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廊下のむし探検 ヤマモモキバガほか

廊下のむし探検 第698弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。最近、急に温度が下がり、天気も悪いせいか、なんだか虫の数も少なくなりましたね。



今日の最初はこの虫です。全長で4mm程度。小さい虫ですが、写真を見ても上が頭やら、下が頭やらよく分かりません。毒瓶の口を近づけたらパッと自分から中に飛び込んでしまいました。実体顕微鏡で見たら、翅に鱗粉がついているので、やっと蛾の仲間であることが分かりました。「日本産蛾類標準図鑑III」を2度ほど見直して、やっとそれらしい名前に行き当たりました。ヤマモモキバガです。図鑑によると、本州から沖縄まで分布し、年2化。ヤマモモの葉をつづったり、実に潜ったりするようです。捕まえるには捕まえたのですが、あまりに小さいので展翅は私の手には負えません。



他の蛾も紹介します。これはシバツトガでしょうね。



ホソバナミシャクです。結構、綺麗な蛾です。実は外出から帰ってきた時にこの蛾を見つけたので、「廊下のむし探検」をしてみようと思ったのです。



これがウスキクロテンヒメシャクですね。この間、ギンバネヒメシャクをこの蛾だと思って間違ってしまいました。



エレベータホールの窓の外側に止まっていたので、廊下側から身を乗り出して写したのでこんな姿に写ってしまいました。ツマトビコヤガだと思います。



それにエゾギクキンウワバです。何となく秋を感じさせる蛾です。一昨年は9月24日、昨年は9月16日が初見日でした。今年は異様に早いですね。



以前教えていただいたオオハリアリの♂ですね。以前紹介した論文(Yoshino(2010))には、オオハリアリ、ナカスジハリアリ、ツヤオオハリアリの♂アリの写真が載っているのですが、オオハリアリだけがこんな色で、他の2種は黒いのですね。



これもハリアリ亜科なのですが、外観は上の個体とよく似ているので近縁の種かもしれません。先日調べた時には、オオハリアリ、ナカスジハリアリ、ケブカハリアリのどれかになりましたが、オオハリアリは除けるので、それ以外ということになるのでしょう。だいぶ絞られてきました。この羽アリは今でもたくさん壁についています。
追記2018/02/06:ハリアリ亜科ホンハリアリ属のケブカハリアリ♂のようです。詳細はこちらをご覧ください



これはクロオオアリでしょう。





廊下の階段の裏側にこんな巣を作っているハチがいました。小さなハチです。「狩蜂生態図鑑」をぱらぱら見ていたら似た巣を作るハチが載っていました。ヒメクモバチの仲間です。ちょっと種までは分かりませんが・・・。この巣の中に1個ずつ獲物を入れて卵を産んで蓋をするようです。ファーブルだったら一日中観察していたでしょうね。私はせっかちなのでどうも駄目です。



後はヒゲナガサシガメ



アオマツムシです。アオマツムシの一昨年の初見日は9月16日、昨年は9月3日でした。今年はいずれにしても早く出てきているみたいです。



これはオオクロカミキリかなと思ったのですが、「原色日本甲虫図鑑IV」を見ると、♂♀で色が全く相違すると書かれていました。腹の先端が突き出しているのは♀なのかなと思ったのですが、それにしてはやや触角が長い気がして、また、色が茶色なのも気になります。似た種にツシマムナクボカミキリというのもいるのですが、検索表を見ると、上翅端の内角に突起を持つのが後者で、ないのが前者だそうです。これは拡大しても突起がないので、オオクロカミキリの方かなと思ったのですが、よく分かりません。



最後はニホンヤモリです。廊下の手すりの下の溝でじっとしていました。
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廊下のむし探検 アブ、キイロゲンセイなど

廊下のむし探検 第697弾

一昨日の「廊下のむし探検」の続きです。



マンションの外壁のちょっと高いところにアブが止まっていました。両方の複眼が離れているので♀ですね。本当は網を持って採集すればよいのですが、アブは・・・。どうも躊躇してしまいます。そこで、この写真でどこを観察したらよいのか、検索表や種の説明(早川博文、東北農試研究資料 10, 25 (1990))を読んでまとめてみました。




検索表に従って追いかけていくと、翅縁でR5とM1という脈がくっつくかくっつかないかという特徴をまず見ます。これがくっついていればシロフアブ群です。くっついていなければ、複眼の間を見てみます。ここに中額瘤の黒い塊が見えたら、キスジアブ群かキノシタシロフアブ群になります。見えなければ、次は翅脈に小枝が出ているかどうかを見ます。出ていればウシアブ群など、出ていなければアカウシアブ群などになります。

ウシアブ群側に行く場合は、小型だとマエダアブ、大型の場合は、腹背の第2節の中央には三角紋がありますが、その両側に長三角形の紋があればハタケヤマアブ、なければ本州ではウシアブ、マツザワアブ、イナウシアブ、ヤマトアブになります。そのうち、触角に背突起が突出してなければヤマトアブ、あればそれ以外になります。この写真のアブは背突起が突出しているのでウシアブ、マツザワアブ、イナウシアブのどれかになります。今のところこの辺りまでです。こんな風に写真だけで判定できるような検索表があるといいですね。(追記2018/03/05:写真で見る限り、ウシアブ♀のようなのでそのように記録しておきます



これはまた、ハチではなくてアリで、この間から見ているハリアリ亜科ですね。(追記2018/02/06:ハリアリ亜科ホンハリアリ属のケブカハリアリ♂のようです。詳細はこちらをご覧ください



翅の先端が尖っているのでケカゲロウかな。

追記2015/08/31::通りすがりさんから、「ケカゲロウとはまた羨ましい。去年、日本産の幼虫期が解明されて話題になりましたが…って、一部でだけかなあ?」というコメントを頂きました。どういうことかなと思って調べてみると、昨年次のような論文が出ていました。

T. Komatsu, "Larvae of the Japanese termitophilous predator Isoscelipteron okamotonis (Neuroptera, Berothidae) use their mandibles and silk web to prey on termites", Insect. Soc. 61, 203–205 (2014). (出版社のサイトから一部読むことができます。ここを開くと自動的に最初の2ページが見本として読めます。また、Look Insideというところをクリックしても見えます。全部で2ページちょっとの論文なので、これでほとんど読むことができます)
また、筆者のブログでも内容を知ることができます)

この論文は、筆者である小松貴氏が長野県松本市でケカゲロウ♀を捕獲し、その幼虫を成虫にまで飼育したという内容です。捕獲した♀を
プラスチックケースに入れて水と死んだ蚊を入れておいたら、1週間ほどで卵を67個を産み、そのうち20個が無事に孵化したそうです。日本産ケカゲロウと同じ亜科で北米産の種の幼虫はシロアリを捕食するのですが、そのときに腹の先端から毒ガスを出すと言われています。そこで、同じ林にいるヤマトシロアリのコロニーを5つのケースに入れて繁殖させ、その中に1齢幼虫を4匹ずつ入れました。すると、そのうち9匹が捕食活動を始めました。この場合、北米産と異なり、幼虫はヤマトシロアリの働きアリに噛み付き麻痺させてからその体液を吸い出しました。そうして捕獲したシロアリは糸でからめて固定されました。こういうシロアリがケカゲロウ幼虫1匹に対して7-8匹にもなり山のように積み上がったそうです。この糸は単なる固定用だけではなく、その糸に引っかかったシロアリを捕まえるという捕獲用にも役立っているようです。

そうして4-10日経つと、9匹の幼虫のうち6匹が脱皮して2齢幼虫になりました。この期間幼虫は全く動かず、3-4日経つと再び脱皮してそのうち4匹が3齢幼虫になりました。4匹の3齢幼虫は1齢と同じようにシロアリを捕食して成長し、2日経つと蛹になりました。蛹の期間は20日で、4匹のうち1匹だけが羽化して成虫になったそうです。これは日本産ケカゲロウの初めての飼育になりました。幼虫の期間がわずか2週間ほどで、これが幼虫が見つからなかった理由のようです。日本産ケカゲロウはケカゲロウ科に属しますが、ケカゲロウ科は全部で4つの亜科に分けられます。このうち、北米産を含む1亜科だけがこのようにシロアリを捕食するようです。アミメカゲロウ目の幼虫はアリジゴクを含め面白い行動をするのですが、ケカゲロウもまたシロアリ捕食をするのですね


追記2018/02/01:「日本昆虫目録第5巻」(2016)によると、ケカゲロウはヒメカゲロウ科ではなく、ケカゲロウ科となっていました



これはチラカゲロウの亜成虫だと思います。



キイロゲンセイがまたいました。今年はよく見ますね。これで今年3回目かな。



それにケブカスグリゾウムシと(追記2015/09/17:和名が違っていました。ケナガスグリゾウムシです



キマワリでした。

廊下のむし探検 大型蛾2種ほか

廊下のむし探検 第696弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。



地下駐車場の壁にこんな大きな蛾が止まっていました。蛾にはだいぶ慣れてきたのですが、このくらい大きくなるとちょっと駄目です。離れたところから撮影しました。図鑑で調べてみると、ムクゲコノハのようです。「廊下のむし探検」初登場です。

そのすぐ横の床にはこんな蛾も止まっていました。



こちらはアケビコノハです。これも大きな蛾で苦手です。こんな大型蛾が2匹もいると、地下駐車場がちょっと気持ち悪いところになりました。



地下駐車場にはコスズメもいたのですが、上の蛾に比べると何となくかわいい感じですね。



後は小型の蛾です。模様の大変はっきりした蛾です。ハマオモトヨトウです。これも「廊下のむし探検」初登場でした。



これはムラサキツマキリアツバかな。



模様が消えてしまってよく分かりません。わずかに見える模様からヤマガタアツバかなと思ったのですが、よくは分かりません。



スジキリヨトウは2匹。



その他にはシロスジシマコヤガです。



これも地下駐車場にいまhした。エルモンドクガです。



これは○○ホソバだと思うのですが、よくは分かりません。



ウスオエダシャク



ギンバネヒメシャク



キオビベニヒメシャク



それにシロテンキノメイガでした。

だいぶ、蛾が増えてきた感じですね。

廊下のむし探検 ツノトンボほか

廊下のむし探検 第695弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。





今日の最初はこのツノトンボです。トンボのような格好ですが、実は、アミメカゲロウ目のツノトンボ科で、ウスバカゲロウなどと近縁の種です。以前は普通に見かけたのですが、この数年見たことがありませんでした。ちょっと懐かしい感じですね。翌日、見に行ったらもういませんでした。



名前調べに時間がかかったのはこのアリです。体長は約4mm。小さなアリだったのですが、迂闊にも捕まえてしまいました。







とりあえず、実体顕微鏡で各部の写真を撮りました。働きアリなので、「日本産アリ類図鑑」の検索表が使えます。それで検索をしてみました。実にホソウメマツオオアリになってしまいました。でも、「日本産アリ類全種図鑑」に載っている分布図には三重県、高知県、宮崎県、鹿児島県、南西諸島だけが書かれていて、私の住む大阪府は載っていません。従って、この同定はちょっと怪しそうです。

それで、何度か見直してみました。まず、中胸気門の位置からオオアリ属であることは確かそうです。従って、オオアリ属の検索になるのですが、前胸・中胸背面には2本の長い毛が生えていて、なおかつ、頭盾の前縁は直線的かやや弧状です。さらに、腹部背板には斑紋はなく、前胸から中胸にかけて背面は弧を描きます。これで、ホソウメマツオオアリかウメマツオオアリかになります。この両者は、前胸腹節の背面の形と腹柄節の形で区別できます。前胸腹節の背面は前者では直線状、後者では明瞭な凹みがあります。また、横から見た腹柄節の形は、前者では前後に非対称で、後方で最も高くなるのですが、後者では対称で中央が最も高くなります。そう思って写真を見てみると、ホソウメマツオオアリに似ている感じなのですけどね~。



ハチみたいですが、これがまたハリアリ亜科のアリのようです。本当に見ただけでは分かりませんね。(追記2018/02/06:ハリアリ亜科ホンハリアリ属のケブカハリアリ♂のようです。詳細はこちらをご覧ください



これはアカサシガメの5齢幼虫でしょうね。



これはたぶん、以前見たクリイロクチブトゾウムシでしょうか。一応、採集はしたのですが・・・。



これは以前ヤマトエグリゴミムシダマシとした種だと思います。その後調べていないので、それ以上は分かりませんが・・・。



それにアオドウガネ



これは前日見たのと同じムクツマキシャチホコでしょうね。



それにキハラゴマダラヒトリ。これらは前日見た個体と同じかもしれません。



それにフタテンオエダシャク



ウンモンクチバだか、ニセウンモンクチバだか分かりませんが、どちらかでしょう。



最後はちょっと写真を失敗してしまいました。シャッター速度を長くして写真を撮ったのです。それでちょっとブレてしまいました。でも、模様からモトグロコブガだと思います。

全体に虫は少なかったのですが、この日はツノトンボが見られたのでちょっと満足です。

虫を調べる ムカシアリガタバチ

アリガタバチっていうのは何となく「有難い」ハチみたいで、前から気になっていたのですが、本当は「蟻形蜂」なのですね。それでも、一度調べてみたいなと思っていたら、先日捕まえることができました。



捕まえたのはこんなハチです。体長は9.0mm、前翅長は6.1mm。そこそこ大きなハチです。まず、このハチが本当にアリガタバチかどうかというところから調べていくことにしました。そこで用いたのは、いつもの検索表です。

日本環境動物昆虫学会編、「絵解きで調べる昆虫」、文教出版 (2013)

この本は絵解きで分かりやすいので本当に役立ちます。ハチ目の検索表からアリガタバチ科に至る項目を拾っていくと次のようになります。



各項目に番号をつけていき、関連する写真にそれを書き込みました。今回は種までいくつもりなので、全部で⑳まであります。そのため図がやや複雑になってしまいました。まず、一番基本的な①の腰のくびれと②の機能的な翅から確かめていきます。



この写真を見ると、確かに腰がくびれていて、翅は機能的です。これで①と②は確かめられました。次の③は頭頂にトゲがあるかないかで次の写真を見て下さい。



これは頭部を上から見たところですが、頭頂は平らです。従って、③はOKです。④は翅脈が退化しているかどうかですが、次の写真を見て下さい。





前翅と後翅の写真です。一応、翅脈があるので、これが退化しているかどうかは見ただけでは分かりませんが、スズメバチ上科やヒメバチ上科と比べると貧弱な感じはします。退化したためかどうかは系統的に調べていく必要があります。ここでは、とりあえず退化しているとして進んでいきます。なお、翅脈の名称は

H. Goulet and J. T. Huber (eds.), "Hymenoptera of the world: An identification guide to families", Agriculture Canada Publication (1993) (ここからダウンロードできます)

を用いましたが、すべての脈には名前が書かれていませんでした。そこで、文献を探したのですが、見つかりませんでした。次の④の後半の部分では、後翅には確かに翅脈で囲まれた室はありません。従って、④はOKです。

追記2015/08/29:蜂の系統進化と翅脈の退化については次の論文に少し触れられています。

M. J. Sharkey and A. Roy, "Phylogeny of the Hymenoptera: a reanalysis of the Ronquist et al. (1999) reanalysis, emphasizing wing venation and apocritan relationships", Zoologica Scripta 31, 57 (2002). (ここからpdfがダウンロードできます)

この論文はRonquistの解析に37個の翅脈の形質を加えて解析したという内容です
。もっとも、Ronquistの論文でも翅に関しては38個の形質が含まれているので何が違うのか・・・

⑤は後脚転節の節数ですが、次の写真を見て下さい。



この写真で示すように転節は1節です。⑥は後翅に肛垂があるかどうかですが、Fig. 4の矢印で示した部分が肛垂です。これでセイボウ上科になりました。

⑦と⑧は触角についてです。触角の写真を載せます。



数えてみると全部で13節ありました。従って、⑦も⑧もOKです。⑨は腹部の節数ですが、Fig. 1に示したように見える部分では6節ありました。従って、これもOKで、結局、アリガタバチ科になりました。

次は亜科、属、種の検索ですが、ここでは寺山守氏の日本産ハチ類検索表PDFファイルの中にある「アリガタバチ科の種検索」をお借りして調べてみました。この検索表には絵がついているので、非常に分かりやすくできています。まず、亜科の検索です。



⑩は前伸腹節についてなのでその部分の写真を載せます。



トゲアリガタバチ亜科では前伸腹節の後縁両端がトゲのように突出しているのですが、この個体はそんなことはありません。また、Fig. 1に示しましたが、腹部第2節は特に大きいということはありません。これで⑩はOKです。次の⑪については、どれが後胸なのかが分からず迷いました。でも、図の部分でよいようです。この部分が大きいというのがムカシアリガタバチ亜科の特徴のようです。でも、とりあえずムカシアリガタバチ亜科になりました。

次は属への検索です。



この検索表は雄と雌に分かれています。雄には翅があり、雌には翅がありません。⑫の肩板と単眼はFig. 7とFig. 2を見て下さい。ともにあります。次の⑬は腹部第2背板に孔や凹みがあるかどうかですが、特にありません。⑭は頭盾の形です。ここで台形というのは、台形の形で頭盾の先端が突出するという意味です。Fig. 2を見るとそんなことはありません。頭盾についてはもっと大きな写真を撮ったので後でFig. 10も見て下さい。また、複眼には短毛がまばらに生えているだけでした。交尾鈎というのはどれを指しているのか分かりませんでした。少なくとも、腹端の表には出ていないではと思いました。従って、これはパスします。

次の⑮は単眼の配列です。Fig. 2に見るようにほぼ正三角形に配列しています。さらに、Fig. 3の翅脈を見ると、外縁紋脈というのがあります。また、Fig. 7を見ると、前伸腹節は複雑な皺で覆われています。これで⑮はOKになりました。次の⑯は大顎についてです。大顎には歯が4本ありますが、その一番内側の歯が頭盾の方向を向いています。また、頭盾前縁はほぼ直線状です。さらに、触角挿入孔辺りは凹んでいます。触角末端節はFig. 6を見ると分かりますが、細長く先端は尖っています。長さは幅の3倍以上であることは確かです。最後の挿入器についてはよく分かりませんでした。これをパスして、ムカシアリガタバチ属になりました。

次は種への検索です。



⑰はOKなので、⑱を調べてみます。頭部の点刻については相対的な表現で判断できませんが、次の前伸腹節は皺で覆われているので、この部分はOKだと思います。さらに、頭幅を測ってみると1.6mmありました。これでツヤムカシアリガタバチを除外できます。⑲は前胸背板の形ですが、台形になっていて段差のあるような形をしています(この部分は文章では分かりにくいです。もとの検索表についている図68と69を比較して判断するとよいと思います)。これでカタマルムカシアリガタバチを除外できます。最後の⑳の大顎が4歯というのはすでに見ました。Fig. 2を見ると、頭盾前縁がゆるく凹んでいるのが見えますが、後のFig. 10を見るともっとよく分かります。交尾鈎は分からないので飛ばすと、結局、ムカシアリガタバチになりました。合っているかどうか分かりませんが、とりあえず種まで行けたので嬉しいですね。

他にもいくつか写真を撮ったのでついでに載せておきます。





頭部の写真をいくつか撮ってみました。



ついでに生物顕微鏡を用いて頭盾の拡大も撮ってみました。前縁が少しだけ凹んでいることが分かります。でも、何だかロボットみたいですね。

廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第694弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。



この日は、小さな蛾はいろいろといたのですが、あまり注目すべき蛾はいませんでした。先日も見たこの蛾は、模様があまりに繊細なのでちょっと気になる蛾です。ホソナミアツバだと思います。



この蛾はマエテンアツバではないかと思います。



これはウスベニコヤガだと思うのですが、どうしてこんなに色の抜けた翅をしているのでしょう。普通はもう少し濃い色なのですが・・・。



アカテンクチバです。この日は望遠として使っていたコンデジの電池がなくなってしまったので、接写に使っている一眼レフをできるだけ天井に近づくように手を伸ばして撮りました。でも、まあまあ撮れますね。



翅が少し黄味を帯びているのと、前脚の基部にほんの少し黄色い部分が見えているので、たぶん、キハラゴマダラヒトリだと思います。



排気口(?)に止まっていたので、ちょっと背景がややこしいのですが、たぶん、ホシヒメホウジャクですね。



こちらは隣の排気口に止まっていたモモスズメです。



これはウスミドリナミシャクです。



最近たくさんいるヒメマダラミズメイガ



後は、ウスベニトガリメイガ



カシノシマメイガでした。

廊下のむし探検 ミミズク幼虫など

廊下のむし探検 第693弾

今日の「廊下のむし探検」です。夏も終わりになり、若干涼しくなってきたのですが、虫は相変わらず少ないです。それでも変わった虫がいるので結構楽しめます。



それにしても変わった虫ですね。体長は8.8mm。以前だったらまったく分からなかったと思うのですが、実は今年の5月27日に見ていました。その時はミミズク(?)の幼虫だとしていたのですが、それ以後、調べていないのでよくは分かりません。



同じカメムシ目なのでついでに出しておきます。ツヤアオカメムシですね。



格好のいいバッタですね。ショウリョウバッタモドキです。昨年も8月23日と29日に見ていたので、ちょうど今頃ですね。今頃いつも、マンションの前の斜面の芝刈りをするので、そのためマンションにやってくるのかもしれません。



体が何となく長い感じのするコメツキです。触角もぎざぎざになっています。たぶん、昨年も見たオオナガコメツキかなと思います。実は昨年も同じ8月26日に見ていました。



この間はハチだと思って捕まえたらアリでした。今回は間違いなくハチのようなので採集してきました。翅脈が独特で、たぶん、アリガタバチ科ではないかと思います。この間、アリガタバチ科の検索表を見つけたので、是非とも調べてみたいと思っています。

追記2015/08/27:検索をしてみました。まず、「絵解きで調べる昆虫」で科の検索をしました。次に、寺山守氏の日本産ハチ類検索表PDFファイルをお借りして属の検索までやってみました。まず、科の検索はほぼ間違いなくアリガタバチ科でした。次の亜科への検索は、一度、「中胸と前伸腹節が背面中央部でも後胸で隔てられる」というところを見間違ってヒメアリガタバチ亜科になってしまいました。でも、引き返して、結局、ムカシアリガタバチ亜科になりました。だとすると、♂が有翅、♀は無翅ということなので、これは♂ということになります。次の属への検索は比較的スムーズにいって、ムカシアリガタバチ属 Acrepyris Klefferになりました。種への検索表も載っているので後でやってみます

追記2015/08/27:種への検索もやってみました。日本産ムカシアリガタバチ属は5種で、そのうち♂では4種の検索表が載っていました。検索してみると、それほど問題なくムカシアリガタバチ Acrepyris japonicus (Yasumatsu, 1955)になりました。合っているかな?今度、詳細を載せます)



アリもいました。これは採集しなかったので、よく分かりません。



最後はオオゲジです。マンションの入り口の天井近くにいました。ちょっと気持ち悪いですね。

廊下のむし探検 ムクツマキシャチホコなど

廊下のむし探検 第692弾

アリを調べていたら、蛾の名前調べが止まってしまい、それで、慌ててやりました。一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。



今日の最初はこの蛾からです。ちょっと上からも撮影しました。



以前はよく見かけたのですが、最近はあまり見なくなりました。似た種が多くて、いつも迷う種です。ムクツマキシャチホコ、タカサゴツマキシャチホコ、ツマキシャチホコ、クロツマキシャチホコの4種です。どれも近畿地方には分布するので困ってしまいます。でも、違いを書いた分かりやすいサイトが見つかりました。これによると、この個体はムクツマキシャチホコみたいです。





コトビモンシャチホコはこの日は3匹いました。



いつもより小さなコスズメです。



オオミズアオがこんな感じで死んでいました。



アカエグリバも最近、よく見ますね。



また、ヒメシャクですね。外縁に点列があり、外横線が翅脈上で濃くなっているので、サクライキヒメシャクかなと思ったのですが、あまり自信はありません。



それにシロオビノメイガ



これはいつものコゲチャオオフサキバガあたりの蛾です。脚が黒いのですね。



最後はテングイラガです。いつも天井に止まっていて、写しても小さいのですが、この日はちょうどよい高さに止まっていたのではっきり撮れました。

来年になるとマンションの回収工事が始まって全体に覆いがかぶさるので、「廊下のむし探検」もしばらく休業になってしまいます。それで、少し今までのブログをまとめてみようという気になっています。ひとつは「廊下のむし探検」のWeb版の図鑑を作ること(冊子にしても、このマンションの人しか見ないと思うので・・・)。もう一つは、「虫を調べる」を冊子にしてまとめることです。

図鑑の方にはまだ手をつけていないのですが、できるだけ今までの画像リストを活用して作ってみようと思っています。「虫を調べる」の冊子はとりあえず記事ごとにwordに取り込み、図を入れて編集をしているのですが、これがかなり大変な作業です。なんせ図がじっとしてくれないので・・・。でも、とりあえず、5つほどpdf化してHPに載せてみました(こちらの「虫を調べる」アーカイブを見て下さい)。こんな風にまとめて印刷しておくと、私のように忘れっぽい人間には便利かなと思っています。ですが、ともかく作るのが大変です。以前はこんな印刷用の文章を作るときにはTeXを使っていました。確かに図をページの上か下に入れるときは非常に便利なのですが、途中に入れるのは一苦労でした。何かよいソフトはないかな。

廊下のむし探検 これがアリ?

廊下のむし探検 第691弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。



今日の最初はこの虫です。体長3.5mmで小さいのですが、私はてっきりハチだと思っていました。ひょっとしてこれがアリガタバチかなと思って採集してきました。そして、顕微鏡で見てびっくり。実はアリのようです。



これは左側から写した写真です。腹柄節らしきものが見えています。ちょっと脚で隠れてしまっているので、反対側からも撮ってみます。



こちらからだと腹柄節はよく見えています。つまり、アリなのです。アリは普通、触角第1節が長くなっているのですが、普通のハチと同じような触角をしています。そういえば、以前、オオハリアリの雄アリだと教えていただいた種もこんな触角でした。腹部の末端に棘があるので、これは雌有翅アリでしょうね。



実体顕微鏡で撮ったのではっきりしないのですが、一応、頭部の写真も載せておきます。検索もちょっとだけやってみてハリアリ亜科になりそうなのですが、雌有翅アリの検索表がないのでこれ以上はよく分かりません。それにしても、これがアリとは・・・。

追記2015/08/25:ハリアリ亜科として、「日本産アリ類図鑑」の検索表で強引に検索してみました。トゲオオハリアリ属、ハシリハリアリ属、アギトアリ属、ヒメアギトアリ属はすぐに除外できました。トゲズネハリアリ属は中脚脛節外側に剛毛がないので除外できます。さらに、体長が3.5mmなので、ツシマハリアリ属は除外できます。後脚脛節の棘が針状と櫛歯状の2本あることから、ハリアリ属とニセハリアリ属が除外できます。ということで、今のところ、オオハリアリ属、ホンハリアリ属、コガタハリアリ属が残っています。このうち、近畿地方に分布するのは、オオハリアリ、ナカスジハリアリ、ケブカハリアリと期せずして、先日見た雄アリかなと思われる個体と同じになりました

追記:オオハリアリ属3種の雄アリの写真が次の論文に載っていました。

T. Yashiro et al., "On the evolution of the species complex Pachycondyla chinensis (Hymenoptera: Formicidae: Ponerinae), including the origin of its invasive form and description of a new species", Zootaxa 2685, 39 (2010). (ここからpdfがダウンロードできます)

この論文はナカスジハリアリの記載論文にもなっているのですが、この中の写真を見るとなんとなく外観はよく似ています。やはり雄アリなのでしょうか。それなら、腹部末端の棘のようなものは何なのでしょう。アリは難しいですね


追記2015/08/25:生物顕微鏡の対物鏡10倍で頭部を撮ってみました。



上記のYashiro et al. (2010)の中の雄アリの写真を見ると、黄色い細長いものが大腮のようです。頭盾の中央が凹んでいるように写ったのですが、本当かな。



中脚の脛節末端の刺を写しました。針状の刺と櫛歯状の刺があることが分かります


追記2017/11/13:myr*****さんから、「こちらのアリはケブカハリアリのオスと思われます.旧フトハリアリ属のオスの特徴として,中胸背板の前縁側部から後方に向かってnotaulusという溝が一対走ることが挙げられます.いくつかのお写真でそれが見られます.これらアリのオスの形態については種まで同定できる検索表がほとんど存在せず,身近なわりに不便です.Web上に図鑑があったりハンドブックがあればよいのですが….」というコメントをいただきました。コメントをどうも有難うございました。ケブカハリアリ、候補には一応入っていたので、嬉しく思いました。notaulusを見るのですね。いろいろと勉強になります



小さなバッタの幼虫がいました。白い筋模様から、たぶん、ホシササキリの幼虫かなと思います。目がとにかく可愛いですね。



ツヤアオカメムシもいました。



それにトビケラも。最近、トビケラをたくさん見るのですが、名前は一向に分かりません。一度、科の検索ぐらいはやってみるかな。



最後はこの甲虫です。あまりはっきりとはしないのですが、何となくゴミムシダマシに似ている感じです。真上からも写せばよかった・・・。

蛾は次回に回します。

廊下のむし探検 トゲナシケバエなど

廊下のむし探検 第690弾

一昨日の「廊下のむし探検」です。世界陸上を見ながら調べています。



今日はこのハエ目の虫からです。前脚脛節に棘がないので、トゲナシケバエ Plecia属の仲間です。しかも、左右の複眼が接しているので♂です。これは名前が分かるかもと思って、採集してきました。早速、Hardy and Takahashi (1960)で検索してみました。それほど迷うことなく、Plecia membraniferaになりました。この個体の腹部末端の構造は非常に特徴的です。





上が腹側からの写真、下が背側からの写真です。腹部第9背板(下写真の手前側)が特徴的なU字型をしています。Hardy and Takahashiの論文の図とそっくりなので、まず、間違いないのではと思いました。ただ、論文によると、この種の産地は九州、発生は5月となっています。体長は4.8mmで、論文の値5.4mmよりもやや小型です。ちょっと不安に思っていたら、実は、昨年も同じような個体を見ていました。そして、検索表で調べた結果、やはり同じPlecia membraniferaに同定していました。その時書いた記事によると、ネットを調べたら本州にも記録があり、また、秋にも見られているようです。マンションの廊下では昨年、8月21日から9月4日にかけて何度か、それに、10月1日にも見ていました。



すごい大顎をしていますね。たぶん、♂アリでしょうね。名前はよく分かりません。

追記2015/08/25:「日本産アリ類全種図鑑」の絵解き検索をぱらぱら見ていたら、フトハリアリ属の性質の一つに大顎基部の外側面に小孔があるという項目が見つけました。上の写真を見ると大顎基部に白い孔のようなものが見えます。さらに、全体の形はオオハリアリなどによく似ています。「日本産アリ類図鑑」を見ると、フトハリアリ属は分子系統解析の結果、南米だけに分布する小さな属になり、以前フトハリアリ属とされていたのものは11属に分けられることになったそうです。そのうち、大顎基部に小孔を持つものは、トゲズネハリアリ属、オオハリアリ属、ホンハリアリ属になるようです。トゲズネハリアリ属は中脚脛節外側に棘状の剛毛を複数具え、また、体色は黄褐色です。従って、それ以外かなと思われます。分布からは、オオハリアリ、ナカスジハリアリ、ケブカハリアリが残りましたが、ここでストップです

追記2015/08/25:AntWikiというサイトで、

WORD FILE UPDATES OF:
1. BARRY BOLTON: A NEW GENERAL CATALOGUE OF THE ANTS OF THE WORLD. PUBLISHED 30.x.1995. HARVARD UNIVERSITY PRESS: 504 PP.
2. BARRY BOLTON: SYNOPSIS AND CLASSIFICATION OF FORMICIDAE. PUBLISHED 10.xi.2003. MEMOIRS OF THE AMERICAN ENTOMOLOGICAL INSTITUTE 71: 370 PP.

というJanuary 2013版の世界のアリのリストが見つかりました。それによると、オオハリアリ属Bracyponeraなどはフトハリアリ属Pachycondylaに再度入れられています。さっぱり分かりませんね


追記2015/08/25:同じAntWikiで、List of valid species (names in use) (Date: 2015-06-25)というリストがあったので調べてみると、オオハリアリはBrachyponera chinensisとなっていて、オオハリアリ属になっていました。これが一番新しいと思われるので、「日本産アリ類図鑑」のものでよいようです)



トビケラも最近、ちらほら見ます。また、一度捕まえて検索でもしてみようかな。



天井からツクツクボウシがぶら下がっていました。クモの巣に引っかかったのですね。



体長は3,2mm。小さな甲虫です。たぶん、カサハラハムシの仲間だと思います。



ケナガスグリゾウムシはなぜか外壁によくいます。



それにオオゾウムシです。



クモはこのマダラヒメグモがいました。

廊下のむし探検 アカオビフトメイガほか

廊下のむし探検 第689弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。最近は少し涼しくなって、廊下を歩くのもだいぶ楽になってきました。この日は蛾が多かったようです。



今日の最初はこの蛾です。小さな蛾だったのですが、残念ながらよその家の窓枠のすぐ上に止まっていました。それで、だいぶ離れたところから撮ることになったのですが、あまり見慣れない蛾です。調べてみると、アカオビフトメイガという蛾のようです。「標準図鑑」を見ると、熊本で少数の個体が得られているにすぎないとのことですが、ネットで検索すると近畿を含めた本州でも見られているようです。近くで撮影できたらよかったのですが・・・。



こちらはホシオビホソノメイガだと思います。



ヒメマダラミズメイガはこの日だけでも10匹ほど見ました。



オオシロアヤシャクは堂々とした止まり方をしていますね。遠くから見てもよく目立ちます。昨年の4月と8月にも見ていました。



かなりちっちゃな蛾なので、たぶん、ミジンキヒメシャクかなと思います。



写した時はギンバネヒメシャクかなと思ったのですが、よく見ると違いますね。いろいろと迷ったのですが、横線の形からウスキクロテンヒメシャクかなと思いました。違うかな?(追記:ささきさんから、「ヒメシャクはギンバネヒメシャクでよいと思います。メスのようですね。オスとメスとで若干感じが違うので、ギンバネじゃないように感じられたのではないでしょうか? ウスキクロテンだったらもっと大きくて黄色味が強く、横線も明瞭。横脈紋もより明瞭だと思います。」というコメントをいただきました。初め見たときはギンバネだと思ったのですが、翅の褐色の横線を見て違う種かなと思ってしまいました。どうも有難うございました





これはクロスジホソバです。この日は2匹いました。昨年は8月21日から9月4日にかけて合計8匹も見ていました。「大図鑑」を見ると、6-7月と8-9月の2回発生のようです。これは2化目ということになりますね。



ホソバシャチホコ



コトビモンシャチホコもいました。コトビモンも6月と7-8月の2化のようです。



そういえば今年はヤママユを見ていないなと思ったらこんな姿になっていました。これまでの記録を見ると、7月28日から9月19日までの間で、一昨年は6匹、昨年は2匹、それに今年は生きているのが0という状態です。



これはスジキリヨトウかな。



ちょっと迷ったのですが、ホソナミアツバではないかと思います。



外壁に小さな毛虫がポツポツとついています。これはヨツボシホソバかな。

とりあえず蛾だけ出します。

虫を調べる ハバチは難しい

この間からちっちゃなハバチに悩まされています。どうも検索がうまくいきません。そこで、今回はいろいろな本に載っている検索表をすべて試してみることにしました。だから、もやもやした結果に終わることをご承知おきください。でも、こうやって悩むのも勉強のうちだと思って頑張ってみます。



体長は6.1mmの小さなハバチです。特にこのハチに興味があったというわけではなくて、たまたまいたので捕まえたというだけだったのですが・・・。

まずは何科になるか調べてみました。ここで、2つの本を参考にしました。まずは、「絵解きで調べる昆虫」です。このハチはとりあえずハバチ科になると思われるのですが、その検索の過程を書いてみます。



次は、「原色昆虫大図鑑III」です。これも書いてみます。



これを一つづつ調べていきました。例によって、参考にする写真を載せます。また、検索の項目に関係するところには記号とその内容を書き入れました。



まず、検索表の①と②はすぐに分かるので、③を調べてみます。中胸背には横溝はありません。次の④は次の写真を見てください。



触角は複眼の間から出ています。従って、④もOKです。⑤は最初の写真を見ると分かります。⑥は次の写真を見てください。



これは前脚脛節の写真ですが、末端に2本の距が出ています。従って、⑥もOKです。⑦はFig. 2を見ると分かりますが、前胸背板後縁は深く湾入しています。⑧と⑨は触角に関するもので、Fig. 1を見ると分かります。⑨の後半の「前翅は2r脈を持つ」というのは次の写真を見てください。



2r脈は破線の矢印で示したところにあるはずの横脈です。実は、この個体には2r脈はありません。従って、⑨の後半の条件は合わないことになります。一方、もう一つの選択肢を選ぶと、触角には鋸歯や櫛歯があることになり、明らかに異なります。ハバチ科には2r脈がある種もない種も含まれるので、この条件を飛ばすとハバチ科になります。 なお、翅脈の名称は後で紹介するInsects and Arachnids of Canada Handbook Series, 20 (1992)によっています。また、R+M?と書いたのは、もとの文献ではRとなっているのですが、これはMの通り道でもあるので、R+Mと書くべきではないかと思って書きました。

どうもはっきりしないので、次は「原色昆虫大図鑑III」の検索表を使ってみました。aは良いとして、bの最初は先ほどの④と同じ項目です。後半の後翅の翅脈については次の写真を見てください。



見ると分かりますが、後翅にはいくつかの閉じた室があります。従って、これもOKです。次のcは⑤と同じです。そして、dは先程の⑨と同じで2r脈についてです。今度は2rがないという選択肢を選ぶことができました。eは上の写真で示す通り、後翅のm-cu脈で閉じた室があることを示しています。そして、最後のfは触角の節数ですが、Fig. 1に示したように全部で9節です。これでハバチ科、または、クビナガキバチ科になりました。またしてもはっきりしないのですが、たぶん、ハバチ科で良いのでしょう。

次は亜科への検索です。これはもっぱら翅脈で検索をします。ハチ特有の翅脈の呼び方が出てくるので、復習のために以前に出した図をもう一度出しておきます。



さて、検索を始めるのですが、まず、「絵解きで調べる昆虫」に載っているハバチ科の検索表を使ってみます。



これは検索表の最初の部分を図にしてみたのですが、検索を進めると赤の矢印に従って進むことになるので、最終的にハバチ亜科になります。その過程を次の翅脈の写真から見ていきます。



もっとも重要な点は、⑪で示したように、R+M?と書いた翅脈の両側の合流点が離れているか、あるいは、一点で接するかという選択です。この個体では明らかに離れているので、赤矢印の通り進むことになります。さらに、⑫で示した肘脈基部は直線状なので、疑いもなくハバチ亜科になります。

ところが、別の検索表を用いてみます。



これは「大阪府のハバチ・キバチ類」に載っている検索表です。先ほどとほとんど同じなのですが、2つの合流点間の距離が第1肘横脈より長いか、短いかという条件が新たについています。そこで、その部分を測ってみました。



㉑、㉑'と書いた文の上にある数字がそれなのですが、R+M脈の長さは1m-cu脈の長さの1.02倍になり、ほとんど同長です。つまりどちらも合わないことになります。そこで両方の道を進むことにすると、左側はハバチ亜科になります。右側の道を進むと、先ほど同じ肘脈基部が直線かという㉒の項目になり、次に㉓の第1,2反上脈は同じ肘室につながるかという項目があります。上の写真を見るとともに同一の室につながっているので、そちらを選ぶと、最終的にヒゲナガハバチ亜科になりました。

追記2016/02/17:第1肘横脈が間違っていました。1m-cuではなく、2r-mの基部側にあるRsと書いた脈でした。従って、基脈と肘脈の亜前縁脈との合流部間の距離は第1肘横脈の長さよりは十分に長いので、ハバチ亜科に進むことになります。そこで、もう一度検索を試みたのですが、「絵解きで調べる昆虫」でも「大阪府のハバチ・キバチ類」でも検索表の最初に前翅肛室の形状を選ぶ項目があります。ところが、写真のように基部は完全に融合し、先端だけに肛室があるような形状を選ぶことができず、そこから先に進めません。どうやらハバチ亜科ではなさそうです。「大阪府のハバチ・キバチ類」の標本写真を見ると、基脈と肘脈の亜前縁脈との合流部が離れ、2r脈がなく、基部は完全に融合して先端だけに肛室があるような種がヒゲナガハバチ亜科には見られます。やはりヒゲナガハバチ亜科かもしれません。それではどうして、検索表でそちらにいかないのでしょう

まだ、はっきりしないので、今度は外国の本の検索表を使ってみました。使ったのは次の本です。

H. Goulet, "The genera and subgenera of the sawflies of Canada and Alaska: Hymenoptera: Symphyta", Insects and Arachnids of Canada Handbook Series, 20 (1992). (こちらからダウンロードできます)

このハバチ科の亜科への検索表をつたない語学力で訳してまとめたのが次の図です。




多くの亜科が関係していたので、YESか、NOで選ぶ形式で書いてみました。ポイントとなるのは図中の㉛から㉟までの条件です。実際にやってみるとこの個体ではこれらすべてが満足され、ハチ屋さんから教えていただいた通り、ヒゲナガハバチ亜科になりました。翅の写真に詳細を書き込んでみました。



ちょっとごちゃごちゃしてしまいましたが、まず、㉛については翅脈間の角度は79度になり、まぁ、範囲に入っています(検索の文を合わせるために翅脈の名称をRとしています)。㉜は合流地点間の距離と1m-cu横脈の長さの比ですが、2.3倍となり、これも範囲に入ります。さらに、㉝は2つの翅脈の延長線が縁紋側で交わるかという点ですが、確かに交わります。これらの条件でハバチ亜科は除外できます。㉞は2Aと3Aが完全には輪郭を描いて室をつくらないという項目なので、これもOKです。最後の㉟は1Rs室に2本の横脈がつながっていることを示していて、これもOKです。この場合は、あまり問題となるところはなく、ヒゲナガハバチ亜科になりました。

ハチ屋さんの意見を踏まえて、たぶん、ヒゲナガハバチ亜科なのだろうと思って、「絵解きで調べる昆虫」で属の検索も行ったのですが、交尾器の辺りの記述がどうもよく分からなくて、今のところちょっとお手上げです。ただ、検索のために写真を何枚か撮ったので、一応、載せておきます。



顔と触角を写したものです。



腹を背側から撮ったものです。腹部第1背板の辺りに十字の模様がありました。



前脚と中脚は淡色で、後脚腿節の途中から黒色になっていました。腹部の腹側も淡色です。





腹部末端の写真です。上が横から、下は腹側からです。これは♀なのでしょうか?よく分かりません。



最後は脚の爪です。こんな二重の爪になっていました。これも検索では使うので、撮ることは撮ったのですけど・・・。

それにしても、ハバチの検索は難しいですね。いったいどの本を信じたらよいのかさっぱり分からなくなりました。

追記2016/02/18:「絵解きで調べる昆虫」で属の検索に挑戦しました。検索した結果、ヒゲナガハバチ亜科Pristiphora属ではないかと思ったのですが、その部分の検索表を書いてみます。



まず、㊵と㊶は共にFig. 10を見るとすぐに分かります。また、脛節、跗節に特に異常が見られないことはFig. 13に、腹部末端節に異常がないことはFigs. 14と15を見ると分かります。また、㊹の頭盾下縁はFig. 3を見ると分かりますが、広く窪んでいますが、中央が湾入することはありません。従って、これもOKです。最後の爪はFig. 16を見ると、爪に歯はあるもののその基部に基片という出っ張りはありません。ということで、Pristiphora属になりました。合っているかなぁ

廊下のむし探検 家の中にヤモリが

廊下のむし探検 第688弾

今日は天気が悪いので、諦めて家の中でずっとハバチを調べていました。でも、難しくてなかなか分かりません。もうやめようかと思っていたころ、ハチ屋さんから貴重なコメントを頂きました。それで、また、ちょっと調べて・・・。だから、今日の「廊下のむし探検」はお休みです。

昨晩、私の寝た後にちょっとした騒ぎがあったみたいです。家の中でヤモリが歩いていたということで・・・。朝、入れものに入れられていました。かわいそうなので、廊下で放してやって写真を撮りました。





意外に速く動くのですね。追いかけて撮りました。顔が何となく可愛いですね。

その時、ついでに撮った蛾です。



トビイロシマメイガです。

今日は後、「虫を調べる」としてブログに出してきたものを何とかまとめられないかなと思って、ためしに、この間のヒメニセコガタクサカゲロウの記事をWordを使ってまとめてみました(こちらからpdfがダウンロードできます)。まだ、試作品なので文章はほとんど変えずに、図の配置だけを考えて作ってみました。


ちょっと格好良くできたでしょう。それにしてもWordで図を入れるのは難しいこと、難しいこと。何かちょっと変えると、図があっち行ったりこっち行ったり。まったく、思い通りになりません。こんなソフト、誰が作ったのでしょうね。

廊下のむし探検 ハバチで苦しむ

廊下のむし探検 第687弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日も虫は少なかったのですが、少ないと少ないぶんだけ、普段、調べていない虫を調べようとするので苦しむことになってしまいます。この日はハバチで苦しんでしまいました。



苦しんだのはこのハバチです。きっと分かる人は見ただけで見当がつくかもしれませんが、私はさっぱり分からないので採集してきて、例によって検索表で調べてみました。でも、ハバチの検索はだいぶ前にやったので、もうすっかり忘れてしまっていて、翅脈の見方も分からないし・・・。



それでも、「絵解きで調べる昆虫」と「大阪府のハバチ・キバチ類」の検索表を併用しながら調べてみると、ハバチ科ハバチ亜科までは簡単にたどり着き、どうやらそこまでは確かそうです。その先の属の検索では、本の記述が間違っているところもあって、何度もつまづいてしまいました。ある時はクロハバチ属になり、また、ある時はキモンハバチ属になり、そして、コシアカハバチ属などにたどり着いてしまい、どうも違うと悩んでいます。ほとんどギブアップしそうな状態なのですが、もう少しだけ粘ってみます。



この日もクサカゲロウがいました。



顔のアップです。ヨツボシクサカゲロウですね。正面からも撮っておきました。



胸背だけ黄色い帯状の筋が入っていますね。



シロテンハナムグリがひっくり返っていました。



この日は起こしてやりました。



カナブン



フタモンウバタマコメツキもいました。



蛾も結構難しいのがいました。ところどころ着色している縁毛の色からチビトビモントリバかなと思ったのですが、自信はありません。



これはハイイロエグリツトガかな。



それにギンバネヒメシャク



いつもシロシャチホコとしているのですが、バイバラシロシャチホコとの区別は分かりません。



鱗粉がだいぶ取れているのですが、ホソバシャチホコかな。



これは、ギンモンシロウワバですね。



それにこれはたぶん、ユミガタマダラウワバだと思います。



地下駐車場の天井にこの間からセグロアシナガバチがじっと止まっています。襲ってはこないと言われるのですが、睨まれているようでちょっと怖いです。

廊下のむし探検 コロギスほか

廊下のむし探検 第686弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日はこんな虫がいました。



初めは普通のキリギリス科のバッタかなと思ったのですが、どうも足が太いような、全体につぶれたような感じがしました。一応、前からも撮ってみました。



この写真だとつぶれたようなという感じが分かるかもしれません。「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」をぱらぱら見ていたら見つかりました。どうやらコロギス科のコロギス♂のようです。この間見たのはハネナシコロギスだったので、コロギス科はこれで2種目になります。「廊下のむし探検」を始める前までは、コロギスなんていうバッタがいることは全く知りませんでした。ちょっとだけ知識が増えましたね。



バッタついでにこちらも出しておきます。これはたぶん、ヤブキリ♀ですね。



これはアカサシガメです。背景が白いと何か綺麗に見えますね。



こちらはチャバネアオカメムシです。



キイロカワカゲロウもいました。格好がよいので、ついつい撮ってしまいます。



最近はこのウロコチャタテがあちこちいます。小さな黒い虫が壁をちょろちょろ動いているなと思うとたいていこの虫です。



これはたぶんコアオハナムグリですね。



一応ひっくり返してみました。腹が黒いので間違いなさそうです。



蛾ではこれが綺麗だったのですが、なかなか名前が分かりませんでした。いろいろと図鑑を見ていて、たぶん、ムモンフサキバガかなと思っています。



これはオオマエキトビエダシャクです。外壁に止まっていたのですが、何か整った美しさを持っていますね。



これはキマエホソバか、ニセキマエホソバでしょうね。今頃、あちこちに止まっています。



後は、ウスベニコヤガ



モンクロギンシャチホコでした。



最後は外壁に止まっていた、この毛虫です。以前も見たことがあったのですが、たぶん、アカスジシロコケガだと思います。コケガというくらいなので、外壁の苔でも食べているのでしょうか。結構、小さな毛虫がぽつぽつついています。

虫を調べる ヒメニセコガタクサカゲロウ?

先日、クロヒゲフタモンクサカゲロウやフタモンクサカゲロウに似ているのですが、ちょっと違うクサカゲロウを見つけました。検索してみると、ヒメニセコガタクサカゲロウという種になりました。ただ、この種は日本では琉球諸島と小笠原諸島で普通なのですが、他の地域では稀な種とされています。それで、あまり自信はないのですが、一応、記録のためにまとめてみました。



見つけたのは8月12日で、マンションの廊下です。見る限り普通のクサカゲロウみたいですが、あえて全体的な特徴を書くと、翅に黒色の横脈が多いとか、体の中心を走る黄色の帯が見られないなどが見て取れます。



これは計測のために撮影したものです。クサカゲロウを採集した時は、最近、チャック付きポリ袋に入れて冷凍庫に入れることにしています。以前は酢酸エチルを含む毒瓶に入れていたのですが、ほぼ間違いなく緑が黄色に変色してしまいます。こうやって冷凍庫に入れておくと緑が保たれてなかなか調子がよいです。ただ、観察のたびに、解凍、冷凍を繰り返しているので、何か変質するかもしれませんが・・・。この写真から計測すると、体長9.5mm、右触角の長さ10.5mm、前翅長13.5mmでした。触角は左右とも先端が切れている感じなので、あてにはなりません。

クサカゲロウの検索はだいぶ前から、次の本を使っています。

塚口茂彦、"Chrysopidae of Japan (Insecta, Neuroptera)" (1995).

この本は自費出版なので手に入れることが難しいのですが、大変よくまとめられた労作だと思います。

この本の検索表を使って上の種を調べていきたいと思います。クサカゲロウ族であることは間違いないので、その先の属の検索からしていきたいと思います。



以前から何度も出している検索表です。上記の本が英語なので、私のつたない語学力で訳しているの間違っているところも多々あると思います。ご了承ください。赤字は例によって、今回用いた検索の項目です。関連する写真を載せます。





これは頭部を前からと横から撮影したものです。検索表の項目と関連するところは図にその番号とともに内容を書き込んでいます。まず、①は腹部に書類差しのような構造(file-like structure)についてですが、私自身この構造を見たことがないので、こんな訳がよいのかどうか分かりません。ただ、本の図には載っているので、この個体にはないことはすぐに確かめられます。この構造は発音に関係した構造のようです。

③は頭部に紋があるかないかですが、写真を見るとあることは確かです。次は⑦で、額(fronsなので前額と訳すべきでした)に紋があるかどうかです。Fig. 2を見ると分かりますが、紋はありません。次の⑧と⑩は翅脈についてなので、前翅の写真を載せます。



この写真から横脈のどの部分が黄色ないし緑なのか分かりにくいのですが、翅の中頃右側で横脈が途中で薄くなって見える部分は途中から緑色になっている部分です。次の⑩の翅室imはこの図に示してありますが、その先端がRs-M横脈より翅端側にあるかどうかを尋ねています。間違いなく翅端側にあるので、これでニセコガタクサカゲロウ属になりました。

次は種への検索表です。また、訳した検索表を載せます。



⑪の前胸背板に茶色か黒のスポットがあるかどうかですが、Fig. 1を見ると分かりますが、そのようなスポットはありません。一応、その部分の拡大を載せておきます。



次の⑫は前額に紋がないということなので、⑦ですでに確かめました。また、頭盾両側の紋については、同じFig. 2に載せていますが、弱い線状の紋があります。次の⑮は触角柄節は色づかないということですが、注目する所は柄節外側の側面です。Fig. 2あるいはFig. 3で分かりますが、色づいていません。この特徴でクロヒゲフタモンクサカゲロウを除外することができます。最後の⑰は口肢が黒褐色に色づくかというという点ですが、Fig. 3を見ると分かりますが、口肢末端節の中央部が黒褐色に色づいています。また、腹部背面中央に縦筋があるかどうかですが、Fig. 1でも見れるように明瞭な縦筋はありません。細い縦筋が見えるのですが、これはフラッシュで光ってしまった部分です。ということこで、フタモンクサカゲロウを除外でき、ヒメニセコガタクサカゲロウになりました。

次に、本に載っている種の特徴についても読んでみました。前翅長はこの個体が13.5mmであるのに対し、本では11-13mmです。まぁいいのかもしれません。触角の長さは本では前翅長と同長とありますが、これはかなり短いです。でも、どうやら途中で切れてしまっているようです。クサカゲロウの翅には段横脈というのがあり、Fig. 4には番号を入れているのですが、上側は6、下側は7あります。これを6/7と書きます。本では4-6/4-7となっていて、範囲には入っています。

ということで、外形的な特徴はまぁよさそうなのですが、記述を読んでもどれが特徴なのかさっぱり分かりません。それは、紋があるか、弱いあるいはない場合があるというあいまいな記述ばかりなのです。おまけに琉球産と本州産では若干違いがあるようです。本州産では、前額の紋はまったくなく、暗褐色から黒褐色の頬の紋があり、頭楯両側の紋はわずかで、横脈の黒色部分はより黒いということで、今回の個体とはよく合っています。

ただ、口肢の色は本の図も参照しながら見てみると、小顎鬚(外側の大きな口肢)の第3節、第4節の外側が弱く着色、第5節(末端節)の中央部が全体に着色、下唇鬚(内側の小さな口肢)の末端節中央が全体に着色しているようです。この個体では小顎鬚は末端節中央部だけが着色しているので、ちょっと違うようです。でも、これも変異のうちかもしれません。いつももやもやで終わるのですが、だいたいヒメニセコガタクサカゲロウでよさそうです。でも、この種、もう少し細かく分かれるかもしれないなという感触を持ちました。



最後に今回の個体の顔写真を使って、クサカゲロウの頭部の着色部分をまとめてみました。*で書いてあるのはこの部分に着色斑が出ることもあるということを示しています。参考まで。

廊下のむし探検 鱗粉の取れた蛾ほか

廊下のむし探検 第685弾

昨日の続きで、3日前の「廊下のむし探検」の結果です。



今日の最初はこの蛾です。だいぶ鱗粉が取れてしまっています。撮影した時はフトメイガかなと思ったのですが、翅形がちょっと違いました。こういう鱗粉が取れた蛾はちょっと挑戦的で、名前調べにも熱が入ります。白い波状の筋とその外側の赤茶色の模様が手がかりで、ネモンシロフコヤガかなと思いましたが、どうでしょう。(追記:ささきさんから、「コヤガは難しいですね。特にこの仲間(昔Lithacodiaと呼ばれていた一群)は訳が分かりません。ニセシロフだけは赤っぽいことが多いので分かりますが、他は外見だけではお手上げです。この写真のものはニセシロフではないようですね。」というコメントを頂きました。どうやら外見上での名前調べは無理なようです



これはトリバガ科です。うまく写せたので喜んでいたのですが、結局、いつもいるブドウトリバのようです。



最近、よく見ますね。これはクロシタシャチホコです。



翅の中央が緑ではないので、たぶん、オオアオシャチホコでしょうね。



トビイロスズメもよく見ます。地下駐車場に止まっていました。



アカスジシロコケガです。翅の前縁がちょっと曲がっているので、たぶん、♂の方ですね。この曲がった辺りに♂の性標があるというので、以前、調べたことがありました。結局、どうなったのでしたっけ。



これはクロテンハイイロコケガです。



これはシバツトガだと思います。



それにトビイロシマメイガ



そして最後は、この間外来種として紹介したノシメマダラメイガでした。

廊下のむし探検 立派なカブトムシ

廊下のむし探検 第684弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。



この日はこんな立派なカブトムシを見ました。クワガタはよく見るのですが、最近、カブトムシはほとんど見ていません。調べてみると一昨年の7月16日に♀を見ただけでした。本当に久しぶりですね。こんなに立派な♂は。ちょっと嬉しくなりました。



後はいつものフタモンウバタマコメツキでした。



次はこのスズメバチです。これまでスズメバチの違いがどうもよく分からなかったのですが、ネットで調べると寺山守氏のハチ検索表にスズメバチ科の検索表も入っていました。それによると、「腹部第3-5背板の黄帯前縁には1対ずつの波状の凹みがある」のがモンスズメバチのようです。この写真の個体はまさにそうなので、これがモンスズメバチなのですね。「廊下のむし探検」初登場です。(追記:通りすがりさんから、「モンスズメバチは他のスズメバチと違って、暗くなっても活動してるんで注意が必要になる場合も…。」というコメントをいただきました



この日はツクツクボウシもいました。これは♀ですね。



この間から見ているホシウスバカゲロウです。



それにアカマダラカゲロウ



ズグロオニグモです。いつもは脚を縮めているのですが、この日は伸ばしていました。



クモが何かを捕まえています。かなり脚の数が多そうです。たぶん、ムカデでしょうね。ちょっと気持ちの悪い写真でした。

廊下のむし探検 ジャノメチョウ、蛾など

廊下のむし探検 第683弾

3日前の「廊下のむし探検」の続きです。



地下駐車場の天井にジャノメチョウが止まっていました。何をしているのか分かりませんが、3日経った後でもこのまま止まっていました。



ちょっとだけ角度を変えて撮ったら、少し赤っぽく写りました。どうしてでしょうね。



そのすぐ隣にウストビイラガがいました。フラッシュをたいたら、翅が光ってしまいました。この間見たのは6月8日で、この時は外側の窓に止まっていて、あまり写真がうまく撮れなかったのですが、またしても撮影失敗ですね。



床にはヤマトカギバもいました。この日はほとんど歩かなくて3種も撮れました。



ちょっと離れた天井にはリンゴドクガがいました。これもよく見ますね。



後は廊下で見たのですが、これはオオエグリシャチホコです。



それにシャクドウクチバ



それからアカエグリバ



これはシロテンキノメイガですね。



これはあまり良くは分かりませんが、外横腺が点列になっているのでオイワケヒメシャクかもしれません。



これはコクワガタの♀かな。



サシガメの幼虫のようです。「日本原色カメムシ図鑑第1巻」を見ていたら似た種が載っていました。アカサシガメの5齢幼虫のようです。



前日もいたホシウスバカゲロウです。



名前調べに時間がかかったのはこのクサカゲロウです。廊下の壁のちょっと高いところに止まっていたので、手を伸ばして撮影しました。それでいつものような顔のアップが撮れませんでした。仕方なく、一応採集してきました。頬に黒紋があって、口肢が黒いので、クロヒゲフタモンクサカゲロウかなと思ったのですが、触角柄節外側が色づいていません。そこで、いつもの検索をしてみると、ヒメニセコガタクサカゲロウになりました。合っているかどうかは分かりませんが、詳細はまた次回に載せます。

廊下のむし探検 ガガンボで苦戦

廊下のむし探検 第682弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日は比較的大きなガガンボがいて、翅脈が綺麗に撮れたので、一度、ガガンボの科の検索をちゃんとしてみようと思ったのが苦戦の原因になりました。



こんなガガンボです。腹の先端が尖っているので、多分、♀ですね。翅を広げていてくれたので、翅脈がよく見えます。「絵解きで調べる昆虫」(文教出版、2013)という本があって、検索によく用いているのですが、双翅目の検索表の最初の方にガガンボの科の検索表が載っています。だいたいは翅脈による検索なので、一度、きちんとやってみようと思いました。この本の検索表をまとめると次のようになります。



先ほどの写真を使って、これを順番に調べてみました。まず、①と②は胸部と頭部に関するものなので、その部分を拡大してみます。



V字型のしわがあり、単眼がないので、これでガガンボダマシ科でないことが分かります。

次からは翅脈に関してです。実は、ここから苦労してしまいました。本には翅脈の絵も載っているので、何となくは分かるのですが、ちゃんとやろうとすると手元にある翅脈の名称とどうも合いません。あぁでもないこぅでもないと翅脈の名称が載っている文献をいろいろと探してみました。その結果、どうやら1950年の本に載っている図を用いるとうまくいくことが分かりました。





これがそれです。用いたのは、Handbook for the Identification of British Insects Vol. IX Part 2(このシリーズはここからダウンロードできます)で、この本の中に書いてあった翅脈の名称を使うとうまくいきました。まず、③については、R脈が4本ということで、ニセヒメガガンボ科を除外できます。次に、⑤についてはA脈が2本なので、コシボソガガンボ科を除外し、さらに、R1脈の終点が翅縁に達しているのでシリブトガガンボ科を除外できます。最後にSc脈がR1脈で終わることでヒメガガンボ科を除外でき、無事にガガンボ科に到達出来ました。

でも、脈の名称を写真に書き込んでいる時に、R1脈とR2脈の間が横脈になってしまうのが何となく気になりました。この後に出されたManual of Nearctic Diptera Vol. 1(このシリーズはここからダウンロードできます)では、この部分が次のように変わっていました。





先ほどのR1とR2脈周辺が変わっています。Sc脈はSc2となって、一旦、R1と合流した後、Sc2として翅縁まで達しています。R脈の方はR1とR2+3から来たR2が合流してR1+2として翅縁に達しています。この場合はR脈は合計3本になっていて、先ほどとは異なります。この翅脈名を用いると、先ほどの検索でR1脈の終点という表現はおかしいし、また、Sc脈の終点も変わってしまいます。

さらに、「日本産水生昆虫」には、日本で用いられているもっと新しい翅脈名が載っています。





この名称は、もともと、一番上でCu2脈と書いた脈が擬脈だと考えて脈とはせず、これまでA1と書いていた脈をCuP脈としているところが特徴です。この翅脈名を用いると、上の④にあるA脈は2本という項目が合わなくなってしまいます。さらに、R脈の辺りも変更されています。つまり、ScはやはりR1とぶつかった地点で終了しています。さらに、R1とR2+3+4から来たR2が合流してR1+2を作っています。この翅脈名だとR脈は全部で4本になります。

このように、検索表にはどの翅脈の名称を使っているかが重要なのですが、論文や本では必ずしもそれが触れられていない場合が多くて、これがいつも悩みの種になっていました。今回は以前用いられていた翅脈名を用いることによって、「絵解きで調べる昆虫」のガガンボ科辺りの検索表をはっきりさせることができました。いずれにしても翅脈名は統一してほしいですね。

ちなみに、「原色昆虫大図鑑III」では、上の検索表とはかなり異なっていて、翅脈以外の形質をかなり使っています。さらに、「日本産水生昆虫」には属の検索表も載っているのですが、調べてみるとガガンボ属かマエキガガンボ属かということになりました。

ガガンボでくたびれたので、他の虫は後に回します。

廊下のむし探検 変わった形の蛾ほか

廊下のむし探検 第681弾

一昨日の「廊下のむし探検」の報告をまだ続けています。最後の蛾についです。この日はこんな変わった形の蛾がいました。



写した時は普通のハマキガかなと思って注意を払わなかったのですが、後で写真を見るとずいぶん変わった形をしています。「大図鑑」で探してみると、マルハキバガ科のオオエグリヒラタマルハキバガという種に似ています。「標準図鑑」を見てみると、科と和名が変わってエグリキバガ科のオオエグリキバガになっていました。翅がこんなにえぐれているわけではなくて、前縁が少し湾曲する程度で、湾曲部の両側の鱗粉が隆起して、全体としてえぐれているように見えるのだそうです。

似た種にネズミエグリキバガという種もいて、区別がつきにくいのですが、「標準図鑑」によると、「前翅斑紋はネズミの方が中室端の白い小点が明瞭で中室の中央と後縁側ひだ上に暗褐色点があらわれ、また、外縁には暗褐色の外縁線が明瞭で、そこから生じる縁毛は黄色いことが多いなどの点でオオとは異なることが多い。」とのことです。暗褐色点は明瞭なのですが、白い小点は不明瞭、外縁線は点状になっていて、縁毛は黄色というわけではなく・・・といろいろ迷うのですが、たぶん、オオエグリキバガかなと思っています。



以前も見た気がするのですが、プライヤハマキではないかと考えています。



これはキベリトガリメイガでしょうね。



それにトビイロシマメイガ



それにテングイラガです。いろいろな蛾がいますね。



これはウスギヌカギバです。



それにこの間もいたウスバミスジエダシャク



それにコトビモンシャチホコ。どれも最近よく見る蛾ですね。



アカエグリバ



光って模様がよく見えませんが、たぶん、スジキリヨトウだと思います。



最後はシマフコヤガです。結構、綺麗に撮れました。これでやっと一昨日の整理ができました。

廊下のむし探検 ハネナガヒシバッタほか

廊下のむし探検 第680弾

昨夜の続きで一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。最近、検索表が少しずつ使えるようになって虫の名前調べが少し楽しくなりました。と同時に、1匹の虫の名前調べに多大な時間を要するようになりました。だいたいは写真判定でやろうとしているのでさらに大変です。採集してくるともっと簡単になると思うのですが、家中虫だらけになるのも嫌なので・・・。



今日の最初はこのヒシバッタです。何となく複眼の飛び出しが少ないのと、全体の色が違うので、いつものニセハネナガヒシバッタではないかもと思って調べてみました。前回、ニセハネナガヒシバッタを調べた時と同様、、「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」に載っている検索表を使いました。



これは必要な部分を抜き出したものですが、実は前回と同じ失敗をしてしまいました。検索表の「・・・」で書いたところは、真上からの写真が必要だったのです!そんなことはすっかり忘れていて、横からの写真しか撮らなかったので、この部分はまたおあずけになりました。まったく学習していないですね~。まぁそれでも、ハネナガヒシバッタの仲間であることは間違いないので、検索には支障はないと思いますが・・・。

いつものように検索に必要な写真を載せます。必要な箇所には検索項目の番号と内容の要約を書いておきました。



まず、⑧の「前胸背板側葉先端は丸みを帯びる」はこの写真で分かると思います。次の⑮は次の写真を見てください。



ずっと後ろまで伸びているのは、前翅ではなくて実は前胸背板です。その後ろに後翅がちらっと見えています。退化した前翅は上の写真で確認できます。その次の⑱は⑱Aを選ぶのですが、上の写真で分かるように複眼が飛び出ています。⑲は前胸背板前縁が上反しているので⑲Bを選びます。これで、ハネナガヒシバッタ属かニセハネナガヒシバッタ属のどちらかになります。

問題は次です。この間悩んだ触角基部が複眼下円より上に位置するか、下に位置するかという項目が出てきました。上か下かといっても顔の向きで変わってしまうので、触角基部を延長した線と複眼下円を比較したらどうだろうとこの間書きました。上の写真ではそれを破線で書いています。かなり微妙ですが、確かに下円と接しているような気もします。でも、多分に先入観が入っているので、あまり当てにはなりません。次の中腿節下縁の毛は次の写真を見てください。



写真が不鮮明なのですが、この写真を見るとニセハネナガヒシバッタの時よりまばらな気がします。もっとも抜けてしまったのではと言われると反論できないのですが・・・。というので、あまり確かではないのですが、ハネナガヒシバッタ属の方に進んでみます。

次は㉑の前胸背板が直線状か凸凹があるかという点で、直線状ではないので㉑Bを選びます。最後は触角が太いか細いか、さらに各節が扁平か円筒形かという点です。上の写真でしか判断ができないのですが、何となく扁平な感じがします。というので極めて怪しいながらハネナガヒシバッタに到達しました。何となく複眼の飛び出しが少ないなと思った最初の印象の方が、下手に検索するより確かかもしれませんね。



まだこういう羽アリがうろうろしています。触角が伸びているので♂アリです。何となく先日調べたトビイロケアリ(?)に似ている感じなのですが、トビイロケアリ♂らしい羽アリが大量に発生したのが7月初めでした。もう一ヶ月以上になるのにまだいるのでしょうか。1匹捕まえてきたので、もう一度調べてみます。



何か分からない女王アリもいたのですが、女王アリには苦労しそうなので今回はパスしました。



一昨日調べたウシアブ♀です。こんな状態で転がっていて、時折、脚をバタバタさせていました。



こちらもひっくり返って脚をバタバタさせていたのですが、オオゴキブリでしょうね。オオゴキブリは森に住むというのですが、やはり気持ち悪いです。



大きなゴマダラカミキリがいました。ゴマダラカミキリはよく見るのですが、不思議と「廊下のむし探検」初登場でした。



こちらは以前教えていただいたコヨツボシケシキスイだと思います。



最後はクモです。脚が長くて全体を入れると体が小さくなるので、ちょっと拡大してみます。



腹部が菱型なので、ヒメグモ科のヒシガタグモではないかと思います。

蛾は次回に回します。

廊下のむし探検 ウスバカゲロウを見分ける

廊下のむし探検 第679弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日は午前中の早いうちに歩いたので、虫が比較的たくさんいました。でも、相変わらず名前調べはなかなか進みません。とりあえず終わったところから出してみます。



この日はウスバカゲロウが2種いました。最初はこの写真の個体で、翅に模様があるので、ホシウスバカゲロウだということはすぐに分かります。



問題はこちらです。いつも見ている個体よりちょっと小型なので、コウスバカゲロウかなと思うのですが、ウスバカゲロウとの違いがよく分かりません。そこで、今日はこの違いを調べてみようと思いました。

「原色昆虫大図鑑III」によると、両者の違いは次のように書かれていました。

Hagenomyia属では、1)前翅が縁紋部付近で幅広く、2)翅の基部から見るときRsとCu分岐とはほぼ同じ距離のところから起こり、3)縁紋部より基方の数本の前縁小脈に横脈を有する

Myrmeloeon属では、1)前翅は前種のものよりやや細く、2)そのRsはCu分岐より翅縁に近く起こり、3)縁紋部より基方の前縁小脈に横脈を欠く

Hagenomyia属は以前ウスバカゲロウが含まれていた属で、現在はBaliga属になっています。従って、上がウスバカゲロウ、下のMyrmeloeon属がコウスバカゲロウの説明になっています。違いは上の1)から3)までの3点です。そこで、手元にある標本で調べてみました。



これはウスバカゲロウだと思われる個体です。AはRs分岐、BはCu分岐の位置を表しています。また、Cは縁紋部より基方の前縁小脈を表し、左側にその拡大図を載せました。まず、1)については確かに縁紋部辺りで前翅は幅広いのですが、それほどはっきりとはしません。2)については、AとBは翅の基部からほぼ等距離の位置にあります。さらに、3)については拡大図を見ると分かりますが、前縁小脈には横脈がついています。



次はコウスバカゲロウだと思われる個体です。1)については、ウスバカゲロウに比べると確かに翅が細い感じがします。翅が一番幅広い部分よりもやや外側に縁紋がありそうですが、はっきりとはしません。それよりも、2)については、AのRs分岐の方がBのCu分岐より明らかに外側に位置しています。さらに、3)の縁紋部より基方の前縁小脈には分岐は見られますが、横脈は見られません。

どうやら翅の幅で見るよりも翅脈で見る方が簡単なような気がします。そこで、先ほどの写真についても翅脈を頑張って調べてみました。



すると、上の写真のようにAのRs分岐の方がBのCu分岐よりも明らかに外側にあり、Cの前縁小脈には横脈はありません。従って、初めの予想通りコウスバカゲロウだったようです。

写真を撮った時に、この両者を見分けるのにこれまで翅の幅を見ていたので、なかなか分かりませんでした。でも、翅脈を見ればよいということが分かったので、ちょっとだけ前進です。

追記:ウスバカゲロウとコウスバカゲロウの前翅の前縁部分が合うように重ねてみました。



赤色がウスバカゲロウ、黒がコウスバカゲロウです。翅型が違うのでぴったりとは合わないのですが、コウスバカゲロウの方が、確かに翅の細いことが分かります。ただ、差はこの程度です

虫を調べる ウシアブ?

マンションの廊下でやっと雌アブを見つけました。まだ、脚をばたばたさせていたのですが、強引にビニールの袋に入れて、そのまま冷凍庫に入れておきました。先ほど検索表で調べてみたら、どうやらウシアブらしいことが分かりました。そこで、顕微鏡写真を撮って要点をまとめてみました。

検索表はこの間アカウシアブで用いた次の2つの文献を用いました。

河合禎次、谷田一三著、「日本産水生昆虫」(東海大学出版、2005).

早川博文、「日本産アブ科雌成虫の分類 1.アブ属ウシアブ群、アカウシアブ群及びその関連種」、東北農試研究資料 10、35 (1990). (ここからダウンロードできます)

まず、見つけたアブの写真を載せます。



外観はいつもよく見るアブのようです。両方の複眼が接していないので雌ですね。まず、属の検索表のうち、アブ属に至る項目を列挙します。



この間と同じようにそれぞれの項目に関係するところには、写真に番号と項目を書き入れました。まず、最初は触角についてなので、その拡大写真を載せます。



変わった形をしていますが、鞭節は第3節から先端までを指すので、全部で5節になっています。従って、①はOKです。次は後脚脛節についてなので、その部分の写真を載せます。



後脚脛節には距棘はありません。これで②はOKです。③については、Fig. 1に示すように翅は透明というよりはくすんでいるというべきかな。④は触角の背突起ですが、Fig. 2に示すように背突起があります。これが短いというのは、もっと長い種を除くためで、これはこれでOKです。⑤については次の写真を見てください。



これは頭部の写真ですが、単眼瘤はなく、また、複眼に微毛はありません。これで⑤はOKです。⑥はFig. 1の通り、頭幅はほぼ胸幅と同じです。また、複眼は黒褐色です。最後の⑦は、また、触角鞭節の背突起についてです。比較の問題になりますが、大きいというのでOKとなります。これでアブ属になりました。



次は種への検索表で、この個体はウシアブだと思われるので、その部分だけを書き出しました。また、順番に見ていきます。⑧と⑪は翅脈についてなので、翅の写真を載せます。



⑧に書いてあるR5とM1脈は、上の写真のように翅縁で離れています。従って、OKです。⑪のR4脈の小枝も矢印で示してありますが、はっきりとした小枝があります。⑨、⑩、⑫は中額瘤についてです。Fig. 4をみると、中額瘤は下額瘤から長く伸びた黒い隆起であることが分かります。この形から⑨と⑩はOKになります。⑫はこれが額の半ばを越えるというので、これも写真を見れば分かります。



次は⑬の腹背の模様についてです。腹背の中央の三角形を中央三角斑というようですが、その両横に長三角形の斑(亜側斑)があるとハタケヤマアブになります。この個体にはないのでOKです。また、各節の後縁にある斑は狭いということも見ると分かります。最後の⑭は額三角区の色についてです。次の写真を見てください。



触角と複眼で囲まれた三角形の部分を額三角区というようですが、ここが白いとウシアブになります。この写真では白いように見えます。これで白いというのか、もっと白くなる必要があるのかはちょっと判断しかねるのですが、たぶん、ウシアブで合っているのではないかと思います。

ついでに検索には関係ない写真も撮ったので、載せておきます。



口吻の部分です。この尖った部分で刺すのでしょうね。(追記:通りすがりさんから、「アブは刺すのではなく、皮膚を切り裂いて出てきた血を吸っています。切り裂くとは言っても傷口は小さいので、刺されるのと変わりませんし、痛いことにも変わりませんがね…。」というコメントをいただきました。これはちっとも知りませんでした。また、知識が増えました。どうも有難うございました



それから、先程の額三角区の拡大です。これを見ると白く見えますね。

ウシアブらしい個体の検索をしてみました。検索表は♀用しかないので♀を探していたのですが、やっと見つかりました。アブは日本に100種程度なので、少し頑張って調べてみようかなと思っています。

廊下のむし探検 ノシメマダラメイガほか

廊下のむし探検 第678弾

昨日は午後から歩いたためか、虫が少なかったです。



それで、この小さいノシメマダラメイガについてちょっと調べてみました。大きさは1cmほどなので、気をつけて見ないと見過ごしてしまいそうです。

この間の「虫展」で外来種をまとめてパネル展示したのですが、そのときにノシメマダラメイガも外来種であることを知りました。いったいいつ頃どこから入ってきたのかなと思ってネットで調べると、思いの外いっぱい引っかかりました。どうやら穀物の大害虫のようです。食総研(食品総合研究所)のページを見ると、「大豆倉庫で発生した蛾を大正6年にマメマダラメイガとして記載したのが最古であると考えられていますが、瞬く間に広まり昭和の初めには全国で普通に見られるようになりました。」と書かれていました。

また、同じ食総研のHPには図鑑も載せられていて、特に、コラムが面白いものばかりでした。これによると、ノシメマダラメイガの幼虫は終齢で10-12mmで、植物由来の乾燥食品を片端から食べるようです。例えば、穀類、パン、パスタ、米、小麦粉、ドライフルーツ、ナッツ、チョコレート、ココア豆、コーヒー豆、クッキー・・・。

宮ノ下 明大, 今村 太郎、「家屋内で採集したノシメマダラメイガ雌成虫1頭からの次世代の発生数」、家屋害虫 31, 89 (2009). (ここからダウンロードできます)

この論文によると、成虫の寿命は約1週間、1♀が200個内外の卵を産み、一世代は40日内外という、素早い世代交代をしているようです。それで、この論文では屋内に1匹の♀が紛れ込んでも、200匹の幼虫が穀物などを食べ、その1ヶ月後には♂♀それぞれ100匹ずつが生まれて、生まれたその日から交尾をし始め、再び産卵するので、あっという間に蛾だらけになるという話でした。

その他にも面白い話がありました。そのうちのいくつかを紹介します。

辻英明、「ピンホールから食物容器内へのノシメマダラメイガ 1 齢幼虫の侵入実験」、衞生動物 49, 99 (1998). (ここからダウンロードできます)

これはノシメマダラメイガの幼虫がどのくらいの大きさの穴から食物容器内に入れるかを調べた論文です。写真のフィルムケースの蓋に穴を開けてそこに厚さ0.02mmの薄いポリエチレンフィルムを貼ります。そのフィルムに小さな穴を開けて、ケースの中には米ぬかを入れておきます。このケースを何個か17cm角のケージ内に置き、1齢幼虫を放してどのくらいの穴になると幼虫が侵入するかを調べてみました。その結果、直径0.173mmの穴では入らなかったのですが、0.293mmでは入ったということです。つまり、0.3mm程度の隙間があれば幼虫は中に入っていくということを示しています。

もう一つは次の論文です。

宮ノ下 明大, 今村 太郎, 古井 聡、「マンション周辺における性フェロモントラップで捕獲されたノシメマダラメイガPlodia interpunctellaの個体数と分布」、都市有害生物管理 3, 1 (2013). (ここからダウンロードできます)

これは自宅マンションでの実験です。ノシメマダラメイガは屋内害虫とされていますが、屋外にもいるかどうかを調べた例です。調べ方は、マンションのベランダ2箇所と玄関先にノシメマダラメイガ用のフェロモントラップをおいて、毎時間ごとに捕獲される♂をカウントしていくという方法です。フェロモントラップはガチョンという名称で販売されています。10セットで1万円くらいなので、結構、高いですね。実験は8月のちょうど今頃の8日間に行われたのですが、各トラップに1日平均10匹ぐらいの♂が捕獲され、時間としては夜の8時30分頃が一番多かったということです。近くに穀物倉庫などはなく、その発生源は不明とのことですが、屋内害虫と知られているノシメマダラメイガが意外に屋外に多いという事実は面白い結果でした。そういえば、私のマンションでもノシメマダラメイガはいつも屋外で見られています。

残りの虫も紹介します。



これはコトビモンシャチホコです。背景のつぶつぶは蛍光灯のカバーなのですが、フラッシュをたいたらこんな風に写ってしまいました。



これはクロシタシャチホコです。エレベータホールの天井に止まっていました。



それにゴマダラキコケガです。



それからコヨツメアオシャク



甲虫ではシロテンハナムグリがいました。



クモではチュウガタシロカネグモがいました。腹の上の方に黒い点があるのが目印です。これはちょっと小型ですが、



こちらはもう少し大型です。1階の廊下の手すりの外壁にいるのですが、昨年も同じ所にいました。さらに拡大してみます。



腹部の銀色は綺麗なのですが、如何にもクモっぽいので、ちょっと苦手です。



それにこの頃毎日見ているアリグモです。

廊下のむし探検 カメムシ、クモなど

廊下のむし探検 第677弾

先ほどの続きで、昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日は不思議と甲虫はいなくて、カメムシやクモばかりがいました。



まずは定番のアオモンツノカメムシです。



それにクサギカメムシです。普段はクサギカメムシがいても写さないのですが、この日は虫が少なかったので、ついつい写してしまいました。



むちゃくちゃ小さい虫が動いていたので写してみたら、こんな虫でした。たぶん、ユスリカの仲間でしょうね。



アカマダラカゲロウの♂です。目が大きいですね。



クロオオアリがいました。これは働きアリですね。



さて、これは何でしょう。こちらはアリグモの方です。たしかにちょっと似ていますね。





いつも見るクモなのですが、今回は♂のようです。「日本のクモ」によると、ウロコアシナガグモとエゾアシナガグモはメスでは区別が難しい。♂ではエゾは上顎が太くて長いこと、腹部の赤色斑がないことで区別できるとありました。これは赤色斑があるので、ウロコアシナガグモでよいのかもしれません。



これはいつものズグロオニグモ



それにシラヒゲハエトリです。



1cmほどしかない小さな「むし」ですが、ちゃーんと一人前の格好をしています。たぶん、オオゲジの幼体でしょうね。

廊下のむし探検 蛾も難しい

廊下のむし探検 第676弾

昨日は外出したのですが、外出する前の朝、マンションの廊下を歩いてみました。午後になるとうだるような暑さなのですが、朝は意外に爽やかで、蛾もたくさんいました。でも、名前調べでだいぶ苦労しました。



最初はこの蛾です。小さくてちょこちょこ動き回るので、どうせ名前は分からないだろうなと思っていい加減に写してしまいました。よく見るとダニが何匹かついています。初め、キバガとかのミクロな蛾を探していたのですが、こんな形の翅を持つ種は見つからないので、ひょっとしてと思ってヤガを探してみました。いろいろと見ていくと、これは以前にも見たことがあって、クロテンカバアツバか、ホソバカバアツバか悩んだ種でした。

クロテンカバアツバらしい個体はこれまでにも何度か見ていました。それに比べるとかなり小型で、小さな黒点を持つ個体もいて、以前はそれをホソバカバアツバとしていました。それらの写真をまとめてみます。



右4つはクロテンカバアツバとしていた個体です。左下は前回、ホソバカバアツバとしていた個体、左上が今回の個体です。右4つは黒点が大きく、外横線や内横線もややはっきりしています。それに対して、左2つは黒点がかすかで、横線もはっきりとはしていません。また、右も左も翅の基部に褐色の部分があります。

ホソバは「大図鑑」で初めて記載されたもので、詳しい説明が載せられていました。これにクロテンの説明も加え、表にまとめてみました。



この説明と今回の蛾の特徴を比較した結果も載せておきます。クロテンは説明が少なかったので、特に比較は載せていません。これと、今回の個体はかなり小さかったという印象と合わせると、ホソバとかなり一致しているという感じです。△で書いたところは、「翅型は幅狭い」と「下唇鬚は暗褐色」という点が合わなかったということを意味しています。結論的にはよく分からないのですが、ホソバに近いかなと思われます。いずれにしも、採集して交尾器を調べる必要がありそうです。蛾が小さいと図鑑の写真も小さくなるのでとても見にくいです。(追記:通りすがりさんから、「小さなクロテンっぽく見えるけど、分かりませんね。」というコメントをいただきました。やはり、クロテンかなぁ



翅を中途半端に開いていたので、左の翅が縦になってこの写真ではあまり見えていません。



横から見るとこんな感じです。模様から、ツマジロツマキリアツバだと思われます。「廊下のむし探検」初登場です。



モンクロシャチホコです。この日は2匹いました。先日も見たし、よく見る蛾だと思っていたのですが、調べてみると、この間を除くと、「廊下のむし探検」では一昨年の8月初めに見ただけでした。



これもよく分からない蛾なのですが、たぶん、ツマキホソバ♂ではないかと思います。



それにハガタベニコケガ



オオミズアオがこんな格好で止まっていました。たいてい翅を広げてぶら下がっているというイメージですけどねぇ。(追記:通りすがりさんから、「オオミズアオの夏型が出ましたか。こう言う綺麗な色だと、嬉しくなります。」というコメントをいただきました。夏型なのですね



これはヨツモンマエジロアオシャクです。



マエキオエダシャク



これはウスバミスジエダシャクだと思います。



翅の模様がはっきりしないのでよく分からないのですが、腹部の色が変わっているので、ハラキカバナミシャクかなと思いました。



それにマダラマルハヒロズコガです。(追記2016/02/08:マルハキバガ科のデコボコマルハキバガのようです



壁にこんな形の小さなものがついているので何だろうと思って見ていたら、突然動き始めたので、びっくり。チビミノガの幼虫が入っているのでしょうか。

廊下のむし探検 甲虫と蛾とクモと

廊下のむし探検 第675弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。こんなに暑い日が続くと、およそ虫の姿なんか見かけませんね。でも、マンションは虫たちにとって暑さを防ぐ重要な休息所だと考えれば、探せば少しは見つかるかなぁ・・・なんて思いながら歩いてみました。



もっともこの甲虫は休んでいるのではなくて倒れているみたいですが・・・。かなり大きな甲虫です。床の模様から体長を推測してみると、18mmもありました。たぶん、オオキノコムシ科だろうと思って図鑑を見ると似た種が見つかりました。ベニオビオオキノコムシ属とエグリオオキノコムシ属の検索表があったので、それを使って調べてみました。上翅前赤帯中に遊離した1黒点があるという条件から、たぶん、カタボシエグリオオキノコではないかと思いました。合ってるかなぁ。



ハナムグリがいました。例によってひっくり返してみます。



今回はいくつか気になるところがあって、あまりはっきりとは分からなかったのですが、たぶん、いつものシロテンハナムグリだと思います。



次は蛾です。これはクロモンアオシャクです。アオシャクはいつ見ても綺麗ですね。



リンゴツノエダシャクがまたいました。今年はよく見ますね。



またヒメシャクですね。たぶん、マエキヒメシャクだと思うのですが、よく分かりません。



これはシロスジシマコヤガでしょうね。



それにスジキリヨトウ



それからチャオビヨトウですね。



こちらは時々見るヘリジロサラグモだと思います。



この小さなクモは何だろう。

廊下のむし探検 リンゴツノエダシャクほか

廊下のむし探検 第674弾

前回の続きで3日前の「廊下のむし探検」の結果です。今回は蛾を紹介します。





この日はこんなやや大型の蛾が2匹いました。リンゴツノエダシャクです。リンゴという名前がついているので、リンゴの害虫かなと思ったのですが、「大図鑑」を見ると、幼虫はヤナギ、ブナ、ニレ、バラ・・・などと多食性のようです。もっとも、農研機構が出しているリンゴの加害害虫のリストには入っていました。昨年も一昨年も6月と7月に見ていました。この2年10月間で4匹だったのでまぁまぁ多い方ですね。



シャクガはこの他、サツマヒメシャク



フタモンクロナミシャクがいました。



地下駐車場の床でエゾシモフリスズメが死んでいました。一昨年も見ていて、その時は8月8日でした。ちょうど今頃ですね。



こちらはトビイロスズメ。これも地下駐車場でした。



これはウスイロギンモンシャチホコ。以前、この銀色の光り方について調べたことがありました。その時は翅の前後方向から照明を当てれば銀色に光り、左右方向からでは黒くなってしまうという結論でした。これはちょうど斜め方向から撮影したので、ちょっと光り方が弱いですね。もっとも光を当てる方向だけでなく、見る方向も大事なのかな。



ミドリリンガがいました。これまで6月と8-9月に合計6匹見ていました。結構、多い方ですね。緑色は変わっているのでつい注目してしまいます。



似た種が多いのですが、これはヨトウガ亜科のマダラキヨトウではないかと思います。



最後はタイワンキシタアツバでした。

廊下のむし探検 クモがいろいろ

廊下のむし探検 第673弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日はクモがたくさんいました。クモは嫌いなのですが、廊下に出てきた「むし」はすべて調べようと思ったので、仕方なしに撮っています。でも、だんだん慣れてきた感じです。



模様が実にはっきりしていて分かりやすいですね。たぶん、ヒメグモ科のハンゲツオスナキグモ♀だと思います。廊下で歩いていると、結構異質な感じがします。



これも結構大きなクモなのですが、じっとしているのでそれほど怖くはありませんでした。模様からクサグモかなと思っています。



ハエトリの幼体だと思うのですが、名前が分かりません。何度か見ているのですが・・・。(追記2015/11/14:ヒトリコゲチャハエトリかなと思います



最後のこのクモは本当に小さなクモです。たぶん、チリグモ科のチリグモではないかと思います。






またアブがいました。しかも♂です。検索表が使えないので、諦めていたのですが、今日はちょっとだけ調べてみました。まず、翅脈ですが、



Aの部分のR5脈とM1脈が開いているので、シロフアブ群以外になります。Bに小さな枝が出ているので、たぶん、ウシアブ群になります。後は、腹部背のパターンと触角の形や色である程度は見当をつけることができます。検索表の上では額三角区という触角の下の部分の色が必要だったのですが、写し損ねました。それで、2つの候補ができました。一つはウシアブ、もう一つはマツザワアブです。ともに本州にはいるので除外できません。

両者の違いは、以前紹介した早川(1990)に詳しく載っています。それによると、額三角区が前者では白色粉状、後者では淡黄褐色粉状、触角第3節は前者では小突起が黒色の他は橙黄色、後者では第3節基部が橙褐色以外は黒褐色から褐色、それに脚は前者では脛節の大部分が橙黄色~淡褐色である他は黒褐色~黒色、後者では脚全体が褐色~黒褐色、さらに、腹背第2節以下の中央三角斑が、前者では淡灰黄色、後者では黄褐色などです。一応、触角の写真も載せておきます。



早川(1990)や「日本産水生昆虫」に載っている図も見比べながら判断すると、触角はウシアブとよく似ています。また、脚脛節は何となく淡色のような感じで、さらに、腹背の三角斑も白く見えます。ということで、ウシアブではないかという判断になりました。(追記2018/03/05:検索表が♀用しかないので、♂の場合はやはりTabanus sp.としておきます

その他の虫たちです。



これはウロコチャタテ



それにニセハネナガヒシバッタ



アオモンツノカメムシもいました。

最後に、天井を見てみると、



こんな恐ろしい姿も。オオゴキブリがクモに捕まっている・・・。

蛾は次回に回します。
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