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廊下のむし探検 ハエやら、蛾やら

廊下のむし探検 第972弾

大晦日、紅白歌合戦を見ながら、こんな冴えないブログを書いています。昨日、マンションの廊下で見つけた虫たちのことです。



歩き始めて探しても虫がちっともいません。いるのはこんなキモグリバエの仲間ばかり。仕方ないから一枚写しておきました。毎年、冬になると大量にやってくるので、先日、属くらいは決めてやろうと思って検索をしたのですが、単眼三角板の毛のところでつかえてしまって属が決まりませんでした。



ユスリカ♂もいたので、写真を撮ってから採集したのですが、ユスリカの検索は大変で、まだやっていません。明日にでもやろうかな。正月早々にユスリカというのもどうかなぁ。



しばらく歩いていたら何か動くものが・・・。撮ってみたらいつものノミバエでした。



ナナホシテントウもいました。



廊下の手すりの上で向こう側を向いて止まっているハエがいました。横から撮ったのですが、いつものシマバエ科のSteganopsis vittipleuraみたいです。



これはクロバネキノコバエです。



こちらは壁にくっついて死んでいたのですが、翅脈から見ると、これもクロバネキノコみたいな感じです。かなり雰囲気が違うのですが・・・。



小さなハエがいたので、一応、撮影してから採集しました。拡大してみると、以前見ていたヤマギシモリノキモグリバエだとしていたハエとよく似ています。



顕微鏡で頭部を撮ったら、以前に科の検索をしたときに撮った写真とよく似ています。青色が大変綺麗です。やはり同じ種かもしれませんね。今度は頑張って属の検索をしてみようと思っています。



また、ユスリカ♂がいました。こちらはパスです。



これはサラグモの仲間かな。



虫はこんなところかなと思ってキモグリバエをもう一度写しておきました。



そうしたらマンション中を歩いて最後にゴミムシを見つけました。どうせ名前は分からないだろうと思って調べていません。



ついでにチャタテです。これは見覚えがあります。イダテンチャタテですね。いつも公園の桜の木の幹で見つけているのですが、マンションでは初めてかな。



エレベータホールでも蛾がいました。キマエキリガ



そして、こちらはタマナヤガかな。探せばそこそこいますね。それにしても、フユシャクが一匹も見つかりません。どうしたのかな。
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虫を調べる コガネコバチ科(続き)

先日、マンションの廊下で見つけたコバチで悪戦苦闘しています。以前からコバチの仲間の検索は失敗ばかり繰り返していたので、苦手意識を払しょくするために是非とも調べてみようと思って挑戦しています。



対象としているのは12月14日に見つけたこんなハチです。体長を測ると3.7mm。それほど小さいというわけではないのですが、いざ調べようと思うとやはり小さいです。顕微鏡で写真を撮るとき、エアコンを入れていると風で翅が揺らいだりするので、撮影はエアコンを切って寒い中で行っています。さて、先日、科の検索を行い、コガネコバチ科らしいことが分かりました。この前提が崩れると、また、駄目になってしまうのですが、とりあえず、コガネコバチ科だとして、その先の亜科の検索をしてみました。

コガネコバチ科はコバチ上科の中ではその他大勢を収容する科となっているので、科の特徴となる形質のはっきりしていないところがむしろ特徴になっています("Hymnoptera of the World"による)。そんなわけで亜科や属の検索は避けていたのですが、亜科の検索ぐらいは試してみようと思ってやってみました。属についてはBoucekの論文(1991)に図解検索表が載っているのですが、全部で300項目以上もあってなかなかやる気が起きません。亜科の検索表は次の本の検索表を用いました。

[1] C. M. Yoshimoto, "The Families and Subfamilies of Canadian Chalcidoid Wasps (Hymenoptera: Chalcidoidea)", The Insects and Arachnids of Canada Part 12, (1984). (ここからダウンロードできます)

その結果、Pteromalinae亜科になったのですが、その過程を示すと次のようになります。なお、日本産の亜科との対応などは後で載せます。



全部で11項目あるのですが、これをまた、写真で確かめていくことにします。いつものように検索順ではなく、部位別に見ていきます。今回はこのすべての項目を確かめることができました。なお、赤字は原文が間違っているのではないかと思って、訂正したところです。



まずは、背側から写したものです。産卵管があるので♀は確かです。この写真から、Ⓑ、Ⓕともに大丈夫だと思われます。



次に横からです。Ⓐの三角状というのは、文献[1]に絵が描かれていて、上から見ると菱形、横からみると三角状の腹部を持つ種がいるようです。それとは明らかに違うので、OKとします。



次は頭部です。触角挿入部が頭盾や口器から離れていることは一目瞭然です。Ⓗのcrestについても本に絵が載っていました。これとはまったく違うので、Ⓗも大丈夫でしょう。



Ⓔについては頭頂には目立った剛毛はありません。小盾板には黄矢印で示すような剛毛が縦に4本、脇に小さなのが1本生えていました。縦に4本並んでというところは合っているのですが、特に溝のようなものがないので、たぶん、OKなのでしょう。ⒿもⓀも書かれている通りだと思います。



次は胸部側面の写真です。Ⓐのprepectusは日本語訳が見つからないのですが、前胸背板に融合はしていないことは確かそうです。



Ⓒの項目でちょっと躓きました。この文章は検索表によくあるタイプで、長々と書かれた特徴を持つグループと、その特徴すべてを持つことはないというグループに分けているところです。文献[1]の原文には「後翅には明確な縁紋を持たない」とあるのですが、後翅の縁紋とはどれを指すのか分からないので、これに該当するBrachyscelidiphaginae亜科の説明を読んでみると、縁紋の有無については前翅に対してで、後翅はbasal veinについて書かれていました。そこで、上のように変更しました。径室は黒矢印で書かれた部分にある径室で、この写真では全く室の形をしていません。Brachyscelidiphaginae亜科では径脈が曲がって、不完全ながらも閉じた室のような空間を形成しています。また、脈の先端がちょっと膨れているところを縁紋と呼んでいるのですが、Brachyscelidiphaginae亜科ではまったく膨らんだところがないので、これもOKなのでしょう。Ⓕはその通りだと思います。



こちらは後翅ですが、矢印の部分をbasal veinと呼ぶようです。この個体にはあります。でも、特徴すべてを持っているわけではないので、ⒸはOKだと思われます。



次は前伸腹節あたりを写しました。気門は前伸腹節前縁付近にあります。



中胸盾板にある溝をnataulusと呼びますが、これについて以前にも書いたことがありました。このnotaulusにより中胸盾板は中葉と側葉に分かれます。notaulusは体に沿った間接飛翔筋の縦走筋と背腹筋を分ける甲の境目(分隔甲)を表しているとのことです。この個体ではnotaulusの発達が悪く、後縁まで達していません。これがⒼです。なお、notaulusの複数形がnotauliです。



これは腹部の写真で、腹部の節は文献[1]に従って前伸腹節を入れない見かけの節の番号を書いています。第1節は特に大きくないので、ⒻはOKでしょう。



触角は13節で環状節は2節でした。環状節の部分を拡大します。



こんな感じになります。



最後は後脚脛節末端の刺ですが、1本だけありました。したがって、ⒿもOKでしょう。ということで、検索の結果はPteromalinae亜科になりました。合っているとよいのですけど・・・。

さて、九大昆虫学データベースによると、コガネコバチ科には111種が載せられています。それぞれを亜科と属に分けて書いてみると以下のようになります。



亜科もいろいろとあるのですが、Pteromalinae亜科は特に属が多いですね。なかなか前途多難のようです。なお、( )内は種数です。ところで、検索に使った検索表にはここに書かれた亜科すべてが載っていたのでしょうか。それを調べてみました。



左の欄が九大に載っている亜科、中央の欄が検索に用いた文献[1]に載っている亜科、そして、一番右の欄はUniversal chalcidoidea Databaseに載っている亜科で、最新のものではないかと思われるものです。なお、( )内は属の数と種の数が載っています。九大に載っている亜科のうち赤字で示した2亜科は用いた検索表に載っていないのですが、一番右欄には載っていました(赤の破線でつないでいます)。この結果、今回の検索ではPteromalinae属になったのですが、HerbertiinaeとElatoidinaeの可能性も残しておくことにします。いずれにしても、Pteromalinaeは巨大な亜科で、全世界では314属もあり、これから先はなかなか大変です。



ついでに、検索に用いなかった写真も載せておきます。これは後脚転節を撮ったものですが、どうも2節には見えないので弱っています。



そして、これは頭部と胸部を腹側から撮ったものです。

コバチも亜科まで進むことができて喜んでいます。ここから先は属なのですが、果たしてうまくいくかどうか。正月にでも試してみようかな。

虫を調べる コガネコバチ科

12月14日にマンションの廊下でこんなハチを見つけました。



大きさは3-4mmのこんな小さなハチです。見るからにコバチの仲間ですね。先日、カタビロコバチ科か、コガネコバチ科でだいぶ迷ってしまったので、これも練習だと思って採集して検索してみました。

検索表にはいつもの「絵解きで調べる昆虫」を用いました。その結果、コガネコバチ科になったのですが、その過程を示すと次のようになります。



コバチ上科は科が多いので、科を調べるだけでもこれだけ調べないといけません。これをいつものように写真で見ていきたいと思います。



体長は図のように測って3.7mmになりました。①、④、⑤は脚が特に肥大したりしてないことから確かめることができます。⑫は中胸盾板(小盾板?)後縁と前伸腹節に段差のあるマルハラコバチ科ではないことを見ます。



これは背側から見たところですが、触角が肘状に折れ曲がっていることはすぐに分かります。これが⑥です。また、体は金属光沢を持っています。これが⑧です。



次は顔面の拡大です。触角の挿入部が中心寄りであることは見たらすぐに分かります。



今度は胸部を背側から写したものです。⑥と⑧は矛盾した表現ですが、比較する相手で表現がこんなにも変わるのでしょう。背面から前胸背板が見えることは確かなので、共にOKでしょう。また、⑬もすぐに分かります。




次は胸部側面からの写真です。まず、各部の名称をつけてみました。利用したのは次の本とサイトです。

C. M. Yoshimoto, "The Families and Subfamilies of Canadian Chalcidoid Wasps (Hymenoptera: Chalcidoidea)", The Insects and Arachnids of Canada Part 12, (1984). (ここからダウンロードできます)
Universal chalcidoidea Database



これはそのうち中胸側板を写したものです。向かって左側が中胸前側板、右側が中胸後側板ですが、ともに膨らんではいなくて、むしろ後側板の方がやや凹んでいます。これでたぶん⑪はOKでしょう。



翅脈からは後前縁脈があって、径脈と共に発達していることを見ます。



脚の基部を基節といいますが、前基節と後基節を比較すると、後基節の方がやや大きいのですが、極端に大きくはありません。これで⑦も大丈夫でしょう。



次は跗節が5節あることを調べる写真です。本当は中脚脛節刺を見せるための写真だったのですが、跗節が写っていたので流用しました。



最後は前脚脛節刺を写したものです。非常に長いというわけではないのですが、先が曲がっているのでたぶん、大丈夫でしょう。

ということで、科までの検索項目をすべてクリアしたので、コガネコバチ科になりました。合っているといいのですけど・・・。今日はこの先の亜科と属の検索をしてみました。属の方はまだ確定していないのですが、亜科の方は何とか決まってきたので、次回に載せることにします。

廊下のむし探検 ハエ

廊下のむし探検 第971弾

12月22日にマンションの廊下で見た虫の続きです。ハエばかりです。







何も虫がいないとこんなノミバエが目に付くようになりますね。名前が分かるようになるといいのですけど・・・。



ヌカカも調べると属くらいは分かるかもしれませんが、この姿を見るとどうも気乗りがしませんね。



モモグロヒラタヌカカ。先ほどの種とはだいぶ違いますが、これもヌカカの仲間です。



クロバネキノコバエ。これの名前調べはまったく手つかずです。





キノコバエの手つかずです。



それにこのニセケバエも。どれか一つぐらい調べてみたいですね。





ユスリカも写真だけだとまったく分かりません。下のユスリカは翅脈も撮ったのですが、MCuがあって、FCuより翅端側にあるので、ヤマユスリカ亜科かもしれません。



これは何度も出てきているシマバエ科のSteganopsis vittipleuraという種だと思います。



これも似ているのですが、頭頂の色が違います。別種みたいです。





これは両方ともシマバエ科かなと思っているのですが、それ以上はよく分かりません。



それにキゴシハナアブ。寒いのかじっとしています。





h切目とSc切目が両方ありそうで、触角刺毛の分岐が長いので、ショウジョウバエ科だと思われます。以前、調べたことがあるヒメショウジョウバエ属 Scaptomyzaに近い種かもしれません。ハエは難しいですね。名前はなかなか分かりそうにありません。

廊下のむし探検 蛾、甲虫、クモなど

廊下のむし探検 第970弾

12月22日にマンションの廊下で見つけた虫の続きで、ハエ以外の虫です。



これはたぶん、この間からいる蛾だとは思うのですが、ミドリハガタヨトウだと思います。



甲虫はこのナミテントウと、



この小さな甲虫でした。前胸背板の側縁の形に特徴があります。たぶん、キスイムシ科Cryptophagus属は確かだと思います。たぶん、この間から見ているヨツモンキスイだとは思うのですが、側縁中央にある突起がよく分かりません。





アブラムシの有翅型も時々見ます。これは触角が長いですね。



こちらは触角が短いので、オオアブラムシ亜科なのかなぁ。アブラムシもホストにいないとほとんど分かりません。



この手のハチも採集すると科、亜科くらいまでは分かるかもしれませんが、それから先が分からないので、どうもモチベーションが上がりません。



そしてこのクモ。カニグモ科は確かなのですが、それから先が分かりません。「日本のクモ」をパラパラ見ていたら、何となくアマギエビスグモ Lysiteles coronatusに似ているかなと思ったのですが、どうやって調べていったらよいのやら。

それで、たまにはクモの文献でも調べてみようと思って探していたら、次の博士論文が見つかりました。

H. Ono, "A revisional study of the spider family Thomisidae (Arachnida, Araneae) of Japan", (PhD Diss., Kyoto Univ., 1988). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

これは日本産カニグモ科について書かれた博士論文なのですが、相当な力作です。本文は457ページもあり、図も221図まであります。Google Scholarで見てみると、博士論文にも拘わらず被引用数が212件もありました。亜科、属、種(♂、♀)の検索表も完備しています。これを見て、少しクモもやる気が出てきました。

ちなみに、アマギエビスグモの属するLysiteles属に至るには、次のような検索表の各項目を確かめていかなければなりません。



専門用語が分からなくてこれだけ訳すだけでも悪戦苦闘したのですが、昔、買っていた「原色日本蜘蛛類大図鑑」(保育社)の形態概説が大いに役に立ちました。それでも、交尾器に関する言葉はよく分からないので、原文のまま載せています。基本、採集しないと調べられないのですが、属の検索表のうち、⑥の後半、⑦、⑧の前半などは写真でも判定できそうです。検索表を見ると、どこを見ればよいのか分かるので、写真を撮るときにも大いに役に立ちます。こんなに詳しい検索表があるのなら、一度採集して調べてみようかな。

廊下のむし探検 ショウジョウバエ

廊下のむし探検 第969弾

12月22日にマンションの廊下を歩いて見つけた虫の整理をしているのですが、小さなハエは科も分からず、いつもいらいらばかりしています。



この日はこんなハエがいました。小さいのですが、かなり派手な模様です。これをただ、ハエがいましたとだけ書いたら申し訳ないなと思って、科だけでも調べてみようと思いました。こんなハエはたいてい無弁類という仲間なのですが、「絵解きで調べる昆虫」を見ると、翅だけでもある程度見当をつけることができそうです。



科まで分かるわけではないのですが、ある程度分類できました。右側にあるのはすべて科です。これを今回のハエで当てはめてみます。



翅の前縁脈に写真のような切れ目があることがあります。このハエでいえば、h切目とSc切目というのがあります。これでまず大まかに分けます。次にかなり見にくいのですが、Sc脈という亜前縁脈を見つけます。これが前縁まで伸びているかどうかを調べます。この個体でいえば、途中で消えてしまっています。これだけの情報から、ミギワバエ科、ショウジョウバエ科など5つの科に絞られます。後は個別に調べていくしかないのですが、ショウジョウバエ科とミギワバエ科は触角刺毛に長い分枝があります。ミギワバエ科は上だけ、ショウジョウバエ科は上の方が多いのですが、下にもあります。この写真でははっきりわからないのですが、よくよく見ると両側に分枝がありそうなので、ショウジョウバエ科を第1候補にして、画像検索をしていたら、似たような種を見つけました。Leucophenga maculataという種です。ついでに文献を探していたら、次の論文を見つけました。

T. Okada, "The Leucophenga maculata Species Group (Diptera, Drosophilidae) of the Palearctic and Oriental Regions", Jpn. J. Ent. 58, 555 (1990). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

この論文はmaculata種群(speices group)について書かれているのですが、この種群とは何なのかも調べてみました。次のサイトにショウジョウバエ科の分類が出ていました。

Gerhard Bächli, "The database on Taxonomy of Drosophilidae"

それによると、Leucophenga属はすべてLeucophenga亜属になっていて、次の種群が定義されているようです。

abbreviata (4)
angentata (11)
cuthhertsoni (2)
flaviseta (4)
flavopuncta (9)
interrupta (4)
maculata (15)
mutabilis (37)
ornata (52)
proxima (17)
sorii (3)
subpollinosa (19)
その他 (66)

括弧内は全世界での種数です。種群は全部で12あり、177種が分類されているようです。ただ、これらの種群に入っていない種も66種あるようです。

maculata種群には15種入っているのですが、先ほどの論文にある13種のうち、12種はここに含まれていました。残り1種のsoriiという種は現在ではsorii種群に入れられているようです。上の論文には検索表も載っているのですが、実際に検索してみると、口肢の色が見えなかったりではっきりとはしないところもあるのですが、salatigaeとmaculataの2種が候補に残りました。前者はジャワ、ネパールに産し、腹部の模様も異なるので、今のところ、maculata(モンコガネショウジョウバエ)が一番近そうです。もっとも、属の検索もしていないし、種群の検索もしていないので、ほとんど分かっていないに等しいのですけど・・・。

虫を調べる シリボソハナレメイエバエ属

先日、マンションの廊下でイエバエ科のハナレメイエバエらしきハエを見つけました。



こんなハエです。以前、似たようなハエを調べたことがあって、その時は検索をした結果、シリモチハナレメイエバエ Pygophora confusaになったので、たぶん、同じだろうと思っていました。先日見た個体は採集したので、昨日、以前の結果と比較しながら調べてみました。その結果、どうやら違う種のような気がしてきました。この二匹の個体を並べてみます。



左は今年の1月に採集したハエで、このときはシリモチハナレメイエバエだとしてた個体の腹部です。そして、右が今回の個体です。腹部第5背板の形がかなり違います。右の個体は先端が急激に細くなっていますが、左の個体は穏やかに細くなっています。



これは腹部末端を横から撮ったものです。以前の個体には黄色の丸で示した部分に上向きの短い剛毛が生えていましたが、今回の個体にはありません。これは検索表でシリモチを決める重要な特徴になっています。全般的に第5節の上部の形も違いますし、剛毛も右の個体の方がはるかに密に生えています。

そこで、今回の個体も「日本のイエバエ科」に載っている検索表で調べてみることにしました。科、亜科、属の検索は省略して、Pygophora属の種の検索表の部分だけ書くと次のようになります。



シリモチに至るには①→②→③aと進みます。そこで、とりあえず、①と②を調べてみます。



今回の個体は体長5.9mmでした。以前の個体は5.6mm。大体、同じですね。①はこの写真から、もよく分かると思います。



②もOKだと思われます。③aに進まないとすれば、③bに進むことになるのですが、第5背板には上向きの剛毛は生えていません。したがって、③bに進んでも大丈夫そうです。この先にはリュウキュウシリボソハナレメイエバエなど3種いますが、まず、④aを見てみます。



「日本のイエバエ科」の図版によると、黄色の丸で示した部分に黒色斑紋があるはずなのですが、これにはありません。



ただ、黒矢印で示したように、後脚脛節には先端には明確に切れ込みがあります。ひょっとすると斑紋のない種もあるのかなと思って、一応、保留としておきます。さらに、④bの「褐色に斑紋がない」方を選ぶと、次の⑤aも⑤bも共に特徴が合いません。さらに、この2種は南西諸島や小笠原諸島に分布する種で本州にはいそうにありません。ということで、ここで迷子になってしまいました。

先ほど保留したリュウキュウシリボソハナレメイエバエには琉球という名前がついていますが、東京でも採集記録があるようなので、本州に分布している可能性があります。ただ、「日本のイエバエ科」の説明によると、翅の黒い斑紋は必須のようです。それで、そのほかの特徴として、頭部、胸部、脚の剛毛についても調べてみました。



これは頭部です。記号については「日本のイエバエ」に載っているものを用いました。



そして、これは胸部背面です。



そして、胸部側面です。stが逆三角形になるのが、ハナレメイエバエ族の特徴です。







前脚、中脚、後脚脛節の剛毛を写したものです。これらをまとめたのが次の表です。(追記2017/12/27:前脚の写真に2adを入れていなかったので、写真に書き入れておきました。この刺毛は「日本のイエバエ科」には載っていなかったのですが、観察結果なので加えておきます



左から、シリモチ、リュウキュウシリボソ、それに、今年1月に採集した個体、それに今回の個体で調べた結果です。実は、どれも殆ど違いがありませんでした。ただ、赤字で示した中脚脛節(t2)のad(前側を向いた背側剛毛)がシリモチと今年1月の個体にはありましたが、リュウキュウシリボソと今回の個体にはありませんでした。こういうところから判断して、今回の個体はリュウキュウシリボソハナレメイエバエの個体変異か、それに極めて近い種というところになります。私の住んでいる地域のPygophora属に少なくとも2種はいることが分かったので、これからも注目していきたいと思います。



後は検索には使わなかった写真で、これは顔面です。



腹部背面です。



腹部末端、反対側からです。



腹部腹面からの写真です。何が見えているのかよく分かりません。

ということで、今回はハナレメイエバエの仲間の検索をしてみました。とりあえず、以前見た個体と違っていそうだという結論になって正直驚いています。シリボソハナレメイエバエ(Pygophora属)の仲間は眼が綺麗なので、ハエの仲間では好きな方です。

廊下のむし探検 ハエ目

廊下のむし探検 第968弾

12月20日にマンションの廊下で見た虫の続きです。冬になるとやたらハエばかり目に付くようになります。どれも小さくて、名前調べもほとんどできないのですが・・・。







今頃になるとこんなノミバエが目立ちます。たぶん、Megaselia属だとは思うのですが、そこから先が分からないので、今のところ写真だけです。



チョウバエもよく分かりません。いつもと違う種みたいですが・・・。



これはオドリバエです。R4脈があり、中室から3本の脈が出ていて、口吻が短いなどが読み取れるのですが、検索表を見ても属まではたどり着けませんでした。



これはこの間からいるモモグロヒラタヌカカかな。



これもヌカカの仲間ですが、まだ、属を調べたことがありません。



キノコバエは属が多いので、調べるのを諦めていたのですが、MNDを見ると、検索表には翅脈の特徴をたくさん使っています。ひょっとしたら属くらいは調べられるかもしれません。今度いたら一度捕まえてみようかな。



ユスリカ♂もいましたが、やはり捕まえないとなんだか分かりません。





いつもより大きめのニセケバエです。この日は3匹いました。これくらい名前が分からないかなぁ、そう思って、2日後に歩いた時には一匹捕まえましたが、まだ、調べていません。



このハエはなんだか分かりません。



これは見たことがあります。たぶん、ハナレメイエバエ亜科の仲間ですね。「日本のイエバエ科」の検索表では、属の検索で次のようなところを見ればよいみたいです。





こんなところが分かると、シリボソハナレメイエバエ属 Pygophoraであることが分かります。四角でくくった部分は種の検索表にあったものですが、これ以上は腹部末端の毛を見ないといけません。採集していたので、今日は検索をしてみました。その結果、シリモチハナレメイエバエ Pygophora confusaになったのですが、この名前を見て、以前にも同定していたことを思い出しました。たぶん、それと同じでしょう。顕微鏡写真を撮ったので、今度、比べてみます。(追記2017/12/24:その後、検索をしてみました。シリモチハナレメイエバエではなさそうです。今のところ、リュウキュウシリボソハナレメイエバエの個体変異か、それに極めて近い種ということになりました

廊下のむし探検 カメムシ、ハムシ、ハチ

廊下のむし探検 第967弾

2日前の12月20日にマンションの廊下を歩いて見つけた虫たちです。この日は1か月ぶりにマンションの廊下をずっと歩いてみました。足はまだ少しむくんでいるのですが、関節の痛みは少なくなり、なんとか階段を降りたりできるようになりました。さすがにマンション全体を探すとそこそこ虫がいるもんですね。ハエの方はまだ整理がついていないので、そのほかの虫から出します。



まずはカメムシから。これは小盾板全体が黒いのでヒメナガカメムシ





そしてこれはアオモンツノカメムシ。カメラを向けるとみなすたこらさっさと逃げ始めるので、いい格好では撮らせてくれません。



これはたぶん有翅型のアブラムシ。触角が短いのでオオアブラムシ亜科かなと思ったのですが、実はかなり小さなアブラムシです。「日本原色アブラムシ図鑑」の図版を見たのですが、よくは分かりません。



これはアカイロマルノミハムシだと思います。この間、ノミハムシ亜科の検索で迷いに迷ってしまったので、今回も比較のために採集しました。これはArgopus属で、この間問題になった跗節第3節の切れ込みの有無を見る必要があります。

S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. IX Subfamily Alticinae II", J. Fac. Agri., Kyushu Univ. 13, 431 (1965). (ここからダウンロードできます)

例によってこの木元氏の論文に載っている検索表を使うつもりですが、ちょっと見てみると、「原色日本甲虫図鑑IV」に載っているオオアカマルノミハムシ clypeatusが含まれていませんでした。他に検索表がないかなと思って探していたら次の論文を見つけました。

A. Warchalowski, "Key to Eastern and Southeastern Asiatic species of the genus Argopus Fischer von Waldheim, 1824 (Coleoptera: Chrysomelidae: Alticinae)", Int. J. Invertebrate Taxonomy 23, 99 (2012). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

ここにアカイロマルノミハムシ punctipennisもオオアカマルノミハムシも出ていました。検索表をちらっと見ると、脚の少なくとも一部が黒または暗色になっているかどうかで区別できるみたいです。今度、頑張って検索してみたいと思います。







後はハチ。さて何でしょう。一番上はコマユバチ科かな。

虫を調べる ノミハムシ亜科(挫折)

この2,3日、先日捕まえたノミハムシを調べていました。最近、ハムシも少し分かってきたので、ハムシがいたらすべて調べてみようなんて意気込んでやっていたのですが、今回は見事に失敗してしまいました。本当は、昨日、検索結果を出す予定だったのですが、寸前になって間違っていることに気が付き、慌てて見直したのですが、結局、よく分からず、迷宮入りになってしまいました。



対象は12月14日にマンションの廊下で見つけたものです。小さなハムシで、体長は2.1mmしかありません。後腿節が太いのでノミハムシ亜科は確かそうです。いつもこんなハムシを見たら、ツブノミハムシかもと書いていたのですが、一度、ちゃんと調べてみようと思って採集してきました。ノミハムシ亜科は確かだろうとは思ったのですが、一応、勉強のために亜科から検索をしてみることにしました。亜科の検索はいつもの通り、「原色日本甲虫図鑑IV」に載っている検索表を用いました。



ノミハムシ亜科であることを確かめるにはこの3項目を見ればよいので、これをいつものように写真で見ていきます。



まずは頭部の写真です。①は問題ないのですが、いつも問題になるのは②で、左右の触角の基部が近い
かどうかです。これまで何度か書いたように、その基準を触角第1節の長さにして、それと同じかそれよりも近かったら近い、遠かったら離れているという判断にすれば、これは近い方になります。頭部の前半に位置していることは触角基部が複眼の前縁に近いのでOKでしょう。



これは後脚を撮ったものですが、腿節がかなり大きく膨れています。これでノミハムシ亜科は確かなのですが、一応、写真を撮りました。実はこの写真に写っている脛節が後から問題になってきました。



次はいつも見ている前胸腹板突起です。これは幅が広いので、前肢基節窩という基節が入っている穴が左右に離れています。これで3項目すべてを確かめたので、ノミハムシ亜科は確かでしょう。

次は問題の属の検索です。これには、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」に載っている検索表を用いました。実はこの本は手に入らないので、図書館で一部コピーをしてきたのですが、それにたまたまノミハムシ亜科の属の検索表が載っていました。最近、木元新作、滝沢春雄、「台湾産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」(東海大学出版会、1997)という図鑑を古本で安く手に入れたので見てみたら、検索表の内容はほとんど変わりがありませんでした。これから、この本が使えるかもしれません。



とにかく、この④から検索をしていき、㉑まで達したので、予定通りツブノミハムシ属になり、その後、種の検索もしていました。ところがところが、⑰をちゃんと見るのを忘れていました。でも、このことは後で書くことにします。折角だから、④から㉑までを見ていくことにします。



最初の④と⑤が触角についてなので、触角を見ることにします。間違いなく11節です。これで④も⑤もOKです。



次の⑥は前肢基節窩は後ろに開くということですが、白矢印の部分で後ろの中胸腹板との間に隙間が空いています。これで基節窩は後ろに開くということになります。ついでに⑲の前胸腹板突起が幅広いことを見ます。幅広いかどうかも相対的なのですが、もっと狭く針のような場合もあるので、それに比べると広いといってよいのだと思います。



⑦、⑧、⑱はこの写真からすぐに分かります。⑰については、この写真を見て脛節背面には溝なんてないだろうと勝手に思っていました。これは後で写真をお見せます。



⑩、⑭、⑮もこの写真から判断できます。実は、試料を冷凍庫に入れておいてから出したら、こんな風に腹部末端から何やら出てきていました。また、上翅も何となく開いてしまって・・・。さらに、顕微鏡で撮影するのであちこち触っていたら、上翅は2枚とも外れてしまいました。そんな写真も後から出てきます。



この写真で見る限り、前胸背板には横溝も縦溝もなさそうです。側縁の後縁近くに毛が1本ずつ生えていますね。以前も別のハムシでこんな毛を見ました。その時は猫のひげみたいに穴の幅を見るセンサーになっているのかなぁなって書いていました。



⑬に「跗節第3節は前縁から2裂する」という項目があるのですが、これを写真に撮るのにかなり時間を費やしました。というのはこれは裏側から見たものですが、ふさふさしたのが第3節です。どこにも2裂している気配は見られません。それで、「跗節第3節は完全」という方を選ぶと、外観が全く違う属になってしまいます。



それで背側から撮ってみました。そうしたら、跗節第3節は筒状になっているみたいで、その背面側が2裂し、その筒の中に爪が入っているようでした。これでたぶん、⑬はOKでしょう。



触角間室は左右の触角基部の間の空間を指すのだと思うのですが、そこが狭いというのが⑯、触角基部の上に瘤のようになっているのが前頭突起で、たぶん、卵形といってもよいでしょう。ということで、⑰を除けば、予定通りにツブノミハムシ属になるはずでした。まとめているときに、後腿節の載っている写真を見ると、どうも脛節背面に溝があるような気がしてきました。それで、もう一度、綿に挟んでおいたハムシを取り出して写真を撮りました。



上翅が取れてしまっているので、こんな姿になっていますが、後脚脛節背面にはかなり深い溝があります。末端から基部の1/4どころか1/2近くまで行っています。これはやはり溝があるというべきでしょう。(追記2017/12/23:後脚脛節背面をもう一度撮り直しました。



脛節末端から基部にかけて全体の2/3ほどの間、かなり深い溝があります。やはり間違いなさそうです。何か見方を誤っているのかなぁ


そこで、⑰bを採用しないといけないなと思って、ミゾアシノミハムシ属 Hemipyxisを「原色日本甲虫図鑑IV」で調べてみました。でも、ほとんどの種が黄色っぽくて、黒っぽい翅を持つ種はヒゲナガルリマルノミハムシしかいません。ただ、この種は3.8-5.0mmとかなり大きいです。さらに、触角もかなり長くてどうやら今回の個体とは違いそうでです。ただ、図鑑には琉球・台湾に生息するヒメマルノミハムシ H. changiについて載っていました。これの体長は2.0-2.8mmなので、範囲に入っています。

ヒメマルノミハムシについては先ほどの台湾の図鑑にも載っていました。図版を見ると、前胸背板のあたりがあまり似ていないのですが、一応、調べてみることにしました。ミゾアシノミハムシ属の種への検索表を見ると、上翅は全体黒青色→体長は.2.0-2.8mmで一意的にヒメマルノミハムシになります。この種の記載論文は以下の通りです。

S. Kimoto, "Notes on the Chrysomelidae from Taiwan IV". Kontyu 38, 205 (1970). (ここからダウンロードできます)

詳細は見ていないのですが、台湾の図鑑には、「頭頂には一対の大型点刻を装う」とか、「複眼の横幅は複眼間室に比して狭い」とか、どうも違和感のある表現が載っています。



念のため、頭頂の真上からの写真も撮ってみました。記載論文には、「頭頂には皺がより、ほとんど点刻はなく、複眼の内縁近くには大きな穴があき、その近傍には数個の点刻が囲む・・・。」とあり、どれが穴なのかよく分かりません。触角は長く、体長の2/3というのも合わない感じです。どうやらこの種ではなさそうだということまでは分かったのですが、今のところ、迷宮入り状態になっています。



ついでに腹部末端から出ている構造も写しましたが、これは何でしょうね。あ~ぁ、分からないことだらけだ。

廊下のむし探検 ユスリカ、ブユなど

廊下のむし探検 第966弾

昨日、マンションの廊下を歩いて見つけた虫たちです。この日はフロア2階分を松葉杖なしで歩きました。骨折してから一番長い距離を歩いたことになります。折れたところはもう痛くないのですが、関節があちこち痛くて歩きづらい状態です。







今頃だとこんなユスリカばかりですね。一番上は♂だったので採集したのですが、そのまま忘れていたら固くなっていました。それで、今は消毒用アルコールに浸けています。MCu脈がないので、エリユスリカ亜科かなと思ったのですが、前脛節と跗節第1節の長さが同じくらいにも見えます。だとすると、ユスリカ亜科?明日にでも調べてみます。後は♀ばかりでよく分かりません。





こんなブユがいました。ブユについては以前調べたことがあったので、それと同じかなと思ったのですが、腿節が黄色なので、たぶん、別種ですね。今日は次の論文で検索してみました。

緒方一喜、佐々学、「日本産ブユ科 Simuliidae の種の検索表と薬剤によるブユ幼虫の駆除法について」、Medical entomology and zoology 6, 10 (1955). (ここからダウンロードできます)

かなり古い論文なのですが、この中でブユ科25種に対する検索表があります。「日本昆虫目録第8巻」(2014)には78種も載っています。この二つでの属・亜属の対応は以下の通りです。



( )内の数字は種数です。属も種もかなり増えていますが、とりあえず検索をしてみました。その結果、以前に調べた種との違いは脚の爪にありました。



こんな風に中央歯というのがあります。これで、ヤマブユ(Gnus)亜属か、ツメトゲブユ(Odagmia)亜属になります。最初、歯の大きさが小さいと思ってヤマブユ亜属を選び、ダイセンヤマブユかなと思ったのですが、次の論文にツメトゲブユ亜属のアオキツメトゲブユ Simulium (Odagmia) aokiiの爪の図が出ていました。

H. Takaoka, "Studies on black flies of the Nansei Islands, Japan (Simuliidae; Diptera) II. On six species of the subgenera, Gomphostilbia Enderlein, Morops Enderlein, Odagmia Enderlein and Gnus Rubzov, with the description of Simulium (Gomphostilbia) okinawense sp. nov.", Jap. J. Sanit. Zool. 27, 385 (1976). (ここからダウンロードできます)

それと比較するとよく似ています。それで、これは歯が大きい方なのだと思って、再度検索をしてみると、やはりアオキツメトゲブユになりました。これかもしれません。この種は現在はオオイタツメトゲブユ Simulium (Simulium) oitanumになっています。詳細は後日載せます。



これはいつものキモグリバエの仲間。



それにタマバエの仲間。



それにノミバエのたぶん、Megaselia属。



それに何か分からないハエ。



これはキジラミ科みたいです。「九州でよく見られるウンカ・ヨコバイ・キジラミ類図鑑」をぱらぱら眺めてみると、Cacopsylla属によく似ています。ここから先、どうやって調べたらよいのか分かりませんが・・・。(追記2018/01/26:「絵解きで調べる昆虫2」に載っている「日本産キジラミ上科の絵解き検索」で検索してみました。その結果、グミキジラミ Cacophsylla elaeagniになったのですが、前翅がグミキジラミと同様の斑紋を持ち、後翅外縁に暗色部のない未記録種というのがあるそうで、そちらの方に近そうです。はっきりとは分かりませんが・・・)



それからこの間もいた甲虫です。先日、立西さんと、通りすがりさんからヒメマキムシ科だと教えていただきました。今回は採集しました。ヒメマキムシ科については次の論文に検索表が載っていました。

田中和夫、「日本産屋内性ヒメマキムシ科について」、家屋害虫 (27,28), 41 (1986). (ここからダウンロードできます)

まだ、きちんと検索をしてはいませんが、ざっとやってみると、ヒメマキムシ Stephostethus chinensisになりそうです。一つでも名前が分かると嬉しいですね。

虫を調べる ヤマユスリカ亜科

12月14日にマンションの廊下で♂のユスリカを見つけました。今年もユスリカの季節が来たなと思って採集しました。ユスリカは別に冬に発生する種ばかりではないのですが、冬になって虫がいなくなるとついついこういう小さなハエ目に注目することになります。



対象とするのはこんなユスリカです。触角がふさふさなので♂であることはすぐに分かります。黒いこと以外にはあまり特徴はなくて、こんなユスリカを見ると、いつもエリユスリカ亜科のフユユスリカの仲間かなと思っていました。でも、調べてみると、エリユスリカ亜科ではありませんでした。今日は頑張って種まで到達しようと思っています。

亜科については「絵解きで調べる昆虫2」に載っている「ユスリカ科の絵解き検索―エリユスリカ亜科・ユスリカ亜科―」の亜科の検索表を用いました。その結果、ヤマユスリカ亜科になりました。その過程を写真で見ていきたいと思います。



検索表でその部分を抜粋したものです。主に翅脈についてですが、これを確かめていきます。


ここで重要なのはMCuという脈を持っているかどうかで、ヤマユスリカ亜科はこの写真のようにMCu脈を持っていますが、エリユスリカ亜科やユスリカ亜科にはありません。次に、R2+3脈があるかどうかを見ます。ケブカユスリカ亜科にはないのですが、この写真の個体には確かにあります。③は翅に毛が生えていないことを見ます。



これは脈R2+3辺りを拡大したものですが、先端で分岐はしていません。



さらに、MCu脈がM3+4脈とCu1脈の分岐点であるFCuより翅端側にあることを見ます。これが逆だとオオヤマユスリカ亜科になります。



この写真では後背板中央に縦に走る溝(白矢印)のあることを見ます。



最後は複眼の写真です。④では複眼の個眼の間に毛があるということですが、この個体にはなさそうです。「通常」と書いてあるのでまあいいのかなと思っています。これで亜科の検索がすべて終わり、ヤマユスリカ亜科であることが分かりました。

次は属の検索です。属の検索には「図説日本のユスリカ」に載っている検索表を用いました。検索をしてみると、フサユキユスリカ属 Sympotthastiaになったのですが、その過程を見ていきたいと思います。



これは族と属の検索表からフサユキユスリカ属に至る部分を抜き書きしたものです。これも写真で調べていきます。



これは頭部と胸部を背側から写したものです。側前前胸背板には側前前胸刺毛だけがあって、中心付近にある背前前胸刺毛がありません(ちょっとぼけてしまっていますが・・・)。これで⑦はOKです。また、外頭頂毛はあるのですが、内頭頂毛という毛はなさそうです。これで⑨もOKです。



下顎髭の第3節の先端に何か丸いものがついています。これが⑨で言っている半円形の突起ではないかと思いました。ユスリカは最初そのまま写していたのですが、時間が経つと乾燥していくので、途中から消毒用アルコールに入れておきました。この写真はアルコールに入れたままで撮影したものです。



次は触角です。触角のうち、節に分かれている部分と分かれていない部分の長さの比を触角比というようです。測定してみると3.3になり、⑥はOKだと思われます。






これは胸部を側面から写したものです。胸部側面の各部をなんと呼ぶのか分からないので、いろいろと調べてみたのですが、上の2冊の本には詳しくは書いてありませんでした。それで、MND(Manual of Nearctic Diptera)を見てみました。やや詳しく書いてあったのですが、英語名を日本語でどう訳してよいのか分かりません。英語名をよく見ると、基本となる"episternum"と"epimeron"などの単語に接頭語がたくさんついています。この二つの単語をそれぞれ前側板、後側板と訳し、"an"は上、"kat"は下、"ante"は前、"post"は後などという接頭語をつけていったのが上の写真の中の名称です。( )内は上の2冊に載っていた名称です。これだけ名前をつけても、⑤の各部の名称が具体的にどこを指すのかよく分かりませんでした。ただ、毛はどこにも生えていないので、⑤も⑥もOKとしました。



この⑤はOKでしょう。



最後は跗節第5節ですが、特に異常は見られないので、OKだとしました。ということで、たぶん、フサユキユスリカ属でよいのではと思いました。

次からは種の検索です。「日本昆虫目録第8巻」によると、Sympotthasitia属には4種記録されていて、そのうち本州にはキブネユキユスリカ bicolorとタカタユキユスリカ takatensisの2種が生息しているようです。「図説日本のユスリカ」にはこのうちタカタユキユスリカと本州には分布しない残りの2種についての検索表があったので、とりあえず調べてみました。結果はあまりはっきりしないのですが、一応、タカタユキユスリカ Sympotthasitia takatensisの方に近いかなと思ったのでその部分を書いてみます。



いずれも交尾器に関するものです。その部分の写真を載せます。



これは消毒用アルコールに浸ける前に撮ったものですが、細い尾針は見えるものの、検索表に書いてあるような膜状片がどれだか分かりません。



で、これは消毒用アルコールに浸けた状態で撮ったものですが、膜状片らしいものが見えてきました。把握器、尾針、膜状片の形は「日本のユスリカ」に載っている図とよく似ていますが、検索表に載っている「棍棒状」、「卵形」がどれを指すのかまったく分かりません。



これは少し斜めから撮ったものですが、やはりよく分かりません。結局、タカタユキユスリカそのものかどうかは確かめられませんでした。今のところ、キブネユキユスリカ、あるいは、タカタユキユスリカのどちらかという感じかなぁと思っています。(追記2018/01/15:M. Sasa and M. Kikuchi, "Chironomidae [Diptera] of Japan", Univ. Tokyo Press (1995)という本を手に入れました。それによると、キブネユキユスリカ S. bicolorは翅が二色になっていて、基部1/3は黄色、先端2/3は茶色だそうで、この個体とは明らかに異なります。また、タカタユキユスリカ S. takatensisは翅は二色にはならず、体は黒、さらに、口肢II節にはIII節の基部を越える突起があり(上の写真では3節の先端)、尾針は短く、針状というところが似ています。また、交尾器の絵も膜状片が左右に分かれているところを除けば、全体的によく似ています。たぶん、タカタユキユスリカ S. takatensisではないかと思います。膜状片のあたりがよく分かりませんが・・・

久しぶりにユスリカの検索をしてみました。今回は検索の項目は少なかったのですが、やはりかなり難しかったです。でも、これからも今頃いるユスリカの検索に挑戦してみたいと思っています。

雑談)先週、ギプスがはずれ、やっと松葉杖なしでもちょこちょこと歩けるようになりました。でも、一か月近く足を使っていなかったせいか、足がだいぶむくみ、しかも、歩くと骨折した部位ではない関節があちこち痛みます。それでも少しずつ歩いていると慣れてくるかなと思って、毎日、少しずつ歩くようにしています。

以前、近くの小学校へ話にいったときに、お土産に手作りの昆虫図鑑を置いていったら、それが子供たちに好評だったらしく、小学校1年生が朝顔の蔓で作ったリースを、今日、先生方が届けに来てくださいました。手紙も添えられていて感激しました。やはり頑張って手作り図鑑を作ろうと思いました。

虫を調べる コガネコバチ科?

12月11日に、マンションの廊下でこんなコバチを見つけました。



前胸背板が角ばっているので、先日検索したときはカタビロコバチ科にしてしまいました。その後、気になるところが出てきたのでもう一度検討してみることにしました。



「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表で必要なところだけ書き出したものがこの表です。⑫まではとりあえずOKとします。次の⑬aで「前胸背板は大きく背面から見て前方が角張る」という方を採用して、カタビロコバチ科にしたのですが、後半の「金属光沢を持たない」というところが引っかかりました。また、カタビココバチ科で画像検索してみると、前胸背板がもっと幅広い種ばかりが出てきます(違和感のあるところを赤字で書いてあります)。それで、最近は、⑬bの方が合っているのではと思うようになりました。こちらで問題になるのは、「前胸背板は小さく背面から見て前方は角張らない」というところです。これに対して、後半の金属光沢についてはよさそうです。それで、とりあえず、⑬bの道を進むことにして検索を進めていくことにしました。すると、⑭から⑱まで進み、特に問題になることなしに、コガネコバチ科になりました。こちらの方を写真で見ていくことにします。



これは全体像ですが、腹部は明らかに金属光沢を持っています。⑬bについては、「角張らない」というところが引っかかるのですが、幅が小さいという方を採用すると何とかクリアできそうです(追記2017/12/18:後で出てくる「原色昆虫大図鑑III」に載っている検索表の方では、㋐bの表現で特に問題になるところなく、カタビロコバチ科以外を選ぶことができます)。⑱は特に問題ありません。



翅脈も特に問題ないのではと思いました。前縁脈の長さは相対的な表現なのでよく分かりませんが・・・。



これは前脚の跗節と脛節距を撮ったものです。距は強く湾曲しているといっても良いでしょう。



⑰は中胸背板と前伸腹節に大きな段差のあるマルハラコバチ科を除外する項目なので、特に問題ないと思います。



⑯も写真の通りで、中胸側板は前と後ろに分かれ、その間が溝のようになっています。また、全体的にやや凹んでいる感じです(追記2017/12/18:この凹みが次の検索表の㋖に出てくる腿節受溝なのかなと思いました)。ということで、⑬bを選択すれば、問題なくコガネコバチ科になりました。

念のために、同じことを「原色昆虫大図鑑III」に載っている検索表でもやってみました。



これもカタビロコバチ科が出てきたところから書いてみました。赤字はやはり違和感のあった表現のところです。㋐aのカタビロコバチ科ではいくつか合わないところが出てきます。㋐bを選んでも、後でいくつか合わないところが出てくるのですが、㋓はトビコバチ科、㋔はナガコバチ科を除外する項目で、たぶん、大丈夫ではと思っています(追記2017/12/18:以前、「コバチ 各部の名称」で示したように、このコバチの触角では環状節は2節、繋節は6節あります。一方、トビコバチ科では環状節はなく、ナガコバチ科では常に環状節は1節、繋節は7節とのことです)。したがって、こちらもコガネコバチ科になりました。検索に必要な写真でこれまでになかった写真を次に載せておきます。



parapsidal grooveについては以前、セイボウで調べたことがありました。grooveは溝のことですが、この溝は蛹の時に背腹筋と呼ばれる背側と腹側を結ぶ間接飛翔筋の背側の取り付け部分になっているということでした。この個体では矢印のところに凹みがあるので、これのことかなと思うのですが、いずれにしてもあまり明瞭ではありません。



これは中脛節距を撮ったものですが、㋔では小さいと書かれていますが、それほど小さいというわけでもありません。ということで、あまりはっきりしないのですが、カタビロコバチ科でないとしたら、コガネコバチ科だろうということになりました。この先の属も調べたいのですが、コガネコバチ科はどちらかというとその他大勢を突っ込んだ科なので、属の検索は大変でまだ試していません。

ついでなので、カタビロコバチ科での属の検索もしてみました。

B. D. Burks, "A Synopsis of the Genera of the Family Eurytomidae (Hymenoptera: Chalcidoidea)", Trans. Am. Entomol. Soc. 97, 1 (1971). (JSTORに登録すると読むことができます)

検索表はこの論文に載っているものを用いました。



日本産に限って検索表を書き直してみると、このようになります。ただし、検索表に載っていない属も2つありました。検索をしてみると、Gahaniola属になるのですが、これに加えてDecatoma属、Tetramesa属が候補になります。検索に必要な写真を載せると以下のようになります。



stigmaは縁紋のことですが、小さいときは縁紋と呼ばないのではと思って、Ⓐbを選びました。



Ⓑbも特に問題はなさそうです。

ということで、もし、カタビロコバチ科だとすると、Gahaniola属、Decatoma属、Tetramesa属あたりになり、そうでなければ、コガネコバチ科だろうという結論です。でも、今はコガネコバチ科の方にだいぶ傾いています。

廊下のむし探検 ハエ、クサカゲロウ、甲虫

廊下のむし探検 第965弾

今日は曇っていたのですが、気温は比較的に高かったので、私の家のあるフロアだけ歩いてみました。足にはサポータをしているのですが、まだ普通に歩ける状態ではないので、よちよちした歩みで虫を探していきました。それでも虫は結構見つかりました。見た順に出していきます。



顔の前に口吻が突き出しています。この間見たサシバエでしょうね。これって家畜だけでなく、人も刺すのでしたね。これについては先日、検索をしてみました。詳細はこちら。そのほか、「サシバエを調べる」とか、「サシバエが血を吸う仕組み」という記事も以前書きました。



こちらはクサカゲロウです。これは顔を見ればよかったですね。



この模様はスズキクサカゲロウです。



このハエは何でしょうね。



こちらはキノコバエの仲間。



2mmほどの小さな甲虫もいました。このくらいは名前を知りたいなと思って、何度も図鑑を見たのですが、結局、ギブアップ。

追記2017/12/17:立西さんから、「名前が分からない甲虫ですが、ヒメマキムシの一種ではないかと思います。こんな寒い時期でも姿が見られるのは屋内で発生しているからかもしれませんね。」というコメントをいただきました。次いで、通りすがりさんから、「ヒメマキムシの1種に賛成です。暖かい時期にはリンゴの樹上の剥がれかけた樹皮などに普通に見られるのですが、晩秋には地表に下りています。これは別種の様ですが、カビや菌類を食べているので、どこかに発生源がある可能性はありますね。」というコメントをいただきました。ヒメマキムシというのは初めての科でした。「原色日本甲虫図鑑III」の図版を見ると前胸背板の形などはヒメマキムシ Stephostethus chinensisによく似ています。図版の写真が結構大きかったので、つい見逃してしまったようです。ご教示いただきどうも有難うございました。

文献を調べていたらこんな論文を見つけました。

田中和夫、「日本産屋内性ヒメマキムシ科について」、家屋害虫 (27,28), 41 (1986). (ここからダウンロードできます)

タイトルは屋内性になっていますが、この当時の全種(30種)を対象にした検索表も載っていました。また、鈴木茂さんという方が、「日本列島の甲虫全種目録 (2017年)」というリストを開設されておられるのを見つけました。そこでは13属41種が載っていました。この目録では日本産の鞘翅目13955種・亜種の科、亜科、和名、学名、分布、「原色日本甲虫図鑑の図版番号などが表にして載せられていました。大変な作業だったのではと思います。後、各科について主要な文献だけでも載せられているとよいなとは思ったのですが・・




ユスリカもいました。この間見たユスリカはヤマユスリカ亜科だったのですが、これはMCu脈がなさそうなので、エリユスリカ亜科かもしれません。



この小さなハエもよく分かりません。採集したらよいのですが、今は調べなければいけない虫が溜まっているので、今日はパスしました。





後単眼剛毛が交差しているので、これはシマバエ科かな。



これはクロバネキノコバエ科。



これもユスリカで、♀の方です。先ほどとは違う種みたいですが、よく分かりません。





これは以前教えていただいたことがあります。モモグロヒラタヌカカ Atrichopogon femoralisというヌカカ科の仲間みたいです。私は検索表を用いて亜属までは到達したのですが、その詳細はこちらをご覧ください。



このキモグリバエの仲間はたくさんいました。こんな風に虫は結構いたのですが、ハエの仲間が多いので、やはり採集しないと何も分かりませんね。

コバチ 各部の名称

先日、マンションの廊下で見つけたコバチの仲間をめぐって、この間から迷いに迷っています。



産卵管鞘を含めない体長が3.8mmのこんなハチです。一時は前胸背板が背側から見て四角いのでカタビロコバチ科にしたのですが、その後、腹部が金属光沢を持つことと、前胸背板の幅が狭いことなどから迷い始め、今はコガネコバチ科を疑っています。科の同定の過程でいろいろな方向から写真を撮ったので、ついでに各部の名称を書き入れてみました。参考にしたのは次のサイトです。

Handbook of Nearctic Chalcidoidea
Universal Chalcidoidea Database

できるだけ日本語でも書こうと思ったのですが、なかなか訳語が分からないので、大部分は英語名そのままになっています。



まずは頭部前面からの写真です。頭盾が面白い形をしていますね。いつも矢印を黒くしたら見えやすいか、白くした方がよいのか迷うのでので、ちょっとグラデーションをつけてみました。どうでしょうね。



これは頭部を上から撮ったものです。頭頂というのは単眼の辺りを指すみたいですね。frontovertexは何と訳したらよいのか分かりませんでした。



触角の各節にはこんな名称がついていました。環状節のあたりを拡大してみます。



この個体にはどうやら環状節が2節あるみたいです。そのほかに感覚子もたくさん見られました。



これは頭部を腹側から写したものです。いろいろと構造はあるのですが、この名前で合っているのかどうか分かりません。



ついでに胸部も腹側から写しました。斜めになっているのは前胸側板だと思われますが、変わった形をしていますね。



そして、これは背側からです。Notaulusについては以前にも書いたことがありました。間接飛翔筋の縦走筋と背腹筋を分ける甲の境目(分隔甲)でしたね。



それから胸部側面です。検索するときには中胸側板の形やら、Prepectusの大きさなどが出てきました。



そして、これは前伸腹節と腹柄節(gastral petiole)あたりの写真です。何と訳したらよいのか分からない名前がたくさん出てきました。



これは前翅です。コバチの仲間は翅脈が簡単です。stigmaというのは縁紋のことですが、こんな小さなのを縁紋とはあえて呼ばないかもしれません。



これは腹部を背側から撮ったものです。腹部の節の番号は腹柄節を第1節と数えるやり方と、前伸腹節を第1節と数えるやり方があります。これは腹柄節を第1節としてつけた名前です。第2節が変わった形をしていました。



腹部末端の写真です。飛び出しているのは産卵管とそれを入れる産卵管鞘です。



これは横からです。



最後はこの間から何度も撮っている後転節の写真です。コバチ上科は後転節が2節になるはずなのですが、どうもはっきりとは分かりません。中転節は明確に2節になっているのが分かります。後転節は縦に割れているようにも見えるのですが・・・。

ということで、今まで撮ってきた写真を使って各部に名称を入れてみました。一度まとめておくとよいかなと思ったのですが、意外に大変な作業でした。

廊下のむし探検 蛾、ユスリカなど

廊下のむし探検 第964弾

一昨日、ギプスが外れて、今日はマンションの廊下を松葉杖なしで歩いてみました。まだ、同じ階だけだったのですが、久しぶりに自分の足で歩いて感激しました。



廊下に出て、まず気が付いたのはこの蛾でした。ミドリハガタヨトウでしょうね。これまで12月中旬から1月初めにかけて何度か見ていました。知らぬうちにもうすっかり冬になっていたのですね。



次はこのハムシ。後脚腿節が太いのでノミハムシ亜科は確かですね。今までこんな種に会うとツブノミハムシだとしていたのですが、今回は採集しました。今度、検索してみようと思います。



♂のユスリカです。これは調べてみようと思って採集しました。そして、先ほど、検索してみました。ヤマユスリカ亜科は確かだと思うのですが、その後の属の検索はまだ怪しい感じです。一応、フサユキユスリカ属にはなったのですが・・・。



これは♀のユスリカです。先ほどとは違う種みたいですね。脛節の方が跗節第1節より長そうなので、エリユスリカ亜科かなぁ。



これはコバチの仲間かな。これも採集しました。何でしょうね。



後はこのハチ。たぶん、ヒメバチ科かな。でも、今回はパスしました。

雑談)実は、この間捕まえたカタビロコバチ科というのが怪しいのではないかと思い始め、昨日からドタバタやっています。しかし、いくら調べてもどうにもこうにも分かりません。どうもコバチは苦手な部類になってしまいました。今日は久しぶりに自分の足だけでマンションの廊下を歩いてみました。まだ、距離にして300mほどですが、1か月間ギプスをはめられていたせいか、足がむくんでいて、関節もあちこち痛くなってしまいました。普通通り歩けるのはまだ先の話でしょうね。

虫を調べる カタビロコバチ科?

先日、マンションの廊下でこんなハチを見つけました。



最近、虫が少ないので、少し調べてやろうと思って採集しました。(追記2017/12/19:タイトルはカタビロコバチ科になっていますが、その後の検討でコガネコバチ科かもしれないと思っています。ただ、カタビロコバチ科を完全に否定はできていないので、タイトルはそのままにしておきました。詳しくはこちらをご覧ください



これは実体顕微鏡で撮影したものです。体長は3.8mm。そこそこの大きさのハチで、腹部なんかは意外に綺麗です。これをいつものように「絵解きで調べる昆虫」の「ハチ目昆虫の検索と解説」に載っている検索表で調べてみました。その結果、カタビロコバチ科になったのですが、その検索過程を写真で確認していこうと思います。



細腰亜目であることは確かなので、そこから出発してまずは上科まで進みます。カタビロコバチ科の属するコバチ上科であることを確かめるには、この5項目を確かめればよいのです。これをいつものように部位別に見ていきます。



まずは翅です。翅脈というほどの翅脈はないのですが、とりあえず機能的な翅を持っていることは確かです。これで①はOKです。③は前翅に縁紋のないことを見ます。後翅は重なっていてちょっと見にくいのですが、室があるほど翅脈は発達していません。



次は頭頂部を写したものです。頭頂に刺などはありません。これで②もOKです。



これが一番苦労しました。矢印で示したのが後脚転節なのですが、どうも2節あるようには見えません。上にあるのは中脚転節ですが、これは明らかに2節です。計3回撮影したのですが、いつもこんな感じです。もし、1節だとすると、セイボウ上科、タマバチ上科、クロバチ類になるのですが、どれも翅脈が違います。たぶん、2節なのがうまく写っていないのだろうとは思っているのですが、ちょっとはっきりしないところです。



⑤はたぶん、大丈夫でしょう。以上、若干怪しいところもあったのですが、これでコバチ上科になりました。次は科の検索です。



科の検索ではこの8項目を確かめていきます。ただし、( )内は「原色昆虫大図鑑III」の検索表を見て付け加えたものです。



まず⑪は触角が肘状に曲がっていることを見ます。⑬については、腹部などはかなり金属光沢を持っているのですが、もう一つの項目が特徴的な前胸背板についてなのでたぶん、OKなのでしょう。



これは中脚跗節を表しています。5節みたいなので、これもOKです。



翅脈では後前縁脈を持っていることは確かです。



⑧も写真からすぐに分かります。



これは後脚を写したものですが、特に異常は認められません。それで、⑨と⑩はOKになりました。



先ほどの写真でもよかったのですが、拡大した写真があったので、こちらの方を載せておきます。前胸背板は変わった形をしています。たぶん、この形がカタビロコバチ科の特徴だと思っています。



最後は脚を見せるために載せた写真です。後脚基節はかなり大きいですが、前脚基節に比べ少し大きいくらいです。少なくとも3倍の大きさを持つオナガコバチ科やタマヤドリコバチ科を除外する項目なので、たぶん、大丈夫でしょう。ということで、カタビロコバチ科にしたのですが、後脚転節の節数については若干不安に思っています。この後、属の検索も少しだけ試みたのですが、それについては次回に回します。

雑談)昨日、やっとギプスが外れました。家の中では自分の足だけで少し歩けるようになりました。昨晩、1か月ぶりに足をつけて入った風呂の気持ちよかったこと・・・。

廊下のむし探検 カタビロコバチ?、ユスリカなど

廊下のむし探検 第963弾

今日も松葉杖を突きながら、マンションの廊下をちょっとだけ歩いてみました。陽は照っているので南側は暖かかったのですが、廊下のある北側は寒くて、ほとんど虫の気配はありません。それでも、ゆっくりと歩いていたらちょっとだけ見つかりました。



小さなハチなのですが、とりあえず採集して先ほど「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表で調べてみました。カタビロコバチ科になったのですが、本当かどうか分かりません。肩が張っているところが特徴みたいですが・・・。一応、顕微鏡写真を撮ったのですが、深度合成の計算に使っているデスクトップが"Windows 10 Fall Creators Update"というのを始めたまま、なかなか終わってくれません。計算はUpdateが終わってからにして、その前に亜科と属の検索表の載っている文献を探しているところです。



後はいつものキモグリバエ。これも何とか属くらいは調べたいと思っているのですが、この間、挫折したからなぁ。



たぶん、クロバネキノコバエ。これはまだ調べたことがありません。





後はユスリカです。上は♀、下は♂で、たぶん、両方ともエリユスリカ亜科だと思います。下は♂なので、採集しようと思って毒瓶に入れたつもりだったのですが、家に戻ってから見たらいなくなってしまいました。残念です。でも、ユスリカはいっぱいいるので、またチャンスはあるでしょう。

ノミハムシのジャンプ速度

先日、ノミハムシの検索をしました。





ノミハムシというのはこんなハムシです。後腿節がやけに太く、これでジャンプするのだろうなと思ったのですが、その時、どんな仕組みでジャンプするのかなと気になってきました。それで少し文献を探してみました。文献はいくつか見つかったのですが、かなりまじめに読まないと理解できそうにないので、とりあえず、ジャンプするときの離陸速度などを調べてみることにしました。文献を探してみると、いろいろな虫についてデータがあったので比較してみました。



表にしたら、字がちょっと小さくなりすぎたので、拡大して見てください。調べた昆虫は、ノミ、ノミハムシ、ノミバッタ、ヨコバイ、アワフキ、カスミカメの6種です。論文中にはいくつかの種で調べたデータがあったのですが、その中の適当な1種を選んで載せています。ノミバッタについては両脚で飛んだ場合と片脚で飛んだ場合について載せています。調べた量としては、虫の体重と体長、離陸時間、離陸速度、離陸角、それに、加速度、重力加速度との比、力、運動エネルギー、パワー、筋肉の単位重さあたりのパワーの11項目です。加速度から下の欄が赤字になっているのは、論文に載せられた数値がいくつかおかしいところがあったので、もう一度、計算をやり直した結果です。たぶん、これで合っていると思います。単位系をいろいろ使っているので、それで混乱しているみたいでした。MKS単位系に統一しておけばよいのですけどね。

まず、離陸時間と離陸速度の欄を見てみます。右端のカスミカメを除くと離陸時間は1~4ミリ秒とだいたい一定しています。また、離陸速度も秒速1~5メートルとこれもほぼ一定しています。これらはすべて「カタパルト機構」というコメツキが飛び上がるときに使うような固い物質の歪みを使ったジャンプをしています。これに対して、カスミカメは離陸時間が17ミリ秒、離陸速度は秒速0.8メートルとかなり遅いので、筋肉の伸縮を使った通常のジャンプ機構とされています。

離陸速度はたかだか秒速数メートルくらいなのですが、それが静止した状態からミリ秒の間に起きるので、かなり急激な速度増加が必要です。従って、加速度としては重力加速度の50倍から300倍ほどになり、かなりの力が必要になります。特に体重の重い虫ほど大変で、ノミバッタやアワフキなどは特に大きな力が必要になります。逆に遠くまで飛ぶノミは体が軽いので、それほど力は必要としないという結果が出ています。ノミハムシはノミよりは力が必要ですが、ノミバッタほどは要らないということみたいです。筋肉の重さを体重の10%だと仮定して、筋肉の単位重さあたりに出すパワーを計算してみると、やはりノミバッタ、アワフキは大変なパワーが必要で、その分、筋肉への負担も大きくなると思われます。

ジャンプの機構ということになると、ひずみを受ける固い物質が何で、それが筋肉のどのような動きでひずみになるのかという説明が必要です。その機構は虫によってまちまちで、これは時間のあるときにでもまた読んでみます。とりあえず、ノミハムシについては次の論文に載っていました。

K. Nadein and O. Betz, "Jumping mechanisms and perfomance in beetles. I. Flea beetles (Coleoptera: Chrysomelidae: Alticini)", J. Exp. Biol. 219, 2015 (2016). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

廊下のむし探検 ユスリカ、カスミカメなど

廊下のむし探検 第962弾

一昨日の12月7日、また、ちょっとだけ廊下に出てみました。もうほとんど虫はいませんね。マンション中を歩いても数えるほどしかいないと思うのですが、まだ、足にギプスがはまっているので、カメラを持ってだとほんの数十メーターしか歩けません。あまりにいないのでここに出すのを止めようかなと思ったのですが、一応、記録だから出しておきます。





こんなユスリカがちょこちょこいます。たぶん、エリユスリカ亜科のフユユスリカの仲間かなと思うのですが、今回写真を撮ったのは共に♀でした。今度、♂がいたら、捕まえて調べてみようと思います。



それからノミバエです。これもMegaselia属だろうというところまでしか分かりません。いつもいるのかもしれませんが、冬になると目立つようになりますね。



最後はケブカカスミカメ。前脚がなくなっていますね。この日はキモグリバエを除くとこれだけでした。

雑談)今日は朝から、以前にブログに出した虫のデータをExcelに取り込む作業をしました。一日かかってちょうど1か月分くらいしか整理できません。それでもやっと今年の5月初めまでたどり着きました。骨折で動けなくなっている間に整理しようと思っていたのですが、来週にはギプスが取れるかもしれないので、慌てて整理を始めました。この作業が終わると、ブログの付録のホームページにある画像リストが出来上がります。もう少しだから頑張ろうっと!

追記2017/12/10:今年の5月31日までにこのブログに出した画像の集計をしてみました。

蛾      973種 4713枚
カメムシ  132種 1081枚
甲虫     450種 2681枚
その他   597種 5904枚
合計    2152種 14379枚

種数は名前が分かったものの数で、若干、怪しいものも含みます。その後ろの数字はブログに出した写真の枚数です。カメムシは「日本原色カメムシ図鑑」で扱っているグンバイムシやいわゆるカメムシだけの数です。その他の中には植物は含まれていませんが、鳥類、爬虫類、哺乳類などは含まれています。もっとも、ほとんどがマンションの廊下で見たものばかりなので、それほど数は多くありません。こういう集計をすると少しはやる気が出てきます
。これから画像リストを作り、種名の再点検をして、それから手作り図鑑づくりに進むという手順なのですが、まだまだ先が長いですね

追記2017/12/10:ついでにEXCELの項目を書いてみますと、入力番号、ブログの日付、種名、学名、綱、目、上科、科、亜科、備考、観察場所などです。これらすべてを毎回入力するのではなくて、ほとんどの場合、すでに入力したもののコピー・ペーストをするだけなのでそれほど手間はかかりません。それと、ブログに出した図の番号、URLの番号、書庫番号を入力します。この3つが分かると、ブログに出した写真一枚一枚をURLで識別することができます。この辺の詳細については以前も書いたのですが、たぶん、その時と同じやり方だと思います)

追記2017/12/10:確認のために、画像のURLが
以前と同じかどうか確かめてみました。このブログの一番上のユスリカの写真のURLは次の通りです。

https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-b8-c5/fushionotori1/folder/1625766/75/55975975/img_0

以前使っていた次のURLでも同じ写真になりました。

https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-b8-c5/fushionotori1/folder/1625766/75/55975975/img_0

ここで、
  blog-b8-c5:ブログごとの識別記号?
  fushionotori1:開設時に登録した名前
  1625766:書庫の番号
  75:後ろにある55975975の下二桁
  55975975:ブログの記事の番号
  img_0:画像の番号
となっています)

虫を調べる ナトビハムシ?

足のギプスが取れず、撮影に行けないので、冷凍庫にしまっておいた虫を顕微鏡で見ては同定を試みています。この間からハムシを調べていたので、その続きで、またハムシを調べてみました。



今回はこのハムシで、11月25日にマンションの廊下で見つけました。大変小さなハムシですが、後脚腿節が太いのでとりあえずノミハムシ亜科だろうということは分かります。これをいつものように、亜科、属、種の検索をしてみようと思っています。

まず、亜科の検索ですが、いつものように「原色日本昆虫図鑑IV」に載っている検索表を使いました。続いて、属の検索ですが、これには次の本を用いました。

木元新作、滝沢春雄、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」、東海大学出版会 (1994).

実は、この本は手に入れていないのですが、以前、吹田市立図書館まで見に行って、一部をコピーしたときにノミゾウムシ亜科の属の検索表まで入っていたので、それを用いました。実際に検索してみると、属はあっけないほど簡単に決まりました。



①から③はいつもの亜科の検索です。そして、④と⑤が属の検索です。これをまた写真で確かめていこうと思います。



まずは全体像から。体長は2.9mm。結構小さいです。全体にくすんだ感じがしますが、これは虫の周りにトレーシングペーパの筒を置いて拡散光にしているからで、実際はもう少し光沢がありました。撮影の概要はこちらを見てください。照明については、最近はカメラ用のリング照明を実体顕微鏡の対物レンズに取り付けて撮影しています。




まずは頭部の写真です。①については大丈夫でしょう。②がいつも問題になります。触角の基部が近いか遠いかはこの写真を見ただけではよく分かりません。以前、ハムシの顔を比較したことがありました。ハムシ亜科、サルハムシ亜科、コブハムシ亜科などは触角基部が離れていて、ヒゲナガハムシ亜科は接近していることは写真を見ただけで分かりました。ただ、接近しているはずのノミハムシ亜科のルリマルノミハムシを見ると、かなり離れています。その点では今回とちょうど同じです。

その時はMike's insect keysというサイトでヒントを見つけました。このサイトには甲虫の絵解き検索がたくさん載っているのですが、その中にハムシ科の亜科の検索も載っていました。そこではヒゲナガハムシ亜科に対して、「触角は前頭に位置し、左右の触角は触角第1節の長さあるいはそれ以下に接近して挿入される」と書いてありました。つまり、触角第1節の長さ程度あるいはそれ以下に接近していると、触角基部と接近していると判断してもよいということです。残念ながら、そのサイトにはノミハムシ亜科は含まれていなかったのですが、その基準を適用すると、この場合でも左右の触角基部は触角第1節程度離れているだけなので、接近していることになるのでしょうね。分かりにくい項目です。



次の前胸腹板突起の幅もなかなかすぐには判断できません。前胸腹板突起は矢印で示したところですが、これを幅広いというべきかどうかは比較の問題です。左右の前肢基節窩が離れていることは確かなので、幅が広いというのでしょうね。



ただ、ノミハムシ亜科は後脚腿節が異様に膨れているので、これを見るとすぐに分かります。モーリック器官は以前にも触れたことがあるのですが、腿節内部にある腱みたいなものを指しています。外部からは見えないのではと思います。これで亜科の検索が終わりました。次は属の検索です。



属の検索はこの写真1枚で終わります。触角は10節なので、これでナガスネトビハムシ属 Psylliodesになりました。

次からは種の検索です。これがなかなか難しくて、もしかしたら間違っているところもあるかもしれませんので、そのつもりで見てください。種の検索表は「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」に載っています。それを使って調べて見ると、ナトビハムシ punctifronsという種になりました。その過程は短いのですが、以下の通りです。



先日、カサハラハムシの仲間の検索をしたときに、別の文献を見つけて大いに進展したので、今回も探してみました。その結果、次の論文を見つけました。

H. Takizawa, "A Revision of the Genus Psylliodes Latreille in Japan (Chrysomelidae: Alticinae)", Insecta Matsumurana 62, 175 (2005). (こちらからダウンロードできます)

「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」にはPsylliodes属は7種載っているのですが、この論文では8種扱っていました。この論文の中にも検索表があったので、それも試してみました。その結果、怪しいながらも同じナトビハムシ punctifronsになりました。



こちらはこの3項目を調べればよいことになります。〔 〕で囲った部分は対抗する項目を見て文章を補ったところ、( )は英語の訳が怪しいので元の英語を書いておいたところです。この二つの検索表を同時に見ていきたいと思います。



体長は範囲内でした。光沢については上で述べた通りです。



次は頭部の写真です。ここで、Ⓑのfrontal tuberclesとsupra-frontal furrowが何を指すのか分からず、だいぶ悩んでしまいました。結局、frontal tuberclesは前頭突起と訳して、図の矢印で示した部分を指すのではと思い、それと前頭・頭頂部との間に溝がないことを言っているのではと思いました。よくは分かりませんが・・・。⑥は頭頂に点刻があることですが、確かにあります。



これも分かりにくいのですが、上翅側片というのは上翅の縁にある幅の部分を指します。この写真は上翅基部に近い部分です。毛が生えていることが微かに分かります。検索項目の「顆粒状」、あるいは「粒状」というのがどれを指すのかよく分かりません。縁にがたがたしたところが見えるのですが、これを指すのかなぁと思っているのですが、よくは分かりません。



こちらは翅端に近い部分ですが、毛は生えていることはよく分かります。対抗する項目が「剛毛を欠く」なので、たぶん、大丈夫だと思うのですが、ここがもっとも怪しいところです。



これは後脚脛節のあたりを写したものですが、「第1跗節は脛節のずっと先端側と結合する」という表現もこの写真を見ると微妙です。これは論文に絵が載っていて、それでは脛節の中央で結合しているので、それと比較すると先端側と言えなくないなという感じです。これも、たぶん、大丈夫でしょう。




Ⓒの頭部、胸部の点刻は間違いないのですが、次のgranulateという表現がよく分かりません。上翅については点刻列の間がgranulateなのでしょうけど・・・。



これは前胸背板を拡大したものですが、点刻と点刻の間がハチの巣のように区切られています。granulateというのは粒状になるという自動詞です。これのことを指しているのかなと思ったのですが、よくは分かりません。ということで、種の検索はかなり怪しいところがたくさんあるのですが、一応、ナトビハムシ punctifronsでよいのかなと思っています。たぶん、決め手は上翅側片の顆粒状印刻だと思うのですが、そこがはっきりしないのでかなり根拠薄弱ですけど・・・。



最後はおまけの写真で、脚の爪です。

検索をしてみると、項目に出てくる構造がどれを指しているのか分からないこと、表現されたものがどういう状態のものかよく分からないことで、いつも悩まされます。少しずつ慣れていくことが一番重要なことだとは思うのですけど・・・。(追記2018/03/20:たぶん、同じ種だと思われるハムシの検索を行い、3/20付けのブログに出しました。このときはナトビハムシ P. punctifronsではなく、ダイコンナガスネトビハムシ P. subrugosaになりました。たぶん、後者で合っているのではと思っています。なお、この個体は♀、3/20の個体は♂みたいです

虫を調べる カサハラハムシの仲間(続き)

昨日に続いて、カサハラハムシの仲間を調べていきます。



対象とするのはこんなハムシです。体長は2.7mm。結構、小さいです。昨日は亜科と属の検索を行い、Demotina属になることを確かめました。今日はその続きで、種の検索です。実は、最初はチビカサハラハムシではと思っていたので、それが載っている次の論文の検索表を使いました。

S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. IV", J. Fac. Agri., Kyushu Univ. 13, 235 (1964). (ここからダウンロードできます)

疑問になる項目もあったのですが、一応、チビカサハラハムシになったかなと思って、その説明を読もうと「原色昆虫大図鑑II」を見たら、検索表に出ていないフタモンカサハラハムシ D. bipunctataという種が載っていました。説明を読む限りカサハムシやチビカサハラハムシと区別が付けられません。それで、別の文献はないかと思って探していたら、次の論文を見つけました。

M. Isono, "A Revision of the Genus Demotina (Coleoptera, Chrysomelidae) from Japan, the Ryukyus, Taiwan and Korea, I", Jpn. J. Ent. 58, 375 (1990). (ここからダウンロードできます)
M. Isono, "A Revision of the Genus Demotina (Coleoptera, Chrysomelidae) from Japan, the Ryukyus, Taiwan and Korea, II", Jpn. J. Ent. 58, 541 (1990). (ここからダウンロードできます)

これは日本、台湾、韓国のDemotina属について書かれたもので、まさにピタリの論文でした。この2番目の論文の後ろに検索表が載っていました。この中に"Female with apical three sternites of abdomen serrated at lateral margin"という項目あります。訳すると、「雌の腹部先端3節の側縁には歯車状の装飾がある」となります。ちょっと意訳していますが・・・。これが分からないとフタモンカサハラハムシとカサハラハムシなどを分けることができないのですが、"serrated"が何を指すのか分かりません。

それで、もう少しネットを探してみました。そうしたら、今坂正一氏の「最新ハムシ事情図説6 カサハラハムシ属紹介1」、「最新ハムシ事情図説7 カサハラハムシ属紹介2」というサイトが見つかりました。このサイトでは各部位の写真を載せて絵解き検索になっているので大変分かりやすく、お陰で"serrated"の意味もよく分かりました。そこで、意を決して磯野昌弘氏の論文に載っている検索表に従って検索をしてみることにしました。



取り消し線は日本に産しない種です。検索の結果、まったく予期しなかったのですが、この種はカサハラハムシやチビカサハラハムシではなくて、クシバアラゲサルハムシ serriventrisではないかという結論になってしまいました。ただ、この種は九州以南でしか記録されていない種なので、たぶん、間違っているのではと思うのですが・・・。とりあえず、その結果をまとめてみました。

検索は㋐b→㋑b→㋒b→㋓bと進みます。それを写真で見ていこうと思います。今回は検索順に見ていきます。



まず、㋐の前胸腹板は矢印で示した四角い部分だと思います。この形状が幅より明瞭に長くはないので、㋐bを選びます。



次は脚の脛節の色です。脛節の先端近くと基部近くに暗色の帯がないので、㋑bを選びます。



次が問題の腹部側縁の歯車状の装飾(serratedをこう訳しました)。普通に見ていたらまず気が付かないと思うのですが、先ほどの今坂氏のサイトを見て、その部分を拡大してみると確かに歯車状の突起が見られます。今坂氏が調べたところによると、この構造は♀に特有で、これから調べる種に特別にあるというものではなく、広く一般にあって、産卵に関係した構造ではないかということです。とにかく、この種が♀であることも分かりました。



最後が頭盾の形状です。頭盾はこの写真で示した通りです。この部分を拡大してみます。



㋓はこれの縦横比についての項目です。測り方でなんとでもなるので、もっとも縦が長く、もっとも横が短いとした測り方とその逆で比を取ってみました。その結果は2.1と2.9になったので、中間をとると2.5付近ということになります。このことから、クシバアラゲサルハムシ serriventrisという、私の住む近畿地方には記録のない種になってしまいました。たぶん、違っているのだろうなと思ったのですが、どこが違うのか分からないので、とりあえずそのまま出しておきます。

そのほかの写真も載せます。



最初に触角です。これはチビカサハラハムシでは触角第2節の方が第3節より長く、カサハラハムシではその逆だという「原色日本甲虫図鑑IV」の記述を確かめるために撮影したのですが、結果はほぼ等しくなりました。このことから、チビカサハラハムシではないのではと思うようになりました。



次は上翅末端の構造です。さらに拡大してみます。



この先端が突出しているか、鈍いかという項目が木元氏の検索表には載っていました。これについては先ほどの今坂氏のページに詳しく載っています。今坂氏によると、ここの形状は♂でははっきりわかるが、♀ではほとんど分からないとのことでした。この写真ではほぼ直角に見えますね。

今坂氏のページによると、Demotina属はいくつかの種群に分けられるとのことです。それらをまとめてみると次のようになります。



その他というのは説明がなくてよく分からない種だそうです。これまでに出された検索表はこれらの種群や種亜群を分けるように作られています。それを図示すると次のようになります。


Demotina属は①から③までの3つの項目で種群や種亜群が分けられます。フタモンアラゲ種亜群だけは種の検索まで書いてあります。この①から④まででそれぞれの検索表が何を基準として分けているかをまとめてみたのが次の表です。



1964年の木元氏の検索表では③がなく、したがって、今回の種までは到達できませんでした。磯野氏と今坂氏の検索表は①を除くとほぼ一致しますが、今坂氏の方がより詳しく書かれているので検索する方としては助かります。特に、①で♂、♀による違いが書かれているのは大変便利です。こんな表を作ってもそれほど役に立つわけではないのですが、ちょっとまとめてみようと思って作ってみました。今度、別のカサハラハムシを見つけたら、是非とも調べてみたいと思っています。

虫を調べる カサハラハムシの仲間

最近は撮影に出られないので、冷凍庫にしまっておいた虫を調べてばかりしています。足に巻かれているギプスもうまく行くと来週には取れるので、また、ぼちぼちと歩けるようになるかもしれません。今はそれを楽しみにしています。

さて、ハムシの検索表の載っている文献が見つかったので、先日から、ハムシを調べているのですが、今回もハムシです。



これは12月1日にマンションの廊下で見つけたものです。雰囲気的にはサルハムシの仲間で、「原色日本甲虫図鑑IV」の図版を見て、チビカサハラハムシではないかと思った個体です。今回検索してみると、属については予想通りカサハラハムシなどが含まれるDemotina属になったのですが、種については紆余曲折しています。どうやらチビカサハラハムシではなさそうで、未だに迷っています。それで、とりあえず、属までの検索をまとめてみることにしました。

検索表は亜科については「原色日本甲虫図鑑IV」に載っているもの、属については次の論文に載っているものを用いました。

S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. IV", J. Fac. Agri., Kyushu Univ. 13, 235 (1964). (ここからダウンロードできます)

まずは亜科の検索です。検索結果はサルハムシ亜科 Eumolpinaeになったのですが、その過程を示すと次のようになります。



この6項目を確かめるとサルハムシ亜科になります。それで、また、部位別に見ていきます。



まずは全体像です。体長は2.7mmでした。体全体に白い毛のようなものが生えていますが、実は、これは毛ではなくて鱗片です。




横からの写真です。頭部は正常で、口器は頭部の先端にあります。これで①はOKです。③は頭部が前胸にはまり込んだような形をして、複眼が前胸背板前縁にくっつきそうになっているところを見ます。また、前胸背板の側縁が写真でははっきりしないのですが、③の後半や⑥の「稀に」と書かれているの方になると思います。



次は頭部です。左右の触角は十分に離れています。これで②はOKです。また、頭盾と前額の間にあるはずの会合線ははっきりしません。これが⑥です。



④は特に溝などはなかったのでOKでしょう。⑥もOKです。



爪がえらい格好をしていますが、これは後から出てきます。ここでは跗節第3節が左右に分かれていることを見ます。これで、①から⑥まで確認したので、サルハムシ亜科は確かでしょう。次は属の検索です。



Demotina属になるにはこの7項目を確かめなければなりません。これも写真で見ていきたいと思います。



⑦の前胸前側板は矢印で示した部分だと思いますが、その前縁はほぼ直線的です。また、前内角は一番右端の角になるのですが、特に反り返っていません。これは以前調べたサクラサルハムシと比較するとよく分かります。次の⑫の前胸腹板は矢印で示した部分ですが、やや横長の長方形をしています。これで⑫もOKです。



先ほどと同じ写真ですが、脚の爪がそれぞれ二つに分かれていることが分かります。長さは少し違うのですが、これをbifidと言うのですね。



⑨、⑩、⑫、いずれも見たら分かると思います。



明瞭な前胸背板の側縁はないのですが、代わりにこんな歯のような構造がありました。



脛節先端外側に窪みがないのがこの写真から分かります。これも以前調べたサクラサルハムシと比較するとよいと思います。



⑬は体に生えているのが毛ではなくて鱗片であることを言っています。これは上翅にある白い斑紋辺りを拡大したものですが、白い鱗片がやや密に集まっていることと、下地に粉のようなものがあることが分かります。



これはその部分をさらに拡大したものです。こう見ると、白い毛のようなものには筋が入っていて細長い鱗片であることが分かります。これで⑬はOKです。



最後は腿節下面にある歯についです。歯が短くて鱗片によって隠れてしまうために写真ではなかなかうまく撮れませんでした。矢印の部分に少し尖ったところが見えますが、これが歯の先端です。歯はあっても目立たないということですね。でも、とりあえず⑬はOKです。これで一応、すべての項目を確認したので、Demotina属は確かそうです。

これから先の種の検索はだいぶ迷いに迷ったのですが、これについては次回に回します。

追記2017/12/17:ビッツさんから、「もうご存知かもしれませんが、今坂正一氏のカサハラハムシ属紹介を紹介しておきますね。」というコメントをいただき、次のサイトを紹介していただきました。最新ハムシ事情図説6 カサハラハムシ属紹介1」、「最新ハムシ事情図説7 カサハラハムシ属紹介2。カサハラハムシの情報をどうも有難うございました。最初は木元氏の論文にある種の検索表で調べていたのですが、「原色昆虫大図鑑」を見たら論文に載っていない種が載っていたので、文献を探して磯野氏の論文にたどり着きました。検索表に書かれている内容が分からないので、またまたネットで探していたら、教えていただいた今坂氏のサイトにたどり着きました。写真が載せられているので、それと比較しながら調べていくと、近畿地方には報告のない種にたどり着き、さらに、雌雄の見分け方も分からず、迷走に迷走を重ねています。こんな怪しげなブログですけど、今後ともよろしくお願いいたします

サシバエの検索

今日はこの間見つけたサシバエを検索表に従って調べていきました。



サシバエだと思っているのはこのハエです。顔の前に口吻が突き出した変わった格好をしています。サシバエについては各部の名称血を吸う仕組みについてはすでに書きました。今回は検索です。検索はまず、科の検索を「原色日本昆虫図鑑III」に載っている検索表で行い、次に、

篠永哲、「日本のイエバエ科」、東海大学出版会 (2003).

に載っている検索表を使って、亜科、属、種の検索を行いました。まずは科の検索から。



サシバエはイエバエ科に属します。後で写真で見せるように有弁翅類であることはすぐに分かるので、そこから出発し、上の㋐~㋔を写真で確かめていくことにします。いつものように検索の順ではなく、部位別に見ていくことにします。



まずは全体像です。体長は5.6mmでした。この写真では横を向いていますが、長い立派な口吻がついています。これで㋑はOKです。


次は有弁翅類かどうかですが、この写真のように端覆弁と基覆弁の2つ覆弁が発達しています。無弁翅類では端覆弁はありますが、基覆弁はこんなに発達していません。



次は胸部側面の写真で、左が前方です。副基節は「大図鑑」の説明では中基副節となっているので、名称をそちらに合わせました(以下、名称をできるだけ「大図鑑」に合わせるようにしています)。中基副節に強い刺毛が生えていないことは写真を見るとすぐに分かります。



次は翅脈です。CuA+CuP脈は翅縁にまでは届いていません。これで㋓はOKです。A1脈は少し見にくいのですが、ほぼ直線的に翅縁向かっていて途中で消えています。したがって、その延長線がCuA+CuP脈の延長線と交わることはないと思われます。これですべての項目を調べたので、イエバエ科は確かそうです。

次は亜科の検索です。



「日本のイエバエ科」の亜科への検索表では一気に族まで行ってしまうのでついでに書いておきました。これも部位別に見ていきます。



①は基覆弁についてですが、この写真のように基部は小盾板とは離れています。したがって、「稀に」と書かれている方の舌状になっていると思われます。「日本のイエバエ科」には英語と日本語の検索表が共に載っているのですが、不思議と内容が異なっています。②の( )内は英語の検索表にあって日本語のものにはなかったものを補ったものです。内容的には①の後半と同じでした。



これは口吻を写したものです。口吻の基部は膜状になっていて、動かすことができるようになっているので、先端は硬化するという書き方になっているのではと思いました。とりあえず②はOKです。



これは胸部側面の写真ですが、中胸上後側板には密生というわけではないのですが、剛毛は生えています。また、後気門の下縁には剛毛が生えていません。



最後は翅脈でM1+2脈が矢印の箇所で前方に湾曲していることを見ます。これで、イエバエ亜科サシバエ族になりました。



次はイエバエ亜科の属と種の検索です。通常、属の検索は嫌になるほど多くの項目を確かめなけらばならないのですが、サシバエ属はあっという間に到達します。しかも③と④は族の検索なので、すでに確かめていました。これらも写真で見ていきます。



この③はすでに確かめました。



④もすでに確認が終わっているので、⑤について調べていきます。ここでは口吻と口肢の長さを比較しています。口肢が短いということを主張している項目ですが、実測すると1/3ではなく、1/4になりました。でも、たぶん、大丈夫でしょう。



③に書かれている中胸上後側板の剛毛束というのがどういうものかはよく分からないのですが、見る限り、束というほどは生えていないので、たぶん、OKでしょう。次の⑤の中胸下前側板の刺毛が0+1というのは、通常、この側板の上には3本の刺毛が生えていることが多いのですが、それを前側と後ろ側に分けて表現したものだと思われます。この写真の場合、後ろ側に一本だけなので0+1となります。



最後がサシバエかどうかの決め手になるのですが、どうも写真がはっきりしません。たぶん、黄矢印で示したところにある暗色の斑紋を指しているのではと思っています。これについては、「日本のイエバエ科」にイラストが載っているのですが、インドサシバエの場合は帯状なので、これとは明らかに違います。ということで、サシバエでよいのではという結論になりました。

イエバエについては詳しい本があるので、できるだけ検索をしてみようと思っています。いつもなら、脚の刺毛の向きやら、頭部の刺毛の向きや数など、細かいところを見ていかなければいけないのですが、サシバエは項目が少なくてかなり楽でした。

廊下のむし探検 キモグリバエ、アワフキほか

廊下のむし探検 第961弾

足を骨折したので虫探しを止めていたのですが、いよいよネタがなくなったので、昨日、10分ほど廊下で虫探しをしてみました。気温が低いのでほとんど虫はいなかったのですが、それでも面白い虫もいました。



まずはキモグリバエです。これはたくさんいました。先日、検索を試みたのですが、結局、属までたどり着くことができませんでした。今度は資料を手に入れて再挑戦したいと思っています。



小さなハネカクシがいました。今のところ、ハネカクシにはまったく手が付けられません。



しばらく見ていたら、急に翅を伸ばしました。これは飛ぶのかなと思ったら、



また、翅をしまい始めました。翅がうまく畳めなかったので、やり直しただけだったのだろうか。





次はこれ。いつものヨコバイかなと思って、「原色昆虫大図鑑III」の図版をぱらぱら見ていたら、クロスジホソアワフキに何となく似ています。これはアワフキなのかな。アワフキとヨコバイはどこで見分けたらよいのだろうと思って、「絵解きで調べる昆虫」に載っている「同翅類とヨコバイ科の絵解き検索」を見てみました。ヨコバイ科とアワフキムシ科はツノゼミ上科とアワフキムシ上科を区別すればよいのですが、後脚脛節を見ればよいようです。



ヨコバイ科はこの写真のクワキヨコバイ属みたいに後脚脛節に多数の刺があります。



一方、アワフキは今回の個体のように後脚脛節には刺が1-2本だけです。これで何とか見分けられそうですね。

キモグリバエの検索(挫折)

冬になると、マンションの東壁にキモグリバエがビッチりつきます。ちょっとでも窓を開けると入ってくるので、まったく窓が開けられません。キモグリバエだというのは分かっているのですが、属も分からないので、今年はひとつ調べてやろうともがいてみたのですが、結局、情報不足で挫折です。でも、いろいろな写真を撮ったので、ここでとりあえずまとめておこうと思います。



キモグリバエというのはこんなハエです。大きさは2-3mmしかないので小さいのですが、これがビッチりついているとなかなか壮観です。とりあえず、いつものMND(Manual of Nearctic Diptera Vol. 2)で属の検索をしようと思いました。でも、結局、途中で挫折でした。



初め、ちょっと似た感じのイネキモグリバエが入っているChlorops属の可能性があるなと思ったのですが、④のところでつかえてしまいました。とりあえず、その辺まで写真で見ていきたいと思います。



まずは横から見た写真です。この写真から体長を測ると2.4mmになりました。後腿節も脛節にも特に異常は認められません。



次は翅脈です。①は当然で、②は矢印で示すようにC脈がR4+5脈をちょっと越えたところまで伸びているのでOKです。これでChloropinae キモグリバエ亜科であることが分かります。



ついでにキモグリバエ科の特徴である翅脈に小さな湾曲があるというところも撮っておきました(黄矢印)。



次は問題の頭部の刺毛についてです。それで、まず、頭部の刺毛に名前を付けてみました。略号は次の通りです。



単眼を含む部分に三角形が見えます。これが単眼三角板(ocellar triangle)だと思うのですが、文献によってはfrontal triangleと書かれている場合もあります。略すと額三角板でしょうか。たぶん、同じものを指しているのではないかと思います。その部分を拡大してみます。



三角板の周辺に矢印で示すように毛が2列生えています。このことから上に書いたように④aが正しいことになります。こちらを選ぶと、Ectecephala属かHomaluroides属になるのですが、共に日本には産しない属になり、行き詰りです。単眼三角板(ocellar triangle)が中央部分の黒い三角状の部分だけを指すのかもと思って別の個体も調べてみました。



こちらの個体も2列の毛が生えているのですが、先ほどのように中央の三角状の部分がはっきりしません。MNDにもこの部分を分けて描いてある絵はないので、やはり、ocellar triangleとfrontal triangleは一緒だと見るのがよいのではと思いました。

そこで、今度は別の検索表を調べてみました。

J. C. Deeming and H. M. Al-Dhafer, "Chloropidae from the Arabian Peninsula", Zool. Middle East 58, 3 (2012). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

この論文にもアラビア半島のキモグリバエ科の検索表が載っているのですが、日本産の属の半分程度しか共通した属がないので、どこまで適用できるか分かりません。



この検索表も選択肢のうち、適当な方を選んで列挙すると上のようになります。これらを調べるのに必要な写真を付け加えると以下のようになります。



こちらは横から見た触角です。かなり特異な格好です。



これは胸背と小盾板を撮ったものです。



最後は後腿節と脛節を撮ったものです。こういう写真を見て、先ほどの検索表を順番に確かめていきます。そうすると、一応、Chloropsina属になるのですが、特に検索表の後半部分は属ではなく種が出てきたりしているので、検索表にどこまで汎用性があるのか疑問です。さらに、MNDにもDeemingらの論文にも触れられていない属もたくさんあります。MNDとDeemingらの検索表を使って否定できる属がいくつかあるので、それらを消していったのが次の図です。



左がMNDに載っていた属、右側が「日本昆虫目録第8巻」に載っている属です。また、青丸はDeemingらの論文に載っている属のうち、「日本昆虫目録第8巻」に載っている属と共通する属を示しています。赤字は先ほどの検索で残った属です。この赤字の属と取り消し線のない属が候補になりますが、あまりにも数が多いので、ここでギブアップです。やはり、上宮健吉氏の本を取り寄せないと駄目かな。

廊下のむし探検 ハムシ、キモグリバエ

廊下のむし探検 第960弾

今日は晴れていたので、久しぶりにマンションの廊下を歩いてみました。といっても、まだ足にギプスがはまっている状態なので、踵だけをつけて数十メートル歩いただけですが・・・。廊下に出てみると冷たい風が吹いて、とても虫のいそうな感じがしません。それでも、諦めずに探していたらやっと虫を見つけました。



小さなハムシです。足をちゃんと床につけられないので、体のバランスが取れず、なかなかピントが合いません。でも、触角にピントが合った写真があったので、触角第2節が第3節より少し長いことが分かりました。それで、今のところ、チビカサハラハムシが第1候補になっています。これは採集したので、今度、検索してみたいと思っています。(追記2017/12/04:検索をしてみると、たぶん、チビカサハラハムシ Demotina decorataで合っているのではと思われます。詳細は後程載せます



次はこのキモグリバエ。毎年、今頃になるとマンションの東側壁面にビッチりつくのですが、今年こそ属くらいは決めてみたいと思っています。

今日は手始めに、「日本昆虫図鑑第8巻」に載っている属と検索表の載っているMND(Manual of Nearctic Diptera)との比較をしてみました。



左側がMND、右側が「日本昆虫目録第8巻」に載っている属です。MNDに載っている検索表を使うと、Chloropinae亜科は確かそうなので、それに属する属だけを載せています。線で結んだものが対応するのですが、属がかなり増えています。それで別の文献も探してみました。

J. C. Deeming and H. M. Al-Dhafer, "Chloropidae from the Arabian Peninsula", Zool. Middle East 58, 3 (2012). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

こちらはアラビア半島のキモグリバエに関する論文ですが、ここに載っている属を青丸で書き入れてみました。どっちもどっちという感じですね。この写真の種はChlorops属ではないかと狙いをつけているので、とりあえず、MNDの検索表で調べてみようと思って、英語で書かれた検索表を翻訳してみました。



この12項目を全部調べればChlorops属になるかどうかは分かるのですが、ちょっと試してみたら、四角でくくった④のところでつかえてしまいました。実は、この種については以前も科レベルで調べたことがありました。そのときに撮った写真を見ると、どうも、単眼三角板には2列の毛の穴の列があるみたいだからです。でも、それで④aを選ぶと、その後に到達する2属は日本には産しないのでそこでつかえてしまいます。一方、④bを選ぶと、⑤から⑫へと進み、あまり問題になるところもなく、Chlorops属に到達しそうです。④の項目を無視するか、それとももう少し別の検索表を探すか、今、悩んでいます。

追記2017/12/02:上宮健吉氏のChlorops属の論文が見つかりました。

K. Kanmiya, "Notes on the Genus Chlorops Meigen (Diptera, Chloropidae) from Japan and Formosa", Kontyu, Tokyo 46, 52 (1978). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

この中には日本産Chlorops属12種に対する検索表が載っていました。
「日本昆虫目録第8巻」に載っている種が16種なのでかなり使えるかもしれません。ただ、Chlorops属の特徴を読むと、"frontal triangle usually with a pointed anterior apex, not covered densely with pollinosity, without lnterfrontal hairs on inside of triangle"と書かれています。つまり、単眼三角板の先端は通常尖っていて、粉で密に覆われることなく、また、三角板の内部には額内毛はないという意味です。



これは以前出した写真です。明らかに2列の毛が三角板内部の辺縁部に生えています。やはり属が違うのかも。氏がMemoirs of the Entomological Society of Washingtonに出された本が欲しくなってきました。これはどうやったら手に入るのだろう
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