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家の近くのむし探検 蛾とカメムシ

家の近くのむし探検 第372弾

4月26日に家の近くを歩いて見つけた虫の続きで、蛾とカメムシです。



まずは蛾からです。小さな蛾ですが、こんな模様を持つのはホソハマキモドキガ科です。「標準図鑑」の写真と比べて、ヘリグロホソハマキモドキではないかと思います。



こちらもホソハマキモドキガ科です。ただ、「標準図鑑」の説明を読むと次の8種が似ているようです。ナミ、コ、オオ、カラカネ、シロモン、シンジュガヤ、シロズ、メスモン、ヒロモンの8種です。このうち、シンジュガヤ、メスモン、ヒロモンの3種は分布が違います。シロズは頭部が白いので違います。残り4種のうち、翅の外半部がこの写真のように黄色みを帯びるのはナミとオオの2種だけです。これ以上は分からないのですが、オオは発生時期が6~7月で山地に発生、ナミは4月下旬から5月発生で平地から低山地なので、ナミホソハマキモドキの可能性が高いかなと思っています。



こんな角度からでしか撮れませんでした。キマダラツバメエダシャクです。



こちらはタケカレハの幼虫です。



こんなに白いものがついているタケカレハの幼虫もいました。ネットで見ると、コマユバチが繭から脱皮した後の様です。



ちょっと拡大してみました。蓋のようなものがついています。確かに空っぽのようです。それにしてもこんなにいっぱい取りつかれたら鬱陶しいでしょうね。





次からはカメムシ目です。これはクロヒラタヨコバイで、昨年も見ました。この日は3匹見ました。



これはキバネアシブトマキバサシガメです。翅が短いのでひょっとしたら幼虫かもと思ったのですが、「日本原色カメムシ図鑑」の説明によると、「翅は短く、革質部が黄褐色で、膜質部は退化する」とのことです。こちらは土手の石垣近くで時々見かけます。



これはセスジヒメナガカメムシ



こちらはヒゲナガカメムシ



最後はアムールシロヘリナガカメムシです。似た種がいるのですが、「日本原色カメムシ図鑑第3巻」の検索表によると、①革質部の先端近くに明瞭な白色紋がある、②触角の第4節は一様に黒色;爪状部の基部に大きい黒色紋がない;小盾板に1対の黄白色短条がある、という2項目を調べることで確かめることができます。
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家の近くのむし探検 甲虫

家の近くのむし探検 第371弾

昨年よく行った林の入り口の小さな道に、4日前に久しぶりに行ってみました。ここは以前マダニにくっつかれたので、それ以来あまり行っていなかったのですが・・・。やはり虫がいっぱいいますね。ここと川の土手で石垣が積まれているところ、それに土手の畑に張っている、たぶん風よけのネットが虫探しのおすすめ場所です。この日は1時間半ほど探したのですが、虫は全部で50種を越えました。そのうち、まず甲虫を出します。

最近、甲虫が少し分かってきたのでちょっと面白くなってきました。また、この間紹介したチャック付きポリ袋に小甲虫を標本としてしまっておく方法を知ったので、それ以来、どんどん採集してきています。甲虫は冷凍庫に入れておいてから解凍しても、その後2、3日は硬化しないので、ゆっくりと観察できて有難いです。これに対してハエはその日のうちに固くなってしまうので忙しくて観察が大変です。



今日の最初はこのハムシからです。たぶん、ムナキルリハムシだと思うのですが、ハムシの場合はくっついていた植物をちゃんと見ておかないといけませんね。(追記2018/04/30:「原色日本甲虫図鑑IV」と木元(1964)を使って亜科、属、種の検索してみました。ナガツツハムシ亜科のムナキルリハムシでよさそうなのですが、木元(1964)にはSmaragdina garretaiとなっていて、最近の図鑑ではsemiaurantiacaとなっています。その間の関係がまだ分かっていません





これは前胸背に深い横溝があって、脚が部分的に淡色なので、たぶん、クワハムシではないかと思います。(追記2018/04/30:検索をしてみました。クワハムシで大丈夫そうです



こちらはヨツボシテントウかな。



これだけ白っぽくて粉をふいたようなハムシはリンゴコフキハムシではないかと思われます。「ハムシハンドブック」によると、羽化からあまり日が経っていない個体は体表が白い粉で覆われているそうです。本当に粉なのかなぁ。



これも植物の名前が分かりません。



拡大してみました。



近くにはこんなペアもいました。腹部が黄色いので、キバラヒメハムシかなと思ったのですが、よくは分かりません。(追記2018/04/30:「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」に載っているヒゲナガハムシ亜科の属の検索表を試してみました。まだ、確定していないのですが、ルリバネナガハムシ属 Liroetisになりました。「日本列島の甲虫全種目録」によると、Liroetis属にはルリバネナガハムシcoeruleipennis一種だけが載っています。これかもしれません。ただ、食草がクヌギというところが引っかかります。もう少し検討します



これは小さな甲虫です。オニタビラコの花がこんなに大きく見えるのですから。ちょっと拡大してみます。



「原色日本甲虫図鑑III」を見ていたら、ヒメハナムシ科に似ている感じです。触角末端節が洋ナシ形というところが検索表ではOlibrusの特徴みたいなので、その辺を軸にもう少し検討してみたいと思います。科の検索もしてみないといけないのですが、難しいかなぁ。





これは「原色日本甲虫図鑑III」を見る限りはウスイロクビボソジョウカイに似ていますが、きっと似た種が山のようにいるのでしょね。



今度は土手の畑の横に建っている小屋で見つけたものです。たぶん、ナミガタチビタマムシ





ゴミムシの仲間ですが、つやつやしてとても綺麗です。ゴミムシも調べてみたいのですが、きっと交尾器を見ないといけないのでしょうね。体をいじるのにはどうも抵抗があります。



次は畑の風よけに張ってあるネットについていた甲虫です。これはマンションでも見たウスチャコガネでしょうね。



ウスチャジョウカイとかクビアカジョウカイとかの辺りかもしれませんが、これも似た種が多いだろうと思います。



これはクロボシツツハムシ





この触角がいいですね。一応、「原色日本甲虫図鑑II」に載っている検索表で調べてみたのですが、たぶん、マルヒラタドロムシ♂。



で、こちらが♀。とりあえず、今回はここまでにします。

昆陽池と箕面散策

先週の土曜日に久しぶりに伊丹市にある昆陽池に行ってみました。いつもは鳥を見に行くのですが、今回は4月にリニューアルオープンした伊丹市昆虫館が目的です。本当はタイトルを昆虫館としたかったのですが、写真を全然撮らなかったので昆陽池としてしまいました。

いつものように駐車場に車を置いて、林の中の道を歩こうとしたのですが、通行止めになっていました。



これは別の場所で撮ったものですが、昆陽池全体がこんな柵で覆われています。



鳥インフルエンザが出たのですね。近くに住んでいるのですが、ちっとも知りませんでした。それで、公園の外周道路を歩いて昆虫館に行きました。リニューアルでどこが変わったのかと楽しみにしていたのですが、入ってみるとまるで変っていません。1階はいつものような展示とチョウ温室、2階は企画展と学習室。学習室の本の配置がちょっと変わったかな。少しがっかりして早々と昆虫館を出てしまいました。

せめて昆陽池の外周だけでも歩こうと思って歩き出したのですが、柵があって池にはほとんど近づけないので、ただ道路際を歩くだけ。



やっと一か所池に近づくことができました。右端に見えるのが昆虫館で、下の方にある丸い屋根がチョウ温室です。



桜の花かなと思って近寄ったらハナミズキの花でした。



アオサギもいました。カラスなら、立ち入り禁止にしても仕方がないのではと思っていたら、後でネットで調べてみると、4月25日に立ち入り禁止は解除されたようです。また、伊丹市昆虫館の改修工事はチョウ温室のガラスの交換だったようです。チョウ温室はあまりよく見なかった・・・。

それで、2日後、今度は家族と箕面に行ってみました。箕面は昨年の台風で滝道が土砂崩れになり、未だに途中から通行止めになっています。



途中で見た鳥です。何だろうと思って後で調べたら、カワガラスの幼鳥みたいです。





でも、うまく撮れたのは最初の一枚くらいで、後はこんな感じで水に頭を突っ込んだものばかりでした。





カエデの木の周りで素早く飛び回っては葉に止まるチョウがいました。何だろうと思って撮ってみたら、トラフシジミでした。





道々、シャガがいっぱい咲いていました。

ここにも昆虫館があって、やはり4月にリニューアルオープンしていました。またしても昆虫館の写真を撮らなかったので出すものがないのですが、新しくなったのは映像シアターとキッズルームができたことかな。ちょうど、チョウの翅の表と裏を見せる「うらおも展」と企画展「八重山の昆虫たち」をやっていました。

放蝶園もあるし、企画展もあって、映像シアターではクイズもやったりして、ゆっくりと見ていったのですが、すぐに出口に着いてしまいました。何か物足りなかったです。帰りに家族と何が物足りなかったかと話しながら歩きました。なぜかどれも中途半端な感じでした。「八重山の昆虫たち」もバッタなどの生体展示はあったのですが、全体に展示数が少なく、何を見せようとしているのかはっきりしませんでした。「うらおも展」はチョウの裏表が見れて面白いのですが、外国産のチョウの裏表がずっと並んでいるだけで、その意義や生態についての情報が少なすぎました。家族は「うらおも展」のクイズでもらったカードが不満でした。表は色がついているのですが、裏は塗り絵になっていたからです。だって、家で塗ろうとしても実物がないと色がよく分からないし、模様も複雑でうまく色も塗れないし、そのままにしておくとカードとしても不完全だし・・・。映像シアターではクイズをやっていたので試してみたのですが、モンシロチョウの♂と♀の違いを答えさせたりして、小さな子供向けにしては内容的にやや難しかったのに、解説がさっと出るだけで次に進んでしまい、どれも記憶に残りませんでした。キッズルームには図鑑がちょっとだけ置いてあるのですが、あまりに狭くて少し座って休憩しようという気分にはなれません。何よりも昆虫の宝庫箕面にある昆虫館なのに箕面の昆虫の展示がないのはどうしてだろう。こんなことをぶつぶつ言いながら帰ってきました。

伊丹市昆虫館の方はもう少し広いので少しは楽しめました。企画展の「危険生物」は大人も楽しめる内容でなかなか面白かったです。こちらの資料室は広く、図鑑類もあるのでだいぶ長居ができそうです。でも、伊丹にいる昆虫の展示はちょっとだけで外国産の昆虫の展示が多かったのはちょっと残念でした。

総じて、昆虫館は子供向けを目指しているのか外国産昆虫の展示が多くて、地元の昆虫の紹介が少なすぎる感じです。特に、この地域でどんな昆虫がいるのか、またはいたのかを見るのは来館者の楽しみだと思うですが・・・。とにかく一般の人や子供向けの展示ばかりです。子供の中にも昆虫少年少女がいて、必ずやリピーターになるだろうと思うし、また、昔、昆虫好きだった大人も多いので、ただ展示するだけでなく、もう少し突っ込んだ内容があったらいいなと思いました。さらに、欲を言えば、昆虫少年少女や地元のアマチュアにとっても昆虫館が一種のセンターになるといいなと思います。そのためには標本がいつでも見ることができ、昆虫の図書・図鑑や文献類が揃っているなど資料室の充実がなされるとよいなと思いました。何か虫で分からないことがあったら、とにかく昆虫館へ、という場所であってほしいなと思いました。文句と欲張りな願望ばかり書いてしまいました・・・。

廊下のむし探検 甲虫、その他

廊下のむし探検 第1001弾

4月21日にマンションの廊下で見た虫の続きです。見た順に書きます。



これは小さなハムシです。後脚腿節が太いのでノミハムシは確かそうです。それから先は検索してみないと分かりません。幸い、採集したので、明日にでも調べてみます。(追記2018/04/28:後脛節背面の溝のところでまた引っかかったのですが、Hemipyxisの溝はもっと深いとしてここをすり抜けると、ツブノミハムシ属になりました。さらに、種の検索表で調べたら、ツブノミハムシ Aphthona permintaになりました。たぶん、これで大丈夫でしょう。顕微鏡写真を撮ったので、今度載せます



これは先ほど検索をしてみました。脚の爪に歯があるかどうかでちょっと引っかかっていますが、それを除くと無事にチビハナゾウムシになりそうです。検索表を見ると、奇数の間室に鱗片が多くて、第5間室と第2,3間室が前縁でつながりアーチ状になるという面白そうな特徴が出ていました。明日にでも調べてみます。(追記2018/04/28:今日、検索してみました。爪にはやはり歯がありました。検索表で調べると、やはりチビハナゾウムシ Anthonomus minorになりました



これは以前も見たことがあります。たぶん、ミドリヒメコメツキ Vuilletus viridis。(追記2018/04/28:「日本列島の甲虫全種目録」を見ると、「原色日本甲虫図鑑III」に載っていなくて、本州に生息する同属の種としてオオ、ツヤケシ、ツヤの3種がいることが分かりました。これらも調べないとはっきりしたことは言えません



それから分からないトビケラです。



これも後脚腿節が太いのでノミハムシの仲間です。「原色日本甲虫図鑑IV」を見ていると、キバネマルノミハムシ、ホオノキセダカトビハムシ辺りが似ています。前者はHemiphxis属、後者はLanka属になります。「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」の検索表を見ると、両者は「上翅の点刻が規則的な列状をなさない」か、「上翅の点刻は10列、または11列の規則的な列状をなす」という項目で分かれます。これは不規則な点刻なので、前者の方です。従って、キバネマルノミハムシの方かなと思っています。





これはハバチの幼虫かなぁ。よく分かりません。



ナミテントウかなと思ったのですが、脚が黒く、前胸背板も黒いので違うようです。たぶん、ヒメアカホシテントウ



これはキラチャイロコガネかな。



ヤスデはどうやって調べたらよいのやら。



いつもナラノチャイロコガネか、ウスチャコガネかで迷うのですが、「日本産コガネムシ上科標準図鑑」の説明を読むとナラノチャイロコガネの属する同名の属は第1跗節が他の跗節に比べて長くて、体表に長毛があるとのことです。一方、ウスチャコガネの属する同名の属は第1跗節は長くならないとのことです。この写真で見ると、第1跗節は短いのと、体型からたぶん、ウスチャコガネの方かなと思いました。



これはケナガスグリゾウムシ



それにコアオハナムグリ。ひっくり返して腹部の色を確かめました。



これはコカニグモかな。これで21日の分の整理は全部終わりました。

廊下のむし探検 ハエと蛾

廊下のむし探検 第1000弾

「廊下のむし探検」がとうとう1000回になりました。始めたのが2012年10月だったから、もうかれこれ5年半になります。始めたころは以前集めていた蛾くらいしか分からなかったのですが、その後、翅脈の勉強をして、検索のやり方を覚えて、最近ではかなりの虫を調べることができるようになりました。でも、虫は無数にいます。いつまでやっても分かったような気持ちにならないので、最近はちょっと焦り気味です。

4月21日にマンションの廊下を歩いたときに見た虫の整理がまだ残っていたので、蛾とハエを調べてみました。



見た順に載せます。まずはクロバネキノコバエの仲間です。いつも仲間というばかりなので、そのうち属くらいは調べてみたいなと思っています。



これは大きなケバエです。採集しようと毒瓶をかぶせたのですが、隙間から逃げられてしまいました。普通のケバエではなくて、飛翔力もすごいです。前脚に距刺がないので、トゲナシケバエだと思います。さらに、翅脈を見ると、Plecia属かなと思うのですが、こんなに大きな種があったかな。ケバエではないのかな。



次は蛾です。エグリイチモジエダシャク





廊下の壁にこんな蛾が止まっていると気味が悪いですね。たぶん、アカネシャチホコ



カバナミシャクは模様がよく見えません。



そして、これはチャハマキ



ハナレメイエバエだと思って採集したのですが、顕微鏡で見てビックリ。中副基節に剛毛列があります。よくよく見るとM1脈が前縁側に曲がっているようです。イエバエ科ではなく、ヤドリバエ科なのかな。(追記2018/05/12:通りすがりさんから、「ハエはヤドリバエ科でしょうね。」というコメントをいただきました。やはりヤドリバエ科ですか。ヤドリバエも厄介ですね。せめて属まで行けるとよいのですけど





ケバエの♂が2匹いました。前脚脛節末端にある1対の距刺の長さがほぼ等しいので、この間調べたクロアシボソケバエではないかと思います。



ケブカヒゲナガ類の♂です。これもややこしくなっていますね。ケブカ、アトキケブカ、ムモンケブカがいます。ムモンケブカは白い筋が細く、アトキケブカは触角が長いので、たぶん、これはケブカヒゲナガではないかと思いました。



アオシャクも似た種がぞろぞろいます。以前、アオシャクの模様を比較したことがあります。その時の図を使って比較してみると、ウスキヒメアオシャクに似ています。どうかなぁ。



最後は翅に模様のあるユスリカです。「日本のユスリカ」の図版と比べてみると、ウスギヌヒメユスリカ♀のようです。残りは甲虫とその他の虫だけになりました。これは次回に回します。

虫を調べる アラキヒメテントウ?

4月12日にマンションの廊下で小さなテントウを見つけました。先日、別のテントウを調べたばかりだったので(こちらこちら)、練習だと思って、また、検索に挑戦してみました。





今回はこんなテントウです。黒いしか特徴がないので、図鑑を見ただけでは種類まで分かりません。その分、検索のし甲斐があります。検索表は「原色日本甲虫図鑑III」に載っているものを用いました。その結果、ヒメテントウ族ヒメテントウ属Pullus亜属のアラキヒメテントウになりました。間違っているかもしれませんが、一応、記録のために書いておきます。



まずは族の検索です。この8項目を調べると、ヒメテントウ族であることが分かります。いつものように写真で確かめていきたいと思います。



まずは背側から撮った全体像です。体長は1.6mm。かなり小さなテントウです。全体に毛がいっぱい生えています。①、③、⑦、⑧はこの内容でOKです。



②の頭盾はこの写真で示した部分ですが、横に拡がっています。しかし、これに対抗する項目では「頭盾は眼の前方で強く側方に広がる」なので、それほどは広がっていないということでOKです。③もOKでしょう。



大顎の写真を撮り忘れて、標本にしてから撮ったのですが、どうもはっきりしません。でも、これは大型のマダラテントウ族(大顎は多歯状)を除外する項目なのでたぶん、大丈夫ではないかと思います。



小あごひげ(小顎髭)の末端節が何型なのか分かりませんが、対抗する項目のように「長い円錐型」ではなさそうです。それで④はOKにしました。⑧の前胸腹板前縁は矢印で示した部分ですが、ほぼ平坦です。それでこれもOKです。



この⑤と⑥は共にOKです。



触角が何節なのかどうもはっきりしなくて適当に番号をつけたのですが、とにかく9節より多いことは確かです。それで⑥はOKです。いくつか怪しい項目があったのですが、とりあえず、すべての項目を確かめたので、まぁ、ヒメテントウ族でよいのではと思っています。次回調べるときはもう少し詳しく調べてみたいなと思っています。

次は属の検索です。



属と亜属はこの5項目です。これで、ヒメテントウ属Pullus亜属になりました。これも写真で見ていきます。



前胸腹板はT字型の部分です。たぶん、Tの横棒の部分を基腹板、縦棒の部分を腹板突起と呼ぶんだと思います。それで⑨はOKだと思われます。次の⑩、⑪、⑫は腹板突起にある隆起線に関するものです。先日調べたホソヒメントウ属はこの隆起線がありませんでした。矢印で示した部分が隆起線ならば、たぶん、この3項目はOKでしょう。



次は脚の跗節に関するものです。この間のホソヒメテントウ属は全部で3節だったのですが、これは短い第3節があります。これを隠4節と呼ぶようです。写真がいまいち鮮明でなかったのが後から見て悔やまれます。



触角の節数ですが、これがはっきりしません。何度か撮り直したのですが、だいたいこんな写真です。あえて番号をつければ11節のような感じがしますが、ひょっとしたら10節かもしれません。10節を選ぶとNeopullus亜属になり、種の検索ではオトヒメテントウになりますが、「上翅の後側方に小さく長卵形の赤紋がある」というところが違いました。それで、この亜属ではないなと思ったのですが、斑紋に個体変異があるとすると可能性は残しておいた方がよいかもしれません。ここでは11節だとして進んでいきます。



次は腿節線です。腿節線はこの写真で示した部分だと思うのですが、完全かどうかは脚が邪魔してよく見えません。



ちょっと脚を動かしました。たぶん、腿節線は完全と言ってよいのだと思います。ただし、腿節線で囲まれた部分の点刻密度はよく分かりませんでした。これでまたまた怪しいながらヒメテントウ属のPullus亜属になりました。

その先は種の検索です。



この5項目を調べることでアラキヒメテントウになります。



この4項目は色と大きさに関するものなのでたぶん、大丈夫でしょう。



前胸背板の⑯はたぶん、大丈夫でしょう。次の⑱は矢印で示したように書いてある部分がまさに淡色でした。



脚の色です。これもOKです。



⑱も上翅端が確かに淡色なっていました。色に関する部分は全部あっているので、たぶん、大丈夫だと思うのですが、触角の節数が本当に合っているかどうか気になります。これはもう少し別の個体で調べて、経験を積まないと駄目でしょうね。

廊下のむし探検 カメムシ

廊下のむし探検 第999弾

「廊下のむし探検」もとうとう999回目になりました。4月21日にマンションの廊下を歩いて見つけた虫たちです。今回はカメムシです。



まずはヒメホシカメムシです。



次はヒラタカメムシです。これは採集して先ほど検索をしてみました。「原色日本カメムシ図鑑第3巻」の検索表を用いたのですが、亜科の検索表のしょっぱなが少しおかしいです。そこをクリアすると、オオヒラタカメムシ亜科には問題なく到達します。さらに、オオヒラタカメムシ属もまず大丈夫そうです。最後の種の検索でちょっと迷いました。というのは♂の生殖節についての記述があったからです。これは♀なので、それを除くと、形状や斑紋についてだけになり、はっきりしなくなります。今のところ、オオヒラタカメムシとホソオオヒラタカメムシで迷っているのですが、たぶん、オオヒラタカメムシの方かなと思っています。詳細は今度出します。(追記2018/04/26:ナガヒラタカメムシ属のトビイロオオヒラタカメムシも候補として残しておきます。この種は以前調べたことがありました。そのときは腹板基部の隆起線があるとしたのですが、今回も同程度の隆起はありました。これをあるとしてよいのか、ないとすべきなのかまだ判断ができません



次はカスミカメです。ケブカキベリナガカスミカメとキベリナガカスミカメという似た種があるのですが、よく見ると細かい毛が生えていて前胸背板の光沢がないので、たぶん、ケブカキベリナガカスミカメの方かなと思っています。





撮る方向でこんなに感じが変わるのですが、これもヒラタカメムシの仲間です。これも採集しました。実は先日、洗濯物にいっぱいついてきたカメムシがやはりこの種でした。それで、今、手元には6匹も標本があります。これも先ほど検索してみました。やはり亜科の検索の最初の項目で引っかかるのですが、そこを超えるとヒメヒラタカメムシ亜科になります。この亜科には4属が記録されているのですが、図鑑には属の検索表がありません。それで一つずつ確かめることになるのですが、ヒメヒラタカメムシ属は触角の節の長さと腹部気門の位置から、カガミヒメヒラタカメムシ属は腹部第7背板の形状から、キタカガミヒメヒラタカメムシ属は外観から除外できそうです。残りのParaneurus属だとし、種の検索表が載っているのでそれを当てはめてみると、ツヤアカヒメヒラタカメムシになりました。もう少し検討してから、出すことにします。



後はミツボシツチカメムシで、この日は2匹いました。



最後はシロヘリカメムシでした。他にもいっぱい虫はいたのですが、まだ、名前調べが終わっていません。次回に回します。

家の近くのむし探検 カメムシ、蛾など

家の近くのむし探検 第370弾

4月19日に公園で見つけた虫の残りです。最近はやたら虫を調べるようになったせいからか、とにかく忙しいです。



最初はマンションで見つけたカメムシです。触角第2,3節が方向によって幅が違うので、たぶん、ハラビロヘリカメムシの方だと思われます。



うーむ。これはよく分かりませんね。たぶん、キシタホソバあたりかなと思いますが・・・。



そして、これはマエアカスカシノメイガ



この写真からは公園です。公園に着いたらまずシラカシの幹で虫を探し回るのですが、この日はヨツボシホソバの幼虫を見つけました。「原色日本蛾類幼虫図鑑」によると、食草は地衣類だそうです。そういえばコケガ亜科でしたね。「みんなで作る日本産蛾類図鑑」のヨツボシホソバの欄を見ると、幼虫は毒針毛を持つと書いてあります。そういえば、ヤネホソバも毒針毛を持っていたのでしたね。ちょっと気をつけないと。





上も下も翅が不透明なので亜成虫です。下はターバン眼を持っているので、コカゲロウの仲間♂です。よく見ると、上も後翅の翅脈が単純なので、コカゲロウの仲間の♀みたいです。





昨年も見ました。その時はヤブキリの幼虫だとしたのですが、合ってるのかな。



これはアカサシガメ





この手の幼虫が増えてきました。ヨコバイの幼虫でしょうね。



公園の街路灯に止まっていました。キジラミかなと思ったのですが、



よくよく見ると、R脈、M脈、Cu脈が一点で分岐するtriozineなので、トガリキジラミ科みたいです。そう思って自分が作った画像リストを見ると、トガリキジラミ科の中に入れていました。今回はたしか採集したと思います。「絵解きで調べる昆虫2」があるので、調べられるかもしれません。でもまた、悩むだけかな。(追記2018/05/07:「絵解きで調べる昆虫2」に載っている検索表で調べてみました。その結果、クストガリキジラミになりました。合っているかどうかは分かりませんが・・・)



街路灯の横にはレンギョウが植えてあるのですが、その葉の上に2,3匹いました。でも、昨年はツツジの葉裏で見たような。ホストは何だろう。



最後は翅裏を見ないと分からないツマキリエダシャクの仲間でした。これで4月19日の分を終わります。次は21日の分です。こちらはヒラタカメムシが2種いて、まだ、名前が分かりません。結構、忙しい・・・。

虫を調べる ヒラフシアリ(再)

顕微鏡で撮った写真が溜まってきたので、早めに出しておきます。



今回は4月12日にマンションの廊下で採集したアリです。いつものように、「日本産アリ類図鑑」に載っている検索表を用いて検索してみました。その結果、カタアリ亜科のヒラフシアリになりました。実は、ヒラフシアリは以前にも調べたことがありました。でも、顕微鏡写真も撮ってしまったので、もう一度出すことにします。



検索表ではこの6項目を調べればよいので、比較的に簡単です。今回は部位別に見ていきます。



これは背からの写真です。翅が脱離した跡が見えるので、雌有翅アリで翅が脱離した後のものです。体長は3.6mm。図鑑に載っている値(2.5mm)よりはだいぶ大きいのはそのせいかもしれません。⑥は種の検索に出てくるもので、色に関するものなのでOKです。



これは横からです。普通の腹柄節ではなくてつぶれたような恰好をしていて、腹部が覆いかぶさっています。この辺りはヒラフシアリ属の特徴です。①はOKです。②は普通の腹柄節とは違うので、まぁ、いいのでしょう。



これは頭部を背側から撮ったものです。頭盾には特に突起はありません。



ここは前回も問題になったのですが、中胸背板と前伸腹節の間に深い窪みはありません。同様に前伸腹節もそれほど隆起していません。たぶん、働きアリではそうなのでしょうが、有翅アリでは違うのではと思っています。



これは腹柄節あたりを撮ったものです。まあ、たぶん書いてある通りでしょう。



これは腹部です。t は背板、s は腹板です。②はOKです。腹部の節を数えてみると全部で5節見えています。それで、⑤はOKです。特に立毛は見えないので、⑥もOKだと思われます。



最後は腹部末端です。①と②はすぐに分かります。また、③については楕円形をした開口部が見えます。それでこれもOKとなります。これですべての項目を調べたので、たぶん、ヒラフシアリで合っているのではと思っています。

ついでに撮った写真も載せておきます。



斜め上前から撮ったものです。



それに大顎を撮ったものです。すごいですね。



そして、触角です。数えてみると全部で12節でした。

虫を調べる クロアシボソケバエ

先日(4/19)に家の近くの公園でケバエを見つけました。



この間から、ちょくちょく見かけるので、一度調べてみようと思って採集しました。いつものように次の論文で検索してみました。

D. E. Hardy and M. Takahashi, "Revision of the Japanese Bibionidae (Diptera, Nematocera)", Pacific Insects 2, 383 (1960). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

その結果、クロアシボソケバエになりました。記録を見たら、以前、ちょっとだけ調べたことがありました。でも、顕微鏡写真は撮っていなかったので、今回は検索と各部の写真を撮っておきました。いつものように検索から始めます。



まずは属の検索です。この2項目を確かめればよいだけです。検索表の順番に見ていきます。



翅脈の名称はMNDに従って書きました。「原色昆虫大図鑑III」の方式とは異なるので、後でそちらの方のやり方も書いておきます。この写真ではRs脈がR4+5脈になることになっていますが、これはR4+5脈が分岐することがあるからです。ここではとにかくRsあるいはR4+5は分岐していません。したがって、OKです。



次は全体を横から撮ったものです。まず、体長は口吻の先端までで8.6mm。前脚脛節末端には矢印で示すように距刺があります。これで①はOKです。



その距刺を拡大してみました。確かに1対あります。これで②はOKで、Bibio属であることは確かそうです。次は種の検索です。



種の検索は③から⑨まで確かめることで、クロアシボソケバエであることが分かります。若干、疑問点もあるのですが、出てきたときに書くことにします。



先ほどの写真ですが、距刺の先端は尖っています。これは先端が丸くなっているハグロケバエを除外する項目です。⑤は2つの距刺の長さの比較ですが、ほぼ等しくなっています。これで⑤もOKです。



次は翅脈です。④はRsと書いてある部分とr-mと書いてある部分の長さの比較ですが、ほぼ等しくなっています。これで④はOKです。翅はほぼ透明なので⑥もOKだと思います。なお、翅脈の名称の( )内は「原色昆虫大図鑑III」風に書いてみたつもりです。



こんな風に左右の複眼が接していて、腹部末端の尖っていないのが♂です。



これは後脚跗節を撮ったものですが、第1節は特に膨れていません。



これは腹部末端を背側から撮ったものです。各部の名称は「原色昆虫大図鑑III」の絵を見ながらつけてみました。生殖端節というのが把握器なのですが、特に変わった様子は見られません。それで、⑧はOKです。



次は⑨です。これにはいくつか項目があるので、順に見ていきます。ここに書いてある項目はたぶん、OKでしょう。



「原色昆虫大図鑑III」の説明によると、軸節、蝶咬節は小顎の一部で、基部から軸節、蝶咬節、内葉、小顎鬚と続くことになっています。この写真では矢印の部分が軸節と蝶咬節の部分で、左側に伸びているのが小顎鬚です。軸節と蝶咬節の部分が盛り上がっているのが分かります。これが⑨の意味だと思います。



さらに拡大してみました。確かにその部分は触角の基部よりも高くなっています。



次は翅縁を拡大したものです。よく見ると、M2、CuA1(M3+4)共に翅縁まで届いていません。



最後の部分がちょっと問題でした。これは小顎鬚を拡大したものですが、末端節の長さは幅の1.8倍ほどあり、書かれている値よりは長くなっていました。そのほかの節も測ってみたのですが、この図のようになりました。種の説明によると、第1節は小さくて見えない。第2節は幅の4倍、第3節と第5節は1.5倍、第4節は1.25倍。実測とはちょっと違っていました。また、♂の体長も6.3-7mmと書かれていますが、この個体は8.6mmとかなり大きくなっています。ただし、腹部末端の構造は論文に載っている図と似ているのでたぶん、クロアシボソケバエで間違いないと思うのですが・・・。

これで検索は終わったのですが、ついでに各部の写真を何枚か撮ったので載せておきます。



これは頭部を斜め前から撮ったものです。



口器の部分をさらに拡大したものです。それぞれが何に対応しているのかよく分かりません。



これは横からです。



複眼が上側と下側で段差がついていたので、その部分を撮りました。



それに単眼です。



触角は10節と書かれていたので、番号をふってみました。最後の8~10節あたりがよく分かりません。



「原色昆虫大図鑑III」のガガンボの絵を参考にして胸部側面に名前を付けてみました。合っているかどうかはよく分かりませんが・・・。



これは背側からです。



把握器の拡大です。



最後は腹部末端を腹側から写したものです。ケバエもよくよく見ると興味深い形をしていますね。

家の近くのむし探検 ハエ、ハチ

家の近くのむし探検 第370弾

昨日の続きで、4月19日に公園に行ったときに見た虫たちです。今日はハエとハチにします。





最初はこのガガンボです。だいぶ特徴があるので、名前が分かるかなと思ったのですが、手掛かりもつかめませんでした。

追記2018/04/24:通りすがりさんから、「ガガンボはTipula (Tipulodina) joana辺りっぽいですね。」というコメントをいただきました。確かにこの名前で検索すると似たような写真が見つかりました。「日本昆虫目録」を見ると、Tipulodina joanaになっていて、Tipulodinaは属に格上げされていました。和名はジェーンアシワガガンボだそうです。アシワガガンボ属なんてちょっと謂れがありそうな名前です。この属にはnipponicaとjoanaの2種だけなので、頑張れば調べられるかもしれません。さらに、「衛生動物学会東日本大会の中野敬一氏の予稿(2009)によると、『(Tipulodina属の)成虫は翅の先端部が黒く,脚の各節に白い帯のある特徴がある』とのことです。翅の先端の黒い部分はよいのですが、脚の白い帯が見当たりません。もう少し調べてみます。」と書いたら、「2枚目の写真の後脛節に淡色部が見えるので、角度に因るものとか個体差で濃淡があるとか?特徴的なガガンボでも、やはり難しいものですね。」というコメントをいただきました。

また、通りすがりの暇人さんからは、「Tipulodinaの2種の違いについては,"日本産水生昆虫 科・属・種への検索"に書かれています。」というコメントをいただきました。写真を6枚撮ったのですが、どれも後脛節と跗節にピントが合っていません。ぼやっとした写真からは後脛節基部に幅のやや広い白帯があって、跗節は黒っぽいという感じがします。もしTipulodina属ならjoanaに近い感じです。そこで改めて、「日本産水生昆虫 科・属・種への検索」に載っている属への検索表で調べると、R脈の数だけは分からなかったのですが、奇跡的に口吻先端の鼻状突起も、前脛節にある距棘も写っていました。したがって、「脛節、跗節などに白色の帯状紋がある」を選択すれば、Tipulodina属になることが分かりました。たぶん、Tipulodina joana (ジェーンアシワガガンボで合っているみたいです。皆さま、いろいろご教示いただき有難うございました

追記2018/04/25:「アシワ」の由来を調べてみました。まず、Tipulodina属をアシワガガンボ属と呼ぶように提案したのは次の論文です。

中野敬一、「ヤブカ調査用オビトラップに産卵するガガンボ科の1種Tipulodina nipponica Alexander(新称:ニッポンアシワガガンボ)の観察」、家屋害虫 31, 101 (2009). (ここからダウンロードできます)

論文の内容は、東京港区の公園や霊園でヤブカ調査用のオビトラップを仕掛けておくと、そこに産卵するガガンボがいるので、それを飼育し、生活史を調べたという内容です。なお、オビトラップとはovitrapのことで、Wikipediaなどによると、黒い円筒容器の中に水を入れ、表面にワイヤメッシュを張り、蚊が卵を産みやすくした状態で放置します。そうすると、卵が孵り、幼虫になって、最終的に成虫になってもメッシュを通り抜けることができないので、成虫を調べることができるというトラップで、1966年頃から使われるようになったそうです。このトラップに産卵するガガンボを調べてみたら、Tipulodina nipponicaであることが分かり、中村剛之氏の提案によりTipulodina属を「アシワガガンボ属」と命名したということです。由来は書いていないのですが、たぶん、「足輪」の意味ではないかと思います

追記2018/04/25:オビトラップにはいろいろなやり方があるみたいです。次の論文には表面にナイロンメッシュを張った浮きを浮かべておくと、蚊が卵を産むが、表面にメッシュがあるので2齢幼虫が表面に浮かぶことができず、窒息して死んでしまうそうです。

M.-L. Cheng et al., "Role of a modified ovitrap in the control of Aedes aegypti in Houston, Texas, USA", Bull. World Health Organ. 60, 291 (1982). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)



ツツジの葉に止まっていました。小さなハチでコバチかなと思います。触角が面白いので採集しようとしたのですが、一瞬で逃げられてしまいました。



これはたぶん、クロバネキノコバエの仲間。



この手のユスリカは「日本のユスリカ」に腹部の斑紋パターンが出ています。それと比べると、フタスジツヤユスリカかなと思いました。



先ほどのは♀ですが、今度は♂の方です。ナカオビツヤユスリカだと思います。



これは何だろうな。一応、採集したけど。(追記2018/05/07:先ほど検索してみました。シマバエ科のHomomoneura属までは達しました。ここから先の種の検索はまだやっていません



桜の木に止まっていました。ケバエの♂です。これは採集して調べてみました。クロアシボソケバエ Bibio holomaurusのようです。顕微鏡写真も撮ったので、今度出します。





こういうやや大きめのハエは撮るだけ撮ったのですが、よく分かりません。たぶん、イエバエ科で上は♂、下は別種で♀。イエバエは「日本のイエバエ科」があるので、採集すれば何とか調べられるのですが、ちょっと大きいとつい躊躇してしまいます。



これはアシナガバエの仲間でしょう。



最後はマンションのエレベータホールにいたハチで、たぶん、ヒメハラナガツチバチだと思われます。

雑談)ブログにこれまで出してきた写真をまとめた画像リストを作っていたのですが、今日は最後のハチ目の整理をしてやっと終わりました。ブログに出した名前そのままをまとめただけなので間違っているのも多いと思います。そのつもりで見ていただければ幸いです。今年の1月21日現在でまとめていたのですが、整理するだけで3か月もかかってしまいました。これ以降に名前の分かった種もあるので、また、まとめないといけません。まるでいたちごっこですね。

家の近くのむし探検 甲虫

家の近くのむし探検 第369弾

4月19日に家の近くの公園に行って見つけた虫たちです。最近は暑いですね。まるで夏です。昼間は25度近くもあり、これが本当に4月の天気なのかなと思ってしまいます。虫たちもこんな気候で戸惑っているでしょうね。とにかく虫は多いです。



公園に行く前にマンションの廊下で見つけた虫です。まずは甲虫です。これはアオハムシダマシ



これはクロホシタマクモゾウムシ



これはたぶん、モモブトカミキリモドキ♀。



それからイタドリハムシ



小さなゾウムシです。これは以前チビハナゾウムシだと教えていただいたことがありました。チビハナゾウムシは次の論文が記載論文になっています。

H. Kojima and K. Morimoto, "Taxonomic Study of the Subfamily Anthonominae from Japan (Coleoptera, Curculionidae)", ESAKIA 34, 147 (1994). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

今回は採集したので、一度、検索をしてみたいと思います。でも、小さいからなぁ。



それからキアシカミキリモドキ。公園などに行かなくても、マンションの廊下で十分すぎるほど虫はいるのですが、公園に行くのは足の骨折とカメラ肘で弱った筋肉を鍛えるための運動も兼ねています。



後は公園で見つけた甲虫です。これはスネアカヒゲナガゾウムシだと思います。



それにこれはツツジトゲムネサルゾウムシ



公園にもチビハナゾウムシらしき個体がいました。今頃はあちこちにいますね。



それにカメラに取り付けている「影とり」に止まったヒシモンナガタマムシです。

この日見つけた虫は全部で30数種。とりあえず甲虫だけ名前を調べました。

家の近くのむし探検 ハエ、ハチなど

家の近くのむし探検 第368弾

4月13日に家の近くの公園に行ってみました。早くまとめないといけないなと思っていたら、いつの間にか一週間も経ってしまいました。



ハエの写真は撮るのですが、捕まえないと何科なのかも分かりません。



次はコバチ。これも何科かよく分かりません。たぶん、採集したとは思うのですが・・・。



これもハエですね。M1+2脈が前縁側には曲がっていないので、たぶん、イエバエ科か。眼が小さい感じなので、ひょっとしたらハナレメイエバエの仲間?よく分かりませんが・・・。



こちらは完全にハナレメイエバエ亜科みたいです。ついでに横からも撮ってみました。



よくよく見ると下前側板刺毛が三角形状です。



マミクロハエトリかなと思って写真を撮ったのですが、「ハエトリグモハンドブック」を見ると、マエクロハエトリ♂は腹部に縦の白線があるみたいです。こんな感じなのはネコハエトリ♂みたいです。



これはセグロカブラハバチなのかな。



後はマンションの廊下で見た虫です。これはクロバネキノコバエの仲間かな。



腿節基部が橙色なので、アオハムシダマシかな。どれも難しいですね。





後は公園に行く途中でみた花です。これはコバノガマズミ



この間、アリアケスミレを見たところにこんなスミレも咲いていました。側弁に毛が生えています。



葉に僅かに翼があります。



距は太くて短いです。これもアリアケスミレなのだろうか。

虫を調べる セスジヒメテントウ?(続き)

昨日の続きで、4月2日にマンションの廊下で見つけたテントウの検索です。



小さいけれど、模様が意外に目立つテントウです。昨日はチビテントウ族のホソヒメテントウ属というところまで達したので、今日はその続きで種の検索です。検索表としてはやはり「原色日本甲虫図鑑III」に載っているものを用いました。族や属の検索だと微細な構造を見なければいけないのですが、種の検索では色や模様で判断することが多いので、比較的簡単でした。検索の結果、今回はセスジヒメテントウになりました。



検索表で必要な部分だけを抜き出すとこのようになります。この5項目を調べればよいことになります。その過程を写真で見ていきたいと思います。



⑭から⑰は上翅の斑紋や前胸背板の色、それに全体の形に関するもので、たぶん、その通りではjないかと思います。⑱には寸法が出てくるので、ちょっと測ってみました。まず、体長は2.0mmで、書かれている範囲から少しはみ出しますが、まあいいでしょう。次は体長と幅の比ですが、測ってみると体長は幅の1.75倍でした。項目では約1.7倍なので、これもよさそうです。黄褐色紋の大きさは横から見た方が測りやすいので、次の写真で測ってみました。



黄褐色紋は上翅の0.6倍になりました。検索表には2/3だったので、これもだいたいよさそうです。また、普通のテントウに比べるとずいぶん扁平な感じで、⑬もOKでしょう。



⑯の側片は上翅側片の意味だと思うのですが、写真で示した部分です。中央部で平行というのは形が長細いということを言っているのでしょうね。これで、すべての項目をクリアしたので、属の検索が合っているのなら、セスジヒメテントウでよいのではと思っています。

いつもの「日本列島の甲虫全種目録 (2018年)」でセスジヒメテントウを探してみると、学名が変化していました。「原色日本甲虫図鑑III」ではNephus patagiatusだったものが、Nephus (Sidis) levaillantiになっていました。ついでにNephus属を見てみると、図鑑では10種、目録では13種で、3種増えていました。

N. (N.) roepkei
N. (N.) fijiensis
N. (Geminoshipho) shikokensis  シコクフタホシヒメテントウ

この3種です。このうち、roepkeiは小笠原産なので除外してもよさそうです。残りのうち、shikokensisは次のサイトに載っていました。「今坂正一の世界」の「佐賀県の甲虫探索1-みやき町の春-」です。要は近畿以西で竹類で採集されるとしてよく知られていたテントウなのですが、これとは別に四国で記載されたため、「シコク」という名前が付いてしまったようです。写真を見ると、黄褐色紋の位置が違いました。fijiensisもネットで写真が見られますが、やはり違います。ということで、たぶん、セスジヒメテントウでよいのではと思いました。

虫を調べる セスジヒメテントウ?

この間から顕微鏡写真をいっぱい撮ったのですが、まだブログに出してない分が溜まってきました。それで、早く処理しよう思ってまとめてみました。今日はテントウムシです。



4月10日に公園で見つけたこんな4月2日にマンションの廊下で見つけたこんなテントウが対象です。前にも一度見たことがあったのですが、小さいし、たぶん、ヒメテントウの仲間だろうと思ってそのままにしていました。この日は一応採集しました。テントウムシは「原色日本甲虫図鑑III」に意外に詳しい検索表が載っています。一度、試してみたいなと思っていたので、検索に挑戦してみました。(追記2018/04/21:検索したのは4/2に見つけたテントウの方でした。写真と文を訂正しておきました)

たぶん、ヒメテントウだと思った先入観があり、どうしても引っかかってしまうところがあったのですが、検索をしてみると、ヒメテントウ属ではなくて、ホソヒメテントウ属ではないかと思うようになりました。さらに種の検索をしてみると、セスジヒメテントウという種にたどり着きました。間違っているのではないかと甚だ心配なのですが、とりあえず出してみることにします。

まずは族の検索です。



この8項目を調べることにより、ヒメテントウ族になります。赤字は写真を撮らなかった項目です。それ以外は一応、写真で確かめました。今日は部位別に調べていきます。



まずは背側からです。体長は2mmで、③と⑧の条件には合致しています。また、全体に毛が生えていて、光沢はありません。



これは頭部です。頭盾は矢印で示した部分で横に拡がっているように見えますが、対抗する選択肢は「頭盾は眼の前方で強く側方に広がる」なので、そこまでは広がってはいないようです。また、触角は眼の下についています。それで、②はOKです。



小あごひげ末端節はこんな感じでした。斧型でも円筒型でもないのですが、これに対抗する選択肢を選ぶと、1mm程度のチビテントウ族になるので、たぶん、大丈夫でしょう。触角の節数はこの写真ではよく分かりません。これに対抗する選択肢を選ぶと、今度は大きさが3mm以上のベダリアテントウ族になるので、これも大丈夫かなと思っています。



このT字型の部分が前胸腹板です。前縁中央は平坦です。これも大丈夫でしょう。



この⑤と⑥はたぶん、大丈夫だと思われます。ということで、ヒメテントウ族になりました。次は属の検索です。



この5項目を調べるだけなのですが、⑪でだいぶ苦戦をしてしまいました。というのはヒメテントウ属では跗節は隠4節と書かれているからです。そもそもこの隠4節とは何だろうと思ってネットを探してみたのですが、ほとんど見つかりません。やっとテントウムシダマシについて書かれた次の文献を見つけ、跗節第3節が非常に小さくて偽3節とも言われるということが分かりました。

佐々治寛之、「日本産テントウムシダマシ科概説(2)」、甲虫ニュース No. 50, 1 (1980). (ここからダウンロードできます)

これも部位別に見ていきます。



これは横から撮ったものですが、頭部が上から少しだけ見えていることが分かります。



複眼は通常通りで、⑫はOKです。



小あごひげは先端に行くに従って狭くなっています。それでこれもOKです。



前胸腹板に関する項目が4つ続きます。それで、各部を測ってみました。まず、⑨は実際に測ってみると縦の長さは横幅の1/8.9でした。よってOKです。⑩と⑬に載っている隆起線は見られません。それでこれらもOKです。⑫も測ってみました。基腹板側部は1と書いた部分を指すと思われますが、腹板突起は基腹板側部の長さの1.82倍でした。でも、まぁいいのでしょう。



腿節線は矢印で示した部分だと思われますが、途中で消えてしまっています。よって不完全ということになります。



そして、問題の跗節です。どう見ても3節のように見えます。ヒメテントウ属はこの写真の第3節の基部にごく短い節があります。それを見つけようと思って何枚も写真を撮ってしまいました。でも、ありそうにはありませんね。ということで、ヒメテントウ属ではなくて、ホソヒメテントウ属になってしまいました。合っているのかだいぶ心配なのですが・・・。残りは種の検索なのですが、これは次回に回します。

雑談)今、ちょうどヒメテントウ属のアラキヒメテントウではないかと思われるテントウも調べています。先ほど出てきた前胸腹板の隆起線とか、跗節の隠4節とかが見られ、これと比較してみると何を意味しているのかがよく分かりました。

虫を調べる リンゴキジラミ属(挫折)

この間からキジラミの仲間を調べているのですが、種を決める段階になってどうにもうまくいかなくなりました。いつまで抱えていても仕方がないので、ここで一度出しておこうかなと思います。



対象としているのはこんな虫です。4月10日にマンションの渡り廊下で採集しました。チャック式ポリ袋に入れておいたら、つぶれてしまったのですが、とりあえず調べてみようと思って、先日、属までの検索をしました。その結果、キジラミ科のリンゴキジラミ属になりました。私は何となくベニウラジロノキキジラミで色の薄い個体ではと思っていたのですが、その後、通りすがりさんからヤツデキジラミの越冬世代ではというヒントをいただきました。種の検索をしてみると、いろいろ疑問になる点が出てきて、それぞれを留保しながら検索していったら、結局、6種が残ってしまいました。そのうちのどれかを決めようとしたのですが、実はどれも問題点があって決まりませんでした。今はそんな状況です。

とりあえず、検索の過程で調べたものを写真で見ていきたいと思います。検索表には、「絵解きで調べる昆虫2」に載っている検索表を用いました。リンゴキジラミ属までは前回出したので、その続きです。





嫌になるほどいっぱいあるでしょう。とりあえず、ヤツデキジラミに向かって進もうと思うのですが(黒字の部分)、途中、疑問になったところで別の選択肢を選ぶとこうなるというのを青字で示してあります。その部分はその都度触れることにします。また、属の検索表の中で問題になったところ(⑫)も加えておきました。


まずは翅の色に関する部分ですが、薄い色はついているものの褐色というほどではないと思って、⑲~㉒はいずれも翅に色がついていなくて、斑紋もないという方を選びました。なお、翅脈と翅室の名称は先ほどの本によっています。



次はこの間も出した触角の長さです。顕微鏡の倍率を固定したまま2か所を撮影しました。触角の長さは頭幅の1.53倍なので、㉓も㉔もOKだと思われます。



これは頭部を撮ったものですが、先端に突き出している部分が額錐です。これの形が問題になります。、㉔、㉝、㉟の項目はいずれも大丈夫だと思われます。




次は翅脈に関するものです。㉕は大丈夫だと思ったのですが、翅端より後縁部分にかけて薄茶色の部分が帯状と見えなくもないので、そちらを採用してマエジロキジラミを残しました。㉖はCu1aとCu1bのなす角ですが、実際に測ってみると77度になりました。直角に近いともいえるし、鋭角だとも取れるので、これも留保しました。ヤツデキジラミに進むには直角か鈍角を選ぶことになります。また、鋭角を選ぶとサツマキジラミになります。こちらも候補として残しておきます。㉗と㉞は共にOKだと思われます。㉚aは黒矢印で示した部分に黒っぽい斑紋があるかどうかです。あると言えばあるし、ないと言えばないような気もするしというので、ないという方も残しておきました。こちらを残すと、ミヤマヤナギキジラミやコリヤナギキジラミなどが残ります。

最後の㊱は迷いました。cu1室のどれを幅としてどれを長さとするのか分からなかったからです。文献も見たのですが、絵で説明してある文献は見つかりませんでした。それで、文献に出ている図を使っていろいろな場所を折れ線近似をして測ってみたのですが、もっとも単純にこの写真のような場所を測ると一番文献値に近いことが分かりました。これで測ると長さは幅の1.3倍になり、対抗する選択肢が1.6-1.7倍なので、㊱もまあ大丈夫かなというところです。



全体の体色を写した写真が一番最初の生態写真しかなかったので、頭部と胸部を写した写真を載せておきました。これは確かに鮮紅色ではないので、㉘bを選ぶのが妥当だと思うのですが、本に出ている額錐と触角先端の剛毛の図がこの個体とあまりによく似ていたので、ついそちらに惹かれ、ひょっとしたら薄い色の個体もあるかもと思って、先日はベニウラジロノキキジラミを選んでしまいました。ここではベニウラジロノキキジラミも候補に残しておきたいと思います。



これは後脚脛節基部の距棘です。これは大丈夫でしょう。



それから触角先端の剛毛です。短い方は長い方の2/3以上なのでこれも大丈夫そうです。



前翅長は2.5mmなので㉜もまぁ大丈夫でしょう。ついでに後で用いる翅端までの全長も見積もってみました。

ということで、いくつか候補は出てきたのですが、とりあえず検索表の上ではヤツデキジラミに到達しました。この後、額錐の写真が載っている本(次に示す[1, 2]の文献)があったので、比較してみるとかなり様相が違います。それで迷い始めました。それも含めて、ここまで出てきた候補を比較してみたいと思います。



候補に挙がった6種です。字が小さいので拡大してみてください。一番右は今回の個体について計測した値です。「日本昆虫目録第4巻」によると、マエジロキジラミはトドキジラミの別称となっているので、一緒にしておきました。表の中で〇〇×などの記号は三つの文献[1~3]に載っていたかどうかを示しています。三つの文献というのは次の三つです。

[1] 三枝豊平ほか、「九州でよく見られるウンカ・ヨコバイ・キジラミ類図鑑」(櫂歌書房、2013).
[2] 林成多、宮武頼夫「山陰地方のキジラミ図鑑」(ホシザキグリーン財団研究報告特別号第6号、2012).
[3] H. Inoue, "Descriptions of two new and one little known species of the genus Cacopsylla (Hemiptera: Psyllidae) on Sorbus japonica (Rosaceae) and an observation of their biology", Entomol. Sci. 7, 399 (2004). 

これらを眺めると、分布の上からミヤマヤナギははずしてよさそうです。全長には分布があるのであまりあてにはなりません。むしろ触角長などは使えるかもしれません。触角が圧倒的に短いサツマは除外してもよさそうです。額錐のかなり長いヤツデも除外してもよさそうな気がしました。後は説明を読んで、腹部が緑色のマエジロは除外しました。ベニウラジロノキも[3]が記載論文なので読んでみると、どうも違うような気がします。最後のコリヤナギも頭頂の模様が違います。こんな感じで、どれも当てはまりません。ここで挫折です。



あまり大した写真は残っていないのですが、一応、出しておきます。これは触角を撮ったものです。



うまく写らなかったのですが、一応、後翅です。

ということで、またまた挫折してしまいました。キクイムシで挫折して、コガネコバチで挫折して・・・。どれもこれも挫折で困ってしまいます。一度、種がはっきり分かった個体で練習をしないといけませんね。

廊下のむし探検 チャタテ、甲虫ほか

廊下のむし探検 第998弾

4月12日にマンションの廊下で見つけた虫たちの続きです。この日は虫が多くて、マンションの廊下をずっと歩いただけで40種ほど見つかりました。その分、名前の分からないものも多くって・・・。



最初はこの虫です。変わった形をしていますが、これはチャタテムシの仲間です。こんな複雑な模様を持つのはチャタテ科のTrichadenotecnum属です。これについては次の論文に詳しく載っています。

K. Yoshizawa, "Systematic revision of Japanese Trichadenotecnum Enderlein (Psocodea: ‘Psocoptera’: Psocidae: Ptyctini), with redefinition and subdivision of the genus", Invertebrate Taxonomy 15, 159 (2001). (ここからダウンロードできます)

この論文によると、Trichadenotecnum属は5つの種群に分けられるそうです。これをまとめてみると次の表のようになります。



A~Eが種群で、Fの"incertae sedis"は「分類学上の位置不詳」という意味です。赤字は「日本昆虫目録第4巻」を見て、分布に本州が入っている種です。最後のGは上の論文には載っていなくて、目録には載っているもののうち本州産のものを書いておきました。各種群の特徴は主に交尾器について書かれているのですが、前翅について書かれている部分だけを抜き出したものを右欄に載せておきました。この中で「小点に広く覆われる」と書かれているのは翅全体に小点があるもので、今回の個体は中央部分だけなので、それらを除外します。すると、A、B、Dの種群が残ります。論文に載っている図と今回の写真を比較し、本州産だけを選ぶと、incognitum、latebrachium、yamatomajusの3種が該当することが分かりました。

さらに、今回の個体の前翅長4.1mmと比較しました。

incognitum ♂4.0-4.4mm、♀4.2-4.5mm
latebrachium 3.0-3.2mm
yamatomajus 3.4-3.6mm

これから、Trichadenotecnum incognitumが大きさ的にはもっとも近いかなと思いました。



次はハネカクシです。これはまだ調べていません。



変わったゾウムシがいました。「原色日本甲虫図鑑IV」の図版と比較すると、チャバネキクイゾウムシというのが一番近そうです。"キクイ"と名の付く虫が多いですね。



これはたぶん、モモブトカミキリモドキの♀。



この変なクモはガザミグモ。カニグモ科です。



尾が二本なので、たぶん、ヒラタカゲロウの仲間ですね。これも♀かな。



後翅の翅脈が辛うじて見えています。セイヨウミツバチとニホンミツバチの違いについても以前書いたことがあります。要は後翅の翅脈の有無で見分けることができます。それによるとこれはセイヨウミツバチです。





そして、また、ハネカクシです。恰好がいいので、調べたいなとは思うのですが・・・。



毛虫はあまり調べようがないのですが、ネットを見ていたら、何となくハスモンヨトウの幼虫に似ています。違うかもしれませんが・・・。(追記2018/04/25:通りすがりさんから、「イモムシ君は多分オオバコヤガの幼虫です。」というコメントをいただきました。ネットで見ると、確かに似た幼虫がぞろぞろ出てきました。幼虫は図鑑にもあまり出ていないし、探すのがいつも大変です。コメント、どうも有難うございました



結構、大きいので写したら、いつも見ているネコハグモみたいです。大きさも測ればよかったですね。



これは最初にも出てきたヒメクチキムシダマシです。



それにミツボシツチカメムシ



後は蛾です。これはミスジツマキリエダシャク



それにクロフオオシロエダシャクでした。これでやっと4月12日分が終わりました。

廊下のむし探検 甲虫、ハチなど

廊下のむし探検 第997弾

朝の続きで、4月12日にマンションの廊下で見つけた虫たちです。



最初はまたひっくり返っている甲虫です。先ほどは腹部が黒くてコアオハナムグリだとしたのですが、今回は銅色です。



表返してみると、やはりハナムグリの仲間です。こんなハナムグリにはナミハナムグリとアオハナムグリがいて、以前も調べたことがありました。頭盾を見ないとよく分からないのですが、この個体では上翅に1対の縦隆条があるので、たぶん、ナミハナムグリの方かなと思っています。




上翅がつやつやなのですが、触角から見るとケシキスイの仲間かなぁ。それにしても後翅って長いのですね。(追記2018/04/22:上翅端が切断状なのでEupraea属のMicruria亜属らしいことが分かりました。「原色日本甲虫図鑑III」に載っている検索表を用いるとコゲチャヒラタケシキスイになりました。たぶん、これかなと思います





最初は有翅アリだなと思ったのですが、腹柄節の部分がやけに細いし、触角柄節も短いし・・・。ということでよく分からなくなりました。



これはスネアカヒゲナガゾウムシ



そして、これはトゲヒゲトラカミキリ



そして、またひっくり返っている甲虫です。



センチコガネの仲間です。これも以前、センチコガネとオオセンチコガネの違いを書いたことがあります。「頭楯は短く半円形、前胸背板中央の縦溝は後半のみ」ということなのでセンチコガネの方みたいです。



ツヤアオカメムシ



これは小さなチャタテです。縁紋が四角いのでウスイロチャタテ科でしょうね。たぶん、クリイロチャタテではないかと思っている種みたいです。





キクイムシそっくりですが、触角が違います。これはナガシンクイムシ科です。「原色日本甲虫図鑑III」の図版と比べてみると、ニホンタケナガシンクイとホソタケナガシンクイあたりが似ています。検索表があるので、この両者を比べてみると、前者は触角が11節、後者は10節のようです。



早速、節数を数えてみました。全部で11節。ニホンタケナガシンクイの方が候補になりました。







こちらはキクイムシ。先日、検索に再挑戦しました。1971年の論文に載っている検索表ではXyleborus属になったのですが、その後、この属の含まれるXyleborini族では恐ろしく属が増えているので、何とも言えない状態になっています。



これは採集して検索してみました。カタアリ亜科のヒラフシアリの雌有翅アリの翅が脱落した個体になりました。一応、顕微鏡写真も撮ったのですが、先ほど調べてみたら、以前にも詳細に調べていました。たぶん、間違いないでしょう。



これはクロバネキノコバエの仲間だと思うのですが、黄色いのは花粉でしょうね。花にも訪れるみたいですね。

雑談)この間から、やたら検索をしています。今日はヒラフシアリと12日に捕まえたテントウの検索をしてみました。テントウの方はヒメテントウ属Pullus亜属のアラキヒメテントウが今のところ第1候補になっています。この亜属の特徴は、①触角11節、②前胸腹板に1対の縦隆線、③腿節線は完全となっているのですが、①の触角の節数が10節なのか11節なのか、いまいちはっきりしていません。大きさが1mm半くらいしかないので、観察もなかなか大変です。この間から調べているキジラミについては可能性のありそうな6種をピックアップして、細部を比較しています。ただ、どれも細かなところでは違っていて、途方に暮れています。そうこうしているうちに、観察中にうっかり咳をしてしまい、テントウもキジラミもアリもみんな吹っ飛んでしまい、探すのが大変でした。

廊下のむし探検 甲虫やらカメムシやら

廊下のむし探検 第996弾

2日ほど旅行に行っていました。その分、ブログに出すのが遅れてしまいました。4月12日にマンションの廊下で見つけた虫たちです。6日も前になるので、どんな天気だったか忘れてしまったのですが、とにかく虫がいっぱいいました。大体40種くらい。3回に分けて出そうかと思っています。その他にも14日の分もあるし、顕微鏡写真を撮ったものもコガネコバチ、ホソヒメテントウ、それにこの間のキジラミなど・・・。



この日はこんな風にひっくり返っている虫がかなりいました。



ひっくり返してみました。腹が黒かったので、たぶん、コアオハナムグリでしょうね。



これはアカハラクロコメツキです。腹が赤いところを写そうと思ってひっくり返すと、ぴょんと跳んでもとに戻ってしまいます。10回くらい試みたのですが、とうとう諦めて



こんな感じです。



前胸背の両側に深い凹みと基部中央に浅い凹みがあるので、たぶん、モモブトカミキリモドキ。後脚腿節が細いので♀の方だと思います。



トビケラは採集しないと科も分からないのですが、思わず撮ってしまいました。シマトビケラの仲間かな。



これは何だか得体の知れない甲虫です。最近は検索ばかりしていたのですが、この日は「原色日本甲虫図鑑III」の図版をずっと見ていきました。クチキムシダマシ科のヒメクチキムシダマシ Elacatis ocularisというのが似ています。一応、「日本列島の甲虫全種目録 (2018年)」で調べてみると、クチキムシダマシ科ではなく、チビキカワムシ科になっていました。学名と和名は変更なし。甲虫も上位分類が変わってしまったようですが、どれだけ普及しているのか分からないので、どちらで書いたらよいのか迷います。植物の写真リストも作ろうと思っているのですが、最近のAPG体系が以前親しんでいた分類とあまりにも違うので、どちらで書こうかと迷ってしまいます。分類にDNAが使われるようになってからややこしいことになってしまいました。



これはマルガタゴミムシの仲間ですが、今のところ、名前はギブアップしています。



これは変わったカメムシだなと思って採集したのですが、調べてみたら、以前も見たことのあるノコギリヒラタカメムシのようです。



何の変哲もない甲虫に見えますが、これが意外に苦戦。図鑑を何度も初めから見てしまいました。あまり自信はないのですが、最終的にはコメツキモドキ科のチビコメツキモドキ Henoticonus triphylloidesではないかと思っています。あまりコメツキには似ていないので、違っているかもしれません。これも上の目録で調べてみると、オオキノコムシ科マツコメツキモドキ亜科になっていました。(追記2018/04/21:通りすがりさんから、「チビコメツキモドキではなく、キノコムシダマシ科のホソアカバコキノコムシダマシかな。」というコメントをいただきました。やはり間違っていましたか。先ほど、属の検索をしてみたのですが、あちこち合わないところがあって、どうしてなのかなかぁと悩んでいました。やはり甲虫はまだまだ修行が足りませんね。顕微鏡写真を撮ったので、詳細はまた今度載せます



それからまたケシキスイ科の仲間です。この仲間はマンションにあまりにたくさんいるので、どうも調べる気がしません。この間調べてEupraea属かもと思った個体と比べてみると、今回のは翅の筋がはっきりしているので、違う種の様です。(追記2018/04/22:「原色日本甲虫図鑑III」の図版と比べてみると、ケシキスイ科のクロヒラタケシキスイか、コクロヒラタケシキスイに似ています。体長からクロヒラタケシキスイの方かなと思っています




こうやって写真を撮っていたら、突然、翅を広げました。そこをパチリ。



これは別の個体です。やはり同じ仲間かな。



それにまたマルガタゴミムシです。



今年は何とかハネカクシの亜科ぐらいは調べようと思っていたのですが、手が回りません。



オナシカワゲラはスタイルが良いので好きなのですが、名前はちっとも分かりません。



ハムシダマシの仲間です。これについては以前ちょこっと書きました。それによると脚の腿節の色で見分けるとよいみたいです。これはアカハムシダマシの方かな。





触角の形からテントウムシの仲間だと思いました。テントウムシも小さいのはさっぱり分かりません。この間、ホソヒメテントウ属らしいのを調べたので、小さいテントウも少しずつは調べていきたいと思っています。この個体も採集したと思うので・・・。また、跗節の隠4節というのに悩まされるかもしれませんが・・・。(追記2018/04/21:検索をしてみました。今回はヒメテントウ属のアラキヒメテントウ Scymnus (Pullus) puellarisになりました。合っているかどうか分かりませんが・・・。詳細は今度載せます

今日は見た順に載せました。これでマンションの1/3ほど歩いて見つけた虫たちです。残りは次回に回します。

虫を調べる リンゴキジラミ属

4月10日にマンションの渡り廊下で見つけた虫がいます。



これはキジラミの仲間です。これと同じような種は以前にも見たことがあります。その時はキジラミ科としか分からなかったのですが、その後、「絵解きで調べる昆虫2」で調べてベニウラジロノキキジラミではないかと思いました。今回は採集したので、先日、検索をしてやはりベニウラジロノキキジラミかもという結論になりました。その根拠は、①体色は鮮紅色、②額錐の先端部が斜めに裁断されたような台形状、③触角先端の2本の毛はほぼ同長(短い方は長い方の2/3以上)という3点でした。でも、①の鮮紅色というのがいかにも違います。ひょっとして雌はこんな色かなと楽観的に考えたのですが、ちょっと自信がありませんでした。その後、通りすがりさんから、「ヤツデキジラミの越冬世代の色では」というヒントをいただきました。確かに、鮮紅色というのを選ばないと、ヤツデキジラミにはたどり着きそうです。それで、もう一度、一から検索してみることにしました。

検索表は「絵解きで調べる昆虫2」に載っています。ただ、ヤツデキジラミに達するには36項目も調べないといけません。それで、まずは属の検索までまとめてみました。



最初は科の検索です。これを検索のほぼ順番通りに写真で確かめていきたいと思います。



前翅の翅脈の写真です。ついでに翅脈と翅室に名称を入れておきました。この名称は先ほどの本の中の「キジラミ類の成虫の形態」を参考にしています。先頭が大文字のものは翅脈、小文字は翅室です。どの項目も見るとすぐに分かりますが、②に載っている擬翅脈はRs脈とM脈の間に気管の通っていない脈のことを指します。これにはありません。



次は触角の先端です。触角の先端には2本の剛毛があります。③はその長さが触角の先端2節の長さの和より短いという内容ですが、実際に測ってみると、ほぼ同長でした。ただ、対抗する選択肢を選ぶとヒメキジラミ科になり、これは明らかに剛毛の方が長いというのでたぶん、大丈夫でしょう。ここは表現として、「ほぼ等しいか短い」と書いてもらえばよいように思いました。



次は頭部を撮影したものです。額錐というのは写真で示したものですが、これが突出しています。それで、⑥もOKです。というわけで、キジラミ科に達しました。次は属の検索です。



属の検索は全部で11項目もあります。これもほぼ検索順に見ていきたいと思います。


翅脈と翅の色や斑紋に関する項目が多いので、二つに分けました。だいたいは見ると分かりますが、⑫がちょっと問題です。図で示したCu1b脈とCu1a脈の基部での角度についてです。ぱっと見で直角に近いと思ったのですが、測ってみると77度でした。鋭角ではあるのですが、やはり直角に近いと判断した方がよいでしょう。これも表現として、「ほぼ直角か鈍角」としておいてもらうとよいのではと思いました。


次は斑紋についてです。写真では翅の後縁に沿って薄い色がついていますが、斑紋というほどではないので、上の項目すべてOKだと思いました。



これは体長と前翅長を測るために撮った写真です。体長は4mmには届きません。



次は触角の長さと頭幅との長さ比べです。顕微鏡を同じ倍率で撮影して比較しました。触角は頭幅の1.53倍でした。⑬はOKです。



これは後脛節末端の鋸歯についてです。これが一番撮りにくいです。鋸歯と呼ぶより黒い距棘と言った方がよさそうですが、こちらの側からは3本見えています。裏側からは2本が見えているので、たぶん、5本で合っていると思います。でも、どの距棘を写したのかが途中で分からなくなって、何度も撮り直しました。



後脚脛節基部の距棘です。矢印の部分を指しているのではと思いました。



最後は腹部末端の写真です。こんな構造は雌のようです。肛節は写真の部分ですが、先端は尖っていません。というので若干怪しいところもあったのですが、一応、すべての項目を確かめたので、たぶん、リンゴキジラミ属で合っているのではと思っています。

問題はこれから先の種の検索です。まだ、18項目も残っています。いくつかの可能性も含めた上で検索を進めていきたいと思います。

虫を調べる ズキンヨコバイ亜科

4月5日に家の近くの公園でこんな虫を見つけました。



これは以前、ズキンヨコバイ亜科のヤノズキンヨコバイかもと教えていただいた種とよく似ています。それで、本当にズキンヨコバイの仲間かどうか調べようと思って採集しました。亜科までの検索表は「絵解きで調べる昆虫」に載っています。以前も検索をしたことがあったのですが、その時はヒメヨコバイ亜科になってしまいました。今回はそのリベンジです。

実際に検索をしてみると今回は無事にズキンヨコバイ亜科になりました。その検索過程を写真で見ていきたいと思います。



ズキンヨコバイ亜科であるかどうかはこの10項目を調べればよいのです。大体は検索順に見ていこうと思います。



まず、①を調べるために後脚跗節を見てみました。基部の部分がちょっと気になりますが、これは脛節の一部だとみると、跗節は全部で3節になります。この項目でアブラムシやキジラミが除外できました。これらは1節とか2節みたいです。



これは口吻を撮ったものですが、確かに基部は前脚基節や転節と触れているみたいです。



次は背面からの写真です。ついでに体長を測ると4.5mmになりました。ウンカやハゴロモでは黒矢印の部分に肩板があるのですが、これにはありません。これでセミ・ヨコバイ類になりました。



次は頭部を前から写したものです。各部の名称は、「九州でよく見られるウンカ・ヨコバイ・キジラミ類図鑑」に載っている名称をだいたい採用したのですが、これと「原色昆虫大図鑑III」や「絵解きで調べる昆虫」に載っているものと少し違っていました。それで、後2者のものを括弧に入れて書いておきました。この写真では単眼が2個あって、それが後頭盾(顔、clypeus)の上部にあることを見ます。また、単眼まで側方線が延びていることが分かります。これでこの4項目すべてが確かめられました。



次は後脚脛節の写真です。黒矢印で示すように棘の列が2列あります。



⑥は前胸背の発達したツノゼミ科との比較なので、この個体の場合は特に発達していないことになります。また、前胸背は複眼よりは前に出ていません。これですべての項目を確かめることができたので、ズキンヨコバイ亜科は確かそうです。「日本昆虫目録第4巻」(2016)によると、ズキンヨコバイ亜科 Idiocerinaeには8属17種が載っています。ここから先の検索表がないのでここでストップです。

ついでに撮った写真も載せておきます。



斜めから撮ったものです。



これは単眼と単眼に続く側方線を撮ったものです。



最後は口吻を撮ったものですが、不思議な構造をしています。これも各部の名称が分かるとよいのですが・・・。

家の近くのむし探検 スミレ、ハエ、カメムシなど

家の近くのむし探検 第367弾

4月10日に家の近くの公園に行ったときに見た虫の続きです。公園に行く前に道端でたくさんのスミレが咲いていました。





こんな白い花のスミレです。スミレというと濃い紫色のスミレを思い出すのですが、何だろうと思って、「日本のスミレ」や「野に咲く花」に載っている写真を探してみました。でも、みな似ていてどこがポイントなのかが分かりません。こんな時は検索表だと思って、「日本の野生植物II」に載っている検索表で調べてみました。



たぶん、葉が長細い種だと思ってその分を探してみました。つまりⒻ以下です。調べてみると、どうやらアリアケスミレみたいな感じです。よくは分かりませんが・・・。赤字は写真で確かめることができたところで、そのためにいくつか写真を追加します。



まずは花の拡大です。スミレの花弁は5枚なのですが、「日本のすみれ」によると、上2枚を上弁、横2枚が側弁、下1枚を唇弁と呼ぶそうです。この呼び方に従うと、側弁と唇弁には紫色の筋が入っていて、側弁には白い毛が生えていました。これでⒼaが選べて、ノジスミレは除外できました。



これは距を写すために横から撮ったものです。距というのは左側に突き出している部分です。長いか短いかは相対的なのでよく分かりませんが、図鑑のスミレの写真に比べるとかなり短そうです。という訳で、花の色が白くて距が短いのでスミレを除外。また、花は大きいのでヒメスミレも除外。また、花や葉は叢生し、葉身の方が葉柄よりは長そうなのでシロスミレも除外。ということでアリアケスミレが残りました。



説明を読むと「葉柄にはスミレやシロスミレほど顕著ではないが翼がある」と書いてあるので、見てみると、わずかですが、翼らしいものが見えます。植物もこうやって検索表で調べていくと、どこを見たらよいかが分かるのでよさそうですね。もう少しスミレを調べてみたくなりました。

追記2018/04/21:信濃の案山子さんから、「アリアケスミレ・・間違いないと思います。長野県北部にはありませんが昨年南信で見ました。多分それと同じだと思います。」というコメントをいただきました。こんな白いスミレは初めてだったので、アリアケスミレで合っているかなぁと不安でした。コメント、どうも有難うございました。通りすがりさんから、「アリアケスミレ、千葉に居た頃は保護されてるところもありましたけど、住宅街のアスファルトの隙間でも見付けてました。アリが種を運ぶからでしょうね。」というコメントもいただきました。スミレ、今さっき、家族にアリが種を運ぶという話を聞いたところです。エライオソームという付着物が付いているのですね。今度、写真を撮ってみます。情報をどうも有難うございました



ついでにスミレの横で咲いていたシロバナタンポポです。



花の写真のとき、カメラの絞りを開いて撮り、そのままになっていたのを忘れて虫を撮ったので、後の写真はむちゃくちゃです。これはヌカカかなと思って撮ったのですが、動き回っていたので、全くピントが合っていませんでした。



これはクロバネキノコバエの仲間。



そして、これはコナジラミ。



小さな毛虫もいました。どれも写真が鮮明でないので嫌になってしまいます。でも、記録だから載せておきます。



これは街路灯の下にいた蛾です。まるで保護色ですね。ほとんど目立ちません。色は褪せているのですが、アカモンナミシャクではないかと思いました。



このハエねぇ。胸背の模様はセマダライエバエあたりと少しだけ似ていますが、M1脈が曲がっていないですね。イエバエの仲間だと思うのですが、よくは分かりません。イエバエだと採集すれば検索ができたのですが、こういう大きめのハエはどうも苦手です。



それに街路灯に止まっていたガガンボです。この辺りからカメラの絞りが開いていることに気が付き直しました。ガガンボの名前調べは今のところギブアップです。



イトカメムシのカップルです。



それに脚の模様からたぶんシマサシガメの幼虫。





後はマンションに戻ってから撮った写真です。今頃いるケバエで脛節・跗節が黄色いのはキスネアシブトケバエかもしれません。それの♂です。



これはネコハエトリ



これは以前も見たことがあるキジラミの仲間です。今回は採集しておこうと思ってチャック付きポリ袋に入れたらつぶれてしまっていました。それでも、昨日、一応「絵解きで調べる昆虫2」で検索してみました。まだ、はっきりしていないのですが、ベニウラジロノキキジラミ♀ではないかと思っています。体があまり赤くないのが気になるのですが・・・。

追記2018/04/21:通りすがりさんから、「ヤツデキジラミの越冬色?越冬色と言うより、越冬世代の色と言った方が良いのかな。キジラミもホストに居ない越冬世代の成虫では、なかなか難しいものも多いです。」というコメントをいただきました。キジラミの検索をしてみました〔詳細はこちらこちら〕。今回は可能性のある種はすべて取り上げたら、6種が残りました。そして、一つずつ調べていったのですが、どうもピタリと該当する種が見当たりません。ヤツデキジラミは額錐が頭頂より長いのですが、この個体では頭頂の0.8倍ほどしかありません。また、ベニウラジロノキキジラミの触角先端の2本の剛毛はほぼ長さが等しいのですが、この個体では0.8程度しかありません。また、頭幅に対する触角の長さの比もかなり違います。結局、迷宮入りになってしまいました



蛾は得意なはずなのですが、これが分かりません。撮った時はツトガかなと思ったのですが、どうも模様が合いません。ついでクチブサガ辺りでシロスジクチブサガかなと思ったのですが、模様がやはり違うようです。何でしょう。



最後はオナシカワゲラです。これも今のところギブアップです。

家の近くのむし探検 甲虫

家の近くのむし探検 第366弾

やっと春本番になってきたのか、虫の数がだんだん増えてきました。今日は4月10日に家の近くの公園へ行ったときに見つけた虫です。今回は多いので2回に分けて書きます。まずは甲虫です。



公園に行く前にマンションの廊下で見つけました。エンマコガネの仲間ですね。以前だったらここで終わっていたのですが、今回はもう少し粘ってみました。「日本産コガネムシ上科図説 第1巻食糞群(普及版)」という本を買っていたので、まずは変わった頭部の形を手掛かりに探してみました。



こんな風に頭部に2本横隆起があり、それらが単調に前方に湾曲しているのはそれほど多くはありません。候補として、フトカドエンマコガネ♀とクロマルエンマコガネ♀があがりました。この2種はエンマコガネ属のクロマルエンマコガネ亜属に属していて、「日本産コガネムシ上科標準図鑑」には検索表も載っています。それなら、採集すればよかったですね。♀に関係する部分を書き出すと、フトカドは「♀は頭部に2本の横隆起があり、前方の横隆起は前縁と後方の横隆起の中間に位置する。後方の横隆起はたいてい単調に前方に曲がる」、また、「上翅間室は光沢がなく、微細顆粒が明瞭に発達し、点刻は小さく、ややまばらなやすり目状で、点刻から生じるしわをほとんど欠くか、しわがあってもほとんど目立たない」とのことです。一方、クロマルは「♀では、頭部に2本の横隆起があり、前方の横隆起は後方の横隆起との中間の距離よりも前に位置する。後方の横隆起はたいてい2湾曲する」、また、「上翅間室は光沢があり、微細顆粒は部分的にしか認められず、点刻は明瞭で、点刻から縦方向および斜め方向に強いしわが走る」ということです。まず、頭部を見てみると、湾曲した横隆起が2本あり、その特徴はフトカドの記述に合っています。ただし、クロマルの2湾曲というのは中央が凹んで両側が前方に湾曲している状態を言います。



上翅についてはこの写真で分かります。強いしわは認められなくて、また、光沢もありません。こんなところからフトカドエンマコガネ♀かなと思いました。それにしても、前胸背板と上翅の点刻はずいぶん違いますね。



これはマンションの渡り廊下で見つけたのですが、この間から見ているハナムグリハネカクシの仲間 Eusphlorumだと思います。この仲間も「日本列島の甲虫全種目録 (2018年)」によると55種も載っています。調べる文献も見当たらなくて今のところお手上げです。





これは公園で撮ったものです。たぶん、テントウムシの仲間だと思います。実は、公園に行く途中でスミレが咲いていて、それを撮るためにカメラの設定を変えていました。直すのを忘れて撮ったので、絞りが開いていて写真はぼんやりとしてしまいました。これと同じテントウは以前、マンションで見つけた個体があったので、最近、検索をしてみました。てっきり、ヒメテントウ属だと思って検索を始めたのですが、属の検索表で跗節が隠4節というのが分からず、止まっていました。ネットで探して、テントウムシダマシについて書かれた文献を見つけ、跗節第3節が異常に小さく偽3節とも言われるということが分かりました。そこで、跗節を拡大して何度も撮り直したのですが、どうしても3節にしか見えません。隠4節だとヒメテントウ属、3節だとニセヒメテントウ、オノヒゲヒメテントウ、トサヒメテントウ、ホソヒメテントウの各属になります。結局、ヒメテントウ属は諦めて3節として検索を進め、ホソヒメテントウ属のセスジヒメテントウに達しました。本当かどうかは分かりませんが、この種は本州、四国、九州に産する普通種だとのことで可能性はあるのではと思っています。今度、ブログに出します。(追記2018/04/21:4/2も採集した個体で検索をしてみました。詳細はこちら



これはシラケトラカミキリ



公園の街路灯に止まっていたゾウムシです。ピントが合っていない・・・。「原色日本甲虫図鑑IV」と比べると、ハモグリゾウムシと体型が似ている感じですが、よくは分かりません。採集もできなかったし・・・。



これは帰りにマンションの渡り廊下で見つけたハムシです。以前も見たアカタデハムシかなと思ったのですが、採集したので、今度調べてみます。



「原色日本甲虫図鑑III」を見ると、クロヒメクビボソジョウカイに似ていますが、ジョウカイボン科は恐ろしく種数が増え、ほとんどこの図鑑には出ていないので何とも言えません。

廊下のむし探検 雑談

今回はちょっと雑談です。

1)先日、昔から使っていた毒瓶を落として割ってしまったので、どうしようかと思っていたのですが、いつもお世話になっている昆虫文献六本脚のホームページを探していたら、スミロンチューブというのが売られていたので買ってみました。



下の二つが毒瓶として使っているもので、長さは115mm、直径30mmです。値段は5本で400円でした。ねじ式とスナップ式というのがあったので、両方とも買ってみたのですが、ねじ式の方が使いやすい感じです。吸虫管のゴム栓をはめてみたらぴったりはまったので、吸虫管もそれを使うことにしました。毒瓶の中にはティッシュペーパーを丸めて詰めて、100均で買ったノンアセトンエナメルリムーバーを入れています。さらに、その上にティッシュぺーを半分に切って半分に折り、指で押し入れて使っています。なかなか調子がいいです。

2)だいぶ前から「虫を調べる」というタイトルで顕微鏡写真を撮っているのですが、調べた昆虫はまた調べることがあるかもと思って一応標本として残しています。



ハチやハエはこんな風に台紙に木工用ボンドで貼り付けていますが、甲虫はどうしようかなと思っていたら、六本脚で売られているユニパックA8というチャック付きポリ袋と台紙に気が付きました。



これもついでに買ってみました(ポリ袋は200枚入りで600円、台紙は50枚入りで200円)。ポリ袋は70x50mm2の小さなものですが、この中に台紙を入れ、脱脂綿を敷いてその上に甲虫を載せたら、ポリ袋の弾力で押さえられて動きません。ついでに、ラベルも印刷して入れておけば、そのまま標本ケースみたいに見ることができます。



これはこの間調べたケシキスイ、トビハムシ、ノミゾウムシです。どれも小さいのですが、何となく様になっているでしょう。

3)この間から、以前のブログに出した写真の整理をしているのですが、ハエ目の整理がやっと終わりました(こちらから見ることができます)。残るは寄生蜂だけになりました。今回は名前の分かった種を直接見ることができるようにしたことと顕微鏡写真で調べた種がどれだか分かるようにしたところが特徴です。だいぶ前から手作り図鑑を作ろうと思ってもがいていたのですが、こうやってまとめると何となくできるような気がしてきました。でも、1月21日現在で整理をしていたのですが、できたのが4月。その間にまた種が増えています。きりがない感じです。本当にどこまでやればよいのでしょうね。(追記2018/04/12:リンクがあちこち間違っていたので修正しました

虫を調べる ヤドリコハナバチ(続き)

先日、家の近くにある川の土手に行ってみると、小さなハチが地面に空いた穴にしきりに入っては出たりしていました。何だろうと思って、一匹だけ採集して調べてみました。



穴に出入りしていたのはこんなハチです。体長は5.5mm。小さいのですが、腹部の前半が赤いので、結構、目立ちます。一昨日、科と属の検索を行い、コハナバチ科のヤドリコハナバチ属 Sphecodesであることが分かりました。今回はこの続きで、種の検索です。今回は何度も行き詰ったり、別の種にたどり着いたりして大変苦戦しました。一応は一つの種に絞れたのですが、まだ怪しいのでそのつもりで見ていたければと思います。

検索表は次の論文に載っているものを用いました。

K. Mitai and O. Tadauchi, "Taxonomic Study of the Japanese Species of the Genus Sphecodes (Hymenoptera, Halictidae)", ESAKIA 53, 21 (2013). (ここからダウンロードできます)

この論文は種についても詳しく載っている大作なのですが、検索表の項目に対応する絵が載っていなかったこととハチ特有の英語表現があったりして意味を理解するのに意外に苦労しました。でも、一応、検索の結果、オクエツヤドリコハナバチ Sphecodes okuyetsuになりました。合っているといいのですが・・・。いつものように検索表の項目を写真で確かめていきたいと思います。



この8項目で最後に書いた3種まで絞れます。まずはここまで調べていきます。なお、番号は先日の科と属の検索のときと連続した番号になっています。また、赤字の部分はこのように変更した方がよいと思ったところです。今回はだいたいは検索の順に見ていきます。



これは頭部を背側から見たものです。ここで「頭頂」という言葉が出てくるのですが、私は単眼のある付近だと思っていたので、⑥の縦隆起線は単眼の前にある筋のことだと思ってしまいました。それで、simillimusという種にたどり着き、検索は簡単だなと思ってしまいました。ただ、その後、種の説明をいろいろ読んでいるとどうも違うようです。それで、もう一度、「日本産ハナバチ図鑑」に載っているハナバチの形態を見ると、頭頂は単眼の後ろ側を指しています。たぶん、横から見てもっとも高くなるところを頭頂と呼んでいるのだろうと思って、この写真の+印のところかなと思いました。そうすると、ここには縦隆起線はありません。また、側単眼の上縁を黄色の破線の部分だとすると、その隙間は単眼の直径ほどしかありません。それで、⑥、⑦はOKとして、こちらの道を進むことにしました。



これも迷いました。頬の部分は矢印で示した部分だと思うのですが、丸く膨れているといえばそうだろうと思うし、平坦だと思うとそうにも見えるし・・・。また、複眼の外縁が"furrowed"という意味もよく分かりません。辞書を引くと「畝を立てる」というので、溝または縁があることかなと思って写真を見ても特にそんなものは見られません。⑧にはもう1項目あるので、そちらも見てみます。



この項目は前胸背板についての項目です。前胸背板は矢印で示した部分なのですが、最初はよく分からず、中胸盾板の前角付近にある突起が気になりました。ひょっとして「突出」というのはこのことを指しているのではと思ったのです。それで、その部分を拡大してみました。



突起と思ったのは㋐と㋑の部分です。㋐はこの写真でも分かりますが、前気門の部分を覆うように突き出していて中胸背板の前角が突き出しているものと思われます。㋑は前胸背板みたいですが、これを横から見てみます。



この写真を見てあっと思いました。前胸背板は前脚の取りついている部分ですが、中胸盾板からぐっと低い位置になっています。先ほどの㋑の突起はたぶん前胸背板の後縁に当たるもののようです。この写真からは前胸背板は丸くて低いという意味もよく分かります。また、特に突出している部分も見られないので、⑧はOKとしました。



次は後腿節に関するものでこれは明快です。測ってみると幅は長さの0.36倍になるので、⑨はOKでしょう。



次は大顎の歯についてです。標本が固くなる前に大顎を広げておけばよかったのですが、広げなかったのでどうせ分からないだろうなと思っていたのですが、拡大して撮ってみると、黄矢印で示すように内歯が見えます。それで、⑩はOKとしました。



次は尾節板についてです。このように細い尾節板を持つのは♀です。この幅と触角鞭節第3節の幅との比較です。論文の検索表には第2節の幅との比較になっていましたが、第2節は幅が一様ではないし、論文の他の部分や図鑑の説明などでは第3節なので、たぶん、第3節のことだろうと思ってそちらを測りました。



顕微鏡の倍率を変えずに触角と尾節板を撮り、長さを測りました。触角は上からと横からと撮りましたが、細かい毛が生えているので、正確な幅は共によく分かりません。とにかく、尾節板の幅は1.29倍と1.19倍になり、共に1.2倍近傍なので⑪はOKとしました。もう一つの選択肢は2倍以上だったのでこれは間違いなさそうです。



次は前伸腹節についてです。翅が邪魔をして真後ろからは撮れなかったので、斜め後ろから撮りました。前伸腹節は背面、垂直面、側面に分けられますが、その垂直面の後半部分の上縁付近の話です。ただし、この写真では垂直面を上下に仕切る横隆起線が見えないので、たぶん、横向きの滑らかな面もないだろうと思って⑫はOKにしました。



最後は頭盾の点刻についてです。写真の部分が頭盾ですが、点刻で覆われています。ここをもう少し拡大してみます。



毛が邪魔をしてよく見えないのですが、点刻はかなり大きくて、少なくとも点刻間の隙間は点刻の直径よりははるかに小さそうです。これで、種は最初に示したcoptis, koikensis, okuyetsuの3種に絞られたことになります。

論文にはこの3種の区別が表の形で示されていました。これも翻訳しました。



頭頂、頭盾、翅脈、尾節板、体長で見分けることになっています。これを一つずつ調べていくと最後のokuyetsuになったのですが、これも写真で確かめていきたいと思います。ただ、文中に[ ]で示した部分は英語訳が適当かどうか分かりません。



最初は頭頂付近が"developed"かどうかで、この部分が発達して盛り上がっているのかなと思ってそのような訳にしました。写真で見る通り、特に異常は見られないので、最初のハードルはokuyetsuでも大丈夫そうです。



次は頭盾についてです。点刻と点刻の間は光沢があるというのは、写真でもそのように見えます。



これが分かりにくい。論文には"furrowed by continuous punctures"と書かれているのですが、そのように見ればそう見えるという感じで、そうでない場合と比較しないとよく分かりません。



次は翅脈です。第1逆走脈と第1肘間脈の位置関係です。前2種では"basad of"という単語が使われ、okuyetsuには"interstitial with"という単語が使われています。辞書を見ると、basadは「底(基底、基部)の方へ」という副詞で、副詞がこんな場所に使われることはないと思われます。一方、interstitialは「隙間の」という意味で、よく結晶格子の間に不純物が侵入する場合に用います。共に意味不明なのですが、この単語で検索すると不思議にハチの論文が引っかかります。やはりハチ特有の英語だと思われます。「日本産ハナバチ図鑑」のcoptisとkoikensisの欄にはこの二つの脈が「離れる」、「接しない」と書かれているので、"basad of"は「離れる」、"interstitial with"は接すると訳しました。そう思ってこの写真を見ると、二つの脈は真っすぐにつながっていて、「接する」という表現でもよいように思いました。

最後は尾節板の幅ですが、上でも述べたように、1.2倍前後でokuyetsuの1.2倍と合致しています。また、体長は5.5mmだったので、これも範囲内に入っています。さらに、分布は北海道、本州、四国、九州でこれも合っています。ということで、今のところオクエツヤドリコハナバチ Sphecodes okuyetsuが最有力ということになりました。

ついでに撮影した写真も載せておきます。



これは後翅の写真です。Sphecodesの種の検索表は次の論文にも載っています。

Y. V. Astafurova and M. Proshchalykin, "The bees of the genus Sphecodes Latreille 1804 of the Russian Far East, with key to species (Hymenoptera: Apoidea: Halictidae), Zootaxa 3887, 501 (2014).(ここからpdfが直接ダウンロードできます)

上で書いた検索があまりに怪しかったらこの論文の検索表も試してみようと思って、後翅にあるhamuliという前翅との連結の鉤の数も数えておきました。5つあるみたいです。



これは触角を写したものです。検索では用いませんでした。



単眼から触角にかけて走っている隆起線の端を写したのですが、これも使いませんでした。

ということで、とりあえずオクエツヤドリコハナバチにはなったのですが、甚だ不安で、また、頼りないものです。こうやっていろいろな虫で検索をするたびに、その種特有の専門用語や英語表現があっていつも悩まされます。絵が載っているとすぐに分かることでも、文章だけだとよく分からず、苦労が絶えません。このハチの検索をしていて、いったいいつまでこんなことを続けるのだろうと、先日はちょっと弱気なことを書いてしまいました。でも、ほかにやることもないので、虫の名前調べはもう少し続けることにします。

廊下のむし探検 蛾が多い

廊下のむし探検 第995弾

4月6日の「廊下のむし探検」の結果です。前回が3月27日だったので、およそ10日ぶりの廊下での虫探しです。最近は雨が多いので、虫はどうかなと思ったのですが、意外に蛾がいっぱいいました。



まずはゴマフリドクガ





そして、これはリンゴドクガ



これはノヒラトビモンシャチホコかな。



それにオオハガタナミシャク





カバナミシャクはちょこちょこいました。そのうち2匹だけを写したのですが、これは両方ともソトカバナミシャクかなと思います。



蛾以外です。これはたぶん、モモブトカミキリモドキ。大きな水玉を背負っています。この日も雨だったからなぁ。





変な色のダンゴムシがいるので撮ったのですが、やはりオカダンゴムシかな。



それに毛虫です。どうせ名前は分からないだろうと思って調べていません。

この日はこんなものでした。ついでに前日の4月5日に用事のついでに公園に寄って撮った虫です。



まずはマンションの倉庫の壁についていたアリです。たぶん、ハリブトシリアゲアリかなと思います。



公園の木の幹にはキマダラカメムシがいました。最近は本当によく見るようになりました。





この日もシラカシの幹にいるカシノアカカイガラムシの♂がいないかなと探していたのですが、こんな虫がひょっと飛んできました。以前、ヤノズキンヨコバイだと教えていただいた種と似ています。一応、採集して、「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表で調べたら、確かにヨコバイ科のズキンヨコバイ亜科になりました。ただ、「日本昆虫目録第4巻」(2016)によると、この亜科には8属17種が記録されています。せめて属の検索表でもあるとよいのですが・・・。いずれにしても顕微鏡写真は撮ったので今度載せます。(追記2018/04/21:検索の過程と顕微鏡写真はこちらで見てください





最後は公園に行く途中で見た花です。バラ科のザイフリボクだと思います。

虫を調べる ヤドリコハナバチ

この間、家の近くにある川の土手に行ったら、小さなハチが地面に開いたたくさんの穴に入ったり出たりしていて、何かを探している様子でした。これは面白いなと思って一匹を採集しました。それで、まずその名前から調べてみました。



いたのはこんなハチで腹部の前半の赤いところが特徴です。



横から見るとこんな感じで、体長は5.5mmでした。



これは上から見たところで、ついでに「日本産ハナバチ図鑑」に載っている図を参考にして各部に名称を入れてみました。腹部背板の赤い部分は第1節から第3節の中ほどまででした。顔の部分はいかにもハナバチ類なので、まずは「日本産ハナバチ図鑑」に載っている検索表で科と属を調べてみました。その結果、コハナバチ科のヤドリコハナバチ属 Sphecodesになりました。その検索過程から見ていきたいと思います。



ヤドリコハナバチ属であることを確かめるには上の5項目を確かめればよいことになります。これを順番に見ていきたいと思います。



まず、頭部を斜め前から撮った写真です。この間、ニッポンヒゲナガハナバチを調べたので、口の辺りの違いは歴然です。この写真の場合、下唇鬚は同じような長さの節からできていることが分かります。これで①はOKです。



次は中舌です。こんな感じで先が尖っています。



ついでにもう少し拡大してみました。中舌の基部にあるのは何だろう。



次は前翅の翅脈です。中脈がこんな風に湾曲しているのはコハナバチ科の特徴です。これが③です。次の④は亜縁室の大きさですが、1>3>2の順になっています。これが④で、共にOKです。



次は⑤で点刻についてです。点刻が粗いかどうかは相対的なことなので、この写真だけからでは判断できません。この写真では胸背は疎らで、頭部はもう少し密です。次回載せる頭盾なんかを見ると著しく点刻されているといってもよさそうです。⑤の項目は後半の内容の方がもっと明確です。この個体は次回出てくる尾節板の大きさから♀だと思われるのですが、⑤に対抗する選択肢では「♀の後脚は刷毛(はけ)がある」となっています。この個体では次の写真で示すように腿節にも脛節にも刷毛はありません。



ということで、この個体はコハナバチ科のヤドリコハナバチ属だと思われます。♀なのに、花粉を集める刷毛がないのは「ヤドリ」という名前の由来が関係しています。つまり、このハチは花には訪れず、他のハチに寄生するからです。

この「ヤドリ」という名前が気になったので、少し文献を調べてみました。「日本産ハナバチ図鑑」にも少しだけ説明が出ていますが、ヤドリコハナバチの仲間はほかのハナバチの仲間の巣穴に入って、集めていた花粉団子に産卵し、他人の餌を横取りして成長するという寄生を行います。これを労働寄生とか盗み寄生とか呼んでいます。一般に、寄生する場合、宿主と寄生者は決まったペアになることが多いので、寄生者はある特別の宿主だけに寄生する専門家(specialist)であると言えます。ところで、このヤドリコハナバチの仲間にはいろいろな宿主に寄生する万能選手(generalist)もいます。

どんな宿主に寄生するのかを調べた研究はヨーロッパのものがほとんどなのですが、次の論文にその結果が載っていました。

[1] M. Sick et al., "Host-Parasite Relationships in Six Species of Sphecodes Bees and Their Halictid Hosts: Nest Intrusion, Intranidal Behavior, and Dufour's Gland Volatiles (Hymenoptera: Halictidae)", J. Insect Behavior 7, 101 (1994).
[2] P. Bogusch, L. Kratochvil, and J. Straka, "Generalist cuckoo bees (Hymenoptera: Apoidea: Sphecodes) are species-specialist at the individual level", Behav. Ecol. Sociobio. 60, 422 (2006). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

ヤドリコハナバチ属でも種によってはスペシャリストもいるのですが、ジェネラリストもいて、例えば、一つの種がコハナバチ科のコハナバチ属やアトジマコハナバチ属、それにヒメハナバチ科など科を越えて寄生する例も知られています。これを鳥のカッコウの托卵になぞらえて英語ではこういうハチのことをcuckoo beeと呼んでいます。宿主となるハナバチは通常、地面に穴を掘り、そこに育房と呼ばれる横穴を堀り、花粉を運んでは団子にして花粉団子を作ります。団子ができたら、卵を産んで、育房の蓋をします。それで、また花から花粉を集めてきて同じ操作を繰り返します。ヤドリハコハナバチの仲間はこの巣穴に入り込み、出来上がった花粉団子を横取りするばかりか、産み付けられていた卵を破壊したり、生まれてきた幼虫が牙で宿主の幼虫を殺したりして乗っ取ります。

ここでいくつかの疑問が出てきます。ヤドリコハナバチ属が寄生するコハナバチ属などはもともと近縁で、遡ってみると祖先は同じになります。どうして、一方はまじめに花粉を集め、もう一方はそれを横取りする種に分かれたのでしょう。もう一つの疑問は、普通、宿主と寄生者の間には互いに競い合って進化してきた歴史があります。これを「赤の女王仮説」といいます。詳細はWikipediaに載っていますが、赤の女王は「鏡の国のアリス」に登場する人物で、この仮説は「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」という台詞から来ているそうです。つまり、敵対的な種間では攻撃・防御の軍拡競争を果てしなく続けていかなければならないということを意味します。このような競争の結果、寄生者も宿主も共にスペシャリストになっていくのですが、どうしてジェネラリストとしていられるのでしょう。こんな疑問です。

後者については上の論文[1,2]に実験結果が載っていました。ヤドリコハナバチの行動を観察していると、宿主のハチがいないときに巣穴に入ったり、宿主が出てくるのを待つという場合もあるのですが、宿主が中にいるのに平気で中に入ったり、場合によってはほぼ同時に中に入ったり、中に入って何時間も出てこなかったりとかなり堂々と振舞っています。時には宿主に追い出されたり、けんかになったりすることもあるのですが、わりと気にしないで行動しているように見えます。ハチは自分にとって味方かどうかを匂いで判断しているのですが、ガスクロ―質量分析という方法で調べてみると、それほど匂い成分は一致していないようです。それで、たぶん、似た匂いを持っているのではと考えられているようです。

それでも、こんなにいろいろな種に果たして受け入れてもらえるだろうかという問いには上の論文[2]が答えてくれました。この論文ではいろいろなハナバチ類が巣穴を作っている場所でヤドリコハナバチの行動を観察してみると、一つの個体は次々と同じ種の巣穴を訪れていたそうです。つまり、種としてはジェネラリストなのですが、個体としてはスペシャリストであるということのようです。

最初に挙げた問題には、このような宿主・寄生者が進化の過程でどのように分かれてきたかとかという問題のほかに、ジェネラリストとスペシャリストがどのように分岐してきたかという問題も考えられます。宿主・寄生者の分化はどんな種類でも15%程度は寄生者に分化しているという事実もあり、進化に伴う必然的な現象と考えられるかもしれません。後者のジェネラリストとスペシャリストの分化については次の論文で扱われていました。

[3] J. Habermannova, P. Bogusch, and J. Straka, "Flexible Host Choice and Common Host Switches in the Evolution of Generalist and Specialist Cuckoo Bees (Anthophila: Sphecodes)", PLOS ONE 8, e64537 (2013). (ここで読むことができます)

「赤の女王仮説」で宿主・寄生者間の軍拡化競争が進むと、宿主と寄生者間の関係は特異的になり、最終的には1:1の関係になってしまいます。この場合、なんらかの原因で宿主が滅びると寄生者も同時に滅びてしまいます。つまり、スペシャリストは進化の死を意味することになります。一般的にはそうなる前に宿主を転換するという行為が行われます。その極端な場合がジェネラリストではないかという考えです。この考えによれば、軍拡が進んでいないときはジェネラリストだったものが、軍拡が進むにつれてスペシャリストになっていき、しかし、あまりにスペシャリストが行き過ぎると、一部のものが再びジェネラリストに戻るということになります。ただし、この場合のジェネラリストは種全体で見たときだけで、個体レベルではスペシャリストということのようです。

論文をざっと読んだだけなので、解釈が間違っているかもしれませんが、一匹のハチを捕まえ、それについて調べていくといろいろな話が湧き出してきて実に面白いですね。次回は苦しみぬいた種の検索について載せます。

家の近くのむし探検 アリの巣の周り虫たち

家の近くのむし探検 第365弾

最近はいつも公園に行ってばかりなので、たまにはと思って近くにある川の土手に行ってみました。昨日から突然寒くなってしまいましたが、出かけた4日はぽかぽかした初夏のような陽気でした。パッと見たところ、あまり虫は見つからなかったのですが、石垣にあるアリの巣ではもうアリが活発に活動していました。







最後の写真で中胸気門1対が背側に見えているので、たぶん、クロヤマアリでしょうね。

この巣の周りにはいろいろな「むし」たちが活動していました。





まずはアオオビハエトリ。いつも前脚(というか、第1脚かな)を上に挙げたこんな格好をしています。でも、アリが近くに来ると、さっと逃げてしまいます。





これはもっと小さなハエトリです。シラホシコゲチャハエトリの♂です。





こちらは♀の方です。





これはアリグモで、やはりハエトリグモの仲間です。アリとそっくりなのですが、クロオオアリが近づくとびっくりしたように逃げてしまいます。



近くではハチもうろうろしていました。大きめのハチはこの間調べたニッポンヒゲナガハナバチでした。もう1種小さなハチもいました。腹部が赤いので何だろうと思って動きを見ていると、



こんな風に穴があるとのぞき込み、



そして、中に入って、



それからまた出てきます。こんなことを穴があるたびに繰り返しています。何だろうと思って採集して調べてみました。コハナバチ科のヤドリコハナバチ属であることまではすぐに分かったのですが、その先の種の検索でかなり苦労しました。一応、種まではたどり着いたのですが、また、今度まとめて出します。(追記2018/04/21:検索の結果、ヤドリコハナバチ属のオクエツヤドリコハナバチになりました。詳細はこちらこちら





後はマンションで見つけた虫です。これはツマキアオジョウカイモドキ



これはよく見るハムシダマシです。ナガハムシダマシとフジハムシダマシという似た種がいます。頭幅と複眼の横幅の比を取ったらよかったですね。測ってみると、複眼横幅の2.8倍なので、たぶん、ナガハムシダマシの方だと思います。ついでに、触角第9節+第10節と末端節の長さの比を取ると、3:3.1になりました。「原色日本甲虫図鑑III」によると、♂では3:4、♀では3:3.5だったので、たぶん、これは♀の方かな。



最後は窓に止まっていた蛾です。フラッシュをたいて撮ったら綺麗に写りました。これはウスギヌカギバですね。

虫を調べる ニッポンヒゲナガハナバチ♂

3日ほど前に家の近くにある川の土手に行ってみました。アリの巣とその周りにいるハエトリグモの観察をしていたのですが、近くをハチが何匹か飛び回っています。止まってくれないので種類は分かりません。捕虫網を出して捕まえたら2匹が同時に入っていました。1匹は触角が長いのでヒゲナガハナバチであることは確かそうです。そういえば、まだちゃんと調べたことがないなと思って2匹とも持って帰ることにしました。検索をしてみると、2匹ともニッポンヒゲナガハナバチで、1匹は♂、もう1匹は♀になりました。共にもう展翅をしてしまいました。♀の方は花粉まみれだったので、今回は♂の方の検索を出すことにします。



検索表には「日本産ハナバチ図鑑」に載っているものを用いました。こんな風に目的地がほとんど決まっている検索は気楽でいいですね。この6項目を調べると、ミツバチ科のヒゲナガハナバチ属かコヒゲナガハナバチ属になります。これをいつものように写真で見ていきたいと思います。



今回は同時に採集したコハナバチ科のShecodes属の方に気を取られ、いろいろおろそかになってしまいました。まず、現場ではハチは飛んでいて止まらなかったので生態写真はありません。採集してから、いつもなら寸法を測るための撮影をして、背側、側面、腹側の写真を撮るのですが、それも忘れてしまいました。それで、昔、マンションの廊下で撮った写真を載せておくことにしました。床の模様からだいたいの大きさは想像できると思います。この写真では⑥の触角が長いことを見ます。したがって、これは♂ということになります。



これは頭部前面の写真です。黄色の部分が頭盾で、こんな風に黄色くなるのは♂の方です。②については、毛が多いので、はっきりしませんが、上唇は微かに見えています。これが幅広いかどうかは相対的なので判断できませんが、上唇が長細いハキリバチ科に比べてということのようです。触角下溝は顕微鏡下では見えるのですが、写真を撮ると毛が邪魔してよく分からなくなります。写真中の矢印はこの辺にあるということを示しています。④の「頭盾は盛り上がり」というのも相対的な表現なのですが、ここでは頭盾が平坦なクマバチ属などと比較すると湾曲しているという意味のようです。また、下端部(先端部)は確かに湾曲しています。これで②と④はOKとなりました。



これは頭部を横から撮ったものですが、口にびっくりするような構造があります。外葉と書いたのは覆いで、この中に中舌と下唇鬚が入っています。下唇鬚の先端が少し見えていますが、①に書いてある内容は分かりません。たぶん、標本が硬化する前に外葉も大顎も開けておくというのが検索にとっては都合がよいのでしょう。でも、こんな構造を持っているのはミツバチ科とハキリバチ科だけなので、下唇鬚は見なくても大丈夫でしょう。



最後は翅脈です。③は黒矢印で示した部分の長さと第1逆走脈の長さの比較です。明らかに後者の方が長いのでOKです。⑤については縁紋は小さく縁室の中にまで入り込んでいません。それでOKとなります。最後も長さの比較です。やはり第2中肘脈の方が逆走脈よりはるかに長いので⑥はOKです。

これで、すべての項目を確かめたので、ヒゲナガハナバチ属か、コヒゲナガハナバチ属ということになりました。ここからは検索表がないのですが、この2つの属に属している日本産をリストアップすると次のようになります。



全部で6種になるのですが、分布と亜縁室の数で分けるとよさそうです。なお、北、本、四、九、南西はそれぞれ北海道、本州、四国、九州、南西諸島を表しています。



亜縁室が2個のものと3個のものがあるのですが、この個体は3個です。それと、分布が本州のものを選ぶと、結局、ニッポンヒゲナガハナバチとミツクリヒゲナガハナバチの2種に限られます。このうち、ミツクリは腹部の毛帯が各節の前半部に限られます。これに対して、ニッポンは後で示すように後半部に限られるので、これはニッポンヒゲナガハナバチということになりました。一応確認するために、「日本産ハナバチ図鑑」に書いてあるニッポンヒゲナガハナバチの説明を♂の特徴に限って抜き出してみました。



この3項目になりました。これを検索のときと同様に調べてみたいと思います。まず、Ⓐはもう調べました。



これは腹部背面の写真です。Ⓑの最初の記述は♀との比較なので、何とも言えませんが、その後の部分は最後の部分を除いてはよく合っているように思います。毛帯の幅は図鑑の写真を見ると♀に比べてわずかに♂の方が狭い感じですが、この写真の個体ではさらに細いような感じを受けました。



最後は触角の縦溝ですが、これがなかなか分かりませんでした。私はもう少しはっきりした溝があるのだろうと思って顕微鏡でいろいろな方向から触角を覗いてみたのですが、その日は結局見つかりませんでした。翌日、もう一度じっくりと調べていたら、この写真のように鞭節第1節の矢印で示したところから先が少しだけ凹んでいることに気が付きました。



凹んでいる方向はこの写真から分かると思います。凹んでいる個所は第1節では比較的明確なのですが、先端側はよく分かりません。4節と書いてあるのでそれらしいところで矢印を止めていますが、その先も平坦からやや凹んでいると見えなくもありません。これが「徐々に不明瞭になる」という意味なのでしょう。ということで、特徴も一致したので、たぶん、ニッポンヒゲナガハナバチ♂で間違いないのではと思いました。触角の縦溝などはこんな機会がないと見ないので、いい勉強にはなったなと思っています。



最後はおまけです。口のあたりがあまりにも変わっているのでつい撮影してしまいました。大顎の先端は淡色ですね。複眼のすぐに脇にある丸いものは関節か何かなのかな。

家の近くのむし探検 カミキリ、蛾

家の近くのむし探検 第364弾

4月3日に家の近くの公園で見た虫です。もう気温はかなり高いのですが、あまり虫を見かけません。どうしてでしょうね。



まず、公園に出かける前にマンションの廊下で見た虫です。たぶん、ナカジロサビカミキリ



公園では久しぶりに蛾を見ました。これはフタテンオエダシャク



それから街路灯の柱に止まっていたイナズマコブガ。撮影していたら、ぱっと飛んで行ってしまいました。



同じ柱にはこんな小さな毛虫も。模様からヨツボシホソバの若齢幼虫みたいです。



虫があまりにいないので、運動をしてから帰ってきました。マンションの渡り廊下で今度はこんなゾウムシ。雰囲気からケブカクチブトゾウムシ



同じ場所でこんな小さなハエトリグモもいました。ネオンハエトリかなと思ったのですが、「ハエトリグモハンドブック」を見ると、脚の色とか、頭胸部の後半の傾斜などがちょっと合いません。むしろカタオカハエトリに似ている感じです。それで、その幼体ではないかと思っています。カタオカハエトリはマンションでは5月に♂を2度見ています。



最後はこのカミキリです。たぶん、ヒメスギカミキリ。公園を歩き回るよりも、渡り廊下をちょっと通るだけの方が虫をたくさん見つけられますね。

雑談)一昨日は公園ではなくて、川の土手で虫を探してみました。ハチがやたら飛び回っているので捕虫網で2匹ほど捕まえました。また、アリの巣のような地面の穴にしきりに出たり入ったりしている小さなハチも気になりました。これも採集しました。最初の2匹は検索結果、ニッポンヒゲナガハナバチの♂と♀になりました。後の1匹は腹部の前半が赤いので何とかなるかなと思ったのですが、意外に苦戦です。コハナバチ科のSphecodes属は確かなのですが、その先であっちうろうろこっちうろうろ。種の検索表の載っている論文は見つけたのですが、用語や英語の意味が分からないところがあってなかなか進みません。何とか種まではたどり着いたのですが、果たして合っているのやら、いないのやら。

雑談)最近は虫の検索ばかりしているのですが、虫の数は果てしないので、いったいいつまでこんなことを続けなければいけないのかと疑問に感じ始めました。家族にそう言うと、すぐに止めればとは言うのですが・・・。身近な生き物すべての名前を知りたいなんて無謀なことを始めたのが間違いだったのかもしれませんね。それでも、冷凍庫に入っている虫だけでも片付けないと・・・。
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