家の近くのむし探検 虫いろいろ、キノコも
家の近くのむし探検 第166弾
9月27日の公園での虫探しの続きです。9月の終わりではありますが、探すと結構虫はいるものです。名前調べはどれも大変なのですが・・・。
今日の最初はこのハナアブからです。マンションの庭でお花を作っておられるのですが、その花に来ていました。特徴のある腹部と複眼の上の帯状の模様が印象的です。早速、いつもの論文の絵解き検索表で調べてみました。
大石久志、「ルーペで見る身近な縞模様のハナアブの見分け方(1)~(7)」、昆虫と自然 31, 42 (1996)~35, 33 (2000).
そして、いつもと同じ場所で間違ってしまいました。初っ端の「頭は肩を覆う」というところです。覆わないという方を選んでしまい迷子になってしまいました。それで、覆うという方を選び直すとParagini族に達したのですが、実はこの論文ではそれ以上の検索表では載っていません。それで、また、ネットに頼ることになりました。すると、ノヒラマメヒラタアブとシママメヒラタアブのどちらからしいことが分かりました。この両者の違いは「一寸のハエにも五分の大和魂・改」で出ていました。それによると、
腹部背板3節以降に明瞭な横帯を持つ
末端節が黄色い
触角の第2節が第1節より明らかに短い
翅の中央部に微毛microtrichiaが認められない
などがシマの特徴のようです。翅の中央部の微毛というのはよく分かりませんが、それ以外はここに書かれているのと合致しているので、シママメヒラタアブで合っているのではないかと思いました。
ところで、「原色昆虫大図鑑III」の記述を見て、ちょっと違和感を覚えました。それは、「腹部の黄褐色の横帯のうち第3節のものは中央で切断される」というところです。黄色の帯の3列目を見ると、確かに途中で途切れているのでこれのことかなと思うのですが、これを第3節と呼んでよいのかなと思ったのです。同様の表現はノヒラの方にも、「腹部第2節以下の各節基部に赤褐色の横帯がある。第2~3節のものは顕著」というところがあります。
腹部の節の数え方は大石氏の論文に載っています。それを上の写真の個体に当てはめると次のようになります。
Tはtergumの略で背板を表しています。これによると、黄色の帯が途中で途切れているのはT4、つまり、第4節になっています。もしかして、T1の位置を間違ったのかなと思って文献を調べてみました。
J. R. Vockeroth, The flower flies of the subfamily Syrphinae of Canada, Alaska, and Greenland, Diptera: Syrphidae, Insects and Arachnids of Canada Handbook Series, 18, 456 (1991). (ここからダウンロードできます)
M. C. D. Speight, "External morphology of adult Syrphidae (Diptera)", Tijdschrift Voor Entomologie 130, 141 (1975). (ここからダウンロードできます)
この二つの論文のそれぞれに腹部の図があり、特に、前者ではParagus属の図が載っているのですが、やはり上の節の番号で合っているようです。ちなみに腹部はT8(第8背板)までありますが、T6以降は生殖器に特化して変形しているため、上からはよく分からないようです。ノヒラの場合は写真を撮っていないのでよく分かりませんが、ネットで見る限り、顕著に赤褐色の帯があるのはT3とT4みたいです。よく分かりませんね。
ユスリカも最近はできるだけ写真を撮るようにしています。これはこの間ジャワユスリカだと思った種です。
そして、これは先日調べたフチグロユスリカだと思います。
これはまだ調べてない種なのですが、いつ見ても♀ですね。
溝に入っていたのでちょっと暗くなってしまいました。画像を無理に明るくしたので、ちょっと見にくいのですが、翅脈のM1+2脈がぐにゃっと曲がっているので、たぶん、ヤドリバエ科ですね。外形だけ見ると、コンボウナガハリバエなどとよく似ていますが、M1+2脈の曲がり方がかなり違い、また、「大図鑑」によるとコンボウナガハリバエにはM1+2脈に小枝があるそうなのですが、これにはありません。背筋に白い筋が入っているので、図版があると名前が分かりそうなのですが・・・。
このハエはツツジの葉の上をあっち止まり、こっち止まりとうろうろしていました。たぶん、以前見たキアシハリバエでしょうね。きっと、ルリチュウレンジの幼虫を探しているのでしょう。
これはカブラハバチ属だと思われます。「大阪府のハバチ・キバチ類」の検索表に従って調べていくと、「小盾板は橙黄色→腹部第1背板は大半が橙黄色;胸部背面は腹部と同じ橙黄色→胸部背面の橙黄色部は後半でくびれない;脛節は全体または大半が暗色」という項目をたどってイヌノフグリハバチになりました。
これは女王アリで、どうせ名前は分からないかなと思ったのですが、捕まえてきたので先ほど検索をしてみました。女王アリの検索表はなくて、働きアリ用の検索表しかないので、以前も挑戦してうまくいかなかったのですが、ダメもとで調べてみました。フタフシアリ亜科は確かで、後はまあまあ進むことができて、最終的にはシリアゲアリかどうかで迷いました。たぶん、そうだろうと思って、さらに、分布も考慮して、キイロシリアゲアリではないかと思いました。もう少し検討してみます。
最後はキノコです。テングタケの仲間だろうと思うのですが、キノコはまださっぱり分からなくって・・・。
いろいろと写真だけは撮りました。ネットで調べると、こんな感じの白いテングタケはウスキテングタケとか、シロコタマゴテングタケなどが見つかりましたが、どうやって調べていったらよいのやら。(追記2016/10/01:家族から、「カラカサタケか、オオシロカラカサタケでは?」というコメントをもらいました。昔、同じようなキノコの写真を撮っていたみたいです。どうやって調べたのだろう)
(追記2016/11/24:ささきさんから、「りっぱなキノコですね。一見カラカサタケのようですが、鍔が茎に固着しているように見えますね。カラカサタケでは鍔が茎から離れて、リングのように上下に可動性になります。また茎に特有のまだら模様が出ます。その2点でカラカサタケは否定できるかな?と思います。写真では分かりませんが壺(根元を包む袋状の構造)はありますか? 毒菌が多いAmanita属のキノコには壺があります(カラカサタケでは不明確)。野外で見つけたキノコを気軽に食べる人は少ないと思いますが、壺のあるキノコはよほどの確信がないかぎり絶対食べてはいけません(壺のないキノコは安全、という意味ではないですよ)。」というコメントをいただきました。蛾のささきさん、どうも有難うございました)
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