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家の近くのむし探検 ハムシ、バッタなど

家の近くのむし探検 第314弾

8月28日に家の近くの公園で見つけた虫の紹介です。



最近、ハムシの検索に凝っているので、ハムシがいないかなと探し回ってやっと一匹見つけました。ツツジの芽にくっつくように止まっていました。一応、採集しようと思って芽ごと採集していて、先ほど見てみたら、本当にくっついていました。やはりモチツツジの仲間なのですね。一見して、先日、2回検索を試みたPagria属()に似ている感じなので、とりあえず、顔を拡大してみました。(追記2018/01/05:これはたぶん、サクラサルハムシであろうと思います。詳細はこちらをご覧ください



やはり複眼の上に溝がありました。たぶん、前回と同じPagria属ですね。

今坂正一、南雅之、「日本産Pagria(キバネサルハムシ属)について―付.東南アジア産数種の研究」、佐賀の昆虫 44, 253 (2008). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

この論文には日本産Pagria属4種の検索表が載っているのですが、色が全く違うので調べようがありません。それでも、、「頭頂の側縁は複眼の内側で弱く波曲する」というマルキバネサルハムシ P. ussuriensisが気になるので、その部分をさらに拡大してみました。



白矢印で示したように、確かに縁が波打っています。マルキバネサルハムシの黒色型かもしれません。



ほかにいた甲虫はこのマメコガネだけでした。



そのほか、ツチイナゴの幼虫がいました。



カマキリはかっこいいですね。ついでに前脚の付け根を写してみました。



黄色いのでたぶん、オオカマキリでしょうね。





ついでに植物も。これはヘクソカズラの花の後かな。ほかにもいたのですが、次回に回します。
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虫を調べる ハリアリ亜科の雄アリ

この間、マンションの廊下で変わったハチを見つけました。ハチは科も分からないので避けていたのですが、たまには調べてみようと思って1匹だけ採集してきました。





上と下の写真は同じ種だと思うのですが、捕まえたのは上の方の個体です。どうせコマユバチかその辺かなと思っていたのですが、顕微鏡で観てびっくり。



腹柄節があります。これはアリだったのですね。頭部が小さいので、たぶん、雄アリ。それにしても、触角が普通のアリとまったく違います。以前、オオハリアリの雄アリを腹柄節に気が付かなくて検索して、コマユバチだと書いたことがあったのですが、コメントをいただいてからよく見てみると、腹柄節がありました。今回は真っ先に見ました。やはり腹柄節があり、アリの仲間でした。

雄アリは属までの絵解き検索が「日本産アリ類画像データベース」に出ています。一度、試してみようと思って調べてみました。ただ、なかなか難しくて、最終的に確実というところまでは行かなかったのですが、とりあえずここまで調べてきたことをまとめてみました。



まずは亜科の検索です。①から⑥までを確かめることにより、ハリアリ亜科、ノコギリハリアリ亜科、カギバラアリ亜科のいずれかというところに到達します。これを写真で調べていきます。



この写真では腹柄節が1節であることと、触角挿入口が大顎から離れたところにあることを見ます。⑤はカタアリ亜科かどうかを調べる項目ですが、腹柄節は横には広がっていませんでした(写真には撮りませんでした)。



これは頭部の写真ですが、頭幅や大顎についてはすぐに確かめられますが、額隆起線は②で不明瞭と書かれていたり、④では額隆起縁を持つと書かれていたりしてよく分かりません。これまで見てきたアリ(例えば、トビイロシワアリ)のようにはっきりした額隆起線がないことだけは確かです。



これは触角基部を拡大したものですが、強いて言えばこれが額隆起線ないしは額隆起縁かなと思ったのですが、よくは分かりません。いずれにしても検索には問題ないだろうと思われます。



これは腹部の節を写したものですが、第2節の前半と第1節の間には段差があり、第1節に第2節が入り込むような構造をしていません。これで、ハリアリ亜科などになりました。



次は属の検索です。ここではだいぶ迷ったので、⑧、⑫、⑬については二つの対立する項目を書いておきました。この手順で調べていくと、第1候補はニセハリアリ属になったのですが、フトハリアリ属(日本産アリ類図鑑によると、オオハリアリ属になっていました)の可能性も完全には除外できず、こちらが第2候補になりました。



まず、ニセハリアリ属へ進む過程を見ていきます。これは有翅であり、腹部第2節がカギバリアリ亜科のように曲がっていないことで、これは確かです。



これは触角挿入口が前方に突き出していないことで、これも大丈夫そうです。



これは中胸背板を写したもので、ここに中胸背前斜溝があるかどうかです。「日本産アリ類画像データベース」には絵も載っていて、前から斜めに走る溝があるみたいなのですが、ぱっと見たところはありません。



それでもう少し拡大してみました。隆起線は両側にありますが、溝のようなものは見えません。たぶん、ないとしていいと思うのですが、溝については以前見つからなくてだいぶ苦労したことがあったので、とりあえず、溝があるという方も留保しておくことにしました。これが⑧bの方です。



次は腹柄節の下側にある出っ張り(黒矢印)に穴が開いているかどうかですが、見た感じではありません。



次は腹部末端の第6背板に突起があるかどうかですが、?で示したように突起があるように見えます。ただ、「ある」という方を選ぶと、⑬のトゲオオハリアリ属か、アギトアリ属になり、共に記述とは合わなくなるので、たぶん、この突起のことではないのではと思いました。



後脛節先端には1本の突起をもっているだけでした。ということで、留保しておいた⑧bを除けば、ハリアリ亜科のニセハリアリ属になりました。⑧bの方を選ぶと、ほとんど問題なくオオハリアリ属になります。そこで、ここではニセハリアリ属を第1候補、オオハリアリ属を第2候補としておきたいと思います。種の検索表は載っていないので、今回はここまででした。



検索に用いなかった写真を載せておきます。これは翅脈です。翅脈の名称については次の論文を参考にしました。

K. S. Perfilieva, "Trends in Evolution of Ant Wing Venation (Hymenoptera, Formicidae)", Zoologicheskii Zhurnal 89, 965 (2010). (ここからダウンロードできます)



これは下から撮った頭部です。大顎が小さいですね。



腹柄節を20倍の対物鏡で拡大してみました。下部の突起に穴があいていないか見るためです。やはり開いていないようです。



これは腹部第2節の前半が第1節に埋まっていないかを写したのですが、こんなに倍率を上げる必要もなかったようです。



最後は胸部側面もひょっとしたらいるかもと思って撮っておいた写真です。

雄アリはよく見かけるのですが、検索は難しいと思って避けていました。今回、ちょっと変わったハチのような雄アリがいたので調べてみたのですが、やはり検索はなかなか難しいです。「日本産アリ類図鑑」(朝倉書店、2014)は検索表が充実しているのですが、雄アリや有翅雌アリがどこまで適用してよいのかはっきりしないので、いつももやもやで終わってしまいます。今回も上の結果がよいのか確かめてみようと思ったのですが、やはりその点がはっきりしませんでした。

廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第938弾

8月25日にマンションの廊下を歩いていて見つけた蛾です。蛾はやはりマンションで探すのがいいですね。とにかく多い!



今日の最初はこの綺麗な蛾です。いつもならヒメウコンエダシャクとしてしまうのですが、「標準図鑑」と比べると、どうもウコンエダシャクに近い感じです。そこで、解説を読んでみました。まず、前翅に刻孔という半透明な部分があると♂になります。これについては以前、発音するという話と一緒に書いたことがあります。これにはないので、たぶん♀でしょうね。それで、♀について、「標準図鑑」に書かれているヒメウコンの特徴を書いてみると、1)前翅翅頂部の褐色斑はより小さく淡色、2)前翅後縁の中央付近の斑紋はウコンのように褐色でなく、2個の白色の小斑で褐色の縁取りをもつ。むしろ後角近くの褐色斑が大きい、とあります。この個体を見ると、前翅後縁の2個の小斑は褐色味がかなり強く、後角近くの大きな褐色斑が見えません。それで、たぶん、ウコンエダシャク♀ではないかという判断です。



これはオレクギエダシャクか、ニセオレクギエダシャクかというところですが、区別がつきません。



アオシャクは壁の高いところに止まっていたので、大きさをはっきり覚えていないのですが、かなり小さかったような印象があります。外横線や内横線の形からは、オオナミガタアオシャクとヒメウスアオシャクが候補に挙がったのですが、大きさと内横線の形からヒメウスアオシャクを選びました。よく分かりません。





そして、苦手はヒメシャクです。まず、上の方についてです。外横線が各脈上で強くなっています。それで、雰囲気的にはサクライキヒメシャクかなと思ったのですが、外横線が前縁に近いところで折れ曲がっているのが気になります。そうなると、オイワケヒメシャクになるのですが、外横線の後縁辺りの黒い点がはっきりしないこと、それに外縁の黒い点がやけにはっきりしていることが気になりました。それで、最終的にはウスキヒメシャクにしました。2枚目は外横線が弱いのですが、やはり前縁近くで曲がっています。それで、同じウスキヒメシャクかなと思ったのですが、よく分かりません。



翅を半分開けたように止まっていました。翅に黒い筋が目立ちます。たぶん、クビワシャチホコではないかと思います。



こちらはコトビモンシャチホコ



これはリンゴドクガ



それにゴマフリドクガです。



後は小さな蛾です。これはサツマキノメイガ



オオウスベニトガリメイガ



キベリトガリメイガ



シバツトガ



ヒメマダラミズメイガ



それにノシメマダラメイガでした。

廊下のむし探検 オオクサカゲロウ、トゲナシケバエほか

廊下のむし探検 第937弾

公園に行ったり、ちょっと遠くまで行ったりするのですが、結局のところ、マンションの廊下で虫を探すのが一番効率的ですね。ともかく見つけやすい!写真も撮りやすい!そんなわけで、8月25日もマンションの廊下を歩いてみました。一時と比べると虫の数は少ないのですが、それでも面白い虫がいました。



何の変哲もないクサカゲロウなのですが、ともかく大きいのです。体長を測ってみると20.6mmもありました。前翅長は23.9mm。普通よく見るスズキクサカゲロウの記録を見てみると、前翅長14mmと書いてあるので、その大きさが分かるかもしれません。



いつものように顔を拡大してみました。およそ黒紋は見当たりません。とりあえず、いろいろと撮影してから、家で調べてみました。検索にはいつもお世話になっている次の本の検索表を用いました。

S. Tsukaguchi, "Chrysopidae of Japan (Insecta, Neuroptera)", private publishing (1995).

顔に紋がない、大型という特徴ははっきりしているので、意外に簡単に検索ができ、オオクサカゲロウ属Ninetaになりました。検索表でそこまでの部分を抜き出すと次のようになります。



原文は英語で、私が適当に訳しているので、話半分くらいで見ていただければ幸いです。検索は1b→3a→4aと進みます。その過程を写真で見ていきます。まず、1のfile-like structureがどんなものなのかよく知らないのですが、とにかく、写真では腹板側方に変なものは見えないので、1bを選びました。次の3は頭部に紋がないので、3aを選ぶと4に到達します。






4では前翅長が23.9mmなので、まず、4aを選んで調べていきます。次の触角柄節は上の写真のように長さの方が長いことが分かります。さらに、Psm脈とPsc脈を結ぶ横脈の数は9本でした。ということで、すべての条件を満足しているので、オオクサカゲロウ属Ninetaになります。塚口氏の本によると、この属にはヒメオオクサカゲロウ vittata、キタオオクサカゲロウ alpicola、オオクサカゲロウ itoiの3種が記録されています。その検索表を書くと次のようになります。



これも適当に訳したので、間違っているところがあるかもしれません。1では前胸背板の刺毛の色を見るのですが、上の写真でも分かりますが、ほとんど透明です。また、写真では分かりにくいのですが、段横脈の色は緑の脈と黒っぽい脈が混じっています。ということで、1bを選びます。2では小顎肢はほとんど色づいていないので、2bを選ぶと、オオクサカゲロウ N. itoiになることが分かります。たぶん、合っているのではと思っています。



次はこの虫です。この間から、ちょくちょく見かけるようになりました。前脚脛節に棘がないので、トゲナシケバエの仲間で、左右の複眼がくっついているので♂です。このままでは名前が分からないので、採集して交尾器を調べてみました。



これは腹側から写したものですが、見覚えのある形をしています。以前も調べたことがあるPlecia membranifera♂によく似ています。たぶん、これでしょう。例年8月終わりか9月初めにかけて発生しています。記録によると、5月、10月というのもありましたが・・・。



次は甲虫です。これは以前、アカコブコブゾウムシとしていた種と似ていますが、果たしてそれなのかどうかは分かりません。(追記2018/05/27:「日本列島の甲虫全種目録 (2018年)」によると、和名がアカコブゾウムシとなっていました。訂正しておきます





ウバタマムシがひっくり返っていたので、起こしてやりました。だいぶ弱っているのかほとんど動きません。



これはオオゾウムシです。



今頃、イナゴがよくやってきます。手すりに止まっていて、撮ろうとすると裏側にいくので、手でこちらに追いやって撮りました。たぶん、ハネナガイナゴ♂だと思うのですが、一度、ちゃんと調べてみたいなと思っています。



こちらはたぶん、ホシササキリ♂。(追記2017/10/07:tos*k*hiさんから、「ところで、『こちらはたぶん、ホシササキリ♂』とありますが、セスジササキリモドキというササキリモドキ科の虫です。」というコメントをいただきました。調べてみると、その通りでした。ご指摘有難うございました



アオマツムシ



それから、この間から出ているウスグモスズ♀です。後は蛾なのですが、それは次回に回します。

家の近くのむし探検 蛾、バッタほか

家の近くのむし探検 第313弾

8月23日に家の近くにある公園で見た虫です。公園に行く前にマンションの廊下も通るので、その時に見た虫も入っています。



最初は廊下で見たこの蛾です。ツマキシャチホコの仲間ですが、この仲間には似た種がいろいろいるので、少しまとめてみました。



「標準図鑑」と「大図鑑」の説明をまとめたものです。これを当てはめてみたものが次の図です。



黄色斑の内側が赤く縁取られていて、内横線の後縁側に暗色斑があるので、たぶん、ツマキシャチホコではないかと思います。



これも廊下に止まっていたものです。たぶん、リンゴツマキリアツバかな。



これはヘリグロコブガ



それにウスキコヤガ



後は公園で見たものです。これはシバツトガ





公園での蛾の撮影は大変です。たいがい、葉裏に逆さまになって止まっているので、地面側から写さないといけません。これはモモノゴマダラノメイガ



フタナミトビヒメシャク。





次はバッタです。これはマンションの廊下の天井にいました。たぶん、ハネナガイナゴの♂だと思いますが、もう少し腹部末端を拡大しないと検索ができません。



これは公園です。葉をかじっているのはオンブバッタみたいです。





これはマンションにいたものです。前脚の間が赤くないので、たぶん、オオカマキリ



こちらはルリチュウレンジ





ムシヒキがいたのですが、♀なのでよく分かりません。それで、「ムシヒキアブ図鑑」を見てみました。ヒサマツムシヒキではないかと思ったのですが・・・。



アシナガバエの仲間。



それにこのカスミカメです。これについては以前、調べたことがありました。外来種で、台湾で記録されている、Mansoniella shihfanaeではないかと思います。(追記2018/06/02:立西さんから、「クスベニヒラタカスミカメ Mansoniella cinnamomiという種名で決着しているようです。あちこちで被害木を見かけますね。」というコメントをいただきました。この名で検索すると、「昆虫と自然」2016年の12月号にも載っていたようですね。貴重な情報、どうも有難うございました



最後は葉を曲げてこんな中でひっくり返っているクモです。この間も見たことがありました。その時はピンセットで追い出したら、アオオニグモみたいでした。



この日は横から覗くだけにしました。

松尾湿原の花と虫

昨日の続きで8月20日に宝塚自然の家の敷地内にある松尾湿原で撮った花と虫です。虫は少なかったのですが、花はサギソウを初めとしてそこそこ咲いていました。花の名前はなかなか分かりません。図鑑と首っ引きで調べたのですが、かなり怪しいのもあります。



宝塚自然の家は11月末まで土日だけ一般開放されています。時間は10時から4時です。入り口で番をしておられる方に聞いたのですが、それでも、一日20-50人程度しか来場者はいないということでした。施設に入ってまず気のついたのはこの花でした。たぶん、ユリ科のノギラン



こちらはキク科のガンクビソウかな。







湿原に着いて眺めていたら、サギソウがいっぱい咲いているので嬉しくなりました。これは昨日紹介しました。ひとしきりサギソウに目を奪われていたのですが、そういえばハッチョウトンボはいるかなと思って探してみると、いました、いました。小さなハチみたいなトンボが何匹も飛んでいます。本当に可愛いですね。「日本のトンボ」を見ると、体長は2 cmほど。どうなったかなと心配だったので、ちょっと安心しました。でも、いるのはこんな真っ赤な♂ばかり。♀も探してみたのですが、見つかりませんでした。



ハッチョウトンボがいるとそれに目を奪われ、他のトンボまでは目が行き届きませんでした。オオシオカラトンボがいたことは確かです。



これはカヤツリグサ科のコマツカサススキではないかと思われます。マツカサススキとの違いがよく分かりませんが、以前、もらったパンフレットに書いてあったような・・・。



これはサワヒヨドリかな。





これは「野に咲く花」を見て、ホザキノミミカキグサかなと思いました。





これは何でしょうね。散々悩みました。ヤマイというカヤツリグサ科の花に似ているなと思ったのですが、違っているかもしれません。





宝塚自然の家を出て、周辺を歩いてみました。ママコナの花がいっぱい咲いていました。





虫がいないかなぁと思って探したら、メンガタカスミカメを見つけました。調べてみると、今年の6月に家の近くの公園でも見ていました。





後はコチャバネセセリくらいでした。やはり虫はじっくり一箇所で探し回った方が見つかりますね。

実は、この日はメマトイだと思うのですが、顔の周りに小さなハエが20匹くらいがまとわりついて大変でした。途中まで伊達メガネをして防いでいたのですが、そのメガネをどこかで落としてしまったらしく、後は手で避けながらの撮影だったので、あまりゆっくり時間が撮れませんでした。ハイキングをしている人たちは頭からネットをかぶっていました。ああいうのがいいですね。メガネだと写真を撮るときに外したりはめたりしなくてはいけないし・・・。

松尾湿原のサギソウ

いつも虫ばかり調べているので、今年は少し植物も勉強してみようと思って、正月に植物同好会に入りました。その観察会が8月20日に宝塚市西谷の森公園で開かれました。というより、正確にいうと、開かれる予定でした。というのは、集合時間に遅れて、私だけが車で公園に行ったら、誰も来なかったからです。しょっちゅう、目的地を変える会なのできっと今回も変わったのでしょう。

しばらく待っていたのですが、誰も来ないので、西谷の森公園から丸山湿原に向かう道を歩いて花と虫を写し、それから、宝塚自然の家に向かってみました。ここは2年ほど前から閉鎖されていたのですが、この間ネットを見たら、土日だけ開いていると書いてあったので、ちょっと様子を見に行ったのです。この敷地内には松尾湿原という小さな湿原があるので楽しみにしていました。行ってみると、サギソウは咲いているやら、ハッチョウトンボは飛び回るやら、まるで、地上の楽園でした。今日はそのうち、サギソウについて書いてみます。





湿原で撮ったサギソウです。サギソウはその清楚な姿がいいですね。



サギソウの花自体は小さいので、湿地全体で眺めたらこんな感じで、白い点がぽつぽつ見える程度でした。





サギが入り乱れて飛んでいる感じですね。

ところで、湿原のサギソウは近くで見れるといっても、やはり望遠で撮らないといけないので、いつもの虫の様に接写では撮れません。ちょっと残念だなと思っていたら、湿原から水が流れている水路沿いで一輪だけ咲いているのを見つけました。シメタ!と思って近寄って撮ってみました。





花の奥の方も写してみました。穴が開いています。これが蜜が溜まっている距の入り口でしょうね。花の奥は複雑な構造をしているので、花の構造についても調べてみました。「日本の野生植物I」に簡単な説明図が載っていました。この図とサギソウの説明文を読んで、各部の名称を書き入れてみると次の様になります。



サギのように見える部分を唇弁とよぶようです。花の後ろには長い距があります。図鑑の説明によると、距の長さは3-4cmみたいです。よく見ると、距の底には液が入っているみたいです。これが蜜なのかな。



花の奥の各部にも図鑑の説明図を見ながら名称をいれてみました。ただ、ちょっと合わない部分がありました。それが、この写真で花粉塊と書いてある部分です。この花粉塊はサギソウの花粉媒介者(ポリネーター)と深い関係があります。これについては次の論文に書かれていました。

K. Suetsugu and K. Tanaka, "Diurnal butterfly pollination in the orchid Habenaria radiata", Entomol. Sci. 17, 443 (2014).
M. Pedron et al., "Pollination biology of four sympatric species of Habenaria (Orchidaceae: Orchidinae) from southern Brazil", Bot. J. Linnean Soc. 170, 141 (2012).
R. B. Singer, "POLLINATION BIOLOGY OF HABENARIA PARVIFLORA (ORCHIDACEAE: HABENARIINAE) IN SOUTHEASTERN BRAZIL", Darwiniana 39, 201 (2001). (ここからダウンロードできます)

サギソウは学名でHabenaria radiataといいますが、Habenaria属では通常、花粉媒介者としては、ススメガやメイガ、ガガンボなどが知られています。最初の論文はサギソウでは昼行性のイチモンジセセリもポリネーターになるという論文でした。後二者はHabenaria属でどのように花粉媒介するか書かれていました。サギソウを含むHabenaria属にポリネーターがやってくると、距の中の蜜を吸おうと、口吻を距の入り口から差し込みます。そして、顔を花に押し付けるようにして蜜をたくさん吸おうとします。

そのとき、葯室が破れ、中に入っていた花粉塊が体についてしまうというのです。花粉塊の
長い柄の先には花粉小塊があり、逆の先端には粘着体がついています。図鑑の説明によると、こんな花粉塊が左右の葯室に一個ずつ入っているそうです。粘着体の部分は板状になっていたり、手袋状になっていたりとランの種によって変わりますが、いずれにしても、ポリネーターが蛾の場合には、鱗粉のついていない部分に付着すると、この形のままで蛾にくっついて運ばれていきます。具体的には、口吻、口肢、複眼につくことが多いようです。

こうしてくっついたまま次の花に行くと、また、花粉塊が新たにくっつきます。論文には花粉塊が10個ほどついている蛾の写真が載っていました。花粉塊のついたポリネーターが次の花にやってくると、蜜を吸おうと同じように花に顔を押し付けます。その時、花粉塊の先端の粘着体が花の柱頭について花粉塊の移動が完結します。上の写真はちょうどそうやって柱頭についた花粉塊の状態を表していたようです。こんな変わった送受粉をするのは、ランは生息密度が低く、また、訪れるポリネーターも少ないので、やってきたら確実に送粉させようとする工夫のようです。

ただ、ランのポリネーターが何なのかを探すのはなかなか大変な仕事のようです。と言うのは、ランには滅多に虫がやって来ないので、それに適応して開花時期や時間も長くなっています。その間、ずっと見ていないといけないからです。やってくる虫を調べるだけなら、15-30秒に一回の割で写真を撮ったりという工夫もされていますが、送受粉がどのように行われるかを知ろうと思うと、やはりずっと観察していないといけません。今度、松尾湿原に行ったら、ずっと見ていようかなと思っていたのですが、ずいぶん根気のいる仕事だったのですね。

虫を調べる たぶん、スジカミナリハムシ

一週間ほど前に、マンションの廊下でハムシを捕まえました。



いつもよく見るハムシで、後脚腿節が太く、前胸背板の後縁近くに深い横溝が見えるので、たぶん、カミナリハムシの仲間だろうと思ったのですが、ハムシは今、勉強中なのでちょうどいいと思って採集してきました。先日、早速、検索をしてみて、スジカミナリハムシだろうということになったのですが、検索表の項目を詳しく見ていくと、疑問になる点ばかり。すっかり自信を無くしていたのですが、とりあえず一度まとめてみようと思って出してみます。



これは採集した個体を実体顕微鏡で撮影したものです。ハムシの顔は下の方を向いているので、体長をどうやって測ればよいのか分からないので、とりあえず寸法を入れておきます。たぶん、4㎜内外だと思います。

検索表にはいろいろな文献を使いましたが、亜科の検索には「原色日本甲虫図鑑IV」に載っている検索表を用いました。検索をするとノミハムシ亜科になったのですが、まず、その過程を顕微鏡で見ていきます。



ノミハムシ亜科であるこを確かめるにはこの3項目を調べればよいことになります。いつものように部位別に見ていきたいと思います。



これは頭部の写真ですが、頭頂には突起らしいものは見えないので①はOKのようです。次の②は触角の基部が近いということですが、近いようでもあり、離れているようでもあるのですが、先日調べたPagria属と比べると明らかに近いのでたぶん、近いということでしょう。頭部の前半部がどこを指しているのか分からなかったので、これはパスです。(追記2017/10/06:先日調べたのはPagria属ではなく、Cleoporus属のサクラサルハムシでした。詳細はこちらをご覧ください



これは腹側から写したものですが、前胸腹板突起ははっきりしています。基節窩は脚の基部が入っている穴をさしますが、矢印で示した部分全体の大きな穴を指しているのだと思いました。左右の基節窩が広く分離しているのかどうか分かりませんが、たぶん、離れているのでしょう。後に出てくる検索表でもそうなのですが、広いとか、大きいとか、相対的な表現が多く見られます。その割に、図が出ていないので、多分に検索表を作った作者の主観によっているようです。これは内容を熟知している方には十分なのでしょうけど、私のような素人にとってはいつも困るところです。是非とも、図を載せるか、何に比べて広いとか大きいとか、比較対象を載せていただきたいなと思いました。



最後は後脚腿節です。これが肥大しているというのはすぐに分かります。後半に出てくるモーリック器官はジャンプするときに用いる器官で次の論文に書かれています。

K. Nadein and O. Bets, "Jumping mechanisms and performance in beetles. I. Flea beetles (Coleoptera: Chrysomelidae: Alticini)", J. Exp. Biol. 219, 2015 (2016).(ここからダウンロードできます)

要は、腿節の内部に三次元に折りたたまれた大きな器官があり、1929年にMaulikという人が見つけたので、Maulik's organと呼ばれています。これはジャンプに関連した器官だとされていたのですが、実は、腱みたいなものでこれにmetafemoral springという伸縮筋が取りつき、ジャンプをすることが分かってきました。その機構も面白いのですが、ここではそれは省略します。いずれにしても、腿節内部にある器官があるかないかは解剖しないと分からないので、なぜ、検索表にそれを載せたのかは疑問です。

いずれにしても、これで3項目すべてが一応確かめられたので、これはノミハムシ亜科ということになります。次は属の検索です。属の検索には次の本の中の検索表を用いました。

木元 新作, 滝沢 春雄、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」(東海大学出版会、1994).

これは先日、吹田市立図書館で調べてきたものです。ノミハムシ亜科の検索表はいずれ使うかもと思ってコピーしてきたのが正解でした。



スジカミナリハムシの属するカミナリハムシ属に至る過程を載せています。ただ、怪しいところがだいぶあって、その部分は2つの選択肢をそのまま載せておき、aとbで区別しておきました。検索表でいうと、⑬、⑮、⑯、⑰の各項目です。これも部位別に見ていきたいと思います。



この写真では⑪の前胸背板後縁前方に横溝があることを見ます。⑫については上翅会合部から3列ほどは点刻は並んでいますが、その外側はほとんど点刻が分からないような状態になっています。⑫は、たぶん、この外側のことを言っているのでしょう。



触角の節は11節です。こういう項目は明快でいいのですが・・・。



この写真では⑯の前頭突起を見ます。前頭突起がはっきりしなかったのですが、前頭突起は英語でfrontal tubercleといいます。これで検索して調べると、上の矢印の部分の少し盛り上がった部分を指すのではないかと思いました。触角間室の意味がよく分からなかったのですが、触角と触角の間と解釈すると、そこまで前縁が伸びているということはないだろうと思ったのですが、一応、対抗する項目も載せておきました。後者を選ぶと、アラハダトビハムシ属、グミトビハムシ属になります。図鑑の図版を見ると、たいていは違うのですが、よく似たチビカミナリハムシはグミトビハムシ属に属しています。説明を読むと、前頭突起の形状のことが書かれているので、やはりこれで区別するしかないようです。ただ、チビカミナリハムシは体長が2mm前後なので、たぶん、違うと思われ、次に進むことにしました。



次は前胸背板の後縁前方にある横溝についてです。ここで再び迷いました。写真を見ると、⑬bに書いてあるようではなく、横溝両端に短い縦溝があるようにも見えます。これが違うと、チャバネツヤハムシ属かヒメトビハムシ属になるのですが、前者は色が異なり、後者は大きさが違います。検索表をよく読むと、「横溝はその両端を短い縦溝によって境される」とあります。この写真のは両端が前方に曲がっているように見えます。ということで、⑬bを選ぶことにしました。次の⑰も悩みました。どうみても、横溝は側縁に達せずに曲がっていたからです。これに対抗する項目は「側縁に達しない」で、ホソルリトビハムシ属になります。図鑑の説明を読むと、「横溝は短く、側方部に達しない」でした。この写真の個体では横溝は側縁近くで前方に曲がり、その後、側縁に達しているようにも見えます。それで、⑰bを選ぶことにしました。



次々と問題点が出てくるのですが、この写真のは最大の問題点かなと思いました。まず、⑥の前肢基節窩は後方に開いているというのは白矢印で示すようにすぐに分かります。次の⑮が問題でした。中胸腹板は中央部がわずかに凹んでいるように見えます。⑮bは「中央部が明瞭に窪まない」、こに対抗する⑮aは、「中央部が全体として窪む」です。黄矢印で示しますが、どちらともとれるような感じです。これが⑮aだと、チビカミナリハムシ属になり、図鑑にはウスグロチビカミナリハムシとルリチビカミナリハムシが載っています。図版では何とも言えないのですが、大きさが共に2mm前後と小さいこと、肢の色が黄褐色ないし赤褐色なので、違うかなと思うのですが、検索表上では何とも言えません。一応、保留のまま次に進みます。



これは後肢の写真ですが、検索項目はいずれもすぐに分かります。



最後は後肢跗節の爪ですが、特に異常はありません。ということで、怪しいところが4か所もあったのですが、これを強引に突き進むとカミナリハムシ属になりました。これらの項目はまた、別の種を検索するときに再検討してみたいと思います。



最後は種の検索です。これは次の論文に載っていたものを翻訳したものです。

S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. X Subfamily Alticinae III". J. Fac. Agri., Kyushu Univ. 13, 601 (1966). (ここからダウンロードできます)

⑱はスジカミナリハムシの「スジ」の由来である縦隆起線についてです。



これは横から撮ったものですが、肩の高さで隆起線が肩から翅の先端まで続いてみます。これを見て、最初にスジカミナリハムシだろうと思ったのですが、実際に検索してみると、なんだか怪しくなってきました。



これは上翅の前半部分を拡大したものです。はっきりと上側の縦隆起線と下側の翅の側縁の隆起線がほぼ平行して走っているのが分かります。



最後は上翅を拡大したものです。最初にも書いたのですが、翅の会合部から3列ほど除いて、点刻はほとんど目立たなくなっています。サメ肌状というのはちょっと分からなかったのですが・・・。ということで、検索した結果、Alitica latericosta latericostaというスジカミナリハムシの亜種になったのですが、図鑑によると、これは北海道・中国西部に分布する亜種で、本州亜種はsubcostataで、縦隆起線が基部のみ明瞭というものです。これも悩んだのですが、隆起線が基部から末端まで明瞭なので、どうしても亜種latericostaになってしまいます。あ~ぁ、分からないことだらけですね。

ついでに撮った写真を載せておきます。



頭部の拡大です。先ほどの前頭隆起はやはり触角側には伸びていないような気がします。



触角基部の拡大写真です。触角の節の長さを測るかなと思って撮ったのですが、結局、使いませんでした。



これは腹部の前胸腹板と中胸腹板辺りを拡大した写真です。中胸腹板は少し凹んでいるように見えるのですが・・・。



これは上翅の縦隆起線の基部あたりの拡大写真です。

ということで、ノミハムシ亜科の検索を初めて試みました。正直、よく分からないことだらけですね。とにかく、相対的な表現が多くて、判断に苦しんでばかりでした。せめて簡単な絵でも載せておいてくれるとよいのにと何度思ったか分かりません。でも、これからいろいろな種で調べてみて慣れていきたいと思っています。

廊下のむし探検 バッタ、ハエ、ハチなど

廊下のむし探検 第936弾

8月18日にマンションの廊下を歩いた時に見た虫がまだ残っていました。マンションには虫が多いので、ついつい写真に撮ってしまうのですが、後の整理が大変です。でも、記録だと思って頑張っています。





今日の最初はバッタ目からです。以前にも何度か見たことがありました。ヒバリモドキ科のウスグモスズです。この日は3匹見ました。ウスグモスズについては、「日本で発見された日本でしか確認されていない外来種」という面白い話を紹介したことがありました。





次はこのイナゴです。翅が長いのでたぶん、ハネナガイナゴかなと思ったのですが、一応、腹部末端も撮ってみました。



♀ですね。「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」に載っている検索表によると、腹部第3背板後側角に棘があることがハネナガイナゴ(タイワンハネナガイナゴ)♀の決め手でした。生態写真ではちょっと無理ですね。



これはショウリョウバッタかな。今はマンションの敷地の草刈りのシーズンなので、バッタが皆逃げてきています。





次はハエ目です。これは前脚脛節末端に棘がないので、トゲナシケバエ科Plecia属の仲間です。上が♂、下が♀です。記録を見てみると、今頃出てくるのはPlecia membraniferaみたいですが、これの検索は以前も試みたことがあります。♂交尾器が見れたら一発で分かりそうですが・・・。



ユスリカも分かりそうなものだけ写真に撮っているので、あまり記録になりません。これはフチグロユスリカかなと思っている♂です。





ツヤユスリカは腹部のパターンである程度種が分かるので、撮影しています。上が♂、下は♀です。♂はナカオビツヤユスリカみたいですが、♀はよく分かりません。♀は分かりにくいです。



ガガンボも面白そうなのですが、よほど目立つ種でないと調べてみる勇気が出てきません。これも脚の腿節が何となく変わっているのですが・・・。



最近、アブがいると、必ず正面から撮るようにしています。♀だったら複眼の間にある額瘤の形からある程度種が特定できるからです。これは複眼がくっついているので♂でした。



廊下の手すりにヒカゲチョウが止まっていました。近づいても意外に逃げません。それで、接写で撮ってみました。



眼の前で上に上がっているのが下唇鬚なのかな。



川が近くにあるのでカゲロウもよく見かけるのですが、名前調べはちっとも進んでいません。これは眼が小さいので♀の方です。少しだけ詳しく見てみました。



尾が3本、CuPがCuAに接近しているように見えます。だとすると、マダラカゲロウ科でしょうね。





羽アリは直前に降った雨にやられていました。これも名前を調べる気がしません。属くらいなら分かるかもしれませんが・・・。



このハチは何でしょうね。この日、2匹見つけました。(追記2018/01/05:これは♂有翅アリで、その後、検索をしてみました。その結果、ハリアリ亜科で、属の第1候補はニセハリアリ属になったのですが、フトハリアリ属(日本産アリ類図鑑によると、オオハリアリ属)の可能性も完全には除外できず、こちらが第2候補になりました



最後は地下駐車場の隅っこにいたニホンヤモリです。結構、大きかったです。ヤモリは家守で縁起がいいのでしょうね。

廊下のむし探検 蛾がいっぱい

廊下のむし探検 第935弾

8月18日は久しぶりの「廊下のむし探検」だったのですが、やはり蛾は多いですね。最近は蛾以外の虫ばかり調べているので、蛾を見ても名前がぱっとは出なくなりました。それで、名前調べに苦しんだ種が多かったです。



見た順に載せていきます。これはたぶん、ギンバネヒメシャク



次はウスネズミエダシャク



これはたぶん、シバツトガ



似た種が多くていつも迷う種です。外横線が前縁近くで折れ曲がっているのでいつもヒメアカウスグロノメイガとしているのですが、はっきりとは分かりません。♂は腹部が長く伸びるので、これは♀。



下唇鬚が長いので、アツバだなと思ったのですが、それから先の時間がかかりました。特徴があるようで、ないので・・・。でも、たぶん、ムモンキイロアツバかなと思っています。



変わった止まり方をしています。どこかで見たなと思ったのですが、「廊下のむし探検」では初登場でした。オビマルハキバガ科のアヤメオビマルハキバガだと思います。



時間がかかったのはこの蛾でした。撮った時はヨモギエダシャクかなと思ったのですが、図鑑と比べてみるとどうも違います。あれこれ迷ったのですが、結局、フトスジエダシャクにしました。



これはウスキクロテンヒメシャク



これも迷う種です。外横線がほとんど直線状で、各脈の上で黒くなっています。さらに、外縁に沿って黒点が並んでいます。こんなところから、サクライキヒメシャクかなと思っているのですが、よくは分かりません。





コヨツメアオシャクは2匹いました。



複雑な模様のハマキガです。図鑑をずっと見ていくと、Lobesia属らしいことが分かります。その中で一つ一つ模様を比べてみると、ホソバチビヒメハマキと似ている感じです。そう思って、以前の記録を見てみると、過去には7月と9月に計4回見ていました。



これはアカヒゲドクガ



ウスギヌカギバ



フタナミトビヒメシャク



最後のこのヒメシャク。これは何だろう。

廊下のむし探検 甲虫、カメムシ、チャタテ

廊下のむし探検 第934弾

久しぶりにマンションの廊下を歩いてみました。実のところ、公園よりマンションの廊下を歩いた方が絶対に虫は多いのですが、何となく散歩がてら公園に行く癖がついてしまいました。この日は廊下を歩いて40種あまりの虫がいたのですが、そのうち、甲虫、カメムシ、チャタテを調べてみました。





今日の最初はこのハムシです。上と下は別の個体です。後脚腿節が太く、前胸背板の後縁近くに横筋が入っているので、カミナリハムシの仲間だと思います。以前なら、ここで終わっていたのですが、今回は上の写真の個体を採集をして、先ほど検索をしてみました。ノミハムシ亜科は属が多くて、検索は結構大変なのですが、何とかやることができて、結局、カミナリハムシ属になりました。さらに、種の検索をして、スジカミナリハムシ Altica latericostaになりました。ただ、亜種についても検索するとlatericostaになったのですが、「原色日本甲虫図鑑IV」によると、この亜種は北海道に分布とあります。この辺りはもう少し調べる必要があります。詳細は今度載せます。



このゾウムシは以前にも見たことがあります。詳細はこちらに載せていますが、その時と同じだとするとクリイロクチブトゾウムシだと思われます。



これはマンションの外で見つけたハンミョウです。綺麗なので撮りました。



次はカメムシです。これはハリカメムシの仲間です。これにも似た種がいるのでまとめてみました。検索表は「日本原色カメムシ図鑑第3巻」に載っています。実際に検索をしてみたら、予想通り、ホソハリカメムシになったのですが、その検索の過程は次の通りです。



これを写真で見てみます。



まず、①については矢印の部分に黒い筋が入っていないことを見ます。②は特に隆起列は見当たらないので、次に進むと、③の触角第1節と複眼を含む頭部の幅の比からホソハリカメムシになりました。

ところで、以前撮った写真を調べていたらこんな写真が見つかりました。



これは2012年の11月1日に撮影したものですが、前胸背を拡大してみます。



前胸背側縁に黄白色の瘤状の隆起列が見られます。ひょっとすると、これがコブハリカメムシかもしれません。意外な発見がありました。



こちらはヒメホシカメムシ



それにアワダチソウグンバイでした。



ついでにチャタテも調べてみました。これはこれまで何度か見ていて、検索もしていたのですが、詳細は載せていませんでした。でも、たぶん、クロミャクチャタテでいいのではと思います。





これはウロコチャタテです。この日は2匹見ました。まだまだ虫はいっぱいいたのですが、とりあえずここまで。

家の近くのむし探検 蛾

家の近くのむし探検 第312弾

8月16日に公園と途中で見た虫のうち、残っていた蛾を出します。今回はヒメシャクが多くて、その他の蛾も迷う種があって、本当に困りました。名前はだいぶ間違っているかもしれません。



まずは公園に行く途中のマンションの廊下で見た蛾からです。これはハガタベニコケガ。前翅前縁が中央で出っ張っているので♂。よく似たベニヘリコケガとは横脈点が点状で、外横線の屈曲が鋭いことで見分けられます。



こちらはウスベニコヤガ。これまで5月と8-9月に何度も見ています。



で、早速、ヒメシャクです。外横線が前翅後縁辺りでは点状になり、前縁近くでは直線的です。後端でやや黒い点がはっきりしています。というところはオイワケヒメシャクに似ているのですが、外縁にある黒い点列がはっきりしています。翅形も何となく細長いような。それで、サクライキヒメシャクの方かなと思ったのですが、怪しいです。



これはキベリトガリメイガ。こういうトガリメイガは8月頃だと思ったのですが、記録を見ると、5-6月にも何度か見ていました。



そして、また、ヒメシャク。これも外横線は前縁近くで直線的。しかし、全体に特徴がありません。こういうときはオオウスモンキヒメシャクか、ウスモンキヒメシャクあたりだと思うのですが、外縁に沿う淡色の帯がやや波状、後翅外横線が横脈点に向かって少し曲がることなどから、ウスモンキヒメシャクの方かなと思ったのですが、これも怪しいです。



これからは公園です。早速、ヒメシャクです。雰囲気はウスキクロテンヒメシャクかなと思ったのですが、翅がやけに白いのが気になりました。



これはギンバネヒメシャクかな。





これはヒメシャクではないのですが、迷いに迷った種です。公園の街灯の柱に止まっていました。マダラメイガのAcrobasisは間違いないのですが、そこから先がよく分かりません。雰囲気はオオウスアカオビマダラメイガではないかと思ったのですが・・・。



同じく街灯の柱にいたハガタベニコケガ。これは前縁が突き出していないので、♀の方かな。



そして、また、ヒメシャク。模様がまったくはっきりしないのですが、何となく見える模様と後翅の外縁が突き出しているので、マエキヒメシャクかなと思いました。



そして、最後はヒメマダラミズメイガです。名前通り、幼生期に水中で暮らす水生昆虫です。夏に山ほど見た時期がありましたが、最近は少ないですね。以前に少し調べていたので、その部分を引用します。「名前通り、幼虫は水域に生息する水生昆虫です。『日本産水生昆虫』によると、浮葉植物の葉を一部切り取ったり、ウキクサ類を集めて携帯性の巣を作って、水面上で生活するとのことでした。この仲間には気管鰓を持つものもいるのですが、マダラミズメイガ属では気管腮を持たない代わりに水をはじく突起が発達しているそうです。」

虫を調べる ハムシ科サクラサルハムシ(再)

追記2017/10/06:これはサクラサルハムシであることが分かりました。それに従って、タイトルを「虫を調べる ハムシ科Pagria属(再)」を「虫を調べる ハムシ科サクラサルハムシ(再)」に変更をしました。詳細はこちらをご覧ください

先日、ハムシ科の検索を初めて試みたのですが、忘れないうちにもう一度試してみようと思ってやってみたら、翅の色がだいぶ違うのですが、そのほかの部分は前回と非常によく似ていることが分かりました。ひょっとしたら同一種かもと思いながら、一応、まとめておくことにしました。





対象にしたのは翅の両側に橙色の帯が入ったこんな個体です。前回が真っ黒だったので、見た感じはだいぶ違います。でも、検索してみると、Pagria属になり、前回と同じになりました。翅の色は変異の範囲内なのか、それとも近縁種なのかはよく分かりません。とりあえず、各部の写真を撮り、それらを検索表の各項目と比べてみました。



まず、背側から撮った写真です。この状態で体長を測ると2.9mmになったのですが、どこからどこまで測ればよいのか分からないので、スケールバーを載せておきます。



前回と同様、Kimoto(1964)に載っている検索表を用いると、Pagria属になることを確かめるにはこの10項目を調べればよいことになります。そのうち、①から⑥までは亜科の検索です。(追記2017/09/03:上の検索表の中で属名が間違っていたので訂正しました。Colposcelis→Colposce。Colposcelisはゴミムシダマシ科の属みたいです



いつものように検索表の順番ではなくて、部位別に見ていきたいと思います。これは腹側からの写真ですが、触角収容溝らしきものは見られません。また、腹部の節はほぼ平行で中央部分で圧縮されて狭まるということはありません。



次は頭部で、頭頂は突出していなくて、口器は下を向いています。また、触角の挿入口は互いに離れています。さらに、頭部が前胸に埋もれているというのもよく分かります。複眼の上で何か圧縮されるというのも見えません。



これは顔の頭部の拡大です。前額と頭盾の間に溝はなさそうです。また、複眼の上には明瞭な溝があります。



前胸背板の側縁は縁取られています。また、前胸腹板側縁は凹型になっています。こんなところも、以前に調べた個体とよく似ています。



こんな撮影をしていたら、後脚が取れてしまいました。それで、ついでに脛節の写真を撮っておきました。脛節末端はこの写真のように少しえぐられたようになっています。



これは脚の爪の部分です。検索で問題になるのは、爪が二つに割れているのを、付属物があると解釈するか、二裂しているとみるかという点です。何となく二裂を選びたくなるのですが、そうするとドウガネサルハムシの属するScelodontaか、モモブトサルハムシの属するRhyparidaが残るのですが、検索表上ではどちらも該当しませんし、また、見た感じも違うので、やはり、付属体と解釈するのでしょうね。



最後は脚の跗節で、跗節第3節が深く二裂しているのがよく分かります。

これで一応、Pagria属になりました。前回も書いたのですが、Pagria属については最近の研究があります。

今坂正一、南雅之、「日本産Pagria(キバネサルハムシ属)について―付.東南アジア産数種の研究」、佐賀の昆虫 44, 253 (2008). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

論文の内容は、Moseyko(2005)の論文で、日本にはPagria属3種を産するとあったのですが、調べてみたらもう一種見つかり、計4種いたというものです。検索表も載っているのですが、色に関する項目が多くて、今回の個体とは比較できません。ちょっと気になったのは、「頭頂の側縁は複眼の内側で弱く波曲する」というマルキバネサルハムシ P. ussuriensisの項目です。頭部の拡大写真を見ると、確かにそのような波曲が見られます。だとすると、これになるのですが、なんせ色が全く異なるので、何とも言えません。

家の近くのむし探検 ハムシほか

家の近くのむし探検 第311弾

最近はこの夏に行った「自然展」やらの反省会が続いていて、なかなか写真を撮りに行ったり、整理したりする暇がありません。とりあえず、8月16日に家の近くの公園に行ったときの写真整理をすることにしました。







この日はこんなハムシがいました。体長は2.9mm。この間、ハムシの検索をしたばかりだったので、もう一度、やってみようと思って採集しました。昨日、顕微鏡で眺めてみたのですが、翅の両横にこんな黄色の帯があるにも関わらず、先日調べた翅全体が黒いハムシとすべての箇所が全く同じ構造をしています。詳細はまた、次回にでもアップしますが、とりあえず、特徴のある頭部だけ載せます。



ほとんど寸分の違いもないくらい、この間のハムシと似ています。特徴的なのは複眼の上に深い溝があって、この溝で、頭頂が半島のように分離されています。先日は怪しげながら、ハムシ科のPagria属だろうと推測したのですが、たぶん、大丈夫そうです。

「原色日本甲虫図鑑IV」には日本産Pagria属としてsignata(ヒメキバネサルハムシ)だけが載っているのですが、今坂正一氏のホームページには、「日本産Pagria (キバネサルハムシ属)について-付.東南アジア産数種の記録-」という記事が載っていました。これはもともと佐賀の昆虫(44, 253 (2008))に出された論文のようで、内容は、Moseyko(2005)の書いた論文では日本にPagria属3種を産するとあったのですが、調べてみたらもう一種いて、、計4種いたというものです。検索表も載っているのですが、どうもよく分からないので、原論文を探してみたのですが、佐賀の昆虫もMoseykoの書いた論文も共に手に入らないため、現在はここでストップしています。(追記2017/08/20:佐賀の昆虫 44, 253 (2008)こちらからpdfが直接ダウンロードできます)(追記2017/10/06:これはCleoporus属のサクラサルハムシでした。詳細はこちらをご覧ください





後はいつもの連中です。アシナガバエは5-7月にかけてたくさん見かけたのですが、この時期になるとぐっと減ってしまいました。この個体ではM1+2脈が途中でちょっと曲がって後は、R4+5に平行に翅縁に達していますが、このような翅脈を持つのはざっと見ても7属ほどいたので、どうしようもありません。やはり採集して、属の検索をしないと駄目ですね。



これはイエバエかなぁ。



後は羽アリ。



ツツジグンバイは動き回るので、ピントの合ったのはこんな写真しかありませんでした。





最後はネコハエトリ。最近はこのハエトリがツツジの葉に山のようにいます。

残りは蛾なのですが、やたらヒメシャクが多くて、何とも名前の調べようがなくて困っています。もう少し後に出すことにします。

虫を調べる ハムシ科サクラサルハムシ

追記2017/10/06:これはサクラサルハムシであることが分かりました。それに従って、タイトルを「虫を調べる ハムシ科Pagria属」を「虫を調べる ハムシ科サクラサルハムシ」に変更をしました。詳細はこちらをご覧ください

7月終わりに家の近くの公園でハムシを見つけました。





この写真は7月21日に撮ったもので、この時は脚が黄色いのでキアシチビツツハムシだと思っていると書いていました。たぶん、この時に採集したハムシだと思うのですが、冷凍庫に入れておいた個体があったので、先日、検索をしてみました。ただ、分からないところがだいぶあって、今まで時間がかかってしまったのですが、あまり遅くなるのもいけないなと思って、今日、まとめてみることにしました。



この図から測った体長は3.0mmでしたが、どこからどこまで測ればよいのか分からないので、スケールバーを入れておくことにしました。

ハムシ科の亜科の検索には以前紹介した次の論文を用いました。

S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. I", J. Fac. Agri., Kyushu Univ. 13, 99 (1964). (ここからダウンロードできます)

検索をしてみた結果、サルハムシ亜科になったのですが、それに関連する部分だけを抜き出すと以下のようになります。



これにはキアシチビツツハムシの属するツツハムシ亜科など、関連する亜科も加えています。検索をしていくと、Ⓐ→Ⓑ→Ⓒ→Ⓓ→Ⓔb→Ⓕaと進んでサルハムシ亜科に行き着くのですが、その過程を顕微鏡写真で見ていきたいと思います。



これは頭部で、頭頂が突出していないこと、触角の挿入口が左右離れていること、頭部が前胸に埋め込まれるような形をしていることなどがこの写真から見て取れます。



次はその頭部を拡大したもので、前額と頭盾の境目には溝がないことが分かります。これにより、ハムシ亜科と区別することができます。



これは前胸背板を写したものですが、側面が縁取られていることが分かります(矢印)。



これは前胸腹板を斜めから見たところです。触角収容溝のようなものは見えません。



次は脚の跗節を見たものですが、第3節が深く二裂していることが分かります(黄矢印)。



最後は腹面を見たものですが、腹部の各節はほぼ平行に並んでいて、中心が圧縮されて狭くなっているようなことはありません。これでツツハムシ亜科とナガツツハムシ亜科を除外することができます。以上ですべての項目を確かめることができたので、このハムシはツツハムシ亜科ではなく、サルハムシ亜科であることが分かりました。

次は属の検索です。サルハムシ亜科の属の検索には次の論文に載っている検索表を用いました。

S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. IV", J. Fac. Agri., Kyushu Univ. 13, 235 (1964). (ここからダウンロードできます)

実は、予想としてはアオバネサルハムシなどの属するBasilepta属だったのですが、この検索表を用いて検索すると、Pagria属になってしまいました。ちょっと意外だったので、間違っているかもしれないなと思って、検索表は関連するところをすべて訳しました。



検索していくと、①a→②a→③b→④aとなるのですが、②の脚の爪に関してはかなり怪しかったので、②bへの道も書いておきました。ただ、こちらを進むと、②b→⑥b→⑦aとなるのですが、⑧のところでつかえてしまいます。それで、とりあえず、最初の②aに進む道で説明していきたいと思います。なお、①b以下は省略しました。(追記2017/09/03:上の検索表の中で属名が間違っていたので訂正しました。Colposcelis→Colposce。Colposcelisはゴミムシダマシ科の属みたいです。どこで間違ったのかなぁ



実は、この写真、私にとっては衝撃的でした。複眼の上にこんな溝があり、頭頂の部分がまるで半島のように複眼から独立しているなんて思いも寄りませんでした。しかし、どう見てもこれは溝です。これでBasilepta属が除外されることになりました。次回は是非とも、Basilepta属を調べてみたいなと思っています。



次も先ほど出した写真ですが、前胸腹板の側縁が凹型に凹んでいることが分かります(黄矢印)。また、先端は反り返っていません(白矢印)。



これは脚の爪を写したものですが、爪が二つに割れたようになっています。検索表にあるappendiculateとbifidの意味がよく分からなかったのですが、ネットで調べると、どうやら二つに割れた爪の両方がほぼ同じくらいの大きさならばbifid(二裂)、片方が明らかに小さいとappendiculate(付属体)と呼んでいるようです(例えば、こちらのサイト)。そう解釈すると、これはappendiculateの方になり、②aに進むことになります。



最後は後脚脛節の写真で、末端部分の外側に黄矢印で示したような切れ込みを持っています。

これですべての項目を調べたので、どうやらPagria属で合っているような気がしてきました。なお、原論文ではColposce属になっていて、signataだけが記録されていました。この論文ではPagria signataはシノニムになっていたのですが、「原色日本甲虫図鑑IV」にはPagria signata ヒメキバネサルハムシが載っていて、また、Catalogue of LifeにもこのPagria signataがaccepted nameとされていたので、ここではPagria属という属名を採用しました。ただ、「原色日本甲虫図鑑IV」の図版ではPagria signataの鞘翅が黄褐色なのでだいぶ感じが違います。また、体長も1.8-2.4mmとなっていて、これも違います。果たしてこれでよいのかどうかずっと悩んでいました。ただし、図鑑によると、鞘翅の色は全体黒色のものもいるというのであるいは良いのかもしれません。何にしろ、複眼の上の溝が衝撃的でした。この辺り、もう少し調べてみたいと思います。

感想)ハムシを亜科から属の検索まで初めて試みてみました。複眼後ろの溝、前額や頭盾の位置、前胸腹板の形、前胸後側板の位置、腹節の形、爪の形状など、分からないところがいっぱいあり、いちいち、ネットや論文を調べていったので、ずいぶん時間がかかってしまいました。また、検索結果もだいぶ怪しいので、たぶん、間違っているのではと内心ハラハラドキドキしています。でも、たとえ間違っていても、いろいろと勉強にはなったなと思っています。もう少しハムシの検索をしてみようと、後2匹ほど捕まえていますので、今度調べてみます。

家の近くのむし探検 テングスケバほか

家の近くのむし探検 第310弾

8月12日に家の近くの公園で見た虫の続きです。







もう帰ろうと思っていたとき、ツツジの葉にこんな虫が止まっているのに気が付きました。大変綺麗です。一応、体長を測ってみました。寸法測定用に写した写真は腹端がはっきりしなくてよく分からないのですが、尖っている先端から腹端までで16,4mmになりました。前翅長は9.6mmです。「ウンカ・ヨコバイ・キジラミ類図鑑」をぱらぱらめくっていたらすぐに見つかりました。テングスケバ科のテングスケバです。ツツジの葉表にいたのですが、「イネ科の雑草間で普通に見られる」とのことでした。見たのは初めてです。





カメムシ目ついでにグンバイムシも出しておきます。これはたぶん、ツツジグンバイですね。文字通りツツジの葉表にいました。



これはキマダラカメムシの幼虫です。カメムシ科の幼虫の齡の検索は以前のブログに書きました。前翅包がなくて、後胸の幅が中胸の幅より少し狭いので、たぶん、3齢幼虫かと思われます。



これも見たことがありました。オオクモヘリカメムシの幼虫だと思われます。これについても以前書いたことがあります。幼虫の齢の検索表も載せておいたので見てみると、「正中線上において前胸背と中胸背の長さがほとんど同長」というところから、2齢幼虫ではないかと思いました。





次はバッタです。雰囲気、クビキリギスみたいですが、これはその幼虫でしょう。それで、「虫の音WORLD」というサイトの「幼虫の部屋」を覗いてみました。3齢か4齢あたりが似ています。今頃は幼虫だらけですね。



アシナガバエは気まぐれに撮ってしまいました。この間、アシナガバエの翅脈の整理をしたのですが、それによると、これはたぶん、Amblypsilopus属でしょうね。





こちらは無駄に撮ってしまいました。科もよく分かりません。



後はクモ。これはネコハエトリ



これはアズチグモ♂。



最後はだいぶ迷ったのですが、この間も見たクマダハナグモかなと思っています。

家の近くのむし探検 ドロバチ2種

家の近くのむし探検 第309弾

8月12日に家の近くの公園に行ってみました。虫はあまりいないのですが、習慣になっていてついつい公園に行ってしまいます。それでも、この日はドロバチを2種見つけました。







1種目はこのカップルです。上が♂、下が♀でしょうね。スズメバチ科のドロバチ亜科に属するハチです。このように腹部に2本線の入っているドロバチは多いですよね。でも、どうやって区別したらよいか、いつも困ってしまいます。そこで、今日は「日本産有剣ハチ類図鑑」に載っている図版で、同じような2本線の種を探してみました。ハムシドロバチ属、エントツドロバチ属、スジドロバチ属、フタオビドロバチ属、チビドロバチ属あたりですね。それで、この図鑑に載っている検索表を見て、これらの属の特徴を表にしてみました。



この表には腹部に2本線ということで、トックリバチ属なども入れておきました。この表を上から順に調べていくと、属が分かるということになっています。検索表から分かりやすり特徴を抜き出しただけなので、本当に調べられるかどうか、手元の標本で確かめてみました。(追記2017/08/17:表の中の言葉が若干間違っていたので書き直しました(後半→後端、腹柄→柄状)。それに伴って下の写真も該当部分を直しました



これはオオフタオビドロバチだろうと思われる標本です。まず、腹部第1節はトックリバチみたいに細くはありません。それで、表の右側の属を探します。



次は腹部第1節背板についてです。背板の背面と前方傾斜部の間は滑らかな曲面でつながっていて、この間に横隆起線はありません。それで、一番右端のフタオビドロバチ属か、チビドロバチ属になります。



次は縁紋と亜縁紋についてです。亜縁紋という言葉は聞いたことがなかったので、この検索表の基になっている次の論文を見てみました。

S. Yamane, "A REVISION OF THE JAPANESE EUMENIDAE (HYMENOPTERA, VESPOIDEA)", Insecta matsumurana. Series entomology. New series 43, 1 (1998). (ここからダウンロードできます)

この論文の中で縁紋はstigma、亜縁紋はparastigmaとなっています。論文の中の図から、上の写真で示した部分が亜縁紋になることが分かりました。縁紋と長さを比べると、亜縁紋の長さは1/2よりはるかに大きくなっています。



次は肩板と亜肩板についてです。亜肩板というのも知らなかったので、また、上の論文を見てみました。肩板はtegula、亜肩板はparategulaに対応すると思われます。論文の中の図がはっきりしなかったので、parategulaで検索をしてみました。いくつか引っかかったものを見ると、たぶん、この写真で示した部分でよいのだと思われます。これを見ると、亜肩板の後端の方が肩板の後端より後ろ側にあるので、結局、フタオビドロバチ属であることが分かります。



さらに種の検索表で調べると、期待通り、オオフタオビドロバチらしいことが分かりました。まず、触角の節数が12節なので、この個体は♀のようです。検索表をすべて確かめたわけではないのですが、その頭盾を調べてみました。



長さの方が幅よりは長いので、たぶん、オオフタオビドロバチで大丈夫だと思います。



これは以前写した個体で、エントツドロバチだろうと思っていた種です。同じように調べていくと、エントツドロバチ属になることが分かりました。



今回の個体も調べてみました。先ほどのオオフタオビドロバチと同じ過程を通り、フタオビドロバチ属か、チビドロバチ属かということになります。ただ、生態写真では亜縁紋と亜肩板がどうもはっきりしません。



やっと縁紋が写っている写真を見つけました。亜縁紋は縁紋よりは明らかに短いので、たぶん、チビドロバチ属だろうと思われます。図鑑には種の検索表も載っているのですが、生態写真では十分に追いかけられません。肩板が黒いので、たぶん、カタグロチビドロバチかなと思ったのですが、今回はここまででした。





もう一種はこのドロバチです。これは腹部第1節が細いので、表の左側にある属になります。盾板に二本の縦溝がなく、前伸腹節が丸みをおびているのでトックリバチ属で、たぶん、ミカドトックリバチだと思います。

こうやってまとめてみると、ドロバチも見る場所がちょっと分かってきました。問題は写真を撮るときに、そのことを忘れずにちゃんと撮ることができるかどうかですね。

家の近くのむし探検 ハエ、ハチほか

家の近くのむし探検 第308弾

8月10日に家の近くにある公園に行ったときの記録の続きです。最近は虫の数は少ないのですが、その分、詳しく調べることが多いので、写真の整理に意外に時間がかかってしまいます。





今日の最初はこのハエです。普段ならハエの一種とでもしておくのですが、どこかで見たような形をしているので、ちょっと検索をしてみることにしました。まず、「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表を使ってみました。写真をよくよく見ると、前翅前縁脈にsc切目だけがあります。そのほか、第2基室+中室の後縁脈に小さな湾曲があります。それで思い出しました。これはキモグリバエ科ですね。検索は次のように進みます。



基本的に翅脈を見ていけばよいので、こんな写真でも十分に追いかけることができます。翅脈の写真を載せます。



写真がいまいち鮮明でないので分かりにくいのですが、検索項目に出てくる内容は見て取ることができます。①の無弁翅類であることは、たぶん、そうだろうなと思って進みました。③と④のsc切目があることはこの写真では見にくいのですが、何枚か撮った写真から分かりました。もう少し基部にh切目というのがあるものいるのですが、これにはありません。⑤のSc脈は写真では見えないのですが、先端部分も見えないので、たぶん、不完全だろうと推測しました。⑥については、翅脈がこの部分で少し曲がっています。これはCuA脈がこの部分で曲がり後縁に向かって進んでいた名残です。この性質でキモグリバエ科であることが明確に分かります。

ついでに属の検索もしてみました。属の検索にはManual of Nearctic Dipteraを用いました(ここからダウンロードできます)。結構長いので、だいぶ、紆余曲折したのですが、最終的にはChlorops属になりました。かなり怪しいですが・・・。その過程を書いてみます。


長いので、写真では解説しませんが、まずⒶとⒷは翅脈の写真からすぐに分かります。それで、Chloropinae亜科であることが分かります。ⒸとⒹはいろいろな写真から判断しました。特に単眼三角板の毛列までは分からなかったのですが、たぶん、そうだろうと思いました。ⒺとⒻ、Ⓖはすぐに分かります。Ⓗは、写真から小盾板が平らではなく、したがって、縁取りもないことが分かります。また、後脛節にある脛節器官(MNDに図があります)もないことからそう判断しました。ⒾとⒿはたぶん、その通りでしょう。Ⓚになって困りました。触角がうまく写っていなかったのです。それで、Parectecephala属は保留にしておきます。次のⓁは単眼三角板に光沢があるかということですが、たぶん、あるのでChlorops属が残りました。この両者が候補になるのですが、「日本昆虫目録第8巻」を見ると、Parectecephala属は載っていません。それで、必然的にChlorops属(キモグリバエ属)が残りました。この属には16種記録されています。また、たぶん、MNDに載っていない属もあるかもしれません。それで、今のところ、Chlorops属の可能性が高いということにしておきます。検索表を見ていて、脛節器官というのを見てみたくなりました。



これはたぶん、シマバエ科だと思います。株式会社エコリスのHPに載っている「日本のシマバエ科 属への検索試案」を見ると、Homoneurinae亜科は確実のようです。次のHomoneura属はたぶん、そうかなという程度でした。





次はこの小さなハチです。これは採集しました。細腰で、翅脈が発達し、後翅に閉じた室があり、縁紋も明瞭、後脚転節が2節、翅脈の2m-cuを欠くなどから、コマユバチ科になったのですが、どうでしょうね。



意外に時間がかかったのはこのツチバチでした。写したときはいつものヒメハラナガツチバチだろうなと思ったのですが、検索を始めるとそうではないことが分かりました。検索には、「日本産有剣ハチ類図鑑」の検索表を用いました。


①は♂と♀の見分け方で、このハチの場合、触角が短いので、すぐに♀だと分かるのですが、一応書いてあることを確かめました。





触角と腹部の見かけの節数です。検索のポイントは腹部の各節の後半にある帯です。これが毛帯だけか、色の帯を持つかで分かれます。この個体は毛帯だけなので、シロオビ、キイロ、キヌゲなどが除外できます。次は中胸背板が毛で覆われているかどうかで、覆われていなければヒメになります。また、ヒメは翅の先端に暗色部があるのですぐに分かります。これは毛で覆われているので、ヒメは除外されます。

次のオオかどうかで迷いました。決め手は腹部各節後半の毛帯の毛が短いか長いかで決めたのですが、ちょっとはっきりしないところです。これは長いと思って、オオを除外しました。残るはキンケか、ウチダかというところになるのですが、これは単眼前の溝の有無、前腿節の点刻、前伸腹節の点刻で、いずれもこの写真からは判断できません。ということで、今回はキンケハラナガツチバチか、ウチダハラナガツチバチのいずれかというところで止まりました。(「日本産有剣ハチ類図鑑」はもともと一冊に仕上げるつもりだったのが二冊になったのか、一冊には目次がなく、もう一冊には索引がありません。意外に不便です)



残りの虫で、マメコガネです。





ネコハエトリです。下の写真の個体はイトカメムシの幼虫をとらえたようです。



マンションの廊下にいたキイロカワカゲロウ





これはたぶん、ヤマトクサカゲロウ。これで10日の写真は終わりです。

家の近くのむし探検 蛾とカメムシ

家の近くのむし探検 第307弾

8月10日に公園に行ったときに見た虫です。





今日の最初はこのモンシロドクガです。公園に行く途中の柵に止まっていました。止まり方が何となく毒蛾っぽいですね。



これは公園に着く手前の塀に止まっていました。何となく、ハマキガかなと思って、「標準図鑑」を探していたら、ハマキガ科のEudemopsis属が似ている感じです。似た種がたくさんいるので、何度か見直したのですが、ニセツマモンベニヒメハマキというのが一番近い感じです。本当かどうか分かりませんが・・・。





次はこの蛾です。これもハマキガ科で、Eupoecilia属に似た種がいます。たぶん、ブドウホソハマキではないかと思います。この2種のハマキガはともに初めて見ました。



これはヨスジキヒメシャクではないかと思います。



次はカメムシです。これはマンションの廊下の壁に止まっていました。いつものマツヘリカメムシです。



このカメムシには似た種がいるので、横から写す必要があります。



横から見て白い帯が見えるのがフタモンホシカメムシです。これについては以前調べましたので、詳しくはそちらをご覧下さい。



これは公園の木についていたクサギカメムシです。



こんな毛虫も塀にいました。なんの幼虫か分からないのですが、一応、出しておきます。



最後はヘクソカズラの花です。今、公園で咲いています。

家の近くのむし探検 蛾、クモなど

家の近くのむし探検 第306弾

最近は暑いので、それほど公園には出かけていません。それで、写真整理もちょっとのんびりできます。8月8日に公園に行ったときの記録の残りです。



今日の最初はこの小さな蛾からです。色が目立つので、すぐに分かるかなと思ったのですが、意外に時間がかかりました。まぁ、標本写真と生態写真の違いだからでしょうね。ニセマイコガ科のキイロマイコガです。初めて見ました。



ツトガの仲間だと思うのですが、どれも決め手不足で名前までは分かりませんでした。



これはホソスジキヒメシャク



これはたぶん、ヒメウコンエダシャクだと思います。「標準図鑑」の説明を読むと、「♂には大きな半透明の刻孔がある。」と書かれているので、見てみると矢印の部分にそれらしものがあります。近縁のウコンエダシャクの説明には、「♂は前翅を前後に動かして発音することが観察されているが、その際、大型の刻孔が関係しているかは確認されていない」と書かれていました。面白そうなので、その辺りを調べてみました。♂の蛾が超音波を断続的に出すという論文は多数あり、また、♀にはその辺りの周波数の音を検知できるという話もありました。発音機構はまちまちで、脚と翅の刻孔とをこするというもの、翅にカスタネットのような構造があるというもの、セミのような振動板があるものとか・・・。ただ、ウコンエダシャクについて書かれたものは見つかりませんでした。また、「標準図鑑」によると、ヒメウコンエダシャク♂が発音するという報告はないとのことです。刻孔についても調べてみたのですが、刻孔の一般的な役割について書かれた文献は見つかりませんでした。面白そうなのですが・・・。

発音の文献は例えば、R. Nakano, T. Takanashi, and A. Surlykke, "Moth hearing and sound communication", J. Comp. Physiol. A201, 111 (2015). (ここからダウンロードできます)



後はマンションの廊下で見つけたモンクロシャチホコです。



後はアミガサハゴロモ



廊下で見つけたマメコガネでした。マメコガネは公園でも見かけました。



カニグモの仲間であることはすぐに分かりますが、なんだか分かりません。それで、「日本のクモ」を見ていたら、クマダハナグモに似ている感じです。だとすると、初めて見ました。



こちらはネコハエトリ



葉っぱを折って、その中で逆さになってじっとしている♂のクモがいました。クモ嫌いの私としてはそのまま放っておきたかったのですが、つい、ピンセットで追い出してしまいました。そうしたら、いきなり糸を引いてぶら下がりました。





「日本のクモ」を見ると、コガネグモ科のアオオニグモみたいです。





ぶら下がったまま糸の周りをくるくるまわるので、出糸突起や触肢も一応撮れました。こんなのが同定に使えるとよいのですけど。クモは手元に「日本のクモ」しかないので、それ以上は分かりませんでした。本当は「日本産クモ類」(東海大学出版、2009)を買えばよいのですけど、本格的に調べるようになるかどうか分からないので決めかねています。

家の近くのむし探検 キアシハリバエほか

家の近くのむし探検 第305弾

8月8日に公園に行ったときに見た虫の続きです。





一匹のハエがルリチュウレンジ幼虫のしっぽに近づいて何かしています。このハエ、以前にも見たことがありました。キアシハリバエというヤドリバエ科のハエで、ルリチュウレンジの幼虫に産卵するヤドリバエとして知られているようです。何をしているのでしょうね。そのまま様子を見ていました。



ハエがちょっと後ろに下がりました。



すると、幼虫が向こう側から頭を出してきました。その瞬間、ハエが頭の横に取りつきました。どうやら産卵しているようです。



体の横に白くて長細いのがついているのが卵かな。産卵の瞬間を横から撮りたかったのですが、一瞬のことでなかなか撮れません。



後はいつも見るフチグロユスリカらしいユスリカの♀。



これはナカオビツヤユスリカかな。♀だとどうもはっきりしません。



小さなアシナガバエです。M1+2脈がm-m横脈の付近から前縁側に曲がり、その後、R4+5脈とほぼ平行に走っています。こんな感じの翅脈をもつのは、Medeterinae亜科のThrypticus、Thinophilus、Sympycminae亜科のSntormonあたりなのですが、これから先どう調べたらよいのやら。



ムシヒキ♂が止まっていました。これはいつものマガリケとは違います。



ピントがあまり合わなかったのですが、この形からヒサマツムシヒキかなと思ったのですが、自信はありません。残りの虫は次回に回します。

雑談)今日は以前捕まえたハムシの検索をしてみました。爪の形状とか、複眼の上の溝だとか分からない形質だらけだったのですが、いろいろな論文の絵を参考に理解していきました。その結果、以前、絵合わせで決めていた種が属レベルで違うみたいです。まだ自信がないのですが、もう少し検討したら出してみます。

虫を調べる イトカメムシ

8月8日に家の近くの公園でイトカメムシを捕まえてきました。



イトカメムシはこんな細長いカメムシです。体長は6-6.5mmほど。公園にある植栽のツツジの葉にそれこそ山のようについています。



興味を持ったのはこの3つの突起です。真ん中は小楯板にある垂直の突起で、「原色昆虫大図鑑III」には、「突起を欠き」と書かれ、「日本原色カメムシ図鑑第3巻」では、「ときに見られる」と書かれています。両側の突起は、たぶん、「原色昆虫大図鑑III」に「臭腺開口部は鈎状の突起上に位置する」と書かれているものではないかと思います。

早速、顕微鏡で調べてみました。



まずは頭部と胸部です。小楯板の位置に垂直に立つ突起が見えています。



頭部をさらに拡大してみました。複眼の横の頭頂部が山のように膨れています。複眼の後ろには橙色の単眼が2つ見えています。



触角は変わっています。褐色の軸に溝があって、それに黄色の紐がついているような感じになっています。



これは小楯板の突起を拡大したものです。こんなところに突起があって、何の意味があるのだろう。



次は臭腺開口部と思われる突起です。これは背側から撮ったものです。突起の壁面に皺みたいなものがありますが、先端に穴が開いているわけでもなさそうです。



それで、腹面を斜め横から見てみました。長い口吻が見えています。右側に先ほどの突起が見えています。側面に溝のようなものがあるみたいです。



突起の部分を拡大してみました。基部からずっと溝がついていて、先端は曲がっています。たぶん、これが臭腺開口部なのでしょうね。開いた溝の部分から匂い物質を発散させるのかな。それにしても、こんなに長くする必要があるのだろうか。

家の近くのむし探検 イトカメムシとツツジ

家の近くのむし探検 第304弾

8月8日に近くの公園にイトカメムシを見にいきました。目的はイトカメムシが本当にツツジから吸汁しているのか、小楯板の突起があるのかどうか、それに、若干採集することでした。





これがイトカメムシです。この間も書いたのですが、「日本原色カメムシ図鑑第3巻」を見ると、「植食性で、キリ、クサイチゴなどによく見られるが、ときにアブラムシなどを捕食することが知られる」と書かれています。私の行く公園ではツツジの葉に多数見つかりますが、図鑑にも先日載せた論文にもそのことは書かれていません。それで、本当に、ツツジの葉から吸汁しているのかどうか確かめてみました。



あまり多くの数は見られなかったのですが、確かにツツジの葉から吸汁しているようです。次は小盾板の突起についてで、「原色昆虫大図鑑III」には「突起を欠き」と書かれ、上の図鑑では「ときに見られる」と書かれているのを確かめてみました。



これは前方から写したものですが、胸部側面から両側に出ているのは、臭腺開口域だと思っている突起で、今度、採集してきた個体で確かめてみます。この個体では小楯板に垂直に立っている突起は見られません。



この個体では突起が見られます。ざっと探してみると、「ときに見られる」よりは多い感じがしましたが、拡大しないとあるかどうか分からないので、割合までは分かりませんでした。

先日、イトカメムシがハチを捕食することに関連して、ツツジがオオムラサキかもと教えて頂いたので、そもそもオオムラサキとは何かなと思って調べてみました。「日本の野生植物 木本II」にはケラマツツジの欄に園芸種として載っていました。「樹に咲く花」では、オオムラサキ Rhododendron oomurasakiという名で、「ヒラドツツジの品種群のひとつ」と書かれていました。さらに、「牧野 新日本植物図鑑」には、オオムラサキ Rhododendron pulchrumという名で出ていて、「リュウキュウツツジとケラマツツジを親として作られた園芸種と思われる」とのことでした。この両者で学名が異なるので、もう少し調べてみることにしました。でも、結局、深みにはまってしまいました。調べた文献は以下の通りです。

T. Makino, "Observation on the Flora of Japan", Bot. Mag. 27, 108 (1913).(ここからダウンロードできます)
T. Makino, "A Contribution to the Knowledge of the Flora of Japan", Journal of Japanese Botany 1, E15 (1917).(ここからpdfが直接ダウンロードできます)
小松春三、「日本産躑躅属ニ就テ」、植物学雑誌 374, 31 (1918). (ここからダウンロードできます)
E. H. Wilson and A. Rehder, "A Monograph of Azaleas - Rhododendron Subgenus Anthodendron", Univ. Press Cambridge (1921). (ここからダウンロードできます)
T. Nakai, "Abstract from T. Nakai: 'Trees and shrubs indigenous in Japan proper Vol. 1. (1922)', with Additional Remarks on Some Species", Bot. Mag. 38, 23 (1924). (ここからダウンロードできます)
本田正次、「雑録 黄瓜菜集(其七)」、Bot. Mag. 40, 314 (1926).(ここからpdfを直接ダウンロードできます)

1910-20年代の論文はこれで網羅したのではないかと思います。ただ、もともと園芸種なので、その解釈は非常に複雑でとても一口で言えるような代物ではありませんでした。それをあえてまとめると次のようになります。



本当は、出発点を19世紀にまで遡らなければならないのですが、日本で見られるオオムラサキについては牧野氏の話から始めると良さそうなのでそうしてみました。1913年に、牧野氏は日本で大紫琉球と呼ばれている種について外国産の種と比較して、その変種としたのですが、その後、1917年には新たに新種として命名しました。これが、R. Oomurasakiだったのです。上の図から判断すると、このころはたぶん、大紫と琉球ツツジが混じった状態だったと思われます。その後、小松氏が大紫にはR. Osakazukiという名を、一群の琉球ツツジにはR. rosmarinifoliumの変種、品種名を当てました。Wilsonらはツツジについてまとめた本を書いたのですが、その中で、牧野氏、小松氏が新種として命名した種はR. phoeniceumの変種としました。

その後、中井氏はWilsonらが当てた名は大紫に対してではなく、R. calycinumであったこと、牧野氏、小松氏が命名した種はR. pulchrumに一致するとしました。Catalogue of Life2017によると、前者はR. mucronatumというリュウキュウツツジのシノニムで、後者はヒラドツツジと呼ばれているR. pulchrumになっています。このことは「牧野 新日本植物図鑑」(Makino1961)にすでに書かれていました。最近はたぶん、DNAを用いた研究がなされていると思うのですが、それについてはまだ調べていません。いずれにしても、オオムラサキにR. Oomurasakiを当てるのは適当でない気がします。「日本の野生植物 木本II」には、「本種(ケラマツツジ)とキシツツジなどとの雑種がヒラドツツジまたは大霧島といい、大紫、・・・など多くの園芸品がある」と書かれていました。ケラマツツジもキシツツジも共に、モチツツジ亜節なので、たぶん、それで粘り気があるのだろうと思われます。これだけ調べたのですが、さて、公園のツツジは何だろうという疑問にはまだ答えられていません。ふぅー。

家の近くのむし探検 クロアゲハ、ハチ、ハエなど

家の近くのむし探検 第303弾

2日間にわたった「自然展」が済むと、この夏もそろそろ終わりに近づいてきたような気がします。2日間ずっと説明をしていたので、すっかりくたびれてしまって、翌日はほとんど何もできない状態。そろそろ何かしようかと思っていたら台風がやってくるし・・・。昨日、やっと8月4日分の公園で見つけた虫の整理をしました。今頃は虫が少ないので、楽と言えば楽なのですが、その分、丁寧に見ていったら時間は結構かかってしまいました。





今日の最初は公園のアベリアにやってきていたクロアゲハです。普通、小さな虫は一眼レフに接写レンズをつけて撮っているのですが、マンションの天井に止まっているときみたいにちょっと離れているときには、コンデジを使っています。マンションの廊下は暗いので、フラッシュをEV+1にして、マニュアルF5.2、1/640で撮ることが多いのですが、忘れていて、その設定のままフラッシュはたかずにクロアゲハを撮ってしまいました。でも、ばっちしでしたね。





次はハチです。むちゃくちゃ産卵管の長いハチがいました。小さなハチですが、よく見ると後脚腿節が太くて、いかにも捕獲脚らしくなっています。「原色昆虫大図鑑III」の図版をぱらぱら見ていたら、オナガアシブトコバチというオナガコバチ科のハチに似ています。この名前でネットを探すと、産卵の様子を撮ったものなどたくさん出てきました。でも、そのものずばりなのかどうか判定ができません。早く、ハチ目も「日本昆虫目録」が出るとよいのにと思って、日本昆虫学会のHPを覗いてみると、第4巻 準新翅類と第5巻 脈翅目群, 長翅目, 隠翅目, 毛翅目, 撚翅目が昨年3月に出ていたのですね。欲しいなと思ったのですが、2冊で2万円。ちょっと躊躇っています。

追記2017/08/09:オナガアシブトコバチはPodagrion属に含まれますが、次の論文によると、日本産のこの属は4種、そのうち、本州に産するのはオナガアシブトコバチ P. nipponicumとヒメオナガアシブトコバチ P. philippinense cyanonigrumの2種だそうです。

山崎一夫、岩崎拓、「ヒメオナガアシブトコバチの寄生」、Jpn. J. Ent. (N.S.) 5, 25 (2007).(ここからダウンロードできます)

「原色昆虫大図鑑III」によると、nipponicumの産卵管は体長の1.3~1.5倍。一方、philippinenseの方は次の論文に載っている検索表によると、産卵管は体長より短いそうです。

A. B. Grahan, "A Second Lot of Parasitic Hymenoptera from the Philippines", Phil. J. Sci. 27, 83 (1925).(ここからpdfが直接ダウンロードできます)

日本産は亜種なので、正確には分かりませんが、たぶん、この個体はオナガアシブトコバチなのでしょう。もし、属が合っていたらの話ですが・・・。

なお、オナガアシブトコバチはオオカマキリとチョウセンカマキリの卵嚢に卵を産むそうです。これについてはその生活史が次の論文に載っていました。

岩崎拓、「オナガアシブトコバチのオオカマキリとチョウセンカマキリ越冬卵嚢への寄生」、Jpn. J. Ent. (N.S.) 3, 65 (2000). (ここからダウンロードできます)
T. Iwasaki, "Life History of the Torymid Wasp Podagrion nipponicum Parasitizing Eggs of the Praying Mantis", Entomol. Sci. 3, 597 (2000). (ここからダウンロードできます)

10月頃、卵嚢に産み付けられた卵は卵嚢中で育ち、5月末から6月中旬にかけて一化の成虫が出てきます。この成虫は8月末程度までは生きるそうです。二化の成虫は6月末から7月初めに羽化し、長いものでは11月中旬まで生きるそうです。一つの卵からは数個から数十個の成虫が羽化するのですが、カマキリの卵を食い尽くすことはないとのことです。なお、越冬卵嚢では主にオオカマキリに寄生し、二化はオオカマキリとチョウセンカマキリの両方に寄生するようです




こんなハチもいました。たぶん、ヒメバチ科だろうなと思ったのですが、最近、ハチの名前調べはちょっと敬遠しています。ヒメバチ科が亜科の検索だけでも、かなり大変だったからです。でも、いつまでも逃げていたら駄目だと思って、ちょっと思い出すためにこの写真から翅脈を調べてみました。以前、トガリヒメバチ亜科を調べたときの記事を参考に翅脈に名前をつけてみました。



2m-cuがあり、RsとRs+Mとつなぐ斜めの翅脈がないところなどはヒメバチ科みたいですね。先ほどの記事に、亜科の検索の流れも載っているのですが、やはり採集しないとどうしようもありません。





上はナカオビツヤユスリカ♂。下も♂ですが、よく分かりません。ツヤユスリカの仲間は腹部パターンが種によって異なるので面白いのですが、この間、ツヤユスリカ属Cricotopusを調べてみたら、本州産だけでも38種。なかなか大変なことが分かりました。しかも、総説は見つからないし・・・。今のところ、お手上げです。



後単眼剛毛が交差しているので、たぶん、シマバエ科だと思います。以前、検索をしてSapromyza (Sapromyza)属になったものと似ている感じです。でも、肝心の検索過程が写真に撮っていませんでした。これだけ多岐にわたって虫を調べているときには、面倒でも記録を残しておくことが重要ですね。



これはこの間からいるベニモンアオリンガ



ついでにマンションの廊下にいたハガタベニコケガ。これは前翅前縁が盛り上がっているので、♂の方かな。



桜の木に止まっていたキマダラカメムシ



それにイトカメムシの5齢幼虫です。イトカメムシは臭腺開口域を調べてみようと思って、昨日、公園に行って2匹ほど成虫を捕まえてきました。今は冷凍庫の中です。



それにモリチャバネゴキブリ



後はクモです。これはヤミイロカニグモの幼体かなと思ったのですが、クモはよく分かりません。



このハエトリ、いつもだったらマミジロハエトリ♀と書きそうなのですが、「ハエトリグモ ハンドブック」を見てみると、類似種にマミジロハエトリの仲間♀とネコハエトリ♀がいるとのことです。前者にはマミクロハエトリがいます。写真をしげしげと眺めたのですが、腹部背面の模様はネコハエトリに似ているし・・・。なんだかよく分からなくなりました。

家の近くのむし探検 ニホンチャイロヒメカミキリ?

家の近くのむし探検 第302弾

8月4日に家の近くの公園に行ったときに見つけた虫です。



名前調べに時間がかかったのは、公園に行く途中にマンションの廊下で見つけたこのカミキリです。同じような種はこれまで何度か見かけていたのですが、その都度、苦しんでいて、とりあえずチャイロヒメカミキリにしていました。今回はもう少し詳しく調べてみようと思って、「原色日本甲虫図鑑IV」に載っている属の検索表から調べてみました。



これはヒメカミキリ族の属の検索表で、ヒメカミキリ属 Ceresiumに至る過程を示したものです。①の前胸の幅と長さの関係ですが、後で表にしたように、たぶん、「前胸の長さは幅にほぼ等しいか、幅より長い」と直した方が適当だと思いました。



この個体では、ほぼ長さと幅は等しくなります。また、②は上の写真から、脛節はほぼ真っすぐというのが分かります。③はこの写真から前胸は側方が膨れていることが確認できます。それで、Ceresium属であることが分かりました。

九大の昆虫学データベースによると、Ceresium属は11種・亜種が載っていました。それをまとめたのが次の表です。



これらは、触角第1節、3節、4節の長さの関係、前胸の幅(W)と長さ(L)との関係、それに、前胸背板の隆起で区別することができます。それらをまとめたものがこの表です。一番右の欄はその他の特徴で、沖縄や対馬のように島に局在している種については×印を書き、まず、それらを除きました。名前の欄が橙色になっているものがそれ以外の種で、可能性のある種だと思っています。ただし、unicolorについては、「原色日本甲虫図鑑IV」の説明がよく分からなかったので、次の論文も参考にしました。

H. Waqa-Skiti, L. Winder, and S. W. Lingafelter, "Review of the genus Ceresium Newman, 1842 (Coleoptera, Cerambycidae) in Fiji", ZooKeys 532, 15 (2015). (ここからダウンロードできます)

ただ、この論文の記述もちょっとおかしいところがあったので、標本写真から判断して書き直したものが*を付けたものです。

上の写真でLとWがほぼ等しいことから、ヨコヤマ、ニホンチャイロ♀の2種に絞られます。さらに、触角第3節と第4節の長さの比較から、ニホンチャイロ♀の可能性が高くなりました。♀であることは、以前見た個体より今回の個体の触角の方が短いので、確かかもしれません。問題は触角第1節の長さです。上の写真では第1節が斜めに写っていて正確な長さが分かりません。それで、仮にそれが下の面に対して45度になっていると仮定して、√2=1.414を実測値にかけたものが図に書きいれた0.99という数字です。この見積もりが合っているとすると、第1節と第3節はほぼ等しくなり、ニホンチャイロ♀の記述と一致します。でも、かなり怪しいです。前胸背板の縦隆起線については中央にありそうなことは分かるのですが、これが明瞭というべきものか、幾分不規則というべきものなのかは判断できませんでした。でも、ここまでの情報では、ニホンチャイロヒメカミキリ♀の可能性がもっとも高いという結論になりました。合っているかなぁ。





そのほか、公園で見た甲虫はこのウスイロサルハムシ2匹だけでした。ちょっと長くなったので、ここで一旦やめておきます。(追記2017/10/06:これはサクラサルハムシかもしれません。詳細はこちらをご覧ください

家の近くのむし探検 イトカメムシほか

家の近くのむし探検 第301弾

8月2日に公園に行ったときに見つけた虫です。



今日はまず、このイトカメムシからです。この日はアリを捕食しています。この間は小さなハチでした。どうも、イトカメムシはハチ目が好きみたいですね、と書こうと思って、「日本原色カメムシ図鑑第3巻」を見ると、「植食性で、キリ、クサイチゴなどによく見られるが、ときにアブラムシなどを捕食することが知られる」と書かれていました。この公園ではそもそもツツジの葉上でばかり見つけるし、ハチの仲間ばかり捕まえているしと、疑問が湧いてきました。それで、少し調べてみました。たぶん、アブラムシというのは次の論文によっていると思われます。

K. Kohno and Y. Hirose, "The Stilt Bug Yemma exilis (Heteroptera: Berytidae) as a Predator of Aphis gossypii (Homoptera: Aphididae) and Thrips palmi (Thysanoptera: Thripidae) on Eggplant", Applied entomology and zoology 32, 406 (1997). (ここからダウンロードできます)

この論文では植食性として知られていたイトカメムシが、実はナスにくるアブラムシやアザミウマの天敵になっていたという内容ですが、その序文に、以前の論文を引用して、大豆、キリ、ゴマ、キイチゴ、クズなどに寄生すると書かれていました。いずれにしても、ツツジもハチも出てきませんでした。この論文を引用している論文は全部で4件あるのですが、作物の害虫アザミウマに関するものがほとんどでした。イトカメムシの生態はあんがい知られていないのかもしれませんね。(追記2017/09/21:おちゃたてむしさんから、「こちらで観察されているツツジの種類は分かりませんが、モチツツジでは腺毛に捉えられて動けなくなったり死んだりした小昆虫をイトカメムシが吸汁しているのをよく見かけます。他のツツジでも多少葉が粘つくものがあるようなので、ここで紹介されたハチやアリを食べている場面も同様の状況ではないかと思います。」というコメントをいただきました。こちらのはモチツヅジではないと思うのですが、確かに、アリも変な恰好をしていますね。たぶん、仰る通りだと思います。対象はなんでもよいのかな。これからももう少し観察してみます)(追記2017/09/21:通りすがりさんから、「千葉でも長野でもモチツツジの分布外ですが、やはりベタつくオオムラサキに居ますね。こちらの写真のツツジもオオムラサキかも。」というコメントをいただきました。オオムラサキとは何なのか、この後調べてみました。詳細はそちら



ついでに、「日本原色カメムシ図鑑第3巻」に書かれている内容を読むと、小盾板にある突起と臭腺開口域についても書かれていました。それで、ちょっと写真で調べてみました。上の写真で示したのがそうかなと思ったのですが、特に、臭腺開口域に関する記述の載っている文献がまったく見つからず、本当かどうか分かりません。小盾板の突起については「原色昆虫大図鑑III」には「突起を欠き」と書かれ、上の図鑑では「ときに見られる」となっていました。位置が前胸背と小盾板の境にあるみたいなので、果たしてこの突起のことを指しているのかどうか分かりません。いずれにしても、一度、捕まえてちゃんと調べてみたくなりました。



これは交尾しているところです。最近はよく見かけます。



そのほかでは、桜の幹を見てみたらイダテンチャタテの幼虫が見つかりました。この間見たのが3月だったので、5か月ぶりですね。といっても、あまり幹を見ていなかったからかも。



後はいつもの虫たちです。真上から写さなかったので、よく分からないのですが、これはいつものアオバネサルハムシかな。



フチグロユスリカ♂。



フタスジツヤユスリカ♂。(追記2017/08/08:ナカオビツヤユスリカ♂の間違いでした



これもツヤユスリカ♀だと思うのですが、「図説日本のユスリカ」にはこの手の腹部パターンを持つものはは出ていません。それで、一つ調べてみようと思って、「日本昆虫目録」を見てみたのですが、ツヤユスリカ属Cricotopusで本州に分布するだけでも、Crocotopus亜属26種、Isocladius亜属7種、Nostococladius亜属1種、Pseudocricotopus4種と大変な数がいることが分かりました。ちょっと挫折です。



ニクバエの仲間。



アミメアリ



ベニモンアオリンガ



イトカメムシを捕まえているネコハエトリ



それにアズチグモ♂でした。



残りはマンションの廊下ですが、これはカエデシャチホコというみたいです。初めて見ました。「日本産蛾類大図鑑」によると、6-7月と9月に出現、幼虫の食草は名前通りカエデ類だそうです。触角が櫛歯状なので♂みたいです。



後は名前の分からないコケガ。



ハガタベニコケガ



それにヒメナガカメムシでした。

雑談)土曜日と日曜日に地域のコミュニティーの施設を借りて、自然展というのを開きました。今回は一人でなく、四人だったので気分的には楽で、内容も鳥、花、カニとそれぞれが好きな分野で出したので、多岐にわたっていました。でも、果たして見に来てくれるかどうか心配でした。10時に開場して、最初は扉の外で呼びかけまでしたのですが、そんなことは全く必要がなかったです。次から次へと客足が途絶えることなく見に来ていただき、嬉しい悲鳴となりました。展示だけでなく、解説しますとポスターにも書いておいたので、私も朝から昼過ぎまで、ずっと説明をしていました。お陰で声がすっかり涸れてしまいました。翌日は暑かったのでさすがに人は来ないだろうと思っていたのですが、こちらも前日と同様に人が来られ、会場を貸していただいたコミュニティーの方にも喜んでいただけました。やはり四人ですると、それぞれの知り合いに声をかけるので、見に来られた方も多かったみたいです。いつもの虫展と違い、かなりやりがいがありました。

家の近くのむし探検 蛾、ハエなど

家の近くのむし探検 第300弾

7月29日に家の近くの公園に行ってみました。最近は公園に行ってもほとんど虫にお目にかからないので、ちょっとつまらないのですが・・・。



最初はこの蛾です。昨年も見たのですが、翅に赤紋がないのでアカマエアオリンガと書いたら、ベニモンアオリンガの二化はほとんど赤紋がなく、また、前翅前縁が赤くないので、ベニモンアオリンガの方だと教えていただきました。今回もやはり、ベニモンアオリンガの方ではないかと思っています。



次はヤマトカギバです。この公園ではよく見かけます。



翅端に黒点があるので、この間見たクロテンシロヒメシャクのような気もするし、モントビヒメシャクのような気もします。ヒメシャクはよく分かりませんね。



これもよく見かけるシバツトガです。



これは公園の帰りに、道端の柵に止まっていました。だいぶ迷ったのですが、「標準図鑑」の図版と見比べて、ナカトビフトメイガかなと思いました。自信はありませんが・・・。



マンションの廊下に止まっていました。ホソスジキヒメシャクと、ヨスジキヒメシャクとの中間的な模様なので、だいぶ迷ったのですが、結局、ホソスジキヒメシャクにしました。





桜の木の幹に止まってうろうろしています。昨年も見ましたが、ムラクモハマダラミバエです。何をしているのでしょうね。



ガガンボはよく分かりません。



マンションの廊下にいたオオチョウバエです。



ササキリの幼虫。



前日も見たツマグロキゲンセイです。昨日、キイロゲンセイとの違いを調べたので、違いがよく分かるようになりました。



虫の後はクモです。これはネコハエトリの幼体。



イトカメムシを捕まえたイワテハエトリだか、ヤガタハエトリだかです。この間はイトカメムシがハチを捕まえていたのですが、今度は自らがクモに捕まっています。なかなか厳しい世界ですね。



最後は道端で咲いていたコムラサキシキブの花でした。

廊下のむし探検 甲虫、ハエ、ハチ、カメムシ

廊下のむし探検 第933弾

7月28日にマンションの廊下で見た虫が残っていたので出してしまいます。



まずはキクイムシです。この間、キクイムシの検索で結構苦戦したのですが、その時の個体とは触角がちょっと違う感じがします。で、もう一度挑戦したらよかったのですが、今回は見送ってしまいました。



これはムナビロサビキコリではなくて、普通のサビキコリみたいです。



これはイタドリハムシ



先日、キイロゲンセイを見たばかりだったのですが、こちらはもう少し小型で、体長は8.8mm。たぶん、ツマグロキゲンセイだと思われます。4年前の8月初めに一度見たきりです。

追記2017/08/05:キイロゲンセイとツマグロキゲンセイの比較をしてみました。「原色日本甲虫図鑑III」によると、肢と触角の違いが書かれています。




これは脚です。文章は「原色日本甲虫図鑑III」の種の説明に書かれていたものです。ツマグロキゲンセイは腿節の末端が黒くなっています。



これは触角です。ツマグロキゲンセイは触角第2節が
相対的に長いので、第3節と第4節の長さに対する比が小さくなっています



これはいつも見ているセスジヒメナガカメムシかな。



ヒメホシカメムシ





花壇に花にはこんなハエがいました。前胸背板に黒い3本線。腹は市松模様。たぶん、ニクバエですね。



これはたぶん、アカガネコハナバチ。この日はこんなところでした。

廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第932弾

7月28日のマンションの廊下で見つけた虫の続きです。この日は蛾が結構いました。



まずはアゲハモドキがいました。ちょっと小型であることを除けばジャコウアゲハそっくりですね。なぜ、もう少し大きくならなったのでしょうね。そうしたら、確実に間違えそうです。



コブガの仲間です。この仲間にも似た種が多くて困ってしまいます。ぱっと見ではヨシノコブガかなと思ったのですが、「標準図鑑」の図版を見ていくと、スミコブガにも似ている感じです。でも、スミコブガは♂触角の櫛歯が長いとのことで、この写真では少しだけ触角が見えていますが、それほど長いとは思われません。次に図版ではそれほど似ている感じはしないのですが、解説を読むとシロフチビコブガとよく似ていて、外見での区別は極めて困難だそうです。しかも、分布域が重なっているというので厄介です。外見上はヨシノコブガの方が前縁の黒褐色紋がはっきりしていて、中室内の黒点がはっきりしないとのことで、何となくヨシノコブガでよいのかなと思ったのですが、はっきりはしません。



次はこれ。コケガの仲間ですが、あまり特徴がありません。それでも、よく見ると、前翅前縁中央に暗点があります。それで、本来は3点の暗点が並ぶホシホソバの点が薄くなった個体かなと思ったのですが、違っているかもしれません。



これはスカシコケガ。死んでいるみたいですね。



これはウスグロセニジモンアツバ。以前、何か調べたことがあるなと思って、前のブログを見てみると名前の由来を調べていました。このときははっきりとは分からなかったのですが、腹部背面に虹色に光る点が並ぶので、「背虹紋」というのが起源なのかなというところまででした。



また、アオシャクです。ちょっとため息が出ますね。後翅の尾が割に出ています。翅の模様は、以前、作った翅の模様比較の図で比べてみました。結果はウスキヒメアオシャクになったのですが、どうでしょうね。この比較の図、著作権の関係ではっきりした図がブログには載せられないのですが、作っておくと案外便利です。というのは、図鑑では小さな蛾は小さな写真でしか載っていないので、横線の曲がり方などが大変見ずらいからです。できたら、標本の写真の方が見やすいので、今度、暇ができたら、手元の標本で作ってみます。この時は同定が合っているかどうかが問題になりますが・・・。



これはウスオビトガリメイガかな。



何となく雰囲気が違うのですが、こんな斜めの横線を持つのは限られているので、やはりアオアツバかなぁ。



これはトビギンボシシャチホコ。背面から撮ると、いつもと違ったように写りますね。



最後は、以前教えていただいたヤネホソバの幼虫です。「原色日本蛾類幼虫図鑑」によると、「屋根や板塀などの苔に大発生することがあり、触れると刺されるが、余り痒みはなく発疹してピリピリ痛むという。」だそうです。要注意!

雑談)明日から、地域のコミュニティーの施設を借りて、この周辺の自然を題材にした4人展を行います。毎年、一人でやっていたのですが、だんだん題材がなくなってくるし、準備も大変なので、今年は公園でよく一緒になる方などを加えた4人ですることになりました。私以外の3人のうち、お一人は慣れておられるようですが、残りの二人は初めてなので、先日来、私の家に来て写真の印刷やら、パネルづくりやら、まるで、子供の時の夏休みの工作を一緒に作っているようにわいわいがやがややって準備しました。昨日は入り口に立てる看板の材料を買いに百円ショップやコーナンをうろうろして・・・。なんだか高校時分に文化祭で夜遅くまで残った時を思い出しました。仲間と一緒に準備すると楽しいですね。

廊下のむし探検 ツユムシ、クサカゲロウ、チャタテほか

廊下のむし探検 第931弾

7月23日にマンションの廊下を歩いて見つけた虫の紹介です。最近は公園によく出かけているのですが、実のところ、マンションの廊下を歩いた方がたくさんの虫に出会えます。でも、何となく外に出かけた方が面白い感じがして出かけているのですが・・・。この日も廊下で20数種の虫が見つかりました。そのうちの一部を紹介します。









まずはマンションの庭にある花壇で見つけたバッタです。こんな幼虫は以前はどうしようもなかったのですが、先日教えていただいた「虫の音World」というサイトにある「幼虫の部屋」というページには、幼虫の写真がたくさん出ています。それで、一種ずつ調べていったら、似たような種が見つかりました。ツユムシの1齢か2齢幼虫です。そのものずばりかどうかは分かりませんが、この近傍であることは確かそうです。





次はこれです。変わった姿ですが、以前も見たことがありました。マツムラクサカゲロウです。3年前の11月に見ていました。この時は採集して、詳しく調べていました。小さいくせになかなかごつい顔をしています。





こちらはこの間も見たフタモンクサカゲロウみたいです。



トビケラはなかなか調べるところまでいきません。





これは小さなチャタテです。上の写真の矢印のところに四角い縁紋があるのでウスイロチャタテ科です。色からたぶん、以前にも見たクリイロチャタテ周辺の種だと思います。これも詳しく調べたことがありました。ただし、調べていた途中で腹部を針で飛ばしてしまってはっきりはしなかったのですが、クリイロチャタテの可能性が高いという結論でした。今回は捕まえなかったので、それ以上はよく分かりません。





次はこのチャタテです。実は、名前調べに一番時間がかかったのがこれでした。まず、翅脈を見てみます。



前縁付近のR脈から縁紋の後縁に沿って色の濃い線が走っています。このチャタテの特徴はr1-rsという縁紋とRs脈を結ぶ横脈があること、後小室があって、これとM脈を結ぶm-cu横脈があることです。これだけでホソチャタテ科であることが分かります。なお、翅脈の名称はいつもお世話になっている次の論文によっています。

K. Yoshizawa, "MORPHOLOGY OF PSOCOMORPHA (PSOCODEA: 'PSOCOPTERA')", Insecta Matsumurana 62, 1 (2005). (ここからダウンロードできます)



ついでに後翅も見えていたので、そちらも名前を入れておきました。そこで、いつもの富田氏の論文の検索表を使って調べてみました。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991). (こちらからダウンロードできます)

ただし、ホソチャタテ科の種の検索表には吉澤氏による"Checklist of Japanese Psocoptera"には載っていない種が複数あったので、それらは除いています。また、和名は九大の昆虫学データベースを参考にして書きました。



この検索表で調べると、①b→②bと進み、Stenopsocus aphidiformisか、Stenopsocus pygmaeusのどちらかとなります。この両者はCu2(上の写真ではCuP)上に毛があるかどうかなのですが、写真ではそこまでの解像度がありません。そこで、翅脈から調べてみようと思って、この両者が載っている論文を探してみました。

G. Enderline, "Die Copeognathen-Fauna Japans", Zoologische Jahrbücher. Abteilung für Systematik, Geographie und Biologie der Tiere 23, 243 (1906). (ここからダウンロードできます)

まずは記載論文です。この中に、Stenopsocus niger, Stenopsocus aphidiformis, Stenopsocus pygmaeusの3種が載っていました。こんな1906年の論文が自由にダウンロードできるなんて感激です。ただし、ドイツ語なのですが・・・。

P. Soysouvanh, G. Cho, and K.-J. Hong, "Taxonomic Review of the Psocids (Psocoptera) in Korea", Korean J. Appl. Entomol. 56, 69 (2017). (ここからダウンロードできます)

次はこの論文です。これは今年の論文です。この中では、Stenopsocus immaculatus、Cubipilis aphidiformisの2種が載っていました。このCubipilis aphidiformisはStenopsocus aphidiformisのシノニムらしいことがこのサイトに載っていました。

これらの論文に載っている翅脈を見てみると、Stenopsocus aphidiformis, Stenopsocus pygmaeusの2種は翅脈上は区別がつかないみたいです。むしろ、今回の種はこれらの種より、Rs+M脈の長さが非常に短い(赤矢印)、三角形になった後小室の底辺が狭いという点に違いが見られました。Stenopsocus aphidiformisの縁紋後縁の濃色部分はElderlineの論文では淡色なのですが、Soysouvanの論文では今回と同様に濃色なので個体差があるのかもしれません。こんなところから、今回の種はこの両者か、あるいはそれらに近縁の別種なのかはっきりとは分からないというのが結論です。いずれにしても、CuP脈の毛だけは調べたかったですね。採集すればよかった・・・。(追記2017/08/03:Catalogue of Lifeを見ると、Stenopsocus aphidiformisはCubipilis aphidiformisのシノニムになっていて、後者がaccepted nameとなっているようです。一方、同じCatalogue of Lifeにはこんなページもあって、2000年にStenopsocus aphidiformisが新しく命名されたような記述もあります。訳が分かりませんね
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