなので、たぶん、大丈夫だと思います。



次は検索表の後半です。こちらは5項目なのですが、それでも調べるところがたくさんあります。赤字はやはり産卵管や産卵管鞘に関するもので、今回はとりあえずパスしました。



また、部位別に見ていきます。これは頭盾と大顎を拡大して写したものです。頭盾の上側には溝があります。これが⑦と⑩の内容です。⑪は大顎に関するものですが、下に歯があり、上には幅の太い歯があるのですが、その中央が凹んでいます(黒矢印)。これのことを指しているのだと思われます。ということで、すべての項目をOKとしました。



次は鏡胞に関してですが、特に問題はありません。



これは後翅の翅脈ですが、1/Cuの方がcu-aよりは明らかに長くなっています。ただ、対抗する選択肢がcu-aの方が長いということなので、⑪はOKなのでしょう。



これは後体節第1節に関するものです。通常、後体節第1節は細い筒状になっているのですが、このハチはこんな平板状になっています。これが⑧の内容ではないかと思います。



これは後体節第1節の部分を拡大したものですが、確かに四角くなっています。ということで、⑪はOKです。



そして、これはその後体節第1節を横から写したものです。気門は前寄りにあります。で、⑧もOKです。



後体節第1節を腹側から見てみました。腹板はわずかに見えますが、気門までは達していません。それで、⑧はOKです。



最後は中脛節末端の距刺ですが、写真で示すように2本あります。

ということで、産卵管に関する項目をパスしたのですが、残りはOKなので、たぶん、ヒラタアブヒメバチ亜科 Diplazoninaeで間違いないと思われます。特に、後体節第1節が平板状なのが特徴的です。次は属の検索なのですが、これは次回に回します。

植物観察会で見た花

5月5日に淀川、木津川、桂川が合流する三川合流域にある背割堤で植物観察会が行われました。この時に見つけた虫はすでに報告したので、残ったのは本命の植物です。でも、植物も難しいですね。後から写真を見てもそれだと決めることができずに?マーク付きが多いです。



木津川にかかる御幸橋を渡る一行です。この日は10数人の参加でした。







背割堤の入り口にはクサフジが見事に咲いていました。(追記2018/05/22:一秋さんから、「クサフジは帰化植物で河原などあちこちで増えているナヨクサフジ ですね。綺麗ではあるのですが増えすぎて問題になっています。」というコメントをいただきました。クサフジ、やけに綺麗だなと思っていたら、帰化植物ですか。びっくりしました。確かに、「野に咲く花」にもちょっと書かれていました。旗弁の爪部(花の筒状の部分)舷部(反り返った部分)より長く、蕚筒の基部が丸く突き出しているという特徴はその通りでした。クサフジにこんな帰化植物があるのは知りませんでした。どうもありがとうございました





堤を歩くと黄色の花が一面に咲いています。これはトゲミノキツネノボタンという帰化植物です。「日本帰化植物写真図鑑」には載っていました。ヨーロッパ原産で、初め仙台市で見いだされた後、西日本を中心に発生しているそうです。







花と実を拡大してみました。実には刺のような突起がありますね。





これは先日も見たウラジロチチコグサです。こういうところを歩くと、基本、帰化植物ばかりですね。





そんな中ではニョイスミレは可憐でした。



これはヒロハギシギシだと教わったのですが、エゾノギシギシという名前の方が一般的のようです。広葉だというので葉を拡大して撮ったのですが、ギシギシ類を見分けるには果実を撮る必要があったみたいです。「日本帰化植物写真図鑑」には見分け方が載っていました。それで、これはまだ?マーク付きです。



これはヤワラスゲというようです。ちょっと実を拡大してみました。



何だか少し前に見たエノキの虫こぶに似ていますね。



こちらはナルコスゲ。カヤツリグサも何となく面白そうですね。私好みではあります。



これはナガバイラクサと教わったのですが、「日本の野生植物II」を見るとホソバイラクサの変種になっていました。検索表も載っていたので見てみると、イラクサとエゾイラクサは隣り合う托葉が合着して2枚になっていて、コバノイラクサとホソバイラクサは合着しないので4枚だとのことです。



フクラスズメの幼虫ばかり撮っていたので、植物体はあまり撮っていなかったのですが、葉柄の根元にある小さな葉みたいなものが托葉でしょうね。これを見る限りは4枚はありそうな感じです。ただ、説明を読むと、ナガバは葉がさらに細く、薄く、毛が少ないとのことです。これはそんなに細いとは見えないので、やはり?マーク付きです。刺さると痛いというので刺を拡大してみました。



二段階になっていますね。刺さると、途中で折れて刺さったままになるということなのかな。





この間もあったオドリコソウです。



会のリーダーの先生が、「あまり撮るものがないでしょう。ここにヘビイチゴの実がありますよ。」と言われるので、仕方なく撮りました。



いつも虫を撮っている一眼レフでも撮ってみました。



ピントの合っているところだけをトリミングするとこんな感じです。ちょっと面白いですね。



白いニワゼキショウがありました。セッカニワゼキショウというようです。「日本帰化植物写真図鑑第2巻」にはその名の由来が載っていました。この白い花はニワゼキショウの白花品ですが、花弁基部が紫色となる白紫型ニワゼキショウとは明らかに違っています。それで、シロバナニワゼキショウとすると白紫型(白花型ともいわれる)と紛らわしいので、セッカ(雪花)と名付けたということです。



で、観察会ではアイイロニワゼキショウだと教わったこのニワゼキショウが実は白紫型ではないかと思いました。アイイロはネットで見ると、全体に青っぽく、花弁の先端が切れ込んでその中心が突出していました。本当かどうか分かりませんが・・・。





お昼を食べたところにあった桑の実です。熟すと真っ黒になるのでしたね。





これはウマゴヤシ



そしてカスマグサ。ここいらで一眼レフの電池が切れたために後は適当になってしまいました。



リーダーが道なき道を歩き始めました。どうやらコゴミを探すとのこと。







でも、途中でコウヤワラビがありました。以前、シダを調べたこともあったので、シダを見るとちょっと嬉しいです。結局、コゴミは見つからず、途中でUターンでした。

植物観察会で見た虫えいと菌えい

淀川、木津川、桂川の三川合流域で5月5日に開かれた植物観察会に参加しました。私はもっぱら虫を撮っていたのですが、その中でエノキの虫こぶとセイヨウカラシナの変形について話題にのぼりました。それで、少し調べてみました。



まずはエノキにこんな虫こぶが付いていました。観察会では虫こぶですという説明で終わってしまったのですが、かなり大きな虫こぶだったのでちょっと気になって調べてみました。



まずは虫こぶの拡大です。高さが数ミリはありそうな巨大なものです。これはエノキハトガリタマフシと呼ばれている虫こぶで、エノキトガリタマバエが作るそうです。これについては次の論文に詳しく載っていました。

J. Yukawa and K. Tsuda, "A New Gall Midge (Diptera, Cecidomyiidae) Causing Conical Leaf Galls on Celtis (Ulmaceae) in Japan", Kontyu, Tokyo 55, 123 (1987). (ここからダウンロードできます)

この論文はエノキトガリタマバエ Celticecis japonoicaの記載論文になっていて、この種の特徴から生活史、このタマバエに対する寄生種などの記述があり、大変興味深い論文でした。まず、タマバエの♂は春早く地面近くを飛び回り♀を探します。♀は低いエノキの葉や幹に止まっていることが多いのですが、これを見つけて交尾します。その後、♀はエノキの芽に卵を産みます。そこから孵化した1齢幼虫は葉に虫こぶを作り始め、その中に入り込みます。虫こぶの中は空洞になっていて、その中で脱皮を繰り返し3齢幼虫にまで成長します。6月を過ぎると虫こぶは葉からはずれ、下に落ちます。そしてこのまま3齢幼虫で越冬します。翌年2月頃になると虫こぶ内部で蛹になり、3月が過ぎるころになると虫こぶを破り外に出てきます。この様子は論文ではグラフとして描かれていますが、その概略を描くと次のようになります。


実際には、1か月ほどの時間の幅があるのですが、それを簡単のため縦の破線で描いてあります。緑の部分が植物体の上にある状態を示しています。このグラフに虫こぶの大きさの変化を示すグラフを時期を合わせて重ねてみました。虫こぶは1齢幼虫の場合は2mm以下と小さいのですが、落下時期になると高さが6mm前後にもなっています。

このような虫こぶをつくる意義については次の論文に載っていました。

徳田誠、「虫こぶ・虫えいー昆虫がつくる植物の奇形」、農業および園芸 88, 636 (2013). (ここからダウンロードできます)

要は、1)養分の効率的な摂取、2)天敵からの回避、3)乾燥などの環境変化の緩和の3点だそうです。でも、こんな虫こぶの中にいてもやはり天敵はいるようです。Yukawaらの論文によると、落下した虫こぶを飼育して調べてみると、オナガコバチ科やナガコバチ科の成虫が出てきたそうです。これらの幼虫はタマバエの2齢、3齢幼虫を攻撃するようです。このような外部寄生だけではなく、タマバエの体内に寄生する内部寄生も見られたそうで、虫こぶの中といえども安全ではないようです。

このような虫こぶがどうやってできるかについては意外にまだ分かってないようです。摂食刺激や産卵刺激で虫こぶが形成されるので、一般には摂食や産卵の時に注入される化学物質がもとになって作られると考えられています。一部の虫こぶ形成昆虫には植物ホルモンを合成する能力を持っているそうです。



次はアブラナ科に見られるこんな変形についてです。観察会の時に質問を受けたので、アブラムシのせいかもと答えたのですが、この写真ではアブラムシの姿は見られませんね。アブラナ科は野菜に多く使われているので、この現象は古くから知られていました。原因としては白さび菌に感染して、このような変形を起こしているそうです。白さび菌はAlbugo macrosporaという種で、分類的には卵菌門(Oomycota)―卵菌綱(Oomycetes)―ツユカビ目(Peronosporales)―シロサビキン科(Albuginceae)―シロサビキン属(Albugo)となっています。卵菌というのは有性生殖時に生卵器および造精器をつくる菌という意味のようです。

これについて総合的に書かれた文献は見つかりませんでしたが、次の論文に少し載っていました。

野津幹雄、石原義光、「カラシナ白さび病肥大組織の電子顕微鏡による観察」、島根大農学部研究報告 10, 74 (1976).(ここからダウンロードできます)
今村有希ほか、「コマツナ白さび病菌完全世代の確認」、関東東山病害虫研究会報 60, 41 (2013).(ここからダウンロードできます)

白さび菌による病変は葉、茎、花柄に現れますが、特に花柄に出た場合が顕著で、茎が肥大し、湾曲し、花弁が緑色になったり肥大化することがあるそうです。このように菌による植物体が変形することを菌えいと呼ぶそうです。

植物観察会で虫撮り

先月末に家の近くであったばかりの植物観察会が、5月5日にも催されました。今度は淀川、木津川、桂川の三川合流地点にある背割堤(せわりてい)という堤防の周辺です。この堤はソメイヨシノが250本も植えられていて、花の季節には大変綺麗なようです。



御幸橋(ごこうばし)の上から下流側を見たところで、左側を流れているのが木津川です。右側にある並木が堤の中央を走る道沿いに植えられたソメイヨシノです。下の道をちょっと行ったところで皆さんバーベキューをされていました。植物観察は堤の反対側の道を進んだのですが、私は例によって虫探しです。



まずはこんなハムシを見つけました。これは前にも見たことがあります。たぶん、ムナグロナガハムシというのだと思います。「日本列島の甲虫全種目録 (2018年)」によると、これはハムシ科ではなく、カタビロハムシ科モモブトハムシ亜科に入っていました。(追記2018/05/12:通りすがりさんから、「Zeugophoraはワモンナガハムシしか見たことが無いんですが、このハムシはチャバネツヤハムシに見えますが果たして?ムナグロナガハムシは見たことが無いんですが、和名で検索しても学名で検索しても何種ものハムシを誤同定されてて、検索してみないと分からんです…。」というコメントをいただきました。亜科レベルで違うので、「原色日本甲虫図鑑IV」に載っている亜科の検索表で調べることができます。触角の基部が近い!確かにこれはヒゲナガハムシ亜科か、ノミハムシ亜科です。他の写真を見ると後腿節もやや太い。本当にノミハムシ亜科みたいです。図鑑を見ると、チャバネツヤハムシの近くに載っているナガトビハムシもちょっと似ています。前者はPhygasia、後者はLiprusです。「台湾産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」に載っている属の検索表によると、上翅の点刻が規則的な列状だとLiprusに進み、不規則で列状をなさないとPhygasiaに進みます。この写真では不規則で列状をなさないので、やはり仰る通りチャバネツヤハムシみたいです。ということは以前にムナグロハムシだとしたのもみなチャバネツヤハムシ。これはショックです







次に気が付いたのはこのハムシでした。ギシギシの葉にいっぱいついていました。でも、こんな写真で驚いてはいけません。





こんなにぎっしりついていました。このハムシはすぐに分かるだろうと思って、「原色日本甲虫図鑑IV」の図版を探したのですが、何度見ても見つかりません。仕方なく、ネットで「ハムシ」と「ギシギシ」のキーワードで検索するとすぐに見つかりました。コガタルリハムシだそうです。ネットは便利は便利なのですけど、やはり自分で調べて見つけたいですね。4匹採集したので、今度、検索表で確かめてみます。



すぐそばにハバチがいました。この間、ハバチ亜科とヒゲナガハバチ亜科の間で迷ったので、勉強だと思ってまた採集してしまいました。



植物観察の方はナガバイラクサの説明で、これに刺されると痛いという話でしたが、それについているフクラスズメの幼虫の方が気になりました。



途中でアカタテハはいましたが、虫はこのくらい。



桜並木のある堤の終点はこんな階段になっています。ここに座ってお昼を食べました。私は早く食べ終わったので、周りで虫探しです。





こんなハエがいました。やはり見ただけだと分からないなぁ。(追記2018/05/12:しげしげ眺めていると、翅にsc切目があり、触角刺毛が羽毛状のようにも見えます。ひょっとしたらショウジョウバエ科?



これはドウガネサルハムシかな。



ナガメのカップルがいました。写そうとすると動き回って裏側にすぐに隠れてしまいます。



まぁ、腹側を写すのもいいかも。



また、フクラスズメの幼虫がいました。接写で撮ったので、画面からはみ出しそうです。



風が強かったので、治まるのだいぶ待ったのですが、カスミカメは結局ピンボケでした。この模様からはマダラカスミカメのようにも見えますが、ちょっと違うような気もします。よく分かりません。



すぐそばでマルカメムシが産卵していました。卵をちょっと拡大です。



こんな横向きの卵を産むのですね。「図説カメムシの卵と幼虫」を見ると似たような配列の絵が描かれていました。蓋の周りの飾りは受精孔突起と言って、長さは35μm、円筒形で下部が広がり、全部で13-15個あり、背面の2、3個はやや小型だそうです。背面側の突起がはっきりしないことは確かですが、突起の形までは写真では分かりませんね。何のためについているのかも載っていませんでした。

ここで、うかつにも一眼レフの電池がなくなってしまいました。替えの電池を持って来なかったので、後はコンデジだけ。ちょっと虫撮りの気力がなくなってしまいました。植物観察会なので植物は撮りました。それは次回に回します。花はあまりなかったです。

雑談)この間、小学3年生に虫の話をしてほしいと頼まれたのですが、今度は2年生の野外活動に同行してほしいと頼まれてしまいました。私の住む地域ではすっかり「虫おじさん」で通っている感じです。

今日はヒメバチ科のハラアカアブヒメバチらしい個体の検索をしてみました。これは以前にも見たことがあって、種名がだいたい分かっているので亜科の検索をすればよかったなと思っていた種です。検索表にはいつものHymenoptera of the World(ここからダウンロードできます)を用いたのですが、とにかく一つ一つの項目の長いこと長いこと。翻訳も大変、調べるのも大変。でも、何とか亜科までは到達し、その後はいつもお世話になっているInformation Station of Parasitoid Waspsで属の検索をしてみました。調べる項目が多い分、顕微鏡で撮影するところも多くなり、後の処理も大変です。でも、今年はヒメバチ、コマユバチも少し調べてみたいと思っていたので、我慢我慢。

追記2018/05/12:雑談の追記です。小学校にお土産として持っていく写真と名前だけを載せた図鑑作りに励んできます。今は甲虫目を作っていて、もうすぐ終わります。これで残りは、ハエ・ハチ、蝶・蛾、クモなどその他の動物だけになりました。21日が当日なので、なんとかハエ・ハチくらいまでは間に合いそうです。100ページほどの小冊子にして4冊をお土産としてもって行くつもりです。ムナグロナガハムシを早速直しておかなくっちゃ

家の近くのむし探検 蛾、ハチ、ハエなど

家の近くのむし探検 第379弾

5月4日に家の近くの公園で見つけた虫の続きです。



これは出かけにマンションの倉庫の壁に止まっていた蛾です。「標準図鑑」を見たのですが、どうもぴったりと来ないので迷ったのですが、結局、モトグロコブガかなというところです。



公園ではルリチュウレンジが出てきました。いつも4月中旬ごろから5月初旬にかけて見始めています。今年はちょっと遅かった感じです。





ガガンボがいました。「日本産水生昆虫第二版」を買ったので、一度、検索をしてみようかなと思っているのですが、この日はパスです。



結構、大きな虫です。ハチかなと思ったのですが、触角柄節が長いのでアリのようです。



腹柄節もあるので、やはりアリみたいです。



マガリケムシヒキ属にも数種いるのでしたね。これは前脚腿節先端が赤褐色なので、マガリケムシヒキNeoitamus angusticornisみたいです。





ツツジに蝶が止まっていました。回り込んで写してみたら、どうやらコツバメのようです。



これは何だろうな。ミズアブ科かなぁ。(追記2018/06/26:後脛節先端近くに黒い帯があるので、たぶん、Microchrysa japonicaだと思いますが、はっきりとはしません。別の個体での検索結果はまだ出していないのですが、とりあえずはこちらに書いてあります





次はヒゲナガガです。触角が長いので♂。でも、顔の周りに鬚がないので、ケブカヒゲナガの仲間ではなくて、ホソオビヒゲナガ♂ではないかと思います。



ユスリカはセスジユスリカ辺りの種かな。



こちらはネコハエトリ。何か捕まえていますね。





アシナガバエがだいぶ出てきました。「日本産水生昆虫第二版」には属の検索表が載っているので、今度一度調べてみたいと思います。



前脚脛節末端の距刺がなくて、前胸背に1対の縦溝があるので、ヒメトゲナシケバエ♂ではないかと思っています。





この変なハエは以前にも見たことがあります。そのときはヒロクチバエ科のPterogenia属の未記載種ということでした。今回は捕まえようと思って近づいたら、またしても逃げられてしまいました。

虫を調べる クストガリキジラミ?

今日はトガリキジラミを調べてみます。



対象とするのはこんな虫で、4月19日に家の近くの公園で見つけたものです。実は、昨年も見ていたのですが、あまりに小さいのでそのままになっていました。先日、「絵解きで調べる昆虫2」を手に入れたのですが、この中にキジラミ類の絵解き検索が入っていたので、採集して調べてみました。その結果、クストガリキジラミ Trioza Camphoraeになりました。今回はまったく予備知識なしに調べていったので、合っているかどうか分かりませんが・・・。とにかく、検索過程を写真で確かめていきたいと思います。



まずは横から写した写真です。体長は1.6mmだったのですが、キジラミ類では翅端までの長さで言うことが多いので、そちらを測ると2.5mmでした。全身が黄色で、翅が透明です。前翅の後縁の脈と脈の間にわずかに斑紋が見られます。



まずは科と属の検索です。実際に検索をしてみると、上の7項目でトガリキジラミ科のトガリキジラミ属になりました。それでは各項目を写真で見ていきたいと思います。



翅脈に関する項目が多いので、まず、翅脈を見てみます。翅脈の名称は「絵解きで調べる昆虫2」の中の「キジラミ類の成虫の形態」を参考にしました。まず、①はR、M、Cu脈が1点で3分岐するとトガリキジラミ科だということで、この写真でも白矢印で示した部分でほぼ1点で3分岐しています。③と④は翅端に関する項目で、翅端部は狭く丸くなるという感じでしょうか。これに対抗する選択肢が「非常に広く丸い」なので、たぶん、大丈夫だと思います。④もM1+2脈が翅端に近くになっていますが、m1室が翅端部を含んでいます。⑤は斑紋に関してで、ほぼ透明で斑紋はないといってよいのではと思います。ということで、これらの項目はすべてOKです。なお、?で書いた線は翅脈のようにも見えますが、翅の折り目なのかもしれません。そういう意味ではCu2も折り目みたいですが、ここには翅脈が走っているのかもしれません。



次は触角ですが、糸状です。よく見ると、各節の先端に短い刺毛が出ています。ということで、②もOKです。



次はこの間キジラミでも出てきた額錐です。比較的によく発達しています。⑥は額錐の発達していないヒダカキジラミ属を除外する項目なので、これもOKだと思われます。



次は腹部末端です。こんな形をしているのは♂の方です。肛節後縁というのは矢印で示した部分ですが、ここが強く後方に張り出したヤナギトガリキジラミ属との比較です。この写真の個体はあまり張り出していないので、⑦もOKです。ということで、トガリキジラミ科のトガリキジラミ属になりました。



次は種の検索です。全部で10項目ありますが、このうち半分以上は翅に関するものです。これらを確かめていきます。なお、赤字は今回調べることができなかった項目です。



翅に関するものは全部で8項目ありました。順番に見ていきます。まず、⑧については翅の中央を黄色の破線で示しました。黄矢印の付近がもっとも幅広いので、翅の中央より先端寄りと言えます。これで⑧はOKです。⑨については雲状紋などはありません。また、m1室が平圧される(つぶされて小さくなること)こともありません。⑩と⑪については、Rs脈は弧状で、その終端は翅端からは遠く離れています。⑫は⑧のところですでに確かめました。⑬についてもほぼ大丈夫でしょう。⑮はやや微妙ですが、Rs脈は翅の半分より少しだけ短くなっています。⑰についてはcu1室が菱形かと言われると、むしろ平行四辺形だと言いたくなるのですが、対抗する選択肢が「体は黒色」という項目を含むので、まあ、よいのでしょう。



頭胸部の毛は特に気にならなかったので、⑭もOKだと思います。



⑯に大きさに関する項目があったので、もう一度、載せておきました。たぶん、乾燥標本だと腹部が縮むので、翅端までを測るのでしょう。とにかく範囲内に入っています。



⑯は把握器に関するものです。基部がもっとも広くなっているのは写真でも分かります。ちょっと後ろの方から撮ってみました。



こうやって見ると、把握器であることが何となく分かります。それで⑯はOKでしょう。この他に挿入器に関する項目があるのですが、本に載っている絵によると肛節と把握器の間に細長い形のものが描かれています。この写真では見られないので、ここではパスしました。これですべての項目を確認したので、たぶん、クストガリキジラミでよいのではと思っています。

ついでに撮った写真を出しておきます。



今回は体色が黄色なので、背景を白にするとコントラストが付かなくて困りました。触角も背景を白にすると各節にある毛がはほとんど見えません。



背景を暗くするとよく見えるようになりました。



次は腹部末端の構造ですが、背景が暗いとこんな感じです。



これは透過照明で、横からも照明しています。やはり背景が暗い方が見やすいかな。

なお、クストガリキジラミについては次の論文が記載論文になっています。

C. Sasaki, "On the Life History of Trioza Camphorae n. sp. of Camphor Tree and its Injuries", Journal of the College of Agriculture, Imperial University of Tokyo 2, 277 (1910). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

名前の通り、クスに寄生するみたいです。今回調べた個体を見つけたのはレンギョウの葉上だったのですが、そういえば公園の中には大きなクスノキがありました。この論文には絵も出ていて、翅脈、腹部末端の構造などはよく似ています。ただ、触角の先端の剛毛は2本になっていました。この写真では両方とも短い1本だけだったので、もう一方は折れてしまったのかな。たぶん、大丈夫だとは思うのですが、ちょっと気になります。

感想)今回、初めてトガリキジラミの検索をしてみました。絵解き検索の絵がうまく描かれているので、それほど疑問になる点もなくて検索できました。今回は前もってまったく種が分からなかったので、クストガリキジラミに到達したときに本当かどうか甚だ不安だったのですが、ネットで調べてみると成虫やら幼虫の写真がたくさんでてきました。これでたぶん大丈夫だろうと安心したのですが、折角、検索までしたのに、よく知られた種だと分かってちょっとがっかりです。

家の近くのむし探検 カメムシ、甲虫、ナナフシなど

家の近くのむし探検 第378弾

5月4日に家の近くの公園に行ってみました。世の中はもう連休疲れも終わる頃でしょうに、虫の名前調べはまだ連休の真っ最中です。この日も虫はいっぱいいたので2回に分けて出します。まず、カメムシ、甲虫、ナナフシ、カゲロウです。





公園で知人に会い、コンデジとクローズアップレンズで接写をする方法を説明しているときに見つけました。これは変わった色の被写体だなと思って何枚も撮ったのですが、実は、以前撮ったムネアカアワフキの♀の方でした。前胸背板が♀は赤くて、♂は黒いみたいです。



クワキヨコバイ属です。以前にも書いたように、この属には未記載種を含めて240種以上がいるそうで、これらを22の種群分けているなんて話を知ると、写す気力がなくなってしまいます。



これはたぶん、ヒレルクチブトゾウムシだと思います。





小さなカスミカメムシです。以前は「原色日本カメムシ図鑑」の写真を見て、ヒメヨモギカスミカメとしたのですが、その後の「原色日本カメムシ図鑑第2巻」の説明を見ると、「脚は黄色く、後腿節には大きくて目立つ暗色斑を散りばめる」とあります。写真を拡大してみたのですが、あるような、ないような。ひょっとしたら違うのかなと疑いを持ち始めました。



ツツジの葉の奥でこちらをにらんでいるのはシマサシガメの幼虫みたいです。





ハラビロヘリカメムシの仲間です。似た種にホシハラビロヘリカメムシがいます。「原色日本カメムシ図鑑第3巻」に載っている検索表には、「触角第1節は短く、複眼を含む頭部の幅より狭い」のがハラビロとなっているのですが、写真で触角第1節と頭部背面を同一平面内に写すのがなかなか難しいです。それで、触角第2、3節が「扁平な三角柱状」になるのがハラビロ、「円筒形」なのがホシハラビロと見分けることにしています。実際には触角をいろいろな方向から写真を撮り、第1節に比べて幅が変化するかどうかを見分けています。これは変化しているので、ハラビロヘリカメムシの方だと思っています。





この2匹はバラルリツツハムシの仲間です。似た種にルリツツハムシがいます。これについては以前、採集してきて調べたことがありました。その時はバラルリツツハムシになったので、これもたぶん、同じじゃないかなと思っています。





これは「原色日本甲虫図鑑III」の図版と比べるとクロヒメクビボソジョウカイに似ています。ただ、この種の含まれるPodabrus属は図鑑では6種ですが、「日本列島の甲虫全種目録」によれば、Asiopodaburus属に属名が変更され、5亜属171種にまで増えています。もうどうしようもない感じです。



これはたぶん、キイロナガツツハムシ



ツツジの葉にいる虫を探していたら、今度はムネアカアワフキ♂の方を見つけました。♂♀揃ってよかった・・・。







一通り見て、運動もし終わったので、もう帰ろうとしていた時にナナフシの幼虫を見つけました。いかにも不器用に歩いています。枝に擬態するためにこんな格好になったのでしょうけど、きっと後悔しているのでは。



帰りに家の前で見つけました。カゲロウです。初めはトビイロカゲロウあたりかなと思ったのですが、この間購入した「原色川虫図鑑成虫編」の図版を見てみると、マダラカゲロウ科のヒメマダラカゲロウ属あたりが似ています。カメラを近づけたら柱の後ろ側に回ろうとしたので、反対側から手を近づけてこちらに来させようとした瞬間、アッという間に飛んでしまいました。意外に敏捷です。採集できれば種まで分かったかもしれないのに・・・。

雑談)虫の名前調べで忙しく、ブログの他のカテゴリーを見なかったのですが、いつの間にか、「自然観察」というカテゴリーができていますね。登録数は39000件ほど、私の出している「生物学」は38万件。もう一割ほどになっています。ただ、上位分類が、「趣味とスポーツ→レジャー→自然観察」となり、ちょっと違和感があります。それでは今の「生物学」はというと、「科学→自然科学→生物学」となっています。「科学」といわれるほどのものではないので、「自然観察」と「生物学」の中間ぐらいというところかな。

家の近くのむし探検 甲虫、クモなど

家の近くのむし探検 第377弾

5月3日にまた川の土手に行ってみました。この日の目的はこの間見つけた奇妙な植物の花の写真を撮りに行くことです。先日の植物観察会の折にお聞きし、カラクサナズナという帰化植物であることが分かりました。詳細は追記として書いたので、こちらを見てください。この日は途中で知人と会って話し込んだので、あまり観察はできませんでした。とりあえずその時に撮った写真を出しておきます。





まずはウスモンカレキゾウムシです。マンションの廊下で見つけました。白い壁だからすぐに分かるのですが、野外だとどこにいるかほとんど分からないでしょうね。



川の土手を赤いダニが動き回っています。ちょっと暗い色の個体がいたので撮りました。さて、なんでしょうね。



その横では小さなムカデが。気持ち悪い場所ですね。



これはナナホシテントウの幼虫です。





このクモは「日本のクモ」で調べました。たぶん、エビグモ科のヤドカリグモ♂だと思います。記録を見ると、以前にも5月に見ていました。名前に由来がありそうですが、説明は載っていませんでした。



こちらはシラヒゲハエトリ。何かを食べています。



これはルリマルノミハムシ。このハムシは以前詳しく調べたことがあります。



畑の横に風よけだと思うのですが、こんな細かい目のネットが張ってあるのですが、これが絶好の観察場所にんなっています。これに夜間明りを灯せば最高なのですけど。これはヒメマルカツオブシムシ



アワフキムシの幼虫も登っていました。何をしているのかなぁ。





これはキンカメムシ科のチャイロカメムシ。金で茶色というのも何か変ですが・・・。



帰りにちょっとだけ国道沿いの林を見てみました。これはフクラスズメの若齢幼虫でしょうね。



これはカミムラカワゲラだと思っているカワゲラです。



そしてこれはフタツメカワゲラ属。

虫を調べる チビハナゾウムシ

顕微鏡写真が溜まってきたので、早めにまとめてみました。



今日はともかく小さなゾウムシです。これについては以前、チビハナゾウムシだと思えていただいたことがありました。その際、記載論文も教えていただいたので、今回はそれに載っている検索表を用いて確認をしてみました。



これはAnthonominae亜科の属と亜属、種への検索表のうち、必要な部分のみを抜き出してきたもので、次の論文に載っていました。

H. Kojima and K. Morimoto, "Taxonomic Study of the Subfamily Anthonominae from Japan (Coleoptera, Curculionidae)", ESAKIA 34, 147 (1994). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

赤字は確かめるのを忘れてしまったものです。また、・・・は交尾器に関するもので今回は省略です。たぶん、大丈夫だとは思いますが・・・。いつものように部位別に写真を見ていこうと思います。



これは背面からの写真です。地色は茶色で灰色の毛状鱗片が散在しています。それで、⑦はOKだと思われます。



次は横からです。まずは体長を測ろうと思ったのですが、どこを測ったらよいのか迷いました。これについては「原色日本甲虫図鑑IV」の最初に書かれていました。ゾウムシは吻の部分を除いて測るそうです。そうなると1.6 mmとなり、⑦の条件もOKとなりました。形は洋ナシ形だということですが、何となく横から見た方がそのように見えます(本当は上からでしょうけど・・・)。吻の長さは頭部と前胸背板を合わせた長さよりも長そうです。ということで①もOKです。



触角挿入溝は矢印の部分に吻に沿ってついています。確かに横からも見えるし、複眼の下半分に向かっているので⑥はOKです。



次は触角を拡大してみました。触角を柄節、中間節、球桿に分けます。そのうち、中間節は数えてみると7節くらいあります。くらいと書いたのは第7節目がどうもはっきりしなかったからです。ここ、本当は重要なのですが・・・。でも、たぶん、大丈夫でしょう。それで、①も⑥もOKにしました。



これは分かりにくかったです。それで、間室と条溝に番号を振ってみました。奇数間室の鱗片が密かどうかは分かりにくいのですが、そういわれるとそうかもしれません。前胸背板の中央には確かに鱗片による筋があります。第5条溝の基部が凹むかどうかは次の写真で見ることにして、第5間室と少なくとも第2間室辺りは前縁部分でつながりアーチ型になっています。そのアーチに第3間室からの鱗片が途中からつながっている感じです。



ちょっと斜めから撮ってみました。第5条溝(それに第6条溝も?)の基部は黄矢印で示すように凹んでいます。これで⑦もOKだと思われます。



②の前腿節の歯状突起は黒矢印で示した部分です。1本だけあります。④の前半部分は前脛節の先端がやや斜めに突起している辺りを指していると思われます。ここの部分の膨れ方が大したことがないという意味のようです。後半は書いてある通りです。ということで、②も④のOKです。



爪の写真ですが、はっきりとは写りませんでした。でも、矢印で示したように歯はありそうです。ということで、尾節板を除いて検索表に書かれている内容を確かめることができました。確定的というわけではないのですが、たぶん、チビハナゾウムシ Anthonomus minorでよいのではと思っています。本当は亜科の検索もすればよかったのですけど・・・。亜科の検索は次の論文に載っていました。

K. Morimoto, "Key to families, subfamilies, tribes and genera of the superfamily Curculionoidea of Japan excluding Scolytidae, Platypodidae and Cossoninae", J. Fac. Agri. Kyushu Univ. 12, 21 (1962). (ここからダウンロードできます)

今度試してみたいと思います。でも、一般的に言って、上位分類の検索の方が難しいですね。もっとも、下位分類の場合は交尾器に関するものが多いですけど・・・。

植物観察会(大阪北部)続き

朝の続きで、4月29日に大阪北部で行われた植物観察会で見た花です。



林の中でお弁当を食べてから、民家の間を通り、山の斜面を横切る山道を歩きました。途中で見たヤマネコノメソウです。



これはホウチャクソウ



次はカキドオシです。花をちょっと拡大してみました。



こんな花でした。



ユキノシタはもうすぐ咲きそうです。





アマドコロも咲いていました。



こちらはキランソウ



この清楚な花はタニギキョウ。小さな花です。





この辺で唯一咲いているというキンランも見せていただきました。



この花はムベ。トキワアケビですね。





フジは本当に見事ですね。





この小さな花はニョイスミレです。





これはセンボンヤリだそうです。初めて見たのではないかなぁ。こんな身近なところにありました。





そして、最後はオオデマリです。この頃になるとだいぶくたびれてしまって、写真もいい加減になってしまいました。やはり教えてもらいながら歩くのは楽ですね。これが一人だったら、家に戻ってから一つ一つ全部調べていかないといけないので・・・。でも、本当は自分で調べる方が勉強にはなるのですけど。
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