家の近くのむし探検 アミダテントウほか
家の近くのむし探検 第332弾
9月26日は、マンションの廊下をちょっと歩いた後、いつもの国道脇の茂みで虫を探しました。ここは車が横を通るので、そのたびに風が起きて撮影は大変なのですが、結構、虫が多くて楽しめます。
この日はこんな鮮やかなテントウを見つけました。「原色日本甲虫図鑑III」で見ると、アミダテントウとそっくりです。説明を読むと、「特異な斑紋は安定している」というので、たぶん、大丈夫でしょう。一応、採集したのですが、とりあえず文献で調べてみました。というのは、このテントウは学名でAmida tricolorというのですが、Amidaの由来を知りたくて・・・。
G. Yu, "Amida Lewis, with Description of a New Species (Coleoptera: Coccinellidae) from China", Zool. Studies 39, 23 (2000). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)
まず、この論文に最近のAmida属の事情が載っていました。アミダテントウは1878年にHaroldが日本で見つけ、Scymnus (Nephus) tricolorと名付けたのですが、その後、1896年にLewisが山口と奈良で見つかった種を調べて、新属 Amidaと帰属したそうです。その後、この属にはずっとtricolor一種だけが記録されていたのですが、1982年頃からベトナムで9種、1979年に中国で3種、さらに、この論文で中国でもう1種が記録されました。したがって、この論文で見る限り、現在では14種ということになります。Amidaと命名したLewisの論文も読むことができました。
Lewis G., "On the Coccinellidae of Japan", Ann. Mag. Nat. Hist. 6, 22 (1896). (ここからダウンロードできます)
ここにはAmida属の特徴は載っているのですが、肝心のAmidaの由来は書かれていませんでした。あまり、考えずに、日本だから「阿弥陀」とつけたのではないかな。
T. Katoh et al., "Phylogeny of Epilachna, Henosepilachna, and Some Minor Genera of Phytophagous Ladybird Beetles (Coleoptera: Coccinellidae: Coccinellinae: Epilachnini), with an Analysis of Ancestral Biogeography and Host-Plant Utilization", Zool. Sci. 31, 820 (2014). (ここからダウンロードできます)
この論文には世界のEpilachninae亜科Epilachnini族のDNAを用いた系統樹解析がされていて、この中にAmida tricolorも入っていました。結果だけ見ると、アミダテントウはかなり原始的なテントウで、アカホシテントウ属とは姉妹関係になっているようです。いずれにしても、上の二つの論文で属の特徴が載っていて、Yuの論文にはtricolorを含んだ種の検索表が載っているので、一度、調べてみます。
残りの甲虫です。クモの巣の下にハムシダマシがいました。普通に動いていたので、別に捕まったというわけではなさそうです。
たぶん、ナミガタチビタマムシではないかと思っている虫です。
クロウリハムシはとにかくいっぱいいます。
ついでにカメムシも出しておきます。これはこの間から見ているフトハサミツノカメムシだと思います。
ホオズキカメムシ。
チャバネアオカメムシも結構います。これの幼虫の体色変異と成虫の休眠が光周期で決まるという論文もいくつか見てみたのですが、新しい幼若ホルモンが見つかったという話とか、その構造とかで、それほど興味が湧かなかったのでそのままになっています。
ところで、この間見つけたカメムシらしい卵、えらいことになっていました。ほとんどの卵の蓋に穴が開いています。こんな感じで孵化するのかなぁと思って、ネットで探してみたら、「ムシをデザインしたのはダレ?」という非常に綺麗な写真を出しておられる方のブログに詳しく載っていました。卵殻破砕器(egg-burster)で蓋を開けて出てくるそうです。卵殻破砕器はいろいろな論文に載っているので、今度、実物を見たときに紹介します。いずれにしても、この場合、箱の蓋が開くように綺麗に蓋が開くようです。ネットで探してみても蓋が綺麗に開いた写真が多いので、たぶん、これはこの間見た寄生バチが出た後ではないかと思いました。残りは3つほどですが、これも怪しいですね。
この間まで綺麗に咲いていたイタドリがこんな種になっていました。季節の移り変わりは早いですね。
最後の写真はカラムシの花を撮ったつもりだったのですが、何が何だか分かりません。今度、もう一度見てきます。
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