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廊下のむし探検 最終回

廊下のむし探検 第819弾

2月も余すところ今日を入れて3日になってしまいました。明日も明後日も出かける予定なので、たぶん、今日が「廊下のむし探検」最終回になると思います。3月初めからマンションの周りには足場が組まれ、全体に幌が被せられます。これから5ヶ月間、マンションにはやってくる虫もいなくなるでしょう。とりあえず、ここで「廊下のむし探検」を終わりにしようと思っています。

そういう訳で、今日は最後の「廊下のむし探検」だったのですが、虫はほとんどいませんでした。



まずいたのはこの小さなユスリカでした。♂であることは確かですが、あまりに小さすぎて調べようとする元気もでません。



次はオドリバエです。この写真はスケールを測るためのテープを貼ったところですが、かなり小さなオドリバエです。これもあまり調べる気が起きなかったのですが、この日は何匹かいました。





何の気なしに撮影したのですが、後で見ると中・後脚腿節に毛が生えている個体があったようです。共に離眼的なのですが、上が♂、下は♀なのかな。



一応、翅脈を見てみたのですが、翅の後縁部分の名前の付け方がよく分かりません。でも、R4脈がないこと、中室があること、Sc脈が途中で終わっていること、Cu1脈(?)が回帰脈になっていそうなことが読み取れます。ちゃんと検索をしたわけではないのですが、Rhamphomyia属なのかなと思っています。



最後はネコグモだと思っている種です。今日はこれで終わりでした。

3月からは「家の近くのむし探検」をしたり、「虫を調べる」でいろいろな虫を調べてみたりするつもりです。たぶん、ときどきになってしまうとは思いますが・・・。今後ともよろしくお願いします。
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家の近くのむし探検 虫がいろいろ

家の近くのむし探検 第5弾

今日はいつもの公園ではなしに、河原の方に行ってみました。土手に座り込んで見ていると、意外に沢山のムシがいます。これは公園に限らない方がよいかなと思って、「家の近くのむし探検」と名前を変えることにしました。



まだ2月だし、虫なんかいないだろうなと思って、周りを見渡していたら、アリが列をなして歩いているのが見えました。先日、ルリアリを見たばかりだったのですが、もう活動を始めているみたいですね。





雰囲気はトビイロシワアリみたいですが、また採集してきたので今度検索してみます。



こちらはクロオオアリだと思うのですが、これは2匹ほどいました。





次に気がついたのがこの奇妙な虫です。よく見ると、あちこちで歩いています。大きさは5mm程度。小さな虫です。調べてみると、ハネカクシの仲間みたいですね。「原色日本甲虫図鑑II」にはホソフタホシメダカハネカクシがでていますが、ネットで調べてみると、ハネカクシ談話会ニュースNo. 6により詳しく書かれていました。これによると、上翅に紋があるのはフタホシ、ホソフタホシ、オオフタホシ、ヒメフタホシの4種がいるみたいです。このうち、ホソフタホシは脚が黄色のですぐに分かり、後の種は脚が褐色ないし黒色だそうです。残りの3種のうち、本州にはフタホシだけ生息するようです。従って、とりあえずこれはフタホシメダカハネカクシでよさそうです。





次はこの甲虫です。2枚目は少しピントがずれているのですが、脚が写っているので載せました。黄色の筋があるハムシには、キスジノミハムシ、ホソキスジノミハムシ、チュウジョウキスジノミハムシの3種が「原色日本甲虫図鑑IV」には載っていました。この中で、ホソキスジノミハムシは脚が暗赤褐色で、黄色の筋が細くて内縁が直線的というので、これに合致しそうです。ノミハムシというだけあって、後脚腿節が太いですね。





次はこの甲虫です。これもハムシかなと思ったのですが、載っていません。図鑑をずっと見ていったらヨツボシテントウダマシであることが分かりました。ただ、説明を読むと、日本にいるのは亜種 asiaticusのようです。



それから、これはヒメナガカメムシ



最後はこのクモです。たぶん、シラホシコゲチャハエトリだと思うのですが、♂と♀が合わさったような姿です。枯れ葉の上でじっとしていました。

今日は晴れていたのですが、気温は6度。まだまだ寒いと思うのですが、こうやって虫がいろいろと出てくるとまるで春のようですね。

虫を調べる ルリアリ

先日来、家の近くの公園に行っているのですが、そこで見つけたアリです。サクラの幹に冬の今頃にうろうろしているので何だろうと思って採集してきました。検索の結果、ルリアリという本州の太平洋側以南に分布するアリだと分かりました。その検索の過程を書いておきます。



こんなツヤのあるアリで、昨日、採集したものです。こうやって写すと結構大きそうですが、



スケールと一緒に写すとこんなものです。一目盛りが1mmなので、全長は2mm程度でしょうか。

アリの検索表は次の図鑑に載っています。

寺山守、久保田敏、江口克之、「日本産アリ類図鑑」、朝倉書店 (2014).

この中の検索表を使って調べてみると、まず、カタアリ亜科になり、さらにルリアリ属にまで到達することができます。そこで、ルリアリ属に至る部分のみを書き出すと次のようになります。



例によって、顕微鏡写真にこれらの項目を書き入れてみました。今回は小さいので実体顕微鏡ではうまく写らず、生物顕微鏡で対物鏡10倍を使って撮ってみました。また、検索の順番に説明するとややこしくなるので、部位別にお見せすることにします。



まず、アリではもっとも重要な腹柄節の部分をお見せします。腹柄節は1節なので、2節のフタフシアリ亜科などを除外することができます。腹柄節は薄っぺらいのですが、これを鱗片状というのでしょう。腹柄節の前の部分は前伸腹節といい、腹部第1節と後胸が融合した部分です。この背部がわずかに凹んでいることから、カタアリ亜科のナミカタアリ属を除外することができます。



これは腹部末端の写真ですが、ここに丸い開口があって周りに毛が生えているとヤマアリ亜科になります。この写真では開口がはっきりしないのですが、横に長細いので、たぶん、カタアリ亜科だということになります。先端に針があるとハリアリ亜科になります。



次は頭部です。触角の柄節に関する項目は検索の最後に出てくるのですが、これが頭をちょっと越える程度ならばルリアリ属になりますが、長いとアルゼンチンアリ属になります。また、頭部に点刻がなく滑らかであることからナミカタアリ属を除外できます。



これは頭部の正面からの写真です。中央に大きな大顎が見えています。その上が頭盾になるのですが、その前縁側方には小突起らしきものはありません。これでクビレハリアリ亜科が除外できます。



次は腹部です。腹部第1節と第2節の間にくびれはありません。これはハリアリ亜科、ノコギリハリアリ亜科、カギバラアリ亜科などを除外する項目です。第1節の背板と腹板が融合していないことはこの写真では見難いので、次の写真を見てください。



この写真を見ると、背板と腹板が分かれていることがよく分かります。以上の点をすべて確認できると、この個体はカタアリ亜科ルリアリ属であることが分かります。ルリアリ属にはルリアリ1種だけなので、これはルリアリということになります。

上記の図鑑によると、ルリアリは草地や林縁部でごく普通に見られ、枯れ枝、朽木、石下などに営巣するとのことです。それにしてもこんな寒い季節、何をしていたのでしょうね。

公園のむし探検 ルリアリ?

公園のむし探検 第4弾

昨日、また、近くの公園に行ってみました。家を出るときはそうでもなかったのですが、公園に着いたら、寒くて風が強く、あまり観察という気分になれませんでした。それでも、公園の隅の枯れ葉をのけて観察していると、いつもの公園の主の方がやってきて、隣で枯れ葉をのけ始めました。それを見て、今度は犬を連れた方が・・・。広い公園なのに、みんな隅の方でがさがさやっています。トビムシ探しです。

トビムシはいることはいるのですが、風が強くて、すぐに枯れ葉が覆ってしまい、ゆっくり観察できません。





結局、この間もいたアオバアリガタハネカクシを写したり、



ザトウムシを写したり・・・。



トビムシはこんな頭隠しての状態しか撮れませんでした。





それで、この間アリがいたのを思い出し、サクラの木の根っこの部分を探してみました。やっと見つけました。小さな黒いアリです。昨日は採集してきました。冷凍庫に1時間ほど入れてから観察しようと思ったら、しばらくして触角を動かし始めました。-20度で1時間もいたのに・・・。まるで、フユシャクですね。それで、一晩入れておいてから、今日、検索してみました。結果はカタアリ亜科のルリアリになったのですが、それについてはまた次回に載せます。

虫を調べる シリボソハナレメイエバエ属?

今日はハエの検索です。でも、どうもあまり自信がなくて、もう少し後で出そうかどうか迷ってしまいました。というのも、手元の情報不足のためです。



対象とするのはこんなハエです。体長は5.7mm、前翅長5.0mm、中型から小型のハエです。以前、MSWiさんにイエバエ科のPygophora属かもと教えていただいたことがあります。画像検索をすると、確かにイエバエ科ハナレメイエバエ亜科で似たような写真がたくさん出てきます。でも、、自分でもちゃんと調べてみたいと思って検索をしてみました。ただ、イエバエ科の検索表がありません。篠永哲氏の「日本のイエバエ科」が手元にあるとよいのですが・・・。ハナレメイエバエ亜科の属への検索表は「一寸のハエにも五分の大和魂・改」に載せられいて、それを利用させていただくことにしました。問題は亜科への検索表です。やっと次の論文に出ていることが分かりました。

田中和夫、「屋内害虫の同定法 : (3) 双翅目の主な屋内害虫」、屋内害虫 24, 67 (2003). (ここからダウンロードできます)

ただ、残念ながら屋内害虫に限っているため、イエバエ科のすべての亜科が載っていないところが問題です。でも、たぶんハナレメイエバエ亜科は間違いないだろうと信じて進めていくことにしました。この2つの検索表を合わせて検索してみると、どうやらシリボソハナレメイエバエ属 Pygophoraになりそうなことが分かりました。



まず、亜科への検索表の抜粋です。これは田中氏の論文からです。ただし、この時はヒメイエバエ科が亜科になっていたり、サシバエ亜科やカトリバエ亜科があったりと、現在とは分類がだいぶ違っています。続いて、「一寸のハエにも五分の大和魂・改」に載せられていた属への検索表です。



Pygophora属に至るところだけを書きました。また、検索の項目には通し番号をつけました。これを写真で見ていきたいと思います。ただ、検索表の順番に説明していくと、あっちを見たり、こっちを見たりとややこしくなるので、部位別に見ていきます。



まず最初は頭部です。複眼の横にある白い帯を前額眼縁体と呼びますが、ここに生えた剛毛を額眼縁剛毛と呼びます。この前額眼縁体の上の方にある剛毛2対が後ろ向きに生えています(分かりにくいので次の写真も参照してください)。これが1対だとハナレメイエバエ属になります。また、単眼を含む三角形の部分を単眼三角板と呼びますが、これが大きいとシリグロ、ヘリグロ、ホソ、クシヒゲなどの別の属になります。



小腮肢は矢印で示した白い部分だと思いますが、ここが匙状に広がるとカトリバエになります。また、口吻が尖っているとサシバエになります。



次は胸部側面です。この個体では無毛ですが、中胸亜基節に列をなさない刺毛があるとヤドリイエバエになるようです。また、中胸上後側板に刺毛があると、イエバエ亜科、トゲアシイエバエ亜科ハナゲバエ族になるみたいです。中胸下前側板の3本の剛毛の配置が重要みたいです。これがほぼ正三角形に近いか、下の頂点がやや前寄りだとハナレメイエバエ亜科ハナレメイエバエ族になります。この写真の個体では正三角形ではなく、やや、前寄りに歪んだ三角形です。でも、少なくとも底辺の1/2より高さが高そうです。ということでハナレメイエバエ亜科ハナレメイエバエ族であろうと思われます。



次は翅脈です。④はヒメイエバエ科を除く項目なので、ここでは特に問題になりません。



次の「中脚脛節に後背剛毛を2本を持つ」の中の「後背」という意味が最初分かりませんでした。いろいろと調べてみると、脛節の背の中心線に対して後ろ側(尾側)にずれたところに生える剛毛のことを指すようです。逆に前側(頭側)にずれて生える剛毛を「前背」と呼ぶようです。脛節を拡大してみます。



確かに中心線をずれた位置に2本の剛毛があります。こちらが後ろ側なので、後背剛毛というのでしょうね。



次は後脚脛節の剛毛です。前背剛毛、後背剛毛、それに亜末端剛毛らしきものに名前を付けてみました。前背剛毛、後背剛毛は中心線からずれて生えていますが、亜末端剛毛は中心線上に生えています。検索項目は基部2/3以内に前背剛毛が2本だというのでその通りかなと思いました。ということで、一応、書かれていることはすべて確かめられたので、シリボソハナレメイエバエ属で間違いないなと思うのですが、今ひとつ、自信がありません。やはり、篠永哲氏の「日本のイエバエ科」が欲しくなりました。

最後はまた剛毛に名前をつける練習です。





「新訂 原色昆虫大図鑑III」を見ながらつけていったのですが、合っているかなぁ。

追記2016/02/25:ハナレメイエバエ族 Coenosiini で検索していたら、次の論文が引っかかりました。

M. S. Couri and C. J. B. de Carvalho, "A new genus and species of Coenosiini from Costa Rica (Diptera, Muscidae, Coenosiinae)", ZooKeys 321, 25 (2013). (ここからダウンロードできます)

この論文の最初にハナレメイエバエ族 Coenosiiniの特徴がまとめてありました。

1)♂♀とも複眼は離眼的(♂が離眼的ということで、たぶん、「ハナレメ」という名前がついたのでしょうね)
2)下側の前胸後側板刺毛は下向き(上から3番目の写真で見えるのですが、ちょっとはっきりしません)
3)下前側板刺毛は1:1:1で、正三角形を「なす(正三角形ではないのでちょっと気になる)
4)後脛節に少なくとも1本の前背剛毛(これはOKです)
5)♂の下雄板は円筒形で伸びる(この写真の個体は♀?)

うーむ



廊下のむし探検 フユシャクなど

廊下のむし探検 第818弾

マンションの改修工事まであと1週間と迫ってきました。「廊下のむし探検」もいよいよ最後のあがきになってきましたね。今日は写真展の訪問客と長話をした後、家に戻ってきてからマンションの廊下を歩いてみました。で、思わぬ収穫がありました。



かなり大きなフユシャクの♀です。今頃の♀は初めてかな。図鑑(中島秀雄、「冬に出現する尺蛾-新・フユシャク類の採集-」、やどりが No. 152, 2 (1993))と見比べてみると、シモフリトゲエダシャクみたいです。♂の方はこれまで1月末から3月初めにかけて何度か見ていたのですが、♀は初めてでした。



これもフユシャクですが、チャオビフユエダシャクだと思います。これまで2013年は3月10日、2014年は3月9日、2015年は2月25日が初見日でした。今年はこれまで一番早い記録になりました。春が早くやってくるのかなぁ。



後はハエばかりですね。これはいつものキモグリバエです。これはたくさんいます。



こちらはユスリカです。



それに、これはオドリバエでしょうね。



クロバエの仲間。





それに、ノミバエ。



これはたぶん、ハナレメイエバエの仲間ですね。たしか、検索表があったなぁと思って採集してきました。今度、検索してみます。



それからとうとうガガンボダマシを見つけました。シリアゲムシと比較するために、翅基部の写真を撮ろうと思って採集してきました。



これはハチなんですが、何だろう。



小さいけれど綺麗なクモです。前に見たかなぁ。名前は調べていません。

廊下のむし探検 春の使いオカトゲ

廊下のむし探検 第817弾

マンションの改修工事が近づいてきて、落ち着いて廊下を歩く気分にならなくなってしまいました。今日は昼ごろに外出するときに、ふとマンションの外壁を見たら、こんな蛾が止まっていました。



オカモトトゲエダシャクです。私はいつもオカトゲと呼んでいます。この変わった止まり方もさることながら、春の使いとして楽しみにしている蛾です。これまでの記録を見てみました。初見日は2013年は2月28日、2014年は2月26日、2015年は2月17日。いずれも2月後半ですね。今年は2月21日。ちょっと早いですが、まぁ例年通りというところでしょうか。



次はこの蛾です。これは2月17日に見ました。この日はこの1匹だけだったので、次に何かを見た時に出そうと控えていました。たぶん、ウスカバナミシャクではないかなと思っています。普段は3月に見るのですが、昨年も2月17日に見ていました。ちょっと早く出てくるのがいつもいるみたいですね。

トビムシの科の検索

先日、捕まえてきたトビムシの検索をしてみました。



調べたのはこんなトビムシです。体長は3.2mm。トビムシとしたは大きめの部類に入るのかもしれません。トビムシは小さいですが、意外に情報が多いですね。科の検索表は次の論文に絵解きのものが載っていました。

田中 真悟、「日本産トビムシ類の科の分類」、Edaphologia 22, 27 (1980). (ここからダウンロードできます)

この論文の中の検索表を用いて検索してみると、上記の個体はトゲトビムシ科になりました。その過程を写真を使って追いかけて行きたいと思います。まず、その過程を検索表から抜き出すと次のようになります。



順に見ていきたいと思います。①の体は長く、体節は分離しているというのは、合節亜目という体が丸くて体節が融合している種類があるので、それではないという項目です。上の写真を見ても、体は長いことが分かります。体節については次の写真を見ると分かると思います。



胸部が2節、腹部が5節か6節に分かれています。②の「前胸節は退化し」というのはよく見ないと分からないのですが、中脚の付け根を見ると、中胸と書いた背板につながっています。同様に、後脚の付け根は後胸背板につながっています。それでは前脚はというと中胸と頭部の間に隠れてしまっています。これが退化したという意味だと思います。これはアヤトビムシ上科の特徴のようです。これに対抗するのがミズトビムシ上科で、この場合は、論文に書かれたイラストからは前脚に対する節がはっきり見えています。「毛が少なく」というのはよく分かりません。首状であることは確かでしょう。

次の③の第4腹節と第3腹節の長さの比較ですが、上の写真では第3腹節が長く、第4腹節は少し短くなっています。「ほぼ等長」ではないのではと思ったのですが、これと対照されるのがアヤトビムシ科、アリノストビムシ科、ヒゲナガトビムシ科で、いずれも第4腹節が第3腹節よりかなり長いことが特徴です。従って、「等長」ではないのですが、まぁいいのではと思いました。



次は④で、体表に鱗があるのはすぐに分かります。一方、鱗のない種はツチトビムシ科です。



最後の⑤ですが、腹部の下側には折れ曲がった跳躍器があります。跳躍器は基部から柄節、茎節、端節の3つに分かれます。この長さの比較です。



この写真は跳躍器を拡大したものですが、先端部分が端節です。茎節がどこまで続くのかわかりませんが、とりあえず、茎節は端節の2倍以上あります。④の「端節は大きい」とあるのは、キヌトビムシ科との比較の問題だと思います。また、茎節の基部には黒い刺が10本くらい見えます。これは茎節刺と言われるもので、トゲトビムシ科の特徴です。跳躍器は普段は腹の下に折りたたまれているのですが、跳躍するときには伸びて地面をたたきつけ、上に飛び上がる仕組みになっています。普段は収縮しているバネがあって、クリックでそれがとめられているのですが、それがはずれてバネが伸び、地面をたたきつけて飛び上がるという機構が常識的には考えられますが、その詳細を書いた論文が見つかりませんでした。ウンカとかノミとかに比べると、トビムシはややマイナーな昆虫のようです。(追記2016/02/21:こんなサイトを見つけました。この中には高速度カメラで撮った動画もあります。跳躍器を伸ばしたあと、それを途中で曲げた反動で飛んでいるみたいですね。これはイリノイ大の研究者のブログのようです



次は触角です。「第3、4節は小さく分節して環状になる」というのは、挿入図を見ると見難いのですが、何となく分かると思います。ただし、どれが第3節で、どれが第4節なのかがよく分かりませんでした。



最後は「触角後器はない」という項目ですが、実は、あるかないかこの写真ではよく分かりません。たぶん、ないのだろうと思うのですけど。触角後器は触角と眼の間にある感覚器で、英語ではpostantennal organ (PAO)と呼ばれています。この器官については次の論文に少し載っていました。

H. Altner and G. Thies, "The Postantennal Organ: A Specialized Unicellular Sensory Input to the Protocerebrum in Apterygotan Insects (Collembola)", Cell Tiss. Res. 167, 97 (1976).

要は、トビムシの中でもヒメ、シロ、ツチの3科にだけ見られる器官で、単細胞性の感覚器だそうです。湿度、温度、化学刺激に反応したので、これらの受容センサーになっているのだと思われます。形状はまちまちで、突起になっていたり、隆起になっていたり、穴状になっていたりするそうです。この形状が種の同定にも使われています。ただし、この器官については1970年代の研究が中心で、最近の論文はほとんど見られませんでした。

本当は種の検索までやってから出そうと思っていたのですが、種の検索はかなりハードルが高く、プレパラートを作ってからでないと難しそうなのと、最近、写真展を開いている関係で来客が多くて時間がなかなか取れないので、とりあえず科の検索だけ出してみようと思いました。といっても、写真自体は先日撮ったものばかりなのですけど・・・。

トビムシの顕微鏡写真

先日、近くの公園でトビムシを何種か見つけました。そのうちニ種を捕まえてきたので、今日はそのうちの一種の顕微鏡写真を撮ってみました。



おそらくこの種だと思います。冷凍庫に入れておいて解凍してから調べたのですが、翅がないのでピンセットで挟むわけにもいかず、仕方なく、ピンセットの先で転がしながら向きを変えたりしていたので、結構、苦労しました。



全貌はこんな感じです。体長は3mmくらいかな。触角が長いですね。



これは横からです。中脚と後脚に対する背板はあって、それぞれ中胸、後胸と書いた部分がそれに当たります。ところが、前脚については背板がなくて、そのことからアヤトビムシ上科になることが分かります。トビムシの科の検索表は次の論文に載っていました。

田中 真悟、「日本産トビムシ類の科の分類」、Edaphologia 22, 27 (1980). (ここからダウンロードできます)

この論文には絵解きの検索表が載っていて科までは比較的に楽に到達できます。



体にはこんな鱗がついています。大きさや形はかなり不揃いです。



これは頭の部分です。黒い模様のところには小眼という小さな眼が6個、ちょっと変わった配列で並んでいました。



触角をよく見ると、第3節が環状になっています。



腹部には腹端で折れ曲がった長細い構造があります。これが跳躍器らしいです。跳躍器は先端から端節、茎節、柄節に分かれ、途中で2つに分かれているようです。これを使って跳躍をするのですね。さらに拡大してみます。



よく見ると、茎節の基部には黒い茎節刺があります。今日は検索の過程を載せませんが、検索してみるとこのことからトゲトビムシ科になります。トゲトビムシ科の種への検索表は次の論文に載っていました。

須摩 靖彦、「日本産トゲトビムシ科の分類」、Edaphologia 84, 25 (2009). (ここからダウンロードできます)

実際に種の検索をしてみると、茎節刺や端節の構造を調べなければならないのですが、かなりレベルが高くて、私が使っているような10倍や20倍の対物では難しそうです。一応、検索の結果、オオトゲトビムシ属かトゲトビムシ属かというところまではたどり着いたのですが・・・。



跳躍器の先端部分も拡大して撮ったのですが、ここに構造があるようには見えませんね。検索表には出てくるのですが・・・。トビムシの検索はなかなか難しいですね。(追記:よく見ると下の方の端節に歯のようなものが写っていますね。これかぁ

公園のむし探検 アオバアリガタハネカクシ、トビムシ

公園のむし探検 第3弾

しばらく「廊下のむし探検」と「公園のむし探検」が混じって出てきます。でも、「廊下・・・」の方は2月いっぱいで終わりになります。今日は「公園・・・」の方です。

晴れていたので午前中に出かけたら、途中で黒雲がやってきて、帰る頃にはぽつぽつ冷たい雨まで降ってきました。それで公園にいたのは1時間ほどになりました。公園に着いていつものようにサクラの木でイダテンチャタテを探していると、公園の主のような方がやってきて、虫を探すならこうするんだといって、枯れ葉をのけてくれました。確かにこんな真冬でも小さな虫がうろうろしていました。なかなか面白いですね。





まず最初に気がついたのはこのアオバアリガタハネカクシです。これが3、4匹、歩き回っていました。こんな枯れ葉の下で越冬しているのですね。びっくりしました。次に気がついたのはトビムシです。これがいろいろな種類がいるみたいです。





まずは長い毛がもしゃもしゃ生えたタイプ。





次が触角がえらく長いタイプ。





触角は短いのですが、体が青光りしています。



かなり小さなトビムシです。





これも触角が長いのですが、2番めのトビムシと一緒かな。結局、全部で4種類かな。このうち2種を採集して、今は冷凍庫の中。トビムシの絵解き検索表が載った論文があるので今度検索してみようかな。



その他ではクモとか、



ザトウムシとか、



ダニとかがいました。



で、肝心のイダテンチャタテは?今日はほとんど見つかりませんでした。この1匹だけ。寒かったからかな。



最後はおまけです。クモがいたので写したら、巣の方にピントが合ってしまいました。でも、なんとなく面白い写真になりました。

ハチの分類

「廊下のむし探検」に出てきたムシに、戸外で撮ったムシを加えた図鑑を作っています。これまでマンションの住民用の簡単な図鑑を作ってきたのですが、これにこれまでの検索や勉強したことなどを加えた、より詳しい図鑑を作っています。内容はだいぶマニアックになってきて、私以外にはあまり役に立たない、まさに自分用の図鑑になってきました。

2、3日前からハチをまとめ始めたのですが、まずは分類からと思ってこんな表を作ってみました。



これは「新訂昆虫大図鑑III」に書かれていた分類をもとに作りました。ハチが広腰(ハバチ)、寄生蜂、有剣蜂の大きく分けて3つに分かれることがよく分かるのでよいかな思っていたのですが、これと寺山守氏が公表している日本産有剣膜翅類目録(2014年版)とを比較したときにあれっと思いました。寺山守氏の目録は有剣蜂についての目録なのですが、「大図鑑」とだいぶ変わっています。ついでにほかの文献も調べてみました。

M. J. Sharkey, "Phylogeny and Classification of Hymenoptera", Zootaxa 1668. 521 (2007). (ここからpdfがダウンロードできます)

この論文にも付録で分類が出ているのですが、これがまた大図鑑とも上記目録とも違います。それでちょっと比較をしてみました。




科は日本産に限定しました。Sharkeyで薄字になっているのは日本に産しない科を示しています。有剣類はSharkeyの分類のように、大きくセイボウ上科、スズメバチ上科、ミツバチ上科の3つに分かれるようです。この大まかな分け方は他の二者でも変化していません。しかし、特にSharkeyのスズメバチ上科についてはいくつかの上科に分かれ、さらに、それぞれの科がどの上科に入るのかも複雑に変化しています。寺山氏の目録はたぶん最近のDNA解析をもとにしていて新しいのですが、DNAの塩基配列による分類もどの部分に注目するかによって結果がだいぶ変わるということを聞いたことがあります。いったいどれを採用したらよいのやら。

図鑑については今、広腰亜目の部分をまとめているのですが、こんな感じになっています。

















という風に続いていきます。和名の前に赤丸があるのは検索をしてその結果をブログに出しているものです。ですから、いつでも見直すことができます。橙丸は検索はしたのですが、図などは出していません。上のページにはないのですが、青丸は図鑑をまとめるに当たって再度検索してみたもの。緑丸はほかの方から聞いたもの。無印は絵合わせだけで決めたもので、特に、検索はしていないものです。こういう印を付けておくことで、後で見た時に同定の信頼度を示せるかなと思っています。

図鑑を作っていると楽しいし、また、もう一度調べ直すので勉強にもなります。自分用の図鑑、なかなかオススメですよ。

廊下のむし探検 シロフフユエダシャクだけ

廊下のむし探検 第816弾

今日は昼間20度を越える陽気だったので、きっと虫もいっぱい出ているだろうなと思って、マンションの廊下を歩いてみました。



でも、虫はまったくいません。唯一、シロフフユエダシャクだけが壁に止まっていただけ。普通、ハエくらいは何匹かはいるものですけどねぇ。シロフフユエダシャクもこれが今年初めてでした。今年は本当に蛾を見ないですね。2月14日を基準にして、この日までに2013年は2匹、2014年は1匹、2015年は11匹を見ていました。去年が異常に多かったみたいですね。今年はまぁ例年並みなのでしょうね。

公園のむし探検 イダテンチャタテほか

公園のむし探検 第2弾

「廊下のむし探検番外編」改め「公園のむし探検」としました。これから7月末までの5ヶ月余り、「廊下のむし探検」ほどには頻繁にできないとは思いますが、ときどき近くの公園などに行って虫を調べてみたいと思っています。

公園はマンションから歩いて5分ほどのところにあります。ブランコ、滑り台などの簡単な遊具のほか、砂場やちょっとした広場があり、北側は小さな丘につながっています。西側は崖になっていて、東側が道を挟んで住宅地になっています。公園にはサクラやユリノキ・・・などの木が植えられています。

この間から、このサクラの木の幹でイダテンチャタテという小さなチャタテを探すのが面白くなってきています。これは3日前の11日に行った時の記録ですが、結局、1時間以上もうろうろしていました。この公園には主のように毎日来ておられる方がおられるのですが、樹の根元でしゃがみこんで写真を撮っていると、何をしているのだと見に来られました。チャタテムシの写真を撮っているというと珍しそうに見ておられ、ご自身でも写真を撮っておられました。





先日も写したのですが、家族が2年前に撮った方が良かった。やはり2度目だと熱の入り方が違うんだねと言うので、頑張って写したのですが、どうも2年前を超えられません。腕が落ちたのかなぁ。



仕方なく、いろいろな姿を撮ろうと思って頑張ってみました。これは顔です。何だか牛みたいに見えますね。ところで、公園に着いたのは午前の11時過ぎだったのですが、この時はどのチャタテもうろうろしていて、なかなか止まってくれませんでした。それで写真は大変だったのですが、12時ごろになるとうろうろしている個体が見えなくなってしまいました。よく見ると、木の幹で陽が当たるところと日陰のちょうど中間辺りで、皆、じっとしています。



中にはこんな風に幹をかじっているような姿も見られました。午前中の運動の時間が終わると、お昼になったので食事時間になったのかなと思ったのですが、そんなことはないですよね。いろいろな木を探してみたのですが、いるのはどうやらサクラだけのようです。

一通りイダテンチャタテを撮ったので、今度はほかの虫も探してみました。



ユスリカがいました。マンションの廊下と同じですね。





サクラの木の根元のところを何匹かの小さなアリがウロウロしていました。今頃でもアリがいるのですね。名前は分からないので、今度、検索をしてみよう。



こうやってアリを見ていたら、白っぽい虫が飛んできました。小さいのですが、意外に綺麗な虫です。「学研生物図鑑 昆虫III」を見ると、それらしい虫が載っていました。ヨツモンヒメヨコバイ Empoascanara limbata (Matsumura)です。図鑑によると頭部の先端から翅端までの大きさが2.5mmだそうです。紋は2つしかないのに「ヨツモン」というのは黒い眼も入れているのかな。小さいわりに画像検索をすると、いっぱい写真が出てきました。農研機構の飼料作物害虫目録にも載っていました。マメ科やイネ科の牧草の害虫だそうです。

公園も結構面白いですね。でも、廊下を歩くよりはなんだかんだ時間がかかってしまうので、そう毎日というわけにはいかないでしょうね。

虫を調べる ブチマルヒゲヤチバエ

また、ハエの仲間を調べてみました。



今回はこんなハエの名前調べです。翅に黒い筋が何本か並んでいて大変特徴的です。この写真は今年の1月12日に撮って、その日のブログに出したものです。この時は全体の形と頭部が黄色いので、フンバエかなと思いました。採集していたので、昨日、調べてみました。この特徴的な翅の模様から調べてみると、いろいろな文献に載っていることが分かりました。実に、ヤチバエ科マルヒゲヤチバエ属ブチマルヒゲヤチバエという名前だそうです。次の本や論文に載っていて、いずれも翅の模様が特徴的と書かれていたので、たぶん大丈夫だと思います。

河合禎二、谷田一三編、「日本産水生昆虫」、東海大学出版 (2005).
R. Rozkosny, L. Knutson and B. Merz, "A review of the Korean Sciomyzidae (Diptera) with taxonomic and distributional notes", Acta Zoologica Academiae Scientiarum Hungaricae 56, 371 (2010). (ここからpdfがダウンロードできます)
M. Sueyoshi, "A revision of Japanese Sciomyzidae (Diptera), with descriptions of three new species", Entomol. Sci. 4, 485 (2001). (ここからダウンロードできます)

「日本産水生昆虫」は以前、水生昆虫を調べてみようかと思って買ったのですが、その後、止めてしまったのでお蔵入りになっていました。このブログを始めて、ハエ、トビケラ、カワゲラなどを調べるときに、これほど役に立つ本だとは思ってもいませんでした。何でも余裕のあるときに買っておくものですね。

さて、今回は名前が確かそうなので、ゆっくりと検索の練習をしてみたいと思います。まずは科の検索です。



これはいつもの「絵解きで調べる昆虫」の中に書いてあるハエ目の検索表から作りました。もともと絵解きなので文章はないのですが、適当に文章化しています。



これは「新訂原色昆虫大図鑑III」の中のハエ目の検索表です。昨日、いきなりこの複雑な検索表を順に調べていき、実は、ヤチバエ科にたどり着かず、ベッコウバエ科になってしまいました。ベッコウバエで画像検索してもこの特徴的な模様のハエは出てきません。それで、ベッコウバエ科の属を1つずつ画像検索して、やっと似た写真を見つけました。岐阜大のサイトに載っていました。それで、ヤチバエであることが分かりました。どこで間違えたかというと、上の検索表の終わりから2番め㋢のところです。頭盾がどれだか分からなかったところが敗因でした。

科の先は、「日本産水生昆虫」に属、種の検索表が載っていました。





こんな簡単な検索で種まで到達します。特に⑯はまさに翅の筋模様を示しています。ということで、大変複雑ではありますが、これらの検索表に出てくる特徴を見ていきたいと思います。特に「大図鑑」の検索表は複雑なので、㋐などの記号を赤くしたものだけを見ていきます。これらはいくつかの科を分ける項目になっているからです。

検索表を順番に見ていけば良いのですが、頭を見たり、翅を見たり、また頭を見たりと説明が大変複雑になります。そこで、検索項目を写真に書き込み、部位別に見ていきたいと思います。



まず、頭部を見てみます。これは正面からです。検索表の出発点は額嚢溝と半月板をもつことなのですが、実はここがあまりはっきりしません。そうではないかと思われるところを矢印で示しています。また、触角梗節に縫線があるかないかは有弁翅類か無弁翅類かを分ける重要なポイントの一つなのですが、この写真の様に縫線はありません。従って、無弁翅類の可能性が高くなります。



次は同じ場所をやや下から撮ったものです。検索で間違った頭盾については次の論文に出ていました。

田中和夫、「屋内害虫の同走法 : (2)双翅目の科の検索表」、屋内害虫 22, 95 (2000). (ここからダウンロードできます)

この論文の図と比較して上の写真の部分ではないかと思ったのですが、はっきりとはしません。また、この写真では口の両側にある太くて長い鬚剛毛がないこともすぐに分かります。



触角刺毛という細い毛が触角の第3節の基部背面から出ていることが分かります。また、この写真で先ほどの頭盾を見ると口の中に隠れてしまい横からは見えないことも何となく分かります。以前調べたヒゲナガヤチバエも大きな口をしていたので、こんな大きな口をしていたらヤチバエ科かなと疑ったらよさそうです。



これは頭部を後ろ側から写したものです。後単眼剛毛が交差しないことからシマバエ科と区別できます。また、額眼縁剛毛は上部にある2本だけで、前側にあるはずの下額眼縁剛毛がないことも特徴です。



次は胸部です。各部に名称を入れました。



脚が邪魔して前胸側板が見えなかったので、脚を動かしました。前胸側板の前下部分に1本太くて長い剛毛が生えています。



中胸上前側板はつるっとして感じで後縁を含めて剛毛などは生えていません。また、有弁翅類に見られる翅下瘤は見られません。従って、無弁翅類であることは確かそうです。



次は翅です。翅脈は検索によく出てくるのでいっぱい書き込んでいます。詳細は説明しませんが、⑯の中脈先端部に2本の分枝を持つというのが、筋が並んだように見えた模様の正体でした。



次は脚脛節の剛毛についてで、中脚を例に出しています。脛節末端背面に亜末端剛毛が1本見ています。それ以外には背側には剛毛はありません。



最後は腹部を腹側から写したものです。これは♀だと思うのですが、⑪の説明が何を意味しているのかは分かりませんでした。一応、腹板と背板に番号をつけてみました。

ということで、全部が確かめられたわけではないのですが、特徴的な翅の模様からヤチバエ科のブチマルヒゲヤチバエで間違いないのではないかと思っています。「日本産水生昆虫」によると、本種の生態はまだ知られていなくて、韓国、日本で見つかっているそうです。成虫は6月と11月に本州と九州で見られているとのことです。過去の写真をもう一度見直したところ、1月のほかに12月と3月に見ていました。

今回は種が大体分かっていたので、安心して検索表を見ることができました。種が分からなかったときにベッコウバエ科にたどり着いた時は不安がいっぱいの状態でした。それでも、だいぶ近縁のところまでたどり着いていたので、少しは慣れてきたのかなと思いました。パッと見てフンバエだと思ったのですが、だいぶ違っていましたね。

廊下のむし探検番外編 イダテンチャタテ

廊下のむし探検番外編 第1弾

マンションが改修工事になったらどうしようかと思っていたのですが、マンションの外でどこか定期的に観察できるところはないかと思って歩いてみました。例えば、石垣とか、建物の壁なんか、背景が白いのでいいかなと思ったのですが、覗き込んで虫を探していると、住宅地では如何にも不審者です。それで、結局、近くの公園で探すことにしました。木がたくさん植えてあるので、その幹などを探すと意外にいいフィールドのような気がしてきました。そういえば、2年ほど前にこの公園でイダテンチャタテという宇宙から来たような虫を見つけたことを思い出しました。

それで探してみると、いましたいました。





こんな虫です。1匹だけなのかなと思ったのですが、幹を探してみるといるわいるわ。あちこちでうろうろしていました。





目が4つあるみたいで見るからに変わった虫です。それにしても、こんな寒い時に元気に動き回っているとは、本当に不思議な虫ですね。



ピントが合わなかったのですが、これは幼虫みたいですね。後で気が付きました。今度、もう一度行って撮ってきます。

廊下のむし探検 いよいよ改修工事

廊下のむし探検 第815弾

一昨日、マンションの改修工事の説明会がありました。マンションの周りに足場を組むのが3月1日からとのこと。2月中は虫をほとんど見ないので、3年4ヶ月続いた「廊下のむし探検」もいよいよ店じまいになります。皆さんに助けられながら、やっとこさっとこ進めてきた「廊下のむし探検」だったのですが、いざ店じまいとなるとちょっぴり寂しくなります。これからは外に出て見つけた虫を調べたり、今までブログに出してきた写真を自分用の図鑑にまとめたりしようかなと思っています(追記:チャタテムシの項を見本としてHPに載せました)。そう思って、この2、3日、これまでブログに出してきた写真をすぐに探せるようにEXCELファイルに入力して、画像リストの更新を行いました。この3年ちょっとで1759種類、写真にして、実に10000枚になります。本当によく見たものです。

そう思っても、廊下を歩かないと何となく落ち着かないので、今日も午後から歩いてみました。案の定、虫はハエばかり。



数ミリほどの小さなハエですが、頭や触角の形を見ると、オドリバエ科みたいです。



眼の綺麗なハエがいました。翅脈を見ると、たぶん、イエバエ科ですね。ネットで見ると、○○ハナレメイエバエというのに似ています。早くイエバエの検索をしてみたいですね。今週は用事で国立国会図書館に行くので、ついでに閲覧してこようかな。ついでにこれまで読めなかったヒメカゲロウやカワゲラの博士論文も見てこようと思っているですが、こんなにたくさんのコピーはできないので、ぱらぱら見るだけでしょうね。

追記2016/02/10:作ったばかりの画像リストを見ると、このハエ、以前MSWiさんからPygophora属だと教えていただいたものとよく似ています。「日本昆虫目録」に載っているPygophora属で本州にいそうなのは、シリモチとリュウキュウシリボソの2種です。だいぶ、種に近づきました。

さらに、ハナレメイエバエ亜科の属の検索表が「一寸のハエにも五分の大和魂・改」に載っていました。Pygophoraであれば、検索表の1→3→4と進んでいくはずです。1の「下前側板剛毛基部を結ぶ逆三角形」は横から撮っていないので残念ながら分かりません。次の3の「頭部の前額眼縁板の上方にある後向きの額眼縁剛毛は2対」は写真からでも判断できます。つまり、内向きの剛毛と内頭頂剛毛の間に2対の後ろ向き剛毛があります。さらに、4の第1項目の「中脛節は中ほどに2本の後背剛毛をもつ」は上の写真からすぐに分かります。第2項目の「単眼三角板は小型で,その前端は触角基部より遥か前方で終わり,前額帯の前縁には達しない」も単眼を含む三角板が短いのでその通りです。さらに「多くの種では雄の第5腹節背板の後縁は中央部で強く突出する」と書かれたカッコ書きの部分は上の写真で腹部の後ろ側に突き出しているものを指しているのかもしれません。ということで、途中からなのですが、雰囲気的にはPygophora属でよいみたいです。すると、シリモチとリュウキュウシリボソのどちらか。ここでストップです。上の写真は尻もちをついていますが、これは関係ないですね。MSWiさんが以前、「リュウキュウシリボソ・・・かもしれません」と言われたのがまさに当たっていたみたいです。さすがですね


ところでこのハエ、フラッシュをたいたら、びっくりしたみたいに腰が引けた写真が撮れました。



フラッシュ2発目はちょっと慣れた感じで、腰の引け具合が弱まりました。



そして、3発目ではもう大丈夫そうです。3回ぐらいで慣れるのですね。



最後は数ミリ程度の小型のガガンボがいました。ひょっとしてと思って、写真を拡大してみると、ぐにゃっと曲がったA1脈が見えます。この間から、シリアゲムシと比較するために翅基部の写真を撮ろうと思っていたガガンボダマシです。シメたと思って写真をもう一枚撮ってから捕まえようと思っていたら、ふわっと逃げてしまいました。どこかに止まっているだろうと思ってだいぶ探したのですが、結局、いませんでした。残念、残念。

廊下のむし探検 ハエばかり

廊下のむし探検 第814弾

久しぶりの「廊下のむし探検」です。フユシャクでもいないかなと探し回ったのですが、結局、いたのはハエばかり。しかも名前はどれも分からない。一応、ちょっとだけ採集してきたのですが・・・。



まずはユスリカ。歩き始めてすぐに見つかったので、今日はなかなか幸先いいなと思ったのですが、ちょっと小型だったので採集はしませんでした。でも、写真を見るとなかなか格好のよいユスリカでしたね。(追記2016/08/07:ツヤユスリカ属みたいですね



次はキモグリバエ。これは冬になるといつもいるのですが、今日は写すものがないかなと思って早めに撮りました。



次はたぶん、イエバエ科。ネットで探すと、皆さんイエバエ科の属やら種やら調べておられるので、私も調べてみたいなと思って、篠永哲、「日本のイエバエ科」を探してみたのですが、古本屋はどこも品切れ。近くの図書館では、兵庫県立図書館、追手門大学図書館、関西学院大学図書館あたりには置いてあるみたいですけど、どれもちょっと遠い。でも、一度見に行くかな。(追記2016/08/07;ハナレメイエバエ亜科Coenosiini族かな



これはよく見るクロバエ科。クロバエはどうやって調べていけばいいのだろう。



ヌカカと(追記2018/02/15:コメントをいただき、Forcipomyia属らしいことは分かりました。まだ、調べていないのですが、一応、そのように記録しておきます



それに、タマバエ。この2つは確か、検索ができたのではと思ったので、一応、採集してきました。でも、共に小さいですね。苦労しそう・・・。

アブの翅基部構造を調べる

この間から昆虫の翅基部の構造を勉強してみたいと思って、シリアゲムシについて調べてきました。翅脈についてはいろいろな本に載っているのですが、翅基部の構造となるとほとんどどの本にも書かれていません。それで、ちょっと手詰まりになっていました。昨日、MND(Manual of Nearctic Diptera)を見ていたら、アブの仲間のTabanus americanusの翅基部の図が出ていました。そこで早速、手元にあるアカウシアブの標本と比較してみることにしました。



これは翅の写真です。翅脈の名称は「原色昆虫大図鑑III」の方式を真似たつもりです。この写真の中で黄色の枠の部分をさらに拡大してみました。



翅の先端付近は翅脈が走っているだけですが、基部はずいぶん複雑です。翅にいろいろな塊がついていますが、これは骨片で、それぞれに名前がついています。MNDの図と比較しながら、名前を付けてみました。合っているのかどうかははなはだ怪しいのですけど・・・。1Axから4Axという記号で書かれた骨片は腋翅骨という和名が「大図鑑」に書かれていたので、それを採用しました。この1Axから4Axは翅を動かすのに重要な部分です。



さらに拡大したものがこの写真です。先程よりはよく見えるようになりました。黄色の破線は骨片が動くことで翅が折れる部分を想像して描いてみました。私が勝手に描いたので間違っているかもしれません。上下に走った破線はこの部分で翅が折れて羽ばたくことができることを意味します。3Axを含む部分は端覆弁と小翅片を動かす部分で、飛行機の翼のフラップに相当するのかなと思いました。

翅を羽ばたかせる仕組みについては次の論文に書かれています。

J. A. Miyan and A. W. Ewing, "How Diptera move their wings: A re-examination of the wing base articulation and muscle systems concerned with flight", Phil. Trans. R. Soc. Lond. B311, 271 (1985). (JSTORに登録すると読むことできます)

この中に模式図が描かれていたので、それを真似して描いてみました。



下の図を見ると、主要部分の構成が描かれています。PWPという胸から出ている突起に2Axという骨片が取り付き、これに翅が取り付けられています。一方、可動部分として1Axがあり、これが2Axを支点として回転し、これに取り付いたPSSが胸と結ばれていて胸部の厚みを変化させます。

翅が下に振り下ろされるときの仕組みを上の図に載せました。左から順に見ていきます。胸部には背腹筋と縦走筋という2種類の筋肉があります。この両者は拮抗的に働きます。翅が振り下ろされるときは、縦走筋が収縮し、それにより胸部から出たpost media notal process(PMNP)という突起が変形し、それが1Axを押し上げます。これで2Axが少し動き、翅が下向きに打ち下ろされます。ところが、翅にはRSというストッパーがついています。これがPWPの先端に当たるとこれ以上動くことができません。にも拘らず、さらにPMNPが変形すると、無理に1Axが上がるので、PWPの先端は押されて、翅がさらに下の方に振り下ろされます。この時は歪んだPWPの先端に弾性エネルギーが蓄積されることになります。縦走筋の収縮が終わると、先ほど貯められた弾性エネルギーを使って、翅は一気にもとに戻ります。それからは背腹筋の収縮により翅は振り上げられることになります。

アカウシアブの翅の裏にも本当にストッパーがついているのかどうか気になったので調べてみました。



翅の付け根の奥の方を見たものです。右側が翅、左側が胸になります。翅の裏面にはRSと書いた出っ張りが確かにありました。それに対して、PWPの先端も見えます。この2つが合うと翅の回転が抑えられることになるのですね。なるほどなぁと感心したのですが、よく見ると、PWPの先端が3つに分かれています。これが気になってさらに調べてみると、また面白い話に出会えました。これは次の論文に載っていました。

S. M. Walker, A. L. R. Thomas and G. K. Taylor, "Operation of the alula as an indicator of gear change in hoverflies", J. R. Soc. Interface 9, 1194 (2012). (ここからダウンロードできます)

なんと、この構造はギアの役目をしていて、どの凹みにRSが入るかで、ギアチェンジができるというのです。これは、Phau(1973)、Wisser(1988)、Nalbach(1989)らの論文などに書かれているのですが、ハエを固定しながら翅の動きを調べて見ると、PWPのギアを外れた状態(ニュートラルの状態)、1段、2段ギアの3つの選択ができて、それぞれで翅の開く角度が変化することが見られたそうです。面白いですね。ハエの羽ばたきにそんな微調整がなされているとは思ってもいませんでした。この写真をよく見ると、Rsにも出っ張りがあるのでそれも何か関係しているのかもしれません。

以上、どの話も私の理解が不十分なので間違っているかもしれません。話半分のつもりで見てください。

シリアゲムシの翅基部構造の続き

昆虫の翅の基部構造が少しずつ分かってきたのですが、これと飛翔との関係を調べようと思うと、本当に情報が少なくなってきます。昨日は、飛翔に関係する筋肉が伸び縮みすると、翅の基部の骨片が動き、それで「てこ」の働きで翅が動くという話をしました。

ハエについてはこの運動が比較的詳しく調べられていました。灯油一斗缶の蓋がペコペコ言って開いたり閉じたりするように、翅が上がった状態と下がった状態の間を急激に上下するというクリック機構が最近まで信じられていたのですが、その後、高速度カメラを使った撮影で否定されました。その結果、現在では翅が下がっていくと、翅にストッパーが取り付けられていて、それが胸から出ている突起にぶつかると動けなくなるので、それから先は弾性力で動くという説が有力になっているようです。ただし、これはハエでの話なのですが、先日から見ているシリアゲムシでもそんなストッパーや突起が見えるかなと思って、翅の裏側を調べてみました。



これは前翅の基部を裏側から撮ったものです。表側との対応をつけようと、表側から撮った写真を同じ向きにしてみました。



だいたいは対応がつくのですが、あまりはっきりとは分からないところもあります。先ほどのストッパーはradial stopと書いたところではないかと推理しました。それに白矢印で示した突起が当たると、翅はそれ以上に動かなくて、後は弾性力で下に行くのではと思いました。この翅の上下に関係する骨片が1Axと2Axと書いた部分で、2Axを支点として1Axが動くことにより羽ばたくということになっています。

後翅の方も裏側から見てみました。



これも表側と比較してみます。



何となく対応の付きそうな部分もあるのですが、各部の名前はよく分かりませんでした。先ほどのradial stopにあたるものも見えています。論文をだいぶ探したのですが、翅の裏側ともなると、情報が本当にありません。



ついでにキンバエの標本があったので、翅の基部のところの写真を撮ってみたのですが、まだ、何が何やらという状態です。

余談ですが、2月初めから近くの福祉施設のギャラリーを借りて写真展を開いています。鳥とか動物とかの写真ばかりなのですが、この間から作っていた手作り図鑑も展示しています。





こんな感じです。初めての写真展だったので、パネル展示のやり方をネットで調べてみました。いろいろとやってみたのですが、最終的には写真をA3マット紙で印刷し、7mm厚のノリパネに貼って、壁には「ひっつき虫」という粘土みたいな接着剤でくっつけることにしました。また、両面に紙を貼った7mm厚のスチロール板A2サイズも用意して、これに2枚のA3写真をスプレー糊で貼りました。これで準備万端のつもりだったのですが、ギャラリーが相当に乾燥していたのでしょうね。パネルを持ち込んで1時間も経たないうちに、ノリパネが猛烈に反り始めて、ひっつき虫がみな剥がれて大変なことになりました。現在はとりあえず写真の中央だけでくっついているという状態です。これから1ヶ月も展示するのですが、いったいどうなることやら。施設の中のギャラリーなので、見に来られる方はほとんどいないと思いますけど、私にとってはよい経験になりました。

シリアゲムシの翅基部構造の勉強

この間から翅脈の勉強をしてきたのですが、この際だから、翅基部の構造についても調べてみようと思って、勉強を始めました。特に、翅基部の構造と筋肉の関係を知りたいと思ったのですが、この部分は思ったよりも難しくて、まだ分からないことだらけです。

とりあえず、この間から使っているシリアゲムシの標本の翅基部を見てみました。



翅の基部を拡大してみます。



これは前翅の基部なのですが、この間から参考にしている三枝豊平氏の原稿に載っている図を参考に名前を付けてみました。

T. Saigusa, "A new interpretation of the wing venation of the order Diptera and its influence on the theory of the origin of the Diptera (Insecta: Homometabola)", 6th International Congress of Dipterogy, Fukuoka 2006. (ここからpdfがダウンロードできます)

略号の意味は間違って後翅の方に付けてしまったので、そちらを見てください。でも、これかなり怪しいです。また、それぞれが何を意味しているのかさっぱり分かりません。少し角度を変えて撮影してみました。(追記2016/02/03:とりあえず、Yoshizawa (2011)、Willkommen (2007)、Zhao (2014)などの論文を見ながら前翅の修正をしています。一応、直しましたが、まだまだ怪しいです。特に、3Axあたりがよく分かりません



翅の動きに重要なのは、1Axから3Axと書いた部分みたいです。Axはaxillary scleriteの略で、直訳すると腋窩骨片となります。構造と動きとの関係がよく分からないので、昆虫学の本を衝動買いで買ってしまいました。

R. F. Chapman, "The Insects - Structure and Function 5th Edition", Cambridge (2013).

でも、読んでもやはりはっきりとは分かりません。そこで、その本の中で引用されている論文を見てみました。

J. A. Miyan and A. W. Ewing, "How Diptera move their wings: A re-examination of the wing base articulation and muscle systems concerned with flight", Phil. Trans. R. Soc. Lond. B311, 271 (1985). (JSTORに登録するとオンラインで読むことができます)

この論文はハエ目の翅の動きに関するものなのですが、これらの骨片と翅の動きの関係がイラストで書かれているので、少しは分かりやすかったです。それによると、筋肉が伸びて胸部の盾板が膨らむとそれに連携した1Axが2Axを支点にして回転します。このとき、2Axに対して反対側にある翅も一緒に下側に回転します。ある程度回転すると、ストッパーがあってそれ以上は回転できなくなります。今度はそのストッパーが新たな支点となって弾性力でさらに回転するというものです。雰囲気は「てこ」のような感じです。一方、3Axには別系統の筋肉がつながっていて、やはり2Axを支点にして翅の後半を動かしているようです。(追記2016/02/03:ストッパーあたりの記述ですが、翅の下で胸部から突き出したpleural wing processという突起が支柱になり、これと翅に付いているradial stopというストッパーが接する点を支点として弾性力で無理に翅は回転させられるようです。ただし、これはハエ目についての話なので、シリアゲムシ目の場合はどうなのか分かりません。いずれにしても、今日は翅の裏側からの観察とハエの翅基部の観察をしてみますこの辺りの説明は絵がないと分かりにくいので、ここに描かれた図9.6の(b)から(d)を見るとよいと思います。この図を見ながら説明を書きました

追記2016/02/03:この辺りの話はハエの飛翔に対するclick mechanism(クリック機構;羽ばたきがなめらかではなくて、途中で力学的に無理な状態をクリッと通過するというモデル)と関係しているみたいですね。面白くなってきました)(追記2016/02/03:クリック機構について書いた論文を斜め読みしてみました。

A. J. Thomson and W. A. Thomson, "Dynamics of a bistable system: The click mechanism in Dipteran flight", Acta Biotheor. 26, 19 (1977).

クリック機構というのはBoettiger and Furshpanが1952年に出したモデルです。その仕組は上の論文の図を見ればすぐに分かりますが、ネットでは公開されていないので、雰囲気的には、昔使った灯油一斗缶の蓋をイメージすればよさそうです。蓋をあけるときは蓋の中心を押さえます。ペコっと言って蓋が開きます。蓋を締めるときは蓋の周囲を押します。するとまたペコっと言って、蓋が閉まる方向に変形します。つまり開けた状態と閉めた状態の2つの状態の間を推移するというモデルです。これが翅を上げた状態と、下ろした状態の2つの状態に対応していて、途中でペコっと変化するというモデルでした。

ただ、この機構は、その後に出されたMiyanらの論文で否定されたみたいです。

J. A. Miyan and A. W. Ewing, "Is the 'click mechanism' of Dipteran flight an artefact of CCl4 anaesthesia?", J. exp. Biol. 116, 313 (1985).

この論文は1952年のBoettigerらの実験がハエに四塩化炭素で麻酔をかけて行った実験なのでアーティファクトだと主張しています。根拠は翅の動きを高速度カメラで撮影して解析すると、クリック機構のように途中で急に変化するところがないことからです。さらに、翅を振り下ろす方がやや遅くて、翅を振り上げるときには最初速いことから、下ろすときに弾性力で無理に回転させた後の反跳で上向きの動きが最初速くなるということでした


その他、この図には翅の折れ目であるclaval furrowとjugal furrowを入れてみました。これらは翅を上げるときに翅を折って抵抗を少なくするのに使われているようです。ただ、jugal furrowについては次の写真に示すように前後翅の連携をスムーズにするように折り目があるのかなと思いました。







いずれも後翅の基部を拡大した写真ですが、少し角度を変えて撮っています。後翅の各部の名称については次の論文の図を参考にしました。

K. Yoshizawa, "Monophyletic Polyneoptera recovered by wing base structure", System. Entomol. 36, 377 (2011). (ここからダウンロードできます)

上の写真にfrenate couplingと書いてある部分がありますが、これは前翅後縁と後翅前縁に生えている毛を互いに交差するように生やして、前後翅を連結させる仕組みだそうです。これは先程の本に載っていて、原始的な連結方式だとしてやはりシリアゲムシ目の例が載っていました。frenateはfrenulumの形容詞で、リーダース英和辞典には抱刺(だきとげ)という訳がついていました。蛾などの前翅、後翅の連翅装置の意味だそうです。その他、前翅と同じように1Axから3Axまでの骨片があります。おそらく、前翅と同じような筋肉が連結しているのではと思いますが、後翅については書かれていなかったので、よく分かりません。

ちょっと怪しい話が多かったのですが、今日はここまでです。

廊下のむし探検 ハエ、クモなど

廊下のむし探検 第813弾

最近はガガンボの翅脈ばかり見ていて、ちっとも「廊下のむし探検」をやってませんね。これは昨日の結果です。といっても、今頃いるのはハエばかり。



これはタマバエの仲間ですね。何となく見覚えがあります。以前、写真を使って検索した種と似ています。この時は、Lestremiinae亜科Campylomyzini族のCampylomyza属かなというところまで達しました。今回も採集をしなかったのでそれ以上は分かりません。今度、採集してこよう。



これもタマバエ科みたいです。でも、先ほどのより脚が長い感じ。また、別の種なのかな。



フラッシュをたいたら、びっくりしてこんな格好になりました。お陰で、胸部側面がよく見えます。中副基節の剛毛列が覆弁に隠れて見えないのですが、何となくないみたいです。Cu融合脈が翅縁に達していない感じ。A1脈が曲がっているのか、真っ直ぐなのかは微妙ですが、たぶん、イエバエ科でしょうね。



これは昨年の4月に見ていました。その時は採集して、一応、イエバエ科だとしていました。今回も採集したので、どうなるでしょう。



キモグリバエ科は今でもたくさんいます。このハエは小さいのですが、蟹みたいに横歩きをするのですぐに分かります。



後はユスリカです。これはさっぱり分かりませんね。





ナミテントウはちょこちょこ見かけます。



最後のこのクモも実は今年の1月初めに見ていました。その時はコガネグモ類の幼体だろうということになったのですが、どうでしょうね。体長を測ってみると4.2mmでした。かなり小さいですね。
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