廊下のむし探検 第744弾
一昨日の「廊下のむし探検」の結果の続きです。実は、一種なんとも分からない虫がいて、昨日からあーでもないこーでもないとさ迷っていました。今朝も調べていたのですが、とうとうギブアップです。
ギブアップしたのはこんな虫です。いかにもガガンボという感じなのですが、「絵解きで調べる昆虫」、「大図鑑」いずれの検索表でも迷子になってしまいました。
まず、「絵解きで調べる昆虫」では、長角亜目は確かなので、次は単眼のあるなしです。
左側は頭部と胸部、右側は前脚の写真です。左側の写真を見ると、頭部にはどう見ても単眼はありません。これで、ガガンボダマシ科が排除できます。次は翅脈です。
前縁部分が見難いのでちょっと拡大してみます。ついでに後縁部分も。
色が薄いので、コントラストをだいぶ上げています。また、翅脈の名称は「大図鑑」を参照しました。これを見ると、R脈は4つです。この条件でニセヒメガガンボ科を排除しました。次は(翅縁に達する?)A脈があるかどうかです。上の写真で?を書いた部分が、翅脈なのか、擬脈なのか、折り目なのか区別がつきません。いずれにしても、翅縁に届くA脈はありません。従って、コシボソガガンボ科になってしまいました。
ところで、どうも気になるのは前縁脈が翅を一周している点です。また、上の写真を見てもいかにも「腰細」ではありません。そこで、「大図鑑」の検索表も試してみることにしました。長角亜目でアミカ科などを排除した後は、平均棍の基部に前平均棍があるかどうかという項目が出てきます。写真を見る限り、そんな突起はありそうにないのですが、写真の向きも関係するかもしれないので、一応、保留にしておきます。あれば、コシボソガガンボ科です。なければ、先に進みます。
次は、翅の後方には翅縁に達する脈は1本か2本かという項目が出てきます。これはCuPの1本だけなので、先へ進みます。その次はR脈の数でこれは4本なのでニセヒメを排除すると、次は前縁脈が翅を取り巻くかどうかという項目になります。取り巻くのでそちらを選ぶと、脚の跗節第1節が第2節より長いか短いかという項目になります。写真のように長いのでそちらを選ぶと、タマバエ科を排除できます。次は触角が短いか長いかという項目あり、ユスリカバエ科かチョウバエ、カ科などのどちらかを選ぶことになります。
これは短いのでユスリカバエ科の方を選ぶと、検索項目の中には、鞭節は長角類としては異常に短いとか、翅縁に達する翅脈は6-7本とかの特徴がどうにも合いません。ユスリカバエは写真を見ても如何にも違います。今のところ、コシボソガガンボが有力なのですが、画像検索を見てもそれらしい写真は見つからないし、前縁脈が一周するというところがどうにも気になります。ということで、結局、迷子になっています。どうしてなのかなぁ。この辺りの検索は自信があったのに・・・。すっかり自信をなくしてしまいました。
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追記2015/10/17:フッカーSさんから、「オビヒメガガンボ科(Pediciidae)のウスキハスオビガガンボ(Nipponomyia trispinosa)に酷似しているように見えます。翅の斑紋や翅脈、腹部の細長さ、胸部背の点紋など、一致する点が多いです。ネット上では、ガガンボの分類を専門とされる中村先生のブログ「達磨大蚊天国」に画像があります。」というコメントをいただきました。フッカーSさんのコメントにはいつも驚かされます。でも、確かに似ていますね。これかもしれません。なぜ、検索でオビヒメガガンボ科に行かなかったのかも検討してみました。どうやら翅脈の名前の付け方がまずかったようです。でも、どうしてなのかまだ理解できていません。少し文献を漁ってみます。「日本昆虫目録」によると、日本産Nipponomyia属は3種記録されていて、いずれも本州に分布するようです。これも少し調べてみます)
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追記2015/10/17:やっと間違いの原因を見つけました。翅脈の名称は次の写真が正しいと思います。
原因はこの写真でCuPと書いたところを、私は擬脈か折り目だと解釈していました。と言うのはボケた感じに見えたからです。でも、これは翅がこの部分で折れ曲がっていて、ピントが合わなかったからだと思われます。別の写真を見て翅脈が走っていることが確かめられました。この翅脈をCuPとすると、今までCuPとしていたのがA1となります。これでA1脈を持たないとしていたところをA1を持つと訂正することができます。次は、V字溝を持ち、単眼は欠如という点でガガンボダマシ科を排除し、Sc脈の先端は翅の前縁に達するという項目を選ぶことでガガンボ科とシリブトガガンボ科を排除し、sc-rがRsの起点より翅の基部側に位置するを選べば、無事オビヒメガガンボ科になります)
後の虫はあまり調べる暇がなかったのですが、これは例の「
里山のゴミムシ」で絵合わせをした結果、ナガゴミムシ亜科のヒメヒラタゴミムシあたりが近いかなと思っています。ただ、マルガタゴミムシ亜科のエゾマルガタゴミムシあたりも似ているのでなんともいえません。この2つの亜科の見分け方は、「絵解きで調べる昆虫」によると、下唇鬚亜端節の刺毛の数だそうです。上の写真で、口ひげの長いほうが小顎鬚、短くてちょっとだけ見えているのが下唇鬚なので、やはり採集しないと分からないみたいです。
いま頃はこの
マルカメムシが廊下にいっぱいやってきます。やはり秋になってきたという感じですね。
ところで、この
マツヘリカメムシもいっぱい出てきました。そのうち、このカメムシを見ると秋を感じるようになるのかなぁ。
後は
クロウリハムシ。
それにセスジユスリカあたりのユスリカです。「日本昆虫目録」によると、セスジユスリカはユスリカ属ユスリカ亜属に入っています。この亜属には38種載っているので、セスジユスリカに到達するのはまだまだ先が長いです。ところで、「図説 日本のユスリカ」という本があることを知りました。この本には環境調査で採集される330種と、種までの検索表が載っているそうです。こんな本を買うと分かるようになるのかなぁ。それにしても、12960円は高いなぁ!先日、「日本昆虫目録」を購入してお金がなくなってしまった・・・。
ヒゲナガカワトビケラはいつもいるのでパスしているのですが、虫が少なくなってきたので珍しく撮りました。
最後は
ニホンヤモリと
ムカデの仲間です。写してみると意外に綺麗なんですけどねぇ。