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サシバエが血を吸う仕組み

先日、マンションの廊下をちょっと歩いたときにこんなハエを見つけました。



写真を撮った時には気が付かなかったのですが、顔の前に口吻が突き出しています。変わったハエがいるなぁと思って、「原色昆虫大図鑑III」の図版を見ていたら、イエバエ科のサシバエの仲間がよく似ていることが分かりました。採集していたので、翌日、「日本のイエバエ科」に載っている検索表で検索してみると、どうやらサシバエ Stomoxys calcitransで間違いなさそうです。このハエは家畜の血を吸うので家畜がいらいらして、乳の出が悪くなるなどの被害が出て、昔から嫌われているハエでした。調べてみると人間の血も吸うようです。こんな太い口吻を突き刺すのだからきっと痛いでしょうね。いったいどんな仕組みで血を吸うのだろうと思って、サシバエの口吻についてちょっと調べてみることにしました。





これは口吻の先端付近を腹側(上)と背側(下)から撮影したものです。先端に大きな穴が開いているのだろうと思ったのですが、不思議と開いていません。いったいどうなっているのでしょう。それで文献を調べてみました。

H. J. Hansen, "The Mouth-Parts of Glossina and Stomoxys", in E. E. Austen, "A Monograph of the Tsetse-Flies [Genus Glossina, Westwood] based on the Collection in the British Musueum" (London, 1903). (ここから本をダウンロードできます)
C. K. Brain, "Stomoxys calcitrans Linn.", Annals of the Entomological Society of America 5, 421 (1912). (ここからダウンロードできます)

古い論文や本ですが、共にダウンロードができました。ここに口吻の構造が詳しく出ていました。主に、Brainの論文を参考にして上の写真で写っている部分が何なのか調べてみました。



腹側と背側から写した写真を同じスケールで並べてみました。黒くて固そうな鞘は下唇が変形したもので、溝と書いた部分で左右が固定されています。中には上唇と下咽頭、筋肉などが通っています。下唇は3節に分かれていて、その先端の第III節は固い唇弁になっていて、その中に上唇などが突き刺さっているように見えます。



口吻の先端部分を拡大したものです。唇弁は左右の手のひらを膨らまして重ねたような形をしています。その膨らみの中に上唇などが入っています。この唇弁は左右に開くことができます。また、先端近くのAの部分は唇弁が開くとナイフの刃のように鋭いエッジになっているようです。下唇の鞘がなくなる部分に少しだけ見えているのは何でしょうね。

この口吻の仕組みについてはBrainの図を引用して説明するとよく分かります。


Reproduced from C. K. Brain, "Stomoxys calcitrans Linn.", Annals of the Entomological Society of America 5, 421 (1912).

これは口吻の基部に近い部分の断面です。下唇の鞘の内側には筋肉細胞が詰まっています。その中心部分には左右の上唇が合わさって、内部に血液の通るfood canalが出来上がっています。その下側には左右の下咽頭が合わさり、小さなsalivary canalが作られています。この部分には唾液が通ります。下唇の溝は左右から回ってた鞘が重なっている部分でした。


Reproduced from C. K. Brain, "Stomoxys calcitrans Linn.", Annals of the Entomological Society of America 5, 421 (1912).

これは口吻の先端にある唇弁の内側を描いた図です。右が背側、左が腹側です。背側にはAで示した刃のような部分があり、その内側にはキチン質(クチクラ)できた歯が何本も生えています。(追記2017/12/01:Hansenの記述を読み直しました。「これらの歯と唇弁の膜質の外縁の間には2列の大きくて長く伸びた、かなり薄く、大変鋭いキチン質の刃がある。ナイフの刃とほぼ同じ形をしていて、大きな歯と同じ方向を向いている。」と書かれているので、刃はAと書いた部分ではなく、「キチン質の刃」と書いたいくつも突起を指しているようです。なお、このBrainの論文に載っている絵は、Hansenの描いた絵とほとんど同一のものでした



この写真は毒瓶に入れておいたサシバエの頭部を腹側から写したものです。生時は前を向いていた口吻が横を向いていました。通常、口吻は上の写真の口肢の間の浅い溝に収められ、前を向いています。口吻の基部は膜状になっていて容易に向きを変えられるようです。

血を吸うときは、前を向いていた口吻を下に向け、体全体を上に持ち上げ勢いをつけて皮膚に口吻を突き刺します。この時、たぶん、先ほどのAの刃の部分が皮膚に突き刺さり、皮膚表面を破ります。口吻が突き刺さると、今度は唇弁を開き、内部の歯で皮膚組織を壊します。

M. M. J. Lavoipierre, "Feeding Mechanism of Blood-sucking Arthropods", Nature 208, 302 (1965). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

吸血する虫には血管に針を刺して吸うタイプ(vessel feeder)と、近傍の血管を破って血液のプールを作り、そこから血を吸うタイプ(pool feeder)があります。上の論文によれば、サシバエはpool feederと書かれていました。ということは、突き刺った口吻の先端にある唇弁で周辺の組織と同時に血管を破り、そこに血液プールを作り、それを上唇のfood canalで吸い取るというのがその機構のようです。たぶん、頭部には蚊や蝶と同様、血液を吸うためのポンプが入っているのではと思います。

一匹の虫でも詳しく調べてみると、いろいろと面白い仕組みが見つけられますね。だからと言って、あまり刺されたくはないですけど・・・。

追記2017/12/01:フロリダ大学のサイトにサシバエについて書かれていたので読んでみました。吸血昆虫にはいろいろいるのですが、通常は雌だけが吸血します。ところが、このサシバエは雄も雌もまったく変わらない口吻をもっていて吸血するそうです。サシバエの属するStomoxys属は全世界に18種いるのですが、人と共に暮らす種はサシバエ S. calcitransただ一種だそうです。人と共に暮らすというのは、農家であったり、家畜施設などに多く発生するのでそういう風に言われています。通常は人には刺さないのですが、フロリダ半島などでは観光客が襲われる被害が出ています。フロリダにある複数の馬の施設で調べたところ、馬から吸血するのは24%、牛が65%、人が10%、犬が2%だったそうです。

牛などの家畜動物は主に脚から吸血します。このサイトには脚にサシバエが20匹ほど止まっている写真が載っていました。人は脚、膝の後ろ、肘が主に刺され、犬や猫は耳が多いそうです。刺されても、特に腫れたり、アレルギー反応を起こしたりということはないのですが、刺されると極端に痛いので、家畜などはこれを追い払おうとしてストレスを受けるため、食事をしなくなり痩せてしまうというような被害が出ています。その被害額は全米で2000億円にも上るそうです。

サシバエは刺すと痛くて、かつ、しつこいのが特徴です。実際、放っておくと5分ほど血を吸い続けるそうです。たぶん、これが英名のstable flyの語源になっているのでしょうね。成虫の寿命は野外では1か月ほどで、雌はこの間に800個の卵を産むそうです。幼虫は通常の蛆の形をしています。こんなところでした

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サシバエを調べる

先日、マンションの廊下でハエを見つけました。



こんなハエです。その時は気が付かなかったのですが、後でよく見ると口の前に何か尖っています。こんな形の口吻を持っているのはイエバエ科のサシバエです。この日は採集したので、翌日、早速検索をしてみたら、案の定、サシバエ Stomoxys calcitransになりました。

検索をする前にはいつも、虫のいろいろな場所を顕微鏡下で撮影して、各部に名称をつけていくのですが、今回も同じように調べたので、検索の結果を出す前にその部分だけをまとめてみることにしました。



まずは気になる口吻です。生きていたときは前を向いていたのですが、毒ビンに入れておいたら、こんな風に横向いてしまいました。口吻は回転できるのかもしれません。それにしても立派な口吻ですね。



ちょっと拡大してみました。これは腹側から先端部分を撮ったものです。



そして、これは背側からの撮影です。吸血型の口吻なので先端に穴が開いているとばかり思っていたのですが、穴が見えません。



これは先端部分の拡大です。やはり穴は見えません。どうなっているのでしょう。



次は胸の部分を横から撮ったものです。検索のときに各部の名称が出てくるのですが、これがなかなか難しいので、予め調べておきました。



これは前半部分を拡大したものです。こうやって名前をつけていくと何となく分かったような気がして、安心感が出てきます。



これは後半の部分です。イエバエ科は中基腹節に毛列がないのが特徴ですが、やはりありませんね。また、中胸下前側板上の刺毛の配置は検索でよく問題になるのですが、これは後半に1本あるだけです。



次は翅脈です。イエバエ科はCuA+CuP脈が翅縁にまで達しないのですが、まさにその通りです。また、M1+2脈が奇妙な形で前方に曲がっています。




これは脚の爪の拡大です。爪の根元には側爪板というのが2つあります。その間には爪間板というのがあって、側爪板と同じような形の種もいるのですが、これは刺毛状です。爪もしげしげ見ると、なかなか美しいですね。



これからは刺毛に名前を付けていきました。次の表に略号をまとめてみました。



篠永哲、「日本のイエバエ科」(東海大学出版、2003)のサシバエの項にはfrではなくて、oriと書かれているのですが、刺毛の生える場所からはfrの方がよいような気がしました。






次は胸部の刺毛です。これも略号をまとめてみました。



大体はわかったのですが、この写真でも分かるように、刺毛が太くて長く、明らかに目立っている刺毛がそんなに多くはなくて、どこまでを数に入れるかでだいぶ迷いました。「日本のイエバエ科」のサシバエの項には、ac 0-1+1+2, dc 2-3+3-4, h 3-4, ph 1-2, ia 0+1, nt 2, pra 0, sa 1, pa 2, as 1, ls 2, ds 1, st 0+1となっていて、範囲で書かれているのが多いのはそのためでしょう。この中で、+で書かれているのは中胸盾板の中央を走る横線の前後の刺毛の数を表しています。合っているようなそうでもないような、よく分かりませんね。stのような重要な刺毛が合っているのでまあいいのかなと思っています。次回はこれらを使った検索の結果をお見せします。

虫を調べる マドチャタテ科(続き)

先日、チャタテを捕まえて調べてみました。最初に見たときは、縁紋が四角いのでウスイロチャタテ科だとばかり思っていたのですが、爪の先端近くに歯があるので、マドチャタテ科であることが分かりました。今回はその先の種の検索なのですが、結論から先に言うとギブアップになりました。でも、とりあえず、ここまで調べてきたことをまとめてみようと思って書いてみました。



対象としたのはこんなチャタテです。前翅に後小室がない、爪に歯があるということからマドチャタテ科は確かそうです。ここからは種の検索なのですが、いつも使わせていただいている次の論文の検索表で調べてみました。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991). (こちらからダウンロードできます)



これはマドチャタテ科の種の検索表を書いたものです。検索の流れは⑧から⑩と行くのですが、⑪だけはどこからも到達できません。ただ、翅脈に沿って褐色の色素が沈着するとのことでここでは除外してもよさそうです。それで、まずは⑧を見てみます。



これは前翅翅脈です。最初の項目の前翅翅端部の毛を見るためにその部分を拡大してみました。


翅端部はR4+5とM1の間くらいで、そことはちょっとずれているのですが、短い毛がまばらに生えていることが分かります。それで、⑧aを選んで次の項目を見てみました。次は、「Rs脈はR2+3脈の約2倍の長さ」という項目です。Rs脈はR脈との分岐点からR2+3とR4+5脈の分岐点までなので、上の橙色の部分の距離の比を測ると1.70倍になり、まぁ、2倍に近そうです。前翅長は実測で2.3mmだったので、やや小さいかなと思ったのですが、最初はignisでよいのかなと思っていました。

ところで、値が少しずつ違うのが気になってもう少し調べてみました。もし、⑧bの方を選んだとすると、Rs脈とR2+3脈の長さの比は2倍からはずれ、quercicolaはその代表になるはずです。この種については次の論文に翅脈の写真が載っています。

K. Yoshizawa, "MORPHOLOGY OF PSOCOMORPHA (PSOCODEA: 'PSOCOPTERA')", Insecta Matsumurana 62, 1 (2005). (ここからダウンロードできます)

それで、quercicolaについても測ってみました。そうしたら、Rs脈とR2+3脈の長さの比は2.08倍になり、むしろ2倍に近くなりました。どうやら測り方が間違っていたようです。それで、是非ともignisの翅脈を見てみたいと思って文献を探してみました。

H. Okamoto, "Die Caecliiden Japans", Ann. Mus. National. Hungarici 8, 185 (1910). (ここからダウンロードできます)

この論文はignisの記載論文です。この中にignisについての説明が載っているのですが、残念ながら図がダウンロードできません。それで、説明文で何とか理解しようとしたのですが、これがドイツ語です。とりあえず、この論文に載っているPeripsocus属の種への検索表を訳してみました。



この当時は3種しか記録されていなかったようですが、この中にignisとquercicolaは含まれています。検索表は富田氏らのものとよく似ています。ただ、Rs脈とは書かれず、Ⓐaでは径室の柄、Ⓐbでは径脈分枝室の柄と書かれています。たぶん、Ⓐaの径室は間違いで、径脈分枝室の柄が正しいと思うのですが、とりあえず、「柄」という表現から、Rs脈全体を指すのではなく、RsとM脈が合流している部分までを「柄」と考え、長さを測ってみることにしました。


それがこの写真です。測り方は脈に沿って測る方法と直線的に測る方法があるので、両方とも試してみたのですが、値はほとんど一致しました。いずれにしても柄の長さはR2+3脈とほとんど同じでした。先ほどのquercicolaで測ってみると、1.19です。やはりほぼ等しくなっていて、Ⓐbの書き方とだいたい一致しているようです。やはりここを測るのかもしれません。ignisは径脈分枝の長さがかなり短いのでしょう。

Okamoto氏の論文にはignisとquercicolaの特徴についても載っていたので、翅の特徴についてまとめてみました。



この特徴と比較するとやはりignisは違うようです。それで、⑧bを選んで⑨bに進むと、次の⑩で亜生殖板突起が分からずストップになってしまいました。

「日本昆虫目録第4巻」(2016)を見ると、日本産マドチャタテ科はPeripsocus属だけで、そこには次の7種が載っていました。

didymus
hongkongensis ×
ignis
pauliani ×
phaeopterus
pumilus
quercicola

このうち×を付したのは分布に本州が含まれないものです。ここからどうしようかなと思ったのですが、とりあえず、記載論文を集めてみようと思いました。上のOkamoto氏の論文はignisの記載論文になっています。

G. Enderlein, "Zehn neue aussereuropäische Copeognathen", Stettiner Entomologische Zeitung 67, 306 (1906). (ここからダウンロードできます)
G. Enderlein, "Neue Beitrage zur Kenntnis der Copeognathen Japans", Stettiner Entomologische Zeitung 68, 90 (1907). (ここからダウンロードできます)
I. W. B. Thornton and S.-K. Wong, "The Peripsocid Fauna (Psocoptera) of the Oriental Region and the Pacific", Pacific Insects Manograph 19, 1 (1968).  (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

上から、quercicola、pumilus、hongkongensisの記載論文になっています。残りのphaeopterusとdidymusはヨーロッパでも産する種なのでいろいろなところに載っています。

National Barkfly Recording Scheme
A. Badonnel, "Psocopteres", Faune de France 42 (1943). (ここからダウンロードできます)
C. Lienhard, "PSOCOPTÈRES EURO-MÉDITERRANÉENS", Faune de France 83 (1998). (ここからダウンロードできます)

ということで、本州に産しないpaulianiを除いてすべて揃ったのですが、翅脈は種によってそれほど違いはありません。やはり交尾器の違いを見ないと分からないみたいです。





これは腹部末端を後方からと腹部側から撮ったものです。上の論文の図と比べてみたのですが、たぶん、♂だろうということは分かったのですが、どれが何に対応するのかさっぱり分かりません。まずは交尾器の見方を勉強しないといけません。いろいろと調べてきたのですが、結局はこれが結論になってしまいました。

ついでに撮った写真も載せておきます。



これは顔の写真です。



そして、これは前翅前縁付近にあるnodusという静止時に後翅を止めておくフックです。チャタテもなかなか進みませんねぇ。

雑談)足の甲の骨折から2週間ちょっとが経ちました。先週くらいから松葉杖であちこち動き回っているのですが、両腕で全体重を支えるので、相当にくたびれます。それで、もっぱらこれまでのブログに出してきた虫の写真と名前、それにその日のブログを対応させる表づくりに専念しています。これができると、ホームページに載せた画像リストになるのですが、昨日でやっと昨年10月末までの整理ができました。ここまでで、名前の付けられたものが全部で2050種になりました。この辺に生息する虫の種数から見たら微々たるものでしょうが、それでも、よく頑張ったなと思っています。

廊下のむし探検 ハエやハチなど

廊下のむし探検 第959弾

昨日の午後、また、廊下の虫を探してみました。足を骨折しているので、足をひきずりひきずり30mほどの距離で、時間も10分ほどだったのですが・・・。



いよいよキモグリバエの季節になってきました。ここかしこにちょこちょこいます。カニみたいに横歩きをするので、小さくてもすぐに分かります。今回は2匹捕まえてきました。今度、属の検索をしてみます。





ハチもいました。ヒメバチだろうなと思ったのですが、一応確かめておこうと思ってちょっと翅を広げた下の写真を使って翅脈を見てみました。





上が前翅、下が後翅です。頑張って見ていったらここまで調べることができました。翅脈の名称はAmerican Entomological Instituteのホームページに載っているものを用いました。ヒメバチ類の翅脈の名前の付け方にはいろいろな流儀があるのですが、私は前翅のRs脈の扱い方がここの方式が一番素直だなと思って使っています。「絵解きで調べる昆虫」にはヒメバチ科とコマユバチ科の区別が出ています。翅脈だけについていうと、ヒメバチ科は、①前翅は2m-cu脈をもつ、②後翅の1rs-mとRsの合流点はRとRsの分岐点より先端側、ということになっています。ただし、翅脈の名称はこの写真の方式に合わせました。これはそれを満足しているので、ヒメバチ科は確かそうです。この先の亜科の検索は大変なのですが、今回は採集したので、今度試してみます。





小さなユスリカがちょこちょこいます。共に雌なので、採集しませんでした。雌でも亜科ぐらいは調べておかないと怒られそうなので調べてみました。





2匹が同じ種類としてこんなところを見ていきます。これでたぶん、エリユスリカ亜科になります。フユユスリカの仲間かなぁ。今度、雄が見つかったら、先日購入した「絵解きで調べる昆虫2」に載っている検索表で調べてみたいと思っています。





次はこのハエです。写したときは普通のハナバエかイエバエだろうと思って気にも留めなかったのですが、後で見てみると、口のところが尖っています。普通は舐めるタイプの口をしているのですが、これは吸血型です。たぶん、イエバエ科のサシバエの仲間だと思われます。幸い、採集したので、今度、頑張って検索をしてみます。(追記2017/11/26:検索してみた結果、サシバエ属サシバエ Stomoxys calcitransになりました。これから確認してみますが・・・



最後はこのハムシです。後脚腿節が太いのでたぶん、ノミハムシ亜科でしょうね。触角の節を数えてみると、何とか数えられて11節。これで検索の2項目をクリアできるのですが、残りは46項目もあります。上翅の点刻列が綺麗で、前胸背板に横溝などはなさそう。ちょっと特徴がないのですが、これも採集したので、これからのお楽しみです。(追記2017/12/04:触角が10節でした。これから直ちにナガスネトビハムシ属 Psylliodesになります。さらに検索してみると、ナトビハムシ Psylliodes punctifronsになりました。詳細は後程載せます

10分間ほどの昆虫探索だったのですが、結構、楽しめました。でも、これからはハエの仲間が多くなるでしょうね。

虫を調べる マドチャタテ科

先日、マンションの廊下で小さなチャタテムシを見つけました。



大きさは3mmほどのこんな小さな虫です。どうせ足を骨折して動けないのだから、検索でもしてみようと思って採集してきました。ぱっと見で縁紋が四角いのでウスイロチャタテ科かなと思ったのですが、検索してみると、意外や意外、マドチャタテ科になりました。種の検索はどうもうまくいかないので、とりあえず、科の検索だけまとめてみることにしました。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991). (こちらからダウンロードできます)

検索はいつものこの論文の検索表を用いました。マドチャタテ科になるには次の7項目をクリアしないといけません。



( )は分かりやすくするためにこの項目と対抗する項目を見て補った部分です。これらを一つずつ調べていくことにします。いつものように検索の順ではなくて、部位別に写真を見ていきます。



まずは全体像です。スケールと一緒に撮ったので、だいたいの大きさが分かると思います。実際に測ってみると、体長は1.7mm、前翅長は2.3mmになりました。体長は縮んでくるので、前翅長の方が確かかもしれません。①は長翅型かどうかなので、問題なくOKです。



次は翅脈です。翅脈の名称は次の論文を参考にしました。

K. Yoshizawa, "MORPHOLOGY OF PSOCOMORPHA (PSOCODEA: 'PSOCOPTERA')", Insecta Matsumurana 62, 1 (2005). (ここからダウンロードできます)

縁紋は四角というより、後縁が少し湾曲していました。nodusには翅の裏に引っ掛ける鉤のようなものがついていて、静止するとき後翅を重ねて翅を止めるのに使います。また、nodulusは飛翔のときに後翅を結合するための仕掛けがついています。④の後半については、翅膜には一面に細かい毛のようなものは生えているのですが、目立った毛は生えていません。⑤はOKでしょう。⑥が重要で、黒矢印で示した部分に翅室(後小室)がないことを確かめます。⑦も毛についてです。前翅には翅膜にも翅脈にも毛は生えていないのですが、次の写真のように翅縁には短い毛がまばらに生えています。


したがって、後翅についても見なければなりません。



これは後翅です。これの翅縁を拡大して見てみます。



⑦の後半の部分ですが、対抗する項目に径脈叉部分の翅縁に毛があるという項目があったので、その部分を見てみました。確かに毛は生えていません。これで⑦もOKになりました。



次は脚で、跗節が2節であることを見ます。



それと問題の脚の爪の先端近くにある歯です。これがなかなか写しにくいのですが、今回は横からの照明の他に透過光も加えて対物鏡20Xを使って撮りました。これで7項目すべてを確かめることができたのでマドチャタテ科は間違いなさそうです。

ネットで探してみると、マドチャタテ科については「成城の動植物」というブログに詳しい説明が載っていました。このサイトはいつも詳しく調べられているので大変参考になります。マドチャタテ科についてもいろいろな情報が載っていました。そのうちのTree of Life Web Projectというサイトについては初めて知りました。この中にマドチャタテ科についての説明も載っていました。交尾器についてはまだよく分からないので、それ以外の特徴をまとめてみると次のようになります。



大体は上の写真で確かめることができます。触角の写真がなかったので載せておきます。



写真を撮っていたら途中で触角が折れてしまったので、別々に写真を撮りました。数えてみると全部で13節になりました。



最後はおまけで40倍の対物鏡で触角第4節をさらに拡大した写真です。種の検索についてはまだうまくいっていないのですが、もう少し頑張ってから出すことにします。

「絵解きで調べる昆虫2」サトオオトガリキジラミ

先日、六本脚から広告メールが来て、日本環境動物昆虫学会編、「絵解きで調べる昆虫2」(文教出版、2017)が出版されたことを知りました。これまでの環境アセスメント動物調査手法講演会で使われたテキストのうち、絵解き検索の部分をまとめてものです。「絵解きで調べる昆虫1」にはさんざんお世話になったので、こちらもすぐに注文しました。この中にはキジラミ類、カスミカメムシ類、ヒロバカゲロウ科、ベニボタル科、ユスリカ科の絵解き検索が載っているのですが、どれも大変充実した内容です。

すぐにでもいろいろと調べてみたくなったのですが、とりあえず、以前調べた虫をもう一度調べてみようと思って、オオトガリキジラミの検索をしてみました。



オオトガリキジラミというのはこんなセミのような虫で、この写真は2015年2月21日にマンションの廊下で採集したものです。その時は次の論文を見て、雰囲気的にオオトガリキジラミ属のサトオオトガリキジラミだろうという推測をしていました。

Y. Miyatake, 「日本産オオトガリキジラミ属について(英文)」, 大阪市立自然史博物館研究報告 31, 93 (1978). (ここからダウンロードできます)

上の本にこの属、種が載っていたので、早速、確かめてみました。その結果、予想通りオオトガリキジラミ属のサトオオトガリキジラミになったのですが、その検索の過程を書くと次のようになります。



これはキジラミ上科の科、属、種の検索表で、必要な部分のみを抜き出したものです。この6項目を調べることで種まで到達することになります。これらを写真で調べていくのですが、実に、翅脈と触角を見るだけで確かめることができます。



これは以前撮影した写真ですが、翅脈の名称は今回の「絵解きで調べる昆虫2」に載っているものを採用しました。Cu脈付近が以前とは違っていました。まず、トガリキジラミ科は①→で示したところでR、M、Cuの3つに分岐するというところで見分けられます。これをCrawford氏はtriozineと名付けたのでしたね。もっともここはCuではなくて、Cu1と書くべきではと思ったのですが、本に合わせてCuとしておきました。②は後で見ることにして、③は翅端が少し尖っているところを見ます。④はm1室に翅端が含まれないこと、⑤はM1+2脈が前半で強く屈曲し、後縁付近では翅脈がみな平行になっていることを見ます。最後の⑥はCu脈とCu1bの長さ比べとCu1b脈が弧状に湾曲していることを見ます。長さは実際に測ってみると1:0.99となり、ほとんど完璧に一致しました。



触角はこんな格好なのですが、②に載っている各節に1~数本の刺毛というのは写ってはいません。ただ、対抗する項目「触角は太く先端に向かって細まり、多数の刺毛を持つ」とはかなり違うので、やはりこれでよいようです。これですべて確認することができ、やはりサトオオトガリキジラミでよさそうです。

日本産オオトガリキジラミ属にはヤマオオトガリキジラミ、オオトガリキジラミ、サトオオトガリキジラミの3種がいるのですが、前翅後縁の色、Rs脈の終点の位置、Cu1b脈の屈曲、Cu1bとCu脈の長さの比較で見分けることができるようです。この本のお陰でキジラミも少しは分かるようになるかもしれません。何となく嬉しいですね。

廊下のむし探検 ハエ、チャタテほか

廊下のむし探検 第958弾

昨日の午後、また、足を引き摺りながら、マンションの廊下を30mほど歩いてみました。予想通り、小さなハエがいろいろといました。当分はこれで楽しめるかもしれませんね。







小さいハエですが、スススッーと動くのですぐにノミバエであることが分かります。後脛節に毛の列が微かに見えているので、たぶん、Megaselia属だと思われます。ここから先が分からないのですが・・・。



次はユスリカです。これは♀なので、採集はやめました。





これはキノコバエの仲間だと思うのですが、どうやって調べたらよいのかよく分かりません。



それにキモグリバエの仲間です。今頃になるとマンションの壁に山のようにやってきます。今年は何とか属くらいまでは調べたいですね。



それから、また、シダカスミカメ亜科のMansoniella shihfanaeがいました。昨年の9月2日に初めて見つけてから、最近は普通に目にするようになりました。(追記2018/06/02:立西さんから、「クスベニヒラタカスミカメ Mansoniella cinnamomiという種名で決着しているようです。あちこちで被害木を見かけますね。」というコメントをいただきました。この名で検索すると、「昆虫と自然」2016年の12月号にも載っていたようですね。貴重な情報、どうも有難うございました



最後はこのチャタテです。縁紋が四角っぽいのでウスイロチャタテだろうと思って採集してきました。



チャタテの科の検索は、私のいい加減な表で行いました。ただし、取り消し線は本州に生息しない科です。とりあえず、跗節と翅脈を見ればよいことになっています。



跗節は確かに2節です。


翅脈には黒矢印で示したところに後小室がありません。これで、ウスイロチャタテ科か、マドチャタテ科になったのですが、縁紋が四角いのでたぶん、ウスイロチャタテ科だろうと思って、検索表で種を調べてみました。結局、種まではたどり着かなかったのですが、一応、念のため脚の爪も撮っておこうと思って、撮ってみたらびっくり。



脚の爪に黒矢印で示すような歯がありました。ということは、マドチャタテ科。そう思って見ると、縁紋の後縁がやや丸っこいし、Rs脈とM脈が一部合流しているし・・・とウスイロチャタテ科とは違うところも見えてきました。種の検索も行って一応の候補は出てきたのですが、まだ検討中なので、また、今度まとめて出すことにします。

紅葉の仕組みの勉強

「廊下のむし探検」とは直接関係はないのですが、先日、イチョウの葉が黄色になる理由を調べたので、ついでにモミジの葉が赤くなる理由をもう少し詳しく調べてみました。

(1) 北原晴男、「物質合成から見た紅葉」、弘前大学教育学部教科教育研究紀要 25, 35 (1997). (ここからダウンロードできます)
(2) 大谷俊二、「紅葉の化学」、化学と生物 23, 701 (1985). (ここからダウンロードできます)
(3) T. Iwashina, "Detection and Distribution of Chrysanthemin and Idaein in Autumn Leaves of Plants by High Performance Liquid Chromatography", Ann. Tsukuba Bot. Gard. 15, 1 (1996). (ここからダウンロードできます)
(4) T. Iwashina and Y. Murai, "Quantative Variation of Anthocyanins and Other Flavonoids in Autumn Leaves of Acer palmatum", Buu. Natl. Mus. Nat. Sci. B34, 53 (2008). (ここからダウンロードできます)
(5) 中島淳一郎ほか、「アントシアニン生合成の生化学―酵素反応機構解明における最近の進歩」、たんぱく質拡散酵素 47, 217 (2002). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

こんな論文を読んでみました。まだ詳しくはよく分からないのですが、分かったことを少しだけ書いてみます。



この間、イチョウとモミジを例に葉が赤や黄色になる理由を説明しました。葉の中には葉緑素(クロロフィル)があって、光のエネルギーと二酸化炭素、水を材料にして光合成を行い、酸素と糖を作っています。陽が十分にあたり、気温の高い季節ならよいのですが、秋になって陽が弱くなり、気温も低くなると、光合成の効率も下がり、葉を維持するのが困難になってきます。そうすると、葉緑素を含む葉緑体を維持するのも困難になり、葉緑素が分解されていきます。さらに、葉の根元にコルク層による離層ができ、水や栄養の行き来を止めてしまいます。葉には緑色の葉緑素と黄色のカロチノイドが約8:1の割で含まれています。カロチノイドにはカロチン類とキサントフィル類という種類があるのですが、葉にあるのは主にキサントフィル類のルテインです。葉緑素が分解されていくと、その黄色のカロチノイドが残り、葉は黄色になっていきます。これがイチョウの黄葉の色になります。

葉緑素が減少し、離層ができると、残った葉緑素による光合成が進み、葉の中の糖の濃度が高くなってきます。それと同時にアントシアニンという赤い色素が大量に作られ始めます。そうなると、黄色のカロチノイドと赤いアントシアニンにより葉が赤くなるという仕組みになっています。文献(4)には、イロハモミジの葉の色素の量を測定した結果が載っていました。概略を図に表すと次のようになります。



11月になるとクロロフィルは急激に減少し始めます。これに対して、カロチノイドは緩やかに減少し始めます。これと拮抗するように11月に入るころからアントシアニンが急激に増加し始め、11月後半になると、ほとんど、アントシアニンとわずかに残ったカロチノイドばかりになり、綺麗な赤い紅葉になるというわけです。

ところで、アントシアニンにもいろいろな種類があるのですが、秋になり葉の中で作られるのはクリサンテミンというアントシアニンが大部分で、そのほかにもイデインというアントシアニン色素が見出されています。この二つの色素の構造式を書くと次のようになります。



ほとんど同じなのですが、右下にあるOHの向きが違っているだけです。植物の種類によって、クリサンテミンが主流になっている葉やイデインが主流になっている葉があります。それを測定したのが文献(3)です。この論文ではいろいろな植物の葉に含まれるアントシアニン色素を高速液体クロマトグラフィーという手法で分析しました。論文には詳細な数値が載っているのですが、概念的にまとめると次のようになります。




カエデなど大多数はクリサンテミンの赤い色が紅葉のもとになっていますが、ナナカマドやハゼノキなどではイデインが主体になっています。この2種以外のアントシアニンによる紅葉もあり、リョウブなどがそれに当たります。そのほかにもこれらのアントシアニン色素が混じっている種もあります。面白いのはブルーベリーで、この紅葉にはいくつかのアントシアニン色素が均等に混じっているようです。

このようなアントシアニンが葉の中でどのように作られるかは文献(1)、(2)、(5)に書かれていました。大変複雑な過程なのですが、この間、BKChemというフリーソフトをダウンロードしたので、それを使っていたら面白くなって次々と描いてしまいました。その成果が次の絵です。



これみんな描いたのですよ。出発点はフェニルアラニンというアミノ酸とマロニルCoAという物質です。CoAというのは補酵素Aのことで、酵素にゆるく結合して酵素反応を助ける働きをします。いくつかの過程を経て、最終的にはシアニジンになり、さらに、それがクリサンテミンになります。シアニジンはアントシアニジンの1種です。矢印のところに書いてあるのが酵素の略号です。いくつもの酵素が関与していることが分かります。シアニジンとクリサンテミンだけ赤い色を付けているのは共に赤い色をした色素だからです。クリサンテミンはシアニジンにブドウ糖がついた格好をしています。それで、葉にある糖分が関係するわけです。シアニジンは色はついているのですが、水には難溶で、ブドウ糖がつくと水溶性のクリサンテミンになります。そうなると葉全体に色素が行き渡るようになるわけです。ブドウ糖の代わりにガラクトースという糖がつくとイデインになります。

このような反応がどうしたら促進されるかは紅葉がどのような条件で綺麗になるかということに深く関わっていると思われます。綺麗な紅葉ができるには、昼間に陽がよく当たり、夜間は気温が5度~10度に下がることが必要で、0度まで下がると黒い葉に、15度だと黄色の葉になるそうです[1]。また、葉の糖分濃度が十分に高くなることも必要だと言われています。しかし、こうした紅葉の条件と具体的な反応との関係はまだはっきりとはしていないようです。一方、なぜ赤くなるかという生物的な意味についても研究がなされています。紅葉は減少してきた葉緑素に光が直接当たることによる損傷を防ぐというのが最近の説のようです。これについてはまた別の機会にでも書くことにします。

廊下のむし探検 カメムシやらチャタテやら

廊下のむし探検 第957弾

足を骨折して1週間になる今週初め辺りから、ぼちぼち外に出かけ始めました。まだ、距離を歩くときは松葉杖が必要なのですが、近くならかかと歩きで何とか動くことができます。それで、今日はカメラを持って、マンションの廊下の20mばかりの範囲で虫を探してみました。もう少し遠くまで歩けたのですが、撮影始めると夢中になってしまい、骨折していることを忘れてしまうので、かえって危ないかなと思ってこのくらいで止めておきました。





手すりに虫が止まっていたので撮ってみたら、いつも見ているシダカスミカメ亜科のMansoneilla shihfanaeでした。カメムシがこんな止まり方をすることがあるのかなぁ。びっくりです。



次はツヤアオカメムシ。20mほどの範囲で大きな虫はこれ1匹でした。





チャタテがいました。過去の写真を調べてみると、ずいぶん昔に見たチャタテと似ています。その時はチャタテ科のオオスジチャタテとしたのですが、合っているかなと思って少しだけ検索を試みました。



まず、私が作ったいい加減な科の検索表で調べてみました。取り消し線は本州に分布しない科です。調べるにはとりあえず翅脈が必要です。



それで、以前と同様に翅脈に名称をつけてみました。上の写真から跗節が2節であることはすぐに分かります。さらに、後小室があって、その一辺がCuA1脈とM脈が融合して作られています。これからチャタテ科であることが分かります。次にチャタテ科の種の検索表を次の論文で調べてみました。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991) (ここからダウンロードできます)

オオスジチャタテ Psococerastis kurokianaになるかどうかは次の項目を調べなければなりません。



これらを写真で見ていきます。①の小顎鬚はよく分かりません。後半の触角の長さを測ってみました。



測定してみると、触角の長さは前翅長の1.52倍になりました。もう一つの選択肢が1.5倍以下だったので微妙な数字です。ただ、もう一方の選択肢を選ぶと翅の色が違ったりで該当する種がなくなります。それで、約2倍に無理やり入れて次に進みます。



先ほどの翅脈の図に各項目を入れてみました。ちょっとはっきりしないところもあるのですが、②から⑤まではほぼ満足されているようです。ということで、やはりオオスジチャタテ Psococerastis kurokianaでよいのかなと思いました。



次はクロバネキノコバエの仲間。



これはチョウバエみたいですが、何だろう。



アリは採集しないと分からないので、一応、捕まえました。今度調べてみます。廊下のわずか20mほどの範囲だったのですが、そこそこ虫がいました。これからも時々、こんな虫探しをしてみようと思っています。

廊下のむし探検 ネタ切れ

今日は雑談です。足が不自由になって、撮影に出かけることもできず、長時間立ったまま顕微鏡撮影するのもしんどいので、すっかりやることがなくなってしまいました。それで、昨日と今日は今までのブログの整理をしようと思い立ちました。それしかやることがないので・・・。

まずは、今までに出してきたブログのバックアップを取ることです。バックアップが昨年の2月までしかとっていなかったので、その続きをしました。まず、Google Chromeでブログを表示させて、印刷でpdfを選びます。こうすると、ブログのタイトルがファイル名になったpdfが作られます。それを月ごとに保存しています。画面で見た通りが保存されるので、広告も含まれるのですが、そのままこれまで作っていた手作り図鑑の付録として、関係するブログをくっつけてもよいかなと思っています。

もう一つはブログを書きながらいろいろと調べたことをまとめたものをつくることです。これまで、このブログの付録を載せたホームページに「虫を調べる」記事一覧というページを作って、そこに昆虫の目別にまとめていました。これも昨年6月で止まっていたので、頑張って残りの1年5か月分を書き入れました。「廊下のむし探検」も最初の頃は名前を調べるだけだったのですが、最近はやたらいろいろと調べているので、書き加えるのがかなり大変でした。それでも、やっと作業を終わりました。後は画像リストと索引なのですが、これも昨年の7月末で止まっています。これもしんどいですが、ちょっとずつやっていきます。

先日、近くの高校で小学1,2年と高校3年が合同で落ち葉掃除をし、その後、焼き芋を食べるという行事がありました。その際、焼き芋とイチョウの葉を結び付けるような話をしてくれと言われて行ってきました。生徒は合わせて180名で、そのほか、先生やら地域の人たちなど合計200名くらいの人たちが校庭にある階段に座っている前で、車椅子に乗りながら話しました。どういう話にしようかと迷ったのですが、結局、サツマイモが朝顔と同じ仲間であることから始め、いろいろな芋の花を見せ、地下に芋をつくる光合成の話をして、葉っぱの話に移り、紅葉の仕組みを話をしました。生徒たちは途中で飽きてきた感じだったのですが、私の方はサツマイモの花なんていうのを初めて知ったし、また、紅葉の仕組みも少し分かったので勉強になったと喜んでいます。

紅葉の仕組みについては次の論文に載っていました。

北原晴男、「物質合成から見た紅葉」、弘前大学教育学部教科教育研究紀要 25, 35 (1997). (ここからダウンロードできます)




緑の葉には緑色のクロロフィルと黄色のカロチノイドが約8:1の割合で含まれているのですが、秋になると葉を維持するのが困難になり、葉緑素は翌年に再利用するため分解され枝や幹に蓄えられます。また、葉の根元には離層というコルク質の層ができて、水と栄養(糖)の出入りが遮断されます。緑色のクロロフィルが減少していくと、相対的に黄色の色素の量が多くなるので、葉は黄色になっていきます。



紅葉するモミジも初めは同じなのですが、離層ができ、栄養(糖)の流出が遮断されると、葉の中で水に不溶性のアントシアニジンが合成され、それが葉に残った糖と結合して水溶性のアントシアニンに変わり、葉全体が赤くなります。アントシアニジンが合成されるにはいくつかの酵素が必要なのですが、それらの酵素があるかどうかで赤くなるかどうかが決まります。

アントシアニンは紅葉以外にも春に葉が成長する過程でも合成されます。もともと葉の中にも少量含まれているのですが、紅葉シーズンにはその量が200倍ほどに増えるそうです。紅葉になる理由は、葉が落ち、芽に紫外線が直接当たるのを防ぐということも考えられていましたが、まだ、よく分からないそうです。紅葉についてはもう少し勉強してみようと思っています。

虫を調べる ウリハムシ

この間からハムシを調べています。できるだけ身近でよく見る種をしっかり調べておくと、未同定の種を調べていくときに役に立つかなと思っています。今回は冷凍庫にウリハムシが入っていたので、それを調べてみることにしました。



調べたのはこのハムシです。10月31日にマンションの廊下で見つけました。これをいつものように、「原色日本甲虫図鑑IV」で亜科の検索、それに属と種については次の本に載っている検索表を用いました。

木元 新作, 滝沢 春雄、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」(東海大学出版会、1994).

まず、亜科と属の検索を行います。ウリハムシはヒゲナガハムシ亜科ウリハムシ属に属しますが、検索では次の各項目を調べることで確かめられます。



これをいつものように写真で部位別に確かめていきたいと思います。①は横から写せばよかったのですが、忘れてしまいました。それで、②~⑦までを見ていきます。



まずは背面図です。体長は8.0mm。③の後脚腿節はちょっとだけ見えるのですが、肥大してはおりません。



次は顔面の写真です。②は触角の基部が接近しているという内容ですが、確かに接近しています。次の⑤は微妙な表現なのですが、触角の基部が接近しているという方を採用すれば、複眼下縁よりは後方にあるので、頭頂の点刻が強くないというのを見ればよいのかなと思いました。後頭盾、前頭盾という書き方は、この間ハッカハムシのところで検討しました。まだ、はっきりしたことは分からないのですが、一応、このように書いておきます。



これは前胸背板を写したのですが、これによると前胸背板の中央と後縁近くにそれぞれ横溝があることが分かります。また、頭部の複眼の間にもあります。



これは腹面を見たものです。前胸腹板突起は大変幅の狭いものになっています。それで、③の内容が確かめられます。また、中胸腹板は前脚基節とは離れたところにあります。したがって、前脚基節窩は後方が開いていることになります。



次は後胸腹板についてですが、その前縁側は緩い弧を描く程度で、中胸腹板とは重なっておりません。これが④の内容です。



最後は脚の爪です。bifid(二裂)というのがよく分かる写真になりました。ということで、①を除くすべての項目が確かめられたので、ヒゲナガハムシ亜科ウリハムシ属は確かそうです。



次は種の検索表です。図書館で「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」の一部を複写してきたのですが、それにたまたまウリハムシ属の英文の検索表が載っていたので、それを訳しました。



⑧と⑨aは色に関するものなので、共にOKでしょう。



腹面からの写真を撮り忘れたので、サイズ測定用の写真を流用しました。この⑨aも大丈夫でしょう。



これは腹部末端の写真ですが、これが雄なのか雌なのかでだいぶ迷いました。結局、検索表の文章から雌だろうということになり、それと比較してみました。腹部第5節の先端の深い切れ込みは白矢印で示した部分だと思います。これについては次の論文にもウリハムシ indica♀の腹部第5節と尾節板の絵が載っていたので、それで確かめることができました。

G. F. Barroga and M. S. Mohamedsaid, "Phylogeny of the Genus Aulacophora Chevrolat (Coleoptera: Chrysomelidae: Galerucinae) in Sundaland", Philip. Agri. Sci. 89, 338 (2006). (ここからダウンロードできます)

たぶん大丈夫でしょう。⑨aの後半の「その側面は明確に窪む」というのがよく分からなかったのですが、たぶん、黄矢印で示したところの窪みを指すのかなと思いました。

これで無事にウリハムシ Aulacophora indicaになったのですが、次の論文を見て、はたと迷い始めました。

C.-F. Lee and R. Beenen, "Revision of the genus Aulacophora from Taiwan (Coleoptera: Chrysomelidae: Galerucinae)", Zootaxa 3949, 151 (2015). (ここからダウンロードできます)

この論文は台湾産のウリハムシ属を扱っていて、ウリハムシ indicaも検索表も載っています。そのあたりの検索表を翻訳すると以下のようになります。



これによると、翅が一様に黄褐色の種には、tibialis、kotoensis、indicaの3種がいて、雌が円錐状の尾節板をもつものとして、kotoensisとindicaの2種が残ります。この尾節板が狭く、黒いのがkotoensis、幅広く、黄褐色なのがindicaとなっています。今回調べた個体は尾節板が黒なのでindicaではなさそうなのですが、どうもkotoensisの尾節板とも形が違うようです。いろいろ検討したのですが、Barrogaらの論文の絵ともよく似ているので、やはりindicaでよいのではと思っています。過去に撮った写真を見てみたのですが、先端が黄色く幅の広い尾節板を持つもの、幅がやや広く黒いものを持つもの、幅が狭く黒い尾節板をもつものなどが見られました。この辺りの理由についてはよく分かりません。

虫を調べる ウメマツオオアリ?

11月5日、いつも見ていたタカサゴユリの実にいたアブラムシがナナホシテントウにすっかり食べられてしまいました。そのとき、アリを採集しました。2種いたのですが、一方はオオズアリの働きアリ、もう一方のアリを今回調べてみました。残念ながら生態写真はないのですが、顕微鏡下で撮った写真は次の通りです。



大きさは3mmちょっとあるのですが、体が曲がっていて体長をどう測ろうか迷ったので、スケールバーを入れておきました。艶のあるすっきりとした感じのアリです。

これをいつものように、「日本産アリ類図鑑」(2014)に載っている検索表で調べてみました。検索をしてみた結果、ヤマアリ亜科オオアリ属ウメマツオオアリになったのですが、その時に用いた検索の項目は次の通りです。



全部で15項目あり、かなり大変そうですが、何度も検索をしているので最近はだいぶ慣れてきました。赤字は写真を撮らなかったところです。腹部末端と前伸腹節背面からの写真などは簡単に撮れるのですが、足の骨折でギブスをはめられているので、今回はパスしました。たぶん、大丈夫なところだと思います。これをいつものように部位別に写真で確かめていきたいと思います。



まずは先ほども出した全体図です。①、②、それに今回写真のない③はヤマアリ亜科にいくときは必ず通る道です。それに⑧と⑨はオオアリ属で種の検索をするときに最初に通るところです。⑧はヒラズオオアリなどを除外する項目、それに⑨はアメイロオオアリやムネアカオオアリなどを除外する項目です。最後の⑪はミカドオオアリやクロオオアリなどを除外する項目です。たぶん、どれも大丈夫でしょう。



次は頭部です。頭部は真正面、やや斜め上、やや斜め下からの3か所から撮りました。これはそのうち、やや斜め下からの写真です。この方向から撮ると頭盾と大腮がよく見えます。①、⑤、⑫はいずれも写真を見ると分かります。



次は触角で全部で12節あります。11節以下だとアシナガキアリ属、ヒメキアリ属などになります。



通常、こういう黒光りした虫の撮影にはトレーシングペーパーを巻いた筒を光拡散板として使用しているのですが、毛が写りにくいので、これは敢えて光拡散筒を外して撮ったものです。長い毛は前胸背にはなく、中胸背には矢印で示すように1対あるだけです。6本以下は確かでしょう。



こちらは光拡散筒を入れて撮ったものです。体の模様などはよく見えるようになりましたが、やや平坦な感じがします。ここではまず、中胸気門の位置を確認します。これが側面にあるのでオオアリ属になります。⑧の前伸腹節はハチ独特の構造で、後胸と腹部第1節が融合した部分です。この背面と後面が急な角度になっている種類が多いのですが、この個体は後面がなだらかなので、鈍角をなしています。⑩も一緒です。



⑭はイトウオオアリを除外する項目です。イトウオオアリは腹柄節が狭いのですぐに区別がつくのですが、検索項目通りに調べていくと、まずは前胸と中胸の背縁が側方からみて弧を描くというのはこの写真でよく分かります。次の前伸腹節の後背縁というのは写真に小さな字で「後背縁」と入れた部分だと思います。ここがだらっとした感じで明確な角にはなっていません。次の「後縁の傾斜」は「後面の傾斜」とする方がよいのではと思いました。いずれにしてもなだらかです。それに腹柄節はイトウオオアリに比較するとかなり幅広くなっています。

次の⑮はホソウメマツオオアリと比較する項目です。自信がないといえばこの項目はやや自信がありません。まず、前伸腹節背面に明瞭なへこみがあるということですが、私はこの写真から明瞭なへこみがあると思いました。次の腹柄節の形ですが、どうもこの写真では腹柄節の後面が凹んでいるように写っています。たぶん、影がそのように錯覚させているからだと思うのですが、光拡散筒を入れていない二つ上の写真ででは明瞭なU字型になっています。さらに、前後でも対称で、中央部分が一番高くなっています。多分、大丈夫だろうと思うのですが、足が少しよくなったらもう一度、この辺りを確かめてみたいと思います。



最後は腹部の写真です。腹部第1節と第2節の間にはくびれがありません。これはハリアリ亜科などを除くための項目です。次の⑬はイトウヨツボシオオアリなどを除くための項目です。以上で赤字を除いてすべての項目を確かめました。たぶん、ウメマツオオアリで合っているのではと思っているのですが、腹柄節の形だけはもう一度確かめてみたいと思っています。



検索に使わなかった写真で、顔の正面からの写真です。



これはやや上からの写真です。



腹柄節あたりの写真ですが、これも後面が凹んでいるように見えるなぁ。どうしてだろう。

追記2017/11/17:腹柄節を斜め後方から撮影しました。



やはり凹んでいるようです。元々そうなのか、たまたまこの個体だけなのか、それとも乾燥したためか、原因は分かりませんが・・・


追記2017/12/17:myrmecophile_waspさんから、「ウメマツオオアリの背中の凹みと腹柄節の形はやはり変異があるようで,同じ巣から採ったものでも一頭だとホソと同定してしまいそうな個体もいます.ホソは体色がほぼ黒一色の物が多く,また本土ではほとんどが海岸に近い場所で見つかっているので生息環境からも絞れるかもしれません.幸い生息地で一匹しか採れないような種ではないので,たくさん採って比較するのが重要だと思います.」というコメントをいただきました。コメント、どうも有難うございました。これからは少し多めに採集して調べてみたいと思います

家の近くのむし探検 キアシハリバエほか

家の近くのむし探検 第353弾

11月10日に家の近くの公園に行って見つけた虫たちの続きです。実は、この後、当分の間、写真を撮りに行くことができなくなったので、これが手元にある最後の写真になります。ちょっと寂しいですね。顕微鏡写真はまだ少し残っているので出すことができますが・・・。



公園ももうほとんど虫がいないのですが、一通り見回って帰ろうかなと思ったときに、ツツジの葉の間を動き回っているハエを見つけました。なかなかじっとしてくれないので、この辺に来るだろうと思って待ち伏せをして撮影しました。チュウレンジの幼虫に産卵するキアシハリバエかその仲間というところですね。今頃、幼虫なんていそうにはないのですが、忙しそうに動き回っていました。



後はこのハエトリです。だいぶ、毛が取れてしまっているのですが、やはりネコハエトリかなと思いました。



マンションに戻る途中で見つけたクモの巣です。捕まっているのはハエの仲間です。肝心のクモは見つかりませんでした。



小さなカキの実もなっていました。



後はマンションの廊下で見つけた虫です。これはヨコヅナサシガメの幼虫。



これは何だろう。写真がはっきりしないのですが、クチキムシあたりかな。クチキムシも以前調べたことがあったのですが、この写真は不鮮明でよく分かりません。



最後はイチジクキンウワバだろうと思います。マンションの廊下は公園に行くときと帰りにちょっと通っただけだったのですが、こんなのがいました。じっくり探せばまだまだいたかもしれません。

雑談)明日は住んでいる地区の小学1,2年生と高校3年生が合同でイチョウの落ち葉の掃除をして、その後、それで焼き芋を焼くことになっています。焼き芋ができる間に、イチョウと焼き芋を結び付けるような話をしてほしいと少し前に頼まれました。気軽に返事をしてしまったのですが、そもそも、小学1,2年生と高校3年生が一緒にいるのにどんな話をどうやってすればよいのやら。担当者に聞くと、巧みな話術でお願いしますとのこと。イチョウと焼き芋を結び付ける話も難しそう。おまけに骨折までして・・・。どうやって学校まで行けばよいかなと思って相談したら、車いすを持って車で迎えに来ていただけるそうです。なんだか大変なことになってしまった・・・。

虫を調べる ナミハナムグリ?

10月31日にマンションの廊下で捕まえたハナムグリを調べてみました。



調べるのはこんなハナムグリです。ハナムグリについては以前調べたことがあります。その時はシロテンハナムグリ、コアオハナムグリとアオハナムグリの3種を調べたのですが、今回のはナミハナムグリではないかと思われるので、比較する上はちょうどよいかなと調べてみました。

検索にはいつものように次の図鑑に載っている検索表を用いました。

岡島秀治、荒谷邦雄監修、「日本産コガネムシ上科標準図鑑」 (学研、2012).



ハナムグリ属になるにはこの5項目を調べればよいことになります。これをいつものように写真で確かめてみたいと思います。



まずは背面からの写真です。この写真では前胸背板後縁が中央で湾入していることと(矢印)、上翅の側縁が途中で湾入していることを見ます(矢印)。以前、シロテンハナムグリを調べたときには上翅側縁の湾曲については違ったところを考えていました。訂正しておかないといけませんね。



次は腹面からの写真です。これの中央部分を拡大してみます。



「日本産コガネムシ上科標準図鑑」 p.192を見ると、中脚基節の間にある突起が中胸腹板突起となっているのですが、これはどうみても後胸腹板の前縁にある突起のように見えます。中胸腹板突起は英語でmesosternal processといいますが、こういう名称には何か歴史的な理由でもあるのかなと思って調べてみたのですが、見つかりませんでした。この形が種によってだいぶ違います。この個体の場合は紡錘形というのでしょうね。



これは前胸背板を写したものです。白矢印で示すように、その後角は前胸背板後縁よりやや前方にあり、丸まっています。これが②でいっていることだと思います。



次は後跗節を写したものです。第1節の外角に棘はありますが、跗節第1節自体は尖っていません。これで、すべての項目を見たことになり、この種はハナムグリ属になりました。

日本産ハナムグリ属にはナミハナムグリとアオハナムグリの2種が分布しています。その違いをまとめると次のようになります。



調べてみると、ナミハナムグリになりそうなのですが、これも写真で調べていきたいと思います。



まずは頭盾です。これは明確に中央が湾入して、縁取られています。



上翅に2本の縦隆条があることを示しています。



これは前脚脛節先端を示しています。第2歯は中央付近にあることは確かですが、これはだいぶ微妙です。以前、アオハナムグリを調べたときも似たような感じだったので・・・。



前胸背板の点刻を示しています。これも微妙な感じです。密といえば密だし、強いと言えば強いので・・・。ただ、上翅の点刻が面白い形なので、ちょっと拡大してみました。



馬のひずめみたいです。



最後は頭部、腹板、尾節板、脚の毛についてです。脚を見ると、確かに長毛が生えているのですが、まばらか密なのかは比較しないと分かりません。でも、黄褐色であり、灰黄色ではないのでナミハナムグリの方を支持しているみたいです。以上、いろいろと見てきたのですが、頭盾の縁取りというのが一番はっきりしているかもしれません。いずれにしても、種については比較しながら調べないとはっきりとは分かりませんね。

雑談)足の甲の骨折で今日は病院に行きました。結局、保存的治療がよいということで、ギブスを巻かれることになりました。ギブスに体重をかけると割れるのでかならず松葉づえを使うこと、水には絶対濡らさないこと、とか注意を受けて帰ってきました。実際に生活してみると、トイレに行くだけでも一仕事です。とても、撮影どころではなさそうです。最低1か月はこの状態で我慢をしなければならないとのことで、本当にうんざりです。みなさん、ジョギングには気をつけましょう。

家の近くのむし探検 イダテンチャタテほか

家の近くのむし探検 第352弾

11月10日に家の近くの公園で見つけた虫たちです。骨折して撮影に出かけることができなくなったので、これが最後の野外の写真になります。





今頃、公園に行っても何もいないだろうなとは思ったのですが、イダテンチャタテくらいはいるかなと思って行ってみました。サクラの木にはやはりイダテンチャタテがいました。上が成虫(たぶん♂?)、下は幼虫です。こんな虫がいっぱいついています。ささっと動くさまが面白いので見ていても飽きません。



公園の街路灯の柱に小さな毛虫が2匹並んでいました。名前は分からないでしょうね。



探したら、ツチイナゴもいました。



もっと探すとユスリカは結構いました。これはツヤユスリカの仲間♂かなぁ。



翅が綺麗に光っていたので写しました。♀です。ユスリカは小さいので、2.5倍くらいになるクローズアップレンズをつけてみました。



トリミングすると変わらないのですが、何となく綺麗に撮れています。



別のユスリカも。



レンズを外すのが面倒なので、そのまま撮りました。ヨコヅナサシガメ幼虫ははみ出してしまいました。



ツチイナゴはこんな感じ。



これはネコハエトリかな。



コガネグモの仲間の幼体みたいです。隠れ帯がちらっと見えています。



そして、先ほども撮ったイダテンチャタテ。倍率を上げると何となくシャープに見えますね。もっともピント合わせが難しくて、何枚も失敗したのですけど・・・。虫はもう少しいたのですが、出し惜しんで次回に回します。

家の近くのむし探検 ハチ、ハナアブなど

家の近くのむし探検 第351弾

11月7日に家の近くにある川の土手をちょっとだけ歩いてみました。やはり虫はほとんどいませんね。いよいよ今年も終わりです。



行く前にマンションの廊下でハチが倒れていました。まだ、動いていたので、生きてはいるようです。これは以前も見たクロスズメバチの仲間です。シダクロスズメバチという種もいて、見分け方も教えていただいたのですが、写しているときにはすっかり忘れてしまっていました。シダクロスズメバチについては以前詳しく調べたことありました。似ているクロスズメバチとは複眼の内側にある白い模様の形で見分けられるのでした。



辛うじて顔を写している写真があったので見てみたのですが、何となく、シダクロスズメバチの方かなと思ったのですが、はっきりはしません。触角の節数を数えると12節なのですが、以前数えたときは一番長く見える節が第3節だったのでそうだとすると全部で13節になります。これは重要なんです。12節だと♀、13節だと♂だからです。たぶん、これは♂なんでしょうね。(追記2017/11/14:ほしさんから、「クロスズメバチ類はご指摘通り♂です。頭楯の↓模様などからシダクロだと私も思います。そろそろ、成虫も越冬を始める季節になりましたね」、通りすがりさんから、「シダクロのオスに賛成です。今年はクロスズメバチ類もスズメバチ類も殆ど見ないんで、潜るのが早かったかも。」というコメントをいただきました





次は土手で写したものです。日が当たっているとどうもうまく写りません。これはたぶん、アカガネコハナバチかなと思ったのですが、これも以前、調べたことがありました。、この写真では翅脈がはっきり写っていなくてよくは分かりません。





この2匹はともにヒメナガカメムシだろうと思います。



これはオンブバッタ





後はハナアブくらいでした。これはホソヒラタアブ





これはたぶん、ホソヒメヒラタアブ



クダアザミウマも一匹だけ見つけて採集したのですが、そのまま忘れてしまい、どこに置いたか分からなくなってしまいました。ただ、もう1匹冷凍庫には入っているので、それで調べられると思いますが・・・。この日はこんなところでした。

雑談)一昨日、ちょっとしたミスから足の甲の骨を骨折してしまいました。今は固定してある状態で、今日、病院に行ってギブスで固定するか、手術するかを決めることになります。骨折自体はほんのちょっとなのですが、それでも固定されると立ち上がるのさえ一苦労です。少し慣れてくれば顕微鏡写真や廊下での撮影ぐらいは何とかなるかなぁと思ってはいるのですが・・・。今週は会議やら、野外での説明やら、いろいろ行事が重なっていて、どうなることか心配です。

虫を調べる イシダアワフキ?

先日、家の近くにある川の土手の物置小屋でアワフキムシを見つけました。



見つけたのはこんな虫です。頭から胸にかけての白い筋が目立ちます。また、翅には白っぽい点が一つあります。この間、アワフキムシの検索表を見つけたので、一度、調べてみようと思って採集してきました。

T. Komatsu, "A Revision of the Froghopper Genus Aphrophora Germar (Homoptera Cercopoidea, Aphrophoridae) from Japan, Part 3", Jpn. J. Ent. 65, 502 (1997). (ここからダウンロードできます)

検索表はこの論文に載っています。Part 1~Part 3からなる3論文の最後に載っていました。ただ、アワフキムシの同定は基本的に♂交尾器を見ることが定石のようです。一応、外見による検索表も載っていたので試してみますが、大きさや色、模様などの形質が基になっているのでどこまで使えるのかよく分かりません。



検索表の最初の部分を訳したものです。この検索表で調べていくと、ishidai(イシダアワフキ)になりそうなのですが、これを写真で見ていきたいと思います。



まずは全体像です。体長は腹部末端で測ってみると9.9mmになったのですが、後で述べるように、検索表に載っている体長はひょっとしたらこの写真で頭のてっぺんから翅の先端までの距離を言っているのかも知れないなと思うようになりました。その場合は10.3mmになります。さらに、腹部末端の構造からこれは♀のようです。その場合、いずれにしても、①bと⑤bの条件は満足されます。④aは色の話なのでこんなもんかなというところです。⑥bの竜骨線は白っぽくよく目立ちます。翅脈が目立つ、目立たないは何を意味するのかよく分かりません。



次は翅脈です。これは以前にもお見せしました。②bはたぶんその通りでしょう。③bのM室はMとCu1脈で囲まれた部分、Cu室についてはよく分かりませんが、たぶん、Cu1脈とCu2脈で囲まれた部分かなと思っています。いずれにしても淡色点はありません。④aについては白矢印で示すようにM脈上に淡色点があります。黄色かどうかは分かりませんが・・・。



これは頭部と前胸を拡大したものですが、密に点刻があることは確かです。ということで、イシダアワフキになったのですが、major(モンキアワフキ)と区別するところが大きさだけというところも気になります。そこで、可能性のあるishidae、major、rugosa(ヒメモンキアワフキ)の3種について特徴を比べてみました。交尾器がだいぶ違うようですが、外見的には色はあまり変わりません。論文の解説には各部の大きさについて書かれているので、今回の個体でも測ってみました。



黄色の線は頭幅、体幅、体長の比を測ったものです。ここで、体長として腹部末端までの距離を測ると、論文とは比がかなり異なります。それで、体長として翅先端までの体長と腹部末端までの体長の二つを書いておくことにしました。白線は前胸背の幅と長さの比を測ったものです。



これは後脚の腿節、脛節、跗節の比を測ったものです。ついでに、次の論文を参考にして各部の名称を入れてみました。顔の部分が下に折れ曲がったような構造をしているのですね。

J. W. Evans, "The Leafhoppers and Froghoppers of Australia and New Zealand (Homoptera: Cicadelloidea and Cercopoidea)", The Australian Museum Memoir XII (1966). (ここからダウンロードできます)



これは頭頂角、および頭幅と長さの比を測ったものです。頭頂角の測り方は上の論文のPart 1に載っていました。

T. Komatsu, "A Revision of the Froghopper Genus Aphrophora Germar (Homoptera Cercopoidea, Aphrophoridae) from Japan, Part 1", Jpn. J. Ent. 65, 81 (1997). (ここからダウンロードできます)



こうして測ったものがこの表の最右欄です。論文に載っていた数字も載せてみました。測定した値はほぼ3種の範囲内に入りました。赤字で書いたものはイシダアワフキの範囲外になったものですが、この比から何かものをいうのは難しそうです。( )内に書いた数字は前翅先端までを測った体長です。これらの数字の中では、やはり、体長の違いが一番大きいので、モンキアワフキではなく、イシダアワフキでよいのかなと思っています。

さて、最近、「日本昆虫目録第4巻」(2016)を購入したので、今回の論文に出てくる種との比較をしてみました。



真ん中に九大のデータベースを載せたらかなりややこしくなってしまいました。だいぶ、分類の変遷があったようです。ただ、左右の欄を比較すると、赤字で書いた2種を除いてほぼ1:1で対応しています。たぶん、上の検索表でほぼ良いのでしょう。



ところで、「日本昆虫目録第4巻」に載っている種をCatalogue of Life(2017)で調べてみました。前者ではすべてAphrophora属だったのですが、ほとんどの種で属名が違います。青字は属名が異っていたもの、赤字は載っていなかったものです。さらに、1属1種のような状況になっています。この辺の事情は上の論文(Komatsu (1997))に載っていました。Catalogue of Lifeに載っている属はすべて松村松年氏が1942年ごろに出した論文で提案されたものです。彼が外見的に異なる種に対して異なる属を当てていたのですが、交尾器を調べてみるとほとんど同属であることが分かったということみたいです。Catalogue of Lifeにはこの辺の事情がまだ入っていないものと思われます。いずれにしてもかなり簡単になったということみたいです。実際に、交尾器も調べて見たくなりました。

雑談)昨日、奈良に行ったついでに、近くをジョギングしてみようと思って走り始めました。途中、お寺の中も走ったのですが、門のところにある段差を踏みはずしてしまい、右足を骨折してしまいました。折れた部分は小さかったのですが、全治2か月というので、しばらく、虫の撮影には行けそうにありません。ちょっとした不注意からこんなことになって残念で仕方ありません。

家の近くのむし探検 カネタタキ、ウラギンシジミなど

家の近くのむし探検 第350弾

11月5日に家の近くを散策して見つけた虫の続きです。虫は少なくなったのですが、ポツポツは出会えます。それで、その虫を調べると、また、新しいことが分かります。そんなことが楽しくて出歩いています。



これは国道沿いの茂みで見つけました。カネタタキ♂です。以前、たくさんいたヒメクダマキモドキもすっかり姿を消してしまいました。



ふと前を見ると、目の前の葉にこんな格好でウラギンシジミが止まっていました。すぐ近くで写してもじっとしています。もう寒いのかなぁ。





葉の上を探していくと、こんなものがのそのそ動いていました。クサカゲロウの幼虫です。このようにごみを載せるのは塵載せ型と呼んでいて、Tsukamoto氏の本によると、Chrysotropia、Pseudomallada、Apertochrysa、Malladaの4属13種の幼虫が該当します。

S. Tsukaguchi, "Chrysopidae of Japan (Insecta, Neuroptera)", (1995).

塵載せ型の幼虫については以前、検索を試みたことがあります。このゴミは体の上についているフック状の毛に引っかかってくっついています。それで、ピンセットで簡単に外れてしまいます。ただ、検索はそのフック状の毛がどちらを向いているかを調べないといけません。かなり厄介な検索でした。頭の模様とか、長い角みたいなものの長さなどから分かるとよいのですが、みな似ているのでよくは分かりません。一度、特徴をまとめてみるとよいですね。



ここから先は川の土手にある物置小屋の壁です。物置小屋のす脇を用水路が流れているので、結構、水生昆虫が見られます。これはトビケラですけど、名も科も分かりません。





こんな大きなナガコガネグモもいました。



それにたぶん、モリチャバネゴキブリの幼虫らしきもの。



鳥もいたので撮ってみました。ジョウビタキの♂です。なかなか可愛いです。虫より鳥の方が人気のある理由が分かりますね。



それにホオジロ





散策から戻ってマンションの廊下の手すりを見るとこんなハエがいました。たぶん、シマバエ科のSteganopsis vittipleuraだと思われる種です。これについても以前調べたことがありました。

家の近くのむし探検 アブラムシ、アワフキなど

家の近くのむし探検 第349弾

11月5日に家の近くを歩いてみました。まず、いつものユリの実にいるアブラムシを見に行きました。そして、見てびっくり。



アブラムシがほとんどいなくなっています。



近くにナナホシテントウがいました。これが食べてしまったのでしょうか。何もなくなってしまいました。





わずかに残ったアブラムシを求めてオオズアリの働きアリがうろうろ。本当にアブラムシにはドラマがありますね。でも、楽しみがなくなってしまった・・・。



この後、国道脇の茂みも覗いてみました。虫はほとんどいません。やっとシベリアカタアリを見つけました。



それに、ヨモギハムシも。



この後、川の土手にある物置小屋に行ってみました。この壁を探すと意外に虫が見つかります。まず、クサギカメムシ。これはどこにもいますね。





それにアワフキの仲間もいました。アワフキは検索表があるので、一度、検索してみようと思って採集してきました。検索表は次の論文に載っています。

T. Komatsu, "A Revision of the Froghopper Genus Aphrophora Germar (Homoptera Cercopoidea, Aphrophoridae) from Japan, Part 3", Jpn. J. Ent. 65, 502 (1977). (ここからダウンロードできます)

交尾器で調べるのが基本ですが、外見で調べる検索表も載っていました。よく見ると翅に淡い色の点があります。検索表にはこれがM脈上に載っているかどうかという項目があります。それで、まず、翅脈に名前を付けてみました。



翅脈の名称は次の論文を参考にしました。

J. W. Evans, "The Leafhoppers and Froghoppers of Australia and New Zealand (Homoptera: Cicadelloidea and Cercopoidea)", The Australian Museum Memoir XII (1966). (ここからダウンロードできます)

淡い色の点を矢印で示しましたが、確かにM脈に載っています。こうなると、該当する種はモンキアワフキ(ウスイロアワフキ) major、ヒメモンキアワフキ rugosa、それに、イシダアワフキ ishidaeの3種に絞られます。これに体長が9.9mmであること、それに正中線が白いことを考えに入れると、イシダアワフキが候補に挙がりました。まだ、怪しいですけど・・・。詳細はまた、別の機会に載せることにします。





小屋の上を見上げると、ツチハンミョウが壁を登っていました。触角の節の形から、たぶん、ヒメツチハンミョウ♂ではないかと思いました。どうしたことか、今年はマンションの廊下でツチハンミョウを一度も見ていません。こんなところで、今年第一号が見られました。残りの虫は次回に回します。

虫を調べる ハッカハムシ

この間からハムシの仲間を調べています。今回はハッカハムシです。



調べたのは10月31日にマンションの廊下で見つけたこんなハムシです。上翅に斑点が並んでいるので、ハッカハムシであることは確かでしょう。それで安心して検索表で調べていけます。亜科の検索には、「原色日本甲虫図鑑IV」に載っている検索表を用いました。



まずは全体像です。体長は8.6mm。まあまあ大きなハムシです。上翅の黒い点が特徴的ですね。



亜科の検索はこのような手順で行います。全部で6項目。これをすべて確かめるとハムシ亜科になります。これをいつものように部位別の写真で確かめていきたいと思います。



まずは横からです。頭部には特に異常はありません。それで①はOKです。また、前胸背板側縁もはっきりしているので⑥もOKです。



次は頭部です。この間、ハムシの左右の触角の間隔を調べましたが、この個体はかなり離れていることが分かります。これで②はOKです。次の③は頭部が前胸の中に引き込まれているということですが、そんな感じに見えますね。



さらに拡大して、各部に名称を入れてみました。頭盾がこれでよいのかどうか不安なのですが、前額と頭盾の間には筋が入っているように見えます。それが頭盾会合部かなと思いました。(追記2017/11/10:頭盾の場所について不安だったので、少し調べてみました。そのものずばりではないのですが、同じハムシ亜科のChrysomela属については次の論文に出ていました。

M. Chujo, "A Taxonomic Study on the Chrysomelidae with Special Reference to the Fauna of Formosa", Tech. Bull. Kagawa Agr. Coll. 5, 19 (1953). (ここからダウンロードできます)

この論文はハムシ科の構造についての詳細な説明が載っているのですが、その中でChrysomela populiについては各部の名称が載っていました。それによると、この写真で前額と書いたところがpost-clypeus、頭盾と書いたところがante-clypeusとなっていました。前者は後頭盾、後者は前頭盾と訳せばよいと思われます。この場合の頭盾会合部は後頭盾の後側となり、はっきりした頭盾会合線があることになります。この後頭盾という名前、以前、「昆虫の頭の構造」というタイトルで書いた時にも出てきました。この時はチャタテムシが対象だったのですが、大きく膨らんだ顔の部分を前額とすべきか、後頭盾とすべきかでいろいろな議論があったという内容です。この時は、結局、頭蓋の構造を調べ、前額縫合線(ここでいう頭盾会合線)の位置から、後頭盾であるという結論に達しました。今回の場合がそれと全く同じかどうかまだよく分からないので、写真の訂正はもう少し保留しておきます




前胸腹板あたりを拡大してみました。前胸側板には特に異常は見られません。それで、④はOKとしました。



腹部の節の中央にはくびれは見えません。それで⑤もOKです。



最後は跗節第3節です。ここが二つに割れているハムシもありますが、これは特に割れてはいません。それで、⑥もOKです。これですべての項目をチェックしたので、ハムシ亜科は大丈夫でしょう。

次は属と種の検索です。この検索には次の論文の検索表を用いました。

S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. V Subfamily Chrysomelinae", J. Fac. Agriculture, Kyushu Univ. 13, 263 (1964). (ここからダウンロードできます)

検索の結果、無事にハッカハムシにたどり着いたのですが、実は、ハッカハムシはヨモギハムシ属に属していました。ヨモギハムシについてはこの間調べたばかりです。したがって、ほとんど同じ道をたどることになります。その過程を書くと次のようになります。



ヨモギハムシとは最後の⑫のところだけが違っていました。⑩のカッコ内の表現についてはヨモギハムシのところにも書きましたが、かっこ内の方が標準的な表現だと思われます。今回も写真で確かめていきたいと思います。



⑫は文字通りです。体長もちゃんと範囲に入っていました。



上翅の斑紋のところを拡大してみました。ちょっと盛り上がっているみたいですね。不思議な構造です。



この写真は後胸腹板にあるintercoxal processの前縁が縁取られていることを示しています。



⑦の前基節窩の後方(矢印)が開いているのかどうかはっきりしないのですが、前胸腹板突起が中胸腹板のところまで伸びているので、それで前基節窩が後方に開いているのではと思いました。



上翅の縁にある上翅側片の内側にはこの写真のように毛が生えています。このハムシの場合はかなり後方にだけ毛が生えていました。



最後は先ほども出した脚の爪です。見るからに単純な形をしています。これで、すべての項目をクリアしたので、無事にハッカハムシになりました。ハッカハムシは特徴的な模様をしているので、安心して検索をすることができました。こうやって少し名前の分かる種について検索の練習をしておこうかなと思っています。



検索には使わなかった触角の写真もついでに出しておきます。

鶴見緑地の散策

前日に服部緑地に行ったのですが、翌日の11月3日にはちょっと足を伸ばして鶴見緑地に行ってみました。連休の初日とあって、鶴見緑地は人でいっぱい、駐車場もほとんど満杯の状態でした。この日は咲くやこの花館(温室)で弁当を食べた後、大池に沿って歩いて、風車のある丘まで行き、また、咲くやこの花館まで戻ってきました。鳥を写そうとは思っていたのですが、特にこれといった目的はなく、ぶらぶら散策を楽しみました。



これは咲くやこの花館の入り口にある池です。真ん中に島のようにものがあり、そこにサギが止まっていました。



拡大してみると、コサギでした。



大池には例によってカモがごちゃごちゃいて、どうも撮影意欲が湧きません。やっとヒドリガモを一羽だけ撮りました。





で、こんなカモも。鳥はしばらく見ていなかったので、名前が浮かんできません。それで、とりあえず撮るだけ撮って家で調べてみました。いつも見ている日本野鳥の会の「野外観察ハンドブック 水辺の鳥」で見たのですが、それらしい種が見つかりません。何となくAythya属みたいですけど・・・。それで、ネットで「鶴見緑地 鳥」をキーワードにして検索すると、どうやら以前、メジロガモという種が来て話題になっていたようです。学名はAythya nyrocaで、やはりAythya属です。この学名で検索すると、写真はいっぱい出てきました。雄の眼が白い中に黒い点があるので、「目白」とい名がついているのかなと思いました。これに対して、雌はこの写真のように黒い眼をしています。ただ、そこに出ている写真と比べると、かなり似てはいるのですが、黒い羽の出方がちょっと違うようです。それで、雑種かもしれないなと思っています。もう少し探してみればよかったとちょっと後悔。







池の傍にはピラカンサス(トキワサンザシ)がいっぱいに実をつけていました。





これはツワブキかな。





自然体験観察園というところがあるのですが、そこでタデアイという植物が植えられていました。アイと関係があるのかなと思ってWikipediaを見てみると、これがまさにアイだったのですね。植物図鑑にはほとんど出ていなかったのですが、「牧野新日本植物図鑑」には出ていました。非常に古く支那から伝えられ、原産地はたぶん、インドシナ半島南部だろうと書かれていました。学名はPolygonum tinctoriumとなっていましたが、この名は現在はPersicaria tinctoriaのシノニムになっているようです。

アイといってもちっとも青くないし、この植物からどうやって染料をとるのかなぁと思ってちょっとだけ調べてみました。

牛田智、「藍染めを化学の視点から」、化学と教育 64, 406 (2016). (ここからダウンロードできます)

この論文に載っていました。青色の色素はインジゴで、植物では4種(タデ科のタデアイ、キツネノマゴ科のリュウキュウアイ、マメ科コマツナギ属のキアイなど、アブラナ科のウォード)から取られるとのことです。この色素は葉の中にあって、生時はインジカンという無色透明な形で存在しています。植物体が枯れたり、細胞が傷つくと、酵素の働きでインドキシルという物質に変化し、さらに、空気中で酸化されインジゴに変化し、青色になるということです。枯れた部分を見れば、青色が見えたかもしれませんね。



この変化を化学式で描くとこうなるそうです。この間と同じBKChemというフリーソフトを使ったのですが、やはり使いずらいですね。結合の向きが思った方向に向かなくって・・・。

インジゴを染料として使うときはちょっと工夫がいるようです。というのは、インジゴは水に溶けないからです。染料が繊維に奥深く入っていくためには水に溶けないといけないので、一度アルカリ性にして、還元剤で還元します。そうすると、インジゴはロイコインジゴに変わり水に溶けて黄色の溶液になります。この状態で繊維を染めて、再び、酸化することで藍染めができるようです。この変化も化学式で描くと次のようになります。



ちょっと物知りになりました。



こちらは風車の丘です。コスモスがいっぱい咲いていたのですが、意外に虫は来ていなかったです。それで、咲くやこの花館に戻ることにしました。折角、温室に来たのですが、植物よりもつい虫を探してしまいます。



こんなハエのカップルを見つけました。腹の先に立毛が多いので、たぶん、ヤドリバエ科?



こちらは胸背に三本の黒い筋が見えるのでたぶん、ニクバエ科。こんなものを撮って連休初日を過ごしてしまいました。

服部緑地の散策

いつも虫ばかり見ているので、たまには鳥も撮りにいこうと思って、11月2日に家から車で30分ほどのところにある服部緑地に行ってみました。



駐車場のすぐそばにある新宮池。ここにはゴイサギがいたり、カワセミがいたりしてたなと思って行ってみたのですが、鳥はあまりいませんでした。





池にはカモが少し泳いでいました。くちばしの周りがかなり白いのでスズガモかなと思ったのですが、冠毛もあります。たぶん、スズガモになりたかったキンクロハジロというところかな。



こちらはホシハジロ



それからハシビロガモ



それとカイツブリ





池の傍にはセンダンの実ができていました。



この後、都市緑化植物園に行ってみました。これは園内の道です。綺麗な道ですが、この間の台風でかなり木が倒れたみたいです。あちこちで通行止めになっていました。私の住んでいたところでは風はそれほどでもなかったのですが、この辺はかなり強かったのでしょうね。





途中、コゲラがいました。そのほかはシジュウカラくらいで、鳥はあまりいませんね。



家の近くで見たカンレンボクがここにもありました。



これは入り口付近の写真です。平日だったからか人はほとんどいませんでした。鳥もいなかったのですが、静かな散策はできました。

虫を調べる ルリマルノミハムシ

先日捕まえたハムシを調べてみました。



昨日出したのと同じ写真ですが、キバナコスモスの花にいたときの写真です。この写真からも、後脚腿節が太いことが見え、たぶん、ノミハムシの仲間だろうなということが分かります。これを検索表に従って調べていきました。




まずは全体像です。体長は測ってみると、4.2mmになりました。青光りしていて綺麗なハムシです。亜科の検索表は「原色日本甲虫図鑑IV」に載っているものを、また、属と種の検索には「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」に載っているものを用いました。まずは亜科の検索です。



実に、この3項目を調べるだけでノミハムシ亜科に達します。②ついては昨日も「ハムシの顔」と題して書きました。項目を見ただけだと簡単そうなのですが、この表現だけでは分からない、いろいろな苦労がありました。これを写真で見ていきたいと思います。



いつものように部位別に見ていきます。これは横から撮ったものですが、頭部には特に異常は見られませんでした。口器も矢印で示すように前側についています。これで①はOKです。



次は昨日問題にした左右の触角基部についてです。左右の触角はどう見ても離れているように見えたのですが、Mike's insect keysというサイトのハムシ科の亜科の検索に書かれているように触角第1節の長さと比較すると、同じ程度だと言えなくもありません。とにかく、これは接近していると解釈するようです。



ちょっと拡大してみました。ついでに各部の名称も入れておきました。



次の③の項目の後半部分も悩ましい表現です。前胸腹板突起は矢印で示した部分です。また、前肢基節窩は脚を除いた後の穴のことを言います。この写真からはどう見ても、「前胸腹板突起が幅広く、前肢基節窩を左右に広く分離する」とは言えません。でも、「一般に」という言葉が入っているので、この種は例外なのだろうと思いました。



ついでにちょっと拡大してみました。「原色日本甲虫図鑑IV」のルリマルノミハムシの説明では「前肢基節窩は後方に閉じる」と書かれています。また、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」のヒゲブトノミハムシ属の説明にも同様のことが書かれています。その部分が転節、腿節に隠れてよく見えません。ただ、矢印で示したように、中胸腹板の前縁部分(たぶん)が前肢基節間に入り込んでいるので、中胸腹板により前肢基節窩の後方が閉じられているのではと思いました。



それよりもこの③の前半部分の特徴の方がもっと顕著です。後脚腿節がこんなに太くなっているのでノミハムシ亜科で間違いないのではと思われます。モーリック器官については以前調べたことがあるので、そちらをご覧ください。ということで、悩んだところばかりだったのですが、無理やりノミハムシ亜科に到着しました。

次は属と種の検索です。



実は、属と種の検索も簡単でこの3項目を調べれば種まで到達します。



まずは触角の節数です。これが9節だということで、いきなりヒゲブトノミハムシ属に達します。⑥は種を分ける項目で、第4節が三角形か四角形かという選択です。これは見るからに三角形みたいです。



趣味的に拡大してみました。特に意味はありません。



⑤の上翅の点刻は比較の問題なので何とも言えません。ただ、この項目は前胸背板の色が異なるカワリヒゲブトノミハムシを除外する項目なので、たぶん、大丈夫でしょう。後半の色についてもOKです。



これも色に関する項目ですが、まあ、書いてある通りのようです。腹部がこんな黄褐色であることはひっくり返すまで分かりませんでした。ということで、ルリマルノミハムシに到達しました。

ところで、この腹部の色に関して、「原色日本甲虫図鑑IV」のルリマルノミハムシの説明には、「頭部・腹部腹面は黒藍色。腹部は黒褐色の末端2・3節を除き黒色」と書かれています。この記述はまるで違います。それで、いくつかの図鑑や論文を見てみました。



それをまとめたのがこの表です。大体は橙黄色ないしは赤褐色と書かれています。たぶん、「原色日本甲虫図鑑IV」の記述は、腹部腹面→胸部腹面、黒褐色の末端2・3節→黄褐色の末端4節と直す方がよいのではと思いました。その点、Kimoto(1965)やGressitt and Kimoto(1963)の記述は正確だなと思いました。色の表現の仕方については何とも言えませんが・・・。

ルリマルノミハムシらしき個体の検索をしてみました。検索自体は項目がわずか6項目だったので簡単でしたが、いろいろと悩むところが多かったです。これまでにいろいろな昆虫の検索を検索表に従って試してみたのですが、大きさ、長さ、形などに関しては主観的に表現されていることが多く、使い慣れている人には分かるのでしょうけど、素人がやろうとするといつも引っかかってしまいます。是非とも、文章だけではなく、絵も載せてほしいと思いました。また、検索表の記述が100%種や属を選択できるものではなく、必ず例外があるということをどこかに書いてほしいなと思いました。検索表によってはその記述が何%の種・属に適用できるかということが書かれているものもありますが、そこまでいかなくても、例外はこれこれなどと書いておいていただけるだけで大変助かります。使う方と違い、作る方は圧倒的に大変でしょうけど・・・。

虫を調べる ハムシの顔

この間からハムシを調べています。ハムシを調べるときには、まず、亜科の検索を行い、その後、属、種の検索を行います。不思議なのですが、いつも引っかかるのは亜科の検索です。今回はルリマルノミハムシだろうと思われる個体の検索を行いました。



調べていたのはこんなハムシです。この個体は後腿節が太いのでノミハムシ亜科はまず間違いと思ったのですが、やはり亜科の検索でつまづいてしまいました。

亜科の検索表は「原色日本甲虫図鑑IV」に載っているのですが、その部分を書くと次のようになります。



検索表ではまず最初に口器が頭部の先端にあるか、下面にあるかを調べます。トゲハムシやカメノコハムシは体の下側にあるようです。普通のハムシは前の方にあるので、これはすぐに分かります。

次が問題です。左右の触角の基部が接近しているか、離れているかという単純な項目です。離れていれば、ハムシ亜科などの大多数の亜科、もし、接近していたらヒゲナガハムシ亜科かノミハムシ亜科ということになります。それで、今まで調べてきたハムシの顔を比較してみました。



まずはハムシ亜科です。以前調べたヨモギハムシと次に出す予定のハッカハムシです。確かに、左右の触角の基部は離れています。



次はサルハムシ亜科で、すべてサクラサルハムシです。これまで、色の違う3個体()を調べてきたのですが、どれもサクラサルハムシだと教えていただいたので、ついでに出しておきます。やはり、触角の間隔は離れています。



今度はコブハムシ亜科です。変わった顔です。眼のすぐわきに触角の基部があります。やはり左右の触角基部は離れています。



次は触角の基部が接近しているヒゲナガハムシ亜科です。ジュンサイハムシイタドリハムシはすでにブログに出したのですが、ニレハムシとウリハムシはこれから出す予定です。先ほどのハムシと比べると、左右の触角基部はかなり接近しているように見えます。このぐらいの違いならば見ただけで分かりそうです。



最後はノミハムシ亜科です。左は検索の結果、スジカミナリハムシとした個体ですが、やはり触角基部は接近しています。ところがところがです。今回調べたルリマルノミハムシらしい個体は右の写真のように触角基部はかなり離れています。ただ、後脚腿節は太いし、ほかの特徴も合っているので、ルリマルノミハムシは間違いないと思うのですが、上の検索表を用いると違う方に進んでしまいそうです。

これについてはMike's insect keysというサイトにヒントが出ていました。このサイトには甲虫の絵解き検索がたくさん載っているのですが、その中にハムシ科の亜科の検索も載っていました。そこには、「触角は前頭に位置し、左右の触角は触角第1節の長さあるいはそれ以下に接近して挿入される」と書いてありました。どれだけ接近しているかを触角第1節の長さと比較して考えよということなので、そう思って右の写真を見てみると、触角基部間の距離は触角第1節の長さと同じくらいみたいです。こういう見方があったのですね。

家の近くのむし探検 ハバチ、ハエなど

家の近くのむし探検 第348弾

10月31日の写真整理がまだ残っていました。家の近くの国道沿いの茂みと川の土手で見つけた虫たちです。





昨日、迷いに迷ったのはこのハバチです。普通にセグロカブラハバチだとすればよかったのですが、ふと、「大阪府のハバチ・キバチ類」の解説を読むと、「脚は各基節~腿節は橙黄色、脛節は外縁と末端が黒色・・・」と書いてあるのに気が付きました。どう見ても、脛節全体が黒くなっています。それで、違うのかなと思い始めると、すべてが疑わしくなってしまいました。そこで、検索をやり直そうと思って翅と触角を調べてみました。



まずは次のカナダの本で翅脈に名前を付けてみました。だいたいはOKだったのですが、3rらしき横脈があるのが気になりました。もっとも重なっている下の翅が透けて見えているだけかもしれません。

H. Goulet, "The genera and subgenera of the sawflies of Canada and Alaska: Hymenoptera: Symphyta", Insects and Arachnids of Canada Handbook Series Part 20 (1992). (ここからダウンロードできます)



次は検索表に出てくる慣用名で書いてみました。ここで、注目すべき点は、①基脈と肘脈が前縁側の一点で交わること、②径横脈があること、③肘横脈が3本あって、閉じた肘室が3室あること、④反上脈が異なった肘室に結合していること、⑤完全な肛室があって、肛横脈が1本あること、⑥第1反上脈と基脈がほぼ平行であることなどです。これだけ分かると、ほぼ、ハバチ科ハグロハバチ亜科であることが分かります。



次は触角です。ここでも迷いました。先端部が2つに分かれているのかどうかよく分からなかったからです。分かれていれば10節、分かれていなかったら9節になります。やむを得ず両方の可能性を残しました。顔面が見えないので、頭盾なども分かりません。それで、検索をしてみて可能性のあるものを列挙すると、カブラハバチ、Hemibelesese、Ametastegia、ハグロハバチ、ウツギハバチ、Eriocampopsis、ミツクリハバチ、Taxonusの各属が残ります。たくさん残ったのですが、やむを得ず、「大阪府のハバチ・キバチ類」を見て大阪府で記録されている種を一つ一つ調べていくと、翅が黒くて、胸部、腹部がこんなに橙黄色のものはほとんどいません。結局、可能性のあるのは、触角を10節としたセグロカブラハバチだけになってしまいました。やはりそれままでよいのかなぁ。



国道沿いの茂みは虫がいませんね。こんなヤマギシモリノキモグリバエらしきハエが何匹かいたのと、





こんな有翅型のアブラムシがいたくらいでした。一応、「日本原色アブラムシ図鑑」と「アブラムシ入門図鑑」をずっと見ていったのですが、似たような配色のアブラムシは結構たくさんいます。ちょっと決め手がないので、保留です。





虫がいないので日の当たる土手に行ってみました。いつものツマグロキンバエの仲間がいます。



それにホソヒメヒラタアブ





それにキゴシハナアブ。常連ばかりですね。



これは土手にある物置小屋にいたものです。「ハエトリグモハンドブック」に載っている検索表を用いると、♀→腹部に光沢がない→頭胸部側面の白線は明瞭→腹部で最も広いのは中央付近→腹柄は長い、という順にヤガタアリグモになりました。



最後にいつも見ているユリの実にいるアブラムシを見てみました。この日はオオズアリが来ていました。ほとんど日替わりで違う種類のアリが来ていますね。

家の近くのむし探検 バッタ、甲虫など

家の近くのむし探検 第347弾

10月31日はマンションの廊下を歩いた後、いつもの国道沿いの茂み、それに、川の土手を歩いてみました。国道沿いの茂みは半日陰になっていて寒いせいかほとんど虫がいません。それで、川の土手に行ってみました。



土手に建っている物置小屋の壁にマダラスズがいました。これも似た種があるのかなと思って、「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」を見てみると、マダラスズ、ハマスズ、カワラスズが同属です。また、リュウキュウチビスズなどもよく似た感じです。それで、「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」に載っているヤチスズ亜科の検索表を見てみると、リュウキュウチビスズは後腿節に大きな斑紋はないとして除外されるとのことです。ただ、「生態図鑑」の写真を見ると、マダラスズとよく似た模様があるのですが・・・。残りの2種は小顎髭の先端の色で見分けられます。



別の写真を見るとその部分が写っていました。この先端が黒いとマダラスズ、ネッタイマダラスズ、白いとカワラスズ、全体に砂色だとハマスズだそうです。これは黒っぽいのでマダラスズか、ネッタイマダラスズということになるのですが、「生態図鑑」によると、後者は沖縄に分布し、両者は分布が連続していないとのことです。ということで、マダラスズになりました。



後はトビモンアツバ



それにハッカハムシ。これは採集して、昨日、顕微鏡で細部を観てみました。照明を当てると青光りして実に綺麗でした。



それにエンマコオロギもいました。



キバナコスモスの花の間から顔を出しているのはノミハムシの仲間です。最初、なんだかよく分からなかったのですが、昨日、検索をしてルリマルノミハムシといういつも見ている種であることが分かりました。実は、この写真からでも属は簡単に見分けることができたんです。それは触角の節数です。ノミハムシ亜科で触角の節数が9節なのはルリマルノミハムシが含まれるNonarthra属だけだったのです。



後は周りを写した写真。これはホオジロ





それにヒヨドリバナでした。後、ハエとハチなどが残っているのですが、次回に回します。実は、ハバチで悩んでいて・・・。

廊下のむし探検 甲虫、ハエ、ハチなど

廊下のむし探検 第956弾

10月31日にマンションの廊下で見た虫の続きです。



また、この甲虫がいました。これまで、5-6月、10-12月に何度か見ています。ただ、マルトゲムシ科Microchaetes属らしいというところまでしか分かっていません。少し、文献を調べてみました。

辻雄介、「山口県におけるMicrochaetes 属(マルトゲムシ科)の一種の初記録」、豊田ホタルの里ミュージアム研究報告書第9号、105 (2017). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

今年の報告に載っていました。この報告の中にこれまでの記録についても載っています。Microchaetesはオーストラリアのタスマニアで何種か報告されていますが、なぜか日本でも2000年ごろから観察されているようです。マルトゲムシ科の研究をしているPützの論文を見ても、日本で見つかっているのはMicrochaetes sp.になっていました。

A. Pütz, "Vierter Beitrag zur Kenntnis der Pillenkäfer Japans (Col., Byrrhidae)", Entomol. Nachricht. Ber. 48, 39 (2004). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

なかなか難しそうです。





そのほか、アルファルファタコゾウムシ



ハナムグリもいました。





一応、腹面と頭盾は写したのですが、結局、採集して先ほど調べてみました。たぶん、ナミハナムグリではないかと思います。



ハムシもいました。ウリハムシです。最近、ハムシを調べているので、これも採集しました。





こんな脈を持っているのはクロバネキノコバエかタマバエなのですが、前縁脈が一周回っていないので、たぶん、クロバネキノコバエの方かなと思います。





色が少し違うのですが、これもクロバネキノコバエの仲間ではないかと思います。





これはアメリカミズアブ



ハエがいたので、横から撮ったのですが、これから科ぐらいは分かるかなぁ。上からも撮ればよかった。

追記2017/11/05:科が分からないかなと思って少しあがいてみました。まずは剛毛です。



各部の名称は「新訂 原色昆虫大図鑑III」を参考にしました。また、剛毛の略称のだいたいは「絵解きで調べる昆虫」の中の笹川満廣、「双翅目昆虫の絵解き検索による検索」に載っているものを使いました。剛毛のどれがどれに相当するかのはだいぶ怪しいです。そのつもりで見てください。

まず、微かに中脚副基節の剛毛が見えている感じです(hy?と書いたところ)。それで、ヤドリバエ、ニクバエ、クロバエあたりになるのですが、外観からはヤドリバエではないなと思い、ニクバエかクロバエかを疑ってみました。「新訂 原色昆虫大図鑑III」の検索表では、外側の肩後剛毛が横線前剛毛(横線直前の翅背剛毛)より明らかに外側に位置するとクロバエ、上方(内側)に位置するとニクバエと書いてあります。外側の肩後剛毛はphと書いた剛毛、横線直前の翅背剛毛はacと書いた部分の左端の剛毛を意味するすれば、phはasの上方にあるのでニクバエの可能性があります。

次に、盾板の背側域には2本の背側剛毛があればクロバエ、このほかに2本の二次的な刺毛を生じればニクバエという項目もあります。背側域の背側剛毛というのはptと書いた部分ですが、この部分をよく見ると、2本の長い剛毛と2本の短い剛毛があります。それで、これもニクバエの可能性になります。次は、翅脈です。もう一枚撮った写真の方は翅がわずかに見えていました。



M1脈が中室端より翅縁に近い位置で前方に屈曲すればクロバエ、中室端に近いところだとニクバエという項目もあります。M1脈は白矢印で示した部分で屈曲しています。翅縁と中室端の中間の位置みたいです。これもニクバエを支持するかもしれません。ということで、ニクバエ科が第1候補になりました。この写真を見ると、何となく腹部に市松模様があるような気もします。いずれにしても背側からとか、側面からとか、前面とか、いろいろな方向から撮らないと駄目ですね




蛾もいました。カブラヤガかなと思ったのですが、前翅後縁側の色が薄いので、オオカブラヤガではないかと思います。



小さなハチがいたのですが、よく分かりません。



こちらはセグロアシナガバチです。触角の先が曲がっているので、♂だろうと思います。





前翅に鏡胞があって、後体節第1節の気門が基部よりなので、アメバチ亜科ではなく、たぶん、ハバチヤドリヒメバチ亜科のアメバチモドキの仲間ではないかと思います。合っているかどうかは分かりませんが・・・。

雑談)今日は冷凍庫に入れておいたハムシ3種の検索をしてみました。ウリハムシ、ハッカハムシ、ルリマルノミハムシの3種です。大体は見たらすぐに分かる種だったのですが、検索表を順番に調べていき、検索項目の内容を確認しておきました。触角の基部が近いか離れているかとか、前胸腹板突起の幅が狭いか広いかなどは、文章では表せないものがありますね。やっぱり分かった種で確かめておく必要があるようです。顕微鏡写真も撮ったので、随時ブログに載せていきます。

廊下のむし探検 カメムシ、クサカゲロウなど

廊下のむし探検 第955弾

10月31日にマンションの廊下を歩いて見つけた虫です。最近は外を歩くより、マンションの廊下の方がよっぽどたくさんの虫が見つかります。全部で20種ほど見つけたのですが、そのうち、カメムシとクサカゲロウ、バッタを出すことにします。





最初はオオホシカメムシです。この日はこの2匹を見ました。



次はマツヘリカメムシです。最近は数においてトップ3かトップ4に入ります。



それにキマダラカメムシも増えてきました。こんなに大きなカメムシのが家の中に入ってきたら、ぞっとしますね。



クサギカメムシは今はナンバー1の多さです。1階につき30-40匹ほどいます。



これはオオトビサシガメ



こんなカメムシは以前調べたことがありました。革質部が小盾板より長いので、たぶん、シラホシカメムシでしょう。





これは以前、マツアワフキかもと教えていただいたアワフキに似ています。マツアワフキは学名でAphrophora flavipesですが、「日本昆虫目録第4巻」によると、Aphrophora属には17種。また、日本産Aphrophora属については次の一連の論文がありました。

T, Komatsu, "A Revision of the Froghopper Genus Aphrophora Germar (Homoptera, Cercopoidea, Aphrophoridae) from Japan, Part 1", Jpn. J. Ent. 65, 81 (1997). (ここからダウンロードできます)
T, Komatsu, "A Revision of the Froghopper Genus Aphrophora Germar (Homoptera, Cercopoidea, Aphrophoridae) from Japan, Part 2", Jpn. J. Ent. 65, 369 (1997). (ここからダウンロードできます)
T, Komatsu, "A Revision of the Froghopper Genus Aphrophora Germar (Homoptera, Cercopoidea, Aphrophoridae) from Japan, Part 3", Jpn. J. Ent. 65, 502 (1997). (ここからダウンロードできます)

これらの論文には日本産13種に対する説明と検索表が載っていました。まだ詳しくは見ていないのですが、ひょっとしたら種までたどり着けるかもしれません。





クサカゲロウは2匹いたのですが、両方ともスズキクサカゲロウみたいでした。



最後はヒメクダマキモドキです。他にもいろいろといたのですが、次回に回します。

家の近くのむし探検 イダテンチャタテほか

家の近くのむし探検 第346弾

10月30日は以前通っていた公園に行ってみました。でも、この日は木枯らし1号がやって来た日で、寒さはそれほどでもなかったのですが、ともかく風が強くて強くって、カメラをじっと持っていることさえ困難な状態。





こんな日には虫はいませんね。歩き回ってやっと桜の木に幹にイダテンチャタテの幼虫を見つけました。数はたくさん。でも、数枚撮っただけで、風の少なそうな河原に行ってみました。



途中、いつも見ているタカサゴユリの実を見てみました。やはりワタアブラムシかなと思われるアブラムシがいっぱいいました。(追記2017/11/14:通りすがりさんから、「ユリのアブラムシって、イマイチよく分からないですよね。」というコメントをいただきました。ワタアブラムシ、やはり違うかなぁ。図鑑には尾片が淡色と書かれていたので気になってはいたのですが・・・)



脱皮殻になったマミーもありました。中に何か入っている感じです。



こんな芋虫もいました。近くに卵みたいなものも見られます。アブラムシの近くはドラマがいっぱいありそう。(追記2017/11/14:通りすがりさんから、「このアブラムシを調べるよりも、ヒラタアブの幼虫と卵を育てた方が面白いかも?よく見るド普通種っぽいですけどね。」というコメントをいただきました。このイモムシ、ヒラタアブの幼虫ですか。びっくりです。ネットで調べてみると、いっぱい写真が出てきました。「日本産幼虫図鑑」で見ると、クロヒラタアブが似ているみたいです。よく分かりませんが・・・。文献を見ると、アブラムシの天敵として知られていて、1日30匹くらいアブラムシを食べるとか、アブラムシの密度に応じて卵を産むので1コロニーあたり、1~2匹程度しかいないとか、クロヒラタアブは4種以上のアブラムシを食する広食性だとか、面白そうな話が載っていました。今度、じっくり観察してみます。どうも有難うございました



河原に行ったらヒメジョオンの花を覗いて回ります。これはたぶん、ウスモンミドリカスミカメ



このハナアブは一瞬止まっただけなので、ピントもうまく合いませんでした。腹の模様は以前調べたケヒラタアブらしき個体に似ている感じです。よくは分かりませんが・・・。





こんなハエもいました。M1脈が曲がっていますが、イエバエ科みたいな感じです。



これは帰る途中で見つけました。ヌマミズキ科のカンレンボクというようです。植えてあるのかな。



最後はマンションの壁にいたヒメクダマキモドキでした。1時間半歩いて虫はこれだけだから少ないですね。

虫を調べる オオアザミウマ亜科の分類

10日かかる予定の仕事が半分の5日で終わってしまいました。それでちょっと時間が空いたので、この間調べたオオアザミウマ亜科らしき個体の属を決めたいと思って、少し調べてみました。



先日、マンションの廊下で体長3mmほどのアザミウマがひっくり返っていました。アザミウマについてはこれまで、ツノオオアザミウマらしき個体ヒメジョオンの花にいたクダアザミウマ、それに、このクダアザミウマの3個体を調べたことがあったのですが、どれも途中で挫折するので、何とか属くらいまで分からないかなと思ってもがいています。



今回のこの個体は一応、クダザミウマ科オオアザミウマ亜科♂だろうというところまで達しているのですが、その先の属の検索が非常に大変でそこで行き詰っています。これまで、「農作物のアザミウマ」という本に載っている検索表を参照していたのですが、オオアザミウマ亜科は残念ながら載っていません。

L. A. Mound and J. M. Palmer, "The generic and tribal classification of spore-feeding Thysanoptera (Phlaeothripidae : Idolothripinae)", Bull. Brit. Museum (Natural History) 46(1), 1 (1983). (ここからダウンロードできます)

それで、属の検索にはこの論文に載っている検索表を用いようと思っているのですが、これは世界のクダアザミウマ亜科を扱った論文なので、日本産がどの属だかはっきりしませんでした。今回、「日本昆虫目録第4巻」(2016)を購入したので、そこに載っている属がMoundの論文にも載っているのかどうか確かめることにしました。ついでに、属名の変更やシノニムなどについても調べてみました。まとめると次のようになります。



「日本昆虫目録第4巻」にはオオアザミウマ亜科は18属42種が載っていますが、その属を書いたものが一番右の欄です。真ん中の欄は九大の昆虫学データベースに載っていた属です。新しい目録では3属増えたのですが、それを赤字で書きました。また、それぞれの属に属する種数を括弧内に書きました。Elaphrothrips属で矢印が書かれているものは属の移動がなされたものです。これらがMoundの論文に載っているかどうかを線で結んでみました。九大のデータベースも今回の目録も族、亜族の分類はなされていないのですが、Moundの論文では分類が書かれていたので、一応、載せておきました。

この図を見ると、九大のデータベースに載っている属はすべてMoundの論文でカバーされていることが分かりました。また、新たに目録に載った3属もすべて載っていました(破線)。ということは、Moundの論文に載っている検索表を用いれば一応、オオアザミウマ亜科の属が分かるということになります。脱色してプレパラートにしていないので、分類上もっとも重要な小腮針が見えないという致命的なところがあるのですが、何とかすり抜けてできないかと思っています。ついでに、この間、ヒメジョオンの花にいたクダアザミウマも冷凍庫に入っていて、これはたぶん、クダアザミウマ亜科ではないかと思うので、それとの比較もしてみたいなと思っています。
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