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家の近くのむし探検 街灯近くの虫、草むらの虫ほか

家の近くのむし探検 第117弾

一昨日の公園での虫探しの結果の続きです。この日も暑かったので、虫はあまり見なかったのですが、公園の中の街灯の柱にこんな虫が止まっていました。



体長4.8mmの小さなヒラタカメムシです。



横から見ると、こんなに平たい虫です。一応、採集してきたので、今日、「原色日本カメムシ図鑑第3巻」に載っている検索表を用いて検索してみました。合っているかどうか分かりませんが、ヒラタカメムシ亜科のマツコヒラタカメムシになりました。図鑑によると、マツ類の立ち枯れに寄生するヒトクチタケから得られるとのことです。また、コガタヒラタカメムシと形態がよく一致するので、比較検討を要すると書かれていました。このコガタはこの本ではマツコの説明だけに出てくるので、どんなものかはよく分かりません。



ツツジの葉には小さなアシナガバエがいました。写真があまりはっきりしないのですが、翅脈のM1脈がぐにゃっと曲がっているのが見えます。たぶん、Amblypsilopus属だと思われます。吸虫管で吸い取ろうとしたのですが、管の先を近づけたらさっと逃げてしまいました。網でないとダメかなぁ。



翅の前縁が黒いハエです。葉表でせわしなく動き回っていました。イエバエなのかなと思ったのですが、採集しませんでした。





クモの巣に小さな虫がいっぱいついていたので、写してみました。皆、ターバン眼を持っています。コカゲロウの♂みたいです。近くに街灯があったので、明かりに寄ってきたのでしょうね。後翅が写っていれば名前が分かったかも・・・。



ジョロウグモ、横から撮ってみました。ツツジの葉と街灯の近くはこんなところでした。

次は木の幹です。



桜の木にカナブンが飛んできました。近づくとすぐに横に回って逃げてしまうので、こんな姿になってしまいました。



それに、いつものイダテンチャタテの幼虫です。いつもじっとしています。そのほかはアリとか、ムラクモハマダラミバエぐらいでした。

最後に雑草がいっぱい生えている広場を探してみました。草の中を歩くと、小さな白い虫が一斉に飛び出します。何だろうと思って写してみました。





いずれもヨコバイの仲間ですね。上は翅が短くて、腹部の先端が見えています。この形から、トガリヨコバイの仲間かなと思ったのですが、それから先は分かりません。



それから、クロスジヒゲナガカメムシもいました。



そのほか、エンマコオロギの幼虫。



それから最後はカメラバッグに止まったマダラスズです。草むらも案外面白いですね。
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家の近くのむし探検 蛾

家の近くのむし探検 第116弾

漏水後、仮住まいに移っていたのですが、一昨日やっと元の家に戻ることができました。二日かけてやっと家の中が片付き、無事に図鑑類も手元に置き、ようやく今までのように虫を調べる態勢が整いました。それで、昨日は久しぶりに家の近くの公園にも行ってみました。



今日の最初はこのモンクロシャチホコです。あまり近くで見たことがなかったのですが、よく見ると、黒い模様の半分くらいは灰色の模様で覆われています。ひょっとして紫外線でも当てたら光るのかな。



次はこの蛾です。ハガタベニコケガですね。公園の端にある街灯の柱に止まっていました。この柱には結構、いろんな虫が来ます。



これはクロテンハイイロコケガです。



これも街灯の柱に止まっていました。マエジロアツバです。



そして、これはヨスジキヒメシャク



このヒメシャクは鱗粉が取れていて名前はよく分かりません。



これはツトガですね。白い帯が入っているのはCrambus属です。この属で近畿に分布していそうなのは6種ですが、模様からシロスジか、ニセシロスジだと思われます。ニセシロスジは白い帯に暗褐色の縁取りが明瞭で、白い帯の下縁の突起が明瞭とのことで、これはシロスジツトガだと思われます。



ツツジの葉の上を探していたら、1匹の小さな蛾がぱっと飛び上がり、近くの枝に止まりました。しかも、こんな角度で。まるで、小枝みたいですね。



こんなマダラメイガです。図鑑で調べると、Acrobasis属のようで、ヒメアカオビマダラメイガあたりが似ています。ただ、全体に色が淡いですね。違うのかな。



最後はこのハマキガです。たぶん、Rhopobota属だと思うのですが、そこから先が分かりません。アケビヒメハマキあたりが似ている感じですが・・・。蛾以外は次回に回します。

家の近くのむし探検 蛾

家の近くのむし探検 第115弾

一昨日の公園での虫探しの結果です。この日は途中で雨がぱらつくような蒸し暑い天気でした。こんな天気には何となく蛾が多く見られますね。



今日の最初はこの蛾からです。最初はシャクガあたりかなと思ったのですが、後翅にちょっと飛び出した突起が気になります。フタオガかもしれません。そう思って図鑑を見てもなかなかピタリとくる蛾が見つかりません。結局、模様がほぼ合っているということでクロフタオにしました。図鑑に載っている写真はもっとずっと黒いので、初めはそれとは分かりませんでした。この蛾は初めて見ました。



こちらはウンモンオオシロヒメシャクです。この日は2匹見ました。



フタナミトビヒメシャク。ツツジの植え込みの奥の方にいたので、こんな写真になってしまいました。



鱗粉が取れてしまい、何だか分かりませんが、たぶん、フトジマナミシャクでしょう。





悩んだのはこのヒメシャク。下はたぶん、マエキヒメシャクでよいと思うのですが、上がよく分かりません。下と比べると、翅形も後翅の黒点の位置も違うような。でも、結局、マエキヒメシャクにしてしまいました。ヒメシャクはどれも難しいですね。



こちらはモモノゴマダラノメイガ



これはたぶん、シバツトガ



それに、トビモンコハマキ



これはたぶん、この間から見ているツガヒロバキバガかな。何となく触角の色が違うようなしますが・・・。



そして、アミメケンモン



それに、クロハナコヤガ

今日はいよいよ仮住まいからもとの我が家に戻る日です。漏水被害を受けてから約1か月。長いようで、あっという間に過ぎてしまいました。仮住まいではネットがつながらなかったので、早朝、ノートパソコンを持っては元の家に行ってブログをアップしていました。何とかかんとか虫探検が続けられてほっとしています。今日と明日は引っ越し荷物の整理で大変でしょうね。

8月1日から1か月間、近くのギャラリーを借りて、写真展もどきのようなものをやることになっています。タイトルはギャラリーのある施設の方が付けてくださいました。「写真で見よう!北摂の虫たち」。立派なタイトルで名前負けしそうです。でも、このタイトルを知ったのがつい3日前。それまで地元で撮った写真だけを用意していたのですが、北摂となるとだいぶ広くなります。慌てて写真の差し替えをしています。今のところ、A3の写真を15点、A3の説明用の写真が6点、それに手作り図鑑を10点展示する予定です。図鑑、だいぶ増えたでしょう。昆虫図鑑の簡易版(主に写真と名前だけ)は甲虫の一部と蛾を除いて全部準備できました。それに、あちこちで撮った写真を加えた鳥、チョウ、トンボ、シダの写真集を加え、さらに、作成途中の昆虫図鑑の詳細版(ブログに載せるときに調べた話やブログに載せた「虫を調べる」などを加えたもの)も一応、展示します。興味ある人は少ないと思うけど・・・。

前回は写真を厚さ7mmの「のりパネ」に貼って「ひっつき虫」という粘土みたいなもので壁にくっつけていたのですが、ギャラリーが乾燥していてパネルが反ってしまい、しょっちゅう落ちて迷惑をかけてしまいました。今回は100均でA3の額を買ってきて、それに入れて上から吊るすことにしました。これで落ちることはないでしょう。うまくいくといいけど・・・。

家の近くのむし探検 イダテンチャタテ成虫ほか

家の近くのむし探検 第114弾

先日、桜の幹でイダテンチャタテの幼虫を見つけたので、昨日もまず桜の木を見てみました。



この日は翅の長い成虫がいました。以前、12月から2月の真冬に桜の木の幹で見つけて、喜んで写真を撮っていたのですが、こんな真夏にもいるのにはびっくりです。



写真では拡大していますが、本当は小さいんですよ。これは幹の写真ですが、中心にいる白い点がイダテンチャタテです。「公園の主」さんが指でちょっと触ったら、するするとものすごい勢いで動き始めました。まさに、「韋駄天」です。



すぐ近くにはもっと小さいこんな幼虫もいました。これは翅がほとんど見えないので、先日見た幼虫よりもっと若齢の幼虫みたいです。公園に行く楽しみが増えましたね。



同じ桜の木には必ず、このムラクモハマダラミバエがいて、ちょこちょこ動き回っています。何をしているんだか分かりませんが・・・。



そのほかの「むし」たちです。これはヒメホシカメムシ



それからアミガサハゴロモ



それから、クサギカメムシでした。





これはたぶん、マミジロハエトリだと思います。マミクロも♀はほとんど変わらないのですが、この公園ではマミジロ♂ばかり見ていたので、たぶん・・・。



これは、ネコハグモの巣だと思っているものですが、ずいぶんすごいことになっています。



イタドリの葉っぱに穴があき、そこに白い糸が見えているのをときどき見ます。今日はちょっと裏返してみました。



何かの幼虫が潜んでいるみたいです。それにしても美しい糸ですね。



後はマンションの壁にいたものです。オオクロカミキリか、サビカミキリかで悩んだのですが、「原色日本甲虫図鑑IV」によると、オオクロカミキリは♂♀で色がまったく相違すると書かれていました。これは触角が短いのでたぶん、♀。だとすると、オオクロカミキリでは真っ黒?ネットで見ると、翅端の形も違うようで、これは丸まっていないので、やはりサビカミキリの方かなと思っています。



ヒラタカゲロウ類の亜成虫です。





最後はヒメカマキリかなと思っています。この日は雨がときどき降ったりの天気だったのですが、こんな日には蛾が多いですね。名前調べが終わっていないので、蛾は次回に回します。

家の近くのむし探検 イダテンチャタテ幼虫ほか

家の近くのむし探検 第113弾

家の改修もほとんど終わり、あと三日で元の家に引っ越しすることになりました。インターネットにつなぐためにノートパソコンを持って仮住まいと家との間を往復していたのですが、それも終わりになります。嬉しいですね。

さて、3日前の公園での虫探しの結果です。最近は暑くてほとんど虫の姿を見なくなったので、ツツジの葉だけでなく、早春にやっていたように木の幹も探し始めました。





そうしたら、こんな小さな虫が桜の幹に止まっているのが見つかりました。下を向いてじっとしています。この形、何か見覚えがありますね。たぶん、イダテンチャタテの幼虫ですね。ちょうど同じ木で12月から2月ごろまでイダテンチャタテの成虫を見ていました。今頃、幼虫がいるのですね。これから観察が楽しみになりました。



これはシラカシの幹に止まっていたウロコチャタテです。そういえば、マンションの廊下で虫の写真を撮っていた時も、虫があまりいなくなると、ウロコチャタテばかり撮っていたのを思い出しました。本当はマンションの改修工事がほぼ終わったので、廊下に戻ることができるのですが、せっかく、公園での観察を始めたので、もう少し続けてみようかなと思っています。





いつものニジュウヤホシテントウかなと思ったのですが、先ほど、「原色日本甲虫図鑑III」を見たら、似た種にオオニジュウヤホシテントウというのがいます。図鑑によると、違いは斑紋が大きくて、第2列目の斑紋が肩にある斑紋と弧をなして並ぶかどうか、それに後腿節です。後腿節は見えないので、斑紋で判断すると、何となくオオニジュウヤホシテントウの方に似ているような気がしました。(追記2016/08/01;菅井 桃李さんから、「テントウムシはニジュウヤホシテントウです。オオニジュウヤホシテントウの鞘翅の紋はもっと大きく、前胸の紋も違ってもっとハッキリしています。オオニジュウヤホシテントウは北方系のテントウムシなので、年平均気温が13度より高いとあまり見られず、14度を超えるとまず見られません。大阪の年平均気温は16.9度なので、そちらだと高地に行かないと見られないでしょうね。関東でも平地(少なくとも南部の平地)ではニジュウヤホシテントウしか見られなくなりました。」という詳しいコメントをいただきました。一種増えたかなと思って喜んでいたのですが・・・。大阪の平地だと見られないのですね。これは残念





公園の街路灯の支柱に止まっていました。肩があまり白くはないのですが、カタシロゴマフカミキリかなと思っています。



後はカメムシ。これはクロスジヒゲナガカメムシかなと思いました。



そして、これはオオクモヘリカメムシ



悩ましいヒメシャクがまたいました。オオウスモンキヒメシャクかなと思ったり、ナミスジチビヒメシャクかなと思ったり。結局、ナミスジチビヒメシャクにしたのですが、違うかもしれません。



こちらはマエキヒメシャクかな。



ウコンカギバとヒメウコンカギバの違いが分からず、いつも?付きになってしまいます。



これはベニシマコヤガですね。小さな蛾は葉と葉の間に止まっていることが多いので、撮影にはいつも苦労します。



次は先日もいたこのハエ。菅井 桃李さんから、ヒロクチバエ科の○○マダラヒロクチバエだと教えていただきました。「日本昆虫目録第8巻」によると、マダラヒロクチバエ(Euprosopia)属にはオオ、マツダ、コの3種が載っています。CiNiiで探すと、マツダの記載論文が見つかりました。

H. Kurahashi, "A New Species of the Genus Euprosopia (Diptera, Platystomatidae) from Japan", 昆蟲 42, 40 (1974). (ここからダウンロードできます)

この中にはEuprosopia属の検索表が載っていて、マツダ E. matsudaiは腿節が黒という特徴が載っていました。この個体は橙色っぽいので、たぶん、それとは違うと思います。残念ながら、この検索表にはコが載っていなかったので、ここまでかなと思ったのですが、「日本昆虫目録第8巻」に載っていた次の論文がダウンロードできました。

R. Frey, "Beitrag zur Kenntnis der ostasiatischen Platystomiden (Diptera)", Notulae Entomologicae 44, 1 (1964). (ここからpdfがダウンロードできます)

このリンクはグーグルのリンクで、Notulae Entomologicaeという雑誌の44巻が直接ダウンロードしてしまうので注意してください。この雑誌の中に論文が載っています。この論文は日本産のコをフィリピンで記載されたコの亜種として記載しています。ドイツ語の辞書が手元にないので、詳しくはわかりませんが、この中でオオとコの翅の模様も載っていました。それと比べると、オオの方が近い感じですね。とりあえず、オオマダラヒロクチバエ?としておきます。



恰好いいハチなのですが、調べても亜科止まりだろうなと思うと、採集の意欲がなくなってしまいます。ハチはとりあえず、ハバチ、ハナバチ、有剣バチの検索表があるので、そちらを重点的に調べようと思っています。といっても、引っ越しが済んだら・・・。



これはこの間から見ているアカガネコハナバチでしょうね。今回はこれで終わりでした。

家の近くのむし探検 ヘクソカズラグンバイ、バッタほか

家の近くのむし探検 第112弾

一昨日の公園での虫探しの結果です。





先日、ヘクソカズラが咲いていると書いたら、菅井 桃李さんから、ヘクソカズラグンバイの話が出たので、この日は公園に行く途中にあるヘクソカズラを詳しく調べてみました。その結果、やっと見つけました。この写真のような奇妙な形のグンバイムシです。



小さい虫で、葉っぱ全体から見たらこんなものです。よっぽど注意して見ないと見つかりません。でも、一度見つかると次々に見つかりました。といっても、この日は2匹だけだったのですが・・・。「日本原色カメムシ図鑑第3巻」によると、1996年に大阪府池田市で初めて見つかった外来種だとのことです。近くにある伊丹空港に到着した航空荷物に紛れ込んだのだろうとのことでした。私の地元ですね。



ついでに近くにあったヘクソカズラの花も写しておきました。



白い綿のような虫が飛んでいたので、追いかけてみました。すると、クモの巣にひょいっと捕まってしまいました。その状態で撮ったものです。一応、翅はありますね。翅脈のところが薄黒く色どりされています。こんな翅でよく飛ぶことができるなと思ってしまいました。いつもワタムシと呼んでいて、名前はよく知らないのですが、アブラムシ科なのでしょうね。(追記2016/08/01:菅井 桃李さんから、「アブラムシはエノキワタアブラムシかな?」というコメントをいただきました



こちらはコナカゲロウです。以前、翅脈を調べて、シロコナカゲロウという種まで到達したことがありました。これは翅脈が見えないので、同種かどうか分かりません。



そして、ベッコウハゴロモ



マエジロオオヨコバイ



カメムシ目の最後はマンションの壁にいたヒゲナガサシガメです。



次はバッタです。これはショウリョウバッタの幼虫です。



それからイボバッタ



これはハネナガヒシバッタと思いますが、撮影しようと思ったらぴょんと飛んで上にあるクモの巣に引っかかってしまいました。それで、かえって撮りやすくなりました。腹部末端に団扇のような形の産卵管があるので♀ですね。



これは何となくクビキリギスに似ています。たぶん、それの幼虫でしょうね。



蛾は相変わらず少ないです。これはヤマトカギバ



それにホソスジツトガ



蛾の最後はまたハマキガです。たぶん、Adoxophyes属は確かだと思うのですが、その先はちょっと迷いました。まず、前翅前縁基部(前縁ひだ)が折れているので♂でしょうね。リンゴコカクモン、チャノコカクモン、ウスコカクモンの3種がいるのですが、前縁に逆三角形の端紋を持たないので、たぶん、リンゴコカクモンハマキかなと思いました。





最近は木の幹も探すことにしているのですが、桜の木を探すと決まってこのムラクモハマダラミバエがいます。複眼の模様が面白いですね。(追記2016/08/01:菅井 桃李さんから、「木の幹にはキマモリアシナガバエの仲間が見付かるかも。居るところには普通に見られるから、居れば既に見付かってる筈かとも思いますが。」というコメントをいただきました。注意して見ているのですが、アシナガバエは見つかりません。もう少し頑張ってみます



最後はアオメアブでした。

家の近くのむし探検  蟻道、ヤドリバエなど

家の近くのむし探検 第111弾

夏になって虫がだいぶ少なくなってきたので、その分、あちこちを探すようになりました。7月20日の午後、時間を見つけて、公園まで行ってみました。やはり虫は少なかったのですが、代わりにこんなものを見つけました。



シラカシの幹についたこんな細長い筋です。近寄ってみると、



筋にはあちこち破れた部分があって、そこから中が見えました。中は空洞になっていて、その中を小さなアリが登ったり降りたり、忙しそうに往来していました。



しばらく見ているとこんな繭みたいなものを持って移動するアリもいました。たぶん、木の上にある巣から引っ越ししているのかなぁと思って、参考のために2匹ほど捕獲しました。家に戻ってから調べると、これは蟻道と呼ばれているようです。「蟻道」で検索するとシロアリの蟻道が大量に引っかかります。中にトビイロケアリもいくつか見られました。しかし、情報はどれも断片的で、トビイロケアリについては寄生するノミバエを避けるためにつくられているとか、木の上の蟻道内でアブラムシを飼育していて土の中の巣まで栄養分を運ぶためだとかが載っていました。「蟻道」は英語でshelter-tubeというようですが、こちらで検索しても大部分がシロアリに関するもので、有用な情報は得られませんでした。今度、木の上の部分を調べてみたいと思います。

ところで、採集してきたアリを今朝、調べてみました。ヤマアリ亜科ケアリ属はまず間違いないところ。その先は若干怪しいところもあるのですが、たぶん、トビイロケアリで合っていると思われます。怪しいところというのは、1)触角柄節の立毛の数と、2)腹柄節の横から見た形状についてです。前者については前から悩んでいました。以前にも紹介したのですが、次の論文に立毛の定義が載っています。

E. O. Wilson, "A Monographic Revision of the Ant Genus LASIUS", Bull. Mus. Comp. Zool. Harv., 113, 1 (1955). (ここからダウンロードできます)
K. Yamauchi, "Taxonomical and Ecological Studies on teh Ant genus Lasius in Japan (HYMENOPTERA; Formicidae). I. Taxonomy", Sci. Rep. Fac. Educ., Gifu Univ. (Nat. Sci.) 6, 147 (1978). (ここからpdfがダウンロードできます)

もともとは博士論文に載っていた性質をWilsonが厳密に定義して検索の指標に採用したということなのですが、「立毛とは鞭節を含む面内で見て、柄節の前面にあって、表面から45度以上の角度で生えている毛」という意味のようです。以前もこの定義で検索をしたことがあったのですが、もう一度見直してみると、どうも「柄節の前面」という部分の解釈を間違っていたような気がします。柄節と鞭節は互いに直角近く曲がっていますが、その両者を含む面内で外側(鈍角側)の立毛を数えていました。でも、外側というのは実は後面に当たるのではないかと思うようになりました。むしろ、内側(直角側)の柄節で見なければいけないかというわけです。というのはこちらが前面になるからです。実際に見てみると、外側ではほとんど立毛は見当たりませんが、内側では多数の立毛が見られます。それで、この条件が合っているのなら、これでヒメトビイロケアリを除外できそうです。

次は、2番目の腹柄節の横から見た形状です。詳細は先ほど紹介した以前のブログを見てください。以前は腹柄節の前面側に明確な角がないためハヤシケアリとしたのですが、「日本産アリ類図鑑」の挿絵を見てみると、明確な角はなくても前面側が膨らんでいるのがトビイロケアリ、前面側が膨らまず、全体としてほぼ三角形状になるとハヤシケアリという風に解釈できます。だとすると、以前ハヤシケアリとしたのはトビイロケアリということになり、今回もほぼ同じ形状なのでトビイロケアリということになります。この辺りはもう少し検討の余地がありますが、形状だけでなく色もトビイロケアリに近いので間違いないのではと思っています。

蟻道で長くなってしまいました。次はハエについてです。



ツツジの葉の上で動き回っているハエを見つけました。やっとじっとしてくれたので、写真が撮れました。これは見覚えがあります。以前、ヤドリバエの仲間だと教えていただいたことがありました。それで、「一寸のハエにも五分の大和魂・改」で、「ヤドリバエ」でワード検索をしてみると、似たハエが見つかりました。しかも、「ルリチュウレンジ幼虫に産卵す」というタイトルで、まさに産卵しているところを見事に写されています。ルリチュウレンジの幼虫に産卵するヤドリバエとしては、Drinomyia bicoloripesが知られているとのことで、文献まで紹介されていました。

H. Shima, "Study on the Tribe Blondeliini from Japan (Diptera, Tachinidae) : III. Descriptions of a New Genus and Two New Species from Japan, Korea and Nepal, with Notes on Drinomyia bicoloripes (MESNIL)", 昆蟲 48, 259 (1980). (ここからダウンロードできます)

この論文にはDrinomyia bicoloripesはアカスジチュウレンジとルリチュウレンジの幼虫で飼育することができたという報告が載っていました。ルリチュウレンジと言えば、幼虫がツツジの葉を食べるので、先日来、この公園でも幼虫を大量に見ています。もしかしてと思って、トリミングする前の写真を見てみたら、



ちゃんとルリチュウレンジの幼虫が写っていました。写真は何枚か撮ったのですが、最初の写真が何だか分からなかったのですが、もう一度よく見ると、



まさに、産卵しているところの写真だったみたいです。知らなかったなぁ・・・。なお、「日本昆虫目録第8巻」によると、Drinomyiaは一属一種で、D. hokkaidensis キアシハリバエが載っていて、先ほどのD. bicoloripesはシノニムとされていました。なお、上の論文にはDrinomyia属が新たに記録されたので、従来までのヤドリバエ科の属への検索表の修正が載っていました。もとの検索表は次の論文に載っています。

H. Shima, "Study on the Tribe Blondeliini from Japan (Diptera : Tachinidae) I", 昆蟲 47, 126 (1979).  (ここからダウンロードできます)

これで、これまで手が付けられなかったヤドリバエが少し検索できるようになるかもしれません。それにしても、昆虫の世界は面白いですね。



ハエついでにアシナガバエも載せておきます。このハエのM1脈は実に奇妙な形をしています。これを手掛かりに先日手に入れた「ハナアブ」を見てみると、Amblypsilopus属、Condylostylus属辺りが該当しそうです。「日本昆虫目録」によると、前者には2種、後者には4種載っていますが、「ハナアブ」には未記載種もいくつか載っているので、頑張ったら種までたどり着けるかも知れません。でも、採集しなかった・・・。(追記2016/08/01:菅井 桃李さんから、「アシナガバエは、Amblypsilopusだと思ってるヤツかな。小さいですが、全身金ぴかで意外と目立ちますよね。」というコメントをいただきました



これは、たぶん、シマバエ科のHomoneura属辺りだと思います。



小さなハバチなのですが、採集しないとまだ科も調べられません。



後は蛾。蛾は本当に少なくなりました。これはシバツトガ



小さなヒメシャクなのですが、ミジンキヒメシャク



アブラゼミが地面近くに止まっていたので、上から目線で撮りました。





ネコハエトリの幼体?今頃、多いですね。あちこちにいます。まだまだ小さいですが・・・。



ニホントカゲ



それにムカデです。林の入り口がワイルドだったと以前書きましたが、公園にもムカデはいましたね。

家の近くのむし探検 シンジュサンほか

家の近くのむし探検 第110弾

3日前に家の近くの公園に行ったときに見た虫です。7月も中旬になると、暑くて暑くてという状態です。公園に行ってもウスバキトンボが飛んでいるほかは虫の姿もあまり見かけません。この日もツツジの葉をずっと見ていって、次に木の幹を見て、もう帰ろうかなと思ったときに大物を見つけました。



シンジュサンです。ツツジの葉にぶら下がるようにして止まっていました。「廊下のむし探検」をしていた時の記録を見てみました。昨年も一昨年も6月中に2匹ずつ見ていました。時期的にはこの二、三年でもっとも遅かったことになります。蛾が怖い私としては、シンジュサンは大型なのでもっとも苦手な部類に入るのですが、今年はツツジの植え込みで蛾の洗礼にあっていたからか、それほど怖いという感じがなくなっていました。いよいよ克服できたのかな。



これは最近よく見るカレハチビマルハキバガです。翅の先端にピントがあってしまい、ちょっと失敗。



蛾ついでに出しておきます。マンションの廊下で見たヤマトエダシャクです。



後は、アオバハゴロモ



マエジロオオヨコバイでした。



このハムシはカビでもはえているのかな。何となく変ですね。



ギンメッキゴミグモです。この日は接写の練習をしようと三脚とかレンズを持って出かけたのですが、風があって被写体がどうにも止まってくれません。結局、重い荷物になってしまいました。このクモを撮ろうとしていたのですが、ゆらゆらして全くダメでした。





最近、こんな感じで小さなハエトリをネコハエトリの幼体としていたのですが、実のところよく分かりません。頭胸部の後ろに見える三角形が目立ちますね。この間もこんな三角形の模様を持ったのがいました。



クモといえば、こんな模様が面白いですね。ゴミグモの仲間だと思うのですが、本体はゴミの後ろにいて脚だけが見えています。



こちらはこの間から撮っている横型の巣です。



こちらは姿を現していたので、撮れました。横になるのはヤマトゴミグモやシマゴミグモなどがいて、よく分かりません。



最近、桜の木の幹も見ることにします。ここにはよくハエがやってきているので・・・。この日はこんなハエが来ていました。翅に模様があるので何とか分かるかなと思って、図鑑やネットを調べたのですが、結局、分かりませんでした。翅脈を見ると、何となくSc脈が垂直に曲がっているみたい。だとすると、ミバエかな。でも、比較的大きなハエで、全体としてはミバエとは雰囲気が違います。(追記2016/08/01:菅井 桃李さんから、「ハエはヒロクチバエ科で、おそらく何とかマダラヒロクチバエと言う名前のヤツです。」というコメントをいただきました。この科はいろいろな形のハエが入っていますね。調べてみると、マダラヒロクチバエ属にはオオ、コ、マツダの3種がいて、検索表ではマツダは腿節が黒いので除外できそうですが、オオとコの違いはよく分かりませんでした。さらに、Freyの論文は日本産のコをフィリピンで記載されたコの亜種として記載しています。この中でオオとコの翅の模様も載っていました。それと比べると、オオの方が近い感じです。とりあえず、オオマダラヒロクチバエ?としておきます。詳細はこちら



こちらはこの間からいるムラクモハマダラミバエ。複眼が青く光っていますね。



すぐ近くにはニイニイゼミがいました。ちっとも逃げません。マクロレンズで写してしまいました。



花が見つからなかったので、今日はチョウです。コミスジでした。

家の近くのむし探検 ハエやら、ムカデやら

家の近くのむし探検 第109弾

7月17日に家の近くにある林の入り口で見た「むし」たちです。昨日、フキバッタやグンバイムシを先に出してしまったら、残ったのはどうもグロテスクなものばかり。ちょっと出すのが気が引けるのですが、記録のために出しておきます。





こんなハエがあちこちの葉っぱに止まっていたので、思わず撮影してしまいました。一応、一匹だけ採集してみたのですが、家が改修工事のため、私の部屋はほかの部屋から退避してきた荷物でまるで倉庫のようになっています。検索には精神集中が大事なので(ちょっと大げさかな)、なかなかやる気が起きなかったのですが、先ほど、顕微鏡の前の荷物を整理してちょっとだけ調べてみました。副基節に毛がなく、Cu融合脈は翅縁には届かず、A1脈はCu融合脈の延長線とは交わらないので、まず、イエバエ科は間違いないところ。続いて、「日本のイエバエ科」で亜科の検索をしてみました。後脚脛節先端1/3にpd(後背部)に剛毛があるかどうかでいつも躓きます。確かに剛毛はあるのですが、これが果たして先端1/3だろうか。こんな疑問を抱きながら、検索を進めていくとどうもいけません。そもそも日本語と英語の検索表が少し違うし、表現があいまいなところも多くて・・・。とりあえず、トゲアシイエバエ亜科Helina属になったのですが、おそらく違っていますね。イエバエを何種か捕まえてきて見比べながら検索をするとよいかなと思っています。今日は改修工事があって詰めていなければならないので、その間にもう一度試してみます。パッと見で見当のつく方はお教えいただけると、励みになります。(追記2016/07/20:MNDを用いて属の検索をしてみました。結果はまだ怪しいのですが、一応、Hydrotaea属になりました。画像検索すると、同属のヒメクロバエなんかはだいぶ似ている感じです。もう少し調べてみます)(追記2016/07/20:さらに、「日本のイエバエ科」により種の検索をしてみました。その結果、チャバネヒメクロバエ Hydrotaea chalcogaster になりました。合っているといいですけど・・・





次はこれ。全体の恰好、頭のところ、それに、翅脈を見ると、何となくノミバエらしいという感じです。でも、いつものノミバエに比べるとだいぶ大きいです。翅の先端付近から下側が切れ込んで毛が生えているような感じも変です。画像検索でも何とかなるかなと思ったのですが、まだ見つかっていません。



これはイエバエ科のハナレメイエバエ属ですね。これでも捕まえておけばよかった。



それにいつものハキナガミズアブです。



次はハチの仲間です。まずは名前の分からない、雌有翅アリ。何となく綺麗です。



ハバチも採集しないと分かりません。



なかなか恰好のよいハチなのですが、これも調べていません。





オオケマイマイだと思われるカタツムリが何匹かいました。カタツムリの本を買うまではまったく興味がなかったのですが、買うか買わないかでずいぶん見る目が変わりますね。



これはアリグモ



これは河原で撮ったアオオビハエトリです。アリか何かの幼虫をくわえています。別にこんな角度で撮ろうと思ったわけではないのですが、カメラを向けたらこちらを向いてしまいました。





そして、ムカデ。たしか、ムカデはひっくり返さなければ種が分からなかったですね。とてもとてもそんな勇気はありません。ドクダミの茂みの中をうねるように動いていました。



しばらくしてからもう一度見てみると、こんな恰好でじっとしていました。何か食べている様子。



最後はワラジムシ。これも検索表は手元にあるのですが、やはり採集しないと確かめられません。ヒメワラジムシ科のBurmoniscusか、Anchiphilosciaかなと思ったのですが、よくはわかりません。意外に速く動きます。







気持ち悪いものが続いたので、最後は植物。と言っても、だいぶ地味な花ですが・・・。ヤマノイモだと思って写したのですが、こんな花が咲くのはオニドコロの雄花のようです。花も少しずつ覚えられるとよいですね。

家の近くのむし探検 フキバッタ、グンバイムシほか

家の近くのむし探検 第108弾

8月1日から始まる写真展(?)に展示する手作り図鑑を新たに作ろうと思って、この2日間頑張っていました。今回は写真だけの簡易版図鑑だけでなく、詳細版の図鑑(?)もできたところまで展示しようと思ってまとめてみました。簡易版については甲虫2冊が新たにでき、詳細版は鱗翅、トンボ、甲虫を除いてb5版600ページにもなってしまいました。こんなに厚いと製本は大変だし、まだ、未完成なのでファイルにでも綴じようと思ってファイルを探してみました。学校プリント用ガバットファイルという800枚も綴じることのできるファイルがあることが分かり、早速、注文しました。昨日、600ページを普通紙に片面印刷して、ガバットファイルで綴じてみました。まるで、事典です。これはたぶん、誰も開かないですね。でも、いいんです。自分の備忘録としては十分ですので・・・。

というわけで、虫の名前調べの方が滞ってしまいました。一昨日、たまには違う場所に行ってみようと思って、例の林の入り口に行ってみました。いつもの公園の植え込みと違って、何となくワイルドですね。ムカデがいたりして・・・。今回はそのとき見た「むし」のうち、バッタ、カメムシを紹介します。



フキバッタがいました。この間まで幼虫ばかりだったのですが、いつも間にか成虫になっていました。結局、どの幼虫がどの成虫になるかは分からなかったですね。腹部先端の構造を見ると、これは♂です。♂なら分かるかもと思って図鑑で調べてみました。まず、私の住む大阪北部にいそうなフキバッタはダイリ、キンキ、オマガリ、ヤマト、ヒメあたりです。分布で限定するのは本当はいけないのですけど、ちょっと目安に書いてみました。それでも5種ほどはいます。いずれにしても腹部先端の構造に特徴があるので、その部分を拡大してみます。



「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」、「検索入門セミ・バッタ」のいずれもこの部分の絵が出ています。いろいろと見ていると、ポイントとなるのは、生殖下板の形、尾毛の形、それに、背縁突起の有無などです。この個体の特徴は尾毛がほとんど90度に近く曲がっていて、先端が黒いことです。また、背縁突起があります。こんな特徴を手掛かりに見ていくと、ほぼユニークにオマガリフキバッタになります。「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」にはフキバッタ亜科の属への検索表が載っています。この写真だけでも結構検索ができて、オマガリの入っているミヤマフキバッタ(Parapodisma)属になりそうです。これについてはまた今度載せます。





バッタではこんなバッタがたくさんいました。ササキリの幼虫だと思っているのですが、どうなるでしょう。といっても結局はよく分からないと思いますが・・・。



花と一緒に撮るとちょっと絵になるでしょう。





グンバイムシがいました。こんな形のは初めてです。「原色日本カメムシ図鑑第3巻」で探してみると、コリヤナギグンバイに似ています。図鑑の写真とはちょっと暗色の部分の位置が違うような気がしますが、少なくともその近縁種だと思います。形が面白いからか、ぶるぶる震えるような動きが面白いからか、何となくグンバイムシは写真の対象としては気に入っています。(追記2016/08/01:おちゃたてむしさんから、「6・7枚目のグンバイはクチナガグンバイだと思います。カメムシ図鑑のは小さくて分かりにくいですが、ネット上で写真が結構見られます。」というコメントをいただきました。カメムシ図鑑の写真を見ても、クチナガグンバイの色合いがだいぶ違うので、見過ごしてしまったようです。検索表を見ると、口吻が長い、翅を閉じた状態での前翅の幅が前胸背の約2倍というところがクチナガグンバイの見分けどころみたいです。上の写真を見ると、確かに幅が広いですね。ここに気が付けばよかったのですけど、コリヤナギグンバイの写真があまりにも大きすぎて、それにとらわれてしまいました。どうもご指摘有難うございました



たぶん、アミガサハゴロモの幼虫だと思うのですが、葉に止まっているこんな姿をよく見ます。クモの巣か何かに擬態しているのでしょうか。



この日はその親の方も2匹見つけました。形がまったく違いますね。でも、虫はみんなそうですね。毛虫が蝶になったり、ヤゴがトンボになったり・・・。



マエジロオオヨコバイも近くにいました。後脚でしきりに翅の裏側をこすっています。何をしているのでしょう。



後はクサギカメムシの5齢幼虫と、



ケブカヒメヘリカメムシでした。

家の近くのむし探検 「むし」いろいろ

家の近くのむし探検 第107弾

7月14日の公園での「むし」探しの続きです。「むし」と書いたのは、クモも含まれるからです。



クモが多かったので、クモから出せばよいのですが、クモ嫌いな私としては最後に持っていきたいなと思ってまず、バッタからです。複眼が飛び出しています。これだけ出ているのはニセハネナガヒシバッタだろうなと思って詳しくは調べていません。





次はこれ。「公園の主」さんと虫を探しているときに見つけました。恰好からナナフシの脱皮殻かなと思って喜んだのですが、よく見ると、カマキリの脱皮殻のようです。棘の生えた鎌の部分が見えています。何となく変な感じがするのは、カマキリは鎌の部分(腿節と脛節)の手前に基節が伸びているのですが、それがまったく脱皮殻には見えません。脱皮してから伸びてくるのだろうか。





蛾はいることはいるのですが、かなり少なくなってきました。上はウスキクロテンヒメシャク、下はコトビモンハマキ



マメコガネは相変わらず、あちこちで群れていました。



これは何だろう。気持ち悪くて中を見なかった・・・。





後はクモです。こんな風に横向きに止まっているゴミグモがいました。「日本のクモ」のゴミグモのあたりを見ると、横向きにも止まるのはヤマト、シマ、ミナミノシマ、カラスあたりですね。カラスは黒いので除外すると、前三者が候補ということになります。腹側から写してしまったし、これ以上はわかりません。



こちらはナガコガネグモの幼体みたいですね。上のクモといい、このクモといい、クモの巣の模様が面白いですね。



ツツジのあちこちにもしゃもしゃした巣が張られています。その一つの巣から大きなクモがこちらを覗いていました。たぶん、クサグモですね。写真を撮るために近づいたら、さっと奥に隠れてしまいました。意外に臆病ですね。





こういう小さくて模様のはっきりしないハエトリはネコハエトリの幼体だと教えていただいたのですが、最近はよく分からないハエトリはみなネコハエトリの幼体かなと思うようになりました。





花が見当たらなかったので、今日はジャノメチョウとアブラゼミです。

家の近くのむし探検 カメムシ目、ハエ目ほか

家の近くのむし探検 第106弾

4日前から始まった家の中の改修工事でほとんど外出ができなかったのですが、昨日、やっと機会を得て、いつもの公園に行ってみました。日中30度を超える暑さだったので、さすがに虫が少なめでした。





最初はこのカスミカメムシです。「原色日本カメムシ図鑑第1巻」と「第2巻」を端から見ていったら、同じ種にぶつかりました。ズアカシダカスミカメです。たぶん、これで合っているのでは・・・。図鑑によれば、名前の通り、シダカスミカメムシ亜科に属していて、最も普通に見られるシダ植物依存種だそうです。もっとも見つけたのはツツジの葉っぱの上でしたが・・・。



次はツツジグンバイです。これはいつも見つかります。



それにコガシラアワフキです。これもよく見ますね。



これは
マエジロオオヨコバイ。



この変な虫はミミズクの幼虫みたいです。ミミズクの成虫はこの間見ましたね



ハゴロモの幼虫がいたので、この日はちょっといたずらをしてみました。葉っぱの上でろう状物質のパイプをクジャクの尾みたいに四方に伸ばしているとまるでクモの巣が張っているみたいです。そこで、ピンセットでちょっと触ってみると、パイプを少しだけ畳んで動き出しました。



クジャクの尾のようなパイプをだいぶ畳んでいます。



これは顔の拡大です。この後、ジャンプするところを見てみようと思って、ピンセットでまた触ってみました。ポンと上にジャンプしました。このとき、クジャクの尾を広げて落下傘のように降りてくるのかどうか見たかったのですが、飛び上がった途端に上にあるクモの巣に引っかかってしまいました。「公園の主」のおじさんが巣から取り外してあげたのですが、とりあえず、今回は実験失敗でした。





アシナガバエの写真を集めてみようと思って、撮ってみました。フラッシュをたくと、ぴょんと逃げるので、何度でもやってみるとそのまま動かなくなると以前書いたのですが、そういうものでもないですね。何度やっても動く個体がいたり、あまり動かない個体がいたりと、かなりの個蠅差があるみたいです。上の2枚の写真は何度でも動いてしまうハエだったのですが、たまたま写っていました。今度、時間ができたら、まず属の検索をしてみようと思っています。



これはなんだかわからないハエ。



最後は家の玄関先で死んでいたアブです。両方の複眼が中央で接しているので♂です。たぶん、ウシアブだと思うのですが、検索表は次の論文に載っている♀用しかありません。

早川博文、「日本産アブ科雌成虫の分類 1.アブ属ウシアブ群、アカウシアブ群及びその関連種」、東北農試研究資料 10、35 (1990). (ここからダウンロードできます)

これでも何とかなるかなと思ったのですが、複眼の間にある額瘤というのが何度も出てきて、これは♀にしかないので、結局、検索表は使えませんでした。でも、以前、ウシアブ♀を調べた時の写真をブログに載せていたのがあったのでそれと比べることにしました。



これは腹部背面の写真。腹部第2節以降の背面中央に三角状の模様と、両端に模様がある点などはよく似ています。



次は複眼と触角に囲まれた三角形状の部分の色。ここが白色なので、まず、ウシアブで間違いなさそうです。



次は触角。この変な形をした部分が第3節ですが、その先端の中央付近から先が暗色になります。また、ほかには暗色部分はなくて、突起の先端と反対側に黒い毛が生えています。こんな点もウシアブにそっくりです。上の論文にはアブ属20種の絵が載っているのですが、これと同じ触角のパターンはウシアブだけでした。したがって、触角を見るだけでもある程度見当がつきそうです。



最後はいつもの翅脈。ポイントなるのはR5とM1が離れていること。これが先端でくっついているとシロフアブ群になります。つぎはR4が曲がっている部分に小枝が出るかどうかです。上の写真では小さな小枝が出ています。もし出ていなかったら、アカウシアブ群やサッサアブ、シロスネアブ、カノウアブ、オカダアブ、ヤンバルアブあたりになります。ということで、たぶん、ウシアブ♂で間違いないでしょう。(追記2016/08/01:菅井 桃李さんから、「オスは交尾中でも見なければハッキリしたことは分かりませんが、特徴はウシアブの様ですね。」というコメントをいただきました。やはり触角だけだと無理かな(笑)。♂だけがのけ者にされているようで、ちょっと可愛そうなのですが・・・)(追記2018/03/05:検索表が♀用しかないので、♂の場合はやはりTabanus sp.としておきます

家の近くのむし探検 残りのクモ

家の近くのむし探検 第105弾

昨日、家の改修工事のため無線ルータから遠く離れた部屋から画像をアップしようとしたらとんでもなく時間がかかり、挙句の果てにブログのアップロードもできたりできなかったり。それで、7月10日分のクモの画像を後回しにしました。今日はその続きです。



まずはアズチグモ♀からです。このクモは色が白っぽいので、葉の上にいるとすぐに分かるのですが、何よりも顔の部分の逆三角形が目立ちます。



一度、正面からも撮ってみました。なんでしょうね、これは。眼鏡みたいな気もするし、仮装舞踏会の仮面のような感じもします。まぁ、いいでしょう。「むし」それぞれですから。





これはマミジロハエトリか、マミクロハエトリの♀かなぁ。「日本のくも」には、マミジロハエトリとマミクロハエトリの♀は区別がつかないと書かれていたのですが、いつも調べている公園でマミクロハエトリは見たことがないので、たぶん、マミジロハエトリ♀?



これはネコハエトリの幼体?ハエトリはクモ嫌いの私でも可愛いと思うので、つい、写真を撮ってしまいますが、意外に同定は難しいですね。捕まえないという原則もあるので・・・。



最後はこんなゴミグモです。模様を見ると、何となくヤマゴミグモみたいな感じですが、ゴミグモの幼体なのかもしれません。クモはもやもやの連続ですが、とりあえずこれでクモが終わりました。後は雑談。

マンションなので、無線ルーターから離れた私の部屋ではなかなかブログのアップもままならない状態です。この部屋には、ちょっと古いですが、デスクトップが置いてあって、普段は深度合成の計算、カメラの特性の計算などに使っています。無線LANの電波が弱いので、中継器をレシーバとして使って、そこから有線でつないでいます。普通は居間でノートパソコンを使っていて、この中に画像データが山ほど入っています。で、今回の水漏れ騒ぎで居間が使えなくなり、私の部屋でノートパソコンを使おうとするとうまくいきません。仕方なく、ノートパソコンのデータをUSBメモリーでデスクトップに移動させて使っていたりしたのですが、とっても不便です。

ネットで調べてみると、二つのコンピュータをUSBケーブルでつなぐリンクケーブルというのが売っているというので早速注文してみました。SANWAの500-USB034という製品です。昨日届いたので、今朝、試してみました。なかなか快適ですね。デスクトップとノートパソコンとの間をマウスが自由に行き来するし、マウスが行った先のノートパソコンではデスクトップのキーボードがそのまま使えます。データもドラッグ&ドロップで移せるので、まるで、スクリーンが一つ増えたような感覚です。これは便利。と言って、また、少し無駄遣いをしてしまいました。

先日注文した「ハナアブ」がちょっと前に届きました。関東地方のアシナガバエということなのですが、なかなか充実した内容みたいです。まだ、改修工事が続いているので、ゆっくり読んでいる暇がないのですが、今度、何匹か捕まえてきて、調べてみたいと思っています。「日本産水生昆虫」(2005)には属の検索表が載っているのですが、この当時は12属約60種、「日本昆虫目録第8巻」(2014)では23属96種。上に書いた「ハナアブ」(2010, 2012)には未記載種19種を含め93種。まだまだ開拓中の分野みたいでなかなか大変そうですが、とにかく少しアタックしてみようと思います。アシナガバエは綺麗だし・・・。

家の近くのむし探検 バッタ、アリ、ハエなど

家の近くのむし探検 第104弾

昨日の続きで、7月10日の公園での虫探しの結果です。この日はいろいろと虫はいたのですが、これっといった虫がいなかったという印象ですね。まずはバッタから出していきます。



これはショウリョウバッタ



そしてこれはオンブバッタ。バッタの世界ではまだ幼虫時代という感じですね。



これはササキリの幼虫だと思っているのですが・・・。



「公園の主」のおじさんがうっかり飴を落としたようです。それに猛烈な数のアリが集まってきていました。



雰囲気的には、以前検索を試みたトビイロシワアリみたいです。



葉の上をかなり敏捷に動くアリを見つけました。翅の抜け落ちた跡があるので、女王アリのようです。頭が変わっていてほとんど四角形です。「日本産アリ類全種図鑑」を見ると、大阪北部に分布してそうな種で、こんな頭を持っているのはヤマアリ亜科のヒラズオオアリだけでした。初めて見ました。





かなり敏捷に動き回るハナノミがいました。名前までは分かりませんが・・・。



黒っぽいセマダラコガネがまたいました。探せば結構いるかもしれませんね。



名前が分からないヨコバイ。黄色の紋がありますね。



それからツツジグンバイ



ホソヘリカメムシ





シオヤアブです。正面から見ると、オオイシアブにも似た感じですね。





後は分からないハエのオンパレード。捕まえれば、科ぐらいは分かるかもしれませんが、今は仮住まいでそんな余裕がありません。(追記2018/02/14:下はイエバエ科のチャバネヒメクロバエだと思っているのですが、ちゃんと検索をしたことがないのでよくは分かりません



マンションの壁にアブが止まっていました。そういえば、以前、アブもだいぶ調べたのでしたね。そのアブの見どころを書いたものも見つかりました。この写真からは翅脈と触角の形状・色、それに腹部の模様などが見えますね。たぶん、ウシアブあたりだとは思いますが・・・。しかも、これは眼の間隔が広いので♀。捕まえたら検索できたのに。(追記2016/08/01:菅井 桃李さんから、「アブは突起が大きくて黒色部が少ないと言う触角の特徴から、ウシアブの可能性が高そうです。ウシアブなら顔面が見えれば一発なんですけどね。」というコメントをいただきました



後、クモを載せる予定だったのですが、無線ルーターから離れた部屋しか使えないので、画像のアップがなかなかできません。ひとまずこれで打ち切っておきます。これはヘクソカズラです。(追記2016/08/01:菅井 桃李さんから、「ヘクソカズラにはホシホウジャク、ホシヒメホウジャク、ヒメクロホウジャクの幼虫や、ヘクソカズラヒゲナガアブラムシ、ヘクソカズラグンバイが見られそうですね。ヤイトバナやサオトメバナの別名もありますけど、あの匂いですからね。」というコメントをいただきました

選挙帰りの「家の近くのむし探検」 蛾

家の近くのむし探検 第103弾

昨日から家の改修工事が始まり、朝から夕方までてんてこ舞いの状態でした。とてもブログを書いたり、見たりする余裕などありません。新居はネットがつながらないので、テレビか、ビデオを見るしかすることがありません。それで、朝早く、元の家に来て、ブログを書いています(幸い、私の部屋は改修対象外なので、ほかの部屋から退避してきた山のような荷物があるほかは普通に使えます)。

8月の1か月間は、以前も展示させていただいたギャラリーを借りて、再び、「写真展もどき」をすることになっています。また、8月中旬には地域のコミュニティープラザで標本展示もする予定(去年の「虫展」と似たようなもの)。でも、こんな状態で果たして準備ができるだろうか・・・。だんだん、不安になってきました。

さて、今日の虫は先日選挙のあった10日の虫探しの結果です。いつも調べている公園の隣が投票場なので、思い切り虫観察の恰好をして投票にいってきました。その帰りに見た虫です。



これは変わった蛾だと思って、写しまくったのですが、実は6月初めにも見ていました。たぶん、ハマキモドキガ科のゴボウハマキモドキです。大きさは測っていないのですが、図鑑によると開張8-10mm。結構、小さい蛾です。「たぶん」と書いたのは、似た種がいくつかあるからなのですが、それらの分布が違うのと、ゴボウがもっとも普通にいる種なので大丈夫だと思います。



これは小さな蛾です。雰囲気カザリバガ風なのですが、およそ図鑑に載っている種とは違っています。この間、MSWiさんに教えていただいた「みんなで作る日本産蛾類図鑑」というサイトの「カザリバガ亜科属不明 Gen. sp..」というページを見てみると似た種が載っていました。成虫写真13あたりです。まだ、未記載種が多いみたいですね。

この間のアオメアブの触角を写したときもそうなのですが、こういう小さい虫だとどうもピントを合いません。今は一脚でカメラを支えているのですが、私の身体がゆらゆらするのと、オートフォーカスだと背景にフォーカスが合ってしまうためだと思います。マニュアルフォーカスにすればよいのですが、ファインダーで見ていてもピントが合っているのかどうか分からないし・・・。三脚などを持っていくと、だんだん重装備になり手軽ではなくなっていくし・・・。



ムモンハビロキバガだと思うのですが、あの独特の下唇鬚が写っていないので、ちょっと不安です。



それに、最近、常連になってしまったカレハチビマルハキバガです。





次はこれです。翅の中央に黒い波型の模様があるのはシバツトガと思っていたのですが、そこから翅縁に向かって何本かの筋状の模様があるので、あれっ、違うのかなと思ってしまいました。それで、ツトガの辺りをうろうろ。スジツトガ辺りとも比べてみたりと、放浪してしまいました。結局、シバツトガかなと思って、ネットの写真を拡大してみると、やはりこんな模様がありました。普段、注意して見ていない証拠ですね。





次はヒメハマキです。これは特徴的な模様なので、比較的早くたどり着きました。模様を比べると、以前も見たホソバチビヒメハマキだと思うのですが、似た種がいてはっきりとはしません。



後はフタテンオエダシャク



これはたぶん、ハンノトビスジエダシャクではないかと思うのですが・・・。



ヒメウラナミジャノメも蛾みたいなので、ついでに載せておきます。これは鳥につつかれたビークマークなのかな。それにしても派手にやられていますね。







投票所の脇でリョウブが咲き始めていました。昔、この若芽を天ぷらにして食べたことを思い出しました。おいしかったなぁ。残りの虫はまた暇を見つけて出します。

家の近くのむし探検 ナナフシほか

家の近くのむし探検 第102弾

7月7日に公園で虫探しをした結果の続きです。この日もいつものようにツツジの葉っぱを何度も探し回って、そろそろ帰ろうかなと思ったときに変わった虫に出会えました。





ナナフシです。以前、林の入り口で見つけたナナフシとは触角の長さがだいぶ違います。以前の写真も載せてみます。



これは前脚を前に伸ばしているところの写真ですが、触角はそれよりも少し長いくらいです。学研の生物図鑑によると、触角の長いのがエダナナフシ、短いのがナナフシだと書かれていました。したがって、以前見たのはエダナナフシ、今回のがナナフシということになります。「原色昆虫大図鑑III」のナナフシの欄には、触角の長さが♂では体長の約1/3、♀では前脚腿節の長さの1/2よりわずかに短いとのことなので、これは♀の方ですね。(追記2016/08/01:菅井 桃李さんから、 「ナナフシ(ナナフシモドキ)は、基本的に単為生殖なんで、オスはそうそう見付からないと思いますが、気を付けてみます。個人的にはRamulus irregulariterdentatus (Brunner von Wattenwyl, 1907)、Baculum irregulariterdentatum (Brunner von Wattenwyl, 1907)、Baculum elongatum (Thunberg, 1815)
の3つの学名のどれが適当かよく分からない虫と言う印象です。」というコメントをいただきました


さらに、「大図鑑」に載っているナナフシ目の一般的説明を読むと、「前胸部は極めて短く、ほぼ頭部と等長。中胸部は極めて長く伸長する特徴があるが、つづく後胸部は短く、通常、腹部第1節と癒合している」とのことです。せっかくですから、この辺りを調べてみました。




前胸が短く、頭部とほぼ等長、中胸が極めて長いというのはよさそうです。後胸が短いというのは中胸に比べてという意味かな。腹部第1節と癒合しているという部分については、節になっていない線が入っているので、ここが癒合部かもしれません。



これは裏側から撮ったものですが、「大図鑑」にある「前脚腿節下面にある三角形葉片列」というのはこれのことみたいです。



さらに、「頭部背面にある2個の微棘」というのはこの写真に見られるものだと思います。それにしても、口肢を上に巻き上げるようにしていて何だか変ですね。なぜ、「七節」というのかについては、以前、調べたことがあったので、そちらを参照して下さい。結局、よく分からなかったのですけど・・・。

そのほかの虫たちです。



ヒシバッタがいました。後脚腿節の末端近くに切目が見えないので、これは幼虫かもしれません。以前、ヒシバッタの検索をしたことがあったのですが、それに倣って今回も検索をしてみました。この写真だけでははっきりしないところがあって怪しいのですが、以前と同じハラヒシバッタあたりの種になりました。もう一度、ちゃんとやってみたいですね。



これはヒメクロゴキブリでしょうね。マンションではほとんど見なかったのですが、公園ではちょくちょく見ます。



ルリチュウレンジが産卵をしているみたいです。葉裏を確かめればよかったのですが、ハチにずっと見張られていて・・・。



この鋭い眼をしたハチ。たぶん、アカガネコハナバチだと思います。



カマキリの幼虫、だいぶ大きくなってきました。裏返さなかったので、種はよく分かりません。





これは以前、カシルリオトシブミとした種だと思ったのですが、ツツジの葉っぱを食べています。「原色日本甲虫図鑑IV」によると、カシ、フジ、タデに多いとのこと、違う種なのかなぁ。(追記2016/08/01:菅井 桃李さんから、「忘れてましたが、カシルリオトシブミはブナ科、マメ科、タデ科、バラ科、シソ科、キク科、ツツジ科、ブドウ科など、かなりいろいろ食べてますね。今日はメマツヨイグサの葉上で見付けましたよ。」というコメントをいただきました



このクダアザミウマはカメラに取り付けた「影とり」に止まってしまいました。仕方なく、「影とり」を外して撮影したら露出オーバーだったですね。今年はアザミウマを調べる予定だったのに、水漏れ騒ぎでなんだか余裕がなくなってしまいました。今は、家具のなくなってがらんとした部屋でブログを書いています。



最後は花の代わりにツバメシジミでした。

家の近くのむし探検 蛾、ハエ

家の近くのむし探検 第101弾

7月7日に公園で見つけた虫のうち、蛾とハエについてです。



公園と書きましたが、これは公園に行く前にマンションの階段で見た蛾です。たぶん、死んでいるのではないかと思います。この模様はこれまで見たことはなかったのですが、ヤガ科であることは確かそうなので、「標準図鑑II」を見ると、わりとすぐに見つかりました。アヤナミツマキリヨトウという蛾でした。東海以西に分布し、食草はシダ植物のようです。



これはクロオビリンガかな。これもマンションの廊下です。



この蛾は公園のツツジに止まっていました。似た種がいるので何とも言えないのですが、たぶん、ツマキリエダシャクかなと思います。



次はハマキです。チャハマキですね。



それにこの間も見たトビモンコハマキ



それからスネブトヒメハマキだと思います。



最後はこの間もいて、MSWiさんに教えていただいたゴマフシロハビロキバガでした。



アオメアブがまたいました。この間、菅井 桃李さんから教えていただきましたが、「日本昆虫目録第8巻」にも触れられていました。従来まで、日本産アオメアブはCophinopoda chinensisとされていたのですが、Tsacas and Artigas (1994)により、日本には真のchinensisは分布せず、日本産を新たにoldroydiとして記載しました。その後、沖縄、八重山諸島に分布する種はchinensisとして同定されました。ただ、両者の中間的な形態を示すものもあり、oldroydiが真に成立するかどうかは検討が必要とのことです。このアオメアブはクシヒゲムシヒキ亜科に含まれているので、触角を写せたらとのことだったので、写そうと試みたのですが、どうしてもピントが合わなくて今回は挫折です。



いずれにしてもクシヒゲといっても、途中から先端まで生えているような感じですね。今度いたら、もう一度挑戦してみます。



最後は公園に行く途中で見た花です。たぶん、マメ科のナツフジだと思いますが・・・。



ついでに葉も写しておきました。残りの虫は次回に回します。

家の近くのむし探検 蛾、クモなど

家の近くのむし探検 第100弾

「家の近くの虫探検」も記念すべき100回目になったのですが、特に感慨はないですね。それよりも、先日起きた漏水のため、今日は引っ越しをしないといけないので、朝からばたばたしています。引っ越し先はネット環境がないのですが、もとの家が近いので時々は帰ってブログをアップしようかなとも考えています。

今日は7月5日の公園での虫探しの続きです。この日も蛾はたくさんいたのですが、名前調べが難しくて・・・。



まずはアオシャクからです。これはカギシロスジアオシャクだと思います。



これはかなり迷いました。後翅の突起がかなり伸びているので、ヒロバツバメ、ヒメツバメ、ハガタツバメあたりが考えられます。「標準図鑑」を見ると、ヒロバツバメは外横線が後縁近くで半円形になるというので除外できます。翅の外縁を暗褐色の線が走っていますが、これを外縁線といいます。ハガタツバメは翅脈が外縁に出るところでこの外縁線の色が縁毛にまで移るため、縁毛がまばらになるという特徴を持っています。これに対して、ヒメツバメはが翅脈のところで外縁線の暗褐色部が途切れます。この写真の個体は外縁線が途切れているので、ヒメツバメアオシャクではないかと思いました。(追記2016/07/09:MSWiさんから、「ツバメアオシャクはヒメで良さそう感。」というコメントをいただきました



これはフタテンオエダシャクです。



これはマンションで撮ったものです。フトメイガの仲間なのですが、似た種がいて迷ってしまいました。ナカアオ、ソトベニ、ハスジ、ウスグロの4種です。黒い外横線の曲がり方や、その外側が黒いこと、前縁に黒い帯があることなどで絵合わせした結果、ナカアオフトメイガが一番近いかなと思ったのですが、あまり自信はありません。



そしてハマキガです。これは見間違うことなくチャハマキですね。



これは小さなハマキガです。でも、模様からトビモンコハマキではないかと思っています。



右にくるくる、左にくるくる、葉っぱの上でダンスを踊っていた蛾です。写しても写してもピントが合わなかったのですが、やっと止まってくれました。前翅がえらく尖っています。でも、模様は特徴がないですねぇ。だいぶ探したのですが、まだ、名前が分かりません。迷宮入りになるかなぁ。(追記2016/07/09:MSWiさんから、「細っこい蛾はカザリバガです。

http://www.jpmoth.org/Cosmopterigidae/Cosmopteriginae/Cosmopterigidae_Cosmopteriginae_UNIDENTIFIED__UNIDENTIFIED.html

このページにそれっぽいのがいくつか。成虫写真4とかがそうですね。未記載?」というコメントをいただきました。確かによく似ていますね。それにしても、未記載種が多いですね




ツマキリアツバの仲間なのですが、これもだいぶ迷ってしまいました。シロ、シロモン、ウンモン、ムラサキ、リンゴなどが候補として挙がります。全体的な印象から、リンゴツマキリアツバかなと思ったのですが、どうでしょう。(追記2016/07/09:ささきさんから、「Pangraptaはリンゴで正解です。幼虫には2型あるんだとか…。でも1種だとされています(僕の昔の知識では)。」というコメントをいただきました。どうやら合ってそうですね。よかった



次はクモです。小さなクモで、よく見かけるのですが、正体がはっきり分かりませんでした。もう一度、「日本のクモ」を見直して、緑の部分の脇が若干黒いので、ワキグロサツマノミダマシではないかと思いました。



そして、これはこの間から見ているアズチグモの♂です。♂と♀とは全く違います。



後は残りの虫です。改修がほぼ終わったマンションには虫がいっぱいやってきました。今ごろはこの羽蟻が多いです。体長は7mm程度。アリは検索表が充実しているのですが、それは働きアリ用で、以前調べたときは、雄アリだと属まで、雌有翅アリだとまったくないような状態でした。これは雌有翅アリなので、どうしようもないのですが、以前、調べたときはトビイロケアリとしていた個体と似ています。あの時はどうやって決めたのだろう?



公園に行く途中で見つけました。たぶん、エントツドロバチではないかと思います。



ツツジコブハムシ、久しぶりだったので写しました。でも、よく探すとまだまだいますね。



マメコガネの集団です。



ヒメクダマキモドキの幼虫だと思っている個体です。今頃は葉の上を探すといっぱい見つかります。



最後はクサカゲロウです。生まれたてなのか、大変新鮮に見えました。



ちょっと頭盾の縁模様が薄いのですが、翅の横脈が緑色だし、口肢の外側だけが色づいているようなので、ヤマトクサカゲロウかなと思いました。これで5日分は全部終わりました。今日は引っ越しですが、工事は11日からなので、もう少しの間、ブログを出せるかなぁ。

家の近くのむし探検 カメムシ、チャタテ、ハエなど

家の近くのむし探検 第99弾

一昨日の公園での虫探しの結果です。



ツツジの枝にこんな綿毛のような虫がいます。以前、見たことのあるアオバハゴロモの幼虫かもしれません。でも、その横をちょっと見てください。なんだか糸のようなものが見えています。



これはイトカメムシの触角でした。ハゴロモの幼虫はじっとしているのですが、そこにイトカメムシが少しずつ近づいていきます。



脚や触角、それに口吻を綿毛の中に入れています。



綿毛でごちゃごちゃになっってしまいました。結局、うまくいかなかったのか、カメムシはそのまま幼虫を置いて去っていきました。きっとこの綿毛が役立ったのでしょうね。



カメムシではそのほか、ヒメナガカメムシがいました。



シラカシの幹にこんなチャタテがいました。チャタテにしては大きめの部類に入ると思います。眼が小さいので、♀かな。



横からも撮ってみました。この写真から翅脈を調べることができます。



翅脈の名称は次の論文を参考にしてつけてみました。

K. Yoshizawa, "MORPHOLOGY OF PSOCOMORPHA (PSOCODEA: 'PSOCOPTERA')", Insecta Matsumurana New Series 62, 1 (2005). (ここからダウンロードできます)

ここで、後小室があること、CuA1とM脈に共通の部分があることなどから、チャタテ科であることは確かそうです。チャタテ科の種への検索表は次の論文に載っています。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991). (こちらからダウンロードできます)

ただ、検索表で調べてみると、Psocidus属辺りにたどり着くのですが、そこで、どれにも該当しなくなって迷子になってしまいます。やむを得ず、吉澤氏の論文に載っている翅の模様で調べてみると、Psocus sp.とよく似ていることがわかりました。確かに、富田氏の検索表にはPsocus属は載っていないですね。

吉澤氏のホームページにはChecklist of Japanese Psocopteraが載っていますが、そこではPsocus属はP. bipunctatusだけが載っています。さらに、この学名で検索をしてみると、イギリスのNational Barkfly Recording Scheme (Britain and Ireland)というホームページにこの種が含んだ絵解き検索表が載っていることが分かりました。その検索表を試してみると、確かにP. bipunctatusにたどり着きます。ポイントは翅の模様とCuA1脈の最初の部分と次の部分の長さが最初の方が長いという点でした。合っているかどうかは分かりませんけど・・・。未記載種があるかもしれないので、たぶん、Psocus bipunctatusか、その周辺の種ではないかと思っています。





桜の木の幹にはこんなハエが2匹ほどいました。眼の模様が面白いですね。これは以前も見たことがあるのですが、ムラクモハマダラミバエだと思います。これがミバエ科だとは信じられないですけど。そういえば、以前もそう思って翅脈を調べたのでした



これはアシナガバエなのかな。そういえば、一週間前に頼んだ「ハナアブ」、まだ届きません。



そして、これはシオヤアブ。長くなったので、虫はこのくらいで止めておきます。





今日の花はこんな花です。道端に咲いていました。たぶん、帰化植物だと思って、「日本帰化植物写真図鑑」で調べてみると、確かに載っていました。ハゼランというスベリヒユ科の植物でした。西インド諸島原産で明治年間に導入されたようです。

家の近くのむし探検 クモ、蛾、甲虫

家の近くのむし探検 第98弾

7月4日の公園での虫探しの結果です。今日はクモから出してみます。



この間、ギンメッキゴミグモを撮ろうとしたら、風が吹いていてクモがゆらゆら、こちらも手持ちで撮っているのでゆらゆら。ちっともピントが合いません。この日は風はなくて絶好のギンメッキゴミグモ日和でした。ちょっと拡大してみます。



遠くから見ると金属のように見える銀色部分ですが、拡大すると表面は毛だらけですね。



こちらはちょっと変わった巣でした。「日本のクモ」を見て巣だけから判断すると、ウズグモ科みたいですが、それ以上はよく分かりません。



これはウロコアシナガグモあたりの種です。似た種がいるので、よくは分かりません。



これはこの間からいるアズチグモです。



これはコハナグモかなぁ。



これは何だろう。○○ハナグモだとは思うのですが・・・。





この小さなハエトリグモもよく分かりません。クモは難しいですね。もう少し深入りできるといいのですが、どうもクモは苦手で・・・。(追記2016/07/09:MSWiさんから、「ハエトリはネコの幼体でしょう。もう♂はとうに消えて、お子さんが生まれる季節ですね。」というコメントをいただきました。いつもよく分からないとネコハエトリですね。ネコ、ネコ。覚えておかなくっちゃ



蛾は3種いたのですが、どれも手強くて。この蛾は色合いからハチノスツヅリガかなと思ったのですが、「標準図鑑」や「大図鑑」を見るとちょっと模様が違うみたいです。でも、一度植え付けられた先入観から離れられなくて、結局、ハチノスツヅリガかなと思ってしまいました。



次はこれ。この蛾は小さいのですが、どこかで見たような、見てないような。翅の輪郭を見ると翅端が尖っている感じです。翅の基部2/3の感じは見覚えがあるんだけれど。何度か図鑑を見直したのですが、結局、ギブアップです。(追記2016/07/09:MSWiさんから、「蛾はツツジキバガとか何か…その辺だと思います。」というコメントをいただきました。小蛾はかなり小さかった印象で、また、前翅が尖っていたので、ちょっと違うかも。いずれにしても寸法を測っておかないといけないですね



これはこの間も見たカレハチビマルハキバガでした。



そして、ハマキガ。最近、ハマキガを見るとうんざりしてしまいます。どれも似ていてますます区別がつかなくなってきました。これはトビモンハマキかなと思ったのですが、どうだか分かりません。



頭を突っ込んでいる甲虫がいました。雰囲気からはシロテンハナムグリですね。以前、シロテンハナムグリの検索をしたことがあるので、それをもう一度見てみました。中胸腹板突起、後基節、中・後脚脛節段差のいずれもこの画像からは判断できません。ひっくり返して腹側を写しておけばよかったですね。反省!反省!



これはこの間からいるウスイロサルハムシだと思います。脚の方に焦点が合ってしまいました。(追記2017/10/06:これはサクラサルハムシかもしれません。詳細はこちらをご覧ください





これはサクラサルハムシだと思っている個体ですが、一度、ちゃんと調べてみたいですね。ハムシの検索表はどこかに載っていないかなぁ。(追記2017/10/06:これはサクラサルハムシかもしれません。詳細はこちらをご覧ください

家の近くのむし探検 カメムシ、バッタ、ハエなど

家の近くのむし探検 第97弾

昨日、久しぶりに家の近くの公園に行ってみました。来客があったり、外出したりで、4日ぶりになります。行ってみると、とにかく蒸し風呂のような暑さでした。こんなに暑いと虫もいないのではと思ったのですが、やはり虫は少なめ。少ないとどうしても、ハエとクモばかり撮る羽目になります。さらに、この日は公園にやってこられた人とおしゃべりする時間が長くて、肝心の写真はどれもいまいちでした。



今日はまず、この虫から。これはウシカメムシの幼虫ですね。マンションの廊下でも見たことがあったのですが、外ではいろいろな幼虫を見ることができますね。



同じカメムシ目ということでこれも出してみます。後脚の可動性距を見る暇がなかったのですが、これはウンカの仲間かな。(追記2016/07/09:MSWiさんから、「赤いのはNaratettix rubrovittatusというものだと思います。」というコメントをいただきました。この名前で検索してみると、よく似た種が出てきました。ウンカと書いたのはヒメヨコバイだったのですね。どうも貴重な情報を有難うございました



これはネットで探してみました。カンキツヨメヨコバイというのに似ています。「原色昆虫大図鑑III」には出ていて、この属は単眼を備え、頭頂縫合線が頭頂基部から前方に走り、単眼間をやや超えるとのことでした。前から写したら何とか調べられたかもしれませんね。



写しているときは気が付かなかったのですが、左側にはクモの姿が。何やら緊迫した雰囲気です。



バッタの仲間もいろいろといました。これはマンションの近くにいたものですが、マダラスズの長翅型みたいですね。



これもマンションの壁にいたもので、ホシササキリ



これは変わった形ですね。でも、見覚えがありました。以前、マンションでも見たヒメクダマキモドキの幼虫ですね、たぶん。



もう翅が生えてきているので、終齢幼虫かなと思ったのですが、さて何でしょう。なんとなく、イナゴの仲間みたいですが・・・。(追記2016/07/09:MSWiさんから、「バッタの幼虫はクルマバッタモドキかな…?直翅はほとんど分からないので、二信八疑ぐらいの眼で見てもらえればと・・・」というコメントをいただきました。バッタは本当に難しいですね。これからも幼虫の観察をしていきたいと思います。どうも有難うございました)(追記2016/08/02:8月㏠のブログでバッタについて盛り上がりました。その中で、MSWiさんから、上の写真の幼虫はマダラバッタではないかというコメントをいただきました。頭頂と額の角が鋭角なので、たぶん、ご指摘の通りマダラバッタみたいです



カマキリがいました。これもオオカマキリなのかなぁ。ハバチの仲間を捕まえていますね。マンションの廊下ではどの虫も静かに止まっている静の世界なのですが、外ではいろいろなドラマが展開される動の世界ですね。



羽アリも一応写したのですが、どうせ名前までは分からないでしょうね。





これはアオメアブだと思ったのですが、ネットに出ている写真と比べると、跗節の色が薄いような感じです。(追記2016/07/09:菅井 桃李さんから、「アオメアブは交尾中を見ても、片方だけふ節の色が薄いことがあったので、色が薄いこともある様です。ところで、日本産アオメアブは大陸のものと同種としてCophinopoda chinensis (Fabricius, 1794)の学名が使われてますが、交尾器の違いから別種のCophinopoda oldroydiとする論文があります。調べて見ると、確かに論文にある検索と同様にC. oldroydiになりますが、まだ詳しく検討されてない模様…。大型ムシヒキのアオメアブに代表されるクシヒゲムシヒキ亜科ですが、Ommatiusの様な体長が10ミリに満たない小型種も居て、なかなか面白い仲間です。この亜科の櫛状の触角を撮ろうとする人って、あまり居ないのかなあ?」というコメントをいただきました。

調べてみると、次の論文に両種が載っていることが分かりました。

L. Tsacas and J. N. Artigas, "Le genre Comphinopoda Hull, 1958 (Diptera: Asilidae) a repartition subcosmopolite inhabituelle", Annal. Soc. entomol. France 30, 447 (1994). (こちらで読むことができます)

論文はフランス語で、しかも、ダウンロードできないみたいです。でも、交尾器の図が載っているので、比較ができるかもしれません。菅井 桃李さん、有用な情報を有難うございました






アシナガバエがいるとつい写したくなります。接写でフラッシュをたくと、必ず逃げるので、それに構わず何度でも写しているとそのうち止まったままになることがあります。その時が狙い目です。先日、菅井 桃李さんに、関東地方のアシナガバエについて「ハナアブ」に載っているという情報を教えていただきました。早速、注文したのですが、なぜかまだ届きません。関東と関西は結構離れているからなぁ。



これは以前教えていただいた、ヘリグロハナレメイエバエだと思います。どうも写真がいまいちです。長くなったので、ここで打ち切ります。蛾、甲虫、クモは次回です。

家の近くのむし探検 蛾とクモ

家の近くのむし探検 第96弾

6月30日に公園で探した虫の続きです。蛾とクモ、あまり人気のない連中が残ってしまいました。



まずは、初めて見た蛾から。公園のツツジの葉を探していると蛾は結構たくさん見つかります。たいていは私の姿を見ると、さっとほかの場所の葉裏や茂みの中に隠れてしまうのですが、たまには上の写真のようにじっとしていてくれる蛾もいます。この蛾は特徴があるので、すぐに名前は分かるだろうと思って、「標準図鑑III」で探してみました。予想通りすぐに見つかりました。マルハキバガ科のカレハチビマルハキバガです。広葉樹の枯れ葉が食草のようで、6月ごろから出現するみたいです。以前にも書いたのですが、こういう小さな蛾はよく見ると意外に綺麗なことが多いので、最近は出会いを楽しみにしています。



一方、小さい蛾でもハマキガの仲間は名前調べが大変で、いつも苦労しています。この蛾もなんとなく模様があるようでないような。とりあえず、この模様を手掛かりに「標準図鑑IV」を探してみると、Notocelia、Rhopobota、Epiblemaのウスシロモンヒメハマキあたりが候補に挙がります。蛾を詳しく調べておられる方が属名をさっと言われるのを恰好いいなと思っていたのですが、こう似た種が多いと、まず、属を探すというのが常道のように思われてきました。ただ、問題は模様が図鑑とぴったりの種が見つからないことです。あぁでもない、こうでもないと悩んだ末、いつものRhopobota属のモチツツジマダラヒメハマキかなと思ったのですが、自信はありません。先日、ミナミモッコクヒメハマキかもとした個体もやはり違うような気がしてきました。この辺り、もう一度整理しながら調べてみたいなと思っています。それには採集が必要なのですが、もうこれ以上、標本を増やしたくない・・・。



これは、以前MSWiさんに教えていただきました。もう見てもすぐに名前が出るかというとそうではありません。ズグロツマキハイイロヒメハマキ。長すぎます!



次はマンションの廊下にいたものです。床に養生シートが貼られているので、こんな背景になってしまいました。キベリトガリメイガだと思ったのですが、よく見るとこんな模様があったのかな。



次はシャクガ。これはウスオエダシャクです。



それにオオハガタナミシャク



さて、また問題のアオシャクです。今回のは後翅の突起が顕著なので、Maxatesだと思われます。後は縁毛、外横線の波型模様、後翅の突起の形、顔面の色などを見て、ヒロバツバメアオシャクにしました。たぶん、合っているのでは・・・。



次はヒトリガの仲間で、交尾中のカノコガです。パッと見だと蛾には見えませんね。



最後はヤガ科で、コウンモンクチバです。マンションの廊下の壁に止まっていました。マンションも全体を覆っていた幌が全面的に外されたので、そろそろ虫たちが集まってきました。これからは天気が悪かったら、廊下を歩いてみようかな。



次はクモです。先日、風が吹いていてなかなか撮れなかったので、もう一度撮ってみました。ギンメッキゴミグモです。



この橙色のクモは、小さいので見つけにくいのですが、公園内を探すといっぱいいます。ちょっと拡大してみます。



これはたぶん♀で、上の方には♂らしき姿も見えました。



♂の方が小さいけれど色鮮やかです。「日本のクモ」の写真と見比べると、パッと見ではキヒメグモかなと思うのですが、先日、キヒメグモは色彩多型があるという高校卒業生の研究発表を見つけ、色だけではなく模様にもかなり変異があることが分かりました。次の論文には、ヒメグモにも色彩多型があるけれど詳細は分からないと書かれています。

池田博明、「クモの多型について (I) 研究史」、生物教育学雑誌 1, 7 (1990). (こちらからpdfがダウンロードできます)

色と模様が変われば、外見上はもう何がなんだか分からないですね。



葉をつづってこんな巣を造っているクモがいます。



ネコハグモみたいですね。「日本のクモ」には、天幕状の覆いをつくるので、天幕網と呼ばれていると書かれていますが、これのことかな。



ハエトリは横姿しか写せなくて名前がよく分かりません。今日はこんなところかな。来週末からは近くの家に引っ越し。これから身の回りの整理をしなくちゃ。

家の近くのむし探検 ホソカッコウムシほか

家の近くのむし探検 第95弾

マンションの改修工事が始まった3月初めから、思い切ってマンションの外へ虫探しに出かけることにしました。初めはどこを探してよいのかさっぱり分からなかったのですが、そのうち、公園の植え込みのツツジの葉を探しているだけで、結構、いろいろな虫に出会えることが分かりました。最近では公園に出かけるのが楽しみになってきました。6月30日午前中に公園に行った時の虫探しの結果です。

この日は3日ぶりだったのですが、公園に行く途中に生えているクズの葉に奇妙な虫が止まっているのに気が付きました。





あまりに変わった姿なので、この虫だけで20枚も写真を撮ってしまいました。家に戻ってから「日本原色甲虫図鑑III」で探すとすぐに見つかりました。カッコウムシ科のホソカッコウムシという虫だそうです。寸法は測らなかったのですが、図鑑によると体長6-8.5mm。倒木の樹皮下などで見られるそうです。





次は公園で見つけました。たぶん、オオヒラタシデムシだと思います。地面の上を歩いていてなかなか止まってくれなかったのですが、ちょっと止まった瞬間に撮りました。



後はいつものセマダラコガネですね。



次はハエ目です。これはこの間からいるサキグロムシヒキでしょうね。腹端が尖っていないので♂ですね。





このムシヒキにはだいぶ苦しみました。「ムシヒキアブ図鑑」でいろいろと探した結果、最終的にはシロズヒメムシヒキ♀ではないかという結論に達しました。あまり確かではないのですけど・・・。(追記2016/07/09:菅井 桃李さんから、「従来シロズヒメムシヒキとされてきたムシヒキアブは、大陸産のものと比較した結果、日本産は別種として、今はナガトミヒメムシヒキPhilonicus nagatomii Utsuki, 2008となっている様です。」という情報をいただきました。いつもどうも有難うございます



これはクチナガハリバエでしょうね。口吻はこんな風に曲がっているのですね。



ハキナガミズアブです。この日は多かったですね。あちこちに止まっていました。



これはマンションの壁に止まっていたミツバチです。マンションの壁を塗り直したばかりなので、背景が綺麗になりましたね。たしか、セイヨウミツバチか、ニホンミツバチかは翅脈で分かるのでしたね。



その部分を拡大してみます。矢印の部分に翅脈があるとニホン、ないとセイヨウでした。この写真の個体はあるので、これはニホンミツバチということになります。



ハチもいろいろといるのですが、どうせ名前までは分からないだろうなと思うと調べる元気がでません。



羽アリも同じですね。これも写真だけです。



公園で虫を探しているとハゴロモの幼虫によく出会えます。本当にここかしこにいます。



これはベッコウハゴロモの方みたいですね。



最初、ヨコバイの幼虫かなと思ったら、背中が割れていました。脱皮殻なのですね。



今日の最後は花ではなくてチョウでした。ベニシジミですね。蛾とクモは次回に回します。

家の近くのむし探検 蛾と甲虫

家の近くのむし探検 第94弾

7月になってしまいました。でも、まだ6月分の写真整理が残っています。6月27日の分です。昨日、ミミズク、ハエなどを出したので、今日は残りの蛾と甲虫になります。でも、先日起きた漏水事故のため集中力を欠いているのか、それとも難しい種類が多かったのか、ともかく名前調べはめちゃめちゃ苦労しました。たぶん、3-4種は間違っているのではないかと思っています。

まずは怪しいアオシャク3種です。



下にあるツツジの葉と比べると、それほど小さくはないという感じのアオシャクです。外横線が鋸歯状ですが、後翅の突起はわずかです。こんなところで探してみると、JodisかMaxatesのツバメアオシャクあたりかなと見当が付きました。でも、これからが悩みに悩んで最後はもやもやの結果です。外横線の後縁付近に三日月状の模様がないのでウスミズではないだろうと思いました。オオナミガタは図鑑を見ると前後翅に黒い線が入っているのですが、これにはないので、結局、残りのツバメアオシャクにしたのですが、まったく自信はありません。



次はこれ。腹が赤くて、外横線がほぼ直線状なので、多分、コウスアオシャクでいいのではと思いました。



次はこれ。外横線、内横線ともに波打っており、暗色の縁取りがあります。腹は赤くありません。ということでナミスジコアオシャクかなと思ったのですが、どうも翅形が合わない感じで、そこがちょっと引っかかります。

次はハマキガ2種です。もともとハマキガは苦手で、マンションの廊下でも見て見ぬふりをしていたところがありました。マンションでは蛾が多かったので少々無視しても大丈夫だったのですが、公園では小さな蛾が多くて、また、全体にそれほど多くないので、ハマキガも貴重な蛾の一つになってしまいました。それで、毎回悩んでいます。





まずはこのヒメハマキです。別個体なのですが、たぶん、同種だと思います。これもだいぶ悩みました。最初、ニレコヒメハマキにしていたのですが、色が鮮やかなので悩み始めて、結局、ポプラヒメハマキにしてしまいました。たぶん、違っているのではと思っています。





これは同一個体です。模様から、Notoceliaだと思うのですが、これほど地味な色の個体は図鑑ではミナミモッコクヒメハマキしかいません。ミナミモッコクはもともとヤクシマと呼ばれていて屋久島より南で分布していたのですが、「標準図鑑」では新たに和歌山が産地として入れられ、和名がミナミモッコクに変更されていました。名前の通り、ツバキ科のモッコクが食草なのですが、暖地の海岸地方に分布する木なので、私の住む内陸に果たしてあるのかどうか・・・。(追記2016/07/09:菅井 桃李さんから、「モッコクですが、おそらく庭木として植えられてます。同じくモッコクを食草とするモッコクヒメハマキを内陸で見付けてます。」というコメントをいただきました。その後、似たようなハマキが出てきているのですが、だんだん何が何だか分からなくなってきました。ハマキガは難しいですね



これはこの間もいたムモンハビロキバガ



ツガヒロバキバガ



これはシロテンノメイガで合っているのかなぁ。



縁毛の基半が濃色で、外半が淡色、さらに、この翅の色からアカシマメイガにしました。



次のこのマダラメイガが分かりません。オオウスアカオビマダラメイガかなと思ったのですが、たぶん、違っているのではないかと思っています。



蛾の最後はカノコガでした。

次は甲虫です。



セミスジコブヒゲカミキリがまたいました。今回も♀みたいです。前回は触角全体を撮りそこなったので、今度は撮ってみました。



こんな感じです。♂はさらに長いというので出会いを楽しみにしています。



いつものツツジトゲムネサルハムシです。この日は食事中にお邪魔しました。





新しいコガネを見つけたと思って、喜んで「日本産コガネムシ上科標準図鑑」を見ると、なんとセマダラコガネの色変わりだそうです。信じられいないけど・・・。(追記2016/07/09:菅井 桃李さんから、「セマダラコガネは緑色が出るものや、殆ど真っ黒まで変異が多いコガネムシですね。昔は黒いの見なかったと思うんだけど…。」というコメントをいただきました。私は黒いの見てびっくりしたのですが、よくいるのですね



これはキマワリでしょうね。



最後のこの甲虫も悩みました。たぶん、ゴミムシダマシ科のスナゴミムシダマシの仲間だと思うのですが、種類がいっぱいでよく分かりません。ただ、スナゴミムシダマシと比べると、前胸背板の大きさが小さい感じです。それで、コガシラスナゴミムシダマシかなと思ったのですが、まったく自信はありません。

という具合に、悪戦苦闘しながら名前調べをしています。
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