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廊下のむし探検 ハエ目

廊下のむし探検 第874弾

昨日の続きで、一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。今日はハエ目です。







この日はこんなオドリバエがたくさんいました。上の2枚は両方の複眼がくっついているので♂、下の1枚は複眼が離れているので♀です。上2枚を見ると、後脚第1跗節がともに太くなっているので、たぶん、同一種かなと思います。2月末のこんな寒い時期に出てきて、後脚第1跗節が太いという条件で何とか種まで分かるかなと思って、まず、属の検索をしてみました。オドリバエについては、「双翅目(ハエ目)昆虫の検索システムに関する研究」という三枝豊平氏の科研費の報告書(この題目で検索するとpdfがダウンロードできます)を見ると詳しい説明と検索表が載っています。



実際、検索をしてみると、上の①~⑨までをチェックすることでRhamphomyia属であることが分かりました。検索項目の⑨の後半を除いてすべて写真から判断することができました。ここで、⑧について原文はCu1となっているのですが、「大図鑑」風に書くと、たぶん、CuAが適当かなと思って括弧書きにしておきました。ここから先の検索は「大図鑑」に載っているのですが、残念ながら亜属の検索表が載っていなくて、その先の種の検索表は載っています。それで、いつもここでストップになってしまいます。今回は2匹ほど採集したので、なんとかなならないかなぁ。







タマバエもこの3匹がいました。タマバエは何となく惹かれるのでこのうち2匹を採集したのですが、ともかく小さいので扱うのがなかなか大変です。でも、属くらいは検索してみたいなと思っています。



ユスリカ♂もいました。che*rki**_y_nさんにコメントをいただいたのですが、これもたぶん、エリユスリカ亜科フユユスリカ属かもしれません。これは採集しなかったのですが、冷凍庫の中には同じ属と思われるのが4-5匹入っているので、今度検索してみたいと思います。ユスリカの検索はともかく大変で、相当、気合を入れないと始められません。



最後はこのハエです。ハエっぽいハエではあるのですが、眼が綺麗なので、ちょっと惹かれます。たぶん、ハナレメイエバエの仲間だと思います。脚の脛節の刺毛がいろいろな方向に出ています。これを確かめていかなければいけないのですが、何度か試みたのでちょっとは慣れてきました。(追記2017/04/08:冷凍庫に入れておいたのを、半月前に除光液を入れたプラスチックケースに入れなおしておきました。ちょっと調べてみると、シリボソハナレメイエバエ属(Pygophora)の♀というところまで分かりました
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廊下のむし探検 春の使い トビモンオオエダシャク

廊下のむし探検 第873弾

最近は植物の写真整理に追われて、なかなか廊下で虫探しをする暇がありません。いや正確には、廊下を歩く暇ぐらいはあるのですが、その後の虫の名前調べをする暇がありませんでした。昨日はマンションの定期総会に出た後、久しぶりに歩いてみました。もう、2月も終わりに近いので、そろそろ早春の虫でも出てくるかなと思って・・・。



で、見つけました。トビモンオオエダシャクです。マンションの外壁に止まっていました。早春の使いというにはあまりに大きくてグロテスクなのですけど・・・。こんなに大きな蛾がどうしてこんな季節に出てくるのでしょうね。最近の記録を見てみると、3年前の2月21日と26日に見ていました。やはり今頃なのですね。いずれにしても春がやってきているみたいです。(追記2017/03/05:通りすがりさんから、「オスのトビモンオオエダシャク、春の妖精さんが出てきましたね。プックリもふもふしたメスを指先に止まらせて、顔を覗くと可愛いんですけどねえ。これから出てくるハスオビエダシャクやアトジロエダシャクよりも防寒対策しているせいか、あまり毛が抜けないのもポイント高いです(笑)」というコメントをいただきました。これは♂だったみたいです



でも、寒いのかミツバチは床でへばっていました。ミツバチは後翅の翅脈で見分けるのでしたね。



矢印の部分から伸びている翅脈がないので、これはセイヨウミツバチ



小さなハネカクシが着地したところだったのか、身を捩らせながら、慌ただしく動き回っていました。



キモグリバエの横にこんな脱皮殻がありました。結構、小さいです。尾毛は3本。マダラカゲロウなのかな。ちょっと分かりません。



こちらはこの間から時々見ているヨツモンキスイだと思います。





それにツノブトホタルモドキだろうか。



ナミテントウもいました。



これはムラサキナガカメムシ



これは以前、検索に失敗したヨコバイですね。2年前のことです。「絵解きで調べる昆虫」で検索して、ヒメヨコバイ亜科になったのですが、交尾器がどうも違うと悩んでいたら、ズキンヨコバイ亜科のヤノズキンヨコバイだと教えていただいたことがあります。採集して、もう一度、検索をしてみればよかったのですが、冷凍庫にハエの試料が溜まっていると思って、つい、見過ごしてしまいました。



最後は小さなチャタテです。この間から見ていますが、たぶん、ブリッグスウスイロチャタテだと思われます。これについては以前、検索をしたことがあります。詳しくはそちらを見てください。

残りはハエ目なのですが、いたのはオドリバエ、タマバエ、イエバエ、ユスリカくらいでした。でも、4匹も採集したので、これから見ていかなければいけません。イエバエはハナレメなのでちょっと楽しみなのですけど・・・。

虫を調べる ヒメショウジョウバエ属 続き

昨日の続きで、ショウジョウバエ科のハエの属と種の検索です。合っているかどうかは甚だ怪しいのですけど・・・。



対象とするのはこんなハエです。体長は2.1mm。結構、小さいハエです。前回は科の検索を行い、ショウジョウバエ科になることが分かりました。今回はその続きで、属と種の検索です。まず、属の検索で、これにはいつものManual of Nearctic Diptera Vol. 2 (1987). (ここからダウンロードできます)を使いました。

その結果、以前、調べたショウジョウバエ科のハエと同様にScaptomyza属になりました。合っているかどうかよく分かりませんが、とりあえず検索の過程を写真で確かめていきたいと思います。



前回と同じ属なので、検索過程もまったく同じです。番号は科の検索と通し番号になっています。最後の㉕だけは可能性のある二つの属を並列して書いています。いつものように、検索の順番ではなくて、部位別に確かめていきたいと思います。



まず、盾板を眺めてみると、うっすらと暗い縦じまがありますが、全体としては褐色です。



次は顔面です。顔面には縦に起伏があります。これを竜骨状と言っているのかどうかは分かりませんが、とりあえず平坦ではなさそうです。これで㉔はOKとします。



次は前額から頭頂にかけての写真です。3本ある額眼縁剛毛の前方の剛毛は前向きです。これが⑳です。次の㉒はこの間も分からなかったのですが、今回も何を意味しているのかよく分かりませんでした。また、前傾する額眼縁剛毛はそのすぐ後ろの剛毛より少し内よりに位置し、かなり強い剛毛であることも分かります。この写真ではうまく写っていないのですが、平行に近くてよく発達した後単眼剛毛があります。(追記2017/02/25:mediallyは「内側に」と訳せばよいみたいです。したがって、㉒は「前傾する額眼縁剛毛は後傾する複数の額眼縁剛毛の内側に生じる」が良いようです



次は触角です。触角刺毛は長い枝をもっていて、これを分枝と訳しました。この写真から、先端は二つに分かれ、背面には5本、腹面には2本の分枝があることが分かります。これで、⑳、㉔、㉕aはすべてOKとなりました。



次は翅脈です。sc切目は正常で、特に異常はありませんでした。これで⑱もOKです。



背中剛毛の前方域は黄色の楕円で囲まれた部分だと思うのですが、ここには特に目立った剛毛はありません。たぶん、㉒はこれでOKだと思います。また、中剛毛は全部で4列です。



次も同じ部分ですが、後ろの三角形の部分が小盾板です。その直前には長い中剛毛はありません。これが㉑です。さらに、小盾板端剛毛は交差しています。これが㉒です。



下前側板には3本の剛毛があります。それから前胸前側板にはまったく剛毛は生えていません。これで、すべての項目を確かめたことになるので、たぶん、Scaptomyza属でよいのではと思っています。

Scaptomyza属は「日本昆虫目録 第8巻」によるとヒメショウジョウバエ属となっていて、5亜属13種が載っています。ついでに種も調べてみたいと思って以前も紹介した次の論文を見てみました。

T. Okada, "Systematic study of Drosophilidae and allied families of Japan", Gihodo, Tokyo (1956). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

ただ、この論文は古いのでScaptomyza属として6種しか載っていません。

unipunctum (Hemiscuptomyza) → 誤同定? S. (H.) okadai
disticha (Parascaptomyza) → S. (P.) pallidaのシノニム
graminum (Scaptomyza)
polygonia (Scaptomyza)
apicalis (Scaptomyza) → S. (S.) flavaのシノニム
monticola (Scaptomyza) → S. (S.) consimilisのシノニム

この6種です。これは以前も載せたのですが、今ではシノニムだとされている種や誤同定だと思われる種も含まれています。以前調べた種はParascaptomyza亜属のpallidaあたりだったのですが、今回もとりあえずこの論文に載っている検索表で調べてみることにしました。



で、今回は以前とは異なり、Scaptomyza apicalisという種になりました。この種はflavaのシノニムとされています。とりあえずここに至る検索項目を調べていきます。



まずは中剛毛が4列で、この写真で示した通りです。



次は小盾板端剛毛が長くて、上を向いていないということ。



それから肩剛毛が2本。



それに最後は触角刺毛の腹側に2本の分枝があること。これですべての項目は確かめられました。検索では特に問題はなかったので、今のところ、flava(キイロヒメショウジョウバエ)が第1候補になりました。でも、「日本昆虫目録」を見ると、Scaptomyza (Scaptomyza) flavaと同じ亜属にはこの論文が出された当時の4種から現在では8種に増えています。従って、今のところ何とも言えませんが、少なくとも種にはかなり近づいたのではないかと思っています。

これでショウジョウバエ科の検索は2種目となりました。さらに、後、ルリセダカショウジョウバエが残っているので、これも入れると3種。少しは慣れてきたのではと思っています。

ショウジョウバエの額眼縁剛毛

この間からショウジョウバエ科のハエを2種調べて、昨日、もう1種のルリセダカショウジョウバエを調べてみました。その途中で混乱してきたのでちょっとまとめて書いておきます。ショウジョウバエの検索では額眼縁剛毛の強さと配置が重要になります。この剛毛は複眼のすぐ内側の前額眼縁板から生えています。



これは以前お見せしたショウジョウバエの頭部を斜めから見たところです。この上顎眼縁剛毛というのがそれです。3本ある剛毛のうち、後ろの2本は後ろ向けに傾いており、前の1本が前向きに傾いています。このとき、真ん中の剛毛と前の剛毛の位置関係が重要で、前向きの剛毛がやや内側に入っていることを確かめます。さらに、剛毛の強さは圧倒的に前向きの剛毛の方が強いです。こんなことを手がかりに属の検索をしていきます。

昨日、ルリセダカショウジョウバエらしい個体の検索をしていて剛毛の強さについてちょっと自信がなくなってしまいました。ルリセダカショウジョウバエはLiodrosophila属に入っているのですが、Manual of Nearctic Diptera Vol. 2 (1987). (ここからダウンロードできます)にはこの属が含まれていません。それで、次の論文の検索表を用いることにしました。

T. Okada, "Systematic study of Drosophilidae and allied families of Japan", Gihodo, Tokyo (1956). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

途中までを抜粋して訳してみると次のようになります。



最初の1と2はショウジョウバエ科に至る検索なので特に問題はありません。また、4も特に問題にはなりません。問題は9です。この項目では中間の後傾する額眼縁剛毛の強さについて書かれています。つまり、微毛状ならば最終的にLiodrosophila属には至るのですが、そうでないとLiodrosophila属には進まず、Scaptomyza属などになってしまいます。以前出したショウジョウバエも、昨日出したショウジョウバエも共にScaptomyza属かなと思われるので、微毛状でない方になります。それで、その中間の後傾する額眼縁剛毛を比べてみました。



まず、ルリセダカショウジョウバエの方です。額眼縁剛毛には論文に従って後ろから順にorb1、orb2、orb3という名前を付けています。また、検索の項目4に出てくるvtiは内頭頂剛毛のことです。この写真では焦点を合わせる範囲が中途半端だったので途中で像が消えてしまいました。いずれにしても、orb2はかなり短く、また、剛毛の太さも細いので、これを微毛状だというのでしょう。



一方、これはScaptomyza属だと思われるハエです。これもorb2はかなり短いので、長さだけから言えば、上のLiodrosophila属と一見すると区別がつかないくらいなのですが、両者を比較すると太さは明らかに太く、従って、こちらは微毛状ではないのでしょう。確かにこうやって比べてみると両者の違いが何となく分かりますね。いずれにしても、この両者の見極めが上の検索表では重要になります。

細かい内容なのですが、検索するときにうっかり道を間違えるととんでもない方向に進んでしまうのでこんなことが重要になります。それで、蛇足ながらちょっとまとめておきました。

虫を調べる ヒメショウジョウバエ属?

この間、ショウジョウバエ科のハエを調べたばかりだったのですが、16日に採集したハエがまたショウジョウバエ科みたいなので、記憶の新しいうちにまた調べてみました。



採集したハエはこんなハエです。このときは、翅の前縁に2箇所切れ目があり(矢印)、かつ、触角刺毛に長い枝がついている(矢印)ので、たぶん、ショウジョウバエ科だろうと思いました。本来はその先の属、種の検索を行えば良いのですが、まだ、科が合っている自信がないので、初めから検索をしてみることにしました。



まず、採集したハエはこんなハエです。全体に黄褐色で、結構、脚が長い感じがします。体長は2.1mmでした。



「新訂 原色昆虫大図鑑III」のハエ目の検索表は先日使ったものと同じものが使えます。それで、そのままコピーしました。



これを順番に見ていけばよいのですが、②から⑦は特定の科を除外する項目なので、この写真を見るとだいたい判断できます。従って、①の無弁翅類と共に省略することにしました。後はまた例によって検索の順番ではなく、部位別に見ていきたいと思います。



まずは顔面です。顔面の中央には上下に続く隆起があるのですが、ケシショウジョウバエ科のものとは違うのでこれはOKとしました。また、見にくいのですが、鬚剛毛があります。これで⑪と⑭はOKになります。



次は額眼縁剛毛についてです。額眼縁剛毛は図に示した通りです。強い剛毛が2本、その間に非常に弱い剛毛が1本あります。普通にいけば真ん中の一本は無視してしまうのですが、種類によってはここが中程度に強い剛毛のときもあるので、ここでは非常に弱いということで考えに入れておきます。ショウジョウバエ科はこれらの剛毛の並びに特徴があります。つまり、後ろ2本は後ろ向き、前1本は前向きになっていて、いずれにしても内側に向いているものはありません。これが⑨です。また、一番前の剛毛はそのすぐ後ろの剛毛よりやや内側に位置しています。これが⑰です。



次は翅脈です。Sc脈は途中で消えてしまっています。これが⑧です。⑩はキモグリバエ科を除外する項目なのですが、このハエでは第2基室(bm)と中室(dm)は融合し、途中に区切りがありません。でも、後縁脈(M3+4)には特に微小な湾曲がないので、⑩はOKです。次の⑫はちょっと弱りました。第2基室(bm)と中室(dm)は融合していて区別がないと思うのですが、「通常は」ということなので疑問符付きでOKにしておきます。また、⑬はOKです。



これは翅の基部を写したものですが、CuA脈辺りの構造が複雑です。CuAとCuPはこの写真のように解釈して、cua室があると考えればよいのだろうと思いましたが、やや怪しいです。いずれにしても⑫はOKだと思われます。



これは中脚脛節末端を写したものです。弱い亜末端剛毛が見られます。⑮はこれのことかなと思いました。



最後は胸部側面の写真です。上前側板には剛毛は生えていません。これで⑯はOKです。途中、ちょっと怪しいところもあったのですが、一応、ショウジョウバエ科に至る検索項目をすべて確かめたことになるので、たぶん、大丈夫かなと思います。この先、属と種の検索もやってみました。ヒメショウジョウバエ属キイロヒメショウジョウバエ辺りになったのですが、それについてはまた次回に回します。

廊下のむし探検 手作り図鑑

今日は雨なので「廊下のむし探検」はお休みで、手作りの図鑑づくりで終わりそうです。といっても、2月になってから廊下を歩いても小さなハエばかりでちっとも虫がいないので、ほとんど開店休業状態なのですけど・・・。4月から近くの福祉施設のギャラリーを借りて、花の写真展を開くことになりました。あれっ、廊下のむしさんは虫ばかりやっていたのではと思われるかもしれませんが、ブログを始めてこれほどまでに虫に熱中する前には花や鳥なども片端から写していたので、写真は結構あるのです。さらに、最近は顕微鏡写真にもはまり始めたので、その写真もプラスして写真展に加えようと思っています。

ただ、昔の写真が結構、埋もれてしまっています。ホームページに出していた頃はまだ少しは整理されていたのですが、それ以前となると大量の画像ファイルがあるだけで、いったいいつどこで何を撮ったのやらさっぱり分からない状態になっています。それで、私のカメラがディジタル化した後だけでも少し整理してみたいと思って、以前から作っていた手作り図鑑に植物も加えることにして、この2ヶ月ほどその作業でかかりっきりになっていました。一応、単子葉植物100種ほど、双子葉植物合弁花類200種ほどがまとまりつつありますが、離弁花類に至ってはいったい何種類あるのかも把握できていません(その他、裸子植物、キノコ、コケなども加えたいのですが・・・)。



これが単子葉植物の表紙です。



中身はこんな感じで、1種1ページを原則に作っています。写真には可能な限り、撮影日と場所を記そうと思っています(場所が書いていないのは私の家の近くです)。説明はブログや昔のホームページから拾える部分はそれを流用して、後は気ままに書いているのでちっとも図鑑的ではなく、また、種類も網羅的ではないので、「私の気まぐれ写真図鑑」と銘打っています。



こちらは合弁花類の図鑑の表紙です。こうやって写真を発掘しておくと、そこから適当に抜き出して写真展にも使えるので便利だし、今まで眠っていた写真がいつでも見られるようになるのでいいかなと思っています。この手作り図鑑はいずれ手作り製本して写真展に展示するつもりです。

実は、同様の、写真を中心にした図鑑が鳥(172 page)、チョウ(140 page)、トンボ(100 page)、シダ(144 page)ではほぼ完成しています。それに対して、ハエとかハチとかは写真を見せるというよりは、どうやってこの写真の個体をこの名前に決めたのかということを詳しく書き込んだので、写真がちょっとで説明がわんさかあって、とても図鑑として見る気がしません。そこで、写真ばかりの図鑑風のものを別冊として作ってこれを目次代わりにして、本体は説明編(以前は詳細編と称していました)とすることにしました。こんな風にして、今、説明編にあたるものとして、カメムシ(175 page)、ハエ(279 page)、ハチ(180 page)、甲虫(215 page)、その他の昆虫(293 page)の5冊ができつつあります。これで残るは蛾、クモなどになりました。でも、作るそばから種類が増えていくので、ちっとも完成しないのですが・・・。

さぁ、今日は図鑑づくりもちょっと飽きたので、ショウジョウバエか、ユスリカの検索でもしてみようかな。

虫を調べる キモグリバエの翅脈

先日、小さいハエを3匹を捕まえ、昨夕、そのうち1匹を調べてみました。



捕まえたときにはてっきりショウジョウバエ科かなと思ったのですが、「新訂 原色昆虫大図鑑III」の検索表で調べてみると、キモグリバエ科であることが分かりました。それで、例によって検索に使う各部の顕微鏡写真を撮っていたのですが、どうも見覚えがあるような気がしてきました。それで、過去のブログを調べてみたら、ありましたありました。たぶん、同種と思われるハエを調べていました。ヤマギシモリノキモグリバエと思われる種です。

ということは、今回、撮った写真は全部無駄になる・・・。折角撮ったのに・・・。と思って、少し切り口を変えて書いてみることにしました。



まずは横から見た写真です。全体が黒っぽいのでぱっとしませんが、体長を測ってみると1.9mmになりました。前回の個体は2.6mmだったので、今回の個体の方がだいぶ小さいです。でも、脚の跗節だけが黄色いところなどはよく似ています。



これは翅の翅脈を写したものです。検索表に載っている項目のうち翅脈に関連する主な項目を抜き出すと上に書き込んだ①から④になります。このうち①の中室+第2基室の後縁脈に微小な湾曲が見られるというのはキモグリバエ科の特徴です。この写真でも翅脈が黒矢印のところでちょっと曲がっていることが分かります。そのほか、前縁脈にsc切目だけが見られるという②、中室と第2基室が合一するという③の後半はこの写真でもよく分かります。これに対して、③のCuA脈とcua室を欠くというところと、④のSc脈についてはこの写真ではほとんど分かりません。特に、③のCuA脈とcua室辺りは何が何だか分かりません。それで、今回はこの翅脈についてもう少し調べてみることにしました。



これは家の周りにたくさんいる、名前の分からないキモグリバエの翅脈です。①の微小な湾曲というのはこの程度です。②のsc切目も見えます。④のSc脈については薄い脈が確かに見えています。これは本来sc切目まで伸びるのですが、sc切目付近には脈が見られないので、Sc脈の先端は不明瞭ということになります。問題の③付近はやはりどうなっているのか分かりません。それで、この辺りの構造がはっきりしている別の科のハエを見てみました。



これはイエバエ科Pygophora属の翅脈です。sc切目がありますが、それに向かってSc脈が伸びていることが分かります。それに先ほどbm+dmと書いた翅室の間に区切りがあることが分かります。さらに、③のCuA脈付近の構造がはっきりしています。そこで、その部分を拡大してみます。



ついでに翅脈ごとに色を付けてみました。R脈系統が橙色、M脈系統が緑色、Cu脈系統が青です。M脈は本来中室(dm)と第2基室とを分ける脈で2分され、一方はM1+2脈、もう一方はM3+4脈となります。Cu脈は基部で二つに分かれて前側がCuA脈、後ろ側がCuP脈になります。CuA脈は途中で曲がり、CuP脈と合流して、CuA+CuP脈(Cu融合脈)になります。このとき、CuA脈で上半分を囲まれた部分がcua室です。CuA脈とM3+4脈の間はm-cu横脈と解釈します。したがって、中室と第2基室の脈が消失して、二つの翅室が合一している場合も、本来的には後縁脈の前半はCuA脈、後半はM3+4脈、その間にはm-cu横脈があると解釈すべきだと考えられます。

こういう解釈で今回のキモグリバエ科の翅の基部を見てみると次のようになります。



これは翅の基部を透過光で撮ったものです。Sc脈は透明な脈として辛うじて見えています。しかし、sc切目付近にはまったく形跡が見られません。したがって、Sc脈の先端は不明瞭ということになります。CuA脈付近はちょっと分かりにくいので、次の反射光で撮った写真で見てみます。



翅の基部から脈が少し出ています(CuPと書いた部分)。これは先ほどのイエバエ科との類推からCuP脈とするのが良いみたいです。これに対して、中室+第2基室の後縁脈の前半にあるはずのCuA脈が後ろ側に曲がって出ている兆候は全く見られません。したがって、CuA脈も、それで囲まれたcua室もないことになります。これが検索表の内容ではないかと思われます。一方、Sc脈の先端を見ると、sc切目に向かって脈(赤矢印)が伸びているような気がします。しかし、これは透過光で撮ったものにはなかったので、たぶん、翅の折れ目に相当する部分だと思われます。事実、翅の折れ目はsc切目から始まり、その下に伸びて、先ほどの微小な湾曲部分を通り、さらに下に伸びて少し基部側に曲がって、また、すぐに下に向かっています。この微小な湾曲部分の下の部分(黄矢印)に見える線もやはり翅脈ではなく、折り目であることは透過光の写真と比べることで分かります。



これは照明の方向を変えて、やはり反射光で撮った写真です。微小な湾曲部分の下部分の翅が膨らんでいるように見えます。また、湾曲部分ではちょっと変な構造をしているみたいです。ということで、翅脈を見るとき、透過光と反射光の両方で撮ると、折り目と翅脈の区別がつくかもしれないことと、キモグリバエ科の中室+第2基室後縁脈の微小な湾曲部は翅の折れ目と関連した構造らしいことが分かりました。





ついでに撮影した写真も載せておきます。このハエはともかく、単眼三角板が大きく、かつ、つやつやした金属光沢をもっていることが特徴です。



これは胸部の側面からの写真ですが、検索表に載っていた前胸側板前縁に上下に走る鋭い隆起線が見られます。この辺は前回も見ました。

何とか、今回撮った顕微鏡写真も無駄にはなりませんでした。ついでにMNDに載っている属の検索もしてみようと思ったのですが、どうも合わないところがあって今回はパスしておきます。

追記2017/02/21:中室+第2基室の後縁脈の微小な湾曲部分を20倍の対物で写してみました。



白い矢印の部分がそうなのですが、特に異常は見られません。クロスニコルで偏光測定もしてみたのですが、それも異常なし。今のところは微小な湾曲の意味がよく分かりません

家の近くのむし探検 トビムシ、ユスリカほか

家の近くのむし探検 第206弾

今日は晴れていたので、午前中、ちょっと公園を覗いてみました。



街灯の柱にこの間も見たマルトビムシの仲間が止まっていました。



眼にはこの間と同じように単眼が並んでいます。今日こそは捕まえてやろうと思って、とりあえず写していたら、ピョン。また、逃げられてしまいました。



後はユスリカの仲間。♂は確かなのですが、亜科が何かよく分かりません。こんなユスリカが何匹かいました。(追記2017/03/05:che*rki**_y_nさんから、ユスリカ成虫の亜科は比較的簡単ですよ☆前脚脛節が、そのすぐ後にあるふ節第1節より長ければ、エリユスリカ亜科かモンユスリカ亜科。そして、翅脈にm-cuにveinが無ければ、エリユスリカ亜科で、有ればモンユスリカ亜科です。また、モンユスリカ亜科は、その名の通り、斑紋が脚と体に見られ、また、翅面が毛で覆われます。ちなみにふ節第1節が脛節より長ければ、例外なくユスリカ亜科です。
その他の亜科はまず普通に見かけません。よって、この写真のユスリカはエリユスリカ亜科で、雰囲気的にフユユスリカ属の一種で、キソガワフユユスリカだと思われます☆」というコメントをいただきました




後はマンションの廊下にいたマツヘリカメムシ



それにクサギカメムシでした。今のところ、この辺りの虫だけですね。

廊下のむし探検 ハエ目

廊下のむし探検 第872弾

昨日の「廊下のむし探検」で残りのハエ目の虫たちです。









例によってユスリカはいっぱいいました。先日、黒っぽいユスリカを3匹捕まえたので、一応、以前捕まえた個体も加えて亜科の検索をしてみました。大きなユスリカはヤマユスリカ亜科、比較的小さいのはエリユスリカ亜科になりました。この両者は写真でも翅のMCu横脈があるかないかで見分けられます。あれば、ヤマユスリカ亜科ほか、なければエリユスリカ亜科ほかになります。さらに、ヤマユスリカはFCuという分岐がMCu横脈より基部にあります。このことから、一番上の写真を見ると、FCu分岐(矢印)と写真では見えないMCu横脈(あればこの辺というところに矢印を入れてあります)の関係がヤマユスリカと似ている感じです。その他の写真の個体はMCu横脈がなく、さらに、前脛節の長さが跗節第1節より長いこと(2番めの写真の矢印)から、たぶん、エリユスリカ亜科だろうと思われます。

昨日はこうやって、廊下で今頃見られるユスリカの分類をしてみました。以前採集したヤマユスリカ亜科らしい個体はさらに属の検索をしてみたのですが、フサユキユスリカ属になりました(まだ、怪しいのですが・・・)。この属には3種記録されているのですが、「日本産水生昆虫」によると、タカタユキユスリカが本州ではもっとも普通と書かれているので、今のところ、第1候補になっています。



次はこのハエです。後脚跗節第1節が太くなっている(矢印)ので、フンコバエ科だと思われます。フンコバエ科についてはこの間詳しく調べました。この個体は腿節に黄褐色の輪(矢印)が見られるので、たぶん、マダラオオフンコバエではないかと思われます。



こちらも後脚跗節第1節が太くて短いのでフンコバエ科ですが、腿節が黒いので、ヤマトオオフンコバエかもしれません。



ちょうど風が吹いて翅が広がりました。これで翅脈が見えるようになったので、検索できますね。でも、たぶん、キノコバエ科までは確かみたいです。



次はヌカカ科です。これも以前、Forcipomyia属ではと教えていただいたのですが、それから進んでいません。以前、採集した個体があるので、一度、調べてみます。



先日もいたオドリバエ科です。両方の複眼がくっついている(合眼的)ので♂の方ですね。翅脈からは、たぶん、この間と同じRhamphomyia属だと思われます。今回は採集しませんでした。




次はこれ。翅の前縁に2箇所切れ目があり、触角刺毛に長い枝がついています。たぶん、ショウジョウバエ科だと思われます。これは採集したので、もう少し分かるかもしれません。



写真のピントが翅に合ってしまったのですが、これは以前ルリセダカショウジョウバエと教えていただいた種と似ています。これも採集したので、今度調べてみます。



最後もたぶん、ショウジョウバエ科?。これも採集したので、今度調べてみます。(追記2017/02/20:検索の結果、キモグリバエ科になりました。たぶん、以前も調べたヤマギシモリノキモグリバエのようです。顕微鏡写真を撮っていて、あれっ、以前も撮ったなと思い出しました

という具合にショウジョウバエ科らしい個体が3匹捕まりました。ショウジョウバエ科はこの間検索を試みたばかりなのと、情報が多いので、検索のやりがいがあります。ちょっと楽しみです。

廊下のむし探検 ハエ以外の虫

廊下のむし探検 第871弾

今日はちょっと暖かかったので、マンションの廊下を歩いてみました。いろいろと虫が出てきていたのですが、いつもハエばかり出しているので、今日はまずハエ以外から出すことにします。





まずはクサカゲロウから。顔に黒くて丸い模様があり、触角が短く、小顎鬚が黒いなどの特徴があります。たぶん、スズキクサカゲロウですね。クサカゲロウも久しぶりです。



次はマツヘリカメムシです。暖かいとすぐに出てきますね。今日は2匹見ました。



頭を隠しているのは、いつものツノブトホタルモドキでしょうね。



それに、ケブカカスミカメ



これはチャタテムシですね。縁紋が四角いのでウスイロチャタテ科。体長は1.7mm、前翅長は2.2mm。たぶん、以前も見たブリッグスウスイロチャタテかなと思います。これについては以前、詳しく調べたことがありました。



それから、ピントがちょっと合わなかったのですが、ハネカクシの仲間。





最後はウロコアシナガグモあたりのクモです。

やはりハエだけでなくいろいろと虫が出てくると楽しいですね。4月から近くの福祉施設のギャラリーを借りて写真展を開きます。一応、「写真展 北摂の花-ミクロな世界を楽しむ」というタイトルで申し込みました。この準備で、昔、撮った写真の発掘作業で大変です。これまで、単子葉植物110種、合弁花類200種余りを発掘したのですが、いつどこでどんな状況で撮ったのか覚えていなくて、フーフー言って調べています。

廊下のむし探検 ハエと顕微鏡写真

廊下のむし探検 第870弾

こう寒いと虫はまったく見かけませんね。開店休業状態だったのですが、手元にネタがなくなってしまったので、午後からマンションの廊下を歩いてみました。やはりいません。いるのはいつものキモグリバエとユスリカばかり。



こちらはキモグリバエ。これはまだたくさんいます。





ユスリカはなんだかんだといます。



ユスリカかなと思って、今回は正面から撮ったのですが、なんとなく触角が違います。本当にユスリカだったのかなぁ。





変わったところではオドリバエがいました。離眼的で、しかも、後脚腿節に毛が生えているので、たぶん、♀ですね。



こちらは翅脈です。R4+5が末端で分かれていない、中室(dm)から3本の脈が出ている、CuAが回帰的などの特徴が見られます。こんな特徴である程度属が分かります。オドリバエ科の属への検索は、「双翅目(ハエ目)昆虫の検索システムに関する研究」という三枝豊平氏の科研費の報告書(この題目で検索するとpdfがダウンロードできます)に載っているオドリバエ科の図解検索システムを用いて調べることができます。それで調べてみると、いつものRhamphomyia属らしいことがわかりました。でも、いつも属止まりですね。

今日はこの間捕まえたトビムシを調べてみようと、冷凍庫を見たのですが、試料が見つかりません。冷凍庫の隅から隅まで探したのですが、本当に見つかりません。まさか、食べてしまった・・・。やむを得ないので、以前、捕まえたタマバエでも調べてみようと思って出してみたら、チャック付きのポリ袋に入れておいた試料が潰れてしまっていました。もう最悪です。これでは検索はできません。がっかりしたのですが、タマバエの触角はちょっと変わっているので顕微鏡写真でも撮ってみようと思い直しました。



タマバエというのはこんなハエで、体長は1.5mm程度。これの触角を撮ってみました。



まずは10倍の対物レンズです。結構、明瞭に写っています。写真の隅に書いた倍率11.5xは対物ミクロを写真で撮り、イメージセンサー上の距離を測って倍率を決定しました。この写真から中心を拡大してみると次の様になります。



大きくはなるのですが、やはりぼやっとした感じになりますね。



次は20倍の対物です。これも実測は20.66倍になりました。中心部分を拡大すると、



こんな感じです。先ほどよりは明瞭に写っています。この短い方の毛が感覚毛なのなかなぁ。



さらに40倍の対物で撮ったのがこれです。40倍は長作動距離のレンズではないので、照明がなかなか難しく、全体に暗くなってしまったのが敗因みたいです。



透過照明も少し入れて撮ったのがこの写真です。先程よりははっきりしましたが、やはり20倍には負けている感じです。今のところは長作動の20倍がタマバエの触角を写すには調子が良いようです。今日はこんな遊びで終わってしまいました。

家の近くのむし探検 ユスリカとトビムシ

家の近くのむし探検 第205弾

今日は気温は低かったのですが、晴れていたので、ちょっと気分転換のために家の近くの公園で虫探しをしました。いたのはユスリカばかりだったのですが・・・。







ユスリカは全部で8匹。全部黒いユスリカでした。採集したのは♂3匹。一応、写真を出しておきます。最初と最後はマンションで写したものです。ほかにも♂はいたのですが、ダニがくっついていたのでパスです。





♀も何匹かいました。上の個体に似た種はほかにもいました。下の写真の個体はツヤがあるので、別の種みたいです。これは♀なので採集しませんでした。(追記2017/03/05:che*rki**_y_nさんから、「最初の4枚はHydrobarnus sp.ぽく、5枚目はCricotopus sp.ぽいですね☆」というコメントをいただきました。さらに、私が「『日本産水生昆虫』のエリユスリカ亜科の属の検索で、56の『生殖中突起』がよく分からず、行き詰っていました。」と書いたら、「中底節突起の膨らみは見慣れると分かるのですが、なかなか難しいですよね(笑)ぱっと見で、翅の臀片の張り出し、体色、サイズでフユユスリカっぽく思いました。この時期のCricotopus属(ツヤユスリカ属)は腹部の斑紋が黒くなって分からなくなるから、難しいですね…」というコメントをいただきました



ほかにはササグモが1匹。

これで終わりかなと思って、ふと、カメラのレンズに取り付けた「影とり」を見たら、小さな虫がくっついていました。





こんな虫です。体長は1.5mm。てっきりチャタテムシだと思って、公園にいた人にはそう言ったのですが、後で、採集しようと思ったら、ぴょんと跳びはねました。チャタテではなくてトビムシみたいです。







ちょっと趣味的にリバースレンズでも撮ってみました。単眼が8つあるのが分かります。間違いなく、トビムシですね。トビムシの科の検索は次の論文に載っています。

田中真悟、「日本産トビムシ類の科の分類」、Edaphologia 22, 27 (1980).(ここからダウンロードできます)

一応、写真だけで検索をしてみると、マルトビムシ科になりました。マルトビムシ科の検索表は次の論文に載っています。

伊藤良作ほか、「日本産ミジントビムシ亜目およびマルトビムシ亜目(六脚亜門:内顎綱:トビムシ目)の分類」、Edaphologia 91, 99 (2012). (ここからダウンロードできます)

この論文にも科の検索表が載っているのですが、こちらはもう少し難しくて、顕微鏡で見ないと分かりません。一応、採集したので、今度、調べてみます。うまく行けば、種までいけるかも。

ということで、何もいないみたいですけど、そこそこ楽しみな虫がいました。

虫を調べる ミギワバエ科 続き

昨日に続いてミギワバエ科の属を調べてみたいと思います。



対象としているのはこのハエで2月4日にマンションの廊下で捕まえました。体長は1.7mm。かなり小さいのですが、最近は小さいハエやハチばかり調べているので、それほど小さいという感じはありませんでした。科の検索は昨日載せました。若干、怪しいところがあるので、この同定が間違っていると今日の属の検索は無駄になってしまいますね。でも、何事も練習なので、別に構いませんけど・・・。

属の検索には「絵解きで調べる昆虫」(文教出版、2013)に載っている大石久志氏の「日本産ミギワバエ科の属の絵解き検索」を用いました。これがないと今のところ、ミギワバエ科はほとんどお手上げ状態になります。私にとっては貴重な資料です。これを用いて検索してみると、Hyadina属に到達しました。「日本昆虫目録第8巻」(2014)に載っている分類できちんと書くと、ミギワバエ科モジズリミギワバエ亜科ソメワケミギワバエ族Hyadina属になります。そこで、また、この検索の過程を写真で追いかけていこうと思います。


検索表のうち必要な部分だけを抜き出しました。番号は昨日の科の検索と通し番号になっています。全部で8項目、頑張って見ていきましょう。



まずは全体図から。ここでは前脚が捕獲脚になっていないことを見ます。捕獲脚になると、腿節が太くなり、脛節は曲がり、内側に刺がいっぱいできます。これはそうでないのでまずはOKです。



次は頭部顔面です。黄色の楕円で囲んだ部分に毛を装おうかどうかです。毛は少しはありますが、ほとんど見られないので、これもOKとします。検索表を見ると、毛を装おう属も結構いるみたいです。



次は頭部横からの写真ですが、口裂は正常かどうかという項目です。人の口に比べるとどれもみな異常なのですが、もっと口の大きいParydra属というのがあるみたいで、それに比べるとこれは正常ということになるようです。



写真では見にくいのですが、剛毛を見ます。中胸盾板は横線によって前域と後域に分けられます。この種では横線がはっきりしないのですが、矢印で示した部分がそうだと思います。この上か前側の背中剛毛に強い剛毛があるかというのが⑰です。黄色の楕円形で示した部分を見ても、ぱっと見た感じではないので、これもOKとなります。次は額眼縁板という複眼のすぐ内側の固い部分にある剛毛です。黄色の楕円形で示してあります。この部分の剛毛の向きをいっているのですが、見た感じでは小さな毛はあるものの、剛毛と呼ぶべきものは生えていません。これもOKとします。最後は単眼剛毛と頭長剛毛が強く発達するかという項目で、ocとvtと書いた部分に発達した剛毛が見えています。これですべてOKとなりました。(追記:「新訂 原色昆虫大図鑑III」には剛毛の代わりに「刺毛」という単語が使われています。英語でいうとbristleではなく、setaということになります。それにできるだけ統一してみたですが、検索表では剛毛という言葉がよく使われるので、それが混じってごちゃごちゃになってしまいました



次は胸部の横からの写真です。翅の基部に中胸盾板の背側域という部分があります。この部分の剛毛の数についてです。小さな毛は見えますが、強い剛毛は1本だけです。



次は翅脈です。前縁脈は翅の前縁を通っている脈で、途中sc切目とh切目で途切れますが、そのままずっと伸びてM1+2が翅縁に到達した部分まで達しています。したがって、⑲はOKです。また、翅にかすかな模様がついているので㉒もOKでしょう。



次は小盾板についてです。小盾板は中胸背板の後側の部分を指します。検索表を見るまでは気が付かなかったのですが、この側面がビロードのような黒色になっています。確かに書いてある通りです。したがって、これもOKとなります。ということで、すべての項目をクリアしたので、Hyadina属で合っているかなと思っています。

「日本昆虫目録第8巻」によると、日本産Hyadina属には4種記録されています。そのうち、本州にいそうなのが、fukuharai(フクハラソメワケミギワバエ)、japonica(マホロバソメワケミギワバエ)、pulchella(カノコソメワケミギワバエ)の3種。ネットの画像検索で調べてみると、翅の模様から、fukuharaiではなさそう。pulchellaは大変よく似ている。japonicaは不明。となって、まだ、確定はできないのですが、pulchellaではないかなと思っています。

ということで、ミギワバエ科の属の検索をしてみました。さすがに2回目になると、ちょっとは慣れてきたみたいです。でも、冷凍庫にはまだまだいっぱい試料が入っています。早く片付けないと食料品とごちゃごちゃになってしまう・・・。

虫を調べる ミギワバエ科

最近は「廊下のむし探検」はちょっとお休みで、4月の写真展に備えての花の写真の整理と、冷凍庫に入れっぱなしになっている虫の同定を行うことにしています。それで、最近はちっちゃなハエばかり調べているのですが、今の時期に調べておかないとこれから虫が多くなってきたら、とてもじゃないけど時間が取れないので、と思って頑張っています。



今日はこのハエです。体長はわずか1.7mm。2月4日に見たのですが、一応、捕まえて冷凍庫に入れていました。通りすがりさんから指摘していただいたのですが、これは以前にも見ていて、その時はミギワバエ科に同定していました。このときはあまりにも小さくて細部まではっきりしなかったのですが、その時から2年。機材は変わっていないのですが、少しは慣れてきたので、もう一度、きちんと調べてみることにしました。今回は属まで行くつもりです。

検索は例によって、「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表でまず行い、その後、「新訂 原色昆虫大図鑑III」に載っている検索表を用いて確かめてみました。その結果、ちょっと怪しげなところもあるのですが、一応、ミギワバエ科になりました。その過程をまた例によって写真で確かめていこうと思います。



この間のショウジョウバエの検索と同様、今回も無弁翅類から出発します。それでも、14項目も調べないといけません。また、例によって部位別に見ていきます。



まずは全体像です。こんなハエです。この写真でついでにいくつか検索項目をクリアしようと思います。まず、⑥の第1跗節が膨れていないので、フンコバエ科を除外します。次の⑫と⑭はともに脛節の亜末端剛毛に関するものですが、調べてみるとなかったので、一応、この写真に載せておきます。この写真ではよく分かりませんが・・・。



次は頭部を横から見た写真です。口吻は太くて短いということと、触角梗節が第3節より短いというのはいつもの通りでOKです。次の⑪の鼻状の突起ですが、白矢印の部分は鼻状にも見えます。これについては以前も迷ったことがありました。そのとき、ケシショウジョウバエ科に関する論文を見つけて、その中の写真から判断しました。

W. N. Mathis and A. Freidberg, African Invertebrates 53, 231 (2012). (ここからpdfがダウンロードできます)

この論文です。写真を見るとケシショウジョウバエ科の場合は本当に鼻みたいな突起があるので、やはりこの個体のは鼻ではないみたいです。次の⑭というがまさにこの個体の形状を表しているのかもしれません。



次は顔の正面からの写真です。こうやって見ると、確かに鼻状の突起はありません。この写真では触角刺毛が背面だけ分枝を出すということを見るのですが、実は、基部の1/3~1/2くらいは腹面にも細かい毛がありました。でも、先端がそうなので、たぶん、いいのでしょう。



次は頭部の背面からです。③に書いてあるように単眼はあります。また、⑨で示すように、額眼縁剛毛は内傾はおろか極めて短い刺毛を除いて長い剛毛はありませんでした。



次は頭部を後方から撮ったものです。単眼のところに1対の長い単眼剛毛が生えています。その後ろに極めて見にくいのですが、白矢印の先に1対の小さな刺毛が垂直に生えています。これがたぶん、偽後単眼剛毛ではないかと思いました。もっとも、離反的というよりは平行的なのですけど・・・。



次は翅脈です。翅脈に関する項目は多いので、二つに分けました。この写真ではSc脈に注目します。これの先端が直角に曲がっていないというのが⑦です。これはミバエ科を除外する項目です。次は、その先端がどうなっているかということですが、ともかく、前縁まで達していないので不完全ということになります。先がR1に合流しているのか途切れているのか、この写真ではちょっと分かりませんが・・・。さらに、⑬はsc切目とh切目の二つを持つということです。R2+3の長さについてはヒメホソバエ科との比較です。ヒメホソバエ科はR2+3が大変短くて翅の半分にも満たないので、それに比べればこの個体の場合は通常の長さということになります。



次は、第2基室+中室とCuA脈、cua室に関してです。まず、第2基室と中室は間違いなく合体しています。⑩はその場合でも翅室の後縁脈、つまり、M3+4脈は微小な湾曲を持たないという内容です。これはキモグリバエ科を除外する項目で、微小な湾曲というのは以前、キモグリバエ科で示したことがありました。少なくともそのような湾曲はないようです。次のCuA脈とcua室については迷いました。というのは⑫→で示すところに小さな翅室と翅脈のようなものが見えるからです。検索項目には長かったので書かなかったのですが、もし、これらが辛うじて認められるときには二つの切目を持たないという付記がついていたので迷ってしまったのです。そこで、この部分を拡大してみました。



これはその写真なのですが、通常のハエだと、M3+4脈は基部に向かうとbmとdmを分ける脈を通ってM1+2と合流します。従って、M3+4脈を基部側に延長した部分はCuA脈の基部と解釈します。CuA脈は翅縁に向かうと途中で後縁側に曲がり、黒矢印のある部分を通ってCuP脈と合流し、そのまま今度は翅縁に向かってCu融合脈(CuA+CuP脈)となります。それと比較すると、CuP脈は確かに存在するのですが、CuAが後縁側に曲がる部分が全く見えません。従って、黒矢印の部分の白い筋はCuA脈と解釈するよりは単なる翅の折り目と解釈した方がよさそうです。そうなると、この部分のCuA脈はなく、したがって、閉じたcua室もないことになります。これが上の項目の内容ではないかと思いました。多分に先入観を持って判断しているので、怪しいのですけど・・・。

いずれにしても、これでミギワバエ科にいたるすべての項目を確認したので、ミギワバエ科という結論になるのですが、若干の怪しいところ(1)偽後単眼剛毛の向き、2)CuAとcuaの解釈)があったので、ひょっとしたら間違っているかもしれません。「新訂 原色昆虫大図鑑III」の検索表は絵解きでなく、文章だけから判断しなければいけないので、慣れないと使いこなすのがなかなか大変です。次は属の検索なのですが、長くなったので次回に回します。

虫を調べる ショウジョウバエ科 続き

昨日の続きで、今日はショウジョウバエ科の属の検索をしてみます。



対象とするのは体長2.3mmのこんな小さいハエです。先日、「絵解きで調べる昆虫」と「新訂 原色昆虫大図鑑III」に載っている科の検索表を使って調べた結果、ショウジョウバエ科になりました。そこで、今回はその先の属の検索をしてみました。属の検索には次の文献の検索表を用いました。

Manual of Nearctic Diptera Vol. 2 (1987). (ここからダウンロードできます)

実際に検索をしてみた結果、ヒメショウジョウバエ属(Scaptomyza)に落ち着きました。まだ合っているかどうかは分からないのですが、一応、その検索過程を写真で確かめていきたいと思います。



必要な個所を抜き出したものがこれです。番号は先日の科の検索との通し番号になっています。また、最後の㉔については近縁のDrosophila属の項目も載せています。なお、原文は英語で私の拙い語学力で訳していますので間違っているところも多いと思います。そのつもりで見ていただければ幸いです。

これをいつものように写真で確かめていくのですが、検索の順だとあちこちの写真を見なければいけないので、いつものように部位別に説明することにします。



まずは全体像ですが、ここでは一番最後の㉔を確かめることになります。細長い脚を持つというのは合っている感じです。



次はもう少し拡大したものですが、前腿節に特に異常は見られないので、㉒もOKでしょう。



次は頭部です。頭部はいろいろなところを見なければならないので、写真を何枚か出して説明することにします。初めに額眼縁剛毛と後単眼剛毛についてです。額眼縁剛毛は後向けに曲がった剛毛が2本あります。その前側の剛毛のわずか前内方に今度は前向きに曲がった剛毛が生えています。前向きの剛毛は後ろ向きの剛毛のうち前側の剛毛よりは強い剛毛です。また、後単眼剛毛は十分に発達しています。これで、上の項目をすべて説明したことになります。



次は触角についてです。ショウジョウバエの触角は独特で、こんな枝のようなものたくさん出ています。これを先ほどの文献では"ray"と書いてあったのですが、「大図鑑」には分枝と書いてあったので、そう訳しました。この写真では背面にその分枝が4本、腹面には1本、さらに先端が二分していることが分かります。これで項目はすべて説明できました。



これは前額を上から撮ったものです。額眼縁剛毛の位置関係がよく分かると思います。㉑は"arising medially to"という英語の訳がはっきり分かりませんでした。たぶん、mediallyは内側と訳したらよいのかなと思ったのですが・・・。ただ、ショウジョウバエ科の額眼縁剛毛の配置はだいたいこんな感じなので、たぶん、大丈夫だと思います。



次は顔面を写したものです。顔面は触角の下辺りを指しますが、この中央に一筋の盛り上がりが見えます。これがたぶん「竜骨」だと思います。これで㉓もOKとします。



これは中胸盾板を見せていますが、縦筋が入っています。これで⑱はOKです。



同じく盾板を真上から撮ったものです。ここでは剛毛の細かい内容を調べていきます。まず⑳は→で示した細い剛毛列(中剛毛)の後端に長い剛毛が生えていないことを見ます。続いて、中剛毛が2列でできていることを見ます。これが㉔です。この剛毛列の数でDrosophilaと見分けることができます。また、小盾板の矢印は後端に長い剛毛が交差していることを示しています。英語では⑳は"basal"、㉑は"apical"となっていて違うのですが、たぶん、同じ剛毛を指しているのではと思いました。また、前方の㉑が示しているのは背中剛毛ですが、その前方に長い剛毛が生えていないというのが㉑の後半の内容ではないかと思いました。



次は胸の側面からの写真ですが、前胸前側板に剛毛が生えていないこと、下前側板に2本の剛毛が生えていることが分かります(ちょっと写真では見にくいですが・・・)。



最後は翅脈です。Sc切目で特に襞状のものがないので、これもOKでしょう。ということで、ほぼすべての項目を確かめました。途中でやや怪しいところや、英語の意味がよく分からないところもあったのですが、とりあえずScaptomyza属になりました。属の検索表は次の論文にも載っています。

T. Okada, "Systematic study of Drosophilidae and allied families of Japan", Gihodo, Tokyo (1956). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)
T. Okada, "A Proposal of Establishing Tribes for the Family Drosophilidae with Key to Tribes and Genera (Diptera)", Zool. Sci. 6, 391 (1989). (ここからダウンロードできます)

これらの検索表でも試してみたのですが、ともにScaptomyza属になったので、たぶん大丈夫かなと思っています。

ついでにいくつか写真を撮ったので、それも載せておきます。



頭を横から撮ったものです。本当は触角を写そうと思ったのですが、あまりはっきりしなかったので没になりました。





腹部側面と腹部末端を写したものです。末端の構造から、これはたぶん♂ではないかと思うのですが、末端の構造が何なのかよく分かりません。将来、分かるようになった時のために出しておきます。

ついでに種もと思ってちょっとだけ調べてみました。種の検索表は上に載せたOkada(1956)に載っています。ただ、文献が古くてScaptomyza属6種しか載っていません。「日本昆虫目録第8巻」(2014)には13種も載っているので、どうしようかと思ったのですが、まず、ここに載っている種を書き出してみました。

unipunctum (Hemiscuptomyza) → 誤同定? S. (H.) okadai
disticha (Parascaptomyza) → S. (P.) pallidaのシノニム
graminum (Scaptomyza)
polygonia (Scaptomyza)
apicalis (Scaptomyza) → S. (S.) flavaのシノニム
monticola (Scaptomyza) → S. (S.) consimilisのシノニム

この6種です。( )内は亜属、右側のはSystema Dipterumなどで調べた現在の解釈です。unipunctumについてはSystema Dipterumではvalidとなっているのですが、その後の目録ではokadaiとなり、同じイッテンヒメショウジョウバエの和名がつけられているので、誤同定だったのかなと推測しました。

1. 翅の先端に黒い斑点はない
2. 中剛毛は2列;肩剛毛は1本;小盾板端剛毛は長い      Scaptomyza  disticha→S. pallida

種の検索は実際に調べた結果、この二項目を確認するだけでよくて、結局、distichaになりました。distichaはpallidaのシノニムなので、結局、コフキヒメショウジョウバエ pallidaになるのですが、「日本昆虫目録第8巻」(2014)にはelmoi ミナミコフキショウジョウバエという種が私の住む近畿にはいるようなので、まだ、はっきりしたことは分かりません。でも、たぶん、この辺かなと思っています。早く、交尾器の見方を勉強したい・・・。

追記2017/02/08:Scaptomyzaを調べていたら、面白い論文を見つけたので紹介します。

加藤 徹、「ショウジョウバエ分子系統学研究の最前線」、低温科学 69, 1 (2011). (ここからダウンロードできます)
T. Katoh et al., "Multiple origins of Hawaiian drosophilids: Phylogeography of Scaptomyza Hardy (Diptera: Drosophilidae)", Entomological Science 20, 33 (2017). (ここで要旨を読むことができます)

この二つの論文です。内容は次のようなものです。Scaptomyza属は現在までに全世界に20亜属269種が記録されているのですが、その60%はハワイ固有種だというのです。一方、Hawaiian Drosophilaと呼ばれていた属(Idiomya属)は400種以上記録されているのですが、そのすべてがハワイ固有種です。さらに、この2属は姉妹群を形成しています。

いったいどうして、こんなにショウジョウバエがハワイに集まっているのでしょう。これには従来まで二つの説がありました。一つは、もともとScaptomyza属もIdiomya属は共通の祖先をもち、ハワイに起源を持っていたのですが、Scaptomyza属についてはその後世界中に広がっていったという説、もう一つは、もともとこの2属は別々の起源で、
Idiomya属はハワイ起源でも、Scaptomyza属の方は後からハワイに入ってきて独自進化を遂げたという説です。

これに対して、Katohらは最近、ハワイ種と大陸種のミトコンドリアと核のDNAを調べ、後者の説に近い内容の論文を出しました。これによると、Scaptomyza属もIdiomya属も大陸起源で、今から30Ma前(Maは地質学で使われる単位で1Maが百万年に相当する)に共通の祖先から分かれ、その後、すぐにIdiomyaはハワイ諸島に入り、独自進化(これを適応放散というようです。つまり、単一の祖先からさまざまな形質を持った子孫ができることを意味します)を遂げて、種数も現在では412種に達しました。一方、Scaptomyza属は少し遅れて15-21Maごろに入り適応放散を遂げたのですが、その後、10Maに別の系統が再び入り込み、それも適応放散を遂げたということでした。DNAを調べることでいろいろなことが分かるのですね。適応放散といいますが、ハワイのような狭い島の中でどうしてこんなにも種類数が増えるだろうかとちょっと疑問になりました

虫を調べる ショウジョウバエ科

先日、ちょっと暖かかったので、マンションの廊下を歩いてみたら、小さなハエを見つけました。



こんなハエです。フラッシュをたくとその瞬間に移動するので、写真がうまく撮れなかったのですが、体長2.3mmの小さなハエです。吸虫管で捕まえてそのまま冷凍庫に入れておいたのですが、昨日、取り出して、「絵解きで調べる昆虫」と「新訂 原色昆虫大図鑑III」に載っている検索表で調べてみました。その結果、ともにショウジョウバエ科になりました。それでいつものようにその検索過程を顕微鏡写真で確かめていきたいと思います。

まずは簡単な「絵解きで調べる昆虫」の方から。



検索過程を見やすいように図示してみました。たぶん、無弁翅類は間違いないと思ったので、そこから書いています。「絵解きで調べる昆虫」の検索表は文字通り絵がついているので大変やりやすくなっています。その代り、若干、はっきりしないところもあって不安になるので、いつも「新訂 原色昆虫大図鑑III」の検索表で検索をやり直しています。

上の㋐から㋘までの9項目を確かめいきたいと思います。9項目のうち、㋐から㋔までは翅脈に関するもの、㋕から㋘は頭部の剛毛と触角に関するものなので、結果的には2枚の写真だけで確かめることができます。



まずは翅脈から。㋐は見るとすぐに分かります。㋑と㋒は翅の前縁にある翅脈の切れ目に関するものです。このハエはこの写真で示したようにsc切目とh切目という二つの切れ目を持っています。ハエは翅を羽ばたくとき、下向けには翅をピンと伸ばし、翅を上向きには折り曲げて抵抗を減らすのですが、切目はその折り目に相当しています。次は㋓と㋔ですが、Sc脈というのは翅の基部近くにある短い翅脈です。この翅脈はよく見ると、途中で途切れています。それが㋔の意味です。また、途切れているので、最後が直角に曲がることがありません。これが㋓です。



次は頭部を斜めから撮った写真です。㋕と㋖はすぐに分かると思います。次の㋗の下額眼縁剛毛については説明が必要です。複眼と複眼の間を前額といいますが、そのうち複眼の縁に沿ってある固い部分を前額眼縁板と呼び、そこに生える毛を額眼縁剛毛といいます。単眼の載っている三角形の単眼瘤の後側については頭頂剛毛と呼ばれています。それより前方にある剛毛のうち、上にあるものを上額眼縁剛毛、下にあるものを下額眼縁剛毛と呼んでいます。このハエでは下額眼縁剛毛がないので、それが㋗です。さらに、上額眼縁剛毛をよく見ると、後ろ向けに生えた太目の剛毛と細目の剛毛、さらに、前向きに生えた太目の剛毛の計3本が生えています。㋘は前向きの剛毛が後ろ向けの剛毛より前側で、さらに、内側に生えているかどうかということです。確かにそのように生えているので、これでショウジョウバエ科ということになります。

次に「原色昆虫大図鑑III」の検索表で同じことを確かめていきます。



先ほどは9項目だったのですが、こちらは16項目もあります。でも、めげずに調べていきます。今度は見るところが検索項目毎にあちこちに飛ぶので、部位別に見ていきたいと思います。



まずは全体像です。かなり脚が長い種だなという感じです。この写真では⑥の後脚跗節第1節が膨らんでいないことを見ます。これでフンコバエ科を除外します。



これはもうちょっと拡大したものです。口吻は太いということもないのですが、それほど長くないので、②はOKでしょう。これでメバエ科を除外します。



次は顔面を正面から見たものです。先ほどの②の口吻が正面から見えています。さらに、触角第3節が梗節より長いことも分かります。④はシュモクバエ科を除外する項目です。このハエでは複眼に特に異常はありません。次の⑤はヒゲブトコバエ科を除外する項目で、このハエでは触角には刺毛が発達しています。最後の⑪はケシショウジョウバエ科を見ないと何とも言えませんが、特に異常を感じないのでOKとします。



これは先ほども出した写真ですが、③と⑬はすぐに分かり、⑯の前半は先ほど「絵解きで調べる昆虫」で確かめました。⑨は額眼縁剛毛は後ろ向きか前向きで内向きがないことです。⑯の後半は触角に長い分枝が主に背面に出ていることを見ます。



次は翅脈です。たくさんの項目がありますが、⑦と⑧は先ほど説明しました。⑪は第2基室(bm)と中室(dm)に関するものです。かなり注意してみたのですが、この二つの翅室を分ける横脈がよく分かりませんでした。それで、写真ではdm+bmと書いています。いずれにしてもM3+4脈にはキモグリバエ科にあるような異常な湾曲がありません。それで⑩はOKとします。⑪はすぐに分かります。



これは翅の基部の写真です。CuAと書いた脈で半分囲まれるようにcua室があります。この翅室は翅脈に完全には囲まれてはいないので、「部分的に閉ざされる」ということになります。また、先ほどdmとbmの境目ですが、CuA脈を上に伸ばしたところで白い筋が入っているあたりに横脈があればあるはずです。もしあれば、第2基室と中室は分離するということになりますが、あるのかないのかよく分かりません。白い筋は翅の折れ目だと思うのですが・・・。また、⑯の肩切目は写真に示した通りです。



これは中脚の脛節末端を示したものです。真ん中が背面なのですが、末端近くに背側に伸びる短い剛毛があります。これがたぶん、亜末端剛毛だと思われます。



最後は胸部側面の写真です。上前側板は矢印で示したところです。ここはよく後縁に沿って剛毛列が見られるところなのですが、剛毛などは生えていません。

ということで、翅の第2基室と中室についてはちょっと不明確だったのですが、一応、すべての項目を確かめたので、たぶん、ショウジョウバエ科で間違いないと思います。ショウジョウバエ科は触角に長い枝のような分枝が生えていることや、額眼縁剛毛の配置などに特徴があるので、おそらく大丈夫ではないかと思います。

これから先の属の検索もやってみたのですが、長くなったので次回に回します。

廊下のむし探検 ハエとハチ

廊下のむし探検 第869弾

昨日、廊下を歩いたときに見つけた虫の続きです。昨日の記事は甲虫やら蛾やらクモやらとバラエティに富んでいたのですが、残ったのはいつものハエ目とハチ目だけでした。





ユスリカは相変わらずあちこちにいます。フユユスリカかもしれないと教えていただいたので、♂がいたら捕まえようと思ったのですが、この日いたのはすべて♀だけでした。次回に持ち越しです。



こんなハエがいました。たぶん、ミギワバエかなと思って、吸虫管で採集したのですが、ガラス管の入り口が開いていて捕まえた3匹のうち、1匹が逃げてしまったようです。まだ、見ていないのですが、これが残っているといいけど・・・。(追記2017/03/05:追記が前後してしまったのですが、通りすがりさんから、「3枚目のハエは、脚の色や翅の特徴から以前に撮られていた不明ミギワバエと同種っぽいですね。」というコメントを頂いていました)(追記2017/02/09:「絵解きで調べる昆虫」で検索してみました。ミギワバエ科Hyadina属になりました。「日本昆虫目録第8巻」(2014)によると、Hyadina属には4種。このうち、本州は3種。翅の模様からはH. pulchellaみたいですが、まだ、はっきりしたことは分かりません



これはキノコバエの仲間です。横から撮ったら結構格好良く撮れました。



これも小さいのですが、以前調べたコガネコバチ科のハチみたいです。一応、捕まえたつもりなのですが、以前の記事を見ると、亜科の検索だけでも54項目、属に至っては309項目。大変な世界ですね。まだ、亜科や属を検索をする勇気が出てこないのですが・・・。



フラッシュをたいて撮影するたびにぴょんぴょん逃げ回るので、ピントが合っていなかったのですが、面倒くさくて捕まえました。何だろう。吸虫管から逃げ出してないといいのだけど・・・。(追記2017/02/06:検索の結果はショウジョウバエ科になりました。本当かどうか分かりませんが・・・)(追記2017/02/06:さらに、Okada(1956)、及び、MNDで属の検索をしてみました。合っているかどうかは甚だ怪しいのですが、ともに、Scaptomyza(ヒメショウジョウバエ)属になりました。「日本昆虫目録」(2014)によると、この属には5亜属13種が記録されていました



これまで何度か出ているシマバエ科のSteganopsis dichroaですね。お馴染みのハエです。



これはクロバネキノコバエでしょう。翅が光って意外に綺麗ですね。



そして、最後はノミバエ科のMegaselia属でした。



後脚脛節背面を見ると、Megaselia属の特徴である、剛毛列(とびとびの黒い点)と絨毛列(黒い線)が並んでいるのが分かります。これで終わりです。後は検索ですね。

廊下のむし探検 甲虫、クモなど

廊下のむし探検 第868弾

今日は昼間、10度以上に気温が上がったので、ちょっと廊下を歩いていました。さすがにいろいろと虫がいました。



まずはこの甲虫です。体長は2.8mm。前胸背板の形と触角からケシキスイ科かなと思って、「原色日本甲虫図鑑III」を探したのですが、なかなか見つかりません。それでも、図鑑をじっくり見ていたら、Epuraea属に近いかなと思いました。次に、「新訂 原色昆虫大図鑑II」の図版を見ていると、ホソキヒラタケシキスイ E. parilis という種には体色の異なる個体があるようです。図鑑の説明を読むと、「春期出現の個体は体幹部が黒褐色で、上翅の後半に淡色の円紋を生じる(f. rubronotata)」という説明が載っていました。この「f.」は品種formaを表す用語です。確かにこの写真を見ると、翅の後半に一対の赤い斑紋があります。また、従来、E. rubronotataとしていた種は細長いなど形態が異なり、これには学名がないとも書いてありました。

ネットで調べると、久松定智氏のCLAVICORNIAというHPがあり、そこにケシキスイ科などのデジタル図鑑が載っていました。久松氏は最近、Zootaxaに論文(Zootaxa 4080, 1 (2016))を出しているのですが、これが手に入りません。その代り、このHPに種リストが載っていました。その中ではホソキヒラタケシキスイ E. parilisはE. (E.) oblongaのシノニムとされ、E. (E.) rubronotata は別にニセホソヒラタケシキスイという和名で載っていました。標本写真も載っているのですが、後者はやはり体形が細長いので、E. rubronotataと呼ばれていた種のようです。ということで、論文を見ないとはっきりしたことは分からないのですが、たぶん、ホソキヒラタケシキスイ E. (E.) oblonga の体色変化と見るのがよさそうな気がしました。

追記2017/03/05:通りすがりさんから、「CLAVICORNIA、よく見付けましたね。以前は検索に引っ掛からない様にしてたんですが、今は検索に引っ掛かるのかな?このケシキスイは、春に畑の剪定枝を片付けてると見られるヤツだなあ。モンチビヒラタケシキスイやウスチャケシマキムシに混じってそこそこいっぱい落ちます。ケシキスイは乾燥した落果に居たんでしょうけどね。」というコメントをいただきました



次は昨年末に何度か見た甲虫です。体長2.3mm。たぶん、キスイムシ科のヨツモンキスイかなと思っています。





こんな風に腹を曲げて翅をしまっているハネカクシがいました。



落ち着いてから体長を測ってみると3.7mm。図鑑を何度か見たのですが、結局、属もよく分かりませんでした。どうもハネカクシに対しては取っ掛かりすら見つかりません。



ナナホシテントウもこの日は2匹いました。



これはウスバフユシャクかな。死んでいました。今年は本当にフユシャクを見ませんね。



最後は、マミジロハエトリか、マミクロハエトリの♀。(追記2017/12/02:これはミスジハエトリ♀かな

残りはハエ目なのですが、まだ、整理が終わっていないので次回に回します。

廊下のむし探検 ノミバエほか

廊下のむし探検 第867弾

顕微鏡で虫ばかり見ているのも芸がないかなと思って、昨日、マンションの廊下を歩いてみました。でも、いませんね。いるのはいつものハエばかり。それでも、こんな冬でもこんな虫がいたというデータの一つかなと思って出しておきます。





独特の格好をしているので、ノミバエだというのはすぐに分かります。それに、脛節基部2/3に独立した剛毛を持たない、後脚脛節背面に微刺毛列があるというところからMegaselia属だろうということは分かります。ただ、それから先は分かりません。以前、撮った写真と比べると、腹部に暗色の帯があり、後腿節末端が黒い種がいました。それと同じみたいです。



そういう意味ではこの種はMegaselia属でも、先ほどの種とは違うかもしれません。





これもMegaselia属みたいですが、まったく違う種です。ノミバエもよく見るといろいろいますね。でも、種名はどうやって調べたらよいのやら。





後は、例によってユスリカです。上は♂、下は♀。たぶん、エリユスリカ亜科ではないかと思っているのですが、その後、調べていないのでよく分かりません。



それから、こちらも常連組のキモグリバエ科です。ハエではこれらが冬でも元気で動き回っていました。





クモではズグロオニグモの幼体らしいクモはたくさんいるのですが、そのほかではアシナガグモ科のクモがいました。「日本のクモ」を見ると、ウロコアシナガグモか、エゾアシナガグモみたいですね。これも時々見るのですが、♀や幼体ではどうやって区別すればよいのかよく分かりません。たぶん、2月中は虫がいないと思うので、1週間に一度くらいのペースで歩こうかなと思っています。

虫を調べる ハナバエ科

先日、マンションの廊下で小さなハエを見つけました。「新訂 原色昆虫大図鑑III」に載っている検索表を使って調べてみるとハナバエ科になりました。今回はその先の属の検索をしてみようと思って頑張ってみました。何度か検索をやり直したのですが、最終的には二つの属のどちらかというところまで達しました。まだ、途中なのですが、この辺で一度まとめてみようと思ってブログに出します。




対象としたのはこのハエです。先日も書いたのですが、もう一度、科の検索から始めてみます。



ハナバエ科に至るには上の①から⑤まで確かめればよいことになります。これを写真で確かめていきます。



まずは全体像から。体長は4.8mm。そこそこ大きなハエです。でも、ちょっと特徴がないですね。



この写真では中副基節に毛のないことと、下前側板に剛毛が2本生えていることを見ます。これで③と⑤は確かめられました。



次は翅脈です。翅脈の名称は「大図鑑」に従っています。ここではCu融合脈(CuA+CuP)が翅縁まで伸びていることを見ます。イエバエ科などは翅縁に達しないので、ここで区別することができます。



この写真からは、⑤にあるように小盾板の裏側に淡色毛(白矢印)のあることが分かります。



最後は後頭部に黒色剛毛があり、淡色毛はないことを確かめます。これで科の検索項目はすべて確認できたのでハナバエ科で合っていると思われます。ついでに、触角第2節(梗節)に縦溝のあることが有弁翅類の特徴なのですが、黒矢印で示すところに確かに縦溝が見られます。

ここまでは順調に進んだのですが、ここから先の属の検索ではだいぶ苦労しました。属の検索表は♂用、♀用とも次の論文に載っています。

M. Suwa, "ANTHOMYIIDAE OF JAPAN (DIPTERA)", Insecta matsumurana. Series entomology. New series 4, 1 (1974). (ここからダウンロードできます)

この論文には日本産のハナバエ科30属172種が載っているのですが、だいぶ古いのでそのまま使ってよいものかどうか心配になりました。そこで、「日本昆虫目録」(2014)に載っている属と比較してみました。



これが比較した表です。上の論文に引き続く7本の論文がSupplement(補足)として出ているのでそれも加えて表にしてみました(Supplement IIは手に入らなかったので抜いています)。一番左の欄がこれらの論文で取り扱っている属の一覧です(青字は後に別の属のシノニムとして扱われる属で、また、青緑色は74年の論文には載っていなかった属です)。数字の欄は各論文に載っている種数です。例えば、一番左の数字の欄は74年の論文で扱っている種数となります。これらをすべて合わせると右から3列目の欄になるのですが、全部で206種になりました。これを一番右欄の「日本昆虫目録」の種数と比較するとほぼ同じなので、検索表はそのまま使えるのではないかと判断しました。ただ、いくつかの属はシノニムとなっていて、また、74年の論文には載っていない属もいくつかあるので、それは考慮に入れておく必要があります。「日本昆虫目録」に載っている属のうち、赤字は74年の論文とその後のSupplementには載っていない属、青緑色は74年の論文には載っていなかった属です。(追記2017/02/03:表を何か所か訂正しました。synonym or misidentificationの欄は74年の論文に載っていて、その後、属名が変更になったもの、および、( )内は属の移動がなされた種の旧属名です

そこで、74年の論文に載っている検索表を用いて検索してみました。その過程を載せると次のようになります。



まず、この個体は複眼間が広く空いていること(離眼的)、また、腹部末端の形状から♀だと思いました。そこで、♀用の検索表で検索してみました。すると、産卵管の形状についての項目⑮にぶつかりました。残念ながら、この個体では直接見ることができなかったので、選ぶことができませんでした。それで、⑮については両方の可能性を残しておき、最終的には、Phorbia属、あるいは、Delia属のどちらかという結論になってしまいました。ここから先は進めないのですが、とりあえず、ここまでを写真で確認していきたいと思います。



まずは頭部を背側から写した写真です。⑥の前額幅は複眼間の最小距離で見積もってみたのですが、その結果、1/2.4となり1/3よりは広いことが分かりました。また、⑭の額内刺毛(if)については写真でも分かるように存在していて左右の刺毛が交叉しています。




次は触角ですが、触角刺毛に生えている毛はこの写真でも分かるように短いので⑩も⑯もOKです。



これは頭部を真横から撮ったものです。検索表の中には「〇〇ではない」という、特定の属を排除する項目が多く見られたので、それを「【〇〇】ではない」という記号で書いています。ここでは頭盾前縁が半月板のところで測った前額より突き出しているかどうかという項目があります。黄色の点線で示したのがそれに対応していますが、頬の下縁を基準にして横線を引き、頭盾前縁でその横線に垂直に上方へ線を引くと、触角基部はその線より前に出てしまいます。半月板は触角のすぐ根元にあるので、半月板で測った前額の方が前に出ていることが分かります。そこで、突き出してはいないという方が選びます。また、触角第3節は長さが幅の2.1倍になっているので、これも十分に長いという方を選びます。これですべての項目をクリアしました。



次は口器についてです。haustellumとmentumの訳がそれぞれ吻管と下唇基節でよいのかどうか不安なのですが、たぶん、矢印で示した部分が吻管にあたるのではないかと思っています。この写真からはかなり太くて短いようです。したがって、⑫も㉑もOKだと判断しました。



この写真では単眼の後ろの後頭部に毛が生えていないことを見ます。



⑦、⑧、⑨はいずれも毛のないことを確かめるだけです。⑦の脚の基節の毛についてはちょっと迷いました。初め、この写真の中脚、後脚の基節には腹面に剛毛が生えているのでそれかなと思ったのですが、ここでは小刺毛と書いてあるので、もっと細かい毛を考えているのだなと思いました。最後の⑪の基覆弁は端覆弁に隠れているので、突出はしていないと判断しました。



これは中胸背板の剛毛の分布です。肩後刺毛はphで表したものだと思いますが、1本だけのようです。でも、後の項目が違うので、やはり、㉒はOKということになります。



後脛節には脛節の高さに比較できるような末端pvは生えていません。



中脛節にも腹側には剛毛は生えていません。これで、産卵管の項目⑮を除いてすべてを確かめたことになります。産卵管は腹部の中に入り込んでいるみたいで、外からは見えませんでした。それで、今回はPhorbia属、あるいは、Delia属のどちらかというあいまいな結論になってしまいました。まだ、乾燥していないときに腹部末端を引き出せばよかったのかなと思っています。

今回、初めてハナバエ科の属の検索を試みてみました。どの虫も初めて検索する時は各項目の意味するものが分からず苦労するのですが、今回もだいぶ苦労しました。最後、属まで行かなかったので、MND(Manual of Nearctic Diptera Vol. 2)の検索表も試してみたのですが、やはり産卵管のところで引っかかってしまい、属までは達しませんでした。また、今度採集したらこの先までやってみたいなと思っています。
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