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廊下のむし探検 蛾は相変わらず多い

廊下のむし探検 第729弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。



相変わらず蛾はいろいろといますね。今日はこの蛾からです。アトテンクルマコヤガとアトキスジクルマコヤガという似た種がいて、後翅の横脈点が微小な1暗色点だとアトテン、微小な「く」字状の黄色条だとアトキスジです。。これは黒い点が見えるので、前者のアトテンクルマコヤガだと思われます。



後はいつも見ている種です。ツマトビコヤガ



シロシタヨトウ



ニセミカドアツバ



モクメクチバは前翅を開いていました。おかげで後翅が少しだけ見えました。



カバスジヤガの仲間ですが、カバスジヤガ、オオカバスジヤガ、ウスイロカバスジヤガの3種がいて区別がつきません。(追記2015/10/09:ささきさんから、「カバスジヤガの1種はちょっと擦れているので分かりにくいですが、翅の形からカバスジヤガだと思います。オオカバスジだったらもっと翅が長くてデカい感じ。そのため頭がもっと小さく見えます。ウスイロカバスジはもっと華奢な感じですが、それ以前にたぶん関西の低地にはいないと思います。そういう思い込みは危ないんですが・・・。ハマオモトヨトウがいたぐらいですから「何がいるか分からない」つもりでいるべきですが、これはウスイロじゃないと思いますね。」というコメントをいただきました。いつも見ていただいてどうも有難うございました



クロシタシャチホコ




ヨツボシホソバ



これはカギシロスジアオシャクですね。やはりアオシャクは綺麗ですね。



外横線がはっきりしていて鋸歯状なのでウスキヒメシャクだと思いますが、よくは分かりません。どうもヒメシャクは苦手ですね。その割にたくさんいるので困ります。



最後はチャハマキ。この日は小さな蛾はいなかったですね。
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廊下のむし探検 小さな蛾は大変

廊下のむし探検 第728弾

9月になって急に冷え込んできて虫の姿が減ってしまったのですが、その中では蛾は結構多く見ました。例年、3-4月、6月、そして、9月は多いのですが、例に漏れず今年も多かったようです。4日前の「廊下のむし探検」の結果の続きです。



こういう小さい蛾は名前調べにいつも困ってしまいます。今回も図鑑を何度も何度も見直したのですが、見つかりません。もう諦めようと思っていたのですが、最後に翅の形が特徴的なのでそれを手がかりに探してみて似た種にぶつかりました。キバガ科のツチイロキバガです。画像検索をすると似た種が見つかるので、少なくともこの近くの種ではないかと思います。ツチイロキバガは北海道から九州まで分布し、年2化、5月~10月に見られるそうです。なお、「標準図鑑」には、マメキバガという近縁種が1993年に日本から記録されましたが、現在のところ両種が独立種かどうか判断が難しいとのことです。



これも難しかったです。図鑑との絵合わせからポプラヒメハマキとしたのですが、自信はありません。「標準図鑑」によると、分布は本州で、5~9月に得られているそうです。



これはいつもいる蛾ですが、別の意味で難しい種です。似た種が多くて正確な名前が分かりません。いつもダイズサヤムシガとしているのですが・・・。



これも小さな蛾です。下に見える帯状の出っ張りの幅が3mmなので、それから大きさを推定してみてください。たぶん、チビツトガだと思います。北海道、本州、四国で見られ、6月~9月に出現するそうです。



やっと少し大きめの蛾になってきました。たぶん、ナミスジコアオシャクだと思います。



それにヒロバウスアオエダシャク



それと、ウスバフタホシコケガ



これはウスベニコヤガ



写真がうまく撮れなくて、これはだいぶ迷ってしまいました。でも、最終的にはこの間も見たユミガタマダラウワバにしてしまいました。



翌日は外出したため、「廊下のむし探検」ができなかったのですが、その行きしなに見た蛾です。マンションの玄関ホールのガラスに止まっていました。薄っすらと緑色が見えています。たぶん、ハイイロキシタヤガだと思います。

虫の名前調べが滞ってきたので、最近、「廊下のむし探検」を少し間引きしています。それでも、まだ2日前の結果が残っているので、今から名前調べです。

廊下のむし探検 羽アリがちょろちょろ

廊下のむし探検 第727弾

最近、いろいろと忙しく、名前調べがまた滞り始めました。3日前の「廊下のむし探検」の結果です。この日も虫がそこそこいたのですが、名前調べはどれも難しかったです。



初め、またハチかなと思って、コマユバチあたりの見当をつけて翅脈を見ていました。でも、ひょっとして、また雄アリかもと思い、過去の写真と比較してみました。



右は以前トビイロケアリとした雄アリです。頭の先端と後脚の基部で大きさを合わせています。両者を比較すると、外観はかなりよく似ていますが、触角が全然違います。トビイロケアリでは普通のアリらしく柄節が長いのですが、今回の個体はかなり短いです。また、翅の長さもトビイロケアリの方がだいぶ長い感じです。一方、触角は今回の方がだいぶ長いです。これを見比べ、やはり今回のはハチだなと思いましたが、一応、別の雄アリとも比較してみました。



右は、この間、オオハリアリ属♂かなと思っていた個体です。同じように頭の先端と後脚の基部で大きさを合わせました。右はアリにもかかわらず、触角柄節がたいへん短いです。というよりか、右と左の個体はそっくりですね。やはり、今回の個体はハチではなくて、アリだったのです。アリとハチは触角が違うと思っていたのですが、この仲間ではほとんど区別がつきません。写真で見分けるのはなかなか大変です。(追記2018/02/06:ハリアリ亜科ホンハリアリ属のケブカハリアリ♂のようです。詳細はこちらをご覧ください



こんなアリもいました。腹柄節が2節あるので、フタフシアリの仲間かなと思いました。翅脈を見ると、以前の分類で、IIIc、あるいは、IIIbだと思われます。論文によると、フタフシアリ亜科はこの翅脈になることが多いというのでやはりそうなのかもしれません。



こちらは雌有翅アリでしょうが、よくは分かりません。



これはトゲナシケバエ科の♂ですね。捕まえようと思って毒瓶を近づけた途端に逃げてしまいました。ケバエの仲間は何となく動作が鈍い感じがしたのですが、予想外に素早い動きでした。で、名前はよく分かりません。昨年の記事を見ていると、今頃出てきていたのは Plecia membranifera という種でした。これかもしれません。(追記2015/09/30:以前の記事を参照して下さい。2014/08/272015/08/23



クモの巣に引っかかっているケバエもいました。たぶん、ヒメセアカケバエですね。どうやらもう死んでいるようです。



小さな虫がちょこちょこ動き回っているので撮ってみたら、こんなガガンボみたいな虫でした。



コマダラウスバカゲロウがまたいました。それにしても複雑な模様ですね。



後はヒメホシカメムシと、



ツヤアオカメムシでした。



甲虫ではアオバアリガタハネカクシがいました。いつまでもいますね。



ジョロウグモがだんだん大きくなっていく感じです。この辺が私の恐怖心の限界かな。





こんなクモもいました。「日本のクモ」を何度も見たのですが、該当する種が見つかりません。さて、何でしょう。(追記2015/10/01:フッカーSさんから、「最後の画像は、ナガコガネグモのオスだと思います。図鑑は個体変異のバリエーションや全ての齢まで掲載されていない場合が多いので、標準的な成体以外は普通種でも判断が難しかったりしますね。数をこなしてくると、静止状態の姿勢などで何となく科が分かってくるかもしれません(コガネグモ科は隠れ帯の関係なのか、脚が前に2本うしろに2本の位置でX字状になるものが多い気がします)。」というコメントをいただきました。いつもいつも教えていただき、有難うございました

廊下のむし探検 エビガラスズメほか

廊下のむし探検 第726弾

朝の続きで、一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。



この日はこんな大物の蛾がマンションの外壁に止まっていました。エビガラスズメの♀の方ですね。昨年は9月11日に♂の方を見ていました。腹部がエビのような色なのでついた名前ですが、こうやって止まっているとほとんど見えません。



こちらはセスジスズメです。地下駐車場に止まっていました。なんだかんだと大物の蛾がいますね。でも、私はこの間のアシダカグモがトラウマになって、地下駐車場をびくびくしながら歩いています。



これはスギドクガです。



それに、これはスズキシャチホコです。



これはチョウセンツマキリアツバだと思います。よく見ていたつもりだったのですが、「廊下のむし探検」初登場でした。



シロマダラコヤガですね。写真を1枚撮っただけで、飛び去ってしまいました。これは今にも飛び出そうと警戒しているところかな。



これはオオハガタナミシャクだと思います。



これは名前調べにちょっと時間がかかりました。でも、後翅の奇妙な形から、ホソバチビナミシャクだろうということになりました。



どうしてこんな色をしているのか分からないのですが、模様がほとんど分かりません。翅型と僅かに見える外横線などからホシオビホソノメイガかなと思ったのですが、よくは分かりません。



これはトビイロシマメイガですね。





これは両方ともキベリハイヒゲナガキバガでしょうね。ちょこちょこいます。



最後はこの間も見たヤマモモキバガです。小さな蛾なのですが、拡大して見るとかなり面白い模様と形をしていますね。

廊下のむし探検 ダイコクコガネ、クサカゲロウなど

廊下のむし探検 第725弾

昨日の続きで、一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。蛾以外で残っているむしを紹介します。



最初はこの甲虫です。頭に短い角が生えています。たぶん、ダイコクコガネ類の♀だろうと思って、角と頭盾を拡大してみました。





「日本産コガネムシ上科標準図鑑」を見ると、本州に分布するダイコクコガネ属にはダイコク、ミヤマダイコク、ゴホンダイコクの3種がいて、検索表も載っています。でも、前脚脛節、腹面など重要なところを撮らなかったので、検索表に沿って進むのが難しいです。なによりも大きさを測るべきでした。上の3種の中ではゴホンダイコクだけが小型でした。それで、検索表や種の説明を読んでポイントとなるところだけを写真に加えてみました。

ミヤマダイコクは前胸背板の前角がゆるく丸くなり、決して外側で角張らなく、さらに、前胸背板の中縦溝も明瞭だとのことでまずは除けそうです。さらに、ダイコクコガネは頭盾前縁の切れ込みが浅く、また、♀の突起も小さく瘤状に突出というので除けそうです。結局、ゴホンダイコクコガネが残ることになりました。これは頭盾前縁中央の切れ込みが深く、この付近でほとんど無点刻であり、♀では中央に尖った円錐形をした短角があることなど特徴がよく一致しています。説明を読むと、ゴホンダイコクコガネは、奈良公園ではシカ糞を食べ、シカに依存した生活をして、普通に見出されるとのことです。そういえば私の家の周辺でもたくさんのシカがいるので、ゴホンダイコクがいてもおかしくないなと思いました。



後は例によってオオゾウムシです。このごろよく見ますね。



クサカゲロウがいました。緑色の体に黄色に中心線が入り、触角はそれほど長くはありません。翅脈は緑色です。こんな特徴を見ておいて、顔を拡大してみます。



頬に丸い黒紋、そ個から伸びた湾曲した黒い太い線状の模様、さらに、口肢が先端3節ほどは真っ黒です。ということからスズキクサカゲロウだと分かります。



また、いました。先ほどと外観は似ています。比較すると、体の中央を走る黄色い線がやや弱い感じ。



顔を拡大したときに、ちょっと違和感がありました。口肢の黒がそれほど強くないし、頬の黒、それから伸びる湾曲した線状模様も弱い感じです。一応、捕まえてきました。検索表に沿って調べるとヒメクサカゲロウ属になりました。この属にはヤマト、スズキ、アカスジの3種が載っています。アカスジは顔にX字型の模様があるのですぐに分かりそうです。残るはヤマトかスズキになります。どちらだと言われると、やはりスズキクサカゲロウのようです。先ほど気がついた点はやはり個体変異の内なのかもしれません。



もう1匹いました。外観的には体の中央の黄色の線がなく、触角は比較的長く、さらに、翅に黒い翅脈が走っています。明らかに違う種です。



顔を拡大すると、頬に黒い紋があり、口肢の先端節が暗色、触角柄節の外側が暗色になっています。この間から見ているクロヒゲフタモンクサカゲロウみたいです。クサカゲロウもいろいろと出てくるので、こんな特徴を整理しておくとよいですね。



後はガガンボです。この写真には写っていませんが、前脚脛節端に突起があるので、ガガンボ科ガガンボ属です。そこまではたどり着くのですが、そこでストップです。これは腹の先端が尖っているので♀です。



こちらは何だろう。翅を閉じていたので、調べませんでした。今頃、地下駐車場にガガンボがたくさん止まっています。昨年の10月初めの記事にもガガンボが大量に発生と書いていました。今年は少し早いのかな。

廊下のむし探検 ケブカカスミカメなど

廊下のむし探検 第724弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日は小さなカメムシが何匹も廊下の壁に止まっていました。



こんなカメムシです。カスミカメムシですね。調べてみると、ケブカカスミカメらしいです。「原色日本カメムシ図鑑第3巻」によると、西日本に広く分布し、年2回発生。幼虫はシダのイシカグマ、ヒノキ科のイブキビャクシン、マツ科のリュウキュウマツで見つかるとのことで、バラバラですね。まだよく分かっていないようです。



小さなクモが追いかけっこしていました。ネコハグモです。



こちらが♀みたいです。



そして追いかけていたのが♂。

この日はクモがいろいろといました。



腹側が黒いようなので、サツマノミダマシではなくて、ワキグロサツマノミダマシのようです。これも♂。



アオオビハエトリがアリを捕まえていました。アリの方は腹柄節が2節ありそうですね。何でしょう。





クヌギカメムシの仲間がいました。これには3種あるので、種までは分かりません。



ちょっと大型のトビケラです。「学研生物図鑑 昆虫III」で調べてみると、ツマグロトビケラのようです。初めてみました。実は、後翅が綺麗だったのですね。捕まえればよかった~。



それにいつものホシウスバカゲロウです。

まだまだいるのですが、長くなるので次回に回します。

廊下のむし探検 マエホシヨトウほか

廊下のむし探検 第723弾

3日前の「廊下のむし探検」の結果の続きです。



今日の最初はこの蛾です。地下駐車場の天井に止まっていました。今まで見たことがなかったのですが、「標準図鑑」で見るとヤガ科ヒメヨトウ亜科のマエホシヨトウのようです。分布は全国的で、平地から低山地に普通だそうです。



だいぶ鱗粉が取れてしまっていますが、たぶん、ホンドコブヒゲアツバではないかと思います。



こちらはフタテンヒメヨトウですね。





ヒメシャクはもううんざりです。でも、これでもか、これでもかと出てきます。上はウスキヒメシャク、下はサクライキヒメシャクかなと思ったのですが、あまりよく分かりません。



これもオレクギだかニセオレクギだかよく分かりません。こんな蛾ばかりですね。



これはテングイラガ



これはオキナワカギバではなくて、アシベニカギバの方でしょうね。



翅の前縁が赤くないのであれっと思ったのですが、やはりマエアカスカシノメイガみたいですね。この日はもう1匹いたのですが、やはり同じ色でした。



これはクロフタオビツトガ



これはキベリハイヒゲナガキバガですね。最近、よく見ます。



ミツボシキバガの仲間ですが、これも似た種が多くてよく分かりません。やっと3日前の写真整理が終わりました。ふーっ。

廊下のむし探検 チビタマムシなど

廊下のむし探検 第722弾

だいぶ、名前調べが追いついてきました。一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。蛾はたくさんいたので、その他の虫を先に出します。



まず最初はこのチビタマムシです。名前調べは頭盾を見ないと分からないなと思い出して、チャック付きビニールの小袋に入れて持って帰りました。でも、どこを見ても虫を入れた小袋が見つかりません。いろいろと探していて、ふと、服の上に黒い塊が。チャックがうまく閉まってなかったようです。

体長は3.4mm。外観からナミガタチビタマムシあたりかなと思って、とりあえず頭盾の縦横比を測ってみました。



まずは外観から。



次は頭盾です。写真の中の黄色い線の長さを測ったのですが、最初見た時は長方形でもないのに、どれを縦、どれを横にするのかなと思ってしまいました。でも、とりあえず横/縦比を測ると2.1。ちなみに以前にも同じような測定をしていました。その時は、体長3.2mm、頭盾の横/縦比はやはり2.1倍でした。外観もよく似ています。やはり以前見たものと同じでナミガタチビタマムシみたいです。



甲虫ついでにオオゾウムシも出しています。最近は毎日見ますね。



これはホオズキカメムシですね。



次はミツボシツチカメムシです。なんだか翅を開きそうな感じです。ちょっと待ってみました。



案の定、翅を開けましたが、意外に飛び立ちません。



そのまま翅を収めてしまいました。



マツヘリカメムシがまたいました。秋になるとしょっちゅう見ます。



この複雑な模様のウスバカゲロウはコマダラウスバカゲロウです。今年の7月終わりにも見ていました。



羽アリがいました。多分、雄アリでしょうね。でも、今回はパスです。



今度は翅を落とした女王アリです。腹柄節が2節あるような感じです。色も変わっているし、採集しても良かったのですが、女王アリは検索表がないので、どうせ分からないだろうと思って捕まえませんでした。

廊下のむし探検 クビキリギスほか

廊下のむし探検 第721弾

今日は9月24日なので、4日前の「廊下のむし探検」の結果になります。だいぶ、名前調べが溜まってしまいました。





今日の最初はこのクビキリギスからです。クビキリギスにはこんな茶色のものもいますが、だいたいは緑色をしています。どうして、緑と茶色という全然違う色になるのだろうと、ちょっと疑問になりました。いつもの悪い癖です。それで調べてみると、いくつか論文を見つけました。

田中 誠二、「ホルモンの昆虫科学 その5 トノサマバッタの体色多型とホルモン制御」、日本比較内分泌学会ニュース No. 101、3 (2001). (ここからダウンロードできます)
S. Tanaka, "Corazonin and locust phase polyphenism", Applied entomology and zoology 41, 179 (2006). (ここからダウンロードできます)

これらは農業生物資源研究所の田中誠ニ氏の研究によるものです。内容を要約すると、田中氏はトノサマバッタを試料として、体色多型の仕組みを調べてきました。まず体色多型は通常、緑と茶の2色があります。これらに影響を与える因子としては、温度、湿度、背景色、幼虫の生育密度などがあります。例えば、温度が高いと緑、湿度が高くて緑色の草が青々と茂っていると緑、というぐあいです。体色変化にはこの他、バッタが密集していない孤独相か、それとも密集している群生相かによっても大きく変わります。孤独相では緑-茶色ですが、群生相では黒くなります。

これらの色変化にはホルモンが関係しています。どのように関係しているかを調べるために、田中氏は体色の白いアルビノの系統を用意しました。このアルビノの幼虫期にホルモンを与えることにより、脱皮後に体色変化を引き起こすのです。いろいろな実験を行った結果、体色を変化させるにはアラタ体から出る幼若ホルモン、側心体から出るコラゾニンという11個のアミノ酸からなるペプチドホルモンが必要だと分かりました。幼若ホルモンは体色を緑にし、コラゾニンは黒くします。問題はその与える時期で、幼若ホルモンは(3齢以降の)脱皮直前に与える必要があります。これに対して、コラゾニンは脱皮直後に与えると次の脱皮で黒くなりますが、脱皮直前では赤茶色になるそうです。このコラゾニンの量も重要で、量によって色は黒から、野外で見られるような褐色、茶色、紫などの色まで現れたそうです。

つまり、幼若ホルモンとコラゾニンという2つのホルモンが幼虫のときに働くために、脱皮した後、体色が変化するというわけです。さらに、そのホルモンの働きは温度、湿度、背景色、群生の程度などで大きく変化するということでした。ということは、この写真の茶色の個体は体色変化の仕組みがトノサマバッタと同じだとすれば、幼虫期に低温か、低湿か、茶色の背景にいたということになりますね。(追記2015/09/27:その後、レビュー論文などを見たのですが、コラゾニンが群生相での黒化に関係するという主張はだいたい同じなのですが、幼若ホルモンとコラゾニンの2つが、自然界の孤独相で見られる緑・茶体色多型に関係しているという部分はどうもはっきりしません。まだ、未解決なのかもしれません



次はクサカゲロウです。例によって顔を拡大してみます。



この模様からヤマトクサカゲロウみたいです。



体長約3mmの小さな働きアリです。触角が長いのですぐに分かるかなと思って採集してきました。検索をしてみたのですが、ヤマアリ亜科あたりで迷子になってしまいました。もう少し頑張ってみます。



後はコアオハナムグリ



チュウガタシロカネグモ



ワスレナグモ



それに、ヤサアリグモでした。クモがいろいろといましたが、アシダカグモに比べると可愛いものです。

廊下のむし探検 蛾いろいろ

廊下のむし探検 第720弾

ブログに出してきた写真リストの更新をずっとやっていて、名前調べがまったく進んでいませんでした。今日の午前中に作業が終わったので、やっと先程から3日前の「廊下のむし探検」の名前調べを始めました。



まずはこの目立たない蛾からです。外横腺が変わった形に曲がっています。これに気がつけば、名前調べは楽だったのですが、それに気が付きませんでした。たぶん、ユミガタマダラウワバだと思います。



こちらはミツモンキンウワバだと思います。



これはなかなか厄介です。ヒメマダラ、クロマダラ、ヘリグロマダラ、ヒトスジマダラという似たような4種があって模様ではまったく区別がつきません。「標準図鑑」を見ると、腹端の腹面の鱗毛を小筆などで除去し露出させると、解剖せずに交尾器の特徴の一部を見ることで同定が可能とのこと。一度、標本で試してみるかな。



これはウスクロテンヒメシャクではないかと思います。



これはオイワケヒメシャクかな、それとも、サクライキヒメシャクかな。



これはヒメクロミスジノメイガ



ネモンノメイガ



コガタシロモンノメイガ



これはよく分からないのですが、マエウスモンキノメイガかな。



最後はこの蛾。中位の大きさの蛾ですが、これだけ鱗粉が取れているとよく分かりません。

ほかの虫は次回に回します。

廊下のむし探検 アシダカグモ!

廊下のむし探検 第719弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果を紹介しようと思っていたのですが、今日、外出するときに地下駐車場で恐ろしいものを見てしまいました。



アシダカグモです。ちょっと胴体部分を拡大してみます。



脚を広げると10cmは軽く越えるような大きさです。これがわが家の車のすぐ上の壁に止まっていました。車の扉を閉めると、その衝撃で恐ろしい速さで動きます。「廊下のむし探検」を始めてから、クモにもだいぶ慣れてきたのですが、これは駄目です。外出から帰ってきた時もまだそのままいました。

思えば東京から初めて大阪に引っ越してきたとき、夜、ふと見たら部屋の壁にこのクモがついていました。びっくりするというより、恐怖で顔が引きつってしまいました。その夜は何とか部屋から追い出したのですが、近所の人に聞くと、ゴキブリを退治してくれるので便所で飼っているとのこと。ところ変われば品変わるって感じですね。最近、私のマンションにもゴキブリが出始めた思ったら、アシダカグモもやってきました。

それでは一昨日の虫です。



これは尾が長いので、ヒメツバメかハガタツバメあたりかなと思ったのですが、結局、ヒメツバメアオシャクにしました。



こちらはヨツモンマエジロアオシャクです。ヨツモンはすぐに分かるのですが、マエジロがなかなか気が付かなくて、つい、ヨツモンアオシャクなんて言ってしまいます。



ゴマフリドクガです。



○○ホソバだと思うのですが、名前は調べませんでした。



これはコブノメイガの♂ですね。前翅前縁のところがやはり変です。



シロオビノメイガ



これはマダラウスバカゲロウです。



これはたぶん、ホシウスバカゲロウだと思うのですが、腹を曲げているのですね。ちょっとトンボのような格好です。



この間もいたオオチョウバエ



腹部に黒い点が見えるので、チュウガタシロカネグモだと思います。アシダカグモに比べると可愛いものですね。

廊下のむし探検 チズモンアオシャクほか

廊下のむし探検 第718弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果がまだ残っていました。ざっと出しておきます。



この日は珍しくチズモンアオシャクを見ました。アシブトチズモンアオシャクはよく見るのですが、こちらは「廊下のむし探検」初登場でした。「大図鑑」によると、両者の違いはアシブトチズモンでは、「前翅中央の紫褐帯が外方に傾斜せず、ほぼ垂直。中央より外の緑色部の外縁がM2-M3で外方に出ばる。」とのことです。比較のために、アシブトチズモンの写真も出しておきます。



矢印で示した部分を指しています。この写真の個体の場合は中央の紫褐帯の傾きで違いはよく分かります。撮影した時はいつもより緑色が濃いなと思ったので翅の色も少し違うのかもしれません。



こちらはヨモギエダシャク



これはオレクギだか、ニセオレクギだか分からない個体。



それにウスクロテンヒメシャク。似た種にクロテントビヒメシャクがいるのですが、外縁に沿って濃色ではないので、ウスクロテンかなと思いました。



これはたぶん、ミカエリソウノメイガではないかと思います。



これはクロオビクロノメイガかなと思ったのですが、自信はありません。ノメイガも似たような模様が多くて難しいですね。



これだけはっきりした模様だと楽なのですが・・・。シロオビノメイガ



そしてネモンノメイガ



それからナガハマツトガです。これでやっと一昨日の蛾の整理が終わりました。

廊下のむし探検 綺麗なハチほか

廊下のむし探検 第717弾

一昨日の「廊下のむし探検」の続きです。





今日の最初はこのハチです。惚れ惚れするような色と形をしています。普通だったら採集するのですが、あまりに綺麗なので、写真だけにしてしまいました。上の写真でわずかに見える翅脈からヒメバチ科であることが分かります。ここからがいつも分からないのですが、「原色昆虫大図鑑III」の図版を見ていたら、オナガバチの仲間に似ていることが分かりました。この仲間は長い産卵管を持つのが特徴なのですが、♂はおそらくこんな恰好なのだろうと思い、後はネットでいろいろと探してみました。オナガバチ亜科Rhyssa属のシロフオナガバチに似ている感じですが、どうでしょうね。

追記:いつも参考にしている"Information Station of Parasitoid wasps"を見てみました。ヒメバチ科の亜科の検索は採集していないのでとても無理で、オナガバチ亜科だとして調べてみました。まず、近縁のクチキヒメバチ亜科とは「前翅翅脈cu-a脈の起点はRs+M脈とCu脈の合流点よりも翅の先端方に位置する。」という特徴で区別できます。この特徴はいくつか写した写真で確かめられたので、この2つだとオナガバチ亜科の方みたいです。さらに、属の検索では、Rhyssa属は鏡胞があるのが特徴ですが、残念ながらこの個体にはありません。従って、上の予想は外れてしまいました。鏡胞のないのはEpirhyssa属とTriancyra属です。これについては上のサイトと「日本産ヒメバチ目録」で標本写真が一部見られます。いろいろと見てみたのですが、まだピタリという種が見つかっていません)(追記:標本写真をつらつら見ていると、サッポロオナガバチ Epirhyssa sapporensis あたりが近そうな



他にもハチはいました。地下駐車場の壁に止まっていました。セグロアシナガバチですね。襲ってこないと言われたのですが、やはり近づくのは怖いです。



これは廊下で死んでいました。単眼の部分が黒いので、キイロスズメバチかなと思ったのですが・・・。



これは4日前に見た羽アリです。翅脈を見ると、mcuという小さな部屋が見えます。これは以前紹介したアリの翅脈の論文

K. S. Perfilieva, "Trends in Evolution of Ant Wing Venation (Hymenoptera, Formicidae)", Zoologicheskii Zhurnal 89, 965 (2010). (ここからダウンロードできます)

によると、IIIdに分類される型です。でも、このタイプの翅脈を持つものは多くて、カタアリ亜科の23%、ヤマアリ亜科の26%、フタフシアリ亜科の18%などだそうで、分類にはつながりません。一応、採集してきたので今度調べてみます。



またしてもガガンボです。腹部末端が尖っているので♀です。翅脈はガガンボ科を示しています。前脚脛節末端の棘の有無で、マエキガガンボ属かガガンボ属かというのが分かれることになります。そこで、何とか撮ってみました。



小さいけれど棘が見えます。これでたぶんガガンボ属だということが分かりました。でも、ここから先はどう進んでよいのやら。



これはヒゲナガサシガメです。



そしてこれはオオホシカメムシでしょうね。



ウスバカゲロウがいました。これとコウスバカゲロウの違いは翅の縁紋近くの翅脈を見ればよかったでしたね。ここに横脈があればウスバ、なければコウスバ。これはあるので、ウスバカゲロウだと思います。



また、オオゾウムシがいました。這い回っているので、ゴミをいっぱいつけています。



最後はワスレナグモです。この頃多いですね。

廊下のむし探検 蛾が続々

廊下のむし探検 第716弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果で、一部、3日前に撮った虫も含まれています。昨日は蛾だけで21種。例年、9月は多いのですが、今年も例にもれず増えてきました。



今日は「廊下のむし探検」初登場が何種かいました。そのうちの一つがこのアシブトクチバです。実物を見た時は少し青光りしているような感じがしたのですが、フラッシュをたくと茶色になってしまいました。中型の大きさで、廊下の壁に止まっているときは遠くからでもよく分かりました。



これも「廊下のむし探検」初登場です。ハイイロセダカモクメというヤガ科の蛾です。私の標本箱を見てみると、9月に採集した個体が1頭だけ入っていました。



後はアツバと名のつく蛾が何種かいました。これはヤマガタアツバですね。



これはちょっと迷いました。たぶん、ヒゲブトクロアツバだと思うのですが、どうでしょう。



それにアオアツバです。



ツマジロツマキリアツバです。これは何度か見ていました。



それにウスキコヤガ





ヤガ科からコブガ科に移ったリンガの仲間がいました。これはクロオビリンガですね。この日は2匹いました。



これもリンガの仲間で、翅形からウスアオリンガだと思います。



それにヒトリガの仲間のアカヒトリです。上とこの2匹は共に3日前に写したものです。



ヨツボシホソバの♂です。



これはちょっと問題の種です。ヨツボシホソバとマエグロホソバの♀は模様では区別がつかないのですが、以前にも書いたように翅脈で見分けることができます。この写真の個体ではよく見ると翅脈が見えています。M2脈らしきものが見えるので、たぶん、ヨツボシホソバの方かなと思いました。

後は次回に回します。

来年の3月からマンションの改修工事が始まるので、「廊下のむし探検」ができなくなります。それで、この機会にこれまで撮ってきた写真で「廊下のむし図鑑」でも作ってやろうと思っていろいろと試しています。今は、イラガ科について見本を作っている最中ですが、写真の下にコメントを入れられるようにしました。できたのがこれです。これはすべてEXCEL上で作っているので、一度見本ができたら後は簡単に拡張できるのではないかと思っています。学名を入れるのが若干面倒なのですが、蛾の場合はLIST-MJ日本産蛾類総目録のEXCELファイルを使わせていただくことにしました。これで少なくともコピペで入れられます。さらに、このままpdfで保存するとそのまま印刷もできます。意外にいいかもしれません。フリーのレンタルサーバーを使っているので、ちょっと広告が邪魔ですけど・・・。

廊下のむし探検 フタオガほか

廊下のむし探検 第715弾

昨日は、実は途中までだったので、3日前の「廊下のむし探検」の続きを書きます。





今日はこの和服を干したような格好で止まる蛾からです。これはたぶん、クロホシフタオというフタオガの仲間です。フタオガというは尾が2つあることから名付けられた名前です。この変わった止まり方がいつも気になります。なんでこんな格好をしているのでしょうね。これも何かの擬態でしょうか。(追記:通りすがりさんから、「クロホシフタオは2化目ですか。形から枯れ葉か部分枯れ擬態かと思いますが、食痕よりも蛾に見えますよね。ミナミクロホシフタオとの区別は色なんですかね?」というコメントをいただきました。迂闊にも近縁種がいることに気が付きませんでした。「大図鑑」が発行されたときに、クロホシフタオに混同されていたが、交尾器のほかに、♂触角の葉片、外縁の出っ張り、外横線の傾き、後縁の黒褐色紋、亜外縁部の点列などの異なる2種、ヒメクロホシフタオとミナミクロホシフタオが新記載されました。ヒメクロホシは明らかに違いそうですが、クロホシとミナミクロホシは「大図鑑」の説明を読む限り、外見上の違いは♂触角葉片くらいしか書かれていません。手元の標本を見て少し検討してみます

追記2015/09/21:「大図鑑」によると、クロホシフタオの♂とミナミ、ヒメの♂とは触角が異なるようです。そこで、手持ちの標本を調べてみることにしました。全部で6匹あったのですが、そのうち♂は2匹、♀は4匹でした。♂の触角は両方とも同じで、クロホシフタオの説明に載っている、「葉片状で突起が長い」という表現がよく合っていました。ミナミとヒメは葉片が互いに密着し、突起が見えないとのことです。標本写真と触角の拡大を載せます。





この標本は、図鑑の説明のようには前翅外縁は角張っていないのですが、これがクロホシフタオの♂ということになります。写真の個体と似た翅型の標本もありました。



残念ながら、これは♀でした




次はこの蛾です。たぶん、ウラキトガリエダシャクだと思います。どこかで見たなと思っていて図鑑を探していたのですが、昨年の5月に見ていました。



次はこれです。この蛾はホシミスジエダシャクでしょう。だいぶ翅が傷んでいます。これは昨年の5月、今年の4月に見ていました。



こちらはクビシロノメイガです。



ちょっとはっきりしないのですが、たぶん、ヒメクロミスジノメイガだと思います。



それからチャハマキ

蛾以外はほとんど虫を見なくなりました。



わずかにいるのはこのアオドウガネと、



ツヤアオカメムシと、



それにガガンボです。今回は♂なので調べる絶好のチャンスなのですが、ダニが2匹くっついているのでパスしました。

廊下のむし探検 ヤマトアツバなど

廊下のむし探検 第714弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。





今日の最初はこの蛾で、ヤマトアツバといいます。私にとっては馴染みの深い蛾なのですが、「標準図鑑」によると、分布は本州(京都府、大阪府、兵庫県)となっていて、私の住む近畿一円だけで採集されているようです。私のマンションでは今年の6月9日にも見ていました。小さな蛾ですが、何となく落ち着きなく動きまわります。



アツバついでに他の蛾です。これはヤマガタアツバだと思います。こちらはよく見ます。



そしてこれはトビモンアツバ



色が薄いので、何だろうと思ったのですが、たぶん、いつも見ているアオアツバだと思います。



これはオオシロテンクチバだろうと思います。こちらは「廊下のむし探検」初登場です。



それから前日も見たミツモンキンウワバ



それにリュウキュウキノカワガです。変わった模様をしていますね。琉球という名がついていますが、本州、四国、九州にも分布しています。



前脚にちょっと黄色い部分が見えています。それでキハラゴマダラヒトリだと思います。



アカスジシロコケガですが、前翅前縁が途中で窪んでいます。これは♂の方です。





下の方が蛾は色が薄いですが、ともに、ヨツボシホソバの♂だと思います。



♀もいたのですが、こちらはヨツボシホソバか、マエグロホソバか区別がつきません。

この間から「廊下のむし図鑑」を作ろうと思って、いろいろと試しています。とにかく楽に作れるWeb版図鑑にしようと思っています。今日試しにイラガ科を作ってみました。こちらを見て下さい。イラガ科以外はリンクを張っていないので開きません。これはHTMLでTABLEを作っておいて、その中身を別にEXCELで作っておき、EXCELの該当欄をコピーをするだけで簡単にできるようにしています。画像をクリックすると大きくなり、また、種名をクリックするとこれまでの画像リストにリンクするようにしています。画像リストはもともとTABLE形式で作られているので、目的とする行にアンカーを置いておき、そこを参照するようにしています。こんな感じでWeb版図鑑を作っていこうかなと思っています。

ついでにこれまでの集計も行いました。今日の分まで合わせて、

蛾 850種、カメムシ 98種、甲虫 378種、その他 366種  合計 1692種

でした。もう一年ほど観察を続ければ2000種になったかも。でも、来年の3月からはマンションの改修が始まるので、「廊下のむし探検」も当分の間お休みになります。ちょっと残念、ちょっとホッと。

廊下のむし探検 ミツカドコオロギほか

廊下のむし探検 第713弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。やっと名前調べが追いついてきました。





地下駐車場の天井にミツカドコオロギがいました。この間は後ろ姿だけだったのですが、今回は前から写すことができました。ちょっと斜め上からですが・・・。





それから、この間から見ているウスグモスズです。



クサカゲロウもいました。翅の横脈が黒いですね。顔もアップしてみます。



頬に黒い点があり、口肢が黒く、触角の柄節の外側が褐色になっています。こんなところに気をつけて検索をしてみると、クロヒゲフタモンクサカゲロウになりました。そう思って調べてみると、この間から何度か見ていました。



これも以前出てきました。ヒメホシカメムシか、オオホシカメムシの4齢幼虫でしたね。「日本産幼虫図鑑」によると、ヒメホシの幼虫はオオホシに比べて明らかに小型で、腹部の地色と黒色の斑紋との対比がよりはっきりしているとのことです。図鑑に載っている写真を見ると、ヒメホシは地色がもっと明るい色なので、これはたぶん、オオホシカメムシだと思われます。



また、やや大きな雌有翅アリがいました。今頃出てくるのは何だろう。



トビケラも時々見るのですが、なかなか調べる余裕がありません。冬だと暇なのですけど・・・。



これはホシウスバカゲロウですね。



小さくて、しかも天井にいたのではっきりとは写っていないのですが、アカクビホシカムシでしょうね。



蛾は少なかったので、一気に載せます。これはヨツメアオシャク



キマエアオシャク



クロモンアオシャク



ウスオエダシャク



スジベニコケガ



ナシケンモン



ヤサアリグモ



チュウガタシロカネグモ

これで終わりました。なかなか大変!それにしても、雌有翅アリがちょっと気になります。

廊下のむし探検 蛾ばかり

廊下のむし探検 第712弾

3日前の「廊下のむし探検」の結果です。最近、だんだん整理しなければならない写真が溜まってきてしまいました。





秋になるとキンウワバの仲間が増えてきますね。上はイラクサギンウワバ、下はミツモンキンウワバだと思います。キンウワバの仲間は銀色の面白い模様あるので、ヤガの中では好きな方です。



こちらはニセミカドアツバです。



模様だけ見ると、シラクモアツバとハングロアツバは似ているので、ちょっと迷ってしまいました。でも、色が茶色なので、たぶん、ハングロアツバなのでしょうね。



オオアカマエアツバとニセアカマエアツバという似た種があって、この写真では区別がつきません。♂の触角には瘤状の結節があり、また、下唇鬚の先端で2種見分けられるのですが・・・。



こちらはシロズアツバです。



これはプライヤエグリシャチホコ



ゴマフリドクガ



ツマキエダシャク



アシブトチズモンアオシャク。だいたい、いつもいる蛾ばかりですね。




これはまた、サクライキヒメシャクでしょうね。今頃多いのかなぁ。よく見ます。



それにカシノシマメイガでした。3年近く「廊下のむし探検」を続けていると、初登場の蛾はだんだんいなくなってしまいますね。

廊下のむし探検 マツヘリカメムシほか

廊下のむし探検 第711弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。9月になって虫が減ってきた感じです。すっかり秋になったようですね。今年ももう終わりかな。



秋になるとこのマツヘリカメムシを見始めます。思えば、2013年10月25日にマンションで初めて見つけてから、毎年毎年数が増えてきています。ネットを探していると、次のような報文を見つけました。

根来 淳代・植田 義輔、"マツヘリカメムシの大阪府枚方市からの記録"、きべりはむし 37 (1)、41 (2014). (ここからpdfがダウンロードできます)

「きべりはむし」は兵庫昆虫同好会の機関紙です。これを読むと、このブログが引用されていて、この記録が近畿初記録だったようです。今年もこれからだんだん増えてくるでしょう。



廊下の壁にりっぱなカミキリが止まっていました。触角が短いのでニセノコギリカミキリでしょうね。触角があまりに立派なので拡大してみました。



全部で12節。♂みたいですね。



オオセンチコガネは廊下のあちこちで転がっています。いつもひっくり返っているのですが、これはまともだったので撮影しました。自分で起き上がれないと困るでしょうに・・・。



これは地下駐車場の天井にいました。オオゾウムシです。



ホシウスバカゲロウもいました。



マダラガガンボの♀です。この辺りにいるのはみなマダラガガンボ近縁種の方だったので、これもおそらくそうでしょうね(2014/04/14の記事を見てください)。

蛾は多いので、次回に回します。

虫を調べる トゲアリ属の雄アリ?

この間、やや大きめの羽アリを見つけました。



こんなアリです。体長は8mm、前翅長9mm。触角が伸びていて、頭部がこんな恰好なので、たぶん、雄アリです。雄アリは「日本産アリ類画像データベース」に属までの検索表が載っています。早速やってみると、ヤマアリ亜科オオアリ属になりました。でも、検索表の最後のところでオオアリ属とトゲアリ属に分かれるところがどうもはっきりしなくてもやもやしていました。試しに、トゲアリの雄アリで画像検索してみると、アリを飼育されている方が雄アリの写真を出していて、それにそっくりでした。そこで、もう一度最初から検索をしてみることにしました。

雄アリの亜科への検索表のうち、必要な部分だけ上のデータベースから抜粋すると次のようになります。



これを写真で確かめていきたいと思います。例によって、写真に検索表の番号と項目を書き込んでみました。



Fig. 1は横から見たところです。全身が長い毛で覆われていることが分かります。腹部第1節がちょっと歪んでしまっていますが、気にしないで下さい。



次は頭部です。字がいっぱいですが、このくらい顔に関する項目が多かったということです。まず①は大顎がそれほど大きくなくて、また、頭の形が横長でないことを意味しています。②は額隆起線が後方に向かって広がっているという内容です。写真では額隆起線が少し見にくいのですが、拡大して見ると線が入っていることが分かります。



さらに腹部末端の亜生殖板というのが図の矢印の部分ですが、これの突起が1つというのは何を意味しているのか・・・。よく分かりません。

Fig.1から腹柄節が1節だという③はすぐに分かります。④は触角挿入部が大顎から離れていること、それに頭盾が消失していないこと、それに額隆起線があることなどですが、いずれもOKです。⑤は大顎の歯が粗いことと、腹柄節の幅に関するものです。次の写真を見て下さい。



腹柄節はM字型をしていますが、特に横長というわけではありません。⑥は腹部第2節の前縁が第1節の下に入り込んでいることを意味しています。



さらに、盾板と小盾板の間に変わった模様は入っていません。ということで、ヤマアリ亜科に到達しました。

次は属への検索です。やはり検索表を抜粋して載せ、通し番号をつけました。



最後の部分はトゲアリ属とオオアリ属の両方への道を書いておきました。まず、⑦は大顎が鎌状でないことを言っています。Fig.2を見ると、一見、鎌状のような気がしますが、サムライアリ属はもっと大きな鎌になっています。⑧は次の写真を見てください。



ご覧のように触角は13節あります。最後の13節目が薄っぺらいのですが、これについては後で拡大した写真を載せます。⑨は次の写真に載せました。



中胸側板上の黄色の部分の拡大写真を左上に載せました。鱗状の構造が見えます。⑩の前伸腹節の気門はFig. 4に載せましたが、スリット状です。⑪の触角挿入部は頭盾から離れたところにあることがFig. 2から分かります。さらに、後胸側腺の開口部はFig. 7にあるようになくなっています。これで、トゲアリ属かオオアリ属かという段階に達しました。

最後の決め手は頭部が複眼の上と下で比較して、下側が細くなっているかどうかです。Fig. 2に黄色の矢印を入れてみましたが、この写真を見る限りは細くなっていないので、トゲアリ属になります。でも、実は最初ここで間違ってしまいました。もう一つ条件があります。それは腹部第1節背面に剛毛があるかどうかです。Fig. 4を見ると、背面はつやつやしていて剛毛はありません。最初は腹部にも毛が多いので、剛毛があるとしてしまいました。でも、分かってしまうと検索表の通りで、この個体はトゲアリ属で間違いないようです。

トゲアリ属で本州に生息するのは、トゲアリ亜属のトゲアリとマルトゲアリ亜属のチクシトゲアリの2種です。残念ながら、ここから先の雄アリの検索表がないので、ここでストップです。ですが、後者はまれなので、たぶん、トゲアリの方ではないかと思っています。「日本産アリ類全種図鑑」(学研、2003)によると、トゲアリの結婚飛行は9ー11月なので時期も合っています。

トゲアリは一時的社会寄生という変わった生活をすることが知られています。これについては、「日本産アリ類全種図鑑」に詳しく載っています。これによると、結婚飛行を終え交尾した女王アリは翅を落とした後、クロオオアリやムネアカオオアリなどの巣の中に入り、働きアリに馬乗りになってそのまま数日間押さえ込み、匂いを体に移すそうです。その後、宿主の女王アリを殺して、そのまま女王アリとして居座ります。働きアリから栄養を受け取り、自分の卵を産んで宿主の働きアリに育てさせます。トゲアリの働きアリの数が増えてくると、本来の巣である木の洞に集団移動します。この頃になると、宿主の働きアリは寿命で死んでいくので、結局、トゲアリだけの巣が出来上がるというわけです。

トゲアリやチクシトゲアリの雄アリの記述がないかとあちこち探し回ったのですが、結局、次の論文にちょっと載っているだけでした。

A. C. F. Hung, "A revision of ants of the subgenus Polyrhachis Fr   Smith   (Hymenoptera:
Formicidae:  Formicinae)", Oriental  Insects 4, 1 (1970). (ここからpdfがダウンロードできます)

この中で、トゲアリの雄について書いてありました。その部分を訳してみると、

雄:黒くて毛が多い;黄褐色の毛が脚を除いて体全体を覆う。大顎は尖った先端を持ち、そしゃく縁には歯がない。中胸背板は湾曲していて、胸部には棘がない。腹柄節の棘は短く、結節がある。後翅には中室はない。交尾器は・・・

となります。大したことは書いてありません。腹柄節の棘が短いことは写真でも分かりますが、結節(tuberculate)って何だろう。このように雄アリの情報があまりにも少ないので、検索に使わなかった写真も少し載せておきます。



まずは翅脈の写真です。翅脈の名称は次の論文によっています。

M. Yoshimura et al., "Male-based Keys to the Subfamilies and Genera of Japanese Ants (Hymenoptera : Formicidae)(Systematics, Morphology and Evolution)", Entomol. Sci. 5, 421 (2002). (ここからダウンロードできます)

なお、この論文にはトゲアリ♂の頭部と腹部第1節の走査電顕写真も載っていました。



触角の先端はスプーンのようになっています。



腹部末端の拡大写真です。



頭部は何枚か写真を撮りました。口肢が長いですね。



これも頭部の写真です。やや後ろから。



前胸背板後縁に少し短い棘のようなものがあります。実はこれを見て、ひょっとしてトゲアリ属かもと思いました。



最後は変わった形の腹柄節を斜め上前から撮ったものです。

アリは、働きアリの情報は多いのですが、雄アリや雌有翅アリの情報は驚くほど少ないです。これは巣を見つけると働きアリばかりいるからでしょうが、私のマンションには雄アリや雌有翅アリばかりがやってきます。情報を増やすためにもいろいろと捕まえて写真を撮っておこうかなと思いました。

廊下のむし探検 蛾と甲虫

廊下のむし探検 第710弾

昨日から羽アリの検索をしていて、廊下のむしの名前調べが止まっていました。それで慌てて調べました。一昨日の「廊下のむし探検」の結果の続きです。合っているかな。





小さな蛾なのですが、なかなか止まってくれなくて、やっとこんな格好で動きを止めました。でも、すぐにでも飛び立ちそうです。模様がはっきりしないのですが、たぶん、ウスオビクロノメイガではないかと思います。



こちらは天井に止まっていました。モンキクロノメイガでしょうね。



コブノメイガがまたいました。こちらは前翅前縁付近に歪みが見えないので♀でしょう。





この間からこういう蛾をサクライキヒメシャクとしているのですが、正直よく分かりません。(追記:ささきさんから、「ヒメシャクはご指摘の通り『サクライキヒメシャク』で正解と思います。ヒメシャクは本当に紛らわしいですね。」というコメントをいただきました。どうも有難うございました



こちらはヤマガタアツバ



これは何だかさっぱり分かりません。



蛾はこのくらいで、後は甲虫です。これはコクワガタでしょうか。



それにサビキコリ



そして、ウスモンカレキゾウムシでした。

廊下のむし探検 ヒシバッタ、雄アリなど

廊下のむし探検 第709弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。今日は外出していて、名前調べが遅れてしまいました。



今日の最初はこのヒシバッタからです。例によって上からも写してみました。



ヒシバッタの検索表は

日本直翅類学会編、「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」(北大出版、2006)、
市川顕彦、「絵とき検索日本本土のヒシバッタ類(I)、(II)」、昆虫と自然 33(2), 43 (1998)、33(4) 31 (1998)

に載っています。今回は上の本の検索表を使ってみました。必要な部分だけを抜書きしました。



結果的には写真からだと種までは特定できなかったのですが、途中まで行ってみます。







検索表の項目の番号と内容を書き込んでおいたので見て下さい。これを見ていただくと、⑧のヒシバッタ属までは間違いないと思うのですが、次の⑨のところで引っかかってしまいました。というか、いつもそうなのですが・・・。正面から撮影しなかったので、前胸背板が前から見ると膨らんでいるかどうかがはっきりしません。また、産卵管が太いのか細いのかも相対的なので判断できません。従って、⑨Aと⑨Bの2つの道を進むことにします。さらに厄介なのは、このヒシバッタ、後脚の膝の上に窪みがないのでどうやら幼虫のようです。検索表は成虫に対するものなので、それも問題です。でも、構わず進んでみることにします。

⑨Aに進むとハラヒシバッタになります。⑨Bに進むと、翅が中翅・長翅か、それとも、短翅・微翅かという選択になります。翅の長さの呼び方については市川氏の論文に出ていました。微翅、短翅、中翅、亜長翅、長翅の5つの呼び方に分けているようです。このうち、亜長翅と長翅は前胸背板より後翅が長くはみ出している場合、微翅や短翅は遥かに短い場合を指しています。この個体は上の写真のように前胸背板より僅かに短いので、中翅ということになります。従って、⑪に進みます。さらに、前胸背板はアーチ型に盛り上がってはいないので、⑫に進みます。⑫の前半部分の前胸背板前縁幅は測定しなかったので、後半部分で判断すると、中翅であることを考えてヤセヒシバッタの可能性が高くなります。従って、ハラヒシバッタか、ヤセヒシバッタのどちらかということになりましたが、ここでストップです。やはりヒシバッタは採集した方がよいような感じですね。いつも正面からの撮影を忘れてしまいます。



次はクサカゲロウです。いつものように顔の部分を拡大してみます。



頬や頭盾の端の模様、それに、口肢の外側が暗色なので、たぶん、ヤマトクサカゲロウですね。



小さいアリだと思うのですが、以前からいるハリアリ亜科でしょう。(追記2018/02/06:ハリアリ亜科ホンハリアリ属のケブカハリアリ♂のようです。詳細はこちらをご覧ください



これはクロオオアリの働きアリです。



最後はこの雄アリ。かなり大きかったので採集してきました。全身に長い毛が生えていて、腹柄節も変わった形をしています。体長は8mm、前翅長9mmでした。雄アリなので、「日本産アリ類画像データベース」に載っている雄アリの検索表で調べてみました。ヤマアリ亜科であることは間違いなく、さらに、オオアリ属まではたどり着きました。雄アリについては種への検索表が載っていないので、ここでストップです。でも、かなり特徴的なアリなので、もう少し調べてみます。(追記:現在調べている最中ですが、オオアリ属ではなくて、トゲアリ属かもしれません。属への検索の最後の部分でオオアリ属とトゲアリ属が分かれるのですが、そこを間違ったみたいです

残りは次回に回します。

廊下のむし探検 ヤママユやっと登場

廊下のむし探検 第708弾

一昨日の結果ですが、今年初めてヤママユに会うことができました。



ちょっと翅の先が破れていましたが・・・。一昨年は6匹、昨年は2匹、今年は破れた翅だけと、ヤママユに会う機会がだんだん少なくなってきていました。私自身は、大型なのでかなり怖いのですが、それでもいなくなると何となく寂しく思っていました。とりあえず、今年も1匹記録されたことになります。



近くにハグルマトモエもいたのですが、ヤママユに比べるとずいぶん小さく見えました。



これはアサケンモンかな。だとすると、「廊下のむし探検」初登場です。(追記:ささきさんから、「ケンモンは大きさがよく分かりませんが、斑紋は何となくシロシタケンモンっぽく見えますね。」というコメントをいただきました。確かに調べてみると、シロシタケンモンのようです。私の同定ミスでした。ささきさん、どうも有難うございました



これはリンゴドクガです。



これはウスクロスジチビコケガです。昨年9月末に見ていました。



これは○○ホソバですが、ちょっと名前は分かりません。



アオバシャチホコだと思うのですが、こんな姿になっていました。



赤い筋がこんなに太いのはベニスジヒメシャクでしたね。





外横腺が飛び飛びになって、外縁に点々のあるのをいつもサクライキヒメシャクとしているのですが、実際のところはよく分かりません。



この綺麗な蛾はベニフキノメイガ



これはモンウスグロノメイガかなと思うのですが、よくは分かりません。



これはアヤナミノメイガです。時々見るのですが、「廊下のむし探検」では初登場です。



この蛾の場合、黒い点の数を必死で数えます。この個体の場合は50数個ありました。後は翅の色、翅の後縁近くに暗い斑があることなどから、マサキスガかなと思ったのですが、よくは分かりません。蛾も難しいですね。

廊下のむし探検 ハチやクモなど

廊下のむし探検 第707弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果のうち、蛾以外の「むし」を紹介します。



最近、ハチを見るとファイトが湧いてくるようになりました。この日も検索してみようと思って採集してきました。体長5mmの小さなハチですが、胸背の模様には見覚えがあります。以前、検索してコツチバチ科になった種とよく似ています。今回も改めて検索をしてみましたが、やはり同じコツチバチ科になりました。もっとも、前回は体長10mmで、今回は5mmだったので大きさはだいぶ違いますが・・・。

今回はもう少し進んでみました。次の本の中にコツチバチ科の亜科への検索表が載っていました。

H. Goulet and J. Huber, "Hymenoptera of the world: an identification guide to families", Entomological Society of Canada(1993). (ここからダウンロードできます)

これを試しにやってみました。まず、触角鞭節の節数が10、それから腹節が6節というところから♀であることが分かりました。さらに検索を進めていき、触角の基部が露出していること、肩板が円形か長楕円形、後翅の肛垂が長いこと、前翅に肘室が2つしかないことなどから、結局、Tiphiinae亜科になることが分かりました。今回はここでストップです。



次もハチです。このハチも何となく見覚えがあります。一応、採集してきて検索をしてみました。すると、前回ムカシアリガタバチと同定したものと同じ種であることが分かりました。ただ、前回は体長9mmだったのですが、今回は7.7mm。ちょっと小型です。



ガガンボもいました。今回は、翅を撮って、触角を撮って、前脚脛節末端も撮りました。脛節末端の棘が写らなかったので、ガガンボ科のマエキガガンボ属かなと思ったのですが、そこから先の検索表(日本産水生昆虫)が雄用だったので使えません。この個体は残念ながら♀でした。さらに、脛節末端の棘がうまく写らなかった可能性もあり、ガガンボ属も捨てられません。やっぱり、もやもやで終わってしまいました。



後はいつものツヤアオカメムシと、



トガリシロオビサビカミキリかなと思われる死んだ個体です。







この日はなぜかワスレナグモがたくさんいました。黒くて結構速く歩くので、廊下にいると意外に目立ちます。

追記2015/09/11:ハチの検索をするときに、以前出した「虫を調べる」の記事を見ながらやってみようと思って、ムカシアリガタバチとコツチバチ科の記事をpdf化しました。相変わらずWordで作ったので、図があっち行ったりこっち行ったり。本当に嫌になってしまいます。でも、以前の記事を見ながらだと検索が大変楽になりました。と言っても書いた本人にしか役に立たないかも・・・

廊下のむし探検 蛾の続き

廊下のむし探検 第706弾

昨日の続きで、一昨日の「廊下のむし探検」で見た蛾です。





今日はこのややこしい蛾からです。これがいるといつも憂鬱になります。似た種との区別がつかないからです。蛾の場合、最終的にはいつも交尾器を見なさいという話になってしまうのですが、模様や翅の形からできるだけ種に近づいてみたいといつも思っています。

この蛾はTimandra属に含まれるのですが、この中で本州に生息するのは、ベニスジヒメシャク、コベニスジヒメシャク、フトベニスジヒメシャク、ウスベニスジヒメシャクの4種です。「標準図鑑」と「大図鑑」に載っている前翅についての説明をまとめてみると、



これによると、下側の写真の個体は紅色線が帯状に広がっているので、ベニスジヒメシャクで決まりのようです。上側の写真の個体は前翅頂から前縁側に広がっていないのでフトベニスジを除外し、前翅に内横線も横脈紋も見られないことからウスベニスジを除外すると、コベニスジヒメシャクが残りますが、もやもや感も残りますね。



これはウスオエダシャクです。



ツマジロエダシャク



前日もいたオレクギエダシャクらしい個体。



それにクロモンアオシャク。これはいつ見ても綺麗ですね。





コブノメイガも少しいたのですが、両方とも♂みたいですね。



これは模様がはっきりしなくて迷いに迷いました。結局、ワモンノメイガにしたのですが、どうでしょう。(追記:通りすがりさんから、「ワモンノメイガは合ってると思います。分布が汎世界ってのも凄いですよね。」というコメントをいただきました。いつもの模様がなかったので、だいぶ苦しみました。合っていそうなのでホッとしました



最後はこのホソオビキマルハキバガです。以前も見たことがありました。画像リストを作っておくと、こんな時に便利ですね。

廊下のむし探検 蛾とサシガメほか

廊下のむし探検 第705弾

昨日は蛾がいっぱいいました。いつもいるアオアツバ、カシノシマメイガ、○○トガリメイガあたりはパスしているのですが、それでも17種もいました。それにしては他の虫は少なかったです。それで、蛾は2回に分けて出すことにしました。



この日一番悩んだのはこの蛾です。いつもいるギンスジキンウワバかなと思ったのですが、銀の2つの紋がくっついています。「大図鑑」によると、ギンスジの銀色紋は小さく分離するということになっています。標本が1つだけあったので、写真を載せておきます。



2つの紋は確かに離れています。2つの紋がくっついているといえばキクギンウワバなのですが、外横線、内横線、亜外縁線を見ても、ギンスジの方に似ているようです。ただ、標本と比べてみると微妙にいろいろと違います。例えば、亜外縁線など。「日本産蛾類標準図鑑II」の説明を読むと、「①外縁部に小さい三角の橙色斑が見える。②外横線は黒細線に挟まれた明るい線で、③前縁では基部の方へ回り込む。④亜外縁線はあまりはっきりしないが、M3付近で暗く太い線となって内側へ深く陥入する。」ということです。標本と一緒に比較してみると、①については、三角かどうかは分かりませんが、写真も標本も共に橙色の斑があります。②もその通りです。③については、共に回りこむところがはっきりしません。④は両方共そんな傾向がありますが、写真の方がより顕著です。というので、たぶん、ギンスジキンウワバの斑紋のバリエーションの一つだろうと思っていますが・・・。(追記:通りすがりさんから、「 やっぱりギンスジキンウワバなんだと思います。白い紋の部分は個体差があり、時に左右の翅でも片方だけくっついていて、もう一方は分離しているなんてこともあるんで、種によっては絶対的なものではないと思いますね。」というコメントをいただきました。どうも有難うございました



こちらは写真がちょっとはっきりしないのですが、イラクサギンウワバだと思います。



翅の中央に白い点があるので、キスジツマキリヨトウだと思います。



似た種は多いのですが、翅の中央に半月状の白い模様があるのでシロマダラコヤガだと思います。「大図鑑」によると、「本種では楔状紋は大きく、明瞭に現れ、半月状の白色環となる。外横線が後縁の直上で白色を呈することはない。」とのことでした。



アケビコノハがまたいました。相変わらず大きいですね。



この間もいたモトグロコブガだと思います。



これはクワゴマダラヒトリの♀。



それにナカキシャチホコ

シャクガ以下は次回に回してその他の虫を先に出します。





これはサシガメの幼虫です。たぶん、ビロウドサシガメで、翅が少し伸びているので、5齢幼虫だと思います。艶があって綺麗ですね。



たぶん、オサムシ科なのでしょうが、調べていません。



ウロコアシナガグモか、エゾアシナガグモかいつも悩みます。これは♀なので、区別がつきません。



最後はジョロウグモでした。だいぶ大きくなってきていました。

廊下のむし探検 オオミズアオほか

廊下のむし探検 第704弾

一昨日の「廊下のむし探検」の続きで、廊下にいた蛾を紹介します。といっても、これもあまり目立った蛾はいなかったのですけど・・・。



地下駐車場に止まっていたオオミズアオです。今年はこれで4回め。6-8月にかけて3回見ていました。それにしても今年はヤママユを見ませんね。一昨年は6回、昨年は2回とだんだん少なくはなってきていたのですけど。何か異変でも起きたのかな・・・。





アカスジシロコケガがいました。前縁に模様の乱れがないので、これはともに♀の方ですね。



これはコブガの仲間です。たぶん、ヘリグロコブガかなと思うのですが・・・。



アカエグリバだと思うのですが、アカエグリバにしては色が少し薄いですね。



チャオビヨトウです。地下駐車場の天井に止まっていたので、フラッシュをたいたら翅が光ってしまいました。いつもこんなことが起きるので、蛾がいるといろいろな方向から写真を撮っておくのですが、この日は忘れてしまいました。



コアヤシャクがまたいました。といっても、翅の破れ方から前日いた個体と同じみたいです。場所を変えて、同じ止まり方で止まっていました。



アオシャクは全体の翅形と内横線や外横線の屈曲の仕方に注目します。横線は写真ではうまく撮れても、図鑑ではほとんど見えないのでいつも困ってしまいます。もう少しはっきりした写真が載っているといいのですけどね・・・。標本だと仕方がないのかな。これはたぶん、ホソバハラアカアオシャクだと思います。



これはウスオエダシャク



これはギザギザの亜外縁線がはっきりしているので、オレクギエダシャクとしたいところですけど・・・。





後はシバツトガ2匹と



それにヒカゲチョウでした。マンションにチョウがやってくることは少ないので、ちょっと嬉しくなります。

廊下のむし探検 虫いろいろ

廊下のむし探検 第703弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。蛾は後にしてその他の虫を先に紹介します。といってもあまりメインになるような虫はいなかったのですけど・・・。



玄関のエレベータホールにコオロギがいました。撮ろうと思って近づくと逃げるのでなかなかうまく撮れません。でも、やっと横顔が撮れました。複眼の下に黒い突起が見えるので、ミツカドコオロギでしょう。いよいよ鳴く虫の季節になりましたねぇ。



地下駐車場の天井には小さなバッタが止まっていました。たぶん、ウスグモスズです。これは鳴かないそうです。この虫に関しては、以前、「日本で新発見された外来生物」という面白い話を紹介しました。



小さなクサカゲロウがいました。



頬に黒い点があるのでフタモンかなと思ったのですが、口肢が黒いのでクロヒゲフタモンかなとも思えたので、一応、採集してきました。検索してみると、触角柄節の外側が黒褐色ではないのでクロヒゲフタモンではなく、さらに、口肢が色づいているのでフタモンではなく、結局、以前も出てきたヒメニセコガタクサカゲロウになりました。このクサカゲロウについては詳しく調べたことがありました。でも、何となく消去法で出てきたような特徴ばかりではっきりしなかったことを思い出しました。



チョウバエですね。翅の周囲に8つの白点があるのでオオチョウバエだと思います。「屋内害虫の同定法(3)双翅目の主な屋内害虫」によると、便所に多いのはこのオオチョウバエの方だそうです。



ユスリカもいたのですが、今のところ、手つかずです。



これはハチなのかな、それとも、この間からいたハリアリの仲間なのか。最近、違いがよくわからなくなりました。(追記2018/02/06:ハリアリ亜科ホンハリアリ属のケブカハリアリ♂のようです。詳細はこちらをご覧ください



「虫展」で活躍したアオバアリガタハネカクシです。この毒虫があまりにも小さいので、皆驚いていました。



コアオハナムグリでしょうね。



最後はお馴染みのネコハグモでした。

廊下のむし探検 モンキツノカメムシ、エンマムシなど

廊下のむし探検 第702弾

昨日の「廊下のむし探検」の続きです。



この日はこんなカメムシがいました。いつもいるエサキモンキツノカメムシはハート型のマークがついていますが、この個体はハート型ではありません。これは別の種で、モンキツノカメムシといいます。エサキに比べると数が少ないみたいです。エサキはこれまで「廊下のむし探検」では4回見ていたのですが、モンキツノカメムシは今回が初めてでした。



壁の高いところに止まっていたので、手を伸ばして撮ったら、こんな姿に写りました。たぶん、ミナミトゲヘリカメムシでしょうね。棘が鋭いですね。



エンマムシの仲間がいました。クモの巣まみれになっていたのですが、エンマムシはこれまでよく分からなかったので、捕まえてきて調べてみました。



エンマムシは触角に特徴があるようです。触角が膝状に曲がっていることと、先端が球桿と言われるような丸い形をしているのが特徴のようです。

今回の個体は体長が10mm程度ありました。「原色日本甲虫図鑑II」を見ると、エンマムシの仲間では10mmというはそれほど多くないので、10mm程度の大きさで本州に生息する種を「原色日本甲虫図鑑II」と「原色昆虫大図鑑II」から抜き出してきました。

オオヒラタ  8.0-11.3mm Hololepta属
ヤマト     8.9-11.5mm Hister属
-       8.8-12.5mm Merohister属
クロ      6.8-9.0mm Hister属
イブシ     8.6-13.5mm Hister属
ヒメ       5.2-9.5mm Margarinotus属
ニセヒメ    5.2-9.5mm Margarinotus属

このうち、外見の違いからオオヒラタを除外すると、Hister属、Merohister属、Margarinotus属の3属に限られることが分かりました。そこで、「原色日本甲虫図鑑II」に載っている属の検索表でその部分だけを調べてみました。Melohister属は前胸背板には側縁に接した1側条があるだけで、他の2属は2側条があります。それで、その部分を見てみました。



この写真を見ると、外側条と内側条の2条があります。そこで、Hister属とMargarinotus属の2つが残りました。この2属は上翅の側縁に近いところにある外副肩条と内副肩条があるかないかで区別できます。Margarinotus属では、外副肩条があり、内副肩条を欠きます。そこでさらにその部分を見てみます。



この個体では内副側条はあるのですが、外副側条はありません。従って、Hister属だけが残りました。この属で大きさが10mmほどあるのは、ヤマト、クロ、イブシの3種ですが、この3種は背条という上翅にある筋の入り方が違っているようです。背条は見難いので角度を変えて撮影してみました。



これを見ると、第1背条と第2背条はほぼ完全でくっきりしていますが、第3背条は途中で途切れていることが分かります。また、第4背条はほとんど痕跡程度で、第5と第6は見えません。これらの特徴を図鑑の説明と比べてみると、ヤマトが一番近いようです。ヤマトの説明には、「上翅の第1~2背条は完全、第3は2分され、第4~5は翅端にあり、第6は欠除」とあります。他の種はいずれも第1~3背条は完全なので、ヤマトエンマムシが一番可能性が高いかなと思っています。



他の甲虫ではこんな虫がいました。これは以前も見たアカクビホシカムシだと思います。



そして、これはユミアシゴミムシダマシかな。



綺麗で可愛い虫です。画像検索してみると、サジヨコバイが似ているようです。



この間から見ていた、ヒメクモバチの仲間かなと思われる種の巣作りの様子です。先日、左の2つの写真をお見せしたのですが、あれから2日ほど経ってさらに巣が2つ増えていました。全部で9個。最後のを横向きに作って、これで打ち止めというところでしょうか。



クモの巣にたぶん、ワスレナグモかなと思われるクモが引っかかっていました。クモもクモの巣に引っかかるのかな。

廊下のむし探検 蛾いろいろ

廊下のむし探検 第701弾

今日の「廊下のむし探検」の結果です。蛾の名前調べがさきほど終わったので、これから出します。



今日の最初はこのコブノメイガです。よくいる蛾なのですが、いつも天井に止まっているので、あまり拡大して撮れませんでした。今日は壁に止まっていてくれたので、接写で撮ることができました。よく見ると、翅の前縁部分がちょっと変です。「日本産蛾類大図鑑」の説明を読むと、「♂は前翅前縁の基部から1/3の部分に黒鱗による隆起があり、中室内に黄色鱗が生えている。」とのことでした。確かに写真を見ると、前縁部分が膨れている感じです。従って、これが♂のようです。中室内の黄色鱗というのはどれを指しているのだろう。



これも壁に止まっていたので大きく撮れました。たぶん、モンキクロノメイガだと思います。メイガは小さいのですが、こうやって大きく撮るとなかなか凝った姿をしています。



こちらは天井に止まっていたのですが、マエウスモンキノメイガかなと思います。



こちらはヒメシロノメイガです。



そして、いつものシバツトガです。



これはコアヤシャクです。あまり見かけない蛾なのですが、一昨年の10月に一度見ていました。だから、これで2回めです。



キマエアオシャク



これは綺麗に撮れたのですが、名前がなかなか分かりませんでした。たぶん、ヒメウスアオシャクだと思うのですが、ちょっと自信はありません。



これはウスキコヤガです。



これはたぶん、オオカバスジヤガだと思うのですが、これもちょっと自信はありません。



最後はオオウンモンクチバです。

蛾だけでかなりの数がいたので、他の虫は次回に回します。
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