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「廊下のむし探検」ちょっとお休み

あまり風邪など引いたことがないのですが、2日ほど前から風邪症状が出始め、昨日は全身の筋肉が痛くて起き上がれませんでした。熱は高くないので、インフルエンザではないだろうと思っているのですが、隠れインフルというのもあるようで、しばらく、家で静養します。ということで、「廊下のむし探検」はちょっとお休みです。
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虫を調べる リンゴキジラミ属

今日はこんな虫を調べてみました。



この虫については、12月18日にマンションの廊下で見つけて、翌19日のブログに出していました。この時は「九州でよくみられるウンカ・ヨコバイ・キジラミ類図鑑」をパラパラ見て、リンゴキジラミ属 Cacopsyllaだろうと書いたのですが、そのままになっていました。幸い、採集して冷凍庫に入っていたので、この間、取り出して調べてみました。実は、甲虫を出すつもりで間違って出してしまったのですけど・・・。でも、ちょうど「絵解きで調べる昆虫2」にはキジラミ類の絵解き検索が載っているので、ちょうどいいなと思ってやってみました。



まずは冷凍庫から取り出して、全体を撮影しました。複雑な模様があり、見ていても飽きません。腹部末端が尖っているので、たぶん、♀でしょうね。体長は3.0mmでした。



次は横からの撮影です。



胸部の拡大です。「絵解きで調べる昆虫2」には形態図が載っているので、それに倣って名前を付けたのですが、中胸小盾板はこの場所でよいのでしょうか。



それでは、絵解き検索表に従って調べていきます。2つある選択肢のうち、選んだ方を書き並べてみるとこのようになります。予想通り、キジラミ科になりました。これを写真で確かめていきます。



翅脈に関する項目が多いので、先ほどの形態図に載っている翅脈の図に倣って名前を付けてみました。Cuと書いてあるところがCu1と書いた方がよいような気がするのですが、とりあえず、本の通りに名前を付けておきます。①の項目はトガリキジラミ科を分ける項目です。トガリキジラミではR、M、Cuの各脈が一点から分かれているのですが、これはまずRとM+Cuに分かれ、さらに、MとCuに分かれるというように2段階で分かれています。②はネッタイキジラミ科を分ける項目、④と⑤はヒゲブトキジラミ科を分ける項目、⑦はヒラズキジラミ科を分ける項目で、どれもこの写真から分かります。



触角が細長くて、密毛で覆われないというのもこの写真から分かります。



触角の先端に2本の剛毛があるのですが、うまく写っていません。



それで照明を工夫して撮ってみました。それほど長くはないので、③はOKでしょう。



これは頭部を上から撮ったものです。額錐というのが尖っていることが分かります。これで⑥はOKでしょう。というわけですべての項目を確認したので、キジラミ科というのは確かそうです。それでは、次は属の検索をしてみます。



属の検索はこの11項目を調べることにより、初めの予想通りリンゴキジラミ属であることが分かります。赤字で距棘と書いたところは、本では鋸歯となっていたのですが、形態図には距棘となっていたので、統一した方がよいのではと思って直しました。また、「普通」と書いたところは5本で例外があったので、このように補ってみました。これも写真で見ていきます。また、青字は確かめるのを忘れた項目です。



⑬は翅の先端までの全長になっているので、写真から推測してみました。4mmぎりぎりの3.9mmになったので、まぁ、いいのでしょう。



翅脈に関する項目は多いので、二つに分けて書きます。⑧から⑪はいずれもこの写真から分かります。



この4項目もたぶん、写真から判断できると思います。



触角と頭幅とを比較する項目があったので、測ってみました。頭幅の2倍にはなっていないようです。



これは先ほど出てきた後脛節先端の黒色距棘です。パッと見ると5本なので、たぶん、上の項目はすべて大丈夫だとは思うのですが、4番目の距棘が2本重なっているような気もして、そうなると6本になるし・・・とちょっと心配です。



最後は腹部末端の構造についてです。これも形態図を参考にして名前を付けてみました。この写真からは雌交尾器は長く、肛節先端が尖っているように見えるので、⑱の後者の記述に合致すると思います。翅が透明なので、たぶん、大丈夫でしょう。というところで、属まで到着しました。この後、種の検索に進むのですが、一旦、ここで止めておき、次回に回します。

ショウジョウバエの種群

先日、マンションの廊下でショウジョウバエらしいハエを見つけました。



こんなハエです。ちょっと綺麗なので採集しました。ブログに出したら、オオショウジョウバエ種群かもというコメントをいただいたので、ちょっと種群について調べてみました。オオショウジョウバエ種群というのは、ショウジョウバエ科ショウジョウバエ亜科ショウジョウバエ族ショウジョウバエ(Drosophila)属ショウジョウバエ(Drosophila)亜属をさらに分類するときに用いられる種群の一つです。これについては次の論文に詳しく載っています。

加藤徹、「ショウジョウバエ分子系統学研究の最前線」、低温科学 69, 1 (2011). (ここからダウンロードできます)

この論文は以前、ハワイ産のショウジョウバエの起源について紹介した時に読んだことがあります。今回はDrosophila亜属の種群の説明に使わさせていただきました。ショウジョウバエの分類研究は進化過程の解明と関係して古くから活発に行われていました。Throckmortonは1960年代にショウジョウバエの交尾器などの内部形態に着目した系統分類を行い、いくつかの時期に分化が急速に進む"radiation"(放散)という時期があることを明らかにしました。その後、外部形態に着目した系統分類も行われたのですが、最近はもっぱらDNAやタンパク質の分子配列に着目した分子系統学が用いられています。上の論文には最近の分子系統研究をまとめた系統樹が載せられているのですが、その一部を転載させていただくと次のようになります。


加藤徹、「ショウジョウバエ分子系統学研究の最前線」、低温科学 69, 1 (2011)による

分岐が起きるときに2つに分かれるのではなく、同時にいくつかに分かれるのが"radiation"ではないかと思っています。そう思って見ると、この系統樹の中にもいくつかの"radiation"起きていることが分かります。

オオショウジョウバエ種群というのはimmigrans種群のことです。これはDrosophila亜属のimmigrans-tripunctata系統の中の種群の一つになっています。ただし、Drosophila亜属にはここに書いたものだけではなく、これまでに40ほどの種群が知られているそうです。この系統樹を見ると、Drosophila亜属の種群と並列にHirtodrosophila属やZaprionus属が並んでいます。これらの属は特徴の揃った種が集まったもの(単系統群)なので、Drosophila亜属はむしろこれらの属以外の種を集めたもの(側系統群)となっていることが分かります。

これらの種群と日本産の種との関係を調べてみようと思って、「日本昆虫目録第8巻」でDrosophila亜属に属する種を調べ、次に「DrosWLD-Species」というデータベースで種群を調べてみました。それらをまとめると次の表のようになります。



日本産のDrosophila亜属には7種群が関連していました。そのうち、オオショウジョウバエ種群であるimmigrans種群はさらに亜種群に分けられ、そのうち3つの亜種群が関係していました。それらに属する種を右の欄に載せています。immigrans種群には6種が入っていました。そのうち、本州には分布しないとされている種を赤字で書いたので、結局、可能性のあるのは2種に絞れることになります。そのうち一種はimmigrans(オオショウジョウバエ)、もう一種はalbomicans(アカショウジョウバエ)です。

これは何とかなるかもしれないと思って、immigrans種群の特徴を調べてみました。次の論文に載っていました。

T. Katoh et al., "Phylogeny of the Drosophila immigrans Species Group (Diptera: Drosophilidae) Based on Adh and Gpdh Sequences", Zool. Sci. 24, 913 (2007). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

この中で、immigrans種群の唯一の共通形質は前脚腿節の内側に頑丈で小さな刺列があることだと書かれていて、絵も載せられています。それで、採集した個体についても調べてみました。



これは前脚腿節の内側を写したものですが、どこにも刺列はありません。



反対側かなと思ってそちらも見てみました。やはり刺毛の他は何もありません。ピンセットで翅をもってひっくり返して探してみたりしたのですが、どこにも刺列はありません。どうやら、これはimmigrans種群ではないかもしれません。ちょっと落胆したのですが、また、別の種群を調べることができるかもしれないと思って、各部の写真を撮っておきました。



とりあえず、頭部の写真です。「原色昆虫大図鑑III」の検索表に載っている「前傾の額眼縁剛毛は後傾の額眼縁剛毛と複眼縁の間に位置せず、最前の後傾額眼縁剛毛の前内方に位置する」という特徴はこの写真からよく分かります。ここで挫折しないで、もう少しほかの種群の特徴も調べてみたいと思っています。

寒い日の散歩と鳥見

足を骨折してから2か月半になり、骨折した骨はほぼくっついたのですが、足首の動きが悪いため、リハビリを兼ねてときどき散歩に出かけています。ついでにデジカメを持って鳥の写真を撮り始めました。昨日も昼間に出かけたのですが、国道脇にある温度計は0度を指しています。風も強く、とても散歩気分にはなりません。



お昼近くなのですが、水たまりの氷もちっとも解けそうにありません。



途中でもう帰ろうと思っていたら、道の横でごそっと音がしました。そちらを向くとキジがいました。



キジはそのまま茂みに入り、中でうずくまってじっとしています。そのうち出てくるかなと思って、ちょっと離れたところから見ていたのですが、ちっとも動きません。寒いので諦めて先を急ぎました。



道にホオジロがいたのですが、これも寒そうに固まっています。





ジョウビタキだけは元気そうでした。この日は結局、30分ほど歩いただけで帰ってしまいました。

雑談)それにしても寒い日が続きますね。東京は-4度だと報道していましたが、私の住む大阪北部では-7度まで下がりました。今シーズン2度目の寒さです。もう散歩に出る元気も出ません。それで、今日は過去のブログに載せた写真を集めた画像リストの一部を完成させました。このブログの付録のホームページの中の蛾とカメムシ画像リストがそれです。今回は、可能な限り亜科を入れたこと、学名を入れられるようにしたこと、家の周辺以外で撮った写真には撮影場所を入れたことなどが改良点です。ただし、種名はブログに出したものをそのまま載せているので、違っているのも多いと思います。そのつもりで見てください。

廊下のむし探検 ハエ、ハチ

廊下のむし探検 第980弾

1月18日にマンションの廊下で見た虫の続きです。私の住む大阪北部では、今日の最高温度は2、3度しかなかったのですが、先週は10度以上もあってずいぶん暖かったです。そのためか、虫もいっぱいいました。ハエはいつも見るものが多かったのですが、一応、記録なので、載せておきます。





まずはこの変わったハエから。これはミスジミバエだと思います。過去にも12月、3月に見ています。





これも変わった翅をしています。たぶん、ミバエ科ではないかと思うのですが、ネットで探しても見つかりません。何となく毛の多いところが目に付きます。Tephritis属がケブカミバエなので、その仲間かなと勝手に思っています。(追記2018/01/25:このハエはまだ分かっていません。過去の写真を調べてみると、2016年10月4日に近くの公園で写した写真が見つかりました。その時のブログの記事でもよく分からないとのことでした)(追記2018/01/25:syrp.jpさんから、「Spathulina acroleuca (Schiner,1868) ネッタイヒメクロミバエの画像をググッて見てください。神戸などでも採れてます。」というコメントをいただきました。検索してみると、確かに翅の模様の同じ個体の写真がたくさん見つかりました。。「日本昆虫目録」では分布が四国、九州・・・となっていますが、姫路、尼崎、和歌山などでも記録があるみたいです。名前が分かって嬉しいです。どうも有難うございました





これは何だか分かりません。下のハエは綺麗なので、採集しました。(追記2018/01/25:写真が不鮮明でよく分からないのですが、下の写真の個体を「絵解きで調べる昆虫」の検索表で調べてみました。h切目とSc切目が共にあり、Sc脈がはっきりせず、触角が羽毛状、額眼縁剛毛の配置などから、ショウジョウバエ科かなと思いました。さて、どうでしょう)(追記2018/01/27:通りすがりさんから、「ショウジョウバエはオオショウジョウバエ種群かな?」というコメントをいただきました。種群というのはなかなか厄介ですね。でも、調べてみると、immigrans種群は前脚腿節の内側に小さな刺列のあることが唯一、共通の形態学的な特徴だそうです。これなら分かるかもしれません。ヒントをどうも有難うございました



これは跗節第1節が太いのでフンコバエ科かなと思ったのですが・・・。







後はいつも見るノミバエの仲間です。この日はこんな褐色のハエが多かったですね。



ヌカカも最近は必ず見られます。



これはシマバエ科のSteganopsis vittipleuraです。これもよく見ます。





何となくMCu脈がありそうなので、両方ともヤマユスリカ亜科かな。





最後はコバチの仲間です。先ほど検索してみたのですが、以前も見たコガネコバチ科かなと思っています。亜科の検索もしてみました。Pteromalinae亜科になったのですが、怪しいですね。

廊下のむし探検 雑談

先日来、過去のブログに出した写真の整理をしていました。EXCELにブログの日付、和名、学名、綱、目、上科、科、亜科、備考、場所、それに、ネット上で写真を直接指定するアドレスに必要な番号を記録していきます。この後、画像リストとしてホームページに出すためのHTML文を書かないといけないのですが、実際にはEXCEL関数を使ってすでに書いてあるので、上の情報を入力しさえすればHTML文は自動的に作られます(この辺のことは以前、書いたことがあります)。

今日は試しにカスミカメムシ科について画像リストを作ってみました。こちらのページに載っているカスミカメムシ科をクリックしてみてください。



クリックすると、こんな感じで見えると思います(残りの科は新しいデータが入っていないので、古いままになっています)。

写真をクリックすると拡大します。写真の下には、和名+備考、学名、科+亜科+ブログの日付とそのリンクを載せてみました。分類と学名は「日本昆虫目録第4巻」(2016)に従っています。種についてはまだ詳しく検討してはいないので、間違っているのもあるかもしれませんが、とりあえず、形だけはできました。この写真を出したときのブログをリンクしておくと、どうやってこの名前に至ったのかとか、ブログを書いた当時のことがよく分かるので、後から見ると意外に便利です。これを全部の種でやっていけばよいのですが、学名を入力するのが大変で、当分は学名なしでやろうかなと思っています。(追記2018/01/24:こうやって作った画像リストの写真を眺めてみると、どれもこれも怪しい感じがしますね。とりあえず、不明の一つがヤサハナカメムシか、その辺りの種みたいです

今日は、この間から調べているハエやハチの乾燥した標本を三角台紙に貼り付ける作業もしました(標本の作り方については以前書いたことがあります)。後からもう一度調べることもあるかなと思って作っているのですが、標本がだんだん増えていきますね。

廊下のむし探検 カメムシ、甲虫など

廊下のむし探検 第979弾

1月18日にマンションの廊下を歩いて見つけた虫たちです。この日は暖かくていろいろな虫がいました。



見た順に書きます。まずは、マツヒラタナガカメムシです。





それに、この間から迷っているケシキスイ科の甲虫です。触角の節の形と上翅端が丸くなっているところが特徴なので、それを手掛かりに「原色日本甲虫図鑑III」とCLAVICORNIAの標本写真と比較してみました。その結果、以前考えていたように、ヒラタケシキスイ亜科のヘリアカヒラタケシキスイだと思うのですが、どうでしょうね。



この白い毛の生えているクモは3年前の2月と2年前の1月にも見ているのですが、いまだに何かよく分かりません。



こんな虫を見つけました。キジラミなどの仲間です。これは翅脈を見ればよかったのですね。



R、M、Cu脈が1点から出ているのはトガリキジラミ科です。写真がはっきりしていないのですが、この個体も確かに1点から3つに分かれています。後は、「絵解きで調べる昆虫2」の検索表を見て、いつものサトオオトガリキジラミになりました。採集したので、今度、詳しく調べてみます。



アブラムシの有翅型です。アブラムシはどう調べてよいのか分からないので、採集はパスしました。





これは以前教えていただいたヒメマキムシだと思います。ただ、撮影したときには、そのことをすっかり忘れていて、体長を測って、採集もしました。体長は2.4mm。今は冷凍庫に入っています。



変わった触角をしています。これは以前にも見たことがありました。その時はオオホコリタケシバンムシとしました。もう一度、図鑑を見てみたのですが、それでよさそうな気がします。一応、採集しました。



これはナナホシテントウ



これはキクイムシの仲間です。写真がどうもはっきりしないのですが、一応、採集したので、今度じっくり調べてみたいと思います。(追記2018/06/13:この個体はその後検索をして、Cosmoderes属のC. consobrinus ホソコキクイムシか、C. monilicollis  ツルノコキクイムシのどちらかではないかという結論になりました(詳細はこちら)。その記事にアメリカのフロリダ大学のAndrew Johnson氏がコメントを寄せられ、この個体はCosmoderes attentuatusだというコメントをいただきました)





恰好はヒョウタンナガカメムシなのですが、かなり小さなカメムシです。「日本原色カメムシ図鑑」第1巻と第3巻を何度も見直したのですが、結局、分かりませんでした。前胸背に明瞭な襟状部があること、前葉と後葉の間に段差がありそうなのですが、実は、側縁がつながっているところなど形態的にはかなり特徴があります。何でしょうね。これも採集しました。



最後はゴキブリの幼虫です。ネットで調べるとモリチャバネゴキブリの幼虫に似ているようですが、はっきりとは分かりません。ハチとハエは次回に回します。

雑談)
〇この間から、過去にブログに出した写真の整理をしているのですが、ようやく1月21日分までをEXCELに入力することができました。いつものように集計してみると、

蛾 5126枚 1014種
カメムシ(トコジラミ下目、カメムシ下目) 1353枚 141種
甲虫 3086枚 482種
その他 7265枚 685種

となりました。写真は合計16851枚、種数は2322種です。今後、これらを科別に分けたり、htmlに直したりという作業が残っていますが、ともかく、これでほっとしました。

〇足の骨折でしばらくジョギングをしていなかったのですが、昨日初めて10分ほど走ってみました。まだ、地に足がついていない感じですが、とりあえず、走っても大丈夫そうです。ようやく普段の生活ができるようになった感じがします。

廊下のむし探検 ハエ

廊下のむし探検 第978弾

1月16日にマンションの廊下で見た虫の報告が残っていました。いつもいるハエばかりであまり代り映えしないのですが、一応、記録のために出しておきます。





この変わった姿のハエは冬になってもよく見かけます。シマバエ科のStegonopsis vittipleuraというハエだと思います。





ノミバエもいっぱいいます。たぶん、Megaselia属だと思うのですが、この間も書いたようにMegaselia属には世界中で千数百種もいるので、名前まではとても分かりそうにありません。





この日はこんな色のノミバエもいました。この手のノミバエは以前亜種まで調べたことがありました。Megaselia属Megaselia亜属だったのですが、実は、もう一種いて、この写真の個体は調べなかった種の方に似ています。





キノコバエもいました。キノコバエはこれまでに検索をしたことがありません。一度、属の検索くらいはやってみようと思っているのですが、どうも形がグロテスクでちょっと苦手です。



このハエは何でしょう。



これは以前、モモグロヒラタヌカカだと教えていただいた種みたいです。これについては以前、調べてみたことがありました。触角が変わっていますね。



後はガガンボダマシ。一応、採集したのですが♀みたいなので、そのままになっています。



それからクロバネキノコバエ。これも♂だったら、一度、調べてみようかなと思っているのですが、どうも腹端が尖っている感じで、たぶん、♀でしょうね。





そして、ユスリカ。下は何となく、この間調べたニセヒロバネエリユスリカ辺りに似ている感じがします。



この日はこんな色のユスリカもいました。体長は1.9mm。♀だったので採集はしませんでした。

雑談)1月17日にブログに出した小さい方のユスリカの検索をしてみました。冷凍庫に入れておいて、出してすぐに調べたので状態は良かったのですが、なんせ小さくて交尾器のあたりの底節突起がよく見えません。たぶん、エリユスリカ亜科エリユスリカ属だろうと思ったのですが、小盾板の毛の数も分からなくて、ちょっとお手上げになっています。やはりプレパラートを作らないと駄目かな。薬品類を揃えるのが大変みたいですが・・・。

昨日、永年愛用していた携帯電話をスマホに代えました。店での手続きに2時間以上もかかり、家に戻ってからよく分からない設定をずっとやっていて本当にくたびれました。みんなよくこんなややこしい設定をやっているなと感心しました。でも、ようやく、電話とメールができるようになり、とりあえず一安心です。

虫を調べる ホホグロオビキンバエ?

先日(1月15日)、マンションの廊下を歩いていてキンバエを見つけました。普段だと大きなハエは写真だけ撮って素知らぬ顔で通り過ぎるのですが、最近は虫が少ないので、採集して調べてみました。



調べたのはこんなキンバエです。左右の複眼がくっついているので♂ですね。キンバエはクロバエ科なのですが、クロバエ科の主要な種については次の論文に検索表が載っています。

田中和夫、「屋内害虫の同定法 (3)双翅目の主な屋内害虫」、屋内害虫 24, 67 (2003). (ここからダウンロードできます)

検索をしてみると、オビキンバエの仲間になったのですが、その検索の過程を写真で見ていこうと思います。



オビキンバエの仲間であることは①から③までを調べたら分かります。その先は④b→⑤aと進めば、ホホグロオビキンバエになるのですが、やや怪しいところがあるので、載っている種をすべて書いておきました。ただ、ホホジロオビキンバエについては、「日本昆虫目録第8巻」では属が変化していたので、そのことを書いておきました。



まずは全体像です。体長は9.2mmでした。この写真では胸や腹が金属光沢であることを見ます。



この写真は勉強のつもりで、胸部の各部の名称を「原色昆虫大図鑑III」を見ながらつけてみました。



これは側面から撮ったものですが、③は白矢印で示した通り2本の剛毛があります。⑤aの中胸気門の色は確かに黒褐色です。ただ、④aが微妙なのですが、本来、ホホグロオビキンバエの頬の色は黒褐色のようですが、これはどう見ても灰色です。



これはその部分を拡大したものです。ただ、毛の色はどう見ても褐色から黒色をしています。それでホホグロオビキンバエを選んだのですが、ちょっとはっきりしないところです。



次は翅下隆起ですが、直立した刺毛がたくさん見えています。



次は翅脈です。一応、「原色昆虫大図鑑III」の絵を見て名前を入れてみました。検索表の②はこの基部の部分なので、その部分を拡大してみました。



R脈の基部というのは黒矢印の部分ですが、確かに後縁に刺毛列があります。ついでに、基部付近の翅脈の帰属を行ってみたのですが、M脈とCu脈の基部がよく分かりません。端中央板の前側にM脈の基部があり、後側にCu脈の基部があるはずなので、矢印のように解釈したのですが、ちょっとはっきりしません。



これは基覆弁を写したものですが、②と③は共にOKだと思われます。ということで、オビキンバエの仲間のうち、ホホグロオビキンバエかなと思ったのですが、頬の色が黒褐色でないところがちょっと気になるところです。

ついでに検索に使わなかった写真も載せておきます。



これは頭部です。



そして、胸部背面の写真です。剛毛に名前を付けていこうかなと思ったのですが、比較する資料がなかったので、まだやっていません。



それにこれは腹部末端の写真です。背板と腹板については上の論文に載っていたのですが、交尾器のあたりはどれがどれに当たるのかよく分かりませんでした。もう少し勉強しないと駄目ですね。

廊下のむし探検 フユシャク、甲虫ほか

廊下のむし探検 第977弾

1月16日にマンションの廊下を歩いて見つけた虫たちです。最近は暖かいのか、虫が多いです。



この日は久しぶりにフユシャクを見ました。ウスモンフユシャクですね。今年はあまり廊下を歩かなかったから見なかったのか、個体数が少なかったのか分かりませんが、一匹も見ていませんでした。とにかく見れてよかったです。



マエアカスカシノメイガもすっかり越冬組になっているようですね。





この日は甲虫もいました。これはアカイロマルノミハムシ





この日はこれに手こずりました。体長を測ると4.3mm。「原色日本甲虫図鑑III」の図版を見て、ウスグロキバケシキスイ Prometopia unidentataかなと思ったのですが、採集しなかったので、図鑑に載っている検索表は使えません。CLAVICORNIAというサイトに標本写真が載っているので比較してみると、全体はよく似ているものの、触角の節の形がちょっと違うみたいです。Prometopia属はキバケシキスイ亜科に入っていて、ほかの種はヒラタケシキスイ亜科やケシキスイ亜科に入っているので、亜科の検索だけでもある程度は分かりそうです。とりあえず、一度、採集してみたいなと思いました。



これも同じ種だと思うのですが、見ていたら翅を広げて飛び立とうとしました。





でも、途中で止めようと思ったのか、翅を畳みました。



こちらはまた違う種のようです。体長5.2mm。図鑑や先ほどのCLAVICORNIAの標本写真と比べると、キマダラケシキスイ Soronia griseaのようです。



ハネカクシもちょこちょこいるのですが、名前はさっぱり分かりません。



後はケブカカスミカメ





それにホソバヒメカゲロウ





それに、小さなハチもちょこちょこ。こんな虫たちの名前が分かると嬉しいのですけどねぇ。

散歩のついでに鳥見

骨折が治って、リハビリのために歩いています。今日は全部で4kmほど歩きました。骨折してから最長の散歩になりました。ただ歩いていてもつまらないので、デジカメを持って鳥の写真を撮ってみました。





家を出てすぐのところにイソヒヨドリがいました。ヌルデの実を食べているのかな。





河原にはキセキレイがいました。いつ見ても綺麗です。





河原にはイソシギもいました。



川を離れて畑を歩いてみました。まずはメジロです。



電柱にはムクドリが。



この日は暖かかったのですが、電線に止まっているスズメは膨れていました。





モズがいました。このモズ、かなり人に慣れているのか、畑にいる人の周りでうろうろしています。



それにコサギ。



ハクセキレイも。



ジョウビタキの♀もいました。歩いているといろいろ見られますね。



空を見上げるとオオタカが飛んでいました。もう、かなり普通に歩けるようになったのですが、まだ、足が少しむくんでいて、足首も少し痛いので、これからもどんどん歩いてみたいと思います。

廊下のむし探検 ハエばかり

廊下のむし探検 第976弾

1月15日分の残りです。最近、昼間は比較的に暖かいので、探せばいろいろと虫が見つかります。その中でも多いのはハエの仲間です。





まず初めはこのハエです。これは以前教えてもらったのですが、ブユの♂です。種が分からないかなと思って採集したのですが、♂については情報が集まりません。とりあえず、「日本昆虫目録第8巻」に載っている属をまとめてみました。



( )内の数字は種数です。これを見ると、日本産はブユ亜科だけで、また、ほとんどがSimulium属であることが分かります。次の論文には、Simulium属は世界中で37亜属1745種が記録されていると書かれていました。だとすると、この間書いたノミバエ科のMegaselium属の上をいくような大きな属です。もし、Simulium属だとすると、それから先も相当大変そうです。(追記2018/02/15:一番上はキアシツメトゲブユ♂ではないかと思っています。詳しくはこちらを見てください

Y. Otsuka, "Species Diversity of Black Fly in Southeast Asia: Phylogenetic Analysis of Three Subgenera, Asiosimulium, Daviesellum, and Wallacellum, of the Genus Simulium s. l.", 南太平洋海域調査研究報告 No. 54, 61  (2014). (ここからダウンロードできます)



こちらはヌカカです。これも採集しました。属くらいは分かるかなぁ。(追記2018/02/15:コメントをいただき、Forcipomyia属らしいことは分かりました。まだ、調べていないのですが、一応、そのように記録しておきます





これは以前見たことがあります。その時はトゲハネバエ科としたのですが、合っているかなぁ。



これはいつものシマバエ科のSteganopsis dichroaでしょう。





この2匹は分かりません。





ユスリカはたくさんいて、いっぱい撮影したのですが、とりあえず、この♂2匹を採集しました。下の方の個体はだいぶ小さかったと思います。





後はいつも見るノミバエ。ノミバエはちょこちょこと動いては止まってという行動を繰り返すので、止まるのを待って写すとうまく撮れます。



キモグリバエはじっとしているので撮影は簡単です。でも、属すら分かりません。ハエもいろいろといて、採集もしたのですが、どれもこれから先が大変です。

雑談)
〇昨日、整形外科に行ってやっと卒業することができました。思えば骨折してから2か月ちょっと。ずいぶん長く感じられました。早歩きから始めて、ジョギングもゆっくりなら始めてよいとのことでした。ちょっとだけ走ってみようかなと思ったら、今日はずっと雨。残念です。

〇これまでにブログに出した写真の整理をしているのですが、昨年の10月末までの整理が終わりました。それで、いつものように集計してみました。

蛾 5114枚 1014種
カメムシ(トコジラミ下目、カメムシ下目) 1328枚 141種
甲虫 3048枚 477種
その他 6899枚 649種

写真は合計16389枚、種数は2281種になりました。残りは11月、12月と1月半ばまでの2か月半になりました。この整理が終わると、ブログの付録に載せた画像リストを作ることができます。それをもとにして手作り図鑑を作ろうかなと思っています。まだまだ先が長いですね。

廊下のむし探検 キンバエ、ハチなど

廊下のむし探検 第975弾

昨日、マンションの廊下を歩いていて見つけた虫たちです。1月中旬ですが、昼は結構暖かくて、虫が結構いました。相変わらず、小さなハエやユスリカなどが多いのですが、まずはそのほかの虫から整理してみました。



この日はこんなキンバエがいました。こういう大きなハエは普段はパスするのですが、今は虫が少ないので採集してみました。先ほど調べてみたのですが、どうやらオビキンバエの仲間みたいです。



翅の基部を拡大してみました。R脈の基幹部後縁に刺毛列が生えています(黒矢印)。これはオビキンバエ亜科の特徴です。キンバエの検索表は次の論文に載っていました。

田中和夫、「屋内害虫の同定法(3)双翅目の主な屋内害虫」、屋内害虫 24, 67 (2003) (ここからダウンロードできます)

詳細は今度載せますが、この検索表を用いるとオビキンバエ属 Chrysomyaであることが分かりました。種については、頬の色と頬を覆っている毛の色、中胸気門の色で見分けることになっています。中胸気門が黒褐色、頬が橙黄色で同色の毛で覆われるとオビキンバエ、頬が褐色の毛で覆われるとホホグロオビキンバエ、中胸気門が白色で頬が白い毛で覆われるとホホジロオビキンバエだそうです。



これは頬の部分の拡大です。地の色の一部は橙色なのですが、大部分は灰色で、黒色から褐色の毛で覆われています。中胸気門はそのすぐ右にありますが、黒褐色です。



先ほどのは♂だったのですが、こちらは♀です。やはり頬の一部だけが橙色になっています。オビキンバエとホホグロオビキンバエの間くらいの感じですが、頬の毛の色からはホホグロオビキンバエの方かなと思いました。



そのほか、クサギカメムシもいました。



それからハネカクシの仲間です。体長を測ってみると3.8mmになりました。





小さなハチもいました。翅脈から判断すると共にヒメバチ科みたいです。上の個体については体長を測りました。3.1mmでした。上の個体は採集したので、今度科と亜科の検索をしてみたいと思います。



最後はこんなハチです。翅に大きな黒い紋があります。また、触角が変わっています。こんなところから探してみると、オオモンクロバチ科みたいです。これも採集したので、今度調べてみます。残りはハエばかりなのですが、次回に回します。

虫を調べる エリユスリカ属

昨日に引き続いて、ユスリカを調べてみました。今度は1月9日に採集したものですが、写真と採集した個体との対応がついていません。



たぶん、このユスリカかなと思うのですが・・・。採集した個体の体長は4.3mmでした。昨日と同様、「絵解きで調べる昆虫2」に載っている亜科と属の検索表で調べてみました。



まずは亜科の検索です。検索結果はエリユスリカ亜科になりました。いつものように写真で見ていきたいと思うのですが、毒瓶に入れたままにしていおいたら、ちょっと乾燥してしまいました。それで、撮影は楽だったのですが、特に交尾器のあたりがうまく写らなくて、種の同定がうまくできません。それでも、顕微鏡写真を何枚か撮ったので記録のために出しておきます。



まずは翅脈で、①も②も昨日見たものと同じで共にOKです。



②もOKです。この写真を撮った時にあれっと思ったのは盾板の刺毛列(背中刺毛)の基部が淡色になっている点です。昨日の個体はこんな感じではなかったので、たぶん、別種かなと思いました。



これも昨日と同様で、把握器が底節と関節でつながっています。



③もOKです。これでエリユスリカ亜科になりました。

次は属の検索です。



属の検索では、⑰の生殖中突起が写真でははっきりしなかったので、可能性のある属を列記しています。エリユスリカ属でなければPsilometriosnemus属になるのですが、「日本昆虫目録第8巻」によるとこの属は日本では記録されていないようなので、たぶん、エリユスリカ属でよいのではと思っています。これも写真で見ていきたいと思います。



まずは翅脈です。昨日も同じ説明をしたので、今回は説明を省略です。



複眼には毛はなさそうです。



⑦と⑧はOKでしょう。⑯の中刺毛は黒矢印の部分にあるはずの刺毛ですが、この写真では認められません。



これもたぶんOKです。



この⑧にはいつも悩まされます。今回はMND(Manual of Nearctic Diptera Vol. 1)の図に載っている名称を以前のルールに従って訳してみました。中胸に関する部分は一か所しかなかったのですが、これでよいのだろうか。いずれにしても刺毛はありそうにありません。



⑬もこの写真でOKでしょう。



これは端刺ですが、基部から中央付近までが黒くなっています。この部分が棘列だろうと思います。いずれにしても密着している感じです。



これは尾針を示した写真で、⑩と⑮はOKであるのがすぐに分かります。昨日と異なる点は尾針の形で、ほぼ同じ太さで伸びていて先端が丸くなっているところです。



これは爪の写真です。褥板は爪の基部付近にある座布団みたなものです。これにはないので⑫はOKだと思います。これで⑰aを除いてすべて確かめられました。生殖中突起は交尾器を裏側から見れば見えるはずなのですが、



底節が閉じてしまい、基部がよく分かりませんでした。でも、たぶん、エリユスリカ属で大丈夫なのではと思っています。

ここから先は種の検索ですが、何か手掛かりがないかと思って次の本を購入しました。

M. Sasa and M. Kikuchi, "Chironomidae [Diptera] of Japan", Univ. Tokyo Press (1995).

この中にエリユスリカ属 Orthocladiusの亜属と種への検索表が載っていました。ただ、「日本昆虫目録第8巻」(2014)には6亜属あることになっているのですが、上の本では2亜属。種数もだいぶ違うので、どこまで使えるか分かりません。



検索表を翻訳して、必要な部分を抜粋すると上のようになります。まず、尾針の形からEuorthocladius亜属の可能性があります。



さらに、小盾板の刺毛の数を数えると左右合わせて16本が2列程度にかなりランダムに並んでいます。こんなところからEuorthocladius亜属にしました。その先はⒷもⒸもOKで、最後のⒹの把握器は次の写真のようにはっきりとは分からないので、ここでストップになりました。



拡大してみました。うーむ、写真がやはりはっきりしませんね。さらに、次の論文を読むと、Orthoclaius亜属に含まれる glabripennis(ヒロバネエリユスリカ)もglabripennis complexとして、尾針の形や小盾板の刺毛の配列に違いのあるいくつかのタイプが含まれていました。この中には尾針が平行なものもありました。

M. Sasa, "Studies on Chironomid Midges of Some Lakes in Japan", Res. Rep. Nat. Inst. Environ. Studies No. 83 (1985).(ここからダウンロードできます)

この後の研究の進展をもう少し調べないとなんとも言えないですね。いずれにしても、もう少し採集して調べてみようかな。

虫を調べる ニセヒロバネエリユスリカ?

冬なので、ブログを2日間休んでしまいました。実は、ずっとユスリカを調べていて、なかなか決まらなくてついついのびのびになってしまいました。この間に調べたユスリカは全部で3匹です。1匹はいきなり消毒用アルコールに入れたもの、1匹は毒瓶に入れておいたら乾燥してしまっていて、もう1匹は冷凍庫に入れておいたものです。やはり、冷凍庫に入れていたものが一番新鮮で撮影もしやすかったです。それで、その個体からまとめてみました。





12月20日ごろに採集したと思うのですが、その時に写真は撮らなかったみたいで写真がありませんでした。それで、こんな写真を撮っておきました。体長は5.3mm。比較的に大きなユスリカです。全体に黒いのですが、盾板の後縁近くに3つの隆起した筋が入っているのが特徴です。

今回は「絵解きで調べる昆虫2」に載っている検索表を用いました。まずは亜科の検索です。



検索してみるとエリユスリカ亜科になりました。この3点を調べればよいので、いつものように写真で確かめていきたいと思います。



まず、②の後盾板は矢印で示したところですが、確かに縦に走る溝があります。



次は翅脈です。翅脈の名称も「絵解きで調べる昆虫2」の「成虫の形態」に載っている図を参照しました。①のMCu脈はM1+2脈とCuA脈の基幹部を結ぶ横脈で、この個体には確かにありません。一方、R2+3脈はあります。



次は前肢の脛節と第1跗節の長さの比較ですが、確かに脛節の方が長いことが分かります。



この個体は♂ですが、把握器は底節と関節でつながっています。これで、エリユスリカ亜科であることが分かりました。次は属の検索です。これも「絵解きで調べる昆虫2」に載っている検索表を用いました。



これはかなり長い道のりです。④~⑰までを調べて、たぶん、エリユスリカ属であろうということになりました。これから写真で調べていきますが、赤字は写真がないので悪しからず。



まずは横から撮影したものです。⑤は複眼を拡大しないとよくは分からないのですが、たぶん、無毛だと思います。次の⑧は本の図を見ても、どれが中胸側板域なのかがよく分からないのですが、どこにも刺毛は生えていないので、たぶん、これも大丈夫だと思います。また、前前胸側板にも刺毛が生えていないようです。



これは盾板を背側から写したものです。⑦と⑧はともにOKだと思います。⑪は翅脈の写真で見せればよかったのですが、よく分からなかったので、この写真で示すことにしました。矢印の部分に刺毛が生えているのが分かります。最後の⑯は盾板中央をを走る筋上に中刺毛の列があるかどうかですが、写真で見る限り生えていないのではと思いました。



先ほどと同じ翅脈の写真です。④も⑥もOKだと思います。



次の⑫と⑬はユスリカをアルコールに浮かべた状態で撮ったので、深度合成は使わずに、ちょっと手抜きです。でも、とりあえず、ともにOKだと思います。



次は腹部末端を背側から写したものです。先に行くにしたがって狭くなり、先端の尖った尾針があります。これで、⑩と⑮はOKです。



次は腹側からの写真です。「絵解き」に載っている図を見ると、⑰に書いてある生殖中突起は矢印の部分だと思われるのですが、よく発達しているようです。これで、エリユスリカ属 Orthocladiusになりました。

「図説日本のユスリカ」によると、♂交尾器の形は以前も調べたニセヒロバネエリユスリカと似ています。おまけに写真は以前に撮った方がだいぶ綺麗です。腕が落ちたのかなぁ。とにかく、ニセヒロバネエリユスリカ O. excavatasと類似したヒロバネエリユスリカO. glabripennisとは、「Ⓐ触角比が2.1前後でやや小さいこと、Ⓑ小盾板の刺毛が2列ないしはそれ以上であること、Ⓒは底節突起の背面突起がかなりせまくなることで識別可能」とのことです。Ⓐ触角比は調べなかったのですが、ⒷとⒸは調べてみました。



これは小盾板の写真ですが、刺毛の生えているであろうと思われるところに黄色の点をつけてみました(ちょっとはっきりしないところも3,4か所ありました)。少なくとも2列かそれ以上はあります。



これは腹部末端を腹側から撮ったものですが、底節突起には1と2があり、そのうち、2の方に透明な背面突起と黄褐色の腹面突起があります。



これは背側から撮ったものですが、背面突起は幅が狭そうなことが分かります。このことから、この個体は以前と同様、ニセヒロバネエリユスリカではないかと思いました。今回は昨年にche*rki**_y_nさんから教わったことの復習になってしまいました。問題は毒瓶に入れておいて乾燥した個体です。この個体の尾針はこんな風に尖っていなくて、ほぼ同幅で伸び、先端が丸まっています。ただ、乾燥していて写真がうまく撮れなかったのであまり期待はできないのですが・・・。これについては次回に回します。

散歩ついでの鳥見

相変わらず、骨折後のリハビリのつもりで散歩に出かけています。ただ歩いているだけではつまらないので、デジカメを持って鳥を写すことにしました。

今日は日中でも気温が1-2度しかなく、寒い一日でした。



公園に着いたらうっすら雪が残っていました。公園を通り過ぎ、林の中の道を歩いていきました。



すぐ近くの茂みに小鳥が飛び込みました。何だろうとのぞき込んだら、どうやら青色のルリビタキでした。青色は滅多にお目にかかれないので頑張って撮っていたのですが、なんせ枝が邪魔をしてうまく撮れません。撮れるのはこんな後姿ばかり。



やっと一枚だけ横から撮ることができました。





今日は住宅地周辺をぐるりと歩きました。途中でジョウビタキを見ました。この日はこんな写真だけでした。

ついでに1月7日に歩いた時の写真も載せておきます。



歩き始めてすぐに茂みでがさがさ音がしたなと思ってちょっと見たら、こんな顔がのぞいていました。立派な角ですね。



後はジョウビタキ♀。



河原の茂みにはホオジロがいました。



ここから山道を歩いたら、また、茂みでがさがさという音。今度はシロハラでした。





この日はずっと曇っていたのですが、やっと陽が差してきました。ジョウビタキも綺麗に写りました。



最後は道に出てきたアオジです。ちょっと遠かったので写真はイマイチでした。

廊下のむし探検 雑談

冬になると、さすがの「廊下のむし探検」も暇になってきました。かといって、冷凍庫にしまってある虫を一匹ずつ調べていくのもなかなかしんどいので、ついつい雑談が多くなってしまいます。

今日はノミバエについて調べてみました(最近、ヒアリの天敵として注目されています)。



ノミバエというのはこんなハエです。これは1月6日に撮影したものですが、体長はわずか2mmほどしかありません。今頃はノミバエが多いのですが、これをどうやって調べていくのか手掛かりすら見つかりません。

[1] 金子清俊ほか、「日本産ノミバエ科に関する研究 第1報」、衛生動物 12, 238 (1961) (ここからダウンロードできます)
[2] 田中和夫、「屋内害虫の同定法(3)双翅目の主な屋内害虫」、屋内害虫 24, 67 (2003) (ここからダウンロードできます)

通常、この二つの論文で属、亜属までは調べられます。でも、たいていMegaselia属になり、その先が暗中模索状態です。それで、少し文献を調べてみました。

[3] M. Buck and R. H. L. Disney, "Revision of the Megaselia giraudii and M. densior species complexes of Europe, inculding ecological notes (Diptera, Phoridae)", Beitr. Ent. 51, 1 (2001). (ここからダウンロードできます)
[4] S. Häggqvist, "A new species group in Megaselia, the lucifrons group, with description of a new species (Diptera, Phoridae)", ZooKeys 512, 89 (2015). (ここからダウンロードできます)

この二つの論文のintroductionを読んでみると、ノミバエ科は全世界で4000種が記録されているのですが、実は、Megaselia属にはその半数近くの1400種も記録されているそうです。これは動物界でもっとも種数の多い属だとか、"the Diptera enfant terrible"(たぶん、「ハエ目の厄介者」というような意味)と呼ばれているそうです。こんなに大きな属なのですが、亜属はMegaseliaとAphiochaetaという二つしかありません。いくつかの種群が作られたこともあるのですが、それも追いつかないような状態のようです。

Borgmeier(1968)はMegaselia属を8グループに分けているのですが、残念ながら論文が手に入りません。ただ、次の博士論文にそのグループへの検索表が載っていました。

W. H. Robinson, "A revision of the Nearctic species of groups I and II of Megaselia (Diptera: Phoridae)" (1970). Retrospective Theses and Dissertations. 4355.(ここからpdfが直接ダウンロードできます)

それを翻訳してみると、次のようになります。



外見でとりあえず分けたというだけで、あまり役に立ちそうな感じがしませんが・・・。でも、以前、ノミバエを調べたことがあったので、その時の写真を使って調べてみました。



こんな赤っぽい色のノミバエです。



中胸上前側板は中胸側板の左の部分ですが、確かに毛は生えていません。それで、Megaselia亜属になります。



さらに、この写真からは小盾板に刺毛は2本?。さらに、前縁脈は前翅長の51%ほどになるので、グループVIIになりました。だからと言って何か分かったというわけではないのですが、とりあえず身近にいるノミバエの違いを見るにはよいかもしれません。

論文[4]では、スウェーデン産のノミバエを使って、形態学的特徴と、分子的特徴で調べた結果、65の種群に分けることができたと書かれています。分子的特徴というのは、具体的には28S rRNAとミトコンドリア・チトクロームcオキシダーゼsubunit Iの2種の分子構造から調べたものです。分子構造やDNAで調べるとある意味で厳密な結果が出るのかもしれませんが、我々にはまったく役に立ちません。しかも65にも分けられてもなぁ。というわけで、ノミバエはまだ当分ブラックボックスのままになりそうです。

〇この間から、過去のブログに出した写真の整理をしているのですが、やっと昨年の9月末までの整理が終わりました。それで、いつものように集計してみました。

蛾 5028枚 1008種
カメムシ(トコジラミ下目、カメムシ下目) 1274枚 141種
甲虫 3013枚 474種
その他 6732枚 641種

写真は合計16047枚、種数は2264種になりました。蛾がやっと1000種を越えました。こうやって数字を出すと少しやる気が出てきます。残りは3か月分です。もう少しだ、頑張ろう!

〇骨折してからちょうど2か月になったので、久しぶりに車に乗って、家の周りだけを走ってみました。運転は忘れていなかったのですが、骨折した方の足首がまだ十分に曲がらないのでブレーキに足を軽く載せているときがちょっと辛いです。あまり遠出はできそうにありません。

廊下のむし探検 ユスリカ、ハチなど

廊下のむし探検 第974弾

今日の午後もマンションの廊下を歩いてみました。雪交じりの風が大変強く、とても撮影という雰囲気ではなかったのですが、ブログに出すネタがなくなったので仕方なく・・・。途中、フラッシュの光を拡散させる「影とり」が風に煽られ、20-30メートルも飛んでしまい、追いかける一幕もありました。







それでいたのはこんなユスリカばかりです。上2枚が♂で、下が♀ですが、たぶん、エリユスリカ亜科だと思います。





この2匹は翅脈からヤマユスリカ亜科ではないかと思っています。ヤマユスリカ亜科については年末に一度、検索をしたことがあります。その時はフサユキユスリカ属 Sympotthastia のキブネユキユスリカ、あるいは、タカタユキユスリカのどちらかではないかという結論になったのですが、そのときと同じ個体ではないかと思います。雰囲気だけですが・・・。



これは♀なのですが、何だかよく分かりません。

エリユスリカ亜科については先日何匹か捕まえていたので、2、3日前から検索をしているのですが、どうもはっきりしなくて弱っています。たぶん、エリユスリカ属で以前調べたニセヒロバネエリユスリカ Orthocladius excavatusか、ヒロバネエリユスリカ O. glabripennisではないかと思っているのですが、顕微鏡写真もうまく撮れないし、ちょっと滅入っています。

とりあえず、何枚か撮ったので載せておきます。





まずは♂の腹部末端の写真で、上が背側、下が腹側から写真です。どうも把握器先端の形が以前撮った写真と違うようで気になっています。底節突起のあたりをもう少しはっきり撮りたいと何度か撮り直したのですが、どうしてもうまく撮れません。



これは透過照明で撮ったものですが、角度が悪くて底節基部辺りがよく分かりません。もう少し頑張ってみます。



これは後脚脛節末端の写真ですが、これはまぁまぁ撮れました。ユスリカ、難しいですね。



後は山ほどいるキモグリバエ科。



それにハチでした。このハチを採集する途中で「影とり」が飛んでしまい、ハチには逃げられてしまいました。

廊下のむし探検 蛾、カメムシ、ハエなど

廊下のむし探検 第973弾

1月6日にマンションの廊下を歩いてみました。まぁ、虫はほとんど見かけなかったのですが、それでも、マンション中を探すとちょっとはいました。



まずはこんな蛾が廊下の蛍光灯に止まっていました。このような模様の蛾にはスギタニモンキリガ、ヤマノモンキリガ、スミレモンキリガという似た種がいます。「日本産蛾類標準図鑑」にはその違いが載っていて、次のような点に注目するとよいようです。



前縁の黒点の位置が内側の模様の外側で、2つの小黒点が比較的明瞭であることからスギタニモンを除外でき、さらに、前縁に台形の暗色影がないことでスミレモンが除外できます。残ったヤマノモンキリガが第1候補になります。





歩いているとこんなカメムシにも出会えました。上がクサギカメムシ、下がツヤアオカメムシです。冬になるころは山のようにいたのですが、この日は1匹ずつでした。



ナナホシテントウもいました。





この間も見たのですが、これはイダテンチャタテの♂でしょう。この冬2回目の観察です。



エビグモの仲間だと思うのですが、すごく小さいので幼体でしょう。



後はハエです。キモグリバエの仲間は相変わらずいっぱいいます。



これはシマバエ科で以前、Steganopsis dichroaとしたハエです。これについてはここに少し書きました。また、顕微鏡を使って観察したこともありました。「日本昆虫目録第8巻」を見ても和名はついていなくて、本州、九州に分布しているようです。





いつものノミバエです。後脚脛節背面に刺毛列が見えるのでMegaselia属だろうとは思うのですが、そこから先は分かりません。



今回一番時間がかかったのはこのガガンボダマシです。いつもガガンボダマシとだけ書くので、せめて属くらいは書けないかなと思って調べ始めました。「日本昆虫目録第8巻」を見ると、日本産ガガンボダマシ科は2亜科2属26種です。2属はParacladurinae(フユガガンボ亜科)Paracladura属とTrichocerinae(ガガンボダマシ亜科)Trichocera属です。しかも、本州近畿産は11種。これは何とかなるかもと思ったのが時間がかかったもとになってしまいました。



まずはガガンボダマシ科であることは単眼があることと、この写真のようにA1脈が強く湾曲することですぐに分かります。属の検索は次の本に載っていました。

P. M. Johns, "Trichoceridae of the Southern Islands of New Zealand", J. Roy. Soc. New Zealand 5, 493 (1975).

これによると、前脚跗節第1節が相対的に長いことと脛節棘があることで、Trichocera属であることが分かります。Trichocera属は大きな属で本州近畿産に限っても10種います。そこで、亜属を調べてみようと思いました。「日本昆虫目録第8巻」にはMetatrichocera、Saltrichocera、Trichoceraという3亜属が載っているのですが、論文を見ると、2亜属だったり、Oligotrichocera亜属があったり、さらには、いろいろな種群が出ていたりとまちまちです。これで混乱してしまいました。結局、次の4つの論文を読んで、その事情をまとめてみることにしました。

E. Krzeminska, "The hiemalis species group of the genus Trichocera Meigen (Diptera: Trichoceridae)", Pol J. Entomol. 65m 279 (1996). (ここからダウンロードできます)
E. Krzeminska, "A new subgenus and two new species of the genus Trichocera Meigen, 1803 (Diptera: Trichoceridae)", Annal. Zoolog. (Warszawa) 52, 155 (2002). (ここからダウンロードできます)
T. Nakamura and T. Saigusa, "A revision of the Japanese species of the subgenus Metatrichocera Dahl, 1966 of the genus Trichocera Meigen, 1803 (Diptera; Trichoceridae)", Nature and Human Activities 2, 59 (1997). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)
T. Nakamura and T. Saigusa, "A New Japanese Species of Trichoceridae (Diptera) Belonging to the Trichocera rectistylus Species Group Hitherto Unknown from East Asia", Esakia 52m 41 (2012). (ここからダウンロードできます)

それをまとめたのが次の表です。



いくつかの論文が手に入らないので、間違っているかもしれませんが、一応、時系列に従って説明していくと次のようになります。まず、Dahlが♂の特徴的な交尾器の形から、従来までTrichocera属にまとめられていた種の中からluteaを模式種としてMetatrichocera属を独立させました。これは後に、Trichocera属の亜属に降格されました。その後、この亜属にはぞくぞく種が入れられ膨らんでいきました。もともと、交尾器の形も独特の形のものもあれば中間的な形もあったからです。一方、Metatrichocera亜属に入らないものは、すべてTrichocera亜属に入れられたので、こちらもどんどん種が増えていきました。そこで、これらを整理するために、Krzeminskaはまず、Trichocera亜属の方を3つの種群(sp. g.)に分けました。ところが、Staryはそのうちhimemalis種群だけをとりだし、これをTrichocera亜属として、残りをMetatrichocera亜属にしてしまいました。また、同時にhimemalis種群に合わない一群をrectisylus種群としました。これに対して、KrzeminskaはMetatrichocera亜属に入れられたsaltator種群を亜属に格上げし、Satrichocera亜属としました。

たぶん、この状態が現在にまで続いているのではないかと思います。なお、Oligotrichocera亜属はバルチックアンバー(バルト海沿岸で採れる琥珀)内で見つかった始新紀の種について与えられた名前のようです。研究者がお互いに相談しながら分類を進めていけばよいのでしょうけど、それぞれに主義主張があって、それぞれが勝手に進めていくというのは分類だけに関わらずどの分野でも一緒です。でも、これが妥協せずに科学を発展させていった原動力にもなっていることも事実です。ただ、後から門外漢がその過程を見ると実にややこしいことになっています。いずれにしても、これらの分類は基本的に交尾器の形をもとにしているので、上の写真ではどうしようもありません。今度、一度捕まえて調べてみたいなと思います。

リハビリついでの鳥探し2

鳥の写真がもう少し残っていたので、早めに出しておきます。あまり鳥ばかり出していると、何だか「廊下のむし探検」らしくなくって。



12月27日分です。川にイソシギがいたので、追いかけて撮っていたら、偶然、イカルチドリも写っていました。この写真を見るまで、そこにいるとは全く気が付かなかったのですが・・・。



イソシギはテレコンをつけて拡大したのですが、あまりはっきりとは写りませんでした。



これは12月31日に散歩したとき撮ったものです。エナガは可愛いですね。でも、動き回るのでなかなかうまく撮れません。これはたまたま止まったときに撮ったものです。ほかにもいろいろな鳥を撮ったのですが、どれもパッとしないので省略です。



次は1月2日の散歩のときに撮ったものです。足の骨折後のリハビリにつもりで散歩を始めたのですが、このころになるとだいぶ撮影の方に力が入ってきました。しゃがむこともできるようになったし・・・。これはモズです。



センダンの実はいっぱい成っているのですが、鳥は意外に来ませんね。





ホオジロが川で水浴びしていました。これは橋の上から撮ったものです。結構、寒かったのですが、意外に平気ですね。今の季節、とても水の中に入る気がしませんが・・・。



最後はキセキレイです。ちょっと上から目線になってしまいました。これで溜まっていた鳥の写真は全部です。これからは虫を出すことにしますね。

リハビリついでの鳥探し1

11月中旬にジョギングをしていて足を骨折、12月中旬にギプスが外れたので、そのリハビリを兼ねて散歩に出始めました。ただ歩いていてもつまらないので、ついでに鳥の写真でも撮ってやろうと思ってカメラを持って歩き始めました。前回は一昨日の1月4日の写真を出したのですが、実は12月下旬からカメラを持ってぼちぼち歩き始めていました。最初の頃はしゃがむこともできなかったので、カメラが固定できなくて、いい写真がなく埋もれていたのですが、折角、「鳥探し」という書庫を作ったので、ついでに入れておこうと思って出しておきます。あまりいい写真はないですよ。

まず、12月23日分です。この時に初めて靴を履いてちょっと散歩をしてみました。



川にコサギがいました。ちょっと逆光気味だったのですが、水が光って綺麗なので撮ってみました。



用水路脇にカラスウリの実がなっていました。1か月以上、散歩に行かなかったので、久しぶりに自然を見てなんだか懐かしい気がしました。



ホオジロです。畑に張った網に止まっていました。ホオジロも久しぶりですね。





土手のフェンスにもホオジロがいました。



こんなに細長くなるのですね。



河原のコセンダングサにはモズが止まっていました。しゃがむことができたらもう少しちゃんと撮れたのですが、やや不安定に立ったまま撮ったのでこんなところが精一杯でした。



川の中のキセキレイです。これもちょっとぶれています。

この日はこのくらいでした。でも、カメラを持つと楽しいですね。翌日も同じ場所を行ってみました。



やはりコサギがいました。これは橋の上から撮ったものです。



コサギは結構たくさんいますね。



セグロセキレイもいます。



民家の屋根にはイソヒヨドリ



土手のフェンスの上にはコサギが止まっていました。やはり外を歩くと楽しいですね。この翌週に整形外科に行ったら、サポータもせずにもう靴を履いて歩いているのですかと呆れられてしまいました。まだ、サポータで固定して松葉杖を使って歩いていなければいけなかったみたいです。

リハビリを兼ねて鳥探し

昨年の11月中旬に足を骨折して、12月中旬にやっとギプスがはずれました。1か月間足を固定していただけで、関節の動きが悪くなり、バランスもうまくとれなくなってしまいました。それで、この間からリハビリを兼ねて散歩に出ているのですが、ただ、歩いていてもつまらないので、鳥の撮影を始めました。「廊下のむし探検」とは直接関係しないのですが、記録として写真を出しておきます。



歩き始めてすぐに、街路樹の上で音がするなと思って見上げたら、頭のすぐ上にコゲラがいました。距離が近すぎてうまく撮れません。



それで、ちょっと離れて撮りました。何かくわえていますね。



離れたところにメジロがいたのですが、少し遠すぎました。



道路の向かい側にイソヒヨドリがいました。



石垣を見上げています。



いきなり石垣を登り始めました。石の隙間にある何かを落としては下に降りて食べているようです。



ツグミがいました。背景がちょっとごちゃごちゃしてしまいました。



河原に着くと、あちこちで地鳴きが聞こえました。出てきたところを撮ったらアオジでした。



畑の中の道にハクセキレイが止まっていました。



畑の周りに張った網にはセグロセキレイが。



シジュウカラが何かくわえています。ちょっと枝が邪魔ですね。



こんなところにもイソヒヨドリがいました。



川にはカワセミがいたのですが、ちょっと遠かったですね。





国道沿いの歩道にジョウビタキの♂がいました。綺麗な色です。



空を飛んでいたのはトビのようです。



国道をはずれて畑の方に行ってみました。まずはモズがいました。



ジョウビタキの♀がいたのですが、これもちょっと遠かったです。





また、ジョウビタキ♂がいました。

鳥がいろいろいて楽しかったのですが、撮影に夢中になり、ちょっと歩きすぎました。リハビリのレベルを越えてしまったのではないかとちょっと心配です。

廊下のむし探検 雑談

「明けましておめでとうございます」と言いながら、正月からずっとハエの顕微鏡写真を出し続けてしまいました。昨日はマンションの廊下でも歩こうと思ったのですが、昼なのに気温は2-3度、雪もちらちらして、とても虫なんかいそうにはありません。それで、以前撮った顕微鏡写真の整理にと思ってブユを出しました。

思えば、昨年はいろいろなことがありました。右眼の視力が落ちたり、右肘の腱鞘炎になったり、右足の骨折をしたり・・・。どういうわけか全部、右ばかりです。眼の方はほかにも単眼がいくつかあるので何とかなるのですが・・・(冗談です)。とりあえず、だいぶ慣れてきました。腱鞘炎の方はまずまず治ったのですが、筋肉が一部固まってしまったようで、ある程度以上の重いものを持つとやはり痛みます。足の骨折自体は治ってきて、かなり普通に歩けるようになりました。でも、まだ足がむくんでいて、歩くと関節のあちこちが痛む状態です。昨日、片足立ちをしてみたら、10秒ほどしかもちません。たった1か月ほどのギプスだったのですが、調節機能がずいぶん落ちたようです。こちらはリハビリを兼ねて、散歩をするようにしています。

正月は寒かったし、足もこんな具合なので、初詣にも行かず、自宅でこれまでブログに出してきた写真のデータをExcelに入力する作業をしていました。ブログの日付、和名、学名、綱、目、上科、科、亜科、備考、ブログの写真やブログを引用するために必要なデータ、採集場所などなどです。ちょっと見ると入力が大変そうなのですが、新しい種でない限りは以前のデータをコピペするだけなので意外に簡単です。昨日、やっと去年の7月終わりまでのデータを入力しました。そこまでの写真枚数と種数を集計してみると、

蛾 4903枚 993種
カメムシ(トコジラミ下目、カメムシ下目) 1209枚 138種
甲虫 2951枚 472種
その他 6422枚 618種

となりました。写真は合計15485枚、種数は2221種になります。種数は名前の分かったものだけなので、分からない種がこれの2、3倍はいると思います。蛾やカメムシはほとんど名前が分かっているのですが、甲虫とその他(ハチ、ハエ、ヨコバイ・・・)の大部分は名前が分かっていません。また、ブログに出した通りにリストを作っているので、名前や分類の間違っているものも多いと思います。こちらの方は画像リストができてから検討していきたいと思っています。ただ、訂正はできたらブログの訂正も同時にしたいと思っているので、意外に大変です(-_-;)。

こうしてリストが出来上がったら、それらをまとめて図鑑のような形にしたいなと思っています。一応、原型は出来上がっているのですが、リストつくりが先だと思って今は止まっています。以前、小学校で話をするついでに簡単な虫の手作り図鑑を置いてきたら、子供たちにはかなり好評だったらしいので、少し子供用も作ってみようかなと思っています。

今朝は夢を見ました。南アの北岳山荘から写真展を開きたいので、景色でも花でも虫でも何でもいいからお願いしたいという夢のような夢の話です。若いときには北岳に季節を問わず何度も登ったのですが、写真は全然撮っていないし・・・。とりあえず、冬山でも登ってくるかと思って、道具の準備を始めていたら、そう言えば、足を骨折したんだっけ。どうしよう。今更、断れないし・・・。という変な夢でした。

虫を調べる オオイタツメトゲブユ?

正月早々、ハエの話ばかりで申し訳ないのですが、12月18日に見たブユの顕微鏡写真が撮ったままになっていました。実は、採集してから毒瓶に入れていたらやや乾燥してしまって、顕微鏡写真もあまりうまく撮れなかったので、出すのを止めようかなと思ってそのままになっていました。でも、次回、採集したときの参考くらいにはなるかなと思ってまとめてみました。



対象とするのはこんなブユです。体長を測ってみると、3.9mm。まぁまぁの大きさです。でも、ブユと聞くだけであまり調べたくなくなってしまうのですが、これも勉強だと思って調べてみました。まず、左右の複眼が離れているので♀だと思われます。この個体については以前、採集したときに少し書きました。

日本産ブユ科については、だいぶ古いのですが、次の論文に検索表が載っています。

緒方一喜、佐々学、「日本産ブユ科 Simuliidae の種の検索表と薬剤によるブユ幼虫の駆除法について」、Medical entomology and zoology 6, 10 (1955). (ここからダウンロードできます)

この論文には25種が載っていて、種までの検索表も載っています。これを使ってみることにしました。以前にも書いたのですが、検索してみると、アオキツメトゲブユ Simulium (Odagmia) aokiiになりました。実は、「日本昆虫目録第8巻」では、アオキツメトゲブユはオオイタツメトゲブユ Simulium (Simulium) oitanumのシノニムになっています。でも、この論文当時には現在とは亜属も違い、oitanumとaokiiは別種とされていました。とりあえず、この論文に従って検索を進めていきたいと思います。



検索表のうち、必要な部分だけを抜粋したものです。全部で8項目を調べると、アオキツメトゲブユにたどり着くのですが、途中、写真ではよく分からないところもありました。本当はもう一度、撮り直したかったのですが、乾燥してしまって駄目になりました。とりあえず、部位別に見ていきます。



これは背面からの写真です。パッと見た感じ、白斑などはありません。



次は横からです。この論文の検索表には絵が載っているので使いやすいのですが、中胸側膜部というのがよく分かりませんでした。一応、それらしい場所を矢印で示したのですが、実は、はっきりとは分かりません。でも、とりあえず、この辺りに毛がないので、⑥はOKでしょう。後は脚の色に関してで、まぁ合っているのではと思いました。



次は翅脈です。翅脈の名称はMNDを参考にしてつけたのですが、これでよいのかどうかよく分かりません。①はRsが分岐していないのでOKです。次は翅の基部付近を拡大してみます。



②の小翅室はCu脈とM脈の基部にできる小さな翅室のことですが、これにはありません。また、Sc脈には毛が生えていますが、R脈の基部には毛は生えていません。これで②も③もOKでしょう。この写真を見てちょっと疑問に思ったのは、M1とM2がこんな基部近くで分岐していいのだろうかという点と、M脈とCu1脈が共通の基部から分岐していて、Cu2脈だけが離れたところから出ている点でした。翅脈に関する文献を探したのですが、書いてある論文が見つからなくって、まだ、解決していません。



次はC脈(前縁脈)の基部付近を拡大したものです。よく見ると、細長く伸びた毛と短く太い毛が混じっていることが分かりますが、これが①でいう細毛と棘毛だと思われます。論文には絵が出ていたので、それと比べて判断しました。



次は脚の跗節にある跗突起と跗括部に関してです。跗突起は跗節第1節末端にある突起で、この写真に示すものでよいと思われます。跗括部は第2節にある凹みを指しますが、ありそうでなさそうで、顕微鏡で見てもよく分かりませんでした。跗節第2節基部の黄色の部分が少し凹んでいるような気がするので、その部分かなと思っていますが・・・。検索する上では、②では小翅室のないことは確かなので、たぶん、大丈夫だと思われます。



で、これは脚の爪です。矢印の部分を中央歯というようで、これは相対的には大きな歯の方だそうです。これについては以前の記事に書きました。

交尾器についてはよく分からないので、省略しました。ということで、アオキツメトゲブユになったのですが、上にも書いたようにこれは現在ではオオイタツメトゲブユになっています。この種は北海道から九州まで分布して、私の住む大阪にいても不思議はないようです。もっとも、最近の論文が見つからないので、近縁種があるのかどうかよく分かりませんが・・・。

虫を調べる モリノキモグリバエ属(続き)

昨日の続きでモリノキモグリバエ属らしきハエを調べました。



対象としたのはこんなハエで、12月30日に捕まえたものです。昨日、MND(Manual of Nearctic Diptera)に載っている検索表で検索した結果、モリノキモグリバエ属 Rhodesiellaにはなったのですが、MNDにはこの属に1種しか載っていないようなので、ちょっと不安に思って別の検索表でも調べてみました。

P. T. Cherian, "Chloropidae (Siphonellopsinae and Rhodesiellinae) Part-1", "Fauna of India", Vol. IX, Zoological Survey of India (2002). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

用いたのはこの本に載っている検索表です。ただし、MNDではRhodesiella属はナガミャクキモグリバエ亜科 Oscinellinaeに入っているのですが、この論文ではRhodesiellinae亜科Rhodesiellini族に入っていました。「日本昆虫目録第8巻」(2014)はMNDと同じなのですが、2012年に出されたチェックリストによるとRhodesiellinae亜科になっていました。

E. P. Nartshuk, "A check list of the world genera of the family Chloropidae (Diptera, Cyclorrhapha, Muscomorpha)", Zootaxa 3267, 1 (2012).(ここからダウンロードできます)

どちらがよいのでしょうね。このチェックリストによれば、日本産キモグリバエ科でRhodesiellinae亜科に入っているのは次の3属でした。

Stenoscinini族 Psilacrum
Rhodesiellini族 Rhodesiella
Scoliophthalmini族 Scoliophthalmus

いずれも違う族に入っているので、族の検索だけでも調べることができそうです。Cherianの本に載っている検索表に従って調べていくと、やはりRhodesiellinae亜科Rhodesiellini族になりそうなことが分かりました。その先の属については日本にはいないいろいろな属が載っているので、Rhodesiella属に関する項目だけを使うことにしました。検索表で必要なところだけ書くと以下のようになります。



ⒶからⒸまでが亜科の検索、ⒹとⒺが族の検索、それに属の検索表のうちRhodesiella属に関するものだけ書いたものがⒻです。これをいつものように写真で調べていきたいと思います。



まずは横からの写真です。この写真からはⒺの項目を調べることができます。



次は顔面を斜め下から撮ったもので、狭い頬を示す写真です。実は、Ⓔに頬が直線状と書かれている意味が分からなかったのですが、この写真を見ると、何となく分かります。頬の下縁に毛も生えています。



Ⓐ、Ⓓ、Ⓔはいずれもこの写真から分かります。



剛毛の長さの比較は写真では分かりにくいので、こんな写真を撮りました。これならよく分かりますね。



Ⓐはすぐに分かります。Ⓕは写真では分かりにくいのですが、確かに翅後剛毛の方が長くなっていました。Ⓓの前半については、ネットで調べると、属によっては盾板に黒い縦筋の模様のあるものもいるようです。後半についてはちょっと見た感じでは盾板を横切る横溝など見えないような気がしますが、横から撮るとはっきり分かります。



いずれにしても盾板の中心部分は見えないので、ⒹでOKだと思われます。



次は胸部側面です。上前側板には毛が生えています。下前側板にも少し生えていますが、剛毛と呼ばれるようなものは生えていません。



これは小盾板を写したものです。形が三角形状というのはよく分かります。小盾板端剛毛が瘤あるいはいぼ上に生えるというのは写真の矢印の部分の突起を指しているようです。その部分を拡大します。



あまり綺麗に写らなかったのですが、わりに形のよい台座の上から剛毛が垂直に生えているのが分かります。これのことかなと思いました。端剛毛の横にある亜端剛毛は短いのですが、同じような台座から生えていました。



最後は翅脈です。R4+5脈が末端部分で前方に曲がるというのはよく分かりませんでした。本に載っているRhodesiella属の翅脈を見ても曲がっているようには見えません。その他の項目についてはその通りだと思いました。

ということで、項目はほぼ満足されたので、たぶん、モリノキモグリバエ属 Rhodesiellaで合っているのではと思っています。これから先の種の検索表はインドと日本では種がまったく異なるので、ちょっと適用することができそうにありません。ただ、ヤマギシモリノキモグリバエRhodesiella yamagishiiはこの本で、R.. hirtimanaとシノニムとされています。これについては以前にもこのブログに書いたことがあります。これに対して、翅脈は明らかに違うので別種であるというのが上宮氏の主張です。

K. Kanmiya, "Chloropidae (Diptera) from the Akasaka Imperial Gardens, Tokyo", Mem. Natn. Sci. Mus., Tokyo, (39), March 25 (2005). (ここからダウンロードできます)

そこで言われている翅脈の比較もしてみたのですが、ちょっとはっきりしないところもあるので、また、別の機会にします。

虫を調べる モリノキモグリバエ属?

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

正月早々で恐縮なのですが、年末に捕まえたハエを調べたので、それについて書いてみようと思います。



対象となるハエはこれで、以前、ヤマギシモリノキモグリバエだと教えていただいた種と似ています。たぶん、そうだろうと思ったのですが、自分で属まで調べたことがなかったので挑戦してみました。過去に出した記事を見ると、科については以前、調べたことがありました。今回は科の検索は省略して、その先の属の検索をしてみようと思います。検索表にはいつもの本(MND)を用いました。

"Manual of Nearctic Diptera", Vol. 2, Research Branch Agriculture Canada, Monograph 28 (1987). (ここからダウンロードできます)

ヤマギシモリノキモグリバエはモリノキモグリバエ属 Rhodesiellaに入っているのですが、検索をしてみると、確かにRhodesiella属になりそうです。この属に達するかどうかは次の各項目を調べることで確かめることができます。



全部で10項目あり、若干不安なところもあるのですが、一応、部位別にこれらの項目を見ていきたいと思います。



まずは全体像です。体長は2.5mmでした。検索表のいくつかの項目はこの最初の写真からでも調べることができました。①、②、⑧、⑨ともこの写真を見るとすぐに分かります。



次は綺麗な青色の見える頭部です。この部分を単眼三角板というべきか、前額帯と呼ぶべきなのかはよく分かりません。この写真では額眼縁剛毛が多数の短い後ろ向けの剛毛からできていることを確かめます。これが③の前半部分です。次の単眼剛毛についてはどうも分かりません。この写真からは、剛毛はほぼ直立して、互いに発散的に生えているように見えるので、項目の記述と合いません。これはSiphonellopsinae亜科Apotropina属を除外する項目なのですが、最初の額眼縁剛毛については間違いようがないので、たぶん、大丈夫だと思います。⑦は写真からOKであることが分かります。



次も微妙な項目です。顔面に隆起線があるかどうかですが、白矢印のように中心に縦の隆起線がわずかに見えています。その部分を倍率を上げて拡大してみます。



矢印のように中心に縦の隆起線があることは確かですが、低い隆起なので、たぶん、⑥はOKなのではと思いました。



次は背側から写した写真です。⑩はOKですが、⑧はややこしいです。背側剛毛は矢印で示した剛毛だと思いますが、一つが前、一、二本が後ろというのが合点行きませんでした。共に、横線前なので、二本とも前ではないかと思ったのですが・・・。j残りの剛毛は写真に示した通りで大丈夫だと思います。ただ、体色が黒くて剛毛も黒いためかなり見にくいです。



次は側面からの写真です。この胸の部分を拡大します。



③の後前胸背板は肩瘤のことで、ここには中心に向かう強い剛毛はないのでこの項目はOKだと思います。⑥もOKでしょう。⑩の上前側板の毛は見にくいのでさらに拡大します。



確かに長い毛が生えていました。これで、⑩もOKとなりました。



次は翅脈に関するものです。②は前縁脈がM1+2まで届くかどうかで、写真のようにM1+2まで届いています。なお、原文ではM1となっていたのですが、「原色昆虫大図鑑III」に翅脈の名称を合わせたためにM1+2になりました。⑤に載っているcostal sectorは上の写真のように分けることが、検索表に付随した図に載っていました。これによると、2ndの方が明らかに3rdよりは短いので、例外の方の記述に従い、R2+3が凹型に前縁に向かっていることを見てOKとしました。なお、2nd costal sector/3rd costal sectorの比をcostal indexと言って、ショウジョウバエ科などではよく使われている指標になっているようです。



最後は後脛節についてですが、何度見ても脛節器官(tibial organ)らしきものは見当たりません。「通常」と書いてあるのでよいことにしました。④の脛節刺はありませんでした。

ということで、いくつか怪しいところもあるのですが、一応、すべての項目をクリアしたので、モリノキモグリバエ属 Rhodesiella属でよいのではと思っています。ただ、MNDに載っているRhodesiella属は1種のみなので、ちょっと不安も残りました。そこで、別の検索表でも試してみることにしました。これについては次回に回します。なお、「日本産昆虫目録第8巻」によると、Rhodesiella属にはspを含め9種載っていました。そのうち、本州産は7種。種まではまだまだです。
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