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虫を調べる アルタイヤマトビケラ?

先日、マンションの廊下でトビケラを見つけました。久しぶりに検索でもしてみようと思って採集して、冷凍庫に入れておきました。一昨日、冷凍庫から取り出し、ざっと検索をしてみると、ヤマトビケラ科のアルタイヤマトビケラになりました。ヤマトビケラ科は初めてだったので、記録として残しておこうと思って顕微鏡撮影もしてみました。実は、顕微鏡撮影はその日ではなくて翌日にしたので、その間、毒瓶に入れておいたら、ちょっと乾燥してしまいました。それが残念です。




調べたのはこんなトビケラです。前翅長が6.1mmなので、中型くらいの大きさでしょうか。検索は、「日本産水生昆虫」の検索表を用いました。ヤマトビケラ科ヤマトビケラ属までの検索表を抜き出してみると次のようになります。







これをいつものように写真で調べていきたいと思います。まず、①は翅が長毛で覆われる小型のヒメトビケラ科を除外する項目です。特には調べていないのですが、一応、OKとします。



次からは部位別に見ていきます。これは頭部と胸部を背側から写した写真ですが、単眼があることがすぐに分かります。トビケラ科♀やシマトビケラ科には単眼がないので、ここで除外されます。



次は口の周りにある小顎鬚についてです。この個体は5節まであります。さらに、5節目が4節目より特に長くはなっていません。シマトビケラ科などは5節が長く伸びて鞭状になっています。




これはさらに拡大したものですが、小顎鬚の第2節は第1節より少し短いくらいで、第3節とは形状がだいぶ違います。半球状なのかどうかはよく分かりませんが・・・。また、第5節の先端は尖っていません。



次は翅脈についてです。翅脈の名称は「日本産水生昆虫」の図を参考にしました。ここで少し問題が起きました。⑤は「前翅に1~5叉、後翅は1、2、3、5叉のすべてはない」という項目で、ヒメトビケラ科のカメノコヒメトビケラ亜科を除外する項目なのですが、実は、このトビケラは上のすべての分岐をもっています。前翅でいえば、1~5叉はFI~FVで表しています。次に載せる後翅でも同じで、F1~FIII、FVを持っているので、この項目は満足してしまいます。ヒメトビケラ科は小型種なので、たぶん、この個体ではないだろうなとは思ったのですが、かなり迷ってしまいました。ついでにほかの項目も見てみると、中室(DC)は⑨→で示すようにこの場所に横脈があるので閉じています。


次は後翅ですが、先ほど書いた通り、FI~FIII、FVの分岐はすべてあります。また、R2+3脈は中室(DC)の辺上で分岐しています。



次は脚の脛節にある距の数です。前肢、中肢、後肢脛節の距の数を数えると、それぞれ2、4、4となり、これを2-4-4と書くようです。これで検索項目はほとんどが満足され、この個体はヤマトビケラ科ヤマトビケラ属であることが分かりました。気になるのは⑤です。でも、ヒメトビケラ科ではなさそうなので、たぶん、大丈夫だと思いますが・・・。



次は種への検索です。この部分は腹部についてなので、結構、難しかったです。さらに、乾燥により腹部が収縮したのも痛手でした。でも、とりあえず写真で調べていこうと思います。



最初は中肢の構造で中肢はこの写真のように扁平になっています。これはどうしてこうなっているのでしょうね。検索表によれば、♀に特有の構造みたいです。



次は腹部末端の構造です。腹部は革質の背板と腹板がありその間を膜質が埋めています。これは側面やや腹面側から撮った写真です。それで第4、5背板は端だけが辛うじて見えています。⑬の第5背板の後縁角の毛は⑬→で示した部分です。特に長い毛ではなさそうです。⑭の第8節腹面の毛も見当たりません。⑮aは一番問題なのですが、第8節左側には特に段差などは見当たらないので、たぶん、OKなのではないかと思うのですが、ちょっと怪しげなところです。



ついでにこれは背面から撮った写真です。腹節の番号の付け方は次の本を参考にしました。

F. Schmid, "Genera des Trichoptères du Canada et des États adjacents", Insects and Arachnids of Canada Handbook Series, 7 (French), 296 (1980). (ここからダウンロードができます)

本文はフランス語なのですが、図は読めるので参考になると思います。いずれにしても、⑮aがOKならば、アルタイヤマトビケラになります。この種はもっとも普通種だということなので、たぶん、大丈夫だろうなと思うのですが、若干、心配も残りました。⑮は乾燥していなかったらもう少し見やすかったのではないかと思うので、今度見つけたら新鮮なうちにまた、調べてみたいと思っています。
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廊下のむし探検 トビケラ、ハエなどなど

廊下のむし探検 第843弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。まだ、いろいろと調べなければいけない種類が残っているのですが、とりあえず見た順に出しておきます。





トビケラの仲間です。これは採集して、昨日、検索をしてみました。まだ、種の段階では怪しいのですが、一応、ヤマトビケラ科アルタイヤマトビケラ♀になりました。今日は顕微鏡写真も撮ったので、同定の過程は次回にでも載せます。検索したときにすぐに写真を撮れば良かったのですが、いつもの毒瓶に入れておいたら、少し乾燥してしまいました。それがちょっと残念です。





冬になるとこのキモグリバエが増えてきます。マンションの東側の壁にはこれがびっしりついて越冬しています。横歩きするので何となく可愛いのですが、実のところ、窓の隙間などから家の中にまで入ってきて大変です。



これは何でしょうね。Sc切目が変わっていて、翅脈からすぐに分かるかなと思ったのですが、ミギワバエ、ショウジョウバエあたりをうろうろしてよく分かりませんでした。採集したので、今度検索してみます。



これはチャタテムシです。これも採集したので、後で写真を撮ってみるつもりですが、この写真からでも、脚の跗節が3節であること、前翅の後小室がM脈と離れていること、触角が13節らしいことなどが読み取ることができます。これから、たぶん、マルチャタテ科かなと思うのですが、検索結果はどうなるでしょう。



これは中胸気門が背側にあるので、ヤマアリ属。たぶん、クロヤマアリでしょうね。



小さなテントウです。たぶん、ヒメアカホシテントウ



チュウガタシロカネグモ



ムラサキトガリバ。廊下の壁に止まっていました。



この間からよく見るウリハムシ



これはオオトウウスグロクチバ。2013年11月に一度見ただけで、これがブログを始めて2回目でした。



隅に頭を突っ込んでいるのでよく分かりませんが、たぶん、クチキムシ



それにヤサイゾウムシ



これはシマバエ科のSteganopsis dichroaだと思われる種です。ネットではSteganopsis sp.2と呼ばれていたものですが、「一寸のハエにも五分の大和魂・改」の記事にはS. dichroaと思われると載っていました。さらに、次の論文にはS. dichroaが再記載されていました。ぱっと見た感じではよく似ていました。

H.-S. Lee and H.-Y. Han, "Nine Species of the Family Lauxaniidae (Diptera, Lauxanioidea) New to Korea", Anim. Syst. Evol. Divers. 31, 266 (2015). (ここからpdfがダウンロードできます)

この種については以前私も詳しく調べたことがあったので、一度、この論文の記載内容と比較しみたいと思います。



最後はナカオビアキナミシャクでした。廊下をざっと歩いただけですが、結構、「むし」がいますね。その代り、今年はヒメツチハンミョウをあまり見かけません。ちょっと寂しい感じです。

家の近くのむし探検 木の幹にいた虫

家の近くのむし探検 第200弾

一昨日、家の近くの公園に虫探しに行ってみました。例によって虫はほとんどいません。この日は木の幹にいる虫を探してみようと思って、公園に植えてある木をずっと見ていきました。





だいたいはこんな感じのハエでしたね。上は以前も見たことがあるイエバエ科?そして、下はノミバエの仲間。





ハチやアリもいたのですが、種までは分かりません。この間も書いたのですが、どうも利き目が見えなくなってから、カメラの支え方が変わったのが原因かピンボケが多くなりました。以前は2-3枚撮るとピントが合ったのが1枚はあったのですが、最近は5枚ほど撮って1枚あるかないかという具合です。だいぶ頑張って撮ってはいるのですけど・・・。





イダテンチャタテは桜を中心にあちこちにいました。もう翅の生えた成虫が多くなっていました。



後はツツジの葉に止まっていたハエ。これも何科なのかよく分かりません。



それからコハナグモ



ハバチの幼虫?





単眼があること、A脈がぐにゃっと手前で曲がっていることなどから、ガガンボダマシ科に見えます。



それから、ヒメクダマキモドキ。2時間ほど粘って探してこんなものでした。といっても、公園に散歩に来た人ともだいぶおしゃべりしていたのですが・・・。



後はマンションの花壇で見つけた「むし」です。これはたぶん、ネコハエトリでしょうね。





後脚腿節が太くなっていること、触角の節が三角形状になっていること、脚の脛節基部だけが淡色になっていて残りは濃色であることから、ルリマルノミハムシではないかと思いました。



最後はカスミカメの5齢幼虫なのですが、種類までは分かりませんでした。これもピンボケ。なんとなく、公園に行くよりマンションの花壇や廊下で虫を探した方がよさそうですね。

家の近くのむし探検 ハナアブほか

家の近くのむし探検 第199弾

24日に公園に行ってみたのですが、まったく、虫が見つかりません。



やっとこのホソヒラタアブ1匹を見つけただけでした。



諦めてマンションに戻るときに、途中の石垣に止まっていました。トリバガの仲間ですが、「標準図鑑」を何度見ても該当する種が見つかりません。「みんなで作る日本産蛾類図鑑」のトリバガ科の未同定種成虫写真18に似ている感じですが、よくは分かりません。



途中でコウヤボウキの花が咲いていました。道路わきの茂みの中です。こんなところに咲いているなんてちっとも知りませんでした。



今度はマンションの庭にある花壇で虫を探してみました。ここの方が虫がいろいろといました。これはたぶん、ウスモンミドリカスミカメかなと思います。



ここにもホソヒラタアブがいました。





それに見知らぬハエ。胸背の模様が変わっています。「学研生物図鑑 昆虫III」を見ると、セマダラハナバエ Graphomyia maculataというのに似ています。篠永氏の「日本のイエバエ科」を見ると、和名がセマダライエバエになっていて、また、Graphomyia属にはmaculataのほかにヒメセマダライエバエ rufitibiaが載っていました。この本によると、セマダラは、1)両眼の間の額が狭いこと、2)亜額帯(parafrontalia)に多数の短毛があること、3)胸部の模様が違うことなどでヒメセマダラと見分けがつくとのことです。2)は検索項目にもなっているのですが、写真では判定できません。3)の胸背の模様は図版と比べると、ヒメセマダラに近いような感じですが、はっきりとはしません。最後の1)は、♂ではセマダラでは単眼三角板の下で測った複眼間距離が頭幅の0.05しかないのですが、ヒメセマダラでは0.1になるそうです。上の写真で実際に測ってみると、0.102になったので、たぶん、これはヒメセマダライエバエでよいのではないかと思いました。



後はキゴシハナアブもいました。



マンション廊下の手すりにはミツバチがじっと止まっていました。後翅の矢印の部分に翅脈があればニホン、なければセイヨウです。これはないので、セイヨウミツバチみたいです。

廊下のむし探検 ニトベエダシャクほか

廊下のむし探検 第842弾

3日前にマンションの廊下を歩いて見つけた虫です。この間から、晩秋の定番、ニトベエダシャクとチャエダシャクが出てこないかと探していたのですが、この日ようやく見つけました。



こちらがニトベエダシャク



そして、こちらがチャエダシャクです。ニトベエダシャクはこの3年、11月17日、11月10日、11月19日が初見日でした。今年は廊下を毎日見ていたわけではないのですが、例年よりちょっと遅めかなということになります。一方、チャエダシャクは11月26日、11月11日、11月6日だったので、まぁ、例年並みか少し遅めということですね。でも、毎年現れる虫が出てきてくれるとほっとします。



その他の蛾です。これはウスバフタホシコケガで、翅に鱗粉がなくて、毛が生えている種でしたね。



これはトビモンアツバかな。この手の蛾はいつも悩みます。



甲虫はいつもの連中です。これはヤサイゾウムシ



ウリハムシ



それに、たぶん、前日いた個体と同じだと思うのですが、ウバタマムシです。



これはケバエ科の♂ですね。後脚の跗節が膨れていて、今頃出てくるので、ウスイロアシブトケバエかなと思うのですが、一度、ちゃんと調べておこうと思って検索をしてみました。♀については以前、詳しく調べてブログに出していました。♂は初めてですね。検索表は次の論文に載っています。

D. E. Hardy and M. Takahashi, Pacific Insects 2, 383 (1960) (ここからpdfがダウンロード可能)

ここからウスイロアシブトケバエ♂に至る部分を抜き出すと次のようになります。



これを写真で確かめていきたいと思います。



まず、この写真では左右の複眼が接しているので♂、脚が赤褐色であること、翅が透明なことを見ます。



この部分からは辛うじて見える平均棍の色が黄色であること、それに胸背に生える毛が黄色であることを見ます。



これは後脚の写真ですが、跗節第1節が膨らんでいます。この長さ/幅を測ってみると3.5倍、検索表よりちょっと大きめですが、まあいいのでしょう。脛節末端の幅/跗節第1節の幅は1.1となりほぼ等しいことが分かりました。



これは前脚の写真です。脛節末端に1対の刺があります。これがケバエ科の特徴ですが、その先端が尖っていること、内側の刺が短いこと、その長さは1/2より短いことがこの写真から分かります。



次は翅脈です。翅脈の名称はManual of Nearctic Diptera Vol. 1に従って付けましたが、「大図鑑」風にするにはどのようにしたらよいのかよく分かりません。ともかく、ここではRs脈の基部の長さとr-m横脈の長さがほぼ等しいことが分かります。これですべての項目が確かめられたことになり、無事にウスイロアシブトケバエ Bibio flavihalterになりました。本当は腹部末端の形状も確かめたらよかったですね。残念ながら採集しませんでした。





アシナガグモもときどき撮影するのですが、名前をどうやって調べたらよいやら・・・。

家の近くのむし探検 クサカゲロウ幼虫ほか

家の近くのむし探検 第198弾

22日は暖かかったので、マンションの廊下だけでなく、近くの公園にも行ってみました。でも、虫の姿はほとんど見当たらず、結局、30分ほどで帰ってきてしまいました。







ヤマモモの幹の上をごみを背負って歩いている虫がいます。そう、クサカゲロウの幼虫です。クサカゲロウについては次の本が役に立ちます。

S. Tsukaguchi, "Chrysopidae of Japan (Insecta, Neuroptera)", (1995).

この本によれば、ごみを背負って歩くのはクサカゲロウの中でも、クサカゲロウ科クサカゲロウ亜科クサカゲロウ族のクリソトロピア属、アペルトクサカゲロウ属、ニセコガタクサカゲロウ属、コガタクサカゲロウ属の4属に限られています。以前、アペルトクサカゲロウ属シロスジクサカゲロウについては、この本に載っている幼虫の検索表で調べたことがありました。それと比べてみると、今回の幼虫は頭部の6本の縦筋模様の前縁に横筋が入っているところが違います。上の本には幼虫の絵が載っているので、それと比べてみると、ニセコガタクサカゲロウ属がもっとも近いことが分かったのですが、どの種かというところまでは分かりませんでした。検索をするには、ごみを外して体の毛を調べていかないといけないので、これも写真だけでは無理です。ここまでかなと思ったのですが、ネットで調べてみると、千葉大応用昆虫学研究グループのサイトに日本クサカゲロウ図鑑があり、さらにその中に日本産クサカゲロウ幼虫の検索表があるのに気が付きました(pdfがここから見れます)。これを順に追っかけていくと、塵載せ型の12種の中に似た模様の種を見つけました。クロヒゲフタモンクサカゲロウです。この種はこれまでにも成虫をたびたび見ているので、可能性は大いにありますね。名前が分かってちょっと嬉しくなりました。







次はこんな虫です。ツツジの枝先に止まっていたのですが、周りが茂っていて、どうしても上から写せません。それで、こんな前からの撮影になってしまいました。でも、模様が見えるので調べてみると、ケブカカスミカメのようです。記録を調べてみると、これまでマンションの廊下では9月から真冬の2月ごろまでずっと見ていました。



後は家に帰る途中で見たオオゴキブリ幼虫。死んでいるみたいです。





最後はマンションの入り口にある倉庫の壁に止まっていたアブラムシ有翅型です。アブラムシはどう調べていっていいのかまったくわかりません。以前、図書館で松本嘉幸著、「アブラムシ入門図鑑」(全国農村教育協会、2008)を借りてきてちらっと見たことがあったのですが、内容はすっかり忘れてしまっていました。一応、体長だけ測ってみようと思って測ったら、2.5mmでした。

廊下のむし探検 アメバチモドキほか

廊下のむし探検 第841弾

11月22日にマンションの廊下を歩いて見つけた虫の続きです。この日は暖かくて、廊下にも虫がたくさん来ていました。



見つけた順に書いていきます。壁に大きめのアリがいました。クロオオアリだろうなと思って撮ったのですが、どうも艶や色の具合が違います。オオアリ属は間違いないのですが・・・。実は写真は何枚も写したのですが、どれもピントが合っていませんでした。利き目が悪くなって逆の目でファインダーを覗くようになってからピンボケが増えているようです。AFを使っているので、ピント合わせ自体は変わらないと思うのですが、シャッターを押すときにいつもと態勢が違うので、どうやら少し動いてしまっているようです。もうちょっと練習しないといけません。(追記2018/02/06:ミカドオオアリではないかと思います



マルガタゴミムシです。いつも、「里山のゴミムシ」という琵琶湖博物館のWEB図鑑で調べていたのですが、まだ、復活していないようです。



これはソトウスグロアツバかな。



アメバチみたいなハチがいました。ただ、アメバチに似た仲間も多いので、一応、写真から検索を試みてみました。これには、"Information station of parasitoid wasps"という神奈川県立生命の星・地球博物館の方が出しておられるHPが大変役に立ちます。ここに、「灯火に飛来するいわゆる大型でアメ色の体をもつ寄生蜂の検索表」があり、これを使ってみることにしました。



検索表の前半部分を書いてみると、以上のようになります。これを調べていきます。



まず、翅脈です。翅脈の名称についてはThe American Entomological Instituteのサイトに書かれているRoss system veinsに従っています。①のRs+M脈はこの図の赤い点線の部分にあるはずの翅脈ですが、このハチにはありません。あればコマユバチ科、ないとヒメバチ科になるので、これはヒメバチ科ということになります。また、②の後半部分にある鏡胞がこのハチにはあります。したがって、アメバチ亜科でないことが考えられます。



これは後体節の写真ですが、気門は中央より前側にあります。また、柄側刻らしいものも見えています。このいずれもがアメバチ亜科でないことを示唆しています。したがって、③に進みます。③のうち、顔面と把握器は写っていないので飛ばすと、前翅鏡胞と後体節気門に関する項目が残ります。気門が前寄りであること、それから、鏡胞は菱形なのですが、小型であることから、たぶん、ハバチヤドリヒメバチ亜科のNetelia属だと思われます。この属はアメバチモドキと呼ばれているのですが、種数は非常に多いので、これから先は今のところ進めません。また、アメバチモドキについては以前、詳しく調べたことがあったので、詳細はそちらを参照して下さい。



ヒメツチハンミョウがその後見つからなくなって心配していたら、この日は♂1匹がいました。



これは艶があるのでヤサアリグモかなぁ。



こちらはヤガタアリグモ♂だろうと思います。



これはトビモンアツバかな。



エゾギクキンウワバ



アカエグリバ



それにダイズサヤムシガあたりのハマキガ。似た種がいるので名前は確定できません。この日はこの後、公園にも行ったのですが、それは次回に回します。

廊下のむし探検 口の長いガガンボほか

廊下のむし探検 第840弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日は暖かくて、廊下にも虫がいっぱい出てきていました。






いろいろと虫がいたものだから、片端から虫の撮影をして、このガガンボも何の気なしに写してしまいました。後で、写真を見たらびっくり。口が蚊みたいに長くなっています。こんなガガンボがいるのかなぁと思って、「口の長いガガンボ」みたいな用語で検索をしてみました。そうしたら、ヒメガガンボ科のクチナガガガンボという名前が引っかかりました。どうやら口吻が長いガガンボがいるみたいです。この写真の個体の翅脈を見ると、確かにヒメガガンボ科のようです。それで、いつもの「一寸のハエにも五分の大和魂・改」でワード検索をしてみると、似た種が出てきました。ただし、口吻が長いのはクチナガガガンボ属のほかに、クチボソヒメガガンボ属、クチバシガガンボ属もそのようです。それで、「日本産水生昆虫」のヒメガガンボ族の検索表を用いて、調べることにしました。



これは検索表のうち、上の3属に至る部分だけを抜き出したものですが、これを写真で調べていこうと思います。



まずは翅です。翅脈の名称は「日本産水生昆虫」を参考にしてつけました。上の検索表には載っていませんが、ヒメガガンボであることは、Sc脈が前縁に到達していることから分かります。次に、検索表の一番上に載っているように、CuA脈とCuP脈は独立した脈となっています。



次はこの写真から、触角が全部で14節であることが分かります。このことから、クチバシガガンボ属Heliusをまず除くことができます。次の分岐では触角は14節なので、両方とも可能性がありますが、口吻が体長の1/2より長いか短いかという項目があります。一番上の写真を見ると、1/2よりは明らかに短いので、結局、クチボソヒメガガンボ属Geranomyiaが候補に上がりました。たしかに、口吻が嘴状に尖るというところもよく合っています。ただし、脣弁が長いというところがよく分かりませんでした。クチナガガガンボ属では口吻の先に短い脣弁があると書いてある論文があったのですが、クチボソヒメガガンボ属についてはよく分かりません。上の矢印の部分で色が変わっているので、そこまでが脣弁が伸びているのかなと思ったのですが、採集しないと分かりません。「日本昆虫目録第8巻」によると、クチボソヒメガガンボ属には7種載っていて、そのうち本州には4種いるとのことですが、ガガンボの仲間は未記載種も多いので何ともいえません。(追記2016/11/24:クチボソヒメガガンボ属をクチボソガガンボ属と書いている場所が何か所かあったので訂正しました。これだけなんで、「ヒメ」がつくんだろう





残りの虫です。なぜかウリハムシをよく見ますね。





こんな珍客も見ました。ウバタマムシですね。体長を測ってみると、29,9mm。今頃見る甲虫としてはかなり大型です。そういえば、前回見たときも3年前の11月でした。



エサキモンキツノカメムシです。♡マークが可愛いですね。



後は蛾です。ウスギヌカギバ



ネグロハマキですが、前日見た個体と同じかもしれません。



それにトビモンアツバ



これは似た種が多くて厄介な蛾です。しかも、触角が微毛状なので、♀みたいです。「標準図鑑」によると、♀はクロホシフタオ、ヒメクロホシフタオ、ミナミクロホシフタオの3種の区別が外見上ではつかないということで、ここでストップです。これでまだ、この日見た虫の半分だけです。やはり廊下は虫が多いですね。

廊下のむし探検 ネグロハマキほか

廊下のむし探検 第839弾

ネタがなくなってしまったので、昨日、急遽マンションの廊下を歩いてみました。そこそこいろいろな虫が見られました。



今日はまずこの蛾からです。翅が黒く汚れているような感じだったのですが、左右の翅が同じなので、これが模様なのでしょう。ハマキガの仲間かなと思って、「標準図鑑」を見てみると、すぐに見つかりました。ネグロハマキという蛾で、「廊下のむし探検」初登場です。図鑑によると、5-6月と9月以降に発生し、成虫越冬するということでした。



蛾では後、フトジマナミシャク



それにアオアツバでした。例年、今頃にはニトベエダシャクやチャエダシャクが見られているのですが、今年は全く見ていません。



これはたぶん、クロバネキノコバエだと思うのですが、左右の複眼がつながる眼橋が見られるかなと思って、ちょっと拡大して撮ってみました。



ちょっとぼやっとしていますが、確かにつながっていますね。もう少しうまく撮りたいなぁ。



キモグリバエの仲間です。拡大すると綺麗なのですが、例年、このハエがマンションの東側壁面にびっしりついて、壁が黒く見えるほどです。ちょっとした隙間から家の中にも入ってくるので、私たちにとっては厄介者です。



その他の虫です。これはヤサイゾウムシ



これはこれまでも何回か出てきたマルトゲムシ科のMicrochaetes属の一種です。外来種だったですね。



後はオオホシカメムシ



ヒメクダマキモドキ



最近、モリチャバネゴキブリ幼虫をよく見ますね。



こんな格好で止まっているのもいました。



最後はアリグモです。この仲間にもいろいろいるのですが、これはたぶん、アリグモ

廊下のむし探検 カメムシ、ケバエほか

廊下のむし探検 第838弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。最近は外に行くと虫がいないのでついキノコ探しをしてしまいます。それで、この日はまじめにマンションで虫探しです。



クサギカメムシ、マツヘリカメムシ、マルカメムシの3種は相変わらずいっぱいいます。それでそれらはパスしてほかのカメムシを探してみると、こんなカスミカメが見つかりました。これはたぶん、ウスモンミドリカスミカメです。いつも、河原のヒメジョオンの花などにいるカスミカメです。



それからこんなカメムシも。オオクモヘリカメムシです。



ハエの仲間ではイエバエみたいなのはたくさんいるのですが、それらはパスしてそのほかのハエと言ったらこんなケバエがいました。採集してはいないのですが、今頃、こういう色で出てくるケバエはたぶん、ウスイロアシブトケバエ♀です。これについては以前調べたことがあるので、詳しくはそちらをご覧ください。



これはこの間もいたクロヒゲナガケバエだと思います。これも先日書いたのでそちらをご覧ください。この日は一応、前翅長を測っておきました。6.7mmでした。



これはウスモモイロアツバ



これはオオトビモンアツバ



これはトビモンアツバなのかなぁ。はっきりしません。



後はウリハムシ



モリチャバネゴキブリ幼虫。



この手のトビケラも以前、見分け方をまとめたことがありました。それによれば、すべての腿節が黒ければホタルトビケラ、明褐色だとトビイロトビケラ、ヤマガタトビイロトビケラ、ウスマートビイロトビケラでした。これはすべて黒いので、ホタルトビケラになります。

ピンセット研ぎ

最近は家の近くの公園に行っても、マンションの廊下を歩いてもちっとも虫に出会えません。仕方ないので、昨日は冷凍庫にしまっている虫でも検索してみようと思って取り出し、実体顕微鏡で見ていました。そうしたら、小さい昆虫を扱うときにいつも使っている超精密ピンセットを机から落としてしまいました。顕微鏡で見ると、先端が折れてしまっています。これは高かったのに~。かなりがっかりしていたのですが、以前、先端を研磨してみようと思って買っていた紙やすりで研いでみることにしました。



こんなピンセットです。先端が極めて細くなっているので、普段はキャップをして保護しています。値段は忘れてしまったのですが、数千円はしたのではないかと思います。



紙やすりはこんなんです。#1000で削って、#2000で仕上げをしてみました。



実体顕微鏡で見ながら、少しずつ研磨して最終的にはこんな形になりました。先端の太さは50μmほど、間隔は10μmくらいです。こんなに細くても、しっかりつかむことができるので、かなりいいピンセットだということが改めて分かりました。



ついでもいつも使っているピンセットも磨いてみました。こちらは800円くらい。



間隔は小さくできたのですが、先端の大きさはまだ300μmほどあります。だいぶ磨いたつもりだったのですが・・・。もう少し細くできそうですね。

作業を終わってからネットで探してみると、もっとずっと細かいラッピングフィルムを使って研磨しているサイトもありました。ラッピンビフィルムというと、昔、結晶を磨いて面を出すのに用いたフィルムですね。もっともっと精密に磨かなければいかなかったみたいです。でも、何となく「こつ」がつかめたので、また、磨いてみようと思っています。

家の近くのむし探検 虫がいないのでキノコ探し

家の近くのむし探検 第197弾

3日前の16日に近くの公園に行ったときの記録です。公園でだいぶ探したのですが、目が悪くなったせいか、本当に虫がいないのか、まったく虫が見つかりません。



わずかにこのヒメクダマキモドキ1匹がいただけ。そこで、「公園の主」さんが別の公園に紅葉を見に行かれるというのでついていくことにしました。



ブログのネタ探しでキョロキョロしていたら、ナンキンハゼの実を見つけました。



これはたぶん、トウネズミモチ。トウネズミモチはモチノキ科ではなくてモクセイ科なので、葉の脈が透けて見えています。





別の公園で見た紅葉です。やはり綺麗ですね。



この薄い色はモミジバフウ。ここからは林の中を歩いて、キノコ探しをしました。



キノコはまったく分からないので、こういうのを見ると、サルノコシカケとしか言えないのですが、「日本のきのこ」を見てみると似たようなキノコはたくさんありますね。その中でも、マンネンタケ科のコフキサルノコシカケあたりが似ている感じですが、タコウキン科にも似たキノコが載っています。これからどうやって調べていったらよいのやら。



一応、ちょっと拡大して写しておきました。



そして、これは裏側から。なんだかよく分かりませんね。もう少しちゃんと写せばよかった・・・。



もう一つ写したのが、このキノコです。



大きさはこんなもの。



ちょっと拡大してみました。この間見つけたフウセンタケ属のキノコと同じように、柄には黒いクモの巣膜の跡が残っていました。傘の周辺にも網目のようなものが見えています。ひょっとするとフウセンタケ属のキノコかもしれませんね。これもここからどう調べていったらよいのやら。



これは襞の部分の拡大です。植物というよりは機械で作ったような構造ですね。

この間からキノコも調べ始めたのですが、図鑑と絵合わせをしようにも似た種が多いし、ポイントとなる特徴がはっきりとは書かれていないし、どう攻めていってよいのやらさっぱり分かりません。もっとも虫の名前調べを始めたときもそうでしたけど・・・。

廊下のむし探検 エンマコガネほか

廊下のむし探検 第837弾

アリを調べていたら、11月13日にマンションを歩いた時に見た虫がまだ少し残っていることを忘れてしまっていました。





エンマコガネの仲間です。この仲間はみな似ていてぱっと見はよく分からないのですが、最近は、「日本産コガネムシ上科標準図鑑」や「日本産コガネムシ上科図説」を見て少しは調べられるようになりました。といっても、まだ絵合わせ状態なのですが・・・。採集しなかったので、詳しくは分からないのですが、前胸背板の側縁の形状などからカドマルエンマコガネではないかと思ったのですが、どうでしょう。「標準図鑑」には検索表も出ていますが、なかなか難しくって・・・。今度ゆっくり見てみます。



これはウリハムシ



体長3.8mmのこの小さなテントウはたぶん、ヒメアカホシテントウ





ヒメツチハンミョウは相変わらずいたのですが、この日は♀(写真下)が初登場でした。♀はヒメかどうかはよく分からないのですが・・・。



これは触角第1節に縦筋がないので、ホソハリカメムシ。





それにヒメクダマキモドキ



カゲロウ♀の亜成虫です。尾が3本あります。尾が3本なのはトビイロ、モン、シロイロ、ヒメシロ、カワ、マダラ、ガガンボの各科が該当します。マダラかなと思ったのですが、なんとなく止まり方が違うようだし・・・。よく分かりません。



最後はコモリグモの仲間です。これも似た種が多いので、よくは分かりません。

虫を調べる ヒゲナガケアリ?

先日、マンションの廊下で小さなアリを見つけたので、一度検索をしてみようと思って採集してきました。



触角が長いのか、それをまっすぐ伸ばしている姿はちょっと愛嬌があります。体長は測ってみると、2.6mmでした。検索にはいつものように次の図鑑を使いました。

寺山守、江口克之、久保田敏、「日本産アリ類図鑑」(朝倉書店、2014).

検索をしてみると、私の苦手なケアリ属になってしまいました。この属は触角柄節の立毛が出てくるので憂鬱です。今回も何度か検討してみた結果、結局、ヒゲナガケアリになりました(追記2016/11/18:ヒゲナガケアリにしては大きさが小さいこと、体色が二色性ではないことなどが気になって各部の寸法を測り再度検討をしています。現在はヒメトビイロケアリではないかと思っています)。その検索の過程を載せようと思うのですが、かなり怪しいので、そのつもりで見ていただければ幸いです。



まずは亜科の検索です。この3項目が満足されればヤマアリ亜科になります。



この写真では腹部第1節と第2節の間がくびれていないことを見ます。



次は頭部です。頭盾前縁側方に突起がないことを見ます。この条件でクビレハリアリ亜科が除外できます。



次は胸部から腹部にかけての側面からの撮影です。腹柄節が1節で、幅が狭く小さいことを見ます。また、腹部第1節背板が腹板と融合していないこともこの写真から見てとれます。



次は腹部末端の写真です。末端に噴火口のように丸い穴が開き、その周りに毛が生えています。この条件でヤマアリ亜科であることが分かります。



次はケアリ属への検索過程です。この8項目でケアリ属になります。



検索の順番ではなく、部位別に見ていきます。これは顔面の写真ですが、大腮が三角形状で、黒矢印で示す歯が少なくとも7つは見えます。



次は触角の写真です。いつものように周囲から照明したもの(A)では、生えている毛のため節がよく分かりませんでした。そこで、透過照明(B)に変えたら継ぎ目がよく見えました。触角は全部で12節になっています。



この写真は上から頭部を撮ったものですが、頭部の後縁は少し凹んでいます。



これは頭部と前胸のあたりを撮ったものですが、前胸は特に長くはなく、普通通りです。これが⑨です。⑩は頭部と胸部に不規則な毛が生えていることと、複眼が頭部の後方に位置することを示しています。



これは胸部から腹部にかけてですが、中胸気門は背面に近いところにあります。この条件でオオアリ属を除外できます。また、前伸腹節気門が円形なところから、ヤマアリ属を除くことができます。これですべての条件が満足できたので、ケアリ属になりました。



実は、ここからが大変でした。最終的にはヒゲナガケアリになったのですが、⑬の項目にいつも引っかかってしまいます。今回も例にもれず、どの場所のどの毛を立毛にするのか迷ってしまいました。この⑬の選択肢を変えるとカワラケアリになったり、トビイロケアリになったりします。従って、今回も違っているかもしれません。とりあえず写真を見せながら説明していきます。



色は濃い褐色であることは分かりますが、微妙な色の変化まではよく分かりません。小腮鬚が長いのはこの写真でもよく分かります。



これが問題の触角柄節の立毛です。この写真でも分かりますが、柄節には毛がいっぱい生えています。どれが立毛なのかについては以前にもその解釈を紹介しました。要は、次の論文に書かれている解釈によっています。

E. O. Wilson, "A Monographic Revision of the Ant Genus LASIUS", Bull. Mus. Comp. Zool. Harv., 113, 1 (1955). (ここからダウンロードできます)

この論文では、「立毛とは鞭節を含む面内で見て、柄節の前面にあって、表面から45度以上の角度で生えている毛」という定義になっています。この文章では、まず立毛を見るのは、「鞭節と柄節を含む面内」で見よということです。この写真はちょうどその面になるように写しました。次は「柄節の前面」を見よとのことです。この解釈を以前は間違っていたようです。前面は触角を横にしたときに前側を向く面なので、どうやら触角が屈曲している側(この写真の白矢印の面)を見ることになるみたいです。この面で見て45度以上に立っている毛があるかどうかです。よくよく見てみると、毛は生えているのですが、45度以上に立っている毛はなさそうです。だとすると、トビイロケアリやカワラケアリなどを除けますが、ここの解釈が違えば別の種になってしまいます。



これは触角柄節が長いことを示しています。実測してみると、柄節の先端1/3.0が頭部後縁を越えていて、記述とよく合っています。この最後の条件で、最終的にヒゲナガケアリにしました。図鑑を見ると、近畿地方が分布に入っていて問題がないのですが、体長が3.5-4.5mmとなっているところがちょっと引っかかります。この個体は2.6mmだったので・・・。

アリの検索をしていてケアリ属になると、いつもあの「立毛」の問題で悩んでしまいます。今回も例外ではありませんでした。この条件、何とかならないでしょうかねぇ。





検索に使わなかった写真も載せておきます。

廊下のむし探検 ハエやらハチやら

廊下のむし探検 第836弾

11月13日に廊下を歩いて見つけた虫の続きです。



見つけた順に出していきます。これは廊下の壁に止まっていました。アメリカミズアブです。これについては以前詳しく調べたことがありました。





なかなか愛嬌のあるアリですが、大きさは2.5mm程度の小さなアリです。採集して、先ほどから検索を試みているのですが、ケアリ属まで来て、例の触角柄節の立毛の数が問題になってきて行き詰っています。カワラケアリかなと思っているのですが、違うかもしれません。今日は片目が悪くなってから初めて、顕微鏡写真に挑戦してみました。



これは対物鏡x10で撮ったものです。触角柄節が頭部よりどのくらい長いかと、小腮鬚の長いところを示した写真です。前日は実体顕微鏡で距離感が分からず苦労したのですが、今日はだいぶ慣れて扱うことができるようになりました。名前調べにはもう少し時間が必要みたいです。でも、慣れた方なら、きっと上の写真だけでも種が分かるかもしれませんね。



ユスリカもいたのですが、また、♀でしたね。♂だったら検索してみたいのですが・・・。



これはたぶん、クロバネキノコバエの仲間。





今頃でも羽アリが時々いますね。これは調べていません。





これはこの間から問題になっていたキノコバエの仲間です。Allactoneuraの一種というのが今のところ妥当な呼び方だろうということを以前書いたので、そちらを参照してください。



この間捕まえたヒメコオロギバチに近い仲間みたいです。少し大きめの個体だったので、採集しようと袋を近づけたら逃げられてしまいました。



廊下でアシナガバチが這っています。これはセグロアシナガバチ♂。



こちらはヤマトアシナガバチ♀?



トゲナシケバエかなと思って写したのですが、よく見ると触角がやけに長いですね。たぶん、ヒゲナガケバエ科の仲間だと思います。「日本昆虫目録第8巻」によると、この仲間ではウスイロとクロという2種が記録されていますが、本州に分布を絞るとクロヒゲナガケバエだけが候補に残ります。「大図鑑」にはさらに、ウスリーという種が載っているのですが、これも北海道と本州中部以北とのことなので、とりあえず、クロヒゲナガケバエということでよいかもしれません。「大図鑑」には図版も載っていますが、翅脈は少なくとも合っているようです。



最後はキゴシハナアブでした。

廊下のむし探検 チョウと蛾

廊下のむし探検 第835弾

一昨日、マンションの廊下を歩いて虫を探した結果です。今頃は近くの公園で2時間近く探しても虫はほとんど見つかりませんが、マンションの廊下だと20分も歩くとたくさんの虫が見つかります。やはり冬はマンションを歩くに限りますね。



今日の最初はこのツマグロキチョウからです。先日、本当に何十年ぶりかでツマグロキチョウに出会ったと思ったら、この日はマンションの廊下にちゃんと止まっていました。寒いからか、近づいてもまったく逃げません。



こちらは外壁に止まっていたクロマダラソテツシジミです。これも先日久々に見たところでした。そういえば、先日もこの2種を同じ時に見たのでしたね。



このセセリチョウはたぶん死んでいるのだと思うのですが、最初、蛾だと思って撮ってしまいました。



蛾は結構、難しいものばかりでした。これはだいぶ迷ったのですが、結局、ヤガ科のオオホシミミヨトウにしてしまいました。



これは外横線の凹みが鋭くないので、たぶん、イチジクキンウワバ



この間から、この手の蛾に悩んでいます。ウスチャモンアツバかトビモンアツバなのですが、今回もたぶん、ウスチャモンアツバかなと思ったのですが、自信はありません。



こちらは地下駐車場の天井に止まっていたフトジマナミシャクです。



最後のこの蛾。前翅長は5.5mm。図鑑をだいぶ探しまわったのですが、結局、ギブアップ。蛾も難しいですね。残りの虫は次回に回します。

家の近くのむし探検 ヨコバイほか

家の近くのむし探検 第196弾

3日前の写真整理をしたついでに、2日前の分もやってみました。やはり、いつも行っている公園で見た虫たちです。



これは以前も見た記憶がありました。調べてみると、7月5日の記事に載っていました。その時はMSWiさんにNaratettix rubrovittatusというヨコバイの仲間だと教えていたただきました。



それから、ユリノキにいたヨコヅナサシガメの5齢幼虫です。



これは例によってクロバネキノコバエ?



これは何だろう。何もいないとついハエを撮ってしまいますね。

追記2016/11/17:菅井 桃李さんから、「ハエはクロバエ科の様ですね。中胸気門や毛までは見えませんが、横溝前翅内剛毛の痕跡がある様で、前縁脈基部片が黒いので、おそらくオオクロバエのメスです。春まで低地で過ごす為に山地から移動していったんでしょう。こちらはあれほど大量に居たものが見られなくなりましたしね。」というコメントをいただきました。すごいですね。この写真から種までたどり着くなんて。私も頑張ってみようと思って、以前、用いた田中氏の論文に載っている検索表で調べてみました。

田中和夫、「屋内害虫の同定法(3)双翅目の主な屋内害虫」、屋内害虫 24, 67 (2003) (ここからダウンロードできます)

クロバエ科の種の検索表からオオクロバエに至る項目を拾ってみると次のようになります。



黒字は曲がりなりにも確かめられたもので、赤字は確かめられなかったのものです。最後の⑥を除けば、一応すべての項目で黒字があるので、まあ何とか進めることになります。図示したものが次の図です。



図を見ると分かるようになっていますが、ちょっと注釈を加えると、上の写真の3番目の④で下覆弁は淡褐色か濃褐色かという項目があります。この写真では見えないのですが、淡褐色だと透けて見えるので、たぶん、濃褐色だろうと思いました。また、2番目の④の横溝前剛刺毛の内外の「外」がどれを指しているのか分かりませんでした。下の写真の4番目の④で複眼間距離を測ってみると、1/3.2になったので、およそ1/3に合致しているのではと思いました。最後のミヤマクロバエかクロバエかという点は検索表上では分からないのですが、ネットで写真を検索すると、ミヤマクロバエはかなり外観が違います。これに対して、オオクロバエはこの個体に似た写真がいくつも見つかりました。ということで、たぶん、菅井 桃李さんのコメント通り、オオクロバエでいいのだろうと思いました。これまでクロバエ科はほとんど分からなかったのですが、こうして、一つずつ調べていくと少しずつ馴染みのハエが出てきて分かるようになるかもしれません。コメントどうも有難うございました




ツマジロエダシャク



ハマキガの幼虫かなと思ったのですが・・・。



それとヤサアリグモです。1時間探してやっとこれくらいだったので、やはり今頃の季節は寂しいですね。



これは帰り道に見たヤマトシジミ



この赤い実は何でしょう。トキワサンザシかなと思ったのですが・・・。

片目が不自由になってから、どの程度のことができるのかいろいろと試しています。今日はこの間捕まえたヒメコオロギバチの展翅をしてみました。かなり大きな虫なのですが、拡大鏡を目につけてやってみても距離感が分からなくて、まったくうまくいきません。実体顕微鏡でも、同じこと。2匹いたのですが、1匹だけやっと展翅をしただけで終わってしまいました(もう一匹は針で刺しただけ)。遠くを見るときはそれほど不便は感じませんが、細かい作業はほとんど駄目ですね。慣れればなんとかなるのでしょうか。

家の近くのむし探検 ササキリモドキほか

家の近くのむし探検 第195弾

最近は気晴らしを兼ねて、公園によく行きます。これは11月11日の公園での虫探しの結果です。





木の幹にこんなバッタが必死につかまっていました。前脚と中脚がもげ、悲惨な感じです。でも、模様はこれまで見たササキリとは違っていました。また、頭頂と顔面の角度が90度に近い感じです。ササキリの仲間はもう少し鋭角に曲がっていました。「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」をぱらぱらめくっているとササキリモドキに似ているようです。期待はしていなかったのですが、どうやら「廊下のむし探検」初登場のようです。



木の幹にはその他にもナカウスエダシャクも止まっていました。



ヨコヅナサシガメというと桜の木を思い出すのですが、これはユリノキの幹です。今年の4月ごろにもこの木に何匹かいたのを思い出しました。



そして、シラカシの幹にいたウロコチャタテ



それから、この間から見ている幼虫です。ハバチの仲間かなと思うのですが、よくは分かりません。(追記2016/11/24:菅井 桃李さんから、「円らな瞳(笑)はハバチの幼虫でしょう。ハバチの幼虫って、種までは殆ど分かりませんね。」というコメントをいただきました



後はマンションで見つけたものです。これはヘリオビヒメハマキの仲間でしょう。これには似た種があります。ヘリオビのほかに、クロサンカクモン、ハラブトです。ただ、クロサンカクモンは発生時期が4-6月なので除外していいかもしれません。残る2種は♂後翅基部を見ないと分からないので、今のところ?マーク付きです。



これにも似た種があるのですが、前翅前縁部が黒いので、マエグロシラオビアカガネヨトウだと思います。



翅が取れた跡があるので女王アリですね。名前はよく分かりません。



最後はおまけで、たぶん、イヌホオズキかな。

家の近くのむし探検 虫とキノコ

家の近くのむし探検 第194弾

3日前に公園に行った時の観察結果です。実は、片目が見えなくなってから初めての観察になります。片目だと重なった葉の間にいる小さな虫を探すのがこれほど大変だとは思いませんでした。でも、写真は正常な目でファインダーを覗き、なんとか普段通り撮影できそうでした。この日は公園で虫を探した後、マンションの廊下にいるツチハンミョウも見に行きました。



探すのが大変だといっても、もともと虫がほとんどいないので、どうしようもないのですけど・・・。これはたぶん、クロバネキノコバエだと思うのですが、それを見分けるのに必要な、両側の複眼を結ぶ眼橋まではやはり写っていませんでした。



これはササグモです。今頃でもたくさんいたので、試し撮りで写してみました。



これはたぶん、ヤドリバエ?



イダテンチャタテも試し撮りです。公園で見つけた虫はこんなところでした。やはり少ないですね。



マンションの廊下では相変わらずヒメツチハンミョウがいました。この日は4匹。いずれも♂ばかりです。いつ♀が出てくるのか楽しみにしていたのですが、今日(13日)、やっと♀1匹が見つかりました。



これはオオバコヤガかな。



トビモンアツバとウスチャモンアツバでだいぶ悩んだのですが、翅頂からまっすぐに伸びる線を見て、ウスチャモンアツバにしてしまいました。合っているかな。



次はこのアリです。大型なので、クロオオアリだと思ったのですが、腹柄節が尖っていなくてちょっと不安になりました。ただ、前・中胸背板と前伸腹節背面が緩やかな弧を描いているので、たぶん、オオアリ属だと思われます。その範囲で探すとやはりクロオオアリくらいしかいません。



「むし」の最後はヒメグモ科のハンゲツオスナキグモです。

ついでに公園で見つけたキノコも調べてみました。



公園の片隅でこんなキノコの塊がいくつか見つかりました。



一本抜いてみるとこんな感じです。



傘の裏側も見てみました。こんなヒダが見えます。キノコはほとんど分からないので、私にとっての手掛かりはこんなところです。それで、山渓の「日本のきのこ」をぱらぱら見ていきました。そうしたら、フウセンタケ科フウセンタケ属のキアブラシメジに似ているような気がしました。「原色日本菌類図鑑」を見ると、フンセンタケ属の特徴は、「傘と茎との間に細いクモの巣状の糸が張っている」とのことです。



ひょっとして、傘の縁にあるこの網状のもの(矢印)がその残骸かもしれないなと思って、実は、今日(13日)、もう一度見に行きました。すると、誰かがけちらしたのか原型をとどめたキノコはほとんどなくなっていたのですが、よく探すと少しだけ見つかりました。



これを見ると、縁から糸状のものが柄にまで届いています。



もう少し若いキノコを見ると、クモの巣状の糸で傘の縁と柄が結びついています。図鑑をよく読むと、これはクモの巣膜(cortina)と言われ、傘の内側にある襞(ひだ)を守る内被膜のようです。この内被膜と柄がつながっていた跡が「つば」になっています。したがって、上の写真で柄に褐色の筋が入っているのが「つば」ということになります。これに対して、幼菌全体を覆っている膜を外被膜といって、その切れた跡が柄の根元にある「つぼ」になっているようです。

本を読んでいると、キノコのことがいろいろと分かって面白かったのですが、肝心の名前はよく分かりませんね。ただ、キアブラシメジというのは針葉樹林に生えるとのことで、私が見たのは公園の縁の広葉樹の近くだったので、むしろニセアブラシメジという方かもしれません。虫も減ってきたので、ついでに少しずつキノコについても勉強していきたいなと思っています。

家の近くのむし探検 植物編

家の近くのむし探検 第193弾

先ほどの続きで、公園に行く途中と、公園で見た植物です。



公園に行く途中でシロバナタンポポを見つけました。珍しいなと思って撮影しました。





花の拡大です。総包片がセイヨウタンポポのように反り返っていました。これを見て、セイヨウタンポポの亜種か変種かなと思ったのですが、家に戻ってから「野に咲く花」を見ると、別種になっていました。



木の実みたいですが、これは小さな花を咲かせるハゼランという外来種の実です。花は7月のブログで紹介しています。



こんなコケがシラカシの幹についていました。



ちょっと横から見たところです。名前はネットで調べてみたのですが、ヒナノハイゴケ科のヒナノハイゴケに似ていますが、はっきりとは分かりません。



こんなキノコもついていました。



ちょっと下から見たところです。面白い形状のヒダが見えます。





ちょっと拡大してみました。キノコの名前はほとんど分からないのですが、山渓の「日本のきのこ」をぱらぱら見ていると、オオチリメンタケあたりのキノコに似ている感じです。ただ、オオチリメンタケの表面はビロード毛に覆われると書かれています。



ちょっと表面を拡大してみたのですが、特にビロード毛のようなものが見えなくて、つるつるしている感じです。「原色日本菌類図鑑」という1957年に出た本を見てみると、「本種(オオチリメンタケ)に似るが傘は薄く、表面が無毛平滑なものをチリメンタケという。南方系の菌で熱帯地方から九州・四国・紀州方面にまで分布する」と書かれていました。このチリメンタケかもしれないなぁと思ったのですが、まったくの見当違いかもしれません。

ところで、チリメンタケの科名が随分変遷しています。上の「原色日本菌類図鑑」(1957)ではサルノコシカケ科になっていたのですが、「日本のきのこ」(1988)ではタコウキン科。さらに、ネットで見つけた「日本産きのこ目録2016」ではタマチョレイタケ科でした。しかも、チリメンタケの学名はTrametes crenulata Berk. → Trametes gibbosa (Pers.) Fr.と変わっているようでした。きのこはこの目録だけでも6800余種。きのこの世界も大変みたいです。

家の近くのむし探検 羽化直後のイダテンチャタテほか

家の近くのむし探検 第192弾

11月7日の公園での虫探しの結果です。



最近は公園に着くと、まず、桜の木の幹でイダテンチャタテを見ることにしています。ひょっとして脱皮しているところが見れるのではないかという期待からです。この日も探していたら、ちょっと変わった形の虫がいました。拡大してみると、羽化直後でまだ翅が伸びきっていないイダテンチャタテです。





ちょろちょろと動くのでいろんな方向から写してみました。初め、この虫を見たときはあまりに変わった姿から宇宙からきた生物かなと思ったくらいでした。でも、見慣れていくうちに普通の虫に変わってきました。これが午前10時53分から55分にかけての撮影です。



しばらくして、11時18分にもう一度様子を見に行きました。もう翅はほとんど伸びて先端が少しだけ曲がっているだけでした。



そして、11時36分、ほぼ翅は伸びきって正常な成虫の姿になったようです。もう少し早かったら羽化の瞬間が見られたかもしれませんね。



ほかの虫たちです。これはマンションの庭で見たキゴシハナアブです。





これがねぇ、だいぶ迷ってしまいました。前胸背板の形を見て、テントウマダシかなと思ったのですが、点刻が気になりました。図鑑をあちこちを見て、結局、ヨモギハムシになったのですが、あっているかなぁ。



これは翅脈からクロバネキノコバエの仲間だと思うのですが、両側の複眼が伸びて互いに接する「眼橋」が見えないようで気になりました。今度いたときはもう少し頭部を拡大して撮ろうと思います。



この間からいる毛虫。ハバチの幼虫かなと思うのですが、いったい何だろう。





桜の木にキノカワガが止まっていました。気が付くとすぐにその存在が分かるのですが、ぼんやりしていると背景に溶け込んで見逃してしまいそうです。



それにツチイナゴ。今頃になるとよく見ますね。



最後はイトカメムシです。これは春からずっとほとんど一年中ツツジの葉の上にいたので、常連さんとして途中から写さなくなってしまいました。今時、虫が少ないので、再び登場です。

この日は虫がいなくて、ついでにキノコやらコケなんかも写してしまいました。植物は次回に回し、まず、写した虫から紹介しました。

廊下のむし探検 ハチ、ヒメツチハンミョウなど

廊下のむし探検 第834弾

昨日の続きで7日の「廊下のむし探検」の結果です。



今日の最初はこのハチです。廊下の手すりの上をゆっくりゆっくり動いていました。ハラナガツチバチの仲間ですね。触角が短くて、節数を数えてみると12節なので♀です。腹部の縞が黄褐色の毛なので、たぶん、キンケハラナガツチバチかなと思って、最近買った「日本産有剣ハチ類図鑑」を見てみると、キンケのほかにウチダという種が載っていました。検索表を見ると、前単眼前の溝の有無、前腿節外面の点刻、前伸腹節後面側部の点刻で見分けています。何枚か写真を撮ったのですが、残念ながらどれも写っていませんでした。ということで、これはどちらか分かりません。



前からも撮ってみたのですが、前単眼前溝は見えないですね。残念!





これは別の個体です。床の上でへばりつくように止まっていました。動く気配がないので、チャック付きポリ袋に入れて採集しました。触角の節数を数えてみると、12節。♀のようです。外見からは以前教えていただいたヒメコオロギバチと似ています。たぶん、ギングチバチ科でしょうね。有剣類の科の検索表は先ほどの図鑑に載っています。

①後翅には閉じた1-3室を持つ(セイボウ上科を除外)
②肩板は前胸背板から離れており、かつ側方から見て中胸背板と中胸側板が接する、あるいは、体毛で密に被われることにより縫合線は見えない                      ミツバチ上科
③体表の毛は単純;後脚跗節第1節の幅は残りの節とほぼ同じ    アナバチ型ハチ類
④前胸は通常の形態で、著しく前方に伸長することはない アナバチ科、ギングチバチ科

①は後翅なので見えないのですが、セイボウを除外する項目なので良しとしましょう。残りの項目はすべて確認できるので、アナバチ型ハチ類のアナバチ科かギングチバチ科ということになります。写真ではここまででした。今度、調べてみます。(追記2016/11/11:検索をしてみました。2匹とも以前と同じヒメコオロギバチになりました





「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表では、鏡胞がないのですが、多分、ヒメバチ科?







この日はマンションの廊下を歩いてから、公園に行って、「公園の主」さんにヒメツチハンミョウの話をしたら見たいと言われたので、もう一人の方と一緒にマンションまでヒメツチハンミョウを見に行きました。。最初に見つけた個体はいなくなっていたのですが、別の個体が2匹離れた場所にいました。いずれも♂。マンションの改修工事が終わって外壁を塗り直したのですが、構わずやってきますね。なんだか嬉しくなりました。



ついでにきょろきょろ見渡してみると、この間見つけたオオケナガカスミカメがまたいました。



これはたぶん、クロバネキノコバエ?よくは分かりませんが・・・。



これは最近よく見るコクサグモ



それにキハダカニグモ。公園で見つけた虫は次回に回します。

突然、片目がほとんど見えなくなってから3日ほど経ち、やっと片目生活にも慣れてきました。利き目側がやられたので、脳も混乱したのでしょうね。最初は左右両方の画像が重なって気分が悪くなるやら、頭が痛くなるやらだったのですが、やっと脳も分かってきたようで、最近は両目で見ても悪くなった方の画像が気にならなくなりました。あまり気落ちしないで、いつもと同じ生活をしようと思って努力しています。そう思って、昨日は公園に行って、若干、ジョギングまでしてきました。カメラが利き目側でない方でファインダーを覗くのでどうかなと思ったのですが、今のところ、AFだけ使っているので、特に問題はありませんでした。ただ、公園を歩きながら小さな虫を探すのがちょっと大変というところです。まぁ、何とかやっていけるでしょう。

廊下のむし探検 ハエやら、蛾やら

廊下のむし探検 第833弾

11月7日に公園に行く前と行った後に、マンションの廊下を歩いて見つけた虫の紹介です。



まずはこのユスリカです。これは触角がふさふさなので♂です。検索をするには♂でないといけないので、ちょうどいいと思って採集して冷凍庫に入れておきました。そして、片目の見えなくなったあの忌まわしい日の昼に簡単な検索をしてみました。これはいつものようなユスリカ亜科ではなくて、エリユスリカ亜科でした。エリユスリカ亜科は前脛節に比べて第1跗節が短いこと、腹部末端にある把握器の先が曲がっていることが特徴です。エリユスリカ亜科の属の検索は初めてで、しかも、プレパラートを作らないと見えないようなものも含まれ、ユスリカ亜科より数段難しい感じがしましたが、何とか切り抜けて、エリユスリカ属になりました。ここからは検索表がないのですが、交尾器の形状を見て、ヒロバネエリユスリカか、ニセヒロバネエリユスリカ辺りかなと思いました。さらに、小楯板の毛列を見て、ヒロバネエリユスリカ辺りが第1候補に上がりました。検索後、もう一度、冷凍庫に入れておいたので、何とか顕微鏡写真も撮ろうと思うのですが、片目だと何かと不自由で、なかなか気力が湧いてきません。もう少し状況に慣れてからやってみようと思います。



これは写真から検索して、ガガンボ科ガガンボ属になりました。ただ、それからは資料がなくて進みません。これは♂なので、一応、腹部末端の写真を撮っておきました。



これは背側からです。



そして、側面からです。



見た順に時系列で紹介しているのですが、次に見つけたのはこの蛾です。いつも見ているキンウワバの仲間かなと思ったのですが、翅の中ほどにある銀色のマークがいつもと違います。「標準図鑑」で調べてみると、アミメギンウワバという「廊下のむし探検」初登場の蛾でした。



そのすぐ近くにいました。ニッコウトガリバです。今までの記録を見てみると、11月初めから12月中頃にかけて見ていました。





これはクロミャクチャタテ♀のようです。触角が長いですね。これも記録を見てみると、6-7月、9月、11-12月に見ていましたが、11-12月が圧倒的に多いようでした。





この手のユスリカもよく見るので、一度、検索をしてみたいと思うのですが、これは♀なので諦めました。(追記2016/12/28:che*rki**_y_nさんから、「下から2番目と3番目の写真のユスリカの♀は、セスジユスリカ(Chironomus yoshimatsui)で間違いないと思います☆」というコメントをいただきました。セスジユスリカだろうとは思っていたのですが、いつも♀ばかり見るので弱っていました。どうも有難うございました。今度♂がいたら、是非とも検索をしてみたいと思っています。コメントどうも有難うございました



似た種にサビイロヤガ、ヒメシロテンヤガ、ウスサビイロヤガがいるのですが、翅色が赤褐色なので、たぶん、サビイロヤガかなと思いました。これで全体の半分ほどになるので、残りは次回に回します。

家の近くのむし探検 カマキリ、ノミバエなど

家の近くのむし探検 第191弾

昨日の続きで11月4日の公園での虫探しの結果です。



こんなカマキリがいました。オオカマキリかチョウセンカマキリかというところなのですが、カマキリが怖くて持つことでできません。それで、前脚付け根の色や後翅で見るというわけにいかないので、ネットで探して、胸と腹の長さの比や顔の模様などを手がかりに名前調べをしていきます。まず、この間分かったことなのですが、腹部末端を見ると雄か雌かが分かるというので、それを写してみました。



余分な突起があるのが気になるのですが、腹部末端がこういう形のものはたぶん、雌でしょうね。



次は顔です。両者の顔の違いを詳しく調べているサイトがあるのですが、引用してよいのかどうか分からないので、結果だけ使わせていただくと、どうやらオオカマキリの模様に近いような感じです。



最後に前胸背板の長さ/前翅長で比を取ってみました。0.52になるので、これも同じサイトのデータからオオカマキリが近いようです。ただ、「大図鑑」によると、オオカマキリは前胸背後部が前基節に較べて著しく長いと書かれています。前胸背後部は前胸背板の後ろ側、前基節は前脚の基節でこの写真でも少し見えています。これから判断すると、著しく長いとはいえない気がするのですが、どうでしょう。怖くても一度捕まえないとどうしようもないですね。





こんな虫もいました。これはノミバエの仲間です。大きさは測らなかったのですが、ノミバエにしては大きな方です。後ろにいるのが雄だと思うのですが、下の写真ではその後脛節に刺毛列が見えています。たぶん、Megaselia属だと思うのですが、それ以上は分かりません。



これはハバチの幼虫?



ネコハグモ



これはヤマモモにいたイダテンチャタテです。桜の木以外も探してみると、個体数は多くないのですが、ネムノキ、シラカシにも見られました。結局、どの木にもいるのかもしれません。



革質部の先端が小楯板の先端とほぼ同じくらいなので、これはマルシラホシカメムシかな。



最後はセグロアシナガバチ。触角が13節。先端が細くなり、クルッと曲がっているのは♂。誰かみたいに撫でる勇気はとても出ませんけど・・・。

私事で恐縮なのですが、昨日、突然片方の眼が見えなくなってしまいました。すぐに救急外来に行ったのですが、どうも思わしくないようです。今日は別の病院に行ってみますが、もう治らないかもしれません。今は片目でこの記事を打っていますが、疲れやすいので今までのような頻度で更新はできそうにもありません。また、写真がこれまでのように写せるかどうかも心配です。毎日、私の拙い文章を読んでいただいた皆さまには誠に申し訳ないのですが、そのような事情なので、ご理解ください。

家の近くのむし探検 エグリトビケラなど

家の近くのむし探検 第190弾

ツバメエダシャクの標本写真を撮っていたら、4日に公園に虫探しに行ったときの写真整理を忘れていました。慌ててやったのですが、名前が確定できないものだらけ。ちょっと欲求不満になりました。



今日は時系列で・・・。公園に行く前にマンションの廊下を通りますが、そこで見つけた虫からです。中胸背板の後部に横溝があるので、カミナリハムシの仲間だと思うのですが、そこからが進みません。体長は5.6mmでした。





次はマンションを出たところの通路での写真です。コオロギがいたので、写そうと思って近寄ったら動き始めました。で、あまりはっきりとは写りませんでした。オカメコオロギの仲間の♀でしょうね。「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」にはコオロギ科の検索表があったので、写真で検索をしてみました。

単眼は一直線に並ばない
少なくとも♂には翅がある
♂♀共有翅
中~小型;普通体長17mm以下
前額突起は広い;顔面には黒色部が多い;前胸背後縁に帯はない
顔には淡色の部分がある
体と肢はほぼ同色
前額突起は広く突出する        オカメコオロギ属

こんな検索の手順でオカメコオロギ属に達します。この検索表には図が載っているのでそれと比べればよいだけで非常に使いやすいです。最初の単眼がよく分からなかったのですが、後はだいたい分かりました。前額突起は触角の間の平べったい部分で、写真の個体は大変広くなっています。オカメコオロギは属に達してからが大変です。この属で本州に生息するのはモリオカメ、ハラオカメ、タンボオカメ、ミツカド、オオオカメの5種がいます。このうち、ミツカドとオオオカメは小顎鬚が白いので除外できますが、後の3種はなかなか分かりません。以前、次の論文を手に入れて読んだことがありました。

松浦一郎、「日本産オカメコオロギ属(Loxoblemmus: Orthoptera) 近似種の分類」、New Entomol. 37, 17 (1988).

この論文は、従来まで近似種の存在が言われていた本州産オカメコオロギ種群について、2種を新種として、ハラオカメ、タンボオカメ、モリオカメ、ネッタイオカメの4種を記載、再記載したという内容です。いろいろと書いてはあるのですが、基本的には、1)雄の前翅末端の網状部、2)若齢幼虫の触角の白色部の有無、3)鳴き声の特徴の3点を総合することで区別ができるとのことです。雌については「これといった識別点はない」という絶望的なことが書かれていました。これを読んでからあまり調べていません。今回もここでストップです。



マンションの庭で花を育ててられる方がおられるのですが、そこに来たキゴシハナアブです。今はこのハナアブとオオハナアブが多いですね。



それから、公園に行くまでの壁に止まっていたシロオビノメイガです。





公園に着いてから、すっかり刈られたツツジの植え込みを見ていたら、葉っぱがゆらゆら揺れてこんな大きな虫が顔を出しました。エグリトビケラですね。葉の上でじっとしてくれたので、たっぷり写真が撮れました。以前、マンションの廊下でも見たことがありました。



虫がいないので、小さなクモも写してみました。コガネグモ辺りの幼体でしょうか。シンメトリックで美しいですね。ちょっとだけですが・・・。





いつものネコハエトリかなと思ったのですが、どうも違うようです。「日本のクモ」やら、韓国のクモ図鑑を見て、ヒトリコゲチャハエトリ♀かなと思ったのですが、はっきりとは分かりません。何となく、頭胸部が細長い感じがします。



これはこの間も見たMansoniella shihfanaeという外来っぽいカスミカメムシです。以前のブログに詳しく書いたことがあります。このとき、クスノキに寄生するということだったのですが、この個体はまさにクスノキの葉の上に止まっています。(追記2018/06/02:立西さんから、「クスベニヒラタカスミカメ Mansoniella cinnamomiという種名で決着しているようです。あちこちで被害木を見かけますね。」というコメントをいただきました。この名で検索すると、「昆虫と自然」2016年の12月号にも載っていたようですね。貴重な情報、どうも有難うございました



葉の軸から吸っているような写真も撮れました。その部分を拡大してみます。



カメムシというともっと長くて真っ直ぐな口吻をイメージしていたのですが、これはちょっと違うみたいです。クスノキの周りを探してみると、2,3匹飛び回っていました。



最後はツツジの葉の上です。たぶん、ネコハエトリだと思います。まだ、ほかにもいろいろといたのですが、長くなったので次回に回します。

虫を調べる ツバメエダシャク類

先日、ツバメエダシャクの仲間がいたとき、写真に辛うじて写った顔面の色でシロツバメエダシャクだと書いたら、ささきさんから、ウスキツバメエダシャクだと指摘していただきました。その後、ご丁寧にシロツバメエダシャクとウスキツバメエダシャクの外見上の違いを詳細に教えていただきました。そこで、手元の標本を使って、復習がてらもう一度調べてみました。

先日、「日本産蛾類大図鑑」と「日本産蛾類標準図鑑」に書かれている顔面の色と触角などの特徴を使って検索表を作ってみたのですが、一応、参考のために載せておきます。

触角は櫛歯状  シロツバメエダシャク♂
触角は単純
 顔面は灰白色  フトスジツバメエダシャク
 顔面は橙褐色
  後翅外縁部中央が黄色味を帯びる;横線は細く、褐色を帯びる   
         ウスキツバメエダシャク
  後翅外縁部中央は黄色味を帯びない;横線は太く、褐色を帯びない 
         ノムラツバメエダシャク
 顔面は背縁のみ橙黄色でそれ以外は白い;小型種
  後翅の横線が外縁に平行に走り、中央付近で大きく曲がる     
         ヒメツバメエダシャク
  後翅の横線が中央付近で大きく曲がることはない コガタツバメエダシャク
 顔面は背方1/2から2/3は橙褐色で、残りは白い シロツバメエダシャク♀

この検索表では、まず、触角を見て、次に、顔面の色を見てと検索していくのですが、写真で顔面を撮るのはなかなか大変です。それで、翅の特徴で見分けたらよいというものです。


まず、この標本は触角が櫛歯状(矢印)なので、一発でシロツバメエダシャク♂だと分かります。



ついでに顔面を見ると、顔面の下半分に白い部分(矢印)があります。



次はウスキツバメエダシャク♂です。♂♀の区別は翅棘で見分けています。先程の検索表によれば、触角は櫛歯状でないので、次に顔面を見ることになります。



顔面にはまったく白い部分がありません。これでウスキか、ノムラになります。たぶん、後翅翅縁部が黄色なのでウスキという手順で名前に達するのだと思います。ささきさんに教えていただいたのは、図に①から④まで書き込んだ、次の特徴を見たらシロとの区別がつくということでした。。

①前翅翅頂部が尖る
②後翅尾状突起が長く鋭く突出する
③尾状突起付け根の斑紋が小さい
④♂では後翅外縁部が黄色みを帯びることがある

①は分かりにくいですが、②から④はすべてこの写真で確認できます。こういう観点から先日、私が出した写真を見直してみると、まさに、ウスキの方ですね。

ついでに、コガタツバメエダシャクの標本もあったので調べてみました。



これはかなり小型なので、とりあえずシロやウスキとはすぐに区別がつきます。後翅の尾状突起付近の形もかなり違います。



顔面はほとんど白です。こうやって比べてみると、違いはよく分かりますね。

そう言えば、昔、蛾の収集をしていたときはあえて顔面の色は見なくても止まっていたらすぐに分かったのに、最近は蛾から少し離れてしまって、感がだいぶ鈍ってしまったようです。標本を出したついでに、以前行った蛍光の実験をもう一度やってみました。方法は以前と同じで、部屋の照明を落として翅をUV光で照明して、蛍光像をそのままカメラで撮影するというものです。



これはコガタツバメエダシャクの標本を実体顕微鏡下で撮影したものですが、左は通常のLED照明、右はUV-LED(375nm)で照明したものです。左側でうっすらと見える模様が蛍光像ではくっきり見えます。白い部分は蛍光を発しているのですが、薄い模様の部分は蛍光を出さないので黒く写っているのです。以前、書いたブログを見ると、蛍光のスペクトルまで測っていました。昔はずいぶん熱心だったのですね。コガタの特徴は翅脈に沿って黒い筋(矢印)が入っていることです。



これはシロツバメエダシャクの後翅の比較です。蛍光像は全体に白さが目立ちますね。コガタであったような翅脈に沿った黒い筋は見られません。



これはウスキツバメエダシャクの場合ですが、後翅尾状突起の根元辺り(矢印)が薄黒く汚れたような感じになっています。これがたぶん、「薄黄」の名の由来になる黄色の部分で、黄色の成分は蛍光を出さない物質のようです。

ということで、手元にあるツバメエダシャク類3種の翅、顔面、蛍光像を調べてみました。それぞれに違いがあり、比較してみるとなかなか面白いですね。

廊下のむし探検 カメムシ、蛾など

廊下のむし探検 第832弾

11月1日の「廊下のむし探検」の結果です。





ざっと歩いてみたのですが、本当に虫がいませんね。もっとも、クサギカメムシとマツヘリカメムシは相変わらずたくさんいるのですが・・・。このケブカカスミカメも結構いますが、なんせ小さいのであまり目立ちません。



やっとヒメクダマキモドキを見つけました。



クサカゲロウはやはりマンションの廊下の方がよく見ますね。顔の模様から、これはスズキクサカゲロウのようです。



これはヒゲナガカワトビケラだと思うのですが、ほとんど一年中見ます。



初めハムシだと思ったのですが、どうも違うようです。体長は4.7mm。前胸背板の両側が盛り上がっているところから、何となくテントウムシダマシを思い出しました。「原色日本甲虫図鑑III」を見ると、ルリテントウダマシとヒラノクロテントウダマシというのが似ています。大きさはどちらも該当します。色が黒いところ、前胸背板の両側が何となく平行っぽいところからヒラノクロテントウダマシの方かなと思ったのですが、よくは分かりません。(追記2016/11/06:佐々治寛之、「日本産テントウムシダマシ科概説(4)」、甲虫ニュース No. 52, 1 (1980). (ここからpdfがダウンロードできます)に載っている前胸背板の形は限りなくルリテントウダマシに近いようです。本当は前胸腹板突起を見なければいけなかったようです。色が黒いのが気になるのですが、とりあえず、ルリテントウダマシ?ということにしておきます



次は蛾です。これはクロモンキノメイガ



これはトビモンアツバかな。



それにアオアツバ



それから、エゾギクトリバ。この日の虫はこんなところでした。

虫を調べる ヤモンユスリカ?

先日、家の近くの公園でユスリカを見つけました。♂だったので、早速、採集したのですが、そのまま冷凍庫に入れっぱなしになっていました。



公園で見つけたのはこんなユスリカです。色は全体に黒っぽく、その意味では特徴がないのですが、よく見ると、翅に薄黒い斑紋があります。触角がモシャモシャになっているので、これは間違いなく♂です。一昨日、冷凍庫から出してきて早速検索を試みたのですが、最終的にはユスリカ属になり、そこで、迷子になってしまいました。参考にしていた「図説日本のユスリカ」が主な種しか扱っていないので仕方ないかなと思ったのですが、折角、翅に斑紋があるので、それを手がかりにして調べてみると、ハモンユスリカ属Polypedilumのヤモンユスリカという種が候補に上がってきました。どこで、間違ったのかなと思ってもう一度検索表を調べてみました。そうしたら、前肢脛節末端の形状の見方が間違っているようでした。検索表自体にも問題があり、そのため若干混乱したようです。そこさえ乗り越えれば、無事にヤモンユスリカに達したのですが、ややこしかったのでその過程を書いておきます。合っているといいのですけど・・・。

検索には「日本産水生昆虫」に載っている亜科と属の検索表を用いました。ヤモンユスリカに至る過程を抜き出すと次のようになります。





さらに、そこから先の亜属と種の検索は「図説日本のユスリカ」に載っています。それも書き出すと次のようになります。



種まで調べると、全部で22項目も確かめないといけないのですが、各部の写真を見ながら部位別に見ていきたいと思います。



まずは全体像です。体長は約5mm。③の前肢の第1跗節の方が脛節より長いことはこの写真よりは上の写真の方がよく分かるかもしれません。この条件でエリユスリカ亜科を除外してユスリカ亜科になります。⑪の腿節の形はたぶん円筒形なのでしょう。



次は触角の環状の分環節の数なのですが、何度見てもいくつなのか分かりませんでした。これは保留にしておきます。⑥の項目にはもう一つ、前肢脛節末端の形状についての項目があるので、そちらで判断することにします。



次は翅脈です。翅脈の名称は上の2つの本に載っているので、それを参考にしたのですが、Cu1より下の部分についてははっきりわからなかったので、書き入れていません。まず、①はM脈とCu脈の間に横脈がないことで、この写真からすぐに分かります。この条件で4つの亜科を除外できます。次の②はR2+3脈があるかどうかで、この条件でイソユスリカ亜科を除外できます。④は毛が生えていないので、第1翅基鱗片に縁毛が生えていることを確かめます。また、r-m横脈とR4+5脈が一直線になっていないことで④の条件は満足できます。⑪、⑮、⑰も同じ内容です。㉒は翅に斑紋が8つあることです。



第1翅基鱗片を拡大したのですが、縁毛が6本以上は生えているのが分かります。



さて、問題の前肢脛節末端の構造です。これはその部分を拡大したものですが、たぶん、⑥の「明瞭に突出し」に該当すると思います。ただ、「日本産水生昆虫」の検索表では、3aには「突出部は弱く、丸く弧を描く」として、図としてヤモンユスリカの例が載っています。ここで初めは間違ってしまい、結果としてユスリカ属になってしまいました。でも、後でヤモンユスリカらしいことが分かり、この通り検索表に沿って進めていくと、実は、ヤモンユスリカの属するハモンユスリカ属には到達しません。それで、いろいろと考えてみたのですが、「日本産水生昆虫」の検索表で3aの例としてヤモンユスリカの図を出すのは間違いで、3bの「明瞭に突出し」という方の例にすべきだと思いました。こうすると、後はスムーズに検索が進んでいき、⑦も⑬もよく分かります。



これは後肢脛節末端の写真ですが、先端にはこんな櫛状刺列があります。その一部に尖った距刺があります。これも検索表に出てきます。



写真がなかなか撮れなくて苦労したのですが、中肢脛節末端の櫛状刺列に関する項目が⑫と⑭に載っています。これが左右2つの部分に分かれ、片側だけに距刺があるということなのですが、ちょうど、肢が取れてしまったので、その部分だけを顕微鏡で撮ってみました。右は透過照明で撮ったものですが、櫛状部に凹みが見られます(矢印)。この部分が分割されている部分ではないかと思いました。また、距刺が片側だけなのもこの写真から分かります。



次は腹部末端の背側からの写真です。♂なのでこんな構造をしています。末端には把握器があります。これは底節に固定されています。これが③です。底節には上底節突起と下底節突起があるのですが、下底節突起は3枚後の写真に載っています。さらに、第9背板には背板から明瞭に区別できる尾針がついています。これが⑨です。最後の⑳は把握器についてで、先頭部が細くなっていないことを見ます。



これは上と同じ写真ですが、⑧、⑪、⑳で書かれたような特異な構造は見られないのでOKとします。また、⑯に書かれたように第8背板の前側は細くなっています。



これは上底節突起を拡大したものですが、このような形を「角状突起」と表現しているようです。⑲と㉑はその通りだと思われます。



最後は腹部末端を腹側から写したものです。下底節突起がよく見えています。この写真では検索項目はありません。ということで、「⑧腹板片は横架部でつながる」という項目を除いてすべて確かめることができました。横架部というのが分からなかったのですが、セットになったもう一つの項目は良さそうなので、結果には影響しないのではと思いました。

ということで、ヤモンユスリカに至る検索項目をほとんど確かめることができました。翅に雲状斑もあるので、たぶん、ヤモンユスリカで大丈夫かなとは思っているのですが、かなり我流で検索を進めているので、間違っているかもしれません。そのつもりで見ていただければ幸いです。

追記2016/12/28:che*rki**_y_nさんから、「ヤモンユスリカで間違いありません。おそらく、頭部に額前突起があるはずです。ちなみに、日本産水生昆虫の3aの図と説明は間違ってはいません。おそらく、⑥の見ている場所がちょっと違うのです。前脚脛節とふ節を外すと見えると思います。そして言っている意味も。ユスリカ亜科の簡易的な分類法は「把握器が不可動」だけで大丈夫です。それ以外の亜科はがっしりと雌を掴むような折れ曲がるタイプの把握器です。ふ節や触覚は脱落紛失する事が多いのでこれが一番です。ハモンユスリカ属は腹部第8節が三角形状になることが1番の特徴です。この特徴はヒゲユスリカ族も有しますが、ユスリカ族ではハモンユスリカ属だけです。」

「ハモンユスリカ属とヒゲユスリカ族の簡単な見分け方は、中後脚脛節の脛節櫛の棘の数です。1本だったらハモンユスリカ属で、2本だったらヒゲユスリカ族の一群だと思ってください。また、ヒゲユスリカ族の一群は中底節突起を持っています。ハモンユスリカ属はそれがありません。ユスリカ属はそもそも腹部第8節は三角形状になっておらず、また、中後脚脛節櫛の棘は2本です。写真の素晴らしさと確実性を追求した検索に感動しました。」というコメントをいただきました。詳しい説明、どうも有難うございました。ユスリカは最近初めて検索してみたばかりだったので、お書きいただいた一言一言が私にとってよい勉強になりました。ヤモンユスリカで合っているようで安心しました。

また、コメントとして、「前肢脛節末端の構造にはいつも悩んでしまいます。跗節をはずせばよいのですね。若干、質問なのですが・・・。「日本産水生昆虫」のユスリカ亜科の属の検索表3aで参照している図100-aがヤモンユスリカで合っているとすると、3aからはハモンユスリカ属には進むことができません。また、図115-bは図100-aと同じ図ですが、図115-bは検索表の3bの「しばしば刺状構造を示す」例として載っているので矛盾しているような気がします。私は、3aでは図100-aを削除し、3bの「明瞭に突出し」の例とし図100-aまたは図115-bを出し、最後の「刺状の構造を示す」では図115-bを削除するのがよいのではと思ったのですが、間違っているでしょうか。すみません、素人が勝手なことを書いて・・・。」と書いたら、

「なるほどです。言っている意味がよく分かりました☆100aの図でハモンユスリカ属の1種を扱うのが問題で混乱を招くって事ですね。廊下の虫さんがおっしゃる事で正しいでしょう。100aの前脚脛節末端の形は、ユスリカ亜科のほとんどに見られる形状なのです。ですので、3bでも同様である事を示すために同じ図を使ったのでしょうという感じで、解釈して下さい(笑)実際は、他の種で図を描くのが面倒だったので、ヤモンユスリカの図を使い回したのだと思います。ユスリカ亜科の検索の3で重要なポイントは、触角の環数です。ハモンユスリカ属は13分環節というのがポイントです。ですから、3aでは11分環節が1番重要だと理解して頂けたら良いと思います。指摘が素晴らしいです。ユスリカやってる内部の者には見えにくいポイントが見れて、勉強になりました。」というコメントをいただきました。詳しい説明をしていただき、私も喉につかえた骨が取れたような感じがしました。どうもありがとうござました

家の近くのむし探検 虫が少ない

家の近くのむし探検 第189弾

10月31日に家の近くの公園でまた虫探しをしました。でも、やはりほとんどいません。それで、いたものは片端から写してみました。



まずは赤とんぼです。翅の先端が褐色で、顔まで赤くなるのは、たぶん、コノシメトンボですね。胸の模様を見てもそのようです。でも、赤とんぼもこの1匹だけでした。



次は草を刈られた広場にいたハクセキレイです。





それからキタテハです。後翅に見える三角形の傷はビークマークなのかな。



草の刈られた広場はこのマダラスズだらけです。あちこちでぴょんぴょん飛び跳ねています。



ルリチュウレンジがこんな格好でじっとしていました。ひょっとして産卵かなと思ったのですが、なかなか動かないのでそのままにしてきました。



小さなハエも撮ったのですが、名前は分からないでしょうね。



何もいないので、いつもの桜の木を見にいきました。ここにはイダテンチャタテの幼虫がたくさんついています。よく見ると、こんなものがたくさんぶら下がっていました。たぶん、脱皮殻ですね。





幼虫はたくさんいるのですが、その中に大きくて白っぽい成虫がいました。羽化したばかりなのかもしれません。ちょっと拡大して撮ってみました。



これは24mmの広角レンズを逆向けにつけて写したものです。



さらに、エクステンションリングをつけたものです。ついでにこの間の方法で体長も測ってみました。体長は3.6mm、前翅長は4.8mmでした。



これは別の成虫ですが、幼虫と一緒にいたところです。幼虫に比べると、成虫はずいぶんスマートですね。当分はこのイダテンチャタテが撮影対象になりそうですね。



帰りにヤマモモの木の幹を見たら、ここにもいました。桜以外の木では初めてです。

廊下のむし探検 蛾とかハエとか

廊下のむし探検 第831弾

最近、ツチハンミョウの様子を見に、マンションの廊下を歩くことが多くなりました。これは10月31日の結果ですが、残念ながら、ツチハンミョウは見つかりませんでした。やはり、壁を塗り替えたことが関係しているのかなぁ。ちょっと心配です。



後は常連ばかりなのですが、一応、記録のために載せておきます。これはヒメエグリバ



これはオレクギエダシャクか、ニセオレクギエダシャク。(追記2016/11/24:菅井 桃李さんから、「2枚目の蛾もナカウスエダシャクでは?」というコメントをいただきました。そう言われると、そんな感じですね。最近は蛾を間違ってばかりで・・・



エゾギクトリバ



アシベニカギバ



これは以前、コヤガ亜科のサビイロコヤガといっていた種ですが、「標準図鑑」によると、アオイガ亜科サビイロヤガになっていました。



蛾の最後はナカウスエダシャク



次はハエ目です。これはオオチョウバエ



これはイエバエでしょうね。M1+2(M1)脈が曲がっているので属くらいは分かるかなと思って、「日本のイエバエ科」の図版をパラパラ見ていったのですが、曲がっている属はたくさんありますね。それだけではとても特定できそうにありません。



ガガンボ科かなと思うのですが、これも科の特定ができません。



次はカメムシです。オオホシカメムシかな。



これもいつも迷う種です。ハラビロヘリカメムシとホシハラビロヘリカメムシという似た種がいるので・・・。一度、ちゃんと調べておこうと思って、「日本原色カメムシ図鑑第3巻」を見てみると、検索表には触角第1節が複眼を含む頭部の幅より広いとホシハラビロ、狭いとハラビロ。また、種の解説では、第2,3節が円筒状だとホシハラビロ、三角柱だとハラビロという違いがあるみたいです。これは第1節が長いので、たぶん、ホシハラビロヘリカメムシの方でしょうね。



後はチャバネセセリ



オオアオイトトンボ



ヒメクダマキモドキ



このハチは翅脈が見えているので、科くらいは分かるかもしれませんね。今日はだいぶ前に捕まえたユスリカの検索をしていたので、ハチの翅脈まで調べる時間がありませんでした。
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