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虫を調べる ヒメカゲロウの検索準備

この間から、ヒメカゲロウとオオアザミウマを検索してみようと思って、その分類の変遷や違いを調べていました。とりあえず、ヒメカゲロウについてまとまったので忘れないうちに載せておきます。





ヒメカゲロウというのはこんな虫です。これは両方とも10月17日にマンションの廊下で撮影したものです。その後、翅脈などから上はホソバヒメカゲロウ、下はキバネヒメカゲロウではないかと思ったのですが、いつも曖昧な結果で終わるので、一度、きちんと検索をしてみようと思っていました。

これまでヒメカゲロウの検索には次の論文を用いていました。

W. Nakahara, "On the Hemerobiinae of Japan", 日本動物学彙報 9, 11 (1915). (ここからダウンロードできます)

でも、なにぶん、かなり古いのでもう少し新しい検索表はないかと探していたら、次の論文を見つけました。

S. Kuwayama, "A revisional synopsis of the Neuroptera in Japan", Pacific Insects 4, 325 (1962). (ここからpdfがダウンロードできます)

これはアミメカゲロウ目全体について書かれた、かなり広範な論文です。ヒメカゲロウ科についても属の検索表が載っていました。一応、おぼつかない語学力で訳してみると次のようになります。



各属には種の検索表もついているので、私にとっては願ったりかなったりの論文です。でも、新しいといっても50年以上前のもの。どこまで使えるか不安でした。それで、この間、「日本昆虫目録第4巻」を購入するついでに、第5巻も購入することにしました。この巻には、ヘビトンボ目、ラクダムシ目、アミメカゲロウ目、シリアゲムシ目、ノミ目、トビケラ目、ネジレバネ目が入っています。180ページほどの薄い本ですが、大変高価な本です。でも、自分で目録を作る手間を考えると、かなり安い買い物ではないかと思って買ってしまいました。

この目録によると、ヒメカゲロウ科は5亜科9属45種が載っています。これらをKuwayama氏の論文、それに九大の昆虫学データベースと突き合わせてみました。Kuwayama氏の論文ではヒメカゲロウ科は2つの亜科に分けられています。



これはそのうちのMicrominae亜科についてです。Kuwayama氏の論文には3属8種が載せられているのですが、九大昆虫学データベースでは5属12種に増えました。その対応を線で示しています。赤字はKuwayama氏の論文に載っていない種です。それが、日本昆虫目録(2016)ではかなり整理され、1属9種になっていました。赤字で黒枠になっているのはKuwayama氏の論文にも日本昆虫目録にも載っていなかった種です。



Hemerobiinae亜科はもっと大変です。九大昆虫学データベースの赤字はやはりKuwayama氏の論文に載っていなかった種、日本昆虫目録の欄の青字は九大に載っていなかった種です。日本昆虫目録はさらに2亜科に分けられていました。左から線を追いかけていくと現在ではどの属のなんという種になっていることが分かりますが、赤字や青字が多いので、Kuwayama氏の論文の検索表がどこまで使えるか甚だ疑問です。

それで、それらをまとめてみたのが次の表です。



この表は日本昆虫目録に載っている種すべてを書き上げたのですが、赤字はともかくKuwayama氏の論文に載っていなかった種です。そのうち、分布が南西諸島や北海道など、明らかに本州に分布していそうにない種を取り消し線で消しました。すると、Microminae亜科では赤字はなくなり、Kuwayama氏の論文で検索しても大丈夫なことが分かりました。また、Hemerobiinaeでは2種が新しく入っているだけなので、ほぼ大丈夫な感じです。日本産ヒメカゲロウ科は現在では5亜科に分かれているみたいですが、そのうち、Drepanepteryginae亜科では1種新たに増えているだけでした。残りのNotiobiellinae亜科とSympherobiinae亜科はKuwayama氏の論文にはまったく触れられていないので要注意です。とりあえず、最近の亜科の検索表を探す必要があります。(追記2017/10/31:Notiobiellinae亜科とSympherobiinae亜科はKuwayama氏の論文ではSympherobiidae科に入っていました。したがって、科の検索で区別できそうです。また、それに伴い、上の表を書き換えました

実際にKuwayama氏の検索表を使って検索をしてみると、ホソバヒメカゲロウはほぼ間違いなさそうです。キバネヒメカゲロウは属の検索でMAとMPという翅脈がどれを指しているのかよく分からないのと、種の検索で翅室に透明な筋が入るというのが分からずつかえています。でも、たぶん、採集すれば大丈夫だと思うので、今度見つけたら調べてみることにします。いつのことになるか分かりませんが・・・。
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家の近くのむし探検 ハチ、ハエ、花など

家の近くのむし探検 第344弾

10月26日、近くの国道沿いの茂みを探した後、川の土手を歩いてみました。





土手はセイタカアワダチソウ、ヒメジョオン、コセンダングサ、シロバナセンダングサがまだ咲いていて、そこに虫がいろいろと来ていました。ただ、陽が当たってまぶしいくらいだったので、写真がどうもうまく撮れません。これはセイタカアワダチソウに来ていたヒメハラナガツチバチです。







ヒメジョオンには小さなハエが何匹かいたのですが、科も分かりません。写真もうまく撮れていないし・・・。





この日の目的はこのクダアザミウマを採集することでした。夏にはたくさんいたのですが、この日はこの一匹しか見つかりませんでした。



タンポポの花にはこんなハエも。これは調べれば分かるかも。



ヒメジョオンの花にはこんな毛虫も。一応、「原色日本蛾類幼虫図鑑」で見たのですが、分からないので、この間みたいに刺毛に名前を付けてみました。



図鑑に載っているヤガ科幼虫の一般的刺毛図を参考にしたのですが、SD2がない以外は刺毛の配置はよく似ています。ヤガ科なのかなぁ。(追記2017/11/01:通りすがりさんから、「幼虫はタバコガかオオタバコガでしょう。色は結構変異があります。」というコメントをいただきました。一応、ヤガ科には入っていましたね。ネットで調べてみたのですが、かなり色などに変異がありますね。図鑑にはタバコガはイラストと説明だけが載っていたのですが、1,2,8腹節のD1と1~8腹節のSD1が著しく、胸部のSD1は繊細、気門は環がやや厚いなど、ちょっと違う感じです。オオタバコガもどこかに書いてないかなぁ

追記2017/11/01:タバコガとオオタバコガの幼虫の見分け方を調べてみました。次の文献に載っていました。

(1) 農林水産省、「オオタバコガの発生と見分け方」、植物防疫病害虫情報 第55号 (1998年7月).(ここからダウンロードできます)
(2) 吉松慎一、「ヤガ科害虫4グループ類似種の幼生期の識別法」、農環研ニュース 55 (2002年7月).(ここからダウンロードできます)

文献(2)には終齢幼虫に対する検索表が載っていました。タバコガとオオタバコガの幼虫は以下の項目を調べると分かりそうです。



大腮と前胸背楯、それに、第7、第8腹節を調べればよいようです。今回見つけた幼虫はかなり小さい若齢幼虫なのでこの検索表では調べられないのですが、折角なので、第7、第8腹節について調べてみました。



SD1と気門の縦の長さの比を取ればよいので、第7、第8腹節を調べてみると、比はそれぞれ2.6と1.4になりました。共に、検索表の値よりはかなり大きかったです。たぶん、若齢だったからでしょう。ネットで調べると、オオタバコガ幼虫の齢について調べた論文も見つかりました。

内田一秀、「オオタバコガ幼虫の頭幅に基づく齢期の推定」、日本応用動物昆虫学会誌 53, 157 (2009). (ここからダウンロードできます)

また、「我が家の庭の生き物たち(都内の小さな庭で)」というブログではオオタバコガ幼虫の各齢について詳しい観察がなされていました。こんな情報をもとにして、今度見つけたらじっくり観察してみたいと思います




ついでに撮ったイソシギです。



それとキチョウ。(追記2017/11/01:通りすがりさんから、「キチョウではなく、キタキチョウですね。」というコメントをいただきました。最近、チョウを写さないのですっかり忘れていました。ご指摘どうも有難うございました





これはアキアカネ。アキアカネは何匹かいました。





後は植物です。これはたぶん、アオツヅラフジの実。





これはアラカシ





それにミゾソバでした。

家の近くのむし探検 クモ、アブラムシ、蛾など

家の近くのむし探検 第344弾

昨日の続きで、10月26日に家の近くの国道脇の茂みで見つけた虫たちです。見た順に書いていきます。





これはガザミグモだと思います。かなり目立つ存在ですね。こんな格好でずっと獲物を待っているのでしょうか。



これはたぶん、ネコハグモあたり。





問題はこのアブラムシです。有翅型はなかなか図鑑に載っていないので、名前が分からないのですが、これはかなり特徴的です。とりあえず、「日本原色アブラムシ図鑑」と「アブラムシ入門図鑑」の図版をずっと見ていきました。前翅の縁紋がオカボキバラアブラムシ Anoecia fulviabdominalisに似ている感じです。それで、この名前でネットを検索すると似たような種が出てきました。ただ、ミズキヒラタアブラムシ A. corniと書いてあるところもあります。「日本原色アブラムシ図鑑」の説明を読むと、fulviabdominalisはcorniのシノニムとして扱ったと書かれていました。

それで、購入したばかりの「日本昆虫目録 第4巻」を見てみました。これには、A. fulviabdominalisはアブラムシ科ミズキヒラタアブラムシ亜科ミズキヒラタアブラムシ属に載っていて、その亜種として、fulviabdominalis オカボノキバラアブラムシとsimilis ミズキクロオマルアブラムシ(新称)の2亜種が載っていました。また、corniについては載っていませんでした。ただ、Anoecia属にはこの種を含めて5種記録されていて、どれも本州に分布しています。それで、種は諦めて、とりあえず、Anoecia属かどうかを調べてみることにしました。属の特徴がきちんと書かれているものは見つからなかったのですが、次のサイトと論文に有翅型の特徴がちょっとだけ載っていました。

(1) "Aphid identication to genera"
(2) L. K. Ghosh, "A Conspectus of Aphididae (Homoptera) of Himachal Pradesh in North-West Himalaya, India", Zoological Survey of India, Technical Monograph No. 16 (1986). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

まとめてみると、

Anoecia属の有翅型は、前翅にある大きな黒い縁紋、腹部前半にある白い帯、それに、腹部背板第3-6節の黒い斑紋
翅は淡色で短い縁紋がある;前翅の中脈は1分岐のみ、後翅には2本の斜めの翅脈がある

ということになります。後翅の翅脈については上の写真では分からないのですが、そのほかの特徴は合っていそうです。たぶん、Anoecia属でよいのかなと思いました。

追記2017/10/30:Anoeciaについてもう少し調べてみました。「日本原色アブラムシ図鑑」には、A. corniについて書かれているのですが、「有翅型の腹部4-6節背面に大形の黒斑がある。触角3~6節にそれぞれ約12、3、2、1の大形の後生感覚器がある」とのことです。腹部の節が上の記述と少し違います。ただ、写真からはどうやって数えればよいのかよく分かりませんでした。また、この本には触角の各節の長さの比がしばしば書かれているので、実測してみました。



図鑑の方は絵から寸法を測りました。実測と写真の対応が少しずれているのは、実測の方は折れ線近似で測っているせいだと思います。まぁ、合っているような少し違うようなというところです。また、はっきりとは分かりませんが、後生感覚器かと思われる部分に黒い矢印をつけてみした。この後生感覚器についてはこのサイトの写真がよく分かります。図鑑によると、A. cornisの一次寄生はミズキ科Cornus属のミズキで、二次寄生はイネ科だそうです


追記2017/10/30:ついでに翅脈を調べてみました。次の論文に化石のアブラムシの翅脈に名前が入れられていました。それを真似して書いたのが下の写真です。

R. J. Rayner and S. B. Waters, "A New Aphid from the Cretaceous of Botswana", Palaeontology 32, 669 (1989). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)



アブラムシの種類によってはM1+2がさらに分岐することがあります。上の特徴に書いた「前翅の中脈は1分岐のみ」というのはM脈が一回だけ分岐してM1+2とM3+4になっているという意味です。後翅の翅脈を何とか読み取ろうとしたのですが、重なっていていまいちはっきりしないので書くのを止めました






これは河原の石の上にいました。小さいのですが、ちょこちょこと動いて凹みがあると、さっとそこに身を隠します。たぶん、トビケラの仲間でしょうね。



これは近くにいたセグロアシナガバチです。触角の先が曲がっているので♂だろうなと思って、思い切って近寄って撮りました。



これはウスモンカレキゾウムシ





最後はマンションにいた虫です。これはノミゾウムシの仲間ですが、「原色日本甲虫図鑑IV」の図版と見比べると、何となく、ヤドリノミゾウムシあたりに似ています。一応、採集したので、今度検索をしてみようと思います。



ついでに10月27日に見た蛾も載せておきます。これはキノカワガ



これは顔面の色を見ればよかったですね。



顔が橙色なので、ウスキツバメエダシャクかな。

家の近くのむし探検 オオズアリ、ツユムシほか

家の近くのむし探検 第343弾

10月26日は久しぶりに晴れたので、家の近くをちょっとだけ歩いてみました。



まず、最初にこの間、巣の移動をしていたオオズアリを見に行きました。どこに移動したのかなと思ったのですが、石垣のわずか30cm下の割れ目に移動していました。これは働きアリですが、頭の大きな兵隊アリもいます。





最近、長谷川英祐著、「働かないアリに意義がある」、メディアファクトリー新書 (2010)を読んでいるのですが、この本の中に、オオズアリについて書かれていました。オオズアリの兵隊アリは普通はほとんど仕事らしい仕事をしないのですが、働きアリが極端に少なくなると、働きアリの仕事をちゃんとこなすというということが書かれていました。働きアリ自身も仕事に対する「腰の重さ」がいろいろで、「腰の軽い」アリが率先して仕事をするのですが、手が足りなくなると、より腰の重いアリが働き始めるという方式で仕事をこなしています。兵隊アリはまったく仕事をしないわけではなく、したくても動きが鈍くて仕事にありつけないというのだそうです。そんな兵隊アリもコロニーに兵隊アリの割合が高くなると、せっせと働き始めるということでした。

これに関しては次の論文を見つけました。

E. O. Wilson, "The relation between caste ratios and division of labor in the ant genus Pheidole (Hymenoptera: Formicidae)", Behav. Ecol. Sociobiol. 16, 89 (1984). (JSTORに登録すると読めます)

この論文ではオオズアリの属するPheidole属10種の働きアリと兵隊アリの仕事ぶりを調べていました。例えば、P. guilelmimuelleriという種では、通常の状態では働きアリは卵の世話やら、幼虫への餌やリやら、餌集めなど30種の仕事をこなしているのですが、兵隊アリの半数は身繕いに明け暮れ、残りは巣の防御や餌の運搬、咀嚼するなど全部で4種の仕事しかしていないようです。ところが、兵隊アリの割合が全体の50%になると、仕事の種類は一時間ほどで一気に18種にまで増えるということです。なぜ、普段は仕事をしないかという理由も書かれていました。上の本によると、兵隊アリが働こうと思って仕事場に行っても、働いている働きアリに出会うとさっと向きを変えて戻ってしまうという性質があるからだということです。本当にそうかなと思って、この日は兵隊アリの動きをじっと見ていたのですが、巣の近くでうろうろはしていましたが、働きアリに会うと向きを変えるのかどうかは分かりませんでした。でも、アリの世界はそう思って見ていると面白いですね。





オオズアリの巣を後にして、いつもの国道脇の茂みに行ってみました。この日はこんなバッタを見つけました。背筋に白い筋が入っているので、セスジツユムシかなと思いました。





マンションにはいっぱいいるマルカメムシですが、ここでは数少ない昆虫の一つなので写しておきました。



これはヒメクロオトシブミだと思うのですが、今頃でもいるのかな。記録を見ると、4月から7月まで見ていました。(追記2017/11/01:通りすがりさんから、「オトシブミの仲間は成虫越冬ですから、今頃は後食しているものや、潜り込む場所を物色中かも。」というコメントをいただきました





これは以前調べたサンゴジュハムシではないかと思います。



それに、オジロアシナガゾウムシ



まだいろいろといたのですが、とりあえず、ここまでにしておきます。最後はセンニンソウの種でした。面白い形をしていますね。

虫を調べる クダアザミウマ(続き)

先日、マンションの廊下で見つけたアザミウマの各部の名称を調べたのですが、今回はその続きで亜科、族の検索をしてみました。本当は属の検索までできればよかったのですが、かなり大変なのと、急な仕事が入ってこれから10日間ほど時間が取れなくなったので、ひとまず族までで止めてブログに出しておくことにしました。



今、調べているのはこんなアザミウマです。アザミウマについては以前紹介したのですが、名前の由来が面白いので、もう一度、その時の文章を引用します。「ヒメジョオンなどの花を覗いてみると、小さな黒い虫がいっぱいついていることがあります。あれがアザミウマです。Syngenta Japanという会社のHPを見ると、「明治時代に大阪周辺で、アザミの花を右手に持ち左手の手のひらにそれを乗せて軽くたたき、『馬でよ!牛でよ!』と言って、アザミの花から出てくる虫の数を競った遊びがあったそうです。『アザミウマ』と名前をつけた松村松年博士が大阪周辺の出身であることから、この遊びが語源のいわれではないかとされています。」と書かれていました。」

小さいのと慣れないので、なかなか進まないのですが、とりあえず、検索表で検索をしてみました。亜科の検索には「農作物のアザミウマ」を使いました。紆余曲折があったのですが、とりあえず、オオアザミウマ亜科になりました。その先の族の検索には次の論文に載っている検索表を用いました。

L. A. Mound and J. M. Palmer, "The generic and tribal classification of spore-feeding Thysanoptera (Phlaeothripidae : Idolothripinae)", Bull. Brit. Museum (Natural History) 46(1), 1 (1983). (ここからダウンロードできます)

その結果、クダアザミウマ科オオアザミウマ亜科Pygothripini族になったのですが、その過程をまた写真で見ていきたいと思います。


この検索表で①→②b→③bと進むことになります。もし、合っていればの話ですが・・・。これをいつものように部位別に見ていきます。



各部の名称はこの間出した記事を参照して下さい。これは腹部末端を腹側から撮った写真です。ここでは腹部第10節が管状になっていること、その先端の第11節から刺毛が出ていること、それに第10節管状構造の側面に長い刺毛がないことを見ます。

ついでに②bで必要なので、♂♀の判定をします。「農作物のアザミウマ」によると、「第8~10節は円錐形に先細りになり、雌では産卵管の発達に伴い、腹板は中央で左右に分割され、側板を欠いている・・・(中略)・・・雄では外部生殖器が第9節に属するため、第8節では腹板が中央で分割されることはない。」と書かれています。つまり、♀では第8節から腹板中央に裂け目ができて、そこから産卵管が出ていますが、♂では第8節に変化がなく、第9節に外部生殖器があるという意味だと思われます。この写真を見ると、第8節には変化がなく、第9節後縁近くにそれらしいもの(赤矢印)が見えます。ということで、これは♂ではないかと思われます。



これは腹部末端を上斜め横方向から撮ったものです。第9節から長い刺毛が3本(反対側にも3本ある)が見えていますが、いずれも長いことが分かります。もし、クダアザミウマ亜科の♂であれば、中央の刺毛が短く太いはずです。ということで、オオアザミウマ亜科の可能性が高くなったのですが、本当は小腮針の太さが亜科を分ける重要な区別点なので、それを見なければいけなかったのです。ただ、これは頭部の内部にあり、このアザミウマの場合は黒くて透けないため、脱色する必要がありました。今回はそこまではできませんでした。



これは翅の拡大ですが、この①の項目も実のところよくは分かりません。何となくそうなのかなという程度です。



この写真は先日お見せしたものですが、留翅刺毛が腹部各節左右に一本ずつあります。ということで、小腮針が調べられなかったのが致命的なのですが、②についてはその他の項目がよさそうなので、大丈夫かなと思っています。

昨日、ヒメジョオンについているクダアザミウマを一匹だけ捕まえてきました。これについては昔調べたことがあったのですが、このときはクダアザミウマ亜科Haplothrips属という結論を出していました。これは今回と亜科が違うので、もう一度比較してみたいと思っています。

廊下のむし探検 ハチ、クサカゲロウなど

廊下のむし探検 第954弾

10月23日の「廊下のむし探検」の続きです。マンションの廊下もカメムシを除くと、だいぶ寂しくなってきました。これからはツチハンミョウ、秋キリガ、フユシャクぐらいが楽しみになるのかなぁ。





今頃になるとときどき、こんな風にツチバチの仲間がよろよろ歩いているのに出会います。これはヒメハラナガツチバチ♀だと思いますが、特にこの種が多いみたいです。



クサカゲロウがいました。翅の翅脈が緑、正中に黄色の腺が入っている、触角が短いなどから、スズキクサカゲロウかなと見当をつけて、顔を見てみました。



顔のこの模様、口肢が黒いところなど、予想通り、スズキクサカゲロウでした。



これはカネタタキ♂。





ムシヒキアブがいました。ぱっと見、なんだか分からないので、とりあえず撮影してから、いつもお世話になっている「ムシヒキアブ図鑑」を見てみました。腹部末端が尖っているので、これは♀。この形や、脚の色、腹部の帯の色、それに顔の毛の色などを比べて見て、ヒサマツムシヒキかなと思ったのですが、はっきりはしません。これも検索表があるといいのに・・・。そう思って、このサイトに載っている亜科の検索を試してみました。



とりあえず触角と翅脈を見ればムシヒキアブ亜科には到達できます。生態写真でも何とか分かりそうです。最後のsubmarginal室というのがよく分からなかったので、"Information on Robber Flies"というサイトを見てみました。このサイトの中で、Terminology→Wingを選ぶと、翅脈と翅室の名前が出ています。R1とRsで囲まれる部屋をmarginal cell(外縁室)、Rsの分岐でできた部屋をsubmarginal cells(亜外縁室)というようです。



最初、トビモンアツバかなと思ったのですが、翅端から走る黒い筋が直線的なので、たぶん、ウスチャモンアツバかなと思いました。



これはマダラヒメグモ♂かな。これも外来種みたいです。



これはセスジユスリカあたりのユスリカです。触角がふさふさではないので♀です。似た種があるのですが、♂でないと分かりません。以前、♂で調べたことがありました。そのときは、♂腹端のかなり微妙な構造を見て、ヒシモンユスリカかもという結論になったのですが、その後は調べていません。



厄介なカバナミシャクの仲間がいました。外横線が前縁近くで急に曲がっています。翅の後角に白い点があります。それに今頃登場するというところから、アザミカバナミシャクにしました。合っているかどうか分かりません。



枯葉色の蛾です。如何にも秋ですね。キバラエダシャクです。

廊下のむし探検 カメムシと甲虫

廊下のむし探検 第953弾

10月23日にマンションの廊下で見つけた虫です。秋も深くなると、外に出ても虫がいないので、マンションの廊下を探すに限ります。







今日の最初はこの外来種で、Mansoniella shihfanaeというシダカスミカメ亜科のカメムシです。これについては以前詳しく書きました。昨年の9月にマンションで初めて見つけたのですが、この日は3匹。ずいぶん増えてきました。(追記2018/06/02:立西さんから、「クスベニヒラタカスミカメ Mansoniella cinnamomiという種名で決着しているようです。あちこちで被害木を見かけますね。」というコメントをいただきました。この名で検索すると、「昆虫と自然」2016年の12月号にも載っていたようですね。貴重な情報、どうも有難うございました



次いでこのキマダラカメムシ。これも外来種です。こちらは2014年の9月にマンションで見つけたのが初めてですが、その後はすっかり常連になってしまいました。



そして、このマツヘリカメムシも外来種。こちらは2013年10月に初めて見つけたのですが、今ではトップ3に入るくらいたくさんいます。外来種が次々増えてきます。



在来種はこのオオトビサシガメと、無数にいるクサギカメムシ、マルカメムシ、ツヤアオカメムシでした。なんだかカメムシだらけですね。そういえば、ツヤアオカメムシの数が減って、その代り、クサギカメムシが山もり出てきました。今日は北側の網戸1枚に10匹程度。





これはこの間見つけたミスジキイロテントウという外来種です。またいました。



やっと在来のナナホシテントウがいました。





最後はこのヨモギハムシ。これについてはこの間詳しく調べました。一度、調べると何となく親しみが湧いてきますね。それにしても今頃は外来種だらけですね。

虫を調べる クダアザミウマ

マンションの廊下でひっくり返っていたアザミウマをもう何日もかけて調べています。



捕まえてきたのはこんなアザミウマです。腹部末端に管のようなものが突き出しているので、クダアザミウマ科は間違いないと思うのですが、その先、検索を試みても亜科さえ断定できないでいます。検索表には「農作物のアザミウマ」を使っているのですが、初め、亜科の検索を抜かしていて勝手にクダアザミウマ亜科だと思い込み、その先の属の検索表からPonticulothrips属になってしまいました。これで、ブログに出そうかとまとめているときに亜科の検索が抜けているのに気が付き、改めて検索してみると腹部第9背板に長い刺毛が3対あるところから、オオアザミウマ亜科になりました。それで、腹部第9背板の顕微鏡写真を撮ってみると、長い刺毛の間に短い毛があることに気が付き、これはクダアザミウマ亜科かなと再び思い込み、その先のPonticulothrips属のところでまた行き詰っていました。その後、腹部第9背板の刺毛はやはり長い3本を見ればよいのではと思い、今は再び、オオアザミウマ亜科に傾いています。

いつまでやってもきりがないので、まずはじっくり各部位の名前から調べていこうと思って、とりあえず、顕微鏡写真に名前を書き入れてみました。分かるところだけ書き込んだのですが、非常に怪しいのでそのつもりで見ていただけると幸いです。



まずは頭部と胸部で背面からの写真です。名称は次の文献を参考にしました。

(1) 梅谷献二ほか、「農作物のアザミウマ―分類から防除まで」、全国農村教育協会 (1988).
(2) 「新訂 原色昆虫大図鑑第III巻」、北隆館 (2008).
(3) L. X. Eow, "The Phylogeny and Morphological Evolution of the Fungal Spore-feeding Thrips, Idolothripinae (Thysanoptera: Phlaeothripidae)", Doctor Thesis, Queenland Univ. Technology (2016). (ここからダウンロードできます)

最後のは博士論文です。後頭がずいぶん長いですね。



頭部の拡大写真ですが、主に刺毛について名前を付けてみました。大部分は「大図鑑」に載っていたものですが、「側縁刺毛」については生えている部位の違う刺毛に同じ名前がついていたので、これはEowの博士論文を参考にして付けました(四角で囲んだ部分)。



次は単眼付近の拡大です。対物レンズ20倍で撮ったので、焦点深度が浅く、周辺のボケが気になりますが、単眼で囲まれた部分はよく見えます。



次は胸部から腹部にかけての写真です。矢印で示した部分が気門となっているのですが、穴が開いているわけではなさそうで、どうなっているのでしょう。



次は翅の部分です。翅を押さえる留翅刺毛というのが検索では重要になるのですが、辛うじて見えています。



次は触角です。もう少しはっきり写れば感覚錐体というのが見えるのではと思ったのですが・・・。




次は腹面からの写真です。腹部第1節が幅の細いところになるのですが、これで合っているかどうかよく分かりません。後でもう少し拡大した写真が出ます。



頭部の腹側からの写真です。口器が複雑すぎてなんだか分かりません。頭盾に当たる部分がめちゃめちゃ長いです。脚の跗節が変わっていますね。



ちょっと拡大してみました。よく見ると爪が見られます。爪の上にある部分を包嚢というようです。ということは、跗節は1節しかないのかな。



これは胸部を腹側から見たものです。腹部第1節は I と書いた部分なのですが、これでよいのかな。



最後は背側から撮った腹部末端です。長い尾管が見えています。腹部第IX節の刺毛というのはその脇に出ている長い刺毛のことです。ピンボケになった部分も入れると3本あります。これを2本とその間にある短い毛という風に解釈していました。もう少し分かりやすい写真を撮り直さないといけないですね。写真は一見正確みたいなのですが、結構、これを写そうという主観が入ってしまい、意外に騙されやすいものです。自分で撮っているので文句は言えないのですが・・・。

今度はこれらの写真を基にして検索をしてみたいと思います。ただ、「農作物のアザミウマ」はその名の通り、農作物に限定されているので、それ以外のアザミウマを扱うには不適ではないかと思い始めました。とりあえず、どんな種がいるのか知らなくてはと思って、「日本昆虫目録第4巻準新翅類」を注文しました。もし、オオアザミウマ亜科で間違いなかったら、次の論文に載っている検索表で調べてみたいと思っています。

L. A. Mound and J. M. Palmer, "The generic and tribal classification of spore-feeding Thysanoptera (Phlaeothripidae : Idolothripinae)", Bull. Brit. Museum (Natural History) 46(1), 1 (1983). (ここからダウンロードできます)

この間は挫折したのだけど、うまくいくかなぁ。

廊下のむし探検 ハエ

廊下のむし探検 第952弾

10月17日に見た虫でハエが残っていました。どうせ、調べても分からないだろうと思って、とりあえず、記録のために出すだけ出しておきます。






廊下の手すりに止まっていました。寒いのか、まったく動きません。それで、ゆっくり撮ることができました。たぶん、ブユ科でしょうね。検索をすると、属くらいは分かるのかなぁ。でも、採集しませんでした。(追記2017/11/01:通りすがりさんから、「ブユはSimulium属です。属までは良いとしても、その先はメスを採集しないと。」というコメントをいただきました。調べてみると、その先は亜属だけでもかなり大変そうです。どれもこれもどうしてこうも難しいのでしょうね)(追記2018/02/15:このブユは以前調べたブユと似ている感じです。そのときはアシマダラブユ Simulium (Simulium) japonicumにしたのですが、その近辺の種ではないかと思われます





これはたくさんいました。クロバネキノコバエ科だと思うのですが、これもまだ調べたことがありません。でも、採集しませんでした。







ガガンボの仲間も結構いるのですが、どうせ名前は分からないのだろうと思って、調べていません。







周辺に白い点があるのはオオチョウバエだったかな。やっと名前が分かるのが出てきました。(追記2017/11/01:通りすがりさんから、「1枚目のチョウバエはクロハネビロチョウバエですかね。」というコメントをいただきました。色合いからもクロハネビロチョウバエの方みたいですね。どうも有難うございました



最後はユスリカ。これも♀なので、名前は分かりそうにありません。ということで、今回は何も分からないものばかりでした。

雑談)この間から調べていたアザミウマ、一応、顕微鏡写真は撮ったのですが、もう何が何だか分からなくなりました。「農作物のアザミウマ」に載っている検索表を使って調べていたら、初め、クダアザミウマ科クダアザミウマ亜科になり、属の検索をしたら、Ponticulothrips属になりました。でも、この時、亜科の検索をし忘れているのに気が付き、検索をしたら、今度はオオアザミウマ亜科であることが分かりました。それで、Moul.d(1993)の論文をダウンロードして、そこに載っている鬼のような検索表とにらめっこしていました。これは無理かなと思って、最低限、オオアザミウマ亜科であることだけでもブログに出そうと思って、決め手となる腹部第9節末端の刺毛の撮影をしたら、オオアザミウマ亜科ではなくてクダアザミウマ亜科であることが分かりました。でも、その先にたどり着くPonticulothrips属は全世界でカキクダアザミウマ一種しか知られていなくて、これとは明らかに違います。もう、八方ふさがりになってしまいました。アザミウマ、難しいですね。

廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第951弾

台風21号が紀伊半島沖を通過しました。昨晩は風の音はすごかったのですが、雨も風も思ったより大したことがなくてほっとしました。今朝は台風一過でいい天気になっています。10月17日にマンションの廊下を歩いて見つけた虫が残っているのでここらで出しておきます。今回は蛾です。





小さな蛾からです。止まっているときは小さくてよく分からなかったのですが、写真を拡大すると結構、綺麗な蛾でした。これはたぶん、カザリバガ科のベニモントガリホソバではないかと思います。このブログ初登場です。昔は展翅をしていたのですが、標本が増えるので最近は写真だけにしています。でも、こう小さいと展翅は大変だろうなぁ。





これも小さな蛾です。写しているときはそんな感じは受けなかったのですが、写真を見ると翅が金色に輝いています。これも初めてです。たぶん、キンバネヤマメイガというヤマメイガの仲間ではないかと思います。「標準図鑑」によると、愛知以西、四国、九州に分布しているようです。



これはエグリノメイガ。こちらは過去にも一度見ています。



そして、これはシロアヤヒメノメイガ。これも過去に一度見ています。写しているときには気が付かなかったのですが、すぐ近くにユスリカの仲間がいました。ずいぶん小さいなぁ。



似た種が多いので少し迷ったのですが、前後翅の外横線の曲がり方が独特なので、たぶん、マエキノメイガではないかと思いました。





これは共にホソバヤマメイガだと思っている蛾ですが、実のところ、ヤマメイガの仲間はみな似ていて区別がつきません。





このハマキガもこの日はたくさんいました。黒い小さな蛾が飛んでいるなと思ったら、たいがい、これでした。翅に特徴的な三角紋があるのですが、似た種があるため、ヘリオビヒメハマキ周辺の種ということにしておきます。





これはエゾギクトリバです。蛾を見始めたころは蚊の仲間かなと思ってしまいました。それにしても変わった止まり方ですね。この日はあまりにたくさんいたので、途中から写すのを止めました。



次はナカウスエダシャク。これも何匹かいました。



そして、ヒロバウスアオエダシャク



床近くの壁に止まっているので、なんだか分かりません。



床に寝っ転がって撮ったら、やっと模様が見えました。キバラエダシャクでした。



それとツマジロエダシャク



これはゴマフリドクガではなくて、チャドクガの方ですね。



これもこの間から見ています。ホシオビコケガ



最後は廊下の窓越しに撮ったので、写真が二重になってはっきりしません。でも、外横線の形などからギンスジキンウワバではないかと思います。これまで4-5回見ています。

この日もずいぶん蛾がいました。マンションの廊下を40分ほどかけて歩いた成果です。外を2時間歩いてもこんなに見つけられません。マンションでの虫探しは効率いいですね。でも、これから寒くなってくると、蛾も減り、甲虫も減り、カメムシも減り、最後は小さなハエばかりになってしまいます。今年もそろそろツチハンミョウが見られる季節ですね。今年も来るかなぁ。

雑談)この間からアザミウマとヒメカゲロウの検索で手こずっています。まず、アザミウマの方は最初、クダザミウマ科Ponticulothrips属まで到達したのですが、ブログに出そうとまとめていたら、亜科の検索を忘れているのに気が付きました。まずは小腮針の形状を見なければならないのですが、黒くて光を通さないのでアウト。次に腹部第9背板の長刺毛の長さを調べて、やっとオオアザミウマ亜科ではないかと思うようになりました。そういえば、頭部がやけに長いなとは思っていたのですが・・・。私の持っている本にはオオザミウマ亜科については詳細が載っていないので、今は文献探しです。

ヒメカゲロウは文献を探していて、だいぶ前のではあるのですが、検索表の載っている文献を見つけました。ただ、属名が変わっているのが多いので、九大の昆虫学データベースに載っているどれに該当するのか対応を見ている最中です。とりあえず、ホソバヒメカゲロウは検索の結果その通りだということになりました。キバネヒメカゲロウの検索は検索表に載っている翅脈の名前が分からず、まだ、四苦八苦しています。

廊下のむし探検 甲虫、カメムシ

廊下のむし探検 第950弾

10月17日にマンションの廊下を歩いて見つけた虫の続きです。今回は甲虫とカメムシです。





今日の最初はこの甲虫です。2-3mmほどの小さな虫なのですが、最初に撮ったときは目立つテントウだなという印象でした。これだけ模様がはっきりしていたら、すぐに分かるだろうと思って、「原色日本甲虫図鑑」や「原色昆虫大図鑑II」をいくら見ても載っていません。テントウではないのかなと思って、図鑑を最初から最後まで見たのですが、載っていません。ネットで探しても見つかりません。もう諦めていた時に、ネットの画像検索で引っかかりました。なんとミスジキイロテントウという外来種だそうです。これについては、大阪自然史博物館のページに載っていました。1985年に沖縄で大発生して、その翌年、大阪でも見つかったそうです。

少し文献を探してみました。

小濱継雄、嵩原健二、「沖縄県の外来昆虫」、沖縄県立博物館紀要 28, 55 (2002). (ここからダウンロードできます)
山本勝也、「ミスジキイロテントウ神戸市からの記録」、きべりはむし 32(1), 61 (2009). (ここからダウンロードできます)

いずれも簡単な記述しか載っていないのですが、1970年に宮武氏が台湾産の個体について記載したのが初めだそうで、学名はBrumoidesi ohtaiです。この記載論文は愛媛大農学部紀要に載っているのですが、ネットでは公開されていませんでした。

画像検索で見た写真と比べると、今回の個体の頭部前面の色が黒くなく、橙褐色なところが気になりました。そこでBrumoidesで画像検索すると、似たような種がいろいろと出てきます。それで、ちょっと心配になったのですが、今度は台湾の「嘎嘎昆蟲網」というページをを見つけました。ここは林義祥という昆虫に関する本を何冊も出されている方のページのようで、実に多くの虫について書かれています。ここで、「→昆蟲圖鑑→ 鞘翅目(瓢蟲)→長縱條瓢蟲」と選んでいくと、このテントウのページに到着します。ここには、「雌蟲頭部色,雄蟲褐色,頭頂色」と書かれていました。♀は頭部が黒で、♂は褐色、頭頂部が黒という意味のようです。したがって、これは♂なのかもしれません。上記論文によると、現在では沖縄のほか、関東、近畿、四国、中国、九州で確認されているようです。





これはヤサイゾウムシ



そして、これは以前にも出てきたマルトゲムシ科Microchaetes属です。以上、いずれも外来種です。





カメムシではケブカカスミカメがたくさんいました。



横から見ると「ケブカ」という意味が分かりますね。



これも外来種です。これは以前から何度も出てきたシダカスミカメ亜科のMansoniella shihfanaeです。詳しくは以前書きましたので、そちらをご覧ください。(追記2018/06/02:立西さんから、「クスベニヒラタカスミカメ Mansoniella cinnamomiという種名で決着しているようです。あちこちで被害木を見かけますね。」というコメントをいただきました。この名で検索すると、「昆虫と自然」2016年の12月号にも載っていたようですね。貴重な情報、どうも有難うございました



そして、これも外来種のキマダラカメムシ。最近はすっかり常連になってしまいました。





このカメムシは横から見て腹面に白い筋入っていればフタモンホシカメムシ、なければクロホシカメムシでした。これは入っているので、フタモンホシカメムシの方です。

後は蛾やハエがたくさん残っています。寒くなると、マンションで探すに限りますね。

廊下のむし探検 ヒメカゲロウ、アザミウマ、毛虫など

廊下のむし探検 第949弾

最近は雨続きで外に出かける気がしません。それで、雨の止んだ10月17日に久しぶりにマンションの廊下を歩いてみました。蛾やハエがいろいろいたのですが、今日はマイナーな虫から。





この日はこんなヒメカゲロウが2種いました。上は以前、キバネヒメカゲロウかなと思った個体に似ていて、下はホソバヒメカゲロウだと思われる個体です。今回もちょっと調べてみました。

W. Nakahara, "On the Hemerobiinae of Japan", 日本動物学彙報 9, 11 (1915). (ここからダウンロードできます)

以前と同じ、この論文に載っている検索表を使ってみました。



検索表を見ると、とりあえず、翅脈を見れば何とか属まで達することができます。



まず、これは上の個体。この個体にはrecurrent veinという基部に戻る翅脈があるのが特徴です。検索表では、①b→②b→③b→④bと進んで、Hemerobius属に達します。これは以前と同じです。九大の昆虫学データベースによると、Hemerobius属で本州に生息するのは10種。ここでストップなのですが、翅脈に点々と暗色の点がついています。これを論文の写真と比較して、以前はHemerobius harmandinusかなというところで止まっていました。今回もここまででした。この種は千葉大のサイトを見ると、キバネヒメカゲロウという和名がついています。



下のヒメカゲロウはrecurrent veinがないので、①aを選ぶことになります。Catalogue of Lifeによると、EumicromusはMicromusのシノニムだというので、この種はMicromusということになります。九大の昆虫学データベースによると、Micromus属で本州産は3種、Eumicromus属は1種記録されています。こちらもここまでなのですが、以前、ホソバヒメカゲロウだと教わったことがあるので、その辺りを調べてみました。九大の昆虫学データベースによると、学名はMicromus multipunctatusということになっていますが、Catalogue of Lifeによると、現在はMicromus linearisのシノニムということになっています。これについては次の論文に事情が載っていました。

V. J. Monserrat, "New Data on some Species of the Genus Micromus Rambur, 1842 (Insecta: Neuroptera: Hemerobiidae)", Annali del Museo civico di storia naturale Giacomo Doria 89, 477 (1993). (ここからダウンロードできます)

それによると、M. linearisはもともとスリランカで記録されていたものですが、日本で記録されていたM. multipunctatus♀の交尾器を調べたら同じだったということです。この種の前翅ではM3+4脈とCuA脈が途中で合流するという特徴があるのですが、この個体で調べるとまさにそうなっていました。やはり、ホソバヒメカゲロウ M. linearisでよいのかなと思いました。(追記2017/10/22:「前翅ではM3+4脈とCuA脈が途中で合流する」というのはMicromusの共通の特徴でした。ということで、まだ名前は確定されていません





その他の虫です。腹の先端が尖っていて、腹部の上側に腹柄がくっついているので、たぶん、ハリブトシリアゲアリだろうと思いました。



こちらはいつもいるヒゲナガカワトビケラです。



アザミウマがひっくり返って死んでいました。折角だから採集して、先ほど検索をしてみました。クダアザミウマ亜科Ponticulothrips属になったのですが、詳細はまた今度お見せします。(追記2017/10/22:検索が間違っていました。たぶん、オオアザミウマ亜科ではないかと思います。体長は3.1mm。もう一度、検討してみます



大きなジョロウグモがいました。近寄ると急に動いたので、びっくりしました。やはりクモは怖いです。



こんな小さな毛虫もいました。模様から、たぶん、ヨツボシホソバという蛾の幼虫だと思います。



もう少し大きめの毛虫です。ヨトウガの仲間っぽいのですが、こうなるとよく分かりません。まったく手が出せないのも癪なので、少し調べてみました。「原色日本蛾類幼虫図鑑」の後ろに蛾類の幼虫について詳しい説明が載っているのですが、まったく理解していませんでした。この毛虫を材料に少し調べてみようかと無謀なことを思いつきました。



まずは全体像からです。体の横に黒い点が並んでいます。胸部第1節と腹部1-8節にある気門です。これより上を背域と呼び、それから下にかけて側背域、亜基節域、基節域、腹域の5つの部分に分けます。この辺りはいろいろな流儀があるようですが、これはこの文を書かれた六浦晃氏の説を採用しています。背域は模様から便宜上、背域と亜背域とに分けられます。従来まで表面の模様から分けられていたのを、六浦氏は筋肉の配置からこのように分けたそうです。



頭部、胸部、腹部第1節あたりを拡大してみました。まず、眼は個眼が6つ並ぶのが普通だということなのですが、どういうわけか3つしか写っていません。今度、正面から写してみます。次は刺毛についてです。これも六浦氏の方式に従うと、背域にある刺毛にTという記号を付け、長さの順に1、2、・・・と番号をつけていきます。亜背域はST、側背域はPN、亜基節域はSC、基節域はC、腹域はSという記号で書いていきます。このようにして各体節ごとに名前を付けていきます。この写真では背域と亜背域がよく見えていて、側域が少し、それに基節域も一部見えているので分かるところだけ記号を付けてみました。なんせ写真が不鮮明なので、毛の位置や長さまではほとんど分かりません。今度撮るときにはこんなところに気をつけながら撮ったらいいなと思いました。それにしても、毛むくじゃらのヒトリガの幼虫の時はどうやって毛に名前を付けていくのだろう。

追記2017/10/22:幼虫の体の区分けで、側背域 paranotal areaがよく分かりません。

A. Mutuura, "On the Homology of the Body Areas in the Thorax and Abdomen and New System of the Setae on the Lepidopterou s Larvae", Bull. Univ. Osaka Pref. B6, 93 (1956). (ここからダウンロードできます)

この論文には一応説明が載っていますが・・・。要は、
背域と側域の間にあって、胸部については将来、翅になる器官を含む部分のことを指しています。終齢幼虫だと翅の基になるものが実際にでき、この領域の境界には溝ができるそうで、その溝は成虫になってからは胸部側板を分ける溝に該当するとのことです。腹部については胸部と相同な部分があるとされています。ただ、この写真の幼虫だとそんな溝は見えないので、なんだか分かりません。たぶん、気管に沿って走る線上に刺毛が2本ずつあるように見えるのですが、これが側背域の刺毛なのかもしれません

虫を調べる ヨモギハムシ

先日、「ヨモギハムシの各部の構造」というタイトルで頭部や腹部の各部の名称について書いたのですが、その続きで、今度は検索をしてみたいと思います。目的種がはっきりしているので、比較的安心して検索を進めることができたのですが、それでも分からないところがありました。



今回の調査対象は先日と同じ、10月5日にマンションの廊下で採集したこの個体です。ヨモギハムシは文字通り、ヨモギを食します。結構、寒くなってからでもヨモギを探すと見つかることがあります。記録を見ても、12月とか、1月にも見たことがありました。この写真のようにヨモギ以外にいたときは雰囲気からヨモギハムシだろうと思っているのですが、一度、きちんと調べておこうと思って、今回は検索をしてみました。

検索表としては、亜科の検索には「原色日本甲虫図鑑IV」、属と種の検索には次の論文を用いました。

S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. V Subfamily Chrysomelidae", J. Fac. Agri. Univ. 13, 263 (1964). (ここからダウンロードできます)

まずは外観から見ていきます。





背面からと側面からの写真です。体長は8.4mmで、ハムシとしては結構大きめの方です。体全体が綺麗な群青色で、背中がこんもりと盛り上がっています。前胸背板の両側がちょっと左右に張り出したような感じなので、それからいつもヨモギハムシだろうと推測しています。



まず初めは亜科の検索です。これは検索表のうち、ヨモギハムシの属するハムシ亜科に至る過程を抜粋したものです。全部で6項目、これを写真で調べていきます。検索の順に調べていこうとすると、その都度、あちこちの写真を参照しないといけないので、いつものように部位別に書いていきます。



まずは頭部からです。まず、①については特に異常がないのでOKでしょう。②については、左右の触角は前額によって広く隔たれています。ちなみに、以前書いた「昆虫の頭の構造」に載せたSnodgrassの図と比較すると、前額の周囲にある溝は頭頂と前額を分けるfrontal sutureと呼ばれる縫合線で、前額の両側にある溝はDTと呼ばれる昆虫の頭蓋を支えるつっかえ棒の取り付け部かなと勝手に思っています。③については、この写真でも分かるように頭部が前胸の中に引き込まれるような構造をしています。この間調べたサクラサルハムシもそんな感じでした。



次も同じ頭部です。同じ写真ではつまらないので、少し拡大した写真を用いました。頭盾と前額の間には頭盾会合線が明瞭です。(追記2017/11/10:前額と書いた分がpost-clypeus(後頭盾)、頭盾と書いた部分をante-clypeus(前頭盾)と書いた論文が見つかりました。この場合の頭盾会合線は後頭盾の後ろ側の腺になり、はっきりした頭盾会合線があることになります。詳細は「虫を調べる ハッカハムシ」を見てください



次は側面です。③の複眼の後方はこの写真ではよく分からないのですが、たぶん、大丈夫でしょう。また、③と⑥に書かれている前胸背板の側縁は明瞭に見えます。



今度は腹面です。⑤の「腹部の中間3節」は2-4節を指すのかなと思うのですが、特に異常は見られません。



最後は脚の跗節です。先日のサクラサルハムシでは跗節第3節が二分していましたが、このハムシは全く二分していません。これで、一応、すべての項目を見たことになるので、たぶん、ハムシ亜科は大丈夫でしょう。



次は属の検索です。属の検索には上で書いたKimoto氏の検索表を用いました。これも写真で見ていきたいと思います。


腹面の写真です。⑦は先日示した前基節窩に関するものです。基節窩は基節を除いた後の穴を指していますが、前方は前胸腹板があるために塞がっていますが、後方は写真のように開いています。次の⑩が問題でした。Kimoto氏の論文では"Interior coxal process of metasternum"と書かれているのですが、これがどこだか分かりません。試しに、"Interior coxal process"でGoogle検索をしても、引っかかるのはKimoto氏の論文1件だけ。仕方ないので、いくつか論文を探してみました。この項目は代表的な性質なのか、いろいろな論文で似たような表現がなされていました。

J. L. Gressitt and S. Kimoto, "The Chrysomelidae (Coleopt.) of China and Korea Part 2", Pacific Insects Monograph 1B, 301 (1963). (ここからダウンロードできます)

例えば、この論文では"Intercoxal process of metasternum"となっていて、何となく意味が通じます。つまり、「後胸腹板の基節間突起」というような意味です。これも試しに"Intercoxal process"でGoogle検索すると7100件とかなりヒットしました。たぶん、こちらの表現の方が妥当なのでしょう。次に問題になったのは基節が後基節か中基節かです。いろいろな文献を見ると、"Intercoxal process"で後基節の間に見られる腹部第1背板の突起を指している図も見られました。ただ、ここでは後胸腹板と指定しているので、たぶん、中基節の間に見られる後胸腹板の突起ではないかと判断しました。つまり、矢印で示した位置です。



その部分を拡大してみました。この部分は台形状に中基節の間に突き出していますが、前縁は明瞭な縁取りがなされています。これでたぶん、良いのではと思っていますが、違っているかもしれません。



次は上翅側片の内縁の毛についてです。この写真、よく見ると、短い毛が途中から生えているのが分かります。



もう少し拡大してみました。確かに内縁だけに短い毛が生えていました。



これは先ほども出した写真ですが、爪が単純であることは見ればすぐに分かります。これで属の検索が終わり、無事にヨモギハムシ属に到達しました。



最後は種の検索です。検索表はたいてい亜科とか属とかの検索は細かい構造の違いを調べなければいけないのですが、種になると、色とか点刻だとか比較的見やすい性質を調べればよいので楽になります。本当は交尾器を調べなければならないのでしょうけど。とりあえず、この4項目を見ていきます。



まずは背面からです。⑫も⑬も上翅の点刻についてですが、直線状に綺麗に並んでいるというわけではないですが、完全にランダムというわけでもなさそうです。その表現が⑬のようになるのでしょう。また、体長は8.4mmなので、範囲には入っていました。



最後は小顎肢についてです。第3節の形が歪んでいてどこ測ったらよいか分からなかったので、定量的には測ってはいないのですが、先端節が長卵形状で第3節よりは少し短そうな感じです。これですべての項目をクリアしたことになるので、ヨモギハムシということになりました。いつも外観から前胸背板の両側への張り出しで見分けているのですが、そんな項目は全くなかったですね。むしろ、上翅の点刻の配列が重要みたいです。

ということで、ヨモギハムシの検索を試してみました。"Intercoxal process"でだいぶ迷ってしまったのですが、先日、各部の名称をつけるときに「前胸側板」で悩んだほどは悩みませんでした。それでも、深度合成を用いているせいで、ヨモギハムシのこれらの写真を撮るだけで1000枚以上の顕微鏡写真を撮ることになってしまいました。お陰でパソコン内蔵のハードディスクがいっぱいになり、昨日、メモリを整理をする羽目に。

家の近くのむし探検 アケビの実ほか

家の近くのむし探検 第342弾

虫やら植物やらを調べていたら、肝心の虫の名前調べが1週間以上も遅れてしまいました。10月11日の分です。この日は家を出たものの、知人とおしゃべりをしてしまい、ほとんど観察はできなかったのですが、一応、記録のために。



いつものように国道脇の茂みで虫を探していたら、地元の方が長い折れ枝で木の上をしきりにつついています。何をやっているのだろうと思って見上げるとアケビの実がたわわについていました。放っておくと鳥が食べちゃうからと言われて、しばらくつついておられたのですが、落ちないので諦めて行ってしまわれました。私はその後、写真を撮りました。



よく見ると、毛虫がついています。拡大するとゴマフリドクガの幼虫みたいです。食草はツバキ科、バラ科、マメ科・・・で、アケビ科は書いていないし、実を食べるという話も聞かないので、たまたまいただけなのかな。



実と言えば、この後の散歩でカラスウリの実も見ました。花が見事なので撮りたいなと思っているのですが、開花が夜なのでいつも時期を逃してしまいます。



シダにこんな白いものがついていました。何だろう。調べなかった・・・。



虫の方はさっぱり。マンションの廊下にいたクモヘリカメムシ





後は国道脇の茂みにいたチャバネアオカメムシくらいでした。色がだいぶ褐色を帯びていますね。早く体色変化の仕組みの文献を調べなきゃ。この日はこのくらいでした。

虫を調べる ヨモギハムシの各部の構造

この間から、ハムシの勉強をしています。先日、こんなハムシを見つけました。



たぶん、ヨモギハムシだろうと思ったのですが、一度、検索をしてみようと思って採集してきました。検索する前に各部の名称を調べてみようと思ったのが苦戦の始まりでした。



まずは全体像です。体長を調べると、8.4mmでした。「原色昆虫大図鑑II」によると、8mm内外というので、まず標準的な大きさですね。



次は顔の部分です。順番に名前を付けていくとこの図のようになるのですが、迷ったのが頭盾でした。頭盾がこんなに狭くてよいものかどうか不安です。「原色昆虫大図鑑II」のヨモギハムシの説明では、「頭は細点刻を散布し前方に弧状の凹みがあって平たい頭盾を分かつ」とあります。弧状の凹みと言えなくはないので、合っているような、ないような。難しいですね。(追記2017/11/10:前額と書いた分をpost-clypeus(後頭盾)、頭盾と書いた部分をante-clypeus(前頭盾)と書いた論文が見つかりました。詳細は「虫を調べる ハッカハムシ」を見てください)



これはその部分の拡大です。



背側からの写真です。前胸背板の側方部分が凸凹で張り出しています。



次は腹面です。前胸腹板が中胸側に突起を出しています。また、後胸腹板も中胸側に広い突起を出しています。その二つの腹板に挟まれて、中胸腹板は大変狭くなっています。



さて、これからが難しいところです。とりあえず、この間教えていただいた次の論文のFig. 5を参考にして名前を付けてみました。

M. Chujo, "A Taxonomic Study on the Chrysomelidae (Insecta: Coleoptera) from Formosa. Part VIII. Subfamily Eumolpinae", Philip. J. Sci. 85, 1 (1956).

この間調べたサクラサルハムシと比べると、前胸背板前胸腹板の形がT字型になっているところが違います。問題は「?」をつけた前胸側板です。(追記2017/10/19:立西さんから、「この間調べたサクラサルハムシと~の部分の前胸背板は前胸腹板のことでいいでしょうか。」というコメントをいただきました。その通りで、前胸腹板でした。何度か見直しているのですが、やはり間違っていますね。ご指摘、有難うございました



サクラサルハムシの場合は前胸背板の下側、前胸前側板、前胸後側板にうまく区分されていました。この場合、前胸背板側縁から前胸腹板や前基節に向かって折り返した部分が張り出しています。したがって、この部分が前胸背板の下側ともいえるし、そうすると前胸側板がなくなってしまいます。



これはその部分を拡大して写したものですが、前胸側板にあたる部分が前胸背板と連続的につながっている様子が分かります。これについて書かれた文献がないかと探したのですが、まだ、見つかっていません。昆虫はともかく難しいですねぇ。

追記2017/10/20:次の論文中にChrysolina属の前胸側板の絵が載っていました。

A. O. Bieńkowski, "Little Known Leaf Beetles of the Genus Chrysolina (Coleoptera, Chrysomelidae) from China", Entomological Review 88, 435 (2008).

やはりこんな三角形の形をしています。たぶん、この部分全体が前胸側板で、前胸前側板と後側板の区別はつけないのかもしれません

家の近くのむし探検 チュウレンジバチ類幼虫とヤドリバエ

家の近くのむし探検 第341弾

10月10日に家の近くにある国道沿いの茂みを歩いていたら、面白い光景に出会えました。



以前にもノバラにこんな幼虫がいっぱいついていたのは見たことがありました。チュウレンジバチの仲間の幼虫です。このときは、「大阪府のハバチ・キバチ類」を見て、バラ科を食草とするのは、アカスジチュウレンジ、シリグロチュウレンジ、ニホンチュウレンジ、チュウレンジバチの4種だったので、そのうちのどれかかなと思っていました。



この日はそこにヤドリバエが来ていました。幼虫に産卵しようと狙っているのです。



あちこち飛び回って獲物を探しているようです。



こんなところから顔を出したりしています。



そのうち、獲物を定めたようです。しばらく、こんな格好でじっとしていました。



やがて、腹部を曲げて産卵の態勢に入っていきます。実は、ヤドリバエがルリチュレンジの幼虫に産卵するところは以前にも見たことがありました。ただ、その時は後ろ向けだったので、うまく撮れませんでした。今回は横からなので好都合です。



そして、産卵態勢になりました。こんな格好で意外にじっとしています。



どうやら産卵が終わったようです。でも、幼虫を見てもどこにも卵はついていません。失敗だったのかな。

ところで、このハエ、以前、「一寸のハエにも五分の大和魂・改」で議論されているのを見つけました。そこでは、ヤドリバエ科のDrinomyia bicoloripesかもということで、次の論文が紹介されていました。

(1) H. Shima, "Study on the Tribe Blondeliini from Japan (Diptera, Tachinidae) : III. Descriptions of a New Genus and Two New Species from Japan, Korea and Nepal, with Notes on Drinomyia bicoloripes (MESNIL)", 昆蟲 48, 259 (1980). (ここからダウンロードできます)

この論文によると、このハエはルリチュウレンジとアカスジチュウレンジでは飼育例があるとのことで、今回も大いに可能性があります。ただ、チュウレンジバチにもいろいろいるので、ひょっとしたら別のヤドリバエかもしれません。それで、ちょっと調べてみました。まず、「日本昆虫目録第8巻」(2014)によると、Drinomyia bicoloripesはD. hokkaidensisのシノニムで、和名はキアシハリバエになっていました。Drinomyia属はこの1種だけなので、属を調べればよいかもしれません。ついでだから、次の論文と上の論文に載っている属の検索表で調べてみることにしました。

(2) H. Shima, "Study on the Tribe Blondeliini from Japan (Diptera Tachinidae) I", 昆蟲 47, 126 (1979).(ここからダウンロードできます)

Drinomyia属に至る検索の項目を和訳してみると次のようになります。



これはヤドリバエ亜科Blondeliini族の属への検索表でDrinomyia属に至る部分のみを抜粋したものです。赤字がいっぱいあって見にくいのですが、赤字は上の写真からでも何とか調べられそうな項目で、脚の剛毛、胸部側板の剛毛、翅の毛などは分かりそうにないので、黒字にしています。まず、8月8日にルリチュウレンジに産卵していたヤドリバエについて調べてみました。というのは、こちらの方がキアシハリバエである可能性が高いので・・・。





その時に写した写真です。この写真から、各部を拡大して調べてみます。



論文(1)によると、Drinomyia属を定義したのはMesnilで、その時は肩剛毛3本が三角形状に並ぶと書かれていたのですが、調べてみると、Oswaldia属ほどは明確ではなく、むしろ、中間の剛毛がやや前寄りになっている程度だったそうです。それで、論文(2)に載せた検索表を論文(1)では修正したとのことでした。従って、この肩剛毛の配置が一つのキーアイテムになっているみたいです。そう思って上の写真を見てみると、3本の肩剛毛はほぼ直線状で、真ん中の剛毛がやや前寄りになっているので、まさに書かれている通りです。そのほかにも、⑩の後頭部上部に黒毛がないとか、①の背側剛毛は横線前に3本、横線後に3本なので、dc3+3になることなど書いてあることとよく合っています。⑤の「3番目の翅背剛毛」が矢印のものかどうかよく分からないのですが、もしそうなら、強い剛毛になっています。



これは小盾板剛毛を示したもので、⑨に書かれている通り、側剛毛と亜端剛毛はほぼ同じ長さみたいです。



次は、⑤に関してです。検索表にはM3と書かれていますが、「原色昆虫大図鑑III」に従うと、M3+4と書いた方がよいと思って直しました。写真で示した部分がほぼ等長だというので、これも合っているようです。ということで、調べてない項目もたくさんあるのですが、肩剛毛の配列をはじめとして検索表に載っている項目に合っている項目も多いので、Drinomyia属である可能性はかなり高そうです。

そこで、今回の個体も調べてみました。



実は、写真が不鮮明で肝心の肩剛毛がはっきりしません。でも、そのほかの特徴は合っていそうです。



小盾板剛毛はその通りのようです。背側剛毛は一見、dc1+3のように見えるのですが、小さい剛毛をどこまで数えるかによるのではっきりはしません。



最後は翅脈でこれはOKです。ということで、写真がはっきりしないので何とも言えないのですが、Drinomyia属が1属1種なので、今度のも同じかなと思っています。

まだ、検索項目が何を指しているのかよく分からないところもあるのですが、採集したら何とかなるかもしれません。今まで、ヤドリバエに対してはお手上げ状態だと思っていたのですが、小さな糸口ができたかなと思っています。もっとも、ヤドリバエ亜科Blondeliini族だけですけど・・・。

家の近くのむし探検 蛾、アブラムシなど

家の近くのむし探検 第340弾

10月10日に家の近くの国道沿いの茂みで探した虫の続きです。



まず最初は出かけに見つけた蛾です。これはフタスジシマメイガ



行く途中でユリの実についているアブラムシを見に行きました。ワタアブラムシかなと思っているアブラムシに有翅型がいたのでついでに写しました。すぐ近くにアリが来ています。



二日前に見たときはオオズアリだったのですが、この日はハリブトシリアゲアリみたいでした。



国道沿いの茂みにいたハエです。たぶん、シマバエ科だと思うのですが、属までは分かりません。





虫が少なくなったといってもバッタはまだ健在でした。これはササキリ



これははっきりとは分からないのですが、ヒメクダマキモドキかなと思っている幼虫です。



ハチは相変わらず分かりません。





こちらも。



帰りにオオズアリの巣を見てみたら、働きアリがせっせと繭を運んでいました。巣の移動なのかな。



最後はマンションの廊下で見つけたトビケラです。トビケラは捕まえないと科すら分かりません。このほかにヤドリバエがいたのですが、そちらは今、調べている最中なので次回に回します。

家の近くのむし探検 カメムシ、甲虫、花

家の近くのむし探検 第339弾

急に寒くなって、天気も悪くなりました。それで、最近はあまり虫探しをしていません。今回は10月10日に家の近くの国道沿いの茂みで探した虫です。これ以降、虫探しをしていないのでそろそろ行かなくては。





今日はまずカメムシです。これはクサギカメムシの幼虫です。両方とも前翅包が見えているので、4齢かなと思います。



こちらは前翅包がもっと伸びています。たぶん、5齢ですね。



で、これは成虫。この間はチャバネアオカメムシらしい幼虫がたくさん見られましたが、今回はクサギカメムシでした。



そのチャバネアオカメムシもいましたが、何となく全体が茶色がかっています。確か、体色変化と幼若ホルモンとの関係を書いた文献があったような・・・。ちょっと調べてみます。

追記2017/10/18:体色変化について少し調べてみました。次の論文に少し載っていました。

小滝豊美、八木繁実、「チャバネアオカメムシの休眠発育と体色の変化」、日本応用動物昆虫学会誌 31, 285 (1987).(ここからダウンロードできます)

この論文の内容は以下のようなものです。チャバネアオカメムシは秋、寄生場所から越冬場所に移動しますが、その際、緑色だった体色が褐色に変化します。同様の変化は光周期を変えても実現します。つまり、長日条件(明15時間、暗9時間)から短日条件(明12時間、暗12時間)に変化させると、摂食、飛翔、交尾、産卵などを止めてしまう休眠状態に入り、体色も緑色から褐色に変化します。従って、休眠と体色変化には深い関係がありそうです。成虫の休眠については幼若ホルモンが作用しているということが知られていますが、体色変化についてはよく分かっていないようです。学会発表の予稿を見ると、休眠と体色変化では光周期に対する応答が異なるという発表や、休眠には幼若ホルモン以外のものも働いているという発表があったりして混沌としています。最近の論文が見つかっていないので何とも言えないのですが・・・




こちらはウズラカメムシ。これはマンションの廊下ではほとんど見ていません。





オオメナガカメムシらしいのが2匹いました。共に花に来ていました。「原色日本カメムシ図鑑第3巻」を見ると、同じような色合いだとオオメナガカメムシの他に、ツマジロオオメナガカメムシというのがいます。ただ、分布が南西諸島なのと、前胸背の側方と後縁が淡色だというので、これはオオメナガカメムシでOKでしょう。



後は帰りにマンションの廊下で見たものです。これはマルカメムシ。いつもは撮らないのですが、今日はパチリ。



この日はマツヘリカメムシもたくさんいました。



時間は前後しますが、これはアオバハゴロモ。今頃、結構見ます。



甲虫ではこんなのがいました。アリみたいに葉上を素早く動き回っています。ホソクビアリモドキだと思います。昨年と今年で計5回見ました。



それにクロウリハムシ



花もついでに撮っておきました。これはヨメナだと思っている花です。よく似たノコンギクとは冠毛を見ると分かります。



こんな感じで冠毛はほとんど目立ちません。したがって、ヨメナでいいのかな。



最後はヤブマメ。まだまだ虫はいたのですが、次回に回します。

廊下のむし探検 クモ、トビケラほか

廊下のむし探検 第948弾

先ほどの続きで、10月8日の「廊下のむし探検」の結果です。蛾、カメムシ、甲虫、バッタ以外です。



今日の最初はこのクモです。アリグモの仲間♀です。「ハエトリグモ ハンドブック」に載っている検索表では、腹部に光沢がある方を選んで、次に胸部が強く盛り上がるか、盛り上がらないで、それぞれヤサアリグモ、アリグモになります。そこで、横からも撮ってみました。



たぶん、これは盛り上がっている方だと思うので、ヤサアリグモではないかと思います。





これも先ほどのハンドブックに載っています。たぶん、ミスジハエトリ。似た種としてはチャスジ、デーニッツが載っているのですが、見た感じはだいぶ違いました。



これはハンゲツオスナキグモかな。



これは地下駐車場の天井に止まっていました。エグリトビケラ科のウスバキトビケラです。





両方とも雄アリです。翅脈から判定ができるとよいのですが・・・。以前、羽アリの翅脈調べをしたことがあります。 上の写真の個体では翅脈が見えるので、Perfilievaの論文に従って分類してみると、IIIdタイプになるのですが、Perfilievaによると、カタアリ亜科の23%、ヤマアリ亜科の26%、フタフシアリ亜科の18%などがこれと同じような翅脈を持っているのでこれからだと何とも言えません。やはり採集しないと無理か。

この後、マンションの近くの石垣にいるオオズアリを見に行きました。







役に立つのかなぁと思われるようなものを持ってくるアリもいましたが、みな、忙しそうです。

その後、近くにあるユリの実を見に行きました。ここにはワタアブラムシではないかと思われるアブラムシがいっぱいついていて、先日、ここで寄生バチに乗っ取られたアブラムシを見つけました。これはマミーと呼ばれているようです。mummyを辞書で引いたら、ミイラとか、昆虫では蛹とかという意味になっているので、蛹と訳していたらよいのかなと思っていたら、今日見つけたサイト(高田肇、「アブラムシとその寄生バチ(2)アブラバチとアブラコバチ」、アリスタ ライフサイエンス農薬ガイドNo.97/F (2000.10.1))ではミイラと訳していました。確かに、蛹よりはミイラの方が適当かもしれません。今日はそのマミーにハチが抜け出した穴があるかどうかを確かめに行きました。



矢印の部分に色の違うアブラムシがいますが、これがマミーです。左には先ほど見たオオズアリがいます。



そのオオズアリ、マミーを乗り越えました。







マミーはあちこちにありました。





そのうち、大きな穴の開いたのも見つかりました。

先ほどの高田氏の記事には詳しい説明が載っていました。まず、アブラムシの中に産み付けられた卵から孵化したアブラバチ(コマユバチ科)か、アブラコバチ(ツヤコバチ科)の幼虫は、最初はアブラムシの生命維持に関係のない卵巣や脂肪体を食べるのですが、その後、消化管や気管などを食べていくので、アブラムシはついには死んでしまいます。アブラムシの器官や組織を食べ尽くすと、アブラムシの腹を裂いて分泌液で植物体に固定し、アブラムシの殻の中で繭を作ります。この状態をマミーと呼ぶそうです。アブラムシ殻は分泌液との反応でいろいろな色が付き、この色は寄生バチの種類で変化するみたいです。そして、羽化した成虫は口器で殻を丸く破り、中から出てきます。産卵から成虫まではハチの種類によって異なりますが、だいたい2~3週間で、アブラムシの寿命1週間より長く、ハチ成虫の寿命は2週間から5週間程度だそうです。マミーからハチ成虫が出てくる、そんな瞬間が見れるとよいのですけど・・・。

雑談)今日はヨモギハムシを検索表に従って調べてみました。例によって、一か所部位が分からず苦労しましたが、それもなんとかクリアして、「天才キッズ全員集合」という番組を見ながらまとめています。「天才検索キッズ」なんていうのが現れてもよさそうですね。虫には余り興味ないかな。

廊下のむし探検 カメムシ、甲虫、バッタ

廊下のむし探検 第947弾

10月8日に撮った写真の整理をまだやっています。もう16日なので、早く済ませないといけないなとは思ってはいるのですが・・・。でも、どうせこれから虫が少なくなるので、のんびりやっていくつもり。



今年はこのツヤアオカメムシが多いですね。この間、10/6のコメントにも書いたのですが、あちこちのニュースを拾ってみると、鹿児島では平年の数倍、静岡は15倍、滋賀は3.9倍、和歌山は8.6倍なんて数字が出ていました。そのほか、島根、愛媛、京都、香川ではカメムシ注意報が出ているそうです。ツヤアオのほか、チャバネアオ、クサギも増えているようです。野外で見ていると、それほどツヤアオは多くはありません。むしろ、チャバネアオなんかよく見かけます。



明りに集まる性質があるのでしょうね。この日の廊下の天井灯です。いったい、何匹見えているか分かりますか?



正解は12匹でした。左側に頭だけ出しているのなんか見つけにくいですね。それに影やゴミがあったりして・・・。



クサギカメムシも増えているとのことですが、マンションではまぁ、例年通りのような気がします。



チャバネアオカメムシは外ではよく見かけるのですが、マンションでは少ないです。





これもよく見るカメムシです。ただ、ハラビロヘリカメムシとホシハラビロヘリカメムシという似た種がいて、見分けるのは難しいです。「日本原色カメムシ図鑑第3巻」によると、ホシハラビロは「触角第1節が(複眼を含む頭部の幅より)長く、2、3節は円筒形となる」で、ハラビロは「触角第1節が(複眼を含む頭部の幅より)短く、2、3節は扁平な三角柱状になる」とのことです。



まず、第1節の長さは写真がいずれも斜めになっていて正確には測れません。でも、頭幅よりはやや長そう。また、第2、3節は扁平な三角形状というよりは、円筒形のように見えます。ということで、ホシハラビロヘリカメムシにしました。



次は甲虫です。これは普通のサビキコリ



次はヤサイゾウムシ。外来種で、名前の通り、農業害虫です。マンションでの過去5年間の記録を見てみると、いずれも10月末から12月までで、合計20個体を見ていました。今年は少し早いみたいです。



これはたぶん、ヨモギハムシだと思います。今、ハムシの勉強中なので、一応、採集しました。今度、検索をしてみます。



次はバッタです。これはカネタタキの♀。



すぐ近くに♂もいました。





最後はクビキリギスでした。まだ、アリやら、クモやらと、外で見た虫が残っています。これらは次回に回します。

廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第946弾

10月8日は淀川で植物観察会があったのですが、早めに終わったので、帰ってからマンションの廊下を歩いてみました。さすがにいろいろと虫がいますね。まずは蛾から。





まず最初はこの蛾からです。カザリバガ科ですね。「標準図鑑」で見てみると、Cosmopterix属らしいことが分かります。何となくウスイロカザリバぐらいかなと思ったのですが、よく分かりません。







こんなハマキガを3匹見つけました。たぶん、ヘリオビヒメハマキあたりのCryptaspasmaの仲間ですね。それ以上はよく分かりません。







ヒメシャクはこの3匹。よく分からないのですが、上から二つはマエキヒメシャク、下のはウスキクロテンヒメシャクかなと思ったのですが、これもよく分かりません。



これはセスジナミシャク



これはエグリヅマエダシャク



それにクロズウスキエダシャク



それにヒロバウスアオエダシャク



こちらはホシオビコケガ



それにクロオビリンガ



これはハスモンヨトウ



最後はうーむ。ヒメサビスジヨトウかな。さすがに蛾はいろいろいますね。

淀川べりの花(続き)

10月8日に淀川の土手を歩く植物観察会がありました。その時に見た花の続きです。見た植物をもう一度図鑑で調べ直しているのですが、帰化植物は細部まで載っているものが少なくて四苦八苦しています。聞き間違いしたものも結構あるかもしれません。あしからず。





最初はこの花です。観察会ではアレチハナガサと言われたのですが、家の近くに咲いているヤナギハナガサとよく似ているのでそれではないかと思っていました。でも、もう一度、「日本帰化植物写真図鑑」を見てみると、花の付き方はアレチに似ているようです。やはりアレチハナガサかもしれません。







これはセイバンモロコシだと教わったのですが、まだ、確認ができていません。「日本の野生植物」に載っているイネ科の検索表ではモロコシ属近くまではいくのですが、小穂の寸法が分からないので止まっています。もう一度、見ないといけません。採集してくるべきでした。







これは外観も毛の多い小穂を見ても、たぶん、教わった通りのタチスズメノヒエだと思われます。長田武正著、「日本帰化植物図鑑」によると、南米原産で、1958年に北九州市小倉で見つかったそうです。







これはアメリカスズメノヒエと教わったものです。「日本帰化植物写真図鑑」によると、花序が二股に分かれるのは、キシュウスズメノヒエ、チクゴスズメノヒエ、それにアメリカスズメノヒエなどがありますが、大きさも大きく、何となくアメリカスズメノヒエで合っているような感じです。



これはアオゲイトウだとのことです。似た種が多くてよくは分かりません。「日本の野生植物」のヒユ属の検索表を見ると、花被片の形から見分けられるようです。



その時に花を撮った写真ですが、下の花の花被片は上が平らな感じですが、その上の花は長細いような感じです。変化があるのかもしれません。気になるのは、検索表にある「頂生の花穂は短くて密」というところです。上の写真では結構長く見えるので・・・。これももう一度見ないと何とも言えません。





これは何の気なしに撮ったのですが、名前が分かりませんでした。





最後はネナシカズラです。その時は気が付かなかったのですが、後で写真を見ると花が咲いていたようです。

植物は難しいですね。イネ科を1種ずつじっくりと調べてみたくなりました。

虫を調べる オオズアリ

この間から、マンションの前の石垣に小さなアリが群がっていました。



触角や脚が長いので、アシナガアリの仲間かなと思っていたら、



こんな頭の大きなアリも出入りしていました。これはオオズアリだと思って少し採集しました。折角、採集したから一度検索してみようと、顕微鏡撮影もして検索してみたら、やはりオオズアリになりました。それで、いざまとめようとしたら、実は、昨年の9月7日にも同じような検索をしていました。結果もまったく同じで、完全にダブってしまうのでどうしようかなと思ったのですが、折角だからもう一度出すことにしました。

検索には以前と同じ「日本産アリ類図鑑」の検索表を用いました。



最初は亜科の検索です。検索するとフタフシアリ亜科になったのですが、いつものように写真で確かめていきます。写真がない項目は赤字にしておきましたが、たぶん、大丈夫でしょう。



まず、これは働きアリです。体が折れ曲がっているので、体長が正確には分からないのですが、大顎を除いた体長は折れ線近似で2.9mmになりました。この写真では腹節が2節であることと、前伸腹節刺があることを確認します。



次は顔面の写真です。触角の挿入部が額葉に一部が覆われ、また、額葉が互いに離れていることを見ます。



最後は脚の爪で、見た通り単純です。これで亜科の検索項目がすべて確かめられ、無事にフタフシアリ亜科になりました。



次は属の検索です。全部で13項目もあって大変なのですが、これも写真で見ていきます。赤字はやはり写真にない項目です。



まずは全体像です。⑤はたぶん大丈夫でしょう。⑭もこの写真から確かめられます。



次は顔面の写真です。だいたいはほかの属を除外する項目なので、すぐに確かめられます。⑨の額隆起線というのは矢印で示した部分だと思います。



これは頭盾前縁中央に剛毛が1対あることを示した写真です。これらの写真は深度合成ソフトで合成しているのですが、細い剛毛は写真の一部にしか現れないので、合成すると消えてしまうことがよくあります。上の写真でもほとんど見えなくなっています。それで、剛毛が写っている近傍の写真だけで合成したものがこの写真です。1対あることが辛うじて分かります。



次は触角です。全部で12節、棍棒部が3節あることが分かります。第1節は長い柄節なのですが、画面に直角になっているので、先端だけが写っています。



これは胸部を側面から写したものです。前中胸が明瞭に隆起するとは見えないのですが、前伸腹節を基準にすると盛り上がっているようにも見えます。このことなのかなと思っています。



前伸腹節と腹柄節に関する項目ですが、たぶん、書いてある通りだと思います。



⑬は腹柄節の後縁が直線的であること、⑭は前伸腹節刺のことを指しているのだと思います。ということで、一応、ほとんどの項目を確かめたので、オオズアリ属ということになりました。



最後は種の検索です。ここでは兵アリが登場するので、両方の写真をお見せます。



これは先ほどの働きアリです。⑱は種を特定するときに特に重要だと思います。写真のように、後腹柄節の方が腹柄節よりずっと大きいことが分かります。



これは顔面ですが、⑰もOKでしょう。



次は兵アリです。頭がびっくりするくらい大きいですね。体が曲がっているので、体長が測りにくいのですが、折れ線近似で測ると、大顎を除いて4.2mmになりました。働きアリが2.9mmだったので、かなり大きいですね。これも後腹柄節の方が腹柄節よりかなり大きいところは同じです。



これが顔面です。⑰は頭盾前縁の波打った構造のことを指しているのかなと思ったら、よく読んだら腹面から見なければならなかったようです。それで、よくは分かりません。でも、突起がないという項目なのでたぶん大丈夫でしょう。写真がないところもいくつかあったのですが、これでオオズアリになりました。働きアリは以前の結果と同じだったのですが、兵アリが増えたところがプラスかな。

ついでに、検索に用いなかった写真です。



これは働きアリの頭部です。



こちらは兵アリの頭部です。かなり形が違いますね。



これはそれを拡大したもの。



これは兵アリの腹柄の写真です。前伸腹節気門の位置などは働きアリと同じでした。



最後も兵アリです。

ということで、以前とダブってしまったのですが、オオズアリの検索をしました。図鑑によると、「働きアリ階級は兵アリと働きアリの顕著な2型を示し・・・」ということだそうです。兵アリも働きアリ階級なのですね。Wikipediaによると、兵アリといっても、攻撃・防衛をするわけでなく、大型の獲物を捕らえた場合に出動して、運びやすいように大きな顎で裁断する役目を担っているようです。むしろ、強力な敵が来たときはいち早く巣の中に逃げて、やられないように温存されるようです。これは兵アリを作るためにも、維持するためにも多大のエネルギーが必要だからだそうです。

イボバッタの翅脈

先日、淀川べりを歩いていた時にバッタを見つけました。マダラバッタか、ヒナバッタかよく分からなかったのですが、ひょっとして翅脈を見れば分かるのではと思って、バッタの翅脈を調べてみようと思い立ちました。



それで、10月11日にバッタを取りに川の土手に行ってみました。この間まであんなに飛び回っていたのに、この日は気温が低かったせいか、ちっとも見当たりません。やっと見つけたのがイボバッタ。慌てて捕まえたので、写真は撮りそこねました。これは2016/08/22に撮影したものです。見た目にパッとしませんが、とりあえず調べてみました。

でも、これがともかく難しい。まるで情報がありません。わずかにあるのは、「原色昆虫大図鑑III」に簡単な絵が載っているだけです。こんな時に頼りになるのが、Comstock(1918)とTillyard(1919)なのですが、どういうわけかゴキブリについては載っているのですが、バッタについては載っていません。やむを得ずに、"Opthoptera"と"venation"で検索をかけてみると、まずひっかかるのは次の論文です。

O. Bethoux and A. Nel, "Venation pattern of Orthoptera", J. Orthoptera Research 10, 195 (2001). (ここからダウンロードできます)

雄大なタイトルなのですが、中身は化石のバッタ目の翅脈についてで、今までの解釈を変えるという内容です。主に翅脈の凹凸に注目していて、いまいち根拠がはっきりしません。この論文に出てくる文献も探してみたのですが、ことごとくダウンロードできず、これもアウトです。たぶん、「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」には載っているのだろうと思うのですが、これは茨木市立図書館まで行かないと見れません。そこで、イボバッタの属名である"Trilophidia"と"venation"で検索してみると次の論文がひっかかりました。

Y. Bai et al., "Geographic variation in wing size and shape of the grasshopper Trilophidia annulata (Orthoptera: Oedipodidae): morphological trait variations follow an ecogeographical rule", Sci. Rep. 6, 32680 (2016). (ここからダウンロードできます)

これはイボバッタと同属のバッタについて翅のサイズや形の地理的変異を測ったというものですが、信じられないくらい簡単な翅脈の図しかありません。Nature系の雑誌なのに、どうしてこんな図で許したのか分かりません。ということで、ちょっと愚痴っぽくなりましたが、八方ふさがりになってしまいました。

それで、やむをえず、自分で名前をつけてみることにしました。



前翅はこんなに細長い翅です。これを各部A~Dを見ながら、翅脈に名前を付けていくことにしました。



まずは翅の基部です。翅脈に名前を付けるにはルールがあります。これについては以前、ハエシリアゲムシについて書いたことがあります。でも、実はかなり難しくて、いまだに十分理解できていません。要点は次の本に載っています。

R. E. Snodgrass, "Principles of Insect Morphology", McGraw-Hill (1935).(ここからpdfがダウンロードできます)

この本に載っている次の図が分かりやすいと思います。



翅脈の名称などが今用いられているものとかなり違うのですが、要は、それぞれの翅脈の基になる翅底骨(1Ax~3Ax)とmedian plate(m、m')を探すことから始めます。例えば、Sc脈は1Ax、R脈は2Ax、Vと書いてあるのは現在のAなのですが、これは3Axが関係します。また、M脈とCu脈はmedian plateという硬化した部分が共に起源になり、前半部分から出るのがM脈、後半部分から出るのがCu脈になります。

このことを基にしてバッタの翅の基部をかなり一生懸命見たのですが、どれがそれぞれの翅底骨なのか、結局、同定できませんでした。ただ、同じ系統の翅脈は同じ基部から出るということを使うと、上の写真のようにとりあえず、名前を付けることができます。例えば、Sc脈やA脈はそれぞれ2本出ていますが、基部を探すと同じところから出ているので、同じ系統の翅脈ということになります。同じ系統というので、A、Pとつけたり、1、2とつけたり一定していないのですが、二つあるものはA(Aはanteriorの意味)とP(Pはposteriorの意味),A脈はしばしば何本もあるので1、2とつけました。でも、あまり根拠はありません。R脈のすぐ下には細い脈があるのですが、これを辿っていくとm'の前半部に到達するので、M脈としました。m’の後半部からは2本の翅脈が出ます。共にCu脈として、前側をCuA、後ろ側をCuPとしました。

右端にある+や-の記号は凸脈か凹脈を表しています。これについても以前書いたことがあります。要は翅が縦に折れ、凸脈が上、凹脈が下になって折りたたまれるような構造をしているということを意味し、その折り目にあたるのが翅脈になるのです。したがって、これらは原理的に互い違いになっています。ただ、凹脈が途中から凸脈に変化することもあるので、普通は翅基部での振る舞いを見たらよいということになっています。とりあえず、+と-をつけてみたのですが、特にMとCuの辺りはあまり自信がありません。また、最後のA脈については翅の縁での強度を持たせるために共に凸脈になっています。とりあえず、こんな風に翅脈に名称をつけてみました。



基部を含んで翅の中央部まで延長してみました。ここで、気になるのは矢印で示した翅脈です。これは途中から現れてきますが、擬脈とするにはあまりにもはっきりした翅脈です。



この翅脈はその後、M脈に接近し、その間に多くの横脈でつながるので、M脈の一部として考えた方がよいのではと思いました。そういうことで、もともとのM脈を前側のM脈ということで、MA脈、途中から現れてきた脈をMP脈と書いておきました。



さらに後ろを見てみました。今度はR脈に注目します。黒矢印の部分でR脈はR1脈とRs脈に分岐しています。これが先ほどのMA脈と重なっているので、分かりにくかったのですが、拡大してみると、何か立体交差みたいになっている感じです。通常、R脈はR1脈とRs脈の二つに分かれるということになっていたので、初めはよく分からなかったのですが、拡大してようやく分かりました。



ということで、だいたい全部の翅脈に名称をつけることができました。でも、怪しい点がいっぱいあるので、半信半疑の気持ちで見てくださいね。もう少し文献を探したり、また、翅底骨との関係を調べてみたいと思っています。



ついでに後翅も載せておきます。



そして、これが翅の基部です。どれがM脈かCu脈かが分からず、まだ、悩んでいる最中です。ともかく難しいですね。

淀川べりの花

10月8日に植物の観察会があり、淀川の土手を歩きました。場所は大日のあたりです。10月なのに暑くて、観察会は午前中で終わってしまったのですが、それでもちょこちょこ花が見られました。いつも、虫ばかり見ているのですが、たまに花を見るのもいいですね。





これはホシアサガオだそうです。一応、現地で名前を教えてもらったのですが、家に戻ってから、「日本帰化植物写真図鑑」で確認しました。



熱帯アメリカ原産で、こんな風に花は数個まとめてつくそうです。





こちらは北米原産のマメアサガオみたいです。小さな花ですが、点々と咲いていると綺麗ですね。







こんな立派な花も咲いていました。ゴマノハグサ科のアメリカウンランモドキというようです。「日本帰化植物写真図鑑第2巻」にも載っていました。北米原産で、2000年に佐世保市で記録されたのが初めてだそうです。ごくごく最近のことですが、もう淀川で咲いていました。



これはクサフジです。こちらは在来種です。



これはクサネムです。暗くなると葉を閉じるので、こんな名前がついているようです。



白いニワゼキショウです。これについては、「日本帰化植物写真図鑑第2巻」に載っていました。花が小さく、開花時間が短いなど、普通のニワゼキショウとは違いがあるそうです。それで、同一の種とするよりは型として和名をつけたいということで、セッカニワゼキショウと呼ぶことにしたとのことです。白紫型はすでによく知られ、白花型とも呼ばれているので、これにはセッカ(雪花)と名付けたとのことでした。

まだ、ほかにもあったのですが、次回に回します。

淀川べりの虫

10月8日に淀川の土手を歩く植物の観察会がありました。植物の勉強をしようと思って、それに参加したのですが、休憩時間にちょっとだけ虫も探してみました。数は多くないのですが、一応、記録のために。



これはたぶん、ヨモギハムシだと思いました。ヨモギハムシあたりのハムシも区別がよく分からないので、この間、マンションの廊下で採集した個体で一度検索してみます。



これはユスリカ。



そして、これはキモグリバエ科。



バッタもいました。マダラバッタとヒナバッタで迷ったのですが、顔の傾斜からマダラバッタの方かなと思ったのですが、いまいちはっきりしません。「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」に載っている検索表を見ると、マダラバッタの属するトノサマバッタ亜科とヒナバッタの属するヒナバッタ亜科とは、ヤスリ状の発音器が、前者は前翅にあり、後者は後腿節にあるという違いがあるそうです。一度、見てみないといけませんね。





最後は初めて見るテントウです。小さいのですが、探したら2匹見つかりました。「原色日本甲虫図鑑III」の図版と比べてみると、ベダリアテントウ Rodolia concolorによく似ている感じです。図鑑の検索表に載っている記述、「上翅の会合部は黒く、ふつう中央で広がり、ほかに2対の黒紋があり、・・・」というところなどはよく似ています。(追記2017/12/06:野虫の会さんから、「このテントウは恐らく外来種のモンクチビルテントウではないかと思われます。かなり拡大している印象です。」というコメントをいただきました。やっぱりベダリアテントウではなかったのですね。モンクチビルテントウというのは初めて知りました。ネットで調べると確かに斑紋の形がよく似ています。外来種なのですね。コメント、どうも有難うございました

さらに、「イセリアカイガラの天敵として有名で、世界各国に移入されて定着している」とのことです。この個体がベダリアテントウなのかどうかははっきりしないのですが、ちょっと面白そうなので調べてみました。参考にしたのは次の論文とホームページです。

(1) L. E. Caltagirone and R. L. Doutt, "The History of the Vedalia Beetle Importation to California and its Impact on the Development of Biological Control", Ann. Rev. Entomol. 34, 1 (1989).
(2) A. Shelton, "A Guide to Natural Enemies in North America - Biological Control 'Rodolia cardinalis'", Cornell Univ., College of Agriculture and Life Sciences.(ここで見ることができます)
(3) J. P. Michaud, "Coccinellids in Biological Control", in "Ecology and Behaviour of the Ladybird Beetles (Coccinellidae)", ed. I. Hodek et al., Blackwell Publishing (2012). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

特に論文(1)が詳しいのですが、残念ながらネットでは公開されていないようです。論文は論文なのですが、ドラマチックに書かれているので、かえって単語が分からず、四苦八苦しました。要は、19世紀の中頃に天敵として移入された最初の生物農薬、あるいは、Biological Contolの例だということです。

内容を紹介すると、19世紀中ごろ、アメリカのカリフォルニアは空前のゴールドラッシュで次々と移入する人が増え、大変な人口増加に見舞われていました。その土地に定着して農業を始める人たちも現れ、特に、柑橘類の栽培が盛んになりました。ところが、1868年にアカシアを輸入した際、その樹についていたIcerya purchasisというカイガラムシが猛烈に広がり、柑橘類はほとんど壊滅状態になりました。当時、アメリカ合衆国の昆虫学者として認定されていたC. V. Rileyはこれを何とか解決しようと、カイガラムシの原産地オーストラリアに人を送って天敵を導入することを提案するのですが、その費用に1500-2000ドルかかるという主張に取り合ってもらえませんでした。その後、柑橘類を扱う会社が構成する組合からの圧力で、ようやく、当時メルボルンで開かれていた万国博に派遣するという名目で昆虫学者A, Koebeleを派遣することができました。1888年のことです。

Koebeleはオーストラリアに着いて2か月後に、Cryptochetum iceryaeというカイガラヤドリバエ科のハエ、クサカゲロウの幼虫、それにベダリアテントウの幼虫の3種の天敵がいると報告しました。そして、翌月にはハエ12000匹、それから3回に分けてベダリアテントウ129匹がカリフォルニアに送られました。カリフォルニアでは待機していた昆虫学者D. W. Coquilletがベダリアテントウの飼育を始め、翌年の6月には10550匹にまで増やし、あちこちの果樹園に配りました。この利き目は驚くほどであっという間にカイガラムシは減少し、この年だけでもかなりの成果を上げました。この成果から、現在では、ベダリアテントウは全世界に配布されているようです。

天敵として有用なのは、1)多化性、2)獲物の対象が限られている、3)成虫が長命、4)獲物をすばやく見つけられるなどで、そのほかにも、速く分散する、個体数増加が速いなどの特徴が求められています。ベダリアテントウは温暖地では年12化、涼しい海岸地域でも年8化で、一度に150-190個の卵を産み、幼虫は貪食性であるなど、天敵としては優れた能力を発揮しています。唯一、弱点としては寒冷地に生息しないことなのですが、同時に移入されたハエが主に寒冷地で効果的で、そういう意味では相補的であったということができます。もっとも、共存地域では競合があるみたいですが・・・。その後は、アザミウマを退治するための農薬が撒かれ、ベダリアテントウが減少すると、再び、カイガラムシが増加したりという変化を繰り返しているようです。

アメリカではこのベダリアプロジェクトをわずか1500ドルで達成した歴史的成果だと誇りに思っているようです。もっともその後もいろいろなテントウが移入されましたが、そのうち10%程度は定着し、生態系に影響を及ぼしていることも事実のようです。日本でのベダリアテントウの移入については調べていませんが、今では本州から南西諸島まで定着しているようです。今回はベダリアテントウで面白い話に出会えました。

家の近くのむし探検 カメムシほか

家の近くのむし探検 第338弾

10月5日に家の近くの国道沿いの茂みで探した虫です。この日はこの後、付近の散歩も行ったのですが、その時に見た花と虫はもうすでに出してしまいました。したがって、その残りになるのですが、名前が分かりそうにない虫ばかりだったので、ついついのびのびになってしまいました。



この日はカメムシの幼虫をたくさん見ました。カメムシ科の幼虫の齢の見方については以前、書いたことがあります。なかなかその思い通りには行かないのですが、これは前翅包がなく、後胸背板が中胸背板より狭そうなので、3齢だろうと思います。幼虫の名前はなかなか分からないのですが、「図説カメムシの卵と幼虫」の図と見比べていつものチャバネアオカメムシではないかと思いました。







これはわずかに前翅包ができているようです。ということで、たぶん、4齢かなと思います。



そして、これは5齢幼虫。これらもチャバネアオカメムシではないかと思うのですが、自信はありません。



そのチャバネアオカメムシの成虫もいました。



これは国道沿いで見たわけでなく、出かけにマンションの廊下で見たエサキモンキツノカメムシです。



それからアオバハゴロモ



後は名前の分からないものばかりです。これはキノコバエの仲間?



ヤドリバエの仲間?



それにガガンボの仲間。





こちらはいつも見る常連です。上がヤマギシモリノキモグリバエだと思っている個体、下はチャバネヒメクロバエだと思っている個体です。下は以前に一応はイエバエ科の種の検索をしたのですが、写真に残していなくてやや怪しいです。



後はなんだか分からないアリ。脚の基部が白いので何となく写しました。でも、ピンボケ。



ヒメクダマキモドキだと思っている幼虫なのですが、何とか翅脈のRs脈が分からないかなと思ってこの間から撮っています。成虫ではこれが分岐していたらサト、していなかったらヒメだったので・・・。でも、よく分かりません。





ケヤキの葉についていたシャチホコガの幼虫、まだいました。恐竜の時代に生まれてきたような格好ですね。



最後はこのオニグモ。これは分かるだろうと思って撮ってきたのですが、「日本のクモ」を見ても該当するのが見つかりません。幼体なのかなぁ。(追記2017/12/06:野虫の会さんから、「不明オニグモはコゲチャオニグモではないかと思いました。これからも更新を楽しみにしております。 」というコメントをいただきました。クモの名前はなかなか分からないので、助かりました。これからもよろしくお願いいたします

植物を調べる オオオナモミの実

以前から、ひっつき虫を顕微鏡で観察し、どうしてくっつくのか調べていたのですが、ついでだからもう少し調べてみようと思って、今回はオオオナモミの実を調べてみました。これまでに調べたのは、イノコズチコセンダングサアレチヌスビトハギキンミズヒキ。これで5種類目です。



調べたのは10月5日に河原で見つけたこのオオオナモミです。初め、オナモミとばかり思っていたのですが、実は、オナモミは今やほとんど見られなくなっているらしく、普通に見られるのはオオオナモミという北米原産の帰化植物か、やはり帰化植物のイガオナモミだそうです。「日本の野生植物」では実の大きさが刺の部分も含めて20mm以上ならオオオナモミ、18mm以下ならオナモミという検索表が載っていたのですが、こちらのサイトにはもっと詳しい図入り検索表が載っていました。



種を包んでいるのが果苞、先端が嘴、全体に飛び出しているのを刺というようです。根元をハサミで切ったので切断されていますが、嘴の先端から根元までは19.4mm。たぶん、根元付近の刺が残っていたら、20mmくらいにはなったのではと思います。嘴も長いし、たぶん、オオオナモミで間違いないのではと思いました。

上の写真でも刺の先端が鉤状に曲がっているのが十分に分かるのですが、趣味的に顕微鏡で撮影してみました。



斜め上からの撮影です。なんだか不思議な国の森の中にいる感じです。



そして、これは横からです。



刺一本だけを拡大してみました。いつもそう思うのですが、実に素晴らしい造形美です。



ところで、嘴の根元でひょろひょろしているのは何でしょう。これについては「日本の野生植物」に説明がありました。雌花は、「かぎ状の刺を密生し先に2嘴があり、内は2室となる。花冠はない。花柱の枝は嘴から出て、糸状で扁平、先は細くとがる」とのことです。つまり、これは花柱みたいです。



実を剃刀で切断してみると、内部には確かに種が二つ入っていました。



これは嘴の先端を拡大したものです。オオオナモミのくっつく仕組みは簡単ですが、それにしても刺や嘴の先端の曲がり方はまったく芸術的です。

家の近くのむし探検 花、虫など

家の近くのむし探検 第337弾

最近は虫が少なくなってきたので、いつもの国道沿いの茂みでの虫探しだけでなく、周辺をずっと歩いてから帰っています。10月5日にも周辺を歩きました。その時も見た花と虫です。



まず初めはこのセンニンソウの実に気が付きました。本当に不思議な形をしていますね。





畑の脇に咲いていた雑草です。「日本帰化植物写真図鑑」を見ると載っていました。ホソバヒメミソハギというミソハギ科の植物みたいです。熱帯アメリカ原産だそうです。





これは川の土手に咲いていました。上の図鑑を見ると、シロバナセンダングサとか、シロノセンダングサ、コシロノセンダングサとも言われ、コセンダングサの変種だそうです。





こんな赤い豆もありました。タンキリマメというようです。





畑にはこんな実のなった木が植えられていました。どこかで見た実だなぁと思っていたら、名札がついていました。オリーブのピッチョリーネという品種だそうです。ネットで調べてみると、南フランス原産でカクテルオリーブとして用いられているとのことです。カクテルについては詳しくないのですが、これもネットで見てみると、オリーブの入ったカクテルはマティーニなんかがあるようです。



これも河原で見つけました。ひっつき虫を探していたので、オナモミだぁと思って早速採集しました。「日本の野生植物III」を見ると、オナモミによく似たオオオナモミというメキシコ原産の外来種もあるようです。検索表も載っていました。

いがはかぎ状の刺や嘴を含めて長さ9-18mm、幅6-12mm  オナモミ
いがはかぎ状の刺や嘴を含めて長さ20-25mm、幅10-12mm オオオナモミ

測ってみると、長さ20mm、幅12mm程度です。オオオナモミの方かもしれません。今度、もう少し詳しく調べてみたいなと思いました。







後は虫です。これはヒメハラナガツチバチ



これはジガバチですが、「日本産有剣ハチ類図鑑」によるとややこしいことになっていました。ヤマジガバチとサトジガバチがあるようです。検索表も載っているのですが、この写真ではちょっと判断できません。でも、ヤマジガバチは本州中部では標高300m以上の内陸部というので、たぶん、サトジガバチの方かもしれません。そう思って、今日は散歩のときに探してみたのですが、探すと見つかりませんね。





最後はツチイナゴです。やはり歩いていると、花は目につくのですが、虫はほとんど見つかりませんね。国道脇での虫探しの結果は次回に回します。

家の近くのむし探検 クモとかカメムシとか毛虫とか

家の近くのむし探検 第336弾

10月4日にいつもの国道脇の茂みで探した虫です。10月に入って虫が少なくなったとはいえ、それでもそこそこ見ることができました。



着いてすぐに見つけたのはこのクモでした。たくさんいるので、いつもは無視しているのですが、この日は虫が少ないかもと思って最初に撮っておきました。「日本のクモ」を見ると、腹部の模様からはネコハグモだと思われますが、ハグモ科のDictyna属には5種もいるというので何とも言えません。でも、ネコハグモにしておきます。



次はこの蛾です。模様がはっきりしないので期待薄ですが、「日本産蛾類標準図鑑III」を見ると、こんな模様の蛾がいました。ネマルハキバガ科のNeoblastobasis属の蛾です。可能性のあるのは、ウスイロ、ウスオビ、オオの3種ですが、説明を読んでもほとんど交尾器の説明ばかりなので、外観で決めるのは無理みたいです。



イエバエ科のチャバネヒメクロバエだと思っているハエです。この間からこんな格好であちこち止まっています。以前一匹採集したので、一度、きちんと調べなけりゃとは思っているのですが、なかなか進みません。



動き回っていたので、結局、こんな写真しか撮れませんでした。パッと見て以前も見たイシハラナガカメムシかなと思ったのですが、以前のと比較してみると本当かなと思うようになしました。



要所要所の模様を見ると、よく似ている感じもしますが、全体の印象はかなり違います。それで、ちょっとネットを探してみると、Natural History MuseumのData Potalという中にイシハラナガカメムシの属するPylorgus属の標本が載っていました。これは世界中の自然史博物館が所有する標本などのデータを共有しようという試みの様です。このPylorgus属の標本では、obscurusやsemicruciastusなどが似ている感じですが、細かいところを見ると、ちょっと違うような気もします。

それで、まず、イシハラナガカメムシについて調べてみようと思いました。「日本原色カメムシ図鑑第3巻」を見ても、第1巻にヤスマツナガカメムシだとして載せていた写真が実はイシハラだったと、かなり混乱があるみたいです。そこで、もう少しネットを探していたら、イシハラとヤスマツの記載論文が見つかりました。

T. Hidaka and R. J. Izzard, "Studies on the Lygaeidae XX. Two New Species of the Genus Pylorgus Stal, 1874, From Japan (Heteroptera)", Kontyu Tokyo 28, 131 (1960).  (ここからダウンロードできます)

この2種は明確に違いそうですが、検索表が載っていたので、とりあえず訳してみました。



colonはムラサキ、yasumatsuiはヤスマツ、ishiharaiはイシハラです。また、②で「(側板)」と書いたのは先ほどの図鑑を見て追加したものです。この検索表をたどっていくと、やはりイシハラナガカメムシには到達します。ただ、ちょっと気になるのは、今回の個体の前胸背後葉がかなり膨らんでいる点です。以前のと比べると違いが分かります。でも、写真がうまく撮れなかったし、採集もしなかったし、とりあえず、ここまでですね。(追記2017/11/19:通りすがりさんから、「Pylorgus属で唯一見たことの無いイシハラナガカメムシですが、合っていると思います。ヤスマツはシラカバの実で普通に見られるのですが、1枚だけ残っていた真上からに近いやや前方からのヤスマツの画像を見ると、前胸背の「後縁」が明らかに弧状になっています。前胸背後葉の膨らみですが、膨らんでいる方はオスの様なので、性差なのかも?」というコメントをいただきました。やはりイシハラでしょうか。確かに性差かもしれませんね。ただ、この辺り、情報が少なくてなかなか判断できません



この間から見ているカメムシの卵です。9月8日に穴が一つあいて一匹のハチがうろうろしていたのですが、その後は変化がなく、26日に行ったときにはほとんどの卵に穴が開いていました。この時に残った卵が3個。そのうち2個も10月4日は穴が開いていました。卵の蓋が綺麗に開いたものがないので、みな、卵寄生バチの仕業みたいです。



これはクサギカメムシの幼虫です。前翅包があって、後翅包がないので、たぶん、4齢幼虫みたいです。



クモを一つ忘れていました。ワキグロサツマノミダマシです。



後は、シベリアカタアリ



こちらはヒメクダマキモドキです。この間、検索表で調べたので、安心して呼べるようになりました。



ところで、幼虫となると、翅脈もはっきりしなくてまだよく分かりません。たぶん、ヒメクダマキモドキの幼虫かなと思うのですが、根拠はありません。



木の枝にこんな気持ちの悪いものがついていました。



茎をかじっているようです。家に戻ってから調べてみると、これが有名なシャチホコガの幼虫だったんですね。



近くでパチパチ撮っていたのが嫌だったらしく、向きを変えて動き始めました。



後ろの方のへりにもこんな模様がありました。何らかの威嚇のためだとは思うのですが、ここまですることはないんじゃないかと思われるような恰好でした。



ところで、この葉は何だろうと思って調べてみました(矢印が毛虫です)。保育社の「検索入門 樹木」を見ていくと、つる性でない→単葉→葉は裂けない→葉は互生→葉は鋸歯縁→落葉→円盤状の腺体がない→羽状脈→重鋸歯縁ではない→側脈はへりに達し、鋸歯に入る、となり一群のグループに達します。後は葉の形や鋸歯の形を比べて、エノキではないかと思いました。シャチホコガの食草にはエノキの含まれるニレ科も含まれているので、たぶん、大丈夫?(追記2017/10/09:立西さんから、「シャチホコガが食べている植物ですがエノキは3主脈なのでおそらく外れるかと思います。同じニレ科でもケヤキでしょうか。公園などにもよく植えられる樹で、名板が掛かっているものが見つかったりしたら比較してみてください。」というコメントをいただきました。メモにはケヤキと書いていたのですが、うっかりエノキと書いてしまいました。ご指摘どうも有難うございました





これも同じように葉の検索をしてみました。最後、常緑か落葉かで迷ったのですが、両方選んで、結局、ヒイラギナンテンに達しました。葉の検索も結構使えるかも。



最後はこの花です。この辺に咲く花は昨年調べてヨメナになったので、たぶん、それかなと思います。ということで、10月4日分を終わります。

雑談)昨日は植物の観察会があり、淀川の土手を歩きました。日差しが大変強い日で、しかも高齢者が多かったので、わずか、1時間半ほどで終わりました。それでも、帰化植物がかなりたくさん見られました。今度、このブログでも紹介します。でも、植物は慣れないので、虫以上に名前調べが大変で・・・。
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