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ガガンボの翅脈の続き

冬の間、虫がほとんどいないので、この間からハエ目の翅脈の勉強をしています。今日は先日出したガガンボの翅脈の続きです。

過去の論文や本を見ているとハエ目の翅脈の話にガガンボはよく登場します。そこで、これまでガガンボの翅脈でどの部分が問題になってきたのかをまとめてみました。



これは私の標本箱の中にあった古いガガンボの標本です。翅脈の名称は「日本産水生昆虫」を参考にしてつけました。これまでガガンボの翅脈の帰属について問題になったのは、①から③の部分です。①についてはこの間も紹介しました。これは最終的にはハエ目の近縁であるシリアゲムシ目とこのシリアゲムシの翅脈にもっとも近い翅脈をもつハエ目のガガンボダマシを比較するのがよいのですが、手元にガガンボダマシの標本がないので、今度、捕まえた時に調べてみることにします。

ただ、vena spuria(擬脈)と書いた「脈」が翅脈なのか擬脈なのかを論じた三枝豊平氏の原稿

T. Saigusa, "A new interpretation of the wing venation of the order Diptera and its influence on the theory of the origin of the Diptera (Insecta: Homometabola)", 6th International Congress of Dipterogy, Fukuoka 2006. (ここからpdfがダウンロードできます)

を読むと、1964年にRohdendorfという人が偏光を用いてこの脈を調べ、他の脈と光学的に異なった性質を持っていると書かれていたので、面白いなと思って調べてみました。



翅の基部に近いところの写真です。矢印で示したのが、問題の「脈」です。



この写真は問題の「脈」の走る向きに対して斜め45度方向に向けた直線偏光板を実体顕微鏡の試料ステージの上に置き、その上に小さなペフ板に針で刺したガガンボの標本、さらに、対物レンズのすぐ下に、先ほどとは90度向きを変えた別の直線偏光板をおきます。そして、透過照明にして撮影したものです。光学的に等方な物質(向きによって性質の変わらない物質)ですと真っ黒になるはずなのですが、向きによって性質の異なる(異方性)物質があると光が通るようになります。この写真では、翅脈はいずれも少し明るくなっているので、多少とも異方性があることが分かります。さて、問題の「脈」は白く浮き出ているので、強い異方性を持っていることが分かります。たぶん、高分子のような細長い繊維状の分子が「脈」に沿って並んでいるのではないかと思います。ちょっと試してみただけなのですが、結構、面白い結果になりました。


次は②の脈についてです。この脈は昔からM4脈と呼ばれたり、この写真のようにCuA1脈と呼ばれたり、M4+CuA1脈と呼ばれたりしていた問題の脈です。この写真はMND(Manual of Nearctic Diptera)Vol. 1のガガンボ科のところに載っていた図を参考にして名称をつけたものです。問題となるのはCuA1と書いた2箇所です。「日本産水生昆虫」の図に準じて書くと次のようになります。



つまりm-cuと書いた脈をCuA脈の分枝としてみるか、それともM脈とCuA脈の間の横脈として見るかという点にかかっています。これに関しては三枝氏の原稿にも載っていますが、次の論文でも議論されていました。

G. W. Byers, "Homologies in wing venation of primitive Diptera and Mecoptera", Proc. Entomol. Soc. Wash. 91, 497 (1989). (ここからダウンロードできます)

そもそもなぜこれが問題になるかというと、通常M脈は凹脈(翅には細かい折り目のようなものがあるのですが、その凹んだ部分にある脈)なのですが、この脈だけが凸脈であり、CuA脈は一般に凸脈なのでM脈ではなく、CuA脈だという主張と、CuA脈は末端でしばしば分岐することがあるから、これもその分岐の一つと考えたらよいというのがCuA脈派の主張です。これに対して、Byersは次のような点を検討しました。

1)気管の分岐と比較
2)脈上の刺毛
3)脈の凹凸
4)シリアゲムシ目との比較

1)は発生の途中で気管が翅脈の中をどのように走るかを調べて帰属を行おうとするものです。調べてみると、CuA脈の中を走る気管は問題の場所で特に分岐することなしに真っ直ぐ走ったとのことで、m-cuと書かれた脈が横脈だということを裏付けました。また、M脈やCuA脈の上には刺毛列があるのですが、m-cuと書いた脈の上にはありません。これもCuAやM脈とは性質の異なる脈であることを裏付けます。次は脈の凹凸に関するものです。問題の脈は凸脈で、それ以外のM脈は凹脈のようですが、R脈についても同じことが見られるようです。つまり、末端にあるR5またはR4+5脈がしばしば凸脈になるそうです。従って、これは翅脈の性質というよりは単なる(翅の強度を増そうとする)構造上の問題でそうなったのではないかと考えました。さらに、シリアゲムシ目ではこの脈をM4脈としていて、なおかつ凸脈だということで、彼はM4脈説を支持しました。

実際に観察してみると、脈上の刺毛列は確かにm-cuと書いた脈上にはありません(上の写真でもよく見ると脈上の刺毛列を確かめることができます)。また、翅の端では脈の凹凸があまりはっきりしていなくて、M4脈と書いた脈が凸で、他のM脈が凹だとあまり明確には言えないようです。というので、私もM4脈でよいのではと思いました。

最後はSc脈辺りの話です。



この写真で問題になるのはSc2と書かれた部分です。ガガンボの種類によってSc脈はC脈に合流するものと、R1脈に合流するもの、その両方に合流するものがあります。それで、古くからC脈に合流するものをSc1、R1脈に合流するものをSc2と書く習慣がありました。この写真の翅脈の名称はMNDのガガンボ科の節に載っていたものを参考にしてつけたのですが、Sc2脈はR1脈に合流した後、再び現れて最終的にC脈に合流しています。その影響でR脈の名前が少しずつずれて書かれています。



こちらは「日本産水生昆虫」に載っていた図を参考につけたのですが、そんなややこしいことをしないで、単純な名前が付けられています。それでは次のような場合はどうするかというので、マダラガガンボの例を載せます。



これはマダラガガンボの翅です。問題の部分を拡大すると次のようになります。



Sc脈は最後の部分で分岐し、一つはC脈に、もう一つはR1脈に合流しています。これをMNDのガガンボ科に書かれている流儀で書くとこの上の写真のようになります。すなわち、Sc1とSc2に分岐するというわけです。上のガガンボではこのSc1がなかったので、Sc2だけになっていたのです。これについても、「日本産水生昆虫」流では、



たぶん、このように名前が付けられているのではないかと思います。つまり、R1脈に合流する部分をsc-r横脈とするのです。「たぶん」と書いたのは、横脈の方が太くて長いので、これでいいのかなと思ったからです。これについて書かれた論文はあまりないのですが、MNDのMcAlpineが書いた節には注釈として、分類学的にそれほど重要ではないので、Sc2は除いて考えてもよいのではないかと書かれていました。

はっきりしない部分もあるのですが、これだけ調べると、ガガンボの翅脈も少し分かったような気がします。何分にも素人が勉強のつもりでやっているので怪しいなと思って読んでいただけたら幸いです。
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ガガンボの翅脈

先日から、三枝豊平氏が書かれたハエ目の翅脈の原稿を勉強してみようと頑張っています。

T. Saigusa, "A new interpretation of the wing venation of the order Diptera and its influence on the theory of the origin of the Diptera (Insecta: Homometabola)", 6th International Congress of Dipterogy, Fukuoka 2006. (ここからpdfがダウンロードできます)

この原稿はシリアゲムシ目のガガンボモドキ Bittacus sp. とハエ目のガガンボダマシ Trichocera sp.の相同性から、これまでハエ目で用いられてきた翅脈の呼び名が間違っていることを主張したものです。先日、シリアゲムシの翅脈の勉強をしたので、今度はハエ目のガガンボの翅脈を見ようと思って写真を撮ってみました。

なぜハエを調べるのにシリアゲムシなのかが不思議だったのですが、この両者は近縁なのですね。最近、こんな論文がでていました。

B. Misof et al., "Phylogenomics Resolves the Timing and Pattern of Insect Evolution", Science 346, 763 (2014).

この論文はネットでは公開されていないのですが、100名ほどの共同研究で、日本人研究者も含まれていたため、報道関係者への資料が載せられていました。論文の内容はゲノム情報で昆虫の高次系統関係を調べたものですが、この中でハエ目とシリアゲムシ目は今から2億4000万年前の三畳紀に分かれた兄弟関係にあることが書かれていました。

そこで、私の標本箱を覗いてみたのですが、ガガンボダマシの標本はありません。それで、ガガンボならどれも同じかなと思ってガガンボの標本写真を撮ってみました。



検索表で調べてみると、Tipula属であることは間違いなさそうです。それにしても随分簡単な翅脈です。これと先日撮ったホソマダラシリアゲの翅とを比べてみました。



こちらはだいぶ複雑です。どうやらガガンボモドキの翅脈はシリアゲムシと似ているのですが、ガガンボ科では翅脈がだいぶ簡略化されているようです。三枝氏の原稿では次の7項目で比較していくことになっています。

1)翅脈の幾何学的な類似
2)翅脈の凹凸
3)臀脈の位置に関するもの
4)claval furrowの位置と翅脈の関係
5)翅基骨片群との結合関係
6)気管と翅脈との関係
7)翅脈の構造

この最初の項目で引っかかってしまいました。

仕方なく、もう一つの論文

R. J. Wootton and A. R. Ennos, "The implications of function on the origin and homologies of the dipterous wing", Systematic Entomology 14, 507 (1989).

を読んでみることにしました。なかなかしっかりした主張を持った論文で、読んでいて面白かったです。翅脈に関しては、素人の目から見ると三枝氏の主張と同じに見えました。そこで、少しこの論文に沿って調べてみることにしました。

これまでに報告されたガガンボの翅脈の名称をざっと見ていきます。



これはTillyardが1919年に出したガガンボ科の翅脈です(ここからダウンロードできます)。後で問題となってくるのはCu2と書かれた部分です。



こちらはRoyal Entomological Society of Londonが1950年に出したHandbooks for the Identification of British Insectsに載せられていた名称を使って名前を付けてみました。Tillyardとまったく同じ方式で付けられています。



これはいつものMND(Manual of Nearctic Diptera)に載っている図を参考にしてつけました。太字の→で書かれているところが一つ前の図との違いです。この図でははっきりとは書かれていませんが、CuA2の次がA1になっているので、その間にCuPという脈のあることを示唆しています。Cu2とCuPの違いがありますが、基本的にはTillyardと同じで、CuA2のすぐ下にある「脈」をCuPとしているのでしょう。Sc2とR1+2あたりの違いは次の図のところで触れます。



これは「日本産水生昆虫」に載っていたもので、三枝氏の解釈に従っていると思われます。太字の→が随分増えました。先のMNDが世界的に普及している名称だとすると、日本で用いられている名称がいかに違うかよく分かると思います。R脈については以前のブログでも触れましたが、基本的にはTillyardの名称に戻っている感じです。Tillyardとの決定的な違いはTillyardがCu2としたものを翅脈とはみなしていないところです。従って、A1脈がCuP脈に、A2脈がA1脈に変わっています。また、MNDでCuA1脈とされていた脈がM4脈に戻っています。

先にあげたWoottonらの論文ではいくつかの根拠を挙げて議論しています。その結果は次の図でまとめられます。



問題となっているのはvena spuria(擬脈)?としているものです。この部分を顕微鏡で見ると、体液の通りうる脈ではなくて鋭く凹んで硬化しているだけに見えます。

ガガンボの翅ではC脈とSc脈は太いh脈(肩脈)で強固に結合し、これが翅の前側の骨格として役立っています。さらに、R脈もh脈とほぼ一直線につながり、その下のarculusというクチクラの塊と結合しています。一方、CuAとCuPもしっかりした脈で翅の後半部分の骨格になります。さらに、CuPの後ろ側にはclaval furrowという折り目があり、この部分で翅が折れるようになっています。その下には強固なA1脈が配置されています。これに対して、RとCu脈の間にあるRの分枝やM脈は細い脈で柔らかい翅の部分を作り上げています。擬脈がCu2あるいはCuP脈でないという一つの根拠はこの翅全体の骨格の配置を考えたものです。つまり、CuPのすぐ後ろにはclaval furrowがないといけないのです。この議論の続きはガガンボダマシの標本が見つかってからまた続けたいと思います。

Woottonの論文は翅の働きに注目して書かれていました。ちょっと面白いのでそのさわりを紹介します。Woottonが考えた、このような翅の構成は凧の骨格と紙の部分のような感じがします。でも、凧と違って昆虫の翅は羽ばたかなければいけません。従って、翅を下に振り下ろすときは翅を広く張って、上に振り上げるときは抵抗を小さくするために翅を折る必要があります。その折り目の一つがclaval furrowです。ハエ目の翅には普通、claval furrowの他に、jugal furrow、それにR脈とM脈の間の折り目、それから翅を横に折る折り目の4つがあります。一般に速く羽ばたくときにはclaval furrowとR-M折り目を使って翅をZ型にして翅を振り上げるのですが、ガガンボのように遅く羽ばたくものは横の折り目が使われるとのことです。そこで、横の折り目を調べてみます。



破線で示したところは翅脈が細くなって折れやすい感じがしました。先ほどのclaval furrowと合わせると次のようになります。



この2つの折り目を使ってどうやって翅を折りながら羽ばたくのかはちょっと分かりませんが、翅脈を考えるときに面白い観点だなと思いました。今日はここまでにしておきます。

廊下のむし探検 ハチ、ハエ・・・

廊下のむし探検 第812弾

1月24日と27日の「廊下のむし探検」の結果です。こんな寒い時には何もいないのですが、習慣になって歩いています。



ちょっと変わったところではこんな虫がいました。大きさは2mm程度の小さな虫です。撮影した時はなんだか分からなかったのですが、拡大してみると意外に格好のいい虫です。触角が長くて節が多いので、たぶん、ハチでしょうね。翅の形が変わっているのと脈も変わっているので、タマバチ、○○クロバチあたりの画像検索をしてみたのですが、見つかりませんでした。さて、何でしょうね。





後は大きめのハエが止まっていました。金属光沢があるのでクロバエ科かなぁと思うのですが、如何にもハエなので採集する気もおきません。







やや小型のハエならちょこちょこいます。これもたぶん、クロバエ科かな。



いつもはたくさんいるクサギカメムシもこの時期になるとあまり見なくなります。



これも小さいのですが、ザトウムシの幼体でしょうね。



体に白い毛が生えた、このクモはこれまでも何回か見ているのですが、名前が分かりません。2日間でこれだけでした。今は虫の名前調べはいい加減で、翅脈の勉強に時間を取られています。

シリアゲムシの翅脈

昨日、カゲロウの翅脈を調べてみて、初めて上に凸の翅脈と下に凸の翅脈の意味が分かりました。以前、三枝豊平氏の翅脈の原稿

T. Saigusa, "A new interpretation of the wing venation of the order Diptera and its influence on the theory of the origin of the Diptera (Insecta: Homometabola)", 6th International Congress of Dipterogy, Fukuoka 2006. (ここからpdfがダウンロードできます)

を読んで、concave veinとconvex veinの意味が分からなくて止まっていました。今回、上に凸と下に凸というのがその意味だということが分かったので、もう一度読み直すことにしました。

そもそも、なぜこんなに翅脈にこだわっているかというと、「原色昆虫大図鑑III」のハエ目の翅脈はこの三枝氏の意見を取り入れて書かれています。一方、外国で出された本や論文では従来の解釈に従って書かれています。翅脈の名称は検索をするときに必ず出てくるので、そのためいつも混乱してしまいます。三枝氏の解釈は緻密な議論のもとになされているのですが、国内だけで認められているのなら、「ガラパゴス翅脈」になりかねません。この原稿は国際会議の口頭発表でなされたものですが、論文にされていないのが残念です。しかし、論文でないにも関わらず、36件もの引用があるので、破格の扱いをされていることも事実です。そこで、外国で出された本や論文でこの解釈がどう判断されているのかを調べてみました。

その結果、次の本の原稿を見つけました。

J. M. Cumming and D. M. Wood, "Adult Morphology and Terminology", in "Manual of Afrotropical Diptera", the Publications Unit of the South African National Biodiversity Institute (2015?). (ここからダウンロードできます)

発行年は分からないのですが、とにかく新しい本です(追記2016/01/27:Manual of Afrotropical DipteraのVol. 1は2016年、Vol. 2は2018年発行予定のようです)。この中で、著者は従来までの解釈と三枝氏らの解釈を並記し、この本では三枝氏の方を標準として用いると書いていました。従って、十分に世界的に認められていることも分かりました。このとき三枝氏の原稿と同時に引用されていたのが、次の論文です。

R. J. Wootton and A. R. Ennos, "The implications of function on the origin and homologies of the dipterous wing", Systematic Entomology 14, 507 (1989).

この論文も読んでみたいと思ったのですが、残念ながらネットでは手に入りません。それで、Academia eduに一時的に登録して著者に別刷り請求をしてみました。すると、先ほどpdfが送られてきました。こんなに便利なら、登録しておいてもよいかもしれません。

さて、三枝氏の原稿ではシリアゲムシ目のガガンボモドキ Bittacus sp. とハエ目のガガンボダマシ Trichocera sp.との翅脈の相同性から論議をしています。Woottonらの論文もやはりシリアゲムシ目とハエ目の翅脈の相同性を使って調べていました。そこで、今日はまずシリアゲムシの翅脈を調べて、難解な三枝氏の解釈を少しでも理解できるようにしてみたいなと思いました。



古い標本箱を見てみるとうまい具合にシリアゲムシの標本がありました。



これはヤマトシリアゲの標本です。三枝氏の原稿の図を参考にしながら、翅脈に名称を付けてみました。ガガンボモドキ Bittacus属とシリアゲムシPenorpa属では翅脈が少し違っていたのですが、大体はうまく付けられました。ついでに上に凸、下に凸を+と-で表してみました。Bittacus属では途中でM脈とCuA脈が融合しているのですが、Penorpa属では横脈で結合されています。それを除くとだいたい合っているようです。(追記2016/01/27:後で次の論文、

G. W. Byers, "Homologies in wing venation of primitive Diptera and Mecoptera", Proc. Entomol. Soc. Wash. 91, 497 (1989). (ここからダウンロードできます)

を読んでいたら、どうやら+とーの付け方が違っているようなので、もう一度標本を見直してみました。やはり論文に書いてある通りで、Sc(+)→Sc(-)だったので訂正しました。ついでに後で出てくる翅の折り目であるclaval furrowとjugal furrowを書き加えました
翅の折り目にはあと2つあるようですが、場所は種類によって変化するそうです。一つは径脈と中脈にある縦の折れ目、それにもう一つは翅を横断する横の折り目です。これらは翅を折りたたむときに使われるほか、おそらく飛翔の時にも抵抗を少なくするのに役立っているのではとWhat-When-Howというサイトに書かれていました





ホソマダラシリアゲだと思われる標本でも調べてみました。翅脈はヤマトシリアゲとほとんど同じです。Cu(-)が途中でCuA(+)に変化したりして、よく見ると面白いですが、まだ、これから何を読み取ればよいのかは分かりません。明日はガガンボの翅脈を調べて、これらと比較してみようかなと思っています。(追記2016/01/27:上にかいた通りで、Sc(+)→Sc(-)、M(+)→M(-)に訂正しました。こちらも翅の折り目であるclaval furrowとjugal furrowを書き加えました

カゲロウの翅脈比べ

今朝は家の周りで-8度まで下がりました。とても廊下を歩く気分になれません。それで、昨日の続きでカゲロウを少し調べてみました。



20年ほど前に片端から作った標本がいくつかあるのでその翅脈を調べることにしました。翅脈の名称は昨日と同じで、下の本を参考にしました。

N. Kluge, "The phylogenetic system of Ephemeroptera", Kluwer Academic Publishers (2004). (ここからダウンロードできます)

この本では翅脈に(+)とか(ー)とかの記号がついています。初め何のことか分からなかったのですが、図を見ると、上に凸になっている翅脈、下に凸になっている翅脈の意味でした。



翅を斜めからみると、確かに上に凸になっている翅脈と下に凸になっている翅脈が交互に並んでいます。これに+と-の記号を付けてみました。どうやら違う科でも、+とかーは一致するようで、翅脈の名前をつけるときにちょっと便利です。



翅の基部を拡大したものです。翅脈の名称に先ほどの+とかーの記号を付けてみました。これはモンカゲロウ科ですが、この科の特徴はMP2が根元で大きく曲がっている点です。これを、「日本産水生昆虫」の検索表では、「前翅のMP2は基部近くで大きく湾曲し、その後基部でMP1に接近または接するか、あるいは基部近くでCuAに癒合し、その後、CuAが湾曲し基部でMP1に接近あるいは接する。」と大変複雑に書いてあります。翅縁の方から基部に向かってMP2を追いかけていくと、確かにMP2は基部近くで大きく湾曲し、その後、基部でMP1に接しているようです。



同じようにMP2が湾曲する科としてカワカゲロウ科があります。これはMP2が基部近くでCuAに癒合し、その後、CuAが湾曲してMP1に接近しているので、検索表で書いてある内容の後者の方になります。



こちらはチラカゲロウ科ですが、MP2は湾曲していません。これは検索表で、「MP2およびCuAは基部近くで大きく湾曲しない。」というのに該当します。





オオマダラカゲロウもナミヒラタカゲロウも先ほどのような湾曲が見られません。これらの写真でAA脈がどれを指すのかだんだんわからなくなったので下の写真では書き込んでいません。



最後はコカゲロウ科のフタバカゲロウですが、この種の特徴は後翅がないことです。

こうやっていろいろと比べてみるとなかなか面白いですね。やはり標本を作っておくというのは有用だということが分かりました。

カゲロウ目をまとめてみる

最近、マンションの廊下を歩いてもさっぱり虫を見かけません。それもそのはずで、今日は昼間でも氷点下。ちょっと歩いてみたのですが、何もいないので、仕方なく家でこの間からやっている図鑑づくりの続きをしました。今日はカゲロウ目の初めの部分です。

まずは分類からです。




            
これは次の論文によるものです。

石綿 進一、竹門 康弘、「日本産カゲロウ類の和名‐チェックリストおよび学名についてのノート‐:チェックリストおよび学名についてのノート」陸水学雑誌 66, 11 (2005). (ここからダウンロードできます)

この論文では日本産カゲロウ目13科、39属、142種について分類を検討し、和名をつけたという内容です。( )内は各属に含まれる種数です。100種ちょっとだと何となく親しみがもてて良いですね。

次はカゲロウの構造についてなのですが、以前、「虫を調べる」で出したシリナガマダラカゲロウの写真を載せました。



頭部と前脚と♂の腹部末端の写真です。まだ、各部の細かい名称が分からないので、写真だけになっています。



次は翅脈です。前翅と後翅の翅脈の写真ですが、実はこれにほとほと困ってしまいました。以前は次の論文に従って名前をつけていました。

御勢久右衛門、「日本産カゲロウ類① 概説」、海洋と生物 1、38 (1979).

ところが、「日本産水生昆虫」や「原色昆虫大図鑑III」を見ると、翅脈の名称が少し違っているようです。ただ、この2つの本とも部分的に名前が付けられているだけで、完全にはついていません。それで、ネットで論文や本を探し回ったのですが、完全に翅脈の名前が付けられた文献が見つかりません。最後にやっとロシアのKluge氏のホームページを見つけ、そこに書いてあるやり方で名前をつけてみました。詳しくは次の本に載っています。

N. Kluge, "The phylogenetic system of Ephemeroptera", Kluwer Academic Publishers (2004). (ここからダウンロードできます)

若干、普通に用いている翅脈の名称とは違うのですが、MAとかMPのAとPはanteriorとposteriorの略で中脈MにAとPをつけたものだと思います。

ところで、カゲロウ目の科の検索は翅脈と後肢跗節に関する項目ばかりです。でも、撮影した写真を見ても、翅脈が細かすぎてほとんど見えません。また、跗節も微妙で相当に注意して撮らないと見えません。それで、何とかもう少し簡単にならないかと思って工夫してみました。



まだ、科までは分かれないのですが、それでもこれで大体の雰囲気が分かるようになりました。マスの横軸は尾毛の数が2本か3本かで、これは写真ですぐに分かります。縦軸は♂の複眼に関するもので、ターバン眼のように上向きの複眼と周りを見る複眼に分かれるものを「上下分離」、複眼が大きくて左右の複眼が接するかほとんど接するようになっているものを左右接近としてマスに分けてみました。そうしたら、いくつかのマスに分けられました。これ以上分けようと思うと、特徴のあるものはそれで分けられますが、それ以外は翅脈を見ないといけないので、結局、同じことになります。でも、過去の写真を見ながら判断してみると、意外に役に立つことが分かりました。まだ、♂しか分からないし、分け方も不十分なのでもう少し頑張らないといけないのですが・・・。

廊下のむし探検 ユスリカほか

廊下のむし探検 第811弾

最近は廊下を歩いてもさっぱり虫がいなくなりました。冬だから仕方ないでしょうね。それでも、いないということもまた、データかなと思って歩いています。昨日の結果です。



ユスリカがいました。前だったら、セスジユスリカとか何とか言っていたのですが、せっかく「図説日本のユスリカ」を買ったので、一度調べてみようかと思いました。採集する道具を持っていなかったので、家に戻って捕まえに行ったらもういなくなってしまいました。残念!

それでまた写真判定するしかないのですが、いつも最初のところでつまづいてしまいます。



初めに亜科の検索が①から③です。ユスリカの翅脈の名称についてはいろいろな議論があることを以前紹介しました。これは「図説日本のユスリカ」に載っていた名称を載せています。まず①はこの場所にあるはずのm-cu横脈がないことです。ここにこの横脈がないために、翅脈のM1+2とM3+4がつながっていなくて、変な感じを受けます。②はR2+3脈があることですでこれはすぐに分かります。③は第1跗節が脛節よりも長いことです。これでユスリカ亜科になります。

「図説日本のユスリカ」には属への検索表が載っていないので、「日本産水生昆虫」を見ることになります。④は属への検索の第一歩ですが、径中横脈はr-m横脈のことで、R4+5脈と角をなしているかどうかです。矢印で示した部分が角をなしているのでユスリカ族になります。でも、ここでいつも止まってしまいます。やはり採集しないと無理みたいです。

属への検索表は全部で47項目もあるのでとにかく大変です。もし、セスジユスリカだったら、こうして検索してユスリカ属にたどり着き、さらに「図説日本のユスリカ」に載っている種の検索表で16項目を確かめてやっと到達することになります。でも、検索項目を読んでも理解できないことが多いので、ユスリカの検索はレベルがかなり高そうです。



これはイエバエかな。



そして、ナミテントウでした。

今日は、自分用の手作り図鑑でトビケラ目とカゲロウ目の部分を作ってみました。チャタテは百数十種で、翅脈と跗節である程度は分類することができたのですが、トビケラは500種以上もいて小顎肢の特徴がかなり多く含まれるので写真判定がかなり難しそうです。やはり、採集必須かも。カゲロウは百数十種で、尾の本数、♂の複眼の形態である程度分けることができました。尾と複眼ならば写真でも判定可能かなと思います。まとめた結果はまた今度紹介します。

廊下のむし探検 チャタテの分類をちょっとだけ

廊下のむし探検 第810弾

毎日毎日寒くなってきましたね。最近は廊下を歩いてもほとんど虫がいなくなってしまい、どうもモーティベーションが上がりません。昨日も一応歩いたのですが、ほとんどいませんでした。



ナミテントウも寒そうに頭を穴の中に突っ込んでいました。



ムラサキナガカメムシもこんな格好でじっとしていました。



ハエもほとんどいませんね。それでも、一応、撮ったので翅脈を調べてみました。



ポイントになる中胸副基節の剛毛列が見えないのですが、検索表に載っている次のような翅脈の特徴からイエバエ科かなと思いました。

M1脈は途中で前方に強く屈曲しない
Cu融合脈(CuA+CuP脈)は翅縁に達しない
A1脈は直線状で、その仮想延長部はCu融合脈の仮想延長部を横切らずに翅縁方向を向く

ここから先も進んでみたいですね。



天井に止まっていました。いつものように顔のアップができないのですが、触角が短い、緑色が濃い、黄色の正中線が走るなどから、いつものスズキクサカゲロウだと思います。

最近は自分用の図鑑づくりに時間を潰しています。いまは、チャタテムシをまとめているところです。今日はこんなページを作ってみました。




注にも書いてありますが、これは吉澤氏のチェックリストに和名を加えたものです。( )内には各属に属する日本産の種数を入れました。



次は頭部の構造と翅脈のポイントになる部分を書いたものです。頭部の各部の名称は「原色昆虫大図鑑」を見ながら書き入れました。違っているかもしれません。



最後は、上のチェックリストを見ながら富田氏の検索表を書き直したもので、簡単に科の検索ができればよいなと思って作ってみました。まだ、完成していないのですが、できるだけ顕微鏡で調べなくても、生態写真で分かる範囲で科が分かるとよいと思って試行錯誤しています。「爪の歯」が生態写真ではほとんど分からないので何とかこれを除いたものを作りたいなと思っているのですが、結構、難しいです。(追記2016/01/22:次の論文にいくつかの属の主要形質をまとめたものが見つかりました。

K. Yoshizawa, "Phylogeny and higher classification of suborder Psocomorpha (Insecta: Psocodea: ‘Psocoptera')", Zoological Journal of the Linnean Society 136, 371 (2002). (ここからpdfがダウンロードできます)

この論文はチャタテ下目の上位分類を調べようと、いろいろな形質をマトリックス形式にまとめて
分岐解析を行うという内容です。その中でここで用いた後小室、跗節、爪の3つの形質について拾ってみると、ほぼ昨日出したものと一致しましたが、若干の違いもありました。一つはKodamaius属がホソチャタテ科からケブカチャタテ科に移ったために残った部分。さらに、Elipsocidae科は跗節3節のものもあったので追加しました。また、ヒメチャタテ科で跗節3節の属もあるみたいなのですが、日本産に限るとこのままでよいのかも。跗節が2節で後小室が遊離のところにその他大勢が入ってきていて、この部分をどうするかが問題です

廊下のむし探検 ハエとクモ

廊下のむし探検 第809弾

今時分、廊下を歩いてみても虫なんかいませんよね。いるのはハエばかり。そう思ったのですが、昨日、一応歩いてみました。でも、やはりハエとクモばかりでした。ハエもクモもよほど特徴的でないと名前が分かりません。ちょっとモーティベーションが下がりますね。



どうせ名前はわからないだろうなと思いながら、何もいないとついハエを写してしまいます。これは何でしょうね。



それにツマグロキンバエ



たぶん、クロバネキノコバエだろうなとは思うのですが、両側の複眼が接しているのかどうかを写そうと何度やっても頭にピントが合いません。手持ちでオートフォーカスだと仕方がないのかなぁと思いながら、今日はオートフォーカスの仕組みを少し勉強しました。コントラストAFとか、位相差AFとか、アクティブAFとか・・・。今度、また実験をしてみようかな。



ハエ以外ではムラサキナガカメムシ。後はクモばかり。



シロカネイソウロウグモ。綺麗なクモですね。どうやって銀色に光るのだろう。



今頃いっぱいいるのはネコハグモ



これは何だろう。「日本のクモ」を2回も見直したのですが、分かりませんでした。クモはいつも分かりませんね。(追記2016/01/29:MSWiさんから、「最後のはユノハマサラグモ的な雰囲気ですね。亜成体とかそんなんでしょう、多分。」というコメントをいただきました。ユノハマサラグモというのは初めて聞く名前です。「日本のクモ」を見てみても似ているような似ていないような。これから先、どうやって調べたら良いのやら

廊下のむし探検 ヒラタアブなど

廊下のむし探検 第808弾

最近、虫の検索ばかりしていたら、廊下で見つけた虫の名前調べが滞っていました。といっても、1月中旬なんでほとんどいないのですが・・・。一昨日と昨日の分をまとめて出します。

この時期、廊下の壁にヒラタアブの仲間がじっと止まっている姿を時々見ます。





上は何となく見覚えがあります。以前、結構苦労して調べたケヒラタアブに似ている感じです。これは一応採集しました。下は外出のときに見たもので、どうせ同じだろうと思ってあまり注目しなかったのですが、よく見ると上とは違っていました。複眼に毛がいっぱい生えています。以前撮った写真と比べてみると、クロヒラタアブが似ている感じです。



ハナアブを出したついでにハエの仲間を出します。これはいつもいるツマグロキンバエでしょうね。



これは何だろう。翅脈を見ると、M1脈がぐにゃっとは曲がっていなくて、Cu融合脈は翅縁に達していない、A1脈の延長線がCu融合脈の延長線を横切らないという翅脈の特徴からはイエバエみたいですが・・・。



そして小さなノミバエです。でも、こういう向きから撮ったら駄目だったんですね。後脛節の刺毛列が見えるように撮らなければ・・・。



後はマツヘリカメムシ



マエアカスカシノメイガ。本当に一年中いますね。(追記2016/01/29:MSWiさんから、「マエアカは本当に今さっき羽化してきましたって感じのピカピカな奴ですね。こうして見ると結構綺麗で侮れない蛾。」というコメントをいただきました



それに何だか分からない小さなクモ。(追記2016/01/29:MSWiさんから、「クモはギンメッキゴミっぽいですけど。」というコメントをいただきました。「日本のクモ」を見てみると、確かに脚のあたりはよく似ていますね。説明を読むと、「腹部の色彩も銀色から黒色まで多彩。」とのことです。おっしゃるようにギンメッキゴミグモかもしれません

虫を調べる ブリッグスウスイロチャタテ

昨年末ごろ、マンションの廊下を小さなチャタテがウロウロしていたので、これまでも何度も撮影してきました。



こんなチャタテです。以前、MSWiさんからウスイロチャタテ科のEctopsocus briggsiに似ていると教えていただいたのですが、1匹だけ捕獲して冷凍庫の中にそのままになっていました。正確には、一度検索を試みたのですが、つまづいてしまってそのままになっていました。

あまりに小さいので、もう一度検索してみる勇気がなかなか湧かなかったのですが、とりあえずやってみることにしました。



これは大きさを示したものです。上にあるスケールは一目盛りが1mmです。フリーソフトのImageJで計測してみると、体長は体が曲がってよく分かりませんが、1mmちょっと。前翅長は2.3mmほどです。



そして、これは翅脈です。翅脈の名称は次の論文によっています。

田中 和夫、「屋内害虫の同定法 : (5) 噛虫(チャタテムシ)目」、家屋害虫 25, 123 (2003). (ここからダウンロードできます)

前翅に長四角の縁紋があるので、とりあえずウスイロチャタテ科だと予想できます。チャタテムシの検索表は次の論文のものが使えます。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991). (こちらからダウンロードできます)

ウスイロチャタテ科は次の項目を満たすことで確かめられます。

1. 成虫は長翅型
2. 跗節は2節
3. 爪の先端近くに歯を持たない
4. 前翅先端の翅脈は完全
5. 後小室を持たない

3を除いてはすぐに確かめられます。3は今度のように小さな個体ではほとんど分かりません。それで爪に歯はたぶんないだろうと思って先に進みました。この科では、5の後小室を持たないというのが一番重要な性質だと思います。上の翅脈の写真では、CuA脈が分岐しないでそのまま翅縁に達し、縁に小室を作っていないところがポイントです。

ウスイロチャタテ科だとして、次に種の検索をやってみることにします。



上の論文に載っている種への検索表を書いてみました。この個体はおそらく♀だと思うので、♀用にしてあります。これを一つづつ確かめていくのですが、最初の1については生殖突起がどれなのかよく分かりません。でも、Ectopsocopsis cryptomeriae(クリイロチャタテ)らしい個体は先日調べたので、ここでは1を飛ばすことにします。次の項目からは写真に書き込んでいったので、それを見ながら確かめていきたいと思います。

まず、Fig. 1では翅が長翅型であることと、前翅長が1.7mm以上だということを確かめます。実は、検索表では1.7-2.0mmになっていました。この個体では2.3mmとちょっと大きいのですが、たぶん、このぐらいは許容範囲だと思ってOKにしました。

で、次が問題です。この項目は前翅に縁毛を持つか持たないかということなのですが、Fig. 2を見ると、およそ縁毛らしいものは見られません。従って、必然的にE. ornatoidesになってしまうのですが、吉澤氏のChecklist of Japanese Psocopteraによると、この種は日本では父島にしか生息していません。また、次の論文はE. ornatoidesの記載論文になっているのですが、見てみると少し違う感じです。

I. W. B. Thornton and S.-K. Wong, "THE PERIPSOCID FAUNA (PSOCOPTERA) OF THE ORIENTAL REGION AND THE PACIFIC", Pacific Insects Monograph 19, 1 (1968). (ここからダウンロードできます)

行き詰ったポイントは前翅に縁毛があるのかどうかなので、もう一度詳しく調べてみることにしました。



翅の縁を生物顕微鏡の100倍で観測してみると、上の写真のようにわずかですが、縁毛のあることが分かりました。ついでに後翅にも短い縁毛が並んでいます。これで迷路から脱出できました。

次は検索の4になるのですが、次の写真を見てください。



前翅と後翅が重なっているので見難いのですが、Rs脈とM脈はほぼ一点で交わっています。よく見ると、若干脈が融合しているようにも見えますが・・・。次の5は後翅の縁毛なので、先ほど見た通りです。6は前翅長で、これもすでに書きました。そして、いよいよ最後の項目です。ですが、卵巣小管が何だか分かりません。

ここで行き止まりだと思ったので、いろいろとネットを探してみました。Psocodea Species File Onlineというサイトがあります。この中に、E. meridionalisについても出ていました。もともとE. briggsiの変種として記載されたようです。このサイトには論文もいろいろと出ていて大変便利です。この中の論文を調べていたら、卵巣小管以外の項目で検索している本も見つかりました。

E. L. Mockford, "North American Psocoptera", Flora & Fauna Handbook No. 10 (1993). (ここで一部見ることができます)

Google Booksで一部読めるのですが、うまい具合にEctopsocus属の検索表は読むことができました。この中で両種の区別は次の項目でなされていました。



つまり生殖下板の先端突起の形で見分けられるようです。生殖下板はsubgenital plateの訳で、上に挙げた田中氏の論文によれば亜生殖板となっていて腹部第7腹板を指すみたいです。それで、とりあえず腹端の写真を腹側から撮ってみました。



撮るには撮ったのですが、写真を見ても何が何だかさっぱり分かりません。そこで再びネットを探していたら、こんなサイトを見つけました。National Barkfly Recording Scheme (Britain and Ireland)というサイトです。この中で、実に、この項目で両種を比較しているページが見つかりました。それを参考にして上の写真に項目を書き込んでみました。どうやらこの2つの突起が生殖下板の先端突起を指すようです。このサイトの写真と比べると、生殖下板の先端突起は内側に湾曲していて、Ectopsocus briggsiとそっくりです。ということで、どうやらMSWiさんのお見立て通り、この個体はEctopsocus briggsiで合っているのではないかという結論になりました。この種は田中氏の論文ではブリッグスウスイロチャタテという和名が当てられていました。

最後に顔写真も撮ったので載せておきます。



でも、この写真、ちょっと失敗でした。試料を白いペグ板に載せて撮影したら、横から当てた光でペグ板が光り、ちょっとコントラストがなくなってしまったからです。今度また撮り直してみます。それにしても、チャタテムシは意外に情報が多いですね。調べるのが楽しみになりました。

見る方向で色の変わるブユ

昨日、「ブユを調べる」というタイトルでアシマダラブユらしい個体の検索結果を出しました。このとき検索に用いた緒方氏の論文では「胸背には明瞭な黒色の3縦条紋がある」と書かれていて、私の見たブユとよく似ています。



この写真を見ると確かに胸背には太くて黒い帯が3本見られます。ところが、「大図鑑」のアシマダラブユの説明を見ると、「正中に1本、左右に湾曲した1対計3本の黒縦条紋がある」と書かれていて、図版ではこの写真よりもっとずっと細い3本の黒条が描かれています。さらに、次の論文には、南西諸島で得られた種として、アシマダラブユの再記載がなされていました。

H. Takaoka, "Studies on black flies of the Nansei Islands, Japan (Simuliidae; Dieptera) III. On six species of the subgenus Simulium Latreille", Jap .J. Sanit. Zool. 28, 193 (1977). (ここからダウンロードできます)

ここには、胸背には黒条が全部で5本となっています。何が何だか分からなくなってしまいました。そこで、この論文をもう少し詳しく読むと、「色は後ろから見ると逆転する」と書かれています。これは面白いなと思ってちょっと確かめてみました。



これは矢印の方向、つまり後ろから光を当てて上から見た時の模様です。先ほど同じで、胸には太い黒条が3本見られます。



今度は前から光をあててみました。先ほどとはまったく違う模様になってしまいました。よく見ると、黒いところは灰色に、灰色のところは黒くなり、確かに色は逆転しています。中心にある黒い線はほとんど見えないのですが、両側にある細くて黒い湾曲した線、それに側部にある太い黒い帯があり、もし中心の線が見えれば5本の黒条になります。

なぜ、こんな色変化をするのかなと思って、変化している部分を生物顕微鏡で見てみました。





これは胸背の右斜め側の同じ場所を、光の照射を変えて撮ったものです。金色の毛はそのまま見えていますが、地色が変化しているみたいです。もう少し拡大してみます。



以前、こんな風に色変化する昆虫として、キマダラミヤマカミキリの模様変化を紹介したことがありました。この時は、翅に生えている毛の向きが場所により違っていて、光の方向により光る部分が変わり、結果として模様の変化することが原因でした。今回はどうやら細かい毛が生えているわけでなく、地色が変化しているみたいです。昨日紹介した顔面の色も見る方向で灰色と黒色に変化していましたが、たぶん、同じ仕組なのでしょうね。面白い現象ですが、残念ながら仕組みはちょっと分かりません。



次は翅の基部を拡大したものです。ちょっと面白い写真になりました。写真は面白いのですが、翅の手前側が深く折れていて翅脈が全部見えていません。



こうするとすべての脈が見えるようになります。前縁脈(C)に棘毛、細毛を持つという検索表の項目がありましたが、太い毛と細い毛がありそうな感じです。また、R脈の基部に細毛を生じないという項目もありましたが、その通りで前縁脈に見られるような毛は生えていないようです。

というわけで、このブユは光の向きで模様が変化するという面白い性質を持っていました。まだ、脚の模様などをもうちょっと調べないといけないのですが、だんだん、アシマダラブユでよいのではないかと思うようになってきました。

ブユを調べる

昨年末、脚に白いまだら模様のあるブユがいました。これを採集していたのですが、私自身はヌカカを捕まえていたつもりで、後で調べるためにヌカカの勉強をしていました。採集した虫は冷凍庫の中の小さな箱に入れているのですが、蓋を開けてみてびっくり。ヌカカではなくて、ブユだったのです。慌ててブユについてにわか勉強をして、今日、ちょっと調べてみました。



調べたのはこんなブユです。ブユはブヨとかブトとか呼ばれています。脚に白っぽい模様があるので、何だろうと思って採集していました。大きさは小さくて体長はわずか3.3mm。

ブユ科についてはちょっと古いのですが、こんな論文が見つかりました。

緒方一喜、佐々学、「日本産ブユ科 Simuliidae の種の検索表と薬剤によるブユ幼虫の駆除法について」、Medical entomology and zoology 6, 10 (1955). (ここからダウンロードできます)

この論文中の検索表は♀用なのですが、ブユ科の♂は合眼性で、上の写真の個体は眼が離れているので、多分♀だろうと思って使ってみました。検索をしてみたところ、2、3怪しいところがあるのですが、ブユ属アシマダラブユ亜属アシマダラブユにたどり着きました。いつもの通り、その過程を写真で追いかけていきたいと思います。検索表の道筋を書いてみると次のようになります。



①から見ていきます。



翅の写真です。翅脈の名称はMND(Manual of Nearctic Diptera)を参考にしてつけたので、「大図鑑」の方式とは異なると思います。①のRsが分岐しないというのはすぐに分かります。同じ①の中の前縁脈はC脈のことで、この写真からも棘毛があるのが分かります。最後の跗突起は脚の跗節第1節にある突起のことなのですが、次の②の跗括部も含めてよく分かりませんでした。後でもう少し調べてみます。ついでに②にある小翅室というのは矢印の部分に翅室があるかどうかということだと思います。よく見ると小さな翅室があるみたいなのですが、おそらくこれはないという部類に入るのではないかと思いました。③のR脈の基部には細毛は生えていませんでした。ということで、翅を見るだけで①から③まで進むことができました。



次は脚の爪の歯についてです。この個体は上の写真に見えるようにまったく歯はありません。この論文の検索表ではこれは重要な項目で、歯がなければアシマダラブユ亜属、中央歯が大きいとツメトゲブユ亜属、中央歯が小さいとヤマブユ亜属に分かれます。従って、これはアシマダラブユ亜属になります。

生殖器板についての項目を飛ばして、⑤の腹板について見てみます。



これは腹側から写した写真です。どれが第7腹板なのかはっきりしないのですが、たぶん、矢印の部分ではないかと思います。とにかく、ここに剛毛束はありません。脚を見ると、腿節と脛節の基部がすべて淡色になっています。これが⑥です。また、⑦の後脛節の基部半分以上が淡色になっているところも書いてある通りです。



これは頭を斜め前から写した写真です。⑦の額面は矢印で示した部分で灰黒色であることは確かですが、光沢があるかどうは微妙です。中央の黄色に見える2つは触角で、その前が顔面ですが、顔面は灰色で明るい色です。



最後は胸背で、黒い3本の帯があります。また、黄色を生じるというのは次の写真の方がよく分かると思います。



黄色っぽい毛が生えているようです。ということで、怪しいところが2、3箇所あるのですが、一応、アシマダラブユになりました。ただ、亜属については、「日本昆虫目録 第8巻 双翅目」を見ると変更されていて、アシマダラブユ亜属、ツメトゲブユ亜属、ヤマブユ亜属はいずれも、Simulium亜属に入っていました。

ついでに検索に使わなかった写真も載せておきます。



これは頭部を斜めから見たところです。先ほど白く輝いていた顔面が灰黒色になっています。おそらくここには細かい毛が生えていて、光の当てる方向で白く光ったり、光らなかったりしているのではないかと思います。



頭部を横から見たところです。口肢が長いですね。

この論文の出された時1955年には25種だったブユ科は、今や78種になっています。この検索表がどこまで使えるのか分かりませんが・・・。書いていてもう少し写真細かい部分の写真が欲しくなりました。例えば、前縁脈の毛とか、R脈基部に毛のないところとか・・・。後で追加していきます。(追記2016/01/14:高岡宏之氏の1977年の論文(Jap. J. Sanit. Zool. 28, 193 (1977))に南西諸島で採集された種の詳細が載っているのですが、胸の黒筋が5本と書いてあり、どうもこの個体と違っているような感じがしてきました。もう少し検討してみます)(追記2016/01/14:「大図鑑」の図版の絵では胸背の黒い3本の筋はもっと細いですね。やはり違うのかなぁ。後の特徴は合っていそうなんだけど)

廊下のむし探検 チャタテ、ハエなど

廊下のむし探検 第807弾

1月も中旬になってしまいましたね。昼間の気温も10度を切って、いよいよ冬本番のような感じです。こんな時にマンションの廊下を歩いてみてもおよそ虫の姿はなさそうですが、それでも探すとちょこちょことはいますね。



最初はこのチャタテムシです。背景が暗いので、こんな目立たない感じになってしまいました。後小室があり、M脈と結合していないので、ケチャタテ科あたりかと思ったのですが、一応、採集してきました。今度、検索をしてみます。



次はこのハエ。昨年末に写真を撮って、フンバエ科という予想を立てたのですが、今回は採集してきたので、調べることができます。翅に変な筋模様があるのと、頭頂付近に尖った三角系の模様があるのが特徴です。これも明日の宿題です。(追記2016/02/10:採集した個体を使って検索をしてみました。紆余曲折の結果、ヤチバエ科になり、岐阜大のサイトといくつかの論文から、最終的にブチマルヒゲヤチバエになりました



ナミテントウはちょこちょこ見るのですが、こんなに黒点があってもやはりナミテントウなのでしょうね。



後はムラサキナガカメムシ



ブチヒメヘリカメムシ



それにナミスジフユナミシャクでした。

ところで、昨日、懸命に英語の検索表を訳したヌカカ科だったのですが、今日、検索してみようと思って冷凍庫の試料箱を開けてみました。てっきりヌカカを採集したと思っていたのですが、実はブユ科を採集していました。同じ吸血昆虫だったので、覚え違いをしていたようです。折角、翻訳して頭に要点が入っていたのに・・・。それで、昨年の正月に採集してそのまま毒瓶に入れっぱなしの個体があったので見てみたら、もう翅もくちゃくちゃで、固まっていました。一応、消毒用アルコールに入れて伸びるのを待っているのですが、期待薄です。失敗、失敗!

ヌカカの勉強

冬になるとやることがなくなるので、いろいろな虫の勉強をしてみようと思っていました。そこで、ちょっと気になっているのがヌカカの仲間です。



この間からこの手のヌカカをよく見ます。



こんなもしゃもしゃの触角のヌカカもいます。小さいのですが、吸血だというので気になっていました。さらに、以前、MSWiさんからForcipomyia属かもというヒントをいただいたままになっていました。一度は調べてみたいなと思って、冷凍庫には1匹だけ試料が入れっぱなしになっています。ただ、今までは調べる手立てがなかったので、今日はまず資料集めをしてみました。

Wikipediaによると、ヌカカのうち、Culicoides属、 Forcipomyia (Lasiohelea)属、 Leptoconops属は脊椎動物の血を吸う吸血昆虫になっています。Atrichopogon属とForcipomyia属は大型昆虫に外部寄生し、また、Dasyhelea属は花の蜜を吸うそうです。その他の大多数は小昆虫の体液を吸うとのことです。人血を吸う種では病気の媒介をするらしく、そのためか、特にCulicoides属では研究が盛んで、いろいろな論文に検索表が載っていました。逆に、その他の属では扱っている論文も少なく、やっといつものMND(Manual of Nearctic Diptera)に属、亜属の検索表が載っているのを見つけました。(追記2016/01/12:Wikipediaによると、ヌカカ媒介性疾病にはウィルス性疾病、原虫症、フィラリア症などがあり、主に家畜の病気の媒介が問題になっているようです。人が刺された場合には、ヌカカの唾液に含まれるタンパク質に対するアレルギー反応により腫れるそうです

属の検索表の一部を訳してみると次のようになります。



この検索表で特に翅に生える長毛と触角鞭節の節数を上の写真から読み取ると、確かにForcipomyia属に落ち着きそうです。

他にも検索表はないかと思って探してみたら、次の本にマレーシア産について載っている本の一部を見つけました。

A. Borkent, "Insecta: Diptera, Ceratopogonidae", in "Freshwater Invertebrates of the Malaysian Region", Academy of Sciences Malaysia (2004). (ここからダウンロードできます)

これも頑張って訳してみました。



これは検索表の一部だけを訳したものです。MNDの検索表に似てはいるのですが、「あるかないか」というような表現が多くて、ちょっと分かりにくい感じです。

いずれにしても、たとえ無事にForcipomyia属にたどり着いても、この後、亜属への検索がそれ以上に大変です。さらに、MND(1981)に出てくる亜属と日本昆虫目録(CJI)(2014)に出てくる亜属が一致していないことも問題です。これについてはヌカカ科の世界の種リストが見つかりました。

A. Borkent, "World Species of Biting Midges (Diptera: Ceratopogonidae)", (2012). (ここからpdfがダウンロードできます)

本もあるみたいですが、Web版は随時更新している感じで2012年度版が載っていました。ここに載っているForcipomyia属の亜属とMND(1981)、CJI(2014)の亜属を比較したものが次の対応図です。



左の欄がMNDに出てくる亜属、右の欄がCJIに出てくる亜属、それに中央が世界の種リストに載っていた亜属です。( )内は種数です。右と左が対応している亜属については赤線で引いてあります。ほとんどの亜属で対応がついているようなので、MNDの亜属の検索表もだいたいは使えるだろうという判断になりました。それで、その部分も訳してみました。



一部、受精嚢や♂尾状突起の形状が出てくるのでどうなるか分かりませんが、触角や翅脈、脚、口肢についての項目がほとんどなので、途中くらいまではうまく進めるかもしれません。今日はこんなところまでやってみました。(追記2016/01/12:書き忘れていました。MNDによると、後跗節比(hind tarsal ratio)とは後脚第2跗小節に対する第1跗小節の長さの比を表します。また、前縁脈比(costal ratio)は翅長に対する前縁脈の長さの比で、共に、翅の基部にある前縁脈と径脈との間の横脈を起点にして測ります

追記2016/01/12:「原色昆虫大図鑑III」の解説を読むと、検索表の訳に用いた専門用語がだいぶ違っていました。後で直しておこうと思います。とりあえず、感覚性の孔(感覚性孔、感覚用の孔)→感覚孔、口肢→触肢、貯精嚢→受精嚢、触角鞭節の小節→環節、鱗片状の毛→鱗毛、♂の腹部末端→♂の尾状突起?などです。また、跗節比の他に触角比(触角末端5環節の長さに対する第2から9節の長さの比)という量も使われていました)(追記2016/01/12:田中和夫氏の「屋内害虫同定法(3)双翅目の主な屋内害虫」によると、受精嚢ではなくて貯精嚢、触肢ではなくて小腮肢、触角は環節ではなく単なる節になっていました。また、尾角→尾葉、首部→頸部。さらに、sculpturedの意味がはっきりしなくて、「♂の鞭節に長い毛が生えない」と適当に訳していた部分は、「♂の触角鞭節各節の基半部に条線状の彫刻がない」という意味のようです。また、翅の模様については明斑、暗斑という名前が付けられているので、もう一度、訳を検討した方がよさそうです)(追記2016/01/12:追記に基いて検索表の用語を変更しました!

廊下のむし探検 秋の蛾が今頃

廊下のむし探検 第806弾

一昨日の「廊下のむし探検」の記録です。今シーズンは秋から冬にかけてちょっと異常ですね。秋に出てくるはずの蛾がまったく見られなくて、むしろ今頃ちょこちょこ出てきています。秋から冬にかけてが暖かかったので、出る時期を間違ってしまったのかもしれません。



今日の最初はこの蛾です。昨年は10月頃に2匹見ました。この時は「標準図鑑」に載っている発生時期が5月から10月だったので、ちょっと遅目に発生した個体だと思っていたら、今年はなんと1月でした。昨年見た時はMSWiさんから、白帯が前縁に届いているとシラオビアカガネヨトウ、届いていないとマエグロシラオビアカガネヨトウだと教えていただきました。今回はそのことを覚えていて、横からも撮っておきました。



この黄矢印のところで白帯が弱くなっているので、マエグロシラオビアカガネヨトウの方ですね。それにしても長い名前!



次はこのイラクサギンウワバ。「標準図鑑」によると、熱帯、亜熱帯では通年発生、日本では冬は越せないと思われているとのことです。大阪は熱帯だと言われているけど・・・。



後はいつもハエです。これはシマバエ科Steganopsis sp. 2と呼ばれている種です。



最後はノミバエです。ノミバエの見方を忘れてしまったので、次の論文を見てちょっと復習です。

田中和夫、「屋内害虫の同定法(3)双翅目の主な屋内害虫」、屋内害虫 24, 67 (2003) (ここからダウンロードできます)

検索表を見ると、脛節の基部2/3に独立した剛毛を欠くとトゲナシアシノミバエ亜科になり、後脛節背面に微刺毛列を持つとMegaselia属でした。この写真を見ると、脛節の剛毛はなく、後脛節背面には微刺毛列がありそうです。ということで、Megaselia属みたいです。亜属については中胸上前側板の細毛の有無で決まるので、採集しないと無理ですね。

虫を調べる シマバエ科Itomyia属?

最近は虫が少なくなったので、虫の名前調べも少し楽になりました。この機会にいろいろな虫を調べてみようと思って、この間捕まえたハエを調べてみました。



対象とするのはこんなハエです。昨年の1月にも捕まえて、その時にはシマバエ科だというところまで達していました。これをもう一度調べてみました。



まずは大きさです。体が曲がっているので、体長を直線的に測ってよいのか分からないので、スケールと一緒に写した写真を載せておきます。だいたい3-4mmくらいの小さなハエです。これがシマバエ科かどうかは次の検索表で調べていきます。



これは「原色昆虫大図鑑III」に載っていた検索表で、無弁翅類を出発点にしてあります。この間、ハチで説明したときと同じように、科を1つずつ調べていく項目と、大きく対象となる科を分ける項目があります。後者には下線を引いてあります。項目が多いので、今回は下線の部分だけを写真でお見せすることになります。

次はシマバエ科の属への検索です。ネットで調べると、株式会社エコリスというところで日本のシマバエ科 属への検索試案というのが出されています。以前はこれを利用させていただいたのですが、ブログに検索項目を載せるのは著作権に触れる可能性があるので、このもとになっているShatalkin(2000)の論文を探してみました。

A. I. Shatalkin,"Keys to the Palaearctic Flies of the Family Lauxaniidae (Diptera)", Zoologicheskie
Issledovania 5, 1 (2000).

論文は見つかったのですが、ダウンロードできないし、仮にできてもロシア語です。何とかならないかなと思ってさらに探していたら、実にこの論文に書かれている検索表を英訳した論文が見つかりました。

W. Schacht, O. Kurina, B. Merz, and S. Gaimari, "Zweiflügler aus Bayern XXIII (Diptera: Lauxaniidae, Chamaemyiidae)", Entomofauna, Zeitschrift für Entomologie 25, 41 (2004). (ここからpdfがダウンロード可能)

この論文です。論文自体はドイツ語なのですが、検索表の部分だけは英語になっています。さっそくそれを和訳して使ってみることにしました。その結果、ちょっと自信がないのですが、たぶんItomyia属ではないかという結論になりました。その部分を抜書きしてみます。



検索自体は簡単なのですが、問題点が若干含まれています。これについては後で説明します。Itomyia属の種への検索はShatalkin(2000)にも載っているのですが、2種しか扱っていないので他にもないかと探してみたら、次の論文に載っていました。

岡留 恒丸、「Itomyia属(双翅目、シマバエ科)一新種の記載と既知種への検索」、名城大学農学部学術報告 47, 1 (2011). (ここからダウンロードできます)

この論文によると、Itomyia属は日本でだけ記録されていた属だったのですが、最近、韓国からも見つかったそうです。この属には5種が記録されていますが、その検索表で調べてみると、Itomyia kenzoui になってしまいました。この最後の結果はかなり怪しいのですけど・・・。一応、その部分の検索表を載せてみます。



ということで、属、種と近づくにつれ、怪しさも増していくのですが、一応、写真でこれら検索表に載っている特徴を見ていきたいと思います。以前と同じように、写真に検索項目を書き入れたので、それを見ながら説明していきます。



まずは頭部からです。顔面中央に奇妙な膨らみが見えます。これは属の検索の最後に出てくる「円錐形の隆起」ではないかと思っています。これでもってItomyia属かなと判断しました。



その部分を拡大してみました。黄色の透き通ったような隆起です。



ついでに触角を見てみます。触角は根元から柄節、梗節、鞭節の3節からなり、鞭節には触角端刺という細い毛が出ています。梗節に縦線が入らないことが無弁翅類の特徴です。触角端刺の色が種の同定に出てくるのですが、これがはっきりしません。端刺の根元部分を見ると、黄色で黒い短い毛が生えているようです。それで、黄褐色を選んだのですが、そこがはっきりしないところです。もう一つの選択肢は端刺が黒で長い毛が生えているというので、前者の方が合っているかなと判断しました。



次は頭部と胸部の写真です。中胸背板に帯状模様がないのは最後の種の特定に使いました。また、シマバエ科の特徴とされる後単眼剛毛の向きがやや微妙です。シマバエ科というとこの2本の剛毛が交差するものだと思っていたのですが、ちょっとだけ内向きに曲がっているだけで果たして収斂と言って良いのやら。ただ、これが平行、あるいは広がっているとすると、ヤチバエ科、ヤスデヤドリバエ科、ベッコウバエ科などになり、だいぶ感じが違ってきます。さらに、もう一つの重要な特徴である翅脈についてはシマバエ科を支持しているので、これは収斂していると見て、シマバエ科でよいのだろうと思いました。



ついでに刺毛の名称を付けてみました。実は、これがもう一つはっきりしないところになります。だいたいは名前がつけられたのですが、肩後刺毛と名前をつけた部分がこれで合っているのかどうか不安です。斜めから見た写真も載せます。



というのは、項目㉓に肩後剛毛があるかないかという項目があります。これがないとすると別属になってしまいます。なかなか難しいですね。



ついでに体側の写真です。この写真からは、端覆弁はあるが、基覆弁はなく、さらに、翅下瘤もないので、無弁翅類だと分かります。また、種の同定に使う前脚脛節の色は暗褐色ではありません。



次は翅脈についてです。⑰のCu融合脈が翅縁に達していないことはシマバエ科の特徴ですが、白矢印のところで翅脈は終わっています。また、⑪のSc切目がないことも見て取れます。属の検索で用いる、㉑の翅縁に生える剛毛列は間違いなくR2+3脈とR4+5脈の中間付近(黒矢印)で終わっています。ということで、翅脈に関してはあまり疑問の余地はなさそうです。



最後は脚の剛毛についてですが、中脚脛節末端には剛毛は1本、それに末端近くの背側に亜末端剛毛が1本あります。

ということで、一部あいまいなところがありますが、顔面の膨らみはかなり顕著なので、シマバエ科のItomyia属で間違いないのではと思いました。でも、いつものように何箇所かもやもやしたところがあります。素人が行う検索ってこんなもんなんでしょうね。

廊下のむし探検 虫が少ない

廊下のむし探検 第805弾

1月だからしようがないのでしょうが、それにしても虫が少ないですねぇ。また、例によってハエを撮ったり、蛾を撮ったり、クモを撮ったり。



というわけで、今日はハエからになってしまいました。この触角第3節の長いハエは記憶がありました。昨年の1月7日に捕まえて検索をしていました。その時はシマバエ科にやっと達したところで止まっていました。この時は有弁翅類か無弁翅類かで迷っていたときでした。今年も採集したので、今度はとどこまで行けるか楽しみです。



これは何科なのか分かりません。



こちらはノミバエですね。これも昨年の1月23日に捕まえていた種と同じみたいです。その時は、Megaselia属Megaselia亜属まで達していました。今回は採集していないので写真だけです。



後はこの間も見たホソバハガタヨトウ



それにフトジマナミシャク



後はクモです。「日本のクモ」の写真と見比べて、イモコモリグモではないかと思いました。



寸法測定用のテープの横にいるのはこのクモです。



小さいけれど、コガネグモのような止まり方をしています。たぶん、コガネグモ類の幼体でしょうね。

虫を調べる チビアメバチ亜科?

この間からヒメバチ科を調べているのですが、かなり大変ですね。でも、勉強だと思って亜科の検索から少しずつ試みています。



今回はこんな長い触角と長い産卵管を持ったハチが対象です。先日、簡単な検索をしてみて、ヒメバチ科チビアメバチ亜科になったのですが、今回、もう一度詳しく調べてみました。用いた検索表は次の本に載っているものです。

Henri Goulet and John T. Huber (Editors), "Hymenoptera of the world, an identification guide to families", Research Branch, Agriculture Canada (1993). (ここからpdfをダウンロードできます)

原文は英文なので、私の拙い語学力で訳しながら調べていきました。幸い、この本では検索の項目ごとに絵が描かれているので、内容を理解するのは比較的容易でした。それでも、項目の内容自身はかなり難解で何度もやり直してみて、やっとチビアメバチ亜科で大丈夫かなということになりました。

検索の流れをまとめてみると次の図のようになります。


           

検索表では、あたかも家を一軒ずつ調べていくように1つずつ亜科を調べていく項目と、二股に分かれた道のように大きく対象を分ける項目があります。前者を菱型の記号で表し、後者を四角で囲い内容を書き入れました。実際の検索では1つずつ調べていかないといけないのですが、ここではより重要だと思われる、二股に分かれる項目だけを写真で示していくことにしました。そして、それぞれの項目に通し番号を付けました。

さらに、Information Station of Parasitoid Waspsというホームページではチビアメバチ亜科の特徴がまとめてあるので、それらも確かめてみました。箇条書きにして転載させていただくと次のようになります。


                             (Information Station of Parasitoid Waspsより転載)

これだけでも全部で19項目にもなるので、確かめていくのは大変です。検索する順番に説明していけば良いのですが、ややこしくなるので部位別に各項目を説明していきたいと思います。例によって写真に項目を書き込んだのでそれを見ていけば良いようにしてあります。



まずは背面からです。体長は7.9mm、中型のハチです。長い触角、長い産卵管、細い腰、黄褐色の脚など見えます。また、腹部は横から押されたようにやや平ぺったくなっています。



次は横からです。⑧は腹部が横から平圧されているということですが、第3節と第4節が幅より高さの方が高いというのは微妙です。特に第3節はむしろ上下から平圧されているようにも見えます。従って、ひょっとしたら「それらが不明瞭ならば・・・」という記述に該当するかもしれません。㉚の産卵管は上方に曲がりというのはその通りですが、産卵管は鞘で覆われていて、切れ込みについては残念ながら見えませんでした。



これは後体節の先端方ですが、弱く側方から平圧されているというのが表現として合っている感じです。



次は頭部です。顔面が黒いのはすぐに分かります。頭盾と顔面の境目はほとんど分かりません。溝等で分離されていないことは確かです。



顔の拡大です。やはり顔面と頭盾の境目はほとんど分かりません。表面に模様のある大腮が気になります。



20倍の対物鏡を使って大腮を拡大してみました。やはりなんだか分かりません。㉓の腹方にひだをもつというのはどれのことでしょう。



次は後頭部です。後頭隆起線と後単眼はかなり離れています。これはコンボウアメバチ亜科を除外する項目です。



これは胸部側面の写真です。⑩、㉔の前胸側板下方後角というのは矢印の「前胸側板」で示した部分ではないかと思います。突き出しているようではありますが、これを葉片状というべきかどうかはよくは分かりません。



次は翅脈です。翅脈の名称はAmerican Entomological InstituteのIchneumonid Morphologyのページを参考につけました(追記2015/01/07:Cu1bの辺りが上記ページとは違っていました。この部分はInformation station of Parasitoid waspsに書かれたものと同じですね。この辺り、少し調べてみます)前翅2m-cuが管状というのは以前も説明しましたが、翅脈が体液の通ることのできるような管になっている場合をtubular(管状)、通ることができない時はnebulous(星雲状)、単なる折り目のようになっている場合をspectral(幽霊状?)という慣習のようです。



鏡胞はヒメバチの分類では重要な位置を占めます。このハチの場合は四角形で柄があります。鏡胞が一部開いているように見えるのですが、これは閉じているという部類に入るようです。



次は中胸の腹部側の端にpostpectal carinaという隆起線があることを示しています。



これは前伸腹節の隆起線です。



後体節第1節は細くなっていて、後方少し太くなっています。気門は後方側にあり、腹板は気門があるあたりまで伸びています。



後脚脛節末端には2本の刺があります。



次はその刺の根元のあたりを拡大したものです。先ほどの本に載っている絵からはこの部分を示しているのですが、英語がうまく訳せなかったので原文のまま書いておきます。内容はこの矢印で示した部分を指していると思うのですが・・・。



最後は脚の爪を拡大したものですが、櫛歯状になっていることがよく分かります。

ということで長々書いたのですが、検索をしていて理解したことをまとめてみました。ヒメバチの検索は大変だなとつくづく思いました。ハチだけこんなコンピュータのフローチャートみたいな書き方をしたのは、一つ一つの項目に3-4個の小項目が入っているので、とても書ききれなかったからです。ハエなんかはもう少しすっきりしているのに、もうちょっとなんとかならないかなと思ってしまいました。

廊下のむし探検 ウスイロチャタテ、甲虫ほか

廊下のむし探検 第804弾

今年の正月は本当に暖かいですね。廊下を歩いていても、真冬だとはとても思えません。でも、虫はそれほど多くはありませんでした。



小さなチャタテがいました。翅の前縁にある四角形の縁紋が目印です。以前、MSWiさんから、ウスイロチャタテ科のEctopsocus属に似ているというコメントをいただきました。写真を使って検索をし、さらに、分布から判断して、最終的に、E.  pumilis, E. meridionalis, E. briggsiの3種のどれかの可能性があるというところまで達しました。今回は採集して、今、冷凍庫に入れてあります。種まで行くにはこの後、後翅の縁毛、肛側板、後脚第1跗節の櫛歯、卵巣小管などを調べなければならないのでできるかどうか分かりませんが、今度頑張って検索をしてみようと思っています。





小さな小さな甲虫です。近くにスケール付きのテープを貼って、寸法をIMAGE Jというソフトで測ってみると、体長2.6mmになりました。触角が変わっているので、それを手がかりに「原色日本甲虫図鑑」を見てみると、オオキスイムシ科クロモンキスイではないかという結論になりました。図鑑によると、体長は2.1-2.5mm、本州・九州に分布するとのことです。(追記2016/05/29:科名が間違っていました。キスイムシ科です。



これは、またデコボコマルハキバガかな。



そして、これはダイズサヤムシガあたり。



クヌギカメムシの仲間。



それに、キバラヘリカメムシ





最後は小さな小さなノミバエたちです。最近はノミバエがよく目につきますが、ほかに虫がいないからかなぁ。

廊下のむし探検 タマナギンウワバ?

廊下のむし探検 第803弾

何だか暖かい日が続いていますね。今頃になって秋の蛾がいろいろと出てきたみたいです。



模様がいつもと違うなとは思ったのですが、ぱっと見てよく分かりませんでした。白い点が離れていること、外縁に沿って明るい線が走っていることなどから、タマナギンウワバかなと思ったのですが、ちょっと自信はありません。「標準図鑑」によると、成虫は4~5月から9月に見られることが多いが、暖地では通年見られるというので、ひょっとしたら今頃でも出るのかもしれません。昔の私の記録を見ると、3月に1頭採っているだけでした。



こんなハチがいました。たぶん、ヒメバチ科のトガリヒメバチ亜科かなと思うのですが、今、別のハチを抱えているので今回はパスです。



後はハエばかりです。小さいですが、綺麗なハエですね。捕まえなかったので何科かは分かりません。(追記2016/01/03:そらさんから、「三枚目の写真のハエですが、ショウジョウバエ科のルリセダカショウジョウバエが怪しいと教えて頂いたことがあります。」というコメントをいただきました。確かにこの名前で検索すると似た写真が沢山出てきました。皆さん、興味をお持ちだったのですね

追記2016/01/03:上の写真をもとに、「絵解きで調べる昆虫」の中の検索表を使って、科の検索を行ってみました。



この写真は翅脈に名前をつけたところです。ポイントは肩切目とsc切目という2つの切目が前縁脈Cにあるところです。このことを用いて検索をしていくと、ショウジョウバエ科にだいぶ近いところまで行くことができます。Sc脈がこの写真では見えないので最終的にはよく分からないのですが・・・。たぶん、ショウジョウバエ科でよいのでしょう。ルリセダカショウジョウバエの学名はLiodrosophila aerea Okada, 1956なのですが、次の本が記載論文になっていました。

T. Okada, "Systematic study of Drosophilidae and allied families of Japan", Gihondo (1956). (ここからpdfがダウンロードできます)

それにしてもショウジョウバエの世界はすごいですね。日本ショウジョウバエデータベースというサイトがあって、この本を初めてとして、過去に遡っていろいろな記載論文が集められていました。上の本の中で、属の検索表も載っていました。全部を確かめることはできないのですが、Liodrosophila属に至るちょっと前の辺りだけを見ると、この写真の様に中胸背板が盛り上がっているのはキノコショウジョウバエ(Mycodrosophila)
属とセダカショウジョウバエLiodrosophila属があるみたいです。ただ、キノコショウジョウバエ属はC脈がsc切目に達する端が膨れるのですが、セダカショウジョウバエ属は膨らまないようです。この写真では膨らんでいないので、セダカショウジョウバエ属でよいのかもしれません。また、「日本昆虫目録 第8巻 双翅目」によると、セダカショウジョウバエ属には5種記録されているのですが、このうち、本州にいるのは1種、ルリセダカショウジョウバエだけのようです。上の本にはこの種の細かい特徴も載っているのですが、これはまた採集した時に調べてみます。いずれにしても、そらさん、貴重なヒントをどうも有難うございました)





これは両方共クロバエ科かな。



それに例によってヌカカ。最近、多いですね。(追記2018/02/15:コメントをいただき、Forcipomyia属らしいことは分かりました。まだ、調べていないのですが、一応、そのように記録しておきます

廊下のむし探検 元日の虫たち

廊下のむし探検 第802弾

皆さま明けましておめでとうございます。今年は例年に比べるとだいぶ暖かいですね。それで、午後からちょっとだけ廊下を歩いてみました。



久しぶりのフユシャクですね。廊下の壁の下の方に静かに止まっていました。ウスモンフユシャクですね。今シーズン初めてです。



ヤマノモンキリガ、スギタニモンキリガ、スミレモンキリガという似た種があったのでしたね。一昨年の12月のブログにその見分け方を書いておきました。前縁にかすかに見える黒い紋の位置が決め手でした。これはたぶん、ヤマノモンキリガだと思います。



これはホソバハガタヨトウです。昨年11月中旬に「廊下のむし探検」で初めて見たので、今シーズン2回目になります。成虫越冬はしない種です。



ターバン目があるのでコカゲロウ科♂、翅が黒いので亜成虫ですね。雰囲気はシロハラコカゲロウに似ている感じですが、腹が白くないので別の種なのかなぁ。ちょっと分かりません。(追記2016/01/02:フッカーSさんから、「コカゲロウ/オスは、たぶんシロハラコカゲロウで良いと思います。シロハラコカゲロウは季節によって2タイプがあり、冬季は雌雄ともに体全体が暗色の個体が見られます。胸部側面には体色よりさらに濃い色の3つの点紋があります。写真の個体は翅が半透明なので、亜成体です。冬季に出る個体群は、春に見られる体が黄色く腹部が白い個体群よりも体長が大きめなのも特徴です。越冬時に外見が変わる虫ってけっこう居ますが、体長まで変わるのが面白く、また不思議なところでもあります。」というコメントをいただきました。シロハラコカゲロウが冬に出て、しかも色や大きさが変わるというのは驚きでした



ハチがいたのですが、よく分からないので採集してきました。後で調べてみます。(追記2016/01/02:先ほど、簡単な検索をしてみました。ヒメバチ科であることは間違いなく、亜科の検索ではチビアメバチ亜科になりました。もう少し調べてみないと何ともいえないのですが、前翅に鏡胞があって、それに柄があるというところがこの間みたトガリヒメバチとは違っていました



後はハエばかり。一瞬タマバエかなと思ったのですが、脈が翅を一周していないようなので、ひょっとしたらクロバネキノコバエかなと思いました。



確かに左右の複眼が接している感じです。



これも同じ種かなぁ。



キモグリバエはいつもたくさんいるのですが、今日は虫が少なかったのでつい写してしまいました。でも、いつもと変わらないですね。



これはハナアブですね。腹部の模様がわからないので採集してきました。後で見てみます。(追記2016/01/02:まだ検索途中ですが、顔面や複眼に毛がいっぱい生えていて、検索ではケヒラタアブになったのですが、腹部の模様が違うみたいで、もう少し検討しないといけません。ヒラタアブの検索はだいぶ慣れたかなと思ったのですが、そうではなかったみたいです



これはクロバエ科でしたね。



これも同じかなぁ。



最後はたぶん、ヤミイロカニグモ。1月の割にはいろいろといましたね。
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