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家の近くのむし探検 蛾

家の近くのむし探検 第138弾

手元に調べるべき虫がなくなってしまったので、昨日は午前と午後と虫探しに行ってみました。午前中はいつもの公園、午後は林の近くの道です。そのうち、公園の蛾だけ整理ができたので、出してみます。この日は嘘のように涼しい日で、歩いていてもほとんど汗をかきません。いよいよ秋なのだなぁ。公園ではミンミンゼミとツクツクボウシがうるさく鳴いていましたが、その声に何となく寂しさが感じられました。今年の夏は終わりだよ~って。



公園に行く途中にこんな毛虫を見つけました。まだ、小さいので若齢幼虫かもしれません。角が伸びているのでスズメガの仲間ですね。幼虫はある程度見当がついたら、こんなサイト(みんなで作る日本産蛾類図鑑)があるので、絵合わせで探すことができます。これはたぶん、ホシヒメホウジャク?かな。食草はアカネ科(ヘクソカズラ)と書いてあります。止まっていたのはイタドリだったと思うのですが、それに絡みつくようにヘクソカズラもありました。ついでに6月中旬に見たこの画像、これもホシヒメホウジャクの若齢幼虫かもしれませんね。



そのイタドリには花が咲いていました。花は穂のようになっているのですが、一つ一つの花は小さくて目立たないものでした。



ツツジの葉に頭を突っ込むようにしているのは、たぶん、クロスジシロコブガというコブガ科の蛾ですね。「廊下のむし探検」初登場みたいです。(追記2016/08/31:ささきさんから、「クロスジシロコブガとされた蛾はヒメネジロコヤガですよ。」というコメントをいただきました。ヒメネジロは何度も見ていたのに・・・。ちょっとお恥ずかしい



このハマキガは迷いました。リンゴカクモン、チャノコカクモン、ウスコカクモンという似たパターンの蛾がいます。色的にはリンゴカクモンが一番よさそうですが、網状の細線で覆われるというところが違います。他の二者は翅頂に近い前縁に逆三角紋があるということなのですが、これにはありません。結局、リンゴカクモンハマキにしたのですが、自信はありません。



蛾はだいたい葉裏に止まるので、翅の先だけが見えていて、いつもなんだか分からないのですが、これは先端に止まってくれたので、模様が見えました。



ついでに横からも撮ってみました。その模様から、ヒメマダラマドガかなと思いました。



最近よく見るホソオビキマルハキバガです。



たぶん、シバツトガだろうと思うのですが、下唇鬚は上から見ると、こんな刷毛のようになっているのですね。



アゲハが止まっていました。葉に止まってじっとしています。



これは珍しいなと思って、後ろからも撮ってみました。接写で撮ったので、何となく暗くなってしまいましたが・・・。



後はマンションの廊下です。蛾は廊下の方がはるかに撮りやすいですね。背景も単純だし、何よりも葉裏には止まらないので・・・。それに、公園では近づくとすぐに逃げてしまう蛾が多いのですが、廊下ではびくりともしません。これはトリバガという仲間の蛾で、たぶん、ブドウトリバあたりだと思うのですが、イッシキブドウトリバという似た種がいて、区別がつきません。とりあえず、ブドウトリバ?ということにしておきます。



うーむ。うなってしまいますね。ほとんど鱗粉が取れてしまっています。触角が途中で曲がっていることや、わずかに残る模様から、ツマキリヨトウの仲間だということが分かります。それからがよく分からないのですが、模様からムラサキツマキリヨトウかなと思ったのですが、どうでしょう。



最後はこの蛾です。特徴がないのですが、その特徴のなさで思い出しました。たぶん、モッコクヒメハマキではないかと思います。後はまだ整理中なので、次回に回します。手元に調べるべき虫がいないと書きましたが、実は、冷凍庫や毒瓶の中にはアシナガバエやら、アリやらが入っていて出番を待っているのですが、なかなか時間が取れなくて・・・。
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「廊下のむし探検」 ちょっと雑談

昨日は夏祭りがあり、その後、会議があったので、公園にむし探しに行く時間がありませんでした。それで、今日は虫の名前調べもなく、のんびりと暮らせました。

この夏は本当に忙しかったですね。8月1日からは一カ月間、近くの福祉施設のギャラリーを借りて写真展(もどき)を開き、その間に地域のコミュニティープラザで「虫展」を2日間開きました。そのたびごとに、これまでに観察してきた虫の集計をしたり、展示用にと手作り図鑑を新たに作ったりしていました。

展示用に作った図鑑は写真と名前だけを入れた簡単なものだったのですが、自分用としては、この虫の名前をどうやって決めたのかが分からないとあまり意味がないし、また、検索をどのようにやったのかが分からないと後から見てもほとんど役にたちません。そこで、それらを加えた詳細版を並行して作ってきました。その原型がなかなか決まらなかったのですが、今日は時間があったので、ヤドリバエ科について見本を作ってみました。



詳細ハエ図鑑の一部なので、こんな表紙になっていますが、pdfでダウンロードできるようにしました。こちらのページからどうぞ(ファイルサイズを小さくするため、画像が少し見にくくなっています)。要は、ちゃんとした図鑑だったら、そのまま書いてあることを信じてもそれほど間違いないのですが、これは素人が作った図鑑なので、如何に怪しくて、また、如何に苦労しているかが分かった方がよいだろうという点が違っています。それで、ブログに載せた記事を転載した長い説明が載っています。まぁ、図鑑というよりは読み物で、普通の方にはほとんど役には立たないと思いますが・・・。でも、読んでみると、あぁあの時は苦労したなとか、まだまだ怪しいなとかが分かって、私にとっては結構面白いです。こんな調子でほかの科も作ってみようかなと思っています。新たに文章を書くわけでもなく、ブログの記事をコピペするだけなので、結構楽だし・・・。

ついでに、画像リストも7月末まで更新しました。これをもとにして、まだ図鑑ができていない蛾、甲虫の一部、クモの図鑑も作ってみようかなと思っています。

家の近くのむし探検 蛾ほか

家の近くのむし探検 第137弾

一昨日の公園での虫探しの結果です。最近は本当に虫がいませんね。むしろ、真夏の暑いさなかの方がいたような気がします。といっても、この日は暑かったので、1時間ほどしかいなかったのですが・・・。



虫の中では蛾がまだいた方でした。この蛾はホソオビキマルハキバガという蛾ですが、このごろ多いですね。先日、林の入り口の道で探した時も何匹かいました。



これは綺麗な蛾ですが、トビイロシマメイガだと思います。



この蛾は見覚えがあったのですが、名前調べはかなり時間がかかりました。メイガであることは確かそうなのですが・・・。結局、「大図鑑」の方を探して見つかりました。フタオビノメイガですね。「廊下のむし探検」初登場でした。



色が完全に抜けてしまっていますが、ウスベニコヤガでしょうね。



それに、最近、よく見るアミメケンモンでした。



ルリチュウレンジ、最近、また増えてきているみたいです。ちょっと前まではやたら幼虫をたくさん見かけたのですが・・・。



小盾板の下にもう一枚見えているみたいです。だとすると、ヤドリバエ科なのですが、どうでしょうね。



桜の木には例によってムラクモハマダラミバエが何匹もいて、あっちうろうろ、こっちうろうろしています。何をしているのでしょうね。



木の幹を見ていると、上下に動き回っているのはアリです。でも、たまに、横にスススッと動く虫がいます。何だろうと思って、近くに寄ってみると、決まってチャタテムシでうす。これはウロコチャタテ



この間もそう思ったのですが、今年はなぜかツクツクボウシが木の下の方に止まっていて、近づいてもなかなか逃げないですね。この間まではアブラゼミがいっぱいいて、やはり下の方でじっとしていたのですが・・・。(追記2016/08/31:菅井 桃李さんから、「セミは季節が進むと低いところに目立つ様に思います。きっともうお疲れなんでしょう。」というコメントをいただきました



最後はクサギカメムシでした。この間、2齢幼虫の群れを見たばかりだったのですが、こちらは成虫です。カメムシは幼虫も成虫もまぜこぜになっていますね。

家の近くのむし探検 虫がいない

家の近くのむし探検 第136弾

3日前の公園での虫探しの結果です。大阪はやたら暑い日が続いています。それでも、これまでは頑張って探せば虫がいたのですが、この日は本当に見つかりませんでした。みんな、どこに行ったのだろう。







ムシヒキアブがいました。この間、「ムシヒキアブ図鑑」というサイトを見て、ヒサマツムシヒキかなと思った種ですが、「日本昆虫目録第8巻」によると、同属にTolmerus atripesという種がいるし、ムシヒキアブ亜科全体には30種も載っているので、もう少し慎重に調べた方がよさそうです。ただ、文献が揃わない。いつものことですが・・・。



後は幼虫が多かったですね。これはツチイナゴの幼虫。



オンブバッタの幼虫。



それに、クサギカメムシの2齢幼虫。幼虫がこんなに集まっている姿をこの間見たばかりだったなと思って調べたのですが、写真が出てきません。気のせいかな。(追記:見たのは2016年5月27日で、29日のブログに出していました



蛾ではエゾギクキンウワバ



このホソオビキマルハキバガはたくさんいました。



それにアカマダラメイガ。赤い部分がこんなに黒かったかなぁ。



それからツクツクボウシ。フラッシュをたくと、まるで真夜中に撮ったようになりますね。今年はアブラゼミがたくさんいて、近寄ってもちっとも逃げなかったのですが、ツクツクボウシも逃げない個体がいますね。無害だからって、私の存在は無視されているのだろうか。

家の近くのむし探検 シリアゲムシ、フキバッタ、ハバチ

家の近くのむし探検 第135弾

8月23日に家の近くの林の入り口に行った時の続きです。今頃は虫の数は少ないのですが、それでも一匹ずつ調べていくと結構な時間がかかりました。



今日の最初はシリアゲムシからです。以前、ヤマトシリアゲにも近似種がいるという話を聞いたので、これは♂だし、一度、調べてみようと思って写しました。



腹部末端を写してみました。びっくりするような鎌みたいな構造があります。例によって各部に名称を付けてみようと思って、「原色昆虫大図鑑III」に載っている図を参考にしてつけてみました。S9とT9はそれぞれsternum 9 とtergum 9の略で、第9節腹板、第9節背板の略です。このシリアゲムシの場合、第6節から8節までは腹板と背板がくっついて筒状になっているのですが、第9節では分かれて、それぞれが交尾するときに便利なように変形しています。♂と♀の腹部末端がどのように組み合わされるかというのは次の論文に図が載っています。

W. Zong et al., "A typical mating in a scorpionfly without a notal organ", Zoology 84 (4) (2015). (オンラインで読むことができます)

英語でシリアゲムシはscorpionflyというのですね。scorpionはサソリなのでなんとなく分かります。ところで、この腹部末端の形で種が分かるのかなと思ったのですが、これは背側からの写真で、実は腹側からの写真が必要でした。ということは、やはり採集しないと難しいかな。「大図鑑」には、ヤマト、マルバネ、キバネ、ミスジの4種の♂の図が出ていますが、一見するとよく似ていて区別がつきません。たぶん、この種はヤマトシリアゲのベッコウシリアゲ型だとは思うのですが・・・。(追記2016/08/31:菅井 桃李さんから、「シリアゲムシのテロメアは前方から狙えますが、捕獲した方が手っ取り早いでしょうね。」というコメントをいただきました



次はフキバッタです。フキバッタも確か腹部末端の構造が分かると種が分かったのではと思って、捕まえてあちこちから写してみました。実はこれは♀で、♀の腹部末端の図は図鑑には出ていなかったのです。でも、せっかく写したのだからと思って、各部の名称を付けてみました。でも、これが意外に難しかったです。というのは♀の詳しい図がなかなか見つからなかったからです。とりあえず、「原色昆虫大図鑑III」の図を参考につけてみました。



横からです。



斜め上からです。これも写しておかないと、横と上がどのようにつながっているのかよく分からなくなるので・・・。



そして、上からです。SとTは先ほどと同じで、腹板と背板を表します。後は「大図鑑」にならって付けたのですが、実はよく分からないところがあって、別のサイトも参考にしました。Invertebrate Anatomy Onlineというサイトで、アメリカのLander大学の方が作っているのですが、手書きの図が載っていて詳しく書いてあるので、大変参考になりました。そのうち、日本産フキバッタ♀の図を見つけた時に比較してみたいと思います。(追記2016/08/31:菅井 桃李さんから、「フキバッタはオマガリフキバッタでしょうね。そちらで見られるのは、ヤマトとオマガリくらいだと思ってましたが、他にも見られるかな?」というコメントをいただきました



次はハバチです。これがハバチ科であるかどうかは検索をしてみないといけないのですが、「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表では次のような過程をたどります。



この写真でもほとんどは辿ることができるのですが、⑥の距がよく分かりません。ハチのうち、腰が細くないハチを広腰亜目といいますが、検索表を見ると、結構、触角に違いがあるみたいです。そこで、触角で科の分類をしてみました。

触角が複眼下縁より下から出る
  ヤドリキバチ科
触角が複眼下縁より上から出る
 触角の第1鞭節は非常に長い
  10数節 ナギナタハバチ科
  4節 ヨフシハバチ科
  3節 ミフシハバチ科
 触角の第1鞭節は特に長くない
  11~27節 クビナガキバチ科
  14~30節 キバチ科
  15~36節 クキバチ科
  7節 ヒラタハバチ上科
  先端はこん棒状 コンボウハバチ科
  鋸歯状、櫛歯状 マツハバチ科
  7~13節、まれに23節 ハバチ科

節数などは「大図鑑」を参考に書いてみました。このハチについて触角を見てみました。



ご覧のように触角は複眼の横からでています。第1鞭節(第3節)は少し長めですが、特に長いというほどではありません。触角は全部で9節あります。最初の二つの条件の下では、9節はハバチだけなので、この情報だけで必然的にハバチ科にたどり着きます(合っているかどうか分かりませんが・・・)。

次は亜科の検索です。



検索をしてみるとハグロハバチ亜科になるのですが、その過程は上の⑩~⑮になります。⑬を除いてすべて翅脈に関するものなので、このハバチの翅脈を見てみます。



生態写真なので見にくいのですが、一応、必要な翅脈は見えています。⑩については、基脈と肘脈は上部で亜前縁脈と一点で交わっているように見えます。⑪の径横脈はあります。⑫の2つの反上脈は別の肘室につながっています。⑭で基脈はほぼ直線状で反上脈の基部側の第1反上脈とはまあまあ平行です。⑮で完全に閉じた肛室が二つあり、間に臀横脈がありります。ということで、すべてが満足されるので、ハグロハバチ亜科だと分かります。これから先は、後翅や脚の情報が必要で、生態写真では無理みたいです。私の山勘では翅が強く暗色を帯びること、縁紋基部が白色なこと、前脛節前面が白いこと、腹部第1背板に白い点が二つ見えることなどから、ハグロハバチ♀のように思えますが、どうでしょう。





ハチはほかにもいたのですが、こちらはお手上げです。



これは以前、チャバネヒメクロバエというイエバエ科だと思ったハエです。合っているかどうか分かりませんが・・・。



これは検索で分かるのかなぁ。まだ、試していません。(追記2016/08/26:田中氏の「屋内害虫の同定法」の中のクロバエ科の検索表をみると、腹部の黒い帯の様子はトウキョウキンバエに近い感じですが、中胸下側背板の直立刺毛の有無を見ないといけないので、やはり採集しないと無理ですね



これは分かりません。



これはシマバエかな。なんとなく後単眼剛毛が交差しているように見えます。



クチブトゾウムシも苦労する虫です。これは口上板(触角と触角の間に見える黒い部分)が明瞭で、鱗片がなさそうで、また、光沢があります。さらに、口上板の上側が尖って三角形状です。こんな情報から、カシワクチブトゾウムシかなと思いました。もう少し口上板を大きく撮ればよかったのですが、近づいたら下に落ちてしまいました。





クズノチビタマムシはまだ健在でした。





これは腹部の下側が褐色になっているので、ワキグロサツマノミダマシかもしれません。

虫、いろいろいますね。あーぁ、くたびれた。



最後はヤブランのつぼみでした。

虫を調べる クルマバッタモドキ

一昨日、林の入り口の道に行ったついでに、河原にも行ってバッタを捕まえました。最近はカメラのほかに、吸虫管、毒瓶、プラスティックケース、小型のチャック付きポリ袋、中くらいのポリ袋、虫よけの伊達メガネにプラスして、捕虫網の網の部分だけを持ち歩いています。ハエを捕まえるときなど、吸虫管ではなかなか難しいので、網で捕まえることにしています。バッタも網なのですが、近づくと意外に逃げるので柄の部分が欲しい感じです。それでも、この日は1匹捕まえることができました。

「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」に載っている検索表を使って検索をして、苦手なバッタの克服をしようかなと思っています。



今日の対象はクルマバッタモドキなのですが、検索表では1A→2B→3A→4A→5Bと進むことになります。それで、また部位別に見ていきたいと思います。



まずは頭部、胸部を横から撮りました。勉強のために各部の名称を書き入れました。「原色昆虫大図鑑III」に載っている絵を参考にしました。まず、1Aでは、「頭頂と額の間に際立った境はなく、だいたい垂直」という項があります。境の部分は触角でよく分からないので、後の写真を参考にしてください。ただ、頭頂と額がほぼ垂直というのはなんとなく分かります。マダラバッタではここに境があって鋭角になるはずなので、この間から探しているのですが、まだ見つかっていません。

次は2Bで、「前胸背が凸凹ではなく、中隆線が3分されない」ということですが、これはイボバッタを意識して書かれた項目です。イボバッタについてはこの間写真を撮りました。確かに、中隆線が3分されていました。これはそうではないので、次に進むと、4Aの「中胸背板の前域と後域の境の刻み目が深いか浅いか」で、この個体では矢印で示したようにほとんど刻み目は見えません。トノサマバッタで調べたときはこの部分にはっきりした刻み目が見えました(次の写真を参考にしてください)。

5Bの「前胸背板はほぼ直線状」というところで、先日、クルマバッタを調べたときに迷いました。この個体でも直線状といえば直線状で、アーチ状といえばアーチ状だからです。それで、少し比較してみました。



この写真で、Aはクルマバッタモドキ、Bはクルマバッタ、Cはトノサマバッタです。AとBはほとんど同じなのですが、心持ちBの方がアーチ状になっているような気がします。でも、なかなか微妙です。クルマバッタではもっと顕著にアーチ状になっているものもいますが、これだけでクルマバッタとクルマバッタモドキを見分けるのは難しそうです。



これは頭頂と額の境目付近を写したものですが、特に境目と呼べるような筋は見えません。



これは真上から写したものです。まず、3Aの「中隆線は前縁から後縁まで途切れなく続く」というのは、この写真でよく分かります。次の5Bの「白いX字形の紋」もよく分かります。これでクルマバッタモドキを見分けるのが一番簡単ですね。ただ、「紋があることが多い」という表現は、ないこともあるということなのでしょうね。そうなると困りますね。



顔の各部に名称を入れてみました。この間も入れたのですが、何度かやっていると親しみが湧いてくるかと思って・・・。この間のクルマバッタと基本的に同じでした。

これで検索は終わるのですが、実は、後翅の撮影を忘れてしまっていました。肝心の後翅を忘れてしまうなんて・・・。現地で撮影していると、いつも何か忘れてしまいますね。この間もトノサマバッタの後脚の撮影を忘れてしまっていました。まぁ、それでも、少しずつ種類を増やしていくと、そのうち、バッタの苦手意識もなくなってくるかもしれません。実は、この時、フキバッタも写したのですが、♀だったので図鑑に腹部末端の図が載っていなくて名前までは分かりませんでした。とりあえず、フキバッタは♂を捕まえないといけないのですね。フキバッタの写真は次回に載せます。

家の近くのむし探検 ヒメイトカメムシ

家の近くのむし探検 第134弾

昨日、久しぶりに林の入り口の道を歩いてみました。最初の頃は公園と林の入り口を交互に行っていたのですが、最近は公園ばかりで、だいぶ間があいてしまいました。





今日の最初はこの虫からです。葉っぱの上にハエの仲間か何かが止まっていたので、何の気なしに撮ったら、イトカメムシの仲間でした。といっても、いつも見ているイトカメムシとは違って、脚や触角がまだらで、触角末端と腿節末端が黒くて太くなっています。「原色日本カメムシ図鑑」を見て、ヒメイトカメムシかなと思ったのですが、ここに載っている生態写真はヒメイトカメムシではなくて、イトカメムシの幼虫だったみたいです。標本写真の方は合っているようなので、たぶん、ヒメイトカメムシで間違いないのではないかと思いました。



こちらはクサギカメムシの幼虫です。小林尚、立川周二、「図説 カメムシの卵と幼虫―形態と生態―」(養賢堂、2004)を見ると、各齢の図が載っているのですが、それと比較すると、4齢幼虫のようです。小さな翅ができかけています。





こういう幼虫をちょこちょこ見ました。ツマグロオオヨコバイの幼虫ではないかと思っているのですが、どうなんでしょう。



蛾はこのフタスジツヅリガ



それに、最近はあちこちで見かけるホソオビキマルハキバガでした。この辺り、以前はハマキガがたくさんいたのですが、昨日は全然いませんでした。



道端にはこんなヒメクロイラガの幼虫が・・・。怖いですね。



こちらは川の土手の草むらにいたセスジスズメの幼虫です。





土手にはツルボの花が咲き始めていました。初秋の花ですね。大阪は8月になって35度以上の日が21日になったそうで、100何年ぶりの暑い夏だそうです。でも、少しずつ秋が近づいてきているのが、こんな花から分かります。

家の近くのむし探検 バッタほか

家の近くのむし探検 第133弾

18日と19日の二日間、「虫展」を開いたのですが、その疲労が残ってその翌日から2日間はぐったりしていました。昨日はようやく元気を取り戻して、久しぶりに公園に行ってみました。日向は焼けるように暑いのですが、日陰に入ると風が吹いて気持ちよかったです。なんとなく暑さの中にも秋の気配を感じました。





公園の広場は草で覆われているのですが、そんな中を歩いていくと、小さなバッタがピョンピョン飛び出します。何がいるのだろうと思って写してみたらこんなバッタでした。白い筋が前胸後縁までついているので、たぶん、ホシササキリの幼虫でしょうね。



ショウリョウバッタはたくさんいたのですが、ちょっと変わった感じのバッタがいたので写したら、これはショウリョウバッタモドキみたいですね。以前、マンションの廊下でも見たことがありました。



イボバッタです。先日から、バッタも少しずつ調べてみようと思っていたので、検索表に沿って調べてみました。



といっても、すぐに目的地に到達してしまうのですが・・・。頭部・胸部を拡大すると次のようになります。



検索表では、1A→2Aと進みます。がたがたして分かりにくいですが、たぶん、頭頂と額を分ける境はないのでしょうね。次の中隆線が3分されるというのは、この写真でよく分かります。これだけでも収穫でした。



蛾の方は相変わらず、なんだかんだといます。これは外横線がはっきりしているので、ウスキヒメシャクかなぁ。



そして、これはウスオエダシャク



この手のマダラメイガはこの間も苦労しました。たぶん、Acrobasis属は間違いないと思うのですが、そこから先がなかなか進みません。今回はウスアカマダラメイガかなと思ったのですが、よくは分かりません。



これはホソオビキマルハキバガでしょう。



最後のこの蛾がよく分かりません。色からすると、コブガっぽいのですが・・・。「標準図鑑」でコブガのところを見ていくと、シロバネコブガに似ている感じですが、分布が合わないので、これに似たナミコブガかなと思ったのですが、自信はまったくありません。



桜の木にまたこのヤドリバエが止まっていました。Trigonospila ludioかなと思っている種です。名前がはっきりわかるといいのですけど。



そろそろツクツクボウシの季節ですね。あちこちで鳴いています。



こんな小さなハエトリグモがあちこちにいます。ネコハエトリなのかなぁ。



この間から、葉の間に白い綿みたいなものがあるのは気が付いていたのですが、この日はその前に何か黒いものがいるのに気が付きました。



何だか気持ち悪いものです。触角みたいなものが見えていますが、何となく脱皮殻みたいです。蛾なのかな。(追記2016/08/31:おちゃたてむしさんから、「葉の間の白い繭と脱皮殻はセミヤドリガのものではないでしょうか。この季節、こちらでもときどき見かけます。」というコメントをいただきました。その後、星谷 仁さんから、「葉の下の白い綿みたいなものはセミヤドリガの繭と蛹(ぬけがら)だと思います。去年、羽化のようすと、抜け殻を確認することができました。」というコメントをいただきました。わけの分からないものだったので、ブログに書こうかどうしようかと思ったのですが、書いてよかったです。お陰様で新しい事実を知ることができました。皆さま、どうも有難うございました



公園ではツユクサが咲いていました。



後はマンションで見た虫です。これはたぶん、アオドウガネだと思うのですが、死んでいたので採集してきました。今度調べてみます。



これはアオスジアオリンガかな。(追記2016/08/31:ささきさんから、「緑色のリンガはアカスジアオリンガのメスですね。アオスジのほうは京阪神ではもう少し標高の高いところにいるようです。」というコメントをいただきました。アカスジ♀は前翅後縁が紅色だという「標準図鑑」の記述から、アオスジにしたのですが・・・。その後、「春型では赤い個体が多いですが、夏型ではアテにならないですね。アカスジ(♀)は全体的に白っぽい緑色で、横線の縁取りが結構はっきりしていて、微妙な色ムラがある感じ…うまく言えませんがぼやけた感じになります。アオスジ(♀)は鮮やかな緑色で色ムラはなく、横線は細く明瞭になります。またアカスジはやや大型で丸っこい感じ、アオスジはやや小型で前翅が尖った感じですね。」というコメントもいtだきました。なかなか難しいですね。ささきさん、どうも有難うございました



この天井にいたカマキリは何だろう。(追記2016/08/31:菅井 桃李さんから、「カマキリは褐色型のハラビロカマキリのオスですね。」というコメントをいただきました

この日はアシナガバエも採集してきました。写真を写したつもりだったのですが、フラッシュをたく度にぴょんぴょん逃げてまったく写っていませんでした。先ほど検索してみたのですが、ホソアシナガバエ亜科のAmblypsilopus属は確かそうですが、それから先の種の同定がうまくいきません。最近はどれもよく分からなくって・・・。

「廊下(+公園)のむし探検」集計

一昨日、「虫展」が終わったのですが、いつも「虫展」で紹介するために、これまでの「廊下のむし探検」の集計をしてきました。今回は、マンションの改修工事のために観察場所が家の近くの公園に変わったのですが、一応、続けて集計をしてみました。実は、今年の2月で集計が止まっていたため、残り半年分をまとめるのにまる2日もかかってしまいました。



蛾はデータが多いので全体の傾向をつかむのに都合がよいかなと思って、ブログに載せた写真数と、種類数を年を追ってグラフで表してみました。出発点はブログを始めた2012年10月で、最後は今年の7月になります。蛾の写真は毎年のように増えて、とうとう4000枚を越えてしまいました。階段状に増えているのは、冬の間は全然増えなくて、春から夏にかけてが急に増えるので、こんなグラフになったのです。これに対して、種類数は初めの頃こそ順調に増えていっていますが、2015年あたりから頭打ちになっています。3月から改修工事が始まったので、観察場所を近くの公園に変えたのですが、それほど変化はありません。



種類数の変化をもう少し詳しく見てみます。2013年には一年で一気に500種ほどに増えました。この頃は、どの蛾を見てもブログ初登場だったのですが、最近は一年にせいぜい100種くらいしか増えていません。このグラフを見る限り、公園で観察しても大きな変化はないようです。公園とマンションが近いのでほぼ同じ種がいるからかもしれませんが、むしろ、公園では小蛾を一生懸命探したので、マンションでの観察数と変わらない程度の増加を示したのではと思っています。下の棒グラフは月別のブログ初登場種類数です。毎年6月がピークになるのですが、そのピークの高さが年ごとに減ってきています。やはり全体として1000種くらいが上限になりそうです。



次は昆虫の目別に、これまでに観察してきて名前が分かったものの数を表にしました。一番左の列が目(もく)、次の列が種類数、その次が日本産生物種数調査(2002)のデータとの比を取ったものです。4列目が2015年12月までの集計結果で、ほぼこれ以降が公園での観察結果ということになります。赤字で書いたものが特に増えたかなと思われるところです。甲虫はおそらくハムシがだいぶ増えたことが寄与しているのではと思います。ハエは観察した種類が増えたというより、いろいろと調べて名前が少しは分かってきたということだと思います。ハチはハナバチやハバチを調べ始めたことが効いているかなぁ。カメムシ(陸生)はカスミカメやグンバイムシが増えたこと、カメムシ(その他)はヨコバイをいっぱい見つけたことでしょうね。なお、カメムシ(陸生)は「日本原色カメムシ図鑑」に載っている種という意味です。

蛾はデータが多いし、かなり網羅的に調べているので、蛾について日本産生物種数調査(2002)に載っている種数と比較してみました。その結果、全国で記録されている種の18%を、この3年10か月の間に、マンションの廊下と公園だけで見たことになります。この数字が基準になると思います。昆虫が目(もく)によらずまんべんなく分布しているとすれば、この数より多いものはだいぶ頑張って調べたということになり、少ないものはもう少し頑張らなくちゃという判断ができると思います。そういう意味ではカメムシ(陸生)、チャタテ、アミメカゲロウなんかは蛾と同じ程度に網羅的に調べているということになります。逆に、甲虫、ハエ、ハチ、カメムシ(その他)、トビケラなんかは率がだいぶ低いですね。どれもこれも私にとっては手ごわい連中ばかりです。でも、少しずつ調べていこうかなと思っています。なお、最後の3列はできるだけ最近のデータも載せようと思って、分かっているデータを入れてみました。どれもこれもすごい勢いで増えていますね。私が見つける速さより、記載される種数の増え方が多いと、比はちっとも増えていかないのですけど・・・。

追記2016/08/22:蛾の手作り図鑑を作ろうと思って、ブログに出した画像のリストをExcel上に作って整理しました。画像はブログに出したものをそのままリンクして画像リストを使っているのですが、その際、書庫が違うとリンク先が変化してしまいます。マンションの改修工事が始まってから、虫探しの場所によって、「廊下のむし探検」と「家の近くのむし探検」という二つの書庫が入り混じっていたのですが、大変ややこしいので、昨日、「廊下のむし探検」にすべて統一しました。このブログの記事にリンクを張られていた方には大変申し訳ないのですが、悪しからずご了承ください

家の近くのむし探検 ハサミムシほか

家の近くのむし探検 第132弾

昨日と一昨日、地域のコミュニティープラザで「虫展」を開きました。初日は80人くらい来られたのですが、二日目は30人くらい。合わせて100人以上は来られたので大成功だったのですが、2日間は少し長すぎました。お陰で、今日は疲れ果てて、一日中家でゴロゴロ。夕方になってようやく元気が出てきました。

8月15日に家の近くの公園に見た虫の名前調べが残っていたので、慌ててやってみました。





今日の最初はこのハサミムシからです。ハサミムシに関しては、"Earwigs of Japan"というサイトがあり、チェックリストが載っています。このサイトによると、全世界では2200種いるそうですが、日本には和名のないものも入れて36種。意外に少ないですね。私の愛用している「学研生物図鑑 昆虫III」には20種出ているので、小さな図鑑の割にはよく出ています。この図鑑と上の写真を比べると、コヒゲジロハサミムシ、コバネハサミムシ、ヒゲジロハサミムシあたりが、触角に白い節があるところや、全体の体形、尾鋏の辺りが似ています。図鑑ではマルムネハサミムシ科になっているのですが、上のサイトではハサミムシ科ハサミムシ亜科になっていました。この亜科にはAnisolabella、Euborellia、Mongolabisの3属8種が載っています。このうち、分布を本州に限ると、Anisolabella、Euborelliaの2属5種に限られます。

腿節の色、胸部の鱗片状の翅の有無などを見ると、コヒゲジロハサミムシが一番似ている感じなのですが、ネットなどで探してみると、この写真の個体では触角の白い節が3節であるところが気になりました。この種は全世界的に分布する種なので、学名で検索するとフロリダ大のサイトが見つかりました。このサイトの説明や図鑑によると、尾鋏は♂では左右非対称とのことです。この写真の個体は対称なので♀なのかなと思ったのですが、♂と♀とでは腹部の節数が違い、♂では10節、♀では8節と書かれていました。そこで、節数を数えてみました。



この写真のように腹部は10節です。ここで何が何だか分からなくなってきました。先ほどのフロリダ大のサイトを読むと、どうやら幼虫は♂♀とも10節のようです。しかも、幼虫の齢によって触角の節数が変化するみたいです。つまり、1齢では8節、2齢では11節、3齢では13節、4齢では14-15節、5齢では15-16節です。時には6齢になることもあるのですが、通常は5齢までというので、今度は触角の節数も数えてみました。すると16節になりました。で、今のところ、これはコヒゲジロハサミムシ(?)の5齢幼虫ではないかと思っているのですが、よくは分かりません。



翅や触角などが赤いのですが、これは普通のオンブバッタでしょうね。



羽アリがいました。いつも羽アリがいましたとしか書けないので、今回は翅脈を見てみました。以前、羽アリの翅脈の比較をしたことがあったのですが、Perfilievaという人の基準によれば、mcuという翅室の形に着目すると、このアリはIIIdという分類に入りそうです。この分類にはカタアリ亜科の23%、ヤマアリ亜科の26%、フタフシアリ亜科の18%が入っているので、名前調べにはあまり役には立たないのですが、mcu室の下に余分な翅脈がありそうでそこがちょっと気になりました。



これはルリチュウレンジ



このお腹の白い小さなハチは以前、コマユバチかなと思った種でした。それから先はまだ調べていません。



後は、ルリマルノミハムシ



マメコガネ



カメムシでは、マンションの廊下にいたヒメホシカメムシ



それに、ヒゲナガカメムシかな。



トビイロハゴロモ。探すといろいろといますね。



蛾ではアトヘリヒトホシアツバ



クロハナコヤガ



たぶん、マエキヒメシャク



最後のこのノメイガは何だろう。図鑑を何度も見たのですが・・・。



毛虫もいろいろいました。これはヨツボシホソバの幼虫ですね。



こちらは公園に行く途中の壁にいました。ツマグロヒョウモン



チョウもたまには撮らなくちゃ。ツバメシジミ



それに最後はタカサゴユリでした。今はあちこちで咲いています。

家の近くのむし探検 ハエ

家の近くのむし探検 第131弾

昨日から、地域のコミュニティープラザで「虫展」が始まりました。朝から、コミュニティープラザの方や私の住むマンションの方にも手伝っていただき、展示物を配置しました。開始時間までの時間が短くて、ばたばたしたのですが、10時からの展示会にはぎりぎり間に合いました。途中、11時から40分ほど、プロジェクターを使って、この地域の虫と展示物の紹介をしました。朝からほとんど会場に詰めて説明をしていたので、夕方にはだいぶ疲れてしまいました。でも、全部で80名くらいの方が見に来られたようで、マンションで開いた時よりはだいぶ多くて、嬉しく思いました。今日も10時から始まり、15時からは何か話をしないといけません。何の話をしたらよいのか・・・。

今朝は、特に「虫展」関連の準備がないので、この間(15日)、公園で見つけた虫の名前調べをしました。その日は、「虫展」の打ち合わせに行く途中で、公園にはちょっと寄っただけだったのですが、そこそこ面白い虫がいました。



このハエは公園の出口付近にいて、何か前脚をしきりに動かしていて変だなと思って写しました。



上の写真のように前脚を伸ばしたと思ったら、この写真のように縮めたりしています。小さなハエだったので、その場ではよく分からなかったのですが、家に戻ってから写真を見て、びっくり。前脚脛節末端に鎌があります。えっーこんなハエがいるのかぁ。でも、どうやって調べてよいのかわからないので、ネットで「前脚に鎌があるハエ」というようないい加減なキーワードで画像検索してみると、引っかかりました。カマバエという名前のようです。

早速、「日本昆虫目録第8巻」を見てみました。ミギワバエ科コブミギワバエ亜科カマバエ族に含まれているようです。この族にはOchthera属Ochthera亜属の3種だけが載っています。ミナミカマバエ(circularis)、シキシマカマバエ(japonica)、キアシカマバエ(pilimana)です。このうち、キアシの産地は鹿児島だけが書かれているのでたぶん除外してよいのかなと思いました。残りはミナミとシキシマなのですが、これについて書かれた文献がどれもダウンロードできなくて、ここでストップです。写真が載っているサイトを見ると、ミナミとしているサイトが多いのですが、皆さんどうやって決定したのだろう。なお、「日本昆虫目録第8巻」によると、O. mantisという種は、現在はO. japonicaとなっているようです(シノニムなのか、誤同定なのかは分かりません)。



桜の木にアブが止まっていました。シメタ!♀です。両方の複眼の間が離れています。それで、あちこちから写してみました。



アブはだいぶ嫌がってあっち向いたりこっち向いたりしていましたが、一番重要な前からも写せました。♀のアブについては次の文献に絵解きの検索表が載っています。

早川博文、「日本産アブ科雌成虫の分類 1.アブ属ウシアブ群、アカウシアブ群及びその関連種」、東北農試研究資料 10、35 (1990). (ここからダウンロードできます)

これによると、やはり予想通りウシアブになりました。ウシアブについては以前も検索をしてみたのですが、だいぶ忘れてしまっていたので、もう一度書いておきます。



まずは翅脈です。



翅が光っていて、折れ目なのか翅脈なのか分からず苦労したのですが、やっと翅脈に名前を付けられました。翅脈の名称の付けかたは以前の記事に載せたものに準じてつけました。①はR5とM1が翅縁で離れていることを言っています。ついでに、④はR4脈に枝が出ていることですが、図中に矢印で入れました。左上にその場所の拡大を載せましたが、微かに枝が写っています。



次は頭部です。下額瘤は黒い太いところ、中額瘤は細く伸びている間に少し太くなっている部分を指しているのだと思います。こういう形をしているとまずウシアブ群だということですね。⑥は腹背の模様についてですが、さすがに翅をのけて写すことはできなかったので、これはパスしました。この項目はハタケヤマアブを除外する項目なのですが、ハタケヤマはニッポンシロフアブに似ているというので外観がだいぶ違うのではと思いました。調べないといけないのですが・・・。

最後はウシアブの特徴である額三角区の色で額の色とは違う白色だということでウシアブになります。でも、よく見ると白ではなくて薄い褐色を帯びています。先ほど、ハタケヤマの説明を読んだら淡黄褐色粉状と書いてあったので、やはり調べないといけないかもしれません。上の論文のダウンロードしたものは絵が潰れてしまっていて違いがよく分かりません。どうしよう。(追記2016/08/31:菅井 桃李さんから、「日本産アブ科雌成虫の分類にも、ハタケヤマアブの翅は透明ですが、ウシアブの翅は淡褐色にくすむとあるので、ウシアブで問題無さそうです。」というコメントをいただきました



次はムシヒキアブです。木に止まっていたので、写真を撮ったらすぐに飛んでいってしまったので、この一枚しかありません。腹部の縞模様と脚の色、顔の毛の色などを見て、「ムシヒキアブ図鑑」というサイトの写真と比べてみたのですが、ぴったりというわけではないのですが、シロズヒメムシヒキと似ています。この種については以前菅井 桃李さんから、日本にいる種はナガトミヒメムシヒキだと教えていただきました。たぶん、次の論文に載っているのだろうと思うのですが、これもダウンロードできません。

N. Utsuki, "A New Species of the Genus Philonicus Loew (Diptera, Asilidae) from Japan", Jap. J. Syst. Entomol. 14, 53 (2008).

いつも思うのですが、出版から5年ほどたった論文は。人類共通の財産としてダウンロードできるようにしていただけるとよいのですが・・・。





ツツジの葉の上をルリチュウレンジの幼虫を探してキアシハリバエがうろうろしていました。ちっとも止まってくれません。いつも、この名前を書くとき、本当に「キアシ」でよいのだろうかと疑問になってしまいます。ちっともキアシではないからです。もう一度、調べ直してみます。



こちらはこの間から出ているヤドリバエ科のTrigonospila ludio?です。これも最後のひと押しができなくて、?マーク付きです。



小さなアシナガバエです。翅脈に特異なところがないので、今のところパスです。



ピントが合わなかったのですが、小さなハエです。以前も見たような気がするのですが・・・。



最後はユスリカです。これは♂だし、採集して検索したらよいのにと思ったのですが、この間からの水漏れ騒動、その後の写真展もどき、虫展で、どうも心の余裕がなくなってしまっています。それに、プレパラートを作るというところがどうもネックになっています。残りの虫は次回に回します。

バッタを調べる

どうも昔からバッタは苦手で、その苦手の克服を兼ねて、以前、問題になったマダラバッタを探しに家の近くの原っぱと河原の土手に行ってみました(12日)。捕虫網を持って、草むらをスウィープしたのですが、いるのはショウリョウバッタとイボバッタくらい。やっぱり暑いとバッタもいなくなるのかぁと思って諦めかけていた時にやっとバッタに出会えました。





クルマバッタ辺りかなと思って、写真を撮った後、網で捕まえ、各部の写真を撮りました。そして、「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」に載っている検索表に従って調べてみました。



まずは検索表です。これはトノサマバッタ亜科の属への検索表で、後で出てくるトノサマバッタ属もついでに載せておきました。クルマバッタだとすると、1A→2B→3A→4A→5Aと進んでいくはずです。これを例によって、各部を見ながら確かめてみました。



まずは頭部と胸部を横から見た写真です。この写真では2B、4A、5Aが確かめられます。調べる前に、勉強のために「原色昆虫大図鑑III」の図を参考にして、各部の名称を入れてみました。まず、2Aですが、前胸背背面というのは前胸背板の面を指しています。それが凸凹ではないということですが、ここはイボバッタ属と比較してなので、十分に平らだといえるでしょう。次の中隆線は、たぶん、ここに書いた背隆線のことだと思うのですが、一本まっすぐに走っていることが分かります。これは次の図を見るともっと分かりやすいと思います。次は4Aなのですが、前胸背板は前域と後域に分かれて、その間に境目があります。これがはっきりした溝になっているかどうかを見ます。このバッタでは溝は浅く、はっきりしません。後でトノサマバッタの写真を載せますが、この溝はもっと深くはっきりしています。

5Aは前胸背板がアーチを描くかどうかという項目です。この項目で、クルマバッタか、クルマバッタモドキかに分かれます。実は、ここで迷い始めました。図鑑を見ると、もっと顕著なアーチ型のバッタの写真が載っています。ところが、ネットで画像検索すると、はっきりしたアーチ型もあれば、それほどでもない個体もいます。「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」のクルマバッタの写真でも、それほどアーチ型になっていない個体も載っていました。それで、これはちょっと保留にしておきます。



今度は背側からの写真です。前胸背板にまっすぐな背隆線が前縁から後縁まで走っていることが分かります。これで3Aは確かめられました。続いて、先ほど出てきた5Aの残りの項目で、前胸背板に白いX字形の紋があるかないかです。あればクルマバッタモドキ、なければクルマバッタになります。微かなX字形の紋があるようにみえますが、顕著な紋はありません。これはやはりないとすべきかと思って、クルマバッタなのだろうなと思いました。でも、この辺り、さっきの保留の項目と合わせてちょっともやもやです。



次は、頭部を前から撮った写真です。これも各部の名称を入れてみました。「大図鑑」には載っていない構造もあったので、Grasshoppers of the Western U.S.というサイトの用語集を参考にしました。



これはちょっと斜め上から撮った写真です。1Aの頭頂部と額の境目がないことが確かめられます。マダラバッタだと、矢印の部分に境目があるのだろうかと思って探しにいったのですが、捕まえたのは境目のない種でした。



ちょっと後翅を広げてみました。バッタを持つのは慣れてないし、口からは黒い液を出してくるし・・・。慌てて撮ったら、後翅の後ろ半分だけが写ったみたいです。でも、ともかく褐色の帯はありました。

この結果、5Aがもやもやだった以外はすべて確認できました。私はたぶん、クルマバッタでよいと思うのですが、皆さんはどう思われますか。



次は河原で捕まえたトノサマバッタです。



トノサマバッタならば、検索表の1A→2B→3A→4B→6B→7Aと進んでいくはずなのですが、実は検索表を事前に確かめなかったので、後半の検索に必要な後翅と後脚の撮影をしませんでした。大失敗です。それで、3Aまでのところを見てみます。先ほどと異なるのは前胸背板の前域と後域の境にはっきりした溝があることです。写真を撮ってみて初めて分かりました。



この写真も失敗ですね。背隆線(中隆線)が後縁まで達しているのか確かめられません。でも、ともかく、まっすぐな背隆線が走っています。



頭頂と額の間の境目はなさそうですが、これもちょっとはっきりしません。いずれにしても、トノサマバッタはもう一度撮り直さなければなりませんね。まず、生態写真を撮って、それから採集しようとすると、その間にすぐ逃げてしまうので、結構、追いかけるのが大変でした。でも、面白かったので、また、こんなバッタ探しをやってみます。(追記2016/08/31:菅井 桃李さんから、「クルマバッタで良さそうに見えますね。」というコメントをいただきました

次は余談です。

明日と明後日、地域のコミュニティープラザというところで「虫展」を開きます。これまでマンションの集会場でやっていたのを、今年はもう少し公の場所でやることにしました。今はその準備で大わらわです。昨日はポスターを作って、会場近くのお店に貼ってもらうようにお願いにいきました。展示は標本箱を13箱、パネルを5枚、小型の実体顕微鏡2台、それに、ハネカクシの翅の折り方を体験する折り紙コーナーを設けています。ただ、標本がみな古いので、今回は生態写真や顕微鏡写真も壁に貼ることにしました。まだ、標本箱の整理がついていないし、壁に貼る写真も乾燥中の状態です。さらに、明日と明後日1回ずつ、パワーポイントを使って30分ほどの説明をしようかと思っています。こちらの準備はだいたい済んだので、ちょっと一安心です。来場者がそこそこいるといいのですけどねぇ~。

家の近くのむし探検 ハチモドキハナアブほか

家の近くのむし探検 第130弾

8月12日に近くの原っぱにバッタを捕まえにいきました。マダラバッタの検索をしようと、写真を撮りに行ったのです。捕虫網を持って草原を歩き回ったのですが、猛烈に暑かったせいか、バッタはショウリョウバッタ、イボバッタを除いてなかなか見つかりません。やっとクルマバッタを捕まえて写真を撮ったのですが、マダラバッタがいなかったので、今度は川の土手に行ってみました。ここもトノサマバッタ以外は見つかりませんでした。仕方なく、写真だけ撮って、近くをちょっと覗いてから帰りました。バッタの写真はまだ整理中なので、そのほかの虫の写真です。



原っぱの横にクヌギが生えているのですが、そこに行ってみると、一匹のハチが止まっていました。ドロバチだろうなと思って、一応、写真を撮って、家に戻ってから見たら、びっくりびっくり。平均棍があるじゃないですか。それに触角も変です。これはハエなのですね。調べてみると、ハナアブ科のハチモドキハナアブの仲間のようです。それにしてもハチそっくりですね。

「日本昆虫目録第8巻」によると、ハチモドキハナアブはハナアブ科ハチモドキハナアブ族に入っていました。
この中には4種載っているのですが、そのうち本州に産するのは、ヒサマツハチモドキハナアブ、ハチモドキハナアブ、ケブカハチモドキハナアブの3種でした。これ以上は分からないので、少し文献を調べてみました。

市川 俊英、大原 賢二、「ケブカハチモドキハナアブとヒサマツハチモドキハナアブ(双翅目,ハナアブ科)の成虫の行動」、香川大学農学部学術報告 61, 1 (2009). (ここからダウンロードできます)

この論文は、ハチモドキハナアブについては5~9月ごろ樹液が滲出するクヌギやニレに集まることが知られているのですが、他の2種についてははっきりしないので調べてみたという内容です。調べてみると、ケヤキの樹幹にもいることがあるのですが、もっぱら、花に訪れるとのことです。ヒサマツの方は5~6月にイボタ、ウツギに訪花、ケブカは3~4月にナノハナ、フサザクラに訪花することが分かりました。ただし、♀はケヤキの幹に産卵する姿も見られたので、一次的にはケヤキの樹液を利用するが、クヌギに比べて栄養分が少ないので、訪花が栄養源としては主体になっているのではと書かれていました。いずれにしても、8月にクヌギに来ているということはハチモドキハナアブでよいようです。(追記2016/08/31:菅井 桃李さんから、「7月にキバナカワラマツバに訪花していたのを見たことがありますが、ハチモドキハナアブは意外と大きいですよね。」というコメントをいただきました



そのすぐ横ではカマキリがアブラゼミを捕まえていました。



日陰ではミヤマアカネの姿も。





この斜面ではタカサゴユリがあちこちで咲き始めていました。



でも、その斜面に行く途中ではマツ枯れがひどくて、道がすっかりふさがれていました。



河原の近くにはいつも行っている林の入り口の道があるのですが、そちらもちょっと覗いてみました。フタスジツヅリガがいました。



それにホオズキカメムシも。でも、主だった虫はこれくらい。もっとも小さな虫は探せば結構いたかもしれませんが・・・。



川べりにはクサギの花が咲き始めていました。

家の近くのむし探検 イッカクカスミカメ(?)ほか

家の近くのむし探検 第129弾

4日前の公園での虫探しの結果です。今週の木曜日と金曜日に地元のコミュニティープラザで昆虫展を開く予定になっています。その準備をしていたら、虫の名前調べがだんだん遅れてきました。



桜の木に何かいないかなと思って探していたら、こんな虫を見つけました。触角がだいぶ長い感じです。翅が途中で折れているので、カスミカメみたいですね。ちょっと拡大してみます。



さらに、拡大してみます。



頭部の先端がとがって出ています。しかも、カスミカメは頭部が三角形に見えることが多いのですが、これは前の方に伸びています。翅には黒い模様があります。こんなところを参考にして、「日本原色カメムシ図鑑第2巻」をずっと見ていたら、イッカクカスミカメが候補にあがりました。説明を読むと、以前は東京都内の銀座でも生息していたみたいですが、東京都の生息地は現在までに失われてしまい、最近では新潟で採集した例があるくらいの珍しい種であるとのことです。でも、ネットで検索してみると、幼虫の写真を含めて、結構、いっぱい引っかかりました。そんなに珍しい種ではなさそうです。なんとなく脚の感じがクモに似ていますね。



これは以前、菅井 桃李さんから、エノキワタアブラムシかもと教えたいただいた種と同じなのでしょうか。アブラムシはどうやって調べていったらよいのか、まだ、分かりません。



後はキマワリ



かなり小さい気がしたのですが、たぶん、トゲナシケバエだろうと思って、いい加減に撮ってしまいました。でも、後で見ると、どうも翅脈が違うみたいです。もう少し検討してみます。

追記2016/08/15:翅脈、胸背、触角などをもう一度調べてみました。どうやらトゲナシケバエ科であることは間違いなさそうです。翅脈に名前を付けてみました。



翅の前縁側が見えにくかったので、もう一方の翅に書き加えました。翅脈の名称はMND(Manual of Nearctic Diptera) Vol. 1にHardyが書いたものが載っています。しかし、すでに何度か書いたように、この名称についてはいろいろと議論があります。ここでは三枝氏が提案した方式(「原色昆虫大図鑑III」で採用されて方式)で書いてみました。合っているといいですけど・・・。Hardyの方式と異なる点は、CuA1→M3+4、CuA2→CuA、A1→CuPとなっている点です。最初に上の写真を見ておかしいなと思ったのは、CuAとCuPの先端が翅縁で交わっているところです。こういう翅脈はアブによく見られる翅脈なので、ひょっとしてトゲナシケバエではないのかなと思ったのです。でも、調べてみると、トゲナシケバエでよさそうです。Hardy (1960)には検索表が載っているので調べてみると、どうやら、以前も見たPlecia membranifera♀でよいようです。

検索の過程をざっと説明すると、まず、R2+3脈が分岐し、前脚脛節に棘がないこと、触角ががっちりしていて第3節が伸びていないことでトゲナシケバエ科になります。次に、R2+3脈が短くてR4+5脈に垂直に近く分岐しているところからPlecia属になります。さらに、胸背を縦に走る溝があり、胸背の色がくすんだ黒であるところからPlecia membraniferaになりました。ちょっとはっきりしなかったのは触角の節数で、上の写真で単純に数えると10節しかないのですが、検索表では11節あることになっています。写真では写っていないのですが、先端に小さい節があるのかなと思っています。この種はこれまでも、を詳しく調べたことがありました。♂の腹部末端の形状が特異だったので、そのときは翅脈を調べていなかったのですが、多分、大丈夫かなと思っています。これまでも5月と8-10月に何度か見かけていたので、時期的には合っていそうです。大きさが小さく見えたのですが、以前調べたときの♀の体長が5mmだったのでそんなものだったのかもしれません




また、木の幹にアリが集まっていました。



樹液みたいなものが出るのでしょうね。



たぶん、以前調べたハリブトシリアゲアリと一緒かなと思います。



これはチュウガタシロカネグモかな。



桜の木をニホントカゲが登っていました。



じっとしていたので、もう少し近くでパチリ。



まだ動かないので、もう少し近くで・・・。大きくすると各部が芸術的に造られていますね。

家の近くのむし探検 公園の蛾

家の近くのむし探検 第128弾

3日前に公園で見た蛾の紹介です。蛾は公園ではなかなか見つからないものだと思っていたのですが、ツツジの植え込みの中を探すと結構いろいろと止まっているものです。



まずはこの綺麗な蛾です。マダラメイガの仲間です。調べるとすぐに分かりました。アカマダラメイガでした。これまで何度か見た気がしたのですが、記録を調べてみると、ブログを始めた3年半前からは初めてでした。



こちらもマダラメイガなのですが、これは名前調べに四苦八苦しました。「標準図鑑」を二度を見て、「大図鑑」を一度見て、共にAcrobasis属かなと思ったので、その辺りではないかと思います。たぶん、以前も見たホソアカオビマダラメイガではないかと思いますが、自信はありません。



長い下唇鬚が気になりますね。これも以前見た、マルハキバガ科のホソオビキマルハキバガではないかと思います。これまではマンションの廊下で見たものだったのですが、野外で写すと生き生きした感じになりますね。



これはコヨツメアオシャクです。これも野外だと綺麗に写りますね。



これはヨモギエダシャクです。でも、野外ではいつも綺麗に写せるわけではなくて、こんな風に隠れている方が多いですね。



これはだいぶ迷いました。キシタホソバとムジホソバです。でも、黄色の帯の幅が広く、胸から肩にかけての色からムジホソバ♀かなと思ったのですが、どうでしょうね。



ヤマトカギバはよく見ますね。



後はマンションの廊下で見たものです。同じカギバガのギンモンカギバです。これもブログをはじめてから初めて見た蛾でした。なかなか綺麗ですね。



ハガタベニコケガ



これはクロテンカバアツバあたりかなと思ったのですが、どうも模様が合いません。今のところ、不明種です。



最後は、廊下に止まっていたイソヒヨドリです。



パッと飛んだと思ったら、蛾をくわえていました。

家の近くのむし探検 バッタ、ハエ、蛾ほか

家の近くのむし探検 第127弾

4日前に家の近くの公園で見た虫たちです。暑い日で、公園に行っても、ウスバキトンボが飛び回っているほかはおよそ虫の姿は見えません。そんなときでも、公園の隅々を調べてみると意外に虫はいるものです。



ツツジの葉にこんなイナゴが止まっていました。翅が長いのでハネナガイナゴだと思うのですが、コバネイナゴの長翅型もいるので、一度、違いを調べておこうと思って調べてみました。まず、これは腹端の形から♂のようです。その部分を拡大してみます。



「原色昆虫大図鑑III」の中の図を参考にして各部の名称を書き入れてみました。Tはtergumの略で背板、Sはsternumの略で腹板の意味です。

ハネナガイナゴとコバネイナゴの違いを手元の図鑑で調べてみました。まずは、日本直翅類学会編、「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」(北大出版、2006)にある検索表です。イナゴ属♂の検索表からその部分を抜粋すると次のようになります。

①胸の下は赤くない
②♂尾肢(尾角)先端が二股でない
③眼はやや小さい;より大型;肛上板に微細な硬化はない
④翅は長い
⑤九州以北に分布
 ⑥ 交尾器の挿入器先端は細い;光沢が強い;擬腹板の形が違う;交尾器の挿入器は細い ハネナガイナゴ
 ⑥’交尾期の挿入器先端は太い リュウキュウイナゴ、サイゴクイナゴ、コバネイナゴ

①から⑤までは何とか追いかけられるのですが、⑥の挿入器と擬腹板が分からず、ここでストップになってしまいました。

次は、宮武頼夫、加納康嗣、「セミ・バッタ」(保育社、1998)です。

ハネナガイナゴ: ♂肛上板は起伏に富み、側縁は波打ち、中ほどで段がつき、深く凹む。凹陥部の基部側は高い隆起となる
コバネイナゴ: ♂肛上板は平滑

上の写真を見ると、肛上板の側縁は凹み(黒矢印)、上側も平坦ではなさそうですが、もう少し詳細に見る必要があります。

次は「原色昆虫大図鑑III」の記述です。

ハネナガイナゴ: ♂亜生殖板は広三角形で、末端は比較的鈍である
コバネイナゴ: ♂亜生殖板は狭い三角形で末端は鋭い

今度は亜生殖板を見ればよいようです。先端は尖ってはいないので、ハネナガみたいですが、これももう少し詳しく見る必要があります。ということで、♂の肛上板か、亜生殖板を見ると何とかなりそうです。♀でも、腹部第3背板の後側角と生殖下板に違いがあるそうです。今度、採集してきて観察してみようと思います。



次はこのハエです。桜の木の幹に止まっていました。これも見覚えがあります。



真上からも撮ってみました。このハエは以前にも調べたことがありました。その時の結果によると、ヤドリバエ科のTrigonospila属に属するハエです。「日本昆虫目録第8巻」によると、この属には、ludio、transvittata(シロオビハリバエ)、vittigeraの3種が載っています。このうち前2者は次の論文に写真とその違いが載っていました。

H.-W, Byun and H.-Y. Han, "Taxonomic Review of the Genus Trigonospila Pokorny (Diptera: Tachinidae: Blondeliini) in Korea", Kor. J. Syst. Zool. 26, 243 (2010). (ここからpdfがダウンロードできます)

これによると、中胸の黒い帯が両側の翅にまで届かないのがludio、届くのがtransvittataだということです。最後のvittigeraについては次の論文にヒントが出ています。

H. Shima, "Study on the Tribe Blondeliini from Japan (Diptera: Tachinidae) II. Revision of the Genera Trigonospila Pokorny and Lixophaga townsend from Japan", Kontyu 47, 298 (1979). (ここからダウンロードできます)

この論文ではT. magnaを新種として記載されているのですが、このmagnaはその後の日本産のリストには入っていません。そこで、もう少し調べてみると、次の資料にそのことが載っていました。

B. Herting, "Catalogue of Palearctic Tachinidae (Diptera)",  Stuttgarter Beitr. Naturk. Ser. A, Nr. 369, 1 (1984). (ここからpdfがダウンロードできます)

この中で、magnaはvittigeraのシノニムだということが書かれていました。だとすると、Shimaの論文に書かれているmagnaがvittigeraのことになるので、その特徴を読んでみました。magnaはludioに近いが、大きさが大きく、腹部第5腹板と交尾器の形が違うとのことです。外見上の違いはぱっと見ただけではよく分からないのですが、magnaでは小盾板の先端だけが白いと書かれていました。上の写真では先端だけではないので、たぶん、この種はTrigonospila ludioだろうと思いますが、今のところ、?マーク付きですね。





そのほかには木の幹に止まっていたウシカメムシの5齢幼虫。



それにウシアブらしいアブでした。でも、これは♂なので、はっきりとは分からないのですね。



蛾はアミメケンモン



テンモンシマコヤガ



チョウセンツマキリアツバ



ウスギヌカギバ




それから、前日も見たリンゴドクガの幼虫。



ネコハエトリもいました。



この日は風が強かったので、気温は高かったのですが、日陰にいると結構涼しかったです。この風で、ベニバナボロギクの種が次々に飛び出していました。



マンションに戻ってくると、手すりにタマムシが止まっていました。珍しいですね。でも、近くで写真を撮っていたら、すぐに逃げていってしまいました。(追記2016/08/31:菅井 桃李さんから、「タマムシは綺麗ですよね。真夏の暑い日中には、産卵の為に低いところに下りてくるメスを見る機会が多くなりますが、カラスに襲われるものも増える時期ですね。白腐れの倒木や立ち枯れに産卵に来るんで、機会があれば腹端を長く伸ばして産卵する姿が見られるかも。」というコメントをいただきました



前日、天井に止まっていたボクトウガが手すりにまで降りてきていました。お陰で近くで撮影できました。

廊下のむし探検 虫がいろいろ

廊下のむし探検 第828弾

8月7日、久しぶりにマンションの廊下を歩いてみたときに見た虫です。蛾はすでに出したので、そのほかの虫を出します。



キイロカワカゲロウがあちこちにいました。これは脱皮を失敗したのでしょうか。産卵までしているようです。



久しぶりにクサカゲロウを見ました。公園でもいるのですが、あまりゆっくり見られないので、さすがに廊下ではじっと止まっているのでよく見えますね。



例によって顔を拡大してみました。頬に黒の四角紋、頭盾の縁に黒点、口肢の外側が黒いなどから初めヤマトクサカゲロウかなと思いました。そこで、以前作った簡易検索表で調べてみました。



頭部は有紋→file-like structureはない→翅脈は二色性→額に紋がない→im室の先端がRs-M横脈を越える を選ぶと、ニセコガタクサカゲロウ属になることが分かります(im室とRs-M横脈についてはこちらを見てください)。ヤマトクサカゲロウはim室とRs-M横脈との関係から区別することができました。最後に、種の検索をして、ヒメニセコガタクサカゲロウかなと思いました。



後はウロコチャタテがいました。これは公園でもときどき見ますね。



羽アリもところどころにいたのですが、どうせ名前がわからないだろうなと思ってあまり写しませんでした。♂アリみたいですね。



これは見覚えがありました。以前、教えていただいたオオハリアリ♂でしたね。私はてっきりコマユバチかなと思っていたのですが・・・。



これもハチだと思うのですが、何でしょう。



それからヤブキリがいました。



何だか分からない虫が天井に止まっていました。ハエらしいなと思って図鑑をパラパラ見ていたら、ホソムシヒキという虫が目につきました。ネットで調べると、まさにこれと似た写真がたくさん出てきました。「日本昆虫目録第8巻」で調べると、ホソムシヒキ亜科には3属12種が載っているのですが、そのうち、本州にいるとされるのは2属9種です。順に調べていけば、種まで分かるかもしれません。



これはトゲナシケバエですが、採集はしなかったので名前までは分かりません。



次は甲虫です。これはケナガスグリゾウムシ



キイロテントウ



オオセンチコガネ



これはハナムグリですので、検索のためにいろいろな場所の写真を撮っておきました。





腹部と頭盾です。これと以前、検索をしたときの記事とを比較して、今回もシロテンハナムグリだと判断しました。その決め手は後脛節に2段刻があるというところですが、上の裏返しにした写真でもはっきり分かります。



これはサビカミキリかな。



次はクモ。これはズグロオニグモ



アリグモ



このクモは前にも出てきたけれど何だったかなぁ。虫がたくさんいすぎて調べるのがくたびれてきた・・・。

虫を調べる ホソアシナガバエ亜科

この間からアシナガバエを調べてみたいと思っていて、先日、2種のアシナガバエを採集したのですが、いざ検索してみるとなかなかうまくいきません。それで、だいぶ以前に採集していて、たぶん、ホソアシナガバエ亜科Condylostylus属だろうと思う種について、練習のつもりで検索をしてみました。でも、それでも結構大変でした。



用いたのはこんなアシナガバエです。5月29日に家の近くで採集したものです。翅全体が薄黒く、中央に白い模様が入っているので、マダラホソアシナガバエ属 Condylostylusで間違いないのではと思っています。いずれにしても、後で示すようにM1脈が大きく曲がっているので、ホソアシナガバエ亜科 Sciapodinaeであることは確かそうです。そこで、次の論文に載っている検索表を使ってみることにしました。

D. J. Bickel, "The Australian Sciapodinae (diptera: Dolichopodidae), with a review of the oriental and Australasian faunas, and a world conspectus of the subfamily", Australian Museum Journal, Suppl. 21 (1994). (
ここからダウンロードできます)

この中で日本産に限って検索をしてみると、無事にCondylostylus属になりました。いつもすぐに忘れてしまうので、その時の検索過程を記録しておこうと思います。



検索表を使うと上の3項目を確かめるだけで、比較的簡単にCondylostylus属に到達しました。いつものように各部の写真でこれらを確かめてみたいと思います。



まずは頭部の写真です。複眼の横が大きくえぐれています。複眼のすぐわきに盛り上がった部分があり、そこから黒い頭頂剛毛が上に向かって生えています。さらに、白い毛も3本ほど横に向かって生えています。このちょっと盛り上がった部分が、たぶん、検索表に載っているraised setose moundと書かれた部分だと思われます。この部分を生物顕微鏡を使ってもう少し拡大してみます。



こうして拡大してみると本当に奇妙な形をしていますね。特に単眼瘤が一つ目のようにこちらを睨んでいます。



次は触角の拡大です。触角刺毛は背側の先端から出ています。たぶん、背亜縁側というので合っているのでしょう。また、梗節には背側にも腹側にも長い刺毛があります。検索表の通りですね。



次は胸部の背側を見たものです。除光液入りの毒瓶に入れたのが2か月半前だったので、だいぶ乾燥してしまっていますが、まだ、脚や翅は固まっていないので、自由に動かすことができます。この写真では小盾板に2対の長い剛毛が生えていることを見ます。



ついでに刺毛の数も数えてみました。中刺毛は左側は3本、右側は2本、背中刺毛は両側とも4本でした。これも検索表の通りです。



次は翅脈です。毒瓶の中で翅がくちゃくちゃになっていたのですが、何とか伸ばしてみました。翅脈の名称は「日本産水生昆虫」によっています。M1脈がM2脈と分岐した後、大きく上側やや基方側に上がり、約90度で翅縁側に曲がってR4+5脈に接近するようにして翅縁に達しています。検索表では基方に鋭く曲がるということなのですが、この程度でもいいのかどうかは分かりません。



次は中、後腿節についてです。見たところ、どちらの腿節も強い剛毛は見当たりません。前亜縁剛毛というのは、anterior preapical setaeを訳したもので、腿節の末端近くにある前側(写真の下側)を向いた剛毛を指しています。写真を見る限り、確かにありません。ということで、交尾器に関するもの(上の検索表では省略しています)のほかはすべての項目が満足されたので、たぶん、Condylostylus属で合っているのではと思います。



ついでに、腹部末端の写真も撮ったのですが、複雑な構造が見えます。多分、♂ですね。

実は、これから先が大変でした。日本産アシナガバエ科チェックリストが「知られざる双翅目のために」というサイトに載っているのですが、その中ではCondylostylus属には次の4種が載っています。

Condylostylus itoi Kasagi, 2006 ヒメマダラホソアシナガバエ
Condylostylus japonicus Kasagi, 1984 ヤマトマダラホソアシナガバエ
Condylostylus luteicoxa Parent, 1929
Condylostylus nebulosus (Matsumura, 1916) マダラホソアシナガバエ

このうち、ヒメマダラ、ヤマトマダラ、マダラの3種については次の論文に載っています。

田悟敏弘、「関東地方にて採集したアシナガバエ科の記録」、はなあぶ 30-2、1 (2011)

また、マダラについては「原色昆虫大図鑑III」に詳しい種の説明が載っています。さらに、ヤマトマダラについては次の記載論文が見つかりました。

M. Kasagi, "A New Condylostylus (Diptera, Dolichopodidae) from Japan", Kontyu 52, 293 (1984). (ここからダウンロードできます)

残念ながら、C. luteicoxaについては情報がないのですが、この3種と今回の個体を比較してみました。まず、ヤマトマダラは中、後基節が暗色であり、また、翅の模様も異なるようです。上の写真でも分かるように基節は特に暗色ではないので、これを除くことができます。次に、ヒメマダラは小型で体長は4.5mm、また、前脛節先端に強い刺毛を持つということです。体長はよく合っています。



でも、前脛節先端を見ても弱い刺毛は見えますが、強い刺毛は見えません。それで、残りのマダラの可能性が高くなるのですが、「はなあぶ」の説明を読むとマダラでは前脛節背面に短い刺毛1本を持ち、ヒメマダラは刺毛を持たないとあります。この個体では明らかに背面に2本の刺毛を持っていてどちらとも合いません。ということで、マダラホソアシナガバエに近いと思われますが、そのものかどうかは分からないという、またしてももやもやの結果になってしまいました。(追記2016/08/31:菅井 桃李さんから、「ヤマトマダラのまだ体色が薄い個体に見えますが、いかがでしょう?最初の生体を見ると、まだ胴体ちゃんと色付いてませんね。脚の特徴はヤマトマダラですし、おそらくヤマトマダラだと思います。」というコメントをいただきました。ヤマトマダラの性質をまとめてみたのですが、これから断言するのはなかなか難しいですね。若いので色があてにならないとすると、刺毛の数にも結構範囲があるし・・・

他のアシナガバエについてもついでに調べてみたのですが、どれもはっきりしなくて弱っています。綺麗なハエなのに、どうして名前調べがこんなに難しいのでしょう。困ってしまいますね。

廊下のむし探検 蛾が多い

廊下のむし探検 第827弾

8月7日に、久々の「廊下のむし探検」をしてみました。調べてみると、6月中旬が最後だったので、もう2か月ほど前のことになりました。この日は暑さが厳しくて、時間もなかったので、廊下を歩いてみることにしたのですが、やはり虫はそこそこいますね。



公園だと蛾はツツジの葉の上にいるのですが、マンションの廊下だと天井に止まっていることが多いので、望遠で撮ることになり、どうしても少し不鮮明になります。これは久々に見たボクトウガです。



真下からも撮ってみました。記録を見ると、3年前の7月に見たのが最後でした。



やはりシャチホコガは多いですね。これはコトビモンシャチホコ



それに、クロシタシャチホコ



それから、モンクロシャチホコ。いつもの連中ですね。



これはアカヒゲドクガです。



ゴマフリドクガ



それにテングイラガ



「標準図鑑」によると、ウンモンクチバとニセウンモンクチバは外見上の違いは分からないとのことなので、ウンモンクチバsp.ということにしておきます。



アシブトチズモンアオシャクもいました。相対的にやや大きな蛾が多く見られますね。



この小さな蛾はノシメマダラメイガ



最後はこのイエウエノメイガでした。近寄ったらすぐに逃げるぞという格好ですね。後の虫は次回に回します。(追記2017/06/26:名前が間違っていました。訂正します。イノウエノメイガでした

家の近くのむし探検 カメムシ、ハエ、甲虫など

家の近くのむし探検 第126弾

8月5日の公園での虫探しの続きです。最近は猛暑続きなのですが、公園の虫探しが病みつきになってついつい暑い中を公園まで行ってしまいます。それでも、行ってみるとなんだかんだ虫はいるものです。



キマダラカメムシの幼虫がいました。たぶん、桜の木だったと思います。この間も成虫を見たばかりだったので、この公園もすっかりキマダラカメムシで覆われてしまったという感じですね。





アシナガバエが2種いました。今回は採集したので、また、今度検索をしてみます。今のところ、いくつかの文献に載っている検索表を予習中です。とりあえず、特徴的なM1+2脈に注目すると、上はM1+2脈が分岐せずに翅縁まで伸びています。下はM1+2脈が分岐して、M1脈が大きく前方に曲がり、もう一度屈曲して翅縁にまで伸びています。分岐したもう一方のM2脈の翅縁近くまで達しています。こんなところから、後者はホソアシナガバエ亜科Sciapodinaeだと思われます。ホソアシナガバエ亜科にはBickelの検索表があるので、属までは調べられるかもしれません。前者はMNDで属の検索をしてみるしかないのでどうなることか。うまくいくとよいけど・・・。



これも桜の木に止まっていたのですが、たぶん、先日同定したチャバネヒメクロバエというイエバエ科のハエだと思います。もっとも同定が合っていればの話ですが・・・。同定の過程を写真で撮っておかないといけないですね。もうすっかり忘れてしまって・・・。



こんなハチはいっぱいいるのですが、どうせ調べても名前は分からないだろうなと思っていつも写真だけです。これもヒメバチ科だとは思うのですが、それ以上は分かりません。



ツツジの茂みを覗いていたら、こんなハチと目が合ってしまいました。



こちらが動くと向こうも顔を回してきます。大きなハチだったのですが、ファイダー越しに見ていて平気で接近して撮ってしまいました。後で調べてみると、キイロスズメバチだったのですね。びっくりです。



これはカマキリの脱皮殻でしょうね。よく見ますね。



イダテンチャタテ
は変化を見ていきたいので、しばらくは写すことにしました。



甲虫ではマメコガネ



そして、ユリクビナガハムシの幼虫ではないかと思っている虫がいました。



桜の木の根元にこんな大きなナメクジ。



これは前からです。これがヤマナメクジというのだろうか。(追記2016/08/31:星谷 仁さんから、「ナメクジは外来種のマダラコウラナメクジではないでしょうか?」というコメントをいただきました。そういえばちょっと甲羅みたいなものが見えるような気がします。今度、よく見ておきます。どうも有難うございました



最後はマンションの廊下で見つけたゾウムシです。動き回るので、うまく撮影できなかったのですが、翅に粉がふいたような感じで、触角の先端が細くて長いですね。こんなところを手掛かりに調べたのですが、クリイロクチブトゾウムシか、オオクチブトゾウムシあたりかなと思ったところまで。

家の近くのむし探検 蛾が多い

家の近くのむし探検 第125弾

猛暑のせいなのか、公園に行っても虫は少なめ。でも、ツツジの植え込みをよく探すと、ここかしこに止まっている蛾が見つかります。たぶん、暑さをしのいでいるのですね。



シロマダラノメイガです。これも葉裏に止まっていたので、ちょっと一脚の先で追い出してみました。そうしたら、また、別の葉裏に止まりました。そこで、もう一度。そうしたら、やっと葉表に止まってくれました。模様がずいぶん複雑ですね。



こちらはマダラメイガ。これもちょっと追い出したら、近くの桜の木に、まるで、自分は小枝ですよという感じで止まっています。見た目にはほとんど分かりません。でも、フラッシュをたいて撮ったら、そこだけ白く光ってよく見えました。



でも、名前調べは大変。「標準図鑑」を見ていくと、前翅前縁部が白いので、Assara属が似ている感じです。その中でも後縁中央に白い筋が入っているのはフタシロテンホソマダラメイガなので、それかなと思いました。



次はアオシャクです。アオシャクもいつも苦労します。ハラアカ、ウスハラアカ、ホソバハラアカ、ナミスジコあたりが候補に挙がったのですが、腹部背が赤くないし、外横線の内側、内横線の外側が濃い緑色で赤みを帯びないのでナミスジコアオシャクかなと思いました。



次はヒメシャクです。ヒメシャクはもう何が何だか分かりません。たぶん、ヤスジマルバヒメシャクかなと思っています。



これはすぐに分かるアオシャクで、コヨツメアオシャクです。



これはたぶん、シバツトガ



それにクロテンハイイロコケガ。木の幹に止まっていました。



これはウスアオモンコヤガ



それにこの間も見た小さい蛾で、ゴボウハマキモドキでした。

蛾ではその他に、





こんな毛だらけの毛虫がいました。リンゴドクガの幼虫だと思います。ドクガといっても毒毛のない方ですね。



後はマンションで見た蛾です。これはセダカシャチホコ



ハガタベニコケガ




それにチャオビチビコケガでした。

以下はまた雑談です。

主に、「廊下のむし探検」と「家の近くのむし探検」で見た昆虫をまとめて、小さな手作り図鑑を作っているのですが、ほとんどの虫が終わり、いよいよ蛾が残るだけになりました(甲虫の一部も)。蛾はずっとブログには出していたのですが、リストを作る作業は今年の2月で止まっていたので、これをやらないといけません。このリスト作りが終わらないと全部で何種になったのかも分からないのですが、たぶん、900種ほどになっているのではと思っています。これだけの画像を図鑑の配列順に並べるため、科・亜科を調べ、図鑑に載っているページを調べ、撮影日時、学名を付して、さらに、必要なものにはコメントを入れていくのは大変な作業になります。でも、頑張らなくっちゃ。

家の近くのむし探検 マダラバッタ探し失敗

家の近くのむし探検 第124弾

8月4日の公園での虫探しの結果です。先日撮影したバッタの名前が分からなかったのですが、皆さんからマダラバッタだと教えていただいたので、確認のために網を持っていきました。公園の広場には一面雑草が生えています。そこを網でスイープしていったのですが、結局、トノサマバッタはおろかマダラバッタも見つかりませんでした。いるのはショウリョウバッタだけ。



悔しかったのでこんな写真をパチリ。今度は河原の方で探してみようっと。



その代わり、ツツジの葉の上でこんなハエを見つけました。翅脈からはヤドリバエあたりです。





後で検索の際にいるかもしれないと思って、横からや前から写していたら、鬱陶しいのか逃げてしまいました。岐阜大の昆虫図鑑:ハエ目(双翅目)で探していると似た種が見つかりました。ヒラタヤドリバエ科のPentatomophaga latifascia だそうです。この名前で画像検索すると、たくさん出てきました。よく見る種みたいです。「日本昆虫目録第8巻」で調べてみると、ヒラタヤドリバエ科というのはなくて、ヤドリバエ科ヒラタヤドリバエ亜科ヒラタヤドリバエ族になっていました。やはり和名は載っていませんでした。



この日は午後3時ごろに行ったので、もう暑くて暑くて。一時間ほどで切り上げて帰りました。でも、とりあえず、いた虫は記録のために撮っておこうと思って、イダテンチャタテ幼虫。



クサギカメムシ



それからこの間から気になっているツマグロオオヨコバイらしき幼虫。今回のはやや小さくて少し黄味を帯びています。



蛾もいたのですが、名前調べが難しい。これはホソスジキヒメシャクかな。



このアオシャクはだいぶ迷いました。コガタヒメ、ヒメウス、ウスキヒメなどが候補に挙がったのですが、外横線、内横線、翅形などからコガタヒメアオシャクにしました。合っているかなぁ。



もっと迷ったのがこのヒメシャク。マエキ、モントビ、クロテンシロ、タカオシロあたりが候補で、横線が明瞭なのと中横線が少し違うのでマエキは除外。モントビかなと思ったのですが、「標準図鑑」には後翅に横脈点があると書かれていて、これにはないのでモントビも除外。クロテンシロ、タカオシロの差はよく分かりません。「標準図鑑」では交尾器を見よとのことですが、たぶん、クロテンシロヒメシャクかなと思ったのですが、翅頂の黒点もはっきりとはしてないし・・・。ということで、ギブアップ。



アミメケンモンはやたら見ます。ということでこの日の公園の虫探しは終わりです。



帰りにクモの巣に引っかかったタマムシを見つけました。頭がなくなっていましたが・・・。

後は雑談。



8月1日から近くの施設のギャラリーを借りて「写真展もどき」を開いています。前回は厚さ7mmのノリパネに貼って壁に「ひっつき虫」という粘土でくっつけたのですが、乾燥していてパネルが反り、つぎつぎ落下してえらいことになりました。今回は100均で買った額に入れて上から吊り下げたため、途中で落ちることなく無事に展示できました。額を固定するため、「ひっつき虫」で額の下側を止めています。また、下にある解説パネルも「ひっつき虫」で中央2か所を止めたため、乾燥で反っても大丈夫のはず。ただ、写真の前にプラスチック板があるので、折角、マット紙に印刷したのですが、ちょっと光ってしまいました。



奥の棚には虫の解説のパネルを用意しました。タマムシは実物も置いてみました。



真ん中のテーブルには手作り図鑑を並べています。向こう側がこの地域での図鑑で昆虫が5冊、鳥・動物が1冊、それに分厚いのが作りかけの詳細版図鑑です。これでまだ、甲虫とチョウ・ガ、トンボが入っていないので、全体の半分というところです。手前はあちこちで撮った写真をまとめたものやら、手作りの絵本などを並べています。会場に詰めているわけではないのですが、暑いからか、テーマが虫になったからか、訪れる人は前回の鳥・動物の時より少ない感じです。

昨日は公園でアシナガバエを2種採集してきました。一つはホソアシナガバエ亜科、もう一つは属不明です。今度、属の検索をしてみようと思っています。

家の近くのむし探検 カゲロウ、ハムシほか

家の近くのむし探検 第123弾

3日前の公園での虫探しの結果です。この日は午後から出かけたので大変暑かったのですが、公園は木が植えてあるので、案外、日陰が多くて、その日陰伝いに歩いていると意外に涼しさを感じます。



蛾とハエは昨日出したので、今日はこの写真からです。ツツジの葉の上にこんな格好で止まっている虫がいました。さて、何でしょう。



斜め横から見るとこんな感じです。そう、カゲロウの仲間でした。尾が2本、大きな眼に縞模様が入っているので、たぶん、ヒラタカゲロウの仲間の♂だと思います。捕まえたら名前が分かったかもしれませんが、何となく可愛そうで・・・。(追記2017/06/26:シロタニガワカゲロウかなと思っている種です



公園の入り口にタカサゴユリがニョキニョキ生えてきているのですが、その葉にこんな黒い泥みたいなものがたくさんついています。







拡大するとこんな幼虫が入っていました。体を糞で覆っていて、こんな格好の虫といえば、以前、クコについていたトホシクビボソハムシを見たことがあります。たぶん、ハムシの仲間、しかも、ユリを食べるなんて・・・。というヒントで探してみると、ユリクビナガハムシというのが見つかりました。成虫がいないので、合っているかどうか分かりませんが・・・。この近くのタカサゴユリは軒並みやられていました。でも、タカサゴユリはもっとたくましくて、やられているユリのすぐ横ですくすく伸びている株もたくさんありました。



そのほかの虫です。ヘクソカズラの葉にまたグンバイムシがいました。ヘクソカズラグンバイですね。





この日は公園の街灯の柱にもついていました。それにしても奇妙な形で、どちらから撮れば恰好がよいのやらさっぱり分かりません。



木の幹を見ていると、こんな風にアリがたくさん集まっているところをよく見かけます。




拡大してみると、こんなアリでした。腹部の上の方で腹柄節とつながっています。これは以前検索をしたので見覚えがあります。その時の同定が合っていれば、ハリブトシリアゲアリだと思います。



これはまた別の場所ですが、やはり同じアリですね。





これはまた違うアリです。名前は分かりません。一度、公園内のアリを全部調べてみたいなと思いました。



このハチは春にも見たことがありました。その時は採集して、検索をしてコマユバチだということは分かったのですが、あまりに小さすぎて、亜科の検索まで進む気力が出ませんでした。今回もパスです。



後は、ツツジトゲムネサルゾウムシ



マンションの廊下ではお馴染みのフタモンウバタマコメツキ。やはり、外で写した方が様になりますね。



それとネコハエトリでした。



最後はマンションの廊下での撮影です。この間から止まっていたので写したのですが、写したときにはオオクロホソナガクチキだと思っていました。でも、よく見るとハナノミですね。大きさを測るのを忘れたのですが、ナガクチキだと思ったくらいだから10数ミリはあったと思います。こんな大きなハナノミでこんな色のは・・・と思って図鑑を見ると、クリイロヒゲハナノミが似ている感じです。ハナノミをネットを調べていたら、高桑氏の甲虫ニュースの記事が見つかりました(ここからpdfがダウンロードできます)。この中にクリイロヒゲハナノミについても載っていました。南方系で、この記事が書かかれた時点(1998年)では紀伊半島までは土着しているとのことでした。私は大阪北部なので、紀伊半島かといわれるとちょっと違うのですが・・・。この記事には属の検索表も載っていました。また、このシリーズは全部で10報まで続いていました。いままで、ハナノミは名前調べをギブアップしていたのですが、これらの記事を参考にするとちょっとは調べられるかもしれません。

家の近くのむし探検 ハエ、蛾

家の近くのむし探検 第122弾

一昨日の公園での虫探しの結果です。午後1時半から出かけたので、暑くておよそ何もいないだろうなと思いながら行ったのですが、そこそこ虫はいますね。やはり公園は面白いですね。



今日の最初はこのハエです。ずいぶん派手なハエです。これは名前が分かりそうだなと思って、喜んで撮りました。やはり、「学研生物図鑑 昆虫III」に載っていました。ただし、マルボシハナバエとなっていたのですが、「日本昆虫目録第8巻」ではマルボシヒラタハナバエ Gymnosoma rotundatum となっていました。同属のG. inornatumはネットで見る限り、胸背が黒いので、たぶん、マルボシヒラタハナバエでよいだろうなと思いました。図鑑によると、ヤドリバエ科で、シラホシカメムシ、アオクサカメムシ、ミナミアオカメムシなどに直接に卵を産みつける直接型卵生だそうです。(追記2016/08/24:マルボシヒラタヤドリバエ Gymnosoma rotundatumでした。訂正します



アオメアブがいました。クシヒゲムシヒキ亜科というので、クシヒゲを見るために触角を拡大しようと恐る恐る近寄って撮りました。



だいぶ大きくはなったのですが、触角のひげはどうもはっきりしませんね。その代り、個眼の配列が途中で変わっているところが写っていました。





腹部に白い帯があるので、先日、ヒサマツムシヒキとした種の♀の方ですね。合っているかなぁ。



これはこの間キアシハリバエとしたハエかな。ツツジの葉を次々と移っていきます。たぶん、ルリチュウレンジの幼虫を探しているのですね。



これはハエカビにやられたハエですね。



次は蛾です。これはヒメカギバアオシャク



ツマジロエダシャク




ウスオエダシャク






上がヨスジキヒメシャク、下がホソスジキヒメシャクかな。



ホソスジツトガ




葉の裏にしか止まってくれないので、こんな写真しか撮れませんでした。シロマダラノメイガでしょうね。



チャハマキ




最後は、マンションの廊下に止まっていたモンクロシャチホコでした。後の虫は次回に回します。

家の近くのむし探検 ハエ、ハチほか

家の近くのむし探検 第121弾

3日前の公園での虫探しの続きです。ハエはなかなか厄介で、1匹でもああでもないこうでもないと時間を取られてしまいます。結局ははっきりとは分からないのですけど・・・。この日もいくつかそんなハエがいました。



アシナガバエはぴかぴかして写真の対象としてはいいのですが、いざ、名前を調べようとするとなかなかの難物です。この個体は翅脈のM1+2脈が途中でクランク型に折れ曲がっています。写真で見ると、左から3番目の脈です。この特徴から、たぶん、アシナガバエ亜科のDolichopus(ナミアシナガバエ)属だと思われます。この属には「日本昆虫目録第8巻」には4種載っていますが、田悟氏の「関東地方にて採集したアシナババエ科の記録」、はなあぶNo. 30-2 (2010)、No. 34 (2012)には未記載種が9種も載っています。ここから先はどうやって攻めたらよいのだろうか。

さらに、「一寸のハエにも五分の大和魂・改」の記事を読むと、この曲がっている翅脈をどう呼ぶかにも議論がありそうです。MNDではこの曲がった脈をM1脈とし、曲がる前のもともとの脈が延長して少し突き出している部分をM2脈としています。一方、Bickelはこの脈が緩やかにもっと大きく曲がるホソアシナガバエ(Sciapodinae)亜科について、仮想的な脈を仮定して、大きく曲がる方の脈をM1脈、もともとの脈の延長をM2脈としています。

D. J. Bickel, "The Australian Sciapodinae (diptera: Dolichopodidae), with a review of the oriental and Australasian faunas, and a world conspectus of the subfamily", Australian Museum Journal, Suppl. 21 (1994). (
ここからダウンロードできます)

これに対して、先の掲示板ではDolichopus属については疑いようもなく、曲がっている脈をM1+2脈とし、突き出している脈は二次脈とすべきだとしています。また、Schiapodinaについても同様の意見をお持ちのようです。翅脈の解釈は化石や発生途中の翅脈から先祖型を調べる方法と、近縁種から仮想的な基本形を探す方法があったと思うのですが、アシナガバエの場合はどうすべきなのかはよく分かりません。



ハエついでに別のハエです。桜の木の幹を見ると、いつもこのムラクモハマダラミバエがいて、たえずうろうろしています。この日は2匹がニアミスを起こすところを見ました。写した写真を後で見ると、♂(右)と♀(左)だったのですね。でも、何事もなく通り過ぎていきました。



桜の木の幹で結構すばやくすすすっと動く虫がいるなと思って撮ったら、ウロコチャタテでした。木の幹を見ているとチャタテによく出会えますね。



木の幹ではこんなアリが固まっていることがよくあります。樹液のようなものが出ているのでしょうか。



拡大するとこんなアリでした。これは見覚えがあります。アミメアリですね。



木は木でもこれは木のベンチです。ムシヒキアブが止まっていました。腹部に白い帯があります。



腹部末端も拡大してみました。「ムシヒキアブ図鑑」の写真と見比べてみると、ヒサマツムシヒキではないかと思いました。はっきりとは分かりませんが・・・。



ツツジの葉の上にかなり大きなヨコバイの幼虫がいました。大きさは1cmくらいはありそうな。これがツマグロオオヨコバイの幼虫なのかなと思ってネットの画像検索をしてみると、がっくり。白いのと黄緑色のものが出ています。これまた調べないといけないみたいです。(追記2016/08/05:脱皮直後は白いと書かれているサイトがありました。真偽のほどは分かりませんが、十分に考えられます。もう少し調べてみます



翅脈が見えているので写したのですが、いつもヒメバチらしいというところで止まってしまいます。



最後はマンションの廊下です。かなり大きくて、初め見たときはハルカみたいなものを連想してしまいました。でも、「原色昆虫大図鑑III」の図版を見てみても、こんな長い口吻を持っているものはありません。だとすると、カ科。しかも、ハマダラカです。そこで、「日本産水生昆虫」の図を見て、翅脈に名前を付けてみました。



やはりカの翅脈と一致しますね。ハマダラカは翅の前縁近くの白い模様に名前がついているようです。それに倣って模様に名前を付けてみました。ハマダラカ亜科はハマダラカ属1属で、亜属の検索表が「大図鑑」に載っていました。

1a 翅の前縁には肩紋のほかに少なくとも4白斑がある       タテンハマダラカ(Cellia)亜属
1b 翅の前縁には肩紋のほかに多くとも3白斑があるに過ぎない ハマダラカ(Anopheles)亜属

肩紋はhumeral spotのことで、この個体についてはsubcostal, subapical, apicalの3白斑だけなので、ハマダラカ亜属になるようです。この亜属には、日本産は10種いるのですが、特徴と分布からヤマト、チョウセン、エセシナ、オオツルの4種に絞られます。でも、ぱっと目で見たときに感じたほどの大きさをもった種はいません。口吻が長いので大きく見えたのだろうか・・・。なんで大きさを測らなかったのかと悔やまれます。

家の近くのむし探検 キマダラカメムシ、蛾ほか

家の近くのむし探検 第120弾

一昨日の午後3時ごろに公園に行ってみました。実は、この時間くらいが一日で一番暑いのですが、空いた時間がこのときしかなくて・・・。暑くて何もいなかったというのもまたデータになるだろうと思って行ったのですが、意外に虫はいろいろいました。



着いてすぐに見つけたのが、このキマダラカメムシでした。鳥の糞の汁でも吸っているのかじっとして動きません。



ちょっと横から撮ってみました。初め、口吻が曲がっておかしいなと思ったのですが、実は、これは鞘なのかな。中に黒い口吻があるみたいですね。カメムシの口吻ってこんな感じになっているのでしょうか。





カメムシついでに次はこの幼虫です。やけに触角が長い感じです。何の幼虫か分からなかったので、ネットで調べてみました。オオクモヘリカメムシの幼虫らしいのですが、ネット情報は怪しいことが多いので、もう少し調べてみます。

追記2016/08/04:オオクモヘリカメムシ幼虫について少し調べてみました。まず、「原色日本カメムシ図鑑」には若齢幼虫と4齢幼虫の写真が載っています。若齢幼虫のそれとは似ていますが、写真が小さくてなんとも判断がつきません。オオクモヘリカメムシについて調べていくと、次の論文が見つかりました。

高石淑人、「オオクモヘリカメムシ Anacanthocoris striicornis Scottの生態的知見」、昆蟲 24, 138 (1956). (ここからダウンロードできます)

この論文はオオクモヘリカメムシを飼育し、これまで農業害虫とされていたが、ネムノキを食樹とすることを見つけたという内容です。この論文の中に各齢の幼虫の図とその特徴が載っていました。それと比較するため、各部の名称を付けてみました。



腹部には黒い臭腺が見えています。胸部は前胸、中胸、後胸に分かれています。幼虫は齢を重ねるごとに前胸が大きくなってきます。また、淡色の正中線が比較的明瞭です。この論文には幼虫の検索表も載っていました。

1a 頭部は黄色。側葉は前方に著しく収斂し、正中線は他の部分と同様黄褐色で判然としない   1齢
1b 頭部は暗褐色、側葉はほとんど平行し、正中線は薄褐色で判然としている
 2a 正中線上において前胸背は中胸背と殆ど同長                             2齢
  2b 正中線上において前胸背は中胸背より長い
  3a 後胸背は中胸背とほぼ同長                                       3齢
  3b 後胸背は中胸背より著しく短くなり、中胸背より現れた翅芽で両端を著しく覆われる 
   4a 正中線上に置いて後胸背の一部を露出している                         4齢
   4b 中胸背は後胸背を覆い小盾板を明らかに認知しうる                       5齢

ただ、論文に載っている検索表そのままでは機能しなかったので、各齢の説明を読みながら若干修正を試みました。従って、3a、3bは直したり、書き加えたものなので、かなり怪しいです。いずれにしても、上の図と比較すると、1bが満足され、2bも満足されるので、3齢幼虫くらいだと思われるのですが、実は、論文に載っている3齢幼虫とは外形がかなり異なっています。そのままでは似て非なるものという感じです。ただ、オオクモヘリカメムシに近縁であることは確かそうなので、少しほかの種も調べてみました。オオクモヘリカメムシはハラビロヘリカメムシ属 Homoeocerusに属していますが、同属にはオオクモのほかに、ハラビロ、ホシハラビロがいます。これらは私も撮影していますが、ネットでも容易に幼虫の写真を見ることができ、色彩的にかなり異なっています。従って、今のところ、
論文の図の方に問題があり、これはオオクモヘリカメムシ3齢幼虫でよいのではと思っています



後は、ホソヘリカメムシ



ベッコウハゴロモでした。

次は蛾です。



ヒメウコンエダシャクは相変わらずあちこちで見られます。



それにウスオエダシャク



淡色の筋が入ってちょっと雰囲気が違っていたので写したのですが、やはりウスキクロテンヒメシャクのようです。



これはヨツボシホソバの幼虫です。この日は2匹見ました。



後はマンションにいたモンクロシャチホコ



サトキマダラヒカゲでした。後は、名前調べが結構厄介な虫が多かったので、次回に回します。

家の近くのむし探検 蛾とユスリカと甲虫など

家の近くのむし探検 第119弾

一昨日の公園での虫探しの結果の続きで、蛾とそのほかの虫の紹介です。暑いさなかですが、それでも日陰に入ると風が吹き、まずまず涼しく過ごすことができます。虫たちもきっと同じ気分なのでしょうね。日陰に多い感じがしました。




こんな真っ白の蛾がいました。



これは真上からです。ハマキガか何かかなと思って調べてみると、やはりナカジロハマキというハマキガの仲間でした。初めて見ました。「標準図鑑」によると、日本全土に分布し、6月から8月は夏型で純白、10月から翌春までは越冬型で白色部がくすむとのことでした。これは夏型なので真っ白なのでしょうね。



次はこの小さい蛾。これはキベリチビコケガというヒトリガの仲間で、一昨年の7月22日にマンションの廊下でも見ていました。



コケガの仲間はたくさんいるのですが、どうせ名前は分からないだろうと思って普段は無視しているのですが、これはやや大きいので写しました。ムジホソバ、ツマキホソバ辺りだと思うのですが、胸背が淡い黄色なので、たぶん、ツマキホソバの方ではないかと思います。



最近よく見るアミメケンモンです。



そして、これはスジキリヨトウ



これも小さな蛾ですが、何となく見覚えがありました。アヤホソコヤガ辺りの蛾ですね。調べてみると、シロホソコヤガで一昨年の5月末にも見ていました。



これはヒメウコンエダシャクですが、この頃はあちこちで飛んでいます。綺麗な蛾なので、つい写したくなってしまいますね。



さて、問題のヒメシャクです。いつものヒメシャクより、ずんぐりとした感じです。縁毛がえらく長いですね。前翅前縁は直線的、後翅外縁は丸みを帯びています。外横線は緩く湾曲していて、横線3本がほぼ等間隔に走っています。横脈紋は前後翅ともはっきりしています・・・などの特徴から、迷いに迷った挙句、ウスウラナミヒメシャクにしてしまいました。たぶん、違っているでしょうね。一応、近畿にも分布してそうなのですが・・・。



こちらは外横線が点状になっているので、オイワケかサクライ辺りですが、サクライは外横線が直線状ということで、いつものオイワケヒメシャクではないかと思います。外横線が後縁に達するところが黒くなっているところも合っている感じです。ヒメシャクはできるだけ見ないようにはしているのですが、つい、撮ってしまうので後が大変です。



後はカメムシ目です。これはホソヘリカメムシ



それにトビイロハゴロモ



これはたぶん、ツヤユスリカの仲間ですね。いつもだったら、ここでストップするのですが、せっかく買ったので、「図説日本のユスリカ」を見てみました。最初に図版が出ていて、見比べると、ナカオビ、ミツオビあたりに似ています。そこで、もう少し詳しく見てみました。亜属の検索は把握器を詳しく見ないとダメでギブアップ。ただ、普通に見られる種に関しては斑紋パターンで同定は可能と書かれていて、8種については斑紋パターンも出ていました。それと比べると、ナカオビツヤユスリカ Cricotopsus (Cricotopsus) triannulatusに非常によく似ています。もし、これが普通に見る種だとすれば、それかもしれませんね。ユスリカが種名まで達してしまった!ちょっと感激です。



後は公園からの帰りに見た虫です。ツマグロヒョウモンの幼虫ですね。壁を登っていました。



こちらは見覚えがありました。以前はだいぶ迷ったと思うのですが、たぶん、クロカミキリですね。触角が短いので、何の仲間かなと思ってしまいます。

家の近くのむし探検 小さなカマキリほか

家の近くのむし探検 第118弾

昨日の日中は大変な暑さでした。その中で昼前に公園に行ってみました。虫を探していても、背中にあたる日差しは燃えるように暑かったです。例によって木の幹を見ていたら、恐ろしいスピードで登っていくアリがいました。



そして、かなり登ったところでぴたりと止まりました。一応、撮っておこうと思って、手を一杯に伸ばして撮った写真がこれです。何やら黒いものが写っています。



拡大するとこんな感じの虫です。どうやらアリではなかったようです。しっぽを上げているし、眼のあたりも変わっています。何やらカマキリに似ています。それで、ネットで検索すると、どうやらヒメカマキリの幼虫みたいです。大きさは測らなかったので体長は分かりませんが、アリと間違ったくらいなのでかなり小さかったことだけは事実です。2,3枚写真を撮ってふと見ると、もういなくなっていました。もう少し下で止まってくれたらばっちり撮れたのに・・・。



公園の草むらを歩いていたら、バッタが飛び出したので、追いかけて追いかけてやっと撮りました。大きさはイナゴよりちょっと大きいぐらいだったのですが、後で写真を見ると、どうも見たことがない模様です。一見、トノサマバッタのようでもあり、でも、頭から胸にかけて白い筋が入っているし・・・。「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」を何度か見直したのですが、結局、よく分かりませんでした。

追記2016/08/02:F. Yさん、菅井 桃李さん、MSWiさんからご意見をいただき、大変勉強になりました。いろいろなご意見がありましたが、最終的にはマダラバッタだというご意見が強かったみたいですね。そこで、今度、網を持って公園に行き、バッタを片端から調べてみようと思いました。その前にどのポイントを見たらよいのか整理してみました。「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」にはトノサマバッタ亜科の属への検索表が載っています。上の写真の個体に則して検索表を見ていくと次のようになります。



関連するポイントを上の写真に書き込んでみました。



まず、検索表の最初はB 頭頂と額を分ける際立った境はあるか、D 頭頂と額は鋭角をなすかどうかです。この写真を見ると微かですが、境を示す線があるみたいです。しかし、頭頂と額はどう見ても鋭角ではありません。マダラバッタというとここが鋭角なのですぐにわかるのですけど・・・。これがマダラバッタだとすれば、たぶん、撮影の仕方の問題かなと思って、ここが確かめるポイントになります。もし仮に、ここで1Aを選ぶと、次の2はイボバッタではないので3に進むことになります。3Aに書かれているようにトノサマバッタ、クルマバッタ、クルマバッタモドキなどは中胸背背面中隆線というのがはっきりしています。しかし、この写真の個体はほとんど見えません。したがって、強いて選べばカワラバッタ属になるのですが、カワラバッタ属はカワラバッタだけで外見はおよそ一致しません。ここで行き止まりになります。

最初に戻って1Bを選ぶことにします。先ほどの、頭頂と額の境と角度の件がクリアされたとして先に進むと、次は8になります。頭頂両側にはCのように窪みがあり、イナゴ類のような側条はないので、8Bを選びます。次の9は前胸背背板前域両側の角張りです。



以前撮ったツマグロバッタの写真を載せておきます。
ツマグロバッタには前胸背背板前域の両側が角張って縁取りがあるような感じです。公園で撮った個体はそのような角張りはなさそうなので、次の10に進みます。10は頭頂両側の窪みが長方形か、三角形かということで、前者ならマダラバッタ、後者ならヤマトマダラバッタということになります。上の写真ではここもはっきりしません。ということで、以上のような点が観察ポイントになるのではと思います。コメントをいただいた皆さま、いろいろとご教示有難うございました







公園の中をぶらぶらしていると、一匹のミヤマアカネが飛んできました。人懐っこくて私の周りでぐずぐずしているので何枚か写真を撮りました。普段はチョウやトンボは無視しているのですが、虫が少ないからちょうどいいかなと思ってほかにもいろいろと撮ってみました。





ツマグロヒョウモン。開いたところと閉じたところです。昨日いたチョウやトンボはラッキーでしたね。写真を撮ってもらえて・・・。



ついでにアブラゼミも。今年はアブラゼミが多いのかなぁ。低いところでもあちこち止まっています。(追記2016/08/31:菅井 桃李さんから、「そちらはアブラゼミが多いですか。長野ではアキアカネとアブラゼミが激減しましたね。昔は脱け殻が鈴生りだったものですが、猛暑でクマゼミが飛んできたり、乾燥化でミンミンゼミの声が聞こえてきたりと、気候の変化を感じさせます。」というコメントをいただきました



クマゼミは声は聞こえるのですが、高くて姿がなかなか見えません。やっと一匹撮影できました。



ツツジの葉にはこんなものが付いていました。たぶん、オトシブミですね。こういうのは巣でもないし、なんというのかなと思ってWikipediaを見たら、「揺籃」というみたいです。「ゆりかご」と読むのかな。このツツジにいたオトシブミのはカシルリとヒメクロだったのですが、どちらでしょうね。(追記2016/08/31:菅井 桃李さんから、「揺籃は「ようらん」ですかね。ツツジの揺籃はヒメクロオトシブミのものです。」というコメントをいただきました。ヒメクロはいっぱいいたので、それの揺籃だったのですね






後はクモを紹介します。以前教えていただいたネコハエトリの幼体だと思われますが、この日はうまく写せて満足です。



以前も写したことがあるのですが、模様がどんどん広がっているみたいです。何か分からないゴミグモです。



これは何という巣でしょう。まるでめちゃくちゃに張っています。こんな巣もあるのですね。蛾、カメムシ、ハエなどは次回に回します。(追記2016/08/31:MSWiさんから、「巣を張っているのはサラグモか何かか…?」というコメントをいただきました



公園ではサンゴジュに実がなっていました。以前の記録を見ると、花が咲き始めたのが6月11日でした。あれから2か月近く経っているのですね。水漏れ騒ぎでこの1か月あっという間に過ぎてしまいました。

今日から「写真で見よう!北摂の虫たち」という写真展もどきのものが始まります。昨日、展示する写真や手作り図鑑などを準備したので、今からギャラリーに展示に行ってきます。これから1カ月間。かなりの長丁場です。
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