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家の近くのむし探検 アミダテントウほか

家の近くのむし探検 第332弾

9月26日は、マンションの廊下をちょっと歩いた後、いつもの国道脇の茂みで虫を探しました。ここは車が横を通るので、そのたびに風が起きて撮影は大変なのですが、結構、虫が多くて楽しめます。





この日はこんな鮮やかなテントウを見つけました。「原色日本甲虫図鑑III」で見ると、アミダテントウとそっくりです。説明を読むと、「特異な斑紋は安定している」というので、たぶん、大丈夫でしょう。一応、採集したのですが、とりあえず文献で調べてみました。というのは、このテントウは学名でAmida tricolorというのですが、Amidaの由来を知りたくて・・・。

G. Yu, "Amida Lewis, with Description of a New Species (Coleoptera: Coccinellidae) from China", Zool. Studies 39, 23 (2000). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

まず、この論文に最近のAmida属の事情が載っていました。アミダテントウは1878年にHaroldが日本で見つけ、Scymnus (Nephus) tricolorと名付けたのですが、その後、1896年にLewisが山口と奈良で見つかった種を調べて、新属 Amidaと帰属したそうです。その後、この属にはずっとtricolor一種だけが記録されていたのですが、1982年頃からベトナムで9種、1979年に中国で3種、さらに、この論文で中国でもう1種が記録されました。したがって、この論文で見る限り、現在では14種ということになります。Amidaと命名したLewisの論文も読むことができました。

Lewis G., "On the Coccinellidae of Japan", Ann. Mag. Nat. Hist. 6, 22 (1896). (ここからダウンロードできます)

ここにはAmida属の特徴は載っているのですが、肝心のAmidaの由来は書かれていませんでした。あまり、考えずに、日本だから「阿弥陀」とつけたのではないかな。

T. Katoh et al., "Phylogeny of Epilachna, Henosepilachna, and Some Minor Genera of Phytophagous Ladybird Beetles (Coleoptera: Coccinellidae: Coccinellinae: Epilachnini), with an Analysis of Ancestral Biogeography and Host-Plant Utilization", Zool. Sci. 31, 820 (2014). (ここからダウンロードできます)

この論文には世界のEpilachninae亜科Epilachnini族のDNAを用いた系統樹解析がされていて、この中にAmida tricolorも入っていました。結果だけ見ると、アミダテントウはかなり原始的なテントウで、アカホシテントウ属とは姉妹関係になっているようです。いずれにしても、上の二つの論文で属の特徴が載っていて、Yuの論文にはtricolorを含んだ種の検索表が載っているので、一度、調べてみます。



残りの甲虫です。クモの巣の下にハムシダマシがいました。普通に動いていたので、別に捕まったというわけではなさそうです。



たぶん、ナミガタチビタマムシではないかと思っている虫です。



クロウリハムシはとにかくいっぱいいます。





ついでにカメムシも出しておきます。これはこの間から見ているフトハサミツノカメムシだと思います。



ホオズキカメムシ





チャバネアオカメムシ
も結構います。これの幼虫の体色変異と成虫の休眠が光周期で決まるという論文もいくつか見てみたのですが、新しい幼若ホルモンが見つかったという話とか、その構造とかで、それほど興味が湧かなかったのでそのままになっています。



ところで、この間見つけたカメムシらしい卵、えらいことになっていました。ほとんどの卵の蓋に穴が開いています。こんな感じで孵化するのかなぁと思って、ネットで探してみたら、「ムシをデザインしたのはダレ?」という非常に綺麗な写真を出しておられる方のブログに詳しく載っていました。卵殻破砕器(egg-burster)で蓋を開けて出てくるそうです。卵殻破砕器はいろいろな論文に載っているので、今度、実物を見たときに紹介します。いずれにしても、この場合、箱の蓋が開くように綺麗に蓋が開くようです。ネットで探してみても蓋が綺麗に開いた写真が多いので、たぶん、これはこの間見た寄生バチが出た後ではないかと思いました。残りは3つほどですが、これも怪しいですね。





この間まで綺麗に咲いていたイタドリがこんな種になっていました。季節の移り変わりは早いですね。



最後の写真はカラムシの花を撮ったつもりだったのですが、何が何だか分かりません。今度、もう一度見てきます。
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廊下のむし探検 蛾とハチ

廊下のむし探検 第941弾

9月26日に、また、近くの国道脇の茂みに行ってみました。でも、その前にちょっとだけマンションの廊下を歩いたら蛾が結構いたので、それも写しました。本業の「廊下のむし探検」をずっとしていなかったので、ちょっと分けて出しておきます。



まずはこの蛾からです。たぶん、ホシオビホソノメイガだと思います。





それから、ソトウスベニアツバです。この日は2匹いました。



写したときはいつものナシケンモンだと思ったのですが、写真を見るとどうも変です。「日本産蛾類標準図鑑」を見ると、ナシケンモンの特徴は真円形の環状紋と方形白紋で、どちらも違います。それで、図鑑を見直して、結局、マダラウスズミケンモンにしました。直観的に思ったナシケンモンよりは少し大きいのですけど・・・。





いつもの分かりにくいヒメシャクです。上はマエキヒメシャク、下はオオウスモンキヒメシャクとしたのですけど・・・。



こちらはクシヒゲマダラメイガではないかと思います。



それから、アヤホソコヤガ



この鱗粉の落ちた蛾で悩みました。翅の模様からはシロホシクロアツバとフタキボシアツバが候補に挙がりました。でも、この長い下唇鬚からはどうやらフタキボシアツバのようです。ついでに、「日本産蛾類大図鑑」の解説を見て確かめてみました。



上に書いたのは「大図鑑」の解説の一部です。触角の特徴はこの写真からは分からなかったのですが、その他の特徴はだいたい確かめられました。まずは下唇鬚の長さですが、この写真からは複眼の3.3倍になりました。ただ、下唇鬚は複眼の下あたりから出ているので、たぶん、解説にあるように4倍くらいにはなるのではと思いました。前翅の模様は書いてある通りでした。鱗粉が取れてかなり分かりにくいのですが、何とか特徴がつかめました。



次はこのツヤアオカメムシです。今、これが大発生しています。ここかしこの壁に止まっています。



最後は外の倉庫の裏側で黒いハチが20-30匹飛び回っていました。



止まったところを見てみると、こんなルリチュウレンジでした。飛び回っている下にはサツキツツジの植栽がありました。何をやっているのでしょう。とりあえず、これで止めておきます。

家の近くのむし探検 ハエ、カメムシ、その他

家の近くのむし探検 第331弾

9月21日に家の近くの道沿いて見つけた虫たちです。見た順に書いていきます。



ここは横を片道一車線の国道が走っているのですが、林の縁なので、道沿いに探していくと結構虫がいます。朝は日陰、午後からは陽が当たる、こんな環境がいいのかもしれません。いつものようにヤマギシモリノキモグリバエが葉に止まっていたので、撮ってやろうと思って、葉の縁を持って、カメラに近づけました。そうしたら、ひょいと私のバンドエイドを貼っている親指に止まってしまいました。意外に居心地がいいのか、じっとしているのでそのまま撮りました。



この間から見ているカメムシの卵です。まだ変化がありません。



これはチャバネアオカメムシです。最近よく見かけるのですが、一応、この日はこんな虫がいたという記録になるので、撮っておきました。



イタドリの花がこんなヒレのある種に変わっていました。その隙間から覗いているのはカメムシの幼虫です。なんだか分かりませんが、この間からチャバネアオカメムシの幼虫らしいのを見ているので、「図説カメムシの卵と幼虫」に載っている絵と比べてみました。チャバネアオカメムシの2齢とよく似ています。この本、もう十年以上も前に手に入れたのですが、まさか、こんなに役に立つとは思いませんでした。本はなんでも見つけたときに買っておくことですね。



なかなか特徴的なクモです。「日本のクモ」を見ていくと、色はかなり違うのですが、ヤエンオニグモ辺りに似ています。



これはワキグロサツマノミダマシだと思います。サツマノミダマシと区別できるように横から撮りました。



クサギカメムシの幼虫です。カメムシ科の幼虫の齢については以前まとめたことがあります。前翅包ができて、後翅包が見えないので、4齢幼虫でしょうか。





ヒメグモあたりのクモです。「日本のクモ」を読むと、キヒメグモはオレンジ色で、ヒメグモやコンピラヒメグモの幼体と間違えられることが多いとのことです。この仲間は色彩や模様の変異が多いようで、ネットを探すと次の論文を見つけました。

久保寺みか、池田博明、「キヒメグモ色彩多型」、Kishidaia 59, 1 (1989). (ここで読めます)

これは筆者が小田原城内高校生だったころ、夏休みに校内で見つけたキヒメグモを調べたという内容です。♀腹部背面の色と模様が暗色型から明色型まで7つ程度に分けられる多型が見られたそうです。実に多彩です。



アリグモの仲間についてはこの間、文一の「ハエトリグモハンドブック」に載っている♀の検索表を載せました。それによると、腹部に光沢があって、胸部が強く盛り上がらないということで、アリグモの光沢のある個体でよさそうです。





ここで国道を離れ、陽の当たっている土手に行ってみました。ここに小さな石垣があるのですが、そこを見ているとこんなハサミムシみたいな恰好の虫がせわしなく動き回っています。ネットで調べると、ジョウカイモドキ科の幼虫みたいです。「原色日本甲虫図鑑(I)」はめったに見ないのですが、幼虫を見るときは重宝します。そこを見ると、確かに、ジョウカイモドキ科の幼虫はよく似ています。ここにはヒメジョウカイモドキ Attalus japonicusとツマキアオジョウカイモドキ Malachius prolongatusの二種が載っていますが、比べると、どちらかと言えばヒメの方に似ている感じです。

M. Asano, "Early Instar Larvae of Intybia niponicus (Lewis) (Coleoptera, Malachiidae) and Comparison with a Clerid 1st Instar: The Foetomorphic Larva in Malachiidae, II", Jpn. J. syst. Ent. 19, 21 (2013).(ここからダウンロードできます)

こんな論文も見つけました。この論文は翅に赤い模様のあるIntybia属のうち、クロキオビジョウカイモドキの若齢幼虫を調べたという内容です。1齢、2齢だと腹部末端に突起がないのですが、3齢になると出てくるようです。ただ、属は違うのですが、上の図鑑の絵と比べると形態的な違いは微妙で、幼虫から種まではちょっと分かりそうにありません。





ミカドトックリバチが泥の団子を作っていました。



それにセスジヒメナガカメムシ。セスジの存在を教えていただいてから見ていると、セスジの方がはるかに多そうです。





キノコがあったので、一応、写しました。そういえば、昨年はキノコも少し見始めたのでしたね。でも、見方をすっかり忘れてしまいました。もう一度、勉強しなくちゃ。

家の近くのむし探検 蛾、バッタ

家の近くのむし探検 第330弾

9月21日に、例によって家の近くの国道沿いの茂みを探して見つけた虫です。



フィールドに行く前に、まずはマンションの廊下にいた蛾です。これはヨツモンマエジロアオシャク。アオシャクは綺麗でいいですね。

追記2017/09/29:tot*ro3*1*さんからコメントをいただいたので、アオシャクの緑色の色素について調べてみました。その結果、次の論文が見つかりました。

M. A. Cook et al., "The Chemistry and Systematic Importance of the Green Wing Pigment in Emerald Moths (Lepidopera: Geometridae, Geometrinae)", Biochm. System. Ecol. 22, 43 (1994).

筆者らはシャクガ科が膨大な一群になっているので、その分類のために使えないかと思って色素を調べているようです。アオシャクは英語ではEmerald Mothと呼ばれています。綺麗な名前がつけられていますね。とにかく、壊れやすい色素で、扱うのが大変なようです。生きているときは、色素はタンパク質と結びついて安定なのですが、標本にするとタンパク質が次第に劣化してきて、その結果、褪色していきます。筆者らはアオシャク亜科をはじめとして、緑、青、黄色をもつ多くの蛾について色素を調べました。アオシャクの緑の色素は光に弱く、酸に弱いという性質を持っています。それで、光が当たらないようにして、できるだけ短時間にTLC(薄層クロマトグラフィー)で展開してみたところ、ただ1種類の色素であることが分かりました。筆者らはこの色素にgeoverdinという名前を付けました。

この色素はクロロフィル(葉緑素)の誘導体らしく、また、酸塩基指示薬のような振る舞いをします。翅にまずアセトンをつけて表面を親水的にし、それから酸を垂らすと、緑が黄色に変色します。そこにアルカリを垂らすと再び緑に戻るのですが、すぐに褪色してしまったそうです。アオシャクの色はたいていこの色素がもとになっていて、中くらいの蛾の翅一枚から70μgも取れたそうです。ほかの科でも緑色の模様があるものには存在していました。色素自体は水に溶け、極性があり、紫と紫外部に吸収を持っています。筆者らはアオシャクが種によって、黄色になったり、緑になったり、灰色になったりするのはgeoverdinの量と場所が関係していると思っています。例えば、geoverdinの量が多くて鱗粉全面に分布していると黄色になり、逆に、量が少なく、鱗粉の先端だけに分布しているときは暗い緑になるという具合です。

この論文では
geoverdinの分子構造までは分からなかったのですが、の論文を引用した論文やgeoverdinについて触れている論文を検索しても、その後、色素を調べたという論文は見つかりませんでした。まだ、詳細は分かっていないのかもしれません



シロテンクチバとオオシロテンクチバという似た種がいます。「日本産蛾類標準図鑑II」の説明では、後者の特徴としては、地色が濃色、腎状紋は白ではなく灰黄色が挙げられているので、たぶん、これはオオシロテンクチバだと思われます。図鑑にはそのほかにも、「外縁に沿う白色点列がある」という特徴も違いの一つに挙げられていたのですが、オオシロテンだけでなく、シロテンにも白点列があるので、何を指しているのか分かりませんでした。



次はたぶん、プライヤエグリシャチホコ



これは窓の下に止まっていたので、ちょっと離れたところから撮りました。アカネシャチホコか、イシダシャチホコでだいぶ迷ったのですが、たぶん、イシダシャチホコの方だと思います。



これもヨツボシホソバか、マエグロホソバか、♀は同じ模様なのでよく分かりません。以前にも書いたのですが、両者は翅脈の違いで区別することができます。でも、こんな写真じゃ分からないだろうなと思ったのですが、試しに調べてみました。



意外に翅脈が見えました。M2脈があるのはヨツボシホソバ、ないのがマエグロホソバなので、これはヨツボシホソバ♀ということになります。



これからはフィールドです。たぶん、マエキヒメシャクでしょう。



これはホタルガです。最近、よく見かけますね。



これは特徴のある毛虫です。「原色日本蛾類幼虫図鑑」をぱらぱら見ていたら見つかりました。たぶん、ヨモギエダシャク





蛾ではないのですが、キバナコスモスに来ていたキアゲハです。





下はヒメクダマキモドキ、上もその幼虫だと思っているのですが、本当かな。



最後はオンブバッタ

虫を調べる ハグロハバチ

先日、家の近くの国道沿いの茂みで黒いハチを見つけました。



こんなハチです。いかにもハバチの仲間です。これは採集しておき、先日、各部の名称をつけてみました。今日はその続きで検索をしてみたいと思います。

検索には、「絵解きで調べる昆虫」の中に載っている、内藤親彦、吉田浩史、「ハバチ・キバチ類(ハチ目広腰亜目)の絵解き検索」を用いました。その結果、ハグロハバチ属になったのですが、さらに、「大阪府のハバチ・キバチ類」に載っている種の検索表で検索した結果、ハグロハバチ Allantus luctiferになりました。その過程を写真で確かめていこうと思います。



まずは科の検索です。これは腰が広いハバチ亜目についての科の検索です。全部で①から⑦の7項目ありますが、いつものように部位別に見ていきたいと思います。



まず、これは背側からの写真です。ここでは前胸背板の中心部分が狭く、中胸背板に横溝がなく、腹部末端に目立つような産卵管鞘(valvula3)がないことを確かめます。



これは頭部を前面から見たものです。まず、触角は複眼下端より上から出ています。さらに、頭盾を前額から分離する溝が見えています。



さらに、触角第3節が特別に長くはなっていません。また、全体では9節で糸状です。ということで、ハバチ科になりました。



次は亜科の検索です。ここでは⑧から⑬までの6項目を調べることになりますが、⑪を除いては翅脈に関するものです。



まず、⑧で基脈と肘脈がほぼ一点で交わっていることを見ます。これがもし離れているとハバチ亜科やシダハバチ亜科になります。次に⑨で径横脈があることを確認します。これがないとヒゲナガハバチ亜科です。次に第1、2反上脈が異なった肘室に交わっています。これもヒゲナガハバチ亜科を除外する項目です。次は⑫で、基脈がほぼ直線状で第1反上脈とほぼ平行になっていることです。これが異なると、ハムグリハバチ亜科などになります。最後は肛室は完全に閉じていることを見ます。この基部が翅室になっていないとマルハバチ亜科になります。



次は先ほども出た写真で、触角は全9節以上であることは確かです。ということで、ハグロハバチ亜科になりました。



次は属と種の検索です。これには⑭から⑳までの7項目を確かめることになります。



まずは先ほどから何度も登場している触角の写真で、触角は全部で9節からできています。



次は大顎が左右で形の異なることを見ます。これはなんだか不思議な感じですね。ハグロハバチ亜科の大顎には左右対称のものも非対称のものもいるようです。



次は翅脈です。⑯は閉じた肘室が2室であることを確かめます。⑰は後翅に関してです。中室は通常M脈で囲まれる翅室ですが、後翅に関してはどこを指すのかよく分かりませんでした。本の絵を参考にすると、⑰で示した部分に閉じた室があるかどうかを問うているようです。これにはありません。⑲と⑳は翅の色に関するもので、共にOKです。



触角の長さは正確には測っていませんが、見るからに腹部よりは短いと思われます。⑳は♀についての項目ですが、腹部第1背板の両側に白い部分があるという内容です(矢印で示した部分)。ということで、すべての項目が確かめられたので、たぶん、ハグロハバチで間違いないと思われます。

検索の項目が20もあると、すぐにやる気がなくなってしまいそうですが、検索表に載っている部位を地道に調べ、一つ一つの項目をじっくりと確かめていくと意外に簡単に検索をすることができます。その過程で、いろいろと変わった構造にもお目にかかることができ、結構、楽しめます。

家の近くのむし探検 蛾とハチ・ハエ

家の近くのむし探検 第329弾

9月18日の写真整理がやっと終わりました。蛾とハチ、ハエが残っていたのですが、どれもこれも難しい。



まずはこの蛾からです。これの名前調べにずいぶん時間がかかってしまいました。撮っているときはコメシマメイガだろうと思ったのですが、図鑑と比べるとどうも模様が違います。何度か図鑑を見直したのですが、該当する種が見つかりません。結局のところ、コメシマメイガの個体変異かなと思っています。違っているかもしれませんが・・・。(追記2017/09/26:通りすがりさんから、「1枚目はハイマダラノメイガのボケた個体に見えますね。」というコメントをいただきました。図鑑をだいぶ何度も見たのですが・・・。記録を見ると、ハイマダラノメイガは以前は何度も見ていたのですが、最近はまったく見ていなくて、それで見過ごしてしまったのかもしれません。ご指摘どうも有難うございました





これも時間がかかってしまった蛾です。中途半端な高さの葉に止まったので、上からは簡単に撮れたのですが、模様を撮るのが大変でした。葉の下に回り込んで撮ったのですが、何度撮ってもピンボケ。これが一番ましな方でした。図鑑で見ていて、触角が短いところや翅の模様はヒメハマキ亜科のParapammeneのコスジオビキヒメハマキあたりが似ている感じです。分布は北海道、本州にはなっていたのですが、よくは分かりません。



これはミツボシキバガの仲間であることは確かですが、ヒロバ、-、ヒマラヤスギ、エンジュの4種は似ていて違いがよく分かりません。



これはウスキクロテンか、マエキか。一応、マエキヒメシャクにしておきます。





こんなエダシャクが2匹いました。これはもっとも厄介なマダラエダシャクの仲間です。一応、矢印の部分に黒い環があるので、ヒメ、ヘリグロ、クロ、ヒトスジのどれかにはなるのですが、そこから先が分かりません。



これも分かりにくいホソバの仲間です。前縁が黄色く縁取られているので、キシタホソバかなと思ったのですが、よく分かりません。どうしてこうも難しい蛾ばかりいるのでしょうね。



次はこのアシブトコバチの仲間です。9月10日にも同じ種を見ていて、そのときはBrachymeria属かもとしていたのですが、どうも小盾板の先端の突起(矢印)が鋭くて長いのが気になりました。また、体長と前翅長を測ってみると、体長3mm、前翅長2.4mmと「原色昆虫大図鑑III」に載っているBrachymeria属と比較するとかなり小さいところも気になります。

A. Habu, "A Revision of the Chalcididae (Hymenoptera) of Japan, with Descriptions of Siteen New Species", Bull. Nat. Inst. Agricult. Sci. C 11, 131 (1960). (ここからダウンロードできます)

そこで、アシブトコバチ科について詳しく書かれた、上の論文をこの点に気をつけてぱらぱら見ていたら、似ている種を見つけました。今度はムネゲアシブトコバチ Haltichella nipponensisです。論文に載っている絵では確かに小盾板の突起は細長く突き出ています。この名前で検索すると、農業環境技術研究所が所蔵しているタイプ標本が引っかかりました。これと比べると、前胸背板後縁と中胸盾板後縁に生えている毛もよく似ています。たぶん、これかなと思ったのですが、先日はどこで間違ったのだろうと思って調べ直してみました。



どうやら触角の生えている位置を見間違ったみたいです。この写真では複眼の間から触角が生えているように見えます。



でも、実は、こんな風に柄節が折れ曲がっていて、それがぴったり顔面にくっついていたのでした。それで、触角の節の番号をつけると上のように2節から始まることになります。これで触角の生えている場所を間違ったみたいです。複眼下縁より上に生えていたらBrachymeriinae亜科、下縁より下だったらHaltichellinae亜科だったのです。候補ができたので、早速、検索してみようと思って、今日は採集に行きました。1時間半ほど頑張ったのですが、9月10日と18日に見ていたのにも関わらず、見つかりませんでした。いつも探すと見つかりませんね。でも、アシブトコバチ科は手掛かりが見つかったので、今後は採集して調べてみたいと思います。





ハチはいろいろといるのですが、採集しないと科も分かりません。



葉の上にこんな風にアリが集まっている姿をよく見かけます。なんか汁が出ているようですね。これはアミメアリです。



これはヤマギシモリノキモグリバエかな。



これはヤドリバエの仲間でしょうね。ヤドリバエはこれ以上調べる手掛かりはいまのところありません。これで18日分の写真整理が全部終わりました。ふー。

家の近くのむし探検 甲虫

家の近くのむし探検 第328弾

9月18日に家の近くの国道沿いで見つけた虫の続きです。



まずはマンションの廊下で見つけた甲虫です。ゴミムシダマシ科であることは確かそうですが、それ以上はよく分かりません。「原色日本甲虫図鑑III」を見ると、コマルキマワリあたりが似ている感じですが、どう確かめていったらよいか分かりません。



こちらはサビマダラオオホソカタムシではないかと思います。





国道脇の茂みを見てみました。こんなチビタマムシが3匹見られました。たぶん、ナミガタチビタマムシ



それとクロウリハムシ。これはたくさんいました。



さて、これはサンゴジュハムシみたいです。



これはニレハムシだと思います。



問題はこのハムシです。撮った時はサンゴジュハムシだろうと思ったのですが、触角がやや太い感じで、さらに、中胸背板中央の黒色紋が前縁に届いていないようです。ひょっとして違うのかな。採集すればよかった・・・。

家の近くのむし探検 カメムシ

家の近くのむし探検 第327弾

最近は虫の検索やカメラをいじっている時間が長く、以前撮った虫の名前調べがなかなか進みません。まだ、9月18日分の整理をしています。この日は家の近くの国道沿いで虫を探したのですが、今回はそのうちのカメムシです。







キボシマルウンカです。テントウムシに似ていますが、目がまん丸くて愛嬌があります。それで、ついつい撮影してしまいます。この日は3匹も見ました。過去の記録を見てみると、8月末から10月中旬にかけて見ていました。ちょうど今頃が最盛期かもしれませんね。



それにアミガサハゴロモ。如何にも地味ですね。



こちらはアオバハゴロモです。そういえば、アオバハゴロモで、面白い風景を見かけました。



アオバハゴロモが止まっていたのですが、葉の裏側からアワダチソウグンバイが上がってきたところです。そうしたら、突然にアオバハゴロモがぶるっと翅を震わせました。



びっくりしたのか、グンバイムシは葉裏に逃げ込みました。しばらくして、また、這い上がろうとすると、またまたぶるっとさせます。しばらく見ていたのですが、こんなにらみ合いの状況が変わらないので、その場を去ったのですが、この写真を見ると、あのアオバハゴロモの小さな目で、グンバイムシの動きが分かるのかなぁと思ってしまいました。



こちらはオサヨコバイ





この間見つけたカメムシの卵、まだ健在でした。というか、変わりがないみたいです。卵の周りの突起は受精孔突起 micropylar projectionというのでしたね。この間、その役目を調べて情報が得られなかったのですが、その後も調べていません。でも、気になりますね。



こちらはクサギカメムシ



そして、これはクサギカメムシ5齢幼虫。幼虫と言えど、立派ですね。





これはチャバネアオカメムシ



で、最後はカメムシの幼虫。どこかで見たなと思ったら、3年ほど前にチャバネアオカメムシの5齢幼虫としていたものとよく似た色あいです。でも、この間、チャバネアオカメムシ3齢幼虫とした個体とはまったく色が違います。「図説 カメムシの卵と幼虫」という本には、文献を引用して、「体色には個体変異があり、主として頭部と胸部における黒斑量によって、暗色型が3型に、中間型と淡色型がそれぞれ2型に分けられる」とありました。同様の内容は次の論文にも載っていました。

小田道宏、中西喜徳、「果樹を加害するカメムシ類の成体に関する調査(第5報)チャバネアオカメムシ越冬後成虫の食餌植物における発生」、奈良県農業試験場研究報告 14, 71 (1983). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

この論文では、黒色型1型、中間型と淡緑色型が各2型に分けていました。いずれにしても5齢に関してです。この写真の個体は雰囲気的には4齢、ひょっとしたら3齢かもしれませんが、上の本には、3齢に関して、「体の色彩や色斑には個体変異がある」と書かれていました。これはやはり個体変異なのかもしれません。チャバネアオカメムシについては光周期の変化が5齢幼虫の色を変化させるとか、成虫の越冬型でも色彩変異があるとか、面白い話がいろいろと出ていました。

コンデジで大きさの測定

先日、コンデジにクローズアップレンズを取り付けたときに接写ができる仕組みを考えました。このとき、実験でも確めたのですが、その方法を簡単に書くと次のようになります。

1.クローズアップレンズを取り外した状態で、ズーム最大、オートフォーカスで遠くに置いてあるスケールを撮影します。この時、撮影距離も測定します。
2.この状態のままマニュアルフォーカスに切り替えます。さらに、クローズアップレンズを取り付けてスケールを撮影します。この時も撮影距離を測定します。
3.1で測った距離と倍率、2で測った距離と倍率を求めます。
4.距離を変えてもう一度1からやり直します。

この実験結果を使ってクローズアップレンズの仕組みを考えたのですが、この時の結果を使うと、コンデジでも大きさや距離が測れるのではと気が付きました。それで、今日、早速試してみました。コンデジの種類によってはExif情報で距離を出るものもあるようですが、私の使っているPanasonic DMC-FZ150では焦点距離しか表示されません。しかも、この焦点距離はズームで決まっているもので、先日測定したように撮影距離で焦点距離の変化する内焦式のレンズではまったく意味のない数字になっています。

今回の方法は、対象を撮影した後、マニュアルフォーカスに切り替え、その状態でクローズアップレンズを取り付けて、スケールを撮影し、後で倍率を計算します。ちょっと面倒くさいのですが、ズーム最大の条件では、クローズアップレンズをつけたときとつけないときの倍率の関係はすでに求められているので、その関係を使うと、つけないときの倍率は計算で求まるということになっています。さらに、この時の倍率は撮影距離とも関係しているので、この情報から撮影距離も求まります。



試しにやってみました。スケールを撮影してもよいのですが、予備的な実験だったので、こんな蝶を紙に印刷して、段ボール箱に貼り付けて撮影しました(蝶にはフリーのイラストを使っています)。翅の両端間の距離は26mm、52mm、109mmのものを印刷し、それぞれをI、II、IIIとしました。これを遠方から撮影した後(この写真は約2mくらい離れて写したものです)、マニュアルフォーカスに切り替え、クローズアップレンズを取り付けてスケールを撮影しました。



これがクローズアップレンズを取り付けて、焦点位置を変えないでスケールを撮影したものです。この写真から倍率を計算します。



先日測定した、クローズアップレンズを入れた場合と入れない場合の倍率の関係をプロットしたものがこの図です。これは撮影距離1.1mから7mまでの8点で撮ったデータですが、これらを2次曲線で近似しました。



これはクローズアップレンズをつけて測った時の倍率とつけなかった時の撮影距離との関係をプロットしたものです。こちらは4次曲線で近似しました。先ほど得られたクローズアップレンズを取り付けて求めた倍率mからこの両方の情報が得られます。



これはカメラで測定したものと実際の大きさを比べたものです。I、II、IIIはそれぞれ大きさの違う蝶を表しています。カメラで測定すると若干小さめに出たのですが、雰囲気はなかなかよさそうです。



今日は予備実験のつもりで、撮影距離は適当にして撮影したのですが、カメラの倍率から求めたものと比べてみると、やや大きめに出てしまいました。やはり距離を正確に測る必要がありますね。

今回の方法は、撮影のたびにクローズアップレンズをはめてスケールの撮影をしないといけないという面倒臭さはあるのですが、この面倒臭さを乗り越えると対象の大きさと距離の両方が分かるという利点があり、方法としてはなかなか面白いかなと思っています。変換の曲線とデータ点の密度から見ると、大きさについては遠くの対象になればなるほど不正確さが増していく感じですが、距離については逆に遠くでも意外に正確に求まるのかなと思っています。今度、距離を正確に測って検討してみたいと思っています。

虫を調べる ハグロハバチの各部の名称

ブログにはまだ出していないのですが、9月21日に家の近くの国道沿いの林でハバチの仲間を見つけました。



こんな黒っぽいハチです。一応、写真を撮ってから、採集しました。検索の結果はハバチ科ハグロハバチ亜科のハグロハバチ Allantus luctiferになりました。検索をするときにいつも苦労するのは検索表に出てくる各部の名称を調べることです。たいてい、これが普通の図鑑には載っていません。それで、「原色日本昆虫大図鑑」を見ることになります。ところが、ハエは詳しく載っているのですが、ほかの虫は簡単な図が載っているだけで詳しくは分かりません。仕方なく、外国の図書や論文を探すのですが、検索表や解説は載っていても、図を載せているのは極めて少ないのが現状です。翅脈などは人によって呼び方が異なるのに、なぜか図がありません。

今回はそれほど詳しく調べなくてもよかったのですが、いろいろな個所の顕微鏡写真を撮ったので、ついでに名称を調べようと思って、かなり苦労しました。結局、次の2つの本を参考にしました。

H. Goulet, "The Genera and Subgenera of the Sawfliew of Canada and Alaska, Hymenoptera: Symphyta", The Insects and Arachnids of Canada, Part 20, Res. Branch, Agriculture Canada (1992). (ここからダウンロードできます)
日本環境動物昆虫学会編、「絵解きで調べる昆虫」、文教出版 (2013). (こちらで注文すれば購入できます)

だいぶ違っているところもあるのではないかと思いますが、一応、まとめてみました。



まずは上からです。胸部は前胸、中胸、後胸に分かれています。各部の詳細は後で載せます。腹部の背板は全部で10節に分かれるようですが、最後の9節と10節は分かりにくいです。なお、背板に"t"をつけているのは英語のtergumの略です。



次は腹側からです。頭部については後で載せますが、触角、大顎、小顎肢などが見えています。後脚について各部の名称を入れました。腹部は背板とは別に腹板がありますが、これには"s"をつけておきました。英語のsternumの略です。



次は横からです。これは♀なので、腹部末端に産卵管に付属する構造が見えます。実は、名前を付けるときにここが一番難しく、結局、上に書いたカナダの本を参考にしましたが、合っているかどうかよく分かりません。



胸部の拡大です。これには上の二つの本を参考にしてみました。大体は大丈夫だと思うのですが、中胸後背板、後胸小盾板、後胸後背板あたりがやや怪しいです。ハチは腹部第1節と後胸が合体した前伸腹節があるものとばかり思っていたので、そこでも迷ってしまいました。どうやら前伸腹節は細腰亜目だけにあるみたいで、広腰亜目では普通通り、後胸と腹部第1節は別になっているようです。

ここで気になるのは白い粒です。これは背粒 Cenchrusといって、ハバチに特有の構造のようです。これについて書いてある論文は数少ないのですが、次の論文にやや詳しく載っていました。

A. Schrott, "Comparative Morphology and Ultrastructure of the Cenchrus-Spine Field Apparatus in Sawflies s.l.", Ber. nat.-med. Verein Innsbruck 73, S.159 (1986). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

この論文、タイトルと要旨だけは英語なのですが、本文はドイツ語です。ドイツ語も読めなくはないのですが、時間がかかるので、とりあえず要旨と図だけを見ました。それで、ちょっと勘違いしているところがあるかもしれません。要は、この背粒の役割は静止時に翅を固定するためのものだということです。そのために、背粒の表面は細かい鱗みたいな突起がいっぱい出ていて、それとほぼピッチが合うように、上翅の肛脈辺りに細かい刺がいっぱい生えているそうです。この棘が鱗と鱗の間に入り、それで、翅を横向きの力に対して固定するようになっているみたいです。写真を撮ったこのハチは展翅をしてしまったので、高倍率の顕微鏡写真が撮れないのですが、今度、採集したときに調べてみたいと思っています。



次は翅脈です。ハチの翅脈には独特の呼び方があって、検索表ではその名称を用いているのが多いのですが、ここでは上のカナダの本を参考にしてつけました。気になったのは上翅のRs+Mとその向かいにある1rと書いた部分です。この間には本来翅脈があって、Rs脈はその翅脈で向い側の1rとRsの間につながり、その後、翅縁まで至るのですが、これはその翅脈が退化したとして、こんな風に書いておきました。違っているかもしれません。



次は頭部です。大きな大顎が見えていますが、実は左右非対称です。これは検索では重要な項目になります。



最後は腹部末端です。ここが一番苦労しました。というのはどこにも詳しく載っていないからです。仕方なく、カナダの本を参考にして書けるところだけ書いたのですが、まだ分からない部分がたくさんあります。怪しいのは担弁節のあたりです。

ということで、各部の名称で分かったところだけを書き込みました。ついでに、「大阪府のハバチ・キバチ類」のハグロハバチの解説のなかには白色になる部分が列挙されています。それを上の写真を使って調べていきたいと思います。



これは♀についてですが、白色になる部分を㋐から㋘まで記号をつけました。



ここでは腹部第1節背板両端と後脚脛節の白い部分が分かります。



この写真では腹部背板と腹板の白い部分が分かります。若干、注釈が必要なのですが、この本では第3・4背板両側後縁と腹板後縁が白くなると書かれています。でも、数えてみると、第4・5背板と腹板になります。「大図鑑」の解説にもそのように書かれているので、たぶん、「大阪府のハバチ・キバチ類」の解説はミスプリではないかと思いました。また、後脚の転節㋕はほぼ全面的に白いのですが、本では先半と書かれていました。このあたりは個体変異があるのかもしれません。



これは横からですが、白色部分は書いてある内容とほぼ一致していました。



最後は縁紋基部です。

ということで、書かれている内容は一部違っていたのですが、それを除くとほぼ確認することができました。次回は検索の過程について書くつもりです。

家の近くのむし探検 バッタ、クモほか

家の近くのむし探検 第326弾

9月18日に家の近くの国道沿いの茂みで探した虫です。公園で探すより、こちらで探す方が虫が多いので、最近はもっぱらこちらで探しています。数十メートルくらいの半日陰の茂みがあって、イタドリが結構花を咲かせています。この日も数十種ほど見られたのですが、なかなか名前が分からなくて苦しんでいます。とりあえず、バッタ、クモあたりから。







この日はこんなバッタがいました。たぶん、ウスグモスズだと思います。上が♀、下が♂みたいですね。マンションでは長翅型が多いのですが、ここでは短翅型ですね。外来種なのですが、日本でしか見つかっていないという面白い話を以前書いたことがありました。





これはヒメクダマキモドキです。フラッシュをたいて接写で撮っていると、このくらいの大きさの虫はいつも画面いっぱいになってしまいます。







幼虫もいろいろな段階のものが見られました。





これはサトクダマキモドキだろうと思っている種です。これも、画面いっぱいになってしまい、うまく撮れません。これ以上離れるとフラッシュの光が届かなくなって暗くなってしまうし、近づくと画面からはみ出します。



これはオカメコオロギの仲間だと思います。



これはササキリだと思います。マンションの廊下ではホシササキリが多いのですが、ここではほとんどササキリの方ですね。



バッタ以外の虫で、カゲロウです。「フライフィッシャーのための水生昆虫う小宇宙 Part I」に載っているシロタニガワカゲロウ♀とそっくりです。それで、いつもそう言っているのですが、ちゃんと確かめたことはありません。



腹部前端両肩に黒い点があるとチュウガタシロカネグモかなと思っていたら、「日本のクモ」によると、この部分が突出あるいは瘤状に盛り上がるということです。これは盛り上がっていないので、ひょっとしたらオオシロカネグモかもしれません。



これはそこを拡大したものです。刺激すると褐色の3条の帯が太くなり変化すると以前教えていただき、試したことがありました。その時の写真を探してみたのですが、見つかりませんでした。もう一度、試してみないといけませんね。



これはワキグロサツマノミダマシかなと思っています。



クサグモ、コクサグモという似た種がいるのですが、頭胸部の黒い帯に白い線が一本見えるので、コクサグモの方ではないかと思いました。



ちっちゃなカタツムリもいました。殻が2巻きしかありません。「カタツムリハンドブック」によると、成熟すると5巻きにもなるということです。まだまだ先が長いですね。



最後はイタドリの花です。花から何本も雄蕊らしいものが出ているのですが、花粉が見えません。



探してみたら、こんな花粉がついている花もありました。花粉が取れやすいのでしょうね。甲虫、蛾、ハエ、ハチは名前の分からないのが多いので、もう少し調べてから出すことにします。

虫を調べる サンゴジュハムシ

今年は甲虫を調べてみようと思って、この間からハムシの勉強をしています。今日は先日、ガマズミ(?)の葉についていたハムシを調べてみました。





こんなハムシです。この日は何匹もいたので、そのうち2匹を捕まえてきたのですが、その中の1匹で調べてみました。

検索表は次の本に載っているものを用いました。

木元 新作, 滝沢 春雄、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」(東海大学出版会、1994)

見た感じ、ニレハムシなどが属するヒゲナガハムシ亜科ケブカハムシ属 Pyrrhaltaは確かそうなので、亜科と属の検索は省略し、種の検索をしてみました。その結果はサンゴジュハムシになったのですが、それを写真で確かめていきたいと思います。



これがサンゴジュハムシに至る検索表の項目を抜粋したものです。全部で5つの項目を確かめればよいことになっています。(  )内は次の論文の中の英語の検索表を訳したものです。若干、異なる部分があったので、その部分を書き出しました。また、⑤の2つ目の( )は「原色日本甲虫図鑑IV」の種の解説に載っていたものです。これらについては後で触れることにします。

S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. VI Subfamily Galerucinae I", J. Fac. Agriculture, Kyushu Univ. 13, 287 (1964). (ここからダウンロードできます)



まずは全体像です。体長は7.2mmでした。これで②の条件はOKとなります。また、上翅には目立った点刻は見られないので、たぶん、③であっているのではと思いました。



ケブカハムシ属の検索では触角の節の長さが重要になります。検索表には末端節付近となっていますが、英語の論文では第5節から10節と指定されていたので、その部分の長さ/幅の比を取りました。その結果をこの写真に載せました。すべて3倍以上になっていました。したがって、①はOKだと思われます。



次は胸背に関するものです。②は小盾板が台形かどうかという項目ですが、見た感じは台形と呼びたくなる恰好をしています。また、⑤の前胸背板中央の黒色紋は前縁近くまで達しています。後者はサンゴジュハムシかどうかを判定する重要な手がかりになります。



次は上翅側片に関するものです。甲虫の上翅は縁が内側に折れ曲がっていますが、それを上翅側片と言っています。これが末端に行くに従ってだんだん狭くなるというのが④です。



これは拡大したものですが、末端に向かって徐々に狭くなり、矢印の部分辺りで側片の存在がはっきりしなくなっています。以上で、すべての項目を確認したことになるので、たぶん、サンゴジュハムシで合っているのだろうと思いました。



次は触角第3節と第2節の長さの比についてです。「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」の日本語の検索表では触れていませんが、Kimoto(1964)では、第3節は第2節の長さの2倍以上と書かれています。一方、「原色日本甲虫図鑑IV」によると、約1.5倍と書かれています。後2者はいずれもブチヒゲケブカハムシ P. annulicornisとの比較として載っています。ただし、数字は逆になっていました。実際に測ってみると、何とも言えないという状況です。上の写真でも分かりますが、第1節と第2節の境がはっきりしないのですが、たぶん、上の寸法に書いた方が正しい境の位置を示していると思います。そちらだとちょうど間ぐらいの1.84倍になります。また、第1節の黒い部分の縁で考えると、1.43倍になります。ブチヒゲケブカを見てみないとはっきりしたことは言えないのですが、あまりよい指標ではないような気がしました。それでなのか、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」にはこの項目は載っていなくて、前胸背中央の黒色紋が前縁近くに達するかどうかで決めることになっています。ネットで見ると、ブチヒゲケブカは後縁付近に黒色紋があるだけなので、その方が見やすいかもしれません。



この間、ジュンサイハムシの属の検索をしたときに、前胸背面前縁角の剛毛という項目が出てきました。今回も見てみると、確かに剛毛があります。ジュンサイハムシのときは2本だったのですが、この場合には1本みたいです。さらに、後縁角にも1本生えていました。あの時は猫の鬚みたいなもので、横幅を測るためのものではと思ったのですが、そうであったら、後縁角には要らないのではと思うようになり、よく分からなくなりました。



最後は腹部末端の写真です。ジュンサイハムシの属の検索をしたときには、「雄では腹部第5節の末端中央部が三角形に裁断される」ということが書かれていました。この写真は三角形とまではいかないのですが、同じような形に切れ込んでいるので、ひょっとしたら♂かなと思いました。

ヒゲナガハムシ亜科のハムシも何回か検索を試みたので、だいぶ慣れてきました。まだ、ニレハムシの♂♀を調べた写真が残っているので、今度まとめて出すことにします。

黒川の花と虫 V

9月14日に観察会の下見に川西市黒川にいきました。この日は最初、林の道と畑の畔を見に行き、その後、里山をざっと歩きました。この後半部分に見つけた虫です。



まずは苦手なヒメシャクです。これはたぶん、マエキヒメシャクかな。



これはササグモ



道の脇の崖にこんなハチがいました。エントツドロバチではないかな。



これはコウヤツリアブ





これはコカマキリ。そこそこ虫がいるので、何とか観察会はできそう。カマキリは人気があるし・・・。



こちらはミカドトックリバチかな。



こんなカメムシが出てくれば申し分ないですね。トホシカメムシ。「廊下のむし探検」、初登場です。





クズの葉の裏をめくってみると、こんなメダカナガカメムシがいっぱいいました。人に見せるにはちょっと小さいかな。



ホタルガはあちこちで見ました。





ヒガンバナが咲き始めていました。



それにこの間、ひっつき虫の仕組みを紹介したキンミズヒキ



それにオトコエシ。ついでに、コンデジにクローズアップレンズをつけて接写で写してみました。



まぁ、そこそこは撮れますね。焦点深度が問題ですが・・・。

9月になってから3度も下見をしたのですが、観察会の当日は台風18号が接近し、土砂降りになってしまいました。それでも10名以上の方が来られたので、公民館の部屋をお借りして、ひっつき虫の仕組みや下見の時に見た虫の紹介をしました。

コンデジで接写

鳥の撮影をしている知人のカメラが壊れたときに、高倍率ズームのコンデジが便利だと勧めました。知人はその勧めに従って、ニコンのコンデジを買われたのですが、近くの虫などを撮るときにはもう一台いるというので、何かいい方法はないかと思って調べてみることにしました。確かに、高倍率ズームで接写をしようとすると、カタログにも載っているようにズームを広角側いっぱいに設定して撮ることができます。ただし、レンズから1cmくらいまで近寄らないと撮れないので、たいていの虫は逃げていってしまいます。また、レンズの陰になって光が当たりにくくなるのも欠点です。

そのような場合、以前調べたように、クローズアップレンズをつけるというのが手なのですが、コンデジの場合、どうも思ったようにならないので、もう一度調べてみることにしたのです。

実験は次のような配置で行いました。



家の中で実験をしたので、こんながたがたした配置になっていました。カメラにはPanasonic DMC-FZ150を用いました。クローズアップレンズにはKenko AC Close-up No. 5 (f=200mm)を使いました。床に巻き尺を張り付け、倍率測定用のスケールを載せたダンボール箱を二つ用意しました。一つはスケールを段ボール箱に貼り付けて遠方に置きました(B)。もう一つはクローズアップレンズをつけた場合に用い、段ボール箱の上に小さなスケールを張り付け、ブックエンドにスケールを張り付けたものを動かして焦点を合わせました(A)。

実験は次の手順で行いました。

1.クローズアップレンズを外し、近くに置いたブックエンドを外し、遠方のスケールに合うようにオートフォーカスで焦点を合わして撮影します。この時、スケールの位置を記録します。距離はカメラのイメージセンサーからの距離にしておきます。
2.そのままの状態でマニュアルフォーカスに切り替え、クローズアップレンズを取り付けます。スケールのついたブックエンドを置いて、手で動かして焦点の合う位置に置き撮影します。この時、スケールの位置を記録します。
3.遠くに置いたスケール付きの段ボールの位置を変えて、1を繰り返します。

まず、クローズアップレンズのないときのデータを整理しました。撮影した写真から撮影倍率を計算します。こうして求めた倍率Mと、スケールとイメージセンサ―間の距離Lを使って次の式を用いて焦点距離とレンズの位置を求めます。



これは何枚かのレンズでできた複合レンズを一つの単レンズとみなしたときの、焦点距離とレンズの位置を表す式で、求め方については以前書きました。この式を用いて、撮影距離を変えて測定したデータをグラフにしてみると次のようになります。



撮影距離(イメージセンサーとスケールの間の距離)が短くになるにつれて焦点距離もレンズの位置も共に短くなっています。これは以前に測定した内焦式レンズの特徴でした。でも、実は、これが意外に思った点です。というのは、通常、近くのものを撮るにはレンズを前に繰り出さないといけないので、イメージセンサーとレンズの距離がだんだん離れると思っていたからです。このカメラの場合は、逆に、レンズの位置がイメージセンサーに近づき、その分、焦点距離が短くなっていることが分かりました。



つまり、絵で描くとこんな感じになっているのです。このデータを用いて、クローズアップレンズを入れた場合も考えてみます。



クローズアップレンズの仕組みについても以前書いたことがあります。まとめると、この図のようになります。クローズアップレンズで被写体の虚像を作り、その虚像をカメラレンズでイメージセンサー上に実像を作るというものです。虚像を作るためには、被写体の位置はクローズアップレンズの焦点距離以内におかないといけません。この様子もカメラ上で書いてみると、以下のようになります。



実際に、先ほどの測定から得られた倍率をグラフにしてみると次のようになります。



これはズーム最大で測定した例なのですが、クローズアップレンズをつけないと、せいぜい0.07倍だった倍率は200mmのクローズアップレンズをつけることで最大0.51倍まで上げることができました。この時面白いのは、焦点位置はできるだけ遠方になるようにした方が倍率があがることです。

実際に何倍の倍率なるのかを推測するには、意外に難しい計算をしなければいけません。



まず、このような2レンズ系での結像の問題を考えます。この問題は光線行列を使うと簡単に解くことができます。まず、光源P(中心線からx離れた場所にあり、正接tの方向に光が出るとしています)から出た光は、aだけ離れたところに置いたレンズf2で方向を曲げられ、dだけ進み、今度はf1レンズで曲げられて、bだけ離れたQ点に到着するとします。この時、Q点は中心線からx'だけ離れ、正接t'の方向に光はさらに進むとします。これを行列で表すと次のような式になります。



光がQ点で像を結ぶためには、P点での光の出る方向によらずに、同じ点に到達するという条件を入れなければなりません。また、像の倍率はその時のxとx'の大きさの比から求まります。つまり、



これらの式から、倍率Mとクローズアップレンズと被写体間の距離aを求めることができます。右の式を計算するには、クローズアップレンズを入れずに測ったデータを使用します。つまり、先ほど求めたbとf1です。また、クローズアップレンズの位置は固定されているので、dはbが分かると求まります。さらに、f2には200mmを代入します。




そうして求めたのがこの図です。図の黄緑色の点線が計算値です。極めてよく合っています。たぶん、考え方はだいたい良いのではと思いました。



これは被写体とクローズアップレンズ間の距離の実測値と計算値です。いずれもクローズアップレンズの焦点距離200mm以内には入っているのですが、値は少しずれています。計算式は何度か見直したので、イメージセンサーの位置がはっきりしなかったのが原因かもと思っていますが、よく分かりません。いずれにしても、傾向はよく合っているので、それほど大きな問題ではないのではと思っています。

倍率を求める簡単な式ができるとよいなと思ったのですが、一般的な場合についてはまだできていません。ただ、焦点位置を無限遠方にしたときに最大倍率になるので、このことからそのときの倍率は求めることができます。焦点位置を無限にすると、f1=bとなるので、上の式を用いると、M=f1/f2になります。f1は仕様に載っているズームの最大の焦点距離の値を入れればよく、f2はクローズアップレンズの焦点距離です。このカメラの場合、焦点距離の最大値は108mmなので、M=108/200=0.54となり、7mの距離で測った倍率0.51とまあよく合っている感じです。また、ズームを小さくすれば、当然、レンズの焦点距離は短くなるので倍率も小さくなり、適当な画角での撮影ができることになります。

黒川の花と虫 IV

前日に引き続いて、9月14日も川西市黒川に行ってみました。この日は、前日と同じ林の道とニラが咲いていた田んぼの畔をもう一度見て、その後、黒川をざっと見て回るというルートです。なんだかんだと2時間以上は歩き回っていました。



林に入る前にクズがあり、その葉が食われていたので、たぶんいるだろうなと思って探していたら見つかりました。クズノチビタマムシです。これは観察会にはいいかなと思って記録しておきました。



ゴキブリがちょろちょろと動いて、こんな格好でじっとしています。たぶん、モリチャバネゴキブリでしょうね。



脚が山もり見えますが、正面にゴミグモが鎮座しています。



家の近くで見たヤマギシモリノキモグリバエがこちらでもいました。これもきちんと調べたことがないのですが、キモグリバエの検索表がないので、今のところお手上げです。観察会にはちょっと小さすぎるかも。それにハエだし・・・。



小さな甲虫がいました。この色と触角、それに大きな小盾板を手掛かりに図鑑を何度か見たのですが、結局、迷宮入りです。何でしょう。(追記2017/09/21:立西さんから、「5枚目の写真の昆虫はマルケシキスイ族の一種ではないかと思います。その中でもアシナガマルケシキスイあたり...? CLAVICORNIAで確認してみてください。」というコメントをいただきました。早速、CLAVICORNIAを見てみました。アシナガマルケシキスイに似ていますね。ただ、触角のこん棒部と上翅の点刻がなんとなく違うような・・・。でも、この近傍であることは確かそうです。CLAVICORNIAというサイトがあるのをすっかり忘れていました。どうも有難うございました



小さな虫が飛んだので、追いかけて撮りました。写真を撮ることは撮ったのですが、なんだか分かりません。



真後ろから撮ったのですが、もっと分かりません。



前翅を盾のように立てていたのですね。調べてみると、ハマキモドキガ科のオドリハマキモドキみたいです。こうなると、観察会用というより、私の趣味用になりますね。



林の中に入ったら、観察会用の虫も見つかりました。コクワガタです。本番でこんな虫が出てくると、子供は喜ぶでしょうね。



クロウリハムシはとにかくいっぱいいます。別に写さなくてもよいのですけど、一応、記録として。



林を抜けて、ニラの花がいっぱい咲く田んぼに行って見ました。その途中で見たニホンアマガエルです。



厄介なヒメシャクもいました。外横線の曲がり方などから、ウスキクロテンヒメシャクとしたのですが、どうだか分かりません。



ハエはよく分かりません。



それに、クモヘリカメムシです。





この日一番の虫がいました。といっても、何だか分からない、気持ちの悪いむしですが・・・。大きな岩がごろごろしているところがあったのですが、そこをスススッーと動いたものがあったので、何だろうと思って写したらこんな虫でした。脚が6本だから昆虫であることは確かそうです。それで、「原色昆虫大図鑑III」の図版を最初から見ていきました。そうしたら、最初のページに載っていました。イシノミの仲間みたいです。これは初めて見ました。ついでだから、各部の名称を入れてみようと思って、「大図鑑」の図を参照して名前をつけてみました。



困ったのは腹部の節の数です。いつもここで迷ってしまいますね。仕方なしに、また、ネットで探しました。どのくらい信頼できるのか分かりませんが、"what-when-how, In Depth Tutorials and Information, Arachnida (Insects)"というサイトに絵が載っていました。ちょっと驚いたのは一見頭部だと思ったところが胸部第1節だったのです。そうすると腹部最終節が第10節になり、ほかのサイトに出ている番号とも一致しました。ところがところが、「大図鑑」のヤマトイシノミという種の説明を読んでいると、「第9腹節」が何度も出てきます。例えば、「第9腹節では腹刺は基節板とほぼ等長」。この腹刺は写真の腹部付属肢と同じ意味で、一番右が該当する腹刺にあたると思うのですが、どうみても第10節から出ています。また、第9節に把握器があり・・・という具合に、何となく最終の腹節が第9節みたいな書き方になっています。今のところ、ちょっと保留にしておきます。

「大図鑑」によると、日本産イシノミ目はイシノミ科のみで、3亜科5属15種が知られているそうです。ついでに、「大図鑑」には亜科の検索表が載っていたので調べてみました。



要は、触角の鱗粉を見ればよいみたいです。(追記2017/09/22:検索表を間違って書いてしまいました。訂正しておきました



これはその部分の拡大ですが、第2節まで鱗粉がついているようなので、ヤマトイシノミ亜科ということになります。九大の昆虫学データベースによると、亜科区分は分からないのですが、イシノミ科にはPedetontus(11;7)、Halomachilis(1;0)、Praemachilis(1;1)、Petrobiellus(1;0)の4属が載っています。括弧内の最初の数字は種数、後の数字は本州産の数です。「大図鑑」によると、Petrobiellusがヤマトイシノミモドキ亜科、Pedetontusがヤマトイシノミ亜科で、ネットで調べると、Praemachilisはイシノミ亜科みたいなので、今回の個体はPedetontus属だろうということになります。ただ、「大図鑑」に載っているヤマトイシノミ Pedetontus nipponicusは、北陸、中部以東が分布というので違うかもしれません。



同じ石の上にキボシマルウンカがいました。テントウムシ似ているので、こんな虫が観察会に出てくれると面白いなぁ。



同じ石に小さな虫がいっぱいいて、近づくとさっと逃げてしまいます。拡大して写してみました。チャタテムシみたいです。



翅が生えかけているので、幼虫みたいですね。



木の枝が落ちていて、そこにヤママユの繭がついていました。この場所は前日、テレビの撮影をしていたので、その時に気が付いて取ったのかもしれません。公民館の館長さんに聞くと、この辺りは古き良き時代の田園風景が見られるので、撮影にはよく使われるとのことでした。



公民館は昔の小学校の校舎(平屋)を使っています。その壁にシラヒゲハエトリがいました。とりあえず、前半分を終わります。

黒川の花と虫 III

先ほどの続きで、9月13日に川西市黒川で見た虫です。暗い林を抜けると、視界がさっと開けて山里でよく見られるような田んぼが出てきます。



足元にはヤブランが咲いていました。



そして、ヒヨドリバナ。



畑の畔一面に咲いているニラの花の中を探してみました。コハナグモがいました。ニラは栽培種が逃げたものだとばかり思っていたのですが、「野に咲く花」にも、「日本の野生植物」にも、古くから栽培されていて、真の自生なのかどうかは疑わしいという意味のことが書かれていました。「牧野新日本植物図鑑」では、「山野に自生しているのがあるが多くは畑に栽培する・・・」と書かれています。少なくともここのは栽培種が逸出したものでしょうけど・・・。



胸背に独特の模様のあるハエも来ていました。セマダライエバエの仲間です。ヒメかどうか迷うところですが、「日本のイエバエ科」の図版と比べると、ヒメセマダライエバエが似ているようです。





しきりに緑色の子房の部分をなめています。ヤブガラシと同様に、この部分に蜜の出る孔が分布しているのかもしれません。



これもハエですが、これはちょっと分かりません。





キゴシハナアブもやはり子房の部分をなめていました。





花粉だらけになっているハチがいました。花の上をなめるように動き回るツチバチの仲間です。全体が黒で、腹部に黄色の斑紋があるのでキオビツチバチではないかと思います。



これはホソヒメヒラタアブ





これはハナバチの仲間です。翅脈をよく見ると、中脈が湾曲しているので、たぶん、コハナバチ科ですね。さらに、第3亜縁室が狭い感じで、腹部の毛帯が前縁側にあるので、コハナバチ属かもしれません。



こちらはコアオハナムグリ





小さなハエです。何となくCuA+CuP脈とA1脈の延長線が翅縁につく前に交わりそうな感じです。ハナバエの仲間かな。これは花被片をなめていました。



こちらはホソヒラタアブ







そこへひらひらとヒョウモンが飛んできました。裏の模様から、たぶん、オオウラギンスジヒョウモンではないかと思います。黒川では初めて見たのではないかな。



後はイチモンジセセリ。蝶は子房の脇に口吻を入れているようですね。





最後は駐車場に使っている運動場にいたコバネイナゴと、私の車に止まっていたコバネイナゴです。何となく、日陰で虫探しをするより、日の当たる畑の畔で咲くニラの花を見ていた方が楽しそうですね。

黒川の花と虫 II

9月13日に観察会の下見として川西市黒川に行きました。例年、この頃だけ、昔からの因縁で観察会を開いているので、毎年、この頃にやってきます。いつもはコースをさっと歩くだけなのですが、今年は家の近くの公園や林の入り口でやっていたように、ひとところでじっくり見てみることにしました。



観察会は公民館に集まって、それから歩き出すのですが、最初は公民館のすぐ横の道端で虫を探してみました。まずはアキノノゲシです。でも、花ではなくてその茎についている虫が目当てです。



やはりいました。背中が黒いので、家の周辺にもいるタイワンヒゲナガアブラムシと同じでしょうね。



探したら有翅型もいました。でも、観察会でアブラムシから始めたらちょっと不評でしょうね。



その近くでコバネイナゴもいました。



こちらはトノサマガエル





この花がなんだか分かりません。図鑑でずっと探したのですが、見つかりませんでした。どこかで見たような記憶はあるのですけど・・・。草ではなくて木なのかなぁ。



こちらはクサギカメムシの幼虫です。前翅包と後翅包が共に見えているので5齢幼虫です。



こんな小さなハバチがたくさんいました。一匹捕まえてきて家で検索してみると、ハバチ科マルハバチ亜科になりました。マルハバチ亜科は以前、調べたことがあります。前翅肛室が不完全有柄というところが特徴でした。このときは観察会準備でバタバタしていたので、顕微鏡写真は撮らずにとりあえず展翅をしておきました。今度、この先を調べてみます。(追記2018/02/11:展翅標本を用いて、検索をしてみました。「大阪府のハバチ・キバチ類」に載っている検索表を用いると、やはりハバチ科マルハバチ亜科になりました。この本によると、大阪府では10属15種が記録されているそうで、頭部・胸部・腹部が黒、脚に淡色部分があること、翅が暗色を帯びること、体長が4.8mmであることに注目して探すと、ウマノアシガタハバチ Stethomostus fuliginosusに絞られました。記録されている以外の種がいるかもしれないので何とも言えないのですが、今のところ、第1候補になりました。なお、腹部末端の構造から、これは♂のようです。詳細はこちら



家の近くでも多いのですが、黒川でもたくさん見ました。クロウリハムシです。



これは暗い林の中で見つけました。ホソミイトトンボの未成熟♂かなぁ。



それからベッコウハゴロモです。すぐ近くにいました。



そうやって林の中をうろうろしていたら、一匹のヤンマが飛んできて止まりました。カトリヤンマみたいです。カトリヤンマはいい写真が少なかったので、撮れて嬉しいです。探すと、結構、いろいろな虫がいますね。



こちらは公民館のガラス戸に止まっていたホタルガです。裏側からになりました。

林を抜けると田んぼが現れるのですが、その畔にはニラが一面に咲いています。その蜜を目当てに虫がたくさん来ていました。でも、長くなったので次回に回します。

虫を調べる コバネイナゴ

9月13日に川西市黒川の観察会の下見に行った時の帰りしなに車に止まっていたイナゴを見つけました。翅が短いのでコバネイナゴかなと思ったのですが、一度、調べてみようと思って採集しました。今日はそれを調べてみました。



これがそのイナゴです。腹部末端の構造から♀のようです。イナゴ属の検索表は「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」に載っています。それを使って調べてみると、やはりコバネイナゴになりました。検索自体は簡単だったのですが、腹部の節の数え方や腹部末端の構造がよく分からなかったので、それなりに時間はかかってしまいました。



検索は①から③まで調べればよいだけなので、比較的簡単でした。



まずは全体図です。頭のてっぺんから産卵管の先端まで測ると32.4mmになるのですが、体長はどこからどこまでを測ればよいのか分からなかったので、一応、スケールバーを入れておきました。この写真では翅が細く、先端が丸くなっていることを見ます。



次は腹部の節の数え方です。見える部分だけで数えると、どうも節の数が合わない気がしたので、ネットをいろいろと探してみました。R. S. Fox, Lander Univ., Invertebrate Anatomy Online, Eastern Lubber Grasshopperというサイトに詳細が載っていました。それによると、鼓膜のある部分を第1節と数えるそうです。そうすると、この写真のように背板は全部で10節があり、11節目が後で述べる肛上板に該当することになります。



これは腹側からの写真で、上の方式で腹板と背板の節の番号を入れてみました。



①は第3背板後側角に棘があるかどうかですが、写真の矢印の部分に該当すると思います。この部分には棘がありません。もし、あったらタイワンハネナガイナゴか、ハネナガイナゴということになります。



次は腹部末端の産卵器を腹側から撮ったものです。矢印で示す部分に棘があります。これは「大図鑑」に絵が載っているので、すぐに分かりました。もしなければ、コイナゴなどになります。



これはその棘のあたりを拡大したものです。これでとりあえず検索は終わり、コバネイナゴであることが分かりました。(追記2017/09/20:この検索表ではサイゴクイナゴ、リクチュウイナゴ、チョウセンイナゴを分けることができません。ただ、「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」を見ると、チョウセンイナゴは渡嘉敷島、リクチュウイナゴは岩手県だというので除外してもよさそうです。サイゴクイナゴは山口県、四国、九州に分布しています。さらに、♂の交尾器の微細な違いにより別種となっているということです。したがって、ここでは「たぶん、コバネイナゴ」ぐらいがよいかもしれません



ついでに腹部末端の構造も調べておこうと思って写真を撮りました。



これはそれを拡大したものです。各部の名称は先ほどのFoxのサイトと「原色昆虫大図鑑III」の絵を参考にしました。たぶん、合っているのではと思います。



最後は鼓膜のあたりを拡大した写真です。穴が開いているのは気門だろうか。よく分かりません。次はハネナガイナゴ♀を調べたいですね。

黒川の花と虫

例年、9月の今頃になると、川西市黒川で観察会を開くことになっています。その下見に、9月初めから3度ほど、黒川に行ってみました。いつもなら、「廊下のむし探検」とほど遠いところなので、ブログには出していなかったのですが、それだと記録に残らないので、「ちょっと足を伸ばして」という書庫を作って、そこに入れておくことにしました。

まず最初は9月1日の分です。この日は知人と歩いたので、あまり観察はせずにコースを見ただけで終わってしまいました。それでも、少し撮影したのでブログに出しておきます。



まずは一面に咲いていたイタドリの花です。



それから日陰でこんな花が咲いていました。名前が分からなかったので、図鑑をずっと見ていき、「山に咲く花」の中で見つけました。キツネノマゴ科のハグロソウでした。



こちらはセンニンソウです。



そして、これはスズメウリだと思います。



林の中にはウラギンシジミがいました。



ウルシの仲間です。これもなんだか分からなかったのですが、葉に鋸歯のあるのはヌルデのようです。



これは翅裏の白い帯が細いので、ミヤマカラスアゲハ



そして、これはアゲハモドキ



それに、クサギの花に来ていたキアゲハです。本当はモンキアゲハもいたのですが、そちらはカメラを向ける前に逃げていってしまいました。



最後は立派なカエルです。正中線がある明瞭な背中線と背側線があるのはトノサマガエルだったと思うので、これもそうかなと思いました。(追記2017/09/20:「日本の両性爬虫類」によると、中心を走る線を背中線、その両側を走る線を背側線と呼ぶようです。訂正しておきます

いつもは家の近くで数十メートルの範囲を行ったり来たりして、2時間ほど粘って撮影するのですが、この日はひたすら歩いたので虫はほとんど見つかりませんでした。やはりじっくりと見ないといけませんね。

家の近くのむし探検 ハチとハエ

家の近くのむし探検 第325弾

9月も19日になるのに、まだ、10日の分の写真整理をしています。家の近くの国道沿いの歩道脇で見つけた虫の続きで、最後のハチとハエです。どれも採集しなったので、ほとんど分からないものばかりでここに出すのも憚るようなものばかりなのですが、終わらないと次に進めないので、とりあえず出すことにします。





最初はこんなハチです。後腿節が太いので、たぶん、アシブトコバチ科だと思います。触角の基部近くが白く写っているのがあったので、写真を見直してみました。



ちょっとピンボケなのですが、どうやら基部から数節には細かい毛(感覚毛かもしれません)が生えていて、光の方向で光ったりするようです。小盾板に2つの長い突起が出ています。この突起については「原色昆虫大図鑑III」にも書いてありました。ハエヤドリアシブトコバチの説明には、「小盾板の先端は顕著な2突起に終わる」と書かれているので、これかなぁと思ったのですが、もう少し調べてみました。

A. Habu, "A Revision of the Chalcididae (Hymenoptera) of Japan, with Descriptions of Siteen New Species", Bull. Nat. Inst. Agricult. Sci. C 11, 131 (1960). (ここからダウンロードできます)

アシブトコバチ科についてはこの論文に実に詳しく書かれています。この中ではアシブトコバチ科が38種載っているのですが、九大の昆虫学データベースでは53種でだいぶ増えていました。この論文には検索表も載っているので、少し試してみました。



写真では判定できないところが多すぎるのであまりはっきりしたことは言えないのですが、たぶん、①から③が該当し、Brachymeriinae亜科Brachymeriini族であることは確かそうです。この族はBrachymeria属が大部分なので、たぶん、この属かなと思いました。この論文にはハエヤドリアシブトコバチ Brachymeria (Brachymeria) minutaも載っているので、先ほどの小盾板後方の突起を比べてみました。論文に載っている絵ではそれほど急峻な突起ではありません。ということで、次回の採集待ちということになります。(追記2018/01/10:同じだと思われる種を9/18にも見つけました。今度はムネゲアシブトコバチ Haltichella nipponensisが候補になりました。前回はどうやら触角の生えている位置を見間違ったみたいです





この日はこんなアシブトコバチ科もいました。雰囲気的にはキアシブトコバチ、ハエヤドリアシブトコバチ辺りが似ていそうですが、キアシブトコバチ Brachymeria lasusが上の論文に載っていないので、検索ができません。これも保留ですね。



ヒメバチの仲間かなぁ。これも写真では亜科の検索もできず、まったくお手上げです。



こちらは「日本産幼虫図鑑」に載っていました。ハグロハバチの幼虫みたいです。スイバ、ギシギシ、イタドリが食草と書かれていました。これはイタドリの葉なのでばっちりです。この属は8種いるのですが、食草がスイバなどはこれ1種だとのことです。どうやら決まりかもしれません。



イダドリの葉って何か液を分泌するのでしょうか。あちこちでアリが集まっています。



これはシベリアカタアリ



これはヨツボシオオアリ



そして、これはアミメアリ。名前の分かりそうなアリだけ写しました。







次はハエです。キンバエの仲間ですが、後で検索に使うかもと思って、あちこちから写しました。これは以前、トウキョウキンバエかもと書いたことがあったのですが、今回はもう少し詳しく調べようと思いました(本当は採集すればよかったのですが・・・)。

田中和夫、「屋内害虫の同定法 (3)双翅目の主な屋内害虫」、屋内害虫 24, 67 (2003). (ここからダウンロードできます)

この論文にキンバエ類の検索表が載っています。腹部にこんな黒い帯がありそうな種に絞って検索表を見てみると次のようになります。



①→②→③aと進めばトウキョウキンバエ、①→②→③b→④aと進めばミヤマキンバエになります。共に、腹部に同じような黒い帯を持っているようです。①と②は翅の基部の構造が関係しているので、まず、翅脈に名前を付けてみました。



これは「大図鑑」のイエバエ科の図を真似てつけました。



そして、これは基部を斜め前から写したものです。



さらに、基部の構造を書き入れました。これを見ると、前縁脈基部片は暗色で、翅脈R基幹部には毛が生えていないので、何となく①と②はよさそうです。ただ、次の中胸下側背板の毛についてはどの写真を見ても写っていません。ちょうど翅の下側になるみたいです。やはり採集が必要みたいです。

一寸のハエにも五分の大和魂・改」の記事をぱらぱら見ていると、どうやらニセミヤマキンバエというのもあって、似ているようです。これについては次の論文に検索表が載っていました。

H. Kurahashi, “Studies on the Calypterate Muscoid Flies from Japan. V. Revision of the Tribe Luciliini (Diptera,Calliphoridae)”, Sci. Rep. Kanazawa Univ. 11, 105 (1966). (ここからダウンロードできます)

ミヤマキンバエL. popuensisとニセミヤマキンバエ L. basiniを区別する部分だけ翻訳すると次のようになります。



覆弁の毛を見ないといけないみたいです。やはり採集が必要ですね。そう思って昨日は採集に行ったのですが、こういう時に限って出会えません。



後はこんなハエ。たぶん、ヤドリバエ科のヨコジマハリバエあたりの種です。「日本昆虫目録第8巻」によると、ヨコジマハリバエの属するTachina属は全部で14種。まだまだ大変です。



最後はアシナガバエの仲間。この仲間はまだ属の検索もできていません。あ~ぁ、先が長すぎる~。(追記2017/09/21:通りすがりさんから、「最後のアシナガバエは、おそらくSympycninae亜科Syntormon属ですねえ。」というコメントをいただきました。そう思って翅脈を見てみると、確かにM1+2が途中で前縁側に少し曲がっていました。でも、翅脈だけからだと候補はなお7属もあって先が長いです。Syntormonは昨年のブログに候補として挙がっていた個体があったのですが、種の段階で一致しなくて、「来年の課題です」なんて書いていました。でも、今年はちっとも進みませんでした

家の近くのむし探検 甲虫

家の近くのむし探検 第324弾

9月10日に家の近くの国道沿いの茂みで見つけた虫の続きです。早く整理しなくちゃと思っているのですが、検索が必要な虫もいて、なかなか進みません。今回は甲虫です。



これはナミガタチビタマムシだと思います。



頭盾の形から種が分かります。それで、前から写して頭盾が写るかなぁと思ったのですが、ちょっと分かりませんね。





これははっきり分からなかったのですが、たぶん、カシルリオトシブミかなと思いました。



最近はこのクロウリハムシをたくさん見ます。



それからクズの葉についていたクズノチビタマムシ



それから、この間もいたハムシダマシ



それにタケトゲハムシ





今日、検索したのはこのハムシです。詳細は後で載せますが、検索結果はサンゴジュハムシになりました。ぱっと見ると、上翅の外縁に沿って隆起線があるように見えたのですが、ここは隆起線ではなくて上翅の縁近くが湾曲していて、その部分の色が黒っぽくなっているだけでした。検索のポイントは、触角の末端に近い節が細長いこと(幅の3倍くらい)、上翅側片がほとんど翅の先端まで続き、さらに、幅がだんだん狭くなっていること、それに、前胸背板の中心の黒い帯が前縁にほとんど届いていることでした。



このハムシ、こんな葉っぱに止まって葉を食べていました。



この葉を、保育社の「検索入門 樹木」で調べてみました。検索は、つる性ではない→単葉→葉は裂けない→葉は対生または一部輪生→葉のへりはきょ歯縁→掌状脈となり、後は一種ずつ見ていて、最終的にガマズミになりました。「原色日本甲虫図鑑IV」のサンゴジュハムシの説明を読むと、寄生植物としてサンゴジュとガマズミが挙げられているので、たぶん、サンゴジュハムシもガマズミも共に大丈夫かなと思っています。

家の近くのむし探検 バッタ、クモほか

家の近くのむし探検 第323弾

昨晩は台風18号が関西を直撃するというので、ベランダの植木鉢や物干しを片付け、じっと様子を見守っていたのですが、近郊の明石市付近に上陸したわりには大阪府北部の私のところは風も雨も大したことがなくてほっとしました。今朝は青空が広がっていて、まさに、台風一過です。とにかく、溜まっている虫の写真を整理しなくてはと思って、朝から、ばたばたしています。それにしても名前が分からず、調べ方も分からずといった虫ばかり。本当に嫌になってしまいます。





ヒメクダマキモドキの幼虫だと思っている個体に大きな翅が生えてきました。そろそろ終齢幼虫なのかもしれません。



近くには成虫もいました。秋になると虫の名前調べはバッタが中心になってきますね。





これはササキリ





で、問題のフキバッタです。しかも、これは♀です。





とりあえず、腹部末端を写しておきました。♀は以前にも腹部末端を写したことがありました。その時と比べると、似ていますが、ちょっと違うような気もします。以前、この辺りのフキバッタはヤマトか、オマガリだと教えてもらったことがあるのですが、ここから先はどうしても進めません。仕方ないので、属の検索でもしてみようと思って、「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」の検索表で試してみました。



ヤマトもオマガリも共にParapodisma属に入っているので、その部分を抜粋しました。でも、実は、フキバッタ亜科の検索の最初は♂に関するものが多いので、どうしようもありません。それで、その部分は飛ばしてしまって、検索表の後半だけを書いています。とりあえず、これらを調べていこうかなと思いました。





この本の検索表に似せて、(a)~(g)の記号を写真に書き入れました。文章を書き入れるよりは見やすいかなと思ったのですがどうでしょう。腹部背板第2節にあるという鼓膜がよく分からなかったのですが、翅に暗い影の部分が見えるので、それかなと思いました。とにかく、全部の項目が満たされているので、Parapodisma属は確かそうです。でも、日本産のこの属には13種。そのうち、本州産は11種。ただ、かなり地域性が強いみたいなので、結局、ヤマトか、オマガリかというところみたいですが・・・。



脱皮殻かなと思って写したのですが、これはカネタタキ♀ですね。



後はマンションの天井にいたアオマツムシでした。





ほかにはカゲロウがいました。共に亜成虫です。上は複眼から、何となく、ヒラタカゲロウの仲間っぽい♂、下は後翅が小さいのでコカゲロウの仲間♀かなと思ったのですが、今のところ、♂を採集しないと名前までは到達できません。



後はクモです。これはサツマノミダマシかなと思ったのですが・・・。



こちらがワキグロサツマノミダマシではないかと思いました。クモも採集しないと、最終的には分からないということで、いつから始めるかが問題です。苦手だったクモも小さいクモにはだいぶ抵抗感がなくなってきました。まずはハエトリくらいから捕まえてみるかな。でも、来年からにしよう。



カトウツケオグモはなんかこんな格好でじっとしています。獲物を待っているのかなぁ。(追記2017/09/21:立西さんから、「日本7大珍種クモの1つであるカトウツケオグモに何度も出会われるのはすごいですね。ネット上では匂いに関する情報がいくつかありますが、もし私も見つけることがあれば是非確かめたいところです。」というコメントをいただきました。ネットを見ると、臭い匂いを出すみたいですね。もう少し早く分かっていたら確かめられたのに・・・。今日、行ってみたら、もういなくなっていました。残念!



アリグモの仲間が細いクモの糸の覆いの中でじっとしていました。アリグモも似た種が多いからなぁと思っていたら、文一の「ハエトリグモハンドブック」に検索表が載っていました。やけに簡単な検索表なので、本当に使えるかなぁと思って試してみました。このアリグモは♀なので、♀の検索表を載せてみます。



こんな簡単なものです。これで5種のアリグモを見分けるのですが・・・。ちょっと手元の写真で試してみました。



まずはヤサアリグモ♀らしき写真です。検索すると、確かにそこに到着します。



これはアリグモ♀らしき写真です。これも試してみると、それなりにアリグモに到着します。



そして、ヤガタアリグモです。これも大丈夫そうでした。でも、これは合いそうな写真を選んだからで、実際は微妙な写真がたくさんありました。特に迷うのは腹部の光沢です。「光沢がある」を選ぶと行先が2種しかないので、そこで迷ってしまいます。次に迷うのは腹柄の長さです。長いか短いかは相対的なのと、この写真のように上から写しているとよいのですが、前から写したものはほとんど見えなくてアウト。また、この検索表によると、タイリクアリグモは頭胸部側面の白線がないことになっているので、私が以前タイリクかなと思ったのはみな違っていたのかもしれません。もう一度、チェックし直さなければならないです。いずれにしても、巣の下にいた上のクモは、光沢あり→胸部は盛り上がらないということで、光沢のあるアリグモになりました。

後、ハエ・ハチ・甲虫が残っているのですが、いずれも苦戦しています。

家の近くのむし探検 蝶・蛾、カメムシ

家の近くのむし探検 第322弾

この週末、虫について話さなければならない機会が重なって、写真整理が滞っていました。9月10日に、家の近くの国道沿いで見つけた虫です。この日はたくさん虫が見られました。全部で40種くらい。それで、まず、蝶、蛾、カメムシの名前から調べ始めました。



まずはマンションの廊下の壁に止まっていた蛾からです。外横線、内横線の曲がり方にぴったりとくるものがいないのですが、たぶん、スジボソヤマメイガではないかと思いました。



これはシロテンキノメイガ



それにアカヒゲドクガ。マンションの廊下にはさすがに蛾は多いですね。一部をちょっと歩いただけだったのですが・・・。



国道の脇に行きました。ここはちょっと日陰になっていて、イタドリの花がいっぱい咲いています。そこで、まず、アオバハゴロモを見つけました。



それから、この間見つけたカメムシの卵。その横に2日前にもいたハチなのですが、あれからまったく動かず、同じ格好でじっとしています。何をやっているのでしょうか。ハチの種類も分からないし、せめてカメムシの卵について調べてみようと思って、「図説カメムシの卵と幼虫」を見てみました。



図を見ながら、各部の名称を入れてみました。卵の周囲に並んでいる突起は受精孔突起 micropylar projectionというのですね。これについて調べてみようと文献をあたってみたのですが、まったく分かりません。そもそもこの単語はカメムシの卵特有の単語ではないようで、いろいろな昆虫、果ては植物まで使われているようです。その役割もほとんど分かりません。水生昆虫ではこれがあるために空気層ができて、呼吸を容易にするということが書かれていたのものもあったのですが、空気中にあるカメムシの卵では当てはまりませんね。結局、よく分かりませんでした。



すぐそばに似たような卵も見つかりました。





近くにはいろいろなカメムシがいるので、上の卵の正体は分かりません。これはホオズキカメムシ。この日は3匹いました。





これはチャバネアオカメムシ



幼虫もいました。なんだか分からなかったのですが、「日本原色カメムシ図鑑」をぱらぱらと見ていたら、何となく、「チャバネアオカメムシ3齢幼虫」と書かれている個体と似ています。それで、「図説カメムシの卵と幼虫」を調べてみました。前翅包があって、こんな模様の個体は4齢幼虫となっていました。ひょっとして、「日本原色カメムシ図鑑」に載っている写真の個体も4齢ではないかと思いました。



次はクサギカメムシです。



それから、この間♀が見られたフトハサミツノカメムシの今回は♂の方です。



腹部末端を拡大してみました。ハサミ状突起はこんなに短いです。これで、前胸背側角が尖っていないので、やはりフトハサミツノカメムシでよいのではと思いました。



後はベッコウハゴロモ



それにコチャバネセセリと、



キマダラセセリでした。

植物を調べる キンミズヒキの実

最近、「植物を調べる」という書庫を作ったので、そこに入れるためにちょっと調べてみました。9月14日に家から車で30分ほどのところにある里山に行きました。そこで、キンミズヒキの花を見つけました。



ちょっと日陰になった道沿いに結構、いっぱい咲いていました。そういえば、キンミズヒキの実も「ひっつき虫」だったなぁと思い出して、一部、採集して顕微鏡で見てみました。



こんな感じになっていました。突起がいっぱい出ていて、その先が皆引っ掛けるように曲がっています。



さらに拡大してみました。まるで杖みたいな格好です。意外に簡単な仕組みでした。でも、この曲線は美しいですね。どうやってこんな形がつくれるのだろう。

これで、ひっつき虫4種類を調べたことになります。イノコズチコセンダングサアレチヌスビトハギ、それに、今回のキンミズヒキです。みんな、引っ付く仕組みが少しずつ違いますね。こうなったら、ひっつき虫をみんな調べてみたくなりました。他に何があったかなぁ。

家の近くのむし探検 虫いろいろ

家の近くのむし探検 第321弾

9月8日に家の近くの国道沿いで探した虫の続きです。特に目立った種がいなかったので、見た順に出していきます。



まずは出かける前のマンションでの撮影です。マンションの天井に一匹の蛾が止まっていました。外横線と腎状紋がはっきりしています。これを手掛かりに「標準図鑑」で探すと、ヤガ科のSugia属のようです。この中にはウスシロフコヤガ、ニセシロフコヤガ、キバネシロフコヤガ、ネモンシロフコヤガがいますが、ニセは外横線末端部外側が白いので除外、キバネは腎状紋不明瞭で、翅は黄緑色を帯びるので除外。残った2種は図鑑の説明からは区別がつかなかったのですが、腎状紋の形からネモンシロフコヤガの方かなと思いました。



これもマンションの廊下です。これはササキリ♀だと思います。



国道の脇で最初に見つけたのはこの変な虫です。ミノムシのような格好ですが、こんな格好のまま歩いています。たぶん、ハムシの幼虫ではないかなと思ったのですが、はっきりとは分かりません。



このハエはよく分かりません。



これもハエ。以前はチャバネヒメクロバエというイエバエ科のハエだとしていたのですが、まだ、採集した個体で検索をしていません。



クズの葉には相変わらずクズノチビタマムシがいました。



これはヤガタアリグモだと思います。ハエトリグモは文一の「ハエトリグモハンドブック」が見やすいです。



カトウツケオグモらしいクモがまだいました。でも、よく見ると、クモの下に糸が張っています。これに引っかかった虫を捕まえるためなのかなぁ。



今の季節、クロウリハムシはあちこちにいます。





ちょっと写真のピントが甘かったのですが、たぶん、ハムシダマシだと思います。この日は2匹見ました。





チャタテもいました。体長2.9mm、前翅長3.6mmです。翅脈に毛が密生している感じです。採集はしたのですが、まだ、検索はしていません。一応、予想を立ててみようと思って、写真だけで判断してみました。



まず、後小室がM脈とはつながっていなくて、遊離しています。また、脚の跗節が2節かなと思いました。



さらに、翅脈を拡大すると、毛が2列に生えているような感じがします。となると、ケブカチャタテ科かなぁと思いました。結果はこれからのお楽しみ。



イタドリの葉のあちこちにこんな糸の張った穴が見られます。



裏返してみると、こんな幼虫が潜んでいます。さて、何なのでしょう。





最後はアブです。複眼の間が空いているので♀です。アブにも似た種が多いので、詳しくは検索しないと分かりません。アブの♀の検索表は次の論文に載っています。

早川博文、「日本産アブ科雌成虫の分類 1.アブ属ウシアブ群、アカウシアブ群及びその関連群」、東北農試研究資料 10, 35 (1990). (ここからダウンロードできます)

この中の検索表を使ってみようと思ったのですが、うかつにも翅脈の写真を撮るのを忘れていました。仕方なく、複眼の間の額瘤の構造と触角を見て、ウシアブだと判断しました。この二つの点について、ウシアブの説明と比較してみました。





この二つに限ると、書いてあることと一致しているので、たぶん、ウシアブで大丈夫なのではと思いました。でも、今度からはちゃんと翅脈も撮ることにします。

虫を調べる ジュンサイハムシ

今年は甲虫の年だと決めていたので、この間から頑張って検索をしています。今日はまたまたハムシです。



今回は先日見つけたこのハムシが対象です。この間、種の検索をして、ジュンサイハムシにはなったのですが、一度、亜科、属もきちんと調べてみようと思って検索を試みてみました。亜科の検索には、「日本原色甲虫図鑑IV」の検索表を用いました。また、属と種の検索には、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」(1994)に載っている検索表を用いました。

それではまず亜科の検索から。



今回は目的地が分かっているのでh調べるのもかなり楽でした。とりあえず、ジュンサイハムシの属するヒゲナガハムシ亜科に至るにはこの3項目を調べればよいことになります。いつものように検索の順番ではなくて、部位別に見ていきたいと思います。



まずは全体像です。体長は5.5mm、上翅長は4.8mm。脚が見えるついでに、③の後肢腿節が太くなっていないことを見ます。これはノミハムシ亜科を除外する項目なので、すぐに分かります。モーリック器官はこの間、スジカミナリハムシの検索のときに説明しました。腿節の内部にある腱のようなもので、これに筋肉がついてジャンプすることができるというものです。たぶん、腿節内部を見ないと確かめられないのではと思いました。



この写真では頭部が正常なことを見るだけです。これはトゲハムシ亜科とカメノコハムシ亜科を除外する項目です。



これは頭部の写真で、②は触角基部が近いということですが、これだけだと比較の問題なのでよく分かりません。先日、サルハムシ亜科Pagria属の検索をしたのですが、それと比較すると確かに狭いことが分かります。(追記2017/10/06:Pagria属ではなく、Cleoporus属のサクラサルハムシでした



これは前脚の基部を腹側から写したものです。確かに、前胸腹板突起は狭くて、左右の基節がほとんど接するくらいに接近しています。これで、亜科の検索はすべて終わり、ヒゲナガハムシ亜科になることが分かりました。



次は属の検索です。ジュンサイハムシはイチゴハムシ属に含まれるのですが、一緒に調べていたニレハムシがケブカハムシ属に含まれるので一緒に書いておきました。したがって、ここでは④~⑨、それに、⑩bを調べることになります。



これは腹部から見たところです。実は、この④の項目の意味がよく分かりませんでした。つまり、後胸腹板の基節間室の突起が見つからなかったのです。これはキクビアオハムシ属とイタドリハムシ属を除外する項目なので、今度、イタドリハムシを見つけたら調べてみます。



これは先ほども出た頭部の写真ですが、触角の基部の位置と複眼前縁の位置比べです。触角基部の中心と複眼前縁に点線を引いたのですが、かなり近いので、同じ水準と言ってよいでしょう。



これは前胸背板の写真です。この写真にイチゴハムシ属の特徴がよく出ています。つまり、写真の中の⑩b→で示すように、前胸背板の中央に剛毛を欠く部分あることです。そのほか、⑧と⑨はすぐに分かります。⑦が分かりにくいのですが、その部分を拡大してみました。



前胸背板前縁角にこんな風に突起があり、そこから2本のかなり長い剛毛が生えています。なんでこんな剛毛が生えているのか分からなかったのですが、ひょっとしたら猫の鬚と同じではと思いました。つまり、この剛毛が当たらなければ小さな穴にでも体が入っていけるという目安です。よく分かりませんが・・・。ただ、この剛毛、結構取れやすいみたいです。このハムシの場合、右側は取れてしまっていました。また、同時に調べたニレハムシは2匹とも取れてしまっていました。あまり役に立たないのかもしれません。



前肢基節窩は基節の入る穴のことです。前側は壁がありますが、後ろ側にはありません。⑥はそのことです。



次は上翅側片についてです。甲虫の上翅の縁は内側に折れ込んでいます。その部分を上翅側片と言います。これがどこまで続いているかという内容です。このハムシの場合、ほとんど末端近くまで折れ込みが続いているので、基部1/2は明瞭だということになります。



肢の爪を拡大したのですが、かなり複雑な爪です。でも、♂と♀の比較ができないので、これは保留です。



これは腹部末端の写真です。腹部末端は第5腹板になっているのですが、その先端は三角形状に切れ込んでいます。⑤の内容からすると、この個体は♂ということになります。これで、イチゴハムシ属 Galerucellaになることが分かりました。



最後は種の検索です。「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」には、イチゴハムシ属としてジュンサイハムシ、イチゴハムシ、オゼタデハムシ、オオクラヒゲナガハムシの4種が載っているのですが、検索表は㉑の項目一発でジュンサイハムシになります。



上翅会合部末端部が丸くなく角張っていれば、ジュンサイハムシになります。この写真だと角張るというより小さく突出していますが、いずれにしても丸くはないのでOKでしょう。ということで、2つほど確認できなかったのですが、後は確かめることができ、無事ジュンサイハムシになりました。前胸背板中央に剛毛がなかったり、前胸背板前縁角に2本の剛毛があったり、やはり詳細に調べると面白いですね。

ついでに、検索に使わなかった写真も載せておきます。



これは頭部ですが、少し下側から写しています。



これはさらに拡大したものです。

今回は、ジュンサイハムシとニレハムシを比較しながら検索したので、違いがよく分かって面白かったです。ニレハムシの方はまた今度出します。

家の近くのむし探検 カメムシ

家の近くのむし探検 第320弾

9月8日に家の近くの国道沿いを探して見つけた虫です。ここは日陰になっていて、イタドリがいっぱい咲いているのですが、その葉の上を探すと意外にいろいろな虫がいます。ただ、欠点は車が通るたびに風が起きることですが・・・。今日はその中からカメムシ目です。



まずは出かける前にマンションの廊下で見つけたカスミカメです。これは以前、紹介しました。シダカスミカメ亜科のMansoniella shihfanaeという外来種です。一昨年の9月に初めて見つけてから、かなりの数を見ています。やはり増えているのでしょうね。(追記2018/06/02:立西さんから、「クスベニヒラタカスミカメ Mansoniella cinnamomiという種名で決着しているようです。あちこちで被害木を見かけますね。」というコメントをいただきました。この名で検索すると、「昆虫と自然」2016年の12月号にも載っていたようですね。貴重な情報、どうも有難うございました



これはクサギカメムシの幼虫です。



各部の名称を書き入れてみました。カメムシ科の幼虫の齢の見分け方については以前書いたことがあります。一見すると、後胸背板の幅が中胸背板より少し狭いのと、全体の形から3齢幼虫かなと思ったのですが、気になるのは前翅包みたいな部分です。これがあるとすると、4齢幼虫になるのですが、その辺がよく分かりません。







これは初めて見たカメムシです。腹部末端の形から♀みたいです。「原色日本カメムシ図鑑」の図版で調べてみました。雄なら目立つはさみ状突起があってすぐに分かりそうなのですが、雌は特徴がなくてよく分かりません。それで、イシハラハサミツノカメムシ、ヒメハサミフトカメムシなどの候補が出ました。ところが、2日後、♂が見つかりました(これは今度載せます)。それで、短いハサミ状突起しか持たないことが分かりました。それで、急きょ、検索をしてみることにしました。



これは「原色日本カメムシ図鑑第3巻」に載っているツノカメムシ属の種の検索表から抜粋したものです。検索の結果はフトハサミツノカメムシになったのですが、一応、確かめていきます。①と③は上の写真でも十分に確かめられます。②は前胸背側角先端の色で、検索表には黒色か、赤色のどちらかを選ぶという選択肢しかありません。写真ではどう見ても黄色なので、[ ]の中に書いたように黄色の選択肢も入れてもらうとよいと思いました。④は写真で確かめていきます。



まず、前胸背後側角は白矢印で示すように三角形に突出しています。



腹部結合板の黒色部は見た感じでは、検索表に書いてある1/3よりは小さいと思ったのですが、図のような
場所の幅を測るとぴったり1/3でした。ということで、フトハサミツノカメムシ♀で間違いなさそうです。





そのすぐ近くにあったカメムシの卵です。卵が一つ食い破られたようになっていて、近くをハチがうろうろしています。ひょっとして寄生していたハチが出てきたのかもと思って、しばらく観察してみました。





卵の穴の周りでうろうろしてその中を覗いたりしています。



そのうち、卵の横に入り込んでじっとし始めました。それで、諦めてその場を立ち去りました(実は、2日後も同じ格好でじっとしていました)。



これはたぶん、オサヨコバイだと思います。



最後はよく見るカメムシです。いつものようにホシハラビロヘリカメムシかなと思ったのですが、なんとなく違和感があったので、検索をしてみました。やはりホシハラビロヘリカメムシで間違いなさそうです。カメムシ以外は次回に回します。

家の近くのむし探検 モクズガニほか

家の近くのむし探検 第319弾

9月6日に家の近くの国道の横で虫探しをしてから、畑の方も歩いてみました。そこで、ばったり知人に出会いました。その方の話によると、畑の脇を流れる用水路にモクズガニがいるとのこと。一緒に探してみました。私はなかなか見つけられませんでしたが、その方はすぐに見つけられました。



モクズガニというのはこんなカニです。これはまだ小さい方で、大きなものは甲羅の大きさが8cmほどにもなるそうです。見つけ方は石の隙間にちょっとでている脚とか鋏などを見つけること、穴から掻き出された砂を見つけることだそうです。





こんな感じです。上は脚と鋏が見えています。下は先端が白い鋏が見えています。



しばらく見ていたら、そこからもそもそと出てきました。こんな身近なところにこんなに大きなカニがいるなんて驚きです。ネットで調べると、海か海に近い河口で産卵し、孵化した幼生が稚ガニになり、川を遡って上流に上がり、そこで成長するそうです。そして、産卵期になると、また川を下降して海辺に行き、産卵するという生活を繰り返しています。でも、途中に堰堤もいっぱいあるし、こんなところまではとても無理そうなので、本当はどうなのかなと思って、少し文献を調べてみました。モクズガニは中国産の上海ガニとごく近縁なため、漁業資源としても重要で、この手の研究が結構たくさんありました。

高橋剛一郎ほか、「富山県射水平野における河川横断工作物のモクズガニの分布に及ぼす影響」、J. Ecotechnol. Res. 15, 121 (2010). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

この論文は富山の射水平野を流れる川の各地点にカニかご(63x43x19 cm3)を置き、入ってきたカニの数からカニの分布を推定しようという研究です。堰堤の上でもカニが見つかったら、カニはその堰堤を越えたという風に解釈します。そうしたら、河口から十数キロ離れた上流まで、途中にある数メートルの堰堤をいくつも越えて分布していることが分かりました。カニは堰堤を直接登ったり、堰堤に垂れ下がった植物をつかんで登ったり、堰堤と土手との境を上ったり、堰堤の手前で堤に上り、堰堤を巻いて越えたりするそうです。

実際に、どのくらいの斜面を登ることができるか実験室で試してみたという論文もありました。

浜野龍夫ほか、「モクズガニの遡上魚道に関する実験的研究」、Suisanzoshoku 50, 143 (2002). (ここからダウンロードできます)

これによると、カニの脚の先は鋭く尖っていて、斜面に引っ掛かりがあると最大で50度くらいの斜面を登ることができるそうです。でも、もし落ちたらどうなるのでしょう。そんな実験もなされていました。

浜野龍夫ほか、「模擬的な堰堤からコンクリートやプールに落下したモクズガニの生残率」、日本水産学会誌 71, 131 (2005). (ここからダウンロードできます)

これも実験室での実験ですが、ある高さから落ちたときに下がコンクリートか、水かで負傷したり、死亡する率が大きく変わってきます。カニは幼体の状態で川を上っていきますが、その時に落ちると、横向きに落ちて、脚を負傷することが多いそうです。下がコンクリートだと1mの高さで25%の個体が脚を負傷しましたが、2mになると55%が負傷して、最終的に40%が死亡したそうです。ところが、親になると背中の甲羅から落ちるので、1mくらいだと大丈夫だったそうです。下が水だといずれの個体も大丈夫でした。こういうデータは堰堤を作るときにカニに優しい環境を作るためのよいヒントになりますね。もっとも、成体が下流に下るときには川の増水も大きな役割を果たしているそうです。

さて、モクズガニの生活史について書かれた分かりやすい総説を見つけました。

小林哲、「モクズガニ Eriocheir japonica (de Haan)の繁殖生態(総説)」、日本ベントス学会誌 54, 24 (1999). (ここからダウンロードできます)

この論文によると、このカニのように成長する場所と産卵する場所を変える現象を「通し回遊」というそうです。これにはいろいろな種類があります。この論文に従って、まとめてみると次のようになります。



産卵を淡水域でするサケは遡河回遊といいます。両側回遊というのは、アユみたいに普段は淡水域で生活するのですが、孵化後、一時的に海域に移動し、また、戻ってくるものをいいます。この分類によると、モクズガニは降河回遊ということになります。この論文に従って、モクズガニの生活史を絵にしてみると、次のようになります(なお、カニのイラストはフリーのものを用いました)。



川の上流で成長したカニは成体になると川を降りてきて海水が混じった汽水域や海域にやってきます。ここで、交尾をして卵を産みます。卵から孵ったカニはゾエアという幼生になり泳ぎ回りますが、さらにメガローパになり、着底します。その後、稚ガニになって遡行を開始します。途中にある堰堤もなんのその。これを上り上流に向かいます。途中でやめる個体もたくさんいて、そのため下流域から上流域まで広く分布します。そして、そこで成長していきます。大きさは上流の個体の方が大きくなる傾向があるそうです。さて、冬が近づいてくると成体の♀は下流に向かって移動を開始します。カニがそれぞれの場所で見られる時期については次の論文を参考にしました。

S. Kobayashi, "Process of Growth,Migration,and Reproduction of Middle- and Large-sized Japanese Mitten Crab Eriocheir japonica(de Haan)in a Small River and its Adjacent Sea Coast", Benthos Reseach 58, 87 (2003). (ここからダウンロードできます)

この論文は福岡県の川についての調査なのですが、詳しく調べられているので大変参考になります。移動は一斉に行われるわけではなく、五月雨式なので、かなりの長い期間にわたって個体が見られることになります。例えば、カニの成体は上流域では8月から1月まで見られるというのですが、1個体がこれだけの期間いるのというのではなく、秋早く移動する個体もあれば、1月になってから移動する個体もあるという意味だと思います。いずれにしても、海ではカニの成体もゾエアも自由に泳ぎ回るので、必ずしも同じ川に戻るというわけではなく、隣の川にも行ったりするようです。これは繁殖する上では都合のよいことです。

論文の中には、44mのダムを越えたとか、上海ガニが1000kmを遡行したという記録が出てきました。身近で見られるカニですが、果てしない力を秘めていますね。なお、次の論文によると、モクズガニは夜行性で、昼間は穴に隠れていてなかなか見つからないそうです。また、特定の巣があるわけではなく、自分の体の厚みの2-3倍の高さの隠れるところがあれば適当に隠れるという生活を送っているようです。

荒木晶、中西良太、「モクズガニの人工的空間に対する選択性に関する研究」、J. National Fisheries University 62, 39 (2013). (ここからダウンロードできます)

ついでにこの時に見たほかの植物や虫を出しておきます。





これはマルバルコウ





それにこれはクルマバザクロソウ。いずれも帰化植物です。



アムールシロヘリナガカメムシ



トノサマバッタ



それにナミアメンボ。この日はこんなところでした。

虫を調べる カタアカチュウレンジ

9月8日に見たハチです。まだ、その日の虫の報告はしていないのですが、先に検索をしてしまったので、忘れないうちに出しておきます。





こんなハチです。家の近くの道路際にあるイタドリの葉に止まっていました。見るからにハバチなのですが、胸の一部が赤いので、何とか名前が分かるかなと思って採集してきました。

ハバチの検索には、いつも、「大阪府のハバチ・キバチ類」を使っています。これを使って調べてみると、ミフシハバチ科のカタアカチュウレンジになりました。その検索過程を顕微鏡写真を使って見ていきたいと思います。



①から④までが科の検索、⑤が亜科の検索、⑥から⑩が種の検索です。これを一度に見ていきます。いつものように検索順ではなくて、部位別に見ていきます。



まずは背面図です。体長は8.4mm、前翅長は7.4mmでした。赤い部分は肩の部分だけみたいですね。⑥と⑩はいずれも色に関するものです。



これは横からです。この写真では脚が暗い色であることを見ます。



これは顔面です。ここでは、①の触角の挿入口が複眼下縁より上にあることを見ます。さらに、顔面には隆起線があって、形がY字型に見えるというのが⑧です。この写真で、各部の名称を入れるときに、どれが頭盾なのか迷ってしまいました。その時に役に立つのがanterior tentorial pitと呼ばれる孔です。これについては以前、「昆虫の頭の構造」という内容で書いたことがあります。頭盾と前額を分けるのは前額縫合線と呼ばれる線で、その縫合線上にanterior tentorial pitがあります。これは頭の後ろと前を内部でつなぐつっかえ棒の場所を示しています。それから判断すると、この写真で示した位置が頭盾でよいのではと思いました。



これは触角ですが、第3節が長い棒状になっています。これはチュウレンジバチなどが属するミフシハバチ科の特徴です。つまり、触角は3節のみになります。



次は翅脈です。まず翅脈に名称を入れてみました。翅脈の名称は次の本に従っています。

H. Goulet, "The Genera and Subgenera of the Sawflies of Canada and Alaska (Hymenoptera: Symphyta)", The Insects and Arachnids of Canada Part 20 (1992).(ここからダウンロードできます)

ただ、A脈の部分はハバチによってかなり変化するので、若干、想像で書き足しているところもあります。



翅脈に関して④、⑤、⑦、⑧の4つの項目が関係していますが、必要な部分を書き込んでおきました。⑦の縁紋の後方の暗色帯の場所がよく分からなかったので、「大阪府のハバチ・キバチ類」に載っているツノキウンモンチュウレンジの標本写真の暗色帯の場所を書き込みました。



これは後脚脛節末端の写真です。亜末端棘がどれを指すのかよく分からなかったのですが、「絵解きで調べる昆虫」には図が載っていたので、それに従いました。ということで、すべての項目が満足されたので、たぶん、カタアカチュウレンジで間違いないのではと思っています。

検索に使わなかった写真を載せておきます。





顔面のY字型の隆起線が面白かったので写したのですが、検索には使いませんでした。

「大阪府のハバチ・キバチ類」によると、カタアカチュウレンジは本州・四国・九州に分布し、近畿地方では成虫が4-6月に見られるそうです。また、主に山地で見られるが、やや少ないそうです。私も初めて見ました。ハバチも何度か検索をやってみたので、少しは慣れてきた感じがします。

家の近くのむし探検 ニレハムシなど

家の近くのむし探検 第318弾

一昨日の続きで9月6日に家の近くの国道沿いのイタドリの葉上を調べていて見つけた虫たちです。





これは以前、検索で散々悩み、最終的にニレハムシとしたハムシです。今回も2匹見つけました。このハムシはPyrrhalta属に含まれるのですが、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」に載っている種の検索表ではまず、触角末端節近くの幅と長さの比を調べます。長さが幅の2倍かそれ以下だと、次に、上翅の側縁に沿った細い隆起条の有無を調べます。以前はこの隆起条がどれなのか分からず、大苦戦をしました。もし、それがないとすれば、後は触角第3節と4節の長さを調べて、もしそれがほぼ等しいと、次は上翅の会合部と側縁に黒線があればヘリグロウスチャハムシ、なければニレハムシとなります。以前は、「たぶん、ニレハムシだと思うのですが・・・」で終わっていました。



ところで、今回はこんなハムシを見つけました。上翅の側縁近くを見ると、肩から側縁に沿って上翅の先端に向かう隆起条が見られます。あぁ、これが「上翅側縁に沿う隆起条」なのかと初めて分かりました。ということで、これはニレハムシ以外の種となります。そうやって見ると、触角末端節付近の節がかなり長細く、また、第3節は第4節よりも長そうです。こんなことを撮影していたときに気が付いたら、絶対に採集していたのですが、まったく気が付かず、最終的にこれを採集したかどうかは冷凍庫を探さないと分かりません。もしなければこの写真で検索してみようと思っています。ということで、今回は保留です。逆に、上翅側縁に沿う隆起条が分かったので、上の二つの個体はニレハムシの可能性が高くなりました。採集したかなぁ。後で見てみます。(追記2018/01/05:後ほど検索してみてサンゴジュハムシであることが分かりました





クロウリハムシはあちこちで姿を見ます。



これはクズの葉を食べているので、たぶん、クズノチビタマムシでしょうね。いつも5-6月に見ていたのですが、今頃でもいるのですね。





葉っぱの先を向いてハエがぽつっと止まっていました。よく見ると、あちこちの葉に同じように止まっています。記録を見てみると以前にも調べたことがありました。昨年の7月のことです。そのときは悩みながらも、「日本のイエバエ科」で検索をして、最終的にはチャバネヒメクロバエにたどり着いていました。ただ、顕微鏡写真を撮っていなかったので、検索の過程に関する記録がまったく残っていません。今回は採集したので、一度、きちんと調べてみるつもりです。いくら検索しても、その記録を残していないと何の意味もありませんね。





イタドリの葉上にはアリがうろうろしています。でも、アリは捕まえないと名前が分からないので、普段は無視しています。たまに写してみたら、腹部のこんな4つの点がありました。たぶん、シベリアカタアリですね。以前にも何度か見ていました。ただ、絵合わせで決めているので、一度、捕まえてきちんと調べてみないといけませんね。こういう目的地の決まっている検索は概して楽しいです。



イタドリの葉にこんな巣?を見かけました。以前も写真を出して、教えていただいたのかもしれませんが、忘れてしまいました。中には何か幼虫が入っています。さて、何でしょう。





後は蛾です。カノコガは腹部の先端付近が青白く光るのですね。



最後はマンションの廊下にいたシロテンキノメイガです。今頃、いっぱいいます。
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