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六甲高山植物園にて

3月29日にドライブついでに六甲高山植物園に行ってみました。後から調べてみたら、一昨年も昨年も今頃行ってたみたいです。春になると何となく行きたくなるのですね。いつもは虫ばかり見ているので、たまには花もいいですね。





園内に入ってすぐに気が付くのはカタクリの花です。



こんなに一面に咲いているところもありました。



それに定番のフクジュソウです。



ミズバショウも咲き始めていました。





花はこんな感じです。ミズバショウはサトイモ科で、この白い部分は花ではなくて苞というのでしたね。



こんな風に中心の花の部分だけ伸びているのもありました。





この日の目的の一つザゼンソウはちょうど真っ盛りでした。昨年は4月終わりに行ったので、ザゼンソウは終わっていました。今年は是非とも見たいなと思って、ちょっと早めに行きました。





ちょうど芽が出始めたところのザゼンソウもありました。(追記2018/04/21:信濃の案山子さんから、「信州でもザゼンソウが咲いています。そろそろ白馬村などが見ごろです。拝見したゼゼンソウは苞が小さいので驚きました(特に後半の2枚)。ミズバショウはもう少し先です。」というコメントをいただきました。どうもありがとうございました





ワサビの花も咲いていました。こんな花を見ると、信州に行きたくなりますね。





それにショウジョウバカマです。これはユリ科だと思っていたら、最近はシュロソウ科になっているのですね。植物は分類が大きく変わってきているのでどの分類体系を使ったらよいのかよく分かりません。続きはまた今度。
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虫を調べる タマバエ科Catotricha属(続き)

先日の続きでハエの検索をしてみました。



対象とするのはこんなハエで、3月24日にマンションの廊下で見つけました。先日、検索をしてみて、タマバエ科であることが分かったので、今回はその続きで属の検索です。タマバエ科にしては破格の翅脈を持っているので検索自体は簡単でした。それで、今回はMND (Manual of Nearctic Diptera Vol. 1)に載っている検索表と次のYukawa氏の論文に載っている検索表の両方を試してみました。

J. Yukawa, "A Revision of the Japanese Gall Midges : Diptera : Cecidomyiidae",Memoirs of the Faculty of Agriculture, Kagoshima University 8, 1 (1971). (ここからダウンロードできます)

まずはMNDからです。



検索はわずかにこの5項目で、Lestremiinae亜科Catotrichini族Catotricha属になることが確かめられます。これから写真で調べていきますが、赤字は写真を撮るのを忘れた項目で、今回はパスします。



まず最初は⑤の項目で単眼があるかないかです。この写真で分かるように、3個の単眼があります。



次は⑥で、跗節が5節で第1節が第2節より長いということですが、写真でも分かるように合っています。



次は翅脈です。翅脈の名称についてはちょっと分からないところがあったので、前回は書かなかったのですが、検索に必要なので、MNDの絵に載っている名称をそのまま書き入れました。まず、⑥と⑦は問題ないでしょう。⑧はM3がCuAから分岐する種があったり、M脈が不明瞭になる種もあるので、それらを除くための項目です。⑨がちょっと問題でした。文字通りR5の長さと翅長の比を測ると0.53となり2/3よりはかなり小さくなります。ただ、MNDに載っている図を見ても必ずしも2/3よりは大きいとは思えません。ひょっとするとR5と書いてあるのはRs+R5かなと思って測ってみると0.67となり、辛うじて2/3を越えました。はっきり分からないのですが、⑨については次の触角の項目もあるので、ここではとりあえずOKとしました。⑩の前半は測るまでもなくOKでしょう。後半については黄矢印で示した部分にM3の分岐点があります。ということですべてOKにしました。



鞭節は14節で⑨はOKだと思います。これでほぼすべての項目をクリアしたので、たぶん、Catotricha属で間違いないのではと思いました。

ついでにYukawa氏の検索表でも調べてみました。



こちらはもっと簡単で、この3項目です。㋐はすでに調べたので、翅脈をもう一度見てみます。


翅脈の名称はYukawa氏の論文に載っているものを用いました。検索表はMNDと表現の仕方が少し異なっていますが、基本的に同じでOKだと思われます。ということで、やはりCatotricha属になりました。

Catotrichaをネットで調べていたら次の論文を見つけました。

M. Jaschhof, "Catotrichinae Subfam. N.: a Re-examination of Higher Classification in Gall Midges (Diptera: Cecidomyiidae)", Entomol. Sci. 3, 639 (2000). (ここからダウンロードできます)

この論文の中に種の検索表もあるのですが、主に交尾器についてだったので、今回は族と属の特徴を比べてみました。なお、上の本や論文ではCatotricha属はLestremiinae亜科に入っているのですが、この論文ではCatotrichinae亜科になっていました。



Catotrichini族の特徴は特に問題なく満足しているみたいです。Catotricha属の特徴については鞭節の各節の形状についての記述があります。論文には詳細な絵も描かれています。それで、顕微鏡で頑張って撮ってみました。



これは鞭節の第1節から第4節を写したものです。各節は基部が太く長く、先端に円筒形の細い軸がついているというところはよく合っています。ただ、絵と比べると軸の長さがかなり短い感じです。もう少し拡大してみました。





いつものように横から照明を当てていると毛が光ってしまい、本体部分がよく見えません。それで、透過照明で撮ってみたら、ちょっと暗っぽくなってしまいました。やはり先端の軸の部分がだいぶ短そうです。また、どれが毛でどれが感覚子なのか判断できません。この個体は♀で、論文の絵は♂なのでその違いかもしれません。



次は爪の部分の拡大です。爪の間には爪間板がありますが、これは明らかに爪よりは短くなっています。ということで、交尾器についてはよく分からなかったのですが、たぶん、Catotricha属で間違いないのではと思っています。「日本昆虫目録第8巻」(2014)によると、Catotricha属はCatotrichinae亜科に入っていて、nipponensisのみが記録されています。ひょっとすると、これかもしれません。

ここからは蛇足です。



先ほどのJaschhof氏の論文には各部の名称も載っていたので、写真に名称を入れてみました。tは背板、sは腹板です。板と名の付くものは6節あるようです。



これは胸部の各部の名称です。あまりはっきりしないところもあるのですが、一応、名前を付けてみました。日本語の名称は「新訂原色昆虫大図鑑III」を参照しました。



それから腹部末端を腹側から写したものです。



次は翅脈です。翅脈の名称で引っ掛かっていたのはAとBの図で?と書いた部分です。ここに翅脈があり、前縁脈に達するまでに消えています。これがR脈なのかどうかが気になっていました。それで、翅の基部を見たのがAの写真です。これを見るとむしろ基部でSc脈と合流しているようです。Catotricha属を記載したEdwardsの論文(1938)の一部がネットで読めるのですが、そこではSc1とSc2という二つのSc脈が載っていました。たぶん、この脈のことを言うのでしょう。次に気になったのはR脈の基部近くで強く曲がっている部分です。でも、この写真で見る限りはR脈の基部と結びついているようです。最後に翅の全周を回っているC脈の下側の基部を見てみたいと思っていました。確かに基部には骨状のものが見られ、普通の脈と同じ構造になっているようです。



これはまた別の写真です。C脈の基部が2分しているようにも見えます。この辺はもう少し調べてみたいですね。

ということで、今回はCatotricha nipponensisではないかという結論になりました。種の検索表で調べてないのではっきりしたことは言えないのですが・・・。Jaschhof氏の論文に載っている種の検索表では、nipponensis♀が知られていないという理由で載っていませんでした。

家の近くのむし探検 虫と花

家の近くのむし探検 第361弾

3月28日に家の近くの公園へ行きました。最近は虫探しより、もっぱら運動のために出かけています。



最近は異常に暖かいのですが、不思議と虫は見つかりません。やっとこんなクロバネキノコバエを見つけました。



仕方なく木の幹を探してみたら、アリがぽつぽつ見られました。これはルリアリかな。



白い小さな虫が飛び回っているので止まったところを撮ったらユスリカみたいです。ちょっとピンボケですが・・・。



後はマンションの廊下で見たものです。ゾウムシがいたので、ちょっと手で触ってみたら死んだマネをして動きません。これはクロホシタマクモゾウムシですね。一応、採集しました。記録を見ると、これまで3月と4月に3度ほど見ていました。



こちらはこの間から何度も見ているアカホソアリモドキですね。これもちょっとピンボケでした。

公園は今、花盛りです。



スモモは満開です。



そしてモクレンも。





ソメイヨシノはこの時はまだ3分咲きくらい。今日行ってみたらもう満開でした。





そして、ハクモクレンも満開。公園も今が一番いい時なのに、訪れる人はほとんどありません。もったいない感じです。



後は行き帰りに道端で咲いていた花です。これはハナニラ



シロバナタンポポ





それにこの間も調べたFicaria vernaです。和名をキクザキリュウキンカとしたらよいのか、ヒメリュウキンカかとしたらよいのか、それとも和名なしとしたらよいのか迷います。

廊下のむし探検 甲虫

廊下のむし探検 第994弾

3月27日にマンションの廊下で見つけた虫で、残っていた甲虫です。



これはカサハラハムシの仲間です。名前は分からないのですが、一応、採集したので今度調べてみます。



ナナホシテントウはあちこちで見かけました。その割にナミテントウは見かけませんね。



それにウリハムシ



これはこの間から見ているケシキスイ科のEpuraea属かもしれません。





模様の変化の大きなゾウムシでしたね。たぶん、ホソアナアキゾウムシだと思います。これまで、5月、6月、8月に見ていました。





これはツツジトゲムネサルゾウムシだと思います。この日は4匹見ました。



これもまたゾウムシです。マツトビゾウムシ





今頃、チビタマムシ?と思ってびっくりしました。いつも4月終わりから6月にかけて見ていました。でも、よく見るといつも見ているチビタマムシと違います。「原色日本甲虫図鑑III」を見ると、白色の毛の模様がハイイロヒラタチビタマムシに似ています。いつも見ているクズノチビタマムシやナミガタチビタマムシはTrachys属で、今回の種はHabroloma属です。この2つの属の違いは、上翅側縁に沿って明瞭な側隆線をもつかどうかです。採集したので、今度調べてみたいと思います。こんな風にして調べなければならない種が山のようにたまってきます。



これも何度か見たゾウムシです。これはホソクチゾウムシ科の仲間で、ヒゲナガホソクチゾウムシだと思います。「日本列島の甲虫全種目録 (2018年)」を見ると、ホソクチゾウムシ科ではなくてミツギリゾウムシ科ホソクチゾウムシ亜科になっていました。



これもたびたび見ている外来種です。マルトゲムシ科のMicrochaetes属だと言われていますが、それから先はよく分かりません。



これもこの間から見ているハナムグリハネカクシの仲間です。これから先が分かるとよいのですけど。



キクイムシがいました。これは以前途中まで検索をして苦戦した種に似ています。その時はXyleborus属になったのですが、どうもはっきりしませんでした。この間からキクイムシの検索をしているので、今度、もう一度チャレンジしてみます。(追記2018/04/21:1971年の論文に載っている検索表ではXyleborini族のXyleborus属になったのですが、この族の属はその後3属から17属にまで増えています。それで何とも言えない状態になりました。詳細はこちら



これは何だろう。甲虫は科が分からないとさっぱり進みません。(追記2018/04/21:通りすがりさんから、「分からない甲虫はキボシヒラタケシキスイ「辺り」のケシキスイでしょう。」というコメントをいただきました。ケシキスイも一度は疑ってみたのですが、同じような斑紋のが見つからなくて迷ってしまいました。改めて図鑑を見てみると、OmositaとかNitidula辺りが似ている感じです。OmositaだったらLee(2015)の論文が手に入ったので、種の検索ができそうです。ともかく、属の検索です。有益な情報をどうも有難うございました



最後はイタドリハムシでした。これも以前、詳しく調べたことがありました。



ついでにこの間出し忘れたノミバエも出しておきます。普通のノミバエよりは大きめで、採集しようと思っていたら隙間に入って逃げられてしまいました。この写真から見ると、脚に刺がないので、トゲナシアシノミバエ亜科でしょうね。写真からはっきりとは分からないのですが、後脛節の微刺毛列が見えないので、ひょっとしたらWoodiphora属かもしれません。

雑談)先日、六甲高山植物園に行こうと思って初めて新名神に乗り、西宮山口JCTが下りだけなのを知らずに、宝塚まで戻ってきてしまいました。今日はリベンジと思って、再度、挑戦しました。今回も箕面とどろみICから新名神に乗り、そのまま神戸北ICまで行き、そこから六甲北有料道路に乗って裏六甲ドライブウェイを走り、無事に植物園に到着しました。世の中、さくらさくらと騒いでいますが、早春の花も良かったですよ。今度、ブログでも出すことにします。

虫を調べる タマバエ科Catotricha属

この間、変わったハエを見ました(3/24)。



こんなハエです。一見してガガンボとかヒゲナガケバエの仲間かなと思ったのですが、以前、こんな格好をしていてタマバエ科だったことがあったので、今回もMND(Manual of Nearctic Diptera)で同じような翅脈を持つ属を調べてみました。そうしたら、よく似た翅脈を持つ属としてタマバエ科のCatotricha属が見つかりました。本当にそれでよいのかどうかを調べるために検索をしてみました。今回はまず、タマバエ科かどうかです。



まずは大きさを測ってみました。体長は6.1mmでした。普段見ているタマバエは2-3mmの小さなハエばかりなので、もしこれがタマバエ科だったらびっくりするくらい大きなハエです。また、腹部末端の形からこれは♀のようです。

初めに、「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表で調べてみました。



タマバエ科であることを確かめるにはこの5個の項目を調べればよいのです。これをいつものように写真で確かめていきます。今回は検索順です。



これは中胸背を見たところですが、ちょっと見るとガガンボのような3列の縦筋が入っています。でも、①にあるようにガガンボ特有のV字型の溝がありません。



②~④は翅に関するものです。翅脈の名称はMNDにも載っているのですが、ちょっと納得がいかないところがあるので、もう少し調べてから載せることにします。とりあえず、②はC脈と呼ばれる前縁脈が翅を一周回っていることを確かめます。C脈は途中までは太いのですが、後縁では細くなります。でも、しっかり一周回っていることが分かります。③と④は大丈夫でしょう。



次は触角です。触角鞭節は図に書き込んだ部分ですが、数えてみると14節なので⑤はOKです。これで無事にタマバエ科になりました。C脈が全周を回っているかどうかを見分けるのが難しいところです。

ところで、検索があまりにも簡単だったので、「新訂原色昆虫大図鑑III」に載っている検索表でも調べてみました。



こちらは全部で10項目あります。Cecidomyiidaeはタマバエ科のことですが、亜科によって二つに分かれています。赤字はよく分からなかったところで、写真はありません。Ⓔは赤字の項目だけなのですが、中胸背にV字溝を持つコシボソガガンボ科を除外する項目なのでたぶん大丈夫だと思います。これも写真で調べていきたいと思います。今度は部位別です。



最初は翅脈です。Ⓐ、Ⓑ、Ⓓは特殊な科を除くための項目なので大丈夫でしょう。M脈群の次にある曲がった脈がたぶん、CuA+CuP脈です。それで、翅縁まで達するのは1本だけになり、ⒻはOKです。Ⓖはその通りで、Ⓗは先ほど確かめました。



Ⓒは短角亜目を除外する項目なので、まず大丈夫でしょう。



これは顔面を写したものですが、小顎鬚が図で示したものなら、3節なのでOKだと思われます。



跗節第1節は第2節より明らかに長いので、ⒾbもOKです。これで、タマバエ科のうち、CecidomyiinaeとPorricondylinae亜科が除外できました。



最後は頭頂を撮ったもので、単眼は3個あります。この写真は冷凍庫から取り出した翌日に撮ったので、複眼がちょっと乾燥してしまっていました。ということで、一応、ほとんどすべての項目が確かめられたので、たぶん、タマバエ科は間違いなさそうです。次は属の検索なのですが、これは次回に回します。

廊下のむし探検 カメムシ、カワゲラほか

廊下のむし探検 第993弾

ネタがなくなったので、今日は午後からマンションの廊下を歩いてみました。暖かかったせいか、虫はたくさんいました。特に甲虫が多かったのですが、まだ、名前調べが終わっていないので、その他の虫から出すことにします。



まずはカメムシから。クサギカメムシとマルカメムシはパスして、残りのカメムシです。ナガメが2匹いました。



これは以前も見たことがあります。たぶん、キベリヒョウタンナガカメムシ。これまでの記録を見ると、3-4月と7月に見ていました。



それからアメンボもカメムシの仲間ですね。これは、「淀川水系のアメンボ検索表 」で検索をしてみました。腹部末端を調べる最後のキーが分からなかったのですが、たぶん、コセアカアメンボではないかと思います。





いつも今頃見るカワゲラです。一度検索を試みたことがあったのですが、鰓の痕跡が分からず、科の検索の段階で挫折しました。今年は何とかしたいなと思うのですが、まだ、心の準備ができていないのでそのままになっています。



こんなに翅に模様があるのですが、オナシカワゲラの仲間であることぐらいしか分かりません。



これはスズキクサカゲロウ



こちらはハマダラハルカ。これまで4月初めにみていました。



ガガンボは翅脈のSc脈が見えないと科が分からないのですが、何枚か撮った写真のどれにも写っていません。結局、ヒメガガンボ科かがガンボ科かどちらか分かりませんでした。





蛾はカバナミシャクが2匹。難しいですね。モンウスカバナミシャクかなと思ったのですが、よくは分かりません。さぁ、甲虫の名前を調べないと・・・。

雑談)今日はドライブがてら六甲高山植物園に行ってみようと思って、箕面とどろみICから初めて新名神に乗ってみました。道が綺麗で、車も少なく、とても気持ちよく走れました。神戸JCTから宝塚側に戻り、西宮山口JCTから阪神高速に乗るつもりだったのに、JCTが見つかりません。いつの間にか宝塚に着いたので、植物園を諦めて高速を降り、結局、川西で昼食をとりました。ずいぶん、遠回りな昼食になってしまいましたね。後で地図を見ると、西宮山口JCTは下りだけにあるのですね。

虫を調べる ムネスジノミゾウムシ

3月24日に見たゾウムシを調べてみました。



こんなゾウムシです。後脚腿節が太いのでノミゾウムシの仲間です。上翅基部に白い紋があり、前胸背板に白い毛の2列があるのでムネスジノミゾウムシかなと思ったのですが、一応、検索表で調べておこうと思って「原色日本甲虫図鑑IV」で調べてみました。その結果、やはりムネスジノミゾウムシになったのですが、検索の過程を残しておこうと思って書きました。



これはノミゾウムシ族の属の検索表とRhynchaenus属の種の検索表を合わせたものですが、全部で10項目を調べればよいことになります。これをいつものように部位別に見ていきたいと思います。



最初は横からの写真です。体長は2.4mmで、⑥と⑩の範囲内に入っています。①と⑦はこの写真で分かると思います。



次は背側からです。灰色毛の分布についてですが、検索表に書いてあることは何となく理解できます。



触角は「くの字」に曲がり、また、口吻から出ていることが分かると思います。



前胸背板の縦条が何となく見えます。たぶん、これのことかなと思いました。



よく見ると白い鱗状の毛の他に黒褐色の細い毛が生えていることが分かります。



後脚脛節の腹側部分です。扁平な部分が基部から半分以上伸びていて、その中心に1列の刺毛列が見えます。



これは前脚脛節末端の刺状突起(黒矢印)を写したものです。ということで、一応、図鑑に載っている検索表の項目はすべてクリアしました。「日本列島の甲虫全種目録」によると、属名が変化していました。たぶん、近似種が多いと思うので、どこまでこの検索表が使えるか分からないのですが、とりあえず記録として残しておきます。

ついでに検索には使わなかった写真です。



腹側からの写真です。



触角を写したものです。



上翅の基部にある白斑を写したものです。こんな幅の広い毛によって紋が作られているのですね。

廊下のむし探検 オナシカワゲラ、オドリバエほか

廊下のむし探検 第992弾

昨日、マンションの廊下で見つけた虫の続きです。







こんなオナシカワゲラが何匹かいました。オナシカワゲラは翅脈にX型の部分があるので分かりやすいです(こちらをご覧ください)。「淡水ベントス研究所」のリストを見ると、日本産オナシカワゲラ科はNemoura属だけで、多くの未記載種のいる解明度の低い属のようです。





オドリバエは朝も見たRhamphomyia属の♂のようです。





こちらは♀の方。Rhamphomyia属は亜属の検索表がないので、♂の交尾器を比較するしかありません。捕まえたら分かるかな(追記2018/03/26:たぶん、以前から見ている種と同じ?)。





これはクロバネキノコバエの仲間。これも属くらいは調べてみたいですね。(追記2018/03/26:「日本昆虫目録第8巻」(2014)によると、21属113種。かなり手強いかも



こちらはニセケバエの仲間。(追記2018/03/26:「日本昆虫目録第8巻」(2014)によると、5属6種。やけに少ないのですが、以前コメントをいただいたように未記載種が山のようにいるかもしれません



これはタマバエの仲間。(追記2018/03/26:「日本昆虫目録第8巻」(2014)によると、こちらは85属281種



これは何だろうと思ったのですが、以前、こんな格好でタマバエだったことがあったので、MNDで翅脈を調べてみました。



こんな翅脈です。R5脈?がぐにゃっと曲がっているところを手掛かりにMNDを探すとCatotricha属という名前が出てきました。この属はLestremiinae亜科Catotrichini族に入っています。いつも使っているYukawa(1971)によると、日本産Lestremiinae亜科Catotrichini族はこの属だけなので、族の検索表で確かめられます。また、この属にはC. nipponensisとC. antennataの2種が載っていますが、実物を見ていないということで検索表は載っていません。さらに、Jaschhof(2000)によると、Catotricha属はCatotrichinae亜科に入り、C. antennataはC. nipponensisのシノニムということになっていて、C. nipponensisの再記載がなされていました。「日本昆虫目録第8巻」(2014)にもCatotricha属はCatotrichinae亜科に属し、C. nipponensis1種だけが出ています。もし、翅脈から判断した通りなら、この種の可能性があります。それで、Yukawa(1971)とMNDに載っている検索表で属の検索を試してみると比較的容易にCatotricha属にはなりそうです。採集したので、今度詳しく調べてみたいと思います。(追記2018/04/21:その後、検索をしてみました。その結果、予想通り、Catotricha属であることが分かりました。「日本昆虫目録第8巻」(2014)によると、Catotricha属はCatotrichinae亜科に入っていて、nipponensisのみが記録されています。ひょっとすると、これかもしれません。詳細はこちらこちら

J. Yukawa, "A Revision of the Japanse Gall Midges : Diptera : Cecidomyiidae", Memoirs of the Faculty of Agriculture, Kagoshima University 8, 1 (1971).(ここからダウンロードできます)
M. Jaschhof, "Catotrichinae Subfam. N.: a Re-examination of Higher Classification in Gall Midges (Diptera: Cecidomyiidae)", Entomol. Sci. 3, 639 (2000). (ここからダウンロードできます)



このハエはイエバエかなと思って採集しました。今度検索してみます。



後は甲虫です。これはこの間調べたケシキスイ科のEpuraea属かなと思われる種です。尾節板の先端に切れ込みがあるように写っています。採集すればよかったかな。



これは採集して先ほど「原色日本甲虫図鑑IV」に載っている検索表で調べてみました。たぶん、ムネスジノミゾウムシではないかと思います。図鑑には学名がRhynchaenus takabayashiiになっていますが、「日本列島の甲虫全種目録」によると、Orchestres (O.) amurensisになっていました。これも今度調べてみます。(追記2018/04/21:その後、「日本昆虫図鑑IV」に載っている検索表で調べてみましたが、予想通り、ムネスジノミゾウムシになりました。たぶん、近似種が多いと思うので、どこまでこの検索表が使えるか分からないのですが、とりあえず記録として残しておきました。詳細はこちら





それにアカホソアリモドキ。これはこの間から何度か見ています。



最後はカゲロウです。尾が2本なのでヒラタカゲロウ科だと思います。翅が半透明なので亜成虫、眼が小さいので♀みたいです。記録を見ると、これまで何度か見ていますが、名前が分かりません。

家の近くのむし探検 虫と公園の花

家の近くのむし探検 第361弾

今日は晴れて暖かったので、午前中に家の近くの公園に行ってみました。午後からはマンションの廊下も歩いてみました。まずは午前中の分から。





これは公園に行く前にマンションの廊下で見つけました。オドリバエ科の♀ですね。これだけの写真があると、「双翅目(ハエ目)昆虫の検索システムに関する研究」という三枝豊平氏の絵解き検索表(ここからダウンロードできます)で検索することができます。詳細は省略しますが、Rhamphomyia属になりました。



公園に行く途中で今度はこんなカメムシを見つけました。脚がガタガタしているのでヤニサシガメで、たぶん、5齢幼虫。



公園を2周ほど見て回ったのですが、やはり虫はほとんど見つかりません。やっとシラカシの幹でカシノアカカイガラムシを何匹か見つけました。いつもなら4月になってから見つかるのですが、今年は少し早いのかな。



もう少し探していたら、ユリノキの幹にヨコヅナサシガメの幼虫もいました。



その傍にはハエもいました。これは採集しませんでした。イエバエなのかな。



ツツジの植栽の中を覗いてみると、こんなカマキリの卵がありました。大きかったのでオオカマキリの卵かな。



公園の街路灯にはいつものようにトビムシが登っていました。以前、調べたことがあったのですが(こちらこちら)、マルトビムシ科ヘラマルトビムシ属 Spatulosminthurusのキノボリマルトビムシか、ニッポンマルトビムシかどちらかというところで止まっています。

伊藤良作ほか、「日本産ミジントビムシ亜目およびマルトビムシ亜目(六脚亜門:内顎綱:トビムシ目)の分類」、Edaphologia 91, 99 (2012). (ここからダウンロードできます)

この論文に載っている種の説明を読むと、キノボリはニッポンのシノニムという意見もあるが、触角後毛と主爪・副爪の形態、茎節前面の毛の配列で区別されるということです。また、キノボリは冬季に樹上生活を送るとのことでした。もう一度、調べてみる価値があるかもしれません。





公園でちょっと運動をしてから昼前に帰ってきました。マンションの渡り廊下にこんなハナバチが止まっていました。



これは翅脈の縁室後方の翅脈(黒矢印)を見ると、ヒメハナバチ科チビヒメハナバチ属であることが分かります。この属にはチビヒメハナバチ1種なのでこれで決まりです。ただ、撮影したときにはよく分からず、後で調べようと思って殺虫管に入れておきました。午後からマンションの廊下を歩いた時、一緒に入れておいた吸虫管を取り出そうとして殺虫管を床に落としてしまい、粉々になってしまいました。高かったのに・・・。ちょっとショックです。これからはプラスチック製のものにしようかなぁ。



最後の虫は廊下で見つけました。翅が半分くらいあります。たぶん、以前見たハナムグリハネカクシの仲間 Eusphalerum属だと思われます。「日本列島の甲虫全種目録」によると、この属はヨツメハネカクシ亜科Euspharerim族に入っていて、日本産は55種。そのうち本州産は39種。種まではまだまだ大変です。ただ、"Keys for the identification of British Staphylinidae"に載っている検索表で、亜科まではたどり着くことができました。採集したので、今度詳しく調べてみます。

ついでに公園で見た花も。





ラベルにはモクレンとなっていました。ぼちぼち開きそうな感じです。





こちらはハクモクレン





スモモも咲き始めていました。でも、サクラはまだまだみたいです。

虫を調べる ケシキスイ科Epuraea属?

この間から苦戦していた甲虫の属が分かったような気がしました。まだ、確かというわけではないのですが、とりあえずまとめてみました。



調べたのはこんな甲虫です。3月15日にマンションの廊下で数匹見つけたので何匹か採集しました。調べたのがこの写真の個体かどうか分からないのですが、たぶん、同じ種ではないかと思っています。触角の先端が太いとか、前胸背板の形とか、腹部末端の尾節板が少し見えているとか、ケシキスイ科の特徴によく合うので、おそらくケシキスイ科だろうと思って、「原色日本甲虫図鑑III」に載っている属の検索表で調べてみました。その結果、ケシキスイ亜科NitidulinaeのEpuraea属になりました。図鑑の写真を見てEupraea属かなと思っていたので、ちょっと強引に結び付けたところがあってあまり確かではないのですけど・・・。なお、「日本列島の甲虫全種目録」によると、この属はヒラタケシキスイ亜科 Epuraeinaeに入っていますが、とりあえずこのままの検索表で調べてみました。その結果をまとめると次のようになります。



全部で16項目を調べるとEpuraea属であることが確かめられます。これから、写真で調べていこうと思うのですが、赤字は調べられなかった項目です。だいたいはほかの項目で補完できるので大丈夫だろうと思いますけど・・・。それではいつものように部位別に写真で見ていきたいと思います。



まずは全体像です。体長は2.3mm。結構小さな甲虫です。この写真からは体全体に毛が生えているという⑥、上翅背面の毛と点刻が列をなしていないという⑩を確かめます。



次は腹側からの写真です。各部の詳細については後で出てきます。



次は頭部です。まず、上唇と頭盾が分離されているという④は確かみたいです。⑬と⑭もこの写真から見る限り大丈夫だと思われます。



次は口器のあたりの写真です。①は「小顎は外葉を欠く」という内容です。小顎髭は矢印で示した部分ですが、それが生えている基部が小顎だと思われます。ただ、どれがどれなのかよく分かりません。触角溝は静止時に触角を収めておく溝ですが、たぶん、この矢印の部分の凹みだと思われます。下が後方なので、後方で近寄っているのはその通りです。



次は触角です。節数を数えてみると11節でした。これは「原色日本甲虫図鑑III」に載っている科の説明とあっています。先端の大きくなった部分を球桿と呼びますが、①と⑫は書いてある通りだと思います。次の⑯については、第2節が明らかに第3節の1/2より大きいので大丈夫でしょう。



⑪は適当な写真がなかったのですが、この写真でも背面の隆起が弱いことが分かると思います。



次は前胸腹板の写真ですが、実はここが苦戦となった場所です。この写真をぱっと見て前基節窩の後方が開いていると思ったのが間違いのもとでした。検索表でそちらを選択するとおよそ違う属に行き着きます。この間はここで詰まってしまいました。昨日はもう少し詳しく調べてみようと思って次の写真を撮りました。



この写真を見ると前基節の後方には前胸側板が細長く伸びていて、下の部分を完全に覆っています。つまり、前基節は後方には閉じていることになります。これで④と⑦はOKになりました。⑪と⑮の前胸腹板突起は矢印の部分ですが、その先端は下に曲がって、前胸側板の先端と重なっています。たぶん、⑪と⑮もOKだと思います。



この⑤もはっきりとはしないのですが、たぶん、鋭い腿節線というのはないのだと思います。



次は尾節板についてですが、この矢印の部分が尾節板だと思いますが、少しだけ露出しています。⑨は尾節板の基部が見えないのでギブアップしようと思ったのですが、先ほど、翅を上から押して少し広げて撮影しました。ちょっと押すだけで広がるんですね。



これを見る限り、凹陥らしきものはありません。検索表の対抗する選択肢では尾節板基部に8個の小凹陥が1列に並ぶということになっています。たぶん、ないのだろうと思います。それで⑨もOKです。



次は中・後脛節背面の写真です。白矢印で示すように稜線が2本あります。中央には毛列があります。



最後は⑧の前跗節についてです。写真を撮ってみたのですが、構造がややこしくてよく分かりません。それで、透過照明で撮り直してみました。



これは前脚跗節と後脚跗節を比較したものですが、こうやって比較すると前脚跗節の方が広がっていることが分かります。それで⑧もOKです。ついでに「原色日本甲虫図鑑I」に載っている絵を参考にして跗節の節数も数えてみました。5節はありそうです。後跗節はなんだか分からないのですが・・・。



これは跗節を裏側から撮ったものです。粘着部分が綺麗に写っています。こちらで比較しても前跗節が広がっていることが分かります。



あまりに綺麗なので40倍の対物を使って写してみました。これは蛇足でした。ということで、すべての項目を確かめたので、たぶん、Epuraea属でよいのではと思っています。「日本列島の甲虫全種目録」によると、この属には7亜属55種が記録されていてかなりしんどい属です。ここからは情報がなくて調べられません。

ついでに撮った写真です。





これは上翅の拡大です。網目のような構造があるのに気が付き、面白いので撮ってみました。

廊下のむし探検 甲虫が多い

廊下のむし探検 第991弾

3月15日は午前中に公園に行き、午後からマンションの廊下を歩いてみました。公園ではほとんど虫が見つからなかったのですが、廊下はいっぱいいました。特に小さな甲虫が多かったです。



これは小さなゾウムシです。後脚腿節が太いのでノミゾウムシの仲間だと思われます。それで、「原色日本甲虫図鑑IV」を見ていくと、何となくウスモンノミゾウムシ Rhynchoenus variegatusに似ている感じです。図鑑には検索表も載っていたので、採集すればよかったですね。「日本列島の甲虫全種目録」を見てみると、この種はゾウムシ亜科のOrchestes (O.) variegatusと属名が変わっていました。



これも変わった虫ですが、一応、採集しました。図鑑を見てみると、コキノコムシ科みたいです。属の検索表を見てみると、触角で判断する限りはコキノコムシ属Mycetophagusのようです。先ほどの全種目録を見ると、Mycetophagus属は4亜属13種が載っています。まだまだ先が長いようです。





この日はこの手の甲虫がたくさんいました。体長は2.5mm程度で小さいのですが、触角に特徴があります。たぶん、ケシキスイ科だろうと思って、何匹か採集しました。今日は「原色日本甲虫図鑑III」に載っている検索表で属の検索を試みたのですが、ケシキスイ亜科Nitidulinaeには到達するのですが、それから先がどうしてもうまくいきません。図鑑の絵合わせではEpuraea属ではないかと思うのですが、前基節窩の後方が開いているので、検索表ではそこで躓いてしまいます。外国の検索表も試してみたのですが、それではEpuraea属になります。何が問題なのかが分かりません。ネガティブな結果なのですが、顕微鏡写真は撮ったのでそのうちまとめて出したいと思います。



これもケシキスイ科だと思われます。これはたぶん、デオキスイ属Carpophilusだと思うのですが、まだ、調べていません。





このアカホソアリモドキも3匹いました。



ちょっと変わったところではこんな形の虫がいました。これはナガキクイムシ科です。図鑑の絵合わせではヨシブエナガキクイムシ Platypus calamus♂に似ている感じです。採集してから冷凍庫に入れ、2日後に検索をしようと取り出して顕微鏡で見ていたら、そのうち、脚がもそもそ動き始めました。-20度2日間なんて平気なようです。それで、もう一度冷凍庫に入れておきました。今度、検索してみます。(追記2018/11/23:検索をしてみました。予想通り、ヨシブエナガキクイムシ♂で間違いありませんでした。詳細はこちら





黄色の紋があるのでエゾハサミムシだろうと思います。体長を測ってみると、11.1mmでした。



こちらはオナシカワゲラの仲間。前翅長は8.2mm。これも調べてみたいとは思うのですが・・・。今度出る「日本産水生昆虫第二版」にはもう少し詳しい説明が載っているのだろうか。



蛾はこれだけ。シロテンエダシャクだと思います。



これはチャバネアオカメムシみたいです。越冬中はこんな薄い色なのかな。



ミツボシツチカメムシは3匹いました。





これは両方ともクロバネキノコバエの仲間かな。



残りはこんな毛虫。「原色日本蛾類幼虫図鑑」をパラパラ見ていると、ヨトウガ亜科とかクルマアツバ亜科とかに似ている感じですが、そこまででした。



最後はコハナグモ

雑談)今朝はアメリカからメールが来てちょっとびっくり。3日前に出したキクイムシの記事を見て、Cosmoderes attentuatusだと教えていただきました。ブログの記事をグーグル翻訳して読まれたそうです。フロリダ大でポスドクをされている方のようで、Cosmoderesの分子系統について研究しているようです。2009年に出された後藤氏のリストでは、1992年のWood氏の指摘を受けて、Pseudocosmoderes attenatusはC. monillicolisのシノニムだとされていたのですが、これは全くの別種で、現在ではC. attentuatusとなっているとのことです。外国の方もこのブログを見ていただいたのだと思ってちょっと興奮しました。

虫を調べる ダイコンナガスネトビハムシ?

3月15日にマンションの廊下で採集したハムシがいるのですが、どうやら昨年の12月8日のブログにナトビハムシかもとして出した種とよく似ています。この時は若干の疑問があったのですが、ナトビハムシ Psylliodes punctifronsだとしました。今回、採集した個体でもう一度調べ直したのですが、ナトビハムシではなくてダイコンナガスネトビハムシ P. subrugosaではないかと思うようになりました。それで、もう一度、出すことにしました。



今回は生態写真がないので、こんな写真があるだけなのですが・・・。体長は2.4mmでした。まず、亜科と属の検索を行います。検索にはいつもの図鑑を用いました。

木元新作、滝沢春雄、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」、東海大学出版会 (1994).

属までは比較的簡単でノミハムシ亜科のPsylliodes属になりました。その過程をいつものように写真で見ていきたいと思います。



この5項目を調べればよいだけです。今回は検索の順に見ていきます。



まず、頭部は見たところ正常です。それで①はOKとしました。



この写真では触角挿入部が顔の前半部にあって左右の挿入部が近くに位置するということですが、これについては以前も書いたことがあります。前半部は良いのですが、近くかどうかははっきりしません。そのときは、Mike's insect keysというサイトに書いてあったように、「触角第1節の長さ程度あるいはそれ以下に接近していると、触角基部が接近していると判断してもよい」というルールで考えると、この写真の場合は近くに位置するとしてよいでしょう。



③は後脚腿節が肥大していることですが、写真を見るとすぐに分かります。モーリック器官は腿節の内部にある器官です。



これは腹側から見た写真ですが、前胸腹板突起の幅が広いので前肢基節窩は左右に離れています。



最後は触角の節数です。写真で見るように10節です。これが決定的で、このことからPsylliodes属であることがすぐに分かります。

次は種の検索です。種の検索には以前も用いた、次の論文に載っている検索表を用いました。

H. Takizawa, "A Revision of the Genus Psylliodes Latreille in Japan (Chrysomelidae: Alticinae)", Insecta Matsumurana 62, 175 (2005). (こちらからダウンロードできます)

今回の検索ではナトビハムシ P. punctifronsではなくて、ダイコンナガスネトビハムシ P. subrugosaになったのですが、その近傍も含めて訳してみました。



前回はⒸのところで迷ってしまいました。つまり上翅側片が粒状か、平滑かという点です。今回はこの辺りを詳しく調べてみました。ただ、写真は以前に撮った方がうまく撮れていました。どうしてなのかな。subrugosaに至るにはⒶ→Ⓑb→Ⓒb→Ⓓb→Ⓔb→Ⓕaの順に調べていきます。項目が多いので今回は部位別に見ていきます。



先ほども出た写真ですが、前胸背板が丸くなくて平坦であることを見ます。この辺りは相対的なので何とも言えないのでしょうけど。



Ⓐの上唇の形についてはその通りみたいです。Ⓑは前頭隆起と写真に示した部分についてですが、この後方(黄矢印で示した部分)に深い溝があるかどうかです。この場合は溝がないのでⒷbの方を選びます。Ⓔは頭頂に点刻があるかという項目ですが、浅いですが明瞭な点刻があります。それでⒺbを選びました。



前胸背板の側縁は矢印で示した部分だと思います。ほぼ直線的になっている感じがします。それでⒹbを選びました。



これは前胸背板ですが、細かい点刻についてはよく見えますが、点刻と点刻の間の顆粒状というのやや見えにくいのでもう少し拡大しました。



皺のような鱗のような構造が見えますが、これを顆粒状というのではと思いました。これは以前写した写真の方がよく見えました。たぶん、ⒻbはOKだと思います。



そして、問題の上翅側片です。上が翅の基部近く、下は末端近くです。木元氏の本に載っている検索表ではナトビハムシに対抗する選択肢が「上翅側片は平滑、やや隆起し、剛毛を欠く」となっていました。見ると、平滑なのですが、剛毛が疎らに生えています。もう一方の選択肢が「剛毛を欠く」となっているので、やむを得ずナトビハムシにしたのですが、疑問が残りました。Takizawa氏の検索表ではもう一方の選択肢が「平滑」とだけなっていました。この写真を見ると、どうみても顆粒状ではなくて平滑なので、Ⓒbを選ぶことにしました。



次は後脚脛節の写真です。第1跗節の取り付け部が先端側となっていますが、これも比較の問題です。この場合は対抗する選択肢が中ほどになっているので、この写真のようなときは先端側になります。



これは腹部末端です。黄矢印で示したように末端節の中央部付近が大きく凹んでいます。これは♂の性質なので、たぶん、この個体は♂なのでしょう。これで、すべての項目をクリアしたので、一応、ダイコンナガスネトビハムシ P. subrugosaになりました。

Takizawa氏の論文にはダイコンナガスネトビハムシの特徴も載っていたのでそれも訳してみました。



㋐から㋚までの項目なのですが、ほとんどは今まで見た写真で確かめることができます。㋖については次の写真で確かめられます。



ご覧に様に跗節第1節は膨らんでいます。ということで、たぶん、ナトビハムシではなく、ダイコンナガスネトビハムシでよいのではと思っています。おそらく、前回見たのが♀、今回は♂ではないかと思われます。合っているとよいのですが・・・。

家の近くのむし探検 甲虫、カメムシなど

家の近くのむし探検 第360弾

3月15日の午前中に家の近くの公園に行ってきました。でも、虫はまだほとんど見られません。それで、午後からはマンションの廊下も歩いてみました。こちらは小さな虫がたくさんいました。とりあえず、午前中に見た虫から。



まずはマンションの入り口にある渡り廊下から。ここは飛んできた虫にとってちょっとした休憩所になっているのか、意外に虫がいます。小さいのが多いのですが・・・。これはたぶん、ケシキスイの仲間だと思うのですが、こんな写真しかなくてよく分かりません。



こちらはミツボシツチカメムシ。午後からは何匹か見ました。



ノミハムシの仲間です。この日、ハムシを捕まえていたので、てっきりこのハムシとばかり思って今日は検索をしていたのですが、後で見てみると上翅の点刻の様子がまるで違いました。きっとこれは採集していなかったのでしょうね。とすると、今、検索しているのはどれだろう。



それにコハナグモ



それにいつも見ているサトオオトガリキジラミ



公園に着いてから木の幹を見てみました。アリが結構たくさん登っていました。これはトビイロシワアリかな。



ツツジの葉上にはこんな小さな虫がくっついていました。ネットで探してみると、クロヒラタヨコバイの幼虫によく似ています。これかな。



このハチは2m-cu脈があって、Rs+M脈がないのでヒメバチ科だと思うのですが、亜科などはさっぱり分かりません。実はこの日は途中で知人に会い、道端でだいぶ長話をしてしまいました。それで、公園での虫探しはちょっとだけでした。

虫を調べる キクイムシ(その二)

今回は前回とは別種のキクイムシを調べてみました。



対象としたのはこんなキクイムシで1月18日にマンションの廊下で見つけたものです。触角の先端が丸いところと、前胸背板に細かな突起があるところが気になります。検索表には以前と同じ、次の論文の検索表を用いました。

A. Nobuchi, "Studies of Scolytidae IX (Coleoptera) Key to the Subfamilies, Tribes and Genera of Japan", Bull. Gov. For. Exp. Sta. 238, 149 (1971). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

検索をしてみると、前回はHylesininae亜科になったのですが、今回はIpinae亜科になりました。その後、族の検索ではCryphalini、さらに、属の検索ではCosmoderesになりました。それぞれの検索過程が短かったので、一気に調べていきたいと思います。



全部でこの6項目を調べればよいのですが、⑤がやや怪しかったので、もう一つの選択肢も書いておきました。これを写真で調べていきたいと思います。いつものように検索の順ではなくて、部位別に見ていきます。



まずは全体像です。体長は2.1mmでした。左側の丸い部分全体が前胸背板になります。この写真ではその前胸背板の基半部(黒矢印)の部分が凹んでいないこと、黄矢印の部分に孔の空いていないことを見ます。



今度は横からです。頭部が下側についているので、上から見ると頭部が見えません。これが③です。②は側縁の縁取りがないのですが、どちらでもよいみたいです。



次は頭部の写真です。前胸背板が凸凹しているのはよく分かります。それで、③はたぶんOKです。④は複眼が二分するかどうかですが、触角が邪魔をしてよくは分かりません。ただ、おそらく二分はしてないと思われます。複眼の中ほどに触角柄節に沿ってちょっと切目のようなものが見えますが・・・。また、触角の付け根で複眼が少しえぐられていますが、深くえぐられてはいないので、④はOKにしました。



④と⑥はこの写真で分かると思います。④では球桿部に溝か刺毛列があるように書かれているのですが、⑥には「欠く」と書かれているので大丈夫だと思います。



maxillary lobesがどれかいつもどれか分からないのですが、論文に出ている絵を参考にして今日は各部に名称を付けてみました。たぶん、小顎に出ている毛のことを言っているのだろうと思うのですが、よくは分かりません。たぶん、解剖が必要?



これは前胸背板と上翅の基部を写したものです。③については、この間調べたキクイムシではこれとは違う選択肢を選んだのですが、今回は特に異常が見られません。⑤aはやや怪しいとして⑤bの選択肢も書いたのですが、ここで見る大きな起伏についてはたぶん大丈夫だと思います。変わった構造ですね。黄矢印の部分が頂点だと思うのですが、それほど明確な頂点ではなさそうです。



⑤aで迷ったのは上翅に生えているという「鱗状」の毛でした。



拡大してみました。鱗状とは思えないのですが、普通の毛とはちょっと違っています。⑤aの最初の項目があっていそうなので、たぶん、大丈夫だと思いますが・・・。



次は前脚脛節についてです。この背側に歯状の突起が並んでいるのですが、上からの照明で撮ると綺麗に写るのですが、毛が邪魔で突起についてはよく分かりません。



それで、下側に白くて光を拡散する板を置いて透過光を増すように撮ってみました。突起列がよく見えるようになりました。①はたぶんOKでしょう。②については8本程度の突起列が見えています。また、先端の突起(黒矢印②)はまっすぐ向いているのでOKでしょう。これですべての項目がチェックできたので、たぶん、Cosmoderes属でよいのではと思っています。

ついでに撮った写真も載せておきます。



前脚脛節と中脚脛節が一緒に撮れたので載せておきます。中脚脛節には突起列が見えませんね。



これは腹側からの写真です。



それに口のあたりの拡大です。

次の論文によると、日本産のCosmoderes属にはC. consobrinus ホソコキクイムシとC. monilicollis  ツルノコキクイムシの2種が載っています。

後藤秀章、「日本産キクイムシ類分類学研究の歴史と種のリスト」、日林誌 91, 479 (2009). (ここからダウンロードできます)

このうち、ツルノコキクイムシは野淵輝氏が1981年が新属新種 Pseudocosmoderes attenatusとして記載しました。

A. Nobuchi, "Studies on Scolytidae (Coleoptera) XXI. Three New Genera and Species from Japan", Kontyu, Tokyo 49, 12 (1981). (ここからダウンロードできます)

その後、Woodが1992年にこの種がCosmoderes monilicollisのシノニムだという主張を載せました。理由はあまり書かれていないのですが・・・。

S. L. Wood, "Nomenclatural changes and new species in Platypodidae and Scolyidae (Coleoptera), Part II", Great Basin Naturalist 52, 78 (1992).(ここからダウンロードできます)

ということで、今のところ、Cosmoderes属のどちらの種かは分かっていないのですが、記載論文をもう少し詳しく読んで調べてみたいと思っています。ただ、野淵氏の論文には触角中間節が4節になっていて、4節目が球桿部に隠れているように描かれているのが気になりました。

追記2018/03/21:アメリカのフロリダ大学のAndrew Johnson氏から、この個体はCosmoderes attentuatusだというコメントをいただきました。C. consobrinusは体がそれほど長くなく、後胸腹板に羽毛状の毛が生えているそうです。また、C. monillicolisのsynonymであるというWoodの主張は現在では認められていなくて、C. attentuatusがaccepted nameになっているそうです。貴重なコメントをどうも有難うございました

廊下のむし探検 クモ、甲虫、ハエ

廊下のむし探検 第990弾

昨日の続きで、13日にマンションの廊下で虫探しをした結果です。昨日は蛾とカワゲラを出したので、今日はそれ以外の虫たちです。この日は甲虫が結構いました。でも、小さいのが多くて名前調べは大変。



まずはこんなクモです。雰囲気的にエビグモですが、「日本のクモ」を見ても同じようなクモは載っていません。それで、ネットを探していると、「クモ画像集」にキンイロエビグモの越冬幼体として出されている写真が似ている感じです。でも、確かめようがないのですね。



次はこの甲虫です。後脚腿節が太いので、ノミゾウムシの仲間みたいです。上翅会合部基部近くにある白い縦筋の模様が目立ちます。「原色日本甲虫図鑑IV」を見ていると、同じような模様があるのはOrchestoidesとRhynchaenusが該当します。共に、ノミゾウムシ族です。この図鑑には検索表が載っているので調べてみると、どうも前者は違うようです。それで、後者の中から、ムネスジノミゾウムシ R. takabayashiiを候補にしてみました。検索表によると、次の各項目を確かめればよいようです。



全部で9項目あるのですが、この写真だけだと赤字で書いた部分しか分かりません。一応、その部分を図示すると次のようになります。



でも、写真では分からないところだらけではっきりとはしませんね。ゾウムシは分かりそうにないと思って採集しなかったと思うので、ちょっと残念です。この間からお世話になっている「日本列島の甲虫全種目録 (2017年)」によると、ムネスジノミゾウムシの学名はOrchestes (Orchestes) amurensisとなっていました。ただ、同じ亜属には21種載っていて、そのうち「原色日本甲虫図鑑IV」には14種しか載っていないので、種まで調べるのはまだまだ大変そうです。



これはキスジノミハムシだと思います。似た種もあるのですが、黄色の筋の内縁がほぼ直線的だとホソキスジノミハムシ、後翅腿節を除いて脚の色が赤褐色だとチュウジョウキスジノミハムシだそうです。これはキスジノミハムシでよいのではと思いました。



これはナナホシテントウ



これはキクイムシ。1月16日に見たキクイムシに似ているかなと思ったのですが、上翅点刻がはっきりしていて、触角球桿部が細長いので違うかもしれません。1月16日に見た種はその後検索をして、Ipinae亜科Cryphalini族Cosmoderes属かもというところまで達しました。今回も採集したので今日にでも調べてみます。さて、何でしょう。(追記2018/3/17:顕微鏡で見てみると検索するまでもなく、1月16日に見たキクイムシと同じ種でした



こちらはマツトビゾウムシ



廊下の壁を静かに降りていたのですが、その先にクモがいます。どうするかなぁと思って見ていたら、





ちゃんとよけて歩きました。複眼ってそんなに小さなものまで見えるのかなぁ。





次はハネカクシ。上翅に縦皺が入っていることと前胸背板の形からセスジハネカクシ亜科Osytelini族のシワバネセスジハネカクシAnotylus mimulusではないかと思いました。



これはアカホソアリモドキではないかと思います。これまで何度も見ました。



次はハエです。これはニセケバエの仲間。



これはキノコバエの仲間。



そして、クロバネキノコバエの仲間。



これは以前、簡単な検索をしてミギワバエ科だと思ったハエです。でも、だいぶ前なので合っているかどうか分かりません。それで、今回は採集してみました。小さいので検索も大変でしょうけど。



これはタマバエの仲間。





最後のこのハエは窓ガラスに止まっていました。フラッシュをたいたらこんなくっきりした写真になりました。はじめはヤドリバエかなと思ったのですが、ひょっとしたらイエバエかもと思って、「日本のイエバエ科」の図版を見ていったのですが、腹部と前胸背板の模様、脚の色が橙色のものは見つかりません。やはりヤドリバエ科だろうか。(追記2018/03/20:通りすがりさんから、「最後のハエは多分クロバエ科のウヅキイエバエモドキ。冬になるとクサギカメムシと同じくらい隙間から作業場に入り込んできます。」というコメントをいただきました。大きめのハエは科もほとんど合いませんね。検索では中副基節の毛列と後小盾板なので写真にもほとんど写らないし・・・。クロバエ科だと分かってから写真をよく見てみると、CuA+CuPが翅縁まで達している感じだし、外側のphがprsより外側にあるみたいだしと、ヒントはあったのですが・・・

廊下のむし探検 蛾とカワゲラ

廊下のむし探検 第989弾

今日は本当にくたびれました。右目の視力が落ちてから大学病院に通っているのですが、今日はやけに混んでいました。いつもすぐにやっていただける視力検査だけで1時間、その後の検査に2時間、後、診察まで30分と合計3時間半もかかってしまいました。結局、昼食を食べる間もなく、家に戻ってきました。一息入れてから、13日にマンションの廊下で見つけた虫の名前を調べ始めたのですが、まだ、半分も終わっていません。とりあえず、分かった蛾の名前と、調べても分かりそうにないカワゲラを出すことにします。



これはヒロバトガリエダシャクかな。過去の記録を見ると、3月中旬から5月中旬の間、見られていました。



やけに緑っぽいのですが、模様からはいつものウスベニスジナミシャクかなと思いました。



これはクロテンフユシャク。過去の記録では2月初旬から3月中旬に見ていました。



それにホソウスバフユシャク。こちらは2月下旬から3月中旬くらいまで。蛾はこのくらい。



次はカワゲラです。これはオナシカワゲラの仲間だと思います。



こちらもそうだろうと思うのですが、大きめだったので、以前見たフサオナシカワゲラの仲間かなと思いました。でも、捕まえないと分かりませんね。



これはいつも春に見るカワゲラです。最初、図鑑の絵合わせからヤマトヒメカワゲラかなと思ったのですが、その後、検索を試みても科すら分かりません。今年は何とか調べてみたいと思っています。といっても、まだ心の準備ができていないので、今回はパスです。残りは甲虫やハエなのですが、どれも難しくって・・・。

家の近くのむし探検 クモ、トビムシなど

家の近くのむし探検 第359弾

3月11日に家の近くの公園に行った後、マンションの廊下もちょっとだけ歩いてみました。特に何もいなかったのですが、記録のために載せておきます。



公園に行く途中の壁に止まっていました。ヤミイロカニグモでしょうね。



公園に着いて樹の幹を見ていたら、何となくクモっぽいのがいました。本当に保護色ですね。「日本のクモ」を見ていくと、キハダカニグモに似ている感じです。



公園の植栽のツツジの葉上も見てみたのですが、こんなササグモくらい。やはりまだ早いのかなぁ。



何か白い虫が飛んだと思って追いかけて撮ったら、こんな小さなユスリカでした。



いつもの街路灯の柱を見てみたら、やはりマルトビムシの仲間が登っていました。でも、虫はこのくらい。



帰りに街路樹の根元を見るとこんな黄色の花が咲いていました。ヒメリュウキンカだと思っていたのですが、今回は改めて図鑑を見てみました。「日本帰化植物写真図鑑第2巻」にヨーロッパ原産の帰化植物としてキクザキリュウキンカ Ranunculus ficariaの名前で出ていました。ただ、説明を読むとficaioidesとか、bulbiferという亜種があったり、小型タイプにヒメリュウキンカという名前を用いたらよいと書かれていたりとはっきりしません。それで、もうちょっと調べてみました。大場秀章編著の「植物分類表」(2009)を見ると、Ranunculus ficariaはFicaria vernaのシノニムのように書かれています。でも一方では、Ficaria属をRanunculus属の一部としてみる考え方もあるとも書かれています。

それで、今度は"Catalogue of Life"を見てみました。これによると、Ranunculus ficariaはFicaria verna ssp. vernaのシノニムで、ほかの亜種もそれぞれFicaria vernaの亜種になっていました。ということで、これに従うと、とりあえず、学名としてはFicaria vernaとしておいてよさそうですが、キクザキがssp. vernaに対する和名だとすると、何としたらよいのかよく分かりません。いつも虫の名前で悩まされるのですが、植物も同じですね。



マンションに戻ってから少し廊下を歩いてみました。これは小型のタマバチだろうと思います。先ほどのリュウキンカの花を撮ったときに絞りを開いて撮り、そのままで虫を撮影して、こんな失敗作になってしまいました。でも、採集したので、一応、載せておきます。



これはスズキクサカゲロウ



キノコバエの仲間。





これは両方ともタマバエ。



それにいつも見るシマバエ科のSteganopsis dichroa



それに最後はハネカクシです。今年はハネカクシも少し調べてみたいと思っていたので、「原色日本甲虫図鑑II」で調べてみました。上翅や前胸背板の形が何となくヨツメハネカクシの仲間に似ている感じです。「日本列島の甲虫全種目録 (2017年)」を見ると、ヨツメハネカクシはヨツメハネカクシ亜科の仲間です。どうやら単眼を持っているようです。採集すれば少しは分かるかもしれません。せめて亜科の検索表が欲しいのですが、文献をいくら探しても見つかりません。

五月山散策

今日は暖かくていい天気なので、午前中に近くの五月山に行ってみました。前回行ったのが2月14日だったので、ちょうど一か月ぶりです。五月山は池田市にある標高300mくらいの低い山並みです。いくつものハイキングコースが整備されているのでのんびりと歩くことができます。今日はいつものように駐車場に車を置いて、杉ケ谷コースを登り、自然とのふれあいコースを歩き、ひょうたん島コースを降りてきました。写真を撮りながらゆっくり歩いて1時間くらいの行程でした。



登り口にスミレが咲いているのを見つけました。やはりもう春ですね。タチツボスミレの仲間ですが、若い葉が長細いのでナガバノタチツボスミレかなと思いました。





歩き始めたらテングチョウがいっぱい飛び回っています。やはりもう春ですね。



稜線近くになって休んでおられる二人連れの前を「こんにちは」と言って通り過ぎようとしたら、「リスがいる」と言われるので見上げたら、細い木の枝の上でこんな格好のままじっとしているところを見つけました。逆光だったのと、手前の枝が邪魔してうまく撮れなかったのですが、とりあえず顔は見えました。ネットで調べると、眼の周りが白いとか、腹が白いというのでニホンリスみたいです。そのうち、だんだん見物客が増えてきたら、ちょこちょこと上の方に登っていってしまいました。





ずっと沢沿いの道だったので、稜線に着いたらこんな青空が見えました。



キタキチョウは2,3匹。



ムラサキシジミは何匹もいました。春がもうすぐそこまで来ていますね。

虫を調べる キクイムシ(続き)

先日からキクイムシを調べています。冷凍庫に2種類の大きさの異なるキクイムシが入っていたので、まず、大きな方から調べてみました。



調べたのは2月26日にマンションの廊下で見つけたこのキクイムシです。昨日は属の検索をして、Helesininae亜科Hylurgini族のTomicus属になりました。今日はその先の種の検索をしてみようと思います。まず、キクイムシ科の最近の種リストを調べてみました。次の論文に載っていました。

後藤秀章、「日本産キクイムシ類分類学研究の歴史と種のリスト」、日林誌 91, 479 (2009). (ここからダウンロードできます)

キクイムシは害虫なので、いろいろと調べられているようです。この中で、Tomicus属には3種載っていました。

minor マツノコキクイムシ
piniperda マツノキクイムシ
puellus キタマツノキクイムシ

この3種です。この3種の検索表については次の論文に載っていました。

野淵輝、「マツ類を加害するキクイムシについて」、林業試験場研究報告 第185号 (1966). (ここからダウンロードできます)

これを使って上の種を調べてみたいと思います。関係する部分を抜き出すと次のようになります。



この論文で扱っているのは「マツ類に寄生するキクイムシ類の検索表」なので、最初のⒶ~Ⓓは昨日の検索ともダブってしまうのですが、とりあえず調べていきます。今回は検索順に見ていきます。



まず、Ⓐは上から頭部が見えるかどうかで、昨日も見ましたが、ちゃんと上から頭が見えています。



Ⓑは複眼と触角についてです。この写真のように複眼は二分していません。また、触角の先端部(球桿部)には4節ほど見えています。ということで、Ⓑも大丈夫そうです。



Ⓒは上翅(鞘翅)の前縁部分についてです。この写真からは白矢印で示したように前縁が湾曲していることが分かります。



この写真では上翅前縁に小顆粒突起列があることが分かります。これでⒸもOKです。



次はⒹです。上翅に光沢があるというのは何となく分かります。列間部の剛毛は次の写真の方がよく分かると思います。最後の前胸背板は縦長か横長かという点ですが、一見、縦長のように見えるのですが、測ってみると3割ほど幅が広いことが分かりました。ということで、ⒹもOKそうです。次からは種の検索です。



Ⓔは上翅斜面部(上翅の末端部近くで翅が曲がっている部分)についてですが、まず、列間部にある小顆粒状突起と毛というのを上翅平面部で見てみました。これは前から上翅を写したものですが、毛は列状に生えていて、これが列間部だろうということが分かるのですが、小顆粒状突起というのがどれだか分かりません。



それで、後ろからも撮ってみました。毛の根元が皆少し膨れています。たぶん、これが小顆粒状突起だろうなと思いました。



もう少し広い部分で写してみました。確かに毛と小顆粒状突起が列状に並んでいます。これが列間部なのでしょう。上翅の前半部分を見る限り、第2列間部にも毛が生えています。斜面部はこの写真ではどの列も毛が見えません。



それで、斜めに撮った方が分かりやすいのかなと思って撮ってみました。そうすると、確かに各毛列はよく見えるようになりました。その中で第2列間部の毛列だけがありません。



さらに拡大してみました。見事に第2列間部には毛がなく、心持ち凹んでいるようにも見えます。また、毛は規則正しく列状に並んでいるようなので、検索表ではⒺb→Ⓕaと進み、マツノキクイムシ Tomicus piniperdaになりました。大きさも書かれている体長の範囲に入っています。合っているかどうか分からないのですが、何となく合っていそうな気がします。

ついでに昨日の検索で迷ったところを少し考えてみました。



昨日の検索表⑦で「前胸腹板の両側は上がらない」という項目があり、論文には絵も載っていました。でも、写真を見る限り、前胸腹板と背板を分ける溝みたいなものが見当たりません。それで、昨日はよく分からなかったのですが、写真をよく見てみると、前胸腹板には光沢があって毛が生えていません。これを手掛かりに腹板らしい部分を黄色の点線で囲ってみるとこの写真のようになります。たぶん、「上がらない」というのは黄矢印の部分まで伸びていないことを言っているのかなと思いました。



ついでのついでで、前脚と中脚脛節が並んでいる写真も撮っていたので載せておきます。形の違いがよく分かると思います。

ということで、キクイムシの検索で初めて種までたどり着きました。合っているかどうかは甚だ不安なのですが、上翅の毛列が書かれていることと合っているので、たぶん、大丈夫かなと思っています。上の論文によれば、マツノキクイムシはアカマツ、チョウセンゴヨウマツ、ゴヨウマツ、クロマツに寄生すると書かれていました。松の大害虫なのでしょうね。そういえば、私のマンションの近くにも松はたくさん生えているのですが、マツノキクイムシのほか、松と名の付く虫がいっぱいやってきます。マツヘリカメムシ、マツアトキハマキ、マツアワフキ、マツヒラタナガカメムシ、マツキボシゾウムシ、マツキリガ、マツコヒラタカメムシ、マツノゴマダラノメイガ、マツノヒゲボソカスミカメ、マツノマダラカミキリ、マツノシンマダラメイガ、マツノシラホシゾウムシ、マツトビカスミカメ、マツトビゾウムシ・・・。皆が皆、害虫とはいえないかもしれませんが、とにかく多いですね。

虫を調べる キクイムシ

このところコバチの検索ばかりしていたので、ちょっと変わったところをと思ってキクイムシを調べてみました。キクイムシには少し苦い思い出があります。以前も検索をしてみたのですが、あやふやなところが多くてそのときは挫折気味になったことがありました。今回は少しは検索にも慣れてきたかなと思って、もう一度挑戦してみることにしました。



調べたのはこのキクイムシで3月4日に2月26日にマンションの渡り廊下で見つけたものです。キクイムシだということは触角で分かります。いつも見る小さなものよりやや大きめのキクイムシでした。(追記2018/03/13:生態写真の方が間違っていました。3月4日に採集ではなく、2月26日でした。写真も取り替えておきます

検索は以前と同じで次の論文の検索表を用いました。

A. Nobuchi, "Studies of Scolytidae IX (Coleoptera) Key to the Subfamilies, Tribes and Genera of Japan", Bull. Gov. For. Exp. Sta. 238, 149 (1971). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

実際に検索をしてみると、前回のIpinae亜科ではなく、今回はHylesininae亜科になりました。さらに検索を進めていくと、Tomicus属になりそうなことが分かりました。素人なのであまり確かではないのですが、一応、写真で確かめていこうと思います。



Tomicus属になるにはこの10項目を確かめればよいのです。怪しいところも二、三あるのですが、とにかく見ていきたいと思います。いつものように部位別に見ていきます。



まずは全体像です。体長は4.1mmでした。いつも見るキクイムシが2mm程度なのでやや大きめのキクイムシでした。③は背側から見て頭部が見えるかという内容ですが、矢印で示したように少し見えています。これでOKです。



これは横から見たところです。確かに頭部は前に突き出ているので、上から見たら見えるはずです。



次は前脚脛節の写真です。①、②、④について見るところを矢印で示してみました。最後の外側先端角の突出については曲がった棘状の突出のある種があって、それに比べるとこの程度の突出は特に変わった突出ではないということになります。



次は口の部分です。①には額葉というのが載っているのですが、実は、どれのことだかよく分かりませんでした。でも、ほかの項目があるのでたぶん、大丈夫でしょう。



次は前胸背板についてです。これも①、③、⑧はたぶん、大丈夫でしょう。最後の⑩でちょっと引っかかりました。どう見ても横長ではないからです。四辺形というほどでもないし・・・。でも、これも他の項目がOKなのでたぶん大丈夫でしょう。



次は上翅についてです。この個体の顕著なところは③、⑦、⑩で示したように上翅の前縁が服の襟の部分のように前方に張り出しているところです。これで各項目はOKとなりました。



上翅の前縁部分を斜めから見ると鋸歯状になっていることが分かります。



これは複眼を写したものです。複眼の二分する種があるようですが、これは二分していません。



そして触角です。中間節は5節ありました。⑩もたぶんOKでしょう。



これは腹部を写したものです。前基節はかなり接近しています。たぶん、⑥はOKでしょう。⑦について前胸腹板がどこまでを指すのかがよく分かりませんでした。でも、⑦にはほかの項目もあるので、これもよいことにしましょう。



最後は中胸腹板と腹部の長さ比べですが、明らかに腹部の方が長いです。ということで、二、三分からなかったところもあったのですが、大体は確かめられたので、たぶん、Tomicus属でよいのではと思っています。これの種の検索は別の論文に載っているので、また、次回に回します。

今回は久しぶりにキクイムシの検索をしてみました。実は、3月4日1月18日にはもう一種を採集していたのですが、そちらもついでに調べてみました。結果はIpinae亜科になりました。これも何とか種までたどり着いたので、また今度載せることにします。(追記2018/03/13:日付をごちゃごちゃにしていました。上の検索は3月4日採集ではなくて2月26日、もう一種採集というのは1月18日で次の写真のものでした



虫を調べる コガネコバチ科(続き)

2日前に出したコバチの検索の続きで、今日は亜科の検索です。



対象はこんなハチで、体長は5.8mmです。2日前に「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表を使って調べてみたら、コガネコバチ科になりました。コガネコバチ科の亜科の検索は以前にも試みたことがあります。その時は次の本の検索表を使ったのですが、今回も同じ検索表で試してみました。

C. M. Yoshimoto, "The Families and Subfamilies of Canadian Chalcidoid Wasps (Hymenoptera: Chalcidoidea)", The Insects and Arachnids of Canada Part 12, (1984). (ここからダウンロードできます)

前回はPteromalinae亜科になったのですが、実は、今回も同じ亜科になってしまいました。それをまた写真で確かめていきたいと思います。



検索表は以前に出したものとまったく同じです。赤字は原文が間違っているのではないかと思って、訂正したところです。これを検索順ではなくて、部位別に調べていきたいと思います。



まずは背側からみた全体像です。ここでは金属光沢を持っていることを確かめます。特に、腹部が金属でできているみたいです。



次は頭部です。ここではⒷ、Ⓓ、Ⓔ、Ⓕ、Ⓗの5項目を調べます。主に触角挿入口の位置なのですが、特に問題になるところはなさそうです。



次は触角です。実は、これが難しかった・・・。節の区切りがよく分からないので、生物顕微鏡で2つに分けて拡大して撮りました。1、2節は問題ないのですが、環状節がいくつあるかがよく分かりません。20倍の対物鏡を使って撮ったのが右上にあるのですが、毛の生え方から3節はありそうだというところまででした。6~9節は区切りが見えてすぐに分かるのですが、10節と11節の区切りが見えません。たぶん、こう分かれるのだろうと思って番号を付けたのですが、はっきりとは分かりません。これを認めると全部で13節になり、ⒾはOKになります。ⓀもOKです。



次は胸部背面の写真です。ここにも3項目ありますが、これらはまず大丈夫でしょう。



次は胸部側面の写真です。prepectusは何と訳してよいのか分からないので原文のままですが、前胸背板とは離れています。したがって、ⒶはOKです。



次は翅脈です。ⒸはBrachyscelidiphaginae亜科を除外する項目なのですが、径室がないのでまず大丈夫だと思います。Ⓕも大丈夫そうです。



ここは若干問題がありました。中胸盾板にはnotaulus(複数はnotauli)という溝があります。これについては以前書いたことがありますが、この溝は間接飛翔筋の縦走筋と背腹筋を分ける甲の境目(分隔甲)になっているとのことです。これがtranscutal sutureという後方の溝に届くかどうかというのがⒼです。写真を見るとわずか手前で終わっています。従ってⒼを選んだのですが、なかなか微妙です。ちなみに、これに対抗する選択肢を選んでも同じPteromalinae亜科になりました。検索表がちゃんと考えられているようです。Ⓔについては黄矢印で示したように毛が生えていますが、列にはなっていません。それで、ⒺもOKです。



これは前伸腹節を写したものですが、気門は前縁に近くに位置しています。それでⒹもOKです。



これは腹部の写真です。三角形状というのは原文ではhigh triangleの訳なのですが、本の図によれば三角形を二つくっつけたような形で、この写真とはだいぶ違います。



腹部を拡大してみました。節に番号を振ってみたのですが、特に第1節が大きいということはありません。それでⒻはOKだと思いました。



最後は後脚脛節です。写真のように先端刺は1本でした。ということで、Pteromalinae亜科になりました。何度か見直したので、たぶん、大丈夫だと思いますが、Pteromalinaeは巨大な亜科で、全世界では314属もあり、属の検索は相当に大変です。ちょっと試みたのですが、まだ、目的地まで達していません。

検索に用いなかった写真も載せておきます。



10倍の対物鏡で頭部を撮ったらこんなに大きくなってしまいました。上の写真は5倍の対物鏡で撮ったものです。



頭部と胸部を側面から撮ったものです。



それから胸部側面の写真でした。

廊下のむし探検 虫いろいろ

廊下のむし探検 第988弾

今日は久しぶりに晴れたので、マンションの廊下を歩いてみました。午後から歩いたのですが、気温は8度。かなり寒く感じました。虫はいないかもと思ったのですが、少しはいました。



歩き始めてちっとも虫の姿を見ないので、ちょっとがっかりしていたら、やっと小さなハエを見つけました。たぶん、クロバネキノコバエの仲間。でも、冬の間だと写真を撮ろうが何しようがじっとしていたのですが、この日は写真1枚撮っただけで逃げてしまいました。



小さいユスリカはちょこちょこいるのですが、これは少し大きめでした。たぶん、エリユスリカ亜科かなと思います。ペアはできるだけ撮るようにしています。♀の特徴が分かるから・・・。



蛾もいました。キノカワガですね。たぶん、越冬組。



また、コバチがいました。一応、採集したのですが、先日調べたのと同じ種かもしれません。まだ、コガネコバチ科らしいというところまでしか分かっていませんが・・・。



タマバチもいました。見覚えがあるので、記録を調べてみると昨年の3月にも同じような個体を見ていました。この時は名前がまったく分からなかったのですが、今年は是非とも調べてみたいと思って採集しました。



これは先ほども見たクロバネキノコバエの仲間。





ノミバエがいました。また、いつものMegaseliaだろうと思って採集しなかったのですが、後でよく見ると、脛節に棘が生えています。これはノミバエ亜科ですね。この写真で検索してやろうと思って調べてみました。Rsが分岐しているところまでは見えるのですが、後脛節の氈毛列が写っていません。中胸側板の毛も分かりません。やはり採集しないと無理みたいです。



小さなハネカクシです。体長を測るとおよそ2.7mmです。「原色日本甲虫図鑑II」で調べるとハナムグリハネカクシの仲間 Eusphalerumに似ている感じです。一応、採集したので、文献が見つかれば検索してみたいなと思っています。



これはブチヒメヘリカメムシ



それにムラサキナガカメムシ



これも撮影してから採集しようと思っていたら、逃げられてしまいました。でも、以前、調べたことがありました。このときはショウジョウバエ科のScaptomyza属まで分かり、さらに種の検索をするとpallida(コフキヒメショウジョウバエ)になりました。でも、近縁にelmoi(ミナミコフキヒメショウジョウバエ)がいて、最終的には種までは分かりませんでした。採集できたらよかったですね。でも、春はみな結構機敏になっていて・・・。

雑談)今日はキクイムシの検索をしてみました。以前はだいぶ苦戦をしたのですが、今回はじっくりと検索表を見ていったら、何とか種までたどり着きました。少しは慣れてきたかな。

虫を調べる コガネコバチ科

このところ寒くて雨模様の日が続いているので、「廊下のむし探検」はちょっとお休みです。その代り、これまでに採集してきた虫を調べようと思って頑張っています。



今回はこのコバチです。3月4日にマンションの廊下で採集しました。コバチは種類が多くて、私は外形からは判断できなくて、仕方なく見つけたら採集していますが、検索も結構大変です。でも、最近は少し慣れてきたかなと思っています。これはこれまで見てきたコガネコバチ科かなと思って検索しました。検索には「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表を用いました。



先入観が入っているかもしれないので怪しいのですが、検索をしてみるとやはりコガネコバチ科になってしまいました。この検索表は1項目で1科ずつ除外していくので、こんなに調べないといけません。それでも、頑張って調べていこうと思います。



まずは全体像です。測ってみると、体長は5.6mmでした。この図からは①、④、⑤、⑫を何とか調べることができます。まず、①の前脚脛節は特に変わった様子は見られません。④と⑤は後脚についてですが、これも特に異常は見られません。⑫はいつも問題になります。特にこの写真を見ると、斜めの矢印で示した部分にかなり大きな段差があります。でも、これもマルハラコバチ科に対抗する項目なので比較してみないと分かりません。



この写真は以前調べたマルハラコバチ科ですが、これと比べると胸の厚みや段差はまだましな方なのかなと思いました。



次は前脚の写真で、跗節が5節あること、脛節距は長くて湾曲していることが分かります。



次は前翅翅脈です。かなり長く後前縁脈があり、径脈も発達しています。ということで、②と⑨はOKです。



これは頭部の写真ですが、③も⑥もOKでしょう。



頭部と胸部を背面から撮ったものです。⑥と⑧は同じことを片方は大きく、片方は小さくと矛盾した内容ですが、比較する相手が変化しているので、こんな書き方になっています。ともかく、3つとも大丈夫でしょう。



コバチの仲間には後脚が肥大する仲間が多いので、後脚を調べることは重要です。でも、後脚基節と前脚基節を一枚の写真で比較するのは意外に大変です。というのは、前脚基節が腹側にあるからです。それで、こんな写真になってしまいました。まぁ、たぶん、後脚基節が前脚基節に比べて3倍以上あることはないでしょう。



最後は胸部側面の写真で、中胸側板が一様に膨らんでいないことを確かめます。これはトビコバチ科とナガコバチ科を除外する項目です。この写真では、中胸側板は前側板と後側板に分かれてほぼ平面的で、中央部が少し凹んでいます。ということで、これも大丈夫でしょう。

ということで、今回もコガネコバチ科になりました。コガネコバチ科はこれまでも何度か調べています(例えば、こちらこちら)。検索表で調べていくと問題はなさそうなのですが、採集して調べるたびにコガネコバチ科になるので、どこか勘違いしているのかもしれません。とりあえず合っているとして、次は亜科の検索ですが、これも結構大変です。次回に回します。

虫を調べる チャバネヒメクロバエ(続き)

昨日、イエバエ科のチャバネヒメクロバエらしいハエの検索をしてみました。でも、うっかりして属の検索をするのを忘れてしまっていました。それで、今日は改めて属の検索です。



対象とするのは昨年の9月6日に採集したこのハエです。たぶん、チャバネヒメクロバエだろうと思っていたのですが、一度、ちゃんと検索をして、その記録も残しておこうと思ってやってみました。亜科と種の検索は昨日のブログを見ていただくとして、残りの属の検索です。



属の検索には「日本のイエバエ科」に載っている日本語版の検索表を用いました。検索してみると、予想通り、チャバネヒメクロバエの属するHydrotaea属になったのですが、その過程を書くと上のようになります。これを写真で調べていきたいと思います。今日は検索の順番通りに見ていきます。



Ⓐの下部鱗片は基覆弁のことで、これが幅広く基部が小盾板の側方まで伸びているのがMusca typeで、幅が狭く舌状で小盾板側方まで伸びていないのがPhaonia typeです。この写真の場合は舌状になっているので、Phaonia typeです。翅側板は上後側板のことで、これに毛が生えていないのは昨日の写真で確かめました。これでⒶはOKです。



顔面の拡大です。Ⓑはサシバエを分ける項目で、サシバエのような口吻構造をしていないのでⒷは明らかです。



この写真は後脚基節を背側の斜め前から撮ったものです。昨日、写真がうまく撮れなかったので、今回は気合を入れて撮り直しました。昨日紹介した大石氏の論文によると、Ⓒは黄矢印の部分に剛毛が生えているかどうかです。細かい毛は生えているのですが、剛毛は生えていないので、ⒸはOKです。



次は腹胸側板上の剛毛です。腹胸側板は下前側板のことです。ここに前後に1本ずつ剛毛が生えていました。ここにはよく3本生えていることが多くて、これを前と後ろに分けて、1+2とか、2+1とか書きます。これは2本なので、1+1となるのでしょう。後ろの剛毛は特に長くなっていました。



これは昨日もお見せした触角刺毛です。これを端刺というようです。よく見ると、ここに細かい毛が生えています。Ⓓはその長さについて言っているようです。測ったわけではないのですが、たぶん、ⒹはOKでしょう。



次は前脚の腿節です。Hydrotaea属は異質な2群を含み、一群は♂前脚腿節の腹面に強い歯状の突起があったり剛棘があったりします。もう一群はそんな構造がない代わりに、胸部・腹部が光沢のある青藍色です。このハエは♂でこのような構造がない代わりに光沢があります。よって後者の一群に入りますが、とにかくⒺはOKです。



次は翅脈です。亜前縁脈はScのことです。これが「ほぼ直線状」というのですが、写真を見ると曲がっています。これは中央部で波型のようにうねる種もあるので、それに比べると「ほぼ直線状」なのでしょう。これで無事にチャバネヒメクロバエの属するモモエグリイエバエ属 Hydrotaeaになりました。たぶん、この写真の個体はチャバネヒメクロバエ H. chalcogaster♂で間違いないと思います。「日本のイエバエ科」によると、近縁種として、H. ignavaとH. hirtitibiaがいるみたいですが、前者は♂後脛節が強く湾曲、後者は後腿節基部に棘がないなど、この個体とは特徴が違いました。

上の写真では「新訂原色昆虫大図鑑III」を見て、翅脈に名称をつけておきました。翅の後方と基部が見にくいので、その部分を拡大してみました。



CuA+CuPが翅縁まで達していないこと、A1の延長線とCuA+CuPの延長線が翅上では交わらないことなど、イエバエ科の特徴がよく出ています。



上の写真を見ると、R1の基部とR2+3とR4+5の分岐点に何か変わった構造が見られます。そこで少し拡大してみました。Scが前縁脈に到達するところに切目(Sc切目)があり、そこから翅の中心部分に向かって白くなった部分が見えます。これはたぶん、翅の折れ目を表しています。先ほどの変わった構造はどうやらこの折れ目と関係しているようです。



遊びついでに偏光板を入れて撮ってみました。偏光板2枚を互いに直交するように入れ、その間に翅脈がだいたい45度になるように翅を入れて撮ったものがこの写真です(矢印の方向かそれに直角な方向がだいたいの偏光方向です)。翅脈の走っている方向とそれに垂直な方向では屈折率が異なり(異方性)、その部分で偏光が回転するので翅脈の部分だけがこんなに光ったように写りました。先ほどの変わった構造のところで何か変化があるかなと思ったのですが、特に変わったようすは見られませんでした。



これも蛇足なのですが、いつものように剛毛に名前を付けてみました。ac、ia辺りは剛毛が短くてどれを採用するかで結果が変わりそうです。下に書いたのは「日本のイエバエ科」のチャバネヒメクロバエの説明載っていたものです。比べてみると、hが3本あったこと、小盾板に亜端剛毛と側剛毛の間にもう一本ありそうなこと、それに後で述べるようにst1+1である点を除けばよく一致している感じです。



胸部を斜めから撮ってみました。この方が真上から撮るよりは分かりやすいみたいです。iaはもう一本増やしてもよさそうでした。



で、胸部側面です。だいぶ見直したのですが、やはりst 1+1でした。





蛇足の蛇足で、脚の爪があまりに目立っていたので撮ってみました。爪に毛が生えているところ、それに白く見えている側爪板が面白いです。



最後は腹部末端です。何が見えているのかよく分かりませんが・・・。

今までハエは気持ち悪い虫の一つだったのですが、こうやって検索をしながら各部を見ていくとなかなか面白いものです。まさに、「一寸のハエにも五分の大和魂」ですね。少しはハエにも慣れてきたみたいです。

虫を調べる チャバネヒメクロバエ

冷凍庫にしまっておいた虫の名前調べをしようと思って、この間からぽつぽつ調べ始めています。今回は昨年の9月6日に採集したハエです。この間に骨折をしたりして、ずっとそのままにしておいたのですが、昨日、取り出して見てみたらかなり乾燥していました。



たぶん、このハエだと思います。9月10日のブログに採集したと書かれていたので。このハエは以前も採集して検索してみたことがありました。その時はイエバエ科のチャバネヒメクロバエだという結論になったのですが、顕微鏡で見ただけで写真を撮っていなかったので、何も記録が残っていません。それで、もう一度やり直してみたいなと思っていました。ちょうど、大石氏らの論文で亜科の検索がうまくできるようになったので試してみました。

大石久志、村山茂樹、「日本産イエバエの同定」、はなあぶ No. 37, 100 (2014).

科の検索は省略して、亜科の検索から始めたいと思います。上の論文に載っている検索表で調べると亜科に至る検索項目は次のようになります。



この4項目を調べると、チャバネヒメクロバエの属するHydrotaea属が含まれるイエバエ亜科(Muscinae)のミヤマイエバエ族(Azeliini)になることが分かります。これをまた部位別に調べていきたいと思います。



まずは全体像です。複眼の綺麗な色がすっかりなくなってしまいました。体長は5.9mmでまずまずの大きさです。また、最初の写真で両側の複眼が中央で接しているのでこの個体は♂です。上の写真で④を調べてみます。この項目については大石氏らの論文に説明が載っています。チャバネヒメクロバエの属するHydrotaea属には異質な2群を含んでいるそうです。一つは♂の前脚腿節腹面に顕著な2次性徴をもつ従来からHydrotaea属と呼ばれていた群、もう一つは♂の前脚腿節腹面の顕著な2次性徴を欠き、体表に強い光沢のあるOphyra属とされていた群です。この写真でも分かりそうですが、この種は前脚腿節腹面には特に変わった構造は持たず、体表には強い光沢があるので、後者の方だと思われます。それで、④はたぶんOKだと思われます。



次は胸部側面の写真です。光沢があって、写真が撮りにくいのですが、とにかく、上後側板にも下後側板にも毛は生えていないようです。従って、①も②もOKだと思いました。



次は後基節を撮ったのですが、この後背面に毛が生えているかどうかという点です。写真が前背面を撮ってしまったので、はっきりとは分かりません。背面には2本ほど毛が生えていそうですが、顕著な毛は生えていないようです。これはもう一度撮り直さなければならないですね。ともかく、これがOKなら、イエバエ亜科ミヤマイエバエ族ということになりましす。



次は属の検索だったのですが、うっかりしてHydrotatea属の種の検索を先にしてしまいました。とりあえず、これを先に出しておき、次回に属への検索を載せます。⑤から⑧は「日本のイエバエ科」の日本語版の検索表を用いました。これも写真で見ていきます。



先ほども出した全体像です。⑤は先ほどの④と同様の項目です。⑦では後脛節が特に湾曲するということはありません。



⑥は複眼後縁が凹むかどうかなのですが、この写真を見る限り、そんな様子は見られません。



これは後脚腿節基部を腹面から写したものです。基部近くに黒矢印で示したように短い棘が3本生えていました。



次の⑧の端刺は触角刺毛のことだと思いました。その基部は確かに赤みを帯びています。



これは趣味的にちょっと拡大したものです。これで種の検索項目はすべて確かめました。たぶん、チャバネヒメクロバエ Hydrotaea chalcogasterで間違いないと思うのですが、属の検索を抜かしてしまったのは失敗でした。

廊下のむし探検 甲虫、トガリキジラミなど

廊下のむし探検 第987弾

昨日の続きで、マンションの廊下で見た虫たちです。昨日は暖かくていい天気だったのですが、今日は雨模様で夕方からは土砂降り、明日は冬が戻ってくると、この頃は目まぐるしく気候が変わります。虫も出てきていいのか、もう少し待った方がよいのかと迷っているかもしれませんね。



まずはウリハムシ



それにナナホシテントウ



この小さなハムシはなんでしょう。後脚腿節が太いのでノミハムシの仲間であることは確かなんですが・・・。この手のハムシはどうもよく分かりません。前も調べたかもしれませんが、もう一度調べてみようと思って、一応、採集しました。





また、シマバエの仲間のSteganopsis dichroaがいました。よく見かけますね。





これは両方ともキクイムシの仲間だと思います。先日、一匹捕まえたので、今回はパスです。上の個体の触角は面白いですね。



マンションの渡り廊下にいました。これはたぶん、サトオオトガリキジラミだと思います。





そのすぐ横にもっと小さな虫がいました。てっきりアブラムシだと思って撮ったら、翅脈の三分岐が見えました。トガリキジラミの仲間みたいです。「絵解きで調べる昆虫2」に載っている検索表で調べようと思ったのですが、途中で挫折。仕方ないので翅脈で調べてみたら、何となくクロトガリキジラミに似ているような・・・。撮影してから採集しようと思ったらぴょんとどこかに飛んでいってしまいました。残念!下の写真はクローズアップレンズを使って撮ったら、露出オーバーになってしまいました。



これは顔の模様からスズキクサカゲロウだと思われます。





コバチが2種いました。私は外見からだとよく分かりません。検索しようと思って一応は採集したのですが・・・。(追記2018/06/13:その後、上の写真の個体については検索をしてみました。結果はコガネコバチ科のPteromalinae亜科になりました。詳しくはこちらこちら



ナミテントウも床をちょろちょろしていました。



これはタマバエか、クロバネキノコバエか。



それにガガンボダマシも。



最後は小さなクモです。これもよく分かりません。というわけで、今日は分からないものだらけでしたね。

雑談)今日は昨年9月に採集しておいたハエの検索をしてみました。秋に葉先によく止まっていたハエです。冷凍庫に入れておいたのですが、その後、足の骨折したりしてそのままになっていました。半年ぶりに出してみたら、やはりだいぶ乾燥していました。それでも検索してみると、イエバエ科イエバエ亜科ミヤマイエバエ族のチャバネヒメクロバエになりました。実は、以前検索をしたことがあったのですが、その時の記録が残っていなくて、もう一度調べてみたいと思っていたハエでした。

廊下のむし探検 カメムシと蛾

廊下のむし探検 第986弾

今日は暖かかったので午後からマンションの廊下を歩いてみました。そろそろ虫が出てきていますね。そういえば今年の啓蟄は3月6日のようです。



廊下を歩くと、ともかくカメムシだらけです。その中でもこのクサギカメムシばかり。マンション全体では100匹ほどいたのではないかな。



中にキマダラカメムシも混じっていました。



これはオオホシカメムシかな。



これは渡り廊下にいました。フタモンホシカメムシか、クロホシカメムシみたいなのですが、腹部(基節窩の外面)に白い筋が入っていないのでクロホシカメムシかもしれません。



蛾もいました。これはハイイロフユハマキ。記録を見てみると、例年2月末ごろから見ていました。



これはホソウスバフユシャク。これも例年3月初めから見ていました。



これはウスベニスジナミシャク。これは3月中旬から見られています。



この間見つけたトビモンオオエダシャクがそのまま廊下に止まっていました。誰も追い払わなかったみたいですね。このほかにもいろいろといたのですが、名前調べが終わっていないので次回に回します。

虫を調べる ヘリグロヒメハナバエ

今回もまたハエの検索です。ヘリグロヒメハナバエは以前はヘリグロハナレメイエバエと呼ばれていたイエバエ科ハナレメイエバエ亜科Orchisia属のハエです。このハエについては生態写真で以前少しだけ検索をしたことがあったのですが、その時は脚の剛毛などが写っていなかったのと、今回、新しくイエバエ科の亜科の検索表が手に入ったので試してみたくなって調べてみました。



今回調べるのはこんなハエです。翅の前縁が褐色なので一目見て名前が分かるのですが、こういう名前の分かった種は安心して検索ができるので、今回はゆったりした気分で調べてみました。

まずは亜科の検索です。亜科の検索には最近手に入った次の論文の(絵解き)検索表を用いました。

大石久志、村山茂樹、「日本産イエバエの同定」、はなあぶ No. 37, 100 (2014).

調べた結果、ほとんど迷うことなくハナレメイエバエ亜科になったのですが、その過程を書くと次のようになります。



この7項目を全部調べるとCoenosiinae(ハナレメイエバエ亜科)のCoenosiini族に到達します。その過程を写真で見ていきます。



まずは全体の写真です。体長は3.4mmでした。また、腹部末端の形からこれはたぶん♂だと思われます。検索項目の④はMuscinae亜科Azelinii族を除外するための項目になっています。腿節に特に変わった構造は見られませんし、体色も青黒色ではないので、この項目はOKだと思われます。



次は胸部側面の写真です。ここで①~③は下後側板、上後側板、後基節後方背面に毛がないことを確かめます。次に⑦で下前側板に3本の剛毛が二等辺三角形状に並んでいることを確かめます。後で述べますが、厳密には二等辺三角形ではないので、見た感じでの判断でよいと思います。



最後は後脚脛節の剛毛で、⑤~⑦は見ればすぐに分かると思います。脛節の背側には二列の細い毛列がありますが、その中心を通る線を背側の中心線と考えて、そのすぐ隣の列に生える剛毛が背側剛毛です。前側に生えている場合だと前背剛毛(ad)、後ろ側だと後背剛毛(pd)、ちょうど中心線上だと背剛毛(d)となります。このハエでは基部から2/3までに2adと1pd、先端1/3に1adと1dがあります。これで亜科の検索が終わり、無事にハナレメイエバエ亜科になりました。

属の検索は「日本のイエバエ科」に載っているのですが、以前にも紹介した「一寸のハエにも五分の大和魂・改」ではもっと分かりやすい検索表が載せられているのでそちらを使わせていただくことにしました。

その検索表を使うと予想通りOrchisia属になるのですが、その過程を書くと次のようになります。



全部で4項目なのですが、一つ一つの項目が長いので、調べるのはかなり大変です。それをまた部位別に見ていきたいと思います。



⑧は亜科の検索表とダブるのですが、下前側板に生えている3本の剛毛の配置に対して大変詳しく書かれているのでもう一度調べてみます。一見すると正三角形に見えなくもないのですが、この写真は下前側板の面にほぼ垂直な方向から撮ったので、配置を直接調べることができます。



それがこの写真です。写真の右にある2本の剛毛が上側の2本になります。これを底辺とする正三角形を描くとこの写真のようになります。実際に下の剛毛が生えている場所は頂点からは少し前で内側です。⑧をよく読んでみると、まさにこの微妙な配置を説明しているのだということが分かります。大変親切な検索表だと思いました。



次は頭部の剛毛についてです。まず⑨についてですが、複眼の周辺で硬化している場所を前額眼縁板と言います。その上に4本並んでいる剛毛が額眼縁剛毛です。その後ろ側にあるのが内頭頂剛毛、その斜め後ろにあるのが外頭頂剛毛です。検索項目は後傾している額眼縁剛毛の数が2対あるという内容です。前側2本は内傾していて、後ろ側2本(黄矢印)は後傾しているので間違いなく2対です。⑩については大きな単眼三角板があることにすぐ気が付きます。

ただ、大石氏の論文を読むと、通常ハエの仲間では額眼縁板の内側寄りと複眼寄りの2列に剛毛が並んでいて、内側を額剛毛(frontal bristle)、複眼寄りを眼縁剛毛(orbital bristle)と呼んでいます。このハエのように1列しかない場合は2列に分けられないので額眼縁剛毛(fronto-orbital bristle)と呼んでいるそうです。この毛列がどちらの毛列に相当するかという相同性についてはまだ議論があるようです。なお、oriとorsというのはinferior orbital bristleとsuperior orbital bristleの略で、本来、眼縁剛毛に対する名称ですが、篠永氏の「日本のイエバエ科」でも「新訂原色昆虫大図鑑III」でも、frontalが含まれているような書き方がなされています。たぶん、額眼縁剛毛を意識した書き方かなと思っています。いずれにしても、額眼縁剛毛の場合は下側と上側という区別なのですが、この二つをどうやって区別するのかについては以前も少し書きましたが、実のところよく分かりません。



次は後脚脛節ですが、⑨と⑪ともに写真ですぐに分かると思います。



次は中脚脛節です。これも見たらすぐに分かります。



検索表には出てこないのですが、ついでに前脚脛節も載せておきます。亜末端を除き、特に剛毛は見られません。



これは小盾板に長い剛毛が1対だけあることを示しています。


翅の前半部分は暗色であるのは「ヘリグロ」の名前の由来でしょうね。翅脈の名称は「新訂原色昆虫大図鑑III」を参考にしました。ということですべての項目が確かめられたので、最初の予想通り、Orchisia属になりました。この属の日本産はヘリグロヒメハナバエ O. costata 1種だけなので、自動的に種が決まりました。



ついでに剛毛も調べておこうと思っていつものように名前を付けていきました。実は、ここでだいぶ時間がかかってしまいました。「日本のイエバエ科」にはヘリグロヒメハナバエの胸部の剛毛配列について、「ac 0+0, dc 2+3, ia 0+2, h 2, ph 1, prs 1, nt 2, pra absent, sa 1, pa, 1, scut 1 preapical, 1 lateral, st 1+2」と書かれています。これと比較してみようと思ったのです。実際にやってみるとiaやdcの一番前の剛毛などはかなり小さなものまで数えていました。剛毛の略称は大石氏の論文の説明のものを使ったので、nt→np, pa→pabとなっています。pabが2本ありそうなことと、小盾板に側剛毛がなさそうなところが違ったのですが、後はほぼ書かれている通りでした。一番困ったのはこの写真でprsと書いた剛毛です。今まであまり気にしないで使ったのですが、「はなあぶ」をぱらぱら見ていたら、前胸前側板刺毛(prs)と書かれた論文がありました。この前胸前側板刺毛というのは次の写真にある剛毛のことを指しています。



まったく異なる場所の剛毛です。ということは今まで書いてきたものがみな違うのかと思って焦ってしまいました。でも、「絵解き調べる昆虫」ではprsは横線前剛毛、大石氏の論文ではp(前横線翅背剛毛)を図示して、「=prs」と書かれているのでたぶん、大丈夫なのかなと思っています。



これは側面からです。

ついでに検索に使わなかった写真も載せておきます。



顔面の写真です。



触角刺毛です。



腹部背面です。



腹部側面です。



腹部の腹面です。何か構造が見えていますが、それが何なのかよく分かりません。

今回は名前が分かっているので簡単かなと思って始めた検索ですが、額眼縁剛毛と胸部の剛毛のところでひっかってしまい、だいぶ時間を取ってしまいました。ハエはほかの虫に比べると情報が多いのですが、それぞれに主義主張があるためか文献や本に書かれていることが微妙に違います。それらを調べて総合的に判断しないといけないので、やはり大変です。でも、少しずつは慣れていっているのかなぁ。

家の近くのむし探検 ハエやらアリやら

家の近くのむし探検 第358弾

2月28日と3月2日に近くの公園に行ってみました。最近は遠くまで歩くより、公園でジョギングをしたり、鉄棒をしたりすることにしたので、ちょくちょく公園に来ています。でも、虫はまだまだです。



まずは2月28日分です。これはマンションの倉庫の裏にいました。Steganopsis dichroaというシマバエ科のハエだと思います。





公園に着いてから木の幹をずっと探してみたのですが、虫は見つかりません。やっとアリが一匹だけ木の幹を登っていました。腹柄節が1節なのと体型からオオアリ属みたいです。「日本産アリ類全種図鑑」をぱらぱら見て、イトウオオアリかなと思ったのですが、自信はありませn。



ハエもいたのですが、これは何科だろう。(追記2018/03/20:通りすがりさんから、「ハエはイエバエ科のMuscina辺りかな。」というコメントをいただきました。イエバエ科だったのですかぁ。ごついし、M1が曲がっているし、イエバエ以外を考えていたのですが、クロバエではないし、ヤドリバエでもなさそうだし、ニクバエとも違うかもと思って分からなくなっていました。イエバエなら採集しても良かったのにとちょっと悔やんでいます



ササグモも今頃は動きが鈍いですね。暖かいときにはこちらの姿を見るとすぐに隠れてしまうのですが・・・。



余りに虫がいないので小さなクモも撮ってしまいました。何だか分かりません。



庭園灯の柱にはいつものようにマルトビムシの仲間が登っていました。2mmぐらいの小さな虫なのですが、その気になればちょっと離れたところから見つけることができます。



後はマンションの渡り廊下にいた虫です。キクイムシの仲間で、この間見たのと同じ種みたいです。



それから、サトオオトガリキジラミ



次は今日見た虫です。やはり木の幹を探していたら、クモがさっさっと動いて窪みに入り、ぴたっと止まりました。後はびくともしません。隠れているつもりなのでしょう。たぶん、キハダエビグモ



ユスリカはちょこちょこいるのですが、採集しないと名前どころか科も分からないので、写していません。これはヤマユスリカ科かなと思ったのでちょっと撮ってみました。



これは何かの幼虫かな。小さいのですが・・・。



やはりマンションの廊下でサトオオトガリキジラミを見つけました。今頃、ちょこちょこ見かけますね。

虫を調べる ノミバエ科ノミバエ亜科(続き)

昨日の続きで、ノミバエ科の検索をしてみました。



対象は昨日と同じ体長3.8mmのこのノミバエです。

金子清俊ほか、「日本産ノミバエ科に関する研究 第1報」、衛生動物 12, 238 (1961) (ここからダウンロードできます)

昨日は金子氏の論文に載っている検索表を用いて検索した結果、ノミバエ亜科Spiniphora属になったのですが、その後、日本産の属はかなり増えているので、"Manual of Nearctic Diptera" (MND)に載っている検索表を使って、もう一度、調べ直してみることにしました。

"Manual of Nearctic Diptera", Vol. 2, Research Branch Agriculture Canada, Monograph 28 (1987). (ここからダウンロードできます)

検索に入る前にこのハエの変わったところをお見せします。







まずは口吻です。顕微鏡で覗いてみたときにびっくりしました。何と太い口吻なのでしょう。





次は後脚脛節から跗節にかけての櫛歯状の毛です。こんな毛は初めて見ました。こんな特徴があるので、すぐに名前が分かるだろうなと思っていたのですが、検索の方は意外に苦戦です。



MNDの検索表で調べたときの検索過程をまとめたものです。ⒺとⒼははっきりしなかったので、もう一つの選択肢も書いておきました。昨日はSpiniphora属になったのですが、今回はむしろTriphleba属かなと思っています。それを写真で調べていきたいと思います。



この写真では翅があることを見ます。腹部の節がアーチ型か平坦かはよく分かりませんが・・・。



次は頭部です。Ⓑの前半はその通りです。後半の触角上刺毛は後傾というよりは横向きになっていますが、Ⓑには多くの項目が書かれているので、一つぐらい違っても、まず、大丈夫かなと思いました。



次は胸部です。胸部の各部の名称を知りたかったので、ちょっと調べてみました。

R. H. L. Disney, "Scuttle Flies, Diptera, Phoridae (except Megaselia)", Handbooks for the Identification of British Insects Vol. 10, Part 6 (1983). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

この本に載っていました。写真には略号だけ書いていますが、もとの英語に対応する日本語の名称を「新訂原色昆虫大図鑑III」で調べてみると次のようになります。

Me:上前側板、Pt:上後側板、St:下前側板、Hy:下後側板+中副基節、Pr:前胸側板、hu:肩瘤、Ha:平均棍、C:基節

この写真を見ると、前気門(s)の周りをちょっと膨れた上前側板(Me)が取り囲むようになっていることが分かります。これが「上前側板の前背縁に囲まれる("enclosed by anterodorsal margin of anepisternum")」という表現の意味だと思います。さらに、上前側板と胸部背面とは連続的にはつながっていないようです。



これは上前側板の毛を写したものです。短い毛は生えているようですが、原文では"setose"となっているので、Ⓔで問題にしているのはもっと長い剛毛のことです。ここではないようなので、Ⓔbの方を選択します。


翅脈は昨日と同様で、Rsが分岐していることはすぐに分かります。なお、翅脈の名称はMNDを参考にしました。



これはRs上に剛毛が生えていないことを示した写真です。



ただ、よく見ると、Rs脈が基部で細くなる寸前のところで剛毛が1本だけ生えていました。でも、Ⓕは大丈夫でしょう。



次は中脚脛節です。Ⓑに書かれているように、基部近くに1対の接近した剛毛(白矢印)があります。これがあるので、いつものMegaselia属が含まれるトゲナシアシノミバエ亜科ではなく、ノミバエ亜科になります。Ⓖではかなり迷いました。剛毛が強いか弱いかというのは比較の問題なので、何とも言えないのですが、MNDには絵が出ていて、Spiniphoraは相当に長い剛毛が描かれています。これに対して、Triphlebaはちょうどこの写真程度の剛毛でした。それで、この写真で見られる剛毛は弱い方だろうと思いました。また、末端近くにある前向きの剛毛がSpiniphoraではかなり基部側ですが、Triphlebaではほとんど末端から亜末端くらいに位置します。この写真の場合(黒矢印)でも末端から亜末端にあるので、Ⓖについてはbの方を選択して、Triphlebaではないかと思いました。



これは後脚脛節ですが、氈毛列("hair seam")は見えません。また、剛毛は中脚脛節と同程度なので、弱い方なのでしょう。



これは後脚脛節の背側を拡大したものですが、氈毛列は確かにありません。



腹部末端の構造からこれは♀だと思うのですが、第8背板の後縁にSpiniphoraとTriphlebaの違いがあるようです。それで、先ほどのDisneyの本を参考にして腹部の節に番号を振ってみました。背板6節までが見えているようです。下側にしわ状になっているのは膜質の部分ではないかと思います。





上は末端部を背側から撮ったもので、下は斜め下から撮ったものです。MNDの絵と比べてみると、どうやら第7背板と第8背板はこの中に埋もれていて、その先端の尾角とその周辺だけが見えているのではないかと思われます。たぶん、引っ張り出さないと第8背板後縁の形状は見えないのでしょう。でも、引っ張り出すとぐちゃぐちゃにならないかと思ってまだ試していません。

この最後の項目が確かめられなかったので、あまり確かではないのですが、今のところ、Triphleba属が第一候補になっています。「日本昆虫目録第8巻」(2014)によると、日本産Triphlebaは3種。そのうち、本州産はnipponica1種です。これだとよいのですけど・・・。この目録には金子氏の論文にもMNDにも載っていない属がまだ3属残っているので、本当は調べなければいけないのですが・・・。

追記2018/03/02:Triphleba nipponicaの載っている文献を調べてみました。

三井偉由、中山裕人、「東京付近において腐肉に誘引されるノミバエ類の季節的消長」、衛生動物 63, 205 (2012). (ここからダウンロードできます)

これによるとT. nipponicaは初夏から夏に見られ、低温期にはほとんど採集されなかったとのことです。やはり違うのかもしれません


追記2018/03/02:残った3属(Burmophora, Peromitra, Plethysmochaeta)のうち、Burmophoraは「新訂原色昆虫大図鑑III」に載っていました。その部分を転載させていただくと、「クロツヤノミバエ属 Burmophoraの種は体に独特の黒い光沢がある。♀の口器は非常に長く、上唇の長さは頭部の高さと同じかやや長い。Rs脈に刺毛が列状に生える。・・・」とのことです。♀の口器が長いことは合っていますが、体に黒い光沢があることと、Rs脈に刺毛が列状に生えるというところが違います。たぶん、除いて大丈夫でしょう。残り2属になりました

追記2018/03/02:Peromitraについて書かれた論文が見つかりました。

H. Nakayama and H. Shima, "Systematic Study of the Genus Peromitra Enderlein of Japan (Diptera: Phoridae)", Entmol. Sci. 5, 63 (2002). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

この論文にはPeromitra属の特徴が載っているのですが、次の点が今回の個体とは違いました。

1)R2+3は一般に欠如か不明瞭で、Rs背面全体には細かい毛の列がある
2)中脚脛節には1列の氈毛列
3)後脚脛節には2列の氈毛列

他にも違いはあるとは思いますが、とりあえず、この属も除いて大丈夫そうです


追記2018/03/02:ついに最後のPlethysmochaetaについて書かれた論文も見つかりました。この属はnobilisというジャワ島で知られている種が日本で見つかっているだけなのですが、それについては以下の論文に書かれています。

中山裕人、「ジャワ島から知られていた Plethysmochaeta nobilis Schmitz(双翅目:ノミバエ科)の日本からの発見」、Med. Entomol. Zool. 57, 131 (2006). (ここからダウンロードできます)

この論文を読んで、P. nobilisの特徴で目に付いたのは次の通りです。

1)中胸側板(上前側板)に上向きの毛を具える
2)Rs上に♀では10数本の毛がある
3)R2+3を欠く
4)後脚脛節には毛列がない
5)♀では第5背板と第6背板が融合して乾燥標本では腹節が5節しかないように見える

いずれも今回の個体とは異なります。これで、検索表に載っていなかった3属すべてを確かめ、今回の個体とは異なることが分かりました。ということは、もし、Triphlebaでないとすればここで迷子になったことになります

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