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家の近くのむし探検 ハエ目、ハチ目

家の近くのむし探検 第217弾

29日に家の近くの公園に行って虫探しをしたときの結果の続きです。いつものハエが多いのですが、一応、記録のために書いておきます。



時系列で書いていきます。まずはマンションの倉庫の壁に止まっていたユスリカです。これまでこんなユスリカがいるとセスジユスリカとしていたのですが、昨日調べた個体がヒシモンユスリカらしいことが分かったので、これも?です。いずれにしても♀なのでよく分からないかもしれません。



こちらはタマバエですね。これは採集したつもりなので、今度、時間があれば調べてみます。





公園では桜の木や街灯を列をなして登っているアリがいました。腹柄節が1節なので、たぶん、ルリアリだと思います。ルリアリは以前調べたことがありました。また、一度はこれを採集して、冷凍庫に入れておいて、しばらくしてから取り出したら触角がぴくぴく動き出したので、びっくりしたことがありました。低温にはかなり強いアリです。





これはオドリバエです。クローズアップレンズを取り付けて、倍率2倍ちょっとで撮ったので劇的には写るのですが、被写界深度がかなり浅くなるので同定にはかえって不便ですね。やはり元の等倍に戻そうかなぁ。



こちらはクロバネキノコバエみたいです。



これはヒメバチの仲間かなぁ。



ほこりみたいに小さな虫が止まったと思って撮ってみたら、このユスリカでした。ユスリカ、本当に多いですね。



これはトビムシを探して地面にある枯葉をのけていたら、クロバネキノコバエが枯葉の下にいました。いろいろなところにいるのですね。



最後はシラカシにいた、たぶん、トビイロシワアリです。前伸腹節刺がちょっと長い気がしますが・・・。(追記2017/04/15:おちゃたてむしさんから、「3/31の最後のアリは多分アミメアリですね。」というコメントをいただきました。頭部や胸部にしわがあるので、トビイロシワアリだと思ったのですが、よく見ると、しわでなくて網目ですね。検索表を見ると、アミメアリの触角は11節、シワアリの触角は12節。よく見ると、分かるかもしれませんね。おちゃたてむしさん、どうも有難うございました

という具合にあまりぱっとした虫はいませんでした。3月も終わりなのに、いつまでこんな状態が続くのかなぁ。そう思って昨年の同時期の記事を見てみたら、やはり、トビムシを写していました。何もいないときに写すのがトビムシなので、同じようなもんですね。
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虫を調べる ヒシモンユスリカ?

先日からやや大型のユスリカが登場してきました。たぶん、セスジユスリカあたりかなと思うのですが、これに似たヒシモンユスリカとの区別をつけてみようと思って、♂を捕まえてきて調べてみました。



今日調べたのはこのユスリカです。セスジユスリカとヒシモンユスリカは♂交尾器に違いがあり、「図説 日本のユスリカ」にはその違いが図示されています。



これは腹部末端を背側から写したものです。違いは上底節突起の形と横から見た尾針の形です。



これは上底節突起の拡大ですが、矢印の部分が角張るのがヒシモン、ここが角張らず滑らかなののがセスジです。これは角張っているので、たぶん、ヒシモンユスリカではないかと思われます。



次は、横から見た尾針です。上から見ると細長いのですが、横から見るとこんなに幅があります。



ちょっと見にくかったので、透過照明でも撮ってみました。先端が鋭く尖っているところはセスジに似ているのでだいぶ迷ったのですが、矢印の部分が反対側の辺とほぼ平行なので、たぶん、ヒシモンでいいのではないかと思いました。セスジは矢印の部分がえぐれるようになっていました。ちょっと自信はないのですが・・・。

ということで、今回の個体はヒシモンユスリカでよいのではないかと思いました。ヒシモンの幼虫は止水域に生息するのに対し、セスジの幼虫は流水域で生息環境がはっきりと異なっています。でも、ともに普通種だそうです。



ついでに腹側から写した写真も載せておきます。大きな下底節突起がよく見えます。

ということで、今回はヒシモンの可能性が高いかなと思いました。でも、両者をはっきり区別するには、もう少し数をあたらないといけませんね。

家の近くのむし探検 毛虫、トビムシなど

家の近くのむし探検 第216弾

3月も終わりなのに、どうしてこうも虫が少ないのだろう。特に、蛾はほとんど全滅。今年はともかく異常ですね。今日も家の近くの公園に行ってみました。



公園ではツツジの葉の上、桜やシラカシの木の幹などを探し回りました。でも、いつもの小さなハエとか、アリくらいしか見つかりません。だいぶ探してやっとこんな幼虫を見つけました。モンシロドクガかなと思ったのですが、調べてみるとキドクガの幼虫みたいです。「みんなで作る日本産蛾類図鑑」というサイトによると、食草にツツジ科も入っていました。でも、ドクガ、嫌ですね。(追記2017/03/31:通りすがりさんから、「キドクガではなく、ゴマフリドクガの幼虫ですね。何れにしても、この見た目の幼虫は絶対に触ってはいけませんが…そっくりさんも居ましたねえ、確かリンゴケンモン。」というコメントをいただきました。ぱっと見で似ているなと思ってキドクガにしたのですが、よく見ると確かに違いますね。それにしても、ゴマフリドクガとキドクガ、幼虫はよく似ていますね。どうも有難うございました



次はこの毛虫。シラカシの幹にくっついていました。小さいので若齢でしょうね。ヨツボシホソバかなと思ったのですが、模様がちょっと違うようでもあります。何でしょうね。



あまりに何もいないので、枯葉をのけてトビムシでも探してみました。虫がいないときはこれに限りますね。こんなトビムシがいました。昨年、ちょっと調べたことがあったのですが、まだ科もよく分かりません。



そうやって撮っていたら、カメラのレンズに取り付けていた「影とり」という拡散板にトビムシがとまりました。いつものマルトビムシの仲間ですね。これで気が付きました。こんな布を敷いておけば、ぴょんと飛んできて、この上に乗ってくれると撮りやすいかも。それで、「影とり」を地面に敷いて、その周りで枯葉をがさごそ動かしてみました。





案の定、こんな小さなトビムシが飛び乗りました。乗った後、居心地が悪いのか、もそもそと動き出します。写真は結構、撮りやすいです。これはいい方法かもしれませんね。今度、何かシートを持ってきてやってみよう。



ハエとアリは次回に回すことにして、残りは帰りに見つけたクモです。以前、サラグモかなと書いたら、MSWiさんからクサグモの幼体だと教えていただきました。きっとそれですね。





最後はマンションの廊下で見つけたオナシカワゲラかなと思われる個体です。写真で見ると、ずいぶん、細長い体をしていますね。採集して調べればよかったかな。

廊下のむし探検 蛾とハエ

廊下のむし探検 第882弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。3月も終わりだというのに、本当に虫がいないですね。いるのはいつものハエばかり。でも、クローズアップレンズの練習だと思って回ってみました。



まずはこのカバナミシャクです。これは天井に止まっていたので、いつものデジカメで撮りました。カバナミシャクは苦手なのですが、これはウスカバナミシャクかなぁ。



そして、これはマエアカスカシノメイガ



後はいつものムラサキナガカメムシ。これはいっぱいいました。



ガガンボがいました。クローズアップレンズで撮るとこんな感じです。



全体を撮るにはクローズアップレンズをはずさなければなりませんでした。顔に鼻状突起があるし、翅脈からはガガンボ科であることは確かですね。





触角が枝分かれしているのでショウジョウバエ科みたいですね。



これも触角を見ると、ショウジョウバエ科みたいです。これは採集したと思うのですが・・・。



後はこの間もいたタマバエ科Lestremia属。



クロバネキノコバエ科。





これらはニセケバエ科。こんな小さなハエばかりでした。

雑談:4月1日から1ヶ月間開かれる「写真展 北摂の花-ミクロな世界を楽しむ」の準備が全部終わりました。今日は配布用の葉書を100均で買って、裏に写真を印刷をして、これが最後の作業になりました。うまくいくといいのだけれど・・・。私は写真家ではないので、芸術的な写真はとても撮れません。それで、花を写しながらいろいろ勉強した内容を中心に展示することにしました。だから、写真展というよりは博物館の展示みたいです。見てくれる人がいるといいけど・・・。お近くの方でちょっと見てみたいと思われる方は自己紹介欄に載せているアドレスにメールをください。案内をお送りします。

内焦式レンズの焦点距離を測る

この間から、AF-S Micro Nikkor 85mmというマクロレンズを「廊下のむし探検」に使っています。あまり意識したことはなかったのですが、このレンズは焦点を合わせるのに内焦式という方法を用いているそうです。普通のレンズは近いものに焦点を合わせようとすると、レンズが前に繰り出してくるのですが、このレンズはまったく長さが変わりません。

カメラのレンズは何枚かのレンズが組み合わされているのですが、内焦式というのはこのうち内側のレンズの位置を動かすことで焦点を合わせる方式です。こうすることでレンズを大きく動かさなくてよいので、高速に焦点が合わせることができ、ズームレンズや望遠レンズによく用いられているようです。焦点は簡単に合わせることができるのですが、その代償として、撮影する距離によって焦点距離が変化してしまうと書かれていました。それで、実際に焦点距離を測ってみることにしました。



実験は簡単で、スケールを置いて、ピントを合わせてそれをカメラで撮るだけです。このとき、スケールとカメラのイメージセンサーの位置までの距離を測ります。次に、写ったスケールの像から倍率を計算します。この2つの情報から焦点距離が求められます。その原理は次の通りです。



まず、レンズで実像を結ぶことを考えます。このとき、レンズの公式が成り立ちます。その関係式をまとめて書くと次のようになります。



Mは倍率です。一番上の倍率の式からbを消去し、さらにaについて解いてやります。一方、焦点距離はレンズの公式から求められます。2列目の式からbを消去し、さらに、上で求めたaを代入すると最終的に4列目の式になり、焦点距離fはスケールまでの距離Lと倍率Mだけで表されます。後は、スケールの距離を変えて、まずLを測り、次に写した写真からMを求めればいいだけです。



そうやって求めたのがこのグラフです。横軸は倍率です。縦軸は上の関係式で求めた焦点距離です。グラフの赤丸が測定点です。また、破線は焦点距離の公称値85mmを表しています。倍率が小さい、つまり、遠くを撮るときは焦点距離85mmでほぼ撮れるのですが、倍率が高い、つまり、近くを撮ろうとすると焦点距離は徐々に短くなってきます。このレンズを用いたときの最短撮影距離は285mmになったのですが、その時の焦点距離は71.2mm、倍率は1.06倍でした。

追記2017/03/29:横軸をカメラから撮影対象(この場合、スケール)までの距離にしたグラフも追加しておきます。なお、始点はカメライメージセンサーの位置《取説によると距離基準マークというようです。カメラの上面にΦを横にしたマークがついています》にしています。



撮影距離が50cm以下になると急激に焦点距離が減少してくるみたいです


焦点距離が大幅に変わるというわけではなかったのですが、こういうレンズの性質も頭にいれて置かなければいけませんね。

廊下のむし探検 ハエとハチ

廊下のむし探検 第881弾

マクロレンズにクローズアップレンズ(f=200mm)を2枚取り付けて撮影を始めました。これは一昨日の結果ですが、まだ露出がうまくいかず、後で画像補正を行ったので、セピア色のようなちょっと変な色になってしまいました。







ユスリカはいろいろといるのですが、分かりそうなのがいないので、写真だけ出しておきます。



これはたぶん、セスジユスリカだと思うのですが、一応、採集しました。3月22日に写した♂の個体は一応、交尾器を調べてみました。上底節突起と横から見た尾針の形でヒシモンユスリカと見分けることになっているのですが、たぶん、セスジユスリカで間違いないと思われます。そのときは上底節突起の写真がうまく撮れなかったので、今度、もう一度挑戦してみます。ただ、今は写真展の準備で手一杯という状態で、もう少ししてからにします。(追記2017/03/30:交尾器を調べてみました。上底節突起の形はヒシモンだと思われるのですが、横から見た尾針はセスジのそれと似ています。ちょっと悩ましいところですが、たぶん、ヒシモンユスリカではないかと思っています。今度、写真を出します



後はミギワバエかなと思ったのですが、以前調べた個体とは翅の斑紋が違いました。M3+4脈が翅縁まで達せず途中で途切れている点やSc切目のある点などは似ています。以前はHyadina属かなと思ったのですが、これはひょっとして違うのかな。





これはタマバエ科だと思われます。「絵解きで調べる昆虫」やMNDに載っている翅脈を比較すると、Lestremia属に近いようです。一度、採集してみるかな。



これはキノコバエ。



こちらもタマバエ。



そして、これはクロバネキノコバエ。



それにニセケバエです。こういう小さいハエはいつもたくさんいますね。



最後はコバチではないかと思ったハチです。これも小さいです。一応、採集したので、今度検索してみます。今のところ、クローズアップレンズを取り付けても何ら支障のないくらいの小さな虫ばかりですね。もう少し撮り方を工夫してみます。

追記2017/03/25:クローズアップレンズを付けたときの倍率を測ってみました。方法はスケールを写して、1mm辺りのピクセル数を計算します。次に、実際のイメージセンサー大きさとピクセル数からピクセル辺りの大きさを計算します。これから1mm辺りのピクセル数を出して実測値と比較します。測定に用いたシステムは、Nikon D7100+AF-S Micro NIKKOR 85mm+Kenko AC CLOSE-UP No.5(200)×枚数です。実際にやってみると、

クローズアップレンズなし 1.070倍
クローズアップレンズ1枚 1.576倍
              2枚 2.332倍
              3枚 2.687倍

となりました。ということは、上の写真はだいだい2.3倍で撮っていることになりますね
)(追記2017/03/26:このマクロレンズは内焦式だそうです。通常は近いものを撮るときはレンズを前に繰り出すので、レンズの長さが長くなります。内焦式(インナーフォーカス;internal focusing)というのは、組み合わせレンズのうち、内側にあるレンズの位置を変えて焦点を合わせる方式です。従って、撮影する距離が変わってもレンズの長さが変化しません。その代わり、焦点距離が少し変化するそうです。上の測定はレンズの焦点を最近接を撮るように設定して測ったものです

廊下のむし探検 甲虫、カメムシなど

廊下のむし探検 第880弾

最近は家の近くの公園にばかり行っていて、肝心の「廊下のむし探検」はちょっとサボり気味でした。昨日、久しぶりに歩いてみたのですが、虫はまだまだみたいですね。





それでもこんな甲虫を見つけました。触角の形から、ケシキスイか、オオキノコかなと思って図鑑を探してみたら、それらしいのが見つかりました。キベリハバビロオオキノコではないかと思ったのですが、どうでしょうね。





こちらは小さなハムシで、上と下とは別の個体です。たぶん、同じ種かなと思っています。上の個体で体長を測ったら、2.4mmになりました。図鑑をだいぶ何度も見て、ツブノミハムシかなと思ったのですが、はっきりとは分かりません。





この2枚の写真は同一個体です。マツトビゾウムシです。



後はいつものムラサキナガカメムシ



これははっきりしないのですが、翅の縁紋の形から、いつものブリッグスウスイロチャタテかなと思いました。



最後は蛾です。蛾は実にこれ1匹でした。カバナミシャクは似たものばかりでよく分からないのですが、前翅の模様からソトカバナミシャクかなと思いました。(追記2017/03/31:ささきさんから、「蛾はソトカバナミシャクEupithecia signigeraでピンポンです。生きているときは褐色があざやかで分かりやすい種類ですね。標本にすると赤味が弱くなって分かりにくくなってしまいます。もうEupitheciaが出てきたんですね。春ですね~!!」というコメントをいただきました。ソトカバナミシャク、合っていて嬉しいです。最近、ハエ目ばかり見ていたので、感が働かなくなってしまいました。どうも有難うございました

残りはハエとハチなのですが、次回に回します。(追記2017/03/25:この日はマクロレンズに接写リングをつけて写してみたのですが、どうも露出が合わなくて、露出オーバーの写真が多くなってしまいました。もう少し練習しなくちゃ

家の近くのむし探検 マルトビムシ、ユスリカなど

家の近くのむし探検 第215弾

今日も晴れていたので、午前中にちょっと公園まで行ってみました。虫を探したのですが、ほとんど見つからなくって、もう帰ろうかなと思った頃に知り合いに会いました。ついでだから、いつも見ているマルトビムシを見ませんかと誘ってみました。公園の街灯の柱に止まっている1mmちょっとの小さな虫です。二人で探していたら、柱の周辺に結構、ちょこちょこいました。







指を近づけると、ぴょんと飛びます。それが面白くてちょっと遊んでいました。そのうち、「公園の主」さんも来られました。大人三人がこの小さな虫を相手に遊ぶ姿は周りから見るとどんな感じだったのでしょう。



ついでに、マクロレンズの前にKENKOのクローズアップレンズNo. 5 (f=200mm)を2枚取り付けて撮ってみました。この場合はオートフォーカスが効くので、カメラをある程度固定できれば意外に楽に撮れますね。これからはこれを使ってみようかな。





小さな虫がいるなと思って撮ってみると、たいていクロバネキノコバエばかりでした。



後はユスリカ。(追記2018/02/15:たぶん、エリユスリカ亜科のツヤユスリカ属かなと思って、そのように記録しました



これはマンションの倉庫の壁に止まっていたユスリカです。たぶん、セスジユスリカか、ヒシモンユスリカでしょう。ユスリカ亜科なので、確かに前脛節に比べて、第1跗節の方が長いですね。「日本のユスリカ」によると、両者は上部付属器(上底節突起?)の形状、尾針の形状、それに翅の透明度に違いがあると言うので、今回は採集してみました。上部付属器は見難いので分かるかなぁ。ちょっと不安ですが、明日にでも調べてみます。



これも倉庫にいたものですが、たぶん、以前も見たことのあるトゲハネバエの仲間ですね。

雑談:今日は4月に開く予定の写真展に展示する写真をA3マット紙に印刷しました。昨日は手作り図鑑を2冊印刷したので、もうかなり準備が進んできた感じです。後は説明文を打ち出し、印刷した写真を額に入れたり、説明文をパネルに貼り付けたりしたら準備完了です。やっとここまでたどり着けました。

家の近くのむし探検 ヨコバイ幼虫ほか

家の近くのむし探検 第214弾

昨日は春のような暖かさで、思わず外に出かけてしまいました。そして、いつの間にかいつもの公園に来てしまいました。途中、キチョウやテングチョウの姿も見えたので、ちょっと期待して行ったのですが、意外に虫はいませんでしたね。





それでもツツジの葉の上でこんな虫を見つけました。顔はヨコバイ風なのですが、さて、何でしょうね。図鑑には載っていないので、ネットで探してみると、どうやらクロヒラタヨコバイ幼虫のようです。成虫は何度か見ていたのですが、幼虫は初めてですね。いずれにしても、この手の幼虫はどの図鑑にも載っていないので、確かめようがないですね。



ツツジの葉を見てから、いつもの街灯の柱を見てみました。この日もマルトビムシがいました。これも早く調べないとなぁ。



後はササグモ



それにクロバネキノコバエかな。この日はたくさんいました。



葉裏に止まっていたマエアカスカシノメイガです。横からの撮影がやっとでした。



ユリノキの幹にヨコヅナサシガメの幼虫がたくさんいました。



ちょっと拡大してみました。翅が出かかっているので、これは5齢幼虫かな。



シラカシの幹にはアリがいました。止まってくれないので、なかなかうまく撮れません。たぶん、ルリアリかなと思います。



後はマンションの廊下です。これはムラサキナガカメムシ。



最近、蛾を見ていなかったせいか、この蛾がなかなか分かりませんでした。図鑑を見ても見つからなくて、過去に撮った写真と見比べて、やっといつも見ているシロテンエダシャクだろうと思いました。



それにマツヘリカメムシがもそもそ動き始めていました。春ももうすぐそばまで来ている感じですね。

家の近くのむし探検 マルトビムシ、タマバチなど

家の近くのむし探検 第213弾

4日前の16日に近くの公園で虫探しをした結果です。3月も半ばを過ぎ、そろそろ虫がいっぱいいるかなと思って行ったのですが、実はほとんど見つかりませんでした。どうしてでしょうね。



最初に見つかったのは、いつもの街灯の柱に登っていたこのマルトビムシです。以前、同じ場所から3匹採集してきて検索を試みたのですが、腹管の嚢状突起のいぼがよく分からず、止まっています。たぶん、ニッポンマルトビムシか、キノボリマルトビムシかなと思っているのですが・・・。



後はこのタマバチです。最近、タマバチをよく見ます。



これはたぶん、クロバネキノコバエだと思います。



後はユスリカです。これは比較的大きかったので、採集しようかどうか迷ったのですが、♀だったので今回はパスです。





この2匹はたぶん、エリユスリカ亜科だと思います。♂だったのですが、この日は採集しませんでした。



後はマンションの廊下で見つけたものです。アカモンナミシャクですね。この蛾はこれまで、3月19日から4月13日の間に見ていました。



最後はまたタマバチです。本当に多いですね。

追記2017/03/31:通りすがりさんから、「長野で5月上旬に、タンポポの花床と花柄に産卵する小さなタマバチを見たことがあります。キク科に産卵する未記載種が幾つかある様で、同定を考えなければ何か見付かるかも?」というコメントをいただきました。タマバチ、少し文献を調べてみました。タマバチは単性世代と両性世代があるようですが、私の見たのは外観からはナラタマバチ族の単性世代と似ているような感じでした。ナラタマバチ族については九大の井手氏のD論が出ているみたいですが、今のところ手に入りません。

Csokaらの論文(2005)によると、キク科に虫こぶを作るのはAylacini族に限られているようです。この族は九大の目録ではAulacidea hieraciiしか載っていませんが、世界的には18属あって、ナラタマバチ族に次いで大きなグループなので未記載種が多いかもしれません。とりあえず、族の検索表はこの論文に載っていたので、頑張れば族までは行けるかもしれません。それにしても、タマバチの生活史はなかなかおもしろいですね。一度、論文を読んでまとめてみたいと思っています


雑談:4月から始まる「写真展 北摂の花」の写真と説明原稿の準備がほぼ出来上がりました。今週からはそれらの印刷にかかります。この印刷でいつもトラブルがあるので、どうなるか不安なのですが・・・。でも、とりあえず、一安心です。

廊下のむし探検 雑談

3月もあと10日あまりになってしまいました。4月からは近くのギャラリーを借りて、写真展を開くことになっています。今回は花が主題なのですが、準備が思ったようには進みません。いつもだったら、1週間前にはほぼ準備が終わっていたのですが、未だに全貌がぼんやりとしたままです。今のところ、写真展は次のような配置を考えています。



左上が入り口です。初めに写真展の趣旨などを書いて、5月頃に見られる花、北摂の花などの写真展示をします。右側は仕切られた棚になっていて、その中には顕微鏡で撮ったススキの葉やひっつき虫などの拡大写真と説明を展示するつもりです。下側の最初は大きめのボードを2枚配置して、「酉年に因んで」と「変わった花」というタイトルで何枚かの写真と簡単な説明を載せようかと思っています。その後は花を拡大した写真を何枚かおいて、それぞれの花にまつわる面白い話、例えば、ツユクサならば仮雄蕊の話などを展示しようと思っています。写真の下の説明はできるだけ少なくして、手前に長机を置いていただき、その上にA4のカードケースに入れた説明書を置き、詳しいことを知りたい方には中央の椅子に座って読んでもらおうかという趣向です。

写真展とはいうものの、写真家ではないので芸術的な写真は全くありません。それで、むしろ植物の面白さを知ってもらおうと思って説明を増やしたので、結構、説明の多い写真展になりそうです。中央の机には、この間からフーフー言いながら作っていた花の手作り図鑑を置くつもりです。今のところ、以前に作ったシダ、今回作った単子葉植物と双子葉植物合弁花の3冊を置こうかと思っています。どれもこれもまだ未完成状態でこれからどうなるか心配です。


一方、「むしを調べる」の方は今、ユスリカが面白くなって、そればかりを見ています。いろいろと詳しいコメントいただき、疑問が少しずつ解けていくのがとても楽しみです。顕微鏡写真も最近のユスリカだけで合計3000枚以上は撮ったと思うので、少しは慣れてきて、交尾器の写真も少しずつ見やすくなってきました。今のところ、採集した個体をとりあえず冷凍庫に入れ、必要なときに取り出して検索と写真を撮り、その後、消毒用アルコールに入れて、外径12mmの円筒形のサンプル瓶入れて保管しています。こうすると、見たい時にいつでも見れるので大変便利です。また、今度、高輝度LEDを使った照明をテスト的に購入したので、これを使ってみようと思っています。高輝度LEDの場合はたくさんのLEDを使わずLED1個だけなので、明るい上にレンズ系で照明を絞れるところがよいかなと思っています。

この間、捕まえたマルトビムシの検索がまだ途中で残っています。腹管の嚢状突起のいぼが脚が邪魔してよく見えません。脚を取り除いて見ればよいのですが、体長が1mmそこそこなので、実体顕微鏡下の作業が片目の視力を失った私にとっては距離感が分からず、かなり至難の業になっています。それでも、近いうちにやってみます。これがうまく行けば、後は跳躍器の脛節刺の配列で、キノボリマルトビムシか、ニッポンマルトビムシかが決まります。



こんな感じの作業です。初め、黒丸のところだけを数えていて、3,2,2,2,2,2,1,1だと思って、最後の1を除くと、ニッポンと同じになり、それで決まりかなと思っていたのですが、論文の図と比べると、白矢印で示した横の毛も数えているような感じです。それから、先から2番の黒丸で示した毛があるのかないのかはっきりしなくて、もしないとすれば、3,3,3,2,2,1,1となり、まさにキノボリと一致します。これの確認をしないといけません。

こんなことをしていると、「廊下のむし探検」を始めたころはよかったなぁとつくづく思います。あのころは、虫の写真を撮って名前はたいてい分かりませんで済ましていたので、どんな虫が出てくるかと毎日毎日楽しみにしていました。今では、できる限り調べて少しでも種に近づかないと気が済まなくなり、1匹を調べるのも大変な時間がかかります。もう、楽しみどころではなく仕事になっちゃいました。

虫を調べる ヒロバネエリユスリカ?

先日、マンションの窓際に雄のユスリカが何匹か止まっていました。そのうち、2匹を捕まえてきました。やや大きめのユスリカと少し小さなユスリカだったのですが、そのうちの大きめのユスリカを調べてみました。なお、やや小さめの個体は先日調べた個体と同じ種のようでした。



窓際では写真を何枚か撮ったので、実際に採集したユスリカがこの写真のユスリカと一致しているかどうか自信はないのですが、たぶん、これかなと思ったので一応出しておきます。



例によって、冷凍庫に入れておいた試料を取り出してそのまま写真を撮り、後で消毒用アルコールに入れて撮りました。この写真は消毒用アルコールに入れた状態で撮ったものです。体長をどこで測ったらよいのか分からないので、スケールを入れておきました。5mm程度のユスリカです。この写真から前脚の第1跗節よりも脛節が長いことが分かります。たぶん、エリユスリカ亜科ですね。実際にはいつものように「日本産水生昆虫」に載っている検索表で検索をして、エリユスリカ属になったのですが、先日も検索過程を書いたので、今回はそれを省略して、写真だけでお見せします。



まずは翅脈です。アルコールに入れたまま撮影してコントラストがほとんどつかなかったので、画像を暗くして、思い切りコントラストを上げました。翅が茶色っぽくなったのはそのせいです。MCu横脈がないことが分かります。



これは後脚脛節末端の端刺と櫛状刺列です。



これは腹部末端を腹側から写したものです。アルコールに浸ける前なので、リアルな質感があるのですが、底節突起などは毛に埋もれてちょっと見にくい感じです。





これはアルコールに浸けたまま、試料をホールスライドに載せて、カバーグラスをかぶせて撮ったものです。却って、コントラストがついた感じで、突起は非常によく見えます。これを見て、以前調べたヒロバネエリユスリカより背側の下底節突起の幅が狭いような気がしました。それで、これがひょっとしてニセヒロバネエリユスリカなのかなと思いました。



これはその部分を透過照明で撮ったものです。二つの突起がさらによく見えます。





これは同じ部分を背側から撮ったものです。尾針に毛がいっぱい生えていることが分かります。

「図説 日本のユスリカ」によると、ニセヒロバネエリユスリカとヒロバネエリユスリカは極めて類似していますが、1)前者は触角比2.1前後に対して、後者は2.5-3.0、2)後者の小盾板には刺毛列が1列に対して、前者では2列ないしそれ以上、3)底節突起の背面突起が前者ではかなり狭くなることで識別可能であるとのことです。3)の背面突起は前回調べたものよりもやや狭そうなのですが、どの程度狭ければよしとするのかよく分かりません。それで、2)の小盾板の刺毛列を調べてみました。



これは小盾板を撮ったものですが、明らかに刺毛列は2列です。これで、たぶん、ニセヒロバネで合っているのではと確信しました。最後に、1)の触角比を測ってみました。



これがその時の写真ですが、触角比は3.0です。もう一方の触角も2.99でした。ここで迷い始めました。ニセヒロバネは2.1前後で、ヒロバネは2.5-3.0なので、ひょっとしてこれはヒロバネの方かも。でも、小盾板には2列の刺毛列・・・。こうやって迷い始めたころに、che*rki**_y_nさんからびっくりするようなコメントがありました。この間、エリユスリカ属で種名の分からなかった個体が、実は、ニセヒロバネだそうです。とすると、これはやはりヒロバネなのだろうか。うーむ、なかなか難しいですね。

追記2017/03/31:che*rki**_y_nさんから、「これも、ちょっと見にくいですが、ニセヒロバネエリユスリカであってると思います!この二種を見極めるには、やはり決め手は底節突起なのです。ARを気にされておられていますが、正直、これは当てにし過ぎると危険です。結構、幅があります。」というコメントをいただきました。ARはantenna ratioで触角比のことです。コメントをどうも有難うございました。私はもう少し数をあたって修行をしないといけませんね

虫を調べる トビイロシワアリ(再々)

この間、川の土手で虫を探していたら、小さなアリが活動しているのが見つかりました。たぶん、トビイロシワアリだろうなと思ったのですが、何となく前伸腹節刺が長いような気がしたので、もう一度調べてみることにしました。



調べたのはこんなアリです。1匹だけ捕まえてきて、先ほど調べてみました。やはりトビイロシワアリでした。このアリについては、これまで2014年8月2016年3月に検索をしているのでここでは詳細を省き、検索の結果をいくつかの写真にまとめてみました。





フタフシアリ亜科であることは確かなので、属への検索項目を上の2枚の写真にまとめてみました。若干、これらの写真では表せない項目もあるのですが、検索項目はほぼ入っていると思います。これらが確認できると、シワアリ属になります。



次は種の検索です。これも若干この写真で表せない項目もあるのですが、ほぼ入っていて、このことからトビイロシワアリになります。こうやって写真を見てみると、前伸腹節刺はそれほど長いということはありませんでした。

家の近くのむし探検 ツヤユスリカ、ツヤグモなど

家の近くのむし探検 第212弾

最近は春めいてきたので、ちょっと晴れるとすぐに観察に行きたくなります。昨日は家の近くの川の土手に行ってみました。でも、風が強くて、冷たくて・・・。春はまだまだですね。



それでも土手で頑張って虫を探していたら、こんなユスリカを見つけました。たぶん、ツヤユスリカですね。ツヤユスリカは「日本のユスリカ」に腹部の斑紋パターンが載っています。それと比べると、ナカグロツヤユスリカに似ています。



こんなツヤユスリカもいました。こちらも本の図とくらべてみると、ナカオビツヤユスリカに似ています。吸虫管を持っていなかったので、チャック付きのポリパックで捕まえようとしたら、両方とも逃げられてしまいました。ちょっと残念!





後はアリ。この日はクロヤマアリは見当たらなくて、この間もいたトビイロシワアリらしいアリが活動していました。この間も書いたのですが、前伸腹節の刺がかなり長いのが気になったので、一応、一匹だけ採集したのですが、まだ調べていません。



後は、こんな金属光沢を持つアリがいました・・・と撮影したときは思ってしまいました。実はクモだったのです。



ときどき、こんな風に腹を持ち上げるので、奇妙な動きをするなぁとは思っていたのですが・・・。調べてみると、ワシグモ科のヒゲナガツヤグモ♀みたいです。実は、昨年も3月21日にも見ていました。今頃、登場するのでしょうね。「むし」でいたのはこのくらいでした。



それで、今度は花を撮ってみました。これは何の花か分かりますか。

実はホトケノザです。普段よく見る花ですが、拡大すると変わった花に見えますね。上の赤いところが雄蕊で、その中心の白いものが雌蕊かなと思いました。

家の近くのむし探検 マルトビムシなど

家の近くのむし探検 第211弾

昨日、家の近くにある公園を覗いてみました。相変わらず、虫は少なかったのですが、公園の中の街灯の柱に小さな虫が何匹か止まっていました。







これは以前も見たマルトビムシですね。今度こそ、検索をしてみようと思ってこのうち3匹を採集してきました。以前採集した個体と合わせて4匹になったので、昨日、まず1匹を消毒用アルコールにつけて顕微鏡観察してみました。体長は1.4mm。かなり小さいのと、翅がないので、つかむところがなくてかなり苦労します。それで、今日は1匹をアルコールに浸けないでそのまま観察してみました。それでも、ピンセットが使えないので、針の先であちらこちら向けて何とか検索できました。

伊藤良作ほか、「日本産ミジントビムシ亜目およびマルトビムシ亜目(六脚亜門:内顎綱:トビムシ目)の分類」、Edaphologia 91, 99 (2012). (ここからダウンロードできます)

検索表はこの論文に載っている絵解きのものを用いました。まだ、いくつかある項目の半分程度しか確認できていないのでだいぶ怪しいのですが、、今ところマルトビムシ科ヘラマルトビムシ属のニッポンマルトビムシあたりが有力です。まだ構造的に分からないところがいくつかあるので、もう少し調べてみますが・・・。写真は何枚か撮ったので、そのうちの2枚を出しておきます。



まずは眼です。8つあることはすぐに分かりますね。



次は跳躍器です。お腹の下にこんなものを隠していました。詳細は後日載せることにします。(追記2017/03/14:触角後毛(眼の写真で眼の左斜め上にある小さな毛)が筆先状のような感じもします。だとすると、キノボリマルトビムシの可能性もあります。街灯の柱を登っていたし・・・。もう少し検討が必要です)(追記2017/03/14:科の検索をもう一度チェックしてみました。触角を見ることでミジントビムシ科とクモマルトビムシ科は直ちに除外できます。跳躍器端節を見てオドリコトビムシ科を除外できます。眼を見るとヒトツメマルトビムシ科を除外できます。さらに、脛跗節末端の粘毛の向きからボレーマルトビトビムシ科が除外できます。というわけで、残りはヒメマルトビムシ科かマルトビムシ科になります。腹管の嚢状突起というのがわからないので、ヒメマルトビムシ科はまだ除外できていません)(追記2017/03/15:マルトビムシ科の属の検索を再チェックしてみました。触角の長さからヒゲナガマルトビムシ属は除外。後肢転節の刺状突起がたぶんないので、オニマル、フトゲマル、オウギマルの各属は除外。脛跗節末端の粘毛の先端形状からマルトビムシ属を除外。ということで、今のところ、やはりヘラマルトビムシ属が有力です。後肢転節の刺状突起の有無の確認とヒメマルトビムシ科かどうかを見る腹管の嚢状突起を探すのが重要ですね。もうちょっとだ、頑張ってみよう





後はいつものようにユスリカでした。♂だったのですが、冷凍庫にいっぱい入っているので、今回は採集しませんでした。



それから、ササグモ。公園の「むし」はこんなものでした。



公園へ行く途中の壁にマエアカスカシノメイガがいました。



後はマンションに着いてから見たものです。これは昨日も見たタマバチ。



それから翅脈が3つに分かれるtriozineなので、トガリキジラミ。たぶん、オオトガリキジラミ属。これについては以前調べてたことがあるので、そちらを見てください。(追記2017/12/03:これはサトオオトガリキジラミだと思われます。詳しくはこちら



それから何だか分からないクモ。昨日はこんなところでした。

廊下のむし探検 ハエやらハチやら

廊下のむし探検 第879弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。3月も半ば近くなってきて、少し虫も出てきたようです。でも、相変わらず、ハエが多いですね。見た順に書いていきます。



初めはまず、このクロバネキノコバエからです。昔は小さなハエだと思っていたのですが、久しぶりに見ると、結構大きいですね。



次はいつも見ているオドリバエです。これは♀の方ですね。たぶん、Rhamphomyia属。



この小さなハネカクシも最近よく見ますね。今頃いる種だと言えば、種類が分からないのかなぁ。





今日はこのタマバチが合計3匹いました。そのうち、2匹は捕まえたのですが、いざ、検索してみようと思ったら、亜科や属の検索が載っている文献が見つかりません。日本では60種あまりだというので、ひょっとしたら何とかなるかなと思っていたのですが、とても残念です。もう少し探してみますが・・・。(追記2017/03/31:通りすがりさんから、「これとそっくりなタマバチは、晩秋から初冬に何度か見てます。花芽(冬芽)に産卵して、比較的大きなゴールを形成するものかな?世代によって形成するゴールも寄生部位も外見も変わる様なんで、難しいと言うか、信頼できるできるだけ新しい資料が欲しいですね。コナラに寄生と予想してますが、産卵とゴールを確認できれば、同定はできますね。幼木や低い位置にもゴールは見られますが、種によって好みの環境がある様です。」というコメントをいただきました



これは以前、クチジロハススジハマダラミバエと思った種とよく似ています。たぶん、そうなのでしょう。





ノミバエもいろいろいました。たぶん、両方共、Megaselia属だと思われます。特に、二枚目の写真では後脚脛節の剛毛列と微刺毛列がよく見えます。(追記2017/05/26:Ziramさんから、「ノミバエの2枚目、光の当たり具合で赤っぽく見えますが、顔つき・体つきが昔に見たM. scalarisっぽい印象を受けます。和名はクサビノミバエ…だったでしょうか。国内の和文論文でも初期から報告があったので可能性はあるかな…と。まぁ、細部見ないとわからないのでしょうが。」というコメントをいただきました。早速、文献を調べてみました。M. scalarisは世界中で見られ、遺伝や発生、特に性決定の実験に多く使われているみたいです。日本で再記載した論文は手に入りませんでした(愛知医科大医学会雑誌6(4)261(1978))。その代り、ニュージーランドの論文が読めて、♂腹部末端と♀第6背板に特徴があるみたいです。絵が載っていました。捕まえておけばよかったと思いました。ノミバエというといつも冬に見るのですが、今頃でもいるのかなぁ



これはニセケバエ。



後は、ツノブトホタルモドキ。これは年がら年中見ます。



これは以前、調べたショウジョウバエと似ています。だとすれば、Scaptomyza (Parascaptomyza) pallida周辺の種ではないかと思います。



それから、ムラサキナガカメムシ



これは以前、ヘリグロハナレメイエバエ Orchisia costata だと教えていただいた種とよく似ています。ただ、翅全体が褐色なのと、胸背の黒筋が薄いのがちょっと気になりました。たぶん、ヘリグロの近くだと思って、「日本のイエバエ科」に載っているハナレメイエバエ亜科の属への検索表(日本語版)で確かめてみました。



腹胸側板の剛毛の配置が三角形かどうかはこの写真では分からないのですが、その他の項目は全て確認できました。たぶん、Orchisia属で合っているのではと思いました。日本産のこの属にはcostata一種だけなので、ヘリグロハナレメイエバエでよいのではと思われます。(追記2018/02/12:「日本昆虫目録第8巻」(2014)によると、Orchisia costataはヘリグロヒメハナバエという和名になっているのでそちらにしておきます



最後のこのハチは何でしょうね。胸背の模様からはコツチバチのようにも見えますが・・・。一応、採集したので、今度調べてみたいと思います。調べるのが多すぎ・・・。ふぅー。

虫を調べる エリユスリカ属?

冬の間に見ることのできた虫がユスリカばっかりだったので、ときどき採集しては冷凍庫にしまっていました。冷凍庫もいっぱいになってきたので、少し整理しようかと思って、先日、一匹だけ取り出して調べ始めたのですが、これが難しい。迷いに迷った挙句、結局、エリユスリカ亜科エリユスリカ属という結論に達しました。間違っている可能性も高いのですが・・・。いつまでも関わっているわけにもいかないので、とりあえず、今まで調べてきたことをまとめておきたいと思います。



生態写真はどれがどれだか分からなくなっているので、この写真で替えることにします。体が曲がっていて体長をどう測っていいのか分からないので、スケールを入れておきました。いずれにしても4mmほどの大きさです。触角がふさふさなので♂です。ダニが2匹もくっついているのがちょっと気になりますね。(追記2017/03/31:通りすがりさんから、「ダニは幼虫時代から寄生しているミズダニでしょう。ユスリカでさえ手に負えないのに、ダニまでは…ですが」というコメントをいただきました。ミズダニで検索すると、今村泰二氏の名前が出てきて、国内外1500種以上の標本がミュージアムパーク茨城県自然博物館に所蔵されているそうです。どこにあるのかなと思ったら、野田、常総、坂東の中間くらいの菅生沼の横みたいです。この間、野田までは行ったのですが・・・。でも、ミズダニに手を出すのはだいぶ先のことになりそう。脚の数が多いし・・・)



まずは亜科の検索で、これは「日本産水生昆虫」に載っている検索表を用いました。その結果、容易にエリユスリカ亜科になりました。まず、これを確かめていきたいと思います。



最初は翅脈です。写真があまりうまく撮れなかったのですが、MCu横脈がないこと、R2+3脈があることは何とか分かります。



この写真では後盾板の中央に縦筋が入っていることを確かめます。



次は前脚脛節と第1跗節の長さ比較です。確かに脛節の方が長そうです。



最後は背側から撮った腹部末端です。把握器が折れ曲がっていることがよく分かります。これでエリユスリカ亜科であることが確かめられました。でも、エリユスリカ亜科の中には70属ほどが含まれています。実はこれからが大変なのです。



次は属の検索です。何度も最初から検索を試みたのですが、なかなか納得ができず、ウロウロしていました。結局、以前にも到達したエリユスリカ属にしたのですが、ちょっと怪しいです。それをこれから調べていきたいと思います。上の各項目がそれなのですが、赤字は写真がうまく撮れなかったので該当する写真がないことを示しています。でも、たぶん大丈夫だと思います。



最初は盾板です。盾板の中央に縦筋があるので、⑦の中央部の溝についてはだいぶ迷ったのですが、かなり浅い筋なので溝とまではいかないだろうと思ってOKにしました。⑧は大丈夫でしょう。⑯の中刺毛は中央の縦筋の両側に生える刺毛なのですが、方向を変えて何度も調べたのですが、どうもありそうにありません。それで、これもOKとしました。



次は胸部の側面です。⑤の複眼の毛は、それ自身を撮った写真がなかったので、この写真に項目を加えておきました。無毛でたぶん大丈夫だと思います。⑧の中胸側板と後胸側板はどれを指すのかよく分からなかたので、MNDで調べてみました。anepisternumとkatepisternumが中胸側板のことで、epimeronが後胸側板かなと思ったのですが、はっきりはしません。いずれにしても刺毛はなさそうです。



さっきと同じ翅脈の写真です。④も⑥もOKだと思いました。



これは翅の基部を写したものです。第1翅基鱗片には何本か刺毛が見えます。



これは後脚脛節末端ですが、端刺と櫛状刺列が見えます。



こちらは中脚脛節末端です。櫛状刺列はないようです。



これは後脚脛節末端の刺を拡大したものです。Aは透過照明を少しと上からの照明で撮ったもの、Bは主に透過照明で撮ったものです。両方ともあまりうまく撮れなかったのですが、この刺の表面にある小さな刺列は開いていないのではと思いました。



次は交尾器を背側から撮ったものです。細長い尾針があります。尾針は途中で小さな段差があるような感じで、また、側面に毛が生えています。



これは腹側からの写真です。⑰の生殖中突起が上底節突起だとすると、この写真のように小さな突起が見えています。実はこれが一番迷いました。小さいので、⑰のもう一方の項目の「ほとんど認められず、あってもごく僅かに膨らむ程度」かもと思ったのです。そうなると、最終的にはニセテンマクエリユスリカ属になるのですが、途中の過程でやや疑問になるところもあって、結局、「上底節突起は明瞭で、よく発達する」というエリユスリカ属の方を選んでしまいました。ちょっと怪しいところです。「日本のユスリカ」に載っているエリユスリカ属の交尾器の図と比較したのですが、似たのがなくて、種の方はちょっと保留です。

ついでに写した写真を載せておきます。



実は、今回は、まず、試料を解凍した直後に空気中で一通り撮影し、その後、消毒用アルコールに入れて写しました。この写真はさっきの交尾器の腹側からの写真と同じですが、空気中で撮った写真です。よりリアルに写っている感じです。



次は触角です。ユスリカではよく触角鞭節は○○分環節という書き方がされるのですが、この数え方がずっと分かりませんでした。でも、「日本のユスリカ」に載っている図を参考にし、さらに、「原色昆虫大図鑑III」に載っていた「触角比:触角鞭節末端環節の長さ/末端環節を除いた残りの鞭節の長さ」という記述から、たぶん、この写真のように分環節に番号につければよいだろうと思いました。また、触角比にはAとBの長さを測ればよいみたいです。合っているかなぁ~。

追記2017/03/31:che*rki**_y_nさんから、「エリユスリカ属で合ってますよ。この種がニセヒロバネエリユスリカ (Orthocladius excsavatus Brundin)ですよ。この種は下底節突起の背面側がかなり細くなってるのでニセヒロバネエリユスリカと判断できます。図説日本のユスリカのP121図63のBと同じになってますよ。」というコメントをいただきました。これは違うのかなと思っていたのですが、意外や意外、ニセヒロバネエリユスリカでしたか。もう少し修行を積まないといけませんね。コメント、どうも有難うございました

ユスリカの検索は難しいのですが、まぁ、少しずつは進展しているかもしれませんね。でも、冷凍庫にはまだまだユスリカの試料が入っています。

家の近くのむし探検 カゲロウやらハエやら

家の近くのむし探検 第210弾

まだ、気温があまり高くないので、たぶん、公園に行っても何もいないだろうなとは思ったのですが、もう3月半ば、そろそろ何か出てきているのではと思って、8日と10日に公園に行ってみました。そこで見たむしたちです。



まずは8日分。この日は公園の木の枝の剪定作業が行われていました。それで、ちょっとだけ見て、すぐにコミュニティプラザに行ってお喋りをしてきました。公園で見つけたのはこのカゲロウ亜成虫だけでした。尾が2本なので、たぶん、ヒラタカゲロウの仲間かなと思いました。



後はマンションの廊下で見つけたホソバトガリエダシャクと、



いつものオドリバエ科Rhamphomyia属だと思われる♀でした。



10日もあまり虫はいませんでした。これはサラグモ科かなと思ったのですが、どうでしょう。



これはカニグモ科であることは間違いないのですが、さて、何でしょう。寒いのかじっとしていました。



公園内をずっと探し回ってやっと虫を見つけました。ツヤユスリカ属ですね。腹部の縞模様がよく見えるので、「日本のユスリカ」の図と比べてみました。フタスジツヤユスリカかなと思ったのですが、よくは分かりません。



そのうち、コバチらしいのも見つけました。これは採集しました。何となくコバチは惹かれますね。でも、小さいです。



マンションの倉庫の壁にこの間から見ているミギワバエ科らしいハエがいました。



後はユスリカ。こちらは♀なので無視です。





マンションの廊下の窓際に♂のユスリカが何匹かいました。そのうち、2匹を採集しました。盾板の後縁近くに3本の隆起があるので、この間調べたヒロバネエリユスリカかもしれませんね。今度調べてみます。ユスリカも顔馴染みが増えるといいですね。(追記2017/12/03:検索をしてみたところ、これはニセヒロバネエリユスリカだとわかりました。詳しくはこちら





公園からの帰りにこんな花を見つけました。「日本帰化植物写真図鑑」を見ると、ヨーロッパ原産のキクザキリュウキンカ(ヒメリュウキンカ) Ranunculus ficariaみたいです。キンポウゲ科の花というのはちょっと変わっていますね。中心にあるプツプツしたものが雌蕊が集ったもの。周りに立っているのが雄蕊。Wikipediaによると、さらに、3枚の花被片、7-12枚の花弁状の花被片があるとのことです。花被片というは萼と花弁の区別がはっきりつかないときに使われる言葉です。

廊下のむし探検 甲虫、ハエ

廊下のむし探検 第878弾

3月5日に近くの川の土手を歩いた帰りにマンションの廊下も一部だけ歩いてみました。本当は先ほどの「家の近くのむし探検」に入れておいてもよかったのですが、ちょっと長くなったので、別に書くことにしました。



こんな甲虫がいました。写したときはてっきりハムシだとばかり思って、寸法も測りませんでした。帰ってから名前調べをしていると、触角が明らかに違います。これはケシキスイとかオオキノコとか、そこいら辺の甲虫ですね。「原色日本甲虫図鑑III」をぱらぱら見ていたのですが、似たような配色で、触角がこんな感じなのはそこそこいます。ホソチビオオキノコ、クロバチビオオキノコ、スネビロオオキノコ、ムネアカチビケシキスイなど。それで、ネットの画像データを見てみたのですが、チビケシキスイは前胸背板後縁の様子が少し違っていそう。スネビロは脚の色が違います。それで、クロバチビとホソチビが残ったのですが、クロバチビは触角がやけに短そう。それで、ホソチビオオキノコかもと思ったのですが、はっきりとは分かりません。



ニジュウヤホシテントウかなと思って写したのですが、斑紋の配置が違います。こんなに斑点が多いのですが、やはりナミテントウなのかなぁ。(追記2017/03/31:通りすがりさんから、「テントウムシはナミテントウの紅型で、ニジュウヤホシなどのマダラテントウ亜科のものは微毛でくすんで見えるのと、前胸も赤地に紋がありますね。」というコメントをいただきました。確かにニジュウヤホシは見た感じが違いますね。あれは微毛なのですか。今度よく見てみよう。でも、意外に見かけませんねと書いたら、「ニジュウヤホシテントウは、夏に幼虫がイヌホオズキをボロボロにするほど食べているのを見る以外は、あまり見ませんねえ。成虫は単独行動で目立たないのと、炎天下に探さないからでしょうけど。昔は年間平均気温14度以下で見られるオオニジュウヤホシテントウしか見られなかったのに、今は年間平均気温14度以上で見られるニジュウヤホシテントウしか見られませんからね。」というコメントもいただきました。そういえば、ニジュウヤホシテントウは、昔、ナスにいっぱいついているのを見たような気がしました。大阪の年平均気温は16.9度だそうです。豊中は16.0度、能勢は13.5度。私の住むところは豊中かそれよりちょっと低いくらいなので、14度以上は間違いなさそう。千葉は15.7度。同じくらいなのかな。となると、オオニジュウヤホシは見られない・・・。ニジュウヤホシテントウはどこにでもいそうな気がしていたのですが、いざ探すとなると意外に見つからないのかもしれませんね



後はいつも見るオドリバエ科Rhamphomyia属と思われるハエとか、



エリユスリカ亜科と思われるユスリカくらいでした。



最後に、家の前の廊下で、ちょうど外に行こうとしている虫がいたので撮りました。奇妙な翅脈です。これはたぶんハチですね。この翅脈を手掛かりに探してみると、どうやらタマバチ科みたいです。これは採集すればよかった・・・。(追記2017/03/31:通りすがりさんから、「タマバチは12月に見られたものと似た感じだけど、やっぱり冬芽に産卵するのかなあ?タマバチは同種でも外見だけでなく、世代によって寄生場所やゴールも変わるんで、難しいですよね。」というコメントをいただきました。コメント、どうも有難うございました)

家の近くのむし探検 土手で花とかアリとか

家の近くのむし探検 第209弾

いつも近くの公園に行っていたのですが、4月から花の写真展を開くことになっているので、春の花でも咲いていないかなぁと思って、4日前に家の近くの川の土手に行ってみました。でも、春はまだまだみたいですね。





オオイヌノフグリはいっぱい咲いていました。ちょっと拡大してみたのですが、写真展に使えるかなぁ。





タンポポがぽつぽつと咲いていました。花をひっくり返してみると、総苞片が反り返っていないので、カンサイタンポポみたいですね。



地面を見てみると、もうアリが活発に動き回っていました。



中胸気門(矢印)が背面寄りなのでたぶん、クロヤマアリなのでしょうね。



小さいアリもうろうろしていました。写したときはたぶん、トビイロシワアリだろうなと思ったのですが、さっき、写真を見ていてあれっと思いました。



まずは上から見たところ。外形的には確かにトビイロシワアリによく似ています。



問題はこの前伸腹節刺です(矢印)。これが長すぎます。「日本産アリ類図鑑」に載っている検索表によると、「前伸腹節刺は歯状で短く、側方から見て先端は後胸後縁の角に達しない」というのがトビイロシワアリに行く最初の関門なのですが、これはどう見ても歯状ではなく、後胸後縁の角を越えています。仮にそちらを選ぶと、どれも該当しなくなってしまいます。一度、採集して調べてみないといけないみたいです。



ユスリカがふらふらと飛んできました。風に煽られて翅が開いています。盾板の後縁近くに3本の縦隆起があるので、この間調べたヒロバネエリユスリカかもしれません。



アリぐらいしかいない地面をずっと見ていたら、こんな虫が動いていました。たぶん、アワダチソウグンバイだと思います。



ふと裏返ったのでそれを写してみました。裏はこんなに黒かったのですね。



これはタチイヌノフグリ。小さな花ですが、拡大すると先ほどのオオイヌノフグリとちょっと似ています。



そしてこれはタネツケバナ



最後は低い石垣についていたこんな模様の植物です。たぶん、地衣類だろうなと思って、「進化する地衣類図鑑」や「近畿の地衣類」をぱらぱら見てみたのですが、ダイダイゴケ科のダイダイゴケ属みたいです。雰囲気と生息場所がツブダイダイゴケに似ているな思ったのですが、「近畿の地衣類」によると、近畿では稀種だとのことで検討が必要です。「近畿の地衣類」には検索表も載っているのですが、まずは用語の勉強から始めないといけないので、写真展の準備が終わってからかなぁ。

虫を調べる ヒロバネエリユスリカ 続き

先日、家の近くの公園で捕まえたユスリカ♂を詳しく調べてみました。その時、♂交尾器の見方が分からず、右往左往していたら、che*rki**_y_nさんから、詳細な説明をしていただき、やっと少し分かってきたところです。これが理解できないと検索表が使えないので、その後もちょっと頑張って写真を撮ったり、調べてみたりしました。先日、調べた個体は結局、エリユスリカ亜科エリユスリカ属のヒロバネエリユスリカ Orthocladius glabripennisだろうということになりました。「日本のユスリカ」によると、九州から北海道まで分布しているそうです。ヒロバネエリユスリカにはニセヒロバネエリユスリカという似た種があって、その違いは前者が小盾板の刺毛が1列に対して、後者は2列ないしそれ以上。また、底節突起の背面突起が後者ではかなり狭くなることで識別可能とのことでした。

公園では2匹捕まえたのですが、生態写真と捕獲したユスリカとの対応がついていません。たぶん、次の2枚の写真のどちらかではないかと思っています。





見た目の特徴は盾板の後縁近くに3本の隆起が目に付くところです。先日はこの2匹のうちの1匹を調べたのですが、今回はもう1匹の方を調べてみました。あいにく、捕まえたときにチャック付きのポリパックに入れたら、両方ともつぶれてしまっていました。それで、そのまま消毒用アルコールに入れて、その状態で顕微鏡写真を撮りました。



とりあえず、腹部末端を写しました。これは背側からです。背板IXの先端に先が尖った尾針があります。また、把握器の形も先日の個体とよく似ています。



先ほどのは10倍の対物鏡で撮ったのですが、こちらは20倍の対物で撮ったものです。確かに先日の個体とよく似ています。20倍の対物を使うと大きくはなるのですが、暗くなってコントラストが付かないので、画像処理で無理につけるとかなり画面がかなり荒れてしまいます。それでも、各部はよく分かります。



こちらは腹側から撮ったものです。



そして20倍の対物です。底節の根元付近から出ている突起は、先日、che*rki**_y_nさんから教わった上底節突起です。そして、中間付近にあるのが下底節突起です。これが「日本のユスリカ」に載っている「底節突起」に該当するようです。これは二重になっていて、一方が腹側、もう一方が背側になっているようです。顕微鏡の焦点位置を変えてどちらが背面か調べてみました。どうやら黒っぽくて小さな突起が腹側、その後ろにあって三角形状でやや大きく幅の広いものが背側にあるようです。これが幅広いかどうかは相対的な問題なのでよく分かりませんが、「幅が狭い」という表現にはあたらないかなと思っています。



ちょっと見にくいので、何度か撮影したのですが、みんな似たり寄ったりという感じでした。



もう一つの特徴は小盾板の刺毛列です。この個体は小盾板が白かったため、やけにはっきりと写りました。確かに1列です。先日の個体は小盾板がこの写真の後背板のように黒かったため、毛の位置がよく分からなかったのですが、これはよく見えます。それで、この写真の毛の位置を手掛かりにもう一度、先日の個体の小盾板を撮ってみました。今回はいつものLED照明のほかにヘッドランプの高輝度LED照明も当てて撮りました。



少しは見えるようになったのですが、それでもよく分かりません。この写真で小盾板の上半分を見ると、刺毛の生えている穴が斜め一列に並んでいるように見えます。たぶん、これも刺毛は1列なのだろうなと思いました。小盾板の色がかなり違うのですが、たぶん、同じヒロバネエリユスリカだろうと思っています。

この間から、暇があればユスリカを顕微鏡で見ているのですが、なかなか難しいです。消毒用アルコールに入れると、安定して撮影はしやすいのですが、コントラストが付きにくくなり(特に翅)、また、向きをいろいろと変えて写すのはほとんどできません。これに対して、入れないでそのまま見ていると、コントラストも付きやすく、向きも変えられるのですが、冷凍庫で解凍した後、だんだん乾燥してきて、そのうち、脚が取れたり、翅が破れたりしてどうしようもなくなってきます。今、別の種のユスリカの写真を撮っています。これはアルコールに入れなくてそのままでいろいろと撮影し、その後、アルコールにつけて観察してみました。それでも、翅が破れ、脚が取れてしまいましたが・・・。このユスリカの検索、かなり難航しています。まだ、属が決まりません。今日ぐらいには何とかなるといいのだけど・・・。

廊下のむし探検 カメムシ、ハエほか

廊下のむし探検 第877弾

3月3日の「廊下のむし探検」の続きです。蛾と甲虫は先に出したので、残りというとやはりハエが多くなってしまいますね。それでハエ以外から書くことにします。



まずはムラサキナガカメムシ。昔は小さくてなかなかうまく写せなかったのですが、最近は小さなハエばかり写していたからか、このカメムシがえらく大きく見えます。



ヒゲナガカワトビケラです。年がら年中いるので、いつもだったら撮らないのですが、この時期、虫が少ないので、貴重な虫です。





これはこの間も見たミギワバエかなと思っています。たしか、捕まえたはずなので、一度、検索してみます。





後はオドリバエ。これはたぶん、Rhamphomyia属だと思われます。







ユスリカもいろいろといるのですが、たぶん、3匹ともエリユスリカ亜科かなと思うのですが、そこから先は分かりません。

廊下のむし探検 蛾と甲虫

廊下のむし探検 第876弾

3月になってやっとハエ以外の虫もぽつぽつ出てきました。やっとハエから逃れられるかなぁ。3月3日分のマンションの廊下で見つけた虫たちです。



地下駐車場の壁でチャオビフユエダシャクを見つけました。フユシャクも久しぶりです。チャオビフユエダシャクは、2014年には3月9日が初見日。2015年は3月17日、2016年は2月22日でした。こんなものかもしれませんね。



これは以前教えていただいたマルハキバガ科のデコボコマルハキバガだろうと思います。どこがデコボコなのだろう。



次は甲虫です。最近、ちょこちょこナナホシテントウを見るようになりました。





そしてこれはキスイモドキ科のツノブトホタルモドキ。この日は2匹いました。



これは2月と3月に毎年見ているヘリアカヒラタケシキスイではないかと思います。体長を測ってみると4.0mm。「原色日本甲虫図鑑III」を見ると、2.5-3.1mm。ちょっと大きめです。



これはちょっと迷ってしまいました。でも、上翅に赤い斑点があるようなので、以前見たホソキヒラタケシキスイかなと思いました。でも、体長を測ってみると、5.3mm。図鑑には2.4-3.7mm。ちょっと大きすぎるかなぁ。



それからハネカクシ。ハネカクシの名前調べは今のところ諦めてしまっています。



長さ1cmほどの小さな幼虫です。シャクガ科だろうと思うのですが、名前は分かりません。ネットで見ると、トビモンオオエダシャクの幼虫と似ているような似ていないような。

とりあえず、蛾と甲虫だけ出しました。後の虫は次回に回します。

家の近くのむし探検 イダテンチャタテほか

家の近くのむし探検 第208弾

3月1日に家の近くの公園にまた行ってみました。マンションの廊下を歩くとハエばかりなので、ちょっとは変わった虫がいないかなと思ったからです。



この日は久しぶりにイダテンチャタテを見ました。前回見たのが1月26日だったので、おおよそ1ヶ月ぶりです。昨年は2月17日にも見ていたので、ほとんど冬中見られたことになります。どういう生活環をしているのでしょう。



今回はまた、マルトビムシをみました。ツツジの葉の上に黒い点のようなものが見えたので、ひょっとして虫かなと思って拡大したら、この虫でした。一応、採集したのですが、いつ検索しようかな。腹端に突起のようなものが見えます。



この日はアリの姿も見ました。これはたぶん、ルリアリ





後はいつものユスリカ。下はツヤユスリカの仲間みたいです。





公園ではこれくらいで、後はマンションの近くです。これは倉庫の壁で見つけました。前翅長が4.2mm。小さな蛾ですが、翅の翅端が尖っている、下唇鬚が上に反り上がっている、前翅の模様などから、まず名前が分かるかなと思って、「標準図鑑」を何度も見直したのですが、分かりません。ついでに、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」の成虫縮小画像一覧も見たのですが、結局、ギブアップ。



翅の前縁脈の切れ目の辺りが顕著です。翅に模様があるのでミギワバエかなと思ったのですが、どうだか分かりません。





こんな虫が渡り廊下の手すりに止まっていました。先日見たトガリキジラミのようなtriozineではありません。たぶん、キジラミかなと思って、「ウンカ・ヨコバイ・キジラミ類図鑑」をぱらぱら見てみたら、どうやらキジラミ科Cacopsylla属みたいです。上が♂、下が♀かな。(追記2017/12/05:「絵解きで調べる昆虫2」に載っている絵解き検索表を見ると、キジラミ科リンゴキジラミ属のベニキジラミか、ベニウラジロノキキジラミみたいな感じです



後はこのSteganopsis dichroaと、



それに、この間から見ているオドリバエ科Rhamphomyia属。こんなところでした。

廊下のむし探検 オオトガリキジラミ、ハエ

廊下のむし探検 第875弾

ユスリカの顕微鏡写真ばかりを撮っていたら、「廊下のむし探検」で見つけた虫の名前調べが滞っていました。それにしてもユスリカというのは奥が深いですね。折角だからもう少し私も深みに入ってみようかなと思っています。さて、2月28日分の「廊下のむし探検」の結果です。



いっつもハエばかりなので、ちょっとは変わった虫がいないかなと思ったら、こんな虫がいました。一応、採集したのですが、名前を調べていて気が付きました。以前も調べていました。トガリキジラミ科オオトガリキジラミ属みたいです。以前の記事に結構詳しく書いてあるので詳細は省略しますが、ポイントは翅脈でした。



黒三角のところで、翅脈が3分岐しています。これがtriozineというのでしたね。ここが3分岐するのがトガリキジラミ科でした。オオトガリキジラミ属であることを確かめるには、次の項目を確かめなければなりません。

頭頂と胸部は無毛
触角は極端に短い(頭部の幅より少し長い)
前翅の翅端は中室に入っていない
後翅の翅脈はtriozineでない
後脚脛節の基部に棘はなく、先端の外側に1つ、内側に2つの棘がある

でも、外形上は似ているので、多分、そうではないかと思います。今度調べてみます。これも検索表があるといいのですけれど・・・。(追記2017/12/03:「絵解きで調べる昆虫2」に載っている絵解き検索表によれば、たぶん、サトオオトガリキジラミだと思われます。詳細はこちら



このハエは何だろう。触角刺毛に特徴があります。たぶん、採集したと思うので、今度調べてみたいとは思いますが・・・。でも、そんな試料がいっぱい溜まってきて、すでにお手上げ状態に近づきつつあります。写真展に向けて植物も整理しないといけないし・・・。通りすがりさんが言われるように、息抜き程度にできるといいのだけど、写真展のある4月まではこんな感じで続きそうです。



ユスリカです。前脛節が第1跗節より長いのでたぶん、エリユスリカ亜科♀ですね。che*rki**_y_nさんみたいに、属の候補くらいが分かるといいなと思いますが、まだまだ先が遠いですね。これから1匹ずつ地道に調べていきたいと思っています。





こんなハエがいました。これも採集したかな?それとも逃げられたかな?



前縁脈に切れ目がなく(上の写真)、後単眼剛毛が交差している(下の写真の黒三角)から、シマバエの仲間かなと思いました。もし採集していたら、属を調べてみたいと思います。





撮影したときはノミバエかなと思っていい加減に撮ってしまいました。でも、翅脈がぜんぜん違いますね。M3+4脈が翅縁に達していないのはミギワバエだったかな。でも、触角刺毛が違うかな。採集すればよかった・・・。



これは後脚第1跗節が太いのでフンコバエ科ですね。これについては以前調べたことがあります。たぶん、以前と同じCrumomyia(オオフンコバエ)属だと思います。日本産のこの属には2種いて、腿節2/3のところに黄褐色のリング状の部分のあるのがマダラ、真っ黒なのがヤマトでした。この個体は右側と左側の腿節の色が違うみたいですが、後腿節が黒いのでたぶん、ヤマトオオフンコバエの方かなと思っています。

後、3月1日分、3月3日分が残っていますが、これから調べてみます。なんか忙しいですね。

虫を調べる エリユスリカの各部の名称

この冬、ユスリカをたくさん見ました。ユスリカも何とか名前調べの取っ掛かりを見つけたいと思っていたのですが、あの膨大な検索表を順に追いかけていく自信がなくて、ついつい後回しになっていました。先日来、che*rki**_y_nさんから、いろいろと教えていただいているうちに、ちょっと調べてみようかと思うようになり、昨日、思い切って顕微鏡写真を撮ってみました。







調べたのは27日に公園で見つけた上の♂3匹のうちのどれかだと思うのですが、葉っぱごとチャック付きポリパックに入れて持ち帰ったら、ちょっと潰れてしまっていました。ポリパックごと冷凍庫に入れていたのですが、昨日、取り出して解凍してから消毒用アルコールに入れ、そのままの状態で顕微鏡写真を撮ってみました。その状態で、とりあえず検索をしてみたら、エリユスリカ亜科エリユスリカ属になったのですが、中底節突起がどれか分からず、ちょっと怪しいです。でも、「日本のユスリカ」の交尾器の絵と比べてみると、ニセヒロバネエリユスリカ辺りと似ているのでその辺かなと思っています。ただ、ヒロバネエリユスリカとの違いとされる、小楯板の刺毛がよく分からず、今のところお手上げです。

まだ、検索に必要な部位をすべて撮影していないので、とりあえず、これまで撮った写真に各部の名称を入れてみました。参考にしたのは、「日本のユスリカ」と「日本産水生昆虫」です。



これは胸部から腹部にかけての部分です。小さいプラスティックシャーレに消毒用アルコールを入れ、その中でユスリカがぷかぷか浮かんだ状態で、実体顕微鏡を使って撮りました。撮影は焦点位置を変えながら20枚ほど撮って、深度合成をしたのですが、先日、カメラを電子シャッターのものに取り替えたお陰で、意外に綺麗に撮れました。とりあえず、名前をつけてみたのですが、これで合っているのやらどうやら。小楯板の刺毛はどう見ても生えていなさそうなのですけど・・・。



次は翅脈です。これもぷかぷか浮かんだ状態で撮りました。この場合は1枚だけです。アルコールに入っているので、どうやってもコントラストがつかなくてこんな写真になりました。翅脈の名称は上の本を参照したのですが、他のハエではたぶん、Cu1→CuP、An→A1、RM→r-mと書きそうなのですが、こう書くのは何か歴史的な伝統なのでしょうか。いずれにしても、m-cu横脈がなく、R2+3があるので、エリユスリカ亜科か、ユスリカ亜科のどちらかだということが分かります。さらに、前脚の脛節の長さが第1跗節より長いか、把握器が折れ曲がっているとエリユスリカ亜科。上の写真を見ると、把握器が折れ曲がっているので、真ん中の写真の個体を除けば、たぶん、エリユスリカ亜科だと思われます。真ん中の写真の個体はちょっと分かりませんが・・・。

次からは交尾器の写真です。これは、すべてホールスライド上にユスリカを載せ、その上から消毒用アルコールをたっぷりかけて、カバーグラスを上に載せて、生物顕微鏡で撮りました。いずれも焦点位置を変えながら40-50枚撮って深度合成しました。ただ、いつもと違って上からの照明がうまくいかないのか、コントラストがつかなくて困りました。それで、下からの透過照明も少し加えて撮りました。交尾器の腹側からの写真は透過照明の光量を変えながら何度か撮ったのですが、どうもうまくいきません。もう少し、努力が必要みたいです。とりあえず、今までに撮った写真です。



対物鏡は10倍で、腹側からの撮影です。写真が汚らしくて嫌になってしまうのですが、とりあえず各部は見えます。底節にいくつか突起が見えるのですが、どれがどれだか分かりません。上に書いた本を参照に名前を入れてみたのですが、かなり怪しいです。



これは透過照明を強くして撮ったものです。コントラストはつくようになったのですが、そのかわり、厚みの厚いところは真っ黒になってしまいました。対物鏡は20倍です。

追記2017/03/05:che*rki**_y_nさんから、大変詳しいコメントをいただきました。大変重要なコメントだと思われますので、多少省略しますが、そのまま引用させていただきます。「この種は、Orthocladius glabripennis (ヒロバネエリユスリカ)で間違いありません。6枚目の下底節突起?とそのすぐ下の?がありますが、どちらも下底節突起です。二重構造なんですよ。また、より基部にある中底節突起?とすぐ下の?は、併せて上底節突起です。?の部分が土台になっているんです。この上底節突起や下底節突起は故Saetherさんという分類学者さんの解釈ですね。ユスリカ亜科にもこれらが名称付けられてますが、エリユスリカ亜科のそれと相同器官かというと微妙です。」というコメントでした。

これに対して、私が、「『日本産水生昆虫』のエリユスリカ亜科の属への検索表の56で『生殖中突起』というのは、ここで言う『上底節突起』と考えてよろしいのでしょうか。そこがちょっと気になりました。また、『日本のユスリカ』のニセヒロバネエリユスリカの欄ではヒロバネエリユスリカとの違いについて、1)小楯板の刺毛列の数、2)底節突起の背面突起の形のことが書かれているのですが、1)については別の個体で小楯板左右でそれぞれ斜めに並んだ1列の刺毛列が見られました。これに対して、2)は何のことなのでしょう。お時間のあるときで結構ですので、お教えいただけると助かります。」という質問をいたしました。

それに対して、最初の質問については、「上底節突起はsuperior volsella、中底節突起はmedian volsellaそして、下底節突起はinferior volsella と表記されます。これは、ユスリカの世界的な分類学者のSaetherさんが当てがったものです。しかし、彼は厳密に言えば、形態分類学者ではありません。この検索表の56の生殖中突起はbasal median lobeと表記されます。これは、形態分類学者の解釈です。この検索表の著者が形態分類学者なのです。この場合、Saetherさんの言うところのsuperior volsellaとbasal median lobeが同じ形質を指し示しています。よって、検索表の56で「生殖中突起」というのは、ここで言う「上底節突起」と考えてよいのです☆」というお答えをいただきました。

また、二番目の質問に対しては、「日本のユスリカでの底節突起は専門的にはbasal lobeと表記され、これは、前文に書いたような感じで、下底節突起(inferior volsella)に相当します。1番最初のコメントで言ったように、この下底節突起は腹面側と背面側の二重構造です。この背面側の突起がニセヒロバネエリユスリカはヒロバネエリユスリカに比べて、かなり幅が狭くなっているのです☆廊下のむしさんの6枚目の交尾器の写真の下底節突起?のすぐ下の?と表記されてる部分のことですね☆日本のユスリカの本内でなぜ、このような微妙な事が生まれたかというと、分類の項を2人で分担したからです。最初のユスリカの各ステージの図や形態用語を載した所からエリユスリカ亜科の手前までは、ユスリカの分類学者ではあるが、厳密な形態分類学者でない方が書かれたもので、Saetherさん従ってます。一方、エリユスリカ亜科とユスリカ亜科の担当者は、ユスリカの分類学者であるとともに、厳密な分類学者である方が書いたものです。よって、この部分の解釈が微妙に違ってるのです。」という詳しいお答えをいただきました。

いただいたコメントに従って、上の写真の説明を変えてみました。



この上底節突起が、「日本産水生昆虫」のエリユスリカ亜科の属への検索表の56に出てくる生殖中突起に該当し、これがこの写真のように明瞭でよく発達していればエリユスリカ属、これがほとんど認められなければそのほかの属になるということです。また、背側の下底節突起がこの写真のように広ければ、ヒロバネエリユスリカ、狭ければニセヒロバネエリユスリカということになるようです




こちらは対物鏡20倍で背側から写しました。これの方がまだ見られます。長い尾針がそれに生えている毛まで綺麗に写りました。



こちらもほぼ同じ条件ですが、少し斜めから写しています。



最後は後脛節末端の構造を写しました。櫛状刺列は綺麗に写ったのですが、脛節端刺上の刺列までははっきりとは分かりません。倍率をさらに上げるとなると、つぎは対物鏡40倍なのですが、これは長作動距離ではないので、ユスリカを分解しないと撮れません。最後にはそうするかなぁ。

検索表と写真を対照させるには撮らなければならない場所がいくつかまだ残っています。いずれにしても、上からの照明をもう少し工夫する必要がありそうです。なかなか難しいですね。

家の近くのむし探検 キモグリバエ、トゲハネバエほか

家の近くのむし探検 第207弾

2月27日に家の近くの公園に行ってみました。最近は公園に行くのも1週間に1-2回と減ってしまいました。行っても、広場でジョギングだけしてくるとか、虫探しは結構大雑把です。それで、この日は少ししっかりと探してきました。でも、いませんね。





小さなハエがツツジの葉っぱの上をちょろちょろ動き回っています。この日は吸虫管を持って行かなかったので、採集できません。さらに、動き回るので写真の方も今一つ。帰ってから、写真を見ていると、この単眼三角板に何となく見覚えが・・・。それで、作りかけのハエの図鑑を見ていたら、見つかりました。以前、教えていただいたアジアコブカタキモグリバエというキモグリバエ科のハエのようです。やはり、この図鑑、意外に役立ちますね。





次はこれ。これも図鑑で調べて見つかりました。トゲハネバエの仲間ですね。これは以前、採集して顕微鏡で詳しく調べていました。今回は以前撮った写真を使って何とか属の検索ができないかと思ったのですが、途中、前胸腹板の剛毛なんていう項目があって進めません。やはり採集しないと駄目みたいです。





後はユスリカですね。この2枚は胸背の三本の縦筋が目立ちます。同じ種類かな。





こちらの2枚は胸背につやがあり、形もよく似ています。ツヤユスリカの仲間かもしれません。







後はなんだか分かりません。ユスリカも属くらいは早く分かるようになりたいなと思っています。

虫を調べる ルリセダカショウジョウバエ

また、ショウジョウバエを調べてみました。この間から数えて3種目になります。



今回はこんな綺麗なハエで、しかも、名前がルリセダカショウジョウバエらしいとほぼ分かっているので比較的楽しい検索になりました。でも、やはり最後に落とし穴が・・・。



冷凍庫に入れておいてから解凍するとこんな風によく見るハエの標本のような形になっています。体長は2.5mm。まぁまぁの大きさです。散々、いじくり回していたら、翅の先が破れてしまいました。

これをいつものように検索していくのですが、今回はショウジョウバエ科の検索を省略して、属の検索から始めます。ルリセダカショウジョウバエは学名でLiodrosophila aereaと言うのですが、いつも使っているMNDにはこの属が載っていません。それで文献を探していたら、次の論文にこの属を含んだ検索表が載っていました。

T. Okada, "Systematic study of Drosophilidae and allied families of Japan", Gihodo, Tokyo (1956). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

今回はこの論文の中の検索表を使ってみることにしました。この論文には成虫の外部形態のほか、♂外部生殖器官による検索や♀腹端部による検索表も載っています。この検索表を使うと確かにLiodrosophila属にはなりそうなので、まずはそれを写真で確かめていこうと思います。



調べるのは上の7項目です。そのうち、①と②はショウジョウバエ科、ホソショウジョウバエ科、ナガショウジョウバエ科の中からショウジョウバエ科を見分けるための検索表です。これをいつものように部位別に見ていきたいと思います。



まずは全体像です。ここでは触角刺毛が明確にあることをまず確かめます。次の⑤の体が太いか細いは相対的なのでよく分かりません。⑦の中胸背板が強く曲がっているかどうかも比較の問題なので判断できませんが、それでも、丸く曲がっている様子は分かります。



これは先日も出した写真ですが、orb1がvtiよりorb3に近いことはすぐに分かります。また、orb2が非常に弱く、vtiの後方にある普通の毛とほとんど変わりないことも分かります。



これは前額と頭頂部の写真です。ちょっと分かりにくいのですが、よく見ると、orb3はorb2より内側にあることが分かります。また、後単眼剛毛は発達していて、お互いに交差しています。



これは胸部の側面の写真です。原文ではmesopleuraと書いてあったのですが、「大図鑑」の対照表を用いて中胸上前側板と訳しました。この部分は無毛です。


翅脈の写真です。cua室については次の写真も見て下さい。はっきりはしないのですが、それらしいものがあります。問題は次の⑦です。筆者は前縁脈を切目で分けて第1分節から第3分節と称しているので、それぞれをC1、C2、C3と書くことにしました。⑦はこの第3分節の基部1/2までに剛毛を多く具えるかという項目です。写真を見る限り、前縁脈はM1+2脈の末端にまで達し、R2+3脈とR4+5脈の中間あたりまではやや強い剛毛があるのが分かります。とても1/2とは思えません。むしろ、これに対抗する項目では、前縁脈第3分節の全体あるいはほとんどに剛毛があるというのでそちらに近い感じがしました。ただ、この項目は3つある検索項目の3番目に書かれていて、他の2つの項目は特に問題ないので、ここではちょっと保留ということにしておきます。



次は翅の基部の写真です。この写真ではcua室が辛うじて見えます。Sc脈の先端が不完全という②の項目は容易に確かめられます。また、⑥の前縁脈の第1分節末端が膨れないというのもすぐに分かります。(追記2017/03/01:翅脈名が間違っていたので訂正しました



最後は、前脚腿節の内側に歯のような短い剛毛列があることです。これはLiodrosophila属の特徴みたいです。ということで、予想通りLiodrosophila属にはなりました。「日本昆虫目録第8巻」によると、日本産はこの属に5種いて、そのうち本州産はルリセダカショウジョウバエ aerea一種だけなので多分大丈夫かなと思ったのですが、文献を探していたら、世界のLiodrosophila属について書かれた論文が見つかりました。

T. Okada, "A Revision and Taxometric Analysis of the Genera Sphaerogastrella Duda and Liodrosophila Duda of the World (Diptera, Drosophilidae)", Mushi 48, 29 (1974). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

この論文は「日本ショウジョウバエデータベース」に載せられている論文の一つです。このホームページは本当に素晴らしいですね。さて、この論文の中には種への検索表が載っていました。早速、それを試してみました。



一応、上の⑧から⑲までの12項目を確めて、たぶん、L. aereaで大丈夫だろうとは思ったのですが、よく分からなかったところもありました。大体はすでに確かめた項目なので省略しますが、確かめなかったところだけ写真で見ていきます。



まずは平均棍が黄色いこと、次に前脚腿節の一部が暗色なことです。



ここでは亜額帯が先端に行くほど狭くなってくること、それから非常に見にくいのですが、複眼に微毛が生えていることです。ぎっしりというよりはまばらに生えています。



問題になったのはこの写真に示した中刺毛が何列かという点です。このハエの中胸背板には細かい毛が生えていますが、よく見ると列をなしています。それでそれらを恣意的につないでみたのが上の写真です。黄色い点は毛の生えている基部、赤い点は強い剛毛が生えている基部です。やや意図的に、つながっているものに対して番号をつけると、中刺毛は全部で6列になり、上の検索表に書かれた事項によく合います。

でも、よく見ると、1と2の間、5と6の間にはつながっていない毛がまばらに生えています。例えば、1と2の間の毛を結ぶと一列になりそうです。これに対して対称であるはずの5と6の間は途中で途切れてしまっています。もし、これらの毛列も加えるのなら8列になってしまいます。そうすると検索表ではfuscipennisという種になり、これは日本にはいないようです。それでたぶん、これらの列は加えないのだろうと思って6列にしました。かなり曖昧なところです。

こうやって列の数を数えていると、以前、検索した種での中刺毛の列の決め方はまずかったかなと思い始めました。あの時はMNDの検索表に従ったのですが、この論文の検索表に従えば、Scaptomyza属ではなくてDrosophila属になってしまいます。いずれにしても、もう一度検討が必要です。ハエでは剛毛の位置や数をよく問題にするのですが、素人にはなかなか難しいですね。どうにも判断がつかないものがあって・・・。数をこなせば慣れるのかなぁ。

ついでに検索に使わなかった写真も出しておきます。



これは顔面の写真です。



それに触角刺毛。



頭部、胸部の背側からの写真。



小盾板。





腹部末端の側面と背面からの写真です。こんな構造があるので、たぶん、♂ですね。
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