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家の近くのむし探検 雨の合間の公園

家の近くのむし探検 第25弾

最近は公園での虫探しが楽しみになってきました。昨日はほとんど一日中雨だったのですが、ちょっとした雨の合間を縫って公園に行ってみました。もちろん、人はほとんど見かけなかったのですが、虫の方は探せばそれなりに見つかりました。



まずは雨の日の定番、カタツムリです。クチベニマイマイという名がぴったりの色がついています。おまけに殻の口がめくりあがって成体であることが分かります。数えてみると、確かに5巻きでした。この間買った「カタツムリハンドブック」に書いてある通りですね。ちょっと嬉しくなりました。



この間虫がいっぱい集まってきていたコデマリの花に行ってみました。やはり虫は見つかりません。やっと、ヒメマルカツオブシムシを見つけました。でも、だいぶ濡れています。



近くにヘリグロホソハマキモドキもいました。



それに、キベリヒョウタンナガカメムシ



それに、ナミマガリケムシヒキ。最近はたくさん見ます。



ベニシジミもじっとしていて、近づいても逃げません。



ホソヒラタアブも。



ヒメナガカメムシ。これはちょこちょこ動き回っていました。



コナジラミ。なかなかピントが合わないですね~。



公園の外にある石垣にはガガンボがいました。体が白っぽいのでよく目立ちます。こんなのが何匹か飛び回っていました。翅脈が見えるので、拡大してみました。



Sc脈がよく見えます。これが前縁に達しているので、ヒメガガンボ科ですね。



こちらはガガンボ科みたいです。



塀のちょっとした凹みにこんな毛虫が糸をはっていました。調べてみると、ハマキガの幼虫みたいです。本来は木の葉に張って葉を丸め込むのではないかと思うのですが、これからどうするつもりでしょう。



最後はクモです。ササグモ



コガネグモ類の幼体。だいぶ大きくなってきました。もう少しすると名前が分かるかな。



これはオニグモ類の幼体。まだまだ小さかったです。雨の日でも探すと結構、虫がいますね。
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虫を調べる カミムラカワゲラ属

先日、川沿いの土手を歩いていたら、道具小屋の壁にカワゲラが何匹もくっついていました。



こんな感じです。この写真の個体は♂だか♀だかよく分からないのですが、2匹捕まえてきたら、一匹が♂、もう一匹が♀でした。検索表は♂用だったので、とりあえず♂を調べてみました。



この写真から体長を測ると15.3mmでしjた。一方、♀の方は21.6mmとだいぶ大きかったです。

以前、アミメカワゲラらしき個体の検索を一度試みたのですが、幼虫時代の痕跡の鰓がよく分からなくて挫折したことがありました。それで、今回が再挑戦になります。今回は外形からカミムラカワゲラかウエノカワゲラかなという予想が立ったので、前よりは少し楽かなと思いました。

検索表は「日本産水生昆虫」に載っているものを用いました。実際に検索してみると、ちょっと怪しいところがあるのですが、とりあえずカワゲラ科になりました。さらに検索を進めると、予定通りカミムラカワゲラ属になりました。だいぶ、先入観が入っているので怪しさいっぱいなのですけど・・・。その時の検索項目を写真で確かめていこうと思います。



これは科の検索です。♂用とも♀用とも書いてないので、たぶん、どちらにでも使えるのではないかと思います。



次は♂用の属の検索です。

いつものように検索の順番ではなくて、部位別に見ていきたいと思います。



これは頭部です。この写真では単眼が3つあることを確認します。ところどころに丸いものが写っていますが、冷凍庫に入れておいてから解凍したので、水滴がついたみたいです。それにしても、見事な造形ですね。



次は頭部を裏側から写したもので、口の部分です。実は、ここがもっとも苦しみました。というのは、側舌と中舌がどれだか分らなかったからです。いろいろな論文やサイトを見ながら、最終的にはこの写真のようにしたのですが、まだ確かではありません。側舌と中舌が矢印の部分だとすると、一応、書いていることは正しいのではないかと思います。



次は胸部の腹側からの写真です。たぶん、矢印で示したものが幼虫時代の糸状鰓の痕跡だと思います。



脚の先端の跗節の拡大写真ですが、第3節がえらく長くなっています。変わっていますね。



腹部を背側から見たものです。①の第10背板が外に現れるというのはちょっとこの写真では分かりにくいので、後で次の写真を見てください。そのほかの⑥、⑧、⑨は特に問題ない感じです。



これは腹部末端を背側から写して拡大したものです。第10背板が確かに見えていて、その中央部分に突起があることが分かります。この突起の形で、ある程度、種の特定ができるようです。



今度は腹側からの写真ですが、特に構造は見られません。ということで、口器の部分の解釈が正しいとすると、カミムラカワゲラ属で合っていると思います。



ついでに前翅の翅脈にも名前を付けてみました。これは、Royal Entomological SocietyのHandbookシリーズの中のVol. 1, Part 6(ここからダウンロードできます)の中の図を参照しました。

ところで、「日本産水生昆虫」によると、カミムラカワゲラ属は日本に3種いるそうです。カミムラカワゲラ、ウエノカワゲラ、クロヒゲカワゲラです。ただ、Sivec(1988)の論文をみると、カミムラカワゲラ属のかなりの数のタイプ標本が失われたり、不適切な記載で一時的に種リストから除外されていました。この中にウエノカワゲラも含まれていました。その後、たぶん次の論文で再記載されたのではないかと思います。

S. Uchida and Y. Isobe, "Designation of a neotype for kamimuria tibialis (pictet, 1841), and k. uenoi kohno, 1947, spec. propr., stat. n. (plecoptera, perlidae)", Aquatic Insects 13, 65 (1991).

この論文、いろいろと手を尽くしたのですが、どうしても手に入りません。ということで、今のところ、カミムラカワゲラ属の一種というところまでです。いつもこんな感じですね。

家の近くのむし探検 「変わったハエ」ほか

家の近くのむし探検 第24弾

昨日の続きで、家の近くの公園で見た虫です。昨日はコデマリの花に集まる虫を調べていたのですが、公園の中も歩いてみました。そうしたらツツジにこんな変なハエが止まっていました。





左側からと右側から撮ったものです。背中を曲げ、頭は丸く、触角はほとんど見えないくらい小さいですね。初め何かなと思ったのですが、覆弁があるのでたぶんハエだなと思って撮ってみました。採集したので、検索をしてみればよいのですが、一応、「変なハエ」というキーワードで画像検索してみました。すると引っ掛かりました。どうやら、コガシラアブ科のセダカコガシラアブの仲間のようです。セダカコガシラアブで検索するといっぱい引っ掛かりました。皆さん見てられるのですね。

「日本昆虫目録(2014)」で調べてみると、コガシラアブ科にはAcrocerinaeとPhilopotinaeという2亜科が日本に分布しているようです。この違いはよく分からないのですが、MNDを見ると、検索表の最初にPhilopotinaeの項目が出てきました。

後前胸背板が強く発達して、盾板の背側を両側から覆う  Philopotinae

となっています。後前胸背板については、「原色昆虫大図鑑III」のハエ目にも図が載っていますが、普段は盾板の前縁の下に隠れている部分です。これが発達しているというのがよくは分かりませんが、MNDに載っている図を参考にしてみると、次の図で示した部分のようです。



確かに盾板の前側を覆っているように見えます。したがって、Philopotinaeらしいということが分かりました。この亜科には日本産はOligoneura属だけが記録されていて、「日本昆虫目録」には全部で8種載っています。そのうち本州には5種分布しているようです。記載論文を見てみようと思って調べてみると、

E. I. Schlinger, "The Acroceridae of Japan, Part I. Resurrection of the philopotine genus Oligoneura Bigot, with a revision of the Japanese species and descriptions of seven new species", Pages 185-200 in Entomological essays to commemorate the retirement of Professor K. Yasumatsu. Hokurykan Publishing, Tokyo (1971).

という退官記念論文集の中に載っているようです。この本をCiNiiで探すと14大学図書館にはおいてあるようですが、近くの大学にはありません。どうやらまた文献の壁にぶつかったようです。ということで、とりあえずOligoneura属の一種というところまでです。このアブはクモに寄生するので、spider fliesとも言われています。



ハエ目のついでにこの綺麗なハエも出しておきます。翅脈のM1脈の曲がり方からイエバエかなと思うのですが、採集できませんでした。



こちらは小さなハエを趣味的に撮っただけなので、科もよく分かりません。



こんなハエがクモの巣に引っ掛かっていました。翅脈からはクロバネキノコかなと思ったのですが、眼を拡大してみます。



左右の複眼が中央で接しているように見えます。クロバネキノコでいいのかな。



後は、この間から見ているセグロカブラハバチ



そして、これはこの間調べたイヌノフグリハバチかなと思うのですが、自信はありません。(追記2016/10/01:脛節の外側が黒いので、ニホンカブラハバチ♀かもしれません



それにナミマガリケムシヒキ



ヒメナガカメムシ



これはツマグロオオヨコバイあたりのの幼虫でしょうね。



それにマイマイガの若齢幼虫。



最後は民家の門柱にいたシラヒゲハエトリでした。

家の近くのむし探検 コデマリに集まる虫

家の近くのむし探検 第23弾

最近、近くの公園に行くのが楽しみになってきました。探すと次から次へと虫が出てくるので・・・。一時期はトビムシとアリしかいなかったのが本当に嘘のようです。今日はコデマリの花に集まる虫を調べてみました。コデマリの横でじっと見ているだけでいいので簡単な観察なのですが、その割にはいろいろと虫がやってくるので面白かったです。



最初に気が付いたのはこのコアオハナムグリでした。



次に気が付いたのはこのツマグロキンバエです。これは何匹もいました。



そのすぐ横に小さな虫がいるのに気が付きました。花の中に潜り込んでいます。





よく見ると、あちらこちらにいっぱいいます。これはマンションの廊下でお馴染みのヒメマルカツオブシムシかな。野外ではこんな花に集まるのですね。



少し大きな虫もいました。この写真だけでは特徴がないのでたぶん分からなかったと思うのですが、公園の中を回ってからもう一度花をのぞいてみると、



♂♀がペアになっているのが見つかりました。下が♀、上が♂でしょうね。色がずいぶん違います。これを手掛かりに図鑑を探してみると、ツヤケシハナカミキリが合っていそうな・・・。



後はヒラタハナムグリ



モモブトカミキリモドキ



ハナバチの仲間ですね。この写真から翅脈をできるだけ読み取り、ヒメハナバチ科かなというところまでは行けました。実は、撮っているときはまた例のチビヒメハナバチかなと思ったのですが、よく見ると縁室先端が尖っていますね。チビヒメハナバチ以外ならば採集すればよかった・・・。



それから、コハナグモかな。



最後はこんなアリでした。クロヤマアリあたりかな。小さなコデマリなのですが、見ているとこんなに虫が集まってきました。それ以外で見た虫は次回に回します。

家の近くのむし探検 蛾、クモなど

家の近くのむし探検 第22弾

昨日の続きで3日前に家の近くの公園で見つけた虫です。昨日はハエとカメムシを紹介したので、その他の虫を紹介します。



まずは蛾からです。いつも迷うツマキリエダシャクの仲間です。モミジツマキリ、ツツジツマキリ、それに、ツマキリという3種がいて写真では区別がつきにくいです。このうち、モミジツマキリは外横線の外側に2つの黒点があるのが普通で、これにはないので除くことができます。ツツジツマキリとツマキリは裏面の外横線で見分けるので写真では分かりません。ただ、これまでいたのがすべてツマキリの方だったので、これもたぶん、ツマキリエダシャクだと思いますが・・・。



木の幹に止まっていると白い模様が同化していて見つけにくくなっています。複雑な模様なのですが、やはり木の幹の模様に擬態しているのかもしれません。オオハガタナミシャクです。



これはオビカレハの幼虫です。記録を見ると、昨年の5月3日と13日にも見ていました。



セグロカブラハバチだと思います。これも先日捕まえてきた個体で顕微鏡写真を撮ったので、今度出します。



これは採集して検索してみました。まず、コハナバチ科であることはすぐに分かりました。続いて、アトジマコハナバチ属も大丈夫そうです。この属には4種が記録されているのですが、頭部の形状から、アカガネコハナバチとミドリコハナバチが残ります。これは♀なのですが、♀の場合は頭盾の形状と、後単眼と頭頂後縁までの距離で見分けます。ミドリでは頭盾が平坦で、頭頂後縁までの距離が短く、アカガネは頭盾下部が浅く凹み、頭頂後縁までの距離は単眼直径の3倍以上となっています。そこで、この写真を使って測定してみました。後単眼の直径は平均14.0ピクセル、後単眼後縁から頭頂後縁までの距離は24.5ピクセル。2倍程度にしかなりません。そこで、頭盾の形状が決めてになるのですが、これが見にくくてはっきり分かりません。平坦ではなさそうなのですが、下部が浅く凹みというところまでは分かりませんでした。ただ、ミドリは分布が本州中北部以北なので、おそらくアカガネコハナバチの方だろうと思うのですが、私が検索するといつもこんなもやもやで終わってしまいます。もう一度、頭盾を調べてみま~す。



後はヤブキリの幼虫。



これはモリチャバネゴキブリの幼虫かな。



後はクモばかりです。クモは絵合わせで調べているので、いつもはっきりとは分かりません。これはたぶん、ネコハエトリ♂だと思いますけど・・・。



これはたぶんハナグモ



木の幹の窪みから脚だけ出していたので、ちょっとつついて外に出しました。いつものオチバカニグモかなと思ったのですが、調べてみるとキハダカニグモのようです。記録を見ると、2年半前の11月にマンションの廊下でも見ていました。



ササグモ



この間からちょくちょく見かけるのですが、名前がはっきりとは分かりません。たぶん、コガネグモの幼体だろうと思うのですが・・・。小さいけれど、一人前に網を張っていました。

家の近くのむし探検 ハエ、カメムシなど

家の近くのむし探検 第21弾

「家の近くのむし探検」も21回目になって、そろそろペースを掴みかけてきました。これは一昨日の結果です。この日も虫はたくさんいました。



今日はこのムシヒキからです。これは♂の方で、



こちらが♀の方です。以前だと、単にマガリケムシヒキとしていたのですが、「原色昆虫大図鑑III」によると、マガリケムシヒキ属には既知種が5種と未記載種と思われるものが少なくとも3種棲息しているとのことです。この既知種5種は中・後腿節が全面的に黒いようです。下の♀の方はよく分かりませんが、上の♂は確かに黒いのが分かります。この5種については検索表が載っていて、翅が透明、前腿節末端が赤褐色のものがマガリケムシヒキということになっています。上の写真の個体も前腿節末端がわずかに赤褐色なのでたぶんそうなのでしょう。ところで、「日本昆虫目録(2014)」によると、同属には6種載っていて、マガリケムシヒキはナミマガリケムシヒキと名前が変わっていました。まだ未記載種がいるのではっきりとは言えませんが、とりあえず、上の写真の個体はナミマガリケムシヒキだろうというところです。

追記2016/04/26:前脛節末端の部分が上の写真では分かりにくいので、その部分を拡大してみました。



矢印の部分が赤褐色だと思ったのですけど・・・






こんな虫が葉っぱをくねくねしながら登ったり下りたりしていました。前脛節末端の2本の刺がよく見えます。したがって、ケバエ科です。この色からたぶん、メスアカケバエ♀ですね。



このガガンボはSc脈がよく見えないので、科はよく分かりません。



これもガガンボでしょうね。カメラを近づけると、どんどん奥へ入っていくので、正面から撮れませんでした。(追記2016/05/02:Hepotaさんから、「イトカメムシの仲間じゃないでしょうか?」というコメントをいただきました。えぇっと思って早速何枚か撮った写真を見直してみました。



途中で折れて、さらに先端が膨らんだ奇妙な触角をしていました。イトカメムシの仲間で間違いなさそうです。先端の紡錘型の部分が第4節だそうです。そういえば、カメムシはこんな触角をしていますね。「原色日本カメムシ図鑑第3巻」によると、日本産イトカメムシ科で本州に分布するのは、ヒメイトカメムシ、アカオオイトカメムシ、オオイトカメムシ、イトカメムシの4種のようです。体長は少なくとも数ミリはあったと思うので、小さなヒメイトカメムシは除外できそうです。オオイトカメムシとアカオオイトカメムシは触角の紡錘型部分と腿節先端部が共に黒、共に赤褐色とのことで、この写真の個体とは異なります。たぶん、イトカメムシでよいのではないかと思います。Hepotaさん、ご指摘、本当に有難うございました




これは小さい虫なのですが、ユスリカの仲間だと思います。





ユリノキにヨコヅナサシガメがいるのはこの間気が付いたのですが、いるとつい撮ってしまいます。桜の幹にいる時よりも幹が白いので、綺麗に撮れる感じです。



これはグンバイムシです。「原色日本カメムシ図鑑」で探してみると、ナシグンバイに似ている感じです。初めてみました。



この間教えてもらったコナジラミの仲間を3.8xの接写で撮ってみました。手持ちだったので、どうにもピントが合いません。これが精一杯でした。



先日、大量にいたカシノアカカイガラムシは探してみると、まだいました。でも、数は圧倒的に少なくなっていました。他にもまだまだ虫はいたのですが、次回に回します。





最後は花です。公園の入り口で咲いていました。たぶん、コデマリですね。

虫を調べる イヌノフグリハバチ

この間から家の近くの公園に行っているのですが、そこにある花壇にハバチがたくさん来ていました。先日、写真を撮ったのですが、名前を調べようと思って3匹捕まえてきました。そのうちの1匹を調べてみました。



調べたのはこんなハバチです。残念ながら野外で撮った写真がなくて、こんな写真になってしまいましたが・・・。



体長は5.9mm。小さいけれど背側や腹側が橙黄色なので、かなり可愛いハチです。ハバチの検索には大阪府限定なのですが、次の本を愛用しています。

吉田浩史、「大阪府のハバチ・キバチ類」西日本ハチ研究会 (2006).

これを使って検索をしてみると、ハバチ科ハグロハバチ亜科カブラハバチ属イヌノフグリハバチに落ち着きました。忘れないようにと思って、検索の過程を写真に記録しておくことにしました。



これが属までの検索で使った項目です。全部で14項目ありました。



これは種への検索で全部で3項目。ここには大阪府に分布する4種すべてについての項目を書いておきました。いつものように検索の順番ではなくて、部位別に見ていきたいと思います。



まずは頭部です。ここでは触角の位置と頭盾と顔面が分離しているかどうかを見ます。顔面と前額の境がよく分からなかったのですが、触角の位置で決めているようです。つまり、触角基部の上端と頭盾の間が顔面、触角基部上端から単眼瘤手前までが前額、さらに、単眼瘤周辺が頭頂です。人間だと眉毛(?)から顎までが顔、頭の毛の生えている部分と眉毛の間が額になるのかな。複眼が横にあって単眼まであるので、人と同じように名づけようとするとややこしくなりますね。いずれにしても、触角は複眼下縁よりは上にあり、頭盾と顔面との境も明確です。



触角はやや棍棒状みたいですが、全部で10節ありました。第3節が特に太いということはありません。



次は胸部背面です。前胸背板は⑤の矢印で示してありますが、中央部分で大変狭くなっています。また、⑦にあるような横溝もありません。㋐'や㋒'は種の検索で用いる項目ですが、小盾板が橙黄色で、橙黄色の部分が特にくびれることなしに中胸背板全体がほぼ同じ色になっています。



次は翅脈です。まずはハエなどで用いる通常の名前をつけてみました。これには次の本を参考にしました。

H. Goulet, "The genera and subgenera of the sawflies of Canada and Alaska: Hymenoptera: Symphyta", Insects and Arachnids of Canada Handbook Series Part 20 (1992). (ここからダウンロードできます)

翅脈の基部の方でCu1と書いていることや、Cu1aとCu1bが逆ではないかと思われることなど、若干、違和感がありましたが、とりあえず、上の本の通りに書いておきます。



こちらは検索表に載っている名称で書いたものです。亜科の検索で重要な項目は⑨で、基脈と肘脈が亜前縁脈に一点で交わるか、それとも距離を離して交わるかという点です。離れればハバチ亜科になります。これは一点で交わっています。さらに、肘脈基部が直線状か湾曲するかという項目が⑩です。湾曲するとシダハバチ亜科になります。これは直線状なのでさらに進みます。⑪は第1・2反上脈が同じ肘室に交わるかどうかという点ですが、同じ肘室に交わればヒゲナガハバチ亜科になります。これは別の肘室です。⑫は基脈が第1反上脈と平行にならないとシダハバチ亜科になります。これは平行です。最後は肛室が閉じた完全な室になっているかどうかで、この個体は閉じていて、中央に横脈があるので、これでハグロハバチ亜科ということになります。さらに、⑭の触角の節数で一発でカブラハバチ属になります。



勉強のために、胸部から腹部にかけて名称をつけてみました。ハバチの仲間には細腰亜目のように、腹部第1節と後胸が融合した前伸腹節はありません。後胸がそのまま見えるはずなのですが、この部分の構造はずいぶん複雑です。カナダの本を参考に頑張って各部の名称をつけてみたのですが、間違っているかもしれません。英語で書いてあるのは日本語訳が分からなかったところです。



これは♀の個体ですが、産卵管は伸びていないようです。後は、腹部第1背板の色です。第1背板は左右に分かれている部分です。この個体は橙黄色です。ここが黒だとニホンカブラハバチになります。一方、カブラハバチは中胸背板側葉の一部が黒くなるので、橙黄色が両方からくびれるようになっています。

ということで、カブラハバチの検索を試してみました。ただ、これは大阪に分布するであろう4種に限る検索なので、それ以外の種がいるとよく分からなくなります。検索をしてみて、カブラハバチ属4種の区別がよく分かりました。

家の近くのむし探検 蛾、ハバチなど

家の近くのむし探検 第20弾

昨日の続きで、近くの公園で見た虫たちです。



公園に行く途中の石垣に止まっていました。ソトシロオビナミシャクだと思います。



これはマンションの壁に止まっていたものです。幌が隙間なく張られているので、入ってくる場所なんてないのではないかと思っていたのですが・・・。クサシロキヨトウ辺りのヨトウガ亜科だと思うのですが、模様がはっきりしなくて名前が分かりません。



それからマエアカスカシノメイガ。やはり野外で撮ると何となく雰囲気がいいですねぇ。



こちらはオカモトトゲエダシャクの幼虫です。一昨年だったか大量発生しました。それがこの公園のツツジでした。





公園の花壇でハバチが飛び回っていました。胸の模様から、たぶん、カブラハバチだと思います。



こちらは中胸背の色が真黒です。たぶん、セグロカブラハバチだと思われます。でも、確かめるために今日は網を持って採集に行きました。下のハチは採集できて、検索の結果、無事にセグロカブラハバチになりました。ただ、上の種は見つかりませんでした。代わりに、別の種が1匹採集できたので、今日調べてみたら、それはイヌノフグリハバチでした。今度、顕微鏡写真を撮って載せることにします。



クロオビハナバエです。





ヨコヅナサシガメはいつも桜の木にいっぱいいるのですが、ここではユリノキにいっぱいついていました。みな5齢幼虫みたいですね。



こちらはマンションの倉庫の壁に止まっていました。スコットヒョウタンナガカメムシだと思います。



このクモは何だろう。なんとなく恰好が以前見たキハダエビグモに似ている感じですが・・・。







虫を探して木の幹を見ていると、幹についているこんな色模様が気になってきました。そこで、山本好和、「近畿の地衣類」(三恵社、2009)を買ってみました。これには近畿産の種についての検索表も載っているのですが、昆虫で培った知識がまったく役に立たない感じです。とにかく専門用語が分かりません。とりあえず、ウメノキゴケだと思われる一番上の地衣類で検索をしてみようかなと思っているのですが・・・。後は地衣類だか、カビだか、コケだか、さっぱり分かりません。

家の近くのむし探検 甲虫、シリアゲなど

家の近くのむし探検 第19弾

しばらく旅行に行っていて、久しぶりの「むし探検」です。今日はちょっとネタ探しに公園に行ってみました。4月も後半になるとちょこちょこと虫がいるようになりました。



これはマンションの廊下で散々見てきたモモブトカミキリモドキだと思います。マンションだと背景がいつも灰色の床か白い壁だったのですが、こうやって野外で写すと何となく映えますね。



こちらは背景が白いのですが、マンションの敷地内にある倉庫の壁です。キイロナガツツハムシだと思います。これもマンションの廊下で何度も見た虫です。



これも同じ壁にいた虫です。ジョウカイボン科のクビボソジョウカイの仲間だと思うのですが、よく分かりません。以前はミヤマクビボソジョウカイにしていたのですが、今坂正一氏の日本産ジョウカイボン科チェックリストを見るとえらいことになっています。「原色日本甲虫図鑑III」ではミヤマはPodabrus属に入っていて、Podabrus属は6種載っているのですが、このチェックリストによるとPodabrus属がAsiopodabrus属に変わっていて、しかも、この属には184種も記録されています。和名もクビボソジョウカイがニンフジョウカイに。これはもうどうしようもない感じです。(追記2016/04/23:チェックリストのリンクが2007年版になっていました。2013年版の方に変えました。種数もだいぶ増えました



コメツキムシかなと思って写したのですが、こうやって見てみるとコメツキではないみたいですね。何でしょう。数ミリから1cm程度の小さな甲虫です。(追記2016/04/24:おちゃたてむしさんから、「ナガクチキの仲間ではないかと思います。」というコメントをいただきました。図鑑を見ると、確かに似たような種が見られます。今坂氏の「日本産ナガクチキムシ類県別分布表」によると、私の住む大阪府では41種、隣の兵庫県で61種が記録されています。まだまだ先が長い感じですが、もう少し探してみたいと思います。おちゃたてむしさん、どうも有難うございました





さすが野外ですね。3年間半の「廊下のむし探検」では一度も見ることがなかったシリアゲムシ目がいました。ホソマダラシリアゲですね。これがハエ目に近縁だとは信じられませんが・・・。



木の幹に動くものがいたので、写してみたら例のトビムシでした。トビムシの検索では散々苦しめられたので、もう見るのも嫌なくらいだったのですが、つい写してしまいました。体が体節に分離していて、前胸節がないのでアヤトビムシ上科、さらに腹部第4節が第3節より広くて、触角が短いのでアヤトビムシ科かアリノストビムシ科になります。たぶん、アヤトビムシ科ではないかと思います。



白い小さな虫が飛び回っていたので、撮ってみたらこんな虫でした。さて、何でしょう。(追記:そらさんから、「白くて小さいのは、コナジラミの仲間の成虫ですが、成虫になってからだと簡単には区別ができないようです。幼虫の時だと、外観からある程度は種が分かるようですが。」というコメントをいただきました。「原色昆虫大図鑑III」によると、コナジラミはカメムシ目腹吻亜目コナジラミ上科コナジラミ科に属する虫です。検索表によると、「両翅ともに通常、不透明で白色を帯び、しばしば点状または帯状の斑紋を装う。・・・成虫は多少とも有粉で、細かい粉状蝋質物で被われるが、幼虫はふつう粉を欠き、無脚の介殻状で、しばしば蝋質の縁板を有する。」と書かれていました。そらさん、コメントどうも有難うございました



公園にはムラサキシジミもいたのですが、私はどちらかといえばチョウやトンボは追わず、地味路線を貫こうかなと思っています。



公園はフジが満開になっていました。虫はもう少しいたのですが、次回に回します。

虫を調べる チビヒメハナバチ

先日、公園で見つけたハナバチが以前調べたチビヒメハナバチであることが分かりました。ただ、以前のは♂で、今回のは♀だったのと、口器がはっきり見えたので、一応、写真だけ撮っておこうと思って写してみました。



体が曲がっているのではっきりとは分かりませんが、体長は7.1mmかそれよりちょっと大きいくらい。

ハナバチは「日本産ハナバチ図鑑」に詳しい検索表が載っているので、それで調べてみると、ほとんど問題なくヒメハナバチ科チビヒメハナバチ属になりました。その過程をまとめておくと次のようになります。



検索表の最初に下唇鬚とか中舌とかがあって、普通は大顎で隠れていてよく見えないのですが、この個体は舌を出していたのでよく見えました。



顔から順に見ていきます。触角の下の2本の溝がよく見えます。これがあるとヒメハナバチ科です。また、浅くて細いのですが、顔孔が見えます。ここには毛が生えていないようです。頭盾が白いと♂、ここが黒いと♀です。



次に口の部分です。小腮鬚も下唇鬚もよく見えます。裏側からも見てみました。



こんな感じでした。この二つの髭は生えている部分が違うようです。下唇鬚は4節、小腮鬚は5節のように見えます。いずれにしても、下唇鬚の各節の長さはほぼ等しく、中舌の先は尖っています。



最後は前翅の翅脈です。中脈は少し湾曲しているのですが、このくらいはほぼ直線状というようです。さらに、縁室の先端(黒矢印の部分)が裁断状でスムーズにつながっていないのが、チビヒメハナバチ属の特徴です。これでチビヒメハナバチ属になりました。日本産のこの属にはチビヒメハナバチ1種だけなので、これで名前が分かりました。

野外で撮影するときには、前翅の中脈と縁室先端が写るように撮るとよいですね。まず、中脈が直線状ならヒメハナバチ科、ここが強く湾曲していればコハナバチ科の可能性が高くなり、さらに、ヒメハナバチ科でも縁室先端が裁断状ならチビヒメハナバチだということが分かります。

家の近くのむし探検 蛾、ハチ、ハエ、クモなどなど

家の近くのむし探検 第18弾

昨日の続きで、近くの川の土手で見つけた虫たちです。昨日は水生昆虫の成虫を紹介したのですが、今日はその他です。見つけた虫を次から次へと写したので、ごちゃごちゃで何から出してよいのやら。



まずは蛾からです。昨日、カワゲラがたくさん止まっていた道具小屋みたいな小屋の壁に止まっていたものです。ハマキガであることは確かなので、「日本産蛾類標準図鑑IV」のハマキガの項をパラパラ見ていたらそれらしいのに出会えました。オオナミスジキヒメハマキという蛾です。発生時期は6月~9月になっていますが、たぶん、これでしょう。

追記2016/04/22:Hepotaさんから、「1枚目はソトグロヒメハマキかもしれません。標準図鑑未掲載です。」というコメントをいただきました

追記2016/04/22:ソトグロヒメハマキについて書かれた文献を探してみました。ソトグロヒメハマキという名前はちらほら見えるのですが、それ以上の情報は見つかりません。「みんなで作る日本産蛾類図鑑」というサイトにはCydia sp. (in Oku, 2003)と書かれていました。これを手掛かりに調べていくと、たぶん、次の冊子ではないかと思われます。

奥俊夫、「岩手県の小蛾類」、岩手蟲乃會會報 特別号2 (2003).

原本が手に入らないので分かりませんが・・・




ハバチがいました。ハバチは「大阪府のハバチ・キバチ類」で検索ができるので、採集してきました。うまくいくとよいのですけど・・・。(追記2016/04/18:検索をしてみたところ、ハバチ科シダハバチ亜科は「肘脈基部は縁紋方向に強く曲がる」という特徴が確認されるので、まず間違いないところ。次の属への検索では、最初に出てくる「口器は細長く下方に伸長する」というのがどの程度の伸長なのか判断できません。確かに下に少し伸びてはいるのですが・・・。これを選ぶとクチナガハバチ属になるのですが、近畿には記録されていない模様。そこで、「口器は普通」を選び、「肘横脈は第2肘横脈を欠いて2本」を選び、「複眼内縁は直線的」を選ぶと、スギナハバチ属になりました。次は近畿産種への検索で、「体色が青緑色の金属光沢を帯びることがない」を選び、「腹部背面、特に第2~4節背面には明瞭な点刻や微細彫刻はほとんどなく、光沢がある」を選び、さらに、「翅はほぼ一様に暗色を帯びる。腹部第1背板に点刻はないか少ない」を選ぶとオスグロハバチ♂になりました。♀は赤橙色の派手な色をしているのですが、♂は真黒で上の本でも特徴についてはあまり書かれていないのではっきりとは分かりませんが、今のところ第一候補です



こちらはナナホシテントウの幼虫です。こんな格好でじっとして動かないので、蛹にでもなるところでしょうか。



これは橋の上にいました。結構大きなハエです。よく見ると脛節刺が2本見えています。ケバエですね。たぶん、ハグロケバエの♂だと思われますが、一応、確認のため採集してきました。(追記2016/04/18:実体顕微鏡で見てみると、「前脚脛節の外側の刺の先端が丸くなっている」という特徴がよく分かります。ハグロケバエで間違いないと思います



同じく橋の上にはゴモクムシもいました。たぶん名前は分からないでしょうね。そう思って、琵琶湖博物館の「里山のゴミムシ」で調べようと思ったら、ホームページがなくなっていました。どうしたのでしょう。



これは写真失敗でしたね。実物は光って大変綺麗だったのですけど・・・。たぶん、オオセンチコガネですね。



これも橋のすぐ近くにいました。オビカレハの幼虫です。



後はクモばかりです。大変小さなクモだったのですが、たぶん、コガネグモ類の幼体ですね。



これも小さなクモです。小さいくせにカメラを近づけると、糸を出して垂れ下がるので、写真が撮りにくかったです。



その道具小屋の壁を止めるねじにいたヤサアリグモ(?)です。大きさがだいたい分かりますね。



こちらはアリの巣の近くにいたアオオビハエトリです。最近、よく見ますね。





カタツムリも少し調べてみようと思って、武田晋一、西浩孝、「カタツムリハンドブック」(文一総合、2015)という小冊子を買いました。「一般的なカタツムリは5巻きほどで成熟し、成熟するとラッパのように殻口が反り返る」と書いてありました。これは5巻きほどありますが、殻口は反り返っていないので、亜成体というところでしょうか。近畿地方はオナジマイマイ科クチベニマイマイが普通というので、「クチベニ」ではないのですがこれもそうかもしれません。



最後は植物です。街路樹のクスノキの幹についていました。地衣類だろうと思って岐阜大のサイトを見ると、ロウソクゴケ科、コガネゴケ科などとは色的に似ています。しかし、これからどうやって調べていけばよいのでしょう。

家の近くのむし探検 カワゲラ、トビケラなど

家の近くのむし探検 第17弾

今朝は雨だったのですが、昼近くになったら青空が出てきたので、いても立ってももおられず散歩に出てみました。でも、風が強くて写真を撮るにはちょっとという天気でしたが・・・。今日はいつもの公園ではなくて、近くの川に行ってみました。土手に道具小屋みたいな小屋が建っているのですが、その壁にカワゲラがいっぱい止まっていました。いっぱいといっても7、8匹程度かな。





こんな鮮やかな色のカワゲラも数匹も止まっていました。刈田敏著、「水生昆虫ファイルI~III」を何度か見直して、カミムラカワゲラか、ウエノカワゲラ辺りではないかと見当をつけました。2匹ほど採集してきたので、今度、属の検索をしてみようと思います。無事にカミムラカワゲラ属になるといいのだけど・・・。





これはフタツメカワゲラ属だと思うのですが、昨年だか一昨年だかだいぶ苦労したのすが、結局、分からなかったので、今日はパスしました。



ヒゲナガカワトビケラも止まっていました。



それから名前の分からないトビケラ。



クロスジヒゲナガカメムシもいました。ほかにも、クモや蛾が止まっていたのですが、それは次回に回します。



小屋からちょっと離れた石垣にはカワゲラの脱皮殻もありました。今頃はカワゲラ、トビケラ、カゲロウなどの水生昆虫の成虫を見るのにはちょうどよい季節かもしれませんね。



帰りに見つけました。ヨコヅナサシガメがうじゃうじゃいました。

家の近くのむし探検 ハナバチ、アリ、ヨコバイほか

家の近くのむし探検 第16弾

大きな地震がこれほど続くとは・・・。本当に驚きました。熊本にはこれまで4度ほど行ったことがあり、私にとっては身近な土地で、気が気ではありませんでした。でも、できるだけいつもと同じように過ごそうと思って、今日も虫を調べてみました。昨日の公園でのむし探検での結果です。



まず初めにハナバチの仲間です。タンポポの花に来ていました。ハナバチは最近調べているので、可哀想だけど1匹採集しました。検索してみると、先日も見たチビヒメハナバチでした。今回は中舌を出し、下唇鬚もよく見えていたので、今度写真を撮っておきます。



林の縁の木の根元あたりで列をなして歩いていました。一匹だけ採集して、先ほど検索してみました。合っているかどうか分かりませんが、ヤマアリ亜科ケアリ属ヒラアシクサアリ(クサアリモドキ)になりました。これは以前女王アリの検索をしたことがありました。今回のは働きアリなので、また今度写真を撮っておきます。



こんな虫もいました。これはネットの画像検索から、マエジロオオヨコバイかなと思っています。カメラを近づけてもじっとしているので、この間テストした広角レンズをリバースにした接写を試みてみました。



倍率は3.8倍。手持ちで撮ったのですが、まぁまぁ撮れますね。



これは模様からクロオビハナバエかなと思います。



問題はこのハエです。見るからにイエバエのようです。先日、イエバエ科の検索をしたのですが、もやもやした結果に終わったので、今回は無視しようかと思ったのですが、もう一度チャレンジしてみることにしました。亜科の検索がうまくいっているのかどうか判断に苦しむのですが、トゲアシイエバエ亜科トゲアシイエバエ族になりました。亜科が本当かどうか確信が持てないので、種までは調べていません。



翅脈が見えないのではっきりしませんが、たぶん、セイヨウミツバチでしょうね。



翅が心持ち黄色味を帯びているので、キハラゴマダラヒトリの方かなと思っています。



毛虫はまだ調べていません。



このハエトリもよく分かりません。♀だとは思うのですが・・・。

家の近くのむし探検 いろいろ

家の近くのむし探検 第15弾

昨日、家の近くの公園に行ったときに見つけた虫の残りと植物です。



まずはタンポポに来ていたホソヒメヒラタアブです。



それにマルガタゴミムシの仲間です。



これは以前ナガハムシダマシかフジハムシダマシかって迷っていた種ですね。



小さな虫がいると思って頑張って写してみたら、コバチみたいですね。それにしても小さい。



これはたぶんコゲチャオオフサキバガかなと思うのですが、似た種がいてなんとも言えません。



これはマンションの壁に止まっていたものです。フタナミトビヒメシャク。マンションは改修工事でもう完全に覆われているので、いったいどこから入ってきたのでしょう。





後はクモです。これはヤサアリグモだと思うのですが、アリグモにもいろいろいてはっきりとは分かりません。



それにアオオビハエトリ。いつもシラカシの根っこのあたりで何かを狙っています。





これは初めて見たハエトリです。たぶんイナズマハエトリではないかと思うのですが、どうでしょう。





木の幹についているこんな植物も持ってみました。「校庭のコケ」を見てみたのですが、似た種がいっぱい。でも、たぶん、ウメノキゴケという地衣類かと思います。そのうち、地衣類も検索してみないといけないですね。





クスノキの幹がこんな風になっていました。これも最初、地衣類かなと思ったのですが、載っていません。カビなのでしょうか。





コバノガマズミがきれいに咲き始めました。ただ、柵の向こう側なので、手が届きません。シギゾウムシを探してみたいのに・・・。

家の近くのむし探検 イボタガなど

家の近くのむし探検 第14弾

今日はちょっと晴れ間が見えたのでその隙を狙って、近くの公園に行ってみました。たぶん、いつもの虫だけだろうなと思ったのですが、思わぬ収穫がありました。



例によって、木の幹に虫がいないか見て回ったら、桜の木にこんな蛾が止まっていました。イボタガです。昔は時々見たのですが、この何年も見ていなかったので、見たい見たいと思っていた蛾です。やや小型だったのですが、模様はいつ見ても複雑ですね。こんな模様が何かの擬態になっているのでしょうか。



ちょっと遠くから写してみました。やはり止まっているのが分かりますね。

イボタガで気をよくして、もう少し探してみると、



ブランコにこんな変わった形の虫が止まっていました。



前から見たところ。



それに後ろから見たところです。「原色昆虫大図鑑III」の図版と見比べてみると、ムネアカアワフキのようです。採集しようと思ってチャック付きの袋を近づけたら、ぴょっと飛んで逃げてしまいました。たぶん、ウンカか何かの仲間だろうなと思ったのですが、やはりアワフキの仲間でした。



カメムシ目が出たついでにヨコヅナサシガメの幼虫です。





それにカシノアカカイガラムシです。この日もシラカシの幹を探してみたのですが、あれほどたくさんいたカシノアカカイガラムシが、この日は数えるほどしかいません。どこに行ったのだろう。





でも、私が一番面白く思ったのはこのチャタテでした。シラカシの幹を結構素早く動き回っていました。採集しようとチャック付きの袋を取り出しているうちに見失ってしまいました。仕方なしにこの写真からだけの判断です。まずは翅脈を調べてみます。



CuA1の位置がはっきりとは分からないのですが、翅縁の黒い模様からだぶんこの位置にあるものだと思います。だとすると、後小室があり、さらに、M脈と一部合流していて、さらに、M脈が3分岐しているので、おそらくチャタテ科だと思います。後は「原色昆虫大図鑑III」の図版を調べてみて、Trichadenotecnum属が似ている感じです。この写真では翅の中央にある細かい斑点が気になります。大図鑑に載っているヒメムツテンチャタテはこの斑点が翅一面にあるので、これとは明らかに違うようです。そこで、文献を調べて次の論文が見つかりました。

K. Yoshizawa, "Systematic revision of Japanese Trichadenotecnum Enderlein (Psocodea: 'Psocoptera': Psocidae: Ptyctini), with redefinition and subdivision of the genus", Invertebrate Taxonomy 15, 159 (2001). (ここからダウンロードできます)

この論文では日本産Trichadenotecnum属22種を5つの種グループに分けて分類したという内容で、検索表も載っていました。採集できたらよかったのに・・・。この論文の中には、この複雑な翅の模様をいくつかの部分に分けて論じている部分があって、面白いなと思いました。私もこの写真で同じことをしてみました。



このように8つの部分に分けられました。このうち、bとcがTrichadenotecnum属の特徴だと書かれているのですが、この写真ではbはほとんど斑点がありません。違うのかなと思ったのですが、論文に載っているほかの部分のパターンと比べると、T. yamatomajusとT. incognitumの2種が似ているようです。さらに、各論を読むと、T. yamatomajusではbの斑点の前側が薄いというので、ひょっとしたらそちらの方かもしれません。いずれにしても採集しておけばよかったですね~。まだ他にも虫がいたのですが、次回に回します。

虫を調べる ケコヒラタアブ類?

先日、公園で木の幹を見回っていたらこんなアブに出会いました。



またいつものヒラタアブだろうと思ったのですが、とりあえず採集しておきました。昨日、冷凍庫から取り出し検索してみると、どうもいつものヒラタアブではなさそうです。それで、今日はもう少し丁寧に検索してみました。



全体はこんな感じです。体長は7.9mm。まあまあの大きさです。



顔を見ると、こんな感じです。♂は両側の複眼が接しているので、これは♀の方でしょう。顔面も複眼も毛がぼうぼうと生えています。ヒラタアブ亜科なら「絵解きで調べる昆虫」にも検索表は出ているのですが、ハナアブ科全体というと検索表がありません。それで、とりあえず次の論文の中の絵解き検索表で調べてみました。

大石久志、「ルーペで調べる身近な縞模様のハナアブの見分け方(1)~(7)」、昆虫と自然 31, 42 (1996)~35, 33 (2000).

(1)から(7)まで足掛け5年にわたる論文なのですが、主に縞模様のある種を対象にしているので、このアブみたいに真黒なものはあまり出てこないかもしれません。それでもとりあえず検索してみると、ナミハナアブ亜科(「日本昆虫目録」(2014)ではハナアブ亜科になっていました)のPsilota属になりました。本当かどうか分かりませんが・・・。それで、まずその過程をまとめてみたいと思います。



検索表で調べたのは上の7項目です。これを各部の写真で調べていきたいと思います。



まず、頭部と胸部の側面からの写真です。この中で重要なのは、矢印で示してある「肩」が頭に隠れるかどうか、また、そこに毛が生えているかどうかです。この写真のように頭に隠れずに毛が生えていると、アリノスアブ亜科かナミハナアブ亜科になります。また、逆に、頭に隠れて毛が生えていないとヒラタアブ亜科になります。したがって、この時点でいつものヒラタアブではないことが分かります。さらに、触角刺毛が先端から出るのではなく、基部近くから出ていること、それが羽毛状ではないこと、さらに、顔全体が長毛で覆われていること、口の部分が盛り上がっていることなどが読み取れます。



次は翅脈です。M1脈がM2脈から分かれてからほぼ直線的に進み、R4+5脈に交わっています。交点近くで内側に折れ曲がっていないこと、さらに、R4+5脈がほぼ直線的であることを見ます。この2枚の写真だけでPsilota属であることが分かることになっています。

ただ、もともと縞模様のある種を対象にしているので、若干不安がありました。それで、いつもの

Manual of Nearctic Diptera Vol. 2 (ここからpdfがダウンロードできます)

でも調べてみることにしました。でも、これが思ったより大変な作業になりました。検索表でPsilota属に至る部分の英語を訳してみたのが次の表です。



うーんとうなってしまうほどの量があります。いずれにしても素人が訳していて誤訳も多いと思うので、そのつもりで見て下さい。赤字は結局よく分からなくて確かめられなかった部分です。そのほかの部分は一応確かめました。



頭部に関してはあまりに項目が多いので、複眼・顔面の部分と触角の部分を分けました。この写真では、まず、複眼と顔面が有毛であること、それに顔面の下の部分が突出すること、腿節に剛毛がないことを確かめます。



この写真では触角刺毛が無毛であることを見ます。



翅脈について基本的に上と同じです。R4+5脈が直線状で、M1脈とR4+5脈が鋭角で交わること、M1脈が二角状に曲がっていないことを見ます。



胸部側面の構造はややこしいので、まず、各部に名前をつけてみました。



ここでは中胸上前側板の前半(左の部分)が平らで、後半(右の部分)が凸に膨らんでいることを確かめて、さらに前半の部分に毛が生えていることを見ます。



次は再び顔面に戻りますが、顔面と頬を区別する縫合線(破線)が頬から複眼の横まで伸びている感じです。



最後は小盾板についてですが、腹側の縁飾りについては本の絵を見ると、縁に生えている毛を指しているようです。そうであればこの個体はあるみたいです。さらに縁は少し盛り上がっていて縁取られているようです。

ということで、ややこしい項目も多かったのですが、大部分は満足されました。たぶん、Psilota属で間違いないのではないかと思いますが、はっきり分からなかったところもあるので、まだ確かというわけではありません。日本産のPsilota属にはケコヒラタアブと名の付く次の3種が記録されています。ケコヒラタアブ、タイリクケコヒラタアブ、クロケコヒラタアブです。いずれも本州に分布しているので今回の個体の種名までは分かりません。それにしても、ヒラタアブという名がついていても、ヒラタアブ亜科ではなくてナミハナアブ亜科(ハナアブ亜科)なのですね。

ツチトビムシでギブアップ

先日からずっとトビムシを調べていたのですが、どうしてもうまくいかないので、この辺りでギブアップにしました。とりあえず、これまで調べた結果をここでまとめておこうと思って書いてみました。この間のイエバエといい、今度のトビムシといい、このところ検索がちっともうまくいきません。ちょっとスランプ気味です。



この間から調べているのはこんなトビムシです。頭部と触角第1節が黒くて、胸部と腹部背面に縦筋が入り、これだけでも種類が分かりそうなのですけど・・・。とりあえず、数匹捕まえてきて調べてみました。体長は2.4mmでした。

田中真悟、「日本産トビムシ類の科の分類」、Edaphologia 22, 27 (1980). (ここからダウンロードできます)
新島溪子、長谷川元洋、「日本産ツチトビムシ科(昆虫綱:トビムシ目)の分類 1.ナガツチトビムシ亜科およびヒメツチトビムシ亜科」、Edaphologia 89, 29 (2011). (ここからダウンロードできます)

上の論文に載っている絵解き検索表を使ってとりあえず検索してみると、ツチトビムシ科ツチトビムシ亜科になりました。その過程を抜き出すと以下のようになります。ここで、トビムシの科の検索は上側の論文、ツチトビムシ科の亜科の検索は下側の論文に載っています。



赤字の部分は確認できた部分、青字はないことが確認できた部分、黒字は確認できなかった部分を示しています。各部の写真を見ながら確かめていきます。



全貌はこんな感じです。後ろに長く伸びているのが跳躍器です。検索表には跳躍器前面、後面という表現があるのですが、跳躍器を後ろに伸ばした状態で前になるか後ろになるかで決めているようです。脚の付け根の部分を追いかけていくと、後脚、中脚はそれぞれ胸部の節が対応していますが、前脚にはそれがありません。これが②の「前胸節が退化し」という表現に対応しているようです。また、写真では分かりにくいのですが、全体に毛が生えていて鱗がありません。



次は背側から見た写真です。腹部第3節と第4節の幅にそれほど差はありません。また、第4節と第5節は分離しています。



これは跳躍器の部分です。基部を柄節、そこから先が二つに分かれていてこれを茎節、さらに、この写真では見えませんが、先端部分に端節があります。茎節は柄節よりはるかに長いことがすぐに分かります。また、腹部にはこの跳躍器を腹側に折り曲げたときにそれを固定するための保体が見えています。



これは跳躍器の先端部分を見たのですが、先端のわずかな部分が端節です。端節には歯があります。この歯の数や形が検索表に出てきますが、どうみても3歯だけ見えます。強いて言えば、一番上の歯の上側に小さな段差があるので、それを1歯と数えるのかもしれません。いずれにしても、この部分を地面に固定して、跳躍器を曲げながらジャンプするみたいです。



これは跳躍器後面を拡大したものですが、茎節の上に横縞模様が見えます。これがおそらく環皺状というのだと思います。



これは跳躍器前面を透過照明で撮影したものです。柄節には毛がたくさん生えています。



最後は頭部の拡大ですが、いくつかの眼がかたまって眼斑を作っていることが分かります。PAOはpostantennal organの略で、日本語では触角後器と呼んでいる感覚器です。これがどこにあるのか分からないので、上の検索表では黒字で書いておきました。とりあえず、これだけを確認すると、ツチトビムシ科ツチトビムシ亜科であることが分かります。

ここまでは順調だったのですが、ここから先がうまくいきません。ツチトビムシ亜科の属と種への絵解き検索表は次の論文に載っています。

長谷川元洋、新島溪子、「日本産ツチトビムシ科(昆虫綱:トビムシ目)の分類 2.ツチトビムシ亜科」、Edaphologia 90, 31 (2012). (ここからダウンロードできます)

この論文に載っている検索表から必要な部分を抜き出すと次のようになります。



あちこちでつまづいたので、黒字の部分が多くなっています。まず、問題のPAOを詳しく調べてみました。



これは2匹の眼斑の部分を比較したものです。眼に見える部分を数えると白矢印で示したように6個になります。強いていえば赤矢印の部分も増やして全部で8個になります。というのは、ツチトビムシ亜科では8個の種が多いからです。さて、いくら探してもPAOらしい穴が見えません。そこで、次の論文に載っているコサヤツメトビムシの眼を重ねてみました。

H. Uchida and H. Tamura, "Descriptions and records of Collembola from Hokkaido II",  昆蟲 38, 1 (1968). (ここからダウンロードできます)



眼の位置はほぼ合わせられるのですが、PAOとされている二重の輪の部分は、この写真の個体では触角基部の穴の部分になっていて、とても合いそうにありません。たぶん、この個体ではPAOがないのではないかと思っています。だとすると、ツチトビムシ亜科ではオナガシオトビムシ属だけになってしまいます。オナガシオトビムシ属には日本産は1種、オナガシオトビムシだけが記録されています。論文に載っている体長は1.4mm。そもそもそれが合いません。



次は茎節後面の皺模様です。これは問題ないのではないかと思います。



次はこれも問題になった触角第3節の感覚桿です。この写真は触角第3節を透過照明で撮影したものですが、毛の間に形の整わない突起がいくつか見えます。ざっと数えただけでも7個は見つかりました。これが感覚桿だとすると、検索表上では再びオナガシオトビムシ属になってしまいます。



次は前脚の爪です。検索表ではオナガシオトビムシ属では主爪に側歯があることになっています。爪を上から見てみると、



こんな風に一対の側歯があります。ところが、次の論文に載っている検索表を見て迷い始めました。

R. Yosii, "Critical Check List of the Japanese Species of Collembola", Contributions from the Biological Laboratory, Kyoto Univ. 25, 141 (1977). (ここからダウンロードできます)



ツチトビムシ亜科の属への検索表をすべて訳してみました。先ほどと同様、赤は確認できたもの、青はないことが確認できたもので、黒は未確認のものです。先ほどの部分は「爪には背側に糸状の付属物がある」という表現になっています。先の論文の検索表の絵でも毛のようなものを指して側歯としていました。さらに、各論の部分では「前肢の主爪に外棘がある」と書かれています。そう思って上の写真を見ると前肢の主爪に毛のようなものが見えています。そこで、もう一度左右の爪を調べてみました。



これがその写真ですが、糸状の付属物はありません。先ほどのは後ろに生えていた毛が重なっていたと思われます。ということで、オナガシオトビムシ属ではないということになります。よく見ると、爪の基部は覆いがついているような感じもします。これが偽外被なのかなと思ったりしたのですが・・・。この辺りでもうさっぱり分からなくなってきました。



最後は保体の写真です。先端が二つに分かれ、その外側にがたがたした部分があります。この部分ではめ込まれた跳躍器の茎節を固定するようです。この保体の基部に生えている毛の数を問題にするのですが、十数本は見えています。

ということで、現在はこの辺りで迷子になったままで止まっています。トビムシは論文が充実しているので簡単かと思ったのですが、なかなか大変です。「日本産土壌動物 第二版: 分類のための図解検索」が2015年に出されているので、今度調べにいこうと思っています。

家の近くのむし探検 カメムシ、ハムシなど

家の近くのむし探検 第13弾

マンションの改修工事が始まってから何かと忙しくなりました。昨日はベランダにおいてあるエアコンの室外機を撤去するというので工事の人がやってきました。今、ベランダに面したガラス戸には不透明なシートが貼られ、扉も開けられず、完全に密封状態になっています。家の中にいても何となく落ち着かなくて、虫調べに集中できません。

それでも、昨日は接写の練習にと公園に行ってみました。行く途中、マンションの廊下にカメムシがいました。まだ、完全には幌で覆われていないので、隙間からやってくるのですね。



これはナカボシカメムシです。これまでの記録を見ようと思って調べてみたら、「ナガボシ」という名前にしていました。「ナカボシ」が正しいのですね。昨年、一昨年とも4月と5月に見ていました。



それからキバラヘリカメムシです。これも記録を調べてみたら、11月と12月にほとんど見ていました。一度だけ5月という記録もありましたが・・・。今頃見るのは少ないみたいですね。



そして、これは公園で見たヨコヅナサシガメの幼虫です。カメムシが脱皮直後に赤くなる理由を調べようと、文献を探してみたのですが、見つかりませんでした。どういうキーワードで探したらよいのやら・・・。



マンションのエレベータホールにこんな蛾がこの間から止まっていました。鱗粉が取れてしまっているので、気がついてはいたのですが、あえて写真は撮りませんでした。昨日は虫がいないだろうなと思って撮ってみました。前翅前縁の模様からサカハチトガリバみたいですね。これまで4月初旬から中旬にかけて見ていました。



そして、これは公園からの帰りに壁にとまっているところを見つけました。キノカワガです。だいぶ背景に同化していました。

公園では例によってカシノアカカイガラムシを接写で撮ってみました。この日は24mmの広角レンズを逆に取り付けたリバースレンズ方式で、92.5mm分のエクステンションリングをつけて最大6倍までにしてみました。前日、F8くらいに絞るとよいという実験結果があったのでそうしてみたのですが、倍率が高い上に視野が暗くなり、ファインダーで覗いていてもほとんど虫が見つかりません。ちょうど顕微鏡で木の幹を探しているような状態です。やっと見つかっても、内蔵フラッシュと「影とり」では暗すぎて写りません。仕方なく、ISOを上げて撮ったのですが、ほとほとくたびれてしまいました。エクステンションリングを27.5mmにすると3.85倍ほどの倍率になるのですが、こうするとすべての問題が片付き、比較的楽に撮れます。今回は三脚は使わず、短い一脚を木に押し当て、手持ちで撮ってみたのですが、まずまず撮れました。やはりこのくらいが日常的に使うのの限界かなぁと思っています。写真はいつもと同じなので省略です。



公園の木にこんな虫が止まっていました。たぶん、フジハムシですね。それにしてもマンションの廊下では通り過ぎる2,3分の間にも虫があちこちに見られたのですが、公園では1時間半ほど探して、アリとハエ以外はこんなものでした。





帰りに見ました。たぶん、コバノガマズミのつぼみでしょうね。虫が少ないので、植物でも調べてみようか・・・。

家の近くのむし探検 接写の練習続き

家の近くのむし探検 第12弾

一昨日に続いて、近くの公園へ接写の練習に行ってみました。今日は顕微鏡の対物レンズを使った接写やベローズを使った接写などを試してみたのですが、倍率が高いものはすべて駄目で、ピントが合っていると思うのにはっきり写りませんでした。それで、少し倍率を落として、視野に虫を入れる練習をしてみました。





まぁ、そこそこうまく撮れるようになりました。これでもともとは3.85倍。さらに、トリミングをしています。倍率をもっと上げたときには解像度か被写界深度に問題があるのだろうと思って、後で少し実験をしてみることにしました。(追記2016/04/09:毎日のように見ていたので、名前を入れるのを忘れていました。カシノアカカイガラムシのようです。実は一部採集して消毒用アルコールに浸け、顕微鏡で見てみたのですが、何がなんやら分からなくてそのままになっています。変な虫です

そのほか、公園で見た虫たちです。



こんなアリグモがいました。たぶん、ヤガタアリグモでしょうね。



これは別のアリグモです。たぶん、ヤサアリグモではないかなと思いました。



こちらは本物のアリです。ルリアリだと思います。



これはこの間同定したハリブトシリアゲアリではないかと思います。



ハナアブもいました。とりあえず採集したので、今度調べてみます。(追記2016/04/12:検索をしてみたところ、ハナアブ科Psilota属になりました。まだ、確かではありませんが・・・。この属にはケコヒラタアブ、タイリクケコヒラタアブ、クロケコヒラタアブの3種が記録されていて、いずれも本州に分布しています



毛虫はなかなか名前が分かりませんね。



最後はバラシロエダシャクでしょうね。

家に戻ってからちょっと実験をしてみました。解像度と被写界深度を調べるためにこんなものを用意してみました。



対物ミクロをこんな風に斜めにして固定します。これを実体顕微鏡のステージにおいて、顕微鏡の代わりにカメラを取り付けて写してみました。



写すとこんな風に写ります。中央のメモリは全体が1mmになっていて、それが100等分されています。斜めに置かれているので、中央はピントが合っていますが、周辺では少しぼけています。



それを切り出したのがこの図です。この中の四角の部分で切り取って、縦側で平均してグラフに表します。これにはフリーソフトのImageJを用いました。その結果が下のグラフです。目盛り線が入っているところは黒いので、その部分だけ凹んだグラフになっています。残念ながら、凹んだ部分が単純な曲線ではなく、鋭い線と幅の広い成分の和になっていてどう評価したらよいのか分からないので、とりあえず写した画像だけを比べてみることにしました。



一番上は実体顕微鏡のズーム最大(x5.6)で撮ったものです。図中のx5.6という数字は、この目盛り全体の幅をピクセル数で表し、これに1 ピクセル=3.917 ミクロンという関係で長さに変換し、さらに、対物ミクロが斜めになっている補正(実効的な幅が0.98mmになる)をして倍率を求めたものです。目盛り数字の4、5辺りはピントが合っていますが、周辺ではぼやけています。左右で高さが0.22mm違うのですが、、こんな小さな高さの差でもぼけてしまうことを意味しています。次は10倍の対物鏡とエクステンションリング92.5mmを使って撮ったものです。数字の5辺りでは実体顕微鏡よりもはっきりしていますが、3、7辺りですでにぼやけてきています。このときの撮影倍率は10.6倍でした。一番下はいつも使っている60mmのマクロレンズにエクステンションリング92.5mmを取り付けたものです。倍率は2.9倍。全体にぼやっとした感じになりました。



次は24mmの広角レンズをリバースで用いたものですが、絞りをいろいろと変化させて撮ってみました。ファインダーで見たときにできるだけ明るい方がよいので、公園では絞りオープン(F2.8)で撮っていたのですが、この結果を見ると、被写界深度がかなり狭くなるのと、解像度もあまりよくないですね。むしろ、絞りF8が解像度も被写界深度ももっとも良好な感じがします。F16では回折広がりのためか全体にぼやっとした感じになりました。このことからF8か、せめてF5.6くらいで撮るのがよさそうです。

家の近くのむし探検 接写の練習

家の近くのむし探検 第11弾

先日、近くの公園でカシノアカカイガラムシという小さな虫を見つけて写真を撮りました。ネットで調べてみると、この小さい虫を実に綺麗に写されている方の多いこと多いこと。私も少し練習をしなけりゃと思い立ちました。接写の道具は買ってはいたのですが、実際に使ったことがなくて、いつも60mmのマクロレンズで等倍の撮影をしていました。

今回はとりあえず、エクステンションリングとリバースレンズの組み合わせを使ってみました。これらは以前、その仕組みを考えたことあったのですが(こちらを見てください)、実際に使うのは今回が初めてです。



試してみたのはこの5通りです。このとき、用いたカメラとレンズは次の通りです。

カメラ本体: NIKON D7100
60mm F2.8: AF Micro Nikkor 60mm 1:2.8 D
24mm F2.8 reverse: Nikkor 24mm 1:2.8 + Kenko ステップダウンリング58mm→52mm + BR-2A

27.5mmと65mmはともにエクステンションリングで、PK13はNIKON、近摂接圏は中国製のリングです。BR-2Aはレンズを逆に取り付けるためのアタッチメントです。また、上の表の右側に書いてある倍率は次のようにして測りました。(追記2016/04/07:PK13の長さが違っていたので訂正しました



これはスケールを写したものでトリミングはしていません。NIKON D7100の場合、CMOSセンサーの大きさは23.5x15.6mm^2で、これが6000x4000 pixelに対応するので、これから1 pixelは3.9ミクロンになります。上の写真で、ImageJを用いて長さをピクセル単位で求め、それから倍率を計算しました。この組み合わせでは最大で6.64倍になりました。

こんな下準備をしてから、昨日、公園に行ってみました。まず、公園にあるシラカシの幹をあちこち調べていくと、カシノアカカイガラムシがたくさんいる木を見つけました。



こんな感じです。白矢印のところに赤い虫がいます。こんなにいるのなら楽勝だなと思っていたのですが、これがそうでもなくて、倍率を上げれば上げるほど虫を探すのが大変になり、また、ピントがまったく合いません。木の横に三脚を立てて、あぁでもないこぅでもないとやっていると、見に来られる人もおられ、こんな小さな虫を撮っているのに驚くやら、呆れるやら・・・。

それでも、少しは慣れてきてちょっとだけ撮れ始めました。シャッター速度は1/250sで固定にして、内蔵フラッシュと例の「影とり」を使ってみました。明るさ的にはこれでなんとかなりました。



結局、いろいろ試してみるところまではいかなくて、とりあえず撮った写真がこれです。いずれもトリミングしていない生のままの写真です。Aはいつもの等倍の接写レンズ(F11)、次はエクステンションレンズを入れて2倍ちょっとの撮影、それに最後は奇跡的にとれた広角レンズを逆に取り付けたリバースレンズ方式にエクステンションレンズを入れたもので、倍率は6倍ちょっとです。このくらいの倍率になると、画面いっぱいにカイガラムシが写ります。焦点を合わせるというよりは、カメラを動かして合ったと思ったところでリモコンを押して撮ったという感じですね。



トリミングしてみると、あんまり違いがないですね。対象にあまり特徴がないからかなぁ。





とりあえず、6倍で撮ったものを並べてみました。10枚ほど撮って見れるのはこの2枚くらいかな。



さらにトリミングをしてみました。かなり大きくなりました。

いつもは顕微鏡下で撮っているので、倍率を上げるのはなんてことはないのですが、野外で撮ると、虫が動き回るのであっという間に視野から出てしまい、どこにいったのか探すのが大変でした。やはり相当に慣れないと駄目ですね。これで深度合成までするにはどうしたらよいのだろう。今度はベローズを使ってやってみようかな。

後はついでに見た虫です。



「日本産幼虫図鑑」を見ると、たぶん、ヤブキリの幼虫かな。



翅脈を見ると、Sc脈がR1脈に合流しているので、たぶん、ガガンボ科でしょうね。



それに、トビイロシワアリかな。



それからアオオビハエトリでした。



最後にスモモの花を載せておきます。

廊下のむし探検 カメムシ、クモなど

廊下のむし探検 第825弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。マンションの南面はほぼ完全に黒い幌で覆われ、北面の2/3を残すだけになってしまいました。公園に行く前にちょっと歩いてみると、それでもそこそこ虫が見られました。



ぴっかぴっかのアカシマサシガメです。羽化したばかりなのかもしれませんね。過去の記録を見てみると、三年前と二年前の5月初めに一匹ずつ見ただけでした。



ホソハリカメムシとハリカメムシは触角第1節の外面の黒い筋で見分けますが、写した時にはそんなことをすっかり忘れて、真上から写してしまいました。ちょっとはっきりしないのですが、たぶん黒筋はなさそうなので、ホソハリカメムシかなと思っています。



ヒゲナガカワトビケラは結構いました。



別のトビケラもいたのですが、採集しないと科すら分かりません。今はトビムシで手一杯・・・。



眼が小さいので♀のカゲロウです。尾は2本。たぶん、コカゲロウ科だと思うのですが、御勢氏の「日本産カゲロウ類」を見ると、後翅が分かれば種も分かりそうです。ちょっと拡大してみました。



形はまさにコカゲロウ型の後翅です。3本の縦脈が辛うじて見えています。検索表を追いかけていくと、第2・第3縦脈の間に間脈があるかどうかで止まってしまいました。光っていてよく見えません。もう少し注意して写さないといけないですね。間脈があれば、シロハラコカゲロウなど4種、なければウエノコカゲロウなど5種。まだまだ先が長いですけど・・・。



ハネカクシがいました。これも検索ができないので、今のところパスです。



これは以前トゲハネバエ科だとした種ですね。その時の検索をもう一度見直してみたのですが、それほど間違っていないようです。この写真では肝心のトゲハネが写っていないような気がするのですが、大丈夫かな。



プライヤキリバ



「日本のクモ」を見て、腹部の模様からホシジロトンビグモかなと思ったのですが、よくは分かりません。



これはコハナグモかなと思ったのですけど・・・。



最後はズグロオニグモ。もうだいぶ大きくなっていました。脚を入れると1cmちょっと。このくらいの大きさになると、ちょっと気味悪くなります。

家の近くのむし探検 シラカシにいる虫

家の近くのむし探検 第10弾

今日は曇っていたのですが、午後から散歩ついでに歩いてみました。最初にマンションの廊下をちょっとだけ歩いたのですが、そちらはまた別に出すことにします。マンションの北側の一部でまだ幌がかけられていないので、虫は少しだけやってきていました。



今日も公園に植えてある木の幹をずっと調べていきました。そうしたらアリがたくさん見つかりました。このアリは、この間、ハリブトシリアゲアリと同定した種だと思います。合っているかどうか分かりませんが・・・。あちこちの木を見て回ったのですが、いたのはたいていシラカシの幹でした。



幹にこんな穴が開いていたのですが、そこにたくさん集まっていました。



これが巣なのでしょうね。図鑑には樹上営巣性と書かれていたのですが、まさにそうでしたね。



そのすぐ近くにいたのですが、これはたぶんアリグモですね。



これはシラカシではなかったかもしれませんが、このアリはこの間調べたルリアリだと思います。



これはクロバネキノコバエかなぁ。





小さな毛虫が2匹いました。まだ、名前は調べてはいないのですが・・・。

それよりもっと面白いものを見つけました。



脱皮中のカメムシです。



見ていたら心持ち、体を立てた感じです。このまましばらく動かないので、ほかを写してから戻ってくると、



すでに脱皮した後でした。最初に見てから8分後です。



触角の第2節がずいぶん太い感じです。これを手掛かりに調べると、カイガラツヤカスミカメの5齢幼虫のようです。



近くには別の脱皮した個体もいました。



木の幹を見ていると小さな赤い虫がうろうろしているのに気が付きました。拡大してみるとこんな虫です。初めはダニかなと思ったのですが、そうでもないですね。ネットで調べてみると、カシノアカカイガラムシとされている種とよく似ています。そういえば、上のカメムシがカイガラツヤカスミカメなので、ひょっとしたらこれを狙っていたのかも。それにしても、画像検索で探すと、この小さなカイガラムシを実に綺麗に写されている方がおられるのに驚きました。私のなどはちょっと恥ずかしい限りです。もう少し頑張らなければ。



ワラジムシもいました。マンションで見るのはホソワラジムシなのですが、これは検索するとワラジムシの方になりました。胸節後側縁に窪みのあるところが違いました。

追記2016/04/05:参考に、以前出したホソワラジムシの写真を載せておきます。



「日本産土壌動物―分類のための図解検索」(東海大出版、1999)に載っている検索表によると、第2触角が長くて胸節後側縁
(黒矢印の部分)に窪みのあるのがワラジムシ属、第2触角が長くて窪みのないのがホソワラジムシ属になります。ホソワラジムシ属はホソワラジムシ1種なのですが、ワラジムシ属にはワラジムシのほか、クマ、オビがいます。この3種はいずれも外来種です。ワラジムシはヨーロッパ原産、クマは地中海沿岸原産、オビもヨーロッパ原産です。検索表によると、尾肢が太くて腹尾節の先端が尖るとワラジムシ、尾肢が細いとクマ、尾肢が太くて腹尾節の先端が丸いとオビとなっています。この本が出たとき(1999)には、近畿ではワラジムシとクマが分布していたようです。上の写真では、尾肢が太くて、腹尾節の先端が尖っていると判断してワラジムシとしましたが、さて、どうでしょう)



公園では桜がきれいに咲いていました。

トビムシの毛

先日からツチトビムシらしい個体を調べているのですが、もうギブアップ寸前です。トビムシは論文も多く、絵解き検索表も揃っていて懇切丁寧に説明されているのですが、どうやら基礎知識のないところに問題がありそうです。例えば、次の論文

長谷川元洋、新島溪子、「日本産ツチトビムシ科(昆虫綱:トビムシ目)の分類 2.ツチトビムシ亜科」、Edaphologia 90, 31 (2012). (ここからダウンロードできます)

にはトビムシの体に生えている毛についての説明があるのですが、そこには「直立毛がよく発達し、感覚毛がある種も多い。また、飾り毛と呼ばれる毛が、腹部第2-4節にのみ現れる属もある。」と書かれています。けれど、これらの毛をどうやって区別すればよいのか、その定義が書かれていないのでわかりません。初めは長い毛が飾り毛で、これがあるのがカザリゲツチトビムシ属だと思っていたのですが、飾り毛がない方を選んでも、その後に「けば立つ毛」があるという項目があったりします。

そこで、この間捕まえたトビムシについて毛を調べてみました。



まずは背側からと側面からの写真です。中胸と後胸は見えているのですが、前胸は隠れています。腹部は6節まで見えます。腹部に生えている毛のうち長いものの根元に黄色の印をつけてみました。何となく系列が見えるので、ハエのときと同じようにそれらを破線で結んでみました。どうやら飾り毛のように2-4節だけに限られるわけではないようです。



長い毛を拡大してみました。先に行くほど細くなっています。よく見ると片側だけがけば立っている感じがします。



別の毛です。これも片側だけがけば立っています。



ついでに短い毛も写してみました。先が裁断状になっていて、ちょっと変わった毛がありました。結局、どれが直立毛なのか、これら長い毛が飾り毛なのか、そうでないのか、まったく分かりませんでした。(追記2016/04/03:Wikipediaによると、飾り毛(trichobothrium)は空気振動や流れを感知する感覚毛の一種のようです。普通の毛は先にいくほど細くなるのですが、飾り毛は先端まで同じ太さになっているみたいです

追記206/04/04:毛について詳しく書いてある文献がありました。

新島溪子、長谷川元洋、「日本産ツチトビムシ科(昆虫綱:トビムシ目)の分類 1.ナガツチトビムシ亜科およびヒメツチトビムシ亜科」、Edaphologia 89, 29 (2011). (ここからダウンロードできます)
一澤圭、「日本産アヤトビムシ科および近縁群(六脚亜門:内顎綱:トビムシ目)の分類―ニシキトビムシ科・オウギトビムシ科・アリノストビムシ科・キヌトビムシ科を含む」、Edaphologia 91, 31 (2012). (ここからダウンロードできます)

上の論文では、毛には通常毛(common setae, normal setae)、直立毛、感覚毛(sensillae, macrosensillae)、微細感覚毛(microsensillae)、飾り毛(trichobothria)があるとのことです。飾り毛は細くて長い毛とのことです。下の論文では、大剛毛(macrochaetae)、長感毛(bothriotricha)、小剛毛(common setae, microchaetae)、うろこ、それに毛穴に似た偽小孔があるとのことです。ここでいう、長感毛が上の飾り毛のようです。この毛は非常に長く、繊細で、ほぼ一様にケバがあり、腹部2節から4節に分布しているようです。これらから、飾り毛はふにゃふにゃした細くて長い毛というイメージです。上で印をつけた毛は大剛毛あるいは直立毛のようです。文献を見ると、細い毛の位置もすべて記録して、種の同定に使っているようです。ハエよりも細かい作業ですね



ついでに脚の爪を背側からも写してみました。主爪の両側に小さな歯が生えています。これが側歯なのかな。

毎日のように見ていると、いろいろと分かってはくるのですが、まだ、検索をしてみるところまでは達しません。もうそろそろ諦めようかと思って、今日は別のトビムシも調べてみたのですが、そちらはアヤトビムシ科になり、検索はもっと複雑そうです。トビムシは難しいですねぇ~。

トビムシ ぼやきの続き

この間から調べているトビムシがまだ分かりません。すっかり嫌になってきているのですが、今日はとりあえずプレパラートを作ってみました。まだ、ぼやきの段階ですが、とりあえず出してみます。



調べているのはこんなトビムシです。これまで見てきたトビムシは枯葉の下にいたのですが、これは石垣みたいな日の当たるところを這い回っています。それでも、近づくとぴょんと飛ぶのでやはりトビムシの仲間です。

冷凍庫に入れておいた個体を消毒用アルコールにしばらく浸けて柔らかくした後、ピンセットで跳躍器をはずしました。それをスライドグラスに載せて、カバーグラスで押さえて生物顕微鏡で観察してみました。



これは跳躍器の先端にある端節です。端節は大変短く、さらに、先端に爪がついています。何度か見直したのですが、爪は3本のようです。茎節の表面ががたがたしていますが、もう少し基部の方も見てみました。



茎節後面にはこんな縞模様のようなものが見えます。

今度は本体の方をホールスライドに置いて、やはりカバーグラスで押さえました。検索では脚の爪がよく出てくるので、その部分を調べてみました。



ちょうど前脚と中脚が一緒に見えていたので、写してみました。爪は2本あるのですが、太い方を主爪というのでしょうね。

それから、アルコールに浸ける前にもう一度眼のあたりを調べてみました。眼の数を確かめるのと、PAOという感覚器の存在を調べるためです。



AとBは違う個体です。眼の部分を比べてみました。下に大きな穴が見えるのは触角挿入口です。従って、下が前になります。やはり大きな眼は6つです。真ん中右にある小さいものも眼のようですが、8個あるというもう一つの眼がどれを指すのかよく分かりません。一番下の小さい丸がそうかなぁ。PAOは眼と触角の間にあるようなのですが、何度見てもどこにあるかよく分かりませんでした。

とりあえず、検索表でこれまで分かったこと分からないことをまとめてみました。用いた検索表は、次の3つの論文に載っていたものです。

田中真悟、「日本産トビムシ類の科の分類」、Edaphologia 22, 27 (1980). (ここからダウンロードできます)
新島溪子、長谷川元洋、「日本産ツチトビムシ科(昆虫綱:トビムシ目)の分類 1.ナガツチトビムシ亜科およびヒメツチトビムシ亜科」、Edaphologia 89, 29 (2011). (ここからダウンロードできます)
長谷川元洋、新島溪子、「日本産ツチトビムシ科(昆虫綱:トビムシ目)の分類 2.ツチトビムシ亜科」、Edaphologia 90, 31 (2012). (ここからダウンロードできます)

まず、科と亜科の検索表は一番上とその次の論文に載っていたものです。その部分で必要な部分を抜き出すと次の通りになります。



赤字は確認できたものです。従って、ツチトビムシ科ツチトビムシ亜科までは確かではないかと思います。PAOがどれだかよく分からないので、黒字のままになっています。

次は属への検索です。これは3番目の論文に載っています。これも可能性のあるところだけを抜き出すと次の通りになります。



赤字はやはり確認したものです。青字は逆に確認して否定できたものです。赤字と青字がぐっと減ってしまいました。この原因は太字で書いてある感覚桿、側歯、飾り毛、偽外被などはまだよく分からないためです。最初にざっと検索をしてみたときはカザリゲツチトビムシ属になったのですが、青字が入っているのでどうやら違ったようです。いまのところ、サヤツメトビムシ属かなと思っているのですが、種までいくとどうも違うようで、迷ってばかりでちっとも収束しませ。PAOがないとすると、ツチトビムシ亜科で可能性があるのはオナガシオトビムシだけになってしまいます。これと他種との違いは触角第3節にある感覚桿の数です。そこで、これを見たいと頑張っているのですけど・・・。すっかり迷路にはまってしまいましたね。

虫を調べる ハリブトシリアゲアリ?

先日、家の近くの公園にある木の幹を調べていたら、こんなアリを見つけました。小さなアリはパッと見てもほとんど違いが分からないので、2匹ほど捕まえて家で調べてみました。まだ、ちょっと怪しさがあるのですが、とりあえず忘れないうちに出しておこうと思います。



まず、こんな形のアリです。腹が黒くて先端が尖っているのが特徴でした。



これは真上から見たところです。体長は3.1mm。アリは腹部と後胸が融合して前伸腹節というのをつくっていますが、それと見かけの腹部を結ぶ部分が腹柄節です。このアリの場合、腹柄節は2節あります。前を腹柄節、後ろを後腹柄節と呼ぶようです。腹柄節の前側が広がって「うちわ」のような恰好をしているのが気になります。

例によって、「日本産アリ類図鑑」に載っている検索表を使って調べてみました。必要な部分だけを抜き出したものが次の表です。



⑧以降ははっきりしないところがあったので、すべてを書いています。候補は4種いるのですが、この中のハリブトシリアゲアリ、クボミシリアゲアリあたりが最終候補に残り、結局、ハリブトシリアゲアリではないかと思っています。これら検索表の各項目はそのアリの構造的な特徴を調べるのに便利なので、写真と見比べながら見ていきたいと思います。



捕まえた二匹のうち、一匹はこの写真のように腹部が長く、もう一匹は上の写真のように短かったのですが、そのほかの特徴が同じだったので、同じ種だと思われます。この写真では腹柄節が2節からなること、複眼が顔の大きさに比して小さいこと、それから重要な性質なのですが、後腹柄節が腹部の背側の部分でくっついていることです。この最後の性質だけでシリアゲアリかなと思うことができそうです。



顔はこんな感じです。全体に皺だらけですね。よく見ると、触角挿入部を1/3ほど覆うように額葉があることがわかります。③の額葉は互いに離れるというのが何を意味しているのか分かりませんでした。



触角は全部で11節のようです。実は第1節(柄節)のすぐ外側の小さな部分を第2節とすべきかどうかだいぶ悩みました。でも、図鑑の絵などと見比べるとこの図のようでよいのではないかと思いました。先端3節は太くなっています。この部分を棍棒部と呼ぶようです。



これは胸部と前伸腹節、腹柄節を背側から撮ったものです。中胸背面はほぼ平坦になって左右縁取りがされている感じです。また、前伸腹節気門が刺のすぐ下の部分、背面の端にあります。普通は側面にあるので、この辺は特徴的ですね。腹柄節は普通、丘のように盛り上がるのですが、この種は平らで、さらに幅が広くなっています。



次は前胸側面に関するものですが、ここは若干の問題があります。検索表では、⑧細い縦じわがあり光沢はない、⑧'前胸側面は滑らかで光沢がある、という2つの選択肢になるのですが、この写真を見る限り、縦じわなどなく、滑らかで少し光沢がありそうです。で、⑧'を選ぶと、前伸腹節刺の形や中胸背板の形などがどうも合わなくなってしまいます。ここで、だいぶ迷っていたのですが、こんな論文を見つけました。

K. Onoyama, "Taxonomic Notes on the Ant Genus Crematogaster in Japan (Hymenoptera : Formicidae)", Entomological Science  1, 227 (1998). (ここからダウンロードできます)

この論文はシリアゲアリ属4種の特徴を書いているのですが、この中で、ハリブトの前胸側面については、だいたいは滑らかで光沢があると書かれています。一方、テラニシについては細かな筋があり無光沢と書かれています。つまり、上の検索表とは違うことになります。ただ、この本の検索表の方が新しいものなので、この論文の内容は当然加味されていると思いますが、たぶん、それほどはっきりした性質ではないのか、個体変異や地理的変異があるのかもしれないなと思いました。とりあえず、次に進みます。



次は前伸腹節刺を写したものなのですが、少し見にくくなってしまいました。いずれにしても、刺は基部と高さがほぼ等しく、三角形状をしていると思われます。上の検索表では、結局のところ、種の検索にこの刺の形状が使われています。したがって、この形状からだけ見ると、ハリブトシリアゲアリが最有力候補になります。上に紹介した論文にも検索表があり、その中ではクボミとハリブトが競い合うことになります。そこで、中胸背板の両側に隆起線が明確で中央部が凹むのがクボミ、凹まないのがハリブトということになるのですが、このアリの場合はほぼ平面的なので、このことからもハリブトかなと思いました。



最後はおまけの写真です。「シリアゲ」というのがよくわかるのではと思って出しました。

シリアゲアリというのを今回初めて見ました。最終的な種の同定の部分ではまだ怪しさが残るのですが、今まで見たアリとだいぶ形が違い面白く思いました。この日はそのほかに2種捕まえていたのですが、ルリアリとトビイロシワアリでした。だいぶアリにも慣れてきたかなと思っています。
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